JP7322332B2 - 測定機器 - Google Patents

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  • Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)

Description

本発明の技術は、測定機器に関する。
従来、屋外の各種環境要素をタイムラグなしに計測することのできる環境計測装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この環境計測装置は、比較的広い範囲であるエリアの所定の環境要素を計測する計測手段を備えるエリア計測車と、このエリア計測車に積載可能に構成され、比較的狭い範囲であるスポットの環境要素を計測する計測手段を備えるスポット計測車とから構成されている。
また、所定の区域内の各種環境要素を高密度で容易に把握することのできる環境計測システムが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。この環境計測システムは、環境要素の計測以外の目的で道路を移動する複数の車両と、車両に設けられ、環境要素を計測する計測手段と、位置データおよび時刻データを取得する位置時刻取得手段と、データ送信手段と、電源供給手段と、車両とは離れた場所に設けられ、計測データと位置データと時刻データとを関連付けて記録するサーバー手段とを有している。そして、この環境計測システムは、車両Bが環境要素の計測以外の目的で道路Rに沿って移動している間に、計測手段が環境要素を計測し、サーバー手段が計測データと位置データと時刻データとを関連付けて記録することにより区域内の環境要素を収集する。
また、熱環境指数を計測する熱環境指数計測器が知られている(例えば、特許文献3を参照。)。この熱環境指数計測器は、白、黒、及びクロムメッキを各々表面処理した球と、気温センサとを備え、気温、風速、日射、及び周囲平均放射温度から環境指数を計算する。
また、地面の純放射量を精度よく評価することにより、路面温度予測又は路面凍結予測の予測精度を向上させる地面熱収支算出装置が知られている(例えば、特許文献4を参照。)。この地面熱収支算出装置は、観測車に搭載され、温度計及び放射温度計から、路面温度予測又は路面凍結予測を行う。
また、熱環境に関する情報を取得するためのウェアラブル計測システムが知られている(例えば、非特許文献1~5を参照。)。例えば、非特許文献1のウェアラブル計測システムは、短波放射、長波放射、及び風速を求めるためのグローブ風速放射センサ(例えば、非特許文献1の「1.グローブ風速・放射センサ」の部分を参照。)と、気温センサと、湿度センサとを備えており、これらの各センサによって検出された情報に基づき、熱環境に関する指標を計算する。
特開2017-227453号公報 特開2018-17586号公報 特開昭63-173989号公報 特開2006-162447号公報
仲吉 信人、「ラグランジアン人間気象学」、水文・水資源学会誌J. Japan Soc. Hydrol. and Water Resour.Vol. 29, No.4, Jul. 2016 pp. 238 - 250 石 蕊、仲吉 信人、神田 学、宮本 賢二、「多治見街区における被験者の動線に沿った温熱生理実験」、土木学会論文集B1(水工学) Vol.69, No.4, I_1783-I_1788, 2013. 仲吉 信人、神田 学、「ラグランジュアン人間気象学の試論」、水工学論文集,第53巻,2009年2月 仲吉 信人、石 蕊、神田 学、「3球の小型グローブ温度計を用いた放射風速センサの開発」、土木学会水工学論文集,Vol. 55,pp. 349-354,2011 仲吉 信人、石 蕊、神田 学、「3球の小型グローブ球を用いた風速,短波・長波放射センサの開発~第2報~」、水文・水資源学会2011年度研究発表会、2011年
上記非特許文献1~5に記載のウェアラブル計測システムは、人が持ち運べるような構成となっている。しかし、このウェアラブル計測システムは気温センサを備えており、気温センサは、周囲からの放射の影響を除外し、かつセンサへ空気を通風するためのファンモーター(以下,通風装置)を備える強制通風筒の中に設置されなければ気温を正確に測定することができない。
このため、上記非特許文献1~5のウェアラブル計測システムを人が持ち運ぶ際には、強制通風筒と通風装置に必要なバッテリーも持ち運ぶ必要があり、それらの大きさと重量は持ち運びの際に邪魔になるものであった。このため、従来のウェアラブル計測システムは簡易に持ち運ぶことができない、という課題がある。また、短波放射、風速の測定精度に比べ、長波放射の測定精度が劣っており、熱環境に関する指標を算出する上での精度低下に繋がっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易に持ち運ぶことができる機器によって熱環境に関する情報を取得するとともにその算出精度を向上させることを目的とする。
