JP7333898B2 - 弦楽器 - Google Patents

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Description

楽器の構造、製造方法等に関わる技術について示す。
人々は、従来から音楽という文化的活動を楽しむために、様々な楽器を演奏してきた。楽器の中には様々な種類のものが存在するが、例えば、管楽器、打楽器、鍵盤楽器などが広く演奏されている。同じように広く演奏されている種類の楽器に弦楽器がある。弦楽器は弦を振動させることにより音を生成し、その振動音は管楽器等の他の種類の楽器とは異なる音色を持つため、人々はその弦楽器特有の音色を楽しんできた。代表的な弦楽器には、ギター、ウクレレ、バイオリン、チェロ、琴などがある。これらの弦楽器は複数の弦を有するが、演奏者はこれらの弦を弾いたり擦ったりすることで振動させて音を鳴らすことにより様々な音楽を奏でることができる。これらの楽器はいずれも持ち運ぶことは可能であるものの、その物理的サイズが大きいことから携帯性・搬送性をはじめとする複数の問題があった。本発明の目的は、このような問題を解決することが可能な弦楽器を提供することにある。
特願2009-541637「旅行用弦楽器システム」 文献1にはギターの携帯性を向上させるために折り畳み型のギターに関する構造が示されている。
実願平7-8844、「携帯用一弦楽器」 文献2には携帯して演奏することを目的にした一弦楽器の構造が示されている。
「ギターの名器と名曲」濱田滋郎、村治佳織著、ナツメ社、2011年/5月非特許文献1の第52ページには広く知られた弦楽器であるギターの構造が記述されている。複数の弦がボディ(胴)とネック(棹)にまたがるように張られており、演奏者はボディ部の弦が張られた面の上部で指により弦を弾くことにより演奏を行う。演奏者が(利き手が右手の場合)左手の指で弦を押さえるところのネックと比べてボディはより大きなサイズとなるように構成されている。糸巻きは、ネックの先についている。
「世界の民族楽器図鑑」民音音楽博物館監修、河出書房新社、2018年/7月非特許文献2の第25ページには、一弦琴と呼ばれる楽器の構造が示されている。通常の琴同様に床に置いて演奏するために胴が台座に設置された構造であり、そのサイズは大きく(100cm以上)、本楽器を片手で保持して演奏するものではない。また、弦を楽器に押し付けて演奏されるものでもない。
従来の弦楽器(例えば非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、特許文献2に示されるような弦楽器)はその物理的サイズが大きいために携帯性や搬送性が損なわれていた。例えば、先行技術文献に示されるようなギター、ウクレレ、琴を携帯しようとすれば、長さ、幅、深さ方向において、それぞれ比較的大きなサイズのケースを用意し、その中に楽器を収納して携帯することが一般的である。物理的に大きなサイズの本体を有し、大きなサイズのケースに収納され、その重量も大きいという特徴を有する弦楽器を携帯・搬送しようとすれば、体力的な負担が大きいことはもとより、楽器以外に同時に持ち運べる荷物の数や大きさにも制限が生じてしまうという問題があった。さらに、移動手段としての乗り物(例えば自転車、自動車、バスなど)に積載したり持ち込んだりすることが難しいといった問題もあった。また、サイズの大きな楽器は家屋内に保管する場合にも広い空間を占有し、広い空間を有しない家屋での保有は難しいという問題もあった。このような理由によって、弦楽器を気軽に携帯・搬送・保管して演奏を楽しむといったことが難しいという問題が存在していた。
同様の他の一例を考えれば、小学生などの学生が音楽の学業を行う目的で楽器を携帯する場合、ランドセル等の所持物を入れるためのバッグとともに、あるいはそのバッグの中に入れて、当該楽器を運べることが望ましい。従来の弦楽器であるギター、琴などはボディ構造、あるいは内部空洞などを持つためどうしてもサイズが大きくなり、上述したような状況において所持物を入れるためのバッグとともに、あるいはそのバッグの中に入れてこれを持ち運ぶことは困難であった。また、ギター等における曲面的な構造(例えば非特許文献1、特許文献1)や琴等における台座構造(例えば非特許文献2、特許文献2)はこのような所持物を入れるバッグへの収納性に向いた小型化を困難にしていた。したがって、小学校等の音楽教育において学生個々人が弦楽器を所有して自宅と学校との間で持ち運びを行い、その演奏方法を練習するといったことは難しかった。
同様に他の一例を考えれば、楽器の製造者が多数の楽器を製造後に遠地に運ぶ場合、トラック、船、飛行機等の輸送手段に楽器を積載し運ぶ必要がある。この際、楽器の物理的なサイズが大きいと輸送手段(トラック、船、飛行機等)に積載できる楽器の数が少なくなり、1台の楽器当たりで見た場合の輸送コストが高くなってしまうという問題があった。たとえ楽器を製造する業者が楽器自体の製造方法を工夫してそのコストを下げることができた場合であっても、輸送コストに関しては変わらないため、製造・輸送を含めた上での楽器一台あたりの総コストは容易に下げられないという問題があった。
