デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)及び蛍光体ホイールを用いた光源装置として、装置全体を小型化するために蛍光体ホイールの一部を反射板とするものが知られている。この光源装置では、蛍光体ホイールで励起光を蛍光光と同じ方向に反射させ、反射した励起光が励起光源に戻らないように、光路上に1/4波長板のような位相差板及び偏光分離素子を配置している。
このような構成を有する光源装置においては、励起光の光路上に位相差板及び偏光分離素子が配置されることから、装置の小型化が制約され、コスト高になる。また、蛍光体ホイールに向かう励起光の光路と、蛍光体ホイールから反射される励起光の光路とが位相差板や偏光分離素子の同一箇所を透過する。このため、これらの光学素子上の集光密度が上がって破損等の原因となり、光源装置の信頼性が低下する。
本発明者らは、このような光源装置内の構造が装置本体の小型化及び低コスト化を阻害する要因になると共に、信頼性の低下の要因となっていることに着目した。そして、蛍光体ホイールに向かう励起光の光路と、蛍光体ホイールが反射する励起光の光路とが重ならないようにすることが、装置本体の小型化、低コスト化及び信頼性の向上に寄与することを見出し、本発明に至った。
本発明は、励起光を出射する光源と、光源から出射された励起光を反射する反射面を有する光学部材と、光学部材で反射された励起光が入射し、励起光の少なくとも一部を励起光とは異なる波長の蛍光光に変換して出射する波長変換部材を有する波長変換ユニットと、を備えた光源装置において、光学部材の反射面上に投影される励起光の投影像中心を点Pとし、波長変換ユニットから出射される励起光の光束を光束Qとした場合に、点Pと光束Qが交わらないように配置することを骨子とする。
本発明によれば、波長変換ユニットから出射された励起光の光束が、光源から出射された励起光の投影像中心に交わらないことから、励起光が光学部材上の同一箇所を透過するのを防止できる。よって、集光密度の上昇に起因して光学部材が破損することを抑制でき、装置の信頼性を向上することができる。また、波長変換ユニットから出射される励起光の光路を分離するために位相差板や偏光分離素子等の特別な光学素子を用意する必要がない。よって、部品点数を低減でき、製造コストを低減すると共に装置を小型化することができる。
図1は、本発明に係る光源装置100の概要を示す。図1Aは、本発明に係る光源装置100の構成要素を示す。図1Bは、光源装置100が有するダイクロイックミラー102の反射面102aに投影される励起光の様子を示す。図1Bは、光源101からの励起光の進行方向に沿って反射面102aを見ている。
図1Aに示すように、光源装置100は、励起光源からなる光源101、光学部材の一例を構成するダイクロイックミラー102を有する。光源装置100はまた、波長変換ユニットの一例である蛍光体ユニット103及び光ミキシング素子の一例であるロッドインテグレータ104を有してなる。
本発明に係る光源装置100は、図1に示す構成に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、光源装置100は、光源101、ダイクロイックミラー102及び蛍光体ユニット103のみを備えていてもよい。これらの光源101、ダイクロイックミラー102及び蛍光体ユニット103を有する光源装置100のうち、光源101を除いた構成要素によって「光源光学系」が構成される。
光源101は、励起光(後の説明で「第1の色光」ということもある)を出射する。ダイクロイックミラー102は、光源101から出射する励起光を反射して蛍光体ユニット103に導く反射面102aを有している。ダイクロイックミラー102の反射面102a以外の部分は、光源101から出射する励起光及び後述する蛍光体ユニット103から出射される蛍光光を透過する光学特性を有していてよい。
蛍光体ユニット103は、励起光を反射又は拡散反射する第1の領域と、励起光の少なくとも一部を励起光とは異なる波長の蛍光光(「第2の色光」ということもある)に変換して出射する第2の領域とを有している。蛍光体ユニット103は、励起光が入射すると、励起光と蛍光光とを順次切り替えて励起光の入射面側(図1に示す上方側)に出射する。ロッドインテグレータ104は、蛍光体ユニット103から出射する励起光と蛍光光が入射するように設けられ、入射した励起光と蛍光光をミキシングし均質化して光源装置100の外部に出射する。
図1Aは、光源101から出射された励起光の光路上に、蛍光体ユニット103の第1の領域が存在する場合を示している。光源101から出射された励起光は、ダイクロイックミラー102の反射面102aで蛍光体ユニット103側に反射される。反射面102aで反射された励起光は、蛍光体ユニット103の第1の領域で、励起光の入射面側に反射される。蛍光体ユニット103による励起光の反射先にロッドインテグレータ104が配置されている。
このように励起光の光路が形成される光源装置100において、ダイクロイックミラー102の反射面102a上における励起光の中心を点Pとする。蛍光体ユニット103から出射する励起光の光束を光束Qとする。光源装置100においては、これら点Pと光束Qとが交わらないように、ダイクロイックミラー102、蛍光体ユニット103及びロッドインテグレータ104を配置している。
反射面102a上における励起光の中心点P、すなわち投影される励起光の投影像中心については、以下のように定義される。
(1)反射面102a上に投影される励起光の投影範囲の光強度分布が、線対称又は点対称の場合。
励起光の投影範囲の最小外接円の中心を投影像中心とする。
(2)反射面102a上に投影される励起光の投影範囲の光強度分布が、線対称又は点対称以外の場合、すなわち、上記(1)以外の場合。
図1Bに示すように、反射面102a上に投影される励起光の総エネルギーをAとし、その投影範囲を任意の半径rの円で切り出し、その円内に含まれる光の総エネルギーをBとする。B/Aが93%以上(B/A≧93%)、かつ、円内のエネルギー密度が最大となる半径r´の円の中心を投影像中心とする。
なお、励起光の投影範囲とは、反射面102a上に投影される励起光のエネルギー分布において、最大エネルギーの1/e2以上のエネルギーを持つ範囲を示す。また、エネルギー密度は、「円内に含まれるエネルギー」を「円の面積」で除算すること、すなわち、
エネルギー密度=円内に含まれるエネルギー/円の面積
で求められる。このように定義される励起光の投影像中心Pは、光源装置100内に備えられた全ての光源101を点灯した状態で判定されるものとする。
蛍光体ユニット103から出射する励起光の光束Qは、励起光の伝播方向と垂直な面上の励起光のエネルギー分布において、最大エネルギーの1/e2以上のエネルギーを持つ範囲を通る光線の束のことをいう。
本発明の実施形態に係る光源装置100によれば、蛍光体ユニット103から出射された励起光の光束Qが、光源101から出射された励起光の反射面102a上における中心であり励起光の投影像中心に交わらない。よって、励起光がダイクロイックミラー102上の同一箇所を透過することを防止でき、集光密度の上昇に起因するダイクロイックミラー102の破損を抑制することができる。また、蛍光体ユニット103から出射される励起光の光路を分離するために位相差板や偏光分離素子等の特別な光学素子を用意する必要がない。よって、部品点数を低減でき、製造コストを低減すると共に装置を小型化することができる。
図1に示す光源装置100では、蛍光体ユニット103が、励起光と蛍光光を順次切り替えて出射する場合、すなわち、励起光と蛍光光を時分割して出射する場合について説明している。しかしながら、蛍光体ユニット103はかかる構成に限定されず、励起光及び蛍光光を同時に出射するように構成してもよい。
