(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施形態には複数の特徴が記載されているが、その全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図2は、実施形態に係る撮像装置1000の機能構成例を示すブロック図である。撮像装置1000は例えばデジタルカメラであってよい。しかし、本発明は撮像機能を有する任意の電子機器に対して適用可能である。このような電子機器には、ビデオカメラ、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、PDAなど)、携帯電話機、スマートフォン、ゲーム機、ロボット、ドローン、ドライブレコーダが含まれる。これらは例示であり、本発明は他の電子機器にも適用可能である。
撮影レンズ8は、撮影光学系であり、被写体の光学像を撮像素子1の撮像面に形成する。撮影レンズ8は着脱可能であっても固定式であってもよい。撮影レンズ8にはフォーカスレンズや絞りなどの可動部材が含まれている。可動部材は、レンズ駆動回路7が有するモータ、アクチュエータなどによって駆動される。可動部材の駆動は制御部3が制御する。
撮像素子1は、2次元配列された複数の画素を有し、撮影レンズ8が形成する光学像をデジタル画像データ(RAW画像データ)に変換して出力する。撮像素子1の構成および動作の例については後述する。
信号処理回路2は、撮像素子1から出力されるRAW画像データに対して予め定められた画像処理を適用し、表示用および/または記録用の画像データを生成したり、各種の情報を取得および/または生成したりする。画像処理回路2は例えば特定の機能を実現するように設計されたASICのような専用のハードウェア回路であってもよいし、DSPのようなプログラマブルプロセッサーがソフトウェアを実行することで特定の機能を実現する構成であってもよい。
ここで、画像処理回路2が適用する画像処理には、前処理、色補間処理、補正処理、検出処理、データ加工処理、評価値算出処理などが含まれる。前処理には、信号増幅、基準レベル調整、欠陥画素補正などが含まれる。色補間処理は、画素から読み出した画像データに含まれていない色成分の値を補間する処理であり、デモザイク処理とも呼ばれる。補正処理には、ホワイトバランス調整、画像の輝度を補正する処理、撮影レンズ8の光学収差を補正する処理、色を補正する処理などが含まれる。
検出処理には、特徴領域(たとえば顔領域や人体領域)の検出および追尾処理、人物の認識処理などが含まれる。データ加工処理には、スケーリング処理、符号化および復号処理、ヘッダ情報生成処理などが含まれる。評価値算出処理は、位相差AF用の1対の像信号やコントラストAF用の評価値の生成や、自動露出制御に用いる評価値の算出処理などである。なお、これらは画像処理回路2が実施可能な画像処理の例示であり、画像処理回路2が実施する画像処理を限定するものではない。
制御部3は、例えばCPUのような、プログラムを実行可能なプロセッサである。制御部3は、メモリ17が有するROMに記憶されたプログラムをメモリ17が有するRAMに読み込んで実行し、撮像装置1000の各部の動作を制御する。例えば、制御部3は、撮像素子1の駆動モードを決定し、撮像素子1の動作を制御する制御信号を生成して撮像素子1に供給する。駆動モードは例えば焦点検出モードおよび撮像モードを含む。駆動モードは、画像データもしくは画像データから得られる情報もしくは信号に基づいて制御部3が決定してもよいし、指示部4からの指示に従って決定されてもよい。
制御部3はまた、画像処理回路2が生成する像信号を用いて、公知の位相差AF技術によってデフォーカス量を求める。そして制御部3は、デフォーカス量に応じてフォーカスレンズを駆動するために、レンズ駆動回路7の制御信号を生成する。制御部3はまた、画像処理回路2が生成する評価値に基づいて自動露出制御を行い、露出条件(例えば絞り値、シャッタースピード、および撮影感度)を決定する。
指示部4は、撮像装置1000に設けられた複数の入力デバイスの総称である。指示部4にはシャッターボタン、駆動モード選択ダイヤル、方向キー、決定ボタン、メニューボタンなどが含まれる。指示部4の操作は制御部3が検出し、制御部3は検出した操作に応じた動作を実行する。
表示部5は、例えば液晶ディスプレイであり、画像処理回路2が生成する表示用画像データや、撮像装置1000の状態や設定値を示す情報、メニュー画面などのGUIなどを表示する。
記録部6は、制御部3の制御に従って、記録媒体にデータを記録したり記録媒体に記録されたデータを読み出したりする。記録媒体はメモリカードのように撮像装置1000から取り外し可能であってもよいし、取り外し不能であってもよい。
図3は、撮像素子1の機能構成例を示すブロック図である。画素部(画素アレイ)10には、SPADから構成される単位画素100が2次元的に複数配列されている。本実施形態において単位画素100は受光素子としてAPDを用い、デジタル値(計数値)を出力可能な構成を有する。単位画素100の構成および動作の詳細に関しては後述する。
電源部20は、画素部10の単位画素100に対して動作電圧を供給する。電源部20の構成および動作の詳細についても後述する。
制御信号生成部30は、撮像素子1の電荷蓄積、読み出し、リセットといった動作を実現するための制御信号を生成し、撮像素子1の各部に供給する。制御信号生成部30は例えば制御部3から指定された駆動モードに応じた制御信号を生成することができる。
制御信号生成部30は電源部20とともに、単位画素100に対する電圧制御手段を構成する。
加算部40は、画素部10から読み出された計数値OUT1およびOUT2に基づく画像データOUT3を出力する。加算部40は、制御信号生成部30からの加算指示信号PADDに応じて、計数値OUT1およびOUT2を単位画素100ごとに加算して出力するか、加算せずそのまま出力する。なお、ここでは加算部40を撮像素子1に設けているが、撮像素子1から計数値OUT1およびOUT2と加算指示信号PADDとを出力し、撮像素子1とは別のブロック(例えば信号処理回路2)に加算部40と同様の加算回路を設けてもよい。
図4は、撮像素子1の構成を、SPADから構成される1つの単位画素100と電源部20の構成に着目して記載したブロック図である。
単位画素100は、受光素子、第1および第2のクエンチ回路QC1およびQC2、第1および第2のパルス整形部INV1およびINV2、ならびに第1および第2の計数部CNT1およびCNT2を有する。
受光素子は、受光領域を共有する互いに絶縁された複数のAPDから構成される。ここでは一例として2つのAPDを有するものとする。受光素子の構成の詳細については後述する。
第1のAPDの第1のカソード端子は、第1の検出ノードPN1を介して第1のクエンチ回路QC1に接続される。また、第2のAPDの第2のカソード端子は、第2の検出ノードPN2を介して第2のクエンチ回路QC2に接続される。第1および第2のカソード端子には、それぞれ電源部20から、たとえば3V程度の正電圧が供給される。
また、第1および第2のAPDのアノード端子には、第1および第2のカソード端子の両方との間にブレークダウン電圧を超える逆バイアス電圧が印加されるよう、電源部20から負電圧(たとえば-20V)が供給される。電源部20の構成は後述する。
ブレークダウン電圧を超える逆バイアス電圧が与えられることにより、個々のAPDがガイガーモードで動作し、受光領域に入射した単一光子によって生じる電子を、アノード-カソード間の高電界領域においてアバランシェ増倍させることができる。