一方、携帯・搬送性を向上させるために単に弦楽器の物理的なサイズを小さくしようとしても、これは必ずしも問題の解決にはならない。そこでは、演奏性が低下するといった問題、あるいは、音の安定性を確保できないといった問題が生じる。例えば、ギターやウクレレのサイズを等比的に1/n倍に縮小した場合を考えてみる。ここで、携帯性・搬送性に関して上述したような場面での問題を解決するためには、持ち運びが便利なようにnは少なくとも2から3以上の大きさが必要であることに留意する必要がある。この場合、複数の弦の相互空間的な間隔は本来のサイズの1/n倍になってしまい、人がその楽器を演奏する際に複数の弦を引き分けるといったことが本来の(縮小する前の)弦楽器と比べてはるかに難しくなってしまい、演奏性が著しく損なわれてしまうという問題がある。また、一つの弦に着目しても従来の楽器の音階差を決定するフレット間隔も1/nになってしまい、この狭い間隔に指を挿入することが難しくなり演奏性が損なわれるという問題もあった。
さらに、従来の弦楽器のサイズを単に縮小した場合には演奏の難度が上昇するにとどまらず、音の安定性の問題も生じる。なぜなら、弦楽器を1/nに縮小した場合には弦長も1/nになってしまうため、弦が同一張力で張られる条件においては音程が著しく高くなってしまう。仮にこれを本来の音程に補正しよう(戻そう)とすれば、弦の張力を相当に下げなければならなくなる。しかしながら、弦の張力が低いと音程を安定に保つことが困難となり、その結果、演奏する楽曲の表現力に深刻な影響を与えてしまうという問題が生じる。また、演奏者が弦を弾く際の適切な力が通常の楽器のそれよりも相当に小さくなるため演奏が難しくなるという問題もある。
従来技術(特許文献1)には携帯性を高めるために折り畳み式のギターに関する技術が公開されている。折り畳み型のギターは、携帯にとって障害となる長さ方向の短縮化に効果的であるため、携帯性が改善されるという特徴がある。しかしながら、折り畳み式であっても全体の重量は変わらないため、依然、重さに関する携帯・搬送性の難点を解決することができないという問題がある。また、ギター等を折り畳むと、折り畳み点での構造が材質上の非連続点となり、これが弦の共鳴振動に影響を与えてしまい本来の楽器の音質から劣化してしまうという問題もある。さらに、折り畳み点が存在すると、その部分が構造上の弱部となってしまう場合が多く、木材で一体形成された楽器よりも壊れやすいといった問題もあった。また、折り畳み点の構造は工夫されたものであるものの、その実現には製造コストがかかるという問題もあった。
さらに、非特許文献1や特許文献2に示されるような構造を持つ従来の弦楽器は大きなボディや空洞を持つ構造によって弦を弾いたときの音が大きくなるという特徴がある。ところが、夜間に弦楽器を練習する場合など、状況によっては音を大きくしたくない場合も存在する。しかしながら、従来の弦楽器では状況に応じて音を小さくするといったことが難しいという問題もあった。消音器等をつけることにより音を小さくできる場合もあるが、楽器以外に別途これらを用意するためのコストが必要となる。また、楽器以外にこれらの機器を保管・管理する手間が煩わしいという問題もあった。
上記のように、従来の弦楽器が抱える複数の問題が存在する中、本発明が解決しようとする課題は、携帯性と搬送性を高めると同時に、演奏性低下の問題、音の不安定性の問題、音質劣化の問題、壊れ易さの問題、製造コスト上昇の問題、音量を小さくできない問題、といった複数の問題を同時的に解決できる弦楽器を提供することにある。
上記「発明が解決しようとする課題」において記載したような課題に対し、請求項1または請求項2に示す本発明では以下のような特徴を有する弦楽器(図1)を提供することでその課題を解決する。すなわち、本発明の弦楽器は、1本の弦(102)を張ることができる直方体状の本体構造を有する弦楽器(101)であって、直方体が有する面のうち弦が張られる面において弦が張られる方向でありかつ直方体状の最長辺でもある本体部の長さ(103)が200mm以上600mm以下であり、弦が張られる面において上記最長辺以外の辺であるところの幅(104)が10mm以上30mm以下であり、弦が張られる面に対し垂直方向にある辺であるところの深さ(105)が10mm以上50mm以下であり、上記本体部には楽器全体を指で保持するための保持部(106)を有し、また、1本の弦が張られる台となる2つの支持台(107、108)を有し、当該2つの支持台に載せられる弦の片方が本体部の弦固定部(109)に固定される仕組みを有し、また弦の他の片方はその弦の張力を変えるための弦巻部(110)に収納される仕組みを有する。
本発明の弦楽器が携帯性と搬送性の課題を解決する理由は以下のようなものである。まず、本発明の弦楽器では、搭載する弦の数を1本のみに限定する。これは、ギターやウクレレのように複数の弦を搭載するとそれら複数の弦の搭載に必要となる土台であるところの本体のサイズがそれだけ大きくなり、また重量もそれだけ重くなってしまうから携帯性と搬送性を損なうことになるからである。弦の数を1本のみに限定することによって、このような弦の搭載土台となる本体の物理的サイズの縮小や重量の軽減が可能となる。なお、1本の弦は、直方体状の本体に存在する6個の面のうちの一つの面に固定された二つの支持台の上に張られる。なお、本書類では、この一つの面を“弦が張られる面”と呼んでいる。
