JP7319051B2 - 保持材及び排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、保持材及び排ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境及び人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC及びNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境及び人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素又はコージェライト等の多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、排ガス処理体と金属ケーシングとの間に配置される無機繊維からなる保持材とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。
この保持材は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆う金属ケーシングと接触して破損することを抑制すること、又は、排ガス処理体と金属ケーシングとの間から排ガスが漏れることを抑制すること等を主な目的として配置されている。
ここで、内燃機関については、燃費の向上を目的として理論空燃比に近い条件で運転するため、排ガスが高温化、高圧化している傾向にある。排ガス浄化装置に高温、高圧の排ガスや、内燃機関の振動が到達すると、排ガス処理体が所定位置から移動してしまい、排ガス浄化装置から脱落することがある。
そのため、排ガス処理体が所定位置から移動しないように、保持材には、しっかりと排ガス処理体を保持する性能が求められている。
特許文献1には、汚染制御要素(排ガス処理体)と接する側のマット材(保持材)の表面に研磨材料の微粒子を配置したマット材(保持材)が開示されている。そして、このようなマット材(保持材)を用いることにより、汚染制御要素(排ガス処理体)とマット材(保持材)との摩擦力を向上させることができ、その結果、汚染制御要素(排ガス処理体)が所定の位置から移動することを防止できるとされている。
また、特許文献2には、汚染制御要素(排ガス処理体)及び/又はケーシング(金属ケーシング)と接する側のマット材(保持材)の表面に無機コロイド粒子を含む摩擦層を形成したマット材(保持材)が開示されている。そして、このようなマット材(保持材)を用いることにより、汚染制御要素(排ガス処理体)とマット材(保持材)との摩擦力、及び/又は、ケーシング(金属ケーシング)とマット材(保持材)との摩擦力を向上させることができ、汚染制御要素(排ガス処理体)が所定の位置から移動することを防止することができるとされている。
特表2008-506886号公報 特表2009-508044号公報
研磨材料の微粒子や無機コロイド粒子は、その粒子の大きさが小さいため、保持材に付与した際の摩擦力の向上が充分とは言えなかった。
また、排ガス処理体をしっかりと保持する方法としては、保持材の充填密度を高くすることにより、面圧を高くする方法がある。
しかし、保持材の面圧を高くした場合、排ガス処理体にかかる圧力も高くなり、排ガス処理体が破損しやすくなるという問題がある。特に、排ガス処理体の排ガスが通過するセル間の壁厚が小さい場合、排ガス処理体がより破損しやすい。
また、金属ケーシングの内周面は粗度が小さく、金属ケーシング-保持材間の摩擦力は高くなりにくい。そのため、排ガス浄化装置に高温、高圧の排ガスや、内燃機関からの振動が到達すると保持材ごと排ガス処理体が所定位置からずれ、場合によっては排ガス処理体が排ガス浄化装置から脱落してしまうという問題がある。
また、排ガス処理体の脱落を防ぐために、排ガス処理体-保持材間の摩擦力をより向上させることも望まれていた。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、金属ケーシング-保持材間及び/又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力を向上させることができ、排ガス処理体をしっかりと保持することができ、排ガス処理体が、排ガス浄化装置から脱落することを防止できる保持材を提供することである。
本発明の保持材は、第1主面と、上記第1主面と反対側の第2主面とを有し、セラミック繊維からなる保持材であって、上記第1主面の少なくとも一部には、金属繊維及び/又は金属小片が配置されていることを特徴とする。
本発明の保持材は、排ガス浄化装置の構成要素として使用されることになる。
当該排ガス浄化装置は、排ガス処理体と、排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、排ガス処理体と金属ケーシングとの間に配置され、排ガス処理体を保持する本発明の保持材とからなる。
このような排ガス浄化装置において、本発明の保持材は、保持材の第1主面が金属ケーシング又は排ガス処理体と接触するように配置される。
本発明の保持材では、第1主面の少なくとも一部には、金属繊維及び/又は金属小片が配置されている。
本発明の保持材を備える排ガス浄化装置において、保持材の第1主面が金属ケーシングに接触している場合、保持材に配置された金属繊維及び/又は金属小片が金属ケーシングに引っかかることや、突き刺さることになる。
そして、金属繊維及び/又は金属小片がアンカーとして機能し、金属ケーシング-保持材間の摩擦力が高くなり、保持材が所定位置からずれにくくなる。
そのため、排ガス処理体は、本発明の保持材によりしっかりと保持されることになる。
その結果、排ガス処理体が、排ガス浄化装置から脱落することを防止することができる。
さらに、排ガス浄化装置において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体及び保持材は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
排ガスに曝され金属繊維及び/又は金属小片、並びに、金属ケーシングが高温になると、これらは金属同士であるので、排ガスに曝され金属繊維及び/又は金属小片と、金属ケーシングとがなじみやすくなる。
その結果、金属ケーシング-保持材間の摩擦力が高くなる。
また、本発明の保持材を備える排ガス浄化装置において、保持材の第1主面が排ガス処理体に接触している場合、保持材に配置された金属繊維及び/又は金属小片が、排ガス処理体の表面に引っかかるか、突き刺さることになる。この場合、排ガス処理体の耐久性に影響を与えず、摩擦力を高くすることが出来る。
その結果、排ガス処理体-保持材間の摩擦力が高くなる。
本発明の保持材では、上記金属繊維は、平均繊維径が5~500μmであり、平均繊維長が0.5~200mmであることが望ましい。また、平均繊維長が8.5~100mmであることがより望ましい。
このような形状の金属繊維は、金属ケーシング又は排ガス処理体に引っ掛かりやすくなる、又は、突き刺さりやすくなる。そのため、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力がより高くなる。
本発明の保持材では、上記金属繊維の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されていることが望ましい。
上記の通り金属繊維は、金属ケーシング又は排ガス処理体に引っかかるか、突き刺さることになるが、金属繊維の表面にこのような形状が形成されていると、これらの形状は金属ケーシング又は排ガス処理体に食い込むことになる。
特に、排ガス処理体の表面には凹凸が多く形成されているので、金属繊維の表面の凹凸状部、バリ状部及び針状部は、排ガス処理体に引っかかりやすくなる。
そのため、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力がより高くなる。
本発明の保持材では、金属繊維は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
