JP7328299B2 - 操縦可能な医療デバイスハンドル - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態においては、医療デバイスを操作するための操縦可能な制御システム又はハンドル100が提供される。医療デバイスは、カテーテル、シース、導入器又は類似の医療デバイスを含んでもよいがこれらに限定されない。特定の例においては、図1及び図2Aに示すように、ハンドル100はシース90に結合されており、使用時、使用者がシース90を所望の方向に操作又は操縦することを可能にする。ハンドル100はハンドルハウジング20に回転自在に結合されたノブ10を有する。ノブ10はハンドル100の長手方向の軸線を中心に回転可能であり、ハウジング20に対して回転する。動作時、第1の回転方向におけるノブ10の回転は、使用者がシース90を第1の方向に操縦又は偏向することを可能にする一方で、第2の回転方向におけるノブ10の回転は、使用者がシース90を第2の方向に操縦又は偏向することを可能にする。本明細書中に記載されるいくつかの実施形態では、記載される二方向に操縦可能なカテーテルは、2つの異なる偏向方向、第1及び第2の偏向方向に偏向されるように動作可能である。他の実施形態においては、二方向に操縦可能なカテーテルは2つの異なる偏向方向に偏向するように構成されている(又は2つの異なる偏向方向に偏向することを可能にする内部機構(internal workings)を有する)。しかしながら、カテーテルに生じる偏向が(開始又は中立位置に対して)単一の偏向方向に限定されるように、カテーテルの偏向はその偏向方向の1つに制限又は限定される。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの制御ワイヤを含む一方向に操縦可能なカテーテルを提供するために二方向に操縦可能なカテーテルの一方向制御システムが提供される。
図2Bに示すように、ハウジング20は、外側又は外部ハウジング部20b(簡略化のため外側又は外部ハウジング20bとも称される)によって収容された内腔を規定する内部ハウジング部20a(簡略化のため内部ハウジング20aとも称される)を有する。同様に、ハウジング20に結合されたノブ10もまた、その中の内腔を規定する内部ノブ部10a(簡略化のため内部ノブ10aとも称される)と、内部ノブ10aを収容する外側又は外部ノブ部10b(簡略化のため外側又は外部ノブ10bとも称される)と、を有する。内部ノブ10aを内部ハウジング20aにしっかりと固定するための手段が提供される。一実施形態においては、内部ノブの一部が内部ハウジング内に受容され、1つ又は複数のピン12が内部ノブ10a及び内部ハウジング20a内に横断的に挿入され、それらを所定の位置にしっかりと固定することを可能にする。ピン12はステンレス鋼などの金属を有していてもよい。特定の例においては、アパーチャ又は穴23が内部ハウジング20a内に設けられてもよく、周方向溝11(図2Cに示すような)が内部ノブ10aの基端部分に設けられてもよく、これらはそれぞれピン12を受容するためである。ピン12は内部ノブ10aと内部ハウジング20aとを共に係止し、互いに対する回転運動を可能にする一方で、長手方向の変位を防止する。換言すると、内部ノブ10aは内部ハウジング20aに対して自由に回転する一方で、内部ノブ10aの、内部ハウジング20aに対する並進結合/係止を維持する。特定の例においては、ハンドル100は、内部ノブ10aを内部ハウジング20aに結合する2つのピン12を含む。1つの例においては、図面内に示されるように、ノブ10は先端側方向(D)を規定するハンドルの先端部に配置され、ハウジング20の反対端は基端側方向(P)を規定するハンドルの基端部を形成する。代替的例においては、単一のアパーチャ又は穴23はピン12を受容するように適合されてもよい。
図3Aに示すような特定の例においては、摺動アセンブリ30は、ボルト32と、キャリッジ34を有する中間ハウジング38と、を有する。キャリッジ34は、キャリッジ基端面34a及びキャリッジ先端面34bを含む。シース90から出た制御ワイヤ40、42のそれぞれはキャリッジ34を通過し、制御ワイヤ40がクリンプ41を使用してキャリッジ34の基端面34aに又はキャリッジ34の基端面34aへと作動可能に結合される。クリンプ41は実質的に基端面34aに当接し、摺動アセンブリ30が基端側に並進する際に摺動アセンブリ30がそれとともにワイヤ40を引くことを確実とする。同様に、制御ワイヤ42は、クリンプ43を使用してキャリッジ34に作動可能に結合されている。クリンプ43はキャリッジ34の先端面34bに実質的に当接し、キャリッジ34が先端側に並進する際にキャリッジ34がそれとともに制御ワイヤ42を引くことを確実とする。図3Bに示すように、制御ワイヤ42はまずキャリッジ34を通過して基端側へ向かい、その後折り返して、制御ワイヤ42がキャリッジ34内を先端側に通過し、先端面34bに結合される。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42は予めクリンプされてもよい。他の実施形態においては、制御ワイヤ40、42は組み立て後、摺動アセンブリ30内において経路を定められた後にクリンプされてもよい。
摺動アセンブリ30の一実施形態においては、中間ハウジング38のキャリッジ34はキャリッジ34を形成するために協動的に係合するか組み立てられうる複数の構成要素を有してもよい。この一例として、図3C及び断面図3Dに示すように、キャリッジ34は、ワイヤ40及び42を中に配置することができる溝35x、35y及び35zを有するベース部34’と、ワイヤが配置された後にベース部34’と係合し、制御ワイヤ40、42が中を摺動することができる開口部又は通路35x’、35y’及び35z’を形成するカバー部又はワイヤ保持器34”と、を有してもよい。カバー部34”はベース部34’に、例えば、スナップ嵌合機構を使用して着脱可能に固定されてもよい。カバー部34”は、図3Eに示すように、キャリッジベース部34’の溝37内に受容された、下方向に伸びた突起部又は脚36を含んでもよい。脚36はカバー部34”をベース部34’にしっかりと固定するために溝37の表面と連結可能なスナップ嵌合タブなどのタブを有してもよい。
