JP7333191B2 - 電力由来管理装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は電力由来管理装置及び方法に関し、例えば、電力システムに適用して好適なものである。
近年、環境問題解決のために再生可能エネルギーの重要度が高まっている。これに伴い、特定の企業の活動全体が消費するエネルギーを太陽光発電エネルギーや風力発電エネルギーなどの再生可能エネルギー由来のみで担うことで環境価値を社会に提供するという目標を掲げる活動(以下、これを環境活動と呼ぶ)が増えてきている(例えば、下記非特許文献1参照)。
また、このような環境活動の拡大に伴って、グリーン電力証書などの環境価値証書の取引も活発化しつつある。環境価値証書は、再生可能エネルギー由来の電力が電力そのものの価値に加えて二酸化炭素の排出を削減するという「環境価値」を有していると考え、この「環境価値」を電力と切り離して第三者機関の認証の上で取引できるようにした証書である。この環境価値証書を購入することにより、その環境価値証書と対応付けられた電力量の非再生可能エネルギーを再生可能エネルギー由来の電力として取り扱うことができる。
なお、上述の環境価値に関連して、特許文献1には、再生可能エネルギー発電のもつ環境に係る付加価値を正当に評価するシステムが開示されている。
特開2012-38342号公報
"日本初再生可能エネルギー100%による世田谷線の運行を電気記念日の3月25日に開始"、[online]、2019年3月25日、東京急行電鉄株式会社、外2社、[2019年4月3日検索]、インターネット〈URL: https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20190325-1-1.pdf〉
ところで、企業活動全体を対象とすると、全体を支える再生可能エネルギーの購入に大きな資金が必要となる。つまり資金力がある大企業のみがそのような環境活動を実践することができるが、資金力のない中小企業などの他の構成員にはかかる環境活動を実践することが難しい。
そこで、企業活動全体でなく、ある一部の企業活動において再生可能エネルギーのみを利用しているという環境価値の証明手段を提供できれば、大きな資金を必要とせずに環境活動を実践できるようになるため、環境活動を促進させることができるものと考えられる。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、環境活動をより一層と促進させ得る電力由来管理装置及び方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、1又は複数の設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理システムであって、前記設備の受電電力を計測する電力計と、前記設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理装置とを設け、前記電力由来管理装置が、前記電力計により計測された少なくとも1つの前記設備の受電電力に対して、当該設備に対して予め設定された時間帯における前記受電電力に含まれる再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールするようにした。
また本発明においては、1又は複数の設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理システムにおいて実行される電力由来管理方法であって、前記設備の受電電力を計測する第1のステップと、記設備の受電電力の由来を管理する第2のステップとを設け、前記第2のステップでは、計測した少なくとも1つの前記設備の受電電力に対して、当該設備に対して予め設定された時間帯における前記受電電力に含まれる再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールするようにした。
本発明の電力由来管理装置及び方法によれば、設備単位でその設備の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールできる。従って、企業活動全体でしか環境活動を実践できない場合に比べて、より容易かつ安価に環境活動を実践できるようにすることができる。
本発明によれば、環境活動をより一層と促進させ得る電力由来管理装置及び方法を実現できる。
