{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る配線部材及びその取付構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る配線部材10を示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る配線部材の取付構造100を示す断面図である。図2は、図1のII-II線に沿って切断した断面図である。
配線部材10は、車両に搭載されて、車両に搭載された各部品に電気又は光等を伝送する。配線部材10は、配線体11と、配線体11に取付けられている取付用部材20と、を備える。取付用部材20は、配線体11を取付対象部材40に取付けるための部材である。配線部材10が取付用部材20によって取付対象部材40に取付けられることによって、配線部材の取付構造100とされている。
配線体11は、線状伝送部材12と、線状伝送部材12を保持するベース部材16と、を含む。ここでは配線体11が、複数の線状伝送部材12を含む例で説明する。またここでは、複数の線状伝送部材12がベース部材16によって扁平に保たれている扁平配線体11である例で説明する。
線状伝送部材12は、電気又は光等を伝送する線状の部材であればよい。例えば、線状伝送部材12は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、裸導線、シールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
電気を伝送する線状伝送部材12としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材12は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
ここでは線状伝送部材12が一般電線12(以下、単に電線12という)であるものとして説明する。電線12は、伝送線本体としての芯線13と、芯線13を覆う被覆としての絶縁被覆14とを有する。電線12に関する各説明は、適用不可能な構成を除き、線状伝送部材12の各例示物に適用可能である。
芯線13は、1本又は複数本の素線で構成される。素線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体で形成される。芯線13が複数本の素線で構成される場合、複数本の素線は撚られていてもよい。絶縁被覆14は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)などの樹脂材料が芯線の周囲に押出成形されるなどして形成される。ここでは電線12は、横断面が円形のいわゆる丸電線である。
ベース部材16は、電線12を保持する部材であればよい。ここではベース部材16は、電線12を2次元的に位置決めした状態で保持する部材である。ベース部材16は、作業箇所等に載置された状態で、電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できればよい。このため、ベース部材16は、容易に曲り得る柔軟なシート状部材であってもよい。ベース部材16は、湾曲しつつ電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有するシート状部材であってもよいし、平らな状態を保った状態で電線12を2次元的に位置決めした状態で保持できる程度の剛性を有するシート状部材であってもよい。ベース部材16は、部分的に壁が立設される等、立体的な形状部分を有していてもよい。
ここでは、ベース部材16は、曲げ可能なシート部材16であるものとして説明する。シート部材16に関する各説明は、適用不可能な構成を除き、ベース部材16に適用可能である。
シート部材16を構成する材料は特に限定されるものではないが、シート部材16は、好ましくはPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含む材料によって形成される。シート部材16は、内部が一様に埋ったシート部材16であってもよいし、不織シート等であってもよい。シート部材16は、金属などの材料を含むこともあり得る。シート部材16は、好ましくは、厚み方向において容易に曲る柔軟性を有する。シート部材16は、単層であってもよいし、複数層積層されていてもよい。複数層積層されている場合、例えば、樹脂層と樹脂層とが積層されていることが考えられる。また例えば、樹脂層と金属層とが積層されていることが考えられる。
シート部材16の一主面上に、電線12が固定されている。シート部材16の一主面上において、電線12は一定の経路に沿って固定されている。図1に示す例では、シート部材16上における電線12の経路は、直線であるが、途中で曲る経路であってもよい。またシート部材16の一主面上に複数の電線12が固定される場合、複数の電線12は途中で分岐していてもよいし、分岐していなくてもよい。
シート部材16は、上記複数の電線12の経路に沿う形状に形成されている。このときシート部材16は、電線12の経路に沿った帯状部分17と、帯状部分17の側方に延出する延出部分18とを含む。帯状部分17に電線12が固定されている。延出部分18に取付用部材20が設けられる。
電線12とシート部材16とを固定する態様は、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、電線12とシート部材16とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様である。例えば、縫糸、別のシート部材、粘着テープなどが、電線12をシート部材16に向けて押え込んだり、縫糸、別のシート部材、粘着テープなどが、電線12とシート部材16とを囲む状態等となって、電線12とシート部材16とを挟み込んだりして、電線12とシート部材16とが固定された状態に維持するものである。以下では、電線12とシート部材16とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。接触部位固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、非接触部位固定にも適用可能である。