本開示の第一態様は、第1の黒球温度計と、熱源を備えた第2の黒球温度計と、第1の黒球温度計の球及び第2の黒球温度計の球とは異なる放射特性を有する球を備えた球温度計と、長波放射計と、を備える、熱環境に関する情報を測定するための測定機器である。
本発明によれば、簡易に持ち運ぶことができる機器によって熱環境に関する情報を取得することができ、かつ、熱環境に関する指標の算出精度が向上する、という効果が得られる。
本発明の実施形態に係る測定機器の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る演算装置のハードウェア構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る測定機器の機能構成図である。 本発明の実施形態に係る情報処理ルーチンの一例である。 本発明の実施形態に係る測定機器の利用形態の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る実施例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る実施例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る実施例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る実施例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る実施例を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(測定機器の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る測定機器の概略構成を示す図である。
図1に示されるように、本実施形態の測定機器10は、第1の黒球温度計の一例である黒球温度計12と、熱源を備えた第2の黒球温度計の一例である加熱黒球温度計14と、黒球温度計12の黒球及び加熱黒球温度計14の黒球とは異なる放射特性を有する白球を備えた球温度計の一例である白球温度計16と、長波放射量を計測するための長波放射計18と、演算装置20とを有している。なお、測定機器10は、湿度を測定するための湿度計(図1では図示省略)を備えている。演算装置20は、黒球温度計12と、加熱黒球温度計14と、白球温度計16と、長波放射計18と、湿度計19と電気的に接続されている。
黒球温度計12は、上記非特許文献1に示されている「黒グローブ温度センサ」と同様の構成である。また、白球温度計16は、上記非特許文献1に示されている「白グローブ温度センサ」と同様の構成である。
なお、本実施形態の加熱黒球温度計14は、上記非特許文献1に示されている「加熱黒グローブ温度センサ」とは異なる構成となっている。
上記非特許文献1に示されている「加熱黒グローブ温度センサ」には、球内の上面に熱源が配置されており、更に、球の表面に4つの温度センサが配置されている。このような構成を実現するためにはコストがかかる。具体的には、「加熱黒グローブ温度センサ」を実現するためには、黒球の加工が難しくさらなる小型化、および量産が困難である、という課題がある。
そこで、本実施形態では、加熱黒球温度計14の黒球に対して溝を設け、その溝に電熱線を巻き付ける。黒球に対して溝を設ける加工は、黒球の上面に熱源を配置するための加工及び黒球の表面に温度センサを配置するための加工に比べて容易であるため、加熱黒球温度計14の黒球のさらなる小型化、量産が可能となる。
このため、図1に示されるように、本実施形態の加熱黒球温度計14は、熱源としての電熱線14Aを備えている。具体的には、図1に示されるように、加熱黒球温度計14の黒球には、電熱線14Aが巻き付けられている。また、加熱黒球温度計14の黒球には、溝が形成されており、電熱線14Aが容易に巻き付けられるような構成となっている。
更に、加熱黒球温度計14の黒球に巻き付けられる電熱線14Aは、抵抗温度係数が所定の閾値よりも小さい電熱線である。電熱線14Aとしては、例えば、ニッケルクロム電熱線に含まれるNiの一部をAlとその他の添加元素に置き換えた電熱線であるカーマロイ(登録商標)線が用いられる。カーマロイ(登録商標)線は適度な強度を有しているため、加熱黒球温度計14への巻き付けが容易となる。
なお、加熱黒球温度計14は上記仕様に限らない。球形で電流供給型の温度センサ(例えば、サーミスタや白金温度センサ)を用いるなら、供給電流を調整しセンサを自己加熱させることで加熱黒球温度計14を作成することができる。
長波放射計18は、長波放射量Lを計測する。なお、図1に示されるように、長波放射計18は、長波放射量Lを計測するための計測面を3面以上備える。
