JP7329977B2 - マット材、排ガス浄化装置及びマット材付き排気管 - Google Patents
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通常の排気ガス浄化装置は、排ガス処理体(触媒担体)と、前記触媒担体の外周を覆う金属ケーシングと、これらの間に配置される保持材とを備えている。また、排ガス処理体には白金等の触媒が担持されている。
内燃機関から放出された排ガスは高温であり、触媒は排ガスにより加熱されることにより活性温度まで到達することになる。
排ガスは排気管を通って排ガス浄化装置に到達することになるが、触媒を速やかに活性温度まで到達させるために、この際の熱のロスはできるだけ少ない方が望ましい。
また、触媒の活性温度を維持するために、排ガス浄化装置からの熱のロスもできるだけ少ない方が望ましい。
赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材の粒子径が上記範囲である場合、赤外線吸収率及び/又は赤外線反射効率が良好になり、また、固体伝熱率も適度な範囲となる。
そのため、本発明のマット材は、断熱性能が高い。
粒子径が1μm未満であると、体積が小さくなるので赤外線反射率及び/又は赤外線吸収率が低くなる。そのため、充分な断熱性能が得られにくくなる。
粒子径が100μmを超えると、固体伝熱率が高くなり、マット材の受熱面側から反対側の面に伝熱しやすくなる。そのため、充分な断熱性能が得られにくくなる。また、分散性が悪くなり、粒子同士の間隔が広くなる。そのため、粒子に当たる赤外線の割合が小さくなる。その結果、赤外線が、マット材の受熱面から反対側の面に通過しやすくなり断熱性能が低下する。
断熱性能測定試験:
厚さ7mmのマット材から試験片を切り出し、断熱ブロックの上にスペーサーが配置され、スペーサーの上に熱盤が配置された熱盤試験機を準備し、熱盤試験機の熱盤の上に、試験片及び厚さ1.5mmのSUS板を順に重ね、熱盤を所定の温度にまで加熱し、熱盤の温度が所定の温度に到達してから40分経過後のSUS板の表面の温度を測定し、SUS板表面温度とする。
断熱性能測定試験:
厚さ7mmのマット材から試験片を切り出し、断熱ブロックの上にスペーサーが配置され、スペーサーの上に熱盤が配置された熱盤試験機を準備し、熱盤試験機の熱盤の上に、試験片及び厚さ1.5mmのSUS板を順に重ね、熱盤を所定の温度にまで加熱し、熱盤の温度が所定の温度に到達してから40分経過後のSUS板の表面の温度を測定し、SUS板表面温度とする。
これらの化合物は、赤外線反射率が高く、赤外線反射材として適している。
炭化珪素は、赤外線吸収率が高く、赤外線吸収材として適している。
赤外線反射材及び赤外線吸収材の合計重量の割合が上記範囲未満の場合、赤外線反射材及び赤外線吸収材の含有量が少ないことに起因して、赤外線反射量及び赤外線吸収量が少なくなる。その結果、充分な断熱性能が得られにくくなる。
赤外線反射材及び赤外線吸収材の合計重量の割合が上記範囲を超える場合、赤外線反射材及び赤外線吸収材が繊維から脱落しやすくなる。
このような無機粒子は、マット材の無機繊維に付着し、無機繊維表面の凹凸を形成することになる。そのため、マット材の無機繊維同士の摩擦力が向上する。その結果、マット材の面圧が向上する。
本発明のマット材が有機バインダを含むと、赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材が無機繊維から脱落することを防ぐことができる。
すなわち、所定の形状を維持するように成形されたマット材であってもよい。
本発明のマット材が、配置対象の形状に合わせた立体成形品である場合、本発明のマット材を配置する際に、シワ等発生が抑制され、さらに密着性が向上する。マット材と配置対象との密着性が高い場合、マット材と配置対象との間に隙間が生じにくくなるので、これらの隙間から熱が放出されることが抑制できる。その結果、断熱性が向上する。
従って、本発明のマット材が用いられた排ガス浄化装置では、排ガス処理体に到達した排ガスの熱が、外部に放出されにくい。
従って、本発明のマット材が用いられたマット材付き排気管では、排気管を通過するガスの熱が、外部に放出されにくい。
以下、本発明のマット材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
図1は、本発明に係るマット材の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、マット材10は、平面視矩形であり、マット材10を対象物に巻き付ける際に、端部同士が嵌合するように、マット材10の一方の端部11には凸部11aが設けられており、もう一方の端部12に凹部12aが設けられている。
このような凸部11a及び凹部12aが設けられていると、マット材10を後述する排ガス浄化装置に配置した際に、シール性が向上する。
なお、本発明のマット材は、マット材の端部に凸部及び凹部を有していなくてもよい。
また、赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材の粒子径は、1~10μmであることが望ましい。
赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材の粒子径が上記範囲である場合、赤外線吸収率及び/又は赤外線反射効率が良好になり、また、固体伝熱率も適度な範囲となる。
そのため、本発明のマット材は、断熱性能が高い。
粒子径が1μm未満であると、体積が小さくなるので赤外線反射率及び/又は赤外線吸収率が低くなる。そのため、充分な断熱性能が得られにくくなる。
粒子径が100μmを超えると、固体伝熱率が高くなり、マット材の受熱面側から反対側の面に伝熱しやすくなる。そのため、充分な断熱性能が得られにくくなる。また、分散性が悪くなり、粒子同士の間隔が広くなる。そのため、粒子に当たる赤外線の割合が小さくなる。その結果、赤外線が、マット材の受熱面側から反対側の面に通過しやすくなり断熱性能が低下する。
赤外線反射材及び赤外線吸収材の合計重量の割合が上記範囲未満の場合、赤外線反射材及び赤外線吸収材の含有量が少ないことに起因して、赤外線反射量及び赤外線吸収量が少なくなる。その結果、充分な断熱性能が得られにくくなる。
赤外線反射材及び赤外線吸収材の合計重量の割合が上記範囲を超える場合、赤外線反射材及び赤外線吸収材が繊維から脱落しやすくなる。
これらの化合物は、赤外線反射率が高く、赤外線反射材として適している。
炭化珪素は、赤外線吸収率が高く、赤外線吸収材として適している。
無機繊維の平均繊維長が1mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、マット材の強度が得られにくくなり、マット材の形状保持性が低下しやすくなる。
繊維の平均繊維長が150mmを超えると、繊維の繊維長が長すぎるため、マット材を構成する繊維本数が減少するため、緻密性が低下する。
無機繊維の平均繊維長が0.1mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、マット材としての形状保持性が低下してしまう。さらに、マット材として繊維集合体にしたときに無機繊維同士に好適な絡み合いが起こらず、充分な面圧を得ることが困難になる。
無機繊維の平均繊維長が20mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、抄造工程で水に無機繊維を分散したスラリー溶液中の無機繊維同士の絡み合いが強くなりすぎるため、マット材としたときに無機繊維が不均一に集積しやすくなり、せん断強度も低下しやすくなる。
本明細書において、平均繊維長とは、マット材から無機繊維300本を抜き取り、繊維長を計測した平均長さを意味する。マット材から無機繊維を破断せずに抜き取れない場合、マット材を脱脂処理して、脱脂済みマット材を水の中へ投入し、無機繊維同士の絡みをほぐしながら無機繊維が破断しないように採取すると良い。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、強度が弱く、衝撃等により無機繊維が裁断されやすくなる。
無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、繊維径が太すぎ無機繊維自体のヤング率が高くなりマット材の柔軟性が低くなりやすくなる。
これらの無機繊維は耐熱性が高く、このような無機繊維により形成されたマット材は、温度変化によって形状変化しにくい。
また、無機粒子の粒子径は、0.001μm以上であることが望ましく、0.01μm以上であることがより望ましい。
このような無機粒子は、マット材10の無機繊維に付着し、無機繊維表面の凹凸を形成することになる。そのため、マット材10の無機繊維同士の摩擦力が向上する。その結果、マット材10の面圧が向上する。
マット材10が有機バインダを含むと、無機繊維がマット材から飛散したり、無機粒子、並びに、赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材が無機繊維から脱落することを防ぐことができる。
これらの有機バインダは、2種以上併用してもよい。
また、マット材10は、ニードルパンチングマット材であってもよく、抄造マット材であってもよいが、製造方法の違いにより断熱性能に差が生じる。
また、マット材10が、抄造マット材である場合には、下記断熱性能測定試験において、熱盤温度が800℃であるときの、SUS表面温度が294~327℃であることが望ましい。
このようなマット材10は、断熱性能が充分に高いと言える。
図2は、マット材の断熱性能試験を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、断熱性能測定試験では、まず、厚さ7mmのマット材から試験片15を切り出す。
次に、断熱ブロック21の上にスペーサー22が配置され、スペーサー22の上に熱盤23が配置された熱盤試験機20を準備する。
次に、熱盤試験機20の熱盤23の上に、試験片15及び厚さ1.5mmのSUS板30を順に重ねる。
次に、熱盤23を所定の温度にまで加熱し、熱盤23の温度が所定の温度に到達してから40分経過後のSUS板30の表面(図2中、符号「P」で示す位置)の温度を測定し、SUS板表面温度とする。
本発明のマット材は、ニードルパンチング法により製造してもよく、抄造法により製造してもよい。
(1)無機繊維前駆体作製工程