別法として、図3Gに示すように、ベース部34’とカバー部34”とは互いに一体に形成されてもよい。換言すると、キャリッジ34は一体型構造のものであってもよく、単一の構成要素で形成される。上述の実施形態と同様に、キャリッジ34は3つのチャネル又は開口部35x’35y’及び35z’を有してもよく、図3Hの断面図に示すようにそこをワイヤ40及び42がそれぞれ通されうる。1つの例においては、本明細書に上記したものと類似する手法で、制御ワイヤ42を開口部35x’及び35y’に通し、制御ワイヤ40を開口部35z’に通してもよい。
上述のように、ハンドル100の摺動アセンブリ30(図4Aに示す)は、対応する雌ねじ構造を有するノブ10内に収容された、雄ねじ構造を有するボルト32を有する。図4B及び図4Cに示すように、ノブ10が回転する際、ノブ10が摺動アセンブリ30のキャリッジ34を並進させることを可能にする。1つの例においては、ボルト32の雄ねじは、内部ノブ10aの内部螺旋ねじ山13と協動的に係合する螺旋ねじ山33aの形態であってもよい。いくつかの例においては、螺旋ねじ山33aは図3F及び図4B~4Cに示すように連続的な雄ねじであってもよい。これにより、ボルト32のねじ山33aと内部ノブ10aの雌ねじ13との間により多くの表面接触がもたらされる。これにより、ボルト32と内部ハンドルとの間の摩擦が増強され、制御性を高めることが可能になる。ノブ10が回転された後、大きな摩擦によりハウジングに対するノブ10の位置が維持されやすくなり、シース90をその所望の偏向において保持しやすくなる。別法として、ボルト32はその長手方向に不連続なねじ山を有してもよい。いくつかの実施形態では、ボルト32を含む摺動アセンブリ30は高分子で形成される。特に、一例においては、摺動アセンブリ30は、Dupont(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有する。別法として、摺動アセンブリ30は熱可塑性プラスチックを有してもよい。更に他の実施形態においては、摺動アセンブリは金属を有してもよい。いくつかの実施形態では、摺動アセンブリ30のボルト32は、内部ノブ10aとの摩擦係合を維持するために粗い外部表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、雄ねじ33aを有するボルト32は、フルオロカーボンゲル807などの潤滑剤で被覆される。一実施形態においては、ボルト32の外部ねじ山は、張り出しを形成するテーパ状の縁端を有してもよく、ねじ山は例えば成形による摺動アセンブリ30の製造を容易にしうる傾斜を有してもよい。
上述したように、ワイヤ42は摺動アセンブリ30に結合される前に方向反転要素内に挿通される。特定の例においては、図5Aに示すように、ワイヤ42はそれがシース90を出る際、キャリッジ34内を基端側方向に通過し、その後、方向反転要素50’の周りを通り、それによりキャリッジ34内を先端側に通過し、キャリッジ34の先端面34bに結合されうる。1つの特定の実施形態においては、方向反転要素はピンを有する。別の特定の実施形態においては、示されるように、方向反転要素は、プーリ52を有するプーリアセンブリ50を有する。これもまた図5Gの断面図に示される。プーリアセンブリ50は内部ハウジング20aにスナップ嵌合を使用して結合されてもよい。特に、図5Aを参照すると、ワイヤ42は、それがキャリッジ34から基端側に出る際に、プーリアセンブリ50上のプーリ52の周りを通り、キャリッジ34内を先端側に通過し、その先端面34bに結合される。これもまた図5B及び図5Cに示される。
1つの特定の実施形態においては、図5A~5B及び5Dに示すように、プーリアセンブリ50は制御ワイヤ42をプーリ52の周りに維持又は固定するのを補助する高さガイド54を有する。高さガイド54は、制御ワイヤの位置をプーリ52の面に沿って維持することによって、制御ワイヤがプーリ52から滑り落ちる又は摺動して落ちることを防止してもよい。1つの例においては、プーリ52は、その周縁に沿った溝又はスロットを含んでもよく、その溝またはスロットにより制御ワイヤ42が所定の位置に留まることが可能になる。溝又はスロット52’は、制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内及び維持するように機能する。更に、プーリ52の少なくとも一部に実質的に隣接し、かつ、周方向に取り囲むプーリガイド56が提供されてもよい。制御ワイヤ42はプーリの周りに案内され、それにより制御ワイヤ42がプーリ52とプーリガイド56との間に配置される。プーリガイド56は、制御ワイヤ42の位置を維持するために制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内及び捕捉するように機能する。したがって、高さガイド54及びプーリガイド56は、制御ワイヤ42をプーリの周りに保持することを補助する。図5Eに示されるように、プーリガイド56は、歯又は突起部56aを更に有してもよく、この歯又は突起部56aは、制御ワイヤ42の動きを更に制限し、制御ワイヤ42のミスアライメントの可能性を更に低減し、制御ワイヤ42がプーリ52から落下することを防止する。図5Eに示すように、歯又は突起部56aはプーリガイド56からプーリ52に向かって内側に位置し、制御ワイヤ42の動きを制御する。プーリガイド56とプーリ52との間に1つ又は複数の突起部56aを設けることによって、制御ワイヤ42とプーリガイド56との間の摩擦の量が増加する。いくつかの例においては、これはプーリ52がピンとして機能することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、プーリ52、高さガイド54及びプーリガイド56のそれぞれは、別個の構成要素であっても、示されるようにプーリアセンブリ50と一体に形成されてもよい。図5A~5Eに示すような1つの特定の例、及び図5Fに示される断面図においては、プーリ52はプーリアセンブリ50のピン53に取り付けられている。プーリ52をプーリアセンブリ50に取り付けるためにワッシャ55a及びボルト55bが使用されてもよい。プーリアセンブリ50は、内部ハウジング20aと協動的に係合してもよい。1つの例においては、ワッシャ55aはステンレス鋼を有してもよく、ボルト55bは鋼の自己ねじ切り型ねじ(self-threading screw)であってもよい。
