JP7330021B2 - 液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法 - Google Patents

液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法 Download PDF

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本発明は、液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法に関する。
従来、地震時に液状化が生じることが想定される液状化地盤に対する液状化防止対策として、液状化層の地盤変形を抑制させるために平面視で格子状の地盤改良体を施工する工法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、液状化層の上端から液状化層の下の非液状化層に根入れする高さを有する鉛直固化壁(地盤改良体)を、平面視が格子状となるように形成し、鉛直固化壁の上部に増厚部を形成させた構造について開示されている。
このような格子状の地盤改良体は、格子に囲まれた地盤のせん断変形を抑止し、過剰間隙水圧を抑制することで上部構造物の変形を防ぐことを目的としている。
特開2010-275687号公報
しかしながら、特許文献1に示すような格子状の地盤改良体に設計地震力を超える荷重が作用した場合には、地盤改良体に亀裂や破壊が生じる可能性がある。ところが、従来、格子状の地盤改良体の損傷の有無や損傷箇所を有効に観測する手法は存在していなかった。
なお、地盤改良体の内部に線状センサーを埋め込むことで損傷の有無を検知する方法は実験的に検討されている(例えば、Tamura et al. (2018))が、実際の施工では地盤改良体を順に打設することから線状センサーの設置が困難であり、且つ局所的な損傷の有無しか検知できないという問題があった。検知が可能な場合であっても、損傷の有無のみの判断に留まり、損傷を受けた地盤改良体がその後も継続的に使用可能か否かを判断することが困難であり、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、格子状の地盤改良体全体の損傷を簡単な方法により検知することができ、地盤改良体の継続使用の可否を判断できる液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システムは、地盤中に造成される縦壁と横壁とが交差してなる格子状の地盤改良体の損傷を判定するための液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システムであって、前記格子状の地盤改良体の外周部において前記縦壁と前記横壁とが交差する外周交差部の一部に設置され、せん断波を発振する発振部と、前記外周交差部のうち他の部分に設けられ、前記縦壁に沿う縦方向又は前記横壁に沿う横方向で前記発振部と対向する位置に配置され、前記発振部から発振されたせん断波によるせん断波速度を受振する受振部と、前記受振部で受振した前記せん断波速度に基づいて残留ひずみを算出するデータ処理部と、前記残留ひずみから前記地盤改良体の損傷状態を求めて前記地盤改良体の使用の可否を判断する判定部と、を備え、少なくとも前記地盤改良体の格子内部を伝播する前記縦方向および前記横方向の2方向のせん断波速度が観測されることを特徴としている。
また、本発明に係る格子状の地盤改良体の損傷判定方法は、地盤中に造成される縦壁と横壁とが交差してなる格子状の地盤改良体の損傷を判定するための格子状の地盤改良の損傷判定方法であって、前記格子状の地盤改良体の外周部において前記縦壁と前記横壁とが交差する外周交差部の一部に設置された発振部からせん断波を発振する工程と、前記外周交差部のうち他の部分に設けられ、前記縦壁に沿う縦方向又は前記横壁に沿う横方向で前記発振部と対向する位置に配置された受振部で前記発振部から発振されたせん断波によるせん断波速度を受振する工程と、前記受振部で受振した前記せん断波速度に基づいて残留ひずみを算出する工程と、前記残留ひずみから前記地盤改良体の損傷状態を求めて前記地盤改良体の使用の可否を判定する工程と、を有し、少なくとも前記地盤改良体の格子内部を伝播する前記縦方向および前記横方向の2方向のせん断波速度を観測するようにしたことを特徴としている。
