以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるパチンコ遊技機について説明するが、本発明に係る遊技機は、パチンコ遊技機に限ることなく、スロットマシンやメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明において、基本的に「前後」とは、遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、遊技機側が「後」を意味し、「上下」とは遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技機で遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
図1は、本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技媒体)を用いて遊技を行うものであり、遊技機の外側面を形成する外枠2と、遊技機の内部に設けられ、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、遊技盤6を保持する内枠7と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8と、ガラスユニット8が取り付けられている前枠10とを備えている。内枠7は、ヒンジ機構を介して外枠2に開閉可能に取り付けられている。また、前枠10は、ヒンジ機構を介して内枠7に開閉可能に取り付けられている。内枠7(および前枠10)は、外枠2の開口部を塞ぐ閉位置(閉鎖状態)と外枠2の開口部を開放する開位置(開放状態)との間で開閉可能となっている。閉鎖状態において、ガラスユニット8は、後述する遊技盤6と所定の間隔(隙間)を介して対面する。
前枠10のうちガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ12(照明手段)が設けられている。また、前枠10の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカー14(音響装置、音出力手段)が設けられている。
前枠10の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口18が設けられている。また、前枠10の下部右側には、グリップユニット20(ハンドル)が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機内部に設けられた図示しない発射装置(発射手段)が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口22が設けられている。また、上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
また、上皿16の縁部手前側には、演出ボタン26(演出操作手段)が設けられており、遊技者が演出ボタン26を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。演出ボタン26の操作(押下)に基づき、例えば遊技の結果が報知される(所定の演出が発生する)。
図2は、図1で示した遊技盤6の外観構成を示す正面図である。図2に示すように、遊技盤6には、円形状に外レール28が設けられており、外レール28に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域4となっている。また、遊技領域4の左端部には、外レール28に沿うように円弧状に内レール30が設けられており、外レール28と内レール30は、遊技盤6の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域4に誘導する。遊技領域4は、遊技盤6とガラスユニット8との間に形成される空間であり、遊技球が移動(流下、転動)可能となっている。遊技盤6には、多数の遊技釘や風車が設けられており、遊技領域4に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に移動する。
遊技盤6の中央部には、遊技を補助する演出画像や、遊技を盛り上げるための演出画像などを表示する液晶ディスプレイ32(演出表示装置、表示手段)と、液晶ディスプレイ32を取り囲むように形成されたディスプレイ枠34を備える演出ユニット36と、が設けられている。そしてディスプレイ枠34には、液晶ディスプレイ32の中央上方に、遊技を盛り上げるための演出光などを出力するディスプレイ枠ランプ38(照明手段)が設けられている。前枠ランプ12、スピーカー14、演出ボタン26、液晶ディスプレイ32、演出ユニット36およびディスプレイ枠ランプ38などは、演出装置(演出手段)を構成している。
なお、図示は省略するが、演出装置としての役物装置(可動役物)が設けられていてもよい。役物装置は、演出物駆動装置(モータ、ソレノイドなど)によって駆動され、遊技盤6の背後であって前方からの視認が困難(不可能)となる退避位置(第1位置)と、液晶ディスプレイ32の表示領域の前方となる位置(第2位置)との間で移動可能となっていてもよい。役物装置は、非動作時には第1位置に位置しており、動作時に第2位置へと移動する。
本実施形態では、液晶ディスプレイ32の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4aか右側の遊技領域4bを落下するようになっている。また、遊技領域4には、遊技盤6の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域4を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
またディスプレイ枠34の左部には、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4aを落下する遊技球が通過できる開口40が形成されており、この開口40を通過した遊技球はディスプレイ枠34に設けられている通路42を通過して、液晶ディスプレイ32の下方に設けられたステージ44に落下するようになっている。このステージ44の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ44とガラスユニット8との間に遊技球がステージ44から下方に落下できる隙間が形成されており、通路42からステージ44上に落下した遊技球がステージ44上を左右に往復移動した後にステージ44の中央部付近から下方に落下するようになっている。
ステージ44の中央部の下方には、ステージ44の中央部付近から下方に落下した遊技球が進入可能な第1始動口46が設けられている。また、第1始動口46内には、第1始動口46に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ100(図4参照)が配設されている。第1始動口スイッチ100は、遊技球(第1始動口46への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、第1始動口スイッチ100からの検出信号の入力に基づいて、特別図柄抽選としての第1特別図柄抽選を実行する。また、主制御基板200は、第1始動口スイッチ100からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出しを実行させる。また、第1始動口46に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
遊技領域4における第1始動口46の左方には、複数(3個)の一般入賞口47(左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47c)が設けられている。また、遊技盤6には、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bまたは左下一般入賞口47cに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ101(図4参照)が配設されている。一般入賞口スイッチ101は、遊技球(左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bまたは左下一般入賞口47cへの遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、一般入賞口スイッチ101からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出し動作を実行させる。なお、一般入賞口スイッチ101は、左上一般入賞口47aと左中一般入賞口47bと左下一般入賞口47cとのそれぞれについて1個ずつ設けてもよく、複数(例えば3個)の一般入賞口47に対して1個だけ設けてもよい。また、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47cの他にも一般入賞口47およびこの一般入賞口に対応する一般入賞口スイッチを設けてもよい。
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、遊技球が遊技機内部に回収されずに通過する通過ゲート48が設けられている。また、通過ゲート48内には、遊技球が通過したことを検知するゲートスイッチ102(図4参照)が配設されている。ゲートスイッチ102は、遊技球(遊技球の通過ゲート48の通過)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、ゲートスイッチ102からの検出信号の入力に基づいて、普通当りの当否を決定する普通図柄抽選を実行する。
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、通過ゲート48の下方に、第2始動口49が設けられている。また、第2始動口49内には、第2始動口49に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ103(図4参照)が配設されている。第2始動口スイッチ103は、遊技球(第2始動口49への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、第2始動口スイッチ103からの検出信号の入力に基づいて、特別図柄抽選としての第2特別図柄抽選を実行する。また、主制御基板200は、第2始動口スイッチ103からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出しを実行させる。また、第2始動口49に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
第2始動口49には、第2始動口49に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な普通役物54(補助手段)が設けられている。普通役物54は、ソレノイドなどの駆動装置を内蔵しており、普通図柄抽選で普通当りが当選すると所定条件下で拡大状態となるように制御される。
また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4bには、大入賞口50が設けられている。また、大入賞口50内には、大入賞口50に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ104(図4参照)が配設されている。カウントスイッチ104は、遊技球(大入賞口50への遊技球の入球)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、カウントスイッチ104からの検出信号の入力に基づいて、払出装置130に賞球の払い出し動作を実行させる。また、主制御基板200は、カウントスイッチ104からの検出信号の入力に基づいて、大入賞口50に入球した遊技球の数をカウントする。また、大入賞口50に進入した遊技球は、遊技機内部に回収される。
