JP7323874B2 - 神経軸索分岐異常の改善剤 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 (1)平成30年10月30日に公益財団法人難病医学研究財団のウェブサイトにて公開 (2)平成30年12月6日にSSRNのウェブサイトにて公開
本発明は、神経軸索分岐異常の改善剤に関する。
筋萎縮性側索硬化症(ALS;Amyotrophic lateral sclerosis)は、成人発症の神経変性疾患であり、上位(大脳皮質運動野)及び下位(脊髄前角細胞及び脳幹部運動核)の系統的な運動ニューロン障害を呈する。
ALSの約90%は孤発性(SALS;Sporadic ALS)であり、その原因は不明である。近年、孤発性ALS患者の下位運動ニューロンに見られるユビキチン陽性封入体の成分として、43kDa TAR DNA-結合タンパク質(TDP-43)が同定され、原因遺伝子として注目されている。一方、残りの約10%は、家族性のALS(FALS;Familial ALS)であり、その原因遺伝子として、1993年に銅/亜鉛スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1;copper/zinc superoxide dismutase 1)遺伝子が同定されて以降、RNA代謝にかかわるTARDBP(TAR-DNA binding protein)遺伝子、FUS(fused in sarcoma)遺伝子、C9orf72(chromosome 9 open reading frame 72)遺伝子等、20を超える原因遺伝子の報告がある。
現在、ALS治療薬として販売されているのは、グルタミン酸受容体のアンタゴニストであってグルタミン酸抑制作用のあるリルゾール(商品名:リルテック[登録商標])のみである(特許文献1)。
一方、SOD1遺伝子に変異を有するALS患者由来の線維芽細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立し、アストロサイトへ分化誘導した後、アストロサイトにおけるSOD1の発現量低下を指標として、ALS治療薬の候補物質をスクリーニングできることが報告されている(特許文献2)。また、SOD1遺伝子に変異を有するiPS細胞を、運動ニューロンへ分化誘導し、運動ニューロンの生存率を指標として、ALS治療薬の候補物質をスクリーニングできることが報告されている(特許文献3)。また、TDP-43遺伝子に変異を有するiPS細胞を、運動ニューロンへ分化誘導し、運動ニューロンにおけるTDP-43の発現抑制効果や酸化ストレスの抑制効果を指標として、ALS治療薬の候補物質をスクリーニングできることが報告されている(特許文献4)。
特許2713384号公報 特開2011-121949号公報 国際公開第2016/114322号パンフレット 特許第6153232号公報
本発明の課題は、神経軸索分岐異常を改善する作用を有する物質を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けており、長年にわたるFALS症例の蓄積及び遺伝子型の解析を通じ、FUS遺伝子変異がSOD1遺伝子変異に次いで2番目に多いこと、また、日本を含めたアジア圏におけるFALS中に占めるFUS遺伝子変異の割合は約10%と、欧米での約5%という頻度よりも高いことを見いだした。しかし、FUS変異症例における病態や遺伝子型-表現型の相関については解明が進んでいなかった。そこで、本発明者らは、FUS遺伝子の変異の有無のみが異なる2セットのiPSCsを樹立して運動ニューロン(以下、単に「MN」ということがある)を分化誘導し、各MNの形態及び遺伝子発現プロファイルを比較した。
その結果、本発明者らは、(i)FUS遺伝子変異MNから伸長した軸索では分岐形成が増加すること、また、(ii)FUS遺伝子変異MNでは、転写因子であるアクチベータータンパク質1(AP-1)と、最初期遺伝子(IEG;immediate early gene)に関連する遺伝子とが増加することを明らかにした。さらに、本発明者らは、Fos B遺伝子に注目して種々の解析を行い、(iii)siRNAによりFos B遺伝子をノックダウンすると、FUS遺伝子変異MNの軸索の分枝形成数が正常レベルまで低下すること、(iv)AP-1の阻害剤であるT-5224をFUS遺伝子変異MNに添加すると分枝形成数が有意に低下することを明らかにした。以上のことから、本発明者らは、AP-1を阻害する作用を有する物質が、神経軸索の分岐異常を改善する作用を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕AP-1阻害剤を含むことを特徴とする神経軸索分岐異常の改善剤。
〔2〕AP-1阻害剤が、
以下の式(I)で表される化合物又はその塩、あるいは、
哺乳動物生体内のFos BをコードするmRNAに対して特異的にRNA干渉作用を有するRNA、又は前記RNAの発現ベクター
であることを特徴とする上記〔1〕に記載の改善剤。
Figure 0007323874000001

〔3〕神経軸索分岐異常が、FUS遺伝子変異に起因する神経軸索分岐異常であることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の改善剤。
また本発明の実施の他の形態として、AP-1阻害剤を神経軸索分岐異常の改善を必要とする哺乳動物に投与することを含む、神経軸索分岐異常を改善する方法や、神経軸索分岐異常の改善における使用のためのAP-1阻害剤や、神経軸索分岐異常の改善剤の製造における、AP-1阻害剤の使用や、AP-1阻害剤を神経軸索分岐異常の予防又は治療を必要する対象者に投与することを含む、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患を予防又は治療する方法や、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患の予防又は治療における使用のためのAP-1阻害剤や、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患の予防又は治療剤を製造するための、AP-1阻害剤の使用を挙げることができる。