アルミナ、シリカ等の無機繊維となる原料を含む紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体を作製する。
続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことによりアルミナ繊維からなる無機繊維集合体を準備する。
ニードルパンチングの密度は、0.1~30個/cm2であることが望ましい。
続いて、粒子径が1~100μmの赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材を含む溶液を準備し、当該溶液を無機繊維集合体に添着する。これにより、粒子径が1~100μmの赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材を無機繊維に付着させ、その後乾燥させる。
なお、必要に応じて赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材を含む溶液に、無機粒子及び有機バインダを加えてもよい。
(1)混合液調製工程
まず、無機繊維と、粒子径が1~100μmの赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材と、無機粒子と、有機バインダと、水とを混合し、攪拌機で撹拌することにより混合液を調製する。
本工程で用いる各材料は、上記本発明のマット材の説明で記載した各材料を用いることが望ましい。
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水を、メッシュを介して脱水することにより原料シートを作製する。
次に、原料シートを加熱加圧し、マット材を作製する。また、加熱加圧の際、熱風を原料シートに通気させて乾燥する熱処理をしてもよく、熱処理をせずに湿潤状態としてもよい。
熱処理をする場合には、有機バインダの熱による劣化を防ぐため、加熱温度や熱風温度は100~250℃であることが望ましい。100~250℃の範囲においては、有機バインダの劣化を抑制しつつ、水分をマット材からとばすことができる。加熱温度や熱風温度が100℃未満の場合、マット材の中央部まで温度が伝わらず、乾燥時間が長くなる。また、250℃を超えると、有機バインダを劣化させてしまい、繊維間の拘束力を低減させるため、マット材の厚みが制御できなくなる。
本発明のマット材が、配置対象の形状に合わせた立体成形品である場合、本発明のマット材を配置する際に、シワ等発生が抑制されさらに密着性が向上する。マット材と配置対象との密着性が高い場合、マット材と配置対象との間に隙間が生じにくくなるので、これらの隙間から熱が放出されることが抑制できる。その結果、断熱性が向上する。
このような立体成形品であるマット材は、従来の立体成形マットの製造方法により製造することができる。
本発明のマット材を使用する際には、マット材を対象物に巻き付けてもよく、単に配置するだけでもよい。
このような本発明のマット材の用途としては、排ガス浄化装置に使用されるマット材としての用途や、マット材付き排気管に使用されるマット材としての用途が挙げられる。
なお、本発明のマット材を備える排ガス浄化装置は、本発明の排ガス浄化装置でもある。
図3は、本発明のマット材を備える排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
また、マット材10は、本発明のマット材である。
排ガス浄化装置100では、マット材10が排ガス処理体40と接触している。
従って、本発明のマット材が用いられた排ガス浄化装置では、排ガス処理体に到達した排ガスの熱が、外部に放出されにくい。
図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、排ガス浄化装置100に含まれる排ガス処理体40は、多数のセル41がセル壁42を隔てて長手方向に並設された円柱状のものである。
また、排ガス処理体40では、各々のセル41におけるいずれか一方が封止材43によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)である。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがある。
平均気孔径が5μm未満であると、PMが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の従来公知の方法により測定することができる。
これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
金属ケーシング50は、略円筒形である。
金属ケーシング50の内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、マット材10が巻き付けられた排ガス処理体40の直径より若干短くなっていることが好ましい。
なお、本発明のマット材を備えるマット材付き排気管は、本発明のマット材付き排気管でもある。
図5に示すように、マット材付き排気管200は、排気管60と、排気管60を覆うように配置されたマット材10と、マット材10の外側に配置された金属カバー70とを備える。