本発明では、格子状の地盤改良体の外周交差部に発振部及び受振部を組み込み、格子内部を伝播する2方向のせん断波速度を受振部で観測することで、格子状の地盤改良体の損傷を検知することができる。具体的には、受振部で受振した格子状の地盤改良体のせん断波速度に基づいて地盤改良体に生じた残留ひずみを算出し、この残留ひずみを用いて地盤改良体の損傷状態を求めて性能を評価し、地盤改良体の継続使用の可否を判断することができる。
本発明では、格子状の地盤改良体のせん断波速度を測定し、残留ひずみを算出するという簡単な方法により地盤改良体の損傷を求めることができる。
また、本発明に係る液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システムは、前記判定部には、残留ひずみの大きさによって前記地盤改良体の損傷状態を複数の判定区分に区分した判定区分情報がデータベースとして組み込まれ、前記判定部では、前記判定区分情報から前記データ処理部で算出した前記残留ひずみに対応した判定区分が選定されることを特徴としてもよい。
本発明では、判定部において、判定区分情報からデータ処理部で算出された残留ひずみの大きさに対応して紐づけされた判定区分が選定され、地盤改良体の損傷状態の判定を行うことができる。この場合には、残留ひずみの範囲に応じた判定区分に分別されているので、判定区分に応じた地盤改良体の継続使用状態を予め設定しておくことで、効率よく判定を行うことができる。
本発明の液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法によれば、格子状の地盤改良体全体の損傷を簡単な方法により検知することができ、地盤改良体の継続使用の可否を判断できる。
本発明の実施形態による格子状の地盤改良体に用いられた損傷判定システムを模式的に示した平面図である。 図1に示すA-A線断面図であって、損傷判定システムを模式的に示した縦断面図である。 図1に示す損傷判定システムのブロック図である。 損傷判定システムを使用した損傷状態を判定するためのフローを示す図である。 せん断ひずみ振幅とせん断剛性比との関係の一例を示す図である。 第2実施形態による格子状の地盤改良体に用いられた損傷判定システムを模式的に示した平面図であって、図1に対応する図である。
以下、本発明の実施形態による液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す本実施形態による液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム1は、地盤中に造成される格子状に形成された地盤改良体2の損傷を検知し、この地盤改良体2の継続使用の要否を判断することを可能としたものである。
ここで、以下の説明では、符号G0を未改良地盤とし、符号G1を格子状の地盤改良体2の格子内で改良された改良地盤とする。
地盤改良体2は、図示しない地盤改良装置を用いて掘削した未改良地盤G0に地盤改良材を混合させて攪拌することで、平面視で複数の正方形状の格子で一定の壁厚を有する枠体が形成されている。地盤改良体2は、縦壁21と横壁22とからなり、これら縦壁21と横壁22とに囲まれたそれぞれの格子内側が改良地盤G1となっている。本実施形態による地盤改良体2は、上面視で縦方向X1(図1の紙面上下方向)に延在する縦壁21が4列、横方向X2(図1の紙面左右方向)に延在する横壁22が3列設けられている。
ここで、格子状の地盤改良体2の外周部において、縦壁21と横壁22とが交差する部分を外周交差部P(P1~P10)という。
損傷判定システム1は、図1及び図3に示すように、外周交差部Pの一部に設置され、せん断波を発振する発振器11(発振部)と、外周交差部Pのうち他の部分に設けられ、縦方向X1又は横方向X2で発振器11と対向する位置に配置され、発振器11から発振されたせん断波によるせん断波速度Vsを受振する受振器12(受振部)と、受振器12で受振したせん断波速度Vsに基づいて残留ひずみγresを算出するデータ処理部13と、残留ひずみγresから地盤改良体2の損傷状態を求めて地盤改良体2の使用の可否を判断する判定部14と、を備えている。
