JP7333231B2 - 伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステム - Google Patents

伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステム Download PDF

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Description

本発明は、伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステムに関する。
衣服は、洗濯すると生地の伸縮により変形する。従って、衣服を作製する際には、生地の伸縮を考慮する必要がある。
例えば、ジッパーを有する衣服を製造する際には、特許文献1に開示されるように、生地の収縮を考慮して、収縮後に平らな外観を呈するように、伸長した状態でジッパーを衣服に縫い付けたりしていた。
例えば、衣服のパタンナーは、生地の伸縮による変形を考慮に入れて衣服のパターンを決定する必要があるが、従来から、衣服のパタンナーは、経験に基づいて、生地の伸縮による変形に対応していた。
特開2017-106149
しかしながら、縫目の位置、縫目の種類、生地の種類等により、伸縮の程度が異なるため、経験に基づいて、生地の伸縮による変形に対応することは難しい。そこで、本発明の発明者は、主観的な経験に基づくのではなく、客観的かつ自動的に生地の伸縮による変形に対処することが必要であると考えた。これにより、経験に乏しいパタンナーであっても、生地の伸縮による変形に適切に対処できるようになるからである。
以上のことに鑑み、本発明は、客観的かつ自動的に生地の伸縮による変形に対処することが可能な、伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステムを提供することを目的とする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
伸縮前モデルを生成するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部を備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
完成形縫目が配置された完成形モデルを取得することと、
前記完成形縫目に基づいた縫目を考慮して生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成することであって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されている、ことと
を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
(項目2)
前記伸縮前モデルを生成することは、
前記完成形縫目に基づいて、初期縫目を定義することと、
前記初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮後モデルを生成することと、
前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目とを比較することと、
比較した結果に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することと
を含む、プログラム。
(項目3)
前記比較した結果に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することは、
前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との間の差分の大きさが閾値よりも大きいか否かを判定することと、
前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記初期縫目を移動させ、移動後の縫目に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することと、
前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記初期縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと
を含む、項目2に記載のプログラム。
(項目4)
前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記伸縮前モデルを生成することは、
(a)n=1とすることと、
(b)前記移動後の縫目を第nの縫目と定義することと、
(c)前記第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、第nの伸縮後モデルを生成することと、
(d)前記第nの伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分の大きさが前記閾値よりも大きいか否かを判定することと、
(e)前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記第nの縫目を移動させ、n=n+1とすることと、
(f)前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記第nの縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと、
(g)前記差分の大きさが前記閾値以下になるまで、前記(b)~(e)を繰り返すことと
を含む、項目3に記載のプログラム。
(項目5)
前記完成形縫目、前記初期縫目、前記伸縮前縫目、および前記伸縮後モデル上の縫目の各々は、複数の点の集合として表現され、
前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分は、前記伸縮後モデル上の縫目における点と、それに対応する前記完成形縫目における点との間の距離であり、
前記初期縫目を移動させることは、前記初期縫目における点を前記距離に従って移動させることを含む、項目3または項目4に記載のプログラム。
(項目6)
前記完成形縫目、前記初期縫目、前記伸縮前縫目、および前記伸縮後モデル上の縫目の各々は、複数の点の集合として表現され、
前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分は、前記伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、それに対応する前記完成形縫目における点の位置ベクトルとの間の差分ベクトルであり、
前記初期縫目を移動させることは、前記初期縫目における点を前記差分ベクトルに従って移動させることを含む、項目3または項目4に記載のプログラム。
(項目7)
前記完成形モデルは、完成形パターンを有し、
前記伸縮前モデルは、
前記伸縮後モデル上に前記完成形パターンを反映させることと、
前記伸縮後モデル上での前記反映された完成形パターンの位置に対応する前記伸縮前モデル上での位置を特定することと
によって生成される、項目1~6のいずれか一項に記載のプログラム。
(項目8)
前記シミュレーションにおいて前記生地の伸縮率は、前記生地上に配置された縫目に対する位置に応じて変動する、項目1~7のいずれか一項に記載のプログラム。
(項目9)
前記生地上に配置された縫目は、第1の縫目および第2の縫目を備え、
前記シミュレーションにおいて前記生地の伸縮率は、前記第1の縫目および前記第2の縫目に対する相対位置に応じて変動する、項目8に記載のプログラム。
(項目10)
伸縮前モデルを生成するための方法であって、
完成形縫目が配置された完成形モデルを取得することと、
前記完成形縫目に基づいた縫目を考慮して生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成することであって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されている、ことと
を含む方法。
(項目11)
伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステムであって、
完成形縫目が配置された完成形モデルを取得する手段と、
前記完成形縫目に基づいた縫目を考慮して生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成する手段であって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されている、手段と
を備える、コンピュータシステム。
本発明によれば、伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステムを提供することができ、これにより、客観的かつ自動的に生地の伸縮による変形に対処することが可能になる。
生地の伸縮による変形を考慮した伸縮前モデルを生成する概略を示す図。 伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステム100の構成の一例を示す図。 プロセッサ部120の構成の一例を示す図。 伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステム100による処理400の一例を示すフローチャート。 ステップS405において、プロセッサ部120が、伸縮前モデルを生成する処理の一例を示すフローチャート。 ステップS504において、プロセッサ部120が、移動後の縫目に基づいて、伸縮前モデルを生成する処理の一例を示すフローチャート。 各モデルの一例を示す図。 各モデルの一例を示す図。 各モデルの一例を示す図。 各モデルの一例を示す図。