排ガス浄化装置において排ガスを浄化する際には、金属ケーシング、排ガス処理体及び保持材は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
このような排ガスにより金属繊維が劣化して破損すると、金属繊維がアンカーとして機能しにくくなる。その結果、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力が低下することになる。
しかし、金属繊維が、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む場合、金属繊維の強度及び耐食性が良好となる。そのため、高温、高圧の排ガスに曝されても金属繊維は劣化しにくくなる。その結果、排ガス浄化装置が長期間使用されたとしても、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力が低下することを防止することができる。
本発明の保持材では、上記金属小片は、平均長さが0.5~100mmであり、平均幅が0.5~100mmであり、平均高さが0.01~0.5mmであることが望ましい。また、平均長さが8.5~100mmであり、平均幅が8.5~100mmであることがより望ましい。
このような形状の金属小片は、金属ケーシング又は排ガス処理体に引っかかりやすくなる、又は、突き刺さりやすくなる。そのため、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力がより高くなる。
本発明の保持材では、上記金属小片の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されていることが望ましい。
上記の通り金属小片は、金属ケーシング又は排ガス処理体に引っかかるか、突き刺さることになるが、金属小片の表面にこのような形状が形成されていると、これらの形状は金属ケーシング又は排ガス処理体に食い込むことになる。
特に、排ガス処理体の表面には凹凸が多く形成されているので、金属繊維の表面の凹凸状部、バリ状部及び針状部は、排ガス処理体に引っかかりやすくなる。
そのため、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力がより高くなる。
本発明の保持材では、上記金属小片は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
排ガス浄化装置において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体、金属ケーシング及び保持材は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
このような排ガスにより金属小片が劣化して破損すると、金属小片がアンカーとして機能しにくくなる。その結果、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力が低下することになる。
しかし、金属小片が、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む場合、金属小片の強度及び耐食性が良好となる。そのため、高温、高圧の排ガスに曝されても金属小片は劣化しにくくなる。その結果、排ガス浄化装置が長期間使用されたとしても、金属ケーシング-保持材間又は排ガス処理体-保持材間の摩擦力が低下することを防止することができる。
本発明の保持材では、上記セラミック繊維は、平均繊維径が3~50μmであり、平均繊維長が100~100000μmであることが望ましい。
また、上記セラミック繊維は、平均繊維径が3~50μmであり、上記保持材は、ニードリング処理されていてもよい。
また、上記セラミック繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維及び生体溶解性繊維から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
保持材を構成するセラミック繊維が上記形状及び材質であると、保持材の面圧を充分に向上させることができ、本発明の保持材が用いられた排ガス浄化装置において、排ガス処理体が脱落しにくくなる。
本発明の保持材は、有機バインダを含むことが望ましい。
保持材が有機バインダを含むと、セラミック繊維を固定しやすくなる。そして、保持材の引張強度向上ができ、さらに、保持材から繊維の脱落、飛散の抑止ができる。
本発明の保持材は、無機バインダを含むことが望ましい。
保持材が無機バインダを含むと、セラミック繊維を固定しやすくなる。
さらに、無機バインダは、セラミック繊維の表面に付着することで、保持材の面圧を向上させることができる。これにより、排ガス処理体を好適に保持することができる。
本発明の保持材では、第2主面の少なくとも一部には、金属繊維及び/又は金属小片が配置されていてもよい。
上記の通り本発明の保持材は、排ガス浄化装置の構成要素として使用されることになる。
本発明の保持材では、第1主面に金属繊維及び/又は金属小片が配置されているので、本発明の保持材の第2主面に金属繊維及び/又は金属小片が配置される場合、このような保持材が使用された排ガス浄化装置では、金属繊維及び/又は金属小片が金属ケーシング及び排ガス処理体の両方に引っかかることや、突き刺さることになる。
そのため、排ガス処理体-保持材間及び金属ケーシング-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
本発明の保持材では、上記第1主面に配置された上記金属繊維及び/又は上記金属小片は、上記第2主面に配置された上記金属繊維及び/又は上記金属小片と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
第1主面及び第2主面に配置された金属繊維及び/又は金属小片の種類が同じであっても、異なっていても金属ケーシング-保持材間及び排ガス処理体-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス処理体と、上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配置され、上記排ガス処理体を保持する保持材とを備える排ガス浄化装置であって、上記保持材は本発明の保持材であり、上記保持材の第1主面は、上記金属ケーシングと接触していることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置は、上記本発明の保持材を備えている。さらに、本発明の排ガス浄化装置では、保持材の第1主面は金属ケーシングと接触している。
上記の通り、本発明の保持材の第1主面には、摩擦力を向上させるため、金属繊維及び/又は金属小片が配置されている。
そのため、本発明の排ガス浄化装置では、金属ケーシング-保持材間の摩擦力が高くなっている。従って、保持材が所定位置からずれにくく、しっかりと排ガス処理体を保持することができる。その結果、高圧の排ガスや、内燃機関の振動が本発明の排ガス浄化装置に到達したとしても、排ガス処理体が脱落することを防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス処理体と、上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、上記排ガス処理体と上記金属ケーシングとの間に配置され、上記排ガス処理体を保持する保持材とを備える排ガス浄化装置であって、上記保持材は本発明の保持材であり、上記保持材の第1主面は、上記排ガス処理体と接触していることを特徴とする。
上記の通り、本発明の保持材の第1主面には、摩擦力を向上させるため、金属繊維及び/又は金属小片が配置されている。