大入賞口50には、大入賞口50に遊技球が進入不可能な閉状態(第2状態、進入不可状態)と遊技球が進入可能な開状態(第1状態、進入可能状態)との間で動作可能な特別役物56が設けられている。特別役物56は、ソレノイドなどの駆動装置を内蔵しており、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選)で大当りに当選すると開始される特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。
また、遊技領域4の最下部には、いずれの入賞口46,47,49,50にも進入せずに遊技領域4を落下した遊技球を遊技機内部に回収するアウト口62が設けられている。ここで、遊技機内部には、遊技領域4から回収(排出)された遊技球が通過する排出路(図示せず)が設けられている。本遊技機では、遊技領域4に打ち出された全ての遊技球(遊技領域4から回収された全ての遊技球)が、排出路を通過するように構成されている。すなわち、遊技領域4に打ち出された遊技球は、いずれかの入賞口46,47,49,50に入球またはアウト口62を通過することによって、遊技領域4から回収され排出路へ流入する。具体的には、各入賞口46,47,49,50に入球した遊技球は、入賞口内に配設されたスイッチ100,101,103,104により検出された後に、排出路に誘導される。また、アウト口62から回収された遊技球は、排出路に誘導される。また、排出路には、アウトスイッチ106(図4参照)が配設されている。アウトスイッチ106は、排出路を通過する遊技球(遊技領域4からの遊技球の排出)を検出すると、検出信号を主制御基板200に対して出力する。また、主制御基板200は、アウトスイッチ106からの検出信号の入力に基づいて、遊技領域4から排出された遊技球の数をカウントする。
遊技球の発射装置は、図1で示したグリップユニット20(ハンドル)の回転量を調整することにより遊技球の射出力(発射強度)が変化するように構成されている。グリップユニット20の回転量が少ない場合(所定強度未満で遊技球が発射された場合)には液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4a(左打ち領域、第1遊技領域)を遊技球が落下する。また、グリップユニット20の回転量が多い場合(所定強度以上で遊技球が発射された場合)には液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4b(右打ち領域、第2遊技領域)を遊技球が落下する。
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット20の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域4aを落下して、あるいは開口40と通路42とステージ44を通過して第1始動口46に入賞するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域4bを落下して、通過ゲート48を遊技球が通過するように、あるいは第2始動口49に遊技球が入賞するように、あるいは大入賞口50に遊技球が入賞するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。ハンドルの回転量を所定の回転量とし、遊技球を左打ち領域に打ち込むことを左打ちといい、ハンドルの回転量を所定の回転量とし、遊技球を右打ち領域に打ち込むことを右打ちという。
なお、本実施形態の遊技機では、遊技球が左側の遊技領域4aを落下する場合には、通過ゲート48を遊技球が通過することがなく、第2始動口49および大入賞口50に遊技球が入球(入賞)することがないようになっている。また、遊技球が右側の遊技領域4bを落下する場合には、第1始動口46、左上一般入賞口47a、左中一般入賞口47bおよび左下一般入賞口47cに遊技球が入賞することがないようになっている。
また、遊技盤6の右下部であって、遊技領域4の外側には、遊技機の各種状態をランプなどの点灯および消灯により示す状態表示部70が設けられている。
図3は、状態表示部70の外観構成を示す正面図である。状態表示部70には、図3に示すように、普通図柄表示部72、普通保留表示部74、第1特別図柄表示部76、第1特別保留表示部78、第2特別図柄表示部80、第2特別保留表示部82、遊技状態表示部84が設けられている。
普通図柄表示部72は、2つのランプにより構成され、普通図柄抽選が行われる場合に2つのランプを点滅させることにより普通図柄を変動表示し、2つのランプを点灯または消灯させることにより普通図柄を停止表示して、普通図柄抽選の結果を表示する。
普通保留表示部74は、2つのランプにより構成され、通過ゲート48を遊技球が通過した時点で既に普通図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、普通図柄抽選用乱数値を取得しても普通図柄抽選を行うことができないことにより普通図柄抽選用乱数値が保留された場合に、保留されている普通図柄抽選用乱数値の数に対応する普通保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の普通保留数を表示する。
第1特別図柄表示部76は、7セグメントディスプレイにより構成され、第1始動口46に遊技球が進入することにより第1特別図柄抽選が行われる場合に、7セグメントディスプレイを点滅させることにより第1特別図柄を変動表示し、7セグメントディスプレイを複数種類の態様のうちいずれかの態様で点灯させることにより第1特別図柄を停止表示して、第1特別図柄抽選の結果を表示する。
第1特別保留表示部78は、2つのランプにより構成され、第1始動口46に遊技球が進入した時点で既に第1特別図柄または第2特別図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、特別図柄抽選用乱数値(抽選情報)を取得しても特別図柄抽選を行うことができないことにより特別図柄抽選用乱数値が第1特別乱数値として保留された場合に、保留されている第1特別乱数値の数に対応する第1特別保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第1特別保留数を表示する。
第2特別図柄表示部80は、7セグメントディスプレイにより構成され、第2始動口49に遊技球が進入することにより第2特別図柄抽選が行われる場合に、7セグメントディスプレイを点滅させることにより第2特別図柄を変動表示し、7セグメントディスプレイを複数種類の態様のうちいずれかの態様で点灯させることにより第2特別図柄を停止表示して、第2特別図柄抽選の結果を表示する。
第2特別保留表示部82は、2つのランプにより構成され、第2始動口49に遊技球が進入した時点で既に第1特別図柄または第2特別図柄が変動表示中または停止表示中である場合など、特別図柄抽選用乱数値を取得しても特別図柄抽選を行うことができないことにより特別図柄抽選用乱数値が第2特別乱数値として保留された場合に、保留されている第2特別乱数値の数に対応する第2特別保留数を表示するものであり、2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第2特別保留数を表示する。
遊技状態表示部84は、6つのランプにより構成され、6つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、現在設定されている遊技状態の種類を表示する。本実施形態では、通常状態(低確率状態)と、通常状態よりも大当りの当選確率が高く設定された確変状態(高確率状態・特殊状態)と、特別図柄抽選で大当りに当選すると開始される特別遊技状態と、第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間を短縮させて特別図柄抽選の実行契機を頻繁に到来させる時短状態(特殊状態)の4種類の遊技状態が設定可能となっており、6つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、いずれの遊技状態に設定されているかを表示する。
図4は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。本実施形態の遊技機は、主制御基板200(主制御手段)および副制御基板202(副制御手段)を含む制御基板によって制御される。そして、主制御基板200や副制御基板202等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
主制御基板200は、遊技の進行を制御する。主制御基板200は、第1始動口スイッチ100、一般入賞口スイッチ101、ゲートスイッチ102、第2始動口スイッチ103、カウントスイッチ104またはアウトスイッチ106等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、状態表示部70、普通役物54、特別役物56または払出装置130等の出力手段の動作制御を行う。
副制御基板202は、主制御基板200から送信される情報に基づいて演出の実行を制御する。副制御基板202は、主制御基板200から送られてくる信号や、演出ボタン26に対する操作を検出する演出ボタンスイッチ150からの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、液晶ディスプレイ32、照明装置、スピーカー14、演出物駆動装置などの演出装置の動作制御を行う。
主制御基板200は、乱数発生手段210、普通図柄抽選手段220、普通表示制御手段222、普通役物制御手段224、特別図柄抽選手段230、特別表示制御手段240、遊技状態移行制御手段250、特別遊技実行手段260、払出制御手段270、通信制御手段280およびメインメモリ290を含んで構成されている。
乱数発生手段210は、抽選用の乱数値を発生させる手段であり、ハードウェア乱数を発生させる乱数発生器や、ソフトウェア乱数を発生させるプログラムにより実現される。ソフトウェア乱数は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
普通図柄抽選手段220は、通過ゲート48を通過する遊技球を1個ずつ検出するゲートスイッチ102から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から普通図柄抽選用乱数値を取得してメインメモリ290の普通乱数記憶手段2912に格納し、普通乱数記憶手段2912から読み出した普通図柄抽選用乱数値について普通当りの当否などを決定する普通図柄抽選を行う。具体的には、普通図柄抽選手段220は、普通図柄抽選として、普通当り決定処理などを行う。
普通当り決定処理は、普通当りの当否を決定する処理である。普通当り決定処理では、普通図柄抽選手段220は、メインメモリ290の抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の普通図柄抽選テーブルのうち、いずれの普通図柄抽選テーブルを参照して乱数判定処理を行うかを遊技状態に応じて選択する。ここで、各普通図柄抽選テーブルは、0~99の100個の普通図柄抽選用乱数値のそれぞれに対して、普通当りまたはハズレが対応付けられたものである。そして、普通図柄抽選手段220は、選択した普通図柄抽選テーブルを参照して、普通乱数記憶手段2912から読み出した1つの普通図柄抽選用乱数値が普通当りに対応づけられているか否かを判定することにより、普通当りが当選したか否かを判定する。そして、普通図柄抽選手段220は、普通当りが当選した場合には、メインメモリ290のフラグ記憶手段2916において、普通当りの当選フラグをON状態に設定し、ハズレとなった場合には、普通当りの当選フラグをOFF状態に設定する。
