以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る検体検査装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、図2は、そのYZ面に関する側面図である。これら図1及び図2に示すように、検体検査装置1は、上磁場印加部10と、下磁場印加部12と、支持フレーム14と、検査容器16と、光学部18と、ヨーク20とを、備えて構成されている。また、ヨーク20は、上ヨーク22と、下ヨーク24とを備えて構成されている。換言すれば、ヨーク20は、検査容器16の位置に形成された間隙SPにより、上ヨーク22と下ヨーク24とに分割されている。
上磁場印加部10と下磁場印加部12には、永久磁石や電磁石を用いる。上磁場印加部10は、検査容器16が載置される支持フレーム14の上方位置しており、下磁場印加部12は、検査容器16が載置される支持フレーム14の下方に位置している。上磁場印加部10と下磁場印加部12は、検査容器16の検査液中に含まれるウイルス等の検査対象物質と特異的に反応するようにした磁性粒子を制御するために用いられる。具体的には、例えば、検査液中の磁性粒子を下向きに移動させて沈降させる場合には、下磁場印加部12により下向きの磁力を生成する。逆に、検査液中の磁性粒子のうちウイルス等の検査対象物質の付着していない磁性粒子を上向きに移動させる場合には、上磁場印加部10により上向きの磁力を生成する。
上磁場印加部10と下磁場印加部12には、それぞれ、上中央ヨーク30と下中央ヨーク32とが貫通している。上中央ヨーク30は、上磁場印加部10の中央部分を上下方向(Z方向)に貫通している。上中央ヨーク30の下側端面は、上磁場印加部10が動作した場合に磁束を検査容器16に向けて放出する磁束放出部30aを構成している。一方、下中央ヨーク32は、下磁場印加部12の中心を上下方向(Z方向)に貫通している。下中央ヨーク32の上側端面は、下磁場印加部12が動作した場合に磁束を検査容器16に向けて放出する磁束放出部32aを構成している。これら上磁場印加部10と下磁場印加部12とから、本実施形態における磁場印加部を形成している。
支持フレーム14は、検査容器16を支持するために用いられる。本実施形態においては、上磁場印加部10と上ヨーク22は、図1における横方向(X方向)、すなわち、検査容器16の長手方向に移動可能に支持手段により支持されている。ユーザは、上磁場印加部10と上ヨーク22とを、セットされる検査容器16の長手方向に沿った第1方向に移動させ、支持フレーム14を露出させた上で、検査液を収容した検査容器16を支持フレーム14上にセットする。そして、上磁場印加部10と上ヨーク22とを、セットした検査容器16の長手方向に沿った第1方向と反対の第2方向に移動させて、元の位置に戻し、磁束放出部30a、32aが検査容器16に対向するようにする。
また、検査終了後は、ユーザは、支持手段に支持されている上磁場印加部10と上ヨーク22とを再び第1方向に移動させ、検査が終了した検査容器16を露出させて、所定の位置から取り外す。そして、上磁場印加部10と上ヨーク22とを第2方向に移動させて、これらを元の位置に戻す。このようにして、ユーザは、検査容器16を所定の位置に設置したり、所定の位置から取り外したりすることができる。
検査容器16は、磁性粒子を含む検査液を収容するために使用され、ABS(Acrylonitride Butadiene Styrene)樹脂等の樹脂で製作される。検査容器16は遮光目的で黒色に着色される。検査容器16には、基板上に光導波路が設けられた光導波路型センサチップが内蔵されている。この光導波路型センサチップにおいては、光導波路の上に検査液を収容する凹部が形成されており、ユーザは、この凹部に検査対象物質と磁性粒子とを含む検査液を注入する。そして、この検査液を注入した検査容器16を支持フレーム14上にセットすることにより、検査液に含まれる検査対象物質の物質量が測定される。
光学部18は、光照射器と受光部とから構成されており、検査対象物質を光により検出する。光照射器には、例えばLED(Light Emitting Diode)等のダイオードやキセノンランプ等のランプが用いられており、受光部には、フォトダイオード等の受光素子が用いられている。最終的に上磁場を印加してから所定の時間が経過したときの光強度と、抗原抗体反応前の、基準となる光強度とを比較し、検査対象物質の物質量が測定される。
ヨーク20は、上磁場印加部10と下磁場印加部12で発生した磁束を磁性粒子に効率的に印加するために用いられ、例えば純鉄、電磁鋼板、SPHC(Steel Plate Hot Commercial)、SPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の材料が使用される。上磁場印加部10及び下磁場印加部12は、検査容器16と光学部18と支持フレーム14とは、干渉しないように配置される。
ヨーク20は、上磁場印加部10と下磁場印加部12とからなる磁場印加部で生成された磁場を磁気的に接続する。本実施形態においては、ヨーク20は、上ヨーク22と下ヨーク24とを備えて構成されており、上ヨーク22は検査容器16を、上方から検査容器16の短手方向(Y方向)に包むように配置されており、下ヨーク24は検査容器16を、下方から検査容器16の短手方向に包むように配置されている。
ヨーク20のうち、上ヨーク22は上磁場印加部10を保持しており、上横架ヨーク22aと、一対の上側面ヨーク22b、22cに加えて、上述した上中央ヨーク30とにより、構成されている。上横架ヨーク22aは、上磁場印加部10の上方を、検査容器16の短手方向に横断するように懸架されており、その一端部分から上側面ヨーク22bが垂下しており、その他端部分から上側面ヨーク22cが垂下している。上横架ヨーク22aの中央部分からは、上中央ヨーク30が垂下している。本実施形態においては、上横架ヨーク22aと一対の上側面ヨーク22b、22cとにより、逆U字状の上ヨーク22が形成されており、逆U字状の内側に上磁場印加部10が包含されるように、上ヨーク22と上磁場印加部10とが配置されている。換言すれば、検査容器16の短手方向に検査容器16を上方から挟むように、一対の上側面ヨーク22b、22cが配置されている。
一方、ヨーク20のうち、下ヨーク24は下磁場印加部12を保持しており、下横架ヨーク24aと、一対の下側面ヨーク24b、24cに加えて、上述した下中央ヨーク32とにより、構成されている。下横架ヨーク24aは、下磁場印加部12の下方を、検査容器16の短手方向に横断するように懸架されており、その一端部分から下側面ヨーク24bが起立しており、その他端部分から下側面ヨーク24cが起立している。下横架ヨーク24aの中央部分からは、下中央ヨーク32が起立している。本実施形態においては、下横架ヨーク24aと下側面ヨーク24b、24cとにより、U字状の下ヨーク24が形成されており、U字状の内側に下磁場印加部12が包含されるように、下ヨーク24と下磁場印加部12とが配置されている。また、下ヨーク24については、U字状の内側に、光学部18と支持フレーム14とが包含されるように、また、支持フレーム14上に載置された検査容器16のほとんどが包含されるように、下ヨーク24と下磁場印加部12とが配置されている。換言すれば、検査容器16の短手方向に検査容器16を下方から挟むように、一対の下側面ヨーク24b、24cが配置されている。
上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下側面ヨーク24bとの間には、上述した間隙SPが形成されている。また、上ヨーク22の上側面ヨーク22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24cとの間にも、上述した間隙SPが形成されている。この間隙SPは、ヨーク20全体から見ると、側面ヨークの切れ目として認識することもできる。つまり、上側面ヨーク22b、22cと下側面ヨーク24b、24cとをそれぞれ伸長して、可能な限り近づけることにより、間隙SPが形成される。この結果、本実施形態においては、例えば、上中央ヨーク30の磁束放出部30aと下中央ヨーク32の磁束放出部32aとの間の距離よりも、間隙SPの方が、短くなるように構成されている。また、光学部18と支持フレーム14と検査容器16とを合計した厚さよりも、間隙SPの方が短くなるように構成されているともいえる。
このようにすることにより、上側面ヨーク22b、22cと下側面ヨーク24b、24cとの間のそれぞれの磁束の漏れが低減する。その結果、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束量が増加し、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束量が増加する。
また、本実施形態においては、支持フレーム14が間隙SPを貫通して、支持フレーム14の端部がヨーク20の外側にまで達している。すなわち、支持フレーム14がヨーク20の外側まではみ出すような構成となっている。より詳細には、検査容器16の短手方向(Y方向)の支持フレーム14の幅が、ヨーク20の短手方向(Y方向)の幅よりも、大きくなるように構成されており、その支持フレーム14の両端部が、ヨーク20の間隙SPをそれぞれ貫通するように配置されている。このように支持フレーム14を構成することにより、ヨーク20の小型化を図ることができる。すなわち、ヨーク20内に支持フレーム14を収容しようとすると、どうしてもヨーク20が大型化してしまうが、このように、支持フレーム14を、間隙SPを通ってヨーク20の外側まで延出させることにより、ヨーク20の小型化を実現できる。