AP-1阻害剤は、異常な神経軸索分岐形成を阻害・改善する作用を有するため、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患、例えば、FUS遺伝子の変異に起因するFALSの予防又は治療に有用である。
本実施例の実験の流れの模式図である。 4種類のiPSCs(コントロールiPSCs、FUSH517D/H517DiPSCs、FUSRescuediPSCs、及びFUS-ALS iPSCs)を分化誘導することにより得られた運動ニューロンの軸索(それぞれ、図中の「コントロール」、「FUSH517D/H517D」、「FUSRescued」、及び「FUS-ALS」)の顕微鏡画像である。図中の矢頭は、分岐が認められた軸索部位を示す。 図2の顕微鏡画像を基に、神経軸索末端から150μm軸索上を離れた軸索部位における分岐数(図中の「軸索分岐数」)を測定した結果(図中の「コントロール」、「FUSH517D/H517D」、「FUSRescued」、及び「FUS-ALS」;それぞれn=50[平均値+標準偏差])を示す図である。図中の「****」は、統計学的に有意差がある(p<0.001)ことを示す。 マイクロ流体デバイス中で運動ニューロンから伸長した軸索束の4種類の顕微鏡画像(位相差顕微鏡画像[図4A]、HB9-Venusの蛍光画像[図4B]、βIIIチューブリンの蛍光画像[図4C]、及びHoechst33342(細胞核)の蛍光画像[図4D])である。図4Eの左右の画像は、それぞれ図4B及び4Cの四角で囲った領域の拡大図である。 FUS変異を有する2種類の2nd MPCs(FUSH517D/H517D2nd MPCs及びFUS-ALS2nd MPCs)について、2種類のsiRNA(si-Scramble及びsi-Fos B)存在下又は非存在下で培養後、神経軸索末端から150μm軸索上を離れた軸索部位における分岐数(図中の「軸索分岐数」)を測定した結果(図中の「FUSH517D/H517D-」、「FUSH517D/H517D+si-Scramble」、「FUSH517D/H517D+si-Fos B」、「FUS-ALS-」、「FUS-ALS+si-Scramble」、及び「FUS-ALS+si-Fos B」;それぞれn=50[平均値+標準偏差])を示す図である。比較対照として、FUS変異を有さない2種類の2nd MPCs(コントロール2nd MPCs及びFUSRescued2nd MPCs)を、上記siRNA非存在下で培養後、神経軸索末端から150μm軸索上を離れた軸索部位における分岐数を測定した結果(「コントロール」及び「FUSRescued」;それぞれn=50)を示す。図中の「**」及び「****」は、それぞれ統計学的に有意差がある(p<0.01及びp<0.001)ことを示す。また、図中の「N.S.」は、統計学的に有意差がない(p≧0.05)ことを示す。 FUS変異を有する2種類の2nd MPCs(FUSH517D/H517D2nd MPCs及びFUS-ALS2nd MPCs)について、T-5224の存在下(図中の「+T5224」)又は非存在下(図中の「+DMSO」)培養後、神経軸索末端から150μm軸索上を離れた軸索部位における分岐数(図中の「軸索分岐数」)を測定した結果(それぞれn=50[平均値+標準偏差])を示す。
本発明の神経軸索分岐異常の改善剤は、「神経軸索(すなわち、運動ニューロンにおける軸索)の分岐異常を改善するため」という用途に特定されたAP-1阻害剤を含有する剤(以下、「本件改善剤」ということがある)である。本件改善剤は、有効成分であるAP-1阻害剤を、単独で飲食品又は医薬品(製剤)として使用してもよいし、さらに添加剤を混合し、組成物の形態(飲食品組成物又は医薬組成物)として使用してもよい。かかる飲食品としては、例えば、健康食品(機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメント等)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)を挙げることができる。
本明細書において、「神経軸索の分岐異常」とは、運動ニューロン(すなわち、骨格筋を支配する神経細胞)の軸索において、異常な分岐(軸索枝)が生じることを意味し、具体的には、神経軸索末端(軸索終末)の成長円錐を除く部位、例えば、神経軸索末端から少なくとも50μm軸索上を離れた軸索部位(換言すると、神経軸索末端から運動ニューロン方向へ少なくとも50μm神経軸索上を近づいた部位)において、1)平均して少なくとも1つ(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ等)の分岐(軸索枝)が生じること;及び/又は、2)正常な運動ニューロンと比較して、平均して少なくとも1.1倍(例えば、少なくとも1.3倍、少なくとも1.6倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.6倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2倍等)多い分岐(軸索枝)が生じること;を意味する。上記「少なくとも50μm」とは、例えば、少なくとも60μm、少なくとも100μm、少なくとも130μm、少なくとも160μm、少なくとも200μm、少なくとも230μm、少なくとも260μm、少なくとも300μm、50~300μmの範囲内、50~260μmの範囲内、50~230μmの範囲内、50~200μmの範囲内等を意味する。上記運動ニューロンは、例えば、後述する本実施例に記載の方法に従って、投与対象の哺乳動物から線維芽細胞を採取し、iPS細胞を樹立した後、運動ニューロンへ分化誘導することにより得ることができる。また、運動ニューロンの軸索において、異常な分岐が改善しているか否かは、例えば、後述する本実施例に記載のマイクロ流体デバイスを用いて確認することができる。なお、分岐は、軸索枝の長さがある程度認められた場合(例えば、少なくとも1.5μm超、少なくとも2μm超、少なくとも2.5μm超)、生じていると判断してもよい。