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、電線12とシート部材16とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどの介在部材を介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、電線12とシート部材16とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えば電線12とシート部材16とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。以下では、電線12とシート部材16とが、接触部位直接固定の状態にあるものとして説明する。接触部位直接固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、接触部位間接固定にも適用可能である。
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を含む各種手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、電線12とシート部材16とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、電線12とシート部材16とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成した部分(電線12とシート部材16との固定部分)を溶着部、このうち、超音波溶着による固定部分を超音波溶着部、加熱加圧溶着による固定部分を加熱加圧溶着部等と称してもよい。
接触部位直接固定の場合、電線12の被覆14に含まれる樹脂のみが溶けていてもよいし、シート部材16に含まれる樹脂のみが溶けていてもよい。これらの場合において、溶けた方の樹脂が他方の外面にくっついた状態となり、比較的はっきりした界面が形成されることがある。また、接触部位直接固定の場合、電線12の被覆14に含まれる樹脂とシート部材16に含まれる樹脂の両方が溶けていてもよい。この場合、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。特に、電線12の被覆14とシート部材16とが、同じ樹脂材料など相溶しやすい樹脂を含む場合などに、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。
取付用部材20は、ベース部材16に取付けられるベース材取付部と、配線体11の取付対象に取付けられる取付対象取付部とを含む。ここでは、ベース材取付部が、ベース部材16の表裏方向両側から塑性変形を伴ってベース部材16を挟持する例で説明する。ベース材取付部は、相互に別に成形されてベース部材16の表裏方向両側からベース部材16を挟持する第1挟持部及び第2挟持部と、塑性変形して第1挟持部及び第2挟持部の挟持状態を維持する塑性変形部とを含む。ベース材取付部は、ベース部材16に形成された貫通孔の周縁部を挟持する。
取付用部材20は、シート部材16の延出部分18に取付けられている。取付用部材20は、延出部分18に形成された貫通孔18hを用いて延出部分18に取付けられている。従って本例では、ベース材取付部が、延出部分18の貫通孔18hの周縁部を挟み込むように形成されている例で説明する。
取付対象取付部は、取付対象部材40に応じた形状に形成されている。取付対象取付部は、取付対象部材40に取付け可能であれば特に限定されるものではない。ここでは、配線部材10と、取付対象部材40との取付けにスナップが用いられている。これにより、配線部材10と、取付対象部材40と着脱容易に取付けられている。スナップは、凹形状部と凸形状部とが対として用いられる留め具であり、例えば、服飾用途において、生地の合わさる部分を留める部材である。係るスナップのうち凸型のものを雄型のスナップファスナ20と言い、凹型のものを雌型のスナップファスナ50と言う。なお、スナップファスナは、スナップボタンなどと呼ばれることもある。ここでは、取付用部材20として雄型のスナップファスナ20が設けられている例で説明するが、取付用部材20に雌型のスナップファスナ50が設けられていてもよい。
図3は、取付用部材20として用いられる雄型のスナップファスナ20の分解断面図である。
雄型のスナップファスナ20は、上記ベース材取付部と、取付対象取付部とを含む。具体的には、ここでは雄型のスナップファスナ20は、別に成形された複数の部品で構成されている。図3に示す例では、雄型のスナップファスナ20は、別に成形された雄本体部22及び留具26で構成されている。雄型のスナップファスナ20は、例えば金属製、又は樹脂製である。
雄本体部22は、雄型のスナップファスナ20を雌型のスナップファスナ50へ取付けるための嵌合用頭部23と、嵌合用頭部23の基端部から外周側に広がるフランジ部24とを有する。ここでは嵌合用頭部23は、筒状に形成されている。
留具26は、シート部材16に形成された貫通孔18hを貫通し、嵌合用頭部23に挿入される取付用頭部27と、取付用頭部27の基端部から外周側に広がるフランジ部28とを有する。