また、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に選択される普通図柄抽選テーブルは、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に選択される普通図柄抽選テーブルに比べ、普通当りが当選する確率が高く設定されている。換言すると、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に行われる普通図柄抽選は、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に行われる普通図柄抽選に比べ、普通当りが当選する確率が高くなっている。
普通表示制御手段222は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて状態表示部70の表示を制御する手段であって、普通図柄表示制御処理、普通保留表示制御処理を行う。
普通図柄表示制御処理では、普通表示制御手段222は、所定の変動時間が経過するまで、普通図柄表示部72の2つのランプを点滅させることにより普通図柄を変動表示させ、普通当り決定処理において普通当りが当選したか否かに応じて、普通図柄表示部72の2つのランプを点灯または消灯させることにより普通図柄を停止表示させることにより、普通図柄表示部72に普通図柄抽選の結果を表示させる。
具体的には、本実施形態では、普通図柄抽選が行われた時点の遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合には、普通図柄の変動時間が20秒に設定され、普通図柄抽選が行われた時点の遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合には、普通図柄の変動時間が1秒に設定されるようになっており、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合の方が、普通図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
普通保留表示制御処理では、普通表示制御手段222は、普通乱数記憶手段2912に格納されている普通図柄抽選用乱数値の数に応じて、普通保留表示部74の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の普通保留数を表示する。
普通役物制御手段224は、普通図柄抽選の抽選結果に基づいて普通役物54を制御する手段である。普通役物制御手段224は、遊技状態が確変状態でも時短状態でもない場合に、普通図柄が普通当りの当選を示す態様で停止表示されたことを契機として、0.1秒が経過するまで普通役物54が拡大状態となってから縮小状態に復帰するように普通役物54を動作させる制御を行う。また、普通役物制御手段224は、遊技状態が確変状態あるいは時短状態である場合に、普通図柄が普通当りの当選を示す態様で停止表示されたことを契機として、20秒が経過するまで普通役物54が拡大状態となってから縮小状態に復帰するように普通役物54を動作させる制御を行う。
したがって、普通図柄抽選において普通当りとなった場合に、遊技状態が確変状態でも時短状態でもなければ、第2始動口49への遊技球の進入しやすさがほとんど増加しないように普通役物54が動作するが、遊技状態が確変状態あるいは時短状態であれば、第2始動口49への遊技球の進入しやすさが増加するように普通役物54が動作する。
特別図柄抽選手段230は、第1始動口46に進入する遊技球を1個ずつ検出する第1始動口スイッチ100から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から特別図柄抽選用乱数値を取得して、メインメモリ290の特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値として格納する。また、特別図柄抽選手段230は、第2始動口49に進入する遊技球を1個ずつ検出する第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、乱数発生手段210から特別図柄抽選用乱数値を取得して、特別乱数記憶手段2914に第2特別乱数値として格納する。そして、特別図柄抽選手段230は、特別乱数記憶手段2914から読み出した第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値を用いて、大当りの当否などを決定する特別図柄抽選を行う。具体的には、特別図柄抽選手段230は、特別図柄抽選として、大当り決定処理、図柄決定処理などを行う。
大当り決定処理は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値に含まれる1つの大当り決定乱数値を読み出して、大当りの当否を決定する処理である。ここで、1つの大当り決定乱数値は、第1始動口スイッチ100あるいは第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、0~65535の65536個の大当り決定乱数値から取得され、特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値として格納されたものである。
大当り決定処理では、特別図柄抽選手段230は、メインメモリ290の抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の大当り抽選テーブルのうちいずれを参照して乱数判定処理を行うかを遊技状態に応じて選択する。ここで、各大当り抽選テーブルは、0~65535の65536個の大当り決定乱数値のそれぞれに対して、大当りまたはハズレが対応付けられたものである。そして、特別図柄抽選手段230は、選択した大当り抽選テーブルを参照して、読み出した1つの大当り決定乱数値が大当りに対応づけられているか否かを判定することにより、大当りに当選したか否かを決定する。また、特別図柄抽選手段230は、大当りに当選した場合には、フラグ記憶手段2916において、大当りの当選フラグをON状態に設定し、ハズレとなった場合には、大当りの当選フラグをOFF状態に設定する
また、遊技状態が確変状態である場合に選択される大当り抽選テーブルは、遊技状態が通常状態または時短状態である場合に選択される大当り抽選テーブルに比べ、大当りに当選する確率が高く設定されている。換言すると、遊技状態が確変状態である場合に行われる大当り決定処理(特別図柄抽選)は、遊技状態が通常状態または時短状態ある場合に行われる大当り決定処理(特別図柄抽選)に比べ、大当りが当選する確率が高くなっている。
図柄決定処理は、大当り決定処理で大当りに当選した場合に行われる処理であり、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値に含まれる1つの図柄決定乱数値を読み出して、大当り図柄(大当りの種別)を16ラウンド確変図柄、4ラウンド確変図柄、16ラウンド通常図柄、4ラウンド通常図柄のうちいずれにするかを決定する処理である。ここで1つの図柄決定乱数値は、第1始動口スイッチ100あるいは第2始動口スイッチ103から検出信号が入力されたことに基づいて、0~99の100個の図柄決定乱数値から取得され、特別乱数記憶手段2914に第1特別乱数値あるいは第2特別乱数値として格納されたものである。
図柄決定処理では、特別図柄抽選手段230は、抽選テーブル記憶手段2910に記憶されている複数種類の図柄抽選テーブルのうちいずれを参照して乱数判定処理を行うかを、読み出した1つの図柄決定乱数値が第1特別乱数値として格納されていたか第2特別乱数値として格納されていたかに応じて選択する。ここで、各図柄抽選テーブルは、0~99の100個の図柄決定乱数値のそれぞれに対して、16ラウンド確変図柄、4ラウンド確変図柄、16ラウンド通常図柄、4ラウンド通常図柄のいずれかが対応付けられたものである。そして、特別図柄抽選手段230は、選択した図柄抽選テーブルを参照して、読み出した1つの図柄決定乱数値が複数種類の大当り図柄のいずれに対応づけられているかを判定することにより、複数種類の大当り図柄のいずれが当選したかを決定する。また、特別図柄抽選手段230は、フラグ記憶手段2916において、当選した大当り図柄に対応する当選フラグをON状態に設定する。
特別表示制御手段240は、特別図柄抽選の抽選結果に基づいて状態表示部70の表示を制御する手段であって、第1特別図柄表示制御処理、第2特別図柄表示制御処理、第1特別保留表示制御処理、第2特別保留表示制御処理を行う。
第1特別図柄表示制御処理は、特別乱数記憶手段2914から第1特別乱数値が読み出されて特別図柄抽選が行われた場合に行われる処理であり、特別表示制御手段240は、所定の変動時間が経過するまで、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを点滅させることにより第1特別図柄を変動表示させた後に、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを所定の態様で点灯させることにより第1特別図柄を停止表示させる。
本実施形態では、4種類の大当り図柄およびハズレのそれぞれに対応して7セグメントディスプレイの表示態様が予め定められており、特別表示制御手段240は、大当り決定処理で大当りに当選したか否かに応じた態様で、そして大当り決定処理で大当りに当選した場合には図柄決定処理で決定された大当り図柄に応じた態様で、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを点灯させることにより第1特別図柄を停止表示させ、第1特別図柄表示部76に特別図柄抽選の結果を表示させる。
第2特別図柄表示制御処理は、特別乱数記憶手段2914から第2特別乱数値が読み出されて特別図柄抽選が行われた場合に行われる処理であり、特別表示制御手段240は、所定の変動時間が経過するまで、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを点滅させることにより第2特別図柄を変動表示させた後に、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを所定の態様で点灯させることにより第2特別図柄を停止表示させる。
そして特別表示制御手段240は、大当り決定処理で大当りに当選したか否かに応じた態様で、そして大当り決定処理で大当りに当選した場合には図柄決定処理で決定された大当り図柄に応じた態様で、第2特別図柄表示部80の7セグメントディスプレイを点灯させることにより第2特別図柄を停止表示させ、第2特別図柄表示部80に特別図柄抽選の結果を表示させる。
第1特別保留表示制御処理では、特別表示制御手段240は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第1特別乱数値の数に応じて、第1特別保留表示部78の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第1特別保留数を表示させる。
