以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る紙葉類搬送装置を適用した中継ボックス6を含む紙葉類回収搬送システム1(図2参照)が設置される遊技場2の店内レイアウトの一例を示している。遊技場2の店内には、複数の遊技機島3が通路を隔てて複数配列されている。各遊技機島3には、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機4とパチンコ機などの遊技機5とを一組にしたものが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容されている。遊技機島3の内部には、各遊技球貸機4の背面から排出された紙幣を取り込んで遊技機島3の端部の中継ボックス6まで搬送する島内紙幣搬送装置7が設けてある。
図2は、紙葉類回収搬送システム1の概要を示している。紙葉類回収搬送システム1は、各遊技機島3内で遊技球貸機4から紙葉類を回収して島端の中継ボックス6まで搬送する島内紙幣搬送装置7と、中継ボックス6と、各店内に張り巡らされて各遊技機島3の中継ボックス6の上方を通って紙葉類を事務所の金庫41まで搬送する主搬送装置8と、中継ボックス6から繰り出された紙幣を該中継ボックス6の上方を通る主搬送装置8の搬送路まで搬送する副搬送装置9を備えて構成される。主搬送装置8の搬送路は、たとえば、遊技場2の天井裏を通るように設置される。
図3は、島内紙幣搬送装置7の概略構成を示す図である。島内紙幣搬送装置7は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12(島内搬送管)と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置(ブロア)14を備えている。島内紙幣搬送装置7は、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣Pより上流で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣Pを後方から押し動かして下流へ搬送する。
遊技機島3の端部に設けられた中継ボックス6の内部に、空気流発生装置14と、紙幣分離・搬送補助体循環装置11が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置11は、搬送補助体16を搬送管12内に送り出す搬送補助体挿入装置11aの機能と、紙幣Pとこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置11bの機能を備えると共に、回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置11aに戻して循環させる機能を果たす。分離回収装置11bで回収した紙幣Pは中継ボックス6内に一時収納された後、副搬送装置9(図2参照)へ送り出される。
空気流発生装置14の空気吹き出し側(空気吹出通路14a)は搬送補助体挿入装置11aの空気流入口側に接続され、搬送補助体挿入装置11aの空気流出口に、搬送管12の始端が接続されている。搬送管12は、搬送補助体挿入装置11aの空気流出口から遊技機島3の他方の端部まで延設された往路12aと、該他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、往路12aの上方を該往路12aに沿って中継ボックス6まで戻るように延設された復路12cで構成される。復路12cの終端は、分離回収装置11bの空気流入口に接続され、分離回収装置11bの空気流出口には空気流発生装置14の空気吸い込み側(空気吸込通路14b)が接続されている。
空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置14が発生させた空気流は、空気吹出通路14aから搬送補助体挿入装置11aを通じて搬送管12の始端に流れ込み、往路12a、ターン部12b、復路12cを経た後、分離回収装置11b、空気吸込通路14bを通じて空気流発生装置14の吸い込み側へ引き込まれるように流れる。
搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島3に併設収容された遊技機5と遊技球貸機4の1セット分の横幅に対応した長さを単位に分割されており、これらを連結ユニット17で必要本数連結することで、遊技機島3の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。また、施工現場では、搬送管12を必要な長さにその場でカットして使用するようになっている。
搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機4に対応する位置に、遊技球貸機4の背面から排出された紙幣Pを搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置18が配設されている。紙幣取込装置18は、遊技機島3の表面側に配置された遊技球貸機4からの紙幣Pを取り込むものと、遊技機島3の裏面側に配置された遊技球貸機4からの紙幣Pを取り込むものとが対となるように設けられている。紙幣取込装置18は、復路12cを構成する搬送管12と搬送管12の間に介在してこれらを連結する役割を果たす。
島内紙幣搬送装置7では、紙幣取込装置18から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣Pは、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で所定の取り込み完了位置に滞在する。搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣Pを中継ボックス6まで搬送して回収するために搬送補助体16が中継ボックス6内の搬送補助体挿入装置11aによって搬送管12内へ送り込まれる。搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、図4に示すように、搬送管12内の紙幣Pを、該紙幣Pの後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣Pが搬送される。
紙幣分離・搬送補助体循環装置11や紙幣取込装置18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする制御部23(図3参照)に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部23は、紙幣取込装置18に設けたセンサが遊技球貸機4の背面から排出された紙幣Pを検知すると紙幣取込装置18を作動させて該紙幣Pを搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら紙幣分離・搬送補助体循環装置11の搬送補助体挿入装置11aから搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣Pを後方から押し動かして搬送する。そして、中継ボックス6内の分離回収装置11bは搬送補助体16の到来を検知すると紙幣Pと搬送補助体16を分離してそれぞれを回収し、その回収した搬送補助体16は次回の送出に備えて搬送補助体挿入装置11aへ案内し、回収した紙幣Pは中継ボックス6内に一時収納した後、副搬送装置9(図2参照)へ送り出す、というように制御する。
なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置18が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣が中継ボックス6内の分離回収装置11bよって回収されるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣Pを後端側から押し動かして搬送するので、紙幣P自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣Pを折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣Pを空気流によって搬送することができる。また、搬送補助体16は紙幣Pに比べて効率よく空気流から推進力を得ることができるので、紙幣Pを効率よく搬送することができる。
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
図5は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の斜視図を、図6は、同部分の搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面形状を示す断面図である。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