また、ギターやウクレレ等の構造で一般的に見られるネックとボディとによる構成は取らず、直方体状の一体型の本体構造をとる。これは、楽器の構造として、ネックと別に分けられた大きなボディを有する構造をとると楽器全体の物理的サイズがどうしても大きくなってしまうという問題がある上に、その部位別に異なる形状が原因で箱等に収納する際に実体積以上の空間が占有されてしまうという問題があるためである。すなわち、本発明の弦楽器は、ほぼ直方体状の構造をとることで、大きなボディを排除してサイズを小さくし、また、実体積よりも相当に大きい空間を収納箱が占有しないように工夫されている。さらに、このようなボディとネックを分けた構造では接続部において弦振動の共鳴の不連続が生じることで音質への影響が生じてしまうが、本発明の弦楽器における直方体状の一体型構造では、そのような問題も回避することができる。なお、本発明の弦楽器の本体は、直方体状の形状であって演奏時の保持に問題がなければ、厳密に直方体でなくともよい。例えば、角部の丸み付け等の加工や部品取り付けのための一部の切り出し等により厳密な直方体でなくなる場合があるが、それらも本発明の弦楽器に含まれるものであることは言うまでもない。
さらに、本発明の弦楽器は、その土台となる本体の物理的サイズについても工夫を行う。まず、弦が張られる面において弦が張られる方向でありかつ直方体状の最長辺でもある本体部の長さ(103、L)を200mm以上600mm以下となるように本体一部のサイズを限定する。そして、次に弦が張られる面において上記最長辺以外の辺であるところの幅(104、W)が10mm以上30mm以下となるように本体一部のサイズを限定する。さらに、弦が張られる面に対し垂直方向にある辺であるところの深さ(105、D)が10mm以上50mm以下となるように本体一部のサイズを限定する。
以上のように長さ、幅、深さのサイズに対して限定を行う理由は本弦楽器の典型的な演奏形態(第1の典型的な演奏形態)と関係するものである。本楽器の典型的な演奏形態は、(右利き演奏者の場合には)本発明の弦楽器における保持部(106)を右手で(例えば中指・薬指・小指のうちの1本から3本の指と親指で)つまむように握り保持した上で、ギターと同様に左手指で弦を押さえその弦長を決定して音程(音階)を決め、さらに、右手の空いた指(保持のために用いる指とは別の指、例えば人差し指、あるいは中指、あるいは人差し指と中指の2本)を用いて弦を弾くことにより発音させるというものである。
保持部は、このような演奏形態において指でつまむように保持される部分であることから、上面と下面が極力平行的位置関係にある必要がある。本発明の弦楽器は直方体状の形状を有するから、このような保持に向いた構造となっている。
本発明の弦楽器はサイズが小さく重量も軽い上に演奏に弓等は不要である。したがって、利き手でそれを保持すると同時に空いた指で弦を弾くことが可能となる。
このような演奏形態にとって好適な弦楽器構造は、右手でつまみ保持することが容易な構造として、人が保持するにあたって問題のない深さ方向のサイズを有することが必要である。我々が注意深くそのサイズを実験・考察した結果、その深さ(105、D)を10mm以上50mm以下と限定することにより問題なく人が本弦楽器を保持することが可能となるという結論を得た。これは、10mmより小さいと手に過度な緊張が生じ安定して保持することが難しくなり、また、50mmより大きいとつまみ保持するための指間が開きすぎて力を入れにくくなるためである。
次にその幅(104、W)に関しては、1本の弦を張るに十分な空間を取れること、演奏者が本体の保持を問題なく行えること、携帯性・搬送性を向上させるために過剰に大きくならないようにすること、といった複数の条件を満たすように注意深く決定する必要がある。我々の実験・考察によれば、その幅(104、W)を10mm以上30mm以下に限定することにより、十分に保持の安定性を確保しながらも携帯性・搬送性に影響を与えないように全体のサイズを抑制することが可能になるとの結論を得た。
さらに、本発明の弦楽器の長さに関しては、本弦楽器に搭載される1本の弦によって一定の範囲の音階を奏でることができること(例えば、1オクターブ相当以上の音階範囲を奏でることができる)、課題に示したような音の不安定性の問題を引き起こさない弦長を有すること、携帯性・搬送性を損なわないように過剰に大きくならないようにすること、といった複数の条件を満たすように注意深く決定する必要がある。我々が注意深く検討を行った結果、本発明の弦楽器では、これを200mm以上600mm以下にすることが好適であるとの結論を得た。
なお、上記の典型的演奏形態は、本発明の弦楽器の演奏時に、ストラップ等を付加することなく立って演奏することを可能とし、また、腰かけて演奏する時にも膝などの上に載せることなく自由に空間内を動かせるため演奏性が高いという特徴がある。これは本発明の弦楽器のサイズが小さく重量も軽いことと、適切な保持部の構造によってはじめて可能となる利点である。
なお、本発明の弦楽器においては、弦の長さ自体は従来の弦楽器の長さと同程度にできるため、弦長を短くして弦の張力を弱くすることによって生じるような音の不安定性の問題も回避することができる。
さらに、1本の弦のみでしかも大きなボディを有しないため、従来の楽器のように音量が過剰に大きくなるといった問題もなく、夜間等の状況においても気軽に楽器の練習を行うことが可能である。
以上のような特定の深さ、幅、長さを有する直方体構造を基本とし、弦を1本のみに留め工夫された弦固定部と弦巻部と保持部の構造を用いることにより、「発明が解決しようとする課題」に例示したような複数の場面での携帯性・搬送性における問題、あるいは演奏性低下の問題、あるいは音の不安定性の問題、あるいは音量を小さくできない問題、これらいずれの問題も同時的に解決することが可能となる。