図3に示すように、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下側面ヨーク24bとの間の距離である間隙SPの幅Wは、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましい。これは、間隙SPの幅Wが1mm以下であると加工が困難であり、組立精度の不良により、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下側面ヨーク24bとが接触してしまう恐れがあるためである。一方、間隙SPの幅Wが12.6mm以上であると、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下側面ヨーク24bとの間で、磁束の漏れが大きくなり、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束の量を十分に増加させることができず、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束の量を十分に増加させることができないためである。さらには、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束の量を十分に増加させるため、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束の量を十分に増加させるためには、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下側面ヨーク24bとの間の距離である間隙SPの幅Wは、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。このことは、上ヨーク22の上側面ヨーク22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24cとの間の間隙SPの幅Wについても、同様である。
図1及び図2に示すように、本実施形態においては、間隙SPは、支持フレーム14に支持された検査容器16の側方位置に形成されている。つまり、検査容器16を検体検査装置1にセットすべく、ユーザが上磁場印加部10と上ヨーク22とを移動させて支持フレーム14を露出させた場合には、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cの上端部が支持フレーム14よりも僅かに低い位置で露出する。
図4は、このときの支持フレーム14と下側面ヨーク24b、24cと検査容器16との位置関係を示す平面図である。この図4からも分かるように、検査容器16の短手方向(Y方向)を挟む位置に、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cが配置されている。このため、図4においては、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cの上端面が、検査容器16の短手方向の両側に位置している。上述したように、支持フレーム14の短手方向の幅は、下側面ヨーク24b、24cの短手方向の幅よりも、広くなるように構成されている。このため、支持フレームの短手方向の端部を、下側面ヨーク24b、24cと、上側面ヨーク22b、22cとがそれぞれ間隔を開けて挟み込むように配置されている。光学部18は、この支持フレーム14の下側中央部分に取り付けられている。このような配置により、U字状の上ヨーク22と下ヨーク24の内側に、光学部18と検査容器16を位置させて、これらを上ヨーク22と下ヨーク24が包含する配置を実現している。
この結果、図1乃至図3に示すように、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cとの間の間隙SPの幅Wを、可及的に狭めることができるようになり、磁束が漏れないように両者を可能な限り近づけることができる。その一方で、検体の検査をするために、検査容器16を支持フレーム14上にセットしたり、検査を終えた検査容器16を支持フレーム14から取り出したりするために、上磁場印加部10と上ヨーク22は、下磁場印加部12と下ヨーク24と支持フレーム14と検査容器16とは干渉せずに、横方向(X方向)に移動できるようにする必要があるが、この配置により、これを実現することができる。
次に、この検体検査装置1を用いた検体の検査手順について説明する。まず、(1)ユーザは、上磁場印加部10と上ヨーク22とを、光学部18の上方位置から、検査容器16の長手方向(X方向)に沿った第1方向に、スライドして移動させる。続いて、(2)ユーザは、検査容器16を支持フレーム14にセットして、このセットした検査容器16に検査対象物質と磁性粒子とが混ぜ合わさった検査液を滴下した上で、測定を開始する。(3)検体検査装置1は、検査を開始すると、まず、下磁場印加部12を駆動して下向きの磁力を発生させて、磁性粒子を検査容器16の光導波路のセンシングエリア上に沈降させる。本実施形態においては、下磁場印加部12が発生する磁力が従来よりも増大されていることから、この磁性粒子を沈降させることに要する時間を短くすることができる。
次に、(4)検体検査装置1は、下磁場印加部12の駆動を停止して磁力を止め、光導波路上で、検査対象物質を光導波路におけるセンシングエリアに結合させる。例えば、光導波路のセンシングエリアに一次抗体が固定されており、磁性粒子に二次抗体が固定されており、検査対象物質が抗原である場合には、抗原抗体反応により、磁性粒子が抗原である検査対象物質を介して、光導波路のセンシングエリアに結合する。
次に、(5)検体検査装置1は、上磁場印加部10を駆動して上向きの磁力を発生させ、光導波路のセンシングエリアに結合していない磁性粒子を検査液の上方に引き上げる。すなわち、上向きの磁力を印加したとしても、検査対象物質を介してセンシングエリア上の一次抗体に結合した磁性粒子は、上方に移動せずに光導波路のセンシングエリアに固定されたままとなる。ここで、上磁場印加部10が発生する磁力を従来よりも増大させてしまうと、抗原抗体反応でセンシングエリアに結合した磁性粒子まで引き剥がしてしまうおそれがある。このため、本実施形態においては、上磁場印加部10が発生する磁力を弱めて、従来と同等の磁力とすることにより、上磁場印加部10で消費される電力量を減少させ、エネルギー消費量の抑制を図っている。
上記の工程(3)から工程(5)の過程で、(6)検体検査装置1は、光導波路を通過する光の変化から、検査液に含まれる検査対象物質の物質量を測定する。すなわち、光導波路を通過した光強度を受光素子により検出して、この光強度の変化から、検査対象物質の物質量を測定する。そして、検体検査装置1は、この測定結果を出力してユーザに通知する。
以上のように、本実施形態に係る検体検査装置1によれば、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cとの間の間隙SPを可及的に狭めることとしたので、上ヨーク22と下ヨーク24との間の磁束の漏れを低減させることができる。これにより、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束量を増大させることができ、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束量を増大させることができる。この結果、検査容器16に印加される磁力を増大させて、検査対象物質の測定に要する時間を短縮することができる。
また、このように検査容器16に印加される磁束を増大させることができることから、上磁場印加部10や下磁場印加部12で磁場を発生させる際の消費電力を抑制することができる。このため、この検体検査装置1の全体的な消費電力の低減を図ることができる。
また、上ヨーク22と下ヨーク24との間の磁束の漏れを低減することにより、近接する他の検体検査装置1や他の医療用機器に悪影響が生じるのを回避することもできる。これにより、検体検査装置1の設置場所に関する自由度を増大させることができる。
また、検体検査装置1を上方から見た平面視の状態で、検査容器16を短手方向(Y方向)に跨ぐように、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cとを配置したので、ヨーク20の大きさをコンパクトにすることができ、検体検査装置1の大型化を回避することができる。
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態では、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPを、ヨーク20の中央部分である検査容器16の側方位置に設けることとしたが、第2実施形態では、ヨーク20の下端部に設けることにより、磁束放出部30a、32aから間隙SPまでの距離を可能な限りと遠ざけて、磁束をより漏れにくくしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図5は、第2実施形態に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した第1実施形態における図1に対応する図である。図6は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した第1実施形態における図2に対応する図である。
これら図5及び図6に示すように、第2実施形態に係る検体検査装置1も、上述した第1実施形態と同様に、上ヨーク22と下ヨーク24とを備えるヨーク20を含んでいるが、上ヨーク22と下ヨーク24の構造が上述した第1実施形態と異なっている。すなわち、下ヨーク24は、下横架ヨーク24aは備えているが下側面ヨーク24b、24cは備えておらず、上ヨーク22の一対の上側面ヨーク22b、22cがヨーク20の下端部の下横架ヨーク24aまで延びている構造をしている。
より詳しくは、下ヨーク24は、下横架ヨーク24aと下中央ヨーク32とを備えて構成されている。上述した第1実施形態と異なり、下ヨーク24は、下側面ヨーク24bと下側面ヨーク24cは設けられていない。
一方で、上ヨーク22は、上述した第1実施形態と同様に、上横架ヨーク22aと、一対の上側面ヨーク22b、22cと、上中央ヨーク30とを備えて構成されている。但し、上述した第1実施形態と異なり、上横架ヨーク22aの両端部から垂下する上側面ヨーク22b、22cの下端部が、ヨーク20の下端部に位置する下横架ヨーク24aの近傍まで延びている。そして、上側面ヨーク22b、22cの下端部と下横架ヨーク24aとにより、間隙SPが構成されている。
