JP7340882B2 - 評価価格算定プログラム及び評価価格算定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、著作権の評価価格を算定するプログラム及び方法に関する。
近年、情報通信ネットワーク技術の進展に伴い、インターネット等の通信ネットワーク上において、オークションが盛んに行われるようになっている。最近では、著作権使用料(ロイヤリティ)などもオークション取引の対象となっている。下記特許文献1には、音楽著作権のオークションに用いられる、オークションシステムの構成が開示されている。かかるオークションシステムでは、出品された音楽著作権に係る音楽を入札者が視聴可能となっている。
特開2013-37662号公報
著作権のオークション取引では、出品された著作権の適正価格を知りたいニーズがある。しかし、著作物の種類や時代、流行などにより著作権利用のニーズは左右されるので、個々の著作権についてそれぞれ将来のロイヤリティ収入を予想しその取引価格を適正に評価することは容易でない。また、上記したオークションシステムでは、出品された音楽著作権に係る音楽を入札者が視聴可能であるが、視聴したとしても、直ちに音楽著作権の経済的価値を把握しその適正な取引価格を評価することは容易でない。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、著作権についてより適正な価格評価を容易に行うことが可能なプログラム及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、著作物の著作権者が受け取ることができる著作権使用料の収入を将来にわたり算定して著作権使用料を受け取る権利の価格評価を行い、著作権使用料を受け取る権利を算定された評価価格で著作権者以外の者(例えば投資家)が買い取ることができる、著作権者と投資家との間で行う取引システムにおいて、コンピュータに評価価格の算定を実行させるためのプログラムであって、著作物について発生した実際の著作権使用料の情報(DB)を元に、(1)下記計算式(A)で、過去の年収入の平均(平均収入)を求め、(2)下記計算式(B)で、収入の分散を求め、(3)平均収入及び分散を変数とする計算式で、評価価格を計算し、これら(1)から(3)の順でコンピュータを実行させて評価価格を算定する、評価価格算定プログラムを提供する。
また、前記の評価価格算定プログラムにおいて、(3)における平均収入及び分散を変数とする計算式は、計算式(C)又は計算式(D)であってもよい。また、著作物は楽曲あるいは電子書籍であってもよい。また、著作物は、絵画またはデザインであり、著作権は、展示権または複製権であって、著作物のデジタルコンテンツを配信できる権利の評価価格を算定するものであってもよい。また、著作権の存続期間内で指定された期限までの著作権使用料を計算するものであってもよい。また、(4)計算式(E)で評価価格(Price)を通る価格関数を導出し、(5)計算式(F)で取引期間に対応する区間年数で価格関数を積分し、(1)から(5)の順でコンピュータを実行させて適正評価価格を算定するものであってもよい。
また、本発明では、著作物の著作権者が受け取ることができる著作権使用料の収入を将来にわたり算定して著作権使用料を受け取る権利の価格評価を行い著作権使用料を受け取る権利を算定された評価価格で著作権者以外の者(例えば投資家)が買い取ることができる、著作権者と投資家との間で行う取引において、著作物に発生する実際の著作権の使用料についての情報(DB)があり、DBから価格評価のための特定の計算式により将来の著作権使用料を計算し、その計算式は、次の通りで、(1)下記計算式(A)で過去の年収入の平均を求め(平均収入)、(2)下記計算式(B)収入の分散を求め、(3)平均収入及び分散を変数とする計算式で計算し、これら(1)から(3)の順で評価価格を算定する、評価価格算定方法を提供する。
また、前記の評価価格算定方法において、(3)における平均収入及び分散を変数とする計算式は、計算式(C)又は計算式(D)であってもよい。また、著作物は楽曲あるいは電子書籍であってもよい。また、著作物は、絵画またはデザインであり、著作権は、展示権または複製権であって、著作物のデジタルコンテンツを配信できる権利の評価価格を算定するものであってもよい。また、著作権の存続期間内で指定された期限までの著作権使用料を計算するものであってもよい。また、(4)計算式(E)で評価価格(Price)を通る価格関数を導出し、(5)計算式(F)で取引期間に対応する区間年数で価格関数を積分し、(1)から(5)の順で適正評価価格を算定してもよい。
なお、明細書並びに特許請求の範囲に記載の「著作権」の語は、著作権(狭義の著作権、著作財産権)に加えて、著作隣接権をも含む意味で用いる。従って、上記プログラム及び方法には、著作隣接権者が受け取ることができる印税等の収入を将来にわたり算定し、算定された価格で著作隣接権者以外の者が買い取るシステムに関するものも含まれる。
本発明によれば、予想される将来の著作権使用料を所定の計算式を用いて算出するので、著作権の価格評価をより適正に行うことができる。これにより、著作権をより適正かつ公平な価格で取引することができる。
従って、本発明によれば、例えば著作権のオークションの場合、投資家等の入札者にとっては安心して入札することができ、著作権者等である出品者にとっても取引によって適正価格あるいはそれに近い価格の資金を容易に得ることができるので、著作権の取引が促進され、ひいては、より一層、著作物の利用並びに著作権の財産的活用を図ることが可能となる。
取引システムを示す概略図である。 運営側サーバーの構成を示すブロック図である。 取引システムの処理動作を説明するフローチャートである。 著作権使用料データに係るデータベースの一例を示す図である。 アーティストの著作権収益等を示す図である。 イベントの数及び調整値に係るデータの一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、以下の説明に限定されるものではない。図1は、取引システム100を示す概略図である。この取引システム100は、著作権及び著作権利用料請求権の取引を行うシステムであり、著作物の著作権者が受け取ることができる印税(著作権使用料)等の収入を将来にわたり算定し、算定した価格で著作権者以外の者(例えば投資家)が買い取るという著作権者と投資家などとの間で行われる取引に用いられる。