そのため、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体-保持材間の摩擦力が高くなっている。従って、保持材が所定位置からずれにくく、しっかりと排ガス処理体を保持することができる。その結果、高圧の排ガスや、内燃機関の振動が本発明の排ガス浄化装置に到達したとしても、排ガス処理体が脱落することを防止することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る保持材の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の一例を模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の保持材を構成する金属繊維の一例を示す写真である。 図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、本発明の第2実施形態に係る保持材の一例を模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の一例を模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明の保持材を構成する金属小片の一例を示す写真である。 図9は、本発明の第2実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図10(a)及び(b)は、摩擦係数を測定する方法を模式的に示す模式図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の保持材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る保持材を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る保持材の一例を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す保持材10は、第1主面11と、第1主面11と反対側の第2主面12とを有し、セラミック繊維からなる保持材である。
保持材10の一方の端部13には凸部13aが形成されており、もう一方の端部14には凹部14aが形成されている。後述するように、保持材10を排ガス処理体に巻き付けた際、凸部13aと、凹部14aとは互いにちょうど嵌合することになる。
また、第1主面11には、金属繊維21が配置されている。
図2に示すように、保持材10は、排ガス浄化装置1の構成要素として使用されることになる。
なお、図2では、排ガス浄化装置1の内部構造を説明するために、金属ケーシング40の一部領域を透明にして示している。
排ガス浄化装置1は、排ガス処理体30と、排ガス処理体30を収容する金属ケーシング40と、排ガス処理体30と金属ケーシング40との間に配置され、排ガス処理体30を保持する保持材10とからなる。
排ガス浄化装置1において、保持材10は、排ガス処理体30に巻き付けられ、保持材10の第1主面11が金属ケーシング40と接触するように配置される。
また、保持材10を含む排ガス浄化装置1は、本発明の排ガス浄化装置の一例でもある。
保持材10を備える排ガス浄化装置1では、保持材10に配置された金属繊維21が金属ケーシング40に引っかかることや、突き刺さることになる。
そして、金属繊維21がアンカーとして機能し、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力が高くなり、保持材10が所定位置からずれにくくなる。
そのため、排ガス処理体30は、保持材10によりしっかりと保持されることになる。
その結果、排ガス処理体30が、排ガス浄化装置1から脱落することを防止することができる。
さらに、排ガス浄化装置1において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体30及び保持材10は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
排ガス浄化装置1において、保持材10の金属繊維21は、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さっている。排ガスに曝され金属繊維21及び金属ケーシング40が高温になると、これらは金属同士であるので、排ガスに曝され金属繊維21と、金属ケーシング40とがなじみやすくなる。
その結果、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力が高くなる。
次に、保持材10を含む排ガス浄化装置1の各構成の望ましい態様について説明する。
(保持材)
保持材としては、限定されないが、ニードリング処理されたブランケット、湿式による抄造法で得られたマット、乾式による積層マット等を使用することができる。保持材は、1枚のマットからなっていてもよく、2枚以上のマットを積層してなっていてもよい。
保持材10を構成するセラミック繊維は、平均繊維径が3~50μmであり、平均繊維長が100~100000μmであることが望ましい。
また、保持材10を構成するセラミック繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維及び生体溶解性繊維から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
保持材10を構成するセラミック繊維が上記形状及び材質であると、保持材10の面圧を充分に向上させることができ、保持材10が用いられた排ガス浄化装置1において、排ガス処理体30が脱落しにくくなる。
保持材10の厚さは、2.0~30mmであることが望ましい。
保持材の厚さが30mmを超えると、保持材の柔軟性が失われるので、保持材を排ガス処理体に巻き付ける際に扱いづらくなる。また、保持材に巻きジワや割れが生じやすくなる。
保持材の厚さが2.0mm未満であると、保持材の面圧が排ガス処理体を保持するのに充分でなくなる。そのため、排ガス処理体が抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体に体積変化が生じた場合、保持材は排ガス処理体の体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体にクラック等が発生しやすくなる。
保持材10の目付量(単位面積当たりの重量)は、200~4000g/mであることが望ましく、1000~3500g/mであることがより望ましい。
保持材の目付量が200g/m未満であると、保持力が充分ではなくなり、保持材の目付量が4000g/mを超えると、保持材の嵩が低くなりにくい。そのため、このような保持材を用いて排ガス浄化装置を製造する場合、排ガス処理体が脱落しやすくなる。
保持材10の嵩密度(巻き付ける前の保持材の嵩密度)は、0.10~0.25g/cmであることが望ましく、0.10~0.20g/cmであることがより望ましい。
保持材の嵩密度が0.10g/cm未満であると、セラミック繊維のからみ合いが弱く、セラミック繊維が剥離しやすいため、保持材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持材の嵩密度が0.25g/cmを超えると、保持材が硬くなるため、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持材が割れやすくなる。
保持材10は、セラミック繊維を固定するために、有機バインダや無機バインダを含んでいてもよい。
有機バインダとしては、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル、エアロゲル、ヒュームドシリカ、チタン粒子等が挙げられる。
有機バインダは、保持材の引張強度向上ができ、さらに、保持材から繊維の脱落、飛散の抑止ができる。
無機バインダは、セラミック繊維の表面に付着することで、保持材の面圧を向上させることができる。これにより、排ガス処理体を好適に保持することができる。
保持材10において、金属繊維21の形状は特に限定されないが、平均繊維径が5~500μmであり、平均繊維長が0.5~200mmであることが望ましい。また、平均繊維長が8.5~100mmであることがより望ましい。
このような形状の金属繊維21は、金属ケーシング40に引っ掛かりやすくなる、又は、突き刺さりやすくなる。そのため、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力がより高くなる。