発振器11及び受振器12は、例えば、PS検層のクロスホール方式を参考にしたボーリング孔3(図6参照)に設置されている。
損傷判定システム1は、発振器11及び受振器12によって、少なくとも地盤改良体2の格子内部を伝播する2方向のせん断波速度Vsを観測するようになっている。
発振器11は、図1に示すように、地盤改良体2の外周部における一方の縦壁21と一方の横壁22に配置される外周交差部Pに設けられている。発振器11は、図1において符号11A、11B、11C、11D、11E、11F、11G)に示す7箇所に配置されている。つまり、縦壁21には符号11A、11B、11Cの3箇所に発振器11が配置され、横壁22には符号11D、11E、11F、11Gの4箇所に発振器11が配置されている。さらに発振器11は、図2に示すように、1箇所毎に深さ方向に間隔をあけて3箇所に設けられている。図2では、上端部、中間部、下端部においてそれぞれ符号11Ba、11Bb、11Bcの発振器11が記載されている。縦壁21に配置される発振器11A、11B、11Cは、発振したせん断波を格子内を通して横方向X2にせん断波を伝搬させる。横壁22に配置される発振器11D、11E、11F、11Gは、発振したせん断波を格子内を通して縦方向X1に伝搬させる。
受振器12は、図1に示すように、地盤改良体2の外周部における他方の縦壁21(発振器11が設けられる一方の縦壁21に対向する縦壁21)と一方の横壁22(発振器11が設けられる一方の横壁22に対向する横壁22)に配置される外周交差部Pに設けられている。受振器12は、図1において符号12A、12B、12C、12D、12E、12F、12G)に示す7箇所に配置されている。つまり、縦壁21には符号12A、12B、12Cの3箇所に受振器12が配置され、横壁22には符号12D、12E、12F、12Gの4箇所に受振器12が配置されている。さらに受振器12は、図2に示すように、1箇所毎に深さ方向に間隔をあけて3箇所に設けられている。図2では、上端部、中間部、下端部においてそれぞれ符号12Ba、12Bb、12Bcの受振器12が記載されている。縦壁21に配置される受振器12A、12B、12Cは、発振器11から発振したせん断波によるせん断波速度Vを受振する。横壁22に配置される受振器12D、12E、12F、12Gは、発振したせん断波によるせん断波速度Vを受振する。
データ処理部13は、図3に示すように、受振器12に接続され、受振器12で受振したせん断波速度Vに基づいて残留ひずみγresが算出される処理が行われる。
測定したせん断波速度Vから残留ひずみγresを求める際には、せん断剛性比(G/G)とせん断ひずみ(せん断ひずみ振幅γ)の関係に基づいて、せん断波速度比(V/VS0)とせん断ひずみγとの関係に変換したものが使用される。ここで、G/Gとひずみの関係については、地盤改良体2の施工後の材齢28日で得られたデータ(図5参照)であって、詳しくは後述する。
判定部14には、残留ひずみγresの大きさによって地盤改良体2の損傷状態を複数の判定区分に区分した判定区分情報である判定表(後述する表1に示す判定表)がデータベースとして組み込まれている。判定部14では、判定区分情報からデータ処理部13で算出した残留ひずみγresに対応した判定区分が選定される処理が行われる。このように判定部14で判定された結果により、地盤改良体2の性能を評価することができる。
このように構成される損傷判定システム1を用い、地盤G中に造成される格子状の地盤改良体2の損傷状態を判定して性能を評価する管理方法について、図4に示すフロー図等を用いて詳細に説明する。
図4に示すように、先ずステップS1では、原位置において格子状の地盤改良体2を施工する。
次に、地盤改良体2のステップS2では、原位置の地盤改良体2の改良地盤G1からモールド供試体を採取する。又は、所定の材齢でコア供試体を採取する。
ステップS3では、地盤改良体2において材齢28日養生した試料(供試体)のせん断波速度VS0を測定し、三軸繰り返し試験を実施し、図5に示すようなせん断剛性比(G/G)とせん断ひずみ(せん断ひずみ振幅γ)との関係を求める。図5は、横軸をせん断ひずみ振幅γとし、縦軸をせん断剛性比(G/G)としたものであり、地質毎のデータを示した一例である。なお、図5は、対象とする地質が礫、豊浦沙、稲城砂、神戸礫、ロームであって、地盤材料を用いた既往の研究成果を引用している。