上述した第1実施形態と同様に、上側面ヨーク22b、22cと、下横架ヨーク24aとの間は、可能な限り近づくように構成されている。また、図7に示すように、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aとの間の距離である間隙SPの幅Wは、上述した第1実施形態と同様の理由により、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましく、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。ここでは、間隙SPの幅Wは、上側面ヨーク22bの下端部の底面と、下横架ヨーク24aの上側表面との間の距離で定義される。図7では、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aとの間の関係を図示しているが、上ヨーク22の上側面ヨーク22cと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aとの間の間隙SPの幅Wも図7と同様である。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を第1実施形態よりも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。すなわち、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aから、間隙SPまでの距離を可能な限り遠ざけることにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の間の間隙や、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPから、磁束が漏れるのを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、図8及び図9に示すように、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPをヨーク20の上端部に形成することもできる。ここで、図8は、第2実施形態の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した図5に対応する図である。図9は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した図6に対応する図である。
これら図8及び図9に示すように、上ヨーク22は、上横架ヨーク22aは備えているが上側面ヨーク22b、22cは備えておらず、下ヨーク24の一対の下側面ヨーク24b、24cがヨーク20の上端部の上横架ヨーク22aまで延びている構造をしている。
より詳しくは、上ヨーク22は、上横架ヨーク22aと上中央ヨーク30とを備えて構成されている。上述した第1実施形態と異なり、上ヨーク22は、上側面ヨーク22bと上側面ヨーク22cは設けられていない。
一方で、下ヨーク24は、上述した第1実施形態と同様に、下横架ヨーク24aと、下側面ヨーク24b、24cと、下中央ヨーク32とを備えて構成されている。但し、上述した第1実施形態と異なり、下横架ヨーク24aの両端部から起立する下側面ヨーク24b、24cの上端部が、ヨーク20の上端部に位置する上横架ヨーク22aの近傍まで延びている。そして、下側面ヨーク24b、24cの上端部と上横架ヨーク22aとにより、間隙SPが構成されている。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することによっても、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を第1実施形態よりも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。すなわち、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aから、間隙SPまでの距離を可能な限り遠ざけることにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の間の間隙や、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPから、磁束が漏れるのを抑制することができる。
以上のように、本実施形態の変形例に係る検体検査装置1によっても、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cとの間の間隙SPを可及的に狭めることができ、上ヨーク22と下ヨーク24との間の磁束の漏れを低減させることができる。これにより、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束量を増大させることができ、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束量を増大させることができる。
また、上中央ヨーク30の磁束放出部30aや下中央ヨーク32の磁束放出部32aから、上ヨーク22と下ヨーク24の間隙SPまでの距離を、可能な限り遠ざけることができるので、磁束の漏れをより一層低減することができる。その結果、検査容器16に印加する磁力を増大させることができる。
〔第3実施形態〕
上述した第2実施形態においては、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPを、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cにおける下端部の底面と、下ヨーク24の下横架ヨーク24aにおける上側表面との間の距離で定義するようにしたが、第3実施形態においては、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cの内側側面と、下ヨーク24の下横架ヨーク24aにおける両端部の端面との間の距離で定義するようにしたものである。以下、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
図10は、第3実施形態に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図5に対応する図である。図11は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図6に対応する図である。
これら図10及び図11に示すように、第3実施形態に係る検体検査装置1も、上述した第2実施形態と同様に、下ヨーク24は、下横架ヨーク24aは備えているが下側面ヨーク24b、24cは備えておらず、上ヨーク22の一対の上側面ヨーク22b、22cがヨーク20の下端部の下横架ヨーク24aまで延びている構造をしている。但し、第3実施形態においては、上ヨーク22の一対の上側面ヨーク22b、22cが、それぞれ、下ヨーク24の下横架ヨーク24aにおける下側底面まで延びている。そして、上側面ヨーク22b、22cの内側側面と、下横架ヨーク24aの両端部における端面とにより、間隙SPが構成されている。
上述した第2実施形態と同様に、上側面ヨーク22b、22cと、下横架ヨーク24aとの間は、可能な限り近づくように構成されている。また、図12に示すように、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aとの間の距離である間隙SPの幅Wは、上述した第1実施形態と同様の理由により、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましく、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。ここでは、間隙SPの幅Wは、上側面ヨーク22bの内側側面と、下横架ヨーク24aの左端部の端面との間の距離で定義される。図12では、上ヨーク22の上側面ヨーク22bと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aの左端部との間の関係を図示しているが、上ヨーク22の上側面ヨーク22cと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aの右端部との間の間隙SPの幅Wも図12と同様である。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することによっても、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を、第1実施形態よりも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。
なお、本実施形態においては、図13及び図14に示すように、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPをヨーク20の上端部に形成することもできる。ここで、図13は、第3実施形態の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図8に対応する図である。図14は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図9に対応する図である。
これら図13及び図14に示すように、上ヨーク22は、上横架ヨーク22aは備えているが上側面ヨーク22b、22cは備えておらず、下ヨーク24の一対の下側面ヨーク24b、24cがヨーク20上端部の上横架ヨーク22aの上側表面まで延びている構造をしている。