金属繊維21の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されていることが望ましい。
このような形状について図面を用いて説明する。
図3は、本発明の保持材を構成する金属繊維の一例を示す写真である。
図3に示す金属繊維21の表面には、凹凸部21a、バリ状部21b及び針状部21cが形成されている。
上記の通り金属繊維21は、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになるが、金属繊維21の表面にこのような形状が形成されていると、これらの形状は金属ケーシング40に食い込むことになる。
そのため、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力がより高くなる。
金属繊維21の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
金属繊維製法としては、一般的な切削加工、塑性加工、溶融紡糸等の方法があるが、例えば、金属繊維製法におけるワイヤー切削法、びびり振動切削法、コイル材切削法等の切削加工による金属繊維製造時に、繊維製造と同時に金属繊維表面に凹凸部、バリ状部及び針状部を形成することができる。
また、切削加工による金属繊維断面は矩形、三角状に得られる場合が有る。また、その他の形成方法として、金属繊維の表面に金型板等により圧力を加え塑性変形する、または、化学的処理により金属繊維表面に凹凸部、バリ状部及び針状部を形成する。さらに、金属繊維を加熱して酸化処理を行い、さらには衝撃を与えて表面酸化層を剥離させる方法等が挙げられる。
金属繊維21は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
排ガス浄化装置1において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体30及び保持材10は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
このような排ガスにより金属繊維21が劣化して破損すると、金属繊維21がアンカーとして機能しにくくなる。その結果、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力が低下することになる。
しかし、金属繊維21が、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼及び炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金、タングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む場合、金属繊維の強度及び耐食性が良好となる。そのため、高温、高圧の排ガスに曝されても金属繊維21は劣化しにくくなる。その結果、排ガス浄化装置1が長期間使用されたとしても、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力が低下することを防止することができる。
金属繊維21は、保持材10の第1主面11に配置されているが、配置方法としては、特に限定されず、単に分散するだけでもよく、有機バインダや無機バインダを用いて固定してもよい。
また、金属繊維を湿式法、乾式法により積層シートに加工されたシートや、ニードルパンチ処理されたフェルト状シート、織加工、編み加工処理されたシート、焼結処理シートを層状に配置してもよい。
また、抄造法により製造後の保持材10の第1主面11に金属繊維21が配置されるように、セラミック繊維に金属繊維21を加えて抄造してもよい。
また、不織布や有機フィルムでラミネートすることにより、金属繊維21を配置してもよい。
不織布や有機フィルムでラミネートする場合、不織布や有機フィルムの固定方法は特に限定されない。不織布、有機フィルムの片側表面に粘着剤をコーティングして保持材に貼付してもよく、ピン、ステプラー、糸等による縫製等で保持材に固定してもよい。
この場合、保持材10を用いて排ガス浄化装置1を製造する際に、金属繊維21が、不織布や有機フィルムを貫通し、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになる。また、排ガスの高熱により、不織布や有機フィルムが焼失することで、金属繊維21が金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになる。
なお、金属繊維21は、保持材10の第1主面11の一部に配置してもよく、全体に配置してもよい。
保持材10において、金属繊維21の重量割合は、保持材の重量に対し0.1~30重量%であることが望ましく、0.3~20重量%であることが望ましい。
このような重量割合であると、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力がより高くなる。
(排ガス処理体)
図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、排ガス浄化装置1に含まれる排ガス処理体30は、多数のセル31がセル壁32を隔てて長手方向に並設された円柱状のものである。
また、排ガス処理体30では、各々のセル31におけるいずれか一方が封止材33によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)である。
図4(b)に示すように、内燃機関から排出され排ガス処理体30に流入した排ガス(図4(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体30の排ガス流入側端面に開口した一のセル31に流入し、セル31を隔てるセル壁32を通過することになる。この際、排ガス中のPMがセル壁32で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面に開口した他のセル31から流出し、外部に排出される。
なお、図4(a)及び(b)に示す排ガス処理体30は、セル31のいずれか一方の端部が封止材33で封止されているフィルタであるが、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このような排ガス処理体は、触媒担体として好適に使用することが可能となる。
排ガス処理体30は、炭化ケイ素や窒化ケイ素などの非酸化多孔質セラミックからなっていてもよく、サイアロン、アルミナ、コーデェライト、ムライト等の酸化多孔質セラミックからなっていてもよい。これらの中では、炭化ケイ素であることが望ましい。
排ガス処理体30が炭化ケイ素質の多孔質セラミックである場合、多孔質セラミックの気孔率は特に限定されないが、35~60%であることが望ましい。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがある。
また、多孔質セラミックの平均気孔径は5~30μmであることが望ましい。
平均気孔径が5μm未満であると、PMが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の従来公知の方法により測定することができる。
排ガス処理体30の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm(200個/inch)、望ましい上限は、93.0個/cm(600個/inch)である。また、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/inch)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/inch)である。
排ガス処理体30には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、この中では、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
(金属ケーシング)
図2に示すように、金属ケーシング40は、略円筒形である。