ところで、著作権は、音楽、美術、小説等の著作物を創作した時に自動的に発生し創作者(著作者)に原始的に帰属する権利で、その著作物を利用する独占的な権利である。著作権は、著作者の経済的利益を保護する権利と、著作者の人格的利益を保護する権利とに分けられるが、前者は、著作財産権とも称され、その譲渡や相続が可能である。従って、取引システム100における取引対象は、著作財産権並びにそれに基づく利用料(ロイヤリティ)の請求権である。
図1に示すように、取引システム100は、運営側サーバー10と権利者端末20と買い手端末30とを備える。運営側サーバー10は、取引システム100の運営者や提供者などによって管理され、権利者端末20および買い手端末30とネットワークNetを介して接続されている。ネットワークNetは、例えばインターネットである。なお、図1では権利者端末20および買い手端末30を1台のみ記載しているが、権利者端末20および買い手端末30はそれぞれ複数台存在するものとする。
図2は、運営側サーバー10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、運営側サーバー10は、通信部11と、演算部12と、記憶部13とを備えている。運営側サーバー10は、コンピュータにより構成されている。記憶部13には、運営側サーバー10における後述する処理・機能を実現するためのプログラム14が記憶されており、当該プログラム14の実行により、通信部11、演算部12、記憶部13等の各機能が構成される。
通信部11は、ネットワークNetを介して、権利者端末20と買い手端末30に接続されており、例えば、これらの端末20,30から送信されるデータの受信や、これらの端末20,30へのデータ送信を行う。通信部11は、例えば、上記コンピュータにインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアなどにより実現される。
演算部12は、CPU(Central Processing Unit)や、一時記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)などで構成され、プログラム14に基づいて演算や処理を実行する。プログラム14は、評価価格算定プログラム15を含む。評価価格算定プログラム15は、記憶部13に記憶された、実際の著作権の使用料の情報(著作権使用料データ17)に基づいて、特定のアルゴリズムにより将来にわたる著作権使用料の計算をコンピュータに実行させるものである。評価価格算定プログラム15により算出された将来にわたる著作権使用料が、評価価格となる。即ち、評価価格算定プログラム15に従って将来にわたる著作権使用料の予測値を計算することで、著作権及び著作権利用料請求権(以下、これらを「著作権等」という。)の評価価格を算出する。なお、評価価格算定プログラム15による計算については後述する。
記憶部13は、各種データを記憶する装置であり、例えばハードディスクなどの情報記憶媒体から構成される。記憶部13には、上記したプログラム14の他、著作権使用料データ17を含むデータ16が記憶され、例えば、いずれも後述する、売り手設定情報、買い手特定情報、イベント数E、減衰率に係る調整値S、算出した評価価格(Price)や、適正評価価格(評価総額)などの各種データが記憶される。
図1の説明に戻り、権利者端末20は、取引対象である著作権等の権利者側の者が使用する端末であり、ネットワークNetを介して運営側サーバー10と通信可能に接続されている。買い手端末30は、著作権等を購入(譲受)する側の者(著作権者以外の者、例えば投資家が想定される)が使用する端末であり、ネットワークNetを介して運営側サーバー10と通信可能に接続されている。権利者端末20および買い手端末30は、それぞれ、不図示の通信部と、キーボードなどの入力部21,31と、ディスプレイなどの表示部22,32とを有しており、例えばPC(パーソナルコンピュータ)により構成されている。
以上説明した取引システム100を用いて著作権等の取引が行われる。かかる取引としては、最も高い値段を提示した買い手(入札希望者)に売却するオークション(競争入札)であってもよいし、売り手が予め値段を決めて購入希望者に当該値段で売却する一般取引(指し値取引)などでもよい。
次に、上述した取引システム100の処理動作の一例について説明する。ここで行う取引の形態はオークションであり、その入札開始までの取引システム100の処理動作について説明する。図3は、取引システム100の入札開始までの処理動作を説明するフローチャートである。売り手(権利者等)および買い手(投資家等)は、取引に先立ち、必要な情報をそれぞれ運営側サーバー10に送信しておく。
具体的には、売り手は、作品明細情報、権利者証明情報、著作権使用料情報、希望価格情報、及び募集期間情報(これらの情報をまとめて「売り手設定情報」という)の各情報を運営側サーバー10へ提供する。ここでは、図3に示すように、権利者端末20から運営側サーバー10へ、売り手設定情報のデータが送信される(ステップS01)。
作品明細情報は、取引対象を特定するための情報であり、例えば、著作物の題号(タイトル)、著作物の価格といった著作物に関する情報や、著作権等の登録番号、当該著作権等の権利のうち売却対象部分を示す情報などである。売却対象部分を示す情報とは、例えば、著作権を構成する支分権の一部を取引対象とする場合における支分権の種類(例えば、複製権、貸与権、公衆送信権など)や、同一種類の著作権等の一部を売却する場合における持ち分の割合(例えば50%)、著作権存続期間の一部の期間だけ著作権等を売却する場合における当該期間(例えば2021年2月~2023年12月)などの情報である。