例えば、蛍光体ユニット103は、上述した第1、第2の領域に代えて、励起光の一部を反射すると共に、励起光の他部を励起光とは異なる蛍光光に変換する領域すなわち第3の領域を有している。この第3の領域に設けられた波長変換部材により励起光の反射及び蛍光光に対する変換を行う。この蛍光体ユニット103は、静止蛍光体ユニットと呼ばれることがある。蛍光体ユニット103は、励起光が入射すると、励起光と蛍光光とを併せて励起光の入射面側(図1に示す上方側)に出射する。このような蛍光体ユニット103を備える場合においても、時分割式の蛍光体ユニット103を使用する場合と同様の効果を得ることができる。
また、図1に示す光源装置100において、蛍光体ユニット103から出射される励起光及び蛍光光の一方又は双方をロッドインテグレータ104に導く導光手段を備えてもよい。例えば、導光手段は、集光レンズや屈折レンズで構成され、蛍光体ユニット103とロッドインテグレータ104との間の光路上に配置される。前記導光手段を備えることにより、蛍光体ユニット103から出射される励起光及び/又は第二の色光をロッドインテグレータ104に効率的に導き、光の利用効率を高めることができる。
本発明の実施形態に係る光源装置100において、ロッドインテグレータ104の位置は、入射する励起光及び/又は蛍光光の利用効率を向上するために適宜変更可能である。図2は、本発明に係る光源装置の別の実施形態を示す。図2において、図1に示す実施形態と共通する構成については、同一の符号を付与し、説明を簡略化する。図2においては、ダイクロイックミラー102の表面に反射面102aを形成した場合について示している。以下に示す図面でも同様である。
図2に示すように、ダイクロイックミラー102から蛍光体ユニット103上に投影される励起光の投影像中心を点Rとした場合について考える。この場合、ロッドインテグレータ104は、蛍光体ユニット103の出射面103aにおける点Rの垂線上に配置されることが好ましい。このようにロッドインテグレータ104を配置すると、蛍光光が蛍光体ユニット103の出射面103aに垂直に出射する場合、蛍光光側効率よくロッドインテグレータ104に入射し、蛍光光の光利用効率が向上する。
本発明の実施形態に係る光源装置100において、ダイクロイックミラー102と蛍光体ユニット103との間の光路上に集光素子を配置してもよい。この集光素子は、ダイクロイックミラー102で反射された励起光を集光し、蛍光体ユニット103から出射する蛍光光を略平行化する。集光素子は、例えば集光レンズで構成することができる。
図3は、本発明に係る光源装置のさらに別の実施形態を示す。図3において、図1に示す実施形態と共通する構成については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。図3に示す光源装置100では、ダイクロイックミラー102と蛍光体ユニット103との間の光路上に集光素子としての集光レンズ105を備えている。集光レンズ105は、ダイクロイックミラー102で反射された励起光を集光する一方、蛍光体ユニット103から出射する蛍光光を略平行化する。
ここで、ダイクロイックミラー102の反射面102aで反射し、集光レンズ105に入射する励起光が投影する集光レンズ105の入射面105a上の投影像中心と、前記反射面102a上の点Pとを結ぶ直線をL1とする。また、集光レンズ105で集光され、蛍光体ユニット103に入射する励起光の入射面103bと直線L1との交点を点Sとする。光源装置100においては、点Sと、蛍光体ユニット103上に投影される励起光の投影像中心である点Rとが異なる位置に配置されている。このように集光レンズ105を設けることにより、蛍光体ユニット103から出射した後に発散する励起光及び蛍光光が平行化される。よって、これらの光をロッドインテグレータ104に効率よく入射させることができ、光利用効率を高めることができる。
図3に示す光源装置100において、前記直線L1は、蛍光体ユニット103の入射面103bに垂直に交わることが好ましい。直線L1が蛍光体ユニット103の入射面103bに垂直に交わるように構成すると、ダイクロイックミラー102と蛍光体ユニット103との間の距離を短縮でき、光源装置100全体の寸法を小型化できる。
厚みをもつ光学素子を光が透過する場合、光が入射する面が入射面、光が出射する面が出射面である。例えば、図3に示す集光レンズ105において、ダイクロイックミラー102の反射面102aからの反射光が入射する面が入射面105aであり、この入射面105aから集光レンズ105内を透過し、蛍光体ユニット103側に出射する面が出射面105bである。
本発明の実施形態に係る光源装置100において、集光レンズ105とロッドインテグレータ104との間に屈折光学素子を配置してもよい。屈折光学素子は、集光素子である集光レンズ105で平行化された励起光及び/又は蛍光光を集光してロッドインテグレータ104に導く。屈折光学素子は、例えば、屈折レンズで構成される。図4は、このような構成の本発明の実施形態に係る光源装置100を示す。図4において、図3に示す実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す光源装置100では、集光レンズ105とロッドインテグレータ104との間の光路上に、屈折光学素子としての屈折レンズ106を備えている。屈折レンズ106は、集光素子である集光レンズ105で平行化された励起光及び/又は蛍光光を屈折させて集光し、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aに導く。このように屈折レンズ106を設けることにより、集光レンズ105で平行化された励起光及び/又は蛍光光を効率よくロッドインテグレータ104に入射させることができ、光利用効率が向上する。
図4に示す光源装置100において、ロッドインテグレータ104に入射される励起光及び/又は蛍光光の均質化、均一化の観点からロッドインテグレータ104の配置位置を選択することが好ましい。具体的には、ロッドインテグレータ104の内周断面が長方形の場合、ロッドインテグレータ104に入射する励起光等の楕円形断面の長辺が、ロッドインテグレータ104の内周断面長辺に対応するように配置するとよい。
さらに、図4に示す光源装置100において、ダイクロイックミラー102の反射面102aにおける励起光のケラレを抑制する観点から、光源101の配置を選択することが好ましい。具体的には、光源101の発光面が長方形状の場合、励起光の幅が狭くなるように配置することが好ましい。
図5は、本発明に係る光源装置のさらに別の実施形態を示す。図5において、図4に示す実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。図5Bは、光源装置100が有するロッドインテグレータ104の入射開口部104aの説明図、図5Cは、光源装置100が有する光源101の説明図である。図5Bは、蛍光体ユニット103側からロッドインテグレータ104の入射開口部104aを見た図である。図5Cは、ダイクロイックミラー102側から光源101の発光面を見た図である。
図5に示す光源装置100において、レンズ106により屈折され集光された励起光及び/又は蛍光光が投影されるロッドインテグレータ104の入射開口部104a上の投影像中心を点Tとする。この点Tと、蛍光体ユニット103上に投影される励起光の投影像中心である点Rとを結ぶ直線を直線L2とする。一方、図5Bに示すように、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aは、長辺LE1と短辺SE1とを有する長方形状を有している。また、図5Cに示すように、光源101の発光面101aは、長辺LE2と短辺SE2とを有する長方形状である。