アバランシェ増倍に伴う電流によって、カソード端子の電圧は-20Vの負電圧まで下降するが、電流はクエンチ回路により所定の時定数をもって打ち消され、電流が流れなくなると3V付近の正電圧に戻る。この電圧の変動をパルス状の光子検出信号に整形するため、検出ノードごとにパルス整形部INVが設けられる。
第1のパルス整形部INV1は第1の検出ノードPN1に接続され、第1のカソード端子の電圧V1の波形をパルス状の光子検出信号P1に整形する。第2のパルス整形部INV2は第2の検出ノードPN2に接続され、第2のカソード端子の電圧V2の波形をパルス状の光子検出信号P2に整形する。パルス整形部INV1、INV2はそれぞれ、接続された検出ノードの電圧が、閾値電圧Vthを下回っている間はハイレベルを出力し、閾値電圧Vth以上である間はローレベルを出力する。
光子検出信号のパルス幅は、クエンチ回路の時定数と、電圧Vthとの関係により決定される。SPADでは、アバランシェ増倍の発生から数マイクロ秒以内に、再びアバランシェ増倍が発生して偽信号であるアフターパルスが発生する課題がある。アフターパルスの影響を抑制するため、単一光子あたり発生する光子検出信号のパルス幅がアフターパルス発生確率の高い時間を包含するように電圧Vthを決定する。
第1の計数部CNT1は、第1のパルス整形部INV1に接続され、カウントイネーブル信号がハイレベルの間に第1のパルス整形部INV1からハイレベルが出力された回数をカウントする。第2の計数部CNT2は、第2のパルス整形部INV2に接続され、カウントイネーブル信号がハイレベルの間に第2のパルス整形部INV2からハイレベルが出力された回数をカウントする。第1の計数部CNT1でカウントされた計数値OUT1と、第2の計数部CNT2でカウントされた計数値OUT2は、単位画素100ごとに順次、加算部40に入力される。
電源部20は単位画素100に対し、APDをガイガーモードで動作させるための電圧を供給する。電源部20は、電圧変動部200を有する。電圧変動部200は、モード切り替え信号PSELENおよび電圧切り替え信号PVSELに応じて、単位画素100へ供給する正電圧を変動させる。また、電源部20は、単位画素100が有するAPDのアノード端子にAPDをガイガーモードで動作させるための第2の極性の電圧(例えば-20V)を供給する。
図5は、電圧変動部200の構成例を示すブロック図である。電圧変動部200は、第1~第3のセレクタSEL1~SEL3を有する。
第1のセレクタSEL1および第2のセレクタSEL2のそれぞれには、第1の極性で大きさの異なる電圧(第1の正電圧VDD1および第2の正電圧VDD2)が入力される。ここで、第2の正電圧VDD2は第1の正電圧VDD1より高い。
第1のセレクタSEL1は、電圧切り替え信号PVSELに応じて第1の正電圧VDD1および第2の正電圧VDD2の一方を出力する。第1のセレクタSEL1が出力する正電圧は、第1のクエンチ回路QC1を介して第1の検出ノードPN1へ供給される。
また、第2のセレクタSEL2は、第3のセレクタSEL3の出力信号に応じて第1の正電圧VDD1および第2の正電圧VDD2の一方を出力する。第2のセレクタSEL2が出力する正電圧は、第2のクエンチ回路QC2を介して第2の検出ノードPN2へ供給される。
第3のセレクタSEL3は、制御部3から供給されるモード切り替え信号PSELENに応じて、電圧切り替え信号PVSELおよびPVSELの反転信号の一方を出力する。
このような構成により、電圧変動部200は、モード切り替え信号PSELENがローレベルであれば第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに第1の極性(ここでは正極性)を有する同じ大きさの電圧を供給する。また、電圧変動部200は、モード切り替え信号PSELENがハイレベルであれば第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに第1の極性を有し大きさの異なる電圧を供給する。
なお、第1の検出ノードPN1は後述する第1導電型領域104に、第2の検出ノードPN2は後述する第1導電型領域105にそれぞれ接続され、第1導電型領域104、105は、それぞれAPDのカソード端子として機能する。したがって、第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに異なる正電圧を供給することは、第1導電型領域104、105に異なる正電圧を供給すること、受光素子に設けられた複数のAPDのカソード端子に異なる正電圧を供給することに相当する。
このように、本実施形態の撮像素子1は、単位画素100が有する2つのAPDに供給する第1の極性の電圧について、同じ大きさの電圧を供給するモードと、大きさの異なる電圧を供給するモードとを有する。そして、モード切り替え信号PSELENによって、モードを切り替え可能に構成されている。
図6は、受光素子の構成例を模式的に示す図である。図6は、撮像素子1の受光面(撮像面)に対して直交する方向におけるAPDの断面図である。
マイクロレンズ(ML)101は、単位画素100ごとに1つずつ設けられる集光部材である。ML101は例えば、光軸に平行な入射光が、受光素子が有する複数のAPDのカソード端子として機能する第1導電型領域104および105の中間に集光される形状を有する。
第1導電型(ここではN型)エピタキシャル層102は、複数のAPDが共有する受光領域の一部として機能する。第2導電型(ここではP型)領域103は、第1導電型領域104、105との間で形成されるPN接合フォトダイオードのアノード端子として機能する。第2導電型領域103には、電源部20から不図示のコンタクト電極を介して大きな負電圧(たとえばここでは-20V)が与えられる。また、第2導電型領域103は、ガードリング106を介して第1導電型領域104、105の一方の領域下でアバランシェ増倍が発生した際に、電位変化が他方に伝達されないよう、第1導電型領域104、105間を絶縁する。
第1導電型領域104は、第2導電型領域103との間で形成されるAPDの第1のカソード端子として機能する。第1導電型領域104には、電源部20から、第1の検出ノードPN1に接続されたクエンチ回路QC1を介して、正電圧(たとえばここでは3V前後)が与えられる。また、第1導電型領域104は、受光領域への光子入射で生じた電子をドリフトで収集し、第2導電型領域103との距離が最も近く、高電界のかかる領域E1でアバランシェ増倍を起こさせる。
第1導電型領域105は第1導電型領域104とは電気的に独立に設けられ、第2導電型領域103との間で形成されるAPDの第2のカソード端子として機能する。第1導電型領域105には、電源部20から、第2の検出ノードPN2に接続されたクエンチ回路QC2を介して、正電圧(たとえばここでは3V前後)が与えられ、第2導電型領域103と間に高電界領域E2を形成する。
上述したように、本実施形態では電圧変動部200を通じて第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2、第1導電型領域105と第1導電型領域104、または複数のAPDのカソード端子に異なる正電圧を供給することができる。
ガードリング106は低濃度の第1導電型領域から構成され、第1導電型領域104、105と第2導電型領域103との間の電界を緩和してエッジブレークダウンを防止する。
図6においてF、G、Hで示す位置の水平断面図を図7(a)~図7(c)にそれぞれ示す。なお、図7(a)~図7(c)にIで示す位置の垂直断面図が図6に相当する。