第2特別保留表示制御処理では、特別表示制御手段240は、特別乱数記憶手段2914に格納されている第2特別乱数値の数に応じて、第2特別保留表示部82の2つのランプを点灯または消灯または点滅させることの組み合わせによって、0~4個の第2特別保留数を表示させる。
遊技状態移行制御手段250は、図5に示すように、所定の移行条件の成立に基づいて、通常状態、特別遊技状態、確変状態、時短状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からは特別遊技状態への移行が可能となっている。そして通常状態では、普通当りの当選確率が約1/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われ、大当りの当選確率が1/319に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる。
そして、通常状態では、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約1/20と低い上に、普通図柄の変動時間が長く設定されており、普通役物54が拡大状態となる期間が0.1秒と短くなっているため、第2始動口49に遊技球を進入させにくくなっている。
特別遊技状態は、通常状態、確変状態または時短状態における特別図柄抽選において大当りに当選したことに基づいて開始され、大当り図柄の種類に応じて予め定められたラウンド数(実行回数)の特別遊技が実行されると終了する。
具体的には、特別図柄抽選において16ラウンド確変図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第16ラウンドの16ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
また、特別図柄抽選において4ラウンド確変図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第4ラウンドの4ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
また、特別図柄抽選において16ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第16ラウンドの16ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
また、特別図柄抽選において4ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて特別遊技状態が開始されると、第1ラウンド~第4ラウンドの4ラウンドの特別遊技が実行されたことを条件に特別遊技状態が終了する。
確変状態は、16ラウンド確変図柄または4ラウンド確変図柄(確変図柄)の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて開始された特別遊技状態が終了したことを契機として開始され、確変状態からは特別遊技状態または通常状態への移行が可能となっている。また、確変状態では、普通当りの当選確率が約19/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われ、大当りの当選確率が1/31に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる点で、通常状態よりも遊技者に有利になっている。そして、確変状態は、確変状態において特別図柄抽選が行われた回数が9999回に達したことを条件に終了し、通常状態に移行される。
具体的には、遊技状態移行制御手段250は、特別遊技状態が終了するとメインメモリ290の確変終了判定カウンタ2930に所定の遊技回数(例えば、9999回)に相当する値(例えば、9999)を書き込み、確変状態において特別図柄抽選が行われるごとに確変終了判定カウンタ2930の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値(例えば、1)を減算するデクリメント更新を行う。そして、確変終了判定カウンタ2930の記憶値がしきい値(例えば、0)に達すると、確変状態を終了させて通常状態を開始させる。ただし、確変状態では、特別図柄抽選における大当りの当選確率が1/31に設定されるため、確変状態において特別図柄抽選が行われた回数が9999回に達する前に特別遊技状態が開始され、確変状態から通常状態に移行することはほとんどないようになっている。
また、確変状態では、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約19/20と高い上に、普通図柄の変動時間が1秒と短く、普通役物54が拡大状態となる期間が20秒と長くなっているため、通常状態よりも第2始動口49に遊技球を進入させやすくなっている点で遊技者に有利になっている。確変状態は、第2始動口49に遊技球が進入するように右打ちを行う方が遊技者に有利な遊技状態となっている。
また、確変状態では、保留数に関わらず第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間としてより短い変動時間が設定されることが多くなるため、通常状態よりも特別図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
時短状態は、16ラウンド通常図柄または4ラウンド通常図柄の当選フラグがON状態に設定されたことに基づいて開始された特別遊技状態が終了したことを契機として開始され、時短状態からは特別遊技状態または通常状態への移行が可能となっている。また、時短状態では、確変状態と同様に普通当りの当選確率が約19/20に設定された普通図柄抽選テーブルを参照して普通図柄抽選が行われるものの、通常状態と同様に大当りの当選確率が約1/319に設定された大当り抽選テーブルを参照して特別図柄抽選が行われる点で、確変状態よりも遊技者に不利になっている。そして、時短状態は、時短状態において特別図柄抽選が行われた回数が100回に達したことを条件に終了し、通常状態に移行される。
具体的には、遊技状態移行制御手段250は、遊技状態が時短状態に移行されたことを契機として、メインメモリ290の時短終了判定カウンタ2932に所定の遊技回数(例えば、100回)に相当する値(例えば、100)を書き込み、時短状態において特別図柄抽選が行われるごとに時短終了判定カウンタ2932の記憶値から1回分の遊技回数に相当する値(例えば、1)を減算するデクリメント更新を行う。そして時短終了判定カウンタ2932の記憶値がしきい値(例えば、0)に達すると、時短状態を終了させる。
また、時短状態では、確変状態と同様に、普通図柄抽選における普通当りの当選確率が約19/20と高い上に、普通図柄の変動時間が1秒と短く、普通役物54が拡大状態となる期間が20秒と長くなっているため、通常状態よりも第2始動口49に遊技球を進入させやすくなっている点で遊技者に有利になっている。時短状態は、第2始動口49に遊技球が進入するように右打ちを行う方が遊技者に有利な遊技状態となっている。
また、時短状態では、確変状態と同様に、保留数に関わらず第1特別図柄あるいは第2特別図柄の変動時間としてより短い変動時間が設定されることが多くなるため、通常状態よりも特別図柄抽選の実行契機が頻繁に到来するようになっている。
特別遊技実行手段260は、特別図柄抽選の抽選結果に基づいて特別遊技を実行する手段であって、特別遊技実行処理1~特別遊技実行処理4などを行う。
特別遊技実行処理1は、特別図柄抽選において16ラウンド確変図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として16ラウンド確変図柄について予め定められたラウンド数である16回に相当する値(例えば、16)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、16)に達すると、特別遊技状態が終了する。
具体的には、特別遊技実行処理1では、第1ラウンド~第16ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、カウントスイッチ104が1個の遊技球の進入を検出すると1個分の遊技球に相当する値(例えば、1)が加算される大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
特別遊技実行処理2は、特別図柄抽選において4ラウンド確変図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として4ラウンド確変図柄について予め定められたラウンド数である4回に相当する値(例えば、4)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、4)に達すると、特別遊技状態が終了する。
具体的には、特別遊技実行処理2では、第1ラウンド~第4ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
特別遊技実行処理3は、特別図柄抽選において16ラウンド通常図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として16ラウンド通常図柄について予め定められたラウンド数である16回に相当する値(例えば、16)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、16)に達すると、特別遊技状態が終了する。
具体的には、特別遊技実行処理3では、第1ラウンド~第16ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
特別遊技実行処理4は、特別図柄抽選において4ラウンド通常図柄が当選したことに基づいて実行され、特別遊技実行手段260は、ラウンドカウンタ2933の上限値として4ラウンド通常図柄について予め定められたラウンド数である4回に相当する値(例えば、4)を設定し、各ラウンドにおいて予め定められた態様で特別役物56が動作を完了するごとに、ラウンドカウンタ2933の記憶値に1回分のラウンド数に相当する値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行う。そして、ラウンドカウンタ2933の記憶値が上限値(例えば、4)に達すると、特別遊技状態が終了する。
具体的には、特別遊技実行処理4では、第1ラウンド~第4ラウンドの各ラウンドの特別遊技において、特別役物56が開状態となってから開放タイマー2934が29秒をカウントするか、大入賞数カウンタ2936の値が上限値(例えば、10)に達すると特別役物56が閉状態となるように特別役物56の駆動制御が行われる。すると、1回分のラウンドの終了条件が満たされたとして、ラウンドカウンタ2933の値に「1」が加算される。
払出制御手段270は、第1始動口スイッチ100からの検出信号、一般入賞口スイッチ101からの検出信号、第2始動口スイッチ103からの検出信号またはカウントスイッチ104からの検出信号が入力されたことに基づいて、検出信号ごとに予め定められている賞球数に相当する数の遊技球を払出装置130に払い出させる制御を行う。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、第1始動口スイッチ100、一般入賞口スイッチ101、第2始動口スイッチ103またはカウントスイッチ104のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。
