JP7336784B2 - 創傷接触部材 - Google Patents

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Description

本発明は、陰圧閉鎖療法(NPWT)を施行する際に用いる創傷接触部材(コンタクトレイヤー)に関する。
救急外科の領域において、重症腹部外傷や敗血症を伴う腹膜炎などにより腹部開放(Open Abdomen)での管理の長期化や、創し開などで腹壁を閉鎖することができない状況がしばしば生じる。
これらには感染や筋膜壊死、腹壁の側方退縮、腸管浮腫、腹圧上昇などが関与している。
この間に露出腸管は周囲組織や腸管、腹壁などと癒着を互いに形成し腸管露出を伴う開放創を形成する。このような症例は露出腸管に穿孔が生じないように注意深い管理が必要で、創部の湿潤環境を保ち、創への不必要な刺激を避けて露出腸管が肉芽に覆われるのを待つしかない。
次第に肉芽が露出腸管上に増生し、腸管の外壁のような役割になる。そして創部が肉芽で覆われた頃に植皮や閉創を試みることが多い。増生した肉芽ははじめ脆弱であり、乾燥や接触刺激、感染、腸管壁への張力や圧などを避けて管理する必要がある。
腸管に穿孔が生じた場合は、たとえ穿孔部を縫合しても閉鎖することは困難で、慢性瘻孔を形成する。このような露出腸管上に生じた慢性瘻孔は、消化管瘻孔(enteroatmospheric fistula:以下EAF)と称される。 EAFの発生機序は今のところ明らかにはなっていないが、EAFは外傷や腹膜炎後の腹壁開放創やし開創などに起こる重篤な合併症の一つである。EAFは創の管理を困難にし、死亡率を明らかに上昇させる。
陰圧閉鎖療法(Negative-pressure wound therapy:以下、NPWT) は開放創の管理において創の湿潤環境を保ち、肉芽増生を刺激する有用な治療である。例えば、腹壁開放創に対しては腹壁の側方退縮を予防し、露出腸管にかかる張力を軽減する。しかし、NPWTを使用しても、EAFの発生を完全に予防することは容易ではない。今のところEAF発生予防の確立された方法はなく、露出腸管上に早期に肉芽を盛らせることがEAF発生予防に有効に働くと考えられている。
特開2007-54015号公報
Gruss, J. S. & Jirsch, D. W. Human amniotic membrane: A versatile wound dressing. Can. Med. Assoc. J. 118, 1237-1246 (1978). Okabe, M. et al. Hyperdry human amniotic membrane is useful material for tissue engineering: Physical, morphological properties, and safety as the new biological material. J. Biomed. Mater. Res. - Part A 102, 862-870 (2014).
NPWTは、創部の上にポリウレタン等のフォーム材を置き、創部全体を覆うようにフィルム材で被覆してから、被覆された創内に持続的に陰圧をかけることで創傷治癒を促進する創管理の方法である。
この際に、フォーム材と脆弱な創部とが直接触れると、機械的刺激で組織の損傷を来す可能性があるため、創傷接触部材(以下、コンタクトー)としてシリコン等で作成された薄いドレッシング材を置くことが多い。
開放創に対してNPWTを行う際には通常、創底部にコンタクトレイヤーを敷き、その上からフォーム材を置いてフィルムで密閉して吸引装置で陰圧をかける。開放創内に露出腸管を伴っている場合、現時点では腸管上への使用が適応となっているコンタクトレイヤーは無く、NPWTによる露出腸管への直接陰圧が穿孔の原因になりうるので、厳密にはNPWTを使用できない。そのためガーゼドレッシングでの管理を行うか、適応外使用でコンタクトレイヤーを置き、低圧でNPWTを行っているのが現状である。
今回の研究では露出腸管上にハイパードライ羊膜を置くことで良好な肉芽形成を促進できた結果から、開放創内の露出腸管上に適切な大きさにカットしたハイパードライ羊膜を置き、その上からコンタクトレイヤー製品(何でもよい)を置いて、NPWT製品(何でもよい)を使用することで、露出腸管への直接的な陰圧を避けつつ、露出腸管上および周囲の組織においても安全に肉芽形成を促進できる点が、本方法の利点である。