より詳しくは、上ヨーク22は、上横架ヨーク22aと上中央ヨーク30とを備えて構成されている。上述した第1実施形態と異なり、上ヨーク22は、上側面ヨーク22bと上側面ヨーク22cは設けられていない。そして、下横架ヨーク24aの両端部から起立する一対の下側面ヨーク24b、24cの上端部が、ヨーク20の上端部に位置する上横架ヨーク22aの上側表面まで延びている。そして、下側面ヨーク24b、24cの内側側面と、上横架ヨーク22aの両端部における端面とにより、間隙SPが構成されている。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することによっても、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を、第1実施形態よりも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。
以上のように、本実施形態の変形例に係る検体検査装置1によっても、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cと、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cとの間の間隙SPを可及的に狭めることができ、上ヨーク22と下ヨーク24との間の磁束の漏れを低減させることができる。これにより、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束量を増大させることができ、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束量を増大させることができる。
また、上中央ヨーク30の磁束放出部30aや下中央ヨーク32の磁束放出部32aから、上ヨーク22と下ヨーク24の間隙SPまでの距離を、可能な限り遠ざけることができるので、磁束の漏れをより一層低減することができる。その結果、検査容器16に印加する磁力を増大させることができる。
〔第4実施形態〕
上述した第1実施形態乃至第3実施形態においては、上側面ヨーク22b、22c及び下側面ヨーク24b、24cは2本であったが、第4実施形態においては、これら側面ヨークを4本設けることにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aから上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPまでの距離をより遠ざけることができるようにしたものである。以下、第4実施形態に係る検体検査装置1について、上述した第2実施形態と異なる部分を説明しながら、その詳細を明らかにする。
図15は、第4実施形態に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図5に対応する図である。図16は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した第2実施形態における図6に対応する図である。図17は、図15及び図16に示した検体検査装置1におけるXVII-XVII断面図である。この図17において、図15は矢印XV方向から見た検体検査装置1の部分的側面図であり、図16は矢印XVI方向から見た検体検査装置1の部分的側面図である。
これら図15乃至図17に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1においては、上ヨーク22の側面ヨークは、4本の上側面ヨーク22d~22gにより構成されている。すなわち、本実施形態に係る上ヨーク22は、上横架ヨーク22aと、上側面ヨーク22d~22gと、上中央ヨーク30とを備えて構成されている。一方、下ヨーク24の構成は、上述した第2実施形態と同様に、下横架ヨーク24aと、下中央ヨーク32とを備えて構成されている。
特に図17から分かるように、上側面ヨーク22d~22gは、検体検査装置1を上方から見た場合に、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32を中心に、対称に配置されている。また、図15及び図16から分かるように、上横架ヨーク22aの四隅から垂下する4本の上側面ヨーク22d~22gが、それぞれ、ヨーク20の下端部に位置する下横架ヨーク24aの近傍まで延びている。そして、上側面ヨーク22d~22gの下端部と、下横架ヨーク24aとにより、間隙SPがそれぞれ構成されている。
上述した第2実施形態と同様に、上側面ヨーク22d~22gと、下横架ヨーク24aとの間は、可能な限り近づくように構成されているが、上ヨーク22の上側面ヨーク22d~22gと、下ヨーク24の下横架ヨーク24aとの間の間隙SPの幅Wは、上述した第1実施形態と同様の理由により、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましく、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。ここでは、間隙SPの幅Wは、上側面ヨーク22d~22gの下端部の底面と、下横架ヨーク24aの上側表面との間の距離でそれぞれ定義される。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を、X方向にもY方向にもZ方向にも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。すなわち、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aから、間隙SPまでの距離を可能な限り遠ざけることにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の間の間隙や、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPから、磁束が漏れるのを抑制することができる。その結果、検査容器16に印加する磁力を増大させることができる。
なお、図15乃至図17に示す検体検査装置1においては、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPを、ヨーク20の下端部に設けることとしたが、この間隙SPをヨーク20の上端部に設けることも可能である。図18乃至図20は、間隙SPをヨーク20の上端部に設けた検体検査装置1の構造を説明する図である。具体的には、図18は、第4実施形態の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した図15に対応する図である。図19は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した図16に対応する図である。図20は、図18及び図19に示した検体検査装置1におけるXX-XX断面図である。この図20において、図18は矢印XVIII方向から見た検体検査装置1の部分的側面図であり、図19は矢印XIX方向から見た検体検査装置1の部分的側面図である。
これら図18乃至図20に示すように、この第4実施形態の変形例に係る検体検査装置1においては、下ヨーク24の側面ヨークは、4本の下側面ヨーク24d~24gにより構成されている。すなわち、本実施形態に係る下ヨーク24は、下横架ヨーク24aと、下側面ヨーク24d~24gと、下中央ヨーク32とを備えて構成されている。一方、上ヨーク22の構成は、上述した第2実施形態と同様に、上横架ヨーク22aと、上中央ヨーク30とを備えて構成されている。
特に図20から分かるように、下側面ヨーク24d~24gは、検体検査装置1を上方から見た場合に、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32を中心に、対称に配置されている。また、図18及び図19から分かるように、下横架ヨーク24aの四隅から起立する4本の下側面ヨーク24d~24gが、それぞれ、ヨーク20の上端部に位置する上横架ヨーク22aの近傍まで延びている。そして、下側面ヨーク24d~24gの上端部と、上横架ヨーク22aとにより、間隙SPがそれぞれ構成されている。
上述した第2実施形態と同様に、下側面ヨーク24d~24gと、上横架ヨーク22aとの間は、可能な限り近づくように構成されているが、下ヨーク24の下側面ヨーク24d~24gと、上ヨーク22の上横架ヨーク22aとの間の距離である間隙SPの幅Wは、上述した第1実施形態と同様の理由により、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましく、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。ここでは、間隙SPの幅Wは、下側面ヨーク24d~24gの上端部の上面と、上横架ヨーク22aの下側表面との間の距離でそれぞれ定義される。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を、X方向にもY方向にもZ方向にも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。その結果、検査容器16に印加する磁力を増大させることができる。
また、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPは、第1実施形態と同様に、ヨーク20の中央部分に設けることもできる。図21乃至図24は、間隙SPをヨーク20の中央部分に設けた検体検査装置1の構造を説明する図である。具体的には、図21は、第4実施形態のさらに別の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、上述した図15に対応する図である。図22は、そのYZ面に関する側面図であり、上述した図16に対応する図である。図23は、図21及び図22に示した検体検査装置1におけるXXIII-XXIII断面図である。図24は、図21及び図22に示した検体検査装置1におけるXXIV-XXIV断面図である。これら図23及び図24において、図21は矢印XXI方向から見た検体検査装置1の部分的側面図であり、図22は矢印XXII方向から見た検体検査装置1の部分的側面図である。