(定義)
本明細書において、「完成形モデル」とは、完成形デザインをモデル化したもののことをいう。完成形デザインは、例えばファッションデザイナーによって作成されたデザインであり得る。完成形デザインは、例えば、縫目の数、縫目の位置、外形(すなわち、後述する「完成形パターン」)等の情報を含み得、生地の種類、縫目の種類等の情報も含み得る。本発明における完成形デザインは、伸縮する生地によって形成される任意の製品に適用可能であるが、例えば、衣服または服飾小物に係るデザインであり得る。
本明細書において、「伸縮前モデル」とは、生地が伸縮する前のデザインをモデル化したもののことをいう。
本明細書において、「伸縮後モデル」とは、生地が伸縮した後のデザインをモデル化したもののことをいう。
本明細書において、「モデル化」とは、コンピュータシステム上で取り扱い可能なデータ形式で定義することをいう。
本明細書において、「パターン」とは、生地を裁断するときの外形のことをいう。
本明細書において、「完成形パターン」とは、完成形のデザインまたは完成形モデルにおけるパターンのことをいう。
本明細書において、「伸縮率」とは、伸縮前後の長さの比のことをいう。伸縮率は、
伸縮率=伸縮後長さ/伸縮前長さ
で算出される。1よりも小さい伸縮率は、収縮する変形を意味し、1よりも大きい伸縮率は、伸長する変形を意味する。1の伸縮率は、収縮も伸長もしないことを意味する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
1.生地の伸縮による変形を考慮した伸縮前モデルの生成
図1は、生地の伸縮による変形を考慮した伸縮前モデルを生成する概略を図示する。図1では、本発明のコンピュータシステム100に、完成形モデル10を入力することにより、伸縮前モデル20が出力される様子が概略的に示されている。
完成形モデル10は、完成形縫目11と、完成形パターン12とを有する。完成形モデル10は、例えば、ファッションデザイナーによって作成されるデザインをモデル化したものであり得る。縫目は、デザインの一部であり、例えば、別素材で作製されたロゴを固定するため、刺繍のため、ポケットを形成するため等に用いられる。完成形縫目11は、完成形デザイン上の縫目に対応し、完成形パターン12は、完成形デザインにおけるパターンに対応する。
例えば、製造段階における「仕上げ洗い」や商品購入後の「洗濯」によって生地が伸縮しないならば、完成形モデル10に対応する完成形デザインに従って衣服を作製することができる。例えば、完成形デザインのパターンに従って生地を裁断し、完成形デザインの4つの縫目に従って生地を縫うことによって衣服を作製することができる。
しかしながら、実際には、製造段階における「仕上げ洗い」や商品購入後の「洗濯」によって生地が伸縮する。
本発明のコンピュータシステム100は、「仕上げ洗い」や「洗濯」によって生地が伸縮する過程をシミュレーションし、シミュレーション結果に基づいて、「仕上げ洗い」や「洗濯」によって生地が伸縮すると完成形モデル10となる伸縮前モデル20を出力することができる。
伸縮前モデル20は、伸縮前縫目21と、伸縮前パターン22とを有する。図1に示されるように、伸縮前モデル20は、生地の伸縮による変形を考慮しているため、完成形モデル10の完成形パターン12よりも大きく、歪んだ伸縮前パターン22を有している。
伸縮前モデル20に対応する伸縮前デザインに従って衣服を作製することによって、作製された衣服は、「仕上げ洗い」や「洗濯」によって生地が伸縮すると完成形デザインとなる衣服となる。例えば、伸縮前パターン22に対応する伸縮前デザインのパターンに従って生地を裁断し、4つの伸縮前縫目21に対応する伸縮前デザインの縫目に従って生地を縫うことによって、「仕上げ洗い」や「洗濯」によって生地が伸縮すると完成形デザインとなる衣服を作製することができる。
図1に示される例では、4つの完成形縫目11が四隅に配置された正方形の完成形パターン12を有する例を説明したが、完成形縫目の数および配置、ならびに完成形パターンの形状はこれに限定されない。完成形モデルは、任意の数の完成形縫目、任意の配置の完成形縫目、任意の形状の完成形パターンを有し得る。
以下では、本発明のコンピュータシステム100について詳細に説明する。
2.伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステムの構成
図2は、伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステム100の構成の一例を示す。
コンピュータシステム100は、通信インターフェース部110と、プロセッサ部120と、メモリ部130とを備える。コンピュータシステム100は、データベース部200に接続されている。
通信インターフェース部110は、コンピュータシステム100の外部と情報のやり取りを行う。コンピュータシステム100のプロセッサ部120は、通信インターフェース部110を介して、コンピュータシステム100の外部から情報を受信することが可能であり、コンピュータシステム100の外部に情報を送信することが可能である。通信インターフェース部110は、任意の形式で情報のやり取りを行うことができる。コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、データベース部200と通信することができる。コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、ファッションデザイナーの情報端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)と通信することができる。コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、パタンナーの情報端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等)と通信することができる。
通信インターフェース部110は、例えば、コンピュータシステム100に情報を入力することを可能にする入力部を備える。入力部が、どのような態様でコンピュータシステム100に情報を入力することを可能にするかは問わない。例えば、入力部がタッチパネルである場合には、ユーザがタッチパネルにタッチすることによって情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部がマウスである場合には、ユーザがマウスを操作することによって情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部がキーボードである場合には、ユーザがキーボードのキーを押下することによって情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部がマイクである場合には、ユーザがマイクに音声を入力することによって情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部がカメラである場合には、カメラが撮像した情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部がデータ読み取り装置である場合には、コンピュータシステム100に接続された記憶媒体から情報を読み取ることによって情報を入力するようにしてもよい。あるいは、入力部が受信器である場合、受信器がネットワークを介してコンピュータシステム100の外部から情報を受信することにより入力してもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。例えば、受信器は、インターネットを介して情報を受信してもよいし、LANを介して情報を受信してもよい。
通信インターフェース部110は、例えば、コンピュータシステム100から情報を出力することを可能にする出力部を備える。出力部が、どのような態様でコンピュータシステム100から情報を出力することを可能にするかは問わない。例えば、出力部が表示画面である場合、表示画面に情報を出力するようにしてもよい。あるいは、出力部がスピーカである場合には、スピーカからの音声によって情報を出力するようにしてもよい。あるいは、出力部がデータ書き込み装置である場合、コンピュータシステム100に接続された記憶媒体に情報を書き込むことによって情報を出力するようにしてもよい。あるいは、出力部が送信器である場合、送信器がネットワークを介してコンピュータシステム100の外部に情報を送信することにより出力してもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。例えば、送信器は、インターネットを介して情報を送信してもよいし、LANを介して情報を送信してもよい。
コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、ユーザによって入力された完成形デザインまたは完成形モデルを受信することができる。コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、データベース部200に格納されている完成形デザインまたは完成形モデルを取得することができる。
コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、生成された伸縮前モデルをユーザに提示することができる。コンピュータシステム100は、例えば、通信インターフェース部110を介して、生成された伸縮前モデルをデータベース部200に格納することができる。
