以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
測位装置50は、例えば、車両用ナビゲーションシステム10に用いられる。まず、この車両用ナビゲーションシステム10について説明する。
車両用ナビゲーションシステム10は、図1に示すように、タイヤ空気圧監視システム20と通信するための図示しないインターフェースを備える。また、車両用ナビゲーションシステム10は、車速センサ11、ジャイロセンサ12、ジャイロ温度センサ13、GNSS受信部14および測位装置50を備える。
タイヤ空気圧監視システム20は、図示しない空気圧センサと、図示しないタイヤ交換スイッチとを有する。空気圧センサは、車両のタイヤの空気圧に応じた信号を後述の測位装置50に出力する。タイヤ交換スイッチは、車両の運転者によって操作されることによりタイヤが交換されたか否かに応じた信号を測位装置50に出力する。なお、図において、タイヤ空気圧監視システム20がTPMSと表記されている。また、TPMSとは、Tire Pressure Monitoring Systemの略である。
車速センサ11は、車両のタイヤの回転に同期したパルス信号を測位装置50に出力する。
ジャイロセンサ12は、車両のヨーレートRに応じた信号を測位装置50に出力する。
ジャイロ温度センサ13は、ジャイロセンサ12の温度に応じた信号を測位装置50に出力する。また、ジャイロ温度センサ13は、ここでは、ジャイロセンサ12と一体になっている。なお、ジャイロ温度センサ13は、ジャイロセンサ12と別体でなっていてもよい。
GNSS受信部14は、図示しない複数の測位衛星から信号を受信する。また、GNSS受信部14は、この受信した信号に基づいて、車両のGNSS絶対位置、GNSS絶対方位θgおよびGNSS車速Vg等を算出する。さらに、GNSS受信部14は、この算出したGNSS絶対位置、GNSS絶対方位θgおよびGNSS車速Vg等を測位装置50に出力する。なお、GNSS受信部14に用いられる測位衛星は、例えば、GPS衛星、GLONASS衛星、Galileo衛星および準天頂衛星等である。
測位装置50は、車速特性判定部、ジャイロ特性判定部、距離記憶部、方位記憶部、変更部、読出部等に対応しており、マイコン等を主体として構成されている。また、測位装置50は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。さらに、測位装置50は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、車両の走行軌跡を算出する。具体的には、測位装置50は、移動距離計測部51、方位変化量計測部52、相対軌跡演算部53、絶対位置推測部54、カルマンフィルタ55等を機能ブロックとして有する。
移動距離計測部51は、車速センサ11からの信号および後述のカルマンフィルタ55による補正対象の値に基づいて、車両の移動距離Lを算出する。
方位変化量計測部52は、ジャイロセンサ12からの信号および後述のカルマンフィルタ55による補正対象の値に基づいて、車両の方位変化量Dを算出する。
相対軌跡演算部53は、移動距離計測部51により算出された移動距離Lと方位変化量計測部52により算出された方位変化量Dとに基づいて、車両の相対軌跡および車速Vcを算出する。
絶対位置推測部54は、移動距離計測部51により算出された移動距離Lと方位変化量計測部52により算出された方位変化量Dとに基づいて、車両の絶対方位θdおよび絶対位置を算出する。
カルマンフィルタ55は、GNSS受信部14からの信号、相対軌跡演算部53により算出された車速Vc、ならびに、絶対位置推測部54により算出された絶対方位θdおよび絶対位置に基づいて、後述する補正対象の値を算出する。
また、ここでは、カルマンフィルタ55は、図2に示すように、状態量生成過程と観測過程とを有する。
状態量生成過程において、カルマンフィルタ55によって推定される誤差である状態量xが設定されている。この状態量xは、以下関係式(1-1)に示す状態方程式によって更新される。なお、この状態量xの詳細については、後述する。また、以下関係式において、tは、自然数であって、回数を表す。x(t)は、t回目に更新するときの状態量xである。A(t+1,t)は、x(t)からx(t+1)への状態遷移行列Aである。v(t)は、t回目に更新するときに状態量生成過程にて発生する雑音である。
観測過程において、車速センサ11、ジャイロセンサ12およびGNSS受信部14からの信号に基づいて観測される値である観測値yが設定されている。この観測値yは、以下関係式(1-2)に示す観測方程式によって表される。これにより、関係式(1-1)と(1-2)との関係は、図2に示すブロック線図のように表される。なお、この観測値yの詳細については、後述する。また、以下関係式において、C(t)は、x(t)からy(t)に変換する観測行列Cである。w(t)は、t回目に更新するときに観測過程にて発生する雑音である。