本明細書において、「AP-1阻害剤」とは、哺乳動物生体内のAP(アクチベータータンパク質)-1の発現;又はその転写因子としての機能;を、特異的に阻害(抑制)する物質(例えば、ポリペプチド、抗体等のタンパク質;ポリヌクレオチド;糖類;脂質;有機化合物;無機化合物)を意味する。AP-1阻害剤により阻害されるAP-1の割合としては、少なくとも50%が好ましく、少なくとも55%がより好ましく、少なくとも60%がさらに好ましく、少なくとも65%がさらにより好ましく、少なくとも70%がまたさらに好ましく、少なくとも75%が特に好ましく、少なくとも80%がまた特に好ましく、少なくとも85%が特により好ましく、少なくとも90%が特にさらに好ましく、少なくとも95%が特にさらにより好ましく、少なくとも98%が最も好ましい。
本明細書において、「AP-1」とは、Junファミリータンパク質(具体的には、c-Jun、Jun B、Jun D)同士のホモ二量体;かかるJunファミリータンパク質と、Fosファミリータンパク質(具体的には、c-Fos、Fos B、Fra-1、Fra-2)とのヘテロ二量体;及び前記Junファミリータンパク質と、ATFファミリータンパク質(具体的には、ATF-2、ATF-3/LRF1、B-ATF)とのヘテロ二量体;から選択される1又は2以上の二量体を意味し、より具体的には、ゲノムDNA上のAP-1結合部位(具体的には、TGAC[T/G]TCA)に結合し、転写を促進する転写因子である。
上記AP-1阻害剤としては、例えば、哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質に結合し、これらタンパク質と、ゲノムDNA上のAP-1結合部位との結合を阻害できる物質、例えば、以下の式(I)で表される化合物(3-(5-(4-(cyclopentyloxy)-2-hydroxybenzoyl)-2-((3-hydroxybenzo[d]isoxazol-6-yl)methoxy)phenyl)propanoic acid)又はその塩;以下の式(II)で表される化合物((E,E,Z,E)-3-Methyl-7-(4-methylphenyl)-9-(2,6,6-trimethyl-1-cyclohexen-1-yl)-2,4,6,8-nonatetraenoic acid)又はその塩;以下の式(III)で表される化合物(1,6,6-Trimethyl-6,7,8,9-tetrahydrophenanthro[1,2-b]furan-10,11-dione);AP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質に特異的に結合する抗体、AP-1結合配列(TGAC[T/G]TCA)からなる2本鎖ヌクレオチド);哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質をコードするmRNAに対して特異的にRNA干渉(RNAi)作用を有するRNA(以下、「AP-1を標的とするRNA」ということがある)又はAP-1を標的とするRNAの発現ベクター;を挙げることができ、後述する本実施例において、その効果が実証されているため、以下の式(I)で表される化合物又はその塩;や、哺乳動物生体内のFos BをコードするmRNAに対して特異的にRNA干渉作用を有するRNA(以下、「Fos Bを標的とするRNA」ということがある)、又はFos Bを標的とするRNAの発現ベクター;が好ましい。なお、ここで「AP-1を構成するタンパク質」とは、具体的には、c-Jun、Jun B、Jun D、c-Fos、Fos B、Fra-1、Fra-2、ATF-2、ATF-3/LRF1、又はB-ATFを意味する。
Figure 0007323874000002
Figure 0007323874000003
Figure 0007323874000004
式(I)で表される化合物の塩や式(II)で表される化合物の塩としては、生理学的及び/又は薬理学的に許容される塩であればよく、ここで、「生理学的及び/又は薬理学的に許容される塩」とは、妥当な生理学的及び/又は医学的判断の範囲内で、哺乳動物の組織と接触して用いるのに、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答、及び/又は他の合併症を伴うことなく、適度な受益性/危険性比率に相応して適しているそれら化合物、物質、組成物、及び/又は、剤形を意味する。
式(I)で表される化合物の塩や式(II)で表される化合物の塩としては、塩基塩が存在する。かかる塩基塩には、アンモニウム塩;ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミン等の有機塩基との塩;アルギニン、リシン、オルニチン等のアミノ酸との塩;などが含まれる。
式(I)で表される化合物は、公知の反応を適宜組み合わせることによって合成することができるが、市販品を用いることもでき、かかる市販品としては、例えば、後述する本実施例で使用したT-5224(富士フィルム富士化学社製)を挙げることができる。式(II)で表される化合物は、公知の反応を適宜組み合わせることによって合成することができるが、市販品を用いることもでき、かかる市販品としては、例えば、SR11302(Cayman Chemical社製)を挙げることができる。式(III)で表される化合物は、公知の反応を適宜組み合わせることによって合成することができるが、市販品を用いることもでき、かかる市販品としては、例えば、Tanshinone IIA(東京化成工業社製)を挙げることができる。
