以下、遮断機駆動部監視装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遮断機駆動部監視装置の一実施形態が設置される踏切を示す模式図である。
この図1に示されている踏切1は、鉄道の線路R11と道路R12とが交差する箇所に設置される設備であり、2箇所の遮断機11、2箇所の警報機12、及び踏切器具箱13を備えている。遮断機11と警報機12は、道路R12を挟んで対をなすように、更に線路R11を挟んでも対をなすように配置されている。
遮断機11は、遮断桿11aと、その遮断桿11aを昇降して遮断機11を開閉する駆動部11bと、を備え、列車の通過時に遮断桿11aを下げることで人や車両の線路R11への侵入を規制する。
警報機12は、柱状物12a、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を備えている。柱状物12aは、線路R11及び道路R12の脇に立設され、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を支持する。標示板12bは、本設備が踏切1の警報機12であること示すものである。スピーカ12cは、柱状物12aの上端側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて警報音を発する。本実施形態では、この警報音は、一例として700Hzと750Hzの発振信号を合成した音信号に応じた音の振幅が増減するように鳴動する音となっている。警報灯12dは、柱状物12aにおける標示板12bの下側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて、上記の警報音に応じて点滅を繰り返して視覚的に警報する。
踏切器具箱13は、一の遮断機11の隣に設置され、各遮断機11や各警報機12の動作制御を行うとともに、踏切1の監視に関する各種情報を収集し、ネットワークユニット2を介して所定の指令サーバ3との間でやり取りする各種装置を収納した設備である。
ここで、本実施形態では、踏切器具箱13に、各遮断機11の駆動部11bを監視し、監視データを生成して踏切器具箱13における本体ユニット13aに向けて出力する遮断機駆動部監視装置100が設置されている。
図2は、図1に示されている踏切器具箱内の各種装置を、遮断機駆動部監視装置から出力される監視データの流れに注目して示すブロック図である。
踏切器具箱13には、全体制御装置13-1、本体ユニット13a、電源装置13b、接点入出力装置13c、長距離無線モジュール13d、及び遮断機駆動部監視装置100が設置されている。
全体制御装置13-1は、遮断機11や警報機12等といった踏切1に設けられた装置や、踏切器具箱内の各種装置を含む、踏切全体の制御を司るものである。
本体ユニット13aは、遮断機駆動部監視装置100から監視データを受け取って各種処理を施し、監視データや処理結果を、長距離無線モジュール13dを介してネットワークユニット2に無線で出力する。電源装置13bは、例えば外部から商用電源等の電力供給を受けて、24Vの直流電力に変換して各装置に供給する。接点入出力装置13cは、全体制御装置13-1の制御の下で、本体ユニット13aとの間で、各遮断機11や各警報機12の動作状態を表す踏切動作信号の遣り取りする。長距離無線モジュール13dは、ネットワークユニット2を介して指令サーバ3との間で無線通信を行う。ここでの無線通信は、例えばLPWA(Low Power Wide Area:登録商標)の一種であるLoRa(Long Range:登録商標)や、LTE(Long Term Evolution:登録商標)等といった無線通信規格に則って行われる。
また、本体ユニット13aには、メンテナンス用のPC(Personal Computer)4の有線での接続が可能となっている。メンテナンス時には、このPC4を介して、本体ユニット13aに対する各種パラメータの設定/変更や、本体ユニット13aからの各種データの吸い上げ等が行われる。本体ユニット13aとPC4との有線接続における通信は、例えばRS232C(Recommended Standard 232C)等の通信規格に則って行われる。
遮断機駆動部監視装置100は、上述したように各遮断機11の駆動部11bを監視し、監視データを生成して踏切器具箱13における本体ユニット13aに向けて有線で出力する。
遮断機駆動部監視装置100と本体ユニット13aとの有線接続における通信は、デイジー・チェーンネットワークを構成することができるRS485(Recommended Standard 485)の規格に則って行われる。遮断機駆動部監視装置100からの監視データは、この有線接続を介して本体ユニット13aで受け取られる。本体ユニット13aは受け取った各監視データや各種処理結果を、長距離無線モジュール13dを介してネットワークユニット2に無線で出力し、各監視データ等はそのネットワークユニット2から指令サーバ3へと送られる。
本実施形態における踏切1は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、踏切における遮断機や警報機の設置数、設置位置、機器構成、踏切器具箱の内部構成、踏切器具箱と外部装置との接続形態や通信規格等は、何れも図1や図2を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
次に、図1及び図2に模式的に示されている、遮断機駆動部監視装置100について詳細に説明する。図1に模式的に示されているように遮断機駆動部監視装置100は、監視ユニット100a、電流センサ100b、及び電圧センサ100c、を備えている。
図3は、図1及び図2に模式的に示されている、遮断機駆動部監視装置における監視ユニットの外観図であり、図4は、図1及び図2に模式的に示されている、遮断機駆動部監視装置における電流検出部及び電圧検出部の外観図である。