別の例においては、方向反転要素はプルワイヤなどの細長い構成要素の経路を定めるか、又は方向を変えるためのピン又は他の構造を有してもよい。そのような例においては、ワイヤ42は、それがキャリッジ34から基端側に出る際に、ピンの上及び/又は周りを通り、キャリッジ34内を先端側に通過し、キャリッジ34のその先端面34bに結合されてもよい。特定の例においては、ピンは制御ワイヤ42が移動する面に対して垂直に立てられる。いくつかの実施形態では、ピンは摺動アセンブリ30に対して基端側に配置される。例えば、ピンはハンドルアセンブリ100の基端部分に結合されてもよい。別法として、ピンは摺動アセンブリ30に配置されても、摺動アセンブリ30に結合されてもよい。ピンが使用される実施形態においては、キャリッジ34から基端側に延びた制御ワイヤ42は、ピンの周りに巻き付くようにしてもよく、それにより先端側に経路を定められ、キャリッジ34の先端面34bに結合されうる。
本発明の一実施形態においては、1つ又は複数のたるみ制限又は抑制要素60がハンドル100内に設けられてもよく、これが制御ワイヤ40、42の1つ又は両方に結合されてもよい。特定の例においては、制御ワイヤ42の摩擦係合を可能にして、制御ワイヤ42の一部のたるみを制限又は抑制するたるみ制限要素60が提供される。1つの例においては、図5Aに示すように、たるみ制限又は抑制要素60はプーリアセンブリ50に結合されている。
1つの特定の実施形態においては、図4D~4F及び図5A~5Eによって示されるように、たるみ制限又は抑制要素60は蛇行摩擦デバイス60Aを含んでもよい。蛇行摩擦デバイス60Aは、図5E~5F及び図6Aに示すように、制御ワイヤ42の経路に対して垂直に立てられたピン61(図5Dに示すような)を含む。更に図6A~6Bに示されるように、制御ワイヤ42は、ピン61によって規定されたスペース、間隙又は開口部61s内に誘導されるか縫うように進み、ピン61によって所定の位置に保持される。蛇行摩擦デバイス60Aは互いに偏心した(例えば側方にオフセットした)ピン61を含んでもよく、且つ制御ワイヤ42の長手方向の軸線を基準に互いに部分的に重なってもよい。特定の例においては、蛇行摩擦デバイス60Aは3つのピン61を含む。図6Bに示されるように、2つの外部ピン61(a)及び61(c)はそれらが中心ピン61(b)から軸外しとなるように配置されてもよい。図6A~6Bに更に示されるように、特定の例においては、蛇行摩擦デバイスはトップ部66に沿って互いに取り付けられたピンを有する。他の実施形態においては、蛇行摩擦デバイス60Aはワイヤが摩擦を有するように係合するリブ又は上昇した表面を有してもよい。制御ワイヤ42は、リブに摩擦係合するようにリブ内を縫うように進んでもよい。
本発明の別実施形態においては、図8A及び図8Bに示すように、たるみ制限又は抑制要素60は、付勢された摩擦デバイス60Bを有する。付勢摩擦デバイス60Bは、内部ハウジング20aと協動的に係合するよう動作可能なプーリアセンブリ50に結合されてもよい。1つの例においては、付勢摩擦デバイス60Bはスナップ嵌合機構によりプーリアセンブリ50に結合されてもよい。摩擦デバイス60Bは、摩擦ブロック63と、摩擦ブロック63に結合されたクリップ64と、を有する。摩擦ブロック63はクリップ64を受容するための開口部63aを規定してもよい。クリップ64は摩擦ブロック63に向かって付勢されてもよい。上述のように、制御ワイヤ40、42の1つ又は両方が付勢摩擦デバイス60Bに結合されてもよい。1つの例においては、制御ワイヤ42が、クリップ64と摩擦ブロック63との間に保持されるように付勢摩擦デバイス60B内を通過する。1つの例においては、クリップ64はばね付勢機構を有する。いくつかの実施形態では、摩擦ブロック63は高分子を有してもよい。他の実施形態においては、摩擦ブロック63はエラストマを有してもよく、クリップ64は金属を有してもよい。1つの例においては、摩擦ブロック63はゴムを有し、クリップはワイヤバンドを有し、ワイヤバンドとゴムとの間に摩擦が生じるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ64の付勢機構、例えばばねは、調節可能あるいは調整可能であってもよい。
更に別の実施形態においては、摩擦デバイスは、制御ワイヤ42と摩擦を生じるように係合するための弾性摩擦デバイス60Cを有してもよい。一例においては、弾性摩擦デバイス60Cは図9A及び図9Bに示すようにエラストマブロック67aを有してもよい。一実施形態においては、エラストマブロック67aはゴムブロックを有してもよい。エラストマブロック67aは、その長さ方向に沿って長手方向に延びたスリット67bを規定してもよい。制御ワイヤ、例えば制御ワイヤ42がスリット67bの開口部内に案内されてもよい。スリット67bは、2つの下方向に延在するエラストマブロック67aの脚68を規定してもよい。制御ワイヤ42は下方向に延在する脚68によって摩擦的に係合され、脚68の間に保持されてもよい。
例1:ハンドルハウジング内のトラック
いくつかの実施形態では、内部ハウジング20aは内部ハウジング20a内の直線路に沿って摺動アセンブリ30を案内するように構成されている。先に図3E及び図4Bに示した1つの例においては、内部ハウジング20aは、実質的に内部ハウジング20aの長さ方向に沿って配置された溝又はトラック21aを有する。摺動アセンブリ30は、摺動アセンブリ30のベース部に沿って、上昇した突起部31a(例えば図3Eを参照)を含んでもよく、その突起部31aは、トラック21a内に協動的に係合し、トラック21aに沿って摺動アセンブリ30の直線並進の維持を補助する。
いくつかの実施形態では、図2A~2C、4B~4C、5A、5D及び10Dに示すように、摺動限定要素は管状摺動停止部21bを有する。一例として、管状摺動停止部21bは、摺動アセンブリ30の基端側のシース90上に取り付けられている。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bはシースのハブに当接する1つの硬質又は剛性のチューブを有してもよく、且つシースのハブ及び内部ハウジング20aとの係合を可能にするための切り込みを有してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bと、それが取り付けられているハブとの間に接着接合部が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bをハブに接着するために管状摺動停止部21bとハブ80との間の表面接触が強化されてもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは、プーリアセンブリ50と内部ハウジング20aとの相互作用のために、更なる切り込みを有してもよい。いくつかの実施形態では、図4B及び図10dに示すように、管状摺動停止部21bは、プーリアセンブリ50に当接してもよいし、及び/又はプーリアセンブリ50と相互に作用してもよい。