図2は、実施形態の演算装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示されるように、実施形態の演算装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、入力部25、表示部26及び通信インタフェース(I/F)27を有する。各構成は、バス29を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又はストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又はストレージ24に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22又はストレージ24には、入力装置より入力された情報を処理する各種プログラムが格納されている。
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力部25は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
表示部26は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能しても良い。
通信I/F17は、入力装置等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
次に、演算装置20の機能構成について説明する。
図3に示されるように、演算装置20は、機能的には、情報取得部30と、情報記憶部32と、演算部34とを有している。
情報取得部30は、黒球温度計12によって計測された黒球の温度と、加熱黒球温度計14によって計測された加熱黒球の温度と、白球温度計16によって計測された白球の温度と、長波放射計18によって計測された赤外放射量と、湿度計19によって計測された湿度とを逐次取得する。そして、情報取得部30は、取得した各情報を情報記憶部32へ逐次格納する。
情報記憶部32には、各種センサによって各時刻に測定された情報が格納される。
演算部34は、黒球温度計12により計測された黒球の温度と、加熱黒球温度計14により計測された加熱黒球の温度と、白球温度計16により計測された白球の温度と、長波放射計18によって計測された長波放射量Lとに基づいて、短波放射量Sと風速Uと気温Taとを算出する。長波放射量Lと、短波放射量Sと、風速Uと、気温Taとは、熱環境に関する情報の一例である。
本実施形態による熱環境に関する情報の取得方法と、上記非特許文献1~4の従来技術による熱環境に関する情報の取得方法との差異を以下の表に示す。なお、以下の表における「B」は黒球温度計12を表し、「BH」は加熱黒球温度計14を表し、「W」は白球温度計16を表す。
上記非特許文献1~4の従来技術と本実施形態とにおいては、加熱黒球温度計14により計測された黒球の温度Tg1と、黒球温度計12により計測された黒球の温度Tg2と、白球温度計16により計測された白球の温度Tg3とを用いて、風速U及び短波放射量Sを算出する点は共通している。
一方で、上記非特許文献1~4の従来技術では、黒球温度計12により計測された黒球の温度Tg2と、白球温度計16により計測された白球の温度Tg3とを用いて長波放射量を計算するのに対し、本実施形態では長波放射計18によって長波放射量Lを取得する。
このため、長波放射計18により直接長波放射量Lを計測することができるため、上記非特許文献1に記載があるような長波放射量の測定ノイズの影響が低減され、精度の良い長波放射量Lを取得することができる。これにより、精度の良い状態の長波放射量Lを用いて、後述する気温Taを精度良く計算することができる。
また、上記非特許文献1~4の従来技術では、強制通風筒に覆われた気温計を用いて気温を計測するのに対し、本実施形態では、黒球温度計12により計測された黒球の温度Tg2と、白球温度計16により計測された白球の温度Tg3とを用いて気温Taを計算する。これにより、強制通風筒に覆われた気温計を備えることなく、熱環境に関する情報の一例である、長波放射量L、短波放射量S、風速U、及び気温Taを取得することができる。このため、本実施形態の測定機器10を人が携帯する際には簡易に持ち運ぶことができる。
以下、具体的に説明する。
演算部34は、以下の式(1a)、(1b)、及び(1c)に示す球の熱収支方程式を用いて、熱伝導率hを計算する。加熱黒球温度計14の黒球の熱収支方程式は、以下の式(1a)である。また、黒球温度計12の黒球の熱収支方程式は、以下の式(1b)である。また、白球温度計16の白球の熱収支方程式は、以下の式(1c)である。