権利者証明情報は、売り手が著作権等の権利者であることを証明可能な情報であり、例えば、著作権等登録原簿に記載の情報である。
著作権使用料情報は、著作物に発生した実際の著作権の使用料にかかる情報であり、過去あるいは現在及び過去における、著作権等に基づく著作権使用料の収益情報である。著作権使用料情報は、記憶部13に著作権使用料データ17として記憶される。図4は、著作権使用料データ17のデータベース(DB)の一例を示す図であり、ある楽曲の著作権等の使用料収入の実績に関するデータである。なお、図4記載のデータベースは、著作権使用料について、年別、項目別(演奏、放送、録音等)、かつ安定度別(高い、ある程度高い、低いの3区分)に分けて集計したものである。
希望価格情報は、オークションにおいて売り手が希望する開始価格、並びに、価格の上げ幅に関する情報である。募集期間情報は、取引システム100上で取引可能な期間の情報である。
買い手は、自己の氏名や名称、住所、電子メールアドレスといった買い手を特定するための情報である買い手特定情報を運営側サーバー10に登録しておく。ここでは、買い手端末30から運営側サーバー10へ買い手特定情報のデータが送信される(ステップS21)。
運営側サーバー10は、売り手設定情報及び買い手特定情報に係るデータを受信すると、これらの情報を記憶部13に記憶する(ステップS11)。記憶部13には、これらのデータ(上述した著作権使用料データ17のデータベースなどを含むデータ)16が記憶される。
次に、演算部12が著作権等の適正評価価格を算出する(ステップS12)。ステップS12において、演算部12は、著作権使用料データ17を元にして、評価価格算定プログラム15における特定のアルゴリズムに従って、取引対象となる著作権等の適正評価価格を計算する。このとき、演算部12は、次の(1)ないし(3)の計算をこの順で行ない評価価格(Price)を算出し、さらに適正評価価格(評価総額)を算定する。
(1)過去の年収入の平均(平均収入)を求める(ステップS13)。
ステップS13では、取引対象の著作権等の平均収入を下記の計算式(A)を用いて算出する。
Figure 0007340882000001
ただし、Nは評価年数、Pはi年前の年間収益であり(つまり、i―1年前からi年前までの収益)、αは収益に対する重み付けである。平均収入(単位は円やドル等)は、直近のN年間にわたる、各年の収入P(単位は円やドル等)の総和の値をN(単位は年)で除して算出される。
なお、この「P」(i年前の過去の年間収益)については、後述する計算式(E)の「P」(i年後の将来の年間収益)と区別するため、例えば3年前の年間収益をP-3と表すように、i年前の過去の年間収益を示すときの「P」の「i」を負(マイナス)の値として表してもよい。かかる場合のPは、-(マイナス)i年前の過去の年間収益を意味し、具体的には(1-i)年前から-(マイナス)i年前までの収益を表すことになる。
例えば、上記計算式(A)において、Nは、平均収入を過去10年分の収入データを元に計算する場合は10(N=10)となり、過去5年分の収入データを元に計算する場合は5(N=5)となる。
各年の収入P(P)は、著作権使用料データ17に基づき下記計算式(a)を用いて算出される。
Figure 0007340882000002
ただし、Pは‘収益の安定度’の高い区分の収益、Pは‘収益の安定度’がある程度高い区分の収益、Pは‘収益の安定度’の低い区分の収益である。これらP等については、図4記載の楽曲の著作権使用料を例にとると、各年の全収益(全ての著作権の使用料収入)のうち、演奏、通信カラオケ・複製、通信カラオケ・送信、インタラクティブ配信・複製、インタラクティブ配信・送信の項目(図4の「(イ)安定度が高い」の区分)の収益値がPであり、放送(CMを除く)、放送用録音、有線放送、出版、貸しレコード、貸しビデオ、教科用図書補償金、私的録音補償金の項目(図4の「(ロ)ある程度安定度が高い」の区分)の収益値がPであり、録音、映画録音、ビデオグラム・映画、ビデオグラム・音楽、特定目的複製の項目(図4の「(ハ)度安定度が低い」の区分)の収益値がPである。P、P、Pの各値について具体例を挙げると、2016年のものとしては、それぞれ、図4のデータベースに基づいて、例えば、「1,227,587」、「413,430」、「366,026」の値が適用される。計算式(B)において「0.9」、「0.05」、「0.05」の各数値は重み付けであり、これにより安定して収益を得られる区分の収益を高く評価する。なお、計算式(B)における重み付けの各数値については、「0.9」、「0.05」、「0.05」であることに限定されず、変更可能である。
また、各年の収入P(P)は、前述した計算式(a)を用いて算出されることに限定されず、例えば、著作権使用料データ17の値(各年の合計値など)をそのまま各年の収入P(P)としてもよい。例えば、2016年の収入P(P)としては、図4に記載の合計「2,007,043」の数値が適用されもよいし、同様に、2017年の収入P(P)として、図4に記載の合計「2,114,622」の数値が適用されもよい。
P(P)は、取引対象から生じた収益値(収入)であり、取引対象である著作権等の種類に応じて著作権使用料データ17から選択される。例えば、P(P)の値は、楽曲に関する著作権等の全てを取引対象とする場合、演奏、放送、録音などの全ての項目の各使用料収益を合算した数値が用いられるが、演奏権のみを取引対象とする場合、全著作権収入のうち演奏権収入に係る収入の数値が用いられる。演算部12は、記憶部13に記憶された作品明細情報のうち売却対象部分を示す情報を読み取り、著作権使用料データ17のデータベース(DB)から取引(売却)対象に関するデータを選択し、かかるデータを用いて計算を行う。
