JPS6112961Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内視鏡の湾曲操作装置に必要とされる
操作ワイヤーの弛み吸収装置の改良に関するもの
である。

内視鏡においては、先端部を体腔内に挿入する
挿入操作時の進入路選択や観察時において行なう
内視窓の向きを確保するために、該先端部の向き
を変える湾曲操作が必要とされている。そのため
に、この先端部から手許操作部まで一対の操作ワ
イヤーが延設され、これ等一対の操作ワイヤーの
夫々を手許操作部において互に緩緊させる遠隔操
作手段が採られている。

ところで、このような遠隔操作手段による湾曲
操作では、手許操作部における操作と先端部にお
ける実際の湾曲動作とが厳密には一致せず遊びが
生じ易く、微妙な先端部の動きを必要とするこの
種内視鏡操作にあつて、甚だ不都合となる。この
ため、上記操作ワイヤーを含む作動部間の連結機
構には遊び域が生じないように、特にワイヤーは
その緊張方向の移動に対して遊びがないように構
成しなければならない。

一方、この種ワイヤーはその配設経路にけける
柔軟性を意図して撚り線が用いられるが、撚り線
を用いることにより、緊張使用下の経時変化によ
つて線材そのものの伸びを生じ易く、加えて撚り
戻りによる伸びが生じる。従つて、予め緊張状態
を保つてワイヤーを設置しても、使用による前記
二種類の伸びを吸収するための弛み吸収装置が必
要となる。

そして、この弛み吸収装置としてはまた、前述
の経時的再調整を行なう必要があることから、弛
み吸収のための調整作業が簡便に行えるようにす
ることが強く望まれる。

また、この種一対のワイヤーによる湾曲操作装
置では、その緩緊操作により緩められる側のワイ
ヤーは特に該ワイヤーの手許操作部内の配置部分
で弛みが発生し易いことも判明した。従つて、こ
のような操作状態におけるワイヤーの弛みを吸収
することもまた必要とされる。

本考案ではこのようなワイヤーの弛みを吸収す
る装置特に前記経時変化によるワイヤーの遊びを
吸収するようにしたものであつて、而もその吸収
のための調整作業を極めて簡便且つ確実に行うこ
との出来る装置を提供しようとするものである。

以下、図示の実施例について詳述する。

第１図は本考案装置の一実施例を示すもので、
手許操作部の要部を一部縦断して示す側面図であ
る。手許操作部本体に配設した操作ダイヤル軸１
にプーリー２を固定し、該プーリー２には滑り止
めを与えた状態で操作側ワイヤー３を捲回してあ
る。操作側ワイヤー３の両端は弛み吸収部材４ａ
及じ４ｂに夫々導いてある。この弛み吸収部材４
ａ及び４ｂは、第２図にその１つを拡大斜視図で
示す如く、厚板状の金属製杆体で造られ、端部の
ワイヤー溝５の開穿部分を残してその長手方向に
沿う巾広の長溝６を穿設してあり、これに続いて
長手方向に沿う樋状の捻子溝７を設けてある。特
に、この捻子溝７は螺条穿設の略半周域の螺合面
を残して、他の半面に相当する部分を切削ぎ樋状
の形状を与えてある。前記操作側ワイヤー３の両
端には係止片８ａ及び同８ｂを夫々固定し、これ
ら係止片８ａ，８ｂを前記弛み吸収部材４ａ及び
４ｂの各長溝６に夫々摺嵌させ、該ワイヤー３を
ワイヤー溝５に差し入れた状態で弛み吸収部材４
ａ，４ｂに保持させてある。

９ａ，９ｂは一対のワイヤーで、それ等の前端
は内視鏡先端部（図示せず）の湾曲作動部に夫々
取付けてあり、各後端には捻子杆１０ａ及び１０
ｂを夫々一体的に固定してある。そして、これ等
捻子杆１０ａ及び１０ｂを前記弛み吸収部材４ａ
及び４ｂの前記各捻子溝７にその切削れた側から
嵌め込んで係合させてある。

操作側のワイヤー３、一対のワイヤー９ａ，９
ｂ及びこれらを連結する各弛み吸収部材４ａ，４
ｂを収容する手許操作部は、両側に摺動面をもつ
た細長い固定部材１１と、その幅より大きな幅を
もつてこれにかぶせられたコ字形の断面をもつカ
バー部材１２とによつて、固定部材１１の両側に
通路１３を形成してあり、操作側ワイヤー３、一
対のワイヤー９ａ，９ｂ及びこれらを連結する各
弛み吸収部材４ａ，４ｂは、夫々これらの通路１
３，１３に収められ、各弛み吸収部材４ａ，４ｂ
は、操作側ワイヤー３を動かすワイヤー操作に連
れて、これら通路１３内でこれに沿つて摺動する
ようになされている。これらの他、符号１５は前
記一対のワイヤー９ａ及び９ｂを先端湾曲作動部
に導く導管、１６は前記捻子杆１０ａ及び１０ｂ
の両端に夫々螺着した端末片である。