次に、請求項1に示す本発明では、上述したような本発明の楽器の典型的な演奏形態との関係において、以下のような特徴を有する弦楽器(図2のa)を提供することにより演奏性を向上させることが可能となる。すなわち、請求項1記載の弦楽器であって、支持台(108)において弦が搭載される位置は本体部の幅方向において片側の端より8mm以上(201)離れた場所に配置されるような構造とする。そうすれば、保持するために用いる指(図2のcに示される上面図における204、例えば、中指・薬指)が、本発明の弦楽器をつまみ保持した際に弦に触れることなく、しかも確実性高く本体を保持することが可能となる。もしここで、上記端よりの距離が8mm未満の構造であれば、本発明の弦楽器を保持した際に指が弦に触れる機会が増大し、弦の振動に不要な干渉を与えることになってしまう。我々の注意深い実験・考察によれば、この距離は人の指の大きさとの関係において8mm以上となるようにすることが好適であるとの結論が得られた。
さらに、請求項2に示す本発明では、上述したような本発明の楽器の典型的な演奏形態との関係において、以下のような特徴を有する弦楽器(図2のb)を提供することにより同一構造で演奏者の利き手を問わず演奏性を向上させることが可能となる。すなわち、請求項2記載の弦楽器であって、支持台(108)において弦が搭載される位置は本体部の幅方向において両側の端より8mm以上(202および203)離れた場所に配置されるような構造とする。上述の請求項1に記載の構造では、弦の支持台上での位置を片側の端から離すものであるが、請求項2に記載の構造は両側の端から離すものである。このように長さ方向を中心に見て、支持台上での弦の端からの距離を両側端から離しておけば、利き手が右手であっても左手であっても、いずれの場合の演奏の際の保持指が弦の振動に干渉することがないようにできる。一般にギター等の楽器は利き手の左右によって楽器を作り分けることが普通であるが、本発明の弦楽器においては右利き用、左利き用といったように作り分けることが不要となる。これにより製造上の設備を複数用意したり、製造工程を分離したりする必要もなく、量産性の向上にも寄与することが可能となる。
さらに、請求項3に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図3のa、b)を提供することにより携帯性・搬送性および演奏容易性をさらに向上させることが可能となる。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、直方体状の一部が削除された構造(301、303)を持ち、該削除空間に弦巻部あるいは弦固定部(302、304)の一部あるいは全部が収納される構造を持つ。このような構造によれば、図1に示すような本発明の弦楽器において直方体状の本体外部に飛び出すように配置されていた弦巻部が、直方体内部に部分的あるいは全体的に挿入されることになるため、弦楽器全体の物理的サイズをより縮小できるにとどまらず、携帯・搬送時や演奏時に楽器が体や物体へ引っ掛かってしまうことを抑制することが可能となる。
さらに、請求項4に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図4のa、b)を提供することにより携帯性・搬送性および演奏容易性を一層向上させることが可能となる。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、直方体状の一部が削除された構造(301、303)を持ち、該削除空間に弦巻部あるいは弦固定部の全部(302、304)が収納されるとともに、削除空間を覆うことで削除前の直方体形状を復元する蓋(401、402)を有する構造を持つ。このような構造によれば、図1に示すような本発明の弦楽器において直方体状の本体外部に飛び出すように配置されていた弦巻部あるいは弦固定部が、直方体内部に全体的に挿入されることになるため、弦楽器全体の物理的サイズをより縮小できるにとどまらず、携帯・搬送時や演奏時の体や物体への引っ掛かりを完全に抑制することが可能となる。なぜなら弦巻部や弦固定部は蓋により完全に隠されるため、もはや引っ掛かりの対象となる部位の外部への露出を完全になくすことができるからである。なお、蓋の装着方法に関しては、図4において深さ方向で下部から上部に向けて装着する場合が示されているが、長さ方向で本体外部方向から内部方向に向けて装着するといったことも可能であり、蓋の装着方法はいかなる方法であってもよい。
さらに、請求項5に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図5)を提供することにより演奏性の向上と十分な範囲の音階の生成が可能となる。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、特定の音階を決定するための弦長を指の押し下げにより実現できるようにする突起部であるところの複数のフレット(501)が2つの支持台間に配置され、これらフレットが配置される本体部長さ方向での位置(502)は保持部の長さ方向での位置(503)と交差しないように配置され、保持部は長さ方向で二つの支持台間で弦巻部に近い側にある支持台間長の2分の1以内(504)に配置される構造を持つ。このような構造によれば、演奏者が本発明の弦楽器をつまみ保持する際に、保持部の存在によってフレット配置の制約が及ぶことがない場所を確保し、その確保された場所にフレット設置を行うことにより十分な範囲の音階をつけることが可能になる。