これまでにコンタクトレイヤーとして使用されるドレッシング材で直接的に創傷治癒を促進する効果や抗炎症効果などを持つ材料は無く、その主な役割としては単にフォーム材と創部との直接接触を避けるのみであった。
羊膜は、コラーゲンと弾性線維で構成された強靱な生体膜であり、生羊膜は、外傷や熱傷に対する有用な被覆材料として報告されている(非特許文献1)。しかし、必要なときにすぐに手に入らないこと、保存や取り扱いが煩雑であったことから実際の臨床では限定的な使用にとどまっていた。これに対して、特定の乾燥処理により製造される乾燥羊膜(ハイパードライヒト乾燥羊膜:以下、HD-AM)が報告されている(特許文献1、非特許文献2)。
発明者らは、動物実験モデルを作成し、HD-AMが露出腸管上で肉芽増生を促進していることを組織学的、免疫化学的、分子生物学的に確かめた。すなわち、HD-AMの細胞の足場(scaffold)としての機能、成長因子や細胞遊走系ケモカインの誘導、さらにM2マクロファージへの分化調整による局所での抗炎症や組織再生の促進などが組織再生に関与していることを明らかとし、本発明を完成するに至った。
本発明にかかる創傷接触部材によれば、人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得られ、無菌状態の乾燥大気中で保存できるように脱水乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際には、前記生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持された乾燥羊膜からなる、陰圧閉鎖療法に用いられる創傷接触部材であって、創部に合わせた形状であってかつドレナージ孔が形成されており、創部と陰圧閉鎖療法に用いられるフォーム材との間に、上皮側を上に間質側を創部に向けて配置され、フォーム材と創部が直接触れることによる機械的刺激での組織の損傷を防止し、創部に対して創傷治癒促進及び抗炎症作用を促す、腹部開放創および/または創し開の陰圧閉鎖療法に用いられることを特徴としている。
この構成を採用することによって、陰圧管理中のフォーム材と創部との直接接触による機械的刺激での組織損傷を防ぐのみでなく、創面への接触する羊膜の創傷治癒促進作用、抗炎症作用などの能動的な作用により、創傷治癒を促進する
なお、本発明おいては、人間以外の動物(ペット等)を対象とすることができる。
本発明の創傷接触部材をNPWTで使用することで、陰圧管理中のフォーム材と創部との直接接触による機械的刺激での組織損傷を防ぐのみでなく、創面への接触する羊膜の創傷治癒促進作用、抗炎症作用などの能動的な作用により、創傷治癒を促進することができる。
実験マウスモデルとHD ‐ AMの応用 を説明する図(図中、*盲腸、**腹筋層)。(a)左:実験用マウスの模式図。 15 mm×20 mmの創傷サイズで腹部中央に全層皮膚欠損を形成した。白線上に15 mmの切開をした。右:マウスモデルの創傷部位の写真。盲腸を持ち上げ、6点縫合で腹筋層に固定した。(b)図1aの点線の断面図。 HD-AMの適用を説明する図。左:HD-AMと露出した腸壁の模式図。右:上皮側を上に向けて(HD-AM群)、または間質側を上に向けて(逆さまに、HD-AM UD群)、HD-AMを創傷領域上に配置した。 HD-AMは対照群では不使用(HD-AM(-)群)。 定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(q RT-PCR)で使用したプライマー。 肉芽組織の厚さを測定する方法の模式図。(a)肉芽組織は、露出した腸でフィブリン塊とともに増加する。 黄色い矢印は肉芽組織の厚さを示す。 中央部分と中央部分の両側5mmの点を含む合計3点を測定し平均した。(b)各群の代表的な顕微鏡写真(×50)。 肉芽組織の厚さは黄色い矢印で示す。 肉芽組織が薄すぎるため、対照群(POD 7)には矢印がない。(c)肉芽組織の測定平均厚さを比較するグラフ。HD-AM群は、対照群よりもPOD 7およびPOD 14の両方において有意に厚い肉芽組織を示した。POD 7のHD-AM UD群における肉芽組織の厚さは、HD-AM群よりも有意に低かった(n=5、* p<0.05、** p<0.01)。 HD-AMへの細胞浸潤を説明する図。H-E染色を用いたHD-AMへの細胞浸潤の観察(×200)。黄色はHD-AMを示す。(a)細胞浸潤の結果を表に示す。HD-AM群ではPOD 7の5匹のマウスのうち2匹およびPOD 14の5匹のマウスのうち3匹で浸潤が観察されたが、HD-AM UDグループでは浸潤は観察されなかった。