本明細書において、「AP-1を標的とするRNA」とは、哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質をコードするmRNAの一部又は全部とアニーリングすることができ、かつ、哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質をコードするmRNAの発現を抑制、及び/又は哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質をコードするmRNAの翻訳を抑制することができる1本鎖又は2本鎖構造のRNAを意味する。AP-1を標的とするRNAは、通常、哺乳動物生体内のAP-1を構成する少なくとも1種のタンパク質をコードするmRNAの一部又は全部と少なくとも90%(好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%)同一のヌクレオチド配列を含むRNAである。
「AP-1を標的とするRNA」の形態としては、例えば、siRNA(small interfering RNA)、shRNA(short hairpin RNA)、dsRNA(double-strand RNA)、miRNA(microRNA)を挙げることができる。
本明細書において、「AP-1を標的とするRNAの発現ベクター」とは、投与対象の哺乳動物において、AP-1を標的とするRNAが発現し得るものを意味する。AP-1を標的とするRNAの発現ベクターは、通常、プロモーターと、かかるプロモーターの下流に作動可能に連結された、AP-1を標的とするRNAをコードする遺伝子とを含むポリヌクレオチドであり、環状のものであっても線状のものであってもよい。
本明細書において、「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼ(好ましくは、RNAポリメラーゼ及び基本転写因子)が結合し、その下流に位置する遺伝子がコードするmRNAの転写を開始させる領域を意味する。プロモーターには、通常転写開始点(TSS)が含まれる。
上記「AP-1を標的とするRNAの発現ベクター」としては、「AP-1を標的とするRNA」の発現効率を高めるために、エンハンサー領域やターミネーター領域をさらに含むものや、発現ベクターのクローニングのために、クロラムフェニコール耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子(選択マーカー遺伝子)をさらに含むものであってもよい。
本明細書において、「哺乳動物」としては、例えば、ヒトや、非ヒト哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、マウス)を挙げることができる。
本件改善剤に含まれるAP-1阻害剤は、神経軸索分岐異常を改善する作用を有する。このため、本件改善剤は、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患の予防又は治療剤に有利に適用することができる。
本明細書において、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患としては、例えば、認知症(例えば、脳血管性型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、ニューマン・ピック病等)、結節性硬化症、ペリー(Perry)症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭葉変性症、アルツハイマー病、パーキンソン病、脊髄小脳変性症2型を挙げることができる。
本発明において、神経軸索分岐異常としては、孤発性及び家族性のいずれの神経軸索分岐異常も改善対象になり得る。かかる家族性の神経軸索分岐異常としては、例えば、FUS(Fused in sarcoma)遺伝子(ALSや前頭側頭葉変性症の原因遺伝子)、SOD1遺伝子(ALSの原因遺伝子)、TDP-43遺伝子(ALSの原因遺伝子)、C9orf72遺伝子(ALSや前頭側頭型認知症の原因遺伝子)、SETX遺伝子(ALSの原因遺伝子)、VAPB遺伝子(ALSの原因遺伝子)、APP遺伝子(アルツハイマー病の原因遺伝子)、PSEN1/2遺伝子(アルツハイマー病の原因遺伝子)、α-シヌクレイン(synuclein)(アルツハイマー病やパーキンソン病の原因遺伝子)、パーキン遺伝子(パーキンソン病の原因遺伝子)、LRRK2遺伝子(パーキンソン病の原因遺伝子)、FIG4遺伝子(ALSの原因遺伝子)、OPTN遺伝子(ALSの原因遺伝子)、DCTN1遺伝子(ペリー症候群の原因遺伝子)、SMPD1(ニューマン・ピック病の原因遺伝子)、ATXN2遺伝子(ALSや脊髄小脳変性症2型の原因遺伝子)、SNCA遺伝子(レビー小体型認知症の原因遺伝子)、TSC1遺伝子(結節性硬化症の原因遺伝子)、TSC2遺伝子(結節性硬化症の原因遺伝子)等の原因遺伝子の変異に起因する神経軸索分岐異常を挙げることができ、後述する本実施例において、その効果が実証されているため、FUS遺伝子変異に起因する神経軸索分岐異常を好適に例示することができる。
上記原因遺伝子の変異としては、例えば、FUS遺伝子の変異の場合、ヒトFUSタンパク質の517番目のHisがAspに置換される変異(FUS-H517D)や、ヒトFUSタンパク質の510番目のLysがGluに置換される変異(FUS-K510E)等を挙げることができる。また、SOD1遺伝子の変異の場合、ヒトSOD1タンパク質の144番目のLeuがPhe-Val-Xaa(Xaaは任意のアミノ酸を示す)に置換される変異(SOD1-L144FVX)、ヒトSOD1タンパク質の93番目のGlyがSerに置換される変異(SOD1-G93S)、ヒトSOD1タンパク質の106番目のLeuがValに置換される変異(SOD1-L106V)等を挙げることができる。また、TDP-43遺伝子の変異の場合、ヒトTDP-43タンパク質の337番目のMetがValに置換される変異(TDP-43-M337V)等を挙げることができる。