光源装置100においては、直線L1と直線L2とを含む面、すなわち、図5Aに示す紙面を含む平面と、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aの短辺SE1が略平行であることが好ましい。すなわち、図5Bに示すロッドインテグレータ104の短辺SE1が図5Aに示す図の紙面と平行になるようにロッドインテグレータ104を配置することが好ましい。このようにロッドインテグレータ104を配置することにより、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aの長辺LE1に対応する内側面に当たるように励起光等を入射させることができる。よって、ロッドインテグレータ104内部における励起光等の反射回数を増やして励起光等を均一化し、励起光等における色むらの発生を抑制することができる。
また、光源装置100においては、直線L1と直線L2とを含む面、すなわち、図5Aの紙面を含む平面と、光源101の発光面101aの短辺SE2が略平行であることが好ましい。すなわち、図5Cに示す発光面101aの短辺SE2が図5Aに示す図における紙面と平行になるように光源101を配置することが好ましい。このように光源101を配置すると、直線L1と直線L2を含む面の延在方向に延びる光束の幅を狭くでき、ダイクロイックミラー102の反射面102aにおけるケラレを抑制でき、光利用効率の低下を抑制できる。また、蛍光体ユニット103で反射した光のダイクロイックミラー102との干渉を回避し、光利用効率の低下を抑制できる。
本発明の実施例に係る光源装置100において、ロッドインテグレータ104は、屈折レンズ106との関係で配置を選択することが好ましい。例えば、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aへの投影像中心と、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aへの蛍光光の投影像中心と、屈折レンズ106の光軸とが一点で交わることが好ましい。
図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る光源装置100の概要を示す。図6において、図5に示す実施形態と共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。図6Aは、光源装置100における励起光の光路を示し、図6Bは、光源装置100における蛍光光の光路を示す。図6においては、説明の便宜上、光の伝播方向に沿って配置される一対の集光レンズ1051、1052を示している。
図6に示す光源装置100において、屈折レンズ106で集光された励起光と蛍光光の、ロッドインテグレータ104の入射開口部104a上の投影像中心は、上述した点Tであるものとする。また、屈折レンズ106は、その光軸LAが点Tを通過するように配置されている。このため、ロッドインテグレータ104の入射開口部104a上に投影される励起光及び蛍光光の投影像中心と、屈折レンズ106の光軸LAとが一点で交わっている。これにより、励起光及び蛍光光を、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aの中心付近に入射させ、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aによる光のケラレを抑制して、光利用効率を高めることができる。また、部品の公差により光源装置100内の光学素子同士がずれた場合も、光利用効率の低下を抑制できる。
本発明の実施形態に係る光源装置100における屈折レンズ106の配置は、ロッドインテグレータ104の入射開口部104aに対して入射する励起光及び蛍光光の角度を一定範囲に設定する観点から選択することが好ましい。なお、入射開口部104aに対する光線の角度とは、入射開口部104aに平行な面の法線と光線のなす角をいう。光源装置100では、入射開口部104aに対して最も大きな角度で入射する励起光の光線の入射角が、入射開口部104aに対して最も大きな角度で入射する蛍光光の光線の入射角よりも小さく設定されることが好ましい。
図6Aに示すように、入射開口部104aに対して最も大きな角度で入射する励起光の光線の入射角を角度θ1とする。図6Bに示すように、入射開口部104aに対して最も大きな角度で入射する蛍光光の光線の入射角を角度θ2とする。光源装置100においては、角度θ1を角度θ2より小さく設定することが好ましい。励起光の入射角θ1を蛍光光の入射角θ2より小さく設定することにより、光源装置100の後段に配置される光学系における光のケラレを抑制でき、光利用効率を高めることができる。
なお、本発明に係る光源装置100においては、励起光の入射角θ1と蛍光光の入射角θ2とを同一角度に設定してもよい。励起光の入射角θ1を蛍光光の入射角θ2と同一角度とすることにより、DMDやスクリーンに投影される励起光と蛍光光の分布を略同じにすることができ、励起光等における色むらの発生を抑制できる。
本発明の実施形態に係る光源装置100において、ロッドインテグレータ104の光学特性は、上述した励起光の入射角θ1と蛍光光の入射角θ2との関係で設定することが好ましい。例えば、光源装置100のロッドインテグレータ104をガラスロッドインテグレータで構成し、その全反射条件が励起光の入射角θ1及び第二の色光の入射角θ2より大きくなるように設定することが好ましい。
本発明の実施形態に係る光源装置100が有するロッドインテグレータ104の光学特性ついて、図7を参照しながら説明する。図7において、ロッドインテグレータ104は、ガラスロッドインテグレータである。ロッドインテグレータ104における全反射条件は、角度θglassであるものとする。この場合、角度θglassは、励起光の入射角θ1及び蛍光光の入射角θ2よりも大きく設定される。これにより、ロッドインテグレータ104内部における励起光等の損失を防止できるので、光利用効率を高めることができる。
本発明の実施形態に係る光源装置100において、光ミキシング素子を構成するロッドインテグレータ104は、図8に示すように、入射開口部104aが出射開口部104bよりも小さいテーパ形状とすることが好ましい。このようにロッドインテグレータ104をテーパ形状とすると、ロッドインテグレータ104からの光の出射角が小さくなり、光源装置100の後段の光学系における光のケラレが抑制され、光利用効率が高まる。
次に、本発明に係る光源光学系、光源装置及び画像投射装置のいくつかの実施形態について説明する。以下に示す複数の実施形態は、本発明に係る光源光学系、光源装置及び画像投射装置の一例を示したものであり、適宜変更が可能である。また、それぞれの実施の形態を適宜組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
図9は、本発明の第1実施形態に係る光源装置20を備えたプロジェクタ装置(「画像投射装置」ともいう)1を示す概略構成図である。図9に示すように、プロジェクタ装置1は、筐体10と、光源装置20と、照明光学系30と、画像形成素子(「画像表示素子」ともいう)40と、投射光学系50と、冷却装置60とを有している。
筐体10は、光源装置20と、照明光学系30と、画像形成素子40と、投射光学系50と、冷却装置60とを収納する。光源装置20は、例えば、RGBの各色に対応する波長を含んだ光を出射する。なお、光源装置20の内部構成については、後に詳細に説明する。
照明光学系30は、後述する光源装置20のライトトンネル29が均一化した光で画像形成素子40を略均一に照明する。照明光学系30は、例えば、1枚以上のレンズや1面以上の反射面等を有している。