ここでは、フランジ部24、28の間にシート部材16が挟持されることによって雄型のスナップファスナ20が配線体11に取付けられている。このとき、シート部材16を貫通した取付用頭部27が嵌合用頭部23に挿入されることによって、フランジ部24、28の間に、シート部材16の一部が挟持された状態を維持している。より詳細には、嵌合用頭部23にシート部材16を貫通した取付用頭部27が挿入されるときに、取付用頭部27の先端部が加締められて、嵌合用頭部23の内面形状に応じた形状に塑性変形する。例えば、嵌合用頭部23の外面が治具等に支持された状態で、嵌合用頭部23に挿入された取付用頭部27の先端部が嵌合用頭部23の内面に当接した後、嵌合用頭部23の内面からの力を受けて嵌合用頭部23の内面形状に応じた形状に塑性変形していく。これにより、嵌合用頭部23からの取付用頭部27の戻り止めが図られ、もってフランジ部24、28がシート部材16を挟持した状態に維持される。
従って雄型のスナップファスナ20において、フランジ部24、28が上記第1挟持部及び第2挟持部であり、取付用頭部27が塑性変形部であり、これらがベース材取付部であるととらえることができる。そして、雄型のスナップファスナ20において嵌合用頭部23及び取付用頭部27が取付対象取付部としての凸形状部21とされる。
取付対象部材40は、配線部材10の取付対象である。ここでは取付対象部材40が車体本体である例で説明する。車体本体は、例えばフレーム、パネル、補強部材などである。図2に示す例では、取付対象部材40は、平坦面を有する部材である。ここでは、取付対象部材40の平坦面上に配線部材10が展開された状態で取付けられている。取付対象部材40には、取付孔40hが形成されている。この取付孔40hに雌型のスナップファスナ50が取付けられている。
図4は、雌型のスナップファスナ50の分解断面図である。
雌型のスナップファスナ50は、凹形状部51のほかに取付構造部を含む。取付構造部は、雌型のスナップファスナ50自身を凹形状部51が取付けられる部材(ここでは取付対象部材40)へ取付けるための部分である。雌型のスナップファスナ50がベース部材に取付けられる場合、取付構造部は上記ベース材取付部に相当する。
具体的には、ここでは雌型のスナップファスナ50は、別に成形された複数の部品で構成されている。図4に示す例では、雌型のスナップファスナ50は、別に成形された雌本体部52及び受部56で構成されている。雌型のスナップファスナ50は、例えば金属製、又は樹脂製である。
雌本体部52は、筒体53と、保持板54と、リングばね55とを含む。筒体53と、保持板54と、リングばね55とは、別に成形された部材である。雌本体部52において、筒体53と、保持板54と、リングばね55との内側に連通するように形成された孔部が凹形状部51である。
筒体53は、図4に示すように、雌型のスナップファスナ50が取付対象部材40に取付けられる前の状態で、小筒部53aと、小筒部53aよりも大径な大筒部53bと、大筒部53bよりも大径なフランジ部53cとが、軸方向一方側から他方側に向けて連なった形状に形成されている。小筒部53aは、雌型のスナップファスナ50が取付対象部材40に取付けられるときに、加締められて塑性変形する部分である。ここでは小筒部53aは、雌型のスナップファスナ50の取付対象部材40に形成された取付孔40hを貫通可能な長さ寸法、及び径寸法を有している。大筒部53bの内側にはリングばね55が収容される。大筒部53bと小筒部53aとの間には段差部が生じており、リングばね55の抜け止めを図っている。フランジ部53cは、保持板54に保持される部分である。
保持板54は、円板状部材の中心に小筒部53aと同軸の貫通孔54hが形成されるとともに、外周部が反り返るように変形して、フランジ部53cを保持している。保持板54の貫通孔54hは、リングばね55の外径よりも小寸に設定されている。これにより、保持板54がフランジ部53cに保持された状態で、リングばね55の戻り止めを図ることができる。
リングばね55は、凸形状部21の挿入時に凹形状部51を広げる弾性変形部である。またリングばね55には凸形状部21が挿入されることから、リングばね55も凹形状部51の一部でもあるととらえることができる。自然状態でリングばね55の外径は、大筒部53bの内径よりも小寸に形成されている。これにより、リングばね55は外周側に広がるように弾性変形可能とされている。また自然状態でリングばね55の内径は、小筒部53aの内径及び保持板54の貫通孔54hよりも小寸に形成されている。これによりリングばね55の内周部が凹形状部51において最も幅狭の部分とされる。
受部56は、例えば円板状に形成されている。また受部56には、小筒部53aを挿通可能な挿通孔56hが形成されている。
雌型のスナップファスナ50は、以下のようにして取付対象部材40に取付けられる。すなわち、雌本体部52が取付対象部材40に対して一方側に位置するとともに、受部56が取付対象部材40に対して他方側に位置する状態で、雌本体部52の小筒部53aが取付対象部材40に形成された取付孔40h及び受部56に形成された挿通孔56hを貫通する。そして、取付対象部材40に形成された取付孔40h及び受部56に形成された挿通孔56hを貫通した雌本体部52の小筒部53aの先端部が加締められて、受部56の裏面を押さえるように塑性変形する。
ここでは小筒部53aの先端部は、周方向に1つにつながった形状に形成されている。この場合、加締められた小筒部53aの先端部が、1つの取付孔40hの周縁全体を押さえる。もっとも小筒部53aの先端部は、上記以外の形状に形成されていてもよく、例えば、複数の片が周方向に分かれた形状に形成されていてもよい。この場合、加締められた小筒部53aの先端部の複数の片が、1つの取付孔40hの周縁を周方向に離れた複数箇所で押さえる。
雌型のスナップファスナ50において、雌本体部52及び受部56による挟み込み構造及びそれを維持するための雌本体部52の加締め構造は、雌型のスナップファスナ50を取付対象部材40へ取付けるための取付構造部であるととらえることができる。