搬送管12の直線部分の延設方向Fに垂直な断面の断面形状は、縦長の長方形の左右の側壁の中央部分が外側へ矩形に拡張した形状を成している。詳細には、搬送管12は、上下の壁部31と、左右の側壁部32と、左右の側壁部32の上下方向の中央部分において外側へ矩形に張り出した拡張部33とを備えている。なお、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向、左右方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向、上下方向)とする。X方向、Y方向それぞれにおいて搬送管12の中心に向かう方向を内側、中心から内壁へ向かう方向を外側と呼ぶものとする。なお、本実施の形態では、搬送管12をその断面における長辺が上下方向となる向きで使用するが、短辺が上下方向となる向きで使用されてもかまわない。
拡張部33は、搬送管12の内側方向へ立設された分離壁34によって上下2つに区切られている。分離壁34は拡張部33の内壁にT字型の部材を貼り付けて形成されている。
側壁部32には、搬送管12の内側方向へ突起した複数本のリブ35が搬送方向に沿って延設形成されている。本例では、側壁部32と拡張部33の境界部に搬送管12の内側へ突出するリブ35が搬送方向に沿って形成されている。分離壁34はリブ35と同じ高さになっており、分離壁34の頂部はリブとしての作用を果たす。
側壁部32は、搬送される紙幣Pの紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣Pは長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きで搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣Pの一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
搬送管12の上下の壁部31の間隔Dyは紙幣Pの短辺より僅かに長くされている。また、左右の側壁部32(リブ35や拡張部33、分離壁34が形成されていない部分(基準平面部とする))の間隔Dxは21ミリほどに設定されている。左右の側壁部32に設けられた拡張部33はそれぞれ側壁部32(基準平面部)よりも外側へ6ミリほど拡張している。リブ35および分離壁34の頂は、側壁部32(基準平面部)から内側へ約2ミリの高さになっている。リブ35の高さは適宜に設定すればよい。
図7は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は、上下対象な形状であり、上から順に、頭部16a、頭部よりやや径の小さい首部16b、頭部16aより径が大きい大径部16c、首部16bと同径であって上下の中央に位置する括れ部16d、大径部16c、首部16b、頭部16aを有して構成される。搬送補助体16は、軽量、丈夫であり、たとえば、プラスティックなどにより内部が空洞に形成される。なお、軽量、丈夫であれば、発泡スチロールや押出発泡ポリスチレンなどにより形成されてもよい。
図8は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を、内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が搬送補助体16の下流側へ至るのを防ぎ、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
紙幣Pは、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣Pの一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣Pが狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される。そうなると、狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣Pが側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
紙幣Pが強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣Pを押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣Pが張り付き吸着する力は小さくなり、円滑な搬送が実現される。
搬送補助体16が有する2つの大径部16cは、搬送管12の分離壁34に区切られた2つの拡張部33のそれぞれに係合する。本例では、拡張部33を分離壁34によって2つに区切ると共に、これらの拡張部33を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣Pの後端に搬送補助体16の大径部16cが適切に当接して安定した搬送力を与えることができる。また、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣Pが巻き込まれ難くなる。