払出装置130は、払出制御手段270によって指示された払出数の遊技球を払い出す動作を行う。この払出装置130には、遊技球を貯めておく遊技球タンクに払出モーターが設けられており、払出制御手段270は、払出モーターの回転角度を制御することにより、指示通りの数の遊技球を遊技球タンクから払い出させる。また、払出装置130には、遊技球を1個払い出すごとに作動する払出スイッチが備えられており、払出制御手段270は、払出スイッチからの払出信号に基づいて払出装置130から実際に払い出された遊技球の数を管理することができる。
通信制御手段280は、主制御基板200における各種の演算結果に応じて生成された各種のコマンドを副制御基板202に送信する制御を行っている。なお、本実施形態の遊技機では、主制御基板200と副制御基板202との間では、主制御基板200から副制御基板202への単方向通信のみが可能となっており、副制御基板202からは主制御基板200へ情報を送信することができないように通信接続されている。
続いて、副制御基板202について説明する。副制御基板202は、演出制御手段300と、サブメモリ302と、を備えている。また、演出制御手段300は、演出決定手段310と、表示制御手段312と、VDP314(描画手段)と、を備えている。また、VDP314は、VRAM320を備えている。また、サブメモリ302は、複数種類のRAMおよびROMを備えており、サブメモリ302に記憶される各種データは、各RAMやROMに記憶される。
演出制御手段300は、主制御基板200から送信される各種のコマンドや、演出ボタンスイッチ150からの入力信号や、サブメモリ302のROMに記憶されている演出データに基づいて、液晶ディスプレイ32に演出画像を表示させたり、前枠ランプ12やディスプレイ枠ランプ38などの照明装置を点灯あるいは点滅させたり、スピーカー14から演出音を出力させたり、演出物駆動装置を駆動して演出物(役物)を動作させたりするなど、演出装置を制御することにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助したりするための演出を演出装置に実行させる(各種演出装置を制御する)。
演出決定手段310は、主制御基板200から送信される各種のコマンドや、演出ボタンスイッチ150からの入力信号等に基づいて実行する演出内容を決定する。また、演出決定手段310は、実行する演出内容を決定すると、表示制御手段312に対して演出内容を指示するメッセージを設定する。
表示制御手段312は、設定されたメッセージの解析等を行って、液晶ディスプレイ32での表示に関する制御を行う。具体的には、表示制御手段312は、所定周期で(例えば、1秒間に60回=60FPSのフレームレートで)液晶描画処理を実行する。液晶描画処理では、表示制御手段312は、設定されたメッセージの解析等を行い、VDP314に対し描画内容を指示する描画コマンド(情報)を構築する。そして、VDP314は描画コマンドに沿って描画を行い、描画された内容が液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。
なお、VDP314は、液晶ディスプレイ32の画面での表示に係る描画を行うプロセッサであり、演出決定手段310、表示制御手段312とともにワンチップに統合されている。
VDP314は、サブメモリ302のROMに記憶された描画素材を1フレーム毎にVRAM320のフレームバッファに展開する。フレームバッファでは、複数の描画素材が設定されたプライオリティ(優先度)に従って重ね合わせられる。具体的には、フレームバッファでは、プライオリティが低い描画素材ほど積層方向の下(背面)側に配置され、プライオリティが高い描画素材ほど積層方向の上(前面)側に配置されるように重ね合わせられる。そして、これにより、1フレームのフレーム画像を示す画像データ(合成画像)がフレームバッファ上に生成される。そして、VDP314は、フレームバッファ上に生成された合成画像に基づいて、液晶ディスプレイ32を駆動する。これにより、1フレーム毎に、フレームバッファで生成された合成画像が液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。
プライオリティの低い描画素材は、その上からプライオリティのより高い描画素材が重ねられることにより、液晶ディスプレイ32の表示(合成画像)上、その一部又は全部が視認できない場合がある。ただし、各描画素材には透明度の設定が可能であり、上側に重ねられる描画素材に設定された透明度が0(完全に不透明)でない場合はこの限りではなく、透明度の度合いに応じてその下側に隠れた描画素材が液晶ディスプレイ32の表示(合成画像)上、視認可能となる場合もある。
本実施形態の遊技機は、液晶ディスプレイ32における表示演出として、3Dでの画面表示(3D表示演出、第1表示演出、第1演出)と、2Dでの画面表示(2D表示演出、第2表示演出、第2演出)とを含む複数種類の演出を実行可能となっている。液晶ディスプレイ32では、表示領域32aに表示される表示物を遊技者に立体視させ得る立体視表示態様での表示(3D表示)と、表示物を遊技者に立体視させない通常表示態様での表示(2D表示)と、が可能となっている。3D表示は、視差を利用して遊技者に対して表示物を立体的に見せる(立体的に知覚・認識させる)表示となっている。2D表示は、視差を利用した立体的表現を行わず、表示物を平面的に見せる(平面的に知覚・認識させる)表示となっている。なお、立体視(3D表示)は、例えば、レンチキュラーレンズ方式やパララックスバリア方式等の周知の手法により実現すればよい。また、裸眼で立体視をさせる方式に限らず、所定のメガネ等を装着することで立体視をさせる方式であってもよい。また、表示物とは、例えば、人物、動物、乗り物、建造物、自然物(例えば岩、木など)、文字、背景、模様、図柄、その他の液晶ディスプレイ32上に表示されるもの(画像)のことをいう。
本実施形態では、描画素材として、立体視素材としての左目用素材および右目用素材と、通常素材とが用意されている。そして、立体視させない表示物(通常表示態様で表示させる表示物:通常表示物)については、通常素材を用いて合成画像を構築する。また、立体視させる表示物(立体視表示態様で表示させる表示物:立体表示物)については、当該表示物に係る一対の左目用素材(第1素材)および右目用素材(第2素材)を用いて合成画像を構築する。なお、一対の左目用素材と右目用素材とのうちの一方(例えば、左目用素材)のみを用いて合成画像を構成することで、当該表示物を通常表示態様で表示させることも可能となっている。
本実施形態では、フレームバッファとして第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とが用意されている(図4)。図6は、1フレームのフレーム画像を構成する描画素材に、通常素材と立体視素材(左目用素材および右目用素材)とが含まれる場合における、合成画像の生成について示すものである。図6では、通常表示物に係る通常素材のプライオリティが、立体表示物に係る立体視素材(左目用素材および右目用素材)のプライオリティよりも低く設定されている。通常素材は、1つの描画素材(同じ描画素材)が第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322との両方に描画される。換言すると、通常表示態様での表示では、VDP314は、表示制御手段312から転送される通常素材の描画に係る描画コマンドに基づき、サブメモリ302のROMから通常素材を取得し、第1フレームバッファ321と第2フレームバッファ322とに描画する。
立体視表示態様での表示では、VDP314は、表示制御手段312から転送される左目用素材の描画に係る描画コマンドに基づき、サブメモリ302のROMから左目用素材を取得し、第1フレームバッファ321(左目用フレームバッファ)に順次描画していく。また、これと並行して、VDP314は、表示制御手段312から転送される右目用素材の描画に係る描画コマンドに基づき、サブメモリ302のROMから右目用素材を取得し、第2フレームバッファ322(右目用フレームバッファ)に順次描画していく。なお、前述のように左目用素材および右目用素材は、それぞれ描画コマンドで指定されるプライオリティに従って重ね合わせられるように描画される。
第1フレームバッファ321への左目用素材(1フレーム分の左目用素材)の描画と、第2フレームバッファ322への右目用素材(1フレーム分の右目用素材)の描画と、が終了した後、VDP314は、合成処理を実行する。ここで、合成処理とは、第2フレームバッファ322に描画された画像を第1フレームバッファ321に描画された画像と合成する処理である。VDP314は、合成処理により、立体視表示態様で液晶ディスプレイ32に表示される画像(以下、立体視表示態様で液晶ディスプレイ32に表示される画像を「3次元画像」とも呼ぶ)を第1フレームバッファ321に生成する。具体的には、図6に示すように、第1フレームバッファ321で合成された画像(第1フレームバッファ321に描画された左目用素材)と、第2フレームバッファ322で合成された画像(第2フレームバッファ322に描画された右目用素材)と、がそれぞれ細長い短冊状に交互に並ぶように合成された3次元画像(一部が3次元画像となっている合成画像)が生成される。当該短冊状の幅は、例えばレンチキュラーレンズの表面に並んだ微細な半円筒の幅と対応しており、レンチキュラーレンズを介して3次元画像が視認されることで、3次元画像が立体的に視認される。なお、通常表示態様で液晶ディスプレイ32に表示される画像を「2次元画像」とも呼ぶことができるが、合成画像に含まれる2次元画像は平面的に視認される。
図6の例では、1フレームのフレーム画像の構築過程において、立体視素材(左目用素材または右目用素材)のフレームバッファへの描画を行うまでは、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ321)にのみ通常素材を描画すればよい。そして、立体視素材のフレームバッファへの描画を行う直前に、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ321)のデータ(中間画像)を他方のフレームバッファ(例えば第2フレームバッファ322)に複製し、その後左目用素材および通常素材を一方のフレームバッファに描画するとともに、右目用素材および通常素材を他方のフレームバッファに描画するようにすればよい。このように構成することで、最初から両方のフレームバッファに通常素材を描画していく場合に比べて処理負荷を軽減することができる。なお、1フレームのフレーム画像を構成する描画素材が全て通常素材である場合(フレーム画像に左目用素材および右目用素材が含まれない場合)、換言するとフレーム画像に立体視させる表示物が含まれない場合には、一方のフレームバッファのみを用いて(他方のフレームバッファへの複製や、前述の合成処理を行わずに)、液晶ディスプレイ32に表示させる合成画像(2次元画像)を完成させてもよい。
描画素材をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを、描画素材を上位のレイヤに描画する、と言うことができる。すなわち、1フレームには仮想的な透明のレイヤがN枚存在しており、各描画素材を各レイヤに配置する、と言うことができる。図7は、描画素材が配置されるレイヤの概念を示す図であり、1フレームを構成するレイヤ構造を示している。重ね合わせられる個々の描画素材には優先度(プライオリティ)が設定されており、優先度のより低い描画素材が下位のレイヤに配置され、優先度のより高い描画素材が上位のレイヤに配置される。なお、各フレームをなす合成画像は、N枚全てのレイヤに描画素材を配置することにより構成することが可能であるが、演出の内容に応じて各合成画像を構成する描画素材の数は変動し、必ずしもN枚全てのレイヤに描画素材を配置することにより構成されるものではない。また、合成画像を構成する描画素材が配置される際に、レイヤが必ずしも空き番なく下位から詰めて使用されるとは限らず、フレーム画像の合成処理における効率等を考慮してレイヤが使用されるため、不使用のレイヤが中間部分に適宜発生し得る。
