JP7340655B1 - 液状肥料の製造方法および製造システム - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な、有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造方法を提案する。【解決手段】有機物の消化液を固液分離処理して、固形分と液体分とを得る。固液分離処理としては、2000G以上の遠心力を負荷して行う遠心分離処理とすることが好ましい。固液分離処理により得られた液体分(SS分離液)をMF膜またはUF膜にて処理(一次濃縮処理)して、ろ過液と濃縮液(一次濃縮液)とを得る。そして、得られたろ過液を電気透析にて処理(二次濃縮処理)して、電気透析濃縮液(二次濃縮液)を得る。得られた一次濃縮液および二次濃縮液をそれぞれ単独で、あるいはそれらを混合して、液状肥料とする。これにより、化学薬品(薬剤)を添加することなく、有機物由来の成分のみから、液状肥料を製造できる。なお、電気透析処理で発生する脱塩液は、放流先の放流基準に応じて処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、生ごみ、し尿、浄化槽汚泥、畜産廃棄物や食品廃棄物等の有機廃棄物をメタン発酵させた際に発生する消化液より液状肥料を得る液状肥料の製造方法および製造システムに関する。
近年、生ごみ、し尿、浄化槽汚泥、畜産廃棄物や食品廃棄物等の有機廃棄物をメタン発酵させた際に発生する消化液(以下、単に「消化液」ともいう)を肥料又は肥料原料として活用することが検討されている。
例えば、特許文献1には、「養液栽培用の液状肥料の製造方法」が記載されている。特許文献1に記載された技術では、有機物の消化液を限外濾過処理して、膜透過液と分散液とを得る第一工程、第一工程で得られた膜透過液を電気透析処理して濃縮液を得る第二工程と、第二工程で得られた濃縮液を蒸留処理して、窒素成分の濃度が前記濃縮液より高い第1の溶液と、カリウム成分を含み、窒素成分の濃度が前記濃縮液より低い第2の溶液とを得る第三工程と、分散液、第1の溶液及び第2の溶液のうちから選ばれる少なくとも二つを含む液状肥料を得る第四工程を備えるとしている。そして、特許文献1に記載された技術では、第一工程で得られる分散液に含まれる汚泥を微粉砕処理し、第四工程では、分散液、第1の溶液及び第2の溶液のうちから選ばれる少なくとも一つを硝化処理するとしている。
また、特許文献2には、「プロセス廃液の濃縮処理方法」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、プロセス廃液を振動が与えられた透過性膜で濃縮処理したのち、その濃縮液をさらに蒸発濃縮装置で濃縮するプロセス廃液の濃縮処理方法である。
また、特許文献3には、「養液栽培用液肥の製造方法」が記載されている。特許文献3に記載された技術は、有機性廃棄物を嫌気状態でメタン発酵させ、生成するガスを脱離して得られた脱離液から、固形分を除去して、あるいは有機酸を除去して、あるいは脱離液にさらに別の肥料成分を添加して、養液栽培用液肥を得る養液栽培用液肥の製造方法である。特許文献3に記載された技術では、脱離液からの固形分除去は、混合槽で、凝集沈殿剤を供給し、脱離液中の固形分を沈殿させて分離し、さらに、加圧浮上槽で脱離液に残留する固形分を微細な気泡により浮上させて分離している。
また、特許文献4には、「有機性廃棄物の処理方法」が記載されている。特許文献4に記載された技術は、有機性廃棄物をメタン発酵したのちの消化液又は該消化液から固形分を一部除去した液を加熱・濃縮してアンモニアをストリッピングさせ、アンモニア水を濃縮して分離したのち、アンモニアを除去した消化液を加熱・濃縮して濃縮消化液と凝縮水とに分離する有機性廃棄物の処理方法である。得られた濃縮消化液を液肥として利用するとしている。