さらに請求項6に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図5のb)を提供することにより演奏性を向上させることが可能となる。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、2つの支持台(107,108)のうち、長さ方向に見て弦巻部に近い側の支持台(108)が本体の弦巻部に近い側の端(506)から100mm以内(505)に配置される構造を持つ。このような構造を用いることにより演奏性が向上する理由は、本発明の弦楽器の上述した演奏形態とは別の典型的な演奏形態(第2の典型的な演奏形態)との関係において明らかになる。
すなわち、別の典型的な演奏形態では、演奏者はピックと呼ばれる弦を弾くための小板を持って演奏する。あるいは、ピックのかわりに親指の腹を返す動作によりピックと同等の原理で弦を弾いて演奏する。この場合、演奏者がピックにより弦を弾く際の動作を安定させるために、手のひらの腹の根元側(手首の少し上)をいずれかの場所に固定できることが望ましい。本発明の弦楽器において、このような手のひらの根元の固定を行う場所として、本体の長さ方向で弦巻部側に近い側の端面(506)が好適である。なぜなら、同面に手のひらの根元を置いて力を加えても本発明の弦楽器は図5のbにおいて上方向に平行な力が加わるだけであって、弦を弾く指のある手と反対側の手によって逆方向(下方向)に押すことによって力のバランスを取ることが可能だからである。しかしながら、もし、弦が張られる方向と平行な面(図5bの本体における左面)で弦巻部に近い側に手のひらの根元を固定しようとすれば、本発明の弦楽器が細長い直方体形状をしていることに起因してピックを持つ手と逆側の手を軸とした回転半径の大きな部分に力を加えることになり、弦楽器全体が容易に回転してしまうことになり演奏が難しくなる。また、この力を打ち消すための力を加えようとして、同図本体の左面の上部から、あるいは同図本体の右面の下部から演奏中にピックを持つ手と逆側の手で加えることは大変に難しい。
さて、以上のような理由により、手のひらの根元の固定を行う場所として本体の長さ方向で弦巻部側に近い側の端面(506)とした場合、以下のような考察により弦巻部に近い側の支持台(108)の配置は決定される。すなわち、演奏者がピック(あるいは親指)で弦を弾く場合、その弾く場所は二つの支持台の間にある必要があるから、弦巻部に近い側の支持台はピックを握る指(あるいは弦を弾く親指)が弦巻部に近い側の支持台の近傍まで届く必要がある。しかしながら、それと同時に手のひらの根元は上記弦巻部に近い側の端面(506)に固定する必要もある。このような二つの条件を両立させるためには、弦巻部に近い側の支持台(108)の配置において、本体の長さ方向で弦巻部側に近い側の端面(506)から離れすぎないようにその場所を決定する必要がある。われわれの実験と考察によれば、支持台が配置される場所は、本体の長さ方向で弦巻部側に近い側の端面(506)から100mm以内にすれば、無理なく上記のような演奏形態をとることができることが判明した。したがって、本発明の弦楽器では支持台(108)が本体の弦巻部に近い側の端(506)から100mm以内(505)に配置される構造を持つという特徴を有する。
さらに請求項7に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図5のc)を提供することにより、演奏容易性が高め、安全性を高め、かつ製造時の工数を減らし製造コストを低減することが可能となる。図5のcは本発明の弦楽器を長さ方向の弦巻部(110)に近い側から見た図で示しているが、それは、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、直方体状の本体構造(101)における長さ方向に長い4つの面、すなわち、弦が張られる面(上面、507)、その反対側に位置する面(下面、508)、上面と下面の間に挟まれる面(側面、509)において、その下面と側面の間の2つの角部のうち少なくとも一方の角部に丸め処理(510)が施される。このような構造を用いれば、弦を押さえる手(弦を弾く手が右手、弦を押さえる手が左手の場合を示している)を音階変化のために移動させる場合、手のひらを本弦楽器の本体部と接触する部分で滑らかに移動させることが可能になるために演奏容易性が高まると同時に、素早く移動させた場合でも鋭角の角によって手を傷つけることがなく安全性も高まる。同時に、下面と側面の間の角だけに丸め処理を施し、上面と側面との間の角に丸め処理を施さないようにして製造工数を減らすことが可能になる。製造にかかる時間やコストは製造工数と密接な関係があり、これを減らすことは時間とコストの削減に有効である。なお、下面と側面の間の角部のうち、一つのみの角に丸め処理を施すと右利き用といった利き手を固定した弦楽器の場合には有効であるが、右利きと左利き共用の弦楽器を作成する場合には下面と側面の間の角部の両方に丸め処理を施すことが有効である。