図5は、配線部材10に雌型のスナップファスナ50が設けられ、取付対象部材40に雄型のスナップファスナ20が設けられた例を示す断面図である。この例のように、配線部材10に雌型のスナップファスナ50が設けられ、取付対象部材40に雄型のスナップファスナ20が設けられてもよい。この例のように、雌型のスナップファスナ50が、ベース部材16に取付けられる場合、雌本体部52(大筒部53b、フランジ部53c、保持板54)及び受部56が第1挟持部及び第2挟持部であり、小筒部53aが塑性変形部であり、これらがベース材取付部であるととらえることができる。また凹形状部51及びリングばね55が取付対象取付部であるととらえることができる。
ベース部材16への、雄型のスナップファスナ20又は雌型のスナップファスナ50の取付には、例えば加締め用の治具を用いることができる。すなわち、加締め用の治具によって、雄型のスナップファスナ20又は雌型のスナップファスナ50を塑性変形させつつ、ベース部材16に取付けることができる。これにより、雄型のスナップファスナ20又は雌型のスナップファスナ50を簡易にベース部材16へ取付けることができる。
凸形状部21は、凹形状部51への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅広に形成された第1挿入部21aと、第1挿入部21aに対して凹形状部51への挿入方向後端側に位置し、凹形状部51への挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅狭に形成された第2挿入部21bとを含む。第1挿入部21aと第2挿入部21bとの間に、凸形状部21において最も幅広に形成された部分が存在する。
凹形状部51は、凸形状部21が挿入される先端側から後端側に向けて徐々に幅広に形成された第1被挿入部51aと、第1被挿入部51aに対して凸形状部21の挿入方向後端側に位置し、凸形状部21の挿入方向先端側から後端側に向けて徐々に幅狭に形成された第2被挿入部51bとを含む。ここでは、リングばね55が横断面円形に形成されているため、リングばね55の内周部分に第1被挿入部51aと、第2被挿入部51bとが軸方向に並んで形成されている。
弾性変形部55は、第1向きへの力を受けて凸形状部21が凹形状部51に挿入される際、第1向きへの力によって弾性変形して凸形状部21と凹形状部51とを嵌合状態にする。また弾性変形部55は、第1向きとは逆向きの第2向きへの力を受けて凸形状部21が凹形状部51から抜かれる際、第2向きへの力によって第1向きへの力を受けた時と同様の向きに弾性変形して、凸形状部21と凹形状部51との嵌合状態を解除する。
弾性変形部55は、凹形状部51に設けられている。そして弾性変形部55は、凸形状部21及び凹形状部51の取付時における第1挿入部21aの挿入時に凹形状部51の開口を広げることが可能に、かつ第2挿入部21bの挿入時に凹形状部51の開口を狭めることが可能に形成されている。また弾性変形部55は、凸形状部21及び凹形状部51の取付解除時における第2挿入部21bの挿入時に凹形状部51の開口を広げることが可能に形成されている。
より詳細には、ここでは弾性変形部55としてリングばね55が設けられている。そして、凸形状部21及び凹形状部51の取付時、つまり雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50との取付時、凸形状部21の第1挿入部21aがリングばね55に挿入される際、リングばね55が第1挿入部21aによって広げられる。そして、凸形状部21の第1挿入部21aの通過後、第2挿入部21bが挿入される際、リングばね55が弾性復帰して狭まる。これにより、リングばね55が凸形状部21の窪んだ部分に嵌り、抜け止め及び戻り止めがなされ、雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50とが取付けられた状態となる。
これに対して、凸形状部21及び凹形状部51の取付解除時、つまり雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50との取付解除時、凸形状部21の第2挿入部21bがリングばね55に挿入される際、リングばね55が第2挿入部21bによって広げられる。これにより、凸形状部21がリングばね55を通過可能となり、通過することによって、雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50との取付けが解除された状態となる。なお、リングばね55に対して凸形状部21の第2挿入部21bの通過後、第1挿入部21aが挿入される際、リングばね55は弾性復帰して狭まる。これにより、再度、雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50とを取付け可能となる。
以上のように構成された配線部材10及びその取付構造100によると、ベース材取付部が塑性変形を伴ってベース部材16を挟持して取付用部材20がベース部材16に取付けられるため、ベース部材16が柔らかい場合でも、取付用部材20を取付けることができる。
また塑性変形部によって、第1挟持部及び第2挟持部がベース部材16を挟持した状態を強固にすることができる。
またベース材取付部は、ベース部材16に形成された貫通孔18hの周縁部を挟持するため、ベース部材16のうち貫通孔18hを形成可能な任意の位置に取付用部材20を取付けることができる。このとき、ベース部材16に予め貫通孔18hが形成されていると、ベース材取付部をベース部材16のうち貫通孔18hが形成されていない部分を貫通可能な形状にせずともよくなる。
また配線体11は、ベース部材16上に複数の線状伝送部材12が並べられて形成された扁平配線体11であるため、扁平配線体11に取付用部材20を強固に取付けることができる。
また取付用部材20によって車体本体40に配線部材10が取付けられている。このように、取付用部材20によって配線部材10を車体本体40に取付けることができる。
{第2実施形態}