画像形成素子40は、照明光学系30により照明される光、すなわち、光源装置20の光源光学系からの光を変調することにより画像を形成する。画像形成素子40は、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や液晶表示素子で構成される。画像形成素子40は、照明光学系30から照射される青色光、緑色光、赤色光、黄色光と同期して微小鏡面を駆動させ、カラー画像を生成する。
投射光学系50は、画像形成素子40が形成したカラー画像を、図示しないスクリーンすなわち被投影面に拡大投影する。投射光学系50は、例えば、1枚以上のレンズを有している。冷却装置60は、プロジェクタ装置1内の熱を帯びる各素子及び装置を冷却する。
図10は、第1実施形態に係る光源装置20を示す。図10Aは、光源装置20における青色レーザ光の光路を、図10Bは、光源装置20における蛍光光の光路を示している。
図10Aに示すように、光源装置20は、光の伝搬方向に順に配置されたレーザ光源(励起光源)21、カップリングレンズ22、第1の光学系23、光学部材の一例であるダイクロイックミラー24を有する。光源装置20はさらに、第2の光学系25、波長変換ユニットの一例である蛍光体ユニット26、屈折光学系27及び光ミキシング素子の一例であるライトトンネル29を有する。
図10では、説明の便宜上、カラーホイールを省略している。図9に示すように、屈折光学系27とライトトンネル29との間にカラーホイール29が配置されている。図9に示すように、本実施の形態では、カラーホイール28を光源装置20の構成要素として説明している。しかしながら、光源装置20の構成については、これに限定されず、カラーホイール28を含めない構成としてもよい。
図10に示すように、レーザ光源21は、例えば、複数のレーザ光を出射する光源がアレイ状に配置されている。レーザ光源21は、例えば、発光強度の中心が455[nm]の青色帯域の光すなわち青色レーザ光を出射する。以下、青色レーザ光を、単に青色光と称する。レーザ光源21から出射される青色光は、偏光方向が一定の方向である直線偏光であり、後述する蛍光体ユニット26が有する蛍光体を励起させる励起光としても用いられる。
なお、レーザ光源21から出射される光は、後述する蛍光体を励起させることができる波長の光であればよく、青色波長帯域の光に限定されるものではない。また、レーザ光源21は、複数の光源を有するものとしたが、これに限定されるものではなく、1個の光源で構成されるものでもよい。レーザ光源21は、基板上に複数の光源がアレイ状に配置して構成することができるが、これに限定されるものではなく、その他の配置構成であってもよい。
カップリングレンズ22は、レーザ光源21から出射された青色光を入射し、平行光すなわちコリメート光に変換するレンズである。なお、以下において、平行光とは、完全に平行化された光に限らず、略平行化された光を含むものとする。カップリングレンズ22の数は、レーザ光源21の光源の数に対応し、レーザ光源21の光源の数の増減に応じて増減する。
本実施の形態に係る光源装置20においては、これらのレーザ光源21とカップリングレンズ22とで光源ユニットを構成する。例えば、レーザ光源21は、行及び列をなして配置される複数のレーザダイオードで構成される。光源ユニットは、これらのレーザダイオードと、レーザダイオードの出射面側に配置されたカップリングレンズ22とで構成される。
図11は、第1実施形態に係る光源装置20が有する光源ユニットの要部を示す。図11に示すように、光源ユニットにおいて、カップリングレンズ22は、レーザダイオード21Aに対向して配置される。光源ユニットにおいて、各レーザダイオード21Aから出射する青色光の発散角のうち、行方向又は列方向のうち大きい方向の発散角をθとする。隣り合うレーザダイオード21AのピッチをPとし、レーザダイオード21Aの発光点からカップリングレンズ22までの距離をLとする。各レーザダイオード21Aの配置間隔(P/Ltanθ)は、以下に示す(式1)を満たすように設定される。
1 ≦ P/Ltanθ ≦ 4 ・・・(式1)
最も好ましくは、各レーザダイオード21Aの配置間隔は、以下の(式2)を満たすように設定される。
P/Ltanθ = 2 ・・・(式2)
(式2)を満たすことにより、レーザ光源21の発光面を小さくしつつ、各レーザダイオード21Aの光を、対応するカップリングレンズ22のみに入射させることができる。これにより、隣接するカップリングレンズ22に対する入射を防止でき、光の利用効率の低下を抑制できる。
なお、光源ユニットが備える複数のレーザダイオード21Aは、同一の基板に配置されることが好ましい。複数のレーザダイオード21Aを同一の基板に配置すると、光源ユニットから出射される光の領域を小さくでき、光路上の各種の光学素子における光のケラレを抑制して、光利用効率を高めることができる。
図9において、第1の光学系23は、全体として正のパワーを有しており、レーザ光源21側から蛍光体ユニット26側に向かって順に配置された、大口径レンズ23aと負レンズ23bを有してなる。大口径レンズ23aは、大口径素子を構成していて、正のパワーを有し、カップリングレンズ22から出射された平行光を集光及び合成するレンズである。大口径レンズ23aと負レンズ23bにより構成される第1の光学系23は、カップリングレンズ22から略平行光となって入射した青色光の光束を収束させながらダイクロイックミラー24に導く。
ダイクロイックミラー24は、第1の光学系23から出射される青色光の伝播方向に対して傾斜して配置されている。具体的には、第1の光学系23から出射される青色光の伝播方向前端側が下方に下がって傾斜した状態で配置されている。ダイクロイックミラー24は、第1の光学系23により略平行光とされた青色光を反射する一方、蛍光体ユニット26により変換された蛍光光すなわち第2の色光を透過する光学特性を備えている。ダイクロイックミラー24には、上述した光学特性を持たせるために、例えば、光学的なコーティングが施される。
図12は、第1実施形態に係る光源装置20が有するダイクロイックミラー24の構成の一例を示す。図12は、第1の光学系23側から出射される青色光の入射方向から見たダイクロイックミラー24を示している。図12に示すように、ダイクロイックミラー24は、2つの領域24A、24Bに分割されている。以下、説明の便宜上、領域24A、24Bを、それぞれ第1の領域24A、第2の領域24Bと呼ぶ。
第1の領域24Aは、第1の光学系23の負レンズ23bから出射される青色光を反射する一方、後述する蛍光体ユニット26の蛍光体により青色光から変換された蛍光光を透過する光学特性を有している。第1の領域24Aは、図1に示す反射面102aを構成する。第2の領域24Bは、これらの青色光及び蛍光光を透過する光学特性を有している。
第1の領域24Aは、第1の光学系23の光軸上に配置される一方、第2の光学系25の光軸上に配置されず、第1の光学系23側に近づく態勢で配置されている。一方、第2の領域24Bは、第2の光学系25の光軸上に配置されず、第2の光学系25の光軸よりも、第1の光学系23から遠ざかる態勢で配置されている。
第2の光学系25は、全体として正のパワーを有しており、レーザ光源21の側から蛍光体ユニット26の側に向かって順に、正レンズ25Aと正レンズ25Bとを有している。第2の光学系25は、ダイクロイックミラー24で反射した青色光を集光して蛍光体ユニット26に導く。また、第2の光学系25は、蛍光体ユニット26から放出される蛍光光を平行化する。なお、第2の光学系25は、集光素子の一例を構成する。
蛍光体ユニット26には、第2の光学系25から導かれた青色光が入射する。蛍光体ユニット26は、第2の光学系25から出射された青色光を反射させる機能と、青色光を励起光として作用させて蛍光体により青色光とは異なる波長域の蛍光光に変換する機能とを切り替える。蛍光体ユニット26で変換される蛍光光は、例えば、発光強度の中心が550[nm]の黄色の波長域の光である。