上記式(1a)におけるTg1は加熱黒球温度計14により計測される黒球の温度であり、Hinputは黒球に付与される熱量である。また、上記式(1b)におけるTg2は黒球温度計12により計測される黒球の温度である。また、上記式(1c)におけるTg3は白球温度計16により計測される白球の温度である。アルベドα,放射率εは黒球の放射特性を表すパラメータであり、アルベドα,放射率εは白球の放射特性を表すパラメータである。σはステファン・ボルツマン定数である。Cは球の熱容量であり、予め設定される。なお、Hinputの与え方は2通りある。Hinputを一定熱量とし、Tg1を変動させる方法(定電力手法)と、(Tg1‐Tg2)を一定温度とするようにHinputを制御する場合(定温度手法)である。
アルベド及び射出率を予め同定しておけば、放射特性の等しい2球の球熱収支方程式(1a)と(1b)の差を取ることにより、熱伝導率hのみを未知変数とする以下の支配方程式(2)が求まる。
このため、演算部34は、加熱黒球温度計14により計測された加熱黒球の温度Tg1と、黒球温度計12により計測された黒球の温度Tg2とを情報記憶部32から読み出す。
そして、定電力手法では、演算部34は、温度Tg2と温度Tg1とに基づいて、上記式(2)に従って、熱伝導率hを計算する。定温度手法では、温度Tg2と温度Tg1に加えて、Hinputの測定も必要とし、それら3変数より熱伝導率hを計算する。
次に、演算部34は、例えば、上記非特許文献4に記載されている方法に従って、既に計算した熱伝導率hから風速Uを計算する。
次に、演算部34は、白球温度計16により計測された白球の温度Tg3と、長波放射量Lとを情報記憶部32から読み出す。そして、演算部34は、上記式(1b)及び上記式(1c)に、既に計算した熱伝導率hと、黒球温度計12により計測された温度Tg2と、白球温度計16により計測された温度Tg3と、長波放射計18により計測された長波放射量Lとを代入することにより、2元連立熱収支式の解として、短波放射量S及び気温Taを計算する。
これにより、熱環境に関する情報としての、長波放射量L、短波放射量S、風速U、及び気温Taが得られたことになる。
次に、演算部34は、既に得られた長波放射量L、短波放射量S、風速U、及び気温Taと、湿度計19により計測された湿度と、人の着衣量及び代謝量とに基づいて、既知の方法に従って、生物が感じる暑さに関する体感指標の一例である標準新有効温度SET(Standard Effective Temperature)を算出する。なお、着衣量及び代謝量はセンサ等によって取得されてもよいし、予め設定された値を用いても良い。
そして、演算部34は、標準新有効温度SETを表示部26へ出力する。
表示部26は、演算部34から出力された標準新有効温度SETを表示する。測定機器10を携帯しているユーザは、表示部26に表示された標準新有効温度SETを確認する。
次に、測定機器10の作用について説明する。
測定機器10がユーザによって携帯され、黒球温度計12により黒球の温度Tg2が計測され、加熱黒球温度計14により加熱された加熱黒球の温度Tg1が計測され、白球温度計16により白球の温度Tg3が計測され、長波放射計18により長波放射量Lが計測され、湿度計19により湿度が計測される。そして、演算装置20の情報取得部30は、各センサによって計測された各情報を情報記憶部32へ逐次格納する。
図4は、測定機器10の演算装置20による情報処理の流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24から情報処理プログラムを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、情報処理が行なわれる。
ステップS50において、演算部34は、情報記憶部32に格納された、黒球の温度Tg2、加熱黒球の温度Tg1、白球の温度Tg3、長波放射量L、及び湿度を読み出す。
ステップS52において、演算部34は、上記ステップS50で読み出された黒球の温度Tg2及び加熱黒球の温度Tg1に基づいて、上記式(2)に従って、熱伝導率hを計算する。
ステップS54において、演算部34は、上記ステップS52で計算された熱伝導率hに基づいて、上記非特許文献4に記載されている方法に従って、熱伝導率hから風速Uを計算する。
ステップS56において、演算部34は、上記式(1b)及び上記式(1c)に、上記ステップS52で計算した熱伝導率hと、上記ステップS50で読み出された温度Tg2、温度Tg3、及び長波放射量Lを代入することにより、短波放射量S及び気温Taを計算する。
ステップS58において、演算部34は、上記ステップS50で読み出された長波放射量L及び湿度と、上記ステップS54で計算された風速Uと、上記ステップS56で計算された短波放射量S及び気温Taと、測定機器10を携帯している人の着衣量及び代謝量とに基づいて、既知の方法に従って、標準新有効温度SETを算出する。
ステップS60において、演算部34は、上記ステップS58で算出された標準新有効温度SETを結果として出力して、情報処理ルーチンを終了する。
表示部26は、演算部34から出力された標準新有効温度SETを表示する。測定機器10を携帯しているユーザは、表示部26に表示された標準新有効温度SETを確認する。