本件改善剤の添加剤としては、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、等張剤、添加剤、被覆剤、可溶化剤、潤滑剤、滑走剤、溶解補助剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等の配合成分を例示することができる。かかる配合成分としては、具体的に、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリンを例示することができる。
本件改善剤の投与形態としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液などの剤型で投与する経口投与や、溶液、乳剤、懸濁液などの剤型を注射、又はスプレー剤の型で鼻孔内投与する非経口投与を挙げることができる。
本件改善剤におけるAP-1阻害剤の投与量は、年齢、体重、性別、症状、AP-1阻害剤に対する感受性等に応じて適宜決定され、例えば、0.1μg~200mg/kg(体重)/日の投与量の範囲である。
本件改善剤としては、AP-1阻害剤以外の、神経軸索分岐異常を改善する成分を含むものであってもよいが、AP-1阻害剤単独でも優れた神経軸索分岐異常の改善効果を発揮するため、AP-1阻害剤以外の、神経軸索分岐異常を改善する成分(例えば、タンパク質、DNA、RNA、植物由来の抽出物)を含まないものが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.FUS遺伝子変異の有無のみ異なるiPSCsの樹立
1-1 2セットのiPSCs
FUS遺伝子変異がMNに及ぼす影響を解析するために、同じ遺伝的背景を有し、FUS遺伝子の変異の有無のみが異なる2セットのiPSCsを樹立した(図1参照)。図1に示すように、一つのセットは、(a)健常者由来のコントロールiPSCsと、(b)上記(a)にFUS-H517D変異を導入したiPSCsとからなり、もう一つのセットは、(c)FUS-H517D変異を有するFALS患者由来iPSCsと、(d)上記(c)のFUS-H517D変異を正常化したiPSCsとからなる(以下、上記(a)~(d)を、それぞれ、「コントロールiPSCs」、「FUSH517D/H517DiPSCs」、「FUS-ALS iPSCs」、及び「FUSRescuediPSCs」といい、これらを総称して、単に「iPSCs」ということがある)。これらのiPSCsをMNへ分化誘導し、各セットにおける形態や遺伝子発現を比較することによって、FUS遺伝子変異により特異的に引き起こされるMNの変化を解析した。
1-2 iPSCsの樹立方法
コントロールiPSCsとして、CiRA(Center for iPS Cell Research and Application、Kyoto University)より購入した409B2細胞を用いた。また、FUS-ALS iPSCsとしてFUS遺伝子にp.H517D変異を有するFALS患者由来iPSCsを用いた(文献「Ichiyanagi N., et al. Stem cell reports 2016; 6: 496-510.」参照)。
さらに、TALENゲノム編集により、コントロールiPSCsからFUSH517D/H517DiPSCsを、FUS-ALS iPSCsからFUSRescuediPSCsをそれぞれ樹立した。具体的には、TALEN発現ベクターは、プラチナゲートTALENキット(Addgene社製、Kit#1000000043)を用い、改変ゴールデンゲート媒介法によって構築した。また、コントロールiPSCsのFUS遺伝子のエクソン15にp.H517D変異を導入する標的ドナープラスミド、又は、FUS-ALS iPSCsのp.H517D変異を正常化する標的ドナープラスミドを、Multisite Gateway-based kitを用いて構築した(ベクターは、pDONR P3-P1r、pDONR-P2r-P4、pUC-DEST-R3R4、PB-TET-P.H、及びpDONR201(Life Technologies社製)を用いた)。
コントロールiPSCs及びFUS-ALS iPSCsをフィーダーフリー培養し、左右のTALEN発現プラスミド、標的ドナープラスミドをNEPA 21(Nepagene社製、設定:275V、0.5ms)によるエレクトロポレーション法で導入した。細胞をフィーダーフリー培養で増殖させる過程で、1μg/mLのピューロマイシン(Pur)を培地に24時間添加する選択を2回行うことにより、Pur耐性配列のPGK-PurTKカセットを含む相同組換え体を有する細胞を得た。培養後14~20日の間に、Pur耐性iPSCsコロニーをY27632とTrypLE Selectを用いて単一細胞まで解離させ純化した。細胞継代時に一部をジェノタイピングに使用し、KIが確認された株を選別した。選別した株からPGK-PurTKカセットを除去するため、Creリコンビナーゼを発現するアデノウイルスベクターであるAdEFNCre-4FVF72)を感染させた(この時点をD=0とする)。D=2に、最終濃度2.5μg/mLのガンシクロビル(Sigma社製)を添加し、PGK-PurTKカセットを含まない細胞を選択した。選択後(D=14~20)、ガンシクロビル耐性iPSCコロニーを上記と同様の方法で単一細胞に解離させた後、目的配列の有無をサンガー法で確認し、目的のゲノム編集株を回収した。回収した株の中から、未分化マーカーの発現、G-band染色法による正常な核型、及び3胚葉分化能の存在が確認できた細胞を、FUSH517D/H517D及びFUSRescuedとして回収した。なお、FUSH517D/H517Dは、文献「Ichiyanagi N., et al. Stem cell reports 2016; 6: 496-510.」において、既に報告されている。