これら図21乃至図24に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1においては、上ヨーク22の側面ヨークは、4本の上側面ヨーク22d~22gにより構成されている。すなわち、本実施形態に係る上ヨーク22は、上横架ヨーク22aと、上側面ヨーク22d~22gと、上中央ヨーク30とを備えて構成されている。一方、下ヨーク24の側面ヨークも、4本の下側面ヨーク24d~24gにより構成されている。すなわち、本実施形態に係る下ヨーク24は、下横架ヨーク24aと、下側面ヨーク24d~24gと、下中央ヨーク32とを備えて構成されている。
特に図24から分かるように、上ヨーク22の上側面ヨーク22d~22gは、検体検査装置1を上方から見た場合に、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32を中心に、対称に配置されている。また、図21及び図22から分かるように、上横架ヨーク22aの四隅から垂下する4本の上側面ヨーク22d~22gが、それぞれ、ヨーク20の中央部分に位置する検査容器16の側方位置の近傍まで延びている。
また、特に図23から分かるように、下ヨーク24の下側面ヨーク24d~24gは、検体検査装置1を上方から見た場合に、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32を中心に、対称に配置されている。また、図21及び図22から分かるように、下横架ヨーク24aの四隅から起立する4本の下側面ヨーク24d~24gが、それぞれ、ヨーク20の中央部分に位置する検査容器16の側方位置の近傍まで延びている。そして、上ヨーク22の上側面ヨーク22d~22gの下端部と、下ヨーク24の下側面ヨーク24d~24gの上端部とにより、間隙SPがそれぞれ構成されている。
上述した第1実施形態と同様に、上側面ヨーク22d~22fの下端部と下側面ヨーク24d~24gの上端部との間は、可能な限り近づくように構成されているが、上側面ヨーク22d~22fの下端部と下側面ヨーク24d~24gの上端部との間の距離である間隙SPの幅Wは、上述した第1実施形態と同様の理由により、例えば、1mm以上12.6mm以下であることが望ましく、1mm以上2mm以下であることがより望ましい。ここでは、間隙SPの幅Wは、上側面ヨーク22d~22fの下端部の底面と、下側面ヨーク24d~24gの上端部の上面との間の距離でそれぞれ定義される。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、間隙SPとの間の距離を、X方向にもY方向にも遠ざけることができ、間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。また、間隙SPをヨーク20の中央部分に設けたので、上磁場印加部10や下磁場印加部12における検査容器16の短手方向(Y方向)の幅を広げずとも、支持フレーム14との干渉を抑制することができる。
これらの第4実施形態に係る検体検査装置1においても、上ヨーク22の下横架ヨーク24aや下ヨーク24の下横架ヨーク24aの構造には、種々のものが適用できる。図25乃至図27は、上ヨーク22における上横架ヨーク22aの構造の例を説明する平面図である。すなわち、図25乃至図27は、本実施形態に係る検体検査装置1を上方からみた状態を説明する図である。
まず、図25の例では、上ヨーク22の上横架ヨーク22aは、ヨーク20を上方から見た状態で、矩形状をなしており、特にこの例では、正方形をなしている。矩形状の上横架ヨーク22aの四隅には、上側面ヨーク22d~22gがそれぞれ結合されている。この上横架ヨーク22aの四隅の位置から、上側面ヨーク22d~22gは、検体検査装置1の下方にそれぞれ延びている。
上横架ヨーク22aの中央部分には、上中央ヨーク30が結合されている。この上横架ヨーク22aの中央部分の位置から、上中央ヨーク30は、検体検査装置1の下方に延びている。この上中央ヨーク30の周囲には、永久磁石や電磁石などにより上磁場印加部10が形成されている。
図26の例では、上ヨーク22の上横架ヨーク22aは、ヨーク20を上方から見た状態で、H字形状をなしている。H字形状の上横架ヨーク22aの四隅には、上側面ヨーク22d~22gがそれぞれ結合若しくは折り曲げ加工により設けられている。この上横架ヨーク22aの四隅の位置、すなわちH字形状の端部の位置から、上側面ヨーク22d~22gは、検体検査装置1の下方にそれぞれ延びている。
H字形状の上横架ヨーク22aの中央部分には、上中央ヨーク30が結合されている。この上横架ヨーク22aの中央部分の位置、すなわち、H字形状の上磁場印加部10を横断するヨークの中央部分の位置から、上中央ヨーク30は、検体検査装置1の下方に延びている。この上中央ヨーク30の周囲には、永久磁石や電磁石などにより上磁場印加部10が形成されている。この図26の例では、上中央ヨーク30は長方形の形状をなしており、H字形状の上横架ヨーク22aにおける中央部分で、上横架ヨーク22aからはみ出してY方向に延びるように配置されている。
図27の例では、上ヨーク22の上横架ヨーク22aは、ヨーク20を上方から見た状態で、X字形状をなしている。X字形状の上横架ヨーク22aの四隅には、上側面ヨーク22d~22gがそれぞれ結合若しくは折り曲げ加工により設けられている。この上横架ヨーク22aの四隅の位置、すなわちX字形状の端部の位置から、上側面ヨーク22d~22gは、検体検査装置1の下方にそれぞれ延びている。この図27の例では、上側面ヨーク22d~22gは長方形の形状をなしており、X字状の上ヨーク22において外周方向に延びる4本のヨーク部材の先端部の辺に沿うように配置されている。
X字形状の上横架ヨーク22aの中央部分には、上中央ヨーク30が結合されている。この上横架ヨーク22aの中央部分の位置、すなわち、X字形状の交差部分の位置から、上中央ヨーク30は、検体検査装置1の下方に延びている。この上中央ヨーク30の周囲には、永久磁石や電磁石などにより上磁場印加部10が形成されている。この図27の例では、上中央ヨーク30は長方形の形状をなしており、X字形状の上ヨークの交差部分のヨーク部材に設けられて、Y方向に延びるように配置されている。
図25乃至図27を用いて上ヨーク22の上横架ヨーク22aの構造を説明したが、下ヨーク24の下横架ヨーク24aも、上ヨーク22の上横架ヨーク22aと同様の形状及び構造とすることができる。このとき、上ヨーク22の上横架ヨーク22aの形状及び構造と、下ヨーク24の下横架ヨーク24aの形状及び構造とは、同じであっても良いし、異なっていても良い。また、これら上横架ヨーク22a及び下横架ヨーク24aの形状及び構造は単なる例示であり、種々の形状及び構造を上横架ヨーク22a及び下横架ヨーク24aに採用し得る。
なお、本実施形態においては、側面ヨークを4本配置することとしたが、側面ヨークの本数は4本に限るものではない。例えば、側面ヨークを5本、6本、7本、8本など、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32を中心として対称になるように複数の側面ヨークを配置するようにすることができる。
以上のように、本実施形態に係る検体検査装置1によっても、上ヨーク22と、下ヨーク24との間の間隙SPを可及的に狭めることとしたので、上ヨーク22と下ヨーク24との間の磁束の漏れを低減させることができる。これにより、上中央ヨーク30の磁束放出部30aから放出される磁束量を増大させることができ、また、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから放出される磁束量を増大させることができる。
また、上中央ヨーク30及び下中央ヨーク32の磁束放出部30a、32aと、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPとの間の距離を、Z方向のみならず、X方向にもY方向にも遠ざけることができ、ヨーク20の間隙SPにおける磁束の漏れをより低減することができる。その結果、検査容器16に印加する磁力を増大させることができる。
〔第5実施形態〕
上述した各実施形態においては、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPは、側面ヨークの上端部及び/又は下端部の端面により構成されていたが、第5実施形態においては、側面ヨークの上端部及び/又は下端部の端面に拡大部を形成することにより、磁束が漏れやすいヨークの切れ目の位置で、対向面積を増大させて、磁束を漏れにくくしたものである。以下、上述した実施形態と異なる部分を説明する。
図28乃至図31は、それぞれ、本実施形態に係る検体検査装置1の部分的な内部構造のYZ面に関する側面図であり、例えば上述した第1実施形態における図2に対応する図である。但し、これら図28乃至図31においては、支持フレーム14と検査容器16と光学部18の図示を省略している。
まず、図28に示す例では、基本的構造は上述した第1実施形態と同様であるが、上ヨーク22の一対の上側面ヨーク22b、22cの下端部に、この下端部の面積を拡大する上拡大部26b、26cがそれぞれ形成されており、下ヨーク24の一対の下側面ヨーク24b、24cの上端部に、この上端部の面積を拡大する下拡大部28b、28cがそれぞれ形成されている。換言すれば、図28の例では、上ヨーク22は、上横架ヨーク22aと、上側面ヨーク22b、22cと、上拡大部26b、26cと、上中央ヨーク30とにより構成されており、下ヨーク24は、下横架ヨーク24aと、下側面ヨーク24b、24cと、下拡大部28b、28cと、下中央ヨーク32とにより構成されている。
より詳しくは、上ヨーク22の一対の上側面ヨーク22b、22cの下端部には、ヨーク20の内側方向、すなわち、検査容器16の方向に水平に延びる上拡大部26b、26cがそれぞれ形成されている。また、下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cの上端部には、ヨーク20の内側方向、すなわち、検査容器16の方向に水平に延びる下拡大部28b、28cがそれぞれ形成されている。この図28の例では、上拡大部26bと下拡大部28bとが互いに平行に延びて対向する位置関係にあり、上拡大部26cと下拡大部28cとが互いに平行に延びて対向する位置関係にある。換言すれば、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cが、それぞれ、間隙SPを挟んで対向している。