遮断機駆動部監視装置100における監視ユニット100aは、略直方体状の金属ケース100a-1に各種回路基板等が収容されたものであり、踏切器具箱13における装置ラックに収納される。監視ユニット100aにおける一方の端面には、2つの電流用コネクタ100a-2、2つの電圧用コネクタ100a-3、2つの本体用コネクタ100a-4が設けられている。電流用コネクタ100a-2には、電流センサ100bにおけるケーブルコネクタ100b-3が接続される。電圧用コネクタ100a-3には、電圧センサ100cにおけるケーブルコネクタ100c-3が接続される。本体用コネクタ100a-4は、遮断機駆動部監視装置100を踏切器具箱13の本体ユニット13aに接続するための接続ケーブルの端部コネクタが接続される。電流用コネクタ100a-2、電圧用コネクタ100a-3、及び本体用コネクタ100a-4は、踏切1に2台設置される遮断機11それぞれについての監視用に2つずつ設けられている。
また、監視ユニット100aにおける他方の端面には、メンテナンス用コネクタ100a-5、及び設定用スイッチ100a-6が1つずつ設けられ、更に、動作表示のためのLED(Light Emitting Diode)100a-7が設けられている。メンテナンス用コネクタ100a-5には、メンテナンス時にメンテナンス用のPC4が所定の接続ケーブルを介して接続される。設定用スイッチ100a-6は、複数のスイッチのオン/オフの組合せにより各種設定入力を行うものである。LED100a-7は、遮断機駆動部監視装置100のオン/オフ状態を表示するものである。
電流センサ100bは、電流クランプ100b-1、センサケーブル100b-2、及びケーブルコネクタ100b-3、を備えている。電流クランプ100b-1は、端部の検出孔100b-1aを遮断機11の駆動部11bへと向かうケーブルが貫通するように設置され、このケーブルを流れる電流を非破壊的に検出するものである。この電流クランプ100b-1からセンサケーブル100b-2が延出し、その端部におけるケーブルコネクタ100b-3が上述したように監視ユニット100aの電流用コネクタ100a-2に接続される。この電流センサ100bが、2台の遮断機11それぞれについての監視用に2つ設けられている。
電圧センサ100cは、電圧測定端100c-1、センサケーブル100c-2、及びケーブルコネクタ100c-3、を備えている。電圧測定端100c-1は、端部が遮断機11の駆動部11bへと向かうケーブルにおける電圧測定箇所に接続されて電圧を検出するものである。この電圧測定端100c-1からセンサケーブル100c-2が延出し、その端部におけるケーブルコネクタ100c-3が監視ユニット100aの電圧用コネクタ100a-3に接続される。この電圧センサ100cが、2台の遮断機11それぞれについての監視用に2つ設けられている。
図5は、図3及び図4に示されている遮断機駆動部監視装置のハードウェア構成を、図3に示されている監視ユニットの内部構成に注目して模式的に示すブロック図である。
監視ユニット100aにおける金属ケース100a-1の内部には、本体基板101と、端子基板102と、が搭載されている。
本体基板101は、遮断機11の駆動部11bを監視するための電流/電圧測定に関する各種処理を行う部位である。この本体基板101には、上述した2つの電流用コネクタ100a-2、2つの電圧用コネクタ100a-3、メンテナンス用コネクタ100a-5、設定用スイッチ100a-6、及びLED100a-7の他に、基板接続用コネクタ101a、が設けられている。電流用コネクタ100a-2には電流センサ100bのケーブルコネクタ100b-3が接続され、電圧用コネクタ100a-3には電圧センサ100cのケーブルコネクタ100c-3が接続される。メンテナンス用コネクタ100a-5には、メンテナンス時にメンテナンス用のPCが所定の接続ケーブルを介して接続される。設定用スイッチ100a-6は、複数のスイッチのオン/オフの組合せにより各種設定入力を行うものであり、LED100a-7は、遮断機駆動部監視装置100のオン/オフ状態を表示するものである。そして、基板接続用コネクタ101aには、内部ケーブル103を介して端子基板102が接続される。
端子基板102は、RS485の規格に則った有線通信の処理を行うものであり、基板接続コネクタ102a及び2つの本体用コネクタ100a-4が搭載されている。基板接続コネクタ102aには、内部ケーブル103を介して本体基板101が接続される。本体用コネクタ100a-4には、外部接続用ケーブル100dを介して、踏切器具箱13内の本体ユニット13aが接続される。
図6は、図5に示されている本体基板におけるハードウェア構成を示す模式的なブロック図である。
本体基板101には、MPU(Micro Processing Unit)101b、検出回路101c、第1有線通信回路101d、第2有線通信回路101e、SW回路101f、リセット回路101g、セラミック発信子101h、及び電源回路101i、が搭載されている。
MPU101bは、各種信号処理を行う集積回路である。
検出回路101cは、MPU101bの制御の下で、電流センサ100b及び電圧センサ100cからの出力に対する検出等の処理を行う。
第1有線通信回路101dは、MPU101bの制御の下で、RS485の規格に則った有線通信用の信号を、端子基板102との間で遣り取りする。
第2有線通信回路101eは、MPU101bの制御の下で、例えばRS232C等の通信規格に則った有線通信用の信号を、本体基板101に接続されたメンテナンス用のPCとの間で遣り取りする。
SW回路101fは、MPU101bの制御の下で、図3に示されている設定用スイッチ100a-6における複数のスイッチのオン/オフの組合せに基づいた各種設定を行う。
図7は、図3に示されている設定用スイッチにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せの一例を表形式で示す模式図である。
この図7の例では、設定用スイッチ100a-6における8つのスイッチのうち「1」~「3」の3つのスイッチにおけるオン/オフの組合せにより、監視ユニット100aを個体識別するためのユニットナンバーが設定される。「4」のスイッチは、メンテナンスの際に、実際の監視データの代わりにメンテナンス用の模擬データを第1有線通信回路101dへと強制出力させるために用いられる。オンで模擬データの出力状態となり、オフで出力停止状態となる。また、図7の例では、「5」~「8」の4つのスイッチが不使用の空きスイッチとなっている。