金属ケーシング40の内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、保持材10が巻き付けられた排ガス処理体30の直径より若干短くなっていることが好ましい。
金属ケーシング40は、特に限定されないが、ステンレス鋼からなることが望ましい。
なお、金属ケーシング40と金属繊維21とが同じ金属からなる場合、排ガスに曝されて、金属繊維21及び金属ケーシング40が高温になると、これらがなじみやすくなる。
その結果、金属ケーシング40-保持材10間の摩擦力が高くなる。
次に、本発明の第1実施形態に係る保持材の製造方法、及び、該保持材を用いる排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
本発明の第1実施形態に係る保持材の製造方法は、(a)マット準備工程及び(b)金属繊維配置工程とを含む。
(a)マット準備工程
まず、セラミック繊維からなる保持材用のマットを準備するマット準備工程を行う。
本発明の第1実施形態に係る保持材を構成するマットは、種々の方法により得ることができるが、例えば、以下の方法により製造することができる。
すなわち、まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸してセラミック繊維前駆体を作製する。続いて、上記セラミック繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことにより3~10μmの平均繊維径を有する保持材用のマットの準備が完了する。
なお、この際に、製造される保持材の第1主面に金属繊維が配置されるように、セラミック繊維に金属繊維を加えて抄造してもよい。この場合、本工程と後述する「(b)金属繊維配置工程」とを同時に行うことになる。
(b)金属繊維配置工程
次に、保持材用のマット材の一方の主面に金属繊維を配置する。
金属繊維の配置方法としては、単に分散するだけでもよく、有機バインダや無機バインダを用いて固定してもよい。
また、金属繊維を湿式法、乾式法により積層シートに加工されたシートや、ニードルパンチ処理されたフェルト状シート、織加工、編み加工処理されたシートを層状に配置してもよい。
また、不織布や有機フィルムでラミネートすることにより、金属繊維を配置してもよい。
不織布や有機フィルムの固定方法は特に限定されず、不織布、有機フィルムの片側表面に粘着剤をコーティングして保持材に貼付してもよく、ピン、ステプラー、糸等による縫製等で保持材に固定してもよい。
以上の工程を経て、本発明の第1実施形態に係る保持材を製造することができる。
なお、図1に示すような凸部と凹部を備えた形状の保持材とするためには、保持材を所定の形状に切断する切断工程をさらに行えばよい。
本発明の第1実施形態に係る保持材を用いる排ガス処理体の製造方法は、(c)巻き付け工程及び(d)圧入工程を含む。
(c)巻き付け工程
本工程では、従来公知の方法で準備した排ガス処理体に、本発明の第1実施形態に係る保持材の第2主面が接触するように、保持材を排ガス処理体に巻き付け、巻き付け体を作製する。
すなわち、金属繊維が配置された保持材の主面が外側になるように、保持材を排ガス処理体に巻き付ける。
(d)圧入工程
次に、上記(c)巻き付け工程で作製した巻き付け体を、金属ケーシングに圧入する。この際、保持材の第1主面に配置された金属繊維が、金属ケーシングに引っかかったり、突き刺さったりする。
これにより、金属繊維がアンカーとして機能し、金属ケーシング-保持材間の摩擦力が高くなり、保持材が所定位置からずれにくくなる。
以上の工程を経て、本発明の第1実施形態に係る排ガス浄化装置を製造することができる。
このような排ガス浄化装置では、保持材の第1主面に配置された金属繊維が、金属ケーシングに引っかかったり、突き刺さったりしているので、排ガス処理体が、排ガス浄化装置から脱落することを防止することができる。
これまで、保持材の第1主面が金属ケーシングに接する排ガス浄化装置を説明してきたが、本発明の第1実施形態に係る排ガス浄化装置では、保持材の第1主面が排ガス処理体と接触していてもよい。
このような態様の排ガス浄化装置を以下に説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
排ガス浄化装置2は、排ガス処理体30と、排ガス処理体30を収容する金属ケーシング40と、排ガス処理体30と金属ケーシング40との間に配置され、排ガス処理体30を保持する保持材10とからなる。
なお、図5では、排ガス浄化装置2の内部構造を説明するために、排ガス処理体30を透明にして示している。
排ガス浄化装置2において、保持材10は、排ガス処理体30に巻き付けられ、保持材10の第1主面11が排ガス処理体30と接触するように配置される。
保持材10を備える排ガス浄化装置2では、保持材10に配置された金属繊維21が排ガス処理体30に引っかかることや、突き刺さることになる。
この場合、排ガス処理体30の耐久性に影響を与えず、摩擦力を高くすることが出来る。
その結果、排ガス処理体30-保持材10間の摩擦力が高くなる。
従って、保持材10が所定位置からずれにくく、しっかりと排ガス処理体30を保持することができる。その結果、高圧の排ガスや、内燃機関の振動が本発明の排ガス浄化装置2に到達したとしても、排ガス処理体30が脱落することを防止することができる。
また、保持材10において、金属繊維21の表面に、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されている場合、排ガス処理体30の表面には凹凸が多く形成されているので、金属繊維21の表面の凹凸状部、バリ状部及び針状部は、排ガス処理体に引っかかりやすくなる。
そのため、排ガス処理体30-保持材10間の摩擦力がより高くなる。
また、本発明の第1実施形態に係る保持材では、第2主面に金属繊維が配置されていてもよい。
本発明の第1実施形態に係る保持材の第2主面に金属繊維が配置される場合、このような保持材が使用された排ガス浄化装置では、金属繊維が金属ケーシング及び排ガス処理体の両方に引っかかることや、突き刺さることになる。
そのため、排ガス処理体-保持材間及び金属ケーシング-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
第2主面に配置される金属繊維の望ましい態様は、第1主面に配置される金属繊維の望ましい態様と同じである。
また、第2主面に配置される金属繊維は、第1主面に配置される金属繊維と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
第1主面及び第2主面に配置された金属繊維の種類が同じであっても、異なっていても金属ケーシング-保持材間及び排ガス処理体-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る保持材は、金属繊維に換えて、金属小片が配置されている以外、上記本発明の第1実施形態に係る保持材と同じ構成である。
このような本発明の第2実施形態に係る保持材を、図面を用いて説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る保持材の一例を模式的に示す斜視図である。
図7は、本発明の第2実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図6に示す保持材110は、第1主面111と、第1主面111と反対側の第2主面112とを有し、セラミック繊維からなる保持材である。
保持材110の一方の端部113には凸部113aが形成されており、もう一方の端部114には凹部114aが形成されている。後述するように、保持材110を排ガス処理体に巻き付けた際、凸部113aと、凹部114aとは互いにちょうど嵌合することになる。
また、第1主面111には、金属小片122が配置されている。
図7に示すように、保持材110は、排ガス浄化装置101の構成要素として使用されることになる。
なお、図7では、排ガス浄化装置1の内部構造を説明するために、金属ケーシング40の一部領域を透明にしている。