プロセッサ部120は、コンピュータシステム100の処理を実行し、かつ、コンピュータシステム100全体の動作を制御する。プロセッサ部120は、メモリ部130に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、コンピュータシステム100を所望のステップを実行するコンピュータシステムとして機能させることが可能である。プロセッサ部120は、単一のプロセッサによって実装されてもよいし、複数のプロセッサによって実装されてもよい。
メモリ部130は、コンピュータシステム100の処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等を格納する。メモリ部130は、伸縮前モデルを生成するための処理をプロセッサ部120に行わせるためのプログラム(例えば、後述する図4、図5、図6に示される処理を実現するプログラム)を格納してもよい。メモリ部130は、例えば、コンピュータシステム100に入力された完成形デザインから完成形デザインをモデル化することにより、完成形モデルを生成する処理を実現するプログラムも格納し得る。メモリ部130は、例えば、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うシミュレータを実現するプログラムも格納し得る。ここで、これらのプログラムをどのようにしてメモリ部130に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部130にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部130にインストールされるようにしてもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。メモリ部130は、任意の記憶手段によって実装され得る。
データベース部200には、例えば、ファッションデザイナーによって作成された完成形デザインが格納され得る。データベース部200には、例えば、完成形デザインに基づいて生成された完成形モデルが格納され得る。データベース部200には、例えば、コンピュータシステム100によって生成された伸縮前モデルが格納され得る。データベース部200には、例えば、生成された伸縮前モデルに対応する伸縮前デザインが格納され得る。
さらに、データベース部200には、例えば、生地の種類に応じた生地の伸縮率が格納され得る。生地の種類は、例えば、糸の種類および糸の織り方で分類され得る。生地の種類は、例えば、デニムを含むが、これらに限定されない。生地の種類に応じた生地の伸縮率は、生地上に縫目が配置されていない場合の伸縮率であり得る。生地の種類に応じた生地の伸縮率は、例えば、生地のメーカーから提供され得る。データベース部200には、例えば、縫目の種類に応じた生地の伸縮率が格納され得る。縫目の種類は、例えば、鎖縫い、二重縫い、織り伏せ縫い、オーバーロック、安全縫い、環縫い等を含むがこれらに限定されない。縫目の種類に応じた生地の伸縮率は、縫目が配置されている部分の生地の伸縮率であり得る。縫目の種類に応じた生地の伸縮率は、例えば、生地に縫目を配置して伸縮させる実験によって得られた結果であってもよいし、例えば、単位面積当たりの糸の貫通数を指標として推定された値であってもよい。
図2に示される例では、データベース部200は、コンピュータシステム100の外部に設けられているが、本開示はこれに限定されない。データベース部200をコンピュータシステム100の内部に設けることも可能である。このとき、データベース部200は、メモリ部130を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ部130を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、データベース部200は、コンピュータシステム100のための格納部として構成される。データベース部200の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、データベース部200は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部200は、コンピュータシステム100の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。
図3は、プロセッサ部120の構成の一例を示す。
プロセッサ部120は、取得手段121と、定義手段122と、シミュレータ123と、比較手段124と、生成手段125とを備える。
取得手段121は、完成形モデルを取得するように構成されている。完成形モデルには、少なくとも、完成形縫目が配置されている。完成形縫目は、例えば、完成形モデル上で、複数の点の集合、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合として表現され得る。例えば、完成形縫目が、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合として表現される場合には、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合から、縫目を表現する複数の点をサンプリングすることが可能である。完成形モデルは、例えば、完成形パターンをさらに有し得る。完成形モデルは、例えば、生地の種類を示す情報をさらに有してもよいし、縫目の種類を示す情報をさらに有してもよい。これにより、後の処理で、生地の種類に応じた伸縮率または縫目の種類に応じた伸縮率を考慮することができ、生地の違いまたは縫目の違いに応じた伸縮をシミュレーションすることができるようになる。
取得手段121は、例えば、通信インターフェース部110を介して受信された完成形モデルを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、通信インターフェース部110を介して受信された完成形デザインから生成された完成形モデルを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、データベース部200に格納されている完成形モデルを通信インターフェース部110を介して取得するようにしてもよい。
定義手段122は、取得手段121によって取得された完成形モデルの完成形縫目に基づいて、初期縫目を定義するように構成されている。定義手段122は、例えば、完成形縫目を生地の伸縮率に基づいて拡大または縮小することによって初期縫目を定義することができる。完成形縫目が複数の点の集合として表現される場合に、定義手段122は、例えば、完成形縫目の複数の点の各点の座標を生地の伸縮率の逆数倍したものを初期縫目の複数の点の各点の座標とすることができる。例えば、伸縮率が1より小さい、すなわち収縮する過程をシミュレーションする場合には、初期縫目は、完成形縫目を拡大したものとなり、伸縮率が1より大きい、すなわち伸長する過程をシミュレーションする場合には、初期縫目は、完成形縫目を縮小したものとなる。このとき、座標の原点を任意の点に取ることができるが、伸縮の方向を考慮して、座標の原点を取ることが好ましい。例えば、図1に示される例のように、完成形モデルが、正方形の完成形パターン12を有する場合には、正方形の中心を原点として各完成形縫目11における各点の座標を定義することが好ましい。これにより、結果として定義される初期縫目と、生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離が、複数の初期縫目のそれぞれで均等になり、シミュレータ123によるシミュレーションが早く収束するようになるからである。例えば、図1に示される例で、正方形の中心以外を原点として各完成形縫目11における各点の座標を定義すると、結果として定義される初期縫目と、生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離が、複数の初期縫目のそれぞれで不均等になる(例えば、最も左下の点を原点として取ると、右上の初期縫目と生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離は、左下の初期縫目と生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離よりもはるかに大きくなり得る)。例えば、図1に示される例で、最も左下の点を原点として取ると、4つの完成形縫目11のうち左下の完成形縫目の座標を生地の伸縮率の逆数倍した場合には、結果として定義される初期縫目は、生地が伸縮する前の実際の縫目とは反対方向に位置することになる。
シミュレータ123は、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うように構成されている。生地が伸縮する過程のシミュレーションの結果として、伸縮後モデルが生成される。例えば、定義手段122によって定義された初期縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力すると、シミュレータ123は、初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行い、初期縫目が配置された生地が伸縮した後のモデル(伸縮後モデル)を生成することができる。例えば、後述する生成手段125によって縫目が移動させられた後の縫目(第nの縫目)が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力すると、シミュレータ123は、第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行い、第nの縫目が配置された生地が伸縮した後のモデル(第nの伸縮後モデル)を生成することができる。