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い描画素材から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の描画素材で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)描画素材が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)描画素材が、優先順位5位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。このようにして優先度に従い描画素材が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)描画素材が優先順位2位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての描画素材を各レイヤに描画し終えた段階で(描画素材に立体視素材が含まれている場合には、第1フレームバッファ321に描画された画像と第2フレームバッファ322に描画された画像との合成処理を終えた段階で)、複数のレイヤを上位側(前面側)から見た合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。換言すると、合成画像を表示領域32aで見た場合、下位のレイヤに配置された描画素材は、上位のレイヤに配置された描画素材に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、表示領域32aにおける表示上の優先度が高いと言える。
次に、演出図柄の表示について説明する。演出図柄とは、第1特別図柄表示部76における第1特別図柄の変動表示(停止表示)に合わせて、あるいは第2特別図柄表示部81における第2特別図柄の変動表示(停止表示)に合わせて、液晶ディスプレイ32に表示される表示物である。演出図柄を液晶ディスプレイ32に表示させる演出を特別図柄抽選演出という。特別図柄抽選演出が実行され、特別図柄抽選の結果が液晶ディスプレイ32に表示されることで、遊技者は特別図柄抽選の結果を容易に把握することができる。また、このような演出を通じて、遊技者に当選に対する期待感を抱かせることができる。
本実施形態では、演出図柄として1~9のいずれかの数字が記された9種類の演出図柄が用意されており、9種類の演出図柄から構成される3つの演出図柄群が、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に伴って変動表示された後に停止表示される。そして、3つの演出図柄群の停止態様(停止表示される3つの演出図柄の組合せ)によって特別図柄抽選の結果が報知されるようになっている。
図8(a)は、特別図柄(第1特別図柄表示部76における第1特別図柄)が変動表示を開始する前の状態(ただしデモ演出中ではない状態)を示している。液晶ディスプレイ32の表示領域32aに、演出図柄301(左演出図柄350、中演出図柄352および右演出図柄354)が表示されている。左演出図柄350は、液晶ディスプレイ32の表示領域32aにおける左側部に表示され、中演出図柄352は、液晶ディスプレイ32の表示領域32aにおける中央部に表示され、右演出図柄354は、液晶ディスプレイ32の表示領域32aにおける右側部に表示されている。なお、図示を省略するが、各演出図柄は、数字とともにキャラクタ等の装飾部を含んで構成されているものであってもよい。
特別図柄(第1特別図柄表示部76における第1特別図柄)の変動表示の開始に基づき、図8(b)に示すように、3つの演出図柄群の変動表示(変動表示演出)が開始される。図中下向きの矢印は、各演出図柄群が、縦方向に高速で変動表示中(スクロール中)であることを示している。
第1特別図柄表示部76における第1特別図柄の停止表示に基づき、図8(c)に示すように、3つの演出図柄群が停止表示される。3つの演出図柄群は、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選)における大当り決定処理の結果に応じた態様で停止表示される。換言すると、3つの演出図柄群は、大当り決定処理で大当りに当選したか否かに応じた態様(大当りに当選した場合には、図柄決定処理で決定された大当り図柄に応じた態様)で停止表示される。図8(c)は、第1特別図柄抽選(大当り決定処理)でハズレとなった場合を示している。大当り決定処理の結果がハズレであって、第1特別図柄表示部76において第1特別図柄がハズレに対応する態様で停止表示されると、液晶ディスプレイ32では3つの演出図柄群がハズレに対応する態様で停止表示される。図8(c)では、演出図柄301(3つの演出図柄の組合せ)が「8」-「1」-「3」のハズレ目となっており、大当り決定処理の結果がハズレであることが液晶ディスプレイ32を介して報知されている。なお、第1特別図柄抽選(大当り決定処理)において大当りに当選した場合には、3つの演出図柄群の変動表示中に、例えばリーチ演出が実行され、リーチ演出後に、3つの演出図柄群が大当りに応じた態様で停止表示される。また、図8(a)~図8(c)では、液晶ディスプレイ32に保留表示(保留玉表示)がされている。この保留表示は、第1特別保留数あるいは第2特別保留数に対応する表示となっている。
図9(a)は、2つの演出図柄群(左演出図柄350および右演出図柄354)の変動が停止し、かつ1つの演出図柄群(中演出図柄352)は変動中である状態であって、左演出図柄350と右演出図柄354とが同種の演出図柄であり、演出図柄の組合せが「5」-「変動中」-「5」となっている状態(すなわちリーチ状態)を示している。換言すると、3つの演出図柄群(演出図柄301)がリーチ態様で表示されている。
本実施形態では、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示、すなわち3つの演出図柄群(演出図柄301)の変動表示(特別図柄抽選演出)に伴って、上述の3D表示演出が実行される場合がある。なお、3D表示演出は、特別図柄抽選の大当りの期待度(特典が付与される期待度)を示唆する演出であってもよく、3D表示演出が実行された場合、3D表示演出が実行されなかった場合よりも、特別図柄抽選の大当りに対する期待度が高くなっていてもよい。
なお、演出図柄301がリーチ態様で表示された場合に、リーチ演出の1つとして(リーチ発展演出として)、上述の3D表示演出が実行されるものであってもよい。リーチ発展演出が実行される場合、例えば図9(b)に示すように、リーチ発展演出が開始されることを示す表示(画像)が液晶ディスプレイ32に表示され、その後、所定のキャラクタが所定のミッションに挑む表示や、所定のキャラクタ(味方のキャラクタ)が敵のキャラクタと対戦する表示などが開始される。
次に、液晶ディスプレイ32で実行される3D表示演出の一例について説明する。本実施形態の遊技機では、液晶ディスプレイ32の表示領域32aの表面にレンチキュラーレンズが配置されており、表示領域32aに3次元画像が表示された場合、遊技者の左目LEに左目用素材Lが視認され、遊技者の右目REに右目用素材Rが視認されるようになっている。図10~図12を用いて、3D表示演出が実行され、演出ボタン26を模した3次元画像が表示領域32aに表示される場合について説明する。
図10(a)は、表示領域32aの中央に右目用素材Rが位置し、図10(b)は、表示領域32aの中央に左目用素材Lが位置している場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図10(c)に示すとおりとなる。すなわち、遊技者は、左目LEで左目用素材Lを視認し、右目REで右目用素材Rを視認し、このとき、左目用素材Lと右目用素材Rとが、表示領域32aにおけるほぼ同じ位置に配されているため、左目用素材Lに対する左目LEの視線と、右目用素材Rに対する右目REの視線とが交差する交点Wの位置が、表示領域32aのほぼ表面上に位置する。交点Wが表示領域32aの表面近傍に位置する場合、表示物が平面的に視認され、立体視させない表示物を視認している場合と殆ど差異がない。以下、表示領域32aの表面上(表示面上)、あるいは、表示領域32aの表面近傍における交点Wの位置を基準位置(0位置)と呼ぶ。0位置は、左目用素材Lと右目用素材Rとの視差が0となる位置とも言える。
図11(a)は、表示領域32aの中央よりも左側に右目用素材Rが位置し、図11(b)は、表示領域32aの中央よりも右側に左目用素材Lが位置している場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図11(c)に示すとおりとなる。すなわち、左目LEの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも右側となり、右目REの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも左側となる。このため、左目用素材Lに対する左目LEの視線と、右目用素材Rに対する右目REの視線とが交差する交点Wが、表示領域32aよりも正面側(前方側)に位置する。このように、交点Wが表示領域32aよりも前方側に位置する場合、表示物が立体的に視認される。換言すると、表示物が交点Wに位置している、すなわち、表示物が表示領域32aの手前側に浮き出て(飛び出て)いるように視認される。以下、表示領域32aよりも前方側における交点Wの位置、すなわち、基準位置(0位置)よりも前方側にある交点Wの位置を手前位置(-位置)と呼ぶ。
図12(a)は、表示領域32aの中央よりも右側に右目用素材Rが位置し、図12(b)は、表示領域32aの中央よりも左側に左目用素材Lが位置する場合を示している。このとき、遊技者の視線は、図12(c)に示すとおりとなる。すなわち、左目LEの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも左側となり、右目REの視線が表示領域32aと交差する位置は、表示領域32aの中央よりも右側となる。このため、左目用素材Lに対する左目LEの視線と、右目用素材Rに対する右目REの視線とが交差する交点Wが、表示領域32aよりも奥側(後方側)に位置する。このように、交点Wが表示領域32aよりも後方側に位置する場合、表示物が立体的に視認される。換言すると、表示物が交点Wに位置している、すなわち、表示物が表示領域32aの奥側にあるように(奥側に引っ込んでいるように)視認される。以下、表示領域32aよりも後方側における交点Wの位置、すなわち、基準位置(0位置)よりも後方側にある交点Wの位置を奥行位置(+位置)と呼ぶ。
3D表示演出は、演出ボタン26を模した立体表示物が表示されるものに限らず、例えば、立体表示物としての所定のキャラクタや所定の背景等の所定の表示物が表示されるものであってもよい。また、本実施形態の遊技機では、3D表示演出が実行されている間に2D表示演出が実行される場合がある。換言すると、3D表示演出と2D表示演出とが重複して実行される場合がある。すなわち、立体視させる表示物(立体表示物)と、立体視させない表示物(通常表示物)とが同時に表示される場合がある。2D表示演出が実行された場合に表示される表示物(通常表示物)としては、例えば、文字等を含み所定の情報(遊技に関する所定の情報)を報知する表示物(情報表示)等がある。情報表示としては、タイマー表示(カウントダウン表示)があり、タイマー表示は、例えば、遊技に関する所定の結果(特典が付与されるか否か)が表示されるまでの時間を報知するものとなっている。