排ガス浄化装置101は、排ガス処理体30と、排ガス処理体30を収容する金属ケーシング40と、排ガス処理体30と金属ケーシング40との間に配置され、排ガス処理体30を保持する保持材110とからなる。
すなわち、排ガス浄化装置101は、保持材10に換えて保持材110が配置されている以外は、上記排ガス浄化装置1と同じ構成である。
また、保持材110を含む排ガス浄化装置101は、本発明の排ガス浄化装置の一例でもある。
保持材110を備える排ガス浄化装置101では、保持材110に配置された金属小片122が金属ケーシング40に引っかかることや、突き刺さることになる。
そして、金属小片122がアンカーとして機能し、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力が高くなり、保持材110が所定位置からずれにくくなる。
そのため、排ガス処理体30は、保持材110によりしっかりと保持されることになる。
その結果、排ガス処理体30が、排ガス浄化装置101から脱落することを防止することができる。
さらに、排ガス浄化装置101において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体30及び保持材110は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
排ガス浄化装置101において、保持材110の金属小片122は、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さっている。排ガスに曝され金属小片122及び金属ケーシング40が高温になると、これらは金属同士であるので、排ガスに曝され金属小片122と、金属ケーシング40とがなじみやすくなる。
その結果、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力が高くなる。
保持材110を構成するセラミック繊維の種類、形状等の望ましい構成は、上記保持材10を構成する望ましいセラミック繊維の種類、形状等と同じである。
保持材110において、金属小片122の形状は特に限定されないが、平均長さが0.5~100mmであり、平均幅が0.5~100mmであり、平均高さが0.01~0.5mmであることが望ましい。また、平均長さが8.5~100mmであり、平均幅が8.5~100mmであることがより望ましい。
このような形状の金属小片122は、金属ケーシング40に引っかかりやすくなる、又は、突き刺さりやすくなる。そのため、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力がより高くなる。
保持材110では、金属小片122の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されていることが望ましい。
このような形状について図面を用いて説明する。
図8は、本発明の保持材を構成する金属小片の一例を示す写真である。
図8に示す金属小片122の表面には、凹凸部122a、バリ状部122b及び針状部122cが形成されている。
上記の通り金属小片122は、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになるが、金属小片122の表面にこのような形状が形成されていると、これらの形状は金属ケーシング40に食い込むことになる。
そのため、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力がより高くなる。
金属小片122の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、通常の金属加工の方法で金属小片を作製した後、金属小片の表面に金型板等により圧力を加え塑性変形する加工処理、サンドブラスター、ショットブラスト等のブラスト加工処理、サンドペーパーやグラインダー、ヤスリ等による加工処理、コーティング、無機微粒子を接着剤で接合等の加工処理、熱処理、化学的処理により金属小片の表面に凹凸部、バリ状部及び針状部を形成する加工処理する方法が挙げられる。
金属小片の表面処理は、大きい寸法の金属板表面に加工後、金属小片に裁断することが出来る。また、金属小片に裁断後に表面に加工しても良い。
さらに、金属小片に裁断する際、端部にせん断力による曲げ形状、凹凸や鋭利な形状に成型することができる。そして、金属小片端部に形成されている、凹凸状部、バリ状部及び針状部を突き出すことができる。
さらに、化学処理により金属小片の表面に凹凸部、バリ状部及び針状部を形成する方法や、金属小片を加熱して酸化処理を行い、さらには衝撃を与えて表面酸化層を剥離させる方法が挙げられる。
保持材110では、金属小片122は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼及び炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金、タングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
排ガス浄化装置101において排ガスを浄化する際には、排ガス処理体30及び保持材110は高温、高圧の排ガスに曝されることになる。
このような排ガスにより金属小片122が劣化して破損すると、金属小片122がアンカーとして機能しにくくなる。その結果、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力が低下することになる。
しかし、金属小片122が、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む場合、金属小片122の強度及び耐食性が良好となる。そのため、高温、高圧の排ガスに曝されても金属小片122は劣化しにくくなる。その結果、排ガス浄化装置101が長期間使用されたとしても、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力が低下することを防止することができる。
金属小片122は、保持材110の第1主面111に配置されているが、配置方法としては、特に限定されず、単に分散するだけでもよく、有機バインダや無機バインダを用いて固定してもよい。
また、不織布や有機フィルムでラミネートすることにより、金属小片122を配置してもよい。
不織布や有機フィルムでラミネートする場合、不織布や有機フィルムの固定方法は特に限定されない。不織布、有機フィルムの片側表面に粘着剤をコーティングして保持材に貼付してもよく、ピン、ステプラー、糸等による縫製等で保持材に固定してもよい。
この場合、保持材110を用いて排ガス浄化装置101を製造する際に、金属小片122が、不織布や有機フィルムを貫通し、金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになる。
また、排ガスの高熱により、不織布や有機フィルムが焼失することで、金属小片122が金属ケーシング40に引っかかるか、突き刺さることになる。
保持材110において、金属小片122の重量割合は、保持材の重量に対し0.1~30重量%であることが望ましく、0.3~20重量%であることが望ましい。
このような重量割合であると、金属ケーシング40-保持材110間の摩擦力がより高くなる。
排ガス浄化装置101を構成する排ガス処理体30及び金属ケーシング40の望ましい構成は、上記排ガス浄化装置1を構成する、排ガス処理体30及び金属ケーシング40の望ましい構成と同じである。
本発明の第2実施形態に係る保持材は、上記第1実施形態に係る保持材の製造方法の「(b)金属繊維配置工程」を以下の「(b´)金属小片配置工程」に変更することにより製造することができる。
(b´)金属小片配置工程
次に、保持材用のマット材の一方の主面に金属小片を配置する。
金属小片の配置方法としては、単に分散するだけでもよく、有機バインダや無機バインダを用いて固定してもよい。
また、不織布や有機フィルムでラミネートすることにより、金属小片を配置してもよい。
不織布や有機フィルムの固定方法は特に限定されず、不織布、有機フィルムの片側表面に粘着剤をコーティングして保持材に貼付してもよく、ピン、ステプラー、糸等による縫製等で保持材に固定してもよい。