本実施の形態による電力システムの全体構成を示すブロック図である。 電力由来管理装置の構成例を示すブロック図である。 受電履歴情報管理データベースの構成例を示す図表である。 設定画面の構成例を示す図である。 電力由来管理処理の処理手順を示すフローチャートである。 (A)及び(B)は、メッセージの表示例を示す図である。 本実施の形態の電力由来管理装置による設備の受電電力における再生可能エネルギー電力割合のコントロールを、複数の列車の運行に適用する適用例の説明に供する概念図である。 本実施の形態による電力由来管理装置による設備の受電電力における再生可能エネルギー電力割合のコントロールを、工場内の複数の生産ラインの運転に適用する適用例の説明に供する概念図である。 本実施の形態による電力由来管理装置による設備の受電電力における再生可能エネルギー電力割合のコントロールを、空港等に配置された複数の案内ロボットへの充電に適用する適用例の説明に供する概念図である。 本実施の形態による電力由来管理装置による設備の受電電力における再生可能エネルギー電力割合のコントロールを、ホテルの消費電力に適用する適用例の説明に供する概念図である。 本実施の形態による電力由来管理装置による設備の受電電力における再生可能エネルギー電力割合のコントロールを、オフィスビル等に設置された複数のエレベータ装置の運行に適用する適用例の説明に供する概念図である。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態による電力システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による電力システムを示す。この電力システム1は、1又は複数の再生可能エネルギー発電設備2、非再生可能エネルギー発電設備3及び需要家側システム4を備えて構成される。
各再生可能エネルギー発電設備2は、需要家側システム4の所有者である需要家と受給電契約を締結した発電事業者が所有する風力発電設備や太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの発電設備であり、非再生可能エネルギー発電設備3は、火力発電所、水力発電所及び原子力発電所などの非再生可能エネルギーの発電設備である。これら再生可能エネルギー発電設備2及び非再生可能エネルギー発電設備3は、送電線などの電力ネットワーク5を介して需要家側システム4と接続されており、需要家側システム4に対して電力を供給する。
なお以下においては、適宜、再生可能エネルギー発電設備2で発電された再生可能エネルギー由来の電力を再生可能エネルギー電力と呼び、非再生可能エネルギー発電設備3で発電された非再生可能エネルギー由来の電力を非再生可能エネルギー電力と呼ぶものとする。需要家側システム4には、これら再生可能エネルギー電力及び非再生可能エネルギー電力からなる電力が電力ネットワーク5を介して供給される。
需要家側システム4は、オフィスビルやホテル、空港、工場、鉄道事業者などの電力の需要家が保持するシステムである。本実施の形態の場合、需要家側システム4は、再生可能エネルギー発電設備6と、1又は複数の設備7と、電力由来管理装置8とを備える。
再生可能エネルギー発電設備6は、例えば、オフィスビル等の建物の側面若しくは屋上などに設置された太陽光発電パネルなどから構成され、発電した再生可能エネルギー電力を需要家側システム4内の送電線9を介して各設備7又は特定の設備7に送電する。また設備7は、それぞれビル内の個々の昇降機や個々のエスカレータ、及び若しくは、工場における個々の生産ライン、又は、個々の蓄電池(電気自動車などの電気を駆動源とする移動体に搭載された蓄電池を含む)などから構成され、送電線9を介して供給される電力を受電して稼動又は蓄電する。
電力由来管理装置8は、電力ネットワーク5上や、需要家側システム4内の随所に設置された各電力計10(10A~10D)からそれぞれ与えられる計測値と、予めユーザにより設備7ごとにそれぞれ設定されたその設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合の目標値(以下、これを再生可能エネルギー割合目標値と呼ぶ)とに基づいて、需要家側システム4内の設備7ごとに、その設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする機能を有する。
実際上、電力由来管理装置8は、必要時に必要な再生可能エネルギー分の環境価値証書をネットワーク11を介して外部から購入することができる。
また電力由来管理装置8には、各再生可能エネルギー発電設備2及び電力ネットワーク5間にそれぞれ設置された各第1の電力計10(10A)から、対応する再生可能エネルギー発電設備2から出力された再生可能エネルギー電力の計測値(電圧値及び又は電流値)がインターネットなどのネットワーク11を介してそれぞれ逐次与えられる。
さらに需要家側システム4内には、電力ネットワーク5を介して本需要家側システム4に供給される電力の総電力量を計測する第2の電力計10(10B)と、本需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6から出力された再生可能エネルギー電力の電力量を計測する第3の電力計10(10C)と、各設備7にそれぞれ対応させて設けられ、対応する設備7が受電した電力量を計測する第4の電力計10(10D)となどが設けられており、これら第2~第4の電力計10(10B~10D)の計測値が電力由来管理装置8に逐次与えられる。
加えて、本実施の形態の場合、ユーザは電力由来管理装置8に対して、図4について後述する設定画面30を用いて設備7ごとに、その設備7における上述の再生可能エネルギー割合目標値と、その再生可能エネルギー割合目標値を達成すべき時間帯となどをそれぞれ設定することができる。