3D表示演出と2D表示演出が重複して実行される場合としては、例えば、リーチ演出としての3D表示演出が実行されて立体表示物(所定のキャラクタ等)が表示されている間に、チャンスアップ演出としての2D表示演出が実行されて通常表示物(タイマー表示)が表示されるという場合がある。なお、チャンスアップ演出は、特別図柄抽選の大当りの期待度(特典が付与される期待度)を示唆する演出であってもよく、リーチ演出中(変動表示演出中)にチャンスアップ演出が実行された場合、チャンスアップ演出が実行されなかった場合よりも、特別図柄抽選の大当りに対する期待度が高くなっていてもよい。
立体表示物は、-位置(手前位置)から+位置(奥行位置)までの間で視認されるようになっている(換言すると、-位置から+位置までを内包している)。一方、通常表示物は、0位置(基準位置)に視認されるようになっている(すなわち0位置固定となっている)。上述のとおり描画素材にはプライオリティが設定されているが、通常表示物に係る通常素材のプライオリティは、立体表示物に係る立体視素材のプライオリティよりも低く設定されている場合と、立体表示物に係る立体視素材のプライオリティよりも高く設定されている場合と、がある。
ここで、立体表示物を表示させる3D表示演出と通常表示物を表示させる2D表示演出とが重複して実行され、かつ通常素材のプライオリティが、立体視素材のプライオリティよりも高く設定されている場合に生じ得る問題について説明する。
図13は、所定のレイヤへの各描画素材の描画(配置)について説明するための図である。立体視素材の1つである、所定のキャラクタ(立体表示物)に係る立体視素材を立体視素材Zとする。また、通常素材の1つである、タイマー表示(通常表示物)に係る通常素材を通常素材Xとする。立体視素材Zは、所定のレイヤにおける所定の位置(座標)に描画(配置)される。なお、図13は、立体視素材Zを構成する左目用素材および右目用素材のうちの一方を示している(図13では、第1フレームバッファ321または第2フレームバッファ322における描画素材の描画を示している)。
通常素材Xは、立体視素材Zが描画されるレイヤよりもプライオリティの高い(上位の)所定のレイヤにおける所定の位置(座標)に描画される。また、立体視素材Zの大きさ(描画サイズ)は、通常素材Xの大きさ(描画サイズ)よりも大きくなっており、立体視素材Zと通常素材Xとは互いに重なる位置(レイヤを上位側から見た場合に重畳する位置)に描画されている。なお、図示を省略するが、立体視素材Zは、表示領域32aの全体を占める大きさで描画される素材(全画面素材:例えば所定のキャラクタや所定の背景等を含む素材)となっていてもよい。また、図示を省略するが、1フレームを構成する各描画素材が描画された後、合成処理(第2フレームバッファ322に描画された画像(右目用合成画像)を第1フレームバッファ321に描画された画像(左目用合成画像)と合成する処理)が行われ、合成画像が生成される。そして、当該合成画像が液晶ディスプレイ32に表示される。
このとき、立体表示物は、手前側に飛び出ているように視認され得るが、その立体表示物の表示のプライオリティよりも通常表示物の表示のプライオリティが高くなっているため、平面的な表示物(通常表示物)が手前側に存在するように視認され、奥行の矛盾が生じ、遊技者はピントを合わせることが困難となる。これにより、立体表示物の視認が困難となる(立体視が破綻する)。
本実施形態では、3D表示演出と2D表示演出とが重複して実行され、かつ通常素材(通常素材X)のプライオリティが、立体視素材(立体視素材Z)のプライオリティよりも高く設定されている場合に、図14に示すように、立体視素材Zが描画される所定のレイヤ(第1のレイヤとする)と、通常素材Xが描画される所定のレイヤ(第3のレイヤとする)との間の所定のレイヤ(第2のレイヤとする)に、特定通常素材Y(破綻回避素材)が描画される場合がある。具体的には、立体視素材Zと通常素材Xとが前面側(上位側)から見て重なる場合に(重なる位置に描画される場合に)、特定通常素材Yが描画される。換言すると、通常素材Xが、下位の立体視素材Zの一部と重なる場合に、特定通常素材Yが描画される。なお、「重なる」とは、通常素材Xの全体が(完全に)立体視素材Zと重なる場合を指すものであってもよく、通常素材Xの少なくとも一部が立体視素材Zと重なる場合を指すものであってもよい。また、通常素材Xと立体視素材Zとが重ならない場合であっても、特定通常素材Yが描画されるようになっていてもよい。
また、上記では、重なる場合を、通常素材Xと立体視素材Zとが描画上(レイヤ上)重なる場合としたが、描画位置の重なりではなく、見た目上の(表示上の)重なりとしてもよい。つまり、表示物を表示させた際に重なる場合としてもよい。
図14では、立体視素材Zが所定のレイヤ(第1のレイヤ)に描画され、次いで、特定通常素材Yが第1のレイヤよりも上位の所定のレイヤ(第2のレイヤ)に描画され、次いで、通常素材Xが第2のレイヤよりも上位の所定のレイヤ(第3のレイヤ)に描画されている。なお、第1のレイヤ、第2のレイヤ、第3のレイヤは連続するレイヤとなっていなくてもよい。例えば、レイヤ間に描画素材が描画されないレイヤが存在していてもよい。特定通常素材Yに設定されているプライオリティは、立体視素材Zに設定されているプライオリティよりも高く、かつ通常素材Xに設定されているプライオリティよりも低くなっている。
特定通常素材Yは、通常素材Xと同様に、立体視させない表示物(通常表示物)に対応する通常素材の1つとなっている。なお、特定通常素材Yおよび通常素材Xのうちのいずれか一方を第1通常素材と称し、他方を第2通常素材と称してもよい。
第2のレイヤに描画される特定通常素材Yの大きさ(描画サイズ)は、第3のレイヤに描画される通常素材Xの大きさ(描画サイズ)よりも大きい。換言すると、特定通常素材Yは、通常素材Xよりも大きく描画される。また、特定通常素材Yと通常素材Xとは重なる位置(座標)に描画されており、レイヤを上位側から見た場合に(合成画像において)、通常素材Xの周り(外側)に所定範囲(所定幅)の特定通常素材Yが描画されている(特定通常素材Yが存在している)。換言すると、レイヤを上位側から見た場合に、特定通常素材Yが通常素材Xの外側に、全周にわたって(全方位に)はみ出るように描画されている。本実施形態では、合成画像において、特定通常素材Yが通常素材Xの周りに枠状に表れて(表示されて)いる(図15参照)。
本実施形態では、特定通常素材Yは、通常素材Xと同形であり、かつ描画サイズが通常素材Xよりも大きいものとなっている。なお、同形とは略同一を含む。そして、通常素材Xの周りに表れる特定通常素材Yの幅(範囲)が、全周にわたり均一となっている。なお、特定通常素材Yと通常素材Xとは同形となっていなくてもよく、通常素材Xの周り(外側)に特定通常素材Yが表れる(はみ出る)ようになっていればよい。したがって、例えば、通常素材Xが円形状である場合に、特定通常素材Yが当該円形状を包含する大きさを有する四角形状となっていてもよい。特定通常素材Yは、通常素材Xの周囲を囲うような表示であればよい。
特定通常素材Yの色(色彩)は、通常素材Xの色(色彩)と異なっている。本実施形態では、通常素材Xは、白地に赤(橙)や黒で文字が描かれたものとなっている。換言すると、通常素材Xは、複数の色を含むものとなっている。一方、特定通常素材Yは、黒となっている。特定通常素材Yは、単一色(単色)となっている。本実施形態では、特定通常素材Yは、通常素材Xを黒く塗り潰し、描画サイズを通常素材Xよりも大きくしたものとなっている。なお、特定通常素材Yは、後述するぼかしが施される場合があるが、ぼかしが施されていても単一色と言うことができる。
本実施形態では、通常素材Xは複数色からなっている。特定通常素材Yと通常素材Xの色が異なるとは、特定通常素材Yと通常素材Xとの境界部分に、特定通常素材Yと通常素材Xとで色の異なる部分が存在していればよい。すなわち、当該境界部分の少なくとも一部において、特定通常素材Yの色と通常素材Xの色とが異なっていればよい(色が異なる部分があればよい)。少なくとも一部とは、好ましくは境界部分の50%以上であり、さらに好ましくは境界部分の全体(100%)である。本実施形態では、当該境界部分(通常素材Xの外縁部)に、特定通常素材Yと通常素材Xとで色が異なる部分がある。換言すると、当該境界部分(通常素材Xの外縁部)に、特定通常素材Yの色(黒)が存在していない部分(白)が存在している。つまり、特定通常素材Yの色が、通常素材Xにおける外縁側部分の色と異なっている。
なお、特定通常素材Yの色が通常素材Xの色と異なるという場合、色が大きく異なるもの(色の差が大きいもの)が好ましく、例えば色の組合せとして、補色(反対色)の組合せがある。特定通常素材Yの色と通常素材Xの色とは、識別(区別)が容易な組合せ(なじみにくい色同士)となっていることが好ましい、とも言うことができる。色の差が大きいほど、通常素材Xと特定通常素材Yとの境界が明確なものとなる(はっきりする)。換言すると、特定通常素材Yが、通常素材Xと異なる部分であることを認識しやすいものとなる。
なお、本実施形態では、特定通常素材Yが所定の色で塗り潰されているものとしたが、特定通常素材Yは所定幅を有する枠状(フレーム状)に形成されているものであってもよい。すなわち、特定通常素材Yは、通常素材Xの外形(外周)に沿って縁取るように枠状に形成されているものであってもよい。この場合、第2のレイヤに描画される特定通常素材Yの大きさが、第3のレイヤに描画される通常素材Xの大きさよりも大きいとは、枠状の特定通常素材Yの最外形の大きさが、通常素材Xの最外形の大きさよりも大きいことを意味する。また、通常素材Xの周りに特定通常素材Yが描画されているとは、レイヤを上位側から見た場合に(合成画像において)、枠状の特定通常素材Yが通常素材Xの周りに表れていることを意味する。
本実施形態の遊技機は、
表示手段(液晶ディスプレイ32)と、
前記表示手段での表示に関する制御を行う表示制御手段(表示制御手段312)と、
前記表示制御手段からの情報に基づき、前記表示手段に表示させるフレーム画像を生成する描画手段(VDP314)と、を備え、
前記表示手段は、表示物を遊技者に立体視させ得る立体視表示態様で表示する第1表示演出と、表示物を遊技者に前記立体視表示態様とは異なる通常表示態様で表示する第2表示演出と、を実行可能であり、
前記描画手段は、複数の描画素材を、各描画素材に設定された優先度に基づき所定のレイヤに描画し、複数のレイヤを重ね合わせることで前記フレーム画像を生成し、
前記描画素材として、前記立体視表示態様での表示に用いられる立体視素材と、前記通常表示態様での表示に用いられる通常素材と、があり、
前記第1表示演出と前記第2表示演出とが実行され、前記優先度に基づき、前記立体視素材が所定のレイヤに描画され、前記通常素材が所定のレイヤよりも上位の所定のレイヤに描画される場合に、前記立体視素材が描画されるレイヤと前記通常素材が描画されるレイヤとの間の所定のレイヤに、上位のレイヤに描画される前記通常素材とは異なる特定通常素材が描画される場合があり、
前記特定通常素材は、前記通常素材よりも大きく描画され、
前記特定通常素材と前記通常素材とは重なる位置に描画され、
前記特定通常素材の色と前記通常素材の色とが異なっている。
前記立体視素材(立体視素材Z)が描画されるレイヤと前記通常素材(通常素材X)が描画されるレイヤとの間の所定のレイヤに前記特定通常素材(特定通常素材Y)が描画される場合があり、前記特定通常素材は、前記通常素材よりも大きく描画され、前記特定通常素材と前記通常素材とは重なる位置に描画され、前記特定通常素材の色と前記通常素材の色とが異なっている。換言すると、前記通常素材と色の異なる前記特定通常素材が、前記通常素材の周りに表示される。このため、前記通常素材と前記立体視素材との間(境界部分)に、前記特定通常素材が表示(視認)される。