また、搬送補助体16は、大径部16cを設けることで、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、大径部16cを設けて空気流の作用を効率的に受けるので、その分、頭部16aの径を小さくすることができる。頭部の径を小さくすることで、搬送管12内の対向する一対の側壁部32の間隔(幅(Dx))を狭くすることができ、紙幣Pの倒れを防ぐことができる。
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ35の存在により、紙幣Pが側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣Pと側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣Pが側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣Pはリブ35の先端部分で支持されるため、リブ35の周辺では側壁部32と紙幣Pとの間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。また分離壁34によって紙幣Pが支えられるので、紙幣Pが拡張部33の窪みに落ち込むことが防止される。
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ35や分離壁34の頂部は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣Pの通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣Pが搬送管12内で横倒れし難くなり、紙幣Pの姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ35を複数設けることで、紙幣Pの倒れを適切に防ぐと共に、紙幣Pの側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ35を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、大径部16cの径が最も大きいので、図4に示すように、この大径部16cが紙幣Pの後端に当接して押し動かすようになる。
島内紙幣搬送装置7の搬送管12は図4、図5に示すように、縦姿勢にされており、紙幣Pは島内紙幣搬送装置7の搬送管12内を、紙面を立てた姿勢で搬送される。遊技機島3においては、設置台数を多くするためにも、遊技球貸機4は正面の幅が狭く形成されるので、遊技球貸機4に設けられた紙幣投入口も、通常は、縦長にされ、該紙幣投入口に紙幣Pは紙面を立てた姿勢で挿入される。そのため、島内紙幣搬送装置7の搬送管12は、紙面を立てた縦姿勢のままで紙幣Pを遊技球貸機4から受け入れて、縦姿勢のまま搬送する。
主搬送装置8は、島内紙幣搬送装置7の搬送管12と同じ構造の主搬送管40を搬送路として有し(図2参照)、主搬送管40内に発生させた空気流で搬送補助体16を移動させ、この搬送補助体16で紙幣Pを後方から押して搬送する。主搬送装置8の主搬送管40は、上下方向への湾曲箇所を円滑に紙幣Pが移動できるように、図6のY方向が水平方向となる横姿勢に設置されている。
主搬送装置8は、金庫41の中に空気流発生装置14や搬送補助体挿入装置11a、分離回収装置11bを備えている。また主搬送管40の経路長が長くなるため、搬送路の途中に空気流を増強するためのブロア42等を備えている。主搬送装置8では、主搬送管40の往路の終端に、島内紙幣搬送装置7におけるターン部12bの代わりとして、中継装置44を設けてある。中継装置44は、主搬送管40の往路から到来する搬送補助体16を受け入れて一度保持した後、主搬送管40の復路に送り出す機能を果たす。また中継装置44は、主搬送管40の往路の終端から空気を吸引し、復路の始端へ空気流を送り出すことによって空気流を強める機能を果たす。
主搬送装置8の搬送路を構成する主搬送管40の復路の途中には、副搬送装置9によって搬送されてきた紙幣Pを主搬送管40内に取り込む取込装置45が設けてある。
副搬送装置9は、中継ボックス6に一時収納されている紙幣Pを中継ボックス6から繰り出し、これを上方の天井裏等に延設された主搬送管40の復路に設けられた取込装置45へ搬送する。副搬送装置9は、島内紙幣搬送装置7の搬送管12と同じ構造の副搬送管91を搬送路として備え、空気流で移動する搬送補助体16で紙幣Pを押し上げて搬送する。