そして電力由来管理装置8は、かかる第1~第4の電力計10(10A~10D)から与えられる計測値に基づいて、設備7ごとに、その設備7の受電電力に対して、電力系統から供給される電力に含まれる再生可能エネルギー電力と、購入した環境価値証書に相当する電力とを組み合わせて紐付けることにより、その設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をそれぞれコントロールする。
また電力由来管理装置8は、必要に応じて、環境価値証書の購入に加えて又は代えて、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6に再生可能エネルギーを発電させたり、蓄電池から再生可能エネルギーを放電させることによって、設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をそれぞれコントロールする。
(2)電力由来管理装置の構成
図2は、電力由来管理装置8の構成例を示す。この図2に示すように、電力由来管理装置8は、CPU(Central Processing Unit)20、主記憶装置21、補助記憶装置22、ネットワークインタフェース23、入力装置24及び表示装置25を備える汎用のコンピュータ装置から構成される。
CPU20は、電力由来管理装置8全体の動作制御を司るプロセッサである。また主記憶装置21は、例えば半導体メモリなどから構成され、CPU20のワークメモリとして利用される。後述する電力由来管理プログラム26は、電力由来管理装置8の起動時や必要時に補助記憶装置22から主記憶装置21に読み出され、主記憶装置21において保持される。
補助記憶装置22は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどの大容量の不揮発性の記憶装置から構成され、各種プログラムや各種データを長期間保持するために利用される。環境価値証書データベース27や受電履歴情報管理データベース28もこの補助記憶装置22に格納されて保持される。
なお、環境価値証書データベース27は、電力由来管理装置8がネットワーク11を介して外部から購入した環境価値証書を管理及び保管するためのデータベースであり、受電履歴情報管理データベース28は、需要家側システム4内の各設備7の各時間帯における受電履歴の情報をエビデンスとして保管しておくためのデータベースである。環境価値証書データベース27や受電履歴情報管理データベース28に格納された情報は、必要時に表示装置25に表示させたり、図示しないプリンタにより印刷することができる。
ネットワークインタフェース23は、例えばNIC(Network Interface Card)などから構成され、電力由来管理装置8がネットワーク11を介して第1の電力計10(10A)や他の機器と通信を行う際のプロトコル制御を行う。
また入力装置24は、キーボードやマウスなどから構成され、ユーザが各種設定等を電力由来管理装置8に入力する際に利用される。さらに表示装置25は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどから構成され、後述する設定画面30(図4)などの各種画面や必要な情報を表示するために利用される。
なお受電履歴情報管理データベース28の構成例を図3に示す。この図3に示すように、受電履歴情報管理データベース28は、時間帯欄28A、設備ID欄28B、受電電力量欄28C、再生可能エネルギー電力量欄28D及び環境価値証書の購入に相当する再生可能エネルギー電力量欄28Eを備えたテーブル構造を有する。受電履歴情報管理データベース28では、1つの行が1つの設備7の対応する時間帯における受電電力の履歴情報(以下、これを受電履歴情報と呼ぶ)に該当する。
そして時間帯欄28Aには、その行の受電履歴情報を取得した時間帯が格納され、設備ID欄28Bにはその行の受電履歴情報の対象となる設備7の識別子(設備ID)が格納される。また受電電力量欄28Cには、対応する時間帯に対応する設備7が受電した単位時間当たりの電力量が格納され、再生可能エネルギー電力量欄28Dには、その電力量のうちの再生可能エネルギー電力の電力量が格納される。
さらに環境価値証書の購入に相当する再生可能エネルギー電力量欄28Eには、再生可能エネルギー電力量欄28Dに格納された再生可能エネルギー電力の電力量のうち、環境価値証書の購入分に相当する再生可能エネルギー電力の電力量が格納される。
(3)設定画面の構成
図4は、所定操作により電力由来管理装置8の表示装置25(図2)に表示させることができる上述の設定画面30の構成例を示す。この設定画面30は、需要家側システム4内の設備7ごとに、その設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合などの各種要件を設定するための画面である。
実際上、設定画面30には、対象設備ID指定欄31、対象時間帯指定欄32、目標再生可能エネルギー率指定欄33、系統電力再生可能エネルギー含有率登録欄34、複数の第1の優先度指定欄35、及び、複数の第2の優先度指定欄36と、設定ボタン37とが設けられている。