シミュレータ123は、例えば、生地上に配置された縫目を制約としてシミュレーションを行うことができる。ここで、制約とは、伸縮しない部分または他の部分に比べて伸縮率が1に近い部分のことをいう。生地上の縫目が制約となることにより、生地の伸縮率が、縫目に対する相対位置に応じて変動する。例えば、縫目が配置されている部分に近くなるほど伸縮率が1に近づき、縫目が配置されている部分から遠ざかるほど伸縮率が生地本来の伸縮率に近づく。このような縫目による伸縮率の分布は、実際の生地の伸縮の過程をより忠実にシミュレーションするために好ましい。
例えば、生地上に配置された縫目が、第1の縫目と、第2の縫目とを有する場合、生地の伸縮率は、第1の縫目および第2の縫目との相対位置に応じて変動する。例えば、第1の縫目が配置されている部分に近くなるほど伸縮率が1に近づき、第1の縫目が配置されている部分から遠ざかるほど伸縮率が生地本来の伸縮率に近づくが、第2の縫目が配置されている部分に近くなる場合には、その分伸縮率は1に近くなる。生地上に配置された縫目が3以上の縫目を有する場合も同様に、生地の伸縮率は、それぞれの縫目との相対位置に応じて変動する。このような複数の縫目による伸縮率の分布により、実際の生地の伸縮の過程をより忠実にシミュレーションすることができるようになる。
シミュレータ123は、例えば、クロス・シミュレーション(布の物理シミュレーション)のアルゴリズムを用いて、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。あるいは、シミュレータ123は、例えば、メッシュ変形のアルゴリズムを用いて、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。メッシュ変形のアルゴリズムでは、質点間の距離を制約に用いて線形システムを解くように定式化することで、メッシュ全体を一度に変形させることができるため、高速で解を得ることができる。
比較手段124は、シミュレータ123によるシミュレーションによる結果として生成された伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目とを比較するように構成されている。比較手段124は、例えば、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目とを比較して、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分を決定することができる。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のそれぞれと、それに対応する完成形縫目における点との間の距離であってもよい。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、完成形縫目における点の位置ベクトルとの差分ベクトルであってもよい。すなわち、差分は、大きさと向きとを有するベクトルであり得る。
生成手段125は、比較手段124による比較の結果に基づいて、伸縮前縫目を有する伸縮前モデルを生成するように構成されている。生成手段125は、例えば、比較手段124による比較の結果に基づいて、シミュレータ123に入力された生地モデル上に配置された縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成することができ、あるいは、シミュレータ123に入力された生地モデル上に配置された縫目を移動させ、移動後の縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成するか、再度のシミュレーションのために、移動後の縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力することができる。より具体的には、生成手段125は、例えば、初期縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力した結果として生成された伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさが閾値よりも小さい場合、初期縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成することができ、初期縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力した結果として生成された伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさが閾値よりも大きい場合、初期縫目を移動させ、移動後の縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成するか、あるいは、再度のシミュレーションのために、移動後の縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力することができる。再度のシミュレーションは、シミュレータ123によるシミュレーションの結果として生成された伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさが閾値よりも小さくなるまで繰り返され得る。ここで、閾値は、任意の値であり得る。閾値が小さいほど、最終的に生成される伸縮前モデルの精度が向上するが、閾値が小さすぎると処理が収束しないことがある。閾値は、例えば、実際の寸法で0.1mmとなる値、実際の寸法で1.0mm、またはそれらの間の値であり得る。閾値は、固定値であってもよいし、変動値であってもよい。変動値である場合には、閾値は、例えば、ユーザによって設定可能であってもよい。再度のシミュレーションは、例えば、所定回数繰り返されるようにしてもよいし、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさが収束傾向となるまで、すなわち、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさの変化率が閾値よりも小さくなるまで繰り返されるようにしてもよい。
生成手段125は、例えば、シミュレータ123に入力された生地モデル上に配置された縫目を任意の量だけ移動させることができる。生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分に従って、生地モデル上に配置された縫目を移動させることができる。生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点と、それに対応する完成形縫目における点との間の距離のk倍(例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等)だけ、対応する初期縫目上の点を移動させることができる。あるいは、生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点の位置ベクトルと、それに対応する完成形縫目における点の位置ベクトルとの間の差分ベクトルのk倍(k≠0である。例えば、kは、0.25、0.5、または0.2~0.6の範囲内の値であり得る。例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等であってもよい。しかしながら、オーバーシュートを避けるために、0<k<1であることが好ましく、少しずつ完成形縫目に近づけるために、例えば、k=0.25またはk=0.5が好ましい。)だけ、対応する初期縫目上の点を移動させることができる。kの値を最適化することにより、シミュレータ123によるシミュレーションを早く収束させることができるようになる。
一例において、完成形縫目における点Aの座標を(x,y)とし、点Aに対応する初期縫目における点Bの座標を(x,y)とし、点Bに対応する伸縮後モデル上の縫目における点Cの座標を(x,y)、点Bに対応する移動後の縫目における点Dの座標を(x,y)とすると、点A、点B、点C、点Dの位置ベクトルは、それぞれ
と表される。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分ベクトルは、
となる。従って、移動後の縫目における点Dの位置ベクトルは、
と表すことができる。
生成手段125は、例えば、伸縮後モデルに対して、シミュレータ123によるシミュレーションの逆再生を行う、すなわち、生地が伸縮する過程の逆再生を行うことによって、伸縮前モデルを生成するようにしてもよい。ここで、生地が伸縮する過程の逆再生とは、伸縮後モデル上の位置に対応する伸縮前モデル上の位置を特定することをいう。
これは、例えば、完成形モデルが完成形パターンを有する場合に特に有用である。例えば、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との差分の大きさが閾値よりも小さい場合、伸縮後モデルを完成形パターンで切り取ったものが、完成形モデルと等価なモデルとなる。このモデルに対して、生地が伸縮する過程の逆再生を行うことによって、伸縮すると完成形パターンとなる伸縮前パターンを有する伸縮前モデルを生成することができる。具体的には、伸縮後モデル上に完成形パターンを反映させ、伸縮後モデル上での完成形パターンの位置に対応する伸縮前モデル上での位置を特定することにより、伸縮前パターンを有する伸縮前モデルが生成される。伸縮後モデル上での完成形パターンの位置に対応する伸縮前モデル上での位置が、伸縮前パターンの位置となるからである。シミュレータ123によるシミュレーションでは、伸縮前モデル上の位置が、伸縮する過程により伸縮後モデル上でのどの位置に移動するかの情報が記録されるため、伸縮後モデル上の位置に対応する伸縮前モデル上の位置を特定することができるのである。