(b)上の写真:HD-AMへの細胞浸潤が観察された。下の写真:細胞浸潤は観察されない。 POD 7の対照群に基づく各群のRNA相対値の平均を示すグラフ(n=5、* p <0.05、** p <0.01)。(a)POD 0上のHD-AM(-)群の各プライマーのRNA値が1(実線)。増殖因子および細胞遊走を仮定して、POD 0上の相対値をグラフで表した。(b)ケモカイン、(c)抗炎症マーカー、(d)炎症マーカー。 免疫組織化学的染色を施した顕微鏡写真。黄色の矢印はHD-AMを示す。*はむき出しの腸。(a)左:TGFβ - 1染色(×100)、右:VEGF染色(×100)。(b)上:CD163染色。左側写真上の点線枠の焦点部分(×50)は、 右の写真(200倍)に拡大表示されている。 HD-AMの上皮側は上側であり、そして支質側は下側である。下:対照のCD163染色(×50)。 HD羊膜を作成する乾燥装置。
(本実施形態の概要)
特定の乾燥処理(ハイパードライ)により製造される乾燥羊膜とは、例えば、特許文献1に記載された乾燥羊膜である。すなわち、処理槽内に載置した生羊膜を処理槽内に設けた赤外線ヒーターによって連続して加温して、処理槽内を減圧状態とする減圧操作と、減圧状態の処理槽内を僅かに大気圧側に上昇させる復圧操作時に、この生羊膜に処理槽内に設けたマイクロ波発生装置からもマイクロ波を照射して羊膜中に存在する水分子にエネルギーを加えつつ乾燥を行う。これを複数回繰り返すことによって製造される乾燥羊膜(HD-AM)は、羊膜細胞自体は不活化されるが、その細胞・組織構造が保持される。
一般的な陰圧閉鎖療法は、(1)ポリウレタン等のフォーム材(被覆材)を傷の形状に合わせて当て、透明フィルムで密封する。(2)ドレナージ管を透明フィルムに開けた穴を通して被フォーム材に接続する。(3)ドレナージ管は吸引源に接続され、開いた傷を閉じるように調整され、同時に循環と滲出液の排出を促す為に創床の余分な液体を取り除く。これにより湿潤治療環境が形成され、膨潤を防ぐ。
本実施形態では、創傷接触部材(コンタクトレイヤー)としてHD-AMを配置する。HD-AMを創傷接触部材として創部とフォーム材との間に配置することによって、フォーム材と脆弱な創部が直接触れることによる機械的刺激で組織の損傷を防止し、また創面への接触する羊膜の創傷治癒促進作用、抗炎症作用などの能動的な作用を促す。
本実施形態では、HD-AMをコンタクトレイヤーに用いるにあたり、例えば、腹部開放(Open Abdomen)創などの創傷部位に合わせ、はさみ等で適切な形状に成型すればよく、また、ドレナージ孔を作製すればよい。また、HD-AMは、その上皮側を上に、間質側を創面にむけて置くことで、羊膜の持つ抗炎症効果および創傷治癒促進効果と足場(Scaffold)としての機能を生かすことができる。
(モデル動物での開放創の作成)
生後8週オスのICRマウスを麻酔して仰臥位にしたのちに、四肢を固定する。腹壁の皮膚を15×20mm(横×縦)除去して腹壁筋鞘を露出させ、腹壁を15mm正中切開して盲腸を同定した(図1a)。次いで、盲腸を挙上し、7-0ナイロン糸を用いて盲腸の漿膜筋層と腹壁筋層とを6針固定し(図1b)、露出腸管を有する脆弱な開放創を作成した。
なお、実験動物の取り扱いは、National Institutes of Health のガイドラインに従い、富山大学動物実験委員会の許可を得た。また、実験は富山大学動物実験委員会の指針に従って行った。
(HD-AMの適用)
ヒト羊膜は単層上皮層(Epithelium)、薄い基底膜(Basement membrane)、無血管の間質層(Stroma)の3層で主に構成されている(図2左)。 実験ではHD-AMを15×20 mmの大きさにカットし、上皮層を上になるようにおいた群 (HD-AM group)と、間質層を上にして置いた群 (HD-AM UD group)というように羊膜の裏表を分け、対照としてHD-AMを置かない群(HD-AM(-) group)の3群を作成した(図2右)。創部(Wall of exposed bowel)はすべてポリウレタンフォームの被覆材であるハイドロサイトプラス(Hydrosite plus:Smith & Nephew Wound Management社製、ポリウレタンからなる非固着性の創面・接触層、親水性フォームの吸収パッド、背面フィルムの3層構造のドレッシング材)で被覆した。
各群 (HD-AM(-), HD-AM, HD-AM UD)はそれぞれ5匹のマウスで、それぞれ術後7日(POD 7)と術後14日(POD 14)で評価したため、合計30匹を用いた。 創部はHD-AMや創傷被覆材がマウスの行動によって逸脱しないように、ステンレスメッシュ (0.06mmΦ,150m/s)でカバーした。