図13は、第1実施形態に係る光源装置20が有する蛍光体ユニット26を示す。図13Aは、蛍光体ユニット26を青色光の入射方向から示しており、図13Bは、蛍光体ユニット26を青色光の入射方向と直交する方向から示している。図13は蛍光体ユニット26の構成の一例を示すもので、これに限定されることなく適宜変更が可能である。
図13に示すように、蛍光体ユニット26は、基板をなす円盤部材26Aと、駆動部をなす駆動モータ26Cとを有している。駆動モータ26Cは、円盤部材26Aの中心を通り、円盤部材26Aの平面に垂直な直線を回転軸26Bとして有している。円盤部材26Aの素材は任意であるが、例えば、透明基板やアルミニウムなどの金属基板を用いることができる。
蛍光体ユニット26の円盤部材26Aは、周方向の大部分、第1実施形態では270°よりも大きい角度範囲が蛍光領域26Dに区画されている。円盤部材26Aの周方向の小部分、第1実施形態では90°よりも小さい角度範囲が励起光反射領域26Eに区画されている。励起光反射領域26Eは、ダイクロイックミラー24で反射された励起光を反射又は拡散反射する第1の領域の一例を構成する。蛍光領域26Dは、ダイクロイックミラー24で反射された励起光を変換して蛍光光を出射する領域の一例を構成する。蛍光領域26Dは、下層側から上層側に向かって順に積層された、反射コート26D1と、蛍光体層26D2と、反射防止コート(ARコート)26D3で構成されている。
反射コート26D1は、蛍光体層26D2から出射する蛍光光の波長領域の光を反射する特性を有している。円盤部材26Aを反射率が高い金属基板で構成した場合には、反射コート26D1を省略することも可能である。言い換えると、円盤部材26Aに反射コート26D1の機能を持たせることも可能である。
蛍光体層26D2としては、例えば、蛍光体材料を有機・無機のバインダ内に分散させたもの、蛍光体材料の結晶を直接形成したもの、Ce:YAG系などの希土類蛍光体を用いることができる。蛍光体層26D2は、励起光の少なくとも一部を励起光とは異なる波長の蛍光光に変換して出射する波長変換部材の一例を構成する。蛍光体層26D2から出射する蛍光光の波長帯域は、例えば、黄色、青色、緑色、赤色の波長帯域とすることができる。第1実施形態では、黄色の波長帯域を有する蛍光光を用いている。また、本実施例では波長変換素子として蛍光体を用いているが、燐光体や、非線形光学結晶などを用いてもよい。
反射防止コート26D3は、蛍光体層26D2の表面における光の反射を防止する特性を有している。
励起光反射領域26Eには、第2の光学系25から導かれた青色光の波長領域の光を反射する特性を有する反射コート26E1が積層されている。したがって、励起光反射領域26Eは反射面になっている。円盤部材26Aを反射率が高い金属基板で構成した場合には、反射コート26E1を省略することも可能である。言い換えると、円盤部材26A自体に反射コート26E1の機能を持たせることも可能である。
蛍光体ユニット26に対して青色光(「第1の色光」という)を照射しながら円盤部材26Aを駆動モータ26Cによって回転駆動すると、蛍光体ユニット26に対する青色光の照射位置が時間とともに移動する。その結果、蛍光体ユニット26に入射した青色光の一部分が、波長変換領域である蛍光領域26Dで青色光とは波長の異なる蛍光光(「第2の色光」という)に変換されて出射される。一方、蛍光体ユニット26に入射した青色光の他部分は、励起光反射領域26Eで青色光のままで反射されて出射される。ここでいう「青色光の一部分」及び「青色光の他部分」とは、時間軸上で区分された一部と他の部分という意味である。
蛍光領域26Dと励起光反射領域26Eの数や範囲等には自由度があり、種々の設計変更が可能である。例えば、各2つの蛍光領域と励起光反射領域とを周方向に90°間隔となるように交互に配置してもよい。
図10に戻り、光源装置20の構成について説明を続ける。屈折光学系27は、第2の光学系25から出射された青色光及び蛍光光を集光するレンズで構成される。蛍光体ユニット26から出射された光は、ダイクロイックミラー24を透過した後、屈折光学系27で屈折されて集光され、カラーホイール28に入射する(図9参照)。カラーホイール28は、蛍光体ユニット26により生成された青色光及び蛍光光を、所望の色に分離する。
図14は、第1実施形態に係る光源装置20が有するカラーホイール28の概略構成を示す。図14Aは、カラーホイール28を青色光及び蛍光光の入射方向から示しており、図14Bは、カラーホイール28を青色光及び蛍光光の入射方向と直交する方向から示している。図14に示すように、カラーホイール28は、円環形状部材28Aと、その駆動部として、回転軸28Bを中心に円環形状部材28Aを回転駆動する駆動モータ28Cを有している。
円環形状部材28Aは、円周方向に沿って区画された複数の領域、すなわち、拡散領域28Dと、3つのフィルタ領域28R、28G及び28Yを有している。拡散領域28Dは、蛍光体ユニット26から出射された青色光を透過及び拡散させるための領域である。フィルタ領域28Rは、蛍光体ユニット26から出射された蛍光光のうち赤色成分の波長域を含む光を透過させる領域である。同様に、フィルタ領域28G、28Yは、それぞれ蛍光体ユニット26から出射された蛍光光のうち緑色成分及び黄色成分の波長域を含む光を透過させる領域である。
以上の説明では、カラーホイール28が、蛍光光のうち赤色成分、緑色成分、黄色成分の光をそれぞれ透過させる領域を有するものとしている。しかしながら、カラーホイール28の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、蛍光光のうち、赤色成分及び緑色成分の光をそれぞれ透過させる領域を有するものとしてもよい。
カラーホイール28における各領域の面積割合は、プロジェクタ装置1の設計仕様に基づく。カラーホイール28における拡散領域28Dは、蛍光体ユニット26から出射される青色光が透過する。したがって、蛍光体ユニット26の円盤部材26Aの全面積に対する励起光反射領域26Eの面積の割合と、カラーホイール28の全面積に対する拡散領域28Dの面積の割合とを一致させるとよい。
駆動モータ28Cは円環形状部材28Aを円周方向に回転駆動する。円環形状部材28Aが円周方向に回転すると、蛍光体ユニット26から出射された青色光は、拡散領域28D、フィルタ領域28R、28G及び28Yへ順次入射する。蛍光体ユニット26から出射された青色光および蛍光光が、カラーホイール28を透過することによって、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光が順次出射される。カラーホイール28の各領域を透過した光は、ライトトンネル29へ入射される。
ライトトンネル29は、4つのミラーが四角柱の内側になるように形成された光学素子で、四角柱の一端から入射した光を内部のミラーで複数回反射させることで光の分布を均一化する光ミキシング素子である。ライトトンネル29は、屈折光学系27で集光された光青色光及び蛍光光が入射するように配置されている。第1実施形態では、光ミキシング素子の一例としてライトトンネル29を用いているが、これに限定されず、前に説明したロッドインテグレータやフライアイレンズ等を用いることも可能である。
図15は、第1実施形態に係る光源装置20が有するライトトンネル29の2つの例を、入射開口部29Aを光の入射方向から示している。図15は、ライトトンネル29の入射開口部29A上の青色光の投影範囲を示している。ライトトンネル29は、図15に示すように、僅かに傾いて配置されている。ライトトンネル29の傾き角は、光源装置20に求められる性能によって変わる。