図6の位置Fにおける水平断面(図7(a))において、第2導電型領域103は、単位画素100の受光領域の外周と、第1導電型領域104と105との間に設けられる。第2導電型領域103は、外周によって受光領域を規定するとともに、2つの第1導電型領域104および105を絶縁する。また、第1導電型領域104および105と第2導電型領域103との間には、第1導電型領域103との間の電界を緩和するために、第1導電型領域104および105より低濃度の第1導電型領域から構成されるガードリング106が設けられている。
図6の位置Gにおける水平断面(図7(b))において、第2導電型領域103は、単位画素100の受光領域の外周と、図7(a)に示したガードリング106のうち、第1導電型領域104と105の間の部分の下に設けられる領域701を有する。第2導電型領域103の領域701は、第1導電型領域104、105との間に高電界領域E1、E2を生じさせる。
図6の位置Hにおける水平断面(図7(c))には、単位画素の受光領域の外周に設けられた第2導電型領域103と、受光領域を形成する第1導電型エピタキシャル層102が存在する。図6に示すように、第1導電型エピタキシャル層102には、第1導電型領域104の下部と、第1導電型領域105の下部との中間を絶縁する第2導電型領域103が設けられていない。そのため、第1導電型エピタキシャル層102で発生した電子は、電位勾配に応じて高電界領域E1、E2のどちらへもドリフト可能である。
本実施形態では、受光素子が有する複数のAPDのカソード端子(第1導電型領域104、105)へ供給する電圧を制御して、受光素子の受光領域で発生した電子のドリフト方向を制御し、高電界領域E1、E2に電子を振り分ける。つまり、各APDに入力する光子の頻度を制御する。
なお、図6および図7に示した例では、単位画素に設けるAPDの数は2であったが、より多くのAPDを設けてもよい。図8は、単位画素に設けるAPDの数を4とした場合のAPDの構成例を示す図である。図8(a)~図8(c)は、図6における位置F,G,Hにおける水平断面図に相当する。また、図8(a)~図8(c)に示した位置Jにおける垂直断面の構成は、図6と同様になる。図8において、図6および図7と同じ構成については同じ参照数字を付してある。
図8の構成においても、ガードリング106のうち、APDのカソード端子として機能する複数の第1導電型領域104、105間に設けられた部分の下に、第2導電型領域103の領域701が設けられる。領域701により、APDのカソード端子として機能する複数の第1導電型領域104、105との間に4つの高電界領域を生じさせている。
次に、図1および図9に示すタイミングチャートを参照して、本実施形態における撮像素子1の動作について説明する。図1および図9のタイミングチャートに示す制御信号は、制御部3が指定する撮影モードに従って制御信号生成部30が生成する。
図1は、第1のモードで1フレーム分の撮影を行う際の撮像素子1の動作に関するタイミングチャートである。第1のモードは、例えば表示用または記録用の画像信号を取得するための撮影モードである。
第1のモードでは、1フレームの撮影期間のうち、少なくとも、光子の検出を有効にする期間(光子検出期間と呼ぶ)は、電圧変動部200から第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに異なる正電圧を供給する。
また、少なくとも光子検出期間は、制御信号生成部30から電源部20に与える電圧切り替え信号PVSELを、周期的にハイレベルとローレベルとに遷移させる。電圧切り替え信号PVSELがハイレベルの間、第1の検出ノードPN1には電圧変動部200から第1の正電圧VDD1に基づく第1の正電圧VDDMが供給される。
また、第2の検出ノードPN2には電圧変動部200から第2の正電圧VDD2に基づいて、第1の正電圧VDDMより高い第2の正電圧VDDHが供給される。このように、電圧変動部200は、第1の検出ノードPN1およびPN2に供給する正電圧を、経時的に第1の電圧と第2の電圧との間で変化させる。
一方、電圧切り替え信号PVSELがローレベルの間、電圧変動部200から第1の検出ノードPN1には第2の正電圧VDDHが、第2の検出ノードPN2には第1の正電圧VDDMが供給される。このように、電圧切り替え信号PVSELのレベルを切り替えることにより、第1および第2の検出ノードPN1およびPN2に対して、第1の正電圧VDDMと第2の正電圧VDDHとを交互に、かつ排他的に供給する。
受光領域で発生した電子は、第1の正電圧VDDMよりも高い第2の正電圧VDDHが供給される検出ノードに接続された第1導電型領域の方向にドリフトしやすくなる。したがって、第2の正電圧VDDHを供給する検出ノードを切り替えることで、受光領域で発生した電子がドリフトしやすくなる方向を制御することができる。その結果、光子検出期間において、アバランシェ増倍が発生しやすいタイミングを高電界領域E1,E2それぞれで異ならせることができる。これは、受光素子に設けられた複数のAPDに入射する光子の頻度を調整することと同義である。
信号PVSELのレベルが切り替わる周期は、単一光子に起因するアバランシェ増倍による電流が、クエンチ回路で打ち消されるまでの期間に関連して決定することができる。たとえばここでは、半周期を単一光子の入射に対応してパルス整形部INVよりハイレベルが出力される期間ΔTと等しい長さとし、この間、一方の検出ノードに他方の検出ノードより低い電圧を供給するようにしている。
つまり、あるパルス整形部からハイレベルが出力されている間は、同じ単位画素100内の別のパルス整形部に接続されたAPDの高電界領域で、次のアバランシェ増倍が発生する確率を高くする。
また、ある半周期に第2の正電圧VDDHが供給されてアバランシェ増倍が発生したAPDのカソード端子電圧が電圧Vth以上に戻る前に、同一SPAD内の別のAPDのカソード端子に電圧Vthより高い第2の正電圧VDDHが印加されるよう切り替わる。
したがって、アバランシェ増倍が発生したAPDに接続されたパルス整形部が出力する光子検出信号がローレベルに反転するタイミング付近であっても、受光領域で発生した電子がアバランシェ増倍の発生していないAPD側へドリフトしやすくなる。これにより、発生タイミングが近い2つの電子に対する2つの光子検出信号(電圧パルス)が結合することを効果的に抑制できる。
第1のモードが指定されると、制御信号生成部30は、光子検出期間の開始前に、モード切り替え信号PSELENをハイレベルとし、電圧変動部200を第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに異なる正電圧を供給可能な状態に設定する。また、制御信号生成部30は、第1および第2の計数部CNT1およびCNT2の計数値を0にリセットしておく。
時刻t1に、制御信号生成部30は、カウントイネーブル信号PCNTをハイレベルとする。これにより、第1および第2の計数部CNT1、CNT2での光子検出信号の計数が有効となり、光子検出期間が開始する。
時刻t2に、受光領域に入射した光子によって電子が発生したものとする。この電子は第2の正電圧VDDHが供給されている第1導電型領域105の方向にドリフトしやすい。ここでは、電子が第1導電型領域105の方向にドリフトし、高電界領域E2でアバランシェ増倍を発生させたものとする。アバランシェ増倍による電流の発生に応じて、第2のパルス整形部INV2の出力する光子検出信号P2がΔTの期間ハイレベルになる。これにより、第2の計数部CNT2の計数値が1増加する。
アバランシェ増倍によって発生した電流はクエンチ回路CQ2により打ち消され、時刻t2からΔT後の時刻t3に、第2の検出ノードの電圧が電圧Vthを上回ることで、第2のパルス整形部INV2が出力する光子検出信号P2がローレベルに戻る。