さらに請求項8に示す本発明では、以下のような特徴を有する弦楽器(図8のa、b)を提供することにより、広い空間を有しない家屋においても無理なく容易に保管することが可能な弦楽器を提供することが可能となる。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器であって、直方体状の本体構造における長さ方向に長い4つの面と直行する2つの面(801、802)、すなわち、弦固定部側と弦巻部側に近い幅方向と深さ方向の線で構成される面の少なくとも一方において、フック状の掛け具(803、804)を装備する構造を持つ。このような構造によれば、本発明の弦楽器は柱・壁等に打たれた釘やネジなど、あるいは床に置かれた棚・ラックの側面にある穴等に簡単に掛けることができ、しかもその場合の必要とされる空間の奥行は本発明の弦楽器の幅方向のサイズ、あるいは深さ方向のサイズのみで済むためわずか数十mm程度以内となる。したがって、場所の占有を極力小さくすることができ、広い空間を有しない家屋に無理なく保管することが可能である。
このような掛け具(803、804)の配置場所は注意深く検討する必要があるが、もしこれを任意に決定してしまうと問題が生じることは以下のように示される。すなわち、仮に直方体状の本体構造における長さ方向に長い4つの面のいずれかの場所にこれを配置した場合を見てみる。先に示した本楽器の第1の典型的な演奏形態を考慮すると、上記4つの面は左右の手のいずれかが演奏時に通る(手が置かれたり、移動したりする)場所となるものであり、これらの面上に掛け具が存在するとスムーズな演奏を妨げることになってしまう。また、無理して演奏を行ったとしても手が引っ掛かることとなり安全上の問題もある。したがって、掛け具の配置場所に関し実験・考察を行った結果、本発明のように直方体状の本体構造における長さ方向に長い4つの面と直行する2つの面(801,802)に配置することによってのみ、これらの問題を解決することができる。なお、図8a、bのように一方のみに装備する場合には長さ方向が垂直に立つように壁等に掛けることが可能であり、同図cのように2つの面それぞれに装備した場合には、長さ方向が水平になるように壁等に掛けることが可能となる。すなわち、屋内の空いた空間の状況にあわせて掛け方を変えることが可能となる。
さらに請求項9に示す本発明は、弦楽器の破壊を防ぎ、また、寿命を長くすることを可能とする(図7のb)。すなわち、請求項1または請求項2記載の弦楽器(101)であって、その弦固定部において、本体に開けられた貫通孔に一つの金属製あるいは樹脂製の筒(702)が埋め込まれた構造を有する。このような構造が弦楽器の寿命を長くすることができる理由は下記のようなものである。すなわち、本体(101)を構成する材質が木材、樹脂等の柔らかい材であった場合に、単に貫通穴を空けてそこに弦を通した状態では、弦がその張力の強さのために本体木材あるいは本体樹脂に弦の細い幅に沿って食い込んでしまうという現象が生じる。これは本体材を傷つけ、楽器本体の破壊につながる。しかしながら、強度のある金属製あるいは樹脂製の筒(パイプ)が貫通穴に埋め込まれる構造においては、弦の張力は筒全体を通して本体材質に加わるように分散化され、本体材の劣化を抑制することが可能となる。さらに長い時間の後に筒自体が弦の張力で破壊されたような場合であっても、本体はそのまま利用し、筒部のみを交換することによって弦楽器を利用し続けることが可能となる。
さらに、本発明の弦楽器は以下のようにして携帯性・搬送性を改善することが示される。すなわち、楽器本体を収容する隣接型の矩形箱の大きさで比べてみれば、携帯性・搬送性の改善効果は視覚的にも明らかである(図6のa、b)。サイズが大きく曲面的なボディを有するギター等の従来の弦楽器(601)は、それを収容する矩形箱(602)においては実質的に有効利用されない無駄な空間(603)ができてしまうため、結果的に相当に大きな空間が必要である。仮に、密着型の曲面的収容箱を用意したとしても、それを車両などの矩形的空間に積載して搬送する場合には、やはり収容箱の外部に無駄な空間が必然的に生じてしまう。しかし、本発明の弦楽器を収容する矩形箱は、小さな直方体状の弦楽器本体(101)よりわずかに大きい矩形状の収容箱(604)を用意すればよいだけであり、これによって従来の弦楽器の場合よりも携帯性・搬送性が著しく改善される。このことは、同じ容積を持つ車両等に積載できる楽器の数で比較すればその差が明らかである。
本発明の弦楽器は、従来の弦楽器に比べて携帯性・搬送性が高く、演奏者がより気軽に持ち出して楽しむことを可能にする。本楽器を携帯・搬送するにあたっては、最大でも深さ、幅、長さの3辺が50mm+弦高、30mm、600mm程度の直方体空間を占有するだけでよく、従来の弦楽器が必要とする占有空間(例えばギターなら80mm+弦高,350mm,1000mm程度の直方体空間、ウクレレなら200mm,70mm、600mm程度の直方体空間)よりも著しく小さくて済むため(例えばギターの占有空間の30分の1、ウクレレの占有空間の9分の1である)、その携帯性・搬送性は著しく改善される。また、重量に関しても、従来の弦楽器であるギターであれば数キログラム、ウクレレでも数百グラムであるのに対し、本発明の弦楽器は木材製の場合数十グラムから100グラム程度以下となり著しく軽量化される。これによって、携帯性・搬送性が大きく改善される。
本発明の弦楽器の構造を示した図 本発明の弦楽器の支持台上の弦搭載部を示した図 本発明の弦楽器の弦巻部と弦固定部を示した図 本発明の弦楽器の弦巻部と弦固定部の別の構成を示した図 本発明の弦楽器の投影図、上面図、側面図を示した図 本発明の弦楽器と従来の弦楽器の収納性の違いを説明した図 本発明の弦楽器の弦固定部の構造例を示した図 本発明の掛け具付き弦楽器を示した図