他の実施形態においては、管状摺動停止部21bはシース上に取り付けられてもよく、且つ固定されなくてもよい。管状摺動停止部21bは、低密度ポリエチレン(LDPE)などの比較的可撓性があるか、又は軟質/弾性の材料を有してもよい。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは比較的硬質又はより剛性のある材料を有してもよい。特定の例においては、管状摺動停止部21bは高密度ポリエチレン(HDPE)を有する。別法として、管状摺動停止部はステンレス鋼を有してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bはシリンダを有する。別法として、管状摺動停止部21bはシリンダの一部分から形成される。いくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bの内径は取り付けられているシース90の外径よりも大きくてもよい。管状摺動停止部は、摺動アセンブリ30と相互に作用してそれを停止する先端壁21b’を規定する。
図10fに示すような別の実施形態においては、摺動停止部、又は摺動制限又は限定特徴は、内部ハウジング20a全体に側方に伸びたバー21cを有してもよい。換言すると、バー21cは内部ハウジング20aの幅全体に延在する。バー21cは、摺動アセンブリ30とプーリアセンブリ50との間に配置されてもよく、バーは先端壁21c’を規定する規定する。
いくつかの実施形態では、図10gに示すように、摺動停止部はリベット21dを有してもよい。別法として、摺動停止部はピン又はねじの形態であってもよい。リベット21dは、内部ハウジング20a内の開口部及び溝又はトラック21a内に配置され、垂直上方に伸びた突起部の形態で内部ハウジング20aの内腔内に伸びている。リベット21dは摩擦嵌合により内部ハウジングに固定されてもよい。リベット21dは摺動アセンブリ30の経路内に配置され、その動きを制限するように機能する。別法として、リベット21dは、内部ハウジング20a内に配置され、摺動アセンブリ30を遮断するように機能するブロックなどの二次構成要素に結合されてもよい。
また更なる代替形態においては、図10hに示すように、摺動限定構成要素又は摺動停止部は、内部ハウジング20aの内腔内の先端側へ伸びたプーリアセンブリ50の延長部21eを有してもよい。
いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42は金属を有する。特に、一例においては、ワイヤ40、42はステンレス鋼を有する。いくつかの実施形態では、ワイヤ40、42は延伸された300系列のステンレス鋼ワイヤを有する。いくつかの実施形態では、制御ワイヤ40、42の少なくとも1つは丸型ワイヤを有する。他の実施形態においては、制御ワイヤ40、42の少なくとも1つは、矩形ワイヤであってもよい平ワイヤを有する。1つの特定の実施形態においては、ワイヤ40、42はステンレス鋼304Vを有する。1つの例においては、ワイヤ40、42は約0.004”x0.015”の断面を有する。別の例においては、ワイヤ40、42は約0.004”x0.012”の断面を有する。
図11A及び図11Bに示すように、いくつかの実施形態では、クリンプ41、43は調節可能なクリンプを有してもよい。1つの例においては、調節可能なクリンプはナット及びボルトアセンブリを有してもよい。一実施形態においては、調節可能なクリンプはナット46内の雌ねじと協動的に係合する雄ねじを有するボルト又はねじ48を有してもよい。円筒状クリンパ部品41’、43’が部分的にねじ48内に保持される。ワイヤ40及び42の初期長さはねじ48の位置をナット46に対し調節することによって調節されてもよい。いくつかの実施形態では、キャリッジ34内の開口部35x’35y’及び35z’の1つ又は複数は、ボルト又はねじ48を収容するのに十分な直径を有してもよい。他の実施形態においては、クリンプ41、43は調節可能なクリンプでなくてもよい。
いくつかの実施形態では、図2A~2Cに示すように、シース90はハンドル100の基端部から先端部までハンドル100を貫通してもよい。これは、更に、図4B~4Cの断面図に示される。一実施形態においては、更に図2C及び図5Dに示されるように、シース90はその基端部においてハブ80に結合されている。ハブは開口部を中に規定する側部ポート84を有する。1つの例においては、側部ポート84は角度がつけられていてもよい。一実施形態においては、側部ポート84はハブ80の長手方向の軸線に対して約60°の角度であってもよい。他の実施形態においては、任意の他の適切な角度が使用されてもよい。図2Cに示すように、側部ポートは、チューブ94により、止水栓92、例えば3方止水栓に連結されている。このチューブ94は、一例においてはポリウレタンチューブを有してもよい。角度がつけられた側部ポート84は、ハンドル100の使用時、それに結合された側部ポート84及び止水栓92が確実に使用者の邪魔にならないようにすることによってハンドル100の使用性を高めてもよい。いくつかの例においては、側部ポート84は、シース90の先端側の先端部を正しい方向へ向けるための基準点として使用されてもよい。1つの例においては、側部ポートによって規定される開口部は、処置時、医師が塩水又は造影剤などの流体を、シースを通して注入することを可能にしてもよい。1つの例においては、操縦可能なハンドルアセンブリ100が患者の体内の組織の領域にアクセスするために使用される場合、側部ポートから造影剤を注入することによって、使用中の画像化が可能になるようにしてもよい。
一実施形態においては、シース先端部の指定偏向角度を維持するためにハンドルノブ10の位置をハウジング20に対して係止するための係止機構が提供されてもよい。一実施形態においては、スライダロックが提供されてもよい。他の実施形態においては、ノブ10の位置を維持してシース90を所望の偏向に維持することを補助するために、内部ノブ10aのねじ山13と摺動アセンブリ30のボルト32のねじ山との間の摩擦嵌合又は摩擦係合(図4B及び図4Cに示すように)が十分な摩擦力を生むようにしてもよい。1つの例においては、ボルト32及びキャリッジ34を含む摺動アセンブリ30は、所望の偏向を維持することで、シース先端部の位置を維持するための十分な摩擦を生む表面仕上げを有してもよい。1つの例においては、摺動アセンブリ30及び/又は雌ねじノブ10の内腔は、この2つの間の摩擦をより大きくするため、粗い表面仕上げを有してもよい。1つの例においては、本明細書中で上に示したように内部ノブ10a及び摺動アセンブリ30は両方ともDupont(商標)DELRIN(登録商標)100Pを有する。