なお、島内紙幣搬送装置7、主搬送装置8、副搬送装置9において紙幣Pを搬送する方式は、空気流と搬送補助体16を用いる方式に限定されるものではなく、たとえば、搬送ベルトで搬送する方式等、任意の方式で構わない。
次に、中継ボックス6について説明する。
図9は、中継ボックス6の内部を示す正面図である。中継ボックス6の中には、島内紙幣搬送装置7および副搬送装置9等の動作を制御する制御部23、中継ボックス6および遊技機島3内の各装置へ電源を供給する電源部24および搬送補助体挿入装置11a、分離回収装置11b、空気流発生装置14などが設置される。さらに、中継ボックス6内には、分離回収装置11bで分離回収された紙幣Pを一時的に収納する一時収納装置50、分離回収装置11bから排出された紙幣Pを一時収納装置50へ送り込む中間搬送部21、副搬送装置9の一部などが設けられている。中継ボックス6の下方には、副搬送装置9の副搬送管91に空気流を送り込む上昇空気流発生部92が設けてある。
一時収納装置50は、中間搬送部21から受け入れた縦姿勢の紙幣Pを横姿勢に変換した後、当該装置の収納部の下方へ搬送して一時収納すると共に、一時収納している横姿勢の紙幣Pを所定のタイミングで1枚ずつ副搬送装置9へ送り出す機能を備えている。
図10は、中継ボックス6の内部に設けられた一時収納装置50と副搬送装置9を示す斜視図である。図11は、図9のA-A断面における一時収納装置50と副搬送装置9を示す図である。
一時収納装置50は、紙面が垂直にされた縦姿勢で中間搬送部21から搬送されてきた紙幣Pを受け入れて、その紙面が水平な横姿勢に変換する姿勢変換部51と、横姿勢にされた紙幣Pを横姿勢のまま収納部52の底部へ搬送するエレベータ部53と、収納部52の底部にある横姿勢の紙幣Pを横姿勢のまま排出して外部へ繰り出す繰り出し搬送部54を備えている。
副搬送装置9は繰り出し搬送部54によって繰り出された紙幣Pを受け止め、その紙幣Pを、副搬送管91の下部で待機している搬送補助体16の直ぐ上の箇所で副搬送管91内に送り出す。その後、上昇空気流発生部92を作動させることで、副搬送管91内に上昇空気流が発生して搬送補助体16が上昇し、該搬送補助体16に下方から押されて紙幣Pが副搬送管91内を上昇する。そして、副搬送管91の上端に搬送された紙幣Pは主搬送装置8の取込装置45に到達して取り込まれる。
図12は姿勢変換部51を示す斜視図であり、図13は姿勢変換部51の正面図、図14は姿勢変換部51が縦姿勢と横姿勢に回動する様子を示す図である。姿勢変換部51は、内側が向き合うようにして所定方向に延設された断面コの字型の一対の支持腕51aと、これら一対の支持腕51aの同じ側の端部を繋いでこれらを支持する基部51bを備えている。姿勢変換部51は、一対の支持腕51aの内側で紙幣Pの両部端を支持することで、中間搬送部21から受け入れた紙幣Pを保持する。姿勢変換部51は縦姿勢で待機しており、図12に示すように、中間搬送部21から搬送されてきた縦姿勢の紙幣Pをその縦姿勢のまま受け入れる。対向する支持腕51aと支持腕51aの間の空間は、後述する押さえ板71の通過可能な貫通部51cになっている。また、姿勢変換部51は、図13に示すように縦姿勢の時に下になる方の支持腕51aの両端から突出して設けられた軸穴51dを中心に回動することで、縦姿勢と横姿勢に変位する。
エレベータ部53は、紙幣Pを下方(搬送方向下流側)から支持するための受け部60と、受け部60との間に紙幣Pを挟んで保持する押さえ部70と、これらを収納部52内で上下に移動(昇降)させる移動機構56を有する。
図15は、押さえ部70を斜め上方から見た斜視図であり、図16は、押さえ部70を斜め下方から見上げた斜視図である。押さえ部70は、姿勢変換部51の貫通部51cを通過可能な細長い押さえ板71と、押さえ板71の先端から突出して設けられた押さえローラ72と、押さえ板71の下面に貼られたシート状で弾性体(ゴムなど)からなる弾性シート73と、押さえ板71の上面に設けられたシャッタ開閉ブロック74と、移動機構56の第1ガイドレール56a(図10参照)が通される軸受75aの設けられた昇降軸受部75と、昇降軸受部75から延設されて押さえ板71を昇降軸受部75から所定距離を開けて昇降軸受部75と平行に支持する支持腕76を備えている。シャッタ開閉ブロック74は、表面が滑らで耐摩耗性のある樹脂(例えばポリアセタール樹脂)で形成される。押さえローラ72の下端は、弾性シート73より下方に出ている。
押さえ部70は、上方から見て全体として略コの字型を成しており、そのうちの平行な2辺を昇降軸受部75と押さえ板71が成し、支持腕76はこれらを繋ぐ辺になっている。