第2実施形態に係る配線部材及びその取付構造について説明する。図6は、第2実施形態に係る配線部材110を示す断面図である。図7は、第2実施形態に係る配線部材110を示す分解断面図である。図8は、第2実施形態に係る配線部材の取付構造200を示す断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態に係る配線部材110において、取付用部材120としての雄型のスナップファスナ120の形状が第1実施形態に係る配線部材10における上記雄型のスナップファスナ20の形状とは異なる。また第2実施形態に係る配線部材の取付構造200において、取付対象部材40に雌型のスナップファスナ50が設けられていない点で、第1実施形態に係る配線部材の取付構造100とは異なる。
雄型のスナップファスナ120は、雄本体部122と、弾性変形部55となるリングばね55と、留具126とを含む複数の部品で構成されている。
雄本体部122は、嵌合用頭部123と、嵌合用頭部123の基端部に連なるフランジ部124とを有する。嵌合用頭部123は、円筒状に形成されている。円筒状の嵌合用頭部123の外面には周溝123hが形成されている。当該周溝123hに、リングばね55が収められている。嵌合用頭部123及びリングばね55が、凸形状部121となる。フランジ部124は、嵌合用頭部123の基端部から側方に突出するように設けられている。フランジ部124は、シート部材16を貫通した留具126の先端が挿通される開口部124aと、開口部124aを通過した留具126の先端を塑性変形させる受板部124bとを有し、シート部材16を貫通した留具126の先端が塑性変形しつつ収められるように形成されている。
周溝123hに収められたリングばね55は、自然状態で、嵌合用頭部123より外方に突出している。またリングばね55は、狭まるように弾性変形可能に周溝123hに収められている。凸形状部121に設けられた弾性変形部55は、凹形状部151への凸形状部121の挿入時に凸形状部121を狭めることが可能に、かつ凹形状部151への凸形状部21の挿入後に凸形状部121を広げることが可能に形成されている。
留具126は、周方向に離れて設けられた複数の爪部30と、複数の爪部30の基端部をつなぐ連結部31と、連結部31の外周側に広がるように形成されたフランジ部128とを有する。
爪部30の先端部は先鋭に形成され、シート部材16への取付前の状態で、シート部材16のうち孔のあいていない部分を貫通可能に形成されている。シート部材16を貫通した爪部30の先端部は、塑性変形してフランジ部124に収容される。より詳細には、シート部材16を貫通した爪部30の先端部は、開口部124aを通じて受板部124bに当接し、受板部124bの内面形状(開口部124a側の面の形状)に応じて徐々に塑性変形していく。そしてフランジ部128がシート部材16に接するまで爪部30が塑性変形することにより、シート部材16がフランジ部124、128とで挟持された状態となり、もって雄型のスナップファスナ120がシート部材16に取付けられた状態となる。
爪部30がシート部材16を貫通することによってシート部材16に貫通孔が形成される。本例の場合、複数の爪部30が周方向に離れて設けられているため、シート部材にも、周方向に離れて複数の貫通孔が形成される。また爪部30の横断面が扁平に形成されているため、貫通孔も横断面が扁平とされる。そして、それぞれの爪部30がシート部材16の扁平な貫通孔の周縁部の一方(ここでは外周側の周縁部)を押さえている。
配線部材の取付構造200において、上述したようにここでは、取付対象部材40に雌型のスナップファスナ50が設けられていない。図8に示す例では、取付対象部材40に形成された取付孔40hおよびその周縁部が凹形状部151として用いられている。例えば、取付対象部材40が金属、又は硬質プラスチックなどの硬い材料で形成された部材である場合、図8に示す例のように、取付対象部材40にスナップファスナが取付けられずに、取付対象部材40の一部が凸形状部又は凹形状部とされることも考えられる。
図8に示す例の場合、取付孔40hの径が自然状態でのリングばね55の外径よりも小さく形成されている。これにより、雄型のスナップファスナ120の凸形状部121が取付対象部材40に形成された取付孔40hに挿入されると、リングばね55が取付孔40hの周面に当接して狭まり、取付孔40hを通過可能となる。そして、取付孔40hを通過したリングばね55は、弾性復帰して、凸形状部121と凹形状部151とが嵌合した状態となる。
このように構成された配線部材110及びその取付構造200によると、爪部30が先鋭に形成されているため、シート部材16に予め貫通孔が形成されていなくとも、取付用部材120をシート部材16に取付けることができる。
{第3実施形態}
第3実施形態に係る配線部材について説明する。図9は、第3実施形態に係る配線部材210及びその取付構造300を示す断面図である。図10は、第3実施形態に係る配線部材210及びその取付構造300を示す分解断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態に係る配線部材210において取付用部材220としての雄型のスナップファスナ220の形状が、第1、第2実施形態に係る配線部材10、110における上記雄型のスナップファスナ20、120の形状とは異なる。また第3実施形態に係る配線部材の取付構造300において雌型のスナップファスナ250の形状が、第1実施形態に係る配線部材の取付構造100における上記雌型のスナップファスナ50の形状とは異なる。
雄型のスナップファスナ220は、雄本体部222と、留具226とを含む。ここでは雄本体部222と留具226とが弾性変形を用いて係止して、雄型のスナップファスナ220がシート部材16に取付けられている。
雄本体部222は、円筒状の嵌合用頭部223と、嵌合用頭部223が立設された基板224と、を有する。嵌合用頭部223は、凸形状部221である。嵌合用頭部223の先端の外周面には突起223aが形成されている。突起223aは、第1挿入部223bと、第1挿入部223bよりも嵌合用頭部223の基端側に位置する第2挿入部223cとを有する。第1挿入部223bは、嵌合用頭部223の先端側から基端側に向けて徐々に幅広となる部分である。第2挿入部223cは、嵌合用頭部223の先端側から基端側に向けて徐々に幅狭となる部分である。基板224には、貫通孔224hが形成されている。嵌合用頭部223は、基板224において貫通孔224hの周縁部を避けた位置に設けられている。
