JP7334656B2 - モータの制御装置 - Google Patents
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Description
この構成によれば、プラントに存在する慣性、粘性およびばね(剛性)の影響を打ち消すことが可能である。このため、目標角度に対する実角度の追従性能を確保することができる。
図1に示すように、EPS10は、ステアリングホイール11と転舵輪12,12との間の動力伝達経路として機能するステアリングシャフト13、ピニオンシャフト14および転舵シャフト15を有している。転舵シャフト15は車幅方向(図1中の左右方向)に沿って延びている。転舵シャフト15の両端にはタイロッド16,16を介して転舵輪12,12が連結されている。ピニオンシャフト14は、転舵シャフト15に対して交わるように設けられている。ピニオンシャフト14のピニオン歯14aは、転舵シャフト15のラック歯15aに噛み合わされている。ステアリングホイール11の回転操作に連動して転舵シャフト15が直線運動する。転舵シャフト15の直線運動がタイロッド16を介して左右の転舵輪12,12に伝達されることにより、転舵輪12,12の転舵角θwが変更される。
図2に示すように、制御装置50は、ピニオン角演算部61、指令値演算部62、および通電制御部63を有している。
図3に示すように、指令値演算部62は、加算器70、目標操舵トルク演算部71、トルクフィードバック制御部72、目標角度演算部73、角度フィードバック制御部74、および加算器75を有している。
ただし、「J」はEPS10の慣性モーメントをモデル化した慣性係数である。「C」はEPS10の摩擦などをモデル化した粘性係数である。「K」はEPS10が搭載される車両のサスペンションおよびホイールアライメントなどの仕様をばねとみなしてモデル化したばね係数である。
図4に示すように、角度フィードバック制御部74は、フィードバック制御部81、フィードフォワード制御部82、外乱オブザーバ83、および加算器84を有している。
フィードフォワード制御部82は、実際の制御対象であるプラントPを模擬したモデルであるノミナルプラントPnの逆モデル1/Pnを有している。すなわち、フィードフォワード制御部82は「1/Pn」を補償する。ここでは前述したように、ノミナルプラントPnにおいて慣性系のみが適用されている場合を例に挙げて検討する。この場合、ノミナルプラントPnの伝達関数は「1/Js2」となる。また、フィードフォワード制御部82の伝達関数は「Js2」となる。
Tlde=α・Tld ………(B1)
α=ω3/(s+ω)3 …(B2)
ただし、「ω」は周波数である。
図5(a)のブロック線図において外乱オブザーバ83によってプラントPが完全に補償されると仮定した場合、図5(b)のブロック線図に示すように実際のプラントPをノミナルプラントPneに置き換えることができる。ただし、ノミナルプラントPneは、外乱オブザーバ83により推定される外乱によって車両に搭載された状態のプラントPが完全に補償されると仮定した場合において、車両に搭載された状態のプラントPを完全に模擬したモデルである。
θp=P・T2 ………………(C1)
T2=Tfb-Tlde …………(C2)
図5(b)のブロック線図から次式(C3)が導出される。
フィードバック制御トルクTfbからピニオン角θpまでの伝達関数は、先の式(B1),(B2)および式(C1),(C2),(C3)に基づき、次式(D1)で表すことができる。
したがって、完全に補償されたプラントP′の伝達関数は次式(D2)で表される。
P′=1/{(1/P)・(1-α)+α/Pne}
=1/{(Js2+Cs+K)・(1-α)+Js2・α}…(D2)
ただし、「J」はEPS10の慣性モーメントをモデル化した慣性係数である。「C」はEPS10の摩擦などをモデル化した粘性係数である。「K」はEPS10が搭載される車両のサスペンションおよびホイールアライメントなどの仕様をばねとみなしてモデル化したばね係数である。
1/P′=(1/P)・(1-α)+(1/Pne)・α
=(Js2+Cs+K)・(1-α)+Js2・α……(D3)
したがって、フィードフォワード制御部82に先の式(D3)で表される完全に補償されたプラントP′の逆プラント1/P′を模擬したモデルを持たせることによって、目標ピニオン角θp *からピニオン角θpまでの伝達関数は、次式(D4)で示されるように「1」となる。
フィードフォワード制御部82の具体的な構成は、つぎの通りである。
図6に示すように、フィードフォワード制御部82は、演算部82Dおよびローパスフィルタ82Cを有している。演算部82Dは、外乱トルクが完全に補償された車載状態のプラントP′の逆プラント1/P′を模擬した式(D3)で表されるモデルを有している。演算部82Dは、式(D3)で表されるモデルを使用して目標ピニオン角θp *に応じたフィードフォワード制御トルクTffを演算する。ローパスフィルタ82Cは、演算部82Dにより演算されるフィードフォワード制御トルクTffに対してフィルタリング処理を施す。