そしてユーザは、入力装置24(図2)を操作して、これら対象設備ID指定欄31、対象時間帯指定欄32、目標再生可能エネルギー率指定欄33、系統電力再生可能エネルギー含有率登録欄34、第1の優先度指定欄35、及び、第2の優先度指定欄36に所望する数値をそれぞれ入力することにより、各設備7に対する各種要件の設定を行うことができる。
具体的に、設定画面30では、対象設備ID指定欄31に所望する設備7の識別子(設備ID)を入力することにより、その設備(以下、これを指定設備と呼ぶ)7をそのとき設定しようとする各種要件の適用対象として指定することができる。
また設定画面30では、対象時間帯指定欄32に所望する時間帯を入力することにより、その時間帯(以下、これを指定時間帯と呼ぶ)を、電力由来管理装置4が指定設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする時間帯として指定することができる。
さらに設定画面30では、目標再生可能エネルギー率指定欄33に所望する数値を入力することにより、その数値を指定時間帯における指定設備7の再生可能エネルギー割合目標値として指定することができる。
さらに設定画面30では、電力ネットワーク5(図1)を介して電力系統から本需要家側システム4に供給される電力に含まれる再生可能エネルギー電力の現在の割合を系統電力再生可能エネルギー含有率登録欄34に入力することにより、その割合を電力由来管理装置8に設定することができる。ただし、この割合が不明のときには、系統電力再生可能エネルギー含有率登録欄34を空欄にしておいてもよい。
さらに設定画面30では、各第1の優先度指定欄35に対してそれぞれ1から始まる連番のうちの互いに異なる数値をそれぞれ入力することにより、指定時間帯の指定設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギーが占める割合が再生可能エネルギー割合目標値未満である場合に電力由来管理装置8が実行すべき処理(以下、これを割合増加処理と呼ぶ)として、これら第1の優先度指定欄35とそれぞれ対応付けられた割合増加処理を実施する順番(優先度)を指定することができる。
なお図4の例の場合、かかる割合増加処理として、必要な再生可能エネルギー電力分の環境価値証書を購入する処理(「環境価値証書の購入」)と、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6(図1)の出力を増加させる処理(「自家設置再生エネ設備の出力を増加」)と、再生可能エネルギー電力を蓄電した蓄電池(設備7)から送電線9に放電するよう蓄電池を制御する処理(「蓄電池からの給電」)と、指定設備7の稼働率を下げるなどしてその指定設備7の受電電力を削減する処理(「受電電力を削減」)とが用意されている。
因みに、「蓄電池からの給電」という割合増加処理は、かかる蓄電池から出力された再生可能エネルギー電力がすべて指定設備7に供給されたとみなして数値的に指定設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合を増加させるものであり、実際にかかる蓄電池から出力された再生可能エネルギー電力をすべて指定設備7に供給するものではない。ただし、実際にかかる蓄電池から指定設備7に直接再生可能エネルギー電力を供給するようにしてもよい。他の割合増加処理についても同様である。
さらに設定画面30では、各第2の優先度指定欄36に対してそれぞれ1から始まる連番のうちの互いに異なる数値をそれぞれ入力することにより、指定時間帯の指定設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギーが占める割合が再生可能エネルギー割合目標値以上となった場合に電力由来管理装置8が実行すべき処理(以下、これを割合低減処理と呼ぶ)として、これら各第2の優先度指定欄36とそれぞれ対応付けられた割合低減処理を実施する順番(優先度)を指定することができる。
なお図4の例の場合、かかる割合低減処理として、余剰分の再生可能エネルギー電力の環境価値証書を販売する処理(「環境価値証書の販売」)と、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6(図1)の出力を低減させる処理(「自家設置再生エネ設備の出力を低減」)と、余剰分の再生可能エネルギー電力を他の設備7に振り分ける処理(「他の設備に振り分け」)と、指定設備7の稼働率を上げるなどしてその指定設備7の受電電力を増加する処理(「受電電力を削減」)と、何もしないこととが用意されている。
因みに、「他の設備に振り分け」という割合低減処理は、余剰分の再生可能エネルギー電力を他の設備7に振り分けたとみなして数値的に指定設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合を低減させるものであり、実際に指定設備7の受電電力に含まれる再生可能エネルギー電力を他の設備7に振り分けるものではない。ただし、例えば、再生可能エネルギー電力を蓄電した蓄電池から指定設備7に直接再生可能エネルギー電力が供給されている場合に、実際にその蓄電池から供給される再生可能エネルギー電力を他の設備7に振り分けるようにしてもよい。他の割合低減処理についても同様である。