留具226は、基板228と、基板228に立設された爪部230とを有する。爪部230の先端は、雄本体部222の基板224に形成された貫通孔224hに挿入及び係止可能に形成されている。雄本体部222の基板224と留具226の基板228との間にシート部材16が挟まれた状態で、爪部230の先端が雄本体部222の貫通孔224hに挿入及び係止することによって、雄型のスナップファスナ220がベース部材16に取付けられている。
雌型のスナップファスナ250は、雌本体部252と、留具256とを含む。ここでは雌本体部252と留具256とが弾性変形を用いて係止して、雌型のスナップファスナ250が取付対象部材40に取付けられている。
雌本体部252は、円筒状の筒体253と、筒体253が立設された基板254と、を有する。筒体253は、嵌合用頭部223よりも大きく形成されて、嵌合用頭部223が挿入可能である。従って筒体253は凹形状部251である。筒体253の先端の内周面には突起253aが形成されている。突起253aは、第1被挿入部253bと、第1被挿入部253bよりも筒体253の基端側に位置する第2被挿入部253cとを有する。第1被挿入部253bは、開口側(筒体253の先端側)から奥側(筒体253の基端側)に向けて徐々に開口の幅を狭める部分である。第2被挿入部253cは、開口側から奥側に向けて徐々に開口の幅を広げる部分である。基板254には、貫通孔254hが形成されている。筒体253は、基板において貫通孔254hの周縁部を避けた位置に設けられている。
留具256は、基板258と、基板258に立設された円柱状の爪部260とを有する。爪部260の先端は、基端よりも幅広に形成されて雌本体部252の基板254に形成された貫通孔254hに挿入及び係止可能に形成されている。雌本体部252の基板254と留具256の基板258との間に取付対象部材40が挟まれた状態で、爪部260の先端が貫通孔254hに挿入及び係止することによって、雌型のスナップファスナ250が取付対象部材40に取付けられている。
凸形状部221が凹形状部251に挿入されると、突起223a、253a同士、より詳しくは突起223aにおける第1挿入部223bと突起253aにおける第1被挿入部253bとが接触する。このとき、嵌合用頭部223において、突起223aよりも基端側部分が弾性変形して、嵌合用頭部223のうち突起223aのある部分が内周側に向かう。また筒体253において、突起253aよりも基端側部分が弾性変形して、筒体253のうち突起253aのある部分が外周側に向かう。これにより、突起223a、253a同士が通過し合うとともに、通過後に弾性復帰して凸形状部221が凹形状部251に嵌合する。
凸形状部221が凹形状部251から抜かれる際には、まず突起223a、253a同士、より詳しくは突起223aにおける第2挿入部223cと突起253aにおける第2被挿入部253cとが接触する。このとき、嵌合用頭部223において、突起223aよりも基端側部分が弾性変形して、嵌合用頭部223のうち突起223aのある部分が内周側に向かう。また筒体253において、突起253aよりも基端側部分が弾性変形して、筒体253のうち突起253aのある部分が外周側に向かう。これにより、突起223a、253a同士が通過し合い、凸形状部21が凹形状部51から外れた状態となる。
本例では、凸形状部221である嵌合用頭部223及び凹形状部251である筒体253がいずれも弾性変形可能に形成されている。つまり本例では、弾性変形部が凸形状部221と凹形状部251との両方とそれぞれ一体に形成されている。このように、弾性変形部は、凸形状部、凹形状部又はその両方と一体に形成されていてもよい。また本例のように、弾性変形部は、凸形状部及び凹形状部の両方に設けられていてもよい。
本例では、雄型のスナップファスナ220が弾性変形して、ベース部材16に取付けられている。この雄型のスナップファスナ220の取付態様のように、塑性変形以外の態様であっても、2部材による弾性変形を伴う嵌合を用いて、取付用部材220がベース部材16に取付けられていてもよい。つまり、取付用部材220は、ベース材取付部として、弾性変形を伴って相互に嵌合可能に成形されるとともに相互に嵌合した状態でベース部材16の表裏方向両側からベース部材16を挟持する弾性挟持部及び受部を有していてもよい。上記例では、留具226及び雄本体部222が弾性挟持部及び受部である。また雌型のスナップファスナ250も弾性変形して、ベース部材16に取付け可能である。雌型のスナップファスナ250がベース部材16に取付けられる場合、留具256及び雌本体部252が弾性挟持部及び受部である。
このように構成された配線部材210によると、ベース材取付部において、弾性挟持部及び受部が嵌合した状態でベース部材16を挟持することによって、ベース部材16が柔らかい場合でも、取付用部材220を取付けることができる。
{変形例}
図11乃至図14は、配線部材10において取付用部材20の取付位置の変形例を示す平面図である。
これまで、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において両側に取付用部材20が設けられるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図11に示すように、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において一方の片側のみに取付用部材20が設けられてもよい。この場合、シート部材16Aにおいて、雄型のスナップファスナ20が設けられない延出部分18は省略されてもよい。この場合、図11に示すように線状伝送部材12の長手方向に沿った別の位置で他方の片側に取付用部材20が設けられているとよい。さらに、図11に示すように線状伝送部材12の長手方向に沿って取付用部材20が千鳥状に設けられているとよい。