上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cが内側方向に延びる長さは任意に設定可能であるが、図28においては、上拡大部26b、26cと、下拡大部28b、28cは、支持フレーム14や光学部18と干渉しない位置、また、支持フレーム14にセットされた検査容器16と干渉しない位置まで延びている。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、磁束が漏れやすい上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目で、上ヨーク22と下ヨーク24との対向面積を上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより増大させることができ、磁束がより漏れにくくすることができる。
また、この図28の例においても、支持フレーム14が間隙SPを貫通して、支持フレーム14の端部がヨーク20の外側にまで達している。すなわち、支持フレーム14がヨーク20の外側まではみ出すような構成となっている。より詳細には、検査容器16の短手方向(Y方向)の支持フレーム14の幅が、ヨーク20の短手方向(Y方向)の幅よりも、大きくなるように構成されており、その支持フレーム14の両端部が、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより形成される間隙SPをそれぞれ貫通するように配置されている。このように支持フレーム14を構成することにより、ヨーク20の小型化を図ることができる。すなわち、ヨーク20内に支持フレーム14を収容しようとすると、どうしてもヨーク20が大型化してしまうが、このように、支持フレーム14を、間隙SPを通ってヨーク20の外側まで延出させることにより、ヨーク20の小型化を実現できる。
一方、図29の例では、上ヨーク22の上拡大部26b、26cと、下拡大部28b、28cとが、傾斜しつつ対向するように配置されている。具体的には、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cとは、ヨーク20の内側方向に向かって下がるような傾斜が形成されている。すなわち、上拡大部26b、26cは、上側面ヨーク22b、22cの下端部に形成されて、ヨーク20の内側方向に向かって下がるように傾斜しつつ、ヨーク20の内側に延びている。一方、下拡大部28b、28cは、下側面ヨーク24b、24cの上端部に形成されて、ヨーク20の外側方向に向かって上がるように傾斜しつつ、ヨーク20の外側方向に延びている。つまり、下拡大部28b、28cは、ともに、ヨーク20の内側方向に向かって下がるように傾斜が形成されている。この図29の例では、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cの傾斜は同じである。このため、互いに対向する上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cとは互いに平行であり、両者により形成される間隙SPの幅Wは均等で変化は無い。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、磁束が漏れやすい上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目で、上ヨーク22と下ヨーク24との対向面積を上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより増大させることができ、磁束がより漏れにくくすることができる。また、ユーザが支持フレーム14に検査容器16を検体検査装置1の上方からセットする際に、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cが検体検査装置1の下方に向けて狭まる傾斜を形成しているので、検査容器16のセット作業がしやすくなる。
また、この図29の例においても、支持フレーム14が間隙SPを貫通して、支持フレーム14の端部がヨーク20の外側にまで達している。すなわち、支持フレーム14がヨーク20の外側まではみ出すような構成となっている。より詳細には、検査容器16の短手方向(Y方向)の支持フレーム14の幅が、ヨーク20の短手方向(Y方向)の幅よりも、広くなるように構成されており、その支持フレーム14の両端部が、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより形成される間隙SPをそれぞれ貫通するように配置されている。また、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cとにより構成される間隙SPが上方に傾斜して形成されていることから、当該部分の支持フレーム14も同様に上方に傾斜して形成されている。これにより、支持フレーム14が、上拡大部26b、26cや下拡大部28b、28cと接触しないように配慮されている。このように支持フレーム14を構成することにより、ヨーク20の小型化を図ることができる。すなわち、ヨーク20内に支持フレーム14を収容しようとすると、どうしてもヨーク20が大型化してしまうが、このように、支持フレーム14を、間隙SPを通ってヨーク20の外側まで延出させることにより、ヨーク20の小型化を実現できる。
一方、図30の例では、上ヨーク22の上拡大部26b、26cは、ヨーク20の外側方向、すなわち、検査容器16と反対の方向に水平に延びており、下ヨーク24の下拡大部28b、28cは、ヨーク20の内側方向、すなわち、検査容器16の方向に水平に延びている。つまり、上拡大部26b、26cが延びる方向と、下拡大部28b、28cが延びる方向とが逆方向となりつつ、互いに対向して、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cとにより間隙SPが形成されている。
このため、上ヨーク22の方が下ヨーク24よりも小さくなっている。すなわち、上ヨーク22の上横架ヨーク22aの方が、下ヨーク24の下横架ヨーク24aよりも短く形成されている。図30では、上ヨーク22の上横架ヨーク22aの長さをL1とし、下ヨーク24の下横架ヨーク24aの長さをL2とすると、L1<L2の関係が成立する。
また、図30の例では、上拡大部26b、26cのそれぞれの長さと、下拡大部28b、28cのそれぞれの長さは、同等である。上拡大部26bの長さをL3とし、上拡大部26cの長さをL4とし、下拡大部28bの長さをL5とし、下拡大部28cの長さをL6とすると、L3=L4=L5=L6の関係が成立する。
さらには、上側面ヨーク22b、22cや下側面ヨーク24b、24cの厚さを無視すると、下ヨーク24の下横架ヨーク24aの長さL2は、上ヨーク22の上横架ヨーク22aの長さL1と上拡大部26bの長さL3と上拡大部26cの長さL4の和と実質的に等しい。この結果、上拡大部26bと下拡大部28bとが磁束が漏れにくい態様で対向するようになり、上拡大部26cと下拡大部28cとが磁束が漏れにくい態様で対向するようになる。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、磁束が漏れやすい上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目で、上ヨーク22と下ヨーク24との対向面積を上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより増大させることができ、磁束がより漏れにくくすることができる。また、上ヨーク22を下ヨーク24よりも小さくできるので、上ヨーク22の軽量小型化を図ることができる。このため、検査容器16を支持フレーム14にセットする際や検査容器16を支持フレーム14から取り出す際において、上ヨーク22を検査容器16の長手方向(図1のX方向)に移動させるユーザの操作性を向上させることができる。
また、この図30の例においても、支持フレーム14が間隙SPを貫通して、支持フレーム14の端部がヨーク20の外側にまで達している。すなわち、支持フレーム14がヨーク20の外側まではみ出すような構成となっている。より詳細には、検査容器16の短手方向(Y方向)の支持フレーム14の幅が、ヨーク20の短手方向(Y方向)の幅よりも、広くなるように構成されており、その支持フレーム14の両端部が、上拡大部26b、26cと下拡大部28b、28cにより形成される間隙SPをそれぞれ貫通するように配置されている。このように支持フレーム14を構成することにより、ヨーク20の小型化を図ることができる。すなわち、ヨーク20内に支持フレーム14を収容しようとすると、どうしてもヨーク20が大型化してしまうが、このように、支持フレーム14を、間隙SPを通ってヨーク20の外側まで延出させることにより、ヨーク20の小型化を実現できる。
一方、図31の例では、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cの下端部がヨーク20の下端部の近傍まで延びており、その上側面ヨーク22b、22cの下端部に、この下端部の面積を拡大する上拡大部26b、26cが形成されている。一方、下ヨーク24には下側面ヨーク24b、24cも下拡大部28b、28cも形成されていない。このため、上ヨーク22の上拡大部26b、26cは、下ヨーク24の下横架ヨーク24aに直接対向している。
すなわち、上ヨーク22の上横架ヨーク22aの両端部から垂下する上側面ヨーク22b、22cの下端部は、ヨーク20の下端部に位置する下横架ヨーク24aの近傍まで延びている。そして、上側面ヨーク22b、22cのそれぞれの下端部に上拡大部26b、26cが設けられている。上拡大部26b、26cは、検体検査装置1の内側方向、すなわち、検査容器16の方向に水平に延びている。このため、上拡大部26b、26cは、それぞれ、下ヨーク24の下横架ヨーク24aと平行に配置されている。このため、上拡大部26b、26cは、それぞれが下ヨーク24の下横架ヨーク24aの上側表面に対向している。
このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、磁束が漏れやすい上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目で、上ヨーク22と下ヨーク24との対向面積を上拡大部26b、26cにより増大させることができ、磁束がより漏れにくくすることができる。また、検査容器16を支持フレーム14にセットする際や検査容器16を支持フレーム14から取り出す際に、ユーザが上ヨーク22を図1のX方向に移動させると、支持フレーム14が大きく露出することとなる。このため、ユーザに対する支持フレーム14の視認性を向上させることができる。
なお、図31の例では、上ヨーク22と下ヨーク24との間の間隙SPをヨーク20の下端部に形成したが、これをヨーク20の上端部に形成するようにしてもよい。この場合、図32に例示するように、上ヨーク22には上側面ヨーク22b、22cも上拡大部26b、26cも設けずに、下ヨーク24に下側面ヨーク24b、24cを設け、これら下側面ヨーク24b、24cをヨーク20の上端部まで起立させて、その上端部に、この上端部の面積を拡大する下拡大部28b、28cを形成するようにすればよい。
以上のように、本実施形態に係る検体検査装置1によれば、上ヨーク22の上側面ヨーク22b、22cの下端部及び/又は下ヨーク24の下側面ヨーク24b、24cの上端部に、拡大部を形成することとしたので、上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目の位置で、対向面積を増大させることができ、間隙SPからの磁束の漏れをより一層削減することができる。
なお、上述した図28乃至図31の例では、上拡大部26b、26cや下拡大部28b、28cは矩形状の平板で構成したが、その形状や大きさは任意に変更可能である。例えば、上拡大部26b、26cや下拡大部28b、28cを円盤状又は三角形の平板で構成してもよいし、或いは、上拡大部26b、26cや下拡大部28b、28cを円筒や球体などの三次元的な形状で構成してもよい。
〔第6実施形態〕
第6実施形態は、上述した各実施形態に係る検体検査装置1の磁束放出部32aの近傍に追加ヨークを追加的に設け、磁束放出部32aから放出された磁束の一部が追加ヨークに流れるようにすることにより、反対側の磁束放出部30aに到達する磁束を減少させて、急峻な磁場勾配を生成し、磁力を増大させるようにしたものである。以下、上述した各実施形態と異なる部分を説明する。
図33は、第6実施形態に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のYZ面に関する側面図であり、上述した第1実施形態における図2に対応する図である。図34は、図33に示す検体検査装置1におけるXXXIV断面図(XZ面断面図)である。すなわち、図33及び図34は、第1実施形態の変形例を示している。
これら図33及び図34に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1は、上述した第1実施形態と同様に、上ヨーク22と下ヨーク24とによりヨーク20が構成されている。上ヨーク22については上述した第1実施形態と同様の構成であるが、下ヨーク24については、上述した第1実施形態と比べて、さらに追加ヨーク40が設けられている。
具体的には、下ヨーク24を上方から見た状態において、下横架ヨーク24aと十文字に交差する位置関係で、追加ヨーク40が設けられている。この追加ヨーク40は、下横架ヨーク40aと、下側面ヨーク40b、40cと、傾斜ヨーク40d、40eとを備えて構成されている。
下横架ヨーク40aは、下ヨーク24を上から見た状態で、下横架ヨーク40aと交差する方向に、特に本実施形態においては直交する方向に配置されている。換言すれば、下横架ヨーク24aは検査容器16の短手方向に延びているのに対し、下横架ヨーク40aは検査容器16の長手方向に延びている。
下横架ヨーク40aの一端部から下側面ヨーク40bが起立しており、その他端部から下側面ヨーク40cが起立している。下側面ヨーク40b、40cは、下中央ヨーク32の高さの途中部分の高さまで延びている。本実施形態においては、下側面ヨーク40b、40cは、下磁場印加部12の高さよりも僅かに高い位置まで延びており、その上端部が下磁場印加部12よりも高く位置している。
そして、下側面ヨーク40b、40cの上端部から、斜めに、傾斜ヨーク40d、40eがそれぞれ設けられている。すなわち、下側面ヨーク40bの上端部から、下中央ヨーク32の磁束放出部32a近傍に向けて、傾斜ヨーク40dが設けられており、下側面ヨーク40cの上端部から、下中央ヨーク32の磁束放出部32a近傍に設けて、傾斜ヨーク40eが設けられている。換言すれば、傾斜ヨーク40d、40eは、それぞれ、下中央ヨーク32に近づく方向に傾斜しており、その先端部が磁束放出部32aに接触しない程度に近接している。
このため、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから上中央ヨーク30の磁束放出部30aに向けて放出された磁束は、その一部が、近接している傾斜ヨーク40d、40eに流れ込む。この結果、反対側の上中央ヨーク30の磁束放出部30aに流れる磁束は減少する。ここで、上述したように、磁力は磁束密度と磁場勾配の積によって定まることから、下中央ヨーク32から下中央ヨーク32までの磁場勾配を急峻にすることにより、磁力を増大させることができる。これにより、下磁場印加部12を駆動させて下向きの磁場を発生させた際の検査容器16に印加される磁力を増大させることができる。
なお、本実施形態においては、下ヨーク24に追加ヨーク40を設けているが、上ヨーク22には設けていない。これは、下磁場印加部12を駆動させて、検査液中を光導波路上まで磁性粒子を沈降させる際には、強い磁力を発生させれば、その分、沈降に要する時間を短縮することができるが、上磁場印加部10を駆動させて、光導波路上のセンシングエリアに結合していない磁性粒子を検査液の上方に引き上げる際には、あまり強い磁力で磁性粒子を引き上げると、抗原抗体反応によりセンシングエリアに結合している磁性粒子までも引き剥がしてしまう恐れがあるからである。
また、本実施形態においては、下側面ヨーク40bと傾斜ヨーク40dとを別部材で構成し両者を結合させるとともに、下側面ヨーク40cと傾斜ヨーク40eとを別部材で構成し両者を結合させることとしたが、これらをそれぞれ一体部材で形成し折り曲げ加工により構成することもできる。すなわち、1枚のヨーク部材を折り曲げ加工することにより、下側面ヨーク40bと傾斜ヨーク40dを構成し、別の1枚のヨーク部材を折り曲げ加工することにより、下側面ヨーク40cと傾斜ヨーク40eとを構成するようにしてもよい。
図35は、第6実施形態の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のYZ面に関する側面図であり、上述した第4実施形態における図16に対応する図である。図36は、図35に示す検体検査装置1におけるXXXVI断面図(XZ面断面図)である。すなわち、図35及び図36は、第4実施形態の変形例を示している。
これら図35及び図36に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1は、上述した第4実施形態と同様に、上ヨーク22と下ヨーク24とによりヨーク20が構成されている。上ヨーク22については上述した第4実施形態と同様に4本の上側面ヨーク22d~22gを備えて構成されているが、下ヨーク24については、上述した第4実施形態と比べて、さらに追加ヨーク40が設けられている。
具体的には、下ヨーク24を上方から見た状態において、下横架ヨーク24aの両端部から下中央ヨーク32を挟み込むような位置関係で、追加ヨーク40が設けられている。この追加ヨーク40は、下側面ヨーク40b、40cと、水平ヨーク40f、40hと、傾斜ヨーク40g、40iとを備えて構成されている。
図35及び図36の例では、下ヨーク24の下横架ヨーク24aが矩形平板状をなしていることから、上述した追加ヨーク40の下横架ヨーク40aの役割も果たしている。この下横架ヨーク24aの一端部から下側面ヨーク40bが起立しており、その他端部から下側面ヨーク40cが起立している。下側面ヨーク40b、40cは、下中央ヨーク32の高さの途中部分の高さまで延びている。本実施形態においては、下側面ヨーク40b、40cは、下磁場印加部12の高さよりも僅かに高い位置まで延びており、その上端部が下磁場印加部12よりも高く位置している。
そして、下側面ヨーク40b、40cの上端部から、それぞれ、水平ヨーク40f、40hが下中央ヨーク32の方向に延びており、これら水平ヨーク40f、4hの先端部から、それぞれ、斜めに、傾斜ヨーク40g、40iが設けられている。すなわち、下側面ヨーク40bの上端部から、下中央ヨーク32に向けて水平に水平ヨーク40fが設けられており、さらに、水平ヨーク40fの先端部から下中央ヨーク32の磁束放出部32a近傍に向けて、傾斜ヨーク40gが設けられている。また、下側面ヨーク40cの上端部から、下中央ヨーク32に向けて水平に水平ヨーク40hが設けられており、さらに、水平ヨーク40hの先端部から下中央ヨーク32の磁束放出部32a近傍に向けて、傾斜ヨーク40iが設けられている。換言すれば、傾斜ヨーク40g、40iは、それぞれ、下中央ヨーク32に近づく方向に傾斜しており、その先端部が磁束放出部32aに接触しない程度に近接している。
このため、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから上中央ヨーク30の磁束放出部30aに向けて放出された磁束は、その一部が、近接している傾斜ヨーク40g、40iに流れ込む。この結果、反対側の上中央ヨーク30の磁束放出部30aに流れる磁束は減少する。ここで、上述したように、磁力は磁束密度と磁場勾配の積によって定まることから、下中央ヨーク32から下中央ヨーク32までの磁場勾配を急峻にすることにより、磁力を増大させることができる。これにより、下磁場印加部12を駆動させて下向きの磁場を発生させた際の検査容器16に印加される磁力を増大させることができる。