また、カルマンフィルタ55は、以下関係式(2-1)~(2-5)を用いて、状態量xを所定の周期Tmで繰り返し推定する。なお、以下関係式において、G(t)は、t回目に更新するときのカルマンゲインGである。Pは、状態量xの誤差共分散行列である。P(t|t-1)は、事前誤差共分散行列であって、(t-1)回目の更新までの情報に基づいてt回目に更新するときの誤差共分散行列Pの予測値である。P(t|t)は、t回目までの情報に基づいた誤差共分散行列Pである。A(t|t-1)は、(t-1)回目の更新までの情報に基づいてt回目に更新するときの状態遷移行列Aの推定値である。V(t)は、t回目に更新するときの状態量生成過程にて発生する雑音の共分散行列である。W(t)は、t回目に更新するときの観測過程にて発生する雑音の共分散行列である。x(t|t-1)は、事前推定値であって、(t-1)回目までの情報に基づいたt回目の更新における状態量xの予測値である。x(t|t)は、事後推定値であって、t回目の更新までの情報に基づいた状態量xの最適推定値である。Iは、単位行列である。上付添字の「T」は、転置行列を意味する。上付添字の「-1」は、逆行列を意味する。
また、ここでは、カルマンフィルタ55は、この推定した状態量xをフィードバックして補正する。これにより、関係式(2-4)において、x(t|t-1)をゼロと仮定することができるため、関係式(2-4)を以下関係式(3)に示すように変形することができる。よって、カルマンフィルタ55は、カルマンゲインGと観測値yとに基づいて、状態量xの最適推定値を推定する。また、カルマンフィルタ55は、この推定した状態量xの最適推定値に基づいて、後述する補正値を算出する。
以上のように、車両用ナビゲーションシステム10は構成されている。この車両用ナビゲーションシステム10では、測位装置50によって、車両の走行軌跡が精度良く算出される。この車両の走行軌跡の算出について説明するために、図3のフローチャートを参照して、測位装置50の処理について説明する。ここでは、車両の電源がオンされたとき、例えば、車両のイグニッションがオンされたときに、測位装置50は、ROMに記憶されているプログラムの処理を実行する。
ステップS100において、車両の電源がオフであったことにより測位装置50の作業領域としてのRAMが初期化されている。このため、測位装置50は、後述するステップS170のバックアップ処理にて記憶された各データをフラッシュメモリから読み戻す。また、測位装置50は、この読み戻した各データをRAMに記憶させる。
続いて、ステップS110において、測位装置50は、タイヤ空気圧監視システム20の図示しない空気圧センサから出力される車両のタイヤの空気圧に基づいて、誤差共分散行列Pについてリセット処理を行う。また、測位装置50は、タイヤ空気圧監視システム20の図示しないタイヤ交換スイッチから出力されるタイヤが交換されたか否かに応じた信号に基づいて、誤差共分散行列Pについてリセット処理を行う。さらに、測位装置50は、ジャイロ温度センサ13から出力されるジャイロセンサ12の温度に基づいて、誤差共分散行列Pについてリセット処理を行う。なお、このリセット処理については、後述する。
続いて、ステップS120において、測位装置50は、車両の電源がオフされたか否かを判定する。車両の電源がオフされたとき、処理は、ステップS170に移行する。また、車両の電源がオンされたとき、処理は、ステップS130に移行する。なお、ここで、以下では、便宜上、ステップS120の処理が開始されてからステップS120の処理に戻るまでの一連の動作期間を周期Tmとする。
ステップS120に続くステップS130において、測位装置50は、車両の移動距離Lおよび方位変化量Dを算出する。
具体的には、測位装置50の移動距離計測部51は、以下関係式(4)に示すように、周期Tm内において車速センサ11から出力されたパルスの数に、距離係数Kを乗算することによって、移動距離Lを算出する。なお、この距離係数Kは、車速センサ11から出力された1パルスあたりの車両の移動量を示す値であって、ここでは、後述する補正対象になっている。以下関係式において、L(t)は、t回目の周期Tmにて更新されるときの移動距離Lである。N(t)は、t回目の周期Tm内において車速センサ11から出力されたパルスの数である。K(t)は、t回目の周期Tmにて移動距離Lの算出に用いられる距離係数Kである。
また、測位装置50の方位変化量計測部52は、以下関係式(5)に示すように、ジャイロセンサ12からの車両のヨーレートRに周期Tmを乗算する。さらに、方位変化量計測部52は、この乗算した値から、後述する補正対象としてのオフセット補正値Fに周期Tmを乗算した値を減算することにより、この乗算した値をオフセット補正する。これにより、ヨーレートRがゼロであるときに対応するジャイロセンサ12の出力値の変化による誤差が補正される。また、方位変化量計測部52は、このオフセット補正した値に、後述する補正対象としてのゲイン補正値Sを乗算することによりゲイン補正する。これにより、ヨーレートRに対するジャイロセンサ12の出力値の変化による誤差が補正される。なお、以下関係式において、R(t)は、t回目の周期Tmにおいてジャイロセンサ12から出力されたヨーレートRである。F(t)は、t回目の周期Tmにて方位変化量Dの算出に用いられるオフセット補正値Fである。S(t)は、t回目の周期Tmにて方位変化量Dの算出に用いられるゲイン補正値Sである。
続いて、ステップS140において、測位装置50は、車両の相対軌跡および車速Vcを算出する。
具体的には、測位装置50の相対軌跡演算部53は、以下関係式(6)を用いて、相対方位θsを算出する。ここでは、相対軌跡演算部53は、前回の周期Tmにて算出された相対方位θsに、上記ステップS130にて方位変化量計測部52により算出された方位変化量Dを加算することにより、今回の周期Tmにおける相対方位θsを算出する。θs(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出された相対方位θsである。