重み付け(α)の値は、任意であるが、実施形態では、昔の(古い)数値に対するものから近時の(新しい)数値に対するものにかけて、数が徐々に大きくなるように設定される。例えば、重み付け(α)は、10年前の収益に対する値を0.91とし、それを基準として毎年0.01ずつ加えていき(9年前は0.92、8年前は0.93、・・・)、1年前の収益に対する値を1.00としてもよい。また、図5の表(左2列に記載の「年数」とこれに対応する「α」)に示すように、重み付け(α)は、10年前の収益に対する値を1とし、それを基準として毎年0.01ずつ加えていき(9年前は1.01、8年前は1.02、・・・)、1年前の収益に対する値を1.09としてもよい。このように設定した重み付け(α)は、運営側サーバー10の記憶部13に記憶される。演算部12は、ステップS13において、記憶部13に記憶された重み付け(α)を読み取り、読み取った重み付け(α)の数値を計算式(A)の「α」に適用して計算する。実施形態では、このように重み付け(α)の値を昔の(古い)収益値に対するものから最近の(新しい)収益値に対するものにかけて徐々に大きくなるように設定しているため、最近の収益値が昔の収益値に比べて高く評価される。
(2)平均収入の分散を求める(ステップS14)。
ステップS14では、平均収入の分散(δ)を下記の計算式(B)を用いて算出する。
Figure 0007340882000003
かかる計算により、過去(例えば過去10年間)の平均収入値のばらつきを求める。
これにより、例えば、特定の年がイベント(音楽・映像ソフトなどの売り上げを集計したランキングに入った、大型の年末音楽特別番組に出た、などの事象)によって収入が一時的に増えただけなのか、定常的に収入があるのかを判断する。
(3)平均収入×分散の大きさ、を計算する(ステップS15)。
ステップS15では、平均収入×分散の大きさについて、平均収入及び分散を変数とする計算式を用いて計算し、評価価格(Price)(単位は円やドル等)を算出する。
(計算例1)
上記(3)のステップS15における計算の一例(計算例1)について説明する。ステップS15では、「平均収入×分散の大きさ」の値を下記の計算式(C)を用いて算出する。
Figure 0007340882000004
かかる計算により算出された値は、現時点での評価価格(Price)である。このように評価価格(Price)は、計算式(A)で求めた平均収入値、並びに、計算式(B)で求めた分散値、の各値を元に計算される。なお、計算式(C)及び後述する計算式(D)において、eはネイピア数(自然対数の底)であり、その数値は約2.7である。
計算式(C)は、分散が少ない(計算式(B)で算出したδの値が小さい)もの、つまり安定して収益を得ているものを高く評価し、イベントなどにより一時的に収益が高かったものを低く評価する。
なお、後述する計算式(D)も計算式(C)と同様に評価価格(Price)の計算式である。計算式(C)を計算式(D)と比較すると、計算式(C)は、計算式(D)と同様に、数式中におけるe(ネイピア数)の累乗の指数は負(マイナス)の値である。一方、数式中におけるe(ネイピア数)の累乗の指数の絶対値については、計算式(D)が分散値δそのものであるのに対し、計算式(C)では標準偏差〔計算式(B)で求めた分散値の平方根(1/2乗)〕を平均収入値(計算式(A)で求めた数値)で除した数値となっている。このような計算式(C)は、次に説明する利点を有する。
一般に、分散値は、同程度のばらつきであっても数値データそのものの大小によって異なる値となる。例えば、元となる数値データの値が大きいと、データのばらつきが同程度であっても、分散値は大きくなる。従って、計算式(D)の場合、平均収入値や年間収益の値が大きいと、分散値δも大きい値になりやすい。このように分散値δそのものが大きい値の場合、その値をそのまま計算式(D)に当てはめると「e-δ」の値は0(ゼロ)に近くなり、分散値δの違い(つまり、年間収益のばらつき)が評価価格(Price)に反映されにくくなってしまう。かかる場合、計算式(D)において分散値δそのものが実質的に意味を成さなくなる。この点、計算式(C)では、計算式(D)との数式の違いにより、計算式(D)に比べて分散値δがある程度大きくても対応できる。即ち、元となるデータの値が大きく、これに伴い分散値δがある程度大きくなる場合であっても、計算式(C)によれば、分散値δの違いを計算結果に反映させ、年間収益のばらつき(分散)を加味した適切な評価価格を算出することができる。例えば、計算式(C)によれば、著作物の印税収入の平均が10,000円以上であっても適切な評価価格を算出することができる。
(計算例2)
上記(3)(ステップS15)の計算について、前述した計算例1と異なる計算例2について説明する。計算例2では、ステップS15において、「平均収入×分散の大きさ」の値を下記の計算式(D)を用いて算出する。
Figure 0007340882000005
かかる計算により算出された値は、現時点での評価価格(Price)である。このように評価価格(Price)は、計算式(A)で求めた平均収入値、並びに、計算式(B)で求めた分散値、の各値を元に計算される。計算式(D)は、分散が少ない(計算式(B)で算出したδの値が小さい)もの、つまり、安定して収益を得ているものを高く評価し、イベントなどにより一時的に収益が高かったものを低く評価する数式となっている。
評価価格(Price)の具体例について、図5を用いて説明する。ここでは、著作権者であるアーティストA~Dを例にとり、それぞれが受け取ることができる印税等の収入を将来にわたり算定し、算定された価格で著作権者以外の者(例えば投資家)が買い取る場合を想定している。図5は、アーティストの著作権収益等を示す図である。図5では、アーティストA~Dの著作権の使用料収益について各アーティストについて各年に分けて記載し、さらに、収入平均、重みづけ(α)、分散、評価価格を付記したものである。図5の記載のうち、各アーティストの過去の(10年前から1年前までの)収益を示す数値は、上記した著作権使用料データ17のデータベース上に既に存在するものとする。評価価格(Price)については、かかるデータベースに記憶されている過去の(10年前から1年前までの)収益の値を元にして、収入平均及び分散を求め、さらに計算式(C)又は計算式(D)を用いて算出する。具体的には次のとおりである。