使用時、シース90を患者の体の脈管系内に挿入し、標的位置まで前進させてもよい。その後、ハンドル100を操作することにより、使用者がシース90の先端部分を所望の方向に偏向することを可能にしてもよい。1つの広範な実施形態においては、回転機構が設けられていて、その回転機構は、ノブ10を1つの方向に回転させることを可能にし、それにより内部ハウジング20a内の(中立又は開始位置から離れる)1つの方向について摺動アセンブリ30の長手方向の動きを可能にし、それにより制御ワイヤ40、42のうちの1つに張力をかける。これは、シース先端部が第1の方向に偏向されることを可能にする。一方では、ノブ10を第2の方向へ回転させると、その制御ワイヤの張力を解放し、シース90がその中立位置に戻ることが可能になる。更に第2の方向へのノブの回転が、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20a内においてもう一方の(反対)方向に、直線的又は長手方向に並進することを可能にし、2つの制御ワイヤ40、42のうちのもう一方に張力がかけられることを可能にする。これにより、シース先端部が第2の方向に偏向されることが可能となる。
上述したように、いくつかの実施形態では、制御ワイヤ42に生じたあらゆるたるみが、プーリ52との接触部分に移動することを防止又は制限するための手段が提供されてもよい。図4Eにおいて上に概説したように、ノブ10が時計回り方向に回転されると、キャリッジ34が基端側に移動し、制御ワイヤ40に張力をかける一方で、制御ワイヤ42から張力を解放する。いくつかの実施形態では、張力がワイヤ42から除去された際に(又は換言すると制御ワイヤ42の反転操作時)制御ワイヤ42の任意のたるみを制限又は抑制するためのたるみ制限又は抑制要素60が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素60は制御ワイヤ42の基端部分に係合する。同様に、前に図4Fで示したように、ノブ10が反時計回り方向に回転されると、キャリッジ34は先端側に移動して制御ワイヤ42に張力をかけ、制御ワイヤ40を張力から解放する。一実施形態においては、制御ワイヤ40のたるみを制限又は抑制するためにたるみ制限又は抑制要素60が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素60は、使用時における操縦可能なシース90のシャフトの圧縮によるワイヤ40、42の任意のたるみもまた制限又は抑制してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、たるみ制限又は抑制要素は制御ワイヤ40、42のいずれか1つと摩擦的に係合してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ40、42の部分のたるみを低減するため、又は指定された方向へたるみを案内するため、プルワイヤ又は制御ワイヤ40、42のそれぞれは、たるみ制限又は抑制要素60により案内されてもよい。
一実施形態においては、図4Fに示すように、ワイヤ42に生じたあらゆるたるみが摺動アセンブリ30内のその開口部又は通路を通過して先端側に(方向d1によって示される)移動することを促進可能にするたるみ制限又は抑制要素60が使用される。換言すると、制御ワイヤ42の任意のたるみ、又は換言すると、たるんだ制御ワイヤ42は、その各々の開口部を通過してキャリッジ34に対して先端側に移動する。これは、制御ワイヤ42の、プーリ52の周囲の部分にたるみが影響することを防止するのを補助してもよい。したがって、たるみ制限又は抑制要素60は、プーリ52の周囲のワイヤの過剰なたるみを防止してもよく、制御ワイヤ42がプーリ52から脱線するリスクを低減するのに役立つようにしてもよい。いくつかの実施形態では、プーリ52が制御ワイヤ42をプーリ52の周りに案内するための溝を有する場合、たるみ制限又は抑制要素60は制御ワイヤ42を所定の位置に維持するよう機能してもよい。
一実施形態においては、たるみ制限又は抑制要素は、図8A及び図8Bに関して上述したように、摩擦ブロック63及びクリップ64を有する付勢摩擦デバイス60Bを有する。動作時、ノブ10が時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30がその中立位置から基端側へ動き、制御ワイヤ40に張力がかけられ、制御ワイヤ42にたるみが生じる。制御ワイヤ42に印加される張力がない場合、摩擦ブロック63及びクリップ64によって作用する力は、制御ワイヤ42に形成されたたるみがプーリ52周囲の制御ワイヤ42の部分に伝達され得ないほど、制御ワイヤ42の基端側への動きを防止するのに十分である。換言すると、プーリ52周囲のワイヤ42の部分には張力がかけられたままである。しかしながら、ノブが反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30は先端側に移動してその中立位置に戻り、そこから更にノブが反時計回りに回転すると、摺動アセンブリ30はその中立位置から先端側に移動し、ワイヤ42に力が印加される。印加される力が摩擦デバイス60Bによって制御ワイヤ42に作用する摩擦力よりも大きくなるように、ワイヤ42に先端側への十分な力が印加されると、制御ワイヤ42は張力がかかった状態で長手方向に並進することができる。1つの例においては、ノブ10を反時計回りに回転させると、制御ワイヤ42が長手方向の先端側方向に並進することができる。総合すると、制御ワイヤ42が張力から解放され、制御ワイヤ40に張力がかけられるため、ダイヤルを時計回りに回転させたとき、制御ワイヤ42が基端側方向における長手方向へ移動することが防止されてもよい。したがって、制御ワイヤ42に発生したたるみを、付勢摩擦デバイス60Bを使用してプーリから離すように案内することができ、制御ワイヤ42がプーリ52から落下するリスクを最小化する。