また、相対軌跡演算部53は、この算出した相対方位θsと上記ステップS120にて移動距離計測部51により算出された移動距離Lとに基づいて、相対位置座標のX成分の移動量を算出する。さらに、相対軌跡演算部53は、以下関係式(7-1)に示すように、この算出したX成分の移動量を、前回の周期Tmにて算出した相対位置座標のX成分に加算することにより、今回の周期Tmにおける相対位置座標のX成分を算出する。また、同様に、相対軌跡演算部53は、以下関係式(7-2)に示すように、今回の周期TmにおけるY成分の移動量を、前回の周期Tmにて算出した相対位置座標のY成分に加算することにより、今回の周期Tmにおける相対位置座標のY成分を算出する。なお、以下関係式において、rel_x(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出される相対位置座標のX成分である。rel_y(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出される相対位置座標のY成分である。
また、相対軌跡演算部53は、以下関係式(8)に示すように、上記ステップS120にて移動距離計測部51により算出された移動距離Lを周期Tmで除算することによって、車両の車速Vcを算出する。なお、以下関係式において、Vc(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出された車速Vcである。
続いて、ステップS150において、測位装置50は、絶対方位θdおよび絶対位置を算出する。
具体的には、測位装置50の絶対位置推測部54は、以下関係式(9)に示すように、前回の周期Tmにて算出された絶対方位θdに、上記ステップS130にて方位変化量計測部52により算出された方位変化量Dを加算する。これにより、絶対位置推測部54は、絶対方位θdを算出する。なお、以下関係式において、θd(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出される絶対方位θdである。
また、絶対位置推測部54は、この算出した絶対方位θdと上記ステップS120にて移動距離計測部51により算出した移動距離Lとに基づいて、絶対位置座標のX成分の移動量を算出する。さらに、絶対位置推測部54は、以下関係式(10-1)に示すように、この算出したX成分の移動量を、前回の周期Tmにて算出した絶対位置座標のX成分に加算することにより、今回の周期Tmにおける絶対位置座標のX成分を算出する。また、同様に、絶対位置推測部54は、以下関係式(10-2)に示すように、今回の周期TmにおけるY成分の移動量を、前回の周期Tmにて算出した絶対位置座標のY成分に加算することにより、今回の周期Tmにおける絶対位置座標のY成分を算出する。なお、以下関係式において、abs_x(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出される絶対位置座標のX成分である。abs_y(t)は、t回目の周期Tmにおいて算出される絶対位置座標のY成分である。
続いて、ステップS160において、測位装置50は、GNSSとの複合化処理を行う。この処理を説明するために、図4のサブフローチャートを参照して説明する。
ステップS200において、測位装置50は、GNSS受信部14からのデータ、ここでは、GNSS絶対位置、GNSS絶対方位θgおよびGNSS車速Vg等を所定時間以内に新たに取得したか否かを判定する。測位装置50がGNSS受信部14からのデータを、所定時間以内に新たに取得しているとき、処理は、ステップS210に移行する。また、所定時間が経過しても、測位装置50がGNSS受信部14からのデータを新たに取得していないとき、処理は、ステップS280に移行する。
ステップS200に続くステップS210において、測位装置50のカルマンフィルタ55は、車速センサ11、ジャイロセンサ12およびGNSS受信部14からの信号に基づいて観測される信号である観測値yを算出する。
ここで、カルマンフィルタ55は誤差を補正するものであるため、後述する状態量xの誤差と関連付けるために、観測値yは、以下の誤差とされている。具体的には、観測値yは、絶対方位観測誤差εθd-εθg、距離係数観測誤差εKd-εKg、北方向観測誤差εYd-εYg、東方向観測誤差εXd-εXgである。
また、ここで、絶対位置推測部54により算出される絶対方位θdには、車両の絶対方位の真値θvと、絶対位置推測部54の算出による誤差εθdとが含まれている。さらに、GNSS受信部14から出力されるGNSS絶対方位θgには、車両の絶対方位の真値θvと、GNSS受信部14の算出による誤差εθgとが含まれている。したがって、カルマンフィルタ55は、上記ステップS150にて絶対位置推測部54により算出される絶対方位θdから、GNSS受信部14にて出力されるGNSS絶対方位θgを減算することにより、絶対方位観測誤差εθd-εθgを算出する。
同様に、カルマンフィルタ55は、上記ステップS140にて相対軌跡演算部53により算出される車速Vcから、GNSS受信部14から出力されるGNSS車速Vgを減算する。これにより、カルマンフィルタ55は、距離係数観測誤差εKd-εKgを算出する。また、カルマンフィルタ55は、上記ステップS150にて絶対位置推測部54により算出される絶対位置のY成分から、GNSS受信部14にて出力される絶対位置のY成分を減算することにより、北方向観測誤差εYd-εYgを算出する。さらに、カルマンフィルタ55は、上記ステップS150にて絶対位置推測部54により算出される絶対位置のX成分から、GNSS受信部14にて出力される絶対位置のX成分を減算することにより、東方向観測誤差εXd-εXgを算出する。