先ず、アーティストA~Dの収入平均について、それぞれ計算式(A)により計算する。これにより、収益平均(収入平均)の値が算出される。ただし、収益平均を求めるときの重み付け(α)の値は、上述したように、10年前を1としてそれを基準としてその後毎年0.01ずつ増えるように予め設定され、1年前は1.09となっている。次いで、アーティストA~Dに係る収入平均の分散(δ)について、それぞれ計算式(B)により計算する。これにより、分散の値が算出される。最後に、アーティストA~Dの著作権の評価価格(Price)を計算式(C)又は計算式(D)により計算する。
なお、上記した実施形態においては、評価価格(Price)は計算式(C)又は計算式(D)のいずれか一方の式を用いて算出されるが、特に、収益(収入金額)が大きい場合(例えば年間収益平均が10,000円以上)は、上述した理由から、計算式(C)を用いることが好ましい。一方、収益(収入金額)が大きくない場合(例えば、年間収益平均が10,000円未満)は、計算処理に係るコスト低減を図るため計算式(C)に比べて簡素な計算式(D)を用いるようにしてもよい。
図5に記載の評価価格について考察すると次のとおりである。まず、アーティストAの著作権については、その使用料収益をみると、10年前に爆発的に収益が増え、その後大きく跳ねたものは存在しないので、今後、再び収益が伸びる可能性低いと考えられるから、その評価価格は最も低い。次に、アーティストBの著作権については、その使用料収益をみると、平均は高くないが、大きく跳ねたものは存在せず、安定して収益を出しており、今後も安定して収益を出す可能性が高いと考えられるから、その評価価格は最も高い。また、アーティストCの著作権については、その使用料収益をみると、アーティストAの収益とは逆に直近の収益が伸びており、1年前に爆発的に増えているので、今後も評価が上がる可能性を有するが、年ごとにばらつきがあり安定度が低いことから、その評価価格は上がらない。また、アーティストDの著作権については、その使用料収益をみると、収益平均は最も高いがばらつきが高いので、その評価価格はアーティストBの著作権の評価価格に劣るものとなっている。
上記例では、重み付け(α)の値を過去から現在に向けて毎年徐々に(一定値)増えるように設定することで、収益平均値について、昔のものよりも近時のものを重視し、さらに分散の大きさ(値のばらつきの度合い)も加味した上で、評価価格(Price)をより適正に行う。このように評価価格(Price)を算定する評価価格算定プログラム15によれば、価格を単に過去の平均値から評価するものなどに比べて、より一層適正な評価価格値を得ることができる。
上記計算式により算出される評価価格(Price)は、過去の「平均収入×分散の大きさ」である。この評価価格(Price)は、一年間にわたる著作権等の使用料収入を評価したものである。即ち、現時点から1年後までの一年間にわたる著作権等の使用料収入の現時点での予測額であって、過去のデータにおける平均収入及び分散に基づき算出したものが評価価格(Price)である。このように、評価価格(Price)は過去の実績に基づいて算出される。なお、評価価格(Price)は記憶部13に記憶される。
ステップS12においては、上記(3)のステップS15に引き続き、適正評価価格(以下「評価総額」ともいう。)を算定する。適正評価価格は、前述した評価価格(Price)について、著作権等の取引対象となる期間(以下「取引対象期間」ともいう。)をさらに加味して評価した価格(単位は円やドル等)である。ここでは、演算部12は、評価価格算定プログラム15に従い、売却対象部分を示す情報のうち取引対象期間のデータ、及び、上述した評価価格(Price)に基づいて、適正評価価格(評価総額、Total)を算出する。取引対象期間は、例えば、取引対象である著作権等の存続期間満了までの期間や、著作権等の存続期間内において指定された期限までの期間である。従って、著作権者以外の者(例えば投資家)が著作権者から著作権等を買い取る取引では、この適正評価価格が実際の取引価格となる。
適正評価価格については、先ず(4)価格関数を導出し、次いで(5)価格関数を区間年数で積分することにより算出される。具体的には次のように適正評価価格を算出する。
(4)現時点の評価価格(Price)を通る価格関数を導出する。
価格関数Piは計算式(E)に示すとおりである。
Figure 0007340882000006
ただし、Piは、i年後の年間収益(つまりi年後からi+1年後までの年間収益)、Eは、収益(売上)に影響を与えるイベントの数(以下「イベント数」ともいう。)、Sは減衰率を調整するための値、BはPiについてPを通る関数とするための調整値、Yiは現時点からi年までの年数(単位は年)である。換言すると、現時点におけるYi年後の評価価格(i年後からi+1年後までの年間収益予想額)がPiである。次に、これらの各値について詳述する。
一般に、収益(売上)は、イベント(事象)の影響によって一時的に増える場合がある。即ち、例えば、楽曲や電子書籍などを発売した、音楽・映像ソフトなどの売り上げを集計したランキングに入った、大型の年末音楽特別番組に出た、CM(Commercial Message)に起用されたといったイベントがあると、その影響によって収益(売上)の一時的な発生や増加が生じる場合がある。かかる場合、過去の年間収益のデータにおいて、特定の年の収益だけが不自然に突出して多くなる。このような一時的に増加しただけの収益の値を評価価格の計算に用いることは、適正な(実際の、真の)評価価格の算定を妨げる結果となってしまう。計算式(E)の価格関数は、このようなイベントによる一時的な収益増加による価格評価への影響を低減させて、定常的な収益を適正に評価するために、イベント数E並びに減衰率に係る調整値Sを含んでいる。価格関数Pは、過去に存在するイベントによって収益(売上)が増加したときの価格を通る関数である。