そして設定画面30では、上述のようにして指定設備7や、指定時間帯及び再生可能エネルギー割合目標値などの各要件をそれぞれ指定した上で設定ボタン37をクリックすることにより、これらの内容をその指定設備7の単位時間当たりの総受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合を調整するための設定として電力由来管理装置8に登録することができる。
(4)電力由来管理処理
図5は、電力由来管理装置8のCPU20(図2)が主記憶装置21(図2)に格納された上述の電力由来管理プログラム26(図2)を実行することにより行われる一連の処理(以下、これを電力由来管理処理と呼ぶ)の流れを示す。CPU20は、この図5に示す処理手順に従って、需要家側システム4内の各設備7の総受給電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする。
実際上、CPU20は、少なくとも1つの設備7について上述のように設定画面30を用いて再生可能エネルギー割合目標値などの各種要件が設定されるとこの図5に示す電力由来管理処理を開始し、まず、第1~第4の電力計10(10A~10D)からそれぞれ送信されてくる電力の計測値を取得する(S1)。
続いて、CPU20は、需要家側システム4内の再生可能エネルギー割合目標値が設定されている設備7のうち、現在時刻が設定画面30(図4)で指定された適用対象の時間帯に含まれる設備7を1つ選択し(S2)、選択した設備(以下、これを選択設備と呼ぶ)7の単位時間当たりの総受電電力のうち、再生可能エネルギー電力が占める割合を算出する(S3)。
具体的に、CPU20は、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6(図1)を稼動させていない状態の場合には、図4について上述した設定画面30の目標再生可能エネルギー率指定欄33(図4)に格納された数値をかかる割合として算出する。
またCPU20は、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6を稼動させている場合には、第1の電力計10(10A)ごとの計測値と、第3の電力計10(10C)の計測値との合計値を、第2の電力計10(図10B)の計測値と、第3の電力計10(10C)の計測値との合計値で除算した商を100倍した値をかかる割合として算出する。
次いで、CPU20は、ステップS3で算出した割合が、選択設備7について設定されている再生可能エネルギー割合目標値以上であるか否かを判断する(S4)。そしてCPU20は、この判断で否定結果を得ると、選択設備7について設定画面30の各第1の優先度指定欄35で指定された最も優先度の高い割合増加処理を開始し(S5)、この後、ステップS4に戻る。
そしてCPU20は、この後、ステップS5で実行する割合増加処理を、適宜、次に優先度が高い割合増加処理に順次切り替えながら、ステップS3で算出した割合が選択設備7について設定されている再生可能エネルギー割合目標値以上となるまで、ステップS3~ステップS5-ステップS3のループを繰り返す。
そしてCPU20は、やがて直前のステップS3で算出した割合が、選択設備7について設定されている再生可能エネルギー割合目標値以上となることによりステップS4で肯定結果を得ると、選択設備7に所定の制御信号を送信することにより、選択設備7を再生可能エネルギー割合目標値で稼動させている旨の表示をその選択設備7内の表示装置(図示せず)に表示させる(S6)。
例えば、選択設備7がエレベータ装置の場合、CPU20は、図6(A)に示すような、そのエレベータ装置が再生可能エネルギー割合目標値(図6(A)では「100%」)で運転させている旨のメッセージを乗りかご内の操作盤に設けられた表示装置に表示させる。またCPU20は、選択設備7が鉄道車両や電気自動車などである場合にも、同様のメッセージをその鉄道車両内やその電気自動車内の表示装置に表示させる。ただし、図6(B)に示すような選択設備7の単位時間当たりの受電電力に占める再生可能エネルギー電力の現在の割合を表示させるようにしてもよい。
続いて、CPU20は、直前のステップS3で算出した割合が選択設備7について設定されている再生可能エネルギー割合目標値又は再生可能エネルギー割合目標値よりも予め定められた数%だけ大きい値となるまで、その選択設備7について設定画面30の第2の優先度指定欄36で指定された最も優先度の高い割合低減処理から順番に、適宜、割合低減処理を切り替えながら順次実施する(S7)。
この後、CPU20は、ステップS1に戻り、これ以降、ステップS2で選択する設備を需要家側システム4内の再生可能エネルギー割合目標値が設定されている他の設備7にラウンドロビン方式で順次切り替えながらステップS1~ステップS7の処理を繰り返す。