設定スイッチ100a-6を設けることで、監視ユニット100aのユニットナンバーや、模擬データのオン/オフについて、メンテナンス要員が目視確認しながら設定することができる。
尚、本実施形態とは異なり、設定スイッチ100a-6を特には設けず、例えばメンテナンス用のPC等を介し、そのモニタ上で設定内容を確認しながらユニットナンバーや模擬データのオン/オフの設定を行うこととしてもよい。
図6のリセット回路101gは、MPU101bのリセットを行う。
セラミック発信子101hは、MPU101bの制御の下で、回路動作の基準となる基準クロックをMPU101bに供給する。
電源回路101iは、踏切器具箱13の本体ユニット13aから供給される電圧を、回路動作に適した電源電圧に変換してMPU101bに印加する。
本実施形態における遮断機駆動部監視装置100は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、遮断機駆動部監視装置の監視ユニットにおけるケース素材は樹脂及び金属等でよく、ケース形状についても、図3や図4に示されている形状に限るものではない。ケース素材やケース形状は、使用環境等に応じて適宜に設定し得る。また、監視ユニットにおける各種コネクタやLEDの数や配置、内部基板の接続形態や通信規格、設定スイッチの設定状態等についても、何れも図3~図7を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
次に、図3~図7に模式的に示されている遮断機駆動部監視装置100の機能に注目して説明する。
図8は、図3~図7に模式的に示されている遮断機駆動部監視装置について、その機能に注目して示す模式的な機能ブロック図である。
遮断機駆動部監視装置100は、その機能に注目すると、電流検出部111、電圧検出部112、データ生成部113、及び出力部114、を備えている。データ生成部113及び出力部114が監視ユニット100aに搭載され、本体基板101におけるMPU101bによって構築されている。
電流検出部111は、遮断機11の駆動部11bにおける駆動電流を検出する機能部位であり、電流センサ100bによって構築される。
電圧検出部112は、遮断機11の駆動部11bにおける駆動電圧を検出する機能部位であり、電圧センサ100cによって構築される。
データ生成部113は、遮断機11の駆動部11bを監視するための監視データを、非動作時電流、降下時電流、上昇時電流、非動作時電圧、降下時電圧、及び上昇時電圧、に基づいて生成する機能部位である。ここで、本実施形態では、図1に示されている警報機12が、遮断機11の遮断桿11aの降下に先立ってスピーカ12cの警報音と警報灯12dの点滅によって警報を発する。非動作時電流は、警報機12で警報が開始されるまでの、遮断桿11aが上昇して立てられた状態にある非動作時に電流検出部111で検出される電流である。降下時電流は、電流検出部111において遮断機11の遮断桿11aの降下時に検出される電流であり、上昇時電流は、電流検出部111において遮断桿11aの上昇時に検出される電流である。また、非動作時電圧は、上記の非動作時に電圧検出部112で検出される電圧である。降下時電圧は、電圧検出部112において遮断桿11aの降下時に検出される電圧であり、上昇時電圧は、電圧検出部112において遮断桿11aの上昇時に検出される電圧である。ここで、データ生成部113は、測定処理部113aと、生成処理部113bと、を有する。測定処理部113aは、上記のセンサからの電流及び電圧の検出結果を取り込んでA/D変換を含む各種処理を行う機能部位である。生成処理部113bは、測定処理部113aでの処理結果に基づいて監視データを生成する機能部位である。このデータ生成部113は、本体基板101におけるMPU101bによって構築される。
ここで、本実施形態では、データ生成部113が、警報機12による警報開始の通知を踏切器具箱13の本体ユニット13aから受ける。そして、データ生成部113は、この通知を受けるまで、即ち、警報が開始されるまでの間に電流検出部111及び電圧検出部112で検出された検出結果を非動作時電流及び非動作時電圧として採用する。データ生成部113は、警報開始の通知を受けると検出結果の採用を一旦停止する。
また、データ生成部113は、警報開始の通知後、電流検出部111での検出結果が降下開始閾値以上となってから降下遅延時間を経た後の降下測定時間に亘る電流検出部111及び電圧検出部112の検出結果を降下時電流及び降下時電圧として採用する。その後、電流検出部111での検出結果が上昇開始閾値以上となってから上昇遅延時間を経た後の上昇測定時間に亘る電流検出部111及び電圧検出部112の検出結果を上昇時電流及び上昇時電圧として採用する。
更に、降下時電流、上昇時電流、降下時電圧、及び上昇時電圧、の採用を経た後、踏切器具箱13の本体ユニット13aから、測定終了通知を受けると、再び非動作時電流及び非動作時電圧の採用を再開する。測定終了通知は、警報機12による警報終了から終了遅延時間を経た後に、踏切器具箱13の本体ユニット13aから出力される。
そして、データ生成部113は、次のような値を表すデータを監視データとして生成する。即ち、監視データは、降下測定時間に電流検出部111で検出された降下時電流の最大値、上昇測定時間に電流検出部111で検出された上昇時電流の最大値、を表す。また、監視データは、降下測定時間に電圧検出部112で検出された降下時電圧の最小値、上昇測定時間に電圧検出部112で検出された上昇時電圧の最小値、も表す。更に、監視データは、非動作時電流の最大値、非動作時電圧の最小値、をも表すものとなっている。