また、特許文献5には、「液肥製造方法」が記載されている。特許文献5に記載された技術は、有機性廃棄物をメタン発酵させたのちの発酵残渣を浸漬型膜分離装置を有する膜分離装置に導入し、膜分離槽内の濃縮液を脱水機に取り出すとともに、脱水機の脱水ろ液の一部または全部を膜分離槽へ返送し、浸漬型膜分離装置により発酵残渣を膜分離して膜ろ液を液肥として取り出す液肥製造方法である。
また、特許文献6には、「液肥生成システム」が記載されている。特許文献6に記載された技術では、メタン発酵残液からスクリーンで固形分を分離する分離手段と、固形分が分離された分離液のpHを酸性に調整する調整手段と、さらにpHを酸性に調整された分離液を蒸発濃縮する濃縮手段と、蒸発濃縮された濃縮液を貯留する貯留手段とを備えたことを特徴としている。
また、特許文献7には、「液肥製造方法」が記載されている。特許文献7に記載された技術では、嫌気性消化法によって有機物を発酵させて消火液を得る工程と、得られた消化液から固形分を取り除く固形分除去工程と、固形分を取り除いた消化液を濃縮する濃縮工程と、からなり、濃縮工程においては、水を透過し、少なくとも窒素、リン酸、カリウムのいずれかを透過させにくい性質を有する透過膜を使用し、消化液中の水分を排出して、消化液を濃縮する、としている。これにより、得られた液肥は濃度が高く輸送が容易であるとしている。
特許第6426863号公報 特開平11-137970号公報 特開2002-137979号公報 特開2003-117593号公報 特開2006-052096号公報 特開2019-034870号公報 特開2021-186744号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術を実プラントに適用した際に、SS成分が高い有機物の消化液を出発原料とすると、第1工程の限外濾過処理において、限外濾過膜の濃縮側で流動性が低下し、閉塞が生じるという問題があった。また、特許文献1に記載された技術では、第3工程として第2工程で電気透過処理して得られた膜透過液に蒸留処理を行い、カリウム成分および窒素成分を更に濃縮するとしているが、実プラントへの適用に際しては、蒸留処理設備の設備費用と運転費が拡大するため経済的に不利となる。また、特許文献2に記載された技術では、実プラントへの適用に際しては、蒸発濃縮を利用しているため、特許文献1と同様に経済的に不利となる。また、特許文献3に記載された技術では、固形分や有機酸の除去の工程において薬品の使用が不可欠であって、肥料成分とは別の成分が液肥中に濃縮されてしまう問題があった。また、特許文献4に記載された技術では、加熱・濃縮を主として利用して液肥を製造するため、実プラントへの適用に際しては、経済的に不利となる。また、特許文献5に記載された技術では、膜分離した膜ろ液に、肥料成分のみが濃縮されるわけではないため、低濃度の液肥しか得られないという問題がある。また、特許文献6に記載された技術では、蒸発濃縮を主体としているため、実プラントへの適用に際しては、経済的に不利であり、しかもメタン発酵残液がSS成分を高濃度に含有する場合に、SS成分の除去が十分でなく、実用性に乏しい。また、特許文献7に記載された技術では、固形分除去工程がスクリーン等による簡易的な処理であるため、SS成分の含有量が高い消化液を適用した場合に、固形分除去工程でSS成分の除去が十分に行われず、濃縮工程で透過膜の目詰まりが発生する恐れがある。
そこで、本発明は、上記した従来技術に鑑み、実プラントにおいて有利に適用できる安価な、有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造方法およびその製造システムを提案することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、まず、原料とする有機物の消化液からの、SS成分の除去について鋭意検討した。その結果、有機物の消化液に含まれるSS成分が高い場合には、固液分離処理を行って、SS粒子を分離除去する必要がある。しかし、有機物の消化液中に含まれるSS粒子の粒子径は、概ね500μm以下であるため、廃水処理等で通常用いられる遠心分離機や脱水機では、有機物の消化液中に含まれるSS粒子を、凝集剤等の化学薬品の添加なしで、分離できたという報告はまだ見当たらない。土壌や作物等の肥料あるいは肥料原料とするためには、有機物由来の成分のみで製造することが望ましく、副成分として化学薬品等を添加することは、通気性、保水性等の土壌特性の低下を招く。