なお、上述したコンピュータシステム100の各構成要素は、単一のハードウェア部品で構成されていてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されていてもよい。複数のハードウェア部品で構成される場合は、各ハードウェア部品が接続される態様は問わない。各ハードウェア部品は、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよい。本発明のコンピュータシステム100は、特定のハードウェア構成には限定されない。プロセッサ部120をデジタル回路ではなくアナログ回路によって構成することも本開示の範囲内である。本発明のコンピュータシステム100の構成は、その機能を実現できる限りにおいて上述したものに限定されない。
3.伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステムによる処理
図4は、伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステム100による処理400の一例を示す。処理400は、コンピュータシステム100のプロセッサ部120において行われる。
ステップS401では、プロセッサ部120の取得手段121が、完成形モデルを取得する。完成形モデルには、少なくとも、完成形縫目が配置されている。完成形縫目は、例えば、完成形モデル上で、複数の点の集合、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合として表現され得る。例えば、完成形縫目が、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合として表現される場合には、線分もしくは線分の集合、または、曲線もしくは曲線の集合から、縫目を表現する複数の点をサンプリングすることが可能である。完成形モデルは、例えば、完成形パターンをさらに有し得る。完成形モデルは、例えば、生地の種類を示す情報をさらに有してもよいし、縫目の種類を示す情報をさらに有してもよい。
取得手段121は、例えば、通信インターフェース部110を介して受信された完成形モデルを取得するようにしてもよい。あるいは、取得手段121は、通信インターフェース部110を介して受信された完成形デザインから生成された完成形モデルを取得するようにしてもよい。このとき、プロセッサ部120は、受信された完成形デザインをモデル化して完成形モデルを生成する処理を行うことができる。あるいは、取得手段121は、データベース部200に格納されている完成形モデルを通信インターフェース部110を介して取得するようにしてもよい。
ステップS401で完成形モデルが取得されると、次いで、プロセッサ部120が、完成形縫目に基づいた縫目を考慮して生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮前モデルを生成する。具体的には、例えば、以下のステップS402~ステップS405の処理によって、伸縮前モデルを生成することができる。
ステップS402では、プロセッサ部120の定義手段122が、ステップS401で取得された完成形モデルの完成形縫目に基づいて、初期縫目を定義する。定義手段122は、例えば、完成形縫目を生地の伸縮率に基づいて拡大または縮小することによって初期縫目を定義することができる。完成形縫目が複数の点の集合として表現される場合に、定義手段122は、例えば、完成形縫目の複数の点の各点の座標を生地の伸縮率の逆数倍したものを初期縫目の複数の点の各点の座標とすることができる。例えば、完成形縫目がN個の点の集合として表され(Nは自然数)、各点の座標が(x,y)として表され(0≦i<N)、x方向の生地の伸縮率がRであり、y方向の生地の伸縮率がRであるとすると、初期縫目の各点の座標は、(x/R,y/R)と定義され得る。例えば、伸縮率が1より小さい、すなわち収縮する過程をシミュレーションする場合には、初期縫目は、完成形縫目を拡大したものとなり、伸縮率が1より大きい、すなわち伸長する過程をシミュレーションする場合には、初期縫目は、完成形縫目を縮小したものとなる。
このとき、座標の原点を任意の点に取ることができるが、伸縮の方向を考慮して、座標の原点を取ることが好ましい。例えば、図1に示される例のように、完成形モデルが、正方形の完成形パターン12を有する場合には、正方形の中心を原点として各完成形縫目11における各点の座標を定義することが好ましい。これにより、結果として定義される初期縫目と、生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離が、複数の初期縫目のそれぞれで均等になり、シミュレータ123によるシミュレーションが早く収束するようになるからである。例えば、図1に示される例で、正方形の中心以外を原点として各完成形縫目11における各点の座標を定義すると、結果として定義される初期縫目と、生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離が、複数の初期縫目のそれぞれで不均等になる(例えば、最も左下の点を原点として取ると、右上の初期縫目と生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離は、左下の初期縫目と生地が伸縮する前の実際の縫目との間の距離よりもはるかに大きくなり得る)。例えば、図1に示される例で、最も左下の点を原点として取ると、4つの完成形縫目11のうち左下の完成形縫目の座標を生地の伸縮率の逆数倍した場合には、結果として定義される初期縫目は、生地が伸縮する前の実際の縫目とは反対方向に位置することになる。原点は、シミュレータ123によるシミュレーションにおいて制約として利用され得る。すなわち、原点は、シミュレータ123によるシミュレーションにおいて、移動しない固定点として利用され得る。
ステップS403では、プロセッサ部120のシミュレータ123が、ステップS402で定義された初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮後モデルを生成する。伸縮後モデルは、縫目を有し、この縫目は、生地の伸縮により初期縫目が移動したものに対応している。すなわち、初期縫目と、伸縮後モデル上の縫目とは、1対1の関係にある。
シミュレータ123は、例えば、クロス・シミュレーションのアルゴリズムを用いて、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。あるいは、シミュレータ123は、例えば、メッシュ変形のアルゴリズムを用いて、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。
ステップS404では、プロセッサ部120の比較手段124が、ステップS403で生成された伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目とを比較する。比較手段124は、例えば、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目とを比較して、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分を決定することができる。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のそれぞれと、それに対応する完成形縫目における点との間の距離であってもよい。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、完成形縫目における点の位置ベクトルとの差分ベクトルであってもよい。
ステップS405では、プロセッサ部120の生成手段125が、ステップS404で比較した結果に基づいて、伸縮前縫目を有する伸縮前モデルを生成する。例えば、生成手段125は、比較の結果に応じて、初期縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成することができる。例えば、生成手段125は、比較の結果に応じて、初期縫目を移動させ、移動後の縫目に基づいて、伸縮前縫目を生成することができる。生成手段125は、例えば、移動後の縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成することができる。例えば、生成手段125は、比較の結果に応じて、初期縫目を移動させた後の縫目が配置された生地モデルを用いてシミュレータ123によるシミュレーションを再度行うことにより、伸縮前モデルを生成することができる。このときの処理は、図6を参照して以下に説明される。
ステップS405で生成された伸縮前モデルは、例えば、通信インターフェース部110を介して、データベース部200に格納されてもよいし、パタンナーの情報端末装置に送信されてもよい。これにより、伸縮前モデルは、衣服を作製するために、パタンナーによって利用されることができるようになる。伸縮前モデルは、伸縮による変形を考慮したモデルであるため、作製された衣服は、洗いによって伸縮しても、ファッションデザイナーによって意図されたデザインを維持することができる。