ここで、Gは初期のせん断剛性率、Gはせん断剛性率である。
次に、ステップS4では、ステップS3で得られた結果を、G=ρV の関係から、せん断波速度比(V/VS0)とせん断ひずみγとの関係に変換する。ここで、VS0は養生28日時におけるせん断波速度、Vは本実施形態の測定方法(後述する発振器11と受振器12による測定方法)により測定したせん断波速度である。
ステップS4までは、地盤改良体2の施工後における材齢28日で実施されるフローである。
そして、ステップS5からステップS7は、地震後、或いは定期的に行われるフローとなる。本実施形態では、地震後のケースを説明する。
ステップS5では、地震後、原位置において、地盤改良体2のせん断波速度Vを測定する。なお、施工した地盤改良体2には、ステップS4までの適宜なタイミングで、図6に示すように、地盤改良体2に隣接するボーリング孔3を削孔し、そのボーリング孔3の内側に発振器11と受振器12を設置しておく。これら発振器11と受振器12の配置は、図1及び図2に示す通りである。そして、各発振器11からせん断波を発振し、各発振器11に対応する受振器12で地盤改良体2におけるせん断波によるせん断波速度Vを受振する。
このとき、発振器11と受振器12が格子状の地盤改良体2の外周交差部に配置されているので、縦横方向に延びる縦壁21と横壁22におけるせん断波速度Vが測定されるので、これらのデータより格子状に地盤改良体2としての損傷状態を把握することができる。
例えば、図6に示すように、発振器11Baから発振し、受振器12Ba、12Bb及12Bcで発振波を受振することで各測定間のせん断波速度Vを測定する。せん断波速度Vを測定できない測定間においては、測定間内に損傷があるものと推定できる。受振器12で受振したせん断波速度Vからそれぞれの残留ひずみγresを算出し、それを基に地盤改良体2が継続的に使用可能かを判断する。
ステップS6では、データ処理部13において、測定したせん断波速度Vに基づいて、原位置のせん断波速度比V/VS0を求め、さらにそのせん断波速度比とひずみの関係から残留ひずみγresを算出する。
ここで、地盤改良体2は脆性的な挙動を示すので、震動中に発生した最大ひずみは残留ひずみγresとみなされる。これらの関係を用いることで、測定時の地盤改良体2のせん断波速度Vから地盤改良体2の残留ひずみγresを算出することができる。
ここで、地盤改良体2に損傷がほとんど無い場合は、せん断波速度比V/VS0は1に近い値を取る。一方、地盤改良体2が大きな損傷を受けたことでせん断波速度Vを計測できない場合は、せん断波速度比V/VS0が0となり、残留ひずみγresは無限大を取る。せん断波速度比V/VS0がこれらの中間値を取る場合は、地盤改良体2の内部にマイクロクラックなどが発生し、残留ひずみγresが発生していることを意味する。
ステップS7は、ステップS6で求めた残留ひずみγresの値に対して判定部14に予め組み込まれている判定表に基づいて、地盤改良体2の損傷状態を判定する。
表1は、格子状の地盤改良体2における残留ひずみγresに合せた損傷状態の判定表の一例を示している。
Figure 0007330021000001
表1に示すように、判定部14(図3参照)において、判定区分1で算出された残留ひずみγresが10-5未満の場合(γres<10-5)には、地盤改良体2に損傷がほとんど無い状態とし、設計時の液状化対策工法としての効果が維持されているものと判断される。
また、判定区分2で残留ひずみγresが10-5~10-3の場合(10-5≦γres<10-3)は、地盤改良体2にマイクロクラック等が生じているがその剛性は保持された状態とし、地盤改良体2の継続使用が可能であると判断される。つまり、判定区分2では、地盤改良体2の状態として、使用限界状態を超えるが、損傷限界状態には至らないという判断となっている。