そこで、更なる検討の結果、2000G以上(ここで、Gは重力加速度)の範囲の遠心力を安定して付加できる遠心分離機を用いれば、凝集剤等の薬品を投与することなく、SS成分濃度が高い有機物の消化液を固液分離でき、得られたSS分離液を、精密濾過膜(以下、MF膜ともいう)または限外濾過膜(以下、UF膜ともいう)を用いた処理に適用できる処理水とすることができることを新たに見出した。また、SS成分濃度が低く(SS濃度:3000mg/L未満)、維持された消化液であれば、上記した遠心分離機による固液分離処理を
行うことなく、MF膜またはUF膜を用いた処理に適用でき、高い濃縮倍率を達成できることも知見している。一方、固形分として分離されたSS成分は、リン成分を多く含み、堆肥化施設等で有効活用できることも知見した。
また、更なる検討の結果、上記した処理によれば蒸留処理を行うことなく、液状肥料として十分に有効な濃度の液状肥料とすることができることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
[1]有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造方法であって、前記有機物の消化液を精密濾過膜または限外濾過膜にて処理して、ろ過液と濃縮液とを得る一次濃縮工程と、前記ろ過液を電気透析処理して、電気透析濃縮液を得る二次濃縮工程と、を有し、前記一次濃縮工程で得られた前記濃縮液および前記二次濃縮工程で得られた前記電気透析濃縮液をそれぞれ単独で、あるいはそれらを混合して、液状肥料とすることを特徴とする液状肥料の製造方法。
[2]前記一次濃縮工程の前に、前記有機物の消化液を固液分離処理して、固形分と液体分とを得る前処理工程を有することを特徴とする[1]に記載の液状肥料の製造方法。
[3]前記固液分離処理が、被処理物である前記有機物の消化液に2000G以上の遠心力を負荷して行う遠心分離処理であることを特徴とする[2]に記載の肥料の製造方法。
[4]有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造システムであって、精密濾過膜または限外濾過膜を備える膜濾過装置を有する一次濃縮処理部と、電気透析槽を有する二次濃縮処理部と、を備えることを特徴とする液状肥料の製造システム。
[5]さらに、固液分離装置を有する前処理部を備えることを特徴とする[4]に記載の液状肥料の製造システム。
[6]前記固液分離装置が、被処理物に2000G以上の遠心力を負荷できる遠心分離機であることを特徴とする[5]に記載の液状肥料の製造システム。
[7]前記固液分離装置には、分離した固形分を搬送する搬送手段を付設してなることを特徴とする[5]に記載の液状肥料の製造システム。
本発明によれば、有機物の消化液から、簡素化したシステムで安価に液状肥料を得ることができ、産業上格段の効果を有する。また、本発明によれば、化学薬品(薬剤)を添加することなく、有機物由来の成分のみから、液状肥料を製造できるという効果もある。
本発明の液体肥料の製造方法の概略を模式的に示す説明図である。 本発明の製造システムの概略を模式的に示す説明図である。
(1)液状肥料の製造方法
本発明は、有機物をメタン発酵させた際に発生する有機物の消化液から、カリウム成分、窒素成分およびリン成分の肥料成分を分離濃縮して回収し、液状肥料を得る液状肥料の製造方法である。
有機物は、少なくとも肥料成分である、リン成分、カリウム成分及び窒素成分を含むものであれば、肥料成分の含有量に係らず、使用することができる。有機物としては、有機廃棄物、草木系未利用バイオマス、資源作物などが挙げられる。有機廃棄物としては、食品加工残渣および水産残渣等の食品廃棄物、農畜産廃棄物、生ごみ、し尿、浄化槽汚泥、下水汚泥及び廃棄紙等が挙げられる。また、草木系未利用バイオマスとしては剪定枝、草等が、資源作物としてはトウモロコシ、ソルガム等が挙げられる。これらの有機物は、一種を単独で用いてもよく、あるいは二種またはそれ以上を混合して用いても良い。