続いて、ステップS220において、カルマンフィルタ55は、状態量xを変換するための行列である状態遷移行列Aを算出する。
ここで、この状態遷移行列Aを説明するため、状態量xの詳細について説明する。ここでは、カルマンフィルタ55が誤差を補正するものであるため、状態量xは、オフセット誤差εFと、ゲイン誤差εSと、絶対方位誤差εθと、距離係数誤差εKと、絶対方位北方向誤差εYと、絶対方位東方向誤差εXとの6つの誤差とされている。
オフセット誤差εFは、方位変化量Dの計測誤差に対応しており、以下関係式(11-1)に示すように表される。ゲイン誤差εSは、方位変化量Dの計測誤差に対応しており、以下関係式(11-2)に示すように表される。絶対方位誤差εθは、以下関係式(11-3)に示すように表される。距離係数誤差εKは、移動距離Lの計測誤差に対応しており、以下関係式(11-4)に示すように表される。絶対方位北方向誤差εYは、以下関係式(11-5)に示すように表される。絶対方位東方向誤差εXは、以下関係式(11-6)に示すように表される。なお、以下関係式において、ε0は、ジャイロセンサ12の温度変化による、ジャイロセンサ12の出力値のオフセット変化量、例えばヨーレートRがゼロであるときに対応するジャイロセンサ12の出力値の変化量である。ε1は、ジャイロセンサ12の温度変化による、ジャイロセンサ12の出力値のゲイン変化量、例えばヨーレートRに対するジャイロセンサ12の出力値の変化量である。ε2は、ジャイロセンサ12のX方向およびY方向とは異なる他軸の感度であるクロスカップリング等による変化量である。ε3は、車両のタイヤの変化や車速センサ11の経年変化による変化量である。ε0、ε1、ε2、ε3は、実験やシミュレーション等により予め設定される。τは、前回の周期Tmが終了してから経過した時間である。また、絶対方位θdは、絶対方位の真値θvにセンサ誤差が加わったものであって、以下関係式(11-7)のように表されるが、ここでは、上記ステップS150にて絶対位置推測部54により方位変化量Dに基づいて算出される値が用いられる。
また、関係式(11-1)~(11-6)について各状態量xで偏微分することにより、関係式(1)を以下関係式(12)に変形することができる。
したがって、状態遷移行列Aは、移動距離L、方位変化量D、(t-1)回目の周期Tmが終了してから経過した時間であるτ、絶対方位θdに基づく値を成分とする行列になっている。よって、カルマンフィルタ55は、τと、上記ステップS130にて算出された移動距離Lおよび方位変化量Dと、上記ステップS150にて絶対位置推測部54により算出される絶対方位θdとに基づいて、状態遷移行列Aを算出する。
続いて、ステップS230において、カルマンフィルタ55は、上記関係式(2-1)を用いて、上記ステップS220にて算出した状態遷移行列Aと観測過程にて発生する雑音である観測雑音wとに基づいて、事前誤差共分散行列P(t|t-1)を推定する。
ここで、観測雑音wは、観測値yが算出される観測過程にて発生するものであって、ここでは、GNSS受信部14の雑音である。このため、観測雑音wは、GNSS絶対方位誤差εθgと、GNSS距離係数誤差εKgと、GNSS北方向誤差εYgと、GNSS東方向誤差εXgとを含む。そして、GNSS絶対方位誤差εθg、GNSS距離係数誤差εKg、GNSS北方向誤差εYg、GNSS東方向誤差εXgは、以下のように算出される。
GNSS絶対方位誤差εθgは、例えば、以下関係式(13-1)に示すように、方位精度σbを自乗することによって、カルマンフィルタ55により算出される。なお、この方位精度σbは、以下関係式(13-2)に示すように、GNSS受信部14によって算出される車速であるGNSS車速Vgと車速精度σvとに基づいて算出される。また、車速精度σvは、GNSS受信部14にて検出されるドップラー周波数の誤差と、測位衛星の配置による測位精度σmの低下度合を示すHDOPとを乗算することによって算出される。さらに、HDOPとは、Horizontal Dilution of Precisionの略である。
GNSS距離係数誤差εKgは、例えば、以下関係式(14)に示すように、上記した車速精度σvを上記したGNSS車速Vgで除算することによって、カルマンフィルタ55により算出される。
また、GNSS北方向誤差εYgは、以下関係式(15-1)に示すように、測位精度σmのY成分を自乗することによって、カルマンフィルタ55により算出される。さらに、GNSS東方向誤差εXgは、以下関係式(15-2)に示すように、測位精度σmのX成分を自乗することによって、カルマンフィルタ55により算出される。なお、測位精度σmは、擬似距離の誤差であるUEREと、上記したHDOPとを乗算することによって算出される。ここで、擬似距離とは、図示しない測位衛星からGNSS受信部14の図示しないアンテナまでの距離である。また、UEREは、User Equivalent Range Errorの略である。また、以下関係式において、σm_yは、測位精度σmのY成分である。σm_xは、測位精度σmのX成分である。