移動機構56の第1ガイドレール56aは収納部52の側壁の外側に沿って上下に延設されており(図10参照)、この第1ガイドレール56aに取り付けられた昇降軸受部75も収納部52の側壁の外側に沿って昇降する。昇降軸受部75に支持腕76で支持された押さえ板71は収納部52の幅方向の中央を昇降する。横姿勢の姿勢変換部51と押さえ部70は図17に示すような位置関係にあり、押さえ部70を昇降させたとき、押さえ板71は横姿勢の姿勢変換部51の貫通部51cを通過する。
次に、エレベータ部53の受け部60について説明する。
図18は受け部60を斜め上方から見た斜視図、図19は受け部60を斜め下方から見た斜視図である。受け部60は、紙幣Pの両端部を保持するように、互いの間を開けて紙幣の長手方向に沿って平行に延設された一対の受け板61と、一対の受け板61の間を塞ぐ開閉可能なシャッタ62とを有する。一対の受け板61の間の空間は、押さえ部70の押さえ板71が通過可能な開口部65となっている。
図20はシャッタ62を下向きに開いた状態の受け部60を示す斜視図、図21はシャッタ62を上向きに開いた状態の受け部60を示す斜視図、図22はシャッタ62が閉じた状態の受け部60を示す正面図、図23はシャッタ62が下に開いた状態の受け部60を示す正面図、図24はシャッタ62が上に開いた状態の受け部60を示す正面図である。
一対の受け板61は、一方の端部で接合板61dによって接合されて一体にされている。各受け板61は、細長矩形の平面部61aと、該平面部の一方の長辺端部から下方に延設された垂下壁61bを有し、一対の受け板61は垂下壁61bが互いの内側で対向する向きで平行に配置される。垂下壁61bの下端内側(開口部65の内側となる面)には、該垂下壁61bの下端に沿って延設された略断面矩形で棒状の押さえブロック63が設けてある。押さえブロック63の下端面は垂下壁61bの下端より下方へ若干進出しており(もしくは同一でもよい)、該押さえブロック63の下端面が受け部60の下端となっている。押さえブロック63は表面が滑らかな樹脂(例えばポリアセタール樹脂)で形成されている。押さえブロック63の下端面は、繰り出し搬送部54が紙幣を送り出す紙幣送出側(接合板61dのもうけられている側)の端部近傍で該端部に向けて斜め上向きに傾斜している(図19参照)。接合板61dの下端は、押さえブロック63の紙幣送出側の端部の下端より上方の位置で終端し、紙幣Pの送り出しを阻害しないようになっている。
また、一方の垂下壁61bの外側面から外側に突出して、移動機構56の第2ガイドレール56b(図10参照)が通される軸受穴64aの設けられた昇降軸受腕64が設けてある。移動機構56の第2ガイドレール56bは収納部52の第1ガイドレール56aと反対側の側壁の外側に沿って上下に延設されており(図10参照)、昇降軸受腕64は収納部52の側壁に設けられた縦長穴を通して該側壁の外側に進出してその軸受穴64aが第2ガイドレール56bに挿通される。
シャッタ62は、受け板61の平面部61aに載置するように設けられた両開きの扉62aで構成される。シャッタ62は、一対の受け板61の幅方向中央を境にして開く。シャッタ62の各扉62aはその裏面に設けた軸受66が、受け板61の垂下壁61bの上端近傍の内側(開口部65の内側となる面)に設けられた回転軸67に挿通されて回動可能に軸支される。シャッタ62の各扉62aは、受け部60の長手方向の中央所定範囲において受け板61の平面部61aの外側端(垂下壁61bの無い側の端部)の近くまで広がるように幅広にされている(図18参照)。シャッタ62の各扉62aは、表面が滑らかな樹脂(例えばポリアセタール樹脂)で形成されている。
シャッタ62は、図18、図22に示すように、通常は閉じた状態になるようにバネで付勢されている。シャッタ62は、押さえ板71が上から下へ開口部65を通過する際に図20、図23、図25に示すように下向きに開き、押さえ板71が下から上へ開口部65を通過する際に図21、図24、図26に示すように上向きに開く。
図27は、収納部52の底部に設けられる繰り出し搬送部54を示している。繰り出し搬送部54は、収納部52の底部を成す平板状の搬送ステージ81を有する。搬送ステージ81の一端部(紙幣送出側)には該搬送ステージの長手方向に細長い切欠きが設けてあり、該切欠きの中に該切欠きの長手方向に張られた搬送ベルト82が、搬送ステージ81から収納部52内へやや出るようにして設けてある。さらに繰り出し搬送部54は、搬送ベルト82が収納部52の底部から繰り出した紙幣Pを挟持してさらに外部へと排出する排出ローラ83等、および搬送ベルト82や排出ローラ83等を回転駆動する駆動部を備えて構成される。