本発明の液状肥料の製造方法では、有機物の消化液をまず、図1に示すように、精密濾過膜または限外濾過膜にて膜濾過処理して、ろ過液と濃縮液(以下、一次濃縮液ともいう)とを得る一次濃縮工程を行う。なお、一次濃縮工程の前にSS成分を除去する前処理工程を行うことが好ましい。
(前処理工程)
有機物の消化液は、一般的に、汚泥、SS(浮遊物質)等の懸濁物等を含む状態で得られるため、有機物の消化液中に含まれるSS(浮遊物質)等の懸濁物が多い場合(例えば、SS成分が3000mg/L超えの場合)には、ろ過膜の目詰まりを防止する観点から、前処理工程として、固液分離処理を行ったのちに、一次濃縮工程を行うことが好ましい。例えば、SS成分が3000mg/L以下である消化液であれば、ろ過膜の目詰まりの発生が少ないため、固液分離処理を行うことなく、一次濃縮工程におけるMF膜またはUF膜による膜濾過処理を行うことができ、濃縮倍率をある程度高く確保できる。
前処理工程では、有機物の消化液を固液分離処理して、固形分と液体分(以下、SS分離液ともいう)とを得る。得られた液体分(SS分離液)は、一次濃縮工程で、精密濾過膜(MF膜)または限外濾過膜(UF膜)による膜濾過処理を行う。一方、分離された固形分は、リン成分を多く含むため、コンベア等の搬送手段等で搬送して、固形肥料の原料として、堆肥化施設等で有効利用することができる。
なお、有機物の消化液に含まれるSS粒子の粒子径は、概ね500μm以下であるため、廃水処理で一般的に使用される遠心分離機や脱水機では、凝固剤等の添加なしには分離できない。そのため、本発明では、回転数のばらつきが少なく、安定して、高精度で2000G以上(G:重力加速度)を付加できる遠心分離機(例えば、高岡工房製ベストセパレーターX型(商品名))を使用して固液分離処理を行うこととした。これにより、得られた液体分(SS分離液)は、SS成分:3000mg/L程度となり、MF膜またはUF膜に導入できる処理水とすることができるようになる。
(一次濃縮工程)
一次濃縮工程では、有機物の消化液(SS成分:3000mg/L程度以下)、あるいは上記した前処理工程で固液分離処理して得られた液体分(SS成分:3000mg/L程度以下)、をMF膜またはUF膜にて膜濾過処理して、ろ過液と濃縮液(一次濃縮液)と、を得る。得られたろ過液は、カリウム成分および窒素成分を含む液である。一方、得られた濃縮液(一次濃縮液)は、リン成分を消化液あるいはSS分離液より高く含む液となる。なお、濃縮液中のリン成分の濃度は、ろ過液のリン成分の濃度より高くなる。これは、リン成分が浮遊物、汚泥等の懸濁物に吸着されやすく、また、MF膜またはUF膜を通過することができないためと推察される。
MF膜またはUF膜は、例えば、ポリエチレン、ポリアクリルニトリル、ポリエーテルサルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、酢酸セルロース等を素材とする微細孔径のろ過膜である。MF膜またはUF膜を用いる膜濾過処理は、微細孔径のろ過膜を有し、管状の流路を有するチューブラー型膜装置を用いて行うことが、目詰まり等の防止という観点から好ましいが、本発明ではこれに限定されないことは言うまでもない。チューブラー型膜装置以外の膜装置としては、中空糸膜型装置、平膜型装置等が例示できる。なお、MF膜またはUF膜は、膜面積に比例して処理能力が決まる性質上、処理に要する時間は、通常、24hr連続運転とすることが効率が良くなり、好ましい。
(二次濃縮工程)
ついで、一次濃縮工程で得られたろ過液を電気透析処理して、脱塩液と電気透析濃縮液(以下、二次濃縮液ともいう)を得る二次濃縮工程を行う。電気透析処理を行うことで、カリウム成分および窒素成分の濃度が一次濃縮工程で得られたろ過液よりも高い濃縮液を得ることができる。