以上のように、本実施形態の測定機器は、黒球温度計と、熱源を備えた加熱黒球温度計と、黒球温度計の球及び加熱黒球温度計の球とは異なる放射特性を有する球を備えた白球温度計と、長波放射計と、を備える。これにより、簡易に持ち運ぶことができる機器によって熱環境に関する情報を取得することができる。具体的には、強制通風筒を備えた気温計を備える必要がなくなるため、本実施形態の測定機器は携帯性に優れる。
また、本実施形態の測定機器の加熱黒球温度計の加熱黒球には溝が形成されており、電熱線が巻き付けられるように構成されている。このような構成は加工が容易であるため、本実施形態の加熱黒球は容易に量産することができる。
また、上記非特許文献1~5の従来の加熱黒球は、熱源を上面に設置する必要があったため小型化に限界があった。これに対し、本実施形態の加熱黒球は、熱源である電熱線を巻き付けることが可能な構成となっているため更なる小型化が可能となる。
図5に、本実施形態の測定機器10の利用形態の一例を示す。図5に示されるように、ユーザUが測定機器10を持ち運び、各箇所の熱環境に関する情報を取得するような利用形態が想定される。または、図5に示されるように、ある特定の箇所に測定機器10を設置し、当該箇所の熱環境に関する情報を取得するような利用形態が想定される。
<実施例>
次に、上記実施形態に対応する実験結果を実施例として説明する。
<実施例1>
実施例1では、市販の各種センサの計測値から得られる各種値と、本実施形態に係る測定機器の計測値から得られる各種値とを比較した。
図6には、市販の超音波気温センサの計測値である気温Ta(グラフ中の「Ta by ultra sonic」)と、本実施形態に係る測定機器によって得られた気温Ta(グラフ中の「proposed sensor」)と、市販の強制通風式気温センサにより計測された気温Ta(グラフ中の「Ta by reference sensor」)とが示されている。図6のグラフの横軸の値である、市販の強制通風式気温センサにより計測された気温Ta(グラフ中の「Ta by reference sensor」)が参照値となる。
図6に示されるように、市販の超音波気温センサにより計測された気温Taよりも、本実施形態に係る測定機器により計算された気温Taの方が、市販の強制通風式気温センサにより計測された気温Taと良く一致していることがわかる。このため、本実施形態に係る測定機器により気温Taが精度良く得られていることがわかる。
また、図7には、熱中症評価指標であるSETについての実験結果を示す。図7のグラフの横軸は、SET計算に必要な気象値全て(気温、湿度、風速、短波放射量、及び長波放射量)を高精度市販センサで測定した場合の値を示す。このため、図7のグラフの横軸の値が参照値となる。また、図7のグラフの縦軸は、本実施形態の手法により求められたSET(S&Ta from proposed sensor)と、従来手法により求められたSET(S&L from proposed sensor)とがプロットされている。本実施形態の手法により求められたSET(S&Ta from proposed sensor)は、短波放射量S及び気温Taを推定により求めたものである。一方、従来手法により求められたSET(S&L from proposed sensor)は、短波放射量S及び長波放射量Lを推定により求めたものである。
図7により、本実施形態の手法により求められたSET(S&Ta from proposed sensor)は、従来手法により求められたSET(S&L from proposed sensor)よりも、参照値に近く、熱中症リスクを評価する際に用いられるSETをより正確に算出することができることがわかる。
<実施例2>
実施例2では、市販の各種センサの計測値から得られる各種値と、本実施形態に係る測定機器の計測値から得られる各種値とを比較した。
図8は、高精度な放射センサにより算出した単位面積あたりの球への入力短波放射量(図8のグラフの横軸)と、本実施形態に係る測定機器によって推定された短波放射量(図8のグラフの縦軸)との比較図である。なお、本実施形態に係る測定機器によって推定された短波放射量については、球のサイズが4mmであるものと、12mmであるものの2つについてプロットされている。なお、球サイズ4mm、12mmともに高精度な放射センサの指示値(参照値)と高い相関がある。また、球サイズを小型化しても精度が悪化していないことが分かる。
なお、参照値として用いる高精度な放射センサとは、前後2方向からの放射量を高精度に測定する市販放射センサを3組使用し、互いが直行するように、上下面及び東西南北面を向くように配置し、以下の式で球への入力放射を算出した。

図9は、強制通風装置で測定した気温(図9のグラフの横軸)と、本実施形態に係る測定機器によって推定された気温(図9のグラフの横軸)及び市販センサで測定した気温(図9のグラフの横軸)との比較図である。なお、図10は、図9を拡大した図である。