このような構成よりなる本考案装置では、予め
手許操作部本体側の機構と可撓管を以つて構成さ
れる先端部側の機構とを夫々独立的に組付け加工
し、操作側ワイヤー３とワイヤー９ａ及び９ｂと
をカバー部材１２を外した状態で通路１３に臨ま
せ、弛み吸収部材４ａ及び４ｂをもつて連結接続
することとなるが、この連結接続に際して、先
ず、操作側ワイヤー３の両端の係止片８ａ及び８
ｂを弛み吸収部材４ａ及び４ｂの長溝６に夫々第
１図示の如く嵌め込み、他方、一対のワイヤー９
ａ及び９ｂの端部の捻子杆１０ａ及び１０ｂを
夫々の捻子溝７にその切削れた部分から押し込む
ようにして嵌め込み、捻子杆１０ａ，１０ｂと捻
子溝７，７との螺状を噛み合せて係合保持する
が、このとき、上記の嵌め込みは、一対のワイヤ
ー９ａ及び９ｂが湾曲作動部のある先端部との間
で充分に緊張状態にあるように、各捻子杆１０ａ
及び１０ｂを充分に手許操作部側に引くようにし
て行なう。この接続操作で、充分に引かれたワイ
ヤー９ａまたは９ｂと捻子杆１０ａまたは１０ｂ
は、前記弛み吸収部材４ａまたは４ｂの各捻子溝
部７に対する係嵌位置が異なる場合もあるが、こ
れ等捻子杆と捻子溝との間の螺条構成部分が充分
に嵌合する限りにおいて、前記位置の異なる状態
でも確実な係合連結が可能である。

従つて、一対のワイヤー９ａ及び９ｂは弛み吸
収部材４ａ及び４ｂに対して弛みのない適正な状
態で取付けられ、カバー部材１２の装置などの組
付け完了を経て、使用時に操作ダイヤル軸１の回
動操作により湾曲駆動させると、この操作で緊張
される側の操作側ワイヤー３の端及び一対のワイ
ヤーの一方例えばワイヤー９ａで構成される連結
側は、第１図示の如く、前記ワイヤー３の端の係
止片８ａが長溝６の一端側で係止されて、その弛
み吸収部材４ａを図上左方向に引くので、これに
連れて捻子溝７に係止保持された捻子杆１０ａを
介してワイヤー９ａが同じく引きよせられる。こ
の操作で、湾曲作動部のある内視鏡先端部は、ワ
イヤー９ａの引き動作により、先端部における該
ワイヤー９ａの取付け側に向かつて偏倚湾曲す
る。一方、この操作で緩め側となる操作側ワイヤ
ー３の端は、前記先端部の湾曲動作にまかせて先
端部側に向けて引かれ移動するワイヤー９ｂの移
動量と、プーリー２の回動によつて所定量だけ送
り出される該ワイヤー３の端の移動量との間に差
が生ずるが、弛み吸収部材４ｂの長溝６内で係止
片８ｂが上記移動差に相当する長さだけ摺動する
から、操作側ワイヤー３及びワイヤー９ｂに弛み
を生じさせることなく保たれる。同様にして、逆
方向への湾曲操作は、操作ダイヤル軸１及びプー
リー２を前記操作とは逆方向へ回動する操作によ
つて行なわれるが、その場合にもワイヤー９ａの
移動量と、操作側ワイヤー３が繰り出される移動
量との差は、係止片８ａが長溝６内で摺動するこ
とにより、同様に吸収消除される。

内視鏡使用による上述のような湾曲操作の反復
で緊張と緩みとを繰り返されるワイヤー、特に長
尺のワイヤー９ａ及び９ｂには次第に永久伸びが
生じてくる。斯くして、操作ダイヤル軸１と一体
の摘み部材の回動操作に遊びが感じられるように
なつた際には、ワイヤー９ａ及び９ｂと弛み吸収
部材４ａ及び４ｂとの間の取付け位置の再調整が
必要であるが、この場合には、カバー部材１２を
取外した状態で弛み吸収部材４ａ及び４ｂから一
旦捻子杆１０ａまたは１０ｂを摘み上げて取外
し、再度ワイヤー９ａ及び９ｂを引いて緊張さ
せ、緊張状態のまゝでこれら捻子杆１０ａまたは
１０ｂをそれ等の弛み吸収部材４ａまたは４ｂに
嵌めなおすことによつて、この遊び及びワイヤー
弛みを吸収することが出来る。