一方、判定区分3で残留ひずみγresが10-3~10-2の場合(10-3≦γres<10-2)には、地盤改良体2にクラックが生じており、液状化対策効果は低下していると判断され、地盤改良体2の継続使用に当たっては地盤補強等の対策が必要となる。つまり、判定区分3では、地盤改良体2の状態として、損傷限界状態を超えるが、終局限界状態には至らないという判断となっている。
さらに、判定区分4で残留ひずみγresが10-2を超える場合(10-2<γres)には、終局限界状態を超える状態であり、地盤改良体2が破壊しているとし、液状化対策工法としての効果はないものと判断され、再施工を検討する必要がある。
次に、上述した液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、格子状の地盤改良体2の外周交差部Pに発振器11及び受振器12を組み込み、格子内部を伝播する2方向のせん断波速度Vを受振器12で観測することで、格子状の地盤改良体2の損傷を検知することができる。具体的には、受振器12で受振した格子状の地盤改良体2のせん断波速度Vに基づいて地盤改良体2に生じた残留ひずみγresを算出し、この残留ひずみγresを用いて地盤改良体2の損傷状態を求めて性能を評価し、地盤改良体2の継続使用の可否を判断することができる。
そして、本実施形態では、格子状の地盤改良体2のせん断波速度Vを測定し、残留ひずみγresを算出するという簡単な方法により地盤改良体2の損傷を求めることができる。
また、本実施形態では、判定部14において、判定区分情報である判定表(表1)からデータ処理部13で算出された残留ひずみγresの大きさに対応して紐づけされた判定区分が選定され、地盤改良体2の損傷状態の判定を行うことができる。この場合には、残留ひずみγresの範囲に応じた判定区分に分別されているので、判定区分に応じた地盤改良体2の継続使用状態を予め設定しておくことで、効率よく判定を行うことができる。
上述のように本実施形態による液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法では、格子状の地盤改良体2全体の損傷を簡単な方法により検知することができ、地盤改良体2の継続使用の可否を判断できる。
(実施例)
本実施例では、上述した図1及び図2に示す格子形状の改良体の模型を作成し、遠心模型試験を行い、せん断波速度Vを観測することによって改良体の損傷や破壊の状況を判定できることを確認したものである。
遠心模型試験に使用した改良体は、珪砂7号とカオリン粘土、普通ポルトランドセメント、水をそれぞれ質量比1.64:0.290:0.570:1.00で作製した。改良体の強度は、1.76N/mm(7日強度)、及び3.76N/mm(28日強度)程度である。また、本試験では、ベンダーエレメントを使用して、改良体のせん断波速度Vを観測した。
模型の地盤改良体の一端からせん断波を発振し、そのせん断波を他端で受振することにより、改良体の各部におけるせん断波速度Vを測定した。表2は、図1に示す受振器12B、12C、12D、12Gにおける測定結果を示している。表2に示すように、改良体の損傷が確認された箇所(損傷有り)ではせん断波速度Vは測定不能であり、それ以外の損傷の確認なしとされた箇所(損傷無し)では測定可能であることが確認された。
また、受振器12Gの計測値が設計時のせん断波速度V(本試験:500m/sec以上を想定)より小さな値を取る場合は、改良体の内部に目視では判断できないマイクロクラックが存在している可能性がある。このように改良体の損傷や破壊はせん断波速度Vを観測することで検知可能であることが分かった。
Figure 0007330021000002
ここで、表2の結果を上述した表1の判定表に基づいて判定した一例について具体的に説明する。
受振器12Bの観測点の場合、せん断波速度Vは500m/sec以上であるため、せん断波速度比V/VS0は1以上となり、残留ひずみγresはほぼ発生していない。すなわち、使用限界には至らない判断できる。
次に、受振器12C及び12Dの観測点の場合、せん断波速度Vが測定不能(0m/sec)であるため、せん断波速度比V/VS0は0となり、終局限界状態を超えた破壊であると判断できる。
最後に、受振器12Gの観測点の場合、せん断波速度比V/VS0は0.5(G/G=0.25)程度であり、残留ひずみγresが0.1%~1%と推定され、損傷限界状態を超えるが、終局限界状態には至っていないと判断できる。このような判定手法を用いることにより、地震後の地盤改良体の性能を容易に判定することができる。