上記の付勢摩擦デバイス60Bの動作と同様に、図9A及び図9Bに示すように、エラストマブロック67aを有する弾性摩擦デバイス60Cは、エラストマブロック67aの脚68の間のスリット67b内の制御ワイヤ42と摩擦的に係合する。摩擦デバイス60Cは、摺動アセンブリが先端側に移動すると、張力がかかっている制御ワイヤ42が先端側へ移動することを可能にするが、摺動アセンブリ30の基端側へ動いている間に緩和状態である場合、ワイヤ制御ワイヤ42が基端側方向に長手方向に移動することができないほどの十分な摩擦力を提供する。したがって、制御ワイヤ42が停止している(張力下にない)場合、この部分にたるみが伝達されないため、制御ワイヤ42の、プーリ52周囲の部分は依然ぴんと張られたままである。これは弾性摩擦デバイス60Cによって制御ワイヤ42に付与された摩擦力の結果である。
一実施形態においては、図4A~4Cに示すように、制御ハンドル100はシース90の二方向の偏向を可能にしてもよい。1つの例では、中立位置においては、キャリッジ34は内部ハウジング20aの中央より先端側に配置されてもよい。そのような例においては、ノブ10が時計回り方向に回転される場合、約0~180°の範囲内のシース先端部曲率が実現されてもよく、ノブ10が反時計回り方向に回転される場合、約0~90°のシース先端部の曲率が実現されてもよい。一実施形態においては、時計方向又は右方向のノブの回転により左方向の先端部の応答が生じてもよい。他の実施形態においては、時計方向又は右方向のノブの回転により右方向の先端部の応答が認められてもよい。各方向において得られる曲率の程度は摺動アセンブリ30の並進の範囲を制限するための摺動制限要素と組み合わせて摺動アセンブリ30の中立又は開始位置を変えることによって調節可能としてもよい。いくつかの実施形態では、シースは少なくとも2つの偏向方向のうちの1つの方向へ約270度傾いてもよい。他の実施形態においては、270度を超える曲率が実現されてもよい。
例1:摺動制限要素がトラックである
上に概説したように、内部ハウジング20a内のトラック21aは、摺動アセンブリ30の動きを制限してシース90の所望の偏向を可能にするための摺動停止部として更に機能しうる。図10aに示すように、摺動アセンブリ30(例えば、図3Eに示される摺動アセンブリ30の上昇した突起部31a)がトラックの端部に到達すると、それは溝又はトラック21aの端部の壁21a’に当接し、それによって、摺動アセンブリの直線運動を停止又は制限する。
上述のようないくつかの実施形態では、図2A~2C、4B~4C、5A及び10Dに示すように、摺動制限要素は管状摺動停止部21bを有する。使用する管状摺動停止部21bが長いほど摺動アセンブリ30の動きをより多く限定することとなる。1つの例においては、管状摺動停止部21bは摺動アセンブリ30の基端側に配置されている。いくつかの実施形態では、管状停止部21bは、比較的硬質の材料を有し、それが実質的に力が加わっている状態で降伏しないような実質的に剛体である。1つのそのような例においては、ノブ10の時計回りの回転の際、摺動アセンブリ30が内部ハウジング20a内において基端側に並進すると、摺動アセンブリ30は剛性管状摺動停止部21bの壁21b’に当接し、摺動アセンブリ30の更なる並進を防止する。これにより、使用者が急停止として感じてもよい触覚フィードバックを提供する。これはシース90が最大偏向に達したことを使用者に示すことを補助してもよい。別法として、上述のいくつかの実施形態では、管状摺動停止部21bは、摺動アセンブリ30が壁21b’に当接し、摺動アセンブリ30の更なる並進を防止するときに、緩やかに降伏するより軟質の又は弾性材料を有してもよい。これは、使用者が穏やか又は緩やかな停止として感じてもよい触覚フィードバックを提供する。これは、シース90がその最大の偏向にほぼ到達していることを使用者に示してもよい。1つの例においては、管状摺動停止部21bは、その上に取り付けられているシース90の外径よりも実質的に大きな直径を有してもよい。一実施形態において、図10eに示すように、管状摺動停止部21bは摺動アセンブリ30の先端側に配置されており、基端壁21y’を規定するカラー21yの形態である。1つの例においては、カラー21yは剛性材料を含む。例えば、ノブ10の反時計回りの回転下において、摺動アセンブリ30は先端側に移動し、カラー21yの壁21y’によって停止される。
上述のように、いくつかの実施形態では、摺動制限要素又は摺動停止部は内部ハウジング20aとともに横断面に沿って延在するバー21cを有する。1つの例においては、バー21cは摺動アセンブリ30とプーリアセンブリ50との間に配置されている。バー21cは、摺動アセンブリ30がバーの壁21c’に当接する際の摺動アセンブリ30の動きを妨害又は限定し、よって、摺動アセンブリ30が移動可能な総並進距離を限定する。これは、結果的に、1つ以上のワイヤ40、42にかけられうる張力の量を限定し、よって、シース90の偏向を制限する。
上述のように、いくつかの実施形態では、摺動制限要素は、トラック21aに沿った箇所において内部ハウジング20aの内腔内に延在するリベットを含んでもよい。リベット21dはトラック21aの開口部内に配置され、その中において摩擦係合により維持されてもよい。リベットは並進する摺動アセンブリ30の経路を遮断し、トラック21aの長さを効果的に短縮する。この一例においては、トラック21a内に設けられた複数の開口部又は穴があってもよく、リベット21dの位置は調整可能であってもよい。換言すると、リベット21dは開口部の任意の1つに配置されてもよい。これにより、使用者がトラック21aの長さ、及び摺動アセンブリ30の要求される並進距離、及びその結果として、シース90の先端部の要求される偏向を変更可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、リベット21dは摺動アセンブリ30の動きを遮断するため二次構成要素とともに機能する。リベットは内部ハウジング20aの内腔内の二次構成要素にしっかりと固定される。このいくつかの例においては、摺動アセンブリ30の並進範囲、及びその結果としてシース90の偏向を変化させるため、二次構成要素の長手方向の長さは調節可能であってもよい。別法として、例えば、二次構成要素の長さを変更して摺動アセンブリ30の最大許容並進を調節するための機械的手段を起動するためのアクチュエータが提供されてもよい。
上述のように、及び図10hに示すように、また更なる代替形態においては、摺動限定構成要素又は摺動停止部は、内部ハウジング20aの内腔内で先端側へ伸びたプーリアセンブリ50の延長部21eを含んでもよい。延長部21eはシース90の欠陥を制限するため、本明細書中に上記した摺動アセンブリの動きを妨げるように機能する。
二方向に操縦可能なカテーテルの概要