その後、時刻t4に2つ目の光子が入射する。時刻t4では第1導電型領域104側に第2の正電圧VDDHが供給されているため、発生した電子は高電界領域E1においてアバランシェ増倍を発生させる。アバランシェ増倍による電流の発生に応じて、第1のパルス整形部INV1の出力する光子検出信号P1がΔTの期間ハイレベルになる。これにより、第1の計数部CNT1の計数値が1増加する。
以降も同様に、光子の入射に応じて発生した電子は、電子の発生した時点で第2の正電圧VDDHが供給されている第1導電型領域が形成する高電界領域に高い確率でドリフトし、アバランシェ増倍を発生させる。
時刻t5に、制御信号生成部30はカウントイネーブル信号PCNTをローレベルとし、第1および第2の計数部CNT1およびCNT2での光子検出信号の計数を無効にする。これにより、1フレームの撮影期間における光子検出期間が終了する。第1のモードでは、計数値を単位画素ごとに加算する必要がある。そのため、光子検出期間が終了するタイミングで、制御信号生成部30は加算指示信号PADDをハイレベルにし、加算器40による加算を有効にする。これにより、読み出し期間を開始できるようになる。
時刻t6に、単位画素からの計数値の読み出しを開始する。時刻t6からt9の間、制御信号生成部30は、画素部10に配置された複数(ここではM個とする)の単位画素を順次選択する制御信号を生成する。この制御信号は、撮像素子の読み出し時に用いられる一般的な水平選択信号と垂直選択信号であってよい。
選択された単位画素から、第1の計数部CNT1の計数値OUT1および第2の計数部CNT2の計数値OUT2を出力する。加算部40は、計数値OUT1およびOUT2を加算し、単位画素の画素データOUT3として出力する。
ここで、図1のタイミングチャートの光子検出期間の動作が、N番目の単位画素に関するものであったとする。
時刻t7に、N番目の単位画素の計数値OUT1およびOUT2が読み出されると、制御信号生成部30は時刻t8にN番目の単位画素の計数部CNT1、CNT2の計数値を0にリセットして、次のフレームの光子検出に備える。
時刻t9に、画素部10のうち最後となるM番目の単位画素の画素データOUT3が出力されると、1フレームの撮像動作が完了する。
このように、第1のモードでは、光子検出期間中に第1導電型領域104、105へ供給する正電圧の高低を交互に切り替えるようにする。これにより、光子の入射によって発生した電子がドリフトしやすい方向が周期的に変化するため、同じAPDで連続してアバランシェ増倍が発生することを抑制することができる。その結果、パルス整形部INVが出力する光子検出信号(電圧パルス)が結合することが抑制され、単位画素に高頻度で光子が入射する場合であっても、入射した光子の数を精度良く計数することが可能になる。
図9は、第2のモードで1フレーム分の撮影を行う際の撮像素子1の動作に関するタイミングチャートである。第2のモードは、焦点検出用の像信号を取得するための撮影モードである。
第2のモードでは、光子検出期間の間、第1および第2の検出ノードPN1およびPN2に同じ電圧を供給する。したがって、受光領域で発生した電子は、第1導電型領域104、105のうち、電子の発生位置に近い方にドリフトしやすくなる。受光素子に設けられた2つのAPDの第1導電型領域104、105は一つのML101を共有する。
そのため、第1導電型領域104をカソード端子とするAPDと、第1導電型領域105をカソード端子とするAPDとでは、撮影レンズ8の射出瞳のうち、互いに異なる部分領域(瞳A、瞳Bとする)を通過した光子を検出する。したがって、複数の単位画素について、第1の計数部CNT1の計数値OUT1を連結した像信号と、第2の計数部CNT2の計数値OUT2を連結した像信号とは、位相差AFに用いる1対の像信号に相当する。
第2のモードが指定されると、制御信号生成部30は、光子検出期間の開始前に、モード切り替え信号PSELENをローレベルとし、電圧変動部200を、第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに同じ正電圧を供給する状態に設定する。また、制御信号生成部30は電圧切り替え信号PVSELをローレベルに固定し、電圧変動部200を、第1および第2の検出ノードPN1およびPN2の両方に、第2の正電圧VDD2に基づく第2の正電圧VDDHを継続して供給する状態に設定する。また、制御信号生成部30は、第1および第2の計数部CNT1およびCNT2の計数値を0にリセットしておく。
時刻t11に、制御信号生成部30は、カウントイネーブル信号PCNTをハイレベルとする。これにより、第1および第2の計数部CNT1、CNT2での光子検出信号の計数が有効となり、光子検出期間が開始する。
時刻t12に、瞳Bを通過した光子が、第1導電型領域104、105の中心位置よりも第1導電型領域105寄りの受光領域に入射したものとする。この光子の入射によって発生した電子は、第1導電型領域104、105のうち、発生位置から距離の近い第1導電型領域105の方向にドリフトしやすい。ここでは、電子が第1導電型領域105の方向にドリフトし、高電界領域E2でアバランシェ増倍を発生させたものとする。アバランシェ増倍による電流の発生に応じて、第2のパルス整形部INV2の出力する光子検出信号P2がΔTの期間ハイレベルになる。これにより、第2の計数部CNT2の計数値が1増加する。
時刻t13に、瞳Aを通過した光子が、第1導電型領域104、105の中心位置よりも第1導電型領域104寄りの受光領域に入射したものとする。この光子の入射によって発生した電子は、第1導電型領域104、105のうち、発生位置から距離の近い第1導電型領域104の方向にドリフトしやすい。ここでは、電子が第1導電型領域104の方向にドリフトし、高電界領域E1でアバランシェ増倍を発生させたものとする。アバランシェ増倍による電流の発生に応じて、第1のパルス整形部INV1の出力する光子検出信号P1がΔTの期間ハイレベルになる。これにより、第1の計数部CNT1の計数値が1増加する。
以降も同様に、光子の入射によって発生した電子は、高確率で光子の入射位置から距離の近い側の高電界領域でアバランシェ増倍を発生させる。これにより、瞳Aを通過して入射した光子の数は第1の計数部CNT1で、瞳Bを通過して入射した光子の数は第2の計数部CNT2で、それぞれ計数される。
時刻t14に、制御信号生成部30はカウントイネーブル信号PCNTをローレベルとし、第1および第2の計数部CNT1およびCNT2での光子検出信号の計数を無効にする。これにより、1フレームの撮影期間における光子検出期間が終了する。第2のモードでは、計数部ごとに計数値を読み出すため、制御信号生成部30は加算指示信号PADDをローレベルのまま変更せず、加算器40による加算を無効にする。
時刻t15に、単位画素からの計数値の読み出しを開始する。時刻t15からt18の間、制御信号生成部30は、画素部10に配置されたM個の単位画素を順次選択する制御信号を生成する。
選択された単位画素から、第1の計数部CNT1の計数値OUT1および第2の計数部CNT2の計数値OUT2を出力する。加算部40は、計数値OUT1およびOUT2を加算せずに、別個の画素データOUT3として順次出力する。
ここで、図1のタイミングチャートの光子検出期間の動作が、N番目の単位画素に関するものであったとする。
時刻t16に、N番目の単位画素の計数値OUT1およびOUT2が読み出されると、制御信号生成部30は時刻t17にN番目の単位画素の計数部CNT1、CNT2の計数値を0にリセットして、次のフレームの光子検出に備える。