図9における市販センサ1は、強制通風を必要としない超音波センサにより測定した気温であり、市販センサ2は通常の気温センサを強制通風させずに測定した気温である。市販センサ1により計測された気温は参照値よりも大きく、市販センサ2により計測された気温についても気温が高いところで参照値よりも大きくなっていることがわかる。本実施形態に係る測定機器によって得られた気温については、市販センサ1,2に比べ強制通風された気温と一致度が高いことがわかる。
以上の説明したように、本実施形態に係る測定機器によって得られた各種値は、従来手法と同等又はそれ以上であるといえる。
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した情報処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、生物が感じる暑さに関する体感指標の一例として、生物の熱収支に関する指標である標準新有効温度SETを計算する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、生物の熱収支に関する指標として、国際生気象学会により提唱されている指標であるUTCI、予測平均温冷感申告PMV、又はPET等を計算するようにしてもよい。または、生物の暑さ指数として、湿球黒球温度WBGTを算出するようにしてもよい。その他、温熱指標であればどのような指標を算出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、測定機器10が各情報を取得し情報記憶部32へ格納する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、測定機器10は所定の通信手段を更に有し、通信I/F17を介して、黒球温度計12により計測された温度Tg2と、加熱黒球温度計14により計測された温度Tg1と、白球温度計16により計測された温度Tg3と、長波放射計18により計測された長波放射量Lとを、外部装置へ送信するようにしてもよい。
12 黒球温度計
14 加熱黒球温度計
14A 電熱線
16 白球温度計
18 長波放射計
19 湿度計
20 演算装置
30 情報取得部
32 情報記憶部
34 演算部

Claims (11)

  1. 第1の黒球温度計と、
    熱源を備えた第2の黒球温度計と、
    第1の黒球温度計の球及び第2の黒球温度計の球とは異なる放射特性を有する球を備えた球温度計と、
    長波放射計と、
    を備える、熱環境に関する情報を測定するための測定機器。
  2. 湿度計を更に備える、
    請求項1に記載の測定機器。
  3. 第1の黒球温度計により計測された温度と、第2の黒球温度計により計測された温度とに基づいて、黒球温度計の球の熱収支方程式を用いて、熱伝導率hを計算し、熱伝導率hから風速Uを計算し、
    第1の黒球温度計により計測された温度と、前記球温度計により計測された温度と、長波放射計により計測された長波放射量Lと、前記熱伝導率hとに基づいて、短波放射量S及び気温Taを計算する、
    演算手段を更に備える、
    請求項1又は請求項2に記載の測定機器。
  4. 前記演算手段は、風速Uと、長波放射量Lと、短波放射量Sと、気温Taと、湿度計により計測された湿度とに基づいて、生物が感じる暑さに関する体感指標を更に算出する、
    請求項3に記載の測定機器。
  5. 前記演算手段は、前記体感指標として、生物の熱収支に関する指標又は暑さ指数を算出する、
    請求項4に記載の測定機器。
  6. 第2の黒球温度計の前記熱源は、電熱線であり、
    第2の黒球温度計の黒球は、前記電熱線が巻き付けられている黒球である、
    請求項1~請求項5の何れか1項に記載の測定機器。
  7. 第2の黒球温度計の黒球には、溝が形成されている、
    請求項6に記載の測定機器。
  8. 前記電熱線は、抵抗温度係数が所定の閾値よりも小さい電熱線である、
    請求項6又は請求項7に記載の測定機器。
  9. 前記電熱線は、ニッケルクロム電熱線に含まれるNiの一部をAlとその他の添加元素に置き換えた電熱線である、
    請求項6~請求項8の何れか1項に記載の測定機器。
  10. 前記長波放射計は、長波放射量Lを計測するための計測面を3面以上備える長波放射計である、
    請求項1~請求項9の何れか1項に記載の測定機器。
  11. 通信手段を更に備え、
    前記通信手段は、第1の黒球温度計により計測された温度と、第2の黒球温度計により計測された温度と、前記球温度計により計測された温度と、長波放射計により計測された長波放射量Lとを、外部装置へ送信する、
    請求項1~請求項10の何れか1項に記載の測定機器。
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