図1は本発明の弦楽器の基本的な実施例について示したものである。図1にあるように、本発明の弦楽器は、従来の弦楽器であるギター、ウクレレ、バイオリン、チェロ、琴などが持つサイズが大きく曲面的な構造あるいは空洞のあるボディを排除し、長さ・幅・深さを規定した1本の直方体状の構造(101)を有することによって、携帯性・搬送性が大きく改善される。直方体部の素材は木材、樹脂、金属のいずれであっても良い。音を発生する弦のまわりに必要とする空間(物理的サイズ)は従来の弦楽器より相当に小さくなっており、そのためこれを携帯・搬送することは著しく容易である。当該楽器は1本のみの弦を搭載するが、その材料は樹脂製、金属製、動物の腸などの生物部位製のいずれであってもよく、例えばその弦長は350mm程度とし、弦を支える支持台が同長の間隔で直方体状の本体の表面に設置されている。
支持台についてもその素材は木材、樹脂、金属のいずれであってもよい。支持台上で弦を支える部分は弦との接触長が比較的短くなるようにすることで、弦長の誤差が小さくなる。
弦巻部は直方体形状の本体を貫通するように設置され、その弦を巻きつける部分は弦が張られる面(以下、上面とする)に出ており、弦を巻くためのまわし部分は上面と対面関係にある面(以下、下面とする)から出ている。弦巻部はそれに近い側の支持台から数十mm程度の距離に配置されている。
本実施例において弦固定部は、長さ方向で弦巻部と反対側の位置の下面に設置されている。あらかじめ弦にはエンドピースという物体がつけられており、弦はこのエンドピースに巻き付けて外れないように構成されている。この弦は、本体に設けられた貫通穴を通されるが、この際に弦の張力を使ってエンドピースは本体に強制的に押し付けられることにより、本体にしっかりと固定される。通常弦は音を発生する程度に弦巻部で巻かれることによって相当の張力を有することが一般的であるから、弦が本体から外れることはなく、しっかりと固定されることになる。
保持部は二つの支持台の間で、弦巻部に近い側に設けられている。人がつまみ保持することができるように、長さ方向で数十mm以上の場所が確保されており、この場所にはフレットなどの音階を決定するためのものやそれ以外のアタッチメント(付属物)等で保持動作が妨げられることがないようになっている。上記のごとく本体と弦巻部と弦固定部と支持台との配置条件を考慮すると、結果的に本実施例の弦楽器は長さ方向に450mm程度の大きさとなっている。
次に、本実施例では、幅方向に関して、弦を一本張り、また、つまみ保持するのに必要な大きさとして、20mm程度とする。そして、最後に深さ方向に関しては、つまみ保持動作を確実に行える厚みの例としてやはり25mm程度にするものとする。以上のような条件を考慮すれば、本発明の弦楽器は、およそ長さ、幅、深さがそれぞれ、450mm、20mm、25mm程度の直方体状の構造を有することになる。これは従来の弦楽器と比べてその占有空間が著しく小さいことがわかる。なお、長さ、幅、深さに関しては請求項に記載の範囲にあればよく、この限りではない。
図2は本発明の弦楽器の保持部を含む本体と弦巻部と弦支持台との構成例を示したものである。保持部は、その典型的な演奏形態に即してみれば、指でつまむように保持される部分であることから、上面と下面が極力平行的位置関係にあり、極端なオウトツが存在しないことが好ましい。しかしながら、滑り止め等の目的で微細なオウトツをつける等の表面処理がなされることは問題ない。これは、直方体部が木材のような比較的すべりにくい材質の場合には特段の処理は必要ないが、樹脂や金属ですべりやすい材質の場合にはすべり止めのような微細なオウトツを設けることが望ましい場合もあるからである。また、演奏者に保持部の目安を与えるために着色等の色分けを行うこともあり得る。実際、本発明例では、保持部は本体他部位とは色分けして演奏者に保持位置の目安を与えている。
弦巻部は本体に貫通穴を設けて装備され、上部に弦が巻かれ、下部に巻き手があるように構成される。
支持台は本体上面に設置され、接着材やネジ等で本体に固定される場合もあるし、はめ込み式の構造で本体に固定される場合もある。弦は1本のみ張られるが、その支持台上での位置は、幅方向での端から一定距離以上(8mm以上、例えば本実施例では10mm)離されるようにすることにより、保持に使う指が弦に触れることをなくし、弦振動への不要な干渉を抑制することができる。
図7のaは本発明の弦楽器の弦固定部の構造に関する実施例を示している。図1に示した実施例では、弦固定部は弦を固定止めしたエンドピースが直方体状本体の上面(弦の張られる面)と平行関係にある下面に固定されるものを示した。しかしながら、弦固定部でエンドピースが固定される面は上面と平行関係にある面に固定されるだけでなく、同図に示されるように上面と非平行関係にある面(701、本例では45度傾斜した面)に固定されるようにすることも可能である。この場合、支持台方向への弦の送り出しが斜めとなるため、支持台上で弦が直角に折り曲がらないようにすることができる。これにより支持台が本体右手方向に過剰に大きな力を受けることがなくなり、支持台が本体から外れる類の故障を生じにくくできるという利点がある。
