JP7338163B2 - セメント組成物 - Google Patents
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Description
このようなセメント組成物によれば、有機繊維の繊維長さが短く繊維径が大きいので、有機繊維を混入しても高い流動性を得ることができ、作業性を確保できる。また、有機繊維と無機繊維を混入していることにより爆裂を防止できる。これにより、作業性を確保しつつ、耐火性能の向上を図ることができる。また、無機繊維の混入量が少なくてすむ。また、脆性破壊を抑制できる。
このようなセメント組成物によれば、この範囲においても効果を奏することができる。
このようなセメント組成物によれば、高強度のセメント組成物の耐火性能の向上を図ることができる。
<爆裂防止のメカニズムについて>
爆裂とは、コンクリートが火災などにより強く加熱されたときに爆発的に破裂(剥離)する現象である。コンクリートは、強度が高いほど火災時に爆裂する可能性が高いとされている。その原因としては、高強度コンクリートの組織は緻密であり、内部で蒸発した水分は散逸しづらいため、加熱されたときに空隙内圧が上昇し、二次的な応力を発生して爆裂する可能性が高いと考えられている。
PP繊維の形状(径、長さ)と混入量、及び、鋼繊維の種類と混入量をパラメータとしたコンクリートの試験体を作製し、作業性と耐火性について評価を行った。
図2は、本実施例及び比較例の各試験体の作製条件を示す図である。また、図3は各PP繊維の仕様を示す図であり、図4は、各鋼繊維の仕様を示す図である。
水(W)、結合材(B)、細骨材、粗骨材、膨張材、及び、混和剤等を調合し、コンクリートの試験体を作製した。なお、結合材(B)にはセメントが含まれている。また、各試験体には、混和剤(化学混和剤)として、高性能減水剤を混入している。高性能減水剤は、水結合材比(W/B)を低減して強度を増加させるための材料である。高性能減水剤は、単位セメント量×1.5~2.1%混入した。
水結合材比(W/B:水セメント比に相当)は、水の結合材(セメント)に対する重量比である。コンクリートの強度は、この水結合材比(W/B)に依存し、W/Bが小さいほど強度が高くなる。本実施例では、図2に示すように、水結合材比(W/B)が17.0%~13.5%の超高強度コンクリートの試験体を作製した。
有機繊維として、ダイワボウポリテック株式会社製のPP繊維(繊維長さ3mm、繊維径18μmのPP繊維)を2~3kg/cm3混入した(図2参照)。
径10μm-長さ10mm(比較例4~6)
径18μm-長さ10mm(比較例10~12)
PP繊維無し(比較例1、2、7、8)
(鋼繊維について)
無機繊維として、下記の3種類の鋼繊維(フック型軟鋼、フック型硬硬、ストレート型鋼)を、図2に示す混入量で各試験体に混入した。
フック型硬鋼(実施例8、9)
ストレート型鋼(実施例16)
鋼繊維無し(比較例1、3、4、7、9、10)
なお、フック型軟鋼としては、神鋼建材工業株式会社製の亜鉛めっき鋼繊維(仕様は図4参照)を使用し、フック型硬鋼としては、神鋼建材工業株式会社製の高張力鋼繊維をさらに亜鉛メッキしたもの(仕様は図4参照)を使用した。また、ストレート型鋼としては、東京製綱株式会社製のタフミックファイバーIII(仕様は図4参照)を使用した。
各繊維の仕様と、各試験体への各繊維の混入量から、各試験体についてPP繊維と鋼繊維の直径比と容量比を求めた。なお、PP繊維の比重は0.91g/cm3であり、鋼繊維の比重は7.85g/cm3である。
鋼繊維がフック型軟鋼の場合1.0:34.4
鋼繊維がフック型硬鋼の場合1.0:21.1
鋼繊維がストレード型鋼の場合1.0:8.9
である。
図5は、試験項目を示す図である。
フレッシュ試験として、練り上がりのスランプフロー(SF)、空気量(AIR)、温度(CT)を測定した。なお、スランプ測定はJIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験」に準じて行い、空気量の測定はJIS A 1128「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気圧力方法」に準じて行った。
圧縮強度試験はJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて行った。
各試験体を耐火炉に入れて、ISO834に規定される標準加熱温度曲線に従って60分加熱を行った。そして、耐火試験後の試験体の表面の残存面積を、ノギスを用いて計測し、試験体全体の表面積との比率から残存面積率を求めた。
図6は、作業性と耐火性の判定基準を示す図である。図7は、試験結果を示す図である。また作業性については、図6に示すように、ハンドリングが良く、部材作製しやすいものを○とし、ハンドリングが悪く、部材作製しにくいものを×とした。また、耐火性については、耐火試験後の残存面積が80%以上を○とし、80%未満を×とした。
残存面積(%)=(S-A)/S×100・・・・(1)
太くて短いPP繊維を混入した試験体のスランプフローが高い結果となった。
例えば、W/Bが17.0%の超高強度コンクリートの場合、比較例4(繊維長10mm、繊維径10μmの細長いPP繊維を1.5kg/m3混入)のスランプフローは61.5であるのに対し、比較例3(繊維長3mm、繊維径18μmのPP繊維を2kg/m3混入)のスランプフローは73.0であり、作業性が良好(○)となっている(但し、鋼繊維が混入されていないため耐火性が×である)。このように、PP繊維が太くて短い場合、PP繊維の混入量が多いにも関わらず、スランプフローが高い結果となった。
比較例において、PP繊維を混入していない試験体では耐火性が×となっており、PP繊維を混入することで耐火性が向上していると言えるが、PP繊維の径が太く長さが短い場合、鋼繊維を混入していない試験体(比較例3、9)では耐火性が×となっている。これに対し、実施例では、PP繊維の径が太く長さが短くても、鋼繊維を混入していることにより、耐火性が良好(○)となっている。すなわち、耐火試験後の残存面積が80%以上であった。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
20 ポリプロピレン繊維(PP繊維)
Claims (3)
- セメントと、水と、細骨材と、粗骨材と、中実の有機繊維と、無機繊維とを含むセメント組成物(但し、ワラストナイト及びマイカから選ばれる補強材を含有する水硬性材料を除く。)(但し、エトリンガイト生成系混和材を含有する耐爆裂性セメント硬化体を除く。)であって、
前記有機繊維は、繊維長さが2~4mmであり、繊維径が15~50μmであり、混入量が0.5~3.5kg/m3であり、
前記無機繊維は、鋼繊維であり、引張強度が2500N/mm2以上であり、
前記無機繊維の混入量が20~80kg/m3である、
ことを特徴とするセメント組成物。 - 請求項1に記載のセメント組成物であって、
前記有機繊維と前記無機繊維との質量比が1:10~1:(40/3)の範囲にある、
ことを特徴とするセメント組成物。 - 請求項1又は2に記載のセメント組成物であって、
水セメント比が、13.5~18.0%である、
ことを特徴とするセメント組成物。
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ひび割れを自己治癒させるコンクリート用強化繊維「マーキュリーC」の販売について,大和紡績株式会社,2014年09月26日,全2頁,http://www.daiwabo-holdings.com/business/fiber/news/news9169879752026702439/main/01/teaserItems1/0/linklist/0/link/file449897999.pdf |
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