(組織学的および免疫組織化学的染色)
組織学的な観察のため、POD 7およびPOD 14に露出腸管ごと各マウスから腹壁を採取し、パラフィン包埋した。パラフィンブロックから薄切した切片をヘマトキシリン-エオジン(H&E)およびアザンで染色した。また、CD163、TGFβ-1(transforming growth factor beta-1)、VEGF(vascular endothelial growth factor)に対する免疫組織化学的染色を行った。染色された組織を、Leica DMRBE顕微鏡(Leica、Wetzlar、Germany)およびDP73 system(Olympus、Tokyo、Japan)を用いて撮影した。
(露出した腸の肉芽組織の測定)
肉芽組織の観察のため、アザン染色でコラーゲン繊維とフィブリンとの区別を容易にした。コラーゲン線維を含有する肉芽組織の厚さは、Olympus CellSensイメージングプログラム(バージョン1.7; Olympus、Tokyo、Japan)を用いて測定した。測定部位は、露出腸管が左右の筋層に固定された位置から中心および、中心から両側5mmとし、測定された3点の平均値を計算した (図2a)。
(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR))
露出腸管上の肉芽組織中のmRNAを抽出するために、各試料から標的部位を選択的に採取した。採取する際には、露出した腸管の中央部分でどの検体も同様に肉芽組織を切離し、それらが採取部位や範囲の差異に影響されないように解剖学的に可能な限り一定にするようにした。Isogen II(Nippon Gene Co. LTD., Tokyo, Japan)を使用して、製造元の指示に従って全mRNAを組織から抽出した。 そのmRNAの一部3μgを室温で15分間、デオキシリボヌクレアーゼI(DNase I、Sigma-Aldrich, Inc., Tokyo, Japan)で処理した。
Rever Tra Ace qPCR RT Kit(Toyobo Co., Ltd.,Osaka, Japan)を用いて500ngのDNアーゼI処理RNAを用いてcDNAを合成した。遺伝子発現は、Mx3000P定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)システム(Stratagene; Agilent Technologies Japan Ltd, Japan)を用いて、Brilliant SYBR Green QRT-PCR Mix(Stratagene; Agilent Technologies Japan Ltd. Japan)を用いてリアルタイムRT-PCR分析により定量した。 POD 7およびPOD 14において5匹のマウス/群ごとにmRNAを抽出し、成長因子であるTGFβ130、VEGFA31、α-SMA32、bFGF33、PDGF34、細胞遊走系ケモカインのCXCL-535、SDF-135、抗炎症性M2マクロファージのマーカーであるCD163、抗炎症サイトカインのIL-1037、炎症系サイトカインの IL-637、tumor necrosis factor-alpha (TNF-α38)、inducible nitric oxide synthase (iNOS38)についてtriplicateで測定した。
サイトカインの変動が術後変化であることを明確にするために、モデルマウス5匹を作成した直後に組織を採取し、POD 0として手術直後における各プライマーのmRNA発現量を調べた。各mRNAの発現量はGAPDHを内部コントロールとして補正し、POD 7のHD-AM(-)群の平均値を基準として相対比較した。今回用いたプライマーの配列を図3に示す。
(露出した腸の肉芽組織の厚さを評価)
各群で露出腸管上の肉芽組織の厚さを測定し、POD 7およびPOD 14において比較した。
HD-AM群およびHD-AM UD群は、HD-AM(-)群よりもPOD 7およびPOD 14の両方で肉芽組織が有意に厚かった(p<0.05およびp<0.01)。一方、POD 7上においてはHD-AM群はHD-AM UD群と比較して有意に肉芽組織が厚かった(p<0.05)が、POD 14では同程度となった(図4a-c)。
(HD-AMへの細胞浸潤)