図28、図29は、収納部52の底部にある紙幣Pを繰り出すときの位置にある押さえ部70と搬送ステージ81を示している。図30は、図29のA-A断面である。図29に示すように、収納部52の底部にある紙幣Pを繰り出すとき、押さえ部70の押さえ板71の底面に貼り付けられた弾性シート73は搬送ステージ81から若干離れており、押さえローラ72は搬送ベルト82との間に紙幣Pを挟持する。収納部52の底部から紙幣Pを繰り出すとき、実際には、図31に示すように、受け部60も収納部52の底部近傍まで下降する。この位置を紙幣調整位置とする。紙幣調整位置にあるとき受け部60の下端(押さえブロック63の下端面)は搬送ステージ81より若干上に離れている。紙幣Pを収納部52の底部から送り出すとき、押さえ板71の底面の弾性シート73や押さえブロック63の下端面は、紙幣Pを搬送ステージ81や搬送ベルト82に向けて押圧するが、紙幣Pの上向きカールを軽減する程度に紙幣Pに接触し、紙幣Pを搬送ステージ81との間に強く挟持することはない。収納部52に複数の紙幣Pが重なって収納されているときには、その積み嵩まった紙幣Pの高さに応じて紙幣調整位置は上昇する。
次に、一時収納装置50による紙幣Pの搬送動作について説明する。
図32は、姿勢変換部51が中間搬送部21から送られて来る紙幣Pを待機する初期状態を示している。姿勢変換部51は縦姿勢であり、押さえ部70は、姿勢変換部51より高い位置(姿勢変換部51が横姿勢に変位する際に衝突しない程度に高い位置)にある。受け部60は収納部52の底部に位置している。このとき受け部60の下端(押さえブロック63の下端面)は搬送ステージ81に接触することなく搬送ステージ81から少し離れている。またシャッタ62は閉じている。
図33は、中間搬送部21から姿勢変換部51が紙幣Pを縦姿勢で受け入れて収納した状態を示している。受け部60は横姿勢に回動した姿勢変換部51の直ぐ下方となる受け止め位置まで上昇して停止する。
その後、図34に示すように姿勢変換部51は紙幣Pを保持したまま回動して横姿勢になる。次に、図35に示すように、押さえ部70が降下して姿勢変換部51の貫通部51cを通過する。このとき、姿勢変換部51に両端部を保持されていた紙幣Pが姿勢変換部51から離脱して受け部60の上に落下してシャッタ62の閉じた受け部60に受け止められる。押さえ部70が受け部60の直前まで下降して受け部60と押さえ部70との間に紙幣Pを挟持する状態になると、その後は、この間隔を保ったまま押さえ部70と受け部60が一体となって同時に同方向へ移動する(この例では下降する(図36参照))。
そして、受け部60が紙幣調整位置に到達したら(図37)、受け部60はその位置で停止し、押さえ部70はさらに下降し、シャッタ62を下へ押し開きながら受け部60の開口部65の中を下降する(図38)。
このとき、紙幣Pは、押さえ部70の押さえ板71の下面に貼り付けられた弾性シート73およびシャッタ62の扉62aに沿って湾曲する。押さえ部70は、搬送してきた紙幣Pを押さえローラ72と搬送ベルト82との間に挟持する位置で下降を止めて停止する。このとき紙幣Pはその両端部がまだ受け部60のシャッタ62に保持された半離脱状態にある。また、このタイミングで姿勢変換部51は縦姿勢に戻る。
図39は、図38に示す位置における受け部60、押さえ部70および繰り出し搬送部54を示している。
シャッタ62の扉62aは表面が滑らかな樹脂で形成されているので、紙幣Pは、シャッタ62の上を滑りやすく、押さえ板71が受け部60の開口部65を通る際にスムースに受け部60から離脱することができる。特に、シャッタ62の扉62aの長手方向中央の所定範囲を幅広にしてあるので、シャッタ62が紙幣Pの幅方向の端部まで接触し、紙幣Pはこの斜めになったシャッタ62の扉62aに沿って変形し、該シャッタ62の扉62aに沿って円滑に離脱することができる。
また、押さえ板71の下面には弾性シート73が貼り付けてあるので、紙幣Pとの間の摩擦力が強く、滑らずに紙幣Pを押すことができ、受け部60から紙幣Pを離脱させるときに、紙幣Pが思わぬ方向へズレてしまうといったことがなく、紙幣詰まりが防止される。
なお、押さえブロック63は、図38に示すように、シャッタ62の扉62aの外側に当接して、シャッタ62の最大開度を規制する機能を果たす。
次に、押さえ部70の押さえローラ72と搬送ステージ81側の搬送ベルト82との間に紙幣Pを挟持している状態のままで、受け部60を、少なくとも押さえ部70がシャッタ62から外れて、シャッタ62がバネで閉じる位置まで上昇させる(図40参照)。これにより、紙幣Pは完全に受け部60から離脱する。紙幣Pは押さえローラ72と搬送ステージ81側の搬送ベルト82との間に挟持されたままなので、図38の状態のときの影響で上向きにカールしていることが多い。
そこで、押さえ部70を僅かに上方させて、押さえローラ72と搬送ステージ81側の搬送ベルト82とによる紙幣Pの挟持を一旦解除する(図41参照)。これにより、紙幣Pのカールが緩やかになる。