なお、この経時使用によるワイヤーの伸びには
該ワイヤーの撚り戻りに起因する量もあり、この
撚り戻りを考慮して、ワイヤー９ａ，９ｂ端に固
定する捻子杆１０ａ及び１０ｂの螺条をワイヤー
の撚り方向（普通Ｚ撚り）に対して逆方向のピツ
チを以つて構成することにより、ワイヤー緊張の
初期に顕著に生じる撚り戻りによる伸びをワイヤ
ーの回り動作に連れて回動する捻子杆１０ａ及び
１０ｂの回動によつて吸収させることができる。
即ち、ワイヤーの撚り戻りの現象で捻子杆１０
ａ，１０ｂが回されると、この回動作用により捻
子杆１０ａ，１０ｂは弛み吸収部材４ａまたは４
ｂ中に侵入し、この螺合移動がワイヤーの伸びに
よる弛みを吸収する向きに行なわれるので弛み吸
収上効果的となる。

このように、本考案装置では、手許操作部と内
視鏡先端部との間を結びワイヤーの中間に、弛み
吸収部材を配置し、これによつてワイヤー接続を
図るように構成してあるので、手許操作部側及び
先端部側を夫々独立的に組み立て最終的に前記弛
み吸収部材によつて各ワイヤー間の接続が出来る
ので、組立て作業が簡単となる利点がある。加え
て、弛み吸収部材及びこれに関する各ワイヤー端
末及びその部品の加工並びに取付が予め別々に作
業可能であることから、作業性の簡便さと接続組
付けが容易であり、しかも、この接続組付けに際
して、弛み吸収部材に設けた捻子溝はその直径方
向に半載した構成としたので、この溝に捻子杆を
嵌め込むという極めて簡単な作業で溝及び杆の螺
条の噛み合せによる強い引掛りと高い摩擦抵抗に
よる確実な係止保持が出来、特に、これ等噛み合
う螺条の範囲内で捻子溝に対する捻子杆の取付け
位置を自由に決めることが可能となる。しかも、
この位置決めは、螺条相互の嵌合状態により、略
無段階に行えるので、ワイヤー長さの微細な調節
を効果的に行い得ると共に、前記組付け作業の容
易さと相俟つて、ワイヤーの経時使用による、永
久伸びを生じた際に、その吸収のための長さ再調
節が極めて容易であるという特長がある。

更に、本考案装置によれば、弛み吸収部材に対
するワイヤー接続に際して、捻じり操作を必要と
しないので、ワイヤー撚れ等の不都合も生じるこ
となく、また、組付け工具などの附属部品も必要
でないので、該機構部の分解修理なども容易に行
い得る等の副次的効果をも有するものである。

なお、本考案装置において、捻子杆とワイヤー
との取付けは図示実施例の如く鑞付け等による一
体構成の他に、捻子杆に設けたワイヤー通し孔に
差し通し、そのワイヤー端に、孔抜け防止用の端
末片を固定するような構成を採用してもよいこと
は勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の一実施例を示すもので、
手許操作部本体の要部を一部縦断して示す側面
図、第２図は本考案装置における弛み吸収部材の
一例を拡大して示す斜視図、第３図は第１図上Ａ
−Ａ線部分の縦断側面図、第４図は同じく第１図
上Ｂ−Ｂ線部分の縦断側面図である。 ３……操作側ワイヤー、４ａ，４ｂ……弛み吸
収部材、６……長溝、７……捻子溝、９ａ及び９
ｂ……一対のワイヤー、１０ａ及び１０ｂ……捻
子杆。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内視鏡の先端湾曲部に至る先端側ワイヤと、当
   該先端湾曲部を湾曲操作する手許操作装置からの
   操作装置側ワイヤとを相互に連結する連結手段を
   具備し、これにより、手許操作装置での操作を先
   端湾曲部に伝える内視鏡の湾曲操作機構におい
   て、当該操作装置側ワイヤの端部に固着した係止
   片を当該連結部材内で移動自在に受容することに
   よりワイヤの弛みを吸収する装置であつて、 当該連結部材の先端湾曲部側に略半周に亘る捻
   子溝を設けると共に、先端側ワイヤの端部にはこ
   の捻子溝と螺合する捻子杆を固定し、当該捻子杆
   を当該捻子溝に螺合することで両者を連結するこ
   とと、 当該捻子杆及び捻子溝の捻子は、先端側ワイヤ
   の撚りの戻りによる伸びを吸収する方向の捻子で
   あることと、 当該連結部材にカバーを被せることにより当該
   捻子杆が当該連結部材から外れるのを防止するこ
   と とを特徴とする内視鏡の湾曲操作機構における弛
   み吸収装置。