従って、本発明のマット材が用いられた排ガス浄化装置では、排ガス処理体に到達した排ガスの熱が、外部に放出されにくい。
また、マット材付き排気管200において、金属カバー70は、ステンレス鋼等の金属からなることが望ましい。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)無機繊維前駆体作製工程
塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al2O3:SiO2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法(紡糸雰囲気温度:120℃)により紡糸してアルミナ繊維前駆体を作製した。
得られたアルミナ繊維前駆体の平均繊維径は5.5μmであった。
続いて、上記アルミナ繊維前駆体を圧縮して幅1254mm×厚さ7.9mmの大きさの連続したシート状物を作製した。
これ密度が23個/cm2となるように、ニードルパンチング処理を行った。
その後、シート状物を最高温度1300℃で焼成することにより、アルミナ繊維前駆体をアルミナ繊維に転換し無機繊維集合体のシートを得た。
続いて、酸化チタン(平均粒子径:8μm、キンセイマテック株式会社製「ルチールフラワーS」)と、有機バインダとを含む溶液を準備し、当該溶液を無機繊維集合体に添着させた。これにより、酸化チタンを無機繊維に付着させ、その後乾燥させた。
以上の工程を経て、ニードルパンチングマット材である実施例1-1に係るマット材を製造した。
実施例1に係るマット材では、アルミナ繊維(無機繊維)の重量と、酸化チタン(赤外線反射材)の重量との比が、100:34.4であった。
酸化チタンの替わりに酸化ジルコニウム(平均粒子径:60μm、東ソー株式会社製「ジルコニア粉末 TZ-3Y-E」)、酸化亜鉛(平均粒子径:20μm、堺化学工業株式会社製「LPZINC-20」)及び炭化珪素(平均粒子径:24μm、屋久島電工株式会社製「YB-600M」)を用い、アルミナ繊維(無機繊維)の重量と、赤外線反射材又は赤外線吸収材の重量との比を表1に示す比にした以外は、実施例1-1と同様に実施例1-2~実施例1-4に係るマット材を製造した。
また、酸化チタンを用いない以外は実施例1-1と同様に、比較例1-1に係るマット材を製造した。
また、酸化チタンの替わりに、酸化アルミニウム(平均粒子径:0.03μm、Sasol社製「DISPAL 11N7-80」)を用い、アルミナ繊維(無機繊維)の重量と、酸化アルミニウム(無機粒子)の重量との比が100:1.0となるようにした以外は、実施例1-1と同様に比較例1-2に係るマット材を製造した。
図6(a)~図6(e)は、それぞれ、実施例1-1~1-4及び比較例1-2に係るマット材の無機繊維のSEM画像である。
(1)混合液調製工程
塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al2O3:SiO2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法(紡糸雰囲気温度:120℃)により紡糸してアルミナ繊維前駆体を作製した。
得られたアルミナ繊維前駆体の平均繊維径は5.5μmであった。
次に、得られた無機繊維前駆体を圧縮し、連続したシート状物を作製した。その後シート状物を加熱炉内に配置し、焼成処理を行うことにより、無機繊維集合体を製造した。
次に、無機繊維集合体から、ミキサーを用いて湿式開繊し、アルミナ繊維を得た。
無機繊維と、酸化チタン(平均粒子径:8μm、キンセイマテック株式会社製「ルチールフラワーS」)と、酸化アルミニウム(平均粒子径:0.005μm、Sasol社製「DISPERAL P2」)と有機バインダとを混合し、混合液を調整した。
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水を、メッシュを介して脱水することにより原料シートを作製した。
次に、原料シートを175℃で加熱加圧した。
以上の工程を経て、抄造マット材である実施例2-1に係るマット材を作製した。
実施例2-1に係るマット材では、アルミナ繊維(無機繊維)の重量と、酸化チタン(赤外線反射材)の重量との比が、100:34.4であった。
酸化チタンの替わりに酸化ジルコニウム(平均粒子径:60μm、東ソー株式会社製「ジルコニア粉末 TZ-3Y-E」)、酸化亜鉛(平均粒子径:20μm、堺化学工業株式会社製「LPZINC-20」)及び炭化珪素(平均粒子径:24μm、屋久島電工株式会社製「YB-600M」)を用い、アルミナ繊維(無機繊維)の重量と、赤外線反射材又は赤外線吸収材の重量との比を表2に示す比にした以外は、実施例2-1と同様に実施例2-2~実施例2-4に係るマット材を製造した。
図7(a)~図7(d)は、それぞれ、実施例2-1~2-4に係るマット材の無機繊維のSEM画像である。
実施例1-1~1-4及び比較例1-1~1-2に係る厚さ7mmのマット材から試験片を切り出した。
次に、断熱ブロックの上にスペーサーが配置され、スペーサーの上に熱盤が配置された熱盤試験機を準備した。
次に、熱盤試験機の熱盤の上に、試験片及び厚さ1.5mmのSUS板を順に重ねた。