したがって、カルマンフィルタ55は、この算出したGNSS絶対方位誤差εθgと、GNSS距離係数誤差εKgと、GNSS北方向誤差εYgと、GNSS東方向誤差εXgとを含む観測雑音wから、観測雑音wの共分散行列であるWを算出する。よって、カルマンフィルタ55は、この算出したWとステップS220にて算出した状態遷移行列Aとを上記関係式(3)に代入することにより、事前誤差共分散行列P(t|t-1)を推定する。これにより、事前誤差共分散行列P(t|t-1)は、状態遷移行列Aが移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて算出されているため、移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて推定される。
続いて、ステップS240において、カルマンフィルタ55は、上記関係式(2-2)を用いて、カルマンゲインGを算出する。
ここでは、関係式(2-2)における事前誤差共分散行列P(t|t-1)は、上記ステップS230において算出されている。また、状態量生成雑音vの共分散行列であるVは、上記関係式(12)を用いて、ε0、ε1、ε2、ε3に基づいて算出される。さらに、上記した観測値yおよび観測雑音wにより、関係式(1-2)を以下関係式(16)に変形することができる。したがって、観測行列Cは、以下関係式(16)に示すように設定されている。
よって、カルマンフィルタ55は、状態量生成雑音vの共分散行列であるVと、上記ステップS230にて算出した事前誤差共分散行列P(t|t-1)と、観測行列Cとを上記関係式(2-2)に代入することにより、カルマンゲインGを算出する。これにより、カルマンゲインGは、事前誤差共分散行列P(t|t-1)が移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて算出されているため、移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて算出される。
続いて、ステップS250において、カルマンフィルタ55は、上記関係式(2-5)を用いて、事後誤差共分散行列P(t|t)を算出する。具体的には、カルマンフィルタ55は、単位行列Iと、上記ステップS240にて算出したカルマンゲインGと、上記ステップS230にて算出した事前誤差共分散行列P(t|t-1)と、観測行列Cとを上記関係式(2-5)に代入する。これにより、カルマンフィルタ55は、事後誤差共分散行列P(t|t)を算出する。また、事後誤差共分散行列P(t|t)は、カルマンゲインGが移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて算出されているため、移動距離Lおよび方位変化量Dに基づいて算出される。
また、この算出された誤差共分散行列Pは、例えば、以下関係式(17)のように表される。なお、以下関係式において、σFF2は、オフセット誤差εFの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、オフセット誤差εFについての分散で表されている。σSS2は、ゲイン誤差εSの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、ゲイン誤差εSについての分散で表されている。σθθ2は、絶対方位誤差εθの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、絶対方位誤差εθについての分散で表されている。σKK2は、距離係数誤差εKの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、距離係数誤差εKについての分散で表されている。σYY2は、絶対方位北方向誤差εYの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、絶対方位北方向誤差εYについての分散で表されている。σXX2は、絶対方位東方向誤差εXの確からしさに関する値であって、例えば、ここでは、絶対方位東方向誤差εXについての分散で表されている。さらに、これら以外のσij2は、i行とj列の共分散である。例えば、σFS2は、オフセット誤差εFとゲイン誤差εSとの相関の度合を示す。
続いて、ステップS260において、カルマンフィルタ55は、ステップS240にて算出したカルマンゲインGと、ステップS210にて算出した観測値yとを、上記関係式(3)に代入することにより状態量xを算出する。これにより、状態量xであるオフセット誤差εFと、ゲイン誤差εSと、絶対方位誤差εθと、距離係数誤差εKと、絶対方位北方向誤差εYと、絶対方位東方向誤差εXが算出される。
続いて、ステップS270において、カルマンフィルタ55は、上記ステップS260にて算出した状態量xを用いて、補正対象の値を補正する。具体的には、カルマンフィルタ55は、補正対象であるオフセット補正値F、ゲイン補正値S、距離係数K、絶対方位θd、絶対位置座標のY成分、絶対位置座標のX成分の値を補正する。
例えば、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-1)に示すように、オフセット補正値Fを、上記ステップS260にて算出したオフセット誤差εFを用いて補正する。また、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-2)に示すように、ゲイン補正値Sを、上記ステップS260にて算出したゲイン誤差εSを用いて補正する。さらに、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-3)に示すように、距離係数Kを、上記ステップS260にて算出した距離係数誤差εKを用いて補正する。また、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-4)に示すように、絶対方位θdを、上記ステップS260にて算出した絶対方位誤差εθを用いて補正する。さらに、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-5)に示すように、絶対位置座標のY成分を、上記ステップS260にて算出した絶対方位北方向誤差εYを用いて補正する。また、カルマンフィルタ55は、以下関係式(18-6)に示すように、絶対位置座標のX成分を、上記ステップS260にて算出した絶対方位東方向誤差εXを用いて補正する。