このようにしてCPU20は、再生可能エネルギー割合目標値が設定された各設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする。
なお、CPU20は、この電力由来管理処理と並行して、設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールしている時間帯におけるその設備7の受電履歴情報を、選択的にエビデンスとして受電履歴情報管理データベース28に記録する。
(5)本実施の形態の効果
以上の本実施の形態の電力システム1によれば、需要家側システム4内の設備7単位で、その設備7の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールでき、またその設備7の受電電力の一定割合が前記再生可能エネルギー由来であることをその設備7の受電履歴情報によって証明することができる。従って、企業活動全体でしか環境活動を実践できない既存の状況に比べて、環境活動の実践をより容易化かつ安価化することができ、かくして環境活動をより一層と促進させることができる。
また本電力システム1では、図6(A)や図6(B)のようなメッセージを設備単位で表示させることができるため、環境活動を実践していることを積極的にアピールすることができ、対外的なイメージを向上させることもできる。
(6)本実施の形態による技術の適用例
図7~図11は、上述した電力由来管理装置8が受電電力の再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする技術の各種システムへの適用例を示す。
まず、図7は、鉄道システムにおける「設備」の1つである列車40を部分的に再生可能エネルギー電力100%で運行する場合の一例を示す。この例では、3つの列車40(40A~40C)が架線41を介して電力の供給を受けており、このうちのある電力供給エリアに位置する1つの列車40(40A)で受電(消費)されるすべての電力が再生可能エネルギー電力と紐付けられている。このように再生可能エネルギー電力を特定の列車40の受電電力(消費電力)に割り当てることによって、限られた再生可能エネルギー電力を利用して、再生可能エネルギー電力100%での列車40の運行をアピールすることができる。
また図8は、工場における「設備」の1つである生産ライン42を部分的に再生可能エネルギー電力100%で運転する場合の一例を示す。この例では、3つの生産ライン42(42A~42C)が電力の供給を受けており、このうちの1つの生産ライン42(42A)で受電(消費)されるすべての電力が再生可能エネルギー電力と紐付けられている。このように再生可能エネルギー電力を特定の生産ライン42の受電電力(消費電力)に割り当てることによって、限りある再生可能エネルギー電力を利用して、例えば、再生可能エネルギー電力100%で製造した製品であることを検収条件とする企業に対しても製品を出荷できるというメリットがある。
さらに図9は、例えば、空港などにおける「設備」の1つとして配設された道案内やその他の各種案内を行う充電型の複数の案内ロボット43を部分的に再生可能エネルギー電力100%で稼動する場合の一例を示す。この例では、3台の案内ロボット43(43A~43C)のうちのその移動エリア内の1台の案内ロボット43(43A)のすべての充電電力が再生可能エネルギー電力と紐付けられている。このように再生可能エネルギー電力を特定の案内ロボット43の充電電力に割り当てることによって、限りある再生可能エネルギー電力を利用して、訪日観光客に対して日本の環境意識が高く、また技術が進んでいることを積極的にアピールできるというメリットがある。
一方、図10は、ホテル44の各フロア45(45A~45E)で消費される電力を部分的に再生可能エネルギー電力100%で賄う場合の一例を示す。この例では、ホテル44の一部のフロア45(45E)で消費されるすべての電力が再生可能エネルギー電力と紐付けられている。このように再生可能エネルギー電力を特定のフロア45で消費されるすべての電力に割り当てることにより、そのホテル44において環境活動を行っていることを対外的にアピールすることで集客効果を期待できると共に、宿泊者にとっても個人レベルで環境活動に参加できるというメリットがある。
また図11は、オフィスビルやホテル又は商業施設などの建物における「設備」の1つであるエレベータ装置46を部分的に再生可能エネルギー電力100%で運転する場合の一例を示す。この例では、3基設置されたエレベータ装置46(46A~46C)のうちの1つのエレベータ装置46(46A)で受電(消費)されるすべての電力が再生可能エネルギー電力と紐付けられている。このように再生可能エネルギー電力を特定のエレベータ装置46の受電電力(消費電力)に割り当てることによって、その建物を所有するオーナにとっては環境活動をしていることを対外的にアピールすることで集客効果を期待できると共に、個人レベルで環境活動に参加できるというメリットがある。なお、エレベータ装置46に代えて又は加えてエスカレータ装置についても同様に適用することができる。