電気透析処理では、電気透析槽の両端に陽極、陰極を配し、その間に陽イオン交換膜(CMVN)と陰イオン交換膜(AMVN)を交互に並べ、イオン交換膜の間に複数のイオン交換室を形成する。電気透析槽では、イオン交換室として複数の脱塩室と濃縮室が交互に配列された構造となっている。一次濃縮工程で得られたろ過液を原液として、当該原液を電気透析槽に供給し、循環させながら、電極間に電位差を設けると、脱塩室では陰イオン(例えば、Cl-)が陽極に引っ張られ陽極側の濃縮室に、陽イオン(例えば、NH4 +)が陰極に引っ張られ陰極側の濃縮室に、それぞれ移動する。そのため、脱塩室から排出される液は、一次濃縮工程で得られたろ過液より低濃度の溶液(脱塩液)となり、一方、濃縮室から排出される液は、次第に濃度が上昇し、一次濃縮工程で得られたろ過液よりも高い濃度の濃縮液が回収される。
電気透析槽で使用する陽イオン交換膜としては、例えばAGCエンジニアリング(株)社製のセレミオンCMVN(商品名)が、陰イオン交換膜としては、例えばAGCエンジニアリング(株)社製のセレミオンAMVN(商品名)が、例示できる。
なお、電気透析処理は、電流・電圧を上げることで、回収しようとする肥料成分であるカリウム成分及び窒素成分の濃縮率を上げることが可能であるが、継続的な運転のためには、適正な電流・電圧とすることが必要で、濃縮率には限界がある。そこで運転条件設定が異なる電気透析ユニットを直列に配置することにより、肥料成分であるカリウム成分および窒素成分の回収率を上げることが可能になる。しかし、ユニットは、後段になるほど肥料成分の回収効率は下がるため、コストとの兼ね合いで、ユニットの個数を決定する必要がある。直列ユニットの個数(繰返し数)は、設備費、運転費の観点から2回~3回とすることが好ましい。
一次濃縮工程で得られた一次濃縮液および二次濃縮工程で得られた二次濃縮液は、消化液に比べて、肥料成分であるカリウム成分および窒素成分が濃縮された溶液であり、それぞれ単独で液状肥料として利用できる。また、一次濃縮工程で得られた一次濃縮液と、二次濃縮工程で得られた二次濃縮液とを目的に応じた適正な濃度となるように混合して調整すれば、所望の土壌、作物に適した液状肥料としても利用できる。
(2)製造システム
上記した液状肥料の製造方法は、以下に示す液状肥料の製造システム100を利用して行うことができる。本発明の液状肥料の製造システム100は、有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造システムであって、一次濃縮処理部10と、二次濃縮処理部20と、を備えるシステムである。本発明の液状肥料の製造システム100では、さらに前処理部40、液肥貯留設備30を備えることが好ましい。液状肥料の製造システム100の一例を模式的に図2に示す。
前処理部40では、固液分離装置41を有する。一次濃縮処理部10では、MF膜またはUF膜を備える膜濾過装置11を有し、二次濃縮処理部20では、電気透析槽21を有する。
また、液肥貯留設備30では、一次濃縮処理部10で得られた一次濃縮液を貯留する一次濃縮液貯留槽31、および二次濃縮処理部20で得られた二次濃縮液を貯留する二次濃縮液貯留槽32を備えることが好ましい。
なお、液状肥料の製造システム100では、メタン発酵装置(図示せず)で生成された有機物の消化液を貯留する消化液貯留槽1を備えることが好ましい。
(前処理部)
前処理部40では、固液分離装置41を有する。消化液は固液分離装置41に供給され、固液分離されて、とくにSS成分を固形分として分離し、液体分(SS分離液)を得る。固液分離装置41は、安定して、2000G以上(G:重力加速度)を付加できる遠心分離機(例えば、高岡工房製ベストセパレーターX型(商品名))とすることが好ましい。また、前処理部40では、分離された液体分(SS分離液)を貯留するSS分離液貯留槽411を設けることが好ましい。
消化液由来のリン成分は、汚泥や浮遊物等に吸着されることで、分離された固形分に濃縮されることが多い。そのため、分離された固形分は、固液分離装置41に付設された搬送手段42により搬出され、固形肥料の原料として有効に利用することができる。一方、分離された液体分(SS分離液)は、一次濃縮処理部10に供給される。