時刻t18に、画素部10のうち最後となるM番目の単位画素の計数値OUT1、OUT2が画素データOUT3として順次出力されると、1フレームの撮像動作が完了する。
このように、第2のモードでは、光子検出期間中に第1導電型領域104、105へ供給する正電圧を一定とする。これは、焦点検出用に取得する画像データについては表示用または記録用画像を生成するために取得する画像データほどは精度が要求されないからである。もちろん、焦点検出用の信号を取得する場合でも第1モードで撮影してもよいし、表示用もしくは記録用画像を生成するための画像データを取得する場合に第2モードで撮影してもよい。また、被写体の平均輝度や最高輝度が閾値以上であれば第1のモード、閾値未満であれば第2のモードを用いてもよい。
本実施形態の撮像素子1は、光子によって発生する電子のドリフト方向を制御する第1のモードと、制御しない第2のモードとを任意の条件に応じて選択的に利用可能であり、第1のモードと第2のモードの選択条件は特に制限されない。
図10は、本実施形態による撮像素子1の動作に関するフローチャートである。
S1で、制御信号生成部30は、制御部3から撮影指示が入力されているか否かを判定し、入力されていると判定されればS2に処理を進め、判定されなければS1を繰り返し実行する。
S2で、制御信号生成部30は、制御部3から指定された撮影モードが第1モードであるか否かを判定する。制御信号生成部30は、第1モードが指定されていると判定されればS31へ、判定されなければS32へ、処理を進める。
S31で制御信号生成部30は、第1モードにおける光子検出動作を開始する。この動作は、図1の時刻t1からt5における動作に相当する。
S41で制御信号生成部30は、当該フレームの光子検出期間が終了したか否か判定し、光子検出期間が終了したと判定されればS51へ処理を進め、判定されなければ処理をS31へ戻して光子検出動作を継続する。光子検出期間は例えば制御部3から設定された露出時間が経過すると終了する。
S51で制御信号生成部30は、第1モードにおける読み出し動作を実行する。この動作は、図1の時刻t6からt9における動作に相当する。読み出し動作が終了すると、制御信号生成部30は処理をS6へ進める。
S32で制御信号生成部30は、第2モードにおける光子検出動作を開始する。この動作は、図9の時刻t11からt14における動作に相当する。
S42で制御信号生成部30は、当該フレームの光子検出期間が終了したか否か判定し、光子検出期間が終了したと判定されればS52へ処理を進め、判定されなければ処理をS32へ戻して光子検出動作を継続する。光子検出期間は例えば制御部3から設定された露出時間が経過すると終了する。
S52で制御信号生成部30は、第2モードにおける読み出し動作を実行する。この動作は、図9の時刻t15からt18における動作に相当する。読み出し動作が終了すると、制御信号生成部30は処理をS6へ進める。
S6で制御信号生成部30は、制御部3から撮影継続が指示されているか否かを判定し、指示されていると判定されれば処理をS2に戻し、判定されなければ撮影動作を終了する。
以上説明したように、本実施形態では、各単位画素の受光素子が複数のAPDを有する撮像素子を用いる撮像装置において、単位画素内の各APDに異なる大きさの電圧を供給できるようにした。APDに供給する電圧を異ならせることにより、単位画素に入射した光子のドリフト方向を制御することができ、結果としてアバランシェ増倍が発生するAPDを制御することができる。そのため、同一APDでアバランシェ増倍が連続的に発生することを抑制でき、単位画素に高頻度で光子が入射した場合の光子の計数精度の低下を抑制できる。
(変形例)
図11、図12を参照し、第1の実施形態の変形例について説明する。本変形例は、電圧変動部200を図11に示す電圧変動部200aとしたものである。
電圧変動部200aは、第1の抵抗R1と第1の容量C1からなる第1のRC回路と、第2の抵抗R2と第2の容量C2からなる第2のRC回路と、電圧変動部200aの動作モードを切り替えるセレクタSEL3とを有する。
第1の抵抗R1の一端には正電圧VDDが入力される。第1の抵抗R1の他端には、第1の容量C1を介してオフセット電圧VOFSTが入力される。正電圧VDDおよびオフセット電圧VOFSTの変化に応じて、第1のRC回路により所定の時定数で変動した電圧が、第1のクエンチ回路QC1を介して第1の検出ノードPN1に供給される。
また、第2の抵抗R2もその一端に正電圧VDDが入力される。第2の抵抗R2の他端には第2の容量C2を介してセレクタSEL3からの出力電圧が入力される。正電圧VDDおよびセレクタSEL3からの出力電圧の変化に応じて、第2のRC回路により所定の時定数で変動した電圧が、第2のクエンチ回路QC2を介して第2の検出ノードPN2に供給される。
第3のセレクタSEL3には、オフセット電圧VOFSTおよびオフセット電圧VOFSTと逆相の電圧が制御信号生成部30から入力される。第3のセレクタSEL3は、入力される2つの電圧のうち、モード切り替え信号PSELENに応じた一方を出力する。
本変形例では、VDD1、VDD2という2つの電源を用意する代わりに、1つの電源VDDと2つのCR回路とを用いて第1の正電圧VDDMと第2の正電圧VDDHとを生成する。撮像素子1のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
図12(a)は、本変形例に係る撮像素子1の、第1のモードの撮影動作に関するタイミングチャートである。なお、便宜上オフセット電圧VOFSTのみを示している。
本変形例の第1のモードでは、1フレームの撮影動作のうち少なくとも時刻t21からt22の光子検出期間において、一定周期でハイレベルとローレベルとが切り替わるオフセット電圧VOFSTを電圧変動部200aに供給する。これにより、光子検出期間中に第1導電型領域104、105へ供給する正電圧の高低を交互に切り替える。
なお、図12(b)に示すように、ハイレベルとローレベルとが緩やかに遷移するオフセット電圧VOFST(および逆相の電圧)を電圧変動部200aに供給してもよい。これにより、スイッチングノイズを抑制することができる。図12(b)は正弦波状に電圧が変化する例を示したが、他の遷移形状としてもよい。
本変形例においても、第1の実施形態における第1のモードと同様に、光子の入射によって発生した電子のドリフト方向を制御することができる。
●(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、単位画素の受光素子に含まれる複数のAPDに対して供給する電圧の値を周期的に入れ替える構成であった。これに対し本実施形態は、あるAPDでアバランシェ増倍が発生したことに応じて他のAPDに供給する電圧を高めるように電圧供給を制御する。
図13は、第2の実施形態に係る撮像素子1の構成を、1つの単位画素100bと電源部20bの構成に着目して記載したブロック図である。第1実施形態と同様の構成については同じ名称を用い、説明を省略する。
図4との比較から分かるように、本実施形態では単位画素100bごとに電圧変動部200bを有し、電源部20bは電圧変動部を有していない。電圧変動部200bは、第1のパルス整形部INV1から出力される光子検出信号P1を電圧切り替え信号PVSELとして利用する。
電源部20bは、第1の正電圧VDD1および第2の正電圧VDD2を、画素部10に設けられたそれぞれの単位画素100bが有する電圧変動部200に供給する。単位画素ごとに電圧変動部200bを設けることで、単位画素が有する複数のAPDに供給する電圧を、単位画素ごとに独立して制御可能になる。