(1)フィードフォワード制御部82は、外乱オブザーバ83により外乱トルクが完全に補償された車載状態のプラントP′を模擬したモデルの逆モデルを使用してフィードフォワード制御トルクTffを演算する。このフィードフォワード制御トルクTffを使用することにより、目標ピニオン角θp *に対するピニオン角θpの追従性能を確保することができる。
つぎに、モータの制御装置をステアバイワイヤ方式の操舵装置に適用した第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部材および構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を割愛する。
図8に示すように、制御装置100は、操舵角演算部101、指令値演算部102、および通電制御部103を有している。
指令値演算部102は、操舵トルクTh、車速Vおよび操舵角θsに基づき操舵反力指令値Tr *を演算する。指令値演算部102は、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが遅いほど、より大きな絶対値の操舵反力指令値Tr *を演算する。指令値演算部102は、操舵反力指令値Tr *を演算する過程でステアリングホイール11の目標操舵角θs *を演算する。
角度フィードバック制御部105は、先の図4に示される第1の実施の形態の角度フィードバック制御部74と同様の処理機能を有している。角度フィードバック制御部105は、指令値演算部102により演算される目標操舵角θs *を目標ピニオン角θp *として取り込む。また、角度フィードバック制御部105は、ピニオン角演算部61により演算されるピニオン角θpを取り込む。角度フィードバック制御部105は、実際のピニオン角θpを目標ピニオン角θp *(ここでは、目標操舵角θs *に等しい。)に追従させるべくピニオン角θpのフィードバック制御を通じてピニオン角指令値Tp *を演算する。通電制御部63は、ピニオン角指令値Tp *に応じた電力を転舵モータとしてのモータ21へ供給する。これにより、モータ21はピニオン角指令値Tp *に応じた角度だけ回転する。
図3に括弧書きの符号を付して示すように、指令値演算部102は、基本的には第1の実施の形態の指令値演算部62と同様の処理機能を有している。ただし、指令値演算部102は、下記の点において第1の実施の形態の指令値演算部62と異なる。
<他の実施の形態>
なお、第1および第2の実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
つぎに、第1および第2の実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記モータは、操舵を補助するための力であるアシスト力または転舵輪を転舵させるための力である転舵力の発生源であること。
50,100…制御装置
81…フィードバック制御部(第1の処理部)
82…フィードフォワード制御部(第2の処理部)
82C…ローパスフィルタ
82D…演算部
83…外乱オブザーバ(第3の処理部)
84…加算器(第4の処理部)
Claims (3)
- 車両の転舵輪を転舵させるプラントの駆動源であるモータの制御装置であって、
前記転舵輪の転舵角に換算可能な角度を目標角度に追従させるフィードバック制御の実行を通じて前記モータに発生させるフィードバック制御トルクを演算する第1の処理部と、
前記目標角度に応じて前記モータに発生させるフィードフォワード制御トルクを演算する第2の処理部と、
前記プラントを模擬したモデルを使用して前記モータに発生させるトルク以外に前記転舵角に換算可能な角度に影響を及ぼす外乱トルクを演算する第3の処理部と、
前記フィードバック制御トルクに前記フィードフォワード制御トルクを加算した値から前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクを減算することによって前記モータに発生させるトルクを補正する第4の処理部と、を有し、
前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントを模擬したモデルの逆モデルを使用して前記フィードフォワード制御トルクを演算するモータの制御装置。 - 前記第3の処理部により演算される外乱トルクは3次以上の多次遅れ系の外乱トルクであることを前提として、
前記第2の処理部は、前記外乱トルクが補償された車載状態の前記プラントの逆モデルを使用して前記目標角度に応じた前記フィードフォワード制御トルクを演算する演算部と、
前記演算部により演算される前記フィードフォワード制御トルクに対してフィルタリング処理を施すフィルタと、を有し、
前記フィルタの次数は、前記第3の処理部により演算される前記外乱トルクの次数と同じ次数に設定されている請求項1に記載のモータの制御装置。 - 前記外乱トルクが補償された前記プラントを模擬したモデルは、慣性項、粘性項およびばね項を含んでいる請求項1または請求項2に記載のモータの制御装置。
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