図5は、ステップS405において、プロセッサ部120が、伸縮前モデルを生成する処理の一例を示す。
ステップS501では、生成手段125が、ステップS404で決定された、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで、閾値は、任意の値であり得る。
伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のそれぞれと、それに対応する完成形縫目における点との間の距離であってもよい。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、完成形縫目における点の位置ベクトルとの差分ベクトルであってもよい。この場合、差分ベクトルの大きさと閾値とが比較される。
伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値以下である場合、ステップS502に進む。伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値よりも大きい場合、ステップS503に進む。例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のすべてについて、対応する完成形縫目における点との間の距離が閾値以下である場合にステップS502に進み、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの少なくとも1つについて、対応する完成形縫目における点との間の距離が閾値よりも大きい場合にステップS503に進む。
ステップS502では、生成手段125が、初期縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成する。初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションの結果として生成された伸縮後モデルが完成形モデルと等価なものであったため、初期縫目を有するモデルを伸縮前モデルとすることができるからである。
ステップS503では、生成手段125が、初期縫目を移動させる。生成手段125は、例えば、初期縫目を任意の量だけ移動させることができる。生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分に従って、初期縫目を移動させることができる。生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点と、それに対応する完成形縫目における点との間の距離のk倍(k≠0である。例えば、kは、0.25、0.5、または0.2~0.6の範囲内の値であり得る。例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等であってもよい。しかしながら、オーバーシュートを避けるために、0<k<1であることが好ましく、少しずつ完成形縫目に近づけるために、例えば、k=0.25またはk=0.5が好ましい。)だけ、対応する初期縫目における点を移動させることができる。生成手段125は、例えば、伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点の位置ベクトルと、それに対応する完成形縫目における点の位置ベクトルとの間の差分ベクトルのk倍(k≠0である。例えば、kは、0.25、0.5、または0.2~0.6の範囲内の値であり得る。例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等であってもよい。しかしながら、オーバーシュートを避けるために、0<k<1であることが好ましく、少しずつ完成形縫目に近づけるために、例えば、k=0.25またはk=0.5が好ましい。)だけ、対応する初期縫目上の点を移動させることができる。
ステップS504では、生成手段125が、移動後の縫目に基づいて、伸縮前モデルを生成する。生成手段125は、例えば、移動後の縫目を伸縮前縫目として伸縮前縫目を生成するようにしてもよいし、図6を参照して後述する処理によって、移動後の縫目が配置された生地モデルを用いて再度のシミュレーションを行うことにより、伸縮前モデルを生成するようにしてもよい。
図6は、ステップS504において、プロセッサ部120が、移動後の縫目に基づいて、伸縮前モデルを生成する処理の一例を示す。
ステップS601では、n=1が定義される。ここでnは自然数である。
ステップS602では、生成手段125が、ステップS503で移動させられた縫目(移動後の縫目)を第nの縫目と定義する。
ステップS603では、生成手段125が、第nの縫目が配置された生地モデルをシミュレータ123に入力することにより、シミュレータ123が、第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行う。これにより、第nの伸縮後モデルが生成される。第nの伸縮後モデルは、縫目を有し、この縫目は、生地の伸縮により第nの縫目が移動したものに対応している。すなわち、第nの縫目と、第nの伸縮後モデル上の縫目とは、1対1の関係にある。
シミュレータ123は、例えば、ステップS403における処理と同様の処理により、第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。
ステップS604では、比較手段124が、ステップS603で生成された第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目とを比較することにより、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分を決定し、生成手段125が、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで、閾値は、任意の値であり得る。閾値が小さいほど、最終的に生成される伸縮前モデルの精度が向上するが、閾値が小さすぎると処理が収束しないことがある。
比較手段124は、例えば、ステップS404における処理と同様の処理により、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分を決定することができる。生成手段125は、例えば、ステップS501における処理と同様の処理により、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値よりも大きいか否かを判定することができる。
第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、第nの伸縮後モデル上の縫目における複数の点のそれぞれと、それに対応する完成形縫目における点との間の距離であってもよい。あるいは、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分は、例えば、第nの伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、完成形縫目における点の位置ベクトルとの差分ベクトルであってもよい。この場合、差分ベクトルの大きさと閾値とが比較される。
第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値以下である場合、ステップS605に進む。第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値よりも大きい場合、ステップS606に進む。
ステップS605では、生成手段125が、第nの縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成する。第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションの結果として生成された第nの伸縮後モデルが完成形モデルと等価なものであったため、第nの縫目を有するモデルを伸縮前モデルとすることができるからである。
ステップS606では、生成手段125が、第nの縫目を移動させる。生成手段125は、例えば、第nの縫目を任意の量だけ移動させることができる。生成手段125は、例えば、第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分に従って、第nの縫目を移動させることができる。生成手段125は、例えば、第nの伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点と、それに対応する完成形縫目における点との間の距離のk倍(k≠0である。例えば、kは、0.25、0.5、または0.2~0.6の範囲内の値であり得る。例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等であってもよい。しかしながら、オーバーシュートを避けるために、0<k<1であることが好ましく、少しずつ完成形縫目に近づけるために、例えば、k=0.25またはk=0.5が好ましい。)だけ、対応する第nの縫目における点を移動させることができる。生成手段125は、例えば、第nの伸縮後モデル上の縫目における複数の点のうちの各点の位置ベクトルと、それに対応する完成形縫目における点の位置ベクトルとの間の差分ベクトルのk倍(k≠0である。例えば、kは、=0.25、0.5、または0.2~0.6の範囲内の値であり得る。例えば、kは、1、0.9、0.8、または、0.8~1.2の範囲内の値、0.7~1.3の範囲内の値等であってもよい。しかしながら、オーバーシュートを避けるために、0<k<1であることが好ましく、少しずつ完成形縫目に近づけるために、例えば、k=0.25またはk=0.5が好ましい。)だけ、対応する第nの縫目上の点を移動させることができる。