2.iPSCs由来の運動ニューロン前駆細胞(MPCs)の取得
2-1 1次運動ニューロン前駆細胞(1st MPCs)の取得
実施例1で樹立されたiPSCsを、文献「Ichiyanagi N., et al. Stem cell reports 2016; 6: 496-510.」に記載の方法を若干改変した方法に従って、MPCsへ分化誘導した。具体的には、まず、実施例1で樹立されたiPSCsを継代してオンフィーダー培養を開始し(この時点をD=0とする)、その翌日(D=1)に、培地にSB431542(SB、Wako社製)、CHIR99021(CHIR、Wako社製)、及びDorsomorphin(DM、Wako社製)を添加してD=5まで培養した。D=5に継代を行い、その際には、コロニーを剥離し、残存したmSTOを除くため、ゼラチンコートディッシュで2時間インキュベートした。その後、浮遊しているコロニーのみを回収し、TrypLE Selectを添加してピペッティングし、単一細胞になるまでサスペンドした。
得られた単一細胞を70μmセルストレイナーに通して回収した後に、分化誘導培地(Y27632、ヒト白血病阻止因子(LIF、Millipore社製)、SB、CHIR、bFGF、B-27 supplement(Gibco社製)を含む、MHM培地)に混合して播種した(播種後の細胞を「1st MPCs」とした)。D=6に、レチノイン酸(RA、Wako社製)、Purmorphamine(PM、Wako社製)を培地に加え、1st MPCsをD=12まで培養し、4種の1st MPCs(「コントロール1st MPCs」、「FUSH517D/H517D1st MPCs」、「FUSRescued1st MPCs」、及び「FUS-ALS 1st MPCs」;これらを総称して、単に「1st MPCs」ということがある)を得た。
2-2 2次運動ニューロン前駆細胞(2nd MPCs)の取得
D=12に上記1st MPCsを継代して、継代後の細胞を「2nd MPCs」とした。D=13に、DAPT(Wako社製)を培地に加えて、さらにD=19まで2nd MPCsを培養し、4種の2nd MPCs(「コントロール2nd MPCs」、「FUSH517D/H517D2nd MPCs」、「FUSRescued2nd MPCs」、及び「FUS-ALS 2nd MPCs」;これらを総称して、単に「2nd MPCs」ということがある)。
なお、上記1st MPCs及び2nd MPCsの培養は、超低接着プレート(6ウェルディッシュ:Corning社製、10cmディッシュ:Greiner社製)を用いて、低酸素(4%)条件下で行った。また、MNの可視化のために、1st MPCs又は2nd MPCsの培養時に、HB9レポーターレンチウイルス(運動ニューロン特異的転写因子であるHB9プロモーター下にGFP由来蛍光タンパク質であるVenusを発現するレンチウイルス;以下「HB9(e438)::Venus」という)を感染させた。また、細胞核の可視化のために、2nd MPCsをHoechst 33342で処理した。
3.MNの取得とその形態変化
3-1 MN
上記2nd MPCsからMNへ分化誘導した。具体的には、2nd MPCsを細胞塊(スフェア)の状態で回収して、単一細胞に解離させることなく(スフェアの状態のまま)、1個ずつポリ-L-オルニチン/マトリゲル(PO/M-ゲル)コートしたウェルの中心にプレートして10日間培養し、4種のMN(「コントロールMN」、「FUSH517D/H517DMN」、「FUSRescuedMN」、及び「FUS-ALS MN」;これらを総称して、単に「MN」ということがある)を得た。
3-2 MNの形態変化
プレート後10日目に、MNから伸びた軸索の形態を、HB9(e438)::Venusを用いて可視化した。その結果、FUS遺伝子の変異を有さないMN(コントロールMN及びFUSRescuedMN)と比較して、FUS遺伝子の変異を有するMN(FUSH517D/H517DMN及びFUS-ALS MN)では、軸索分枝数が増加している像が得られた(図2参照)。
さらに、軸索末端から150μm(成長円錐を除く)の範囲における、分岐数をカウントすることにより軸索分岐形成の程度を定量化した。この実験では、長さ2μm超の軸索枝を、軸索分岐であると定義してカウントした。カウントした軸索枝からさらに枝分かれしたものはカウントしなかった。また、軸索末端から50μmの範囲を成長円錐と定義し、該成長円錐を除いた軸索終末側の150μmの範囲、すなわち、軸索末端から50μm~200μmまでをカウントの対象範囲とした。
その結果、FUS遺伝子の変異を有さない2種のMN(コントロールMN及びFUSRescuedMN)の間では軸索分岐形成数に有意な差は認められなかった(図3及び表1参照)。一方、コントロールMNとFUSH517D/H517DMNとの比較、FUSRescuedMNとFUS-ALS MNとの比較では、いずれもFUS遺伝子の変異を有するMNにおいて、分岐形成数の有意な増加が認められた(図3及び表1参照)。また、FUS遺伝子の変異を有する2種のMN(FUSH517D/H517D及びFUS-ALS)の間では、遺伝子変異量に依存して分岐形成数が有意に増加することが明らかとなった(図3及び表1参照)。
以上の結果から、FUS遺伝子の変異によりMNの正常な軸索形態が損なわれ、分岐形成が異常に増加することが明らかとなった。
Figure 0007323874000005
4.MN軸索における網羅的発現プロファイリング
4-1 仮説
本発明者らは、FUS遺伝子変異MNにおいては、変異FUSタンパク質がRNA認識モチーフドメインを介して軸索中に異常量のRNAを輸送するのではないかという仮説を立てた。そして、この仮説を確かめるために、神経オルガノイド作製用の新規デバイス(以下、「マイクロ流体デバイス」ということがある)を用いて軸索特異的RNAを抽出し、RNAシークエンス(RNA-seq)により網羅的RNAプロファイル解析を行った。