またこれまで、シート部材16において、帯状部分17から側方に突出するように設けられた延出部分18が取付用部材20の大きさに応じた大きさに形成されるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図12に示すように、シート部材16Bにおける延出部分18Bが帯状部分17と同様に線状伝送部材12の長手方向に沿って連続するものであってもよい。この場合、シート部材16Bが大きい帯状に形成されていてもよい。
また図13に示すように、線状伝送部材12の長手方向に沿って連続する延出部分18Bに対して、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において、図11に示す場合のように、一方の片側のみに取付用部材20が設けられてもよい。
またこれまで、線状伝送部材12の長手方向に沿った一の位置において線状伝送部材12の外側方に取付用部材20が設けられるものとして説明したが、このことは必須の構成ではない。図14に示すように、線状伝送部材12同士の間に取付用部材20が設けられてもよい。
図15乃至図17は、取付対象部材40の変形例を示す断面図である。
これまで取付対象部材40が車体本体であるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、図15及び図16に示すように、取付対象部材が別の配線部材10である場合もありうる。この場合、2つの配線部材10のうち一方が他方の取付対象部材であるととらえることができる。
図15及び図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が雄型のスナップファスナ20、雌型のスナップファスナ50によって取付けられている。この際、図15に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が積層されている。また図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10同士が側方に広がるように連結されている。なお、図15、図16に示す例では、2つの扁平な配線部材10は、それぞれの線状伝送部材12同士が相互に平行となるように取付けられているが、この限りではない。2つの扁平な配線部材10は、それぞれの線状伝送部材12同士が相互に交差するように取付けられていてもよい。
またこれまで取付対象部材40が車体本体である場合に、扁平配線部材10が車体本体の平面部に沿うように取付けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。例えば、図17に示すように、扁平配線部材10が車体本体の曲面に沿うように取付けられてもよい。
より詳細には、取付対象部材140は、曲面42を有する車体本体140である。そして扁平配線部材10の幅方向に沿った中間部が、車体本体140の曲面42に沿って曲がって配設されている。雄型のスナップファスナ20と雌型のスナップファスナ50とによって扁平配線部材10の幅方向に沿った両端部が車体本体140に取付けられている。本態様によると、扁平配線部材10を車体本体140の曲面42に沿って曲げて配設することができる。
図18は、スナップファスナの変形例を示す断面図である。
これまで凸形状部、凹形状部を用いて2つの部材が取付けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。図18に示すように、凸形状部、凹形状部を用いて3つ以上の部材が取付けられてもよい。
このとき、図18に示す例では、積層した2つの配線部材10、310が車体本体40に取付けられる例を示している。図18に示す例では、間に位置する配線部材310に設けられるスナップファスナ270は、凸形状部221と、凹形状部251との両方を含む。つまりスナップファスナ270は、雌雄同体のスナップファスナ270である。例えば、雌雄同体のスナップファスナ270は、雄本体部222と、雌本体部252とがシート部材16を挟んで相互に逆向きに位置した状態で、リベットRなどで留められて形成されていることが考えられる。
ここでリベットRは、軸部R1と頭部R2とを有する。頭部R2は軸部R1よりも大きく形成され、軸部R1の抜け止めを図る部分である。そして、ベース部材16へのスナップファスナ270の取付時に、軸部R1の先端部が加締められて、頭部R2のように広がることによって、軸部R1の戻り止めが図られる。
雌雄同体のスナップファスナ270の凸形状部221に雌型のスナップファスナ250の凹形状部251が取付けられ、雌雄同体のスナップファスナ270の凹形状部251に雄型のスナップファスナ220の凸形状部221が取付けられている。このように、雌雄同体のスナップファスナ270によって1つの配線部材310に、第1、第2の取付対象部材として、別の配線部材10及び車体本体40が取付けられている。もちろん、雌雄同体のスナップファスナ270によって積層した3つ以上の配線部材が取付けられるものであってもよい。
従って、雌雄同体のスナップファスナ270が設けられた配線部材310は、扁平配線体11の表裏方向にそれぞれ取付対象部材を取付け可能に設けられている取付対象取付部を備えているととらえることができる。このような配線部材310によると、取付用部材270によって3つ以上の部材を一の位置で取付けることができる。
なお、取付対象部材に設けられる雄型のスナップファスナ220、雌型のスナップファスナ250の代わりに雌雄同体のスナップファスナ270が設けられていてもよいことは言うまでもない。雌雄同体のスナップファスナ270は、雄型のスナップファスナ220の一変形例であり、雌型のスナップファスナ250の一変形であるととらえることもできる。
{その他の変形例}