出力部114は、生成された監視データを、出力先としての踏切器具箱13の本体ユニット13aに出力する機能部位である。本実施形態では、データ生成部113で生成された監視データは、本体基板101における不図示のメモリに一旦記憶される。そして、出力部114は、本体ユニット13aからの出力要求を受けて監視データを出力する。そして、このときの出力は、RS485の規格に則った有線通信によって行われる。この出力部114は、本体基板101における第1有線通信回路101d及び端子基板102を介して通信を行うという意味で、MPU101bによって構築される。
次に、以上に説明した遮断機駆動部監視装置100で実行される遮断機11の駆動部11bを監視するための駆動電流及び駆動電圧の監視処理について、以下に図示するタイムチャート及びフローチャートと、を参照して説明する。
図9は、駆動電流及び駆動電圧の監視処理を表すタイムチャートを示す図である。図10は、駆動電流及び駆動電圧の監視処理のうち監視データが生成されるまでの処理の流れを表すフローチャートである。また、図11は、駆動電流及び駆動電圧の監視処理のうち監視データが生成されてから監視データの出力が完了するまでの処理の流れを表すフローチャートである。
図9のタイムチャートTC10には、列車チャートTC11、接点入力チャートTC12、イベントチャートTC13、遮断機チャートTC14、本体ユニットチャートTC15、及び電流/電圧監視チャートTC16が示されている。
列車チャートTC11には、踏切1における、列車の不在、接近、通過中、通過後、という列車の通過状況の経過が示されている。
接点入力チャートTC12には、踏切器具箱13の全体制御装置13-1が遮断機11及び警報機12を動作させたことを示す動作指示R、遮断機11の降下状態を表す信号として全体制御装置13-1から出力される降下信号R、の経過が示されている。動作指示R及び降下信号Rは全体制御装置13-1から接点入出力部13cを介して本体ユニット13aに送られる。列車の接近時に動作指示RがH→Lとなることで、警報機12が警報音S11の鳴動を開始させるとともに、降下待機時間の経過後に遮断機11が遮断桿11aの降下を開始したことが本体ユニット13aで認識される。降下完了後、降下信号RがL→Hとなることで遮断機11の降下状態が踏切器具箱13の接点入出力部13cを介して本体ユニット13aで認識される。列車が通過してしまうと、動作指示RがL→Hとなることで、警報機12が警報音S11の鳴動を終了させるとともに、遮断機11が遮断桿11aの上昇を開始したことが本体ユニット13aで認識される。この上昇開始とともに降下信号RがH→Lとなることで遮断機11の降下状態の終了が本体ユニット13aで認識される。
イベントチャートTC13には、動作指示Rの変化に応じて遮断機11及び警報機12で生じる上述の各種動作イベントの経過が示されている。即ち、警報開始、遮断桿11aの降下開始、遮断桿11aの降下量が一定量を超えたことによる遮断完了、遮断桿11aの降下終了が示されている。その後、列車の通過待ちを経て、通過後における警報終了、遮断桿11aの上昇開始、上昇終了が示されている。遮断桿11aの上昇終了の後は、後述するように、遮断機駆動部監視装置100での駆動電流及び駆動電圧の測定終了を経て、遮断機駆動部監視装置100から本体ユニット13aへの測定結果出力が行われる。
遮断機チャートTC14には、遮断機11における遮断桿11aの傾きの変化が示されている。列車不在時に鉛直に立てられて傾き角度が0°の状態にある遮断桿11aは、警報音の鳴動開始後、降下待機時間が経過すると傾き角度が90°となる水平の状態に向かって降下を開始する。所定の降下時間で傾き角度が90°に達すると列車の通過待ちとなり、列車が通過して警報音の鳴動が終了すると上昇を開始する。所定の上昇時間で傾き角度が0°の鉛直に立てられた状態となると遮断桿11aの動作が終了する。
本体ユニットチャートTC15には、本体ユニット13aから遮断機駆動部監視装置100に対しRS485の規格で行われる通信イベントが示されている。本実施形態では、本体ユニット13aからは、警報開始の通知、遮断完了の通知、測定終了の通知、及び出力要求の通信イベントが遮断機駆動部監視装置100に対して行われる。
電流/電圧監視チャートTC16には、監視チャートTC161と、出力チャートTC162と、が示されている。
監視チャートTC161には、遮断機11の駆動部11bにおける駆動電流I11と駆動電圧V11の変化と、このように変化する駆動電流I11と駆動電圧V11に対する監視タイミング等が示されている。
本実施形態では、遮断桿11aの降下時と上昇時とのそれぞれにおいて駆動電流の上昇とこれに伴う駆動電圧の電圧降下が生じる。このとき、駆動電流は、上昇開始時に突入電流による急激な上昇があり、これを経て略一定の電流に落ち着いた後、降下完了又は上昇完了とともに低下する。他方、駆動電圧では、駆動電流の上昇時に略一定の電圧降下が生じる。上述したように、データ生成部113は、駆動電流I11の検出結果が降下開始閾値L11以上となってから降下遅延時間TS11を経た後の降下測定時間TS12に亘る駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果を降下時電流及び降下時電圧として採用する。また、データ生成部113は、駆動電流I11の検出結果が上昇開始閾値L12以上となってから上昇遅延時間TS13を経た後の上昇測定時間TS14に亘る駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果を上昇時電流及び上昇時電圧として採用する。更に、データ生成部113は、列車が不在で警報開始前の非動作時にも、駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果を非動作時電流及び非動作時電圧として採用する。そして、データ生成部113は、非動作時電流の最大値、降下時電流の最大値、上昇時電流の最大値、非動作時電圧の最小値、降下時電圧の最小値、及び上昇時電圧の最小値、を表す監視データを生成して記憶する。
このような監視データの生成に関する処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、図10のフローチャートを参照して説明する。