4-2 マイクロ流体デバイスを用いたMNの培養
実施例2の項目「2-1」に記載の方法に従って、1st MPCsを取得し、継代後に超低接着96ウェルV底プレート(Sumiron社製)に1ウェルあたり1×10細胞個となるように播種した(2nd MPCs、D=0)。その後、必要に応じD=1においてHB9(e438)::Venusを感染させた。HB9(e438)::Venusを感染させた場合はD=5に培地交換を行い、それ以外の場合は培地交換を行うことなく、D=7に、2nd MPCsをスフェアの状態のままM-gelコーティングを施したマイクロ流体デバイス上へプレーティングし、MNの分化誘導を行った。
その結果、プレート後20日目には、マイクロ流体デバイス中でMNから肉眼的に観察可能な軸索束が伸長することが明らかとなった(図4参照)。
4-3 軸索及び細胞体-樹状突起(somato-dendrites;SD)からRNAの回収
神経細胞から伸びる樹状突起と軸索とは、長さによって区別でき、450μmを超すものは軸索と考えられている(文献「Taylor AM., et al. Nature methods 2005; 2 :599-605.」参照)。このことから、マイクロ流体中で細胞体から450μm以上離れた突起を軸索と判断して切断し、4種類の軸索(「コントロール軸索」、「FUSH517D/H517D軸索」、「FUSRescued軸索」、及び「FUS-ALS軸索」;これらを総称して、「軸索サンプル」ということがある)を得た。切断点より遠位側の軸索コンパートメントから、RNeasy micro kit(Qiagen社製)を用いてRNAを回収した(n=2)。なお、デバイス上の全16ウェルの中から、良好な軸索伸長が見られた12ウェル分の検体を、軸索コンパートメントの1サンプルとした。また、細胞体及び樹状突起からなるSDから、RNAを同様に回収し、4種類のSD(「コントロールSD」、「FUSH517D/H517DSD」、「FUSRescuedSD」、及び「FUS-ALS SD」;これらを総称して、「SD」サンプルということがある)のRNAを得た(n=3)。
以上のように、上記培養システムを用いることで、マイクロ流体デバイス上でオルガノイドに似た運動神経組織が形成され、肉眼的に観察可能な軸索束を採取すること可能となった。また、このシステムは、これまでの報告と比較して、多数の軸索を作製できるという利点がある。また、マイクロ流体デバイスは、東京大学生産技術研究所の藤井輝夫教授・川田治良先生から分与を受け、流路長などの構造に関してフィードバックを行いながら改良を行い開発した。
4-4 RNA-Seq
上記「4-3」の項目に記載の方法により得らえたRNAを用いてRNA-seqを実施した。具体的には、qPCRのために、QuantiTect Reverse Transcription Kit(Qiagen社製)を用いてcDNA合成を行った。また、細胞体及び軸索のRNA-Seq用ライブラリを作成するために、TruSeq Stranded mRNA LT Sample Prep Kit(illumina社製)及びSMARTER seq v4 ultra low input RNA Kit for sequencing(Takara社製)をそれぞれ用いてサンプルを調製した。qPCRはSsoFast EvaGreen Supermixes(Biorad社製)を用い、Biorad CFX96 real time PCRで解析した。RNA-SeqはHi-seq 2000(illumine社製)を用いた。データ解析のためにCufflinksを作成し、オープンソースの統計解析システムであるR(version 3.3.1)のパッケージングであるcummeRbundを用いて可視化した。
5.FUS遺伝子変異MNにおける病態関連遺伝子の同定
5-1 RNA-Seqに基づく病態関連遺伝子候補の選定
実施例4で得られたRNA-Seq解析データから、軸索サンプル及びSDサンプルにおけるRNAプロファイルを比較し、軸索とSDとの間で発現の変動が認められる遺伝子を抽出した。この結果、軸索では876遺伝子、SDでは212遺伝子が変動有りと判定された。抽出された遺伝子群に関してDAVIDを用いてクラスタリング解析を行った。
その結果、SD又は初代マウス脊髄MNの軸索で発現することが既に報告されている遺伝子の大部分は、軸索サンプル及びSDサンプルにおいても再現性よく発現していた。また、発現変動遺伝子(differentially expressed gene;DEG)は、軸索サンプル及びSDサンプルにおいて、それぞれ1,052個及び884個抽出された。遺伝子オントロジー(GO)によって分類された、軸索サンプルにおいて頻度の高い遺伝子は、タンパク質結合(GO:0005515)、ポリ(A)RNA結合(GO:0044822)、及び酵素結合(GO:0019899)遺伝子であった。この結果は、以前の報告と一致するものであった。
5-2 遺伝子発現プロファイルの解析
さらに、FUS遺伝子変異による異常な軸索形態の病理学的標的を調べるために、コントロール軸索、コントロールSD、FUSH517D/H517D軸索、及びFUSH517D/H517DSDにおけるRNAプロファイルを比較した。コントロールSD及びFUSH517D/H517DSDのRNAプロファイルから、実施例4により作製されたMNが十分に成熟した上部頚椎MNsに対応していること、また、細胞株間で差がないことが示された。さらに、各MN株における野生型又はH517D変異FUS遺伝子の発現は同レベルであった。
また、FUS遺伝子変異による網羅的遺伝子発現プロファイルの差を調べるために、コントロール軸索及びコントロールSD間のDEGs、FUSH517D/H517D軸索及びFUSH517D/H517DSD間のDEGsを用いて、transcriptsに対するGO term解析を行った。その結果、SDでは細胞外マトリックス(ECM)に関係するtranscriptsが特に豊富であるのに対し、軸索側では神経ペプチドホルモン活性を有するDEGsが豊富であることが明らかとなった。