以上、本発明による液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム及び損傷判定方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、判定部14において、残留ひずみγresの大きさによって地盤改良体の損傷状態を複数の判定区分に区分した判定区分情報としての判定表がデータベースとして組み込まれた構成としているが、本実施形態のような判定表(判定区分情報)であることに限定されることはない。本実施形態では、4つの判定区分に分別しているが、例えば、判定表の判定区分をより細かく区分してもよいし、単純に損傷の有無により地盤改良体の継続使用の有無を判断するような区分であってもかまわない。
また、地盤改良体2のせん断波速度Vを観測できる装置と仕様であれば、上述した実施形態のような発振器11と受振器12の仕様であることに限定されることはなく、他の種別、測定間隔、及び設置位置のものであってもかまわない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 損傷判定システム
2 地盤改良体
3 ボーリング孔
4 発振器(発振部)
5 受振器(受振部)
13 データ処理部
14 判定部
21 縦壁
22 横壁
P、P1~P10 外周交差部
X1 縦方向
X2 横方向

Claims (3)

  1. 地盤中に造成される縦壁と横壁とが交差してなる格子状の地盤改良体の損傷を判定するための液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システムであって、
    前記格子状の地盤改良体の外周部において前記縦壁と前記横壁とが交差する外周交差部の一部に設置され、せん断波を発振する発振部と、
    前記外周交差部のうち他の部分に設けられ、前記縦壁に沿う縦方向又は前記横壁に沿う横方向で前記発振部と対向する位置に配置され、前記発振部から発振されたせん断波によるせん断波速度を受振する受振部と、
    前記受振部で受振した前記せん断波速度に基づいて残留ひずみを算出するデータ処理部と、
    前記残留ひずみから前記地盤改良体の損傷状態を求めて前記地盤改良体の使用の可否を判断する判定部と、
    を備え、
    少なくとも前記地盤改良体の格子内部を伝播する前記縦方向および前記横方向の2方向のせん断波速度が観測されることを特徴とする液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム。
  2. 前記判定部には、残留ひずみの大きさによって前記地盤改良体の損傷状態を複数の判定区分に区分した判定区分情報がデータベースとして組み込まれ、
    前記判定部では、前記判定区分情報から前記データ処理部で算出した前記残留ひずみに対応した判定区分が選定されることを特徴とする請求項1に記載の液状化対策としての格子状の地盤改良体の損傷判定システム。
  3. 地盤中に造成される縦壁と横壁とが交差してなる格子状の地盤改良体の損傷を判定するための格子状の地盤改良の損傷判定方法であって、
    前記格子状の地盤改良体の外周部において前記縦壁と前記横壁とが交差する外周交差部の一部に設置された発振部からせん断波を発振する工程と、
    前記外周交差部のうち他の部分に設けられ、前記縦壁に沿う縦方向又は前記横壁に沿う横方向で前記発振部と対向する位置に配置された受振部で前記発振部から発振されたせん断波によるせん断波速度を受振する工程と、
    前記受振部で受振した前記せん断波速度に基づいて残留ひずみを算出する工程と、
    前記残留ひずみから前記地盤改良体の損傷状態を求めて前記地盤改良体の使用の可否を判定する工程と、
    を有し、
    少なくとも前記地盤改良体の格子内部を伝播する前記縦方向および前記横方向の2方向のせん断波速度を観測するようにしたことを特徴とする格子状の地盤改良体の損傷判定方法。
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