HD-AM群でHD-AM内への細胞浸潤が認められた。しかし、HD-AM UD群には認められなかった。細胞浸潤は、HD-AM 5/10、HD-AM UD 0/10の割合で観察され、HD-AM群で有意に多かった(p<0.05)。(図5a,b)。
(POD 7におけるHD-AM(-)群と比較したPOD 0に基づく発現の評価)
VEGFA、α-SMA、PDGF以外のサイトカインは、手術直後(POD0)にはほとんど発現していなかった(図6a)。
(成長因子と細胞遊走ケモカイン)
TGFβ-1の発現は、POD 7においてHD-AMおよびHD-AM UD群がHD-AM(-)群よりも有意に高かったが、POD 14ではいずれも逆転した。 TGFβ1と同様に、CXCL-5は、POD 7においてHD-AM(-)群よりもHD-AM群のほうが有意に高かったが、POD 14ではやはり逆転した。VEGFはPOD 7でのHD-AM UD群のみHD-AM(-)群より優位に高く、SDF-1の発現はPOD 14でHD-AM(-)群より、HD-AM群およびHD-AM UD群が有意に低かった。その他の成長因子については特に有意差は認めなかった(図6b)。
(抗炎症マーカー)
CD163は、POD 7においてHD-AM(-)群と比較してHD-AM群で有意に高く発現していた。IL-10については、POD 7においてHD-AM UD群はHD-AM(-)群よりも有意に高く発現していた。また有意差はないものの、POD7 においてHD-AM群はHD-AM(-)群より高い傾向があった(p =0.057)(図6c)。
(炎症マーカー)
IL-6、TNF-α、iNOSの発現に各群との比較で有意差は認めなかった(図6d)。
(免疫組織化学染色)
TGFβ-1、VEGFおよびCD163について、免疫組織化学染色により局在を調べた。 TGFβ-1およびVEGFは、創傷の滲出液中および羊膜周辺で高度に発現した(図7a)。注目すべきことに、POD7においてCD163は、HD-AMの上皮側に集簇するように発現していた(図7b、矢印)。
・HD-AMの製造
図8に示す乾燥装置を用いて下記の真空・遠赤外線・マイクロウエーブ各装置の条件において、生羊膜を乾燥した。
・乾燥槽加温:50℃、F.I.R:50℃、ストッフ゜弁:37%、最高到達圧力0.34kPa 空運転最高到達圧力0.33kPa
・乾燥処理の方法
(1)減圧 180sec
(2)復圧 30sec(ストッフ゜弁開度37%)
マイクロ波投入 0.1kw-180sec(復圧は継続)
(3)減圧 180sec
(4)以降、(2)・(3)の繰返し
(5)乾燥終了は、(3)の180sec減圧後到達圧力を確認し(0.30~0.35 kPa)、手動にて行う。
大気圧まで復圧し終了
特定の乾燥処理により製造される乾燥羊膜(HD-AM)、すなわち処理槽内に載置した生羊膜を処理槽内に設けた赤外線ヒーターによって連続して加温して、処理槽内を減圧状態とする減圧操作と、減圧状態の処理槽内を僅かに大気圧側に上昇させる復圧操作時に、この生羊膜に処理槽内に設けたマイクロ波発生装置からもマイクロ波を照射して羊膜中に存在する水分子にエネルギーを加えつつ乾燥を行う。これを複数回繰り返すことによって細胞・組織構造を保持しつつ乾燥させた羊膜は、保存性が向上すると共に、取り扱いがしやすい。この乾燥羊膜を、腹部開放創および/または創し開の陰圧閉鎖療法(NPWT)施行時に、ドレッシングのフォーム材と創傷面の接触を防ぐ目的で用いるコンタクトレイヤーとして使用することで、NPWTの治癒効果を高めることができる。
10 処理槽
12 回転テーブル
14 遠赤外線ヒータ
16 モータ
18 真空ポンプ
20 電磁弁
22 減圧配管
24 フィルター
28 復圧配管
30 マイクロ波照射装置

Claims (1)

  1. 人を含む動物の胎児を包む生羊膜を乾燥処理して得られ、無菌状態の乾燥大気中で保存できるように脱水乾燥されており、かつ水又は緩衝液に浸漬して再水和した際には、前記生羊膜を構成する上皮細胞、基底膜、及び結合組織が保持された乾燥羊膜からなる、陰圧閉鎖療法に用いられる創傷接触部材であって、
    創部に合わせた形状であってかつドレナージ孔が形成されており、創部と陰圧閉鎖療法に用いられるフォーム材との間に、上皮側を上に間質側を創部に向けて配置され、フォーム材と創部が直接触れることによる機械的刺激での組織の損傷を防止し、創部に対して創傷治癒促進及び抗炎症作用を促す、腹部開放創および/または創し開の陰圧閉鎖療法に用いられる創傷接触部材。
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