これにより、次回の周期Tmにおいて、移動距離L、方位変化量D、車両の相対軌跡、絶対方位θdおよび絶対位置のそれぞれについて誤差修正がされる。この誤差修正が繰り返されることにより、正確なデータを得ることができる。その後、処理は、ステップS120に戻る。
ステップS200に続くステップS280において、カルマンフィルタ55は、上記ステップS220と同様に、状態遷移行列Aを算出する。
続いて、ステップS290において、カルマンフィルタ55は、上記ステップS230と同様に、事前誤差共分散行列P(t|t-1)を推定する。その後、処理は、ステップS120に戻る。これにより、カルマンフィルタ55がGNSS受信部14からのデータを得られなかった場合に、何もしないで誤差が大きくなることが抑制される。このため、カルマンフィルタ55がGNSS受信部14のデータを得られなかった状態からGNSS受信部14のデータを得られたときに、各データがそれぞれ精度良く算出される。
ステップS120に続くステップS170において、測位装置50は、この停止する前の各データをフラッシュメモリに記憶させる。具体的には、測位装置50は、車両の電源がオフされる直前において上記したステップS130にて算出した方位変化量Dおよび移動距離Lをフラッシュメモリに記憶させる。また、測位装置50は、車両の電源がオフされる直前において上記したステップS140にて算出した相対軌跡をフラッシュメモリに記憶させる。さらに、測位装置50は、車両の電源がオフされる直前において上記したステップS150にて算出した絶対方位θdおよび絶対位置をフラッシュメモリに記憶させる。また、測位装置50は、車両の電源がオフされる直前において上記したステップS250にて算出した事後誤差共分散行列P(t|t)をフラッシュメモリに記憶させる。さらに、測位装置50は、車両の電源がオフされる直前において上記したステップS270に算出したオフセット補正値F、ゲイン補正値S、距離係数K、絶対方位θd、絶対位置座標のY成分、絶対位置座標のX成分の値をフラッシュメモリに記憶させる。その後、処理は、終了する。
以上のように、車両の電源がオンされるとき、測位装置50の処理が行われる。
次に、図5のサブフローチャートを参照して、測位装置50のステップS110のリセット処理の詳細について説明する。このステップS110では、上記したように、測位装置50は、車両のタイヤの空気圧と、タイヤが交換されたか否かと、ジャイロセンサ12の温度とに基づいて、誤差共分散行列Pについてリセット処理を行う。
ステップS300において、測位装置50は、タイヤ空気圧Ptが所定以上変化したか否かを判定する。具体的には、測位装置50は、現時点のタイヤ空気圧Ptをタイヤ空気圧監視システム20から取得する。また、測位装置50は、例えば、この取得したタイヤ空気圧Ptと上記ステップS100にて読み戻したタイヤ空気圧Ptとの差の絶対値を算出することにより、空気圧変化量|ΔPt|を算出する。さらに、測位装置50は、この算出した空気圧変化量|ΔPt|が空気圧閾値ΔPt_th以上であるか否かを判定する。空気圧変化量|ΔPt|が空気圧閾値ΔPt_th以上であるとき、処理は、ステップS320に移行する。また、空気圧変化量|ΔPt|が空気圧閾値ΔPt_th未満であるとき、処理は、ステップS310に移行する。
ステップS300に続くステップS310において、測位装置50は、タイヤ交換があった否かを判定する。具体的には、タイヤ空気圧監視システム20の図示しないタイヤ交換スイッチは、車両の運転者によって操作されたとき、タイヤが交換されたことを示す信号を測位装置50に出力する。測位装置50がこの信号を受信したとき、処理は、ステップS320に移行する。また、測位装置50がこの信号を受信していないとき、処理は、ステップS330に移行する。
ステップS320において、空気圧変化量|ΔPt|が空気圧閾値ΔPt_th以上である、または、車両のタイヤが交換されているため、車両の電源がオンされる前と比較して車両のタイヤの径が異なる。これにより、タイヤの1回転あたりの車両の移動量が異なるため、車速センサ11から出力された1パルスあたりの車両の移動量を示す距離係数Kが変化している。このとき、相対軌跡演算部53により算出される車速Vcから、GNSS受信部14から出力されるGNSS車速Vgを減算することにより算出される観測値yの距離係数観測誤差εKd-εKgが急激に変化する。
また、ここでは、車両の電源がオン直後であって、車両の電源がオフされる前の状態が読み戻されているため、状態量xの予測誤差としての誤差共分散行列Pの成分のうち距離係数誤差εKの確からしさを示す分散であるσKK2は、比較的小さくなっている。このため、距離係数誤差εKに対応するカルマンゲインGが比較的小さくなる。したがって、このとき、距離係数誤差εKが適切な値に修正されるまでに時間がかかることにより、この観測値yの急激な変化に追従できないことがある。