このフローチャートの処理は、遮断機駆動部監視装置100に踏切器具箱13の本体ユニット13aを介して電源が投入されて起動すると開始される。すると、まず、各要素のイニシャライズが行われ(ステップS11)、その後、電流検出部111や電圧検出部112による検出を司る回路部分に電力が供給されて検出が開始され、駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果が非動作時電流及び非動作時電圧として採用されてメモリに記録される(ステップS12)。この間に、データ生成部113では、本体ユニット13aから、警報開始を通知する警報開始信号SG11が送られて来たか否かが判定される(ステップS13)。本体ユニット13aは、接点入出力部13cから遮断機11及び警報機12に出力される動作指示RがH→Lとなると、遮断機駆動部監視装置100に向けて警報開始信号SG11を出力して警報開始を通知する。警報開始信号SG11が送られて来ていない場合(ステップS13のNO判定)、ステップS12に処理が戻って非動作時電流及び非動作時電圧の記録が続けられる。
警報開始信号SG11が送られて来た場合(ステップS13のYES判定)、非動作時電流及び非動作時電圧の記録が停止される(ステップS14)。ただし、ステップS14による記録停止の後も電流検出部111及び電圧検出部112での検出は続けられる。この後、データ生成部113では、電流検出部111での駆動電流I11の検出結果が降下開始閾値L11以上となったか否かが判断される(ステップS15)。検出結果が降下開始閾値L11未満の場合(ステップS15のNO判定)、ステップS15の判断が繰り返されることでデータ生成部113が検出結果の上昇待ちとなる。その後、踏切1では、警報開始に続いて遮断桿11aの降下が開始されて駆動電流I11が上昇を始める。これを受けて、駆動電流I11の検出結果が降下開始閾値L11以上となると(ステップS15のYES判定)、今度は、降下開始閾値L11以上となってから降下遅延時間TS11が経過したか否かの判断が行われる(ステップS16)。
降下遅延時間TS11が経過していない場合(ステップS16のNO判定)、ステップS16の判断が繰り返されることでデータ生成部113が降下遅延時間TS11の経過待ち状態となる。降下遅延時間TS11が経過した場合(ステップS16のYES判定)、駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果が降下時電流及び降下時電圧として採用されてメモリに記録される(ステップS17)。そして、採用が開始されてから降下測定時間TS12が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS18)。降下測定時間TS12が経過していない場合(ステップS18のNO判定)、ステップS17に処理が戻って検出結果の記録が続けられる。
降下測定時間TS12が経過した場合(ステップS18のYES判定)、まず、降下時電流及び降下時電圧の記録が停止される。その上で、本体ユニット13aから遮断完了信号SG12による遮断完了の通知があって後、駆動電流I11の検出結果が上昇開始閾値L12以上となったか否かが判定される(ステップS19)。本体ユニット13aは、全体制御装置13-1から出力されて遮断機11の降下状態を表す降下信号RがL→Hとなると、遮断機駆動部監視装置100に向けて遮断完了信号SG12を出力して遮断完了を通知する。
ここで、例えば小規模の踏切等においては、本実施形態とは異なり、遮断機11の降下状態を表す降下信号Rが全体制御装置13-1から出力されない場合がある。この場合には、本体ユニット13aから遮断完了信号SG12が出力されず、データ生成部113では、次のような手法により遮断完了が推定されることとなる。例えば警報開始信号SG11で警報開始が通知されてからの経過時間や、駆動電流I11の検出結果が降下開始閾値L11以上となってからの経過時間が、遮断完了に対応した時間に達したか否か等によって遮断完了を推定する手法が一例として挙げられる。
検出結果が上昇開始閾値L12未満の場合(ステップS19のNO判定)、ステップS19の判断が繰り返されることでデータ生成部113が検出結果の上昇待ちとなる。その後、踏切1では、警報終了とともに遮断桿11aの上昇が開始されて駆動電流I11が上昇を始める。これを受けて、駆動電流I11の検出結果が上昇開始閾値L12以上となると(ステップS19のYES判定)、今度は、上昇開始閾値L12以上となってから上昇遅延時間TS13が経過したか否かの判断が行われる(ステップS20)。
上昇遅延時間TS13が経過していない場合(ステップS20のNO判定)、ステップS20の判断が繰り返されることでデータ生成部113が上昇遅延時間TS13の経過待ち状態となる。上昇遅延時間TS13が経過した場合(ステップS20のYES判定)、駆動電流I11及び駆動電圧V11の検出結果が上昇時電流及び上昇時電圧として採用されてメモリに記録される(ステップS21)。そして、採用が開始されてから上昇測定時間TS14が経過したか否かがデータ生成部113で判定される(ステップS22)。上昇測定時間TS14が経過していない場合(ステップS22のNO判定)、ステップS22に処理が戻って検出結果の記録が続けられる。
上昇測定時間TS14が経過した場合(ステップS22のYES判定)、データ生成部113では、本体ユニット13aから測定終了信号SG13による測定終了の通知があったか否かが判断される(ステップS23)。本体ユニット13aは、降下信号RがH→Lとなってから遮断桿11aの上昇終了と、遮断機駆動部監視装置100での上昇時の検出結果の記録終了と、を含む測定終了遅延時間TS15が経過すると測定終了信号SG13を出力する。測定終了の通知がない場合(ステップS23のNO判定)、ステップS23の判断が繰り返されることでデータ生成部113は本体ユニット13aからの通知待ちとなる。
測定終了の通知があった場合(ステップS23のYES判定)、データ生成部113では、監視データの生成処理が行われる(ステップS24)。監視データの生成処理は、非動作時電流、降下時電流、上昇時電流、非動作時電圧、降下時電圧、及び上昇時電圧、として採用して記録した検出結果に基づいて行われる。本実施形態では、データ生成部113では、非動作時電流の最大値、降下時電流の最大値、上昇時電流の最大値、非動作時電圧の最小値、降下時電圧の最小値、及び上昇時電圧の最小値、を表す監視データが生成され、メモリに記憶される。