(一次濃縮処理部)
一次濃縮処理部10では、MF膜またはUF膜を備える膜濾過装置11を有する。消化液あるいは前処理部で分離された液体分(SS分離液)は、膜濾過装置11に供給される。膜濾過装置11は、目詰まりが起こりにくい、チューブラー型膜装置とすることが好ましい。なお、チューブラー型の膜装置としては、(株)マツケン社製の限外濾過膜排水処理ユニット(商品名)等が例示できる。
膜濾過装置11は、1nm~10μmの孔径を有するMF膜またはUF膜を備え、供給された消化液あるいはSS分離液を、SS成分等の懸濁物を実質的に含まないろ過液と、SS成分等の懸濁物を含み、リン成分を消化液あるいはSS分離液より高く含む濃縮液に分離する。得られたろ過液は、二次濃縮処理部20に供給される。一方、得られた濃縮液は、液肥貯留設備30の一次濃縮液貯留槽31に供給される。
(二次濃縮処理部)
二次濃縮処理部20では、電気透析槽21を有する。電気透析槽21は、槽の両端に陽極・陰極を配置し、その間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べ、複数の脱塩室211と濃縮室212が交互に配列された構造となっている。脱塩室211へは、一次濃縮処理部で得られたろ過液が、脱塩液槽23から供給され、濃縮室212へは、濃縮液槽22から、それぞれ循環供給される。その過程で、電気透析槽21の両端にある電極間に電位差を設けることで、脱塩液に含まれる肥料成分であるカリウム成分および窒素成分が、脱塩室211から濃縮室212へ移動することにより、高濃度の電気透析濃縮液(二次濃縮液)が排出される。
濃縮液槽22から排出された二次濃縮液は、液肥貯留設備30の二次濃縮液貯留槽32に供給される。
また、脱塩液槽23からは、一次濃縮処理部で得られたろ過液より脱塩されたものとなるが、放流先の放流基準に応じて処理を行う必要がある。
(製造設備)
有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造設備としては、有機物の消化液の貯留槽1と、前処理工程用として、該貯留槽1に貯留された有機物の消化液の固液分離処理を行う固液分離装置41を有し、さらに固液分離処理により分離されたSS分離液を貯留するSS分離液貯留槽411を有することが好ましい。そして、一次濃縮工程用として、貯留されたSS分離液または貯留された有機物の消化液の膜濾過処理を行う膜濾過装置11を有し、膜濾過処理して得られたろ過液を貯留するろ過液貯留槽12と、液肥貯留設備30として膜濾過処理して得られた濃縮液(一次濃縮液)を貯留する一次濃縮液貯留槽31を有することが好ましい。そしてさらに、二次濃縮工程用として、膜濾過処理して得られたろ過液の電気透析処理を行う電気透析槽21を有し、さらに液肥貯留設備30として、電気透析処理して得られた二次濃縮液を貯留する二次濃縮液貯留槽32を有することが好ましい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の有機物(生ごみ、し尿、浄化槽汚泥、食品廃棄物等の有機廃棄物)のメタン発酵消化液に、下記に示す条件で前処理工程、一次濃縮工程および二次濃縮工程を行って、肥料成分(カリウム成分、リン成分、窒素成分)を分離、濃縮を行い、各工程で得られた液に含まれる各成分の含有量について調査した。調査項目は、SS、全窒素成分、リン成分、カリウム成分、とした。分析方法は、次の通りとした。
SS成分:JIS K 0102 14.1 ろ過重量法に準拠して求めた。
全窒素成分:JIS K 0102 45.5 熱分解法に準拠して求めた。
リン成分:JIS K 0102 46.3.1 ペルオキソ二硫酸カリウム分解法に準拠して求めた。
カリウム成分:JIS K 0102 49.2 フレーム原子吸光法に準拠して求めた。
使用した有機物の消化液に含まれる各成分(SS成分、全窒素成分、リン成分、カリウム成分)の含有量を表1に示す。
(1)前処理工程