さらに、図7のbは本発明の弦楽器の弦固定部の構造に関する別の実施例を示している。本実施例では、弦固定部は単に本体に貫通穴を設けるだけでなく、設けた穴に金属製あるいは樹脂製の筒(702)を埋め込んだ構造となっている。このような金属性あるいは樹脂製の筒を埋め込む理由は以下のようなものである。本体となる材質が木材、あるいは比較的柔らかい樹脂材であった場合に、単に貫通穴を空けてそこに弦を通した状態では、弦がその張力の強さのために本体木材あるいは本体樹脂に食い込んでしまうという問題が起こり得る。これは、経年により本体材質を著しく傷つけることにつながり、楽器本体の寿命を短くすることにつながる。しかしながら、本実施例のように強度のある金属製あるいは樹脂製の筒を貫通穴に埋め込む処理をしておけば、弦は直接的には同筒と接するのみで、その張力は筒全体を通して本体材質に加わるように分散化される。そのため、本体材質の劣化を抑制することができるという利点がある。また、筒が破壊された場合には筒部のみの交換で本体は継続して利用することが可能である。
弦楽器の製造・販売・保管・利用、演奏娯楽、演奏教育、保守、芸術作品の展示・利用などの産業に関わる。

Claims (9)

  1. 1本の弦を張ることができる直方体状の本体構造を有する弦楽器であって、直方体が有する面のうち弦が張られる面において弦が張られる方向でありかつ直方体状の最長辺でもある本体部の長さが200mm以上600mm以下であり、弦が張られる面において上記最長辺以外の辺であるところの幅が10mm以上30mm以下であり、弦が張られる面に対し垂直方向にある辺であるところの深さが10mm以上50mm以下であり、上記本体部には楽器全体を指で保持するための保持部を有し、また、1本の弦が張られる台となる2つの支持台を有し、当該2つの支持台に載せられる弦の片方が本体部の弦固定部に固定される仕組みを有し、また弦の他の片方はその弦の張力を変えるための弦巻部に収納される仕組みを有し、支持台において弦が搭載される位置は本体部の幅方向において片側の端より8mm以上離れた場所に配置されることによって上記保持部の領域が少なくとも弦の片側に確保された構造を特徴とするもの
  2. 1本の弦を張ることができる直方体状の本体構造を有する弦楽器であって、直方体が有する面のうち弦が張られる面において弦が張られる方向でありかつ直方体状の最長辺でもある本体部の長さが200mm以上600mm以下であり、弦が張られる面において上記最長辺以外の辺であるところの幅が16mm以上30mm以下であり、弦が張られる面に対し垂直方向にある辺であるところの深さが10mm以上50mm以下であり、上記本体部には楽器全体を指で保持するための保持部を有し、また、1本の弦が張られる台となる2つの支持台を有し、当該2つの支持台に載せられる弦の片方が本体部の弦固定部に固定される仕組みを有し、また弦の他の片方はその弦の張力を変えるための弦巻部に収納される仕組みを有し、支持台において弦が搭載される位置は本体部の幅方向において両側の端より8mm以上離れた場所に配置されることによって上記保持部の領域が弦の両側に確保された構造を特徴とするもの
  3. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、直方体状の一部が削除された構造を持ち、該削除空間に弦巻部あるいは弦固定部の一部あるいは全部が収納されることを特徴とするもの。
  4. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、直方体状の一部が削除された構造を持ち、該削除空間に弦巻部あるいは弦固定部の全部が収納されるとともに、削除空間を覆うことで削除前の直方体形状を復元する蓋を有すること特徴とするもの。
  5. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、特定の音階を決定するための弦長を指の押し下げにより実現できるようにする突起部であるところの複数のフレットが2つの支持台間に配置され、これらフレットが配置される本体部長さ方向での位置は保持部の長さ方向での位置と交差しないように配置され、保持部は長さ方向で二つの支持台間で弦巻部に近い側にある支持台間長の2分の1以内に配置されることを特徴とするもの。
  6. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、2つの支持台のうち、長さ方向に見て弦巻部に近い側の支持台が本体の弦巻部に近い側の端から100mm以内に配置されることを特徴とするもの。
  7. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、直方体状の本体構造における長さ方向に長い4つの面、すなわち、弦が張られる面(上面)、その反対側に位置する面(下面)、上面と下面の間に挟まれる面(2つの側面)において、その下面と側面の間の2つの角部のうち少なくとも一方の角部に丸め処理が施されることを特徴とするもの。
  8. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、直方体状の本体構造における長さ方向に長い4つの面と直行する2つの面、すなわち、弦固定部側と弦巻部側に近い幅方向と深さ方向の線で構成される面の少なくとも一方において、フック状の掛け具を装備することを特徴とするもの。
  9. 上記[請求項1]または[請求項2]記載の弦楽器であって、その弦固定部において、本体に開けられた貫通孔に一つの金属製あるいは樹脂製の筒が埋め込まれた構造を有することを特徴とするもの。
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