なお、本実施形態においては、下側面ヨーク40bと水平ヨーク40fと傾斜ヨーク40gとを別部材で構成し、それぞれを結合させるとともに、下側面ヨーク40cと水平ヨーク40hと傾斜ヨーク40iとを別部材で構成し、それぞれを結合させることとしたが、これらをそれぞれ一体部材で形成し折り曲げ加工により構成することもできる。すなわち、1枚のヨーク部材を2回折り曲げ加工することにより、下側面ヨーク40bと水平ヨーク40fと傾斜ヨーク40gを構成し、別の1枚のヨーク部材を2回折り曲げ加工することにより、下側面ヨーク40cと水平ヨーク40hと傾斜ヨーク40iとを構成するようにしてもよい。
図37は、第6実施形態の別の変形例に係る検体検査装置1における部分的な内部構造のYZ面に関する側面図であり、上述した第4実施形態における図22に対応する図である。図38は、図37に示す検体検査装置1におけるXXXVI断面図(XZ面断面図)である。すなわち、図37及び図38は、第4実施形態の変形例を示している。
これら図37及び図38に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1は、上述した第4実施形態と同様に、上ヨーク22と下ヨーク24とによりヨーク20が構成されている。上ヨーク22は上述した第4実施形態と同様に4本の上側面ヨーク22d~22gを備えて構成されており、下ヨーク24も上述した第4実施形態と同様に4本の下側面ヨーク24d~24gを備えて構成されているが、下ヨーク24については、上述した第4実施形態と比べて、さらに追加ヨーク40が設けられている。
具体的には、下ヨーク24を上方から見た状態において、下ヨーク24の両側から下中央ヨーク32を挟み込むような位置関係で、追加ヨーク40が設けられている。追加ヨーク40は、支持ヨーク40j、40lと、傾斜ヨーク40k、40mとを備えて構成されている。
図37及び図38の例では、互いに向かい合うように、一対の支持ヨーク40j、40lが配置されている。すなわち、4本の下側面ヨーク24d~24gのうち、互いに隣接する2本の下側面ヨーク24e、24fの間に支持ヨーク40lが横架されており、互いに隣接する2本の下側面ヨーク24d、24gの間に支持ヨーク40jが横架されている。
より具体的には、下ヨーク24の下側面ヨーク24fと下側面ヨーク24eとの間に支持ヨーク40lが架け渡されている。この支持ヨーク40lは、下磁場印加部12の高さとほぼ同等の高さの位置に、下側面ヨーク24fと下側面ヨーク24eとの間を結んで懸架するように設けられている。支持ヨーク40lの中央部分からは、下中央ヨーク32の磁束放出部32aに向けて上方に傾斜しながら延びる、傾斜ヨーク40mが設けられている。換言すれば、傾斜ヨーク40mは、下中央ヨーク32に近づく方向に傾斜しており、その先端部が磁束放出部32aに接触しない程度に磁束放出部32aに近接している。
同様に、下ヨーク24の下側面ヨーク24dと下側面ヨーク24gとの間に支持ヨーク40jが架け渡されている。この支持ヨーク40jは、下磁場印加部12の高さとほぼ同等の高さの位置に、下側面ヨーク24dと下側面ヨーク24gとの間を結んで懸架するように設けられている。支持ヨーク40jの中央部分からは、下中央ヨーク32の磁束放出部32aに向けて上方に傾斜しながら延びる、傾斜ヨーク40kが設けられている。換言すれば、傾斜ヨーク40kは、下中央ヨーク32に近づく方向に傾斜しており、その先端が磁束放出部32aに接触しない程度に磁束放出部32aに近接している。
このため、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから上中央ヨーク30の磁束放出部30aに向けて放出された磁束は、その一部が、近接している傾斜ヨーク40k、40mに流れ込む。この結果、反対側の上中央ヨーク30の磁束放出部30aに流れる磁束は減少する。ここで、上述したように、磁力は磁束密度と磁場勾配の積によって定まることから、下中央ヨーク32から下中央ヨーク32までの磁場勾配を急峻にすることにより、磁力を増大させることができる。これにより、下磁場印加部12を駆動させて下向きの磁場を発生させた際の検査容器16に印加される磁力を増大させることができる。
なお、本実施形態の変形例においては、支持ヨーク40jと傾斜ヨーク40kとを別部材で構成し両者を結合させるとともに、支持ヨーク40lと傾斜ヨーク40mとを別部材で構成し両者を結合させることとしたが、これらをそれぞれ一体部材で形成し折り曲げ加工により構成することもできる。すなわち、1枚のT字型のヨーク部材を折り曲げ加工することにより、支持ヨーク40jと傾斜ヨーク40kを構成し、別の1枚のT字型のヨーク部材を折り曲げ加工することにより、支持ヨーク40lと傾斜ヨーク40mとを構成するようにしてもよい。
〔第7実施形態〕
第7実施形態は、上述した第6実施形態における図35及び図36に示す検体検査装置1に、さらに変形を加えたものである。図39乃至図41は、第7実施形態に係る検体検査装置1を示す図である。すなわち、図39は、本実施形態に係る検体検査装置1の部分的な内部構造のXZ面に関する側面図であり、図40は、そのYZ面に関する側面図である。図41は、本実施形態に係る検体検査装置1の斜視図である。また、図39は、図41の矢印XXXIX方向から見た検体検査装置1の部分的側面図であり、図40は、図41の矢印XL方向から見た検体検査装置1の部分的側面図である。
これら図39乃至図41に示すように、本実施形態に係る検体検査装置1は、上述した第6実施形態における図35及び図36の例と同様に、上ヨーク22と下ヨーク24とによりヨーク20が構成されている。但し、上ヨーク22については、4本の上側面ヨーク22d~22gを備えて構成されているが、下ヨーク24については、4本の下側面ヨーク24d~24gと、追加ヨーク40とが設けられている。
具体的には、下ヨーク24を上方から見た状態において、4本の下側面ヨーク24d~24gに加えて、下横架ヨーク24aの両端部から下中央ヨーク32を挟み込むような位置関係で、追加ヨーク40が設けられている。この追加ヨーク40は、上述同様に、下側面ヨーク40b、40cと、水平ヨーク40f、40hと、傾斜ヨーク40g、40iとを備えて構成されている。
さらに、本実施形態においては、上ヨーク22における上側面ヨーク22d~22gの下端部には上拡大部26d~26gがそれぞれ形成されており、下ヨーク24における下側面ヨーク24d~24gの上端部には下拡大部28d~28gがそれぞれ形成されている。そして、上拡大部26d~26gと下拡大部28d~28gとのそれぞれの間の空間が、間隙SPを形成している。すなわち、本実施形態においては、上ヨーク22と下ヨーク24との間に、4つの間隙SPが形成されている。このように上ヨーク22と下ヨーク24とを構成することにより、磁束が漏れやすい上ヨーク22と下ヨーク24との間の切れ目で、上ヨーク22と下ヨーク24との対向面積を上拡大部26d~26gと下拡大部28d~28gにより増大させて、磁束をより漏れにくくしている。
また、本実施形態においては、上横架ヨーク22aと上側面ヨーク22d~22gと上拡大部26d~26gは、曲げ加工により一体に形成されている。すなわち、1枚の板状の部材を切断して曲げ加工をすることにより、上ヨーク22が形成されている。同様に、下横架ヨーク24aと下側面ヨーク24d~24gと下拡大部28d~28gと追加ヨーク40とは、曲げ加工により一体に形成されている。すなわち、1枚の板状の部材を切断して曲げ加工をすることにより、下ヨーク24が形成されている。
このように検体検査装置1を構成することにより、図35及び図36に示した検体検査装置1と同様に、下中央ヨーク32の磁束放出部32aから上中央ヨーク30の磁束放出部30aに向けて放出された磁束は、その一部が、近接している傾斜ヨーク40g、40iに流れ込む。この結果、反対側の上中央ヨーク30の磁束放出部30aに流れる磁束は減少する。ここで、上述したように、磁力は磁束密度と磁場勾配の積によって定まることから、下中央ヨーク32から上中央ヨーク30までの磁場勾配を急峻にすることにより、磁力を増大させることができる。これにより、下磁場印加部12を駆動させて下向きの磁場を発生させた際の検査容器16に印加される磁力を増大させることができる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
例えば、上述した各実施形態においては、支持手段により、上磁場印加部10と上ヨーク22の横方向への移動が図面におけるX方向(検査容器16の長手方向)にできるように構成したが、これら上磁場印加部10と上ヨーク22の移動方向は、支持フレーム14やこの支持フレーム14に載置された検査容器16と干渉しない限り、任意の方向に移動させることができる。例えば、上磁場印加部10と上ヨーク22が、図面のY方向(検査容器16の短手方向)にできるように支持手段を構成しても良い。また、上磁場印加部10と上ヨーク22が、X方向とY方向のとの間の斜め方向に移動できるように支持手段を構成することもでき、さらには、旋回方向など、種々の方向に移動できるように支持手段を構成することができる。
また、上述した各実施形態では、図42に示すように、上磁場印加部10と上ヨーク22とを支持手段100により移動可能に支持したが、図43に示すように、下磁場印加部12と下ヨーク24とを移動可能に支持手段100が支持するようにしてもよい。また、図44に示すように、上磁場印加部10と上ヨーク22とを移動可能に支持手段100が支持するとともに、下磁場印加部12と下ヨーク24も移動可能に支持手段100が支持するようにしてもよい。すなわち、支持手段100は、上磁場印加部10及び上ヨーク22と、下磁場印加部12及び下ヨーク24とのうちの少なくとも一方を、移動可能に支持することができる。換言すれば、支持手段100は、上ヨーク22と下ヨーク24の少なくとも一方を移動可能に支持することができる。