第1実施形態に係る光源装置20の光源ユニットは、前述の通り、レーザダイオード21Aがアレイ状に配置されたレーザ光源21を有している。図15A、図15Bに示すように、レーザダイオード21Aから出射され、ライトトンネル29の入射開口部29Aに投影される青色光等の投影断面は楕円形状になる。図15Aに示す例では、入射開口部29A上に投影される青色光等の楕円形状投影断面の長軸が入射開口部29Aの短辺と略平行になるように配置されている。このように入射開口部29A上の青色光等の投影範囲を設定することにより、ライトトンネル29による青色光等のケラレを抑制することができる。
入射開口部29A上の青色光等の投影範囲は、図15Bに示すように、楕円形状投影断面の長軸が入射開口部29Aの長辺と略平行になるように配置してもよい。ここでいう楕円形状は、投影範囲の縦方向の強度分布の半値全幅(FWHM)と、横方向の強度分布の半値全幅(FWHM)とに差があるような形状のことをいう。つまり、等方的な強度分布を持たない形状のことである。
このような構成を有する光源装置20における青色光の光路(以下、適宜「青色光光路」という)について、以下のように説明する。青色光光路とは、図10Aに示すレーザ光源21が出射した励起光のうち、蛍光体ユニット26の励起光反射領域26E(図13A参照)で反射する光が進行する光路をいう。
レーザ光源21から出射された青色光は、カップリングレンズ22により平行光に変換される。カップリングレンズ22から出射された青色光は、第1の光学系23の大口径レンズ23aによって集光及び合成された後、負レンズ23bを経て集光光としてダイクロイックミラー24に入射する。ダイクロイックミラー24は、入射光を第1の領域24Aで反射し、この反射光は第2の光学系25に向かう。第1の領域24Aは、レーザ光源21から出射された青色光を反射する反射面102aを構成する(図1参照)。上述した励起光の投影像中心の点Pは、第1の領域24Aに形成される。
上述したように、ダイクロイックミラー24の第1の領域24Aは、第2の光学系25の光軸に対して第1の光学系23側にずれて配置されている。このため、青色光光路は、第2の光学系25、具体的には正レンズ25Aの第1の光学系23側の一部に入射する。そして、青色光は、第2の光学系25の光軸に角度を有した状態で近づくように進み、第2の光学系25、具体的には正レンズ25Bから出射する。第2の光学系25から出射した青色光は、蛍光体ユニット26に入射する。
蛍光体ユニット26に向かう青色光が励起光反射領域26Eに入射すると、青色光は励起光反射領域26Eで正反射される。励起光反射領域26Eで正反射された青色光は、第2の光学系25、具体的には正レンズ25Bの第1の光学系23側とは反対側の一部に入射する。そして、青色光は、第2の光学系25の光軸に対して角度を有した状態で遠ざかるように進み、第2の光学系25、具体的には、正レンズ25Aから出射する。
第2の光学系25の正レンズ25Aから出射した青色光は、ダイクロイックミラー24の第2の領域24Bを透過する。蛍光体ユニット26から正反射された青色光の光束あるいは第2の光学系25から出射してダイクロイックミラー24の第2の領域24Bを透過した青色光の光束は、前記励起光の光束Qを構成する。上述のように、ダイクロイックミラー24の第2の領域24Bは、励起光及び蛍光光を透過する光学特性を有している。このため、青色光の光束(光束Q)がダイクロイックミラー24と交わる場合であっても、光利用効率の低下を抑制できる。
ダイクロイックミラー24の第2の領域24Bを透過した青色光は、屈折光学系27に入射する。青色光は、屈折光学系27の光軸に対し角度を有した状態で近づくように進み、図9に示すカラーホイール28を介してライトトンネル29に入射する。青色光はライトトンネル29の内部で複数回反射され、均一化された後、光源装置20の外部に配置された照明光学系30に入射する。
次に、本実施の形態に係る光源装置20における蛍光光の光路(以下、適宜「蛍光光路」という)について、図10Bを参照して説明する。図10Bでは、説明の便宜上、蛍光光の光路の一部を省略している。蛍光光路とは、レーザ光源21が出射した励起光のうち、蛍光体ユニット26の蛍光領域26Dで波長変換される光が進行する光路をいう。
レーザ光源21から出射された青色光が蛍光体ユニット26に導かれるまでは、蛍光光路は、上述した青色光光路と同様である。ここで、蛍光体ユニット26に入射した青色光は、蛍光領域26Dに入射するものとする。蛍光領域26Dに入射した青色光は、蛍光体に対する励起光となって蛍光体により波長変換され、例えば、黄色の波長域を含む蛍光光になると共に、反射コート26D1及び蛍光体層26D2によりランバート反射される。
蛍光領域26Dによってランバート反射された蛍光光は、第2の光学系25によって平行光に変換される。第2の光学系25から出射した蛍光光は、ダイクロイックミラー24を透過し、屈折光学系27に入射する。蛍光光は、屈折光学系27の光軸に対し角度を有した状態で近づくように進み、カラーホイール28を経てライトトンネル29に入射する。蛍光光は、ライトトンネル29の内部で複数回反射され均一化された後、光源装置20の外部に配置された照明光学系30に入射する。
このように第1実施形態に係る光源装置20においては、レーザ光源21から出射される青色光の光路を、蛍光体ユニット26の反射前と反射後とで異ならせている。より具体的に説明すると以下のとおりである。レーザ光源21からダイクロイックミラー24の第1の領域24A上に投影される青色光の投影像中心の点を定める。この投影像中心の点を、図1では点Pで示している。この点Pと、蛍光体ユニット26から反射する青色光の光束(図1に示す光束Q)とが交わらないように、青色光光路を形成している。このように構成することにより、青色光がダイクロイックミラー24上の同一箇所を透過するのを防止し、集光密度の上昇に起因してダイクロイックミラー24が破損することを抑制し、信頼性を高めることができる。
また、蛍光体ユニット26から出射される青色光の光路を分離するために位相差板や偏光ビームスプリッターなどからなる偏光分離素子等の特別な光学素子を用意する必要がない。よって、部品点数を低減でき、製造コストを低減すると共に光源装置20を小型化することができる。さらに、位相差板や偏光分離素子等の偏光を操作する光学部品を使用しないので、光学部品の反射率、透過率及び吸収率等による光利用効率の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係る光源装置20において、レーザ光源21から出射される青色光は、偏光方向が一定の方向である直線偏光である。また、複数のレーザ光源21を有する光源ユニットは、直線偏光の向きが全て同じになるように配置し、光源ユニットから出射する光の直線偏光の向きを揃えている。直線偏光の向きは、光源ユニットを配置する向きで決定できる。
図15A、図15Bでわかるように、ライトトンネル29の傾きに合わせて光源ユニットを傾けると直線偏光の向きが変わってしまう。直線偏光の向きが変わってしまう状況の下で、偏光分離素子等により偏光を操作する構成である場合、偏光分離素子を透過する際に光利用効率が低下することがあり得る。第1実施形態に係る光源装置20においては、偏光を操作する構成を採用しないため、レーザ光源21の傾きに起因して光利用効率が低下するのを防止することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る光源装置201は、ダイクロイックミラーの構成が第1実施形態に係る光源装置20と相違する。以下、図16に示す第2実施形態に係る光源装置201の構成を、第1実施形態に係る光源装置20との相違点を中心に説明する。図16Aは、光源装置201における青色光の光路を示しており、図16Bは、光源装置201における蛍光光の光路を示している。図16において、前記第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図16Bでは、説明の便宜上、蛍光光の光路の一部を省略している。