なお、電圧変動部200bは、初期状態において、電圧切り替え信号PVSELとして用いる光子検出信号を出力するパルス整形部INVが接続されたAPDに第2の正電圧VDDHを供給し、他のAPDには第1の正電圧VDDMを供給するように構成される。その後、高い電圧を供給しているAPDでアバランシェ増倍が発生すると、光子検出信号のレベルが変化し、電圧変動部200bは第2の正電圧VDDHを供給するAPDを切り替える。
このようにして、単位画素ごとに、第1の検出ノードPN1でのアバランシェ増倍が発生している期間中、第2の検出ノードPN2に第2の正電圧VDDHが供給されるよう駆動することが可能となる。
図14は、第1のモードで1フレーム分の撮影を行う際の撮像素子1の動作に関するタイミングチャートである。
本実施形態においても、第1のモードでは、1フレームの撮影期間のうち、少なくとも、光子検出期間については電圧変動部200bから第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに異なる正電圧を供給する。以下、図1に示した第1の実施形態における第1モードの動作と異なる部分について説明する。
本実施形態では第1および第2のパルス整形部INV1およびINV2のうち、第1のパルス整形部INV1の出力する光子検出信号P1を、電圧変動部200bが電圧切り替え信号PVSELとして利用する。したがって、第1の光子検出信号P1がローレベルの間、電圧変動部200bは第1の検出ノードPN1に第2の正電圧VDDHを、第2の検出ノードPN2に第1の正電圧VDDMを供給する。そのため、デフォルト状態では光子の入射によって発生した電子は、第1導電型領域104の方向へ高確率でドリフトするように制御される。
時刻t31に、制御信号生成部30は、カウントイネーブル信号PCNTをハイレベルとする。これにより、第1および第2の計数部CNT1、CNT2での光子検出信号の計数が有効となり、光子検出期間が開始する。
時刻t32に、SPADの受光領域に入射した光子によって電子が発生したものとする。この電子は第2の正電圧VDDHが供給されている第1導電型領域104の方向にドリフトしやすい。ここでは、電子が第1導電型領域104の方向にドリフトし、高電界領域E1でアバランシェ増倍を発生させたものとする。アバランシェ増倍による電流の発生に応じて、第1のパルス整形部INV1の出力する光子検出信号P1がΔTの期間ハイレベルになる。これにより、第1の計数部CNT1の計数値が1増加する。
また、電圧変動部200bは、光子検出信号P1(電圧切り替え信号PVSEL)がハイレベルに遷移したことにより、第1および第2の検出ノードPN1およびPN2に供給する電圧を切り替える。これにより、第1の検出ノードに第1の正電圧VDDMが、第2の検出ノードPN2に第2の正電圧VDDHが供給されるようになる。
光子検出信号P1は期間ΔT後にローレベルに戻るため、電圧変動部200bは再び第1および第2の検出ノードPN1およびPN2に供給する電圧を切り替える。これにより、第1の検出ノードに第2の正電圧VDDHが、第2の検出ノードPN2に第1の正電圧VDDMが供給されるようになる。
その後、時刻t33およびt34において光子が入射した場合も、電圧変動部200bは同様の動作を実行する。
時刻t35で光子が入射し、第1導電型領域104側の高電界領域E1でアバランシェ増倍を発生させる。そして、第1の検出ノードPN1の電圧が閾値Vth以上に復帰する(光子検出信号P1がローレベルに戻る)前の時刻t36に光子が入射している。
この時点において第2の正電圧VDDHは第2の検出ノードPN2に供給されているため、発生した電子は第1導電型領域105側の高電界領域E2においてアバランシェ増倍を発生させる。これにより、第2のパルス整形部INV2が出力する光子検出信号P2がハイレベルになり、第2の計数部CNT2の計数値が1増加する。
その後時刻t38で光子が入射した時点では第2の正電圧VDDHは第1の検出ノードPN1に供給されているため、発生した電子は第1導電型領域104側の高電界領域E1においてアバランシェ増倍を発生させている。
時刻t39以降は第1の実施形態の時刻t5以降と同様であるため、説明を省略する。
なお、本実施形態の構成において第2のモードの動作を実施する場合、モード切り替え信号PSELENをローレベルに固定して、電圧変動部200bから第1の検出ノードPN1と第2の検出ノードPN2とに同じ電圧を供給する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の電圧制御を単位画素ごとに実行するため、第1の実施形態よりも各画素の計数値の精度を高めることができる。
●(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。単位画素ごとにマイクロレンズ(ML)101を設ける構成では、単位画素の像高や、ML101の光軸と複数のAPD(第1導電型領域104、105)との位置関係に起因して、アバランシェ増倍が同一APDで連続的に発生しやすくなることがある。
具体的には、単位画素の受光領域上における、撮影レンズ8の射出瞳の投影像が円形でない場合や、投影像の中心がML101の光軸と受光領域との交点からずれている場合、複数のAPDでアバランシェ増倍が発生する確率に偏りが生じる。特に、像高の大きな位置に配置された単位画素では偏りが大きくなりやすい。
本実施形態は、単位画素に設けられた複数のAPDに印加する電圧を異ならせることにより、このような物理的な要因による光電子の発生位置の偏りを抑制し、アバランシェ増倍が同一APDで連続的に発生することを抑制する。
図15(a)は、マイクロレンズの光軸と単位画素の中心位置とがずれている場合を模式的に示す図である。図15(a)において、上部は単位画素の垂直断面図、点線で囲った部分は受光領域の上面図をそれぞれ模式的に示している。
撮影レンズ8の射出瞳を通過した光束1501は、マイクロレンズ(ML)101を通して単位画素の受光領域に射出瞳の投影像1502を形成する。ここでは便宜上、第1導電型領域104とその周囲のガードリング106に相当する領域を受光領域A、第1導電型領域105とその周囲のガードリング106に相当する領域を受光領域Bとして図示している。
図15(a)に示す例では、射出瞳の投影像1502の中心が、点線で示す受光領域A、B間の中心よりも受光領域A側にずれている。そのため、この単位画素では、受光領域Aに光子が入射する確率が、受光領域Bに光子が入射する確率よりも高くなる。
このように、光子の入射位置に偏りがある場合、第1および第2実施形態における第1モードの動作により効果が低下する可能性がある。そのため本実施形態では、第2の正電圧VDDHを第1の検出ノードPN1に供給する期間よりも、第2の正電圧VDDHを第2の検出ノードPN2に供給する期間を長くする。
具体的には図15(b)に示すように、制御信号生成部30から電圧変動部200,200a,200b(以下、まとめて電圧変動部200と呼ぶ)に供給する電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を50%から変更する。電圧変動部200が、電圧切り替え信号PVSELがハイレベルの期間に第2の正電圧VDDHを第1の検出ノードPN1に供給する構成であれば、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を50%未満とする。
なお、一般にML101はアレイ状に形成されるため、製造誤差による単位画素とのマイクロレンズとの位置ずれは画素部10の全体に生じる。したがって、製造誤差による位置ずれを補正するための電圧切り替え信号PVSELのデューティ比は、撮像装置1000の製造時などに予め定めることができる。