よって、測位装置50は、ステップS100にて読み出した事後誤差共分散行列P(t|t)の成分のうち距離係数誤差εKの確からしさを示す分散であるσKK2を、車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくする。ここでは、測位装置50は、このσKK2を初期化する。なお、σKK2の初期値は、距離係数誤差εKが適切な値に比較的速く収束するように、実験やシミュレーション等により設定されている。例えば、σKK2の初期値は、測位装置50が工場から出荷されるときや車両に搭載されるときの初期状態の値であって、車両の電源がオフされる直前のときよりも比較的大きな値に設定される。これにより、距離係数誤差εKの確からしさが低くなるため、距離係数誤差εKを大幅に修正しようとしてカルマンゲインGが大きくなる。このため、距離係数誤差εKは、比較的速く、適切な値に収束する。その後、処理は、ステップS330に移行する。
ステップS330において、測位装置50は、ジャイロセンサ12の温度であるジャイロ温度Hgの変化が所定以上であるか否かを判定する。具体的には、測位装置50は、現時点のジャイロ温度Hgをジャイロ温度センサ13から取得する。また、測位装置50は、この取得したジャイロ温度Hgと上記ステップS100にて読み戻したジャイロ温度Hgとの差の絶対値を算出することにより、温度変化量|ΔHg|を算出する。さらに、測位装置50は、この算出した温度変化量|ΔHg|が温度閾値ΔHg_th以上であるか否かを判定する。温度変化量|ΔHg|が温度閾値ΔHg_th以上であるとき、処理は、ステップS340に移行する。また、温度変化量|ΔHg|が温度閾値ΔHg_th未満であるとき、処理は、ステップS120に移行する。
ステップS340において、温度変化量|ΔHg|が温度閾値ΔHg_th以上であるため、ジャイロセンサ12の特性が変化している。具体的には、ジャイロセンサ12のオフセット、ここでは、ヨーレートRがゼロであるときに対応するジャイロセンサ12の出力値が変化している。これにより、車両の電源がオンされる前と比較して、オフセット補正値Fが変化している。また、ジャイロセンサ12のゲイン、ここでは、ヨーレートRに対するジャイロセンサ12の出力値が変化しているため、車両の電源がオンされる前と比較して、ゲイン補正値Sが変化している。
また、ここでは、このオフセット補正値Fおよびゲイン補正値Sに基づいて方位変化量Dが算出される。さらに、この算出された方位変化量Dに基づいて絶対方位θdが絶対位置推測部54により算出される。したがって、このとき、絶対位置推測部54により算出される絶対方位θdから、GNSS受信部14にて出力されるGNSS絶対方位θgを減算することにより算出される観測値yの絶対方位観測誤差εθd-εθgは、急激に変化する。
さらに、ここでは、車両の電源がオン直後であって、車両の電源がオフされる前の状態が読み戻されているため、状態量xの予測誤差としての誤差共分散行列Pの成分のうちオフセット誤差εFの確からしさを示す分散であるσFF2は、比較的小さくなっている。このため、オフセット誤差εFに対応するカルマンゲインGが比較的小さくなる。また、状態量xの予測誤差としての誤差共分散行列Pの成分のうちゲイン誤差εSの確からしさを示す分散であるσSS2が比較的小さくなっているため、ゲイン誤差εSに対応するカルマンゲインGは、比較的小さくなる。したがって、このとき、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSが適切な値に修正されるまでに時間がかかることにより、この観測値yの急激な変化に追従できないことがある。
よって、測位装置50は、ステップS100にて読み出した事後誤差共分散行列P(t|t)の成分のうちオフセット誤差εFの確からしさを示す分散であるσFF2を車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくする。ここでは、測位装置50は、このσFF2を初期化する。また、測位装置50は、誤差共分散行列Pの成分のうちゲイン誤差εSの確からしさを示す分散であるσSS2を車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくする。ここでは、測位装置50は、このσSS2を初期化する。その後、処理は、ステップS120に移行する。なお、σFF2の初期値は、オフセット誤差εFが適切な値に比較的速く収束するように、実験やシミュレーション等により設定されている。また、σSS2の初期値は、ゲイン誤差εSが適切な値に比較的速く収束するように、実験やシミュレーション等により設定されている。例えば、σFF2の初期値およびσSS2の初期値は、測位装置50が工場から出荷されるときや車両に搭載されるときの初期状態の値であって、車両の電源がオフされる直前のときよりも比較的大きな値に設定される。これにより、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSの確からしさが低くなるため、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSが大幅に修正されようとする。このため、カルマンゲインGが大きくなるので、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSは、比較的速く、適切な値に収束する。その後、処理は、ステップS120に移行する。
以上のように、測位装置50の処理が行われる。また、この測位装置50では、車両の電源がオン直後の車両の走行軌跡の精度が向上する。以下では、この精度向上について説明する。