監視データの生成処理が行われると、ステップS12に戻り、非動作時電流及び非動作時電圧としての電流検出部111及び電圧検出部112での検出結果の記録が再開され、次の遮断機11の動作に備える状態となる。
このようにして監視データが生成、記憶されると、今度は、出力部114において、図9の電流/電圧監視チャートTC16における出力チャートTC162に示されているような経過を辿って監視データの出力が行われる。まず、踏切器具箱13の本体ユニット13aから上述した測定終了信号SG13による測定終了の通知があるまで、出力部114は、通信に用いる端子基板102が電源OFFとなった待機状態にある。測定終了の通知があると端子基板102が電源ONとなって、出力部114は、本体ユニット13aからの出力要求信号SG14による監視データの出力要求待ちの状態となる。そして、出力要求があると、出力部114が、上記のメモリから監視データを読み出してRS485の規格に則った有線通信によって踏切器具箱13内の本体ユニット13aに向けて出力する。出力後は、端子基板102が電源OFFとなって出力部114が待機状態に戻る。
このような監視データの出力に関して出力部114で実行される処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、図11のフローチャートを参照して説明する。
このフローチャートの処理は、遮断機駆動部監視装置100に電源が投入されて起動すると開始される。すると、まず、出力部114のイニシャライズが行われる(ステップS31)。続いて、出力部114では、本体ユニット13aから測定終了信号SG13による測定終了の通知があったか否かが判断される(ステップS32)。測定終了の通知がない場合(ステップS32のNO判定)、ステップS32の判断が繰り返されることでデータ生成部113は本体ユニット13aからの通知待ちとなる。
測定終了の通知があった場合(ステップS32のYES判定)、上述したように出力部114は、本体ユニット13aからの出力要求信号SG14の受信待ちの状態となる(ステップS33)。その後、出力部114では、本体ユニット13aから出力要求信号SG14による出力要求があったか否かが判断される(ステップS34)。出力要求がない場合(ステップS34のNO判定)、ステップS33に戻って受信待ちの状態が続けられる。
出力要求があった場合(ステップS34のYES判定)、出力部114は、メモリから監視データを読み出してRS485の規格に則った有線通信によって踏切器具箱13内の本体ユニット13aに向けて出力する(ステップS35)。出力後は、端子基板102が電源OFFとなって出力部114での処理が終了し(ステップS36)、ステップS32に戻って、出力部114は次の遮断機11の動作に備える待機状態となる。
以上に説明した遮断機駆動部監視装置100によれば、遮断桿11aの昇降に伴う降下時電流及び上昇時電流に基づいて生成された監視データが踏切器具箱13の本体ユニット13aに出力される。つまり、異常判断の源泉となり得る監視データが出力されるので、その出力先たる本体ユニット13aでは、異常発生のみならず異常の兆候をも監視データを用いて捉えることができる。また、異常やその兆候は遮断桿11aの降下時と上昇時それぞれに個別に現れることがある。例えば、遮断桿11aの上昇時には、重力に逆らって遮断桿11aを上昇させることから、上昇時電流は降下時電流よりも大きくなりがちである。このため、異常やその兆候として現れる電流異常も、降下時には小さめの降下時電流に対して生じ、上昇時には大きめの上昇時電流に対して生じる場合がある。これに対し、本実施形態の遮断機駆動部監視装置100によれば、降下時電流及び上昇時電流の両方に基づく監視データが出力される。これにより、降下時電流及び上昇時電流についての異常や兆候を個別に捉えるために、小さめの降下時電流及び大きめの上昇時電流それぞれに対応した異常や兆候の判定基準を個別に設けて判定を行う等といった運用が可能となる。つまり、本実施形態の遮断機駆動部監視装置100によれば、降下時と上昇時それぞれに個別に現れる異常や兆候を漏れなく捉えることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、警報開始の通知を受けた後、電流検出部111での検出結果が降下開始閾値L11以上となってから降下遅延時間TS11を経た後の降下測定時間TS12に亘る検出結果を降下時電流として採用する。その後、データ生成部113は、電流検出部111での検出結果が上昇開始閾値L12以上となってから上昇遅延時間TS13を経た後の上昇測定時間TS14に亘る検出結果を上昇時電流として採用する。この構成によれば、遮断桿11aの降下開始時や上昇開始時に現れて異常の有無に関わらずに大きな値を示す突入電流を、監視データ生成の対象から除外することができるので、監視データに基づく異常や兆候についての捕捉精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、降下時電流及び上昇時電流については、降下測定時間TS12に検出された降下時電流の最大値、及び上昇測定時間TS14に検出された上昇時電流の最大値、を表すデータを監視データとして生成する。この構成によれば、監視データにおける降下時電流及び上昇時電流に基づく部分について、検出された降下時電流や上昇時電流の全てではなく、それぞれの最大値というようにデータ量が抑えられるので、出力に係る電力消費等を抑えることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、警報機12で警報が開始されるまでの非動作時に検出される非動作時電流にも基づいて監視データを生成する。この構成によれば、監視データに基づいて異常や兆候を捕捉するための材料を増やして捕捉精度を一層向上させることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、非動作時電流については、警報が開始されるまでの間に検出された非動作時電流の最大値を表すデータを監視データとして生成する。