ステップS607では、nがインクリメントされ、n=n+1とされる。
その後、再びステップS603に戻り、ステップS604で第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値以下となるまで、ステップS603~ステップS607が繰り返される。このようにして、最終的に第nの伸縮後モデル上の縫目と、完成形縫目との間の差分の大きさが、閾値以下となったときの第nの縫目を伸縮前縫目として伸縮前モデルを生成することができる。
図7A~図7Dは、各モデルの一例を示す。
図7Aは、完成形モデル710の一例を示す。完成形モデル710は、上述したステップS401において取得される。完成形モデル710上には、4つの完成形縫目711A~711Dが配置されている。
図7Bは、初期縫目が配置された生地モデル720の一例を示す。生地モデル720は、上述したステップS402において定義された初期縫目が配置された生地モデルである。生地モデル720上には、4つの初期縫目721A~721Dが配置されている。これらの4つの初期縫目721A~721Dは、4つの完成形縫目711A~711Dに基づいて定義されたものである。本例では、初期縫目721Aは、生地の伸縮率に基づいて完成形縫目711Aを拡大したものであり、初期縫目721Bは、生地の伸縮率に基づいて完成形縫目711Bを拡大したものであり、初期縫目721Cは、生地の伸縮率に基づいて完成形縫目711Cを拡大したものであり、初期縫目721Dは、生地の伸縮率に基づいて完成形縫目711Dを拡大したものである。
図7Cは、伸縮後モデル730の一例を示す。伸縮後モデル730は、上述したステップS403の結果として生成される。本例では、伸縮後モデル730は、生地が収縮する過程のシミュレーションの結果として生成されている。伸縮後モデル730上には、4つの伸縮後縫目731A~731Dが配置されている。4つの伸縮後縫目731A~731Dは、破線で表されている。これらの4つの伸縮後縫目731A~731Dは、生地モデル720をシミュレータ123に入力することにより、4つの初期縫目721A~721Dが配置された生地が収縮する過程のシミュレーションの結果として生成されたものである。本例では、伸縮後縫目731Aは、生地が収縮する過程のシミュレーションにより初期縫目721Aが移動したものであり、伸縮後縫目731Bは、生地が収縮する過程のシミュレーションにより初期縫目721Bが移動したものであり、伸縮後縫目731Cは、生地が収縮する過程のシミュレーションにより初期縫目721Cが移動したものであり、伸縮後縫目731Dは、生地が収縮する過程のシミュレーションにより初期縫目721Dが移動したものである。
図7Dは、各モデルを重ね合わせた図である。図7Dには、4つの完成形縫目711A~711Dが配置された完成形モデル710、4つの初期縫目721A~721Dが配置された生地モデル720、4つの伸縮後縫目731A~731Dが配置された伸縮後モデル730、4つの移動後の縫目741A~741Dが配置された生地モデルが重ね合わせられており、これらの縫目の相対位置を示している。4つの伸縮後縫目731A~731Dは破線で表されており、4つの移動後の縫目741A~741Dは、点線で表されている。移動後の縫目741A~741Dは、上述したステップS503の結果として生成される縫目である。移動後の縫目741A~741Dは、伸縮後縫目731A~731Dと、完成形縫目711A~711Dとの差分だけ、初期縫目721A~721Dを移動させたものである。本例では、移動後の縫目741Aは、伸縮後縫目731Aと、完成形縫目711Aとの差分だけ、初期縫目721Aを移動させたものであり、移動後の縫目741Bは、伸縮後縫目731Bと、完成形縫目711Bとの差分だけ、初期縫目721Bを移動させたものであり、移動後の縫目741Cは、伸縮後縫目731Cと、完成形縫目711Cとの差分だけ、初期縫目721Cを移動させたものであり、移動後の縫目741Dは、伸縮後縫目731Dと、完成形縫目711Dとの差分だけ、初期縫目721Dを移動させたものである。
4つの移動後の縫目741A~741Dが配置された生地は、上述したステップS603において、さらなるシミュレーションのために用いられることになる。
例えば、上述したシミュレータ123は、伸縮前モデルを生成する目的のみならず、形の崩れにくい完成形モデルを提案するためにも用いられることができる。例えば、複数の伸縮前モデルをシミュレータ123に入力し、得られたシミュレーション結果を比較することにより、より形の崩れにくい縫目の配置がどれかを判定することができる。これにより、例えば、形の崩れにくいデザインをファッションデザイナーに助言・提案することができるようになる。あるいは、例えば、伸縮しにくいデザインとするためには、どの位置にどの種類の縫目を配置するべきかの助言をファッションデザイナーにすることもできるようになる。
4.シミュレータによる生地が伸縮する過程のシミュレーション
シミュレータ123は、例えば、メッシュ変形のアルゴリズムを用いて、生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことができる。メッシュ変形のアルゴリズムでは、
Ax=b
の線形システムを解くことになる。ここで、生地はN個の頂点を有する格子として表現され、Aは、格子の頂点同士の接続を記述する隣接行列である。Aは、縫目上のS個の点と格子との関係も記述する。bは、制約として用いられる数値を並べたものであり、制約として用いられる数値は、例えば、生地の伸縮率、および、格子の頂点と縫目上の点との距離であり得る。xは、格子の頂点のxy座標および縫目上の点のxy座標を示す。xを求めることにより、伸縮後の格子の頂点および縫目上の点の座標が特定されるため、伸縮後モデルを生成することができる。
一例において、Aおよびbは、経糸による制約、緯糸による制約、縫目による制約を単純に縦に並べたものであり、xは、格子のN個の頂点のxy座標を交互に並べ、縫目上のS個の点のxy座標を交互に並べたものである。
経糸による制約および緯糸による制約の例として、3×3の格子(すなわち、N=9)の場合を例に説明する。x方向の生地の伸縮率をR、y方向の生地の伸縮率をRとする(0<R、R)。
経糸による制約は、例えば、以下のように表される。N=W×H=3×3の格子では辺の数b=W×(H-1)×2=12であり、これは、行数に対応している。Aの列数およびxの長さは、18であり、これは頂点数N×2=9×2である。各頂点はxy座標を有するため、2倍された値となっている。
緯糸による制約は、例えば、以下のように表される。
縫目による制約は、例えば、以下のように表される。
ここで、縫目上のS個の点の座標は、(P ,P )と表され(0≦i<S)、縫目上のi番目の点を包囲する格子の頂点uvの座標は、(V uv x,V uv y)と表される(u=0または1、v=0または1)。さらに、
は、以下のように、縫目上のi番目の点と、頂点uvとのxy座標の差である。
すなわち、縫目上の1つの点につき8つの制約が追加される(縫目上の1つの点は、包囲される格子の4つの頂点によってxy座標を制約される)。
一例において、Aおよびbは、上記経糸による制約(数1)、上記緯糸による制約(数2)、上記縫目による制約(数3)を、列数を合わせて縦に並べたものとなる。例えば、
と表されたとすると、
のように、Aの右に零行列Oを挿入し、Bの右に零行列Oを挿入して、Cと列数を合わせたうえで、縦に並べることにより、A、bを得ることができる。加えて、原点の制約も加えるようにしてもよい。原点の制約は、左辺において原点となる格子の頂点のxy座標に対応する成分を1に、その他を0にし、右辺の成分を0とした行列として表され得る。xは、格子のN個の頂点のxy座標(V ,V )を交互に並べ、縫目上のS個の点のxy座標(P ,P )を交互に並べたものであり、以下のとおり表され得る。ここで、0≦j<N、0≦i<Sである。xの長さは、2N+2Sとなる。
例えば、初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションは、初期縫目上の点の座標(例えば、上述した例では、(x/R,y/R))を用いて、bを導出し、Ax=bの線形システムを解くことによって行われる。
例えば、第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションは、第nの縫目上の座標を用いて、bを導出し、Ax=bの線形システムを解くことによって行われる。
例えば、縫目の種類に応じた伸縮率の違いを反映させる場合には、その縫目に対応する制約の重みづけを行うことにより、これを達成することができる。例えば、縫目によって約2倍伸縮しにくくなった場合、すなわち、伸縮率が1に近くなった場合、その縫目に対応する制約の係数を2倍することにより、制約の重みづけを調整することができる。
上述したシミュレータ123によるシミュレーションは、一例であり、布の縮みをシミュレーションすることができる限り、他の任意のアルゴリズムによっても行うことができる。例えば、一般的な市販のクロスシミュレータを2次元に限定して用いることによって行うことができる。
図4、図5、図6を参照して上述した例では、図4、図5、図6に示される各ステップの処理は、プロセッサ部120とメモリ部130に格納されたプログラムとによって実現することが説明されたが、本発明はこれに限定されない。図4、図5、図6に示される各ステップの処理のうちの少なくとも1つは、制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