このほか、これまで、配線体11が扁平配線体11であるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。配線体11は、例えば、複数の電線12が丸断面形状などを有するように束ねられた電線束であってもよい。ベース部材16は、電線束の周囲に巻き付けられる。このベース部材16が、複数の電線12を丸断面形状に束ねる結束部材であってもよい。
また取付用部材20が塑性変形を用いて配線体11に取付けられる場合、これまで塑性変形部が、塑性変形部とは別に設けられて、シート材を直接挟持する2部材を押さえるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。一の部材における塑性変形部が、直接シート部材を挟み込むように形成されていてもよい。
またこれまで、ベース材取付部がベース部材16のうち貫通孔18hの周縁部を挟持するものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。ベース材取付部がベース部材16のうち外縁部を挟持するものであってもよい。
またこれまで、取付対象取付部が、取付対象部材40と着脱容易に取り付けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。取付対象取付部は、例えば、クランプのように戻り止めが形成されて、弾性変形による係止によって装着容易としつつ、外すことが困難に形成されていてもよい。また、取付対象取付部は、ねじ止めなど他の取付態様によって、取付対象部材40に取付け可能であってもよい。
また図9及び図10の例で、爪部230、260の先端部が、ベース部材16への取付前の状態で先鋭な錐状に形成され、ベース部材16のうち孔のあいていない部分へ貫通可能に形成されていてもよい。この場合、先鋭に形成された爪部230、260の先端部は、リベットRと同様に、ベース部材16への貫通後、加締められて塑性変形するリベット部であってもよい。
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
本明細書は下記の開示を含む。
ベース部材が柔らかい場合でも、取付用部材を取付けることができる技術を提供するため、第1の態様に係る配線部材は、線状伝送部材と、前記線状伝送部材を保持するベース部材と、を含む配線体と、前記ベース部材の表裏方向両側から塑性変形を伴って前記ベース部材を挟持して前記ベース部材に取付けられるベース材取付部と、前記配線体の取付対象に取付けられる取付対象取付部と、を含む取付用部材と、を備える。
第2の態様に係る配線部材は、第1の態様に係る配線部材であって、前記ベース材取付部は、相互に別に成形されて前記ベース部材の表裏方向両側から前記ベース部材を挟持する第1挟持部及び第2挟持部と、塑性変形して第1挟持部及び第2挟持部の挟持状態を維持する塑性変形部とを含む。
第3の態様に係る配線部材は、線状伝送部材と、前記線状伝送部材を保持するベース部材と、を含む配線体と、弾性変形を伴って相互に嵌合可能に成形されるとともに相互に嵌合した状態で前記ベース部材の表裏方向両側から前記ベース部材を挟持する弾性挟持部及び受部を有し前記ベース部材に取付けられるベース材取付部と、前記配線体の取付対象に取付けられる取付対象取付部と、を含む取付用部材と、を備える。
第4の態様に係る配線部材は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る配線部材であって、前記ベース材取付部は、前記ベース部材に形成された貫通孔の周縁部を挟持する。
第5の態様に係る配線部材は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る配線部材であって、前記配線体は、前記ベース部材上に複数の前記線状伝送部材が並べられて形成された扁平配線体である。
第6の態様に係る配線部材は、第5の態様に係る配線部材であって、前記取付対象取付部は、前記扁平配線体の表裏方向にそれぞれ前記取付対象を取付け可能に設けられている。
第7の態様に係る配線部材の取付構造は、第5又は第6の態様に係る配線部材を複数備え、複数の前記配線部材のうち第1配線部材の前記取付用部材が、複数の前記配線部材のうち第2配線部材の前記取付用部材と取付けられている。
第8の態様に係る配線部材の取付構造は、第5又は第6の態様に係る配線部材と、前記取付用部材によって前記配線部材が取付けられた車体本体と、を備える。
第9の態様に係る配線部材の取付構造は、第8の態様に係る配線部材の取付構造であって、前記車体本体は、曲面を有し、前記扁平配線体の幅方向に沿った中間部が、前記車体本体の前記曲面に沿って曲がって配設され、前記扁平配線体の幅方向に沿った両端部が前記取付用部材によって前記車体本体に取付けられている。
第1の態様によると、ベース材取付部が塑性変形を伴ってベース部材を挟持して取付用部材がベース部材に取付けられるため、ベース部材が柔らかい場合でも、取付用部材を取付けることができる。
第2の態様によると、塑性変形部によって、強固にベース部材を挟持することができる。
第3の態様によると、ベース材取付部において、弾性挟持部及び受部が嵌合した状態でベース部材を挟持することによって、ベース部材が柔らかい場合でも、取付用部材を取付けることができる。
第4の態様によると、ベース部材のうち貫通孔を形成可能な任意の位置に取付用部材を取付けることができる。
第5の態様によると、扁平配線体に取付用部材を強固に取付けることができる。
第6の態様によると、取付用部材によって3つ以上の部材を一の位置で取付けることができる。
第7の態様によると、取付用部材によって配線部材同士を取付けることができる。
第8の態様によると、取付用部材によって配線部材を車体本体に取付けることができる。
第9の態様によると、扁平配線体を車体本体の局面に沿って曲げて配設することができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。