本発明の第2実施形態に係る保持材を用いる排ガス浄化装置の製造方法は、上記本発明の第1実施形態に係る保持材を用いる排ガス処理体の製造方法の「(c)巻き付け工程」において、本発明の第1実施形態に係る保持材に換えて、本発明の第2実施形態に係る保持材を用いればよい。
これまで、保持材の第1主面が金属ケーシングに接する排ガス浄化装置を説明してきたが、本発明の第2実施形態に係る排ガス浄化装置では、保持材の第1主面が排ガス処理体と接触していてもよい。
このような態様の排ガス浄化装置を以下に説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る保持材を含む排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す斜視図である。
排ガス浄化装置102は、排ガス処理体30と、排ガス処理体30を収容する金属ケーシング40と、排ガス処理体30と金属ケーシング40との間に配置され、排ガス処理体30を保持する保持材110とからなる。
なお、図9では、排ガス浄化装置102の内部構造を説明するために、排ガス処理体30を透明にして示している。
排ガス浄化装置102において、保持材110は、排ガス処理体30に巻き付けられ、保持材110の第1主面111が排ガス処理体30と接触するように配置される。
保持材110を備える排ガス浄化装置102では、保持材10に配置された金属小片122が排ガス処理体30に引っかかることや、突き刺さることになる。
この場合、排ガス処理体30の耐久性に影響を与えず、摩擦力を高くすることが出来る。
その結果、排ガス処理体30-保持材110間の摩擦力が高くなる。
従って、保持材110が所定位置からずれにくく、しっかりと排ガス処理体30を保持することができる。その結果、高圧の排ガスや、内燃機関の振動が本発明の排ガス浄化装置102に到達したとしても、排ガス処理体30が脱落することを防止することができる。
また、保持材110において、金属小片122の表面に、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されている場合、排ガス処理体30の表面には凹凸が多く形成されているので、金属小片122の表面の凹凸状部、バリ状部及び針状部は、排ガス処理体30に引っかかりやすくなる。
そのため、排ガス処理体30-保持材110間の摩擦力がより高くなる。
また、本発明の第2実施形態に係る保持材では、第2主面に金属小片が配置されていてもよい。
本発明の第2実施形態に係る保持材の第2主面に金属小片が配置される場合、このような保持材が使用された排ガス浄化装置では、金属小片が金属ケーシング及び排ガス処理体の両方に引っかかることや、突き刺さることになる。
そのため、排ガス処理体-保持材間及び金属ケーシング-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
第2主面に配置される金属小片の望ましい態様は、第1主面に配置される金属小片の望ましい態様と同じである。
また、第2主面に配置される金属小片は、第1主面に配置される金属小片と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
第1主面及び第2主面に配置された金属小片の種類が同じであっても、異なっていても金属ケーシング-保持材間及び排ガス処理体-保持材間の両方の摩擦力が高くなる。
(その他の実施形態)
上記本発明の第1実施形態に係る保持材の説明では、保持材の第1主面に金属繊維が配置される場合を説明してきた。さらに、保持材の第2主面に金属繊維が配置されていてもよいことを説明してきた。
また、上記本発明の第2実施形態に係る保持材の説明では、保持材の第1主面に金属小片が配置される場合を説明してきた。さらに、保持材の第2主面に金属小片が配置されていてもよいことを説明してきた。
本発明の保持材では、保持材の第1主面に金属繊維及び金属小片の両方が配置されていてもよい。
この場合、保持材の第2主面には、金属繊維及び金属小片のいずれか一方のみ又は両方が配置されていてもよい。
また、本発明の保持材では、保持材の第1主面に金属繊維が配置されており、第2主面に金属小片が配置されていてもよい。また、第2主面に金属繊維及び金属小片の両方が配置されていてもよい。
また、本発明の保持材では、保持材の第1主面に金属小片が配置されており、第2主面に金属繊維が配置されていてもよい。また、第2主面に金属繊維及び金属小片の両方が配置されていてもよい。
(実施例)
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(a)マット準備工程
Al含有量が70g/Lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後のセラミック繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸してアルミナ繊維前駆体を作製した。
続いて、上記アルミナ繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施して、平均繊維径が5μmであるアルミナ繊維のマットを作製した。
その後、アルミナ繊維に有機バインダ(アクリレート樹脂ラテックス)を、有機分が1wt%になるように含浸付与し、水分を乾燥して、所定形状に打ち抜きにより保持材用のマットを準備した。
(b)金属繊維配置工程
次に、平均繊維径が20μmであり、平均繊維長が5mmであるステンレス鋼からなる金属繊維を準備した。
そして、当該金属繊維を、保持材用のマットの一方の主面に、有機バインダ(アクリル樹脂)で固定することにより配置して、実施例1に係る保持材を製造した。
実施例1に係る保持材では、金属繊維の重量割合は、実施例1に係る保持材の重量に対し2重量%であった。
また、金属繊維の固定に用いた有機バインダの重量割合は、実施例1に係る保持材の重量に対し2重量%であった。
(実施例2)
(a)マット準備工程
実施例1の「(a)マット準備工程」と同様の方法により、保持材用のマットを準備した。
(b)金属繊維配置工程
平均繊維径が20μmであり、平均繊維長が10mmであるステンレス鋼からなる金属繊維を準備した。その後、金属繊維を、厚み2mm、嵩密度が0.1g/cmとなるように層状とした。
そして、当該層状の金属繊維を、保持材用のマットの一方の主面に、有機バインダ(アクリル樹脂)で固定することにより配置して、実施例2に係る保持材を製造した。
実施例2に係る保持材では、金属繊維の重量割合は、実施例2に係る保持材の重量に対し10重量%であった。
また、層状の金属繊維の固定に用いた有機バインダの重量割合は、実施例2に係る保持材の重量に対し2重量%であった。
(実施例3)
(a)マット準備工程
実施例1の「(a)マット準備工程」と同様の方法により、保持材用のマットを準備した。
(b´)金属小片配置工程
次に、平均長さが3mmであり、平均幅が1mmであり、平均高さが0.1mmであるステンレス鋼からなる金属小片を準備した。
そして、当該金属小片を、保持材用のマットの一方の主面に、有機バインダ(アクリル樹脂)で固定することにより配置して、実施例3に係る保持材を製造した。
実施例3に係る保持材では、金属小片の重量割合は、実施例3に係る保持材の重量に対し5重量%であった。
また、金属小片の固定に用いた有機バインダの重量割合は、実施例3に係る保持材の重量に対し2重量%であった。
(実施例4)
「(b´)金属小片配置工程」において、金属小片として、平均長さが15mmであり、平均幅が10mmであり、平均高さが0.2mmであるものを用い、製造される保持材の重量に対し、金属小片の重量割合が12重量%となるように変更した以外は、実施例3と同様の方法で、実施例4に係る保持材を製造した。
(比較例1)
「(b)金属繊維配置工程」を行わない以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る保持材を製造した。
(比較例2)
実施例1の「(a)マット準備工程」と同様の方法により、保持材用のマットを準備した。
次に、マットの一方の主面に無機コロイド粒子(シリカ)を、製造される保持材の重量に対し3重量%となる様に含浸させ、比較例2に係る保持材を製造した。