例えば、輝度の均一な被写体を撮影した際の光軸近くの単位画素における計数値OUT1およびOUT2の差に基づいて決定することができる。このようにして決定したデューティ比は、メモリ17の不揮発性メモリに記憶しておき、制御信号生成部30が参照する。
なお、電圧変動部200を第2の実施形態のように画素ごとに設ける構成とすれば、製造誤差に加え、像高に起因する光子の入射範囲の偏りも補正することができる。この場合、輝度の均一な被写体を撮影した際の各単位画素における計数値OUT1およびOUT2の差に基づいて、個々の単位画素についての電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を決定することができる。各単位画素における計数値OUT1およびOUT2の差は、像高が大きくなるにしたがって光の入射方向とマイクロレンズの光軸方向との差が大きくなることによる入射領域の偏りも反映しているからである。
この場合、制御信号生成部30から画素ごとに異なるデューティ比の電圧切り替え信号PVSELを供給するのは現実的でない。したがって、例えば図13の構成において、電圧変動部200bは電圧切り替え信号PVSELを用いず、能動的に第2の正電圧VDDHを供給する検出ノードを切り替える。例えば、個々の電圧変動部200bが、上述した製造時などに決定されたデューティ比を保持し、第2の正電圧VDDHを供給する検出ノードをデューティ比に応じて切り替える。
なお、デューティ比を50%から変更する場合も、ハイレベルとなる期間の長さは単一光子に起因するアバランシェ増倍による電流がクエンチ回路で打ち消されるまでの期間に関連して決定することができる。また、必ずしも常に第1および第2の正電圧VDDMおよびVDDHが複数の検出ノードに排他的に供給されなくてもよい。つまり、同じ正電圧が複数の検出ノードに供給される期間が存在してもよい。
本実施形態によれば、単位画素に設けられた複数のAPDに対して第1および第2の電圧を選択的に供給する構成において、高い電圧を供給する期間の長さをAPDに応じて変更できるようにした。そのため、単位画素が配置された像高や製造誤差に起因した光子の入射範囲の偏りに起因した、同一APDにおける高頻度のアバランシェ増倍の発生を抑制することができる。
●(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第3の実施形態で説明した、射出瞳の投影像と単位画素の中心とのずれは、撮影光学系(撮影レンズ8)の射出瞳距離にも依存する。したがって、撮影レンズ8が交換可能な場合、装着された撮影レンズによって上述したずれが変化しうる。
図16(a)は、撮影レンズ8の射出瞳距離と、受光領域上に投影される射出瞳の像の位置の関係を模式的に示している。なお、ここでは理解および説明を容易にするため、像高の影響はないものとする。
光学中心(ML101の光軸と受光領域との交点)に対して右下にある単位画素901について着目する。この場合、受光領域上に投影される射出瞳の像の位置は、像の中心と光学中心が一致する射出瞳距離を基準として、射出瞳距離が大きくなると光学中心側(受光領域A側)に、小さくなると光学中心反対側(受光領域B側)にずれる。
そのため、本実施形態では図16(b)に示すように、射出瞳距離が基準距離よりも大きい場合には基準距離の場合よりも電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を小さくする。また、射出瞳距離が基準距離よりも小さい場合には基準距離の場合よりも電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を大きくする。
光学中心に対して左下にある画素902については、像のずれる方向が画素901と逆になる。そのため、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比の制御も逆になる。つまり、射出瞳距離が基準距離よりも大きい場合には基準距離の場合よりも電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を大きくする。また、射出瞳距離が基準距離よりも小さい場合には基準距離の場合よりも電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を小さくする。
図16では像高による影響を無視したが、射出瞳の像のずれ量は、単位画素の像高(光学中心からの距離)が大きいほど大きくなる。撮影レンズ8の射出瞳距離の大きさに加え、像高の大きさに応じて、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を調整する。調整は単位画素ごと、列ごと、もしくは領域ごとに行うことができる。
図17(a)は、像高と、受光領域上に投影される射出瞳の像の位置の関係を模式的に示している。なお、ここでは理解および説明を容易にするため、撮影レンズの射出瞳距離の影響はないものとする。
図示するように、光学中心付近の単位画素では射出瞳の像の位置ずれは存在しないか無視できる程度であるが、像高が大きくなるにつれて像は光学中心から離れる方向にずれていく。すなわち、光学中心に対して左側に位置し、像高が大きな画素1001では光学中心外側に位置する受光領域A側に、光学中心に対して右側に位置し、像高の大きな画素1003では受光領域B側に、射出瞳の像がずれる。
そのため、図17(b)に示すように、光学中心付近の画素についての電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を50%とすると、光学中心の左側で像高の大きな単位画素については、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を50%未満にする。これにより、第1の検出ノードPN1に第2の正電圧VDDHが供給される期間を短くする。また、光学中心の右側で像高の大きな単位画素については、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を50%より大きくする。これにより、第1の検出ノードPN1に第2の正電圧VDDHが供給される期間を長くする。
なお、ここでは単位画素に設けられた2つのAPDが光学中心に対して左右に配置されているため、左右方向の像高の大きさに応じて電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を制御している。しかし、2つのAPDが光学中心に対して上下に配置されていれば、上下方向の像高の大きさに応じて電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を制御する。
単位画素の像高と、撮影レンズ8の射出瞳距離とに応じた射出瞳の投影像の位置ずれは、単位画素における光の入射範囲の偏りに相当する。したがって、光の入射範囲の偏りに起因した、アバランシェ増倍が発生するAPDの偏りを抑制するために、像高の大きさに応じて、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を調整する。
電圧切り替え信号PVSELのデューティ比の調整は単位画素ごと、列ごと、もしくは領域ごとに行うことができる。しかし、ここでは単位画素に設けられた2つのAPDが光学中心に対して左右に配置されているため、画素列ごとにデューティ比を制御する構成について説明する。