本発明は、客観的かつ自動的に生地の伸縮による変形に対処することが可能な、伸縮前モデルを生成するためのプログラム、方法、およびコンピュータシステムを提供することができる点で有用である。
10 完成形モデル
20 伸縮前モデル
100 コンピュータシステム
110 通信インターフェース部
120 プロセッサ部
130 メモリ部
200 データベース部

Claims (9)

  1. 伸縮前モデルを生成するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部を備えるコンピュータシステムにおいて実行され、前記プログラムは、
    完成形縫目が配置された完成形モデルを取得することと、
    前記完成形縫目に基づいた縫目を制約として生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成することであって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されており、前記伸縮前モデルを生成することは、
    前記完成形縫目を生地の伸縮率に基づいて拡大または縮小することによって初期縫目を定義することと、
    前記初期縫目を制約として、前記初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮後モデルを生成することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分を決定するように、前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目とを比較することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との間の差分の大きさが閾値よりも大きいか否かを判定することと、
    前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記初期縫目を移動させ、移動後の縫目に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することと、
    前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記初期縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと
    を含む、ことと
    を含む処理を前記プロセッサに行わせる、プログラム。
  2. 前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記伸縮前モデルを生成することは、
    (a)n=1とすることと、
    (b)前記移動後の縫目を第nの縫目と定義することと、
    (c)前記第nの縫目を制約として、前記第nの縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、第nの伸縮後モデルを生成することと、
    (d)前記第nの伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分の大きさが前記閾値よりも大きいか否かを判定することと、
    (e)前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記第nの縫目を移動させ、n=n+1とすることと、
    (f)前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記第nの縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと、
    (g)前記差分の大きさが前記閾値以下になるまで、前記(b)~(e)を繰り返すことと
    を含む、請求項に記載のプログラム。
  3. 前記完成形縫目、前記初期縫目、前記伸縮前縫目、および前記伸縮後モデル上の縫目の各々は、複数の点の集合として表現され、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分は、前記伸縮後モデル上の縫目における点と、それに対応する前記完成形縫目における点との間の距離であり、
    前記初期縫目を移動させることは、前記初期縫目における点を前記距離に従って移動させることを含む、請求項または請求項に記載のプログラム。
  4. 前記完成形縫目、前記初期縫目、前記伸縮前縫目、および前記伸縮後モデル上の縫目の各々は、複数の点の集合として表現され、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分は、前記伸縮後モデル上の縫目における点の位置ベクトルと、それに対応する前記完成形縫目における点の位置ベクトルとの間の差分ベクトルであり、
    前記初期縫目を移動させることは、前記初期縫目における点を前記差分ベクトルに従って移動させることを含む、請求項または請求項に記載のプログラム。
  5. 前記完成形モデルは、完成形パターンを有し、
    前記伸縮前モデルは、
    前記伸縮後モデル上に前記完成形パターンを反映させることと、
    前記伸縮後モデル上での前記反映された完成形パターンの位置に対応する前記伸縮前モデル上での位置を特定することと
    によって生成される、請求項1~のいずれか一項に記載のプログラム。
  6. 前記シミュレーションにおいて前記生地の伸縮率は、前記生地上に配置された縫目に対する位置に応じて変動する、請求項1~のいずれか一項に記載のプログラム。
  7. 前記生地上に配置された縫目は、第1の縫目および第2の縫目を備え、
    前記シミュレーションにおいて前記生地の伸縮率は、前記第1の縫目および前記第2の縫目に対する相対位置に応じて変動する、請求項に記載のプログラム。
  8. 伸縮前モデルを生成するための方法であって、
    完成形縫目が配置された完成形モデルを取得することと、
    前記完成形縫目に基づいた縫目を制約として生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成することであって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されており、前記伸縮前モデルを生成することは、
    前記完成形縫目を生地の伸縮率に基づいて拡大または縮小することによって初期縫目を定義することと、
    前記初期縫目を制約として、前記初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮後モデルを生成することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分を決定するように、前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目とを比較することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との間の差分の大きさが閾値よりも大きいか否かを判定することと、
    前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記初期縫目を移動させ、移動後の縫目に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することと、
    前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記初期縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと
    を含む、ことと
    を含む方法。
  9. 伸縮前モデルを生成するためのコンピュータシステムであって、
    完成形縫目が配置された完成形モデルを取得する手段と、
    前記完成形縫目に基づいた縫目を制約として生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮すると前記完成形モデルとなる伸縮前モデルを生成する手段であって、前記伸縮前モデルには、伸縮前縫目が配置されており、前記伸縮前モデルを生成することは、
    前記完成形縫目を生地の伸縮率に基づいて拡大または縮小することによって初期縫目を定義することと、
    前記初期縫目を制約として、前記初期縫目が配置された生地が伸縮する過程のシミュレーションを行うことにより、伸縮後モデルを生成することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との差分を決定するように、前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目とを比較することと、
    前記伸縮後モデル上の縫目と、前記完成形縫目との間の差分の大きさが閾値よりも大きいか否かを判定することと、
    前記差分の大きさが前記閾値よりも大きい場合に、前記初期縫目を移動させ、移動後の縫目に基づいて、前記伸縮前モデルを生成することと、
    前記差分の大きさが前記閾値以下である場合に、前記初期縫目を前記伸縮前縫目として前記伸縮前モデルを生成することと
    を含む、手段と
    を備える、コンピュータシステム。
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