その後、受け部60を紙幣調整位置まで下降させ、押さえブロック63の下端面で紙幣Pのカールを抑える。また、押さえローラ72が搬送ステージ81側の搬送ベルト82との間に再び紙幣Pを挟持する位置まで押さえ部70を下降させる(図42参照)。図43、図44は、この状態における受け部60、押さえ部70および繰り出し搬送部54を示している。
図44に示すように、紙幣Pは押さえ部70の押さえローラ72と搬送ステージ81側の搬送ベルト82との間に挟持されている。押さえ板71の下面の弾性シート73は、上記の紙幣Pに強く接触しない程度に搬送ステージ81から離れた位置にある。
この状態で繰り出し搬送部54の搬送ベルト82や排出ローラ83を駆動することで、紙幣Pは収納部52の底部から排出されて副搬送装置9へ送り出される(図45参照)。
紙幣Pを排出し終えたら、押さえ部70を上昇させ、受け部60の開口部65を下から上に通過させる。このとき図46、図47に示すように、押さえ部70のシャッタ開閉ブロック74がシャッタ62に当接してシャッタ62を上に押し開ける。
押さえ部70が受け部60の開口部65を下から上に通過してシャッタ62が閉じたら、押さえ部70が受け部60より上となった位置関係を保ちながら押さえ部70と受け部60の双方を上昇させる。受け部60は、図33と同じ受け止め位置で停止し(図48参照)、押さえ部70はさらに上昇して図32と同じ初期状態の位置に到達したら停止する(図49参照)。
次に、図40の状態から受け部60を降下させる際の紙幣の巻き込み防止について説明する。
受け部60の下端の押さえブロック63が無い構成では、紙幣Pのカールが強い場合は、図50に示すように、受け板61の垂下壁61bの内側にカールした紙幣Pの端部を巻き込んでしまう。このため、受け部60を紙幣調整位置まで下降させても、垂下壁61bの下端で紙幣Pのカールを抑え込むことができなくなり、副搬送装置9へ紙幣Pを円滑に送ることができなくなる。
これに対して、本実施の形態のように垂下壁61bの下端に押さえブロック63を取り付ければ、図51(a)に示すように、受け部60を紙幣調整位置へ下降させる際に、カールしている紙幣Pの端部が押さえブロック63の下端面に接触して外側へ押し出されるため、図51(b)、(C)に示すように、垂下壁61bの内側に紙幣Pが巻き込まれることはない。その結果、強くカールした紙幣Pであっても受け部60の下端(押さえブロック63の下端面)で紙幣Pのカールを抑え込むことができ、副搬送装置9へ紙幣Pを円滑に送り出すことができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、受け部60と押さえ部70で挟持した状態で紙幣Pを下方に搬送する例を示したが、挟持した状態を維持して受け部60と押さえ部70を移動させる方向は、下方に限定されず任意の方向でよい。たとえば、水平に搬送してもよい。
実施の形態では受け部60に設けたシャッタは、押さえ部70の押さえ板71等によって押し開かれる構成であったが、たとえば、電動のシャッタとし、制御部23がシャッタを開いたり閉じたりするタイミングを(押し開く場合と同様となるように)制御してもよい。また、実施の形態では回動して開閉するシャッタを例示したが、スライド開閉式のシャッタ等であってもよい。スライド式の場合、電動シャッタにすればよい。回動式、スライド式のいずれにせよ、シャッタは両開きであることが望ましいが、片開きが本発明から排除されるものではない。両開きにすれば左右両端部を同じタイミングで紙幣Pを離脱させることができる。
実施の形態では、中継ボックス6内に一時収納装置50を設けたが、一時収納装置50のみを独立した紙葉類搬送装置として構成してもよい。また、実施の形態では、一時収納装置50は、縦姿勢で搬送されてきた紙幣Pを受け入れ、横姿勢に変換して送り出したが、横姿勢で搬送されてきた紙幣Pを受け入れ、これを縦姿勢に変換して送り出す装置として構成されてもよい。さらには、姿勢変換部51を備えず、姿勢変換の機能を具備しない搬送装置として構成とされてもよい。
実施の形態で示した島内紙幣搬送装置7、主搬送装置8、副搬送装置9は一例であり、紙幣Pの搬送方式等は例示したものに限定されない。
遊技機島3は、実施の形態で例示したパチンコ機と遊技球貸機を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。
実施の形態では紙葉類として紙幣を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類回収搬送システム1の設置場所は遊技場に限定されず、他の施設でもかまわない。