この構成によれば、監視データにおける非動作時電流に基づく部分について、検出された非動作時電流の全てではなく、その最大値というようにデータ量が抑えられるので、出力に係る電力消費等を抑えることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、電圧検出部112において遮断桿11aの降下時に検出される降下時電圧、及び上昇時に検出される上昇時電圧、にも基づいて監視データを生成する。この構成によれば、降下時電流及び上昇時電流に加えて、降下時電圧及び上昇時電圧にも基づいて監視データが生成されるので、この監視データに基づいて異常や兆候を捕捉するための材料を増やして捕捉精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、警報開始の通知を受けた後、電流検出部111での検出結果が降下開始閾値L11以上となってから降下遅延時間TS11を経た後の降下測定時間TS12に亘る電圧検出部112での検出結果を降下時電圧として採用する。その後、データ生成部113は、電流検出部111での検出結果が上昇開始閾値L12以上となってから上昇遅延時間TS13を経た後の上昇測定時間TS14に亘る電圧検出部112での検出結果を上昇時電圧として採用する。この構成によれば、遮断桿11aの降下開始時や上昇開始時の突入電流に伴って仮に電圧降下が発生したとしても、異常の有無に関わらずに大きな値となる電圧降下を、監視データ生成の対象から除外することができる。つまり、上記の構成によれば、監視データに基づく異常や兆候についての捕捉精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、降下時電圧及び上昇時電圧については、降下時電圧の最小値、及び上昇時電圧の最小値、を表すデータを監視データとして生成する。この構成によれば、監視データにおける降下時電圧及び上昇時電圧に基づく部分について、検出された降下時電圧や上昇時電圧の全てではなく、それぞれの最小値というようにデータ量が抑えられるので、出力に係る電力消費等を抑えることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、警報機12で警報が開始されるまでの非動作時に検出される非動作時電圧にも基づいて監視データを生成する。この構成によれば、非動作時電圧にも基づいて監視データが生成されるので、この監視データに基づいて異常や兆候を捕捉するための材料を増やして捕捉精度を一層向上させることができる。
また、本実施形態では、データ生成部113が、非動作時電圧については、警報が開始されるまでの間に検出された非動作時電圧の最小値を表すデータを監視データとして生成する。この構成によれば、監視データにおける非動作時電圧に基づく部分について、検出された非動作時電圧の全てではなく、その最大値というようにデータ量が抑えられるので、出力に係る電力消費等を抑えることができる。
また、本実施形態では、出力部114が、踏切器具箱13の本体ユニット13aからの出力要求を受けて監視データを出力する。この構成によれば、出力部114での出力動作が抑えられ、その結果としてデータ出力に係る電力消費が抑えられるので、節電効果を得ることができる。
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の遮断機駆動部監視装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、遮断機駆動部監視装置の一例として、監視データを踏切器具箱13の本体ユニット13aに出力し、遮断機11の異常やその兆候の捕捉は本体ユニット13aに委ねる遮断機駆動部監視装置100が例示されている。しかしながら、遮断機駆動部監視装置はこれに限るものではなく、監視データの生成に加えて、その監視データに基づく異常や兆候の捕捉も行い、監視データとともに捕捉結果を出力することとしてもよい。また、異常や兆候の捕捉については、遮断機駆動部監視装置と、監視データの出力先と、の何れか一方のみで行うことに限るものでもなく、遮断機駆動部監視装置と出力先との双方で行うこととしてもよい。
ここで、異常や兆候を捕捉する手法の一例としては、次のような手法が挙げられる。即ち、監視データが表す非動作時電流の最大値、降下時電流の最大値、上昇時電流の最大値、非動作時電圧の最小値、降下時電圧の最小値、及び上昇時電圧の最小値、等といった複数の値それぞれについて判定範囲を予め定めておき、各値と比較する手法が挙げられる。判定範囲については、異常捕捉用の第1範囲と、この第1範囲よりも広めに設定された異常の兆候捕捉用の第2範囲と、を設けること等が一例として挙げられる。また、判定については、監視データが表す複数の値のうち何れか1つでも判定範囲から外れていた場合に遮断機に異常、又はその兆候が表れていると判定すること等が一例として挙げられる。
また、上述の実施形態では、遮断機駆動部監視装置の一例として、電流検出部111と電圧検出部112を備える遮断機駆動部監視装置100が例示されている。しかしながら、遮断機駆動部監視装置はこれに限るものではなく、電流検出部のみを備えるものであってもよい。
また、上述の実施形態では、監視データの出力先の一例として、警報機12の隣に設置された踏切器具箱13内の本体ユニット13aが例示されている。しかしながら、監視データの出力先はこれに限るものではなく、例えば所定のネットワークを介して接続された指令サーバを出力先として、この指令サーバに直に出力することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、電流検出部の一例として、電流クランプ100b-1を有する図4の電流センサ100bによって構築される電流検出部111が例示されている。また、電圧検出部の一例として、電圧測定端100c-1を有する図4の電圧センサ100cによって構築される電圧検出部112が例示されている。しかしながら、電流検出部及び電圧検出部はこれらに限るものではなく、遮断機の駆動部における駆動電流や駆動電圧を検出可能であれば任意のものを採用し得る。