ここで図12Aを参照すると、本発明の一実施形態により、二方向に操縦可能なシース又はカテーテル90において使用するためのカテーテル制御システム又はハンドル200が示される。図12Aに示すように、操縦可能なカテーテルハンドル200は、構造的及び動作において前述のハンドル100に類似する。ハンドル200は、ハウジング20(内部ハウジング20a及び外部ハウジング20bを含む)に結合されたノブ10(内部ノブ10a及び外部ノブ10bそれぞれを含む)を有するアクチュエータを有する。内部ノブ10aは、図12Bに示される、摺動アセンブリ30のボルト32の雄ねじ33と協動する雌ねじを有する。第1の方向における作動時、例えば、ノブ10の、第1の回転方向における回転時、摺動アセンブリ30のキャリッジ34にクリンプを介して結合された2つの制御ワイヤ40、42のうちの一方に張力をかけるため、摺動アセンブリ30を内部ハウジング20a内で第1の直線方向に移動するようにハンドル200を操作することが可能である。第2の方向への動作時、例えば、第2の回転方向におけるノブ10の回転時、2つの制御ワイヤ40、42のうちのもう一方に張力をかけるため、摺動アセンブリ30を内部ハウジング20a内で第2の直線方向へ移動するようにハンドル200を操作することが可能である。
本発明のいくつかの実施形態は、少なくとも2つの偏向方向を有する二方向に操縦可能なカテーテルの一方向の制御を提供するための一方向制御システムを有する。制御システムは、少なくとも2つの制御ワイヤに結合されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、第1制御ワイヤに張力をかけ、二方向に操縦可能なカテーテルを中立位置から第1の偏向方向に偏向するため、第1制御ワイヤを能動的に作動し、アクチュエータは、第2制御ワイヤに張力をかけ、操縦可能なカテーテルをその中立位置に向かって非偏向(un-deflect)し、二方向に操縦可能なカテーテルがその元の位置に戻ることを可能にするため、第2制御ワイヤを能動的に作動する。
前述のように、及びここで図12A~12Cに示されるように、各偏向方向のシース90の曲率もまた、摺動制限要素の使用と併せて摺動アセンブリ30の中立位置を変えることによって調節されうる。摺動アセンブリの中立位置は、両制御ワイヤ40、42が張力をかけられていない又は緩和状態にある位置である。図12Bに示されるように、摺動制限要素(例えば、管状摺動停止部221b)は、内腔24内での内部ハウジング20aの窓26に沿った、摺動アセンブリ30の総利用可能並進範囲(total available translation range)[R]を制限する。摺動アセンブリ30の中立位置は、その後、摺動アセンブリ30の可動域を基端側方向及び先端側方向のそれぞれに配分するために調節されてもよい。
本発明の二方向に操縦可能なカテーテルに一方向の機能性を付与するために、中立位置は、2つの並進方向のうちの一方向に割り当てられた摺動アセンブリの可動域が、実質的に限定されるように設定される。図12Bに示される実施形態においては、中立位置[N]は、摺動停止部221bから特定距離[S]にある並進範囲[R]の基端側境界に隣接するように設定され、これにより、基端側方向における摺動アセンブリの並進が実質的に制限される。換言すると、基端側方向における摺動アセンブリ30の動きのための余地は限られている(摺動アセンブリ30と摺動停止部221bの先端壁221b’との間の限られた量のスペース又は距離[S]によって示されるように)。その結果、第2の偏向方向におけるシース又はカテーテル90の偏向は実質的に排除され、ハンドル200がカテーテル90に対してその第1偏向方向における一方向の機能性を付与することを可能にし、カテーテル90が第1の偏向された状態又は位置を達成することを可能にする。
前述のように、制御システム又はハンドル200の使用時、ノブ10が反時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30はその中立位置から先端側に移動し、ワイヤ42に張力をかけ、カテーテル90をその第1偏向方向に偏向する。ノブ10が、その後、時計回りに回転されると、摺動アセンブリ30はその中立位置に戻り、制御ワイヤ42から張力が除去され、カテーテル90がその非偏向又は公称形状又は状態/位置に近いところまで戻ることを可能にする。しかしながら、カテーテル90の長さ方向における制御ワイヤ42とカテーテル(又はシース)90の本体との間の摩擦による抵抗により、カテーテル90が実質的にその非偏向又は公称形状に戻ることが防げられる。カテーテル90の本体にはわずかなカール又は曲がりが尚認められる。したがって、カテーテル90がその公称形状に戻ることを可能にするためには、カテーテル90の長さ方向における制御ワイヤ42とカテーテル90との間の摩擦に打ち勝つ必要がある。この、カテーテル90と制御ワイヤ42との間の摩擦に打ち勝つために、ノブ10を更に時計回り方向に回転させて、反対の制御ワイヤ40が作動される。これにより、摺動アセンブリ30が摺動停止部221bに当接するまで摺動アセンブリ30がその中立位置から距離[S]だけ基端側に移動することが可能になる。これにより、制御ワイヤ42とカテーテル90との間の摩擦の力に打ち勝つことによって、カテーテル90を伸ばすこと、又は換言すると、カテーテルがその非偏向又は公称状態又は位置に戻ることが可能になる。いくつかの実施形態では、カテーテル90を伸ばすために摺動アセンブリ30が移動する距離[S](摺動停止部221bから摺動アセンブリ30の基端壁まで測定した摺動アセンブリ30の中立位置に等しい)は約2mmである。いくつかのそのような例においては、距離[S]は約1.5mm~約2.5mmの範囲であってもよい。したがって、1つの特定の実施形態においては、摺動アセンブリ30の中立位置は、ノブ10の時計回りの回転時にカテーテルが伸びる際、カテーテルが実質的にその公称形状又は位置に戻ることを可能にするのに十分であるほどに設定される。しかしながら、摺動アセンブリの更なる動きが摺動停止部221bによって制限されるため、ノブ10の更なる時計回りの回転によりカテーテルをその第2の偏向方向に偏向し、第2の偏向された状態又は位置を達成することはできない。したがって、第2の偏向方向へのカテーテル90の偏向は実質的に限定又は制限される。つまり、第2の偏向方向へカテーテル90は偏向しない。よって、本発明の制御システム又はハンドル200は二方向に操縦可能なカテーテルの一方向の使用を可能にする。