イベント数Eは、現時点(評価時)までに生じたイベントの数である。ここでいうイベントとは、収益(売上)の発生や一時的な増加を生じさせる原因となったものをいい、例えば、著作権等に係る楽曲や電子書籍等の発売(以下単に「著作物の発売」という場合がある。)、音楽・映像ソフトなどの売り上げを集計したランキング(売上ランキング)入り、著作者の大型の年末音楽特別番組への出演、著作者のCM(Commercial Message)起用などが該当する。イベント数Eは、通常、最初の著作物の発売を一つ目のイベントとして、その後現時点までに発生したイベントがあればその数を加算した数値となる。例えば、著作物の発売をしてその後現時点まで他のイベントを行っていない場合のイベント数Eは1、著作物の発売後、さらに現時点までに売上ランキングに入ったなどのイベントが2回発生したときのイベント数Eは3、となる。
減衰率を調整するための値S(以下「調整値S」という。)は、イベント後に収益が減少し収束するときの減衰率を考慮した関数を導入するための値である。即ち、調整値Sは、イベントの影響によって一時的に発生・増加した収益(売上)の値がその後徐々に減少しイベント前の値などに収束するまでの所定期間において減少する度合い(減衰率)を価格関数(計算式(E))に反映させるための値である。ところで、著作物発売後のイベント発生時期は不規則でありイベント発生回数も不規則に増減する。また、減衰率及び調整値Sもイベントの内容に応じて大きく異なる。かかる事情から、計算式(E)では、価格関数Pを各調整値Sを含む一本の関数にするため総和を用いている。調整値S(S1、S2、…、SE)は、イベントごとにその内容(イベントの種類や影響度合いなど)に応じて設定され、設定された調整値S(S1等)のデータは記憶部13に記憶されている。
図6は、イベントの数E及び調整値Sに係るデータの一例を示す図である。図6に記載のデータは、アーティストAに関するイベント数E及び調整値Sを含み、記憶部13に記憶されている。図6に示す例では、アーティストAは、11年前に著作物の発売を開始し、加えて10年前に大型の年末音楽特別番組に出演したので、イベント数Eは「2」である。また、11年前の著作物の発売のイベントについて設定された調整値S1(S)は「1,1」であり、10年前の大型の年末音楽特別番組に出演したイベントについて設定された調整値S2(S)は「1.5」である。
なお、図5のアーティストAの著作権使用料収益のデータでは、10年前のアーティストAの著作権使用料収益は他の年のものと比べて突出しているが、これはアーティストAが過去に一度だけ10年前に大型の年末音楽特別番組に出演した影響によるものである。このように、計算式(E)では、イベントによる売上の影響を考慮した上で適正な評価をするために、イベント数E及び調整値Sのデータ(図6)を用いて評価価格を調整する。
演算部12は、例えば図6のイベント数E及び調整値Sに係るデータに基づいて計算式(E)により価格関数を導出する。計算式(E)の計算の具体例として、アーティストAの2年後(i=2)における年間収益を計算する場合を例にとって説明する。かかる場合、計算式(E)において、Yiの値は2(年)、イベント数Eは2、調整値S1(S)は1.1、調整値S2(S,SE)は1.5であり、これらを同式中総和の部分〔(1/S1)Yi+(1/S2)Yi+・・・+(1/SE)Yi)〕等に適用する。Bの値が100のとき、計算式(E)の計算は次のとおりである。
2=1/2{(1/1.1)2+(1/1.5)2}+100
ところで、価格関数Piは、「i=0」のときの値P0(現時点から1年後までの年間収益、数式(b))が評価価格(Price)と同じであるから、数式(c)の関係が成り立つ。即ち、現時点の評価価格P0は、上記(1)~(3)(ステップS13~15)で算出した評価価格(Price)の値と等しい。
そこで、価格関数PiについてP0を通る関数とするための調整値Bは、数式(c)を用いて算出される。
Figure 0007340882000007
Figure 0007340882000008
上記(4)の価格関数Piを導出するステップでは、演算部12は、「i=0」のときのイベント数E及び調整値Sの各データを記憶部13から読み取り、読み取ったイベント数E及び調整値Sの各値と、算出した評価価格(Price)の数値とを数式(c)に適用して調整値Bを計算する。そして、演算部12は、イベント数E、調整値S及び調整値Bの各値を計算式(E)に適用して価格関数Pを導出する。
(5)価格関数を区間年数で積分して算出する。
上記(4)に引き続き、下記の計算式(F)を用いて価格関数を区間年数で積分し、適正評価価格(評価総額、Total)を算出する。適正評価価格は、例えば、初年(Y0)(現時点から1年後まで)の分からN年(YN)(N年後からN+1年後まで)の分までのN+1年間分の収入総額であり、価格関数Py(Pi)を区間年数(Y0~YN)で積分して算出される。
Figure 0007340882000009
は現時点から取引期間(積分区間)の始期までの年数(単位は年)、YNは現時点から取引期間(積分区間)の終期までの年数(単位は年)、Pyは価格関数(Yi年後における年間の評価価格)であり上記Piと同じ式となる。
計算式(F)において、価格関数Pyの積分区間である区間年数は、取引対象期間であり、例えば、取引対象の著作権等の存続期間満了までの期間や、著作権等の存続期間内で指定された期限までの期間である。従って、区間年数の始期Y0と終期YNは、それそれ取引対象期間の始期と終期に対応する。Y0は現時点から積分区間(取引期間)の始期までの年数、YNは現時点から積分区間(取引期間)の終期までの年数である。例えば、取引対象期間を現時点から3年後までとする場合、適正評価価格は、現時点から一年間の収益の評価価格P0と、1年後から一年間の収益の評価価格P1と、2年後から一年間の収益の評価価格P2を合算したものとなり、Y0の値は0、YNの値は2となる。また同様に、取引対象期間を1年後から5年後までとする場合、Y0の値は1、YNの値は4となる。
上述したように、売上ランキング入りや特別番組への出演といったイベントが有ると、その影響によって収益が一時的に増加する場合があるが、このようなイベントの影響を考慮せずに(つまりイベントのみに起因した収益増を排除せずに)評価価格を計算してしまうことは、適正な評価価格の算定の妨げとなる。この点に鑑み、上記した実施形態では、調整値Sを用いて減衰する関数(計算式(E))を導入し、一時的に増加しただけの収益の値が過去のデータに含まれる場合であっても、過去のデータに基づいて実際の評価価格に近い値を算出できる。