5-3 FUS遺伝子変異MNに高発現する遺伝子の解析
次に、FUSタンパク質の誤局在により、RNA認識モチーフを介した軸索画分でのRNAの異常な増加が誘導されるという仮説を立て、FUSH517D/H517D軸索において、コントロール軸索、コントロールSD、又はFUSH517D/H517DSDよりも、アップレギュレートされた遺伝子に焦点を当てた解析を行った。具体的には、FUS遺伝子変異MNにおいてアップレギュレートされた55遺伝子(GeneMANIAオンラインツール(https://genemania.org/)によって55遺伝子のうちの17遺伝子が認識された)を用いてネットワーク解析を行った。その結果、AP-1(Junファミリータンパク質、ATFファミリータンパク質、Fosファミリータンパク質を含む)と、EGRファミリータンパク質及びFosファミリータンパク質のIEGに関連する遺伝子とが、FUS変異MNに蓄積していることが明らかとなった。これらの遺伝子の中で、Fos Bは共通して認められたことから、AP-1はFUS遺伝子変異MNにおいて重要な役割を有する可能性があると考えられた。
6.FUS遺伝子変異MNにおけるFos B遺伝子の機能の解析
6-1 Fos B遺伝子発現の解析
本発明者らは、Fos Bに焦点を絞ってさらなる解析を行った。まず、定量的real-timeポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)によって、コントロール軸索と比較して、FUSH517D/H517D軸索におけるFos B遺伝子の発現が有意に増加することが確認された。次に、Fos B遺伝子のアップレギュレーションは、FUSRescuedMN及びFUS-ALS MNにおいても、遺伝子変異の用量依存的な様式で確認された。さらに、単一分子蛍光in situハイブリダイゼーション(smFISH)によって、神経突起にFos B mRNAが存在しており、特に、FUS遺伝子変異MNにおいて優勢に存在することが明らかとなった。
6-2 Fos Bの機能経路
Fos BによるMNの形態学的異常に関与する機能的経路を検討した。これらの実験のために、EF-1αプロモーターによって制御されるVenus-expression lentivirus(EF-1α::Venus)及びFos B/Venus-expression lentivirus(EF-1α::Fos B/Venus)を構築した。これらのレンチウイルスを、コントロール2nd MPCに同じ感染多重度(MOI=1)で感染させ、プレート後10日目でのRNAプロファイルをマイクロアレイで比較した。マイクロアレイにより示されたtranscriptsを用いてGO term及びKEGG経路解析を行った結果、ECM関連遺伝子がFos B過剰発現の影響を受けることが明らかになった。
6-3 Fos B遺伝子発現の抑制
siRNA、過剰発現、及び種々の化合物を含むいくつかの技術を用いて、Fos B経路に介入した。具体的には、プレート後3日目のMNsに、Fos Bを標的とするsiRNA(カタログ# s223612、Thermo Fisher社製)を導入して、さらに7日間培養を行った。上記siRNAの導入は、lipofectamine RNA iMax(Thermo Fisher Scientific社製)により行った。プレート後10日目に、MNsの形態を観察して軸索分岐の程度を定量化した。
その結果、siRNAによってFUS変異MNのFos B遺伝子をノックダウンすると、軸索分枝の異常な増加が正常レベルにまで低下すること明らかとなった(図5及び表2~3参照)。一方、EF-1α::Fos B/Venusを用いてFos Bを過剰発現させると、コントロールMNの軸索形態の悪化を示した。
また、プレート後3日目のMNsに、AP-1の阻害剤であるT5224(Aikawa Y., et al. Nature biotechnology 2008; 26: 817-823.)を、終濃度が100μMとなるように添加して、さらに7日間培養を行った。プレート後10日目にMNsの形態を観察して軸索分岐の程度を定量化した。その結果、T5224は、Fos BmRNA発現レベルに影響を及ぼすことなく、異常な形態を部分的に正常化し、軸索分岐の程度を有意に減少させることが明らかとなった(図6及び表4参照)。なお、軸索分岐数は、実施例3の項目(3-2)に記載の方法に従って測定した。
以上の結果から、Fos B遺伝子がFUS遺伝子変異MNにおける軸索分岐形成の鍵となる調節因子であること、また、FUS遺伝子変異による軸索分岐形成の異常な増加がFos B遺伝子の発現低下によりできることが明らかとなった。さらに、FUS遺伝子変異による軸索分岐形成の異常な増加は、AP1阻害剤(T5224)によっても抑制できることが明らかとなった。
Figure 0007323874000006
Figure 0007323874000007
Figure 0007323874000008
本発明は、神経軸索分岐異常に関連する神経疾患、例えば、FUS遺伝子の変異に起因するFALSの医療に資するものである。

Claims (2)

  1. AP-1阻害剤を含む神経軸索分岐異常の改善剤であって、
    前記AP-1阻害剤が、
    以下の式(I)で表される化合物又はその塩、あるいは、
    哺乳動物生体内のFos BをコードするmRNAに対して特異的にRNA干渉作用を有するRNA、又は前記RNAの発現ベクターであることを特徴とする、前記改善剤
    Figure 0007323874000009
  2. 神経軸索分岐異常が、FUS遺伝子変異に起因する神経軸索分岐異常であることを特徴とする請求項1に記載の改善剤。
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