次に、熱盤を200℃、400℃、600℃及び800℃に加熱し、熱盤の温度が各温度に到達してから40分経過後のSUS板の表面の温度を測定し、SUS板表面温度とした。
結果を表3に示す。
結果を表4に示す。
実施例1-1に係るマット材及び比較例1-1に係るマット材を熱間面圧測定装置上部板と下部板との間に配置し、マット材の空隙かさ密度(GBD)が0.30g/cm3となるように圧縮する圧縮工程を行い、上記圧縮工程の後、圧縮した状態で45℃/minの昇温速度でマット材を上部板900℃-下部板650℃まで加熱し、温度を上部板900℃-下部板650℃に保ったまま、マット材の空隙かさ密度(GBD)が0.27g/cm3となるように解放する解放工程を行い、上記解放工程の後、マット材の空隙かさ密度(GBD)が0.30g/cm3となるように再圧縮し、その後、マット材の空隙かさ密度(GBD)が0.27g/cm3となるように再解放し、上記再圧縮及び上記再解放を合計1000回繰り返すサイクル工程を行い、上記サイクル工程の最後の再解放時の荷重を測定し、上記荷重を各マット材の面積で除算することにより1000サイクル後の面圧(kPa)を測定した。結果を表5に示す。
すなわち、本発明のマット材は、高温下でマット材の圧縮開放が繰り返されたとしても、面圧が低下しにくいことが判明した。
そのため本発明のマット材を排ガス浄化装置やマット材付き排気管に適用した場合、排ガス浄化装置やマット材付き排気管は、車両の駆動時に振動に曝されることになるが、本発明のマット材面圧が低下しにくい。従って、排ガス処理体がケーシングから脱落したり、マット材自身がマット材付き排気管から脱落することを防ぐことができる。
平均粒子径が、0.7μm、2.8μm及び8.0μmの酸化チタンの25℃、300℃、500℃及び800℃における熱伝導率(W/m・K)を熱線法により測定した。
結果を表6に示す。
これは、酸化チタンの赤外線反射率が高いので、固体伝導が高くならなかったことが原因と考えられる。
そのため、赤外線反射材としては、粒子径が1~10μmの酸化チタンを用いることが望ましいことが判明した。
11 一方の端部
11a 凸部
12 もう一方の端部
12a 凹部
15 試験片
20 熱盤試験機
21 断熱ブロック
22 スペーサー
23 熱盤
30 SUS板
40 排ガス処理体
41 セル
42 セル壁
43 封止材
50 金属ケーシング
60 排気管
70 金属カバー
100 排ガス浄化装置
200 マット材付き排気管
Claims (10)
- 無機繊維からなるマット材であって、
粒子径が1~100μmの赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材を含み、
前記マット材は抄造マットであり、
前記赤外線反射材及び/又は赤外線吸収材は、前記マット材を構成する前記無機繊維全体に付着していることを特徴とするマット材。 - 下記断熱性能測定試験において、熱盤温度が800℃であるときの、SUS表面温度が294~327℃である請求項1に記載のマット材。
断熱性能測定試験:
厚さ7mmのマット材から試験片を切り出し、
断熱ブロックの上にスペーサーが配置され、スペーサーの上に熱盤が配置された熱盤試験機を準備し、
熱盤試験機の熱盤の上に、試験片及び厚さ1.5mmのSUS板を順に重ね、
熱盤を所定の温度にまで加熱し、
熱盤の温度が所定の温度に到達してから40分経過後のSUS板の表面の温度を測定し、SUS板表面温度とする。 - 前記赤外線反射材は、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムからなる群からなる少なくとも1種からなる請求項1又は2に記載のマット材。
- 前記赤外線吸収材は、炭化珪素からなる請求項1~3のいずれかに記載のマット材。
- 前記無機繊維の重量と、前記赤外線反射材及び前記赤外線吸収材の合計重量との割合は、無機繊維の重量:赤外線反射材及び赤外線吸収材の合計重量=100:0.5~100:200である請求項1~4のいずれかに記載のマット材。
- 前記マット材は、さらに粒子径が1μm未満の無機粒子を含む請求項1~5のいずれかに記載のマット材。
- 前記マット材は、さらに有機バインダを含む請求項1~6のいずれかに記載のマット材。
- 前記マット材は、立体成形品である請求項1~7のいずれかに掲載のマット材。
- 排ガス処理体と、
前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、
前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配置され、前記排ガス処理体を保持するマット材とを備える排ガス浄化装置であって、
前記マット材は、請求項1~8のいずれかに記載のマット材であることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 排気管と、
前記排気管を覆うように配置されたマット材と、
前記マット材の外側に配置された金属カバーとを備えるマット材付き排気管であって、
前記マット材は、請求項1~8のいずれかに記載のマット材であることを特徴とするマット材付き排気管。
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