図18は、本実施形態における撮像素子1の構成例を示すブロック図である。上述した実施形態で説明した構成要素には同じ参照数字を付してある。図18では、制御信号生成部30が、垂直制御回路1102、水平制御回路1103、タイミングジェネレータ(TG)1104を有している。垂直制御回路1102は画素部10の単位画素を画素行単位で選択する行選択信号を出力する。選択された行の単位画素100は、スイッチ1105がオンされて、計数値OUT1,OUT2を読み出し可能になる。
水平制御回路1103は、画素列を選択する列選択信号を出力する。列選択信号は画素列ごとに設けられたスイッチ1106をオンする。水平制御回路1103が列選択信号を順番にオンすることにより、行選択信号によって選択されている画素行に配置された単位画素のそれぞれから計数値を読み出すことができる。読み出した計数値は加算部40に出力される。
本実施形態では、画素列ごとに電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を制御するため、画素列ごとに電圧変動部1109が設けられている。なお、電圧変動部1109は、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比の制御単位ごとに設けられる。したがって、画素単位で制御を行う場合には、各画素に電圧変動部1109を設ける。
図19は、電源部20bと電圧変動部1109とによる電圧供給に係る構成を、1つの単位画素100に着目して記載したブロック図である。電圧変動部1109はパルス調整部1201、1202を有する。パルス調整部1201、1202はROM1203に設定されたデューティ比に従い、電圧切り替え信号PVSELのデューティ比を調整することにより、第2の正電圧VDDHを供給する期間を、検出ノードごとに別個に制御する。
ROM1203には複数の射出瞳距離のそれぞれに関連づけてデューティ比が補正データとして予め登録されている。制御部3は、装着されている撮影レンズ8から射出瞳距離を取得し、パルス調整部1201、1202にROM1203内で参照すべきデューティ比を特定する情報を供給する。
なお、ROM1203に登録するデューティ比は、輝度の均一な被写体を撮影した際の、例えば同じ画素列に配置された複数の単位画素における計数値OUT1およびOUT2の差の平均値に基づいて決定することができる。撮影ならびに、デューティ比の決定および登録は、撮像装置1000の製造時などに行うことができる。
計数値OUT1およびOUT2の差は、製造誤差、射出瞳距離、および像高による射出瞳の像のずれを反映している。なお、電圧変動部1109のパルス調整部1201、1202が用いるデューティ比は、制御部3が直接設定してもよい。この場合、ROM1203はメモリ17の一部であってもよい。
このように、本実施形態によれば、第3の実施形態と同様の効果を、撮影レンズの射出瞳距離が変化する場合においても実現することができる。
●(第5の実施形態)
第3および第4の実施形態では、光学中心に対して水平方向に2つのAPDが配置された単位画素について説明してきた。しかし、図8に関して説明したように、単位画素に設けるAPDの数や配置は上述の例に限定されない。
本実施形態では単位画素の他の構成の一例として、光学中心に対して水平方向に2つ、垂直方向に2つ、合計4つのAPDを設けた構成において、入射光の範囲の偏りによるアバランシェ増倍の発生頻度の偏りを抑制する方法について説明する。
水平および垂直方向に複数のAPDが設けられる場合、各APDにおけるアバランシェ増倍の発生頻度の偏りは、射出瞳の像の水平方向のずれに加え、垂直方向のずれにも依存する。そのため、本実施形態では垂直方向のずれも考慮した電圧供給制御を行う。
例えば、第2実施形態のように単位画素ごとに電圧変動部を設け、各電圧変動部が、予め設定された各APD用のデューティ比に基づいて、各APD(検出ノード)に供給する電圧とその期間を制御する。例えば、電圧変動部には複数の射出瞳距離のそれぞれに関連づけられた各APD用のデューティ比を予め記憶しておくことができる。
そして、制御部3が、装着されている撮影レンズ8から取得した射出瞳距離に基づいて、各電圧変動部に対して、記憶されているデューティ比のうち、使用すべきセットを指定することができる。電圧変動部は指定されたデューティ比のセットを用いて、各APDに対する電圧供給を制御する。
図20(a)は、水平垂直方向に2つずつ設けられた4つのAPDを有する単位画素における、撮影レンズ8の射出瞳距離と、受光領域上に投影される射出瞳の像の位置の関係を模式的に示している。なお、ここでは理解および説明を容易にするため、像高の影響はないものとする。また、便宜上、各APDのカソード端子として機能する第1導電型領域とその周囲のガードリング106に相当する領域を、各APDの受光領域A~Dとして図示している。
光学中心に対して右下に位置し、像高の大きな単位画素1301における射出瞳像のずれは図16(a)の単位画素901と同様である。しかし、垂直方向における像のずれも考慮するため、個々のAPD(検出ノード)に第2の正電圧VDDHを供給する期間はそれぞれ異なる。
図20(b)に画像1301が有する4つのAPD(検出ノードPN1~PN4)に供給する正電圧を制御するための電圧切り替え信号PVSELのデューティ比の例を示す。図20(b)における電圧切り替え信号PVSEL A~Dは、それぞれ受光領域A~Dに対応するAPDに接続された検出ノードに供給する電圧を制御する信号である。
電圧切り替え信号PVSELがハイレベルの期間、対応する検出ノードには第2の正電圧VDDHが供給される。また、電圧切り替え信号PVSELがローレベルの期間、対応する検出ノードには第1の正電圧VDDMが供給される。
画素1301は光学中心から右下に位置するため、射出瞳距離が大きい場合、射出瞳の像は左上方向にずれる。ここでは、射出瞳距離が基準距離よりも大きい場合、射出瞳の像と受光領域との重複の大きさは、受光領域Aが最も大きく、次に受光領域BおよびCが大きく、そして受光領域Dが最も小さいものとする。
例えば、重複が小さい程、第2の正電圧VDDHを供給する期間を長くすると、デューティ比の大きさは、電圧切り替え信号PVSEL D>C=B>Aの順となる。射出瞳距離が基準距離よりも小さい場合は逆となる。基準距離は、射出瞳の像のずれがない射出瞳距離である。
なお、像高や製造誤差に起因する射出瞳の像の位置ずれについても同様である。実際には、第4の実施形態でも述べたように、製造時などに検出する計数値の差は、射出瞳距離、像高、製造誤差の全ての要因によるずれを反映している。そのため、実際にはこれらすげての要因に対して1つの補正値セット(デューティ比セット)で対処可能である。
なお、本実施形態に係る撮像素子1が第1モードで動作する場合には4つの計数値OUT1~OUT4を加算部40で加算する。また、第2モードで動作する場合には、水平方向もしくは垂直方向に並んだ2つのAPDで得られる計数値を加算して1組の計数値を取得してもよい。あるいは、加算部40での加算を行わずに、個々の計数値を別個に取得してもよい。
本実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果を実現することができる。また、画素単位で電圧供給を制御する場合には、特に高輝度領域の画素における計数値の精度をより高めることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では電源部20、制御信号生成部30、および加算部40を撮像素子1が有する構成について説明した。しかし、これらの1つ以上は撮像素子1の外部に設けられてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。