いくつかの実施形態では、図12Cに示されるように、摺動停止部221bは、上記のように、摺動アセンブリ30の基端側の位置において使用されてもよい。しかしながら、図12Bの実施形態とは異なり、摺動停止部221bは、反対方向、すなわち先端側方向への摺動アセンブリの動きを制限し、シース又はカテーテル90が第1偏向方向へ偏向することを実質的に制限するために使用される。これは、図12Cに示されるように摺動アセンブリ30の中立位置[N]を変更することによって実現されてもよい。示されるように、中立位置は、内部ハウジング20aの窓26の先端壁20a’から距離[S]の位置に、並進範囲[R]の先端側境界に実質的に隣接するように設定される。距離[S]は窓26の先端壁20a’から摺動アセンブリ30のハウジング38の先端壁までである。1つの例においては、距離[S]は約2mmである。いくつかのそのような例においては、距離[S]は約1.5mm~約2.5mmの範囲であってもよい。ノブ10の反時計回りの回転時、この中立位置[N]は先端側方向における摺動アセンブリの並進を実質的に制限する。その結果、第1偏向方向へのカテーテル90の偏向が実質的に排除されるように制御ワイヤ42に最小限の力が作用する。
別法として、摺動アセンブリの先端側への動きを実質的に制限することにより二方向操縦カテーテルの一方向での使用を可能にするために、摺動制限要素は摺動アセンブリ30の先端側に配置されてもよい。1つのそのような例においては、摺動制限要素は摺動アセンブリ30のキャリッジ34の先端側に配置されてもよい(図10eに示されるカラー21yに類似する)。ノブの反時計回りの回転時、シース又はカテーテル90が第1偏向方向へ偏向することを実質的に排除するために、カラーは摺動アセンブリ30の先端側への動きを実質的に制限する。しかしながら、ノブの時計回りの回転時、制御ワイヤ40を引き、カテーテルが第2の偏向方向へ偏向するために、摺動アセンブリ30はハンドル内において基端側に自由に移動する。したがって、摺動制限要素は、別法として、カテーテルの第1偏向方向への偏向を実質的に排除するために摺動アセンブリの動きを制限する一方で、その第2の偏向方向における偏向を可能にすることによって、二方向操縦カテーテルの一方向での使用を可能にするために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、カラー21yは、摺動アセンブリ30の先端側への限られた動きを可能にし、カテーテルがその第2の偏向方向に偏向された後、カテーテルを直線にする又は伸ばすことを可能にするために配置されてもよい。
一代替形態として、摺動アセンブリの直線並進方向を1方向へ実質的に制限し、二方向に操縦可能なカテーテルの一方向での使用を可能にするため、本明細書中の図10a~10hで説明した摺動制限要素のいずれを使用してもよい。
Claims (14)
- 操縦可能なカテーテルの二方向制御のための制御システムであって、前記カテーテルが少なくとも2つの制御ワイヤを含み、前記制御ワイヤのそれぞれの先端部がその先端領域において前記カテーテルに結合されており、
前記カテーテルに結合され、内部ハウジングであって、前記内部ハウジングの長さに沿って延びる溝を有する内部ハウジングを規定するハウジングと、
前記内部ハウジングに配置される摺動アセンブリであって、前記内部ハウジングと前記摺動アセンブリとの相対移動を可能にするように、前記溝と摺動可能に係合する突起部を有するとともに、その中で直線的に移動するように動作可能な摺動アセンブリと、
前記摺動アセンブリ内に配置された前記少なくとも2つの制御ワイヤの基端部分であって、前記少なくとも2つの制御ワイヤの1つが方向反転要素を介して前記摺動アセンブリに間接的に結合されている、基端部分と、
前記ハウジングに回転自在に結合されており、前記摺動アセンブリを直線的に移動させることによって前記摺動アセンブリが前記少なくとも2つの制御ワイヤのそれぞれを別個に操作し、前記カテーテルの偏向の変化を生じさせることを可能にするための制御ノブと、を含み、
前記摺動アセンブリは、前記摺動アセンブリの直線的な移動を制限するための摺動制限機構を更に有する、制御システム。 - 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動制限機構は、前記溝のそれぞれの端部に配置された端部壁を有する、制御システム。
- 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動制限機構は、前記溝に沿って配置されたストッパを有する、制御システム。
- 請求項3に記載の制御システムであって、前記ストッパの位置は調整可能である、制御システム。
- 請求項4に記載の制御システムであって、前記ストッパは、前記溝の中の開口部を通して挿入されるピンを有する、制御システム。
- 請求項3に記載の制御システムであって、前記ストッパはリベットを有する、制御システム。
- 請求項4に記載の制御システムであって、前記ストッパは、調整可能であり、前記操縦可能なカテーテルの制御ハンドル上のアクチュエータを介して調整され得る、制御システム。
- 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動制限機構は、管状ストッパを有する、制御システム。
- 請求項8に記載の制御システムであって、前記管状ストッパは、シース上にあり、前記シースは、制御ハンドルの近位端部から延び、前記制御ハンドルの遠位端部から出ている、制御システム。
- 請求項8に記載の制御システムであって、前記管状ストッパは、軟質または弾性のある材料で構成されている、制御システム。
- 請求項8に記載の制御システムであって、前記管状ストッパは、硬質または剛性のある材料で構成されている、制御システム。
- 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動制限機構は、前記内部ハウジング全体に側方に延びたバーを有し、前記バーは前記内部ハウジングの壁を規定する、制御システム。
- 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動制限機構は、前記内部ハウジングのルーメンに先端側へ延びたプーリアセンブリ延長部を有する摺動停止部を有する、制御システム。
- 請求項1に記載の制御システムであって、前記摺動アセンブリは、ボルトと中間ハウジングとを有し、前記中間ハウジングは、キャリッジを有し、前記少なくとも2つの制御ワイヤの前記先端部は、前記キャリッジを通して配置され、前記キャリッジに作動可能に結合されている、制御システム。
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