車両の電源がオフからオンにされるときに車速センサ11の特性が変化したとき、測位装置50は、ステップS320において、誤差共分散行列Pの成分のうち距離係数誤差εKの確からしさに関する値であるσKK2を変更する。ここでは、測位装置50は、このσKK2を、車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくするため、初期値に変更する。これにより、σKK2を車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくして距離係数誤差εKの確からしさを低くすることができる。このため、距離係数誤差εKを修正するためのカルマンゲインGを大きくすることができる。したがって、距離係数誤差εKは、比較的速く、適切な値に収束させることができる。よって、車両の電源がオン直後の車両の走行軌跡の精度が向上する。
また、測位装置50は、ステップS340において、車両の電源がオフからオンにされるときにジャイロセンサ12の特性が変化したとき、誤差共分散行列Pの成分のうちオフセット誤差εFの確からしさに関する値であるσFF2を変更する。また、このとき、測位装置50は、ゲイン誤差εSの確からしさに関する値であるσSS2を変更する。ここでは、測位装置50は、σFF2およびσSS2を、車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくするために、初期値に変更する。これにより、上記と同様に、σFF2およびσSS2を車両の電源がオフされる直前のときよりも大きくしてオフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSの確からしさを低くするができる。このため、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSを修正するためのカルマンゲインGを大きくすることができる。したがって、オフセット誤差εFおよびゲイン誤差εSは、比較的速く、適切な値に収束させることができる。よって、車両の電源がオン直後の車両の走行軌跡の精度が向上する。
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
本開示に記載の計測部、演算部、推測部、変更部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の計測部、演算部、推測部、変更部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の計測部、演算部、推測部、変更部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(1)上記実施形態では、車速センサ11の出力に応じた移動距離Lは、周期Tmの間に両が走行した距離として算出されている。これに対して、車速センサ11の出力に応じた移動距離Lは、周期Tmの間に両が走行した距離に限定されないで、例えば、単位時間に車両が走行した距離すなわち車速として算出されてもよい。
(2)上記実施形態では、ジャイロセンサ12の出力に応じた方位変化量Dは、周期Tmの間に車両の進行方向の方位が変化した角度として算出されている。これに対して、ジャイロセンサ12の出力に応じた方位変化量Dは、周期Tmの間に車両の進行方向の方位が変化した角度に限定されないで、例えば、単位時間に車両の進行方向の方位が変化した角度すなわちヨーレートRとして算出されてもよい。
(3)上記実施形態では、車速センサ11のパルス信号は、測位装置50に直接入力されている。これに対して、車速センサ11のパルス信号は、測位装置50に直接入力されていることに限定されないで、車速センサ11のパルス信号は、車内通信ネットワーク、例えば、CAN、LINを介して測位装置50に入力されてもよい。
(4)上記実施形態において、ジャイロセンサ12は、車両のステアリングハンドルの切れ角を検出して出力するステアリング角センサに置き換えられてもよい。これは、ステアリングハンドルの切れ角とヨーレートRとの間には相関があるからである。
(5)上記実施形態では、測位装置50は、車両の電源がオフされる前のタイヤ空気圧Ptと車両の電源がオンされるときのタイヤ空気圧Ptとの差の絶対値を算出することにより、空気圧変化量|ΔPt|を算出している。これに対して、測位装置50は、上記差の絶対値を算出することにより空気圧変化量|ΔPt|を算出することに限定されない。例えば、測位装置50は、車両の電源がオンされるときのタイヤ空気圧Ptを、車両の電源がオフされる前のタイヤ空気圧Ptで除算することにより空気圧変化量|ΔPt|を算出してもよい。同様に、測位装置50は、車両の電源がオフされる前のジャイロ温度Hgと車両の電源がオンされるときのジャイロ温度Hgとの差の絶対値を算出することにより、温度変化量|ΔHg|を算出する。これに対して、測位装置50は、上記差の絶対値を算出することにより温度変化量|ΔHg|を算出することに限定されない。例えば、測位装置50は、車両の電源がオンされるときのジャイロ温度Hgを、車両の電源がオフされる前のジャイロ温度Hgで除算することにより温度変化量|ΔHg|を算出してもよい。
(6)上記実施形態では、カルマンフィルタ55は、車両の位置を観測値とするルースカップリング型である。これに対して、カルマンフィルタ55は、ルースカップリング型に限定されないで、例えば、GNSS受信部14によって算出される擬似距離およびドップラー周波数等を観測値とするタイトカップリング型であってもよい。