なお、評価価格算定プログラム15において、評価総額(適正評価価格)を算出する計算式は、上記計算式に限定されず、例えば、次式であってもよい。
評価総額(適正評価価格)=評価価格(Price)×D(期間)
ここで、評価価格(Price)は、上記した計算式(C)又は計算式(D)を用いて算出される。また、期間Dは、取引対象とする著作権等の期間であり、例えば、取引対象の著作権等の存続期間満了までの期間や、著作権等の存続期間内で指定された期限までの期間である。具体例としては、著作権等の取引対象の期間が1年間の場合、D=1であり、上記評価価格(Price)がそのまま評価総額となる。また、著作権等の取引対象の期間がY年間の場合、D=Yとなる。同様に、取引対象の著作権等の期間がM月間の場合はD=M/12、取引対象の著作権等の期間がd日間の場合はD=d/365(取引対象期間に係る年の日数であり、うるう年では366)、などとなる。
上述したように、ステップS12では、評価価格算定プログラム15に従い、上記(1)~(3)における計算式(A)と計算式(B)と、計算式(C)又は計算式(D)とを用いて将来の著作権等使用料の予測値(つまり評価価格(Price))を計算し、かかる値(評価価格(Price))に基づいて適正評価価格(評価総額、Total)を算出する。
評価価格算定プログラム15に従い算出された適正評価価格のデータは、作品明細情報に紐付け(関連付け)された状態で記憶部13に記憶されると共に、権利者端末20に送信される(ステップS16)。
ステップS16に続いて、運営側サーバー10は、買い手端末30からの要求に応じて、取引対象の著作権等の情報を買い手端末30へ送信する(ステップS17)。このとき、運営側サーバー10は、買い手端末30へ、送信する著作権等の情報に、算出した適正評価価格の情報を付してあるいは紐付け(関連付け)て送信する。
上記各ステップ終了後、オークション開始となる。オークションにおいて、入札者は、入札額を決定するが、このとき適正評価価格を参照しつつそれを決定できる。決定した入札額の情報は、買い手端末30を介して権利者端末20へ送信される。そして、著作権等は最高額入札額で取引される。
なお、オークションではなく一般取引(指し値取引)の場合における取引システム100の処理動作についても、上記した各ステップの処理動作と同様である。一般取引の場合、売り手は、上述した開始価格及び上げ幅に関する情報に代えて、売り手の希望する価格である希望価格の情報を運営側サーバー10へ送信する。そして、著作権等は希望価格で取引される。
以上、取引システム100の構成やその処理動作について説明したが、かかるシステム100を用いた取引方法によれば、著作権等の価格評価について、予想される将来の著作権使用料を過去のデータに基づいて所定の計算式を用いて算出するので、著作権等の価格評価をより適正に行うことができる。これにより、取引システム100では、著作権等を著作権存続期間中(例えば著作者の死後70年までの間)あるいは指定期間中(例えば5年間)、市場において適正価値あるいはそれに基づいた価格で取引することができる。従って、例えば著作権等のオークションの場合、投資家等の入札者にとっては安心して入札することができ、著作権者等である出品者にとっても取引によって適正価格あるいはそれに近い価格の資金を容易に得ることができるので、著作権等の取引が促進され、ひいては、より一層、著作物の利用並びに著作権等の財産的活用を図ることが可能となる。
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記の実施形態で説明した要件やステップの一つ以上は、省略されることがある。そのような変更または改良、省略した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、取引対象の著作物等の適正評価価格の算出について、上述した取引システム100では評価価格算定プログラム15をコンピュータに実行させることにより行っていたが、これに限定されず、算出手段は任意である。即ち、計算式(A)の計算、計算式(B)の計算、平均収入×分散の大きさの計算、をこの順で行うことを含む評価価格算定方法(取引対象の著作物等の適正評価価格の算出する方法)であれば、本発明の技術的範囲に含まれる。
また、実施形態では、上記(3)のステップS15における評価価格(Price)の算出について、計算式(C)又は計算式(D)を用いて行う場合を説明したが、評価価格(Price)を求める計算式は計算式(C)又は計算式(D)に限定されない。即ち、評価価格(Price)を求める計算式は、平均収入及び分散を変数として含み、平均収入値と分散値に基づいて評価価格(Price)を算定する計算式であればよく、例えば、計算式(C)あるいは計算式(D)を適宜変形した計算式を用いて評価価格(Price)を算出してもよい。
また、上記した取引システム100あるいは評価価格算定方法において取引される著作権等は、音楽の著作物に関するものであってもよく、楽曲に関する著作権等であってもよい。かかる場合、取引対象となる著作権としては、当該楽曲に係る複製権や、演奏権、公衆送信権、貸与権などであり、取引対象となる著作隣接権としては、実演家による録音権や、録画権、送信可能化権、レコード製作者による複製権や、公衆送信権などである。
また、上記した取引システム100あるいは評価価格算定方法において取引される著作権等は、電子書籍の著作物に関するものであってもよい。かかる場合、取引対象となる著作権は、公衆送信権、出版権などである。
また、上記した取引システム100あるいは評価価格算定方法において取引される著作権等は、絵画の著作物に係る権利あるいはデザインに関するものであってもよい。かかる場合において、取引対象となる著作権等は、展示権または複製権であってもよく、評価価格算定プログラム15は、絵画またはデザインのデジタルコンテンツを配信できる権利の評価価格を算定するものであってもよい。
15 評価価格算定プログラム
17 著作権使用料データ