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、需要家側システム4内の再生可能エネルギー発電設備6をビルや工場等の建物の側面若しくは屋上、又は、車両などに設置された太陽光発電パネルなどから構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、工場の敷地内に設置された風力発電施設や、かかる敷地外の他の場所に設けられたその需要家の太陽光発電ファーム又はウィンドファームなどの再生可能エネルギー発電設備を広く適用することができる。
また上述の実施の形態においては、設備7の一例が電気自動車である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、設備7が電気自動車以外の電動バイクや移動型ロボットなどの電気を駆動原とする移動体である場合にも本発明を広く適用することができる。
さらに上述の実施の形態においては、設備7ごとに各割合増加処理や各割合低減処理の優先度をそれぞれ別個に設定できるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、全部又は一部の複数の設備7に対して各割合増加処理や各割合低減処理の優先度を一括して同様に設定できるようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、1つの需要家側システム4に対して1つの電力由来管理装置8を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、1つの電力由来管理装置8により複数の需要家側システム4を制御できるようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、割合増加処理や割合低減処理として図4について上述した種類の割合増加処理や割合低減処理を用意するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の割合増加処理や割合低減処理を用意するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、図4について上述した設定画面30において、対象設備ID指定欄31に所望する設備7の識別子(設備ID)を入力することにより、設備単位で受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールできるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、設定画面30において複数の設備により構成されるエリア(鉄道の電力供給エリア、電気を駆動源とする移動体が移動するエリア、製造ラインを有する工場、ホテルのフロアなど)を指定することにより、そのエリア内における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールできるようにしてもよい。このようにすることによって、エリア内にどのような設備があるかが不明の場合にも、エリア単位でそのエリア内の各設備の受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールすることが可能となる。
さらに上述の実施の形態においては、図6(A)や図6(B)について上述したメッセージを、受電電力における再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールしている設備7に表示させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、ビルの入口に表示させるなど、かかるメッセージを当該設備7以外の場所に表示させるようにしてもよい。
本発明は、電力系統から供給される電力に基づいて動作する設備を有する種々のシステムに広く適用することができる。
1……電力システム、2,6……再生可能エネルギー発電設備、3……非再生可能エネルギー発電設備、4……需要家側システム、7……設備、8……電力管理装置、10,10A~10D……電力計、20……CPU、26……電力由来管理プログラム、30……設定画面。

Claims (16)

  1. 1又は複数の設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理システムであって、
    前記設備の受電電力を計測する電力計と、
    前記設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理装置と
    を備え、
    前記電力由来管理装置は、
    前記電力計により計測された少なくとも1つの前記設備の受電電力に対して、当該設備に対して予め設定された時間帯における前記受電電力に含まれる再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする電力由来管理システム。
  2. 前記電力由来管理装置は、
    必要な電力量の再生可能エネルギーの環境価値を外部から購入し、