これにより、前記通常素材(通常表示物)が、手前側に飛び出ているように視認される前記立体視素材(立体表示物)とは別の空間(別の場所)に表示されている表示物であることをより認識しやすいものとなる(通常表示物と立体表示物とを区別しやすくなる)。換言すると、通常表示物が、手前側に視認される立体表示物よりも奥側(前記表示手段の表示面上)に表示されている表示物であることをより認識しやすいものとなる。よって、奥行の矛盾が生じにくく、遊技者がピントを合わせやすいものとなり、立体表示物の視認が困難となるのを抑制できる(立体視の破綻を抑制できる)。これにより、演出効果の低下を抑制できる。
本実施形態において、特定通常素材Yの色は、立体視素材Zの色とも異なっている(立体視素材Zとなじみにくい色となっている)ことが好ましい。つまり、特定通常素材Yの色は、通常素材Xの色および立体視素材Zの色と異なっていることが好ましい。例えば、通常素材Xの色および立体視素材Zの色が黒系の色である場合、特定通常素材Yの色は白系の色であることが好ましい。通常素材X(通常表示物)の周りの部分(特定通常素材Y)の色が、通常素材X(通常表示物)の色および立体視素材Z(立体表示物)の色と異なっていることで、通常素材Xが立体視素材Zよりも奥側に表示されていることをより認識しやすいものとなる。
なお、立体視素材Zは、複数の色からなるものであってもよく、特定通常素材Yの色が、立体視素材Zにおける少なくとも一部の色と異なるようになっていてもよい。その場合、特定通常素材Yの色は、立体視素材Zのうち、特定通常素材Yの周囲となる位置に描画される部分の色と異なっていることが好ましい。図14の例では、特定通常素材Yの色は黒色であり、立体視素材Zにおける特定通常素材Yの周囲となる位置に描画される部分(立体視素材Zの胴体部分)の色(赤色)と異なっている。
本実施形態では、前記第2表示演出が前記第1表示演出と重複して実行されない場合には、所定のレイヤへの前記特定通常素材の描画は行われない。前記通常素材と前記特定通常素材とが別々に用意されているため、所定の場合には両方(前記通常素材と前記特定通常素材)を描画し、所定の場合には一方(前記通常素材)のみを描画する、という制御(対応)が可能となっている。換言すると、1つの前記通常素材を汎用的に用いることができる。前記第1表示演出が実行されずに前記第2表示演出(例えばタイマー表示の表示)が実行される場合には、通常素材X(のみ)を、周囲に特定通常素材Yが表示されない状態で表示させることができる。
また、図示を省略するが、合成画像において、前記特定通常素材(特定通常素材Y)の外縁部(淵部、輪郭部)にぼかし(ぼかし処理、ぼかし加工)が施されていてもよい。なお、特定通常素材が枠状(フレーム状)である場合には、内側の縁ではなく外側の縁が外縁部となる。合成画像において前記特定通常素材の外縁部にぼかしが施されていればよく、ぼかしが施された特定通常素材が予め用意されているものであってもよく、特定通常素材を所定のレイヤ(第2のレイヤ)に描画する際に外縁部にぼかしが施されるものであってもよい。
特定通常素材Yの外縁部は、立体視素材Zとの境界となる部分であるが、この部分にぼかしが施されている場合、当該部分の視認性が低下し、立体視素材Zとの境界が曖昧なものとなる。これにより、特定通常素材Yと立体視素材Zとをなじませることができる。なお、特定通常素材Yにおける通常素材Xとの境界側の部分には、ぼかしは施されておらず、当該部分では特定通常素材の色(例えば黒)が視認され、内側から外側(外縁側)に向かうほど、徐々にぼけた状態となる(視認性が低下する)(薄くなる)ように構成されていてもよい。「外縁部にぼかしが施されている」とは、少なくとも外縁部にぼかしが施されていればよく、内側(内縁)から外縁にかけてぼかしが施されている場合等も含むものとする。
特定通常素材Yと立体視素材Zとの境界部分がはっきりと(明確に)視認される場合、デザイン性(意匠性)が低下してしまうおそれがあるが、特定通常素材Yの外縁部にぼかしが施されていることで、当該境界部分が曖昧となり、デザイン性の低下を抑制することができる。
本実施形態では、通常表示物(タイマー表示)を表示した場合に立体表示物(キャラクタ)の視認が困難となるのを抑制する手法として、特定通常素材Y(破綻回避素材)を用いるものを示したが、当該手法には、タイマー表示をキャラクタと同様に立体視素材により実現する(3D表示する)という手法がある。ただし、その場合、キャラクタのみを表示させるパターン、キャラクタおよびタイマー表示の両方を表示させるパターンなどの多岐にわたるパターンのそれぞれについて立体視素材(左目用素材および右目用素材)を用意しなければならず、サブメモリ302のROM容量の圧迫を招く。換言すると、容量の大きなROMを用意する必要が生じる。本実施形態に係る手法によれば、そのようなROM容量の圧迫を招くことなく、立体視の破綻を抑制できる。
(変形例)
図14では、通常素材Xと特定通常素材Yとが別々に用意されているものを示したが、それらが一体に(1素材で)形成されている変形例を示す。図示を省略するが、本変形例では、特定通常素材Yが用意されておらず、通常素材Xの代わりに、所定幅の枠部を備える通常素材X´が用意されている。通常素材X´における枠部の色は、その枠部の内側部分の色と異なっている。このように、通常素材X´自体に枠部(縁取り)が設けられている場合であっても、通常素材X´が立体視素材Zよりも奥側に表示されていると認識でき、立体視の破綻を抑制できる。
(液晶描画処理)
次に、液晶ディスプレイ32での表示に係る処理としての液晶描画処理の一例について図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図16に示す液晶描画処理においては、まず、表示制御手段312は、メッセージ解析処理を実行する(ステップS1)。メッセージ解析処理では、表示制御手段312は、メッセージによって指定されるシーンデータを抽出する。ここで、「メッセージ」とは、演出内容を指示するものであり、シーンデータを指定するものである。また、「シーンデータ」とは、各モーションの開始タイミングや、再生時間、プライオリティなどが規定されたデータであり、例えばサブメモリ302のROM上に記憶されている。
次いで、表示制御手段312は、シーンデータ解析処理を実行する(ステップS2)。シーンデータ解析処理では、表示制御手段312は、メッセージ解析処理で抽出されたシーンデータを解析し、再生中モーションリストを作成(更新)する。ここで、「再生中モーションリスト」とは、各モーションについて、プライオリティや、モーションの進行などを管理するためのリストであり、例えばサブメモリ302のRAM上に生成される。表示制御手段312は、シーンデータを解析し、モーションを再生中モーションリストに登録したり、再生中モーションリストから破棄したりする。
次いで、表示制御手段312は、モーションデータ解析処理を実行する(ステップS3)。モーションデータ解析処理では、表示制御手段312は、再生中モーションリストに登録されている各モーションのモーションデータを解析し、各モーションについて素材描画データリストを作成(更新)する。ここで、「モーションデータ」とは、演出の種類毎にまとめた1または複数の描画素材について、各描画素材のプライオリティ、描画(配置)座標、不透明度、画素間の演算方式(描画素材を描画する際にどの演算方式で描画するか)などが規定されたデータであり、例えばサブメモリ302のROM上に記憶されている。そして、各モーションデータによって各モーションが規定されている。また、「素材描画データリスト」とは、1フレームで描画される各描画素材について、プライオリティや、描画(配置)座標、不透明度、立体視許可素材であるか(本モーションにおいて表示物を立体視させるのに用いる描画素材であるか)、画素間(描画素材同士)をどの演算方式で組み合わせるかなどをモーション毎に管理するためのリストであり、例えばサブメモリ302のRAM上に生成される。なお、素材データリストにおいて、一対の左目用素材と右目用素材(立体視素材)は、まとめて管理されてもよく、個別に管理されてもよい。
なお、プライオリティとは、描画(表示)上の優先度のことであり、プライオリティが高い描画素材(プライオリティが高いモーションの描画素材)ほど、液晶ディスプレイ32の表示上、前面側に(優先的に)表示される。また、再生中モーションリストおよび素材描画データリストでは、モーションあるいは描画素材は、先頭側から末尾側に向けて、プライオリティが低い方から順に配置されている。すなわち、再生中モーションリストおよび素材描画データリストでは、先頭側ほどモーションあるいは描画素材のプライオリティが低く、末尾側ほどモーションあるいは描画素材のプライオリティが高くなっている。
次いで、表示制御手段312は、描画コマンド構築処理を実行する(ステップS4)。描画コマンド構築処理では、モーションデータ解析処理によって生成された素材描画データリストに基づき、素材単位で描画コマンドが構築される。VDP314は描画コマンドに沿って描画を行い、描画された内容が液晶ディスプレイ32の表示領域32aに表示される。
(スロットマシンについて)
上述の実施形態では、遊技価値として遊技球を用いるパチンコ遊技機に本発明を適用する例について説明したが、遊技価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数を設定し、スタートレバーに対する遊技開始操作によりリールを回転させ、回転するリールをストップボタンに対する停止操作により停止させ、リールが停止したときの図柄の種類や図柄の組み合わせにより入賞が発生可能なスロットマシンに本発明を適用してもよい。
例えば、スロットマシンに上述の実施の形態に係る構成を適用する場合は、上述の3D表示演出や2D表示演出(重複しての演出や単独での演出)が、遊技開始操作や所定の停止操作等の所定の操作を契機として行われるものとしてもよい。また、上述の3D表示演出や2D表示演出は、遊技開始操作を契機として実行される所定の抽選で所定の結果が得られた場合(例えば、役の当否を決定する内部抽選で所定の役に当選した場合等)に実行され得ることとしてもよい。また、スロットマシンは、特定役に当選した場合に、この特定役の入賞を可能とする停止操作の態様(操作順序や操作タイミング等)を、液晶ディスプレイ32でのナビ画像の表示やスピーカー14からの所定の演出音の出力により報知(示唆)するナビ演出を行い特定役の入賞を補助するもの、すなわち、いわゆるAT(アシストタイム)を設けたスロットマシンとしてもよい。そして、3D表示演出によって、ナビ演出に関する所定の期待度(例えば、ナビ演出の実行が可能であって遊技者に有利な所定の状態(AT演出状態)への移行の期待度や、ナビ演出の実行回数の増加に係る期待度等)が示唆されてもよい。また、3D表示演出は、ボーナスの当選に係る期待度を示唆するもの等であってもよい。換言すると、3D表示演出と2D表示演出とが重複して実行される場合には、2D表示演出が単独で実行される場合に比べて所定の期待度(ナビ演出に関する期待度やボーナスに関する期待度)が高くなっていてもよい。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、パチンコ遊技機やスロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各構成要素の自由な組み合わせ、あるいは各構成要素の任意の変形、もしくは各構成要素の省略等が可能である。