また、上述の実施形態では、降下時電流及び上昇時電流については、各電流の最大値を表すデータを監視データとして生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、例えば各電流値の全てや平均値等を表すデータを監視データとして生成するものであってもよい。ただし、最大値を表すデータを監視データとして生成することで、監視データのデータ量を抑えて出力に係る電力消費等を抑えることができる点は上述した通りである。また、平均値ではなく最大値を表すデータを監視データとして生成することで、遮断機の異常時やその兆候として現れることが多い駆動電流の増大を的確に捉えることができる。
また、上述の実施形態では、非動作時に検出される非動作時電流にも基づいて監視データを生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、例えば非動作時には電流検出部での検出結果の採用を行わず待機状態に移行することとしてもよい。ただし、非動作時電流にも基づいて監視データを生成することで、異常や兆候を捕捉するための材料を増やして捕捉精度を一層向上させることができる点も上述した通りである。
また、上述の実施形態では、非動作時電流については、その最大値を表すデータを監視データとして生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、例えば非動作時電流の全てや平均値等を表すデータを監視データとして生成するものであってもよい。ただし、最大値を表すデータを監視データとして生成することで、監視データのデータ量を抑えて出力に係る電力消費等を抑えることができる点は上述した通りである。また、平均値ではなく最大値を表すデータを監視データとして生成することで、非動作時電流についても駆動電流の増大を的確に捉えることができる。
また、上述の実施形態では、降下時電圧及び上昇時電圧にも基づいて監視データを生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、電圧検出は行わずに電流検出のみを行い、降下時電流及び上昇時電流に基づいて監視データを生成するものであってもよい。ただし、降下時電流及び上昇時電流に加えて、降下時電圧及び上昇時電圧にも基づいて監視データが生成されることで、異常や兆候の捕捉精度を向上させることができる点も上述した通りである。
また、上述の実施形態では、電流検出部111での検出結果に基づく降下測定時間TS12や上昇測定時間TS14に亘る電圧検出部112での検出結果を降下時電圧や上昇時電圧として採用するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、電圧検出部112での検出結果のみに基づいて降下時電圧や上昇時電圧の採用を行うこととしてもよい。ただし、電流検出部111での検出結果に基づく測定時間を設定して降下時電圧や上昇時電圧の採用を行うことで、突入電流に伴う電圧降下を監視データ生成の対象から除外して異常や兆候についての捕捉精度を向上させることができる点も上述した通りである。
また、上述の実施形態では、降下時電圧及び上昇時電圧については、各電圧の最小値、を表すデータを監視データとして生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部はこれに限るものではなく、例えば各電圧値の全てや平均値等を表すデータを監視データとして生成するものであってもよい。ただし、最小値を表すデータを監視データとして生成することで、監視データのデータ量を抑えて出力に係る電力消費等を抑えることができる点は上述した通りである。また、平均値ではなく最小値を表すデータを監視データとして生成することで、遮断機の異常時やその兆候として現れることが多い駆動電圧の低下を的確に捉えることができる。
また、上述の実施形態では、非動作時に検出される非動作時電圧にも基づいて監視データを生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部はこれに限るものではなく、例えば非動作時には電圧検出部での検出結果の採用を行わず待機状態に移行することとしてもよい。ただし、非動作時電圧にも基づいて監視データを生成することで、異常や兆候を捕捉するための材料を増やして捕捉精度を一層向上させることができる点も上述した通りである。
また、上述の実施形態では、非動作時電圧については、その最小値を表すデータを監視データとして生成するデータ生成部113が例示されている。しかしながら、データ生成部は、これに限るものではなく、例えば非動作時電圧の全てや平均値等を表すデータを監視データとして生成するものであってもよい。ただし、最小値を表すデータを監視データとして生成することで、監視データのデータ量を抑えて出力に係る電力消費等を抑えることができる点は上述した通りである。また、平均値ではなく最小値を表すデータを監視データとして生成することで、非動作時電圧についても駆動電圧の低下を的確に捉えることができる。
また、上述の実施形態では、出力要求を受けて監視データを出力する出力部114が例示されている。しかしながら、出力部はこれに限るものではなく、出力要求等を経ることなく監視データを常時出力することとしてもよい。ただし、出力要求を受けて監視データを出力する構成とすることで、データ出力に係る電力消費が抑えられるので、節電効果を得ることができる点も上述した通りである。
また、上述の実施形態では、鉄道用踏切の遮断機11における駆動部11bの動作の監視装置としたが、監視対象は踏切の遮断機に限定するものではない。例えば有料道路や有料駐車場のゲートの遮断機などに応用してもよい。このようにメンテナンス要員による定期的な点検作業が必要な遮断機において、点検が必要な数量が膨大であったり、容易に立ち入れない箇所であったりする場合の点検、メンテナンス作業の負荷が軽減される。また、監視データを自動的に取得し指令サーバへ送信することにより、データの変化を逐次把握でき、故障の予知予防の効果を得ることができる。