    前記受電電力に対して、前記設備の外部から供給された再生可能エネルギー電力と、購入した前記環境価値に相当する電力とを組み合わせて、前記受電電力における前記再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力由来管理システム。
  3. 前記電力由来管理装置は、
    前記受電電力の一定割合が前記再生可能エネルギー由来であることを証明するための受電履歴情報を記録する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力由来管理システム。
  4. 前記設備は、
    個々の鉄道車両、個々の電気を駆動源とする移動体、ビルディングにおける個々の昇降機若しくはエレベータ装置、及び又は、工場における個々の生産ラインである
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電力由来管理システム。
  5. 前記1又は複数の設備は、所定エリアを構成し、
    前記電力由来管理装置は、所定エリアにおける受電電力の再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電力由来管理システム。
  6. 前記所定エリアは、鉄道の電力供給エリア、電気を駆動源とする移動体が移動するエリア、製造ラインを有する工場、ホテルのフロアである
    ことを特徴とする請求項に記載の電力由来管理システム。
  7. 前記電力由来管理装置は、
    前記設備の前記受電電力における前記再生可能エネルギー電力が占める割合を表示させる
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電力由来管理システム。
  8. 前記電力由来管理装置は、
    前記再生可能エネルギー電力が占める割合が、対象とする前記設備に対して設定された目標値以上であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電力由来管理システム。
  9. 1又は複数の設備の受電電力の由来を管理する電力由来管理システムにおいて実行される電力由来管理方法であって、
    前記設備の受電電力を計測する第1のステップと、
    前記設備の受電電力の由来を管理する第2のステップと
    を備え、
    前記第2のステップでは、
    計測した少なくとも1つの前記設備の受電電力に対して、当該設備に対して予め設定された時間帯における前記受電電力に含まれる再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする電力由来管理方法。
  10. 前記電力由来管理システムは、
    必要な電力量の再生可能エネルギーの環境価値を外部から購入し、
    前記第2のステップでは、
    前記受電電力に対して、前記設備の外部から供給された再生可能エネルギー電力と、購入した前記環境価値に相当する電力とを組み合わせて、前記受電電力における前記再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする請求項に記載の電力由来管理方法。
  11. 前記第2のステップでは、
    前記受電電力の一定割合が前記再生可能エネルギー由来であることを証明するための受電履歴情報を記録する
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の電力由来管理方法。
  12. 前記設備は、
    個々の鉄道車両、個々の電気を駆動源とする移動体、ビルディングにおける個々の昇降機若しくはエレベータ装置、及び又は、工場における個々の生産ラインである
    ことを特徴とする請求項乃至11のいずれか一項に記載の電力由来管理方法。
  13. 前記1又は複数の設備は、所定エリアを構成し、
    前記第2のステップでは、
    所定エリアにおける受電電力の再生可能エネルギー電力が占める割合をコントロールする
    ことを特徴とする請求項乃至11のいずれか一項に記載の電力由来管理方法。
  14. 前記所定エリアは、鉄道の電力供給エリア、電気を駆動源とする移動体が移動するエリア、製造ラインを有する工場、ホテルのフロアである
    ことを特徴とする請求項13に記載の電力由来管理方法。
  15. 前記第2のステップでは、
    前記設備の前記受電電力における前記再生可能エネルギー電力が占める割合を表示させる
    ことを特徴とする請求項乃至14のいずれか一項に記載の電力由来管理方法。
  16. 前記第2のステップでは、
    前記再生可能エネルギー電力が占める割合が、対象とする前記設備に対して設定された目標値以上であるか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項乃至15のいずれか一項に記載の電力由来管理方法。
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