図16に示す光源装置201は、ダイクロイックミラー241の構成のみが第1実施形態に係る光源装置20と相違する。ダイクロイックミラー241は、第1実施形態のダイクロイックミラー24と同様に傾斜して配置される一方、ダイクロイックミラー24よりも長さ短くなっている。ダイクロイックミラー24の寸法が短いことから、光源装置20を小型化することができる。ダイクロイックミラー241は、前記ダイクロイックミラー24の一部である第1の領域24Aと同様の光学特性を有している。
図17は、第2実施形態に係る光源装置201が有するダイクロイックミラー241の構成の一例を示す。図17は、第1の光学系23側から出射される青色光(励起光)の入射方向から見たダイクロイックミラー241を示している。ダイクロイックミラー241は、単一の領域241Aのみで構成されている。
領域241Aは、第2実施形態における前記第1の領域24Aと同様に、第1の光学系23から出射される青色光を反射し、蛍光体ユニット26の蛍光体により青色光から変換された蛍光光を透過する光学特性を有している。領域241Aは、第1の領域24Aと同一の位置に配置されている。すなわち、領域241Aは、第1の光学系23の光軸上に配置されている。しかし、領域241Aは、第2の光学系25の光軸よりも第1の光学系23側にずれた位置に配置されている。
このような構成を有する光源装置201における青色光光路及び蛍光光路について、図16A及び図16Bを参照して説明する。図16Aに示すように、レーザ光源21から出射された青色光は、蛍光体ユニット26の励起光反射領域26Eで反射され、第2の光学系25に出射される。ここまでは、第1実施形態の青色光光路と同様である。第2実施形態に係る光源装置201では、第2の光学系25から出射された青色光はダイクロイックミラー241を透過しない。蛍光体ユニット26から出射する青色光の光束(図1Aに示す光束Qに相当する)は、ダイクロイックミラー24と交わらない。一方、蛍光光路は、図16Bに示すように、第1実施形態の蛍光光路と同様である。
第2実施形態に係る光源装置201においては、レーザ光源21から出射される青色光の光路を、蛍光体ユニット26の反射前と反射後とで異ならせている。したがって、第1実施形態に係る光源装置20と同様に、光源装置の信頼性を高めるとともに、小型化及び低コスト化を図ることができる。
特に、光源装置201では、第2の光学系25の幅よりもダイクロイックミラー241の幅を小さくすることができるため、光源装置201のサイズを小さくすることができる。さらに、蛍光体ユニット26で反射した青色光の光路がダイクロイックミラー241を透過しないため、ダイクロイックミラー241の透過率に起因する光利用効率の低下を抑制できる。
(第3実施形態)
次に、図18に示す第3実施形態に係る光源装置202について説明する。光源装置202は、第1光源ユニットと第2光源ユニットを有する点、第2光源ユニットからの励起光を第1光源ユニットからの励起光に合成する偏光光学部品を有する点で、第2実施形態に係る光源装置201と相違する。第1光源ユニットは、レーザ光源21及びカップリングレンズ22からなる。第2光源ユニットは、レーザ光源211及びカップリングレンズ221からなる。
図18Aは、第3実施形態に係る光源装置202における青色レーザ光の光路を示しており、図18Bは、第3実施形態に係る光源装置202における蛍光光の光路を示している。図18において、前記第2実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図18Bでは、説明の便宜上、蛍光光の光路の一部を省略している。
図18に示すように、光源装置202は、第2光源ユニットを構成するレーザ光源211及びカップリングレンズ221を有している。第2光源ユニットは、レーザ光源211から出射されるレーザ光が、第1光源ユニットのレーザ光源21から出射されるレーザ光と直交するように配置されている。
レーザ光源211は、レーザ光源21と同様の構成を有している。すなわち、レーザ光源211は、複数のレーザ光を出射する光源としてレーザダイオードがアレイ状に配置されており、例えば、発光強度の中心が455[nm]の青色光を出射する。レーザ光源21、211は、いずれもP偏光を出射するように構成されている。カップリングレンズ221は、前記カップリングレンズ22と同様に、レーザ光源211から出射された青色光を入射し、平行光すなわちコリメート光に変換するレンズである。
光源装置202は、偏光光学部品を構成する1/2波長板222及び偏光分離素子223を有している。1/2波長板222は、複数のカップリングレンズ221に対向して配置されている。1/2波長板222は、レーザ光源211から出射される青色光のP偏光成分をS偏光成分に変換する。偏光分離素子223は、レーザ光源21から出射される青色光及びレーザ光源211から出射される青色光の光路上に配置されている。偏光分離素子223は、青色光のS偏光成分を反射する一方、青色光のP偏光成分を透過する光学特性を有している。
レーザ光源21から出射された青色光のP偏光成分は、偏光分離素子223を透過し、第1の光学系23の大口径レンズ23aに入射される。一方、レーザ光源211から出射される青色光のP偏光成分は、1/2波長板222によりS偏光に変換された後、偏光分離素子223により反射され、第1の光学系23の大口径レンズ23aに入射される。このようにして第2光源ユニットからの青色の励起光が、第1光源ユニットからの青色の励起光に合成される。
このような構成を有する光源装置202の青色光光路及び蛍光光路について、図18を参照して説明する。図18A及び図18Bに示すように、偏光分離素子223により合成され、第1の光学系23の大口径レンズ23aに入射された後の青色光光路及び蛍光光路は、第2実施形態と同様である。
第3実施形態に係る光源装置202では、レーザ光源21から出射される青色光の光路を、蛍光体ユニット26の反射前と反射後とで異ならせている。よって、第2実施形態に係る光源装置201と同様に、信頼性に優れると共に、小型化及び低コスト化を図ることができる。特に、光源装置202では、第1光源ユニットからの励起光に第2光源ユニットからの励起光を合成することから、励起光の輝度を高めて、光利用効率を向上することができる。また、偏光光学部品を構成する1/2波長板222及び偏光分離素子223で偏光を操作することから、光源から出射される光の偏光成分の混在の有無に関わらず、光路の分離及び合成を実現することができる。
(第4実施形態)
次に、図19に示す第4実施形態に係る光源装置203について説明する。光源装置203は、前記蛍光体ユニット26とは異なる蛍光体ユニット261を有する点で、第2実施形態に係る光源装置201と相違する。以下、第4実施形態に係る光源装置203の構成について、第2実施形態に係る光源装置201との相違点を中心に説明する。
図19Aは、光源装置203における青色レーザ光の光路を示しており、図19Bは、光源装置203における蛍光光の光路を示している。図19A、図19Bにおいて、前記第2実施形態と共通の構成については、同一の符号を付与して説明を省略する。図19Bにおいては、説明の便宜上、蛍光光の光路の一部を省略している。
第4実施形態に係る光源装置203は、回転駆動される前記蛍光体ユニット26の代わりに、回転駆動しない蛍光体ユニット(以下、適宜「静止蛍光体ユニット」という)261を有いている。静止蛍光体ユニット261は、レーザ光源21から出射される青色光(励起光)の一部をそのまま反射させる一方、青色光の他部を蛍光光に変換して出射させる。