使用した消化液は、SS成分が8000mg/L以上と浮遊物を多く含んでおり、前処理工程で固液分離処理を行い、SS成分を固形分として除去し、液体分としてSS分離液を得た。前処理工程では、遠心分離機41(高岡工房製ベストセパレーターX型(商品名))に消化液を投入し、消化液の固液分離処理を行った。得られた液体分(SS分離液)に含まれる各成分の含有量を分析し、結果を表1に示す。また、除去された固形分中のリン成分、カリウム成分、窒素成分の含有量を分析し、表1に示す。なお、液体分(SS分離液)中のSS成分含有量は2000mg/Lであった。
(2)一次濃縮工程
膜濾過装置11を用いて、固液分離処理で得られた液体分(SS分離液)に膜濾過処理を行い、ろ過液と濃縮液(一次濃縮液)を得る一次濃縮工程を行った。なお、使用した膜は、孔径0.005μmの限外濾過膜(UF膜)とした。得られたろ過液と濃縮液(一次濃縮液)に含まれる各成分の含有量を分析し、その結果を表1に示す。
(3)二次濃縮工程
電気透析槽21を用いて、一次濃縮工程で得られたろ過液に電気透析処理を行い、脱塩液と電気透析濃縮液(二次濃縮液)を得る二次濃縮工程を行った。なお、使用した電気透析槽21では、陽イオン交換膜としては、AGCエンジニアリング(株)社製のセレミオンCMVN(商品名)を、陰イオン交換膜としては、AGCエンジニアリング(株)社製のセレミオンAMVN(商品名)をそれぞれ使用した。電気透析処理は、2回とした。
得られた脱塩液と電気透析濃縮液(二次濃縮液)に含まれる各成分の含有量を分析し、その結果を表1に示す。
Figure 0007340655000002
表1に示すように、一次濃縮工程で得られた一次濃縮液、二次濃縮工程で得られた二次濃縮液(電気透析濃縮液)、はいずれも、肥料成分が濃縮され、液体肥料として十分な成分を含有していることを確認した。
以上のように、本発明の液状肥料の製造方法によれば、有機物の消化液から、リン成分、窒素成分及びカリウム成分がそれぞれ個別に濃縮された濃縮液を分離、回収でき、得られた濃縮液を単独で、あるいは適正な配合となるように混合して、目的に応じた用途に液状肥料として利用できることを確認した。
1 有機物の消化液貯留槽
10 一次濃縮処理部
11 膜濾過装置
12 ろ過液貯留槽
20 二次濃縮処理部
21 電気透析槽
22 濃縮液槽
23 脱塩液槽
30 液肥貯留設備
31 一次濃縮液貯留槽
32 二次濃縮液貯留槽
40 前処理部
41 遠心分離機(固液分離装置)
42 搬送手段
100 製造システム
411 SS分離液貯留槽

Claims (3)

  1. 有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造方法であって、前記有機物の消化液を2000G以上の遠心力を負荷して行う遠心分離処理である固液分離処理して、固形分とSS成分:3000mg/L以下である液体分とを得る前処理工程と、該前処理工程で得られた前記液体分を精密濾過膜または限外濾過膜にて処理して、ろ過液と濃縮液とを得る一次濃縮工程と、前記ろ過液を電気透析処理して、電気透析濃縮液を得る二次濃縮工程と、を有し、前記一次濃縮工程で得られた前記濃縮液および前記二次濃縮工程で得られた前記電気透析濃縮液をそれぞれ単独で、あるいはそれらを混合して、液状肥料とすることを特徴とする液状肥料の製造方法。
  2. 有機物の消化液から液状肥料を得る液状肥料の製造システムであって、固液分離装置を有する前処理部と、精密濾過膜または限外濾過膜を備える膜濾過装置を有する一次濃縮処理部と、電気透析槽を有する二次濃縮処理部と、を備え、前記固液分離装置が、被処理物である前記有機物の消化液に2000G以上の遠心力を負荷でき、SS成分:3000mg/L以下である液体分を分離できる遠心分離機であることを特徴とする液状肥料の製造システム。
  3. 前記固液分離装置には、分離した固形分を搬送する搬送手段を付設してなることを特徴とする請求項2に記載の液状肥料の製造システム。
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