(摩擦係数の測定)
各実施例及び各比較例の保持材について、以下の方法で摩擦係数を測定した。
図10(a)及び(b)は、摩擦係数を測定する方法を模式的に示す模式図である。
(室温における摩擦係数の測定)
(1)試験試料の準備
各実施例及び各比較例に係る保持材を切断し、長さ50mm、幅50mmの試験試料を2つ作製した。
図10(a)及び(b)において、2つの試験試料を、便宜上、符号510a及び符号510bで示す。
(2)摩擦係数測定装置への試験試料の配置
図10(a)及び(b)に示す摩擦係数測定装置500では、装置の左右に、ステンレス鋼製の平板(左板540L及び右板540R)がそれぞれ対向するように配置されている。また、左板540Lはロードセルとなっており、左板540Lの右側の面(試験試料と接する側の面)に加わる荷重を測定することができる。
まず、左板540L、試験試料510a、ステンレス鋼製の平板(中板540C)、試験試料510b、右板540Rの順になるように、2枚の試験試料510a及び試験試料510bと中板540Cとを配置した。また、この際、試験試料510a及び510bの金属繊維又は金属小片が配置された主面を、中板540Cに接触するように配置した。
左板540Lと試験試料510aの間、及び、右板540Rと試験試料510bの間(板と試験試料の間)で滑らないように、左板540L及び右板540Rの表面に突起部材541を設けた。
試験試料510aは左板540L及び中板540Cで挟まれ、試験試料510bは中板540C及び右板540Rで挟まれる。
また、中板540Cはロードセルとなっており、中板540Cに加わる荷重を測定することができる。
(3)試験試料の保持
摩擦係数測定装置500に試験試料510a及び試験試料510bを配置後、左板540L及び右板540Rに対して中板540Cの方向に圧力をかけ、試験試料510a及び試験試料510bの嵩密度(GBD)が0.3g/cmとなるまで圧縮した。
その圧縮状態で10分保持(緩和)した。
(4)摩擦係数の測定
次に、室温状態で、中板540Cを図10(a)中の矢印で示す向き(上方)に25mm/minの速度で移動させ、試験試料の主面にせん断応力を印加した。
図10(b)は中板540Cを移動させた状態を示している。
なお、中板を移動させる方向は、中板に接している側の試験試料の主面にせん断応力を印加した方向と同じである。
移動中のロードセルの荷重値及び中板に加わる静摩擦力を測定し、静摩擦力が最大となるときの摩擦係数(静摩擦係数)を測定した。得られた摩擦係数を、各実施例及び各比較例に係る試験試料の「室温における摩擦係数」とした。
結果を表1に示す。
(300℃における摩擦係数の測定)
上記「(4)摩擦係数の測定」の前に、摩擦係数測定装置500の左右にヒーターを配置し、左板540Lと中板540Cとの間の試験試料及び右板540Rと中板540Cとの間の試験試料が300℃になるよう加熱した以外は、上記方法と同様にして、各実施例及び各比較例に係る試験試料の摩擦係数を測定した。得られた摩擦係数を各実施例及び各比較例に係る試験試料の「300℃における摩擦係数」とした。
結果を表1に示す。
Figure 0007319051000001
表1に示すように、各実施例に係る試験試料の「300℃における摩擦係数」は、各実施例に係る試験試料の「室温における摩擦係数」よりも高かった。
これは、試験試料の金属繊維又は金属小片が中板に引っかかるか、突き刺さり、さらに、熱によりなじんだためと考えられる。
この試験結果から、実施例に係る保持材を、排ガス浄化装置に使用した場合、金属ケーシング-保持材間の摩擦力が高くなり、排ガス処理体が、排ガス浄化装置から脱落することを防止することができることが判明した。
1、2、101、102 排ガス浄化装置
10、110 保持材
11、111 第1主面
12、112 第2主面
13、113 一方の端部
13a、113a 凸部
14、114 もう一方の端部
14a、114a 凹部
21 金属繊維
30 排ガス処理体
31 セル
32 セル壁
33 封止材
40 金属ケーシング
122 金属小片
500 摩擦係数測定装置
510a、510b 試験試料
540L 左板
540R 右板
540C 中板
541 突起部材

Claims (17)

  1. 第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有し、セラミック繊維からなる保持材であって、
    前記第1主面の少なくとも一部には、金属繊維及び/又は金属小片が配置されていることを特徴とする保持材。
  2. 前記金属繊維は、平均繊維径が5~500μmであり、平均繊維長が0.5~200mmである請求項1に記載の保持材。
  3. 前記金属繊維の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されている請求項1又は2に記載の保持材。
  4. 前記金属繊維は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれかに記載の保持材。
  5. 前記金属小片は、平均長さが0.5~100mmであり、平均幅が0.5~100mmであり、平均高さが0.01~0.5mmである請求項1~4のいずれかに記載の保持材。
  6. 前記金属小片の表面には、凹凸状部、バリ状部及び針状部からなる群から選択される少なくとも1種の形状が形成されている請求項1~5のいずれかに記載の保持材。
  7. 前記金属小片は、ステンレス鋼、耐熱鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、炭素鋼、ニッケル基耐熱合金、コバルト基耐熱合金、モリブデン基耐熱合金及びタングステン基耐熱合金から選択される少なくとも1種を含む請求項1~6のいずれかに記載の保持材。
  8. 前記セラミック繊維は、平均繊維径が3~50μmであり、平均繊維長が100~100000μmである請求項1~7のいずれかに記載の保持材。
  9. 前記セラミック繊維は、平均繊維径が3~50μmであり、前記保持材は、ニードリング処理されている請求項1~8のいずれかに記載の保持材。
  10. 前記セラミック繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維及び生体溶解性繊維から選択される少なくとも1種を含む請求項1~9のいずれかに記載の保持材。
  11. 有機バインダを含む請求項1~10のいずれかに記載の保持材。
  12. 無機バインダを含む請求項1~11のいずれかに記載の保持材。
  13. 前記第2主面の少なくとも一部には、金属繊維及び/又は金属小片が配置されている請求項1~12のいずれかに記載の保持材。
  14. 前記第1主面に配置された前記金属繊維及び/又は前記金属小片は、前記第2主面に配置された前記金属繊維及び/又は前記金属小片と同じ種類である請求項13に記載の保持材。
  15. 前記第1主面に配置された前記金属繊維及び/又は前記金属小片は、前記第2主面に配置された前記金属繊維及び/又は前記金属小片と異なる種類である請求項13に記載の保持材。
  16. 排ガス処理体と、前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配置され、前記排ガス処理体を保持する保持材とを備える排ガス浄化装置であって、
    前記保持材は請求項1~15のいずれかに記載の保持材であり、
    前記保持材の第1主面は、前記金属ケーシングと接触していることを特徴とする排ガス浄化装置。
  17. 排ガス処理体と、前記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、前記排ガス処理体と前記金属ケーシングとの間に配置され、前記排ガス処理体を保持する保持材とを備える排ガス浄化装置であって、
    前記保持材は請求項1~15のいずれかに記載の保持材であり、
    前記保持材の第1主面は、前記排ガス処理体と接触していることを特徴とする排ガス浄化装置。
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