図20は、第4実施形態に係る光源装置203が有する静止蛍光体ユニット261の構成を示す。図20は、静止蛍光体ユニット261を青色光の入射方向に対して直交する方向から示している。図20に示すように、静止蛍光体ユニット261は、励起光を反射する反射部材261aの上に、波長変換部材である蛍光体261bが積層されて構成されている。例えば、反射部材261a及び蛍光体261bは、平面視にて矩形状を有している。蛍光体261bは、反射部材261a上に塗布される。
蛍光体261bは、入射した青色光(励起光)のうち、例えば、80%を蛍光光に変換する。静止蛍光体ユニット261に青色光が入射した場合、青色光の80%は、蛍光体261bに対して励起光として作用し、蛍光体261bにより波長変換される。これにより、例えば、発光強度の中心が550[nm]の黄色の波長域を含む蛍光光となると共に、蛍光体261b及び反射部材261aの作用によりランバート反射される。
静止蛍光体ユニット261に入射した青色光(励起光)の例えば20%は、励起光としては作用せず、反射部材261aによって反射される。したがって、静止蛍光体ユニット261に青色光が入射すると、青色光と蛍光光が同時に出射される。
このように構成された光源装置203における青色光光路及び蛍光光路について、図19を参照して説明する。図19に示すように、光源装置203における青色光光路及び蛍光光路は、静止蛍光体ユニット261における波長変換及び反射を除き、第2実施形態と同様である。
第4実施形態に係る光源装置203においては、レーザ光源21から出射される青色光の光路を、静止蛍光体ユニット261の反射前と反射後とで異ならせている。したがって、第2実施形態に係る光源装置201と同様に、信頼性に優れ、小型化及び低コスト化を図ることができる。特に、光源装置203では、静止蛍光体ユニット261により、青色光と蛍光光とが同時に出射されることから、蛍光体ユニットを回転駆動する必要がなく、装置の製造コストを低減することができる。回転駆動用のモータを省略することができるので、静音化を図ると共に、モータの寿命に起因する信頼性の低下を防止することができる。
(第5実施形態)
次に、図21に示す第5実施形態を説明する。基本的な構成は第2実施形態と同じであるから、特徴的な構成部分について説明する。図21Aと図21Bは共に本実施形態の構成を示している。図21において、垂直方向をX方向,X方向に直交し光源ユニットからの光線の射出方向をY方向、X方向とY方向にともに直交する方向をZ方向とする。図21Bは、図21AをX軸回りに90°回転させた方向から見た構成を示している。
図21において、光源ユニットから射出した光線束の略中心と前記点Pを結ぶ直線を直線L0としたとき、直線L0は、直線L1と光束Qを含む面に垂直に交わるように構成されている。こうすることによって、図中のZ軸方向に小型化することができる。さらに後述する偏光方向の条件1、2を同時に達成でき、光利用効率を向上することができる。
図22Aは、本実施形態において青色光がダイクロイックミラー102に入射するときの様子を示す。図22Bは青色光が蛍光体ユニット26に入射するときの様子を示している。図22Aに示すように、青色光はダイクロイックミラー102に対してS偏光で入射することが好ましい。これを「偏光条件1」とする。また、図22Bに示すように、青色光は蛍光体ユニット26に対してはP偏光で入射することが好ましい。これを「偏光条件2」とする。この理由は、一般的に光が面に対して角度をもって入射するとき、S偏光の方が反射率が高いためである。これより、ダイクロイックミラー102ではより反射率が上がるようにS偏光で反射させ、蛍光体領域では表面反射を抑えてより多くの青色光が蛍光体に入射するようにP偏光で入射させる。
本実施形態の構成は、ダイクロイックミラー102と蛍光体ユニット26で偏光方向が90°回転するので、偏光条件1と偏光条件2を両立させて光利用効率を向上させることができる。
(第6実施形態)
図23は、本発明に係る光源装置の第6実施形態を示す。図23Aは本実施形態を側面側から見た図、図23Bは、図23AをZ軸回りに90°回転させて上方から見た図である。図24は、第6実施形態と比較するために、前記第2実施形態を示している。図24Aは、側面側から見た図、図24Bは、図24AをZ軸回りに90°回転させて上方から見た図である。
本実施形態では、図23A、図23Bのように、ダイクロイックミラー102の前にミラー110を入れ、光源からの照明光の光路を折り曲げている。これによってZ軸方向の寸法を小さくすることができる。Y軸方向の大きさは図24に示す第2実施形態の場合とほとんど変化がない。
本実施形態において、回転型の蛍光体ユニット26の直径はφは50~60mmと、小型の光源装置の中では大型の部品になるため、Y軸方向とZ軸方向のサイズは蛍光体ユニット26のサイズが支配的になる。このため、ミラー110で光路を折りたたむことにより生じる蛍光体ユニット26の平面方向の投影空間を活用してこの空間内に構成部品を配置して、光源装置を大幅に小型化することができる。
図23Bはこれを示している。図23Bに示すように、X軸方向から見て、円盤状の蛍光体ユニット26の投影面内にすべてのレンズの面頂点Tが入るように配置すると、光源装置全体が立方体に近く小型になる。
さらに、ミラー110には、蛍光体ユニット26の表面の青色光の集光度合いを調整する機能を持たせることもできる。例えば、ミラー110を拡散反射面にすると、蛍光体ユニット26に照射する青色光を拡散し蛍光体ユニット26上の青色光の集光度合いを均一にして蛍光体ユニット26の変換効率を高めることができる。
(第7実施形態)
図25は、本発明に係る光源装置の第7実施形態を示す。図26は、第7実施形態に対する比較例である。第7実施形態は、光源装置20を、ヒートパイプ125を介して放熱部120に連結し冷却する。本実施形態では、投射光学系50の光軸と光源装置20から射出される励起光の射出方向が垂直となるように配置されている。
図26に示すような比較例においては、光源位置20と放熱部120を配置できる空間をヒートパイプ125で結ぼうとすると、ヒートパイプ125を曲げる必要があって冷却効率が落ちる。そのため、所定の放熱量を得るためには放熱部120が大きくなってしまう。
これに対して本実施形態によれば、ヒートパイプ125をあまり曲げることなく放熱部120に結合できるため、冷却効率の低下が少なく、効率よく光源装置20を冷却することができる。
また、図25に示すように、投射光学系50に隣接する空間に放熱部120を配置することができるため、空間の有効利用が可能となり、プロジェクタ装置全体をより小型化することができる。本実施形態では、冷却手段の例としてヒートパイプを用いているが、ループヒートパイプも用いてもよいし、光源に対して直接ヒートシンクなどの放熱部材を設けもよい。
本発明に係る光源装置の実施形態では、励起光が光ミキシング素子に対して斜めに入射するので、光ミキシング素子のサイズによってはライトトンネル出口で輝度むらが生じることがある。これがそのままスクリーン上の輝度むらとなるので、スクリーン上の画像を見やすくするようにこの輝度むらを生じさせることが好ましい。例えば、一般的には投影映像に生じる輝度むらは、左右方向よりも上下方向の方が好ましく、また、人の目線に近い下側が明るい方が見やすい。よって、図27に示すように、スクリーン上の下方向が明るくなるように、励起光を光ミキシング素子に入射させることが好ましい。
以上説明した各実施形態では、本発明の好適な実施例を示しており、本発明はこれら実施形態の構成に限定されるものではない。特に、各実施形態で例示した各部の具体的形状および数値は、本発明を実施するに際して行う具体化の一例にすぎず、本発明の技術的範囲がこれらに限定的されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した技術思想を逸脱しない範囲で、適宜変更することができる。