100 取引システム

Claims (14)

  1. 著作物の著作権者が受け取ることができる著作権使用料の収入を将来にわたり算定して著作権使用料を受け取る権利の価格評価を行い、前記著作権使用料を受け取る権利を算定された評価価格で前記著作権者以外の者(投資家)が買い取ることができる、前記著作権者と投資家との間で行う取引システムにおいて、コンピュータに前記評価価格の算定を実行させるためのプログラムであって、
    前記著作物について発生した実際の著作権使用料の情報(DB)を元に、
    (1)計算式(A)で、過去の年収入の平均(平均収入)を求め、
    (2)計算式(B)で、収入の分散を求め、
    (3)平均収入及び分散を変数とする計算式で、評価価格を計算し、
    以上の(1)から(3)の順でコンピュータを実行させて評価価格を算定する評価価格算定プログラム。
    Figure 0007340882000010
    Figure 0007340882000011
    ただし、N:評価年数、Pi:i年前の年間収益、α:収益に対する重み付け
  2. 前記(3)における平均収入及び分散を変数とする計算式は、計算式(C)又は計算式(D)である請求項1記載の評価価格算定プログラム。
    Figure 0007340882000012
    Figure 0007340882000013
    ただし、Price:評価価格
  3. 前記著作物は楽曲である請求項1又は請求項2に記載の評価価格算定プログラム。
  4. 前記著作物は電子書籍である請求項1又は請求項2に記載の評価価格算定プログラム。
  5. 前記著作物は、絵画またはデザインであり、前記著作権は、展示権または複製権であって、前記著作物のデジタルコンテンツを配信できる権利の評価価格を算定する請求項1又は請求項2に記載の評価価格算定プログラム。
  6. 前記著作権の存続期間内で指定された期限までの著作権使用料を計算する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の評価価格算定プログラム。
  7. 前記(1)から(3)に引き続き、
    (4)計算式(E)で、前記評価価格(Price)を通る価格関数を導出し、
    (5)計算式(F)で、取引期間に対応する区間年数で価格関数を積分し、
    以上の(1)から(5)の順でコンピュータを実行させて適正評価価格を算定する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の評価価格算定プログラム。
    Figure 0007340882000014
    Figure 0007340882000015
    ただし、Yi:現時点からの年数、Pi,Py:価格関数(Yi年後における年間評価価格)、E:イベントの数、S:調整値、B:Piを評価価格(price)を通る関数とするための値、Total:適正評価価格(評価総額)、Y0:現時点から取引期間(積分区間)の始期までの年数、YN:現時点から取引期間(積分区間)の終期までの年数
  8. 著作物の著作権者が受け取ることができる著作権使用料の収入を将来にわたり算定して著作権使用料を受け取る権利の価格評価を行い、前記著作権使用料を受け取る権利を算定された評価価格で前記著作権者以外の者(投資家)が買い取ることができる、前記著作権者と投資家との間で行う取引システムに関する方法であって、
    前記著作物に発生する実際の著作権の使用料についての情報(DB)があり、DBから価格評価のための特定のアルゴリズムを使用して、将来の著作権使用料を計算して前記評価価格を算定し、その計算式は、次の通りで、
    (1)計算式(A)で、過去の年収入の平均(平均収入)を求め、
    Figure 0007340882000016
    ただし、N:評価年数、Pi:i年前の年間収益、α:収益に対する重み付け
    (2)計算式(B)で、収入の分散を求め、
    Figure 0007340882000017
    (3)平均収入及び分散を変数とする計算式で、評価価格を計算し、
    以上の(1)から(3)の順で、評価価格を算定する評価価格算定方法。
  9. 前記(3)における平均収入及び分散を変数とする計算式は、計算式(C)又は計算式(D)である請求項8記載の評価価格算定方法。
    Figure 0007340882000018
    Figure 0007340882000019
    ただし、Price:評価価格
  10. 前記著作物は楽曲である請求項8又は請求項9に記載の評価価格算定方法。
  11. 前記著作物は電子書籍である請求項8又は請求項9に記載の評価価格算定方法。
  12. 前記著作物は、絵画またはデザインであり、前記著作権は、展示権または複製権であって、前記著作物のデジタルコンテンツを配信できる権利の評価価格を算定する請求項8又は請求項9に記載の評価価格算定方法。
  13. 前記著作権の存続期間内で指定された期限までの著作権使用料を計算する請求項8から請求項12のいずれか一項に記載の評価価格算定方法。
  14. 前記(1)から(3)に引き続き、
    (4)計算式(E)で、前記評価価格(Price)を通る価格関数を導出し、
    (5)計算式(F)で、取引期間に対応する区間年数で価格関数を積分し、
    以上の(1)から(5)の順で適正評価価格を算定する請求項8から請求項13のいずれか一項に記載の評価価格算定方法。
    Figure 0007340882000020
    Figure 0007340882000021
    ただし、Yi:現時点からの年数、Pi,Py:価格関数(Yi年後における年間評価価格)、E:イベントの数、S:調整値、B:Piを評価価格(price)を通る関数とするための値、Total:適正評価価格(評価総額)、Y0:現時点から取引期間(積分区間)の始期までの年数、YN:現時点から取引期間(積分区間)の終期までの年数
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