JP2019157859A - 汚染コントロール要素用保持材及び汚染コントロール装置 - Google Patents

汚染コントロール要素用保持材及び汚染コントロール装置 Download PDF

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【課題】高温となる汚染コントロール装置内において汚染コントロール要素を保持する機能を十分に維持できる保持材を提供する。【解決手段】本発明の一態様による保持材は、無機繊維材料を有するマット状保持材であって、無機コロイド粒子を有する表面層と、無機コロイド粒子と有機バインダが含浸された、前記表面層よりも内側に位置する内部領域と、を備え、表面層において、内部領域に比較し、より高濃度に前記無機コロイド粒子が存在し、内部領域における前記無機コロイド粒子の量は、保持材の全質量基準で1質量%〜10質量%である。【選択図】図3

Description

本発明は、汚染コントロール要素用保持材及び汚染コントロール装置に関する。
自動車のエンジンからの排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)等が含まれている。また、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中には、更にスス等のパティキュレートマターも含まれており、これらを除去するための手段として、セラミック触媒コンバータやディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF)を用いた排気ガス浄化システムが知られている。例えば、セラミック触媒コンバータは、基本的に、金属製のケーシングと、これに収容された例えばハニカム状のセラミック製触媒担体とを備える。
セラミック触媒コンバータの一般的な態様は、触媒担体と、これを収容するケーシングと、触媒担体の外周面とケーシングの内面との隙間に充填される断熱材とを備える。断熱材は、触媒担体を保持し、衝撃、振動等による機械的なショックが触媒担体に不用意に加わるのを防止する。これにより、触媒担体の破壊又は移動を十分に抑制でき、したがって所期の作用を長期間にわたって実現することができる。上記のような断熱材は、触媒担体などの汚染コントロール要素を保持する機能を有しているので、一般的には保持材とも呼ばれている。
特許文献1には、無機繊維材料からなるマットと、有機バインダ及び無機微粒子を含有する凝集物であってマットの略全体に含浸された凝集物とを備える保持材が記載されている。特許文献2には、無機繊維材料マットと、無機コロイド粒子を含む少なくとも1つの摩擦層とを含む保持材料が記載されている。特許文献3には、所定の厚さのマットに無機バインダ及び有機バインダが添着された保持シール材が記載されている。
特開2012−157809号公報 特表2009−508044号公報 特開2013−127244号公報
ところで、自動車のエンジンからの排気ガスを浄化するプロセスは、チャンバー内が900℃を超える高温となるものもある。本発明は、高温となる汚染コントロール装置内において汚染コントロール要素を保持する機能を十分に維持できる保持材を提供する。
本発明の一側面は保持材に関する。この保持材は、無機繊維材料を有するマット状保持材であって、無機コロイド粒子を有する表面層と、無機コロイド粒子と有機バインダが含浸された、表面層よりも内側に位置する内部領域とを備え、表面層において、内部領域と比較し、より高濃度に無機コロイド粒子が存在し、内部領域における無機コロイド粒子の量は、内部領域の全質量基準で1質量%〜10質量%である。
本発明の他の側面は汚染コントロール装置に関する。この装置は、ケーシングと、ケーシング内に設置された汚染コントロール要素と、ケーシングと汚染コントロール要素との間に配置された上記保持材とを備える。
本発明の更に他の側面は保持材の製造方法に関する。この製造方法は、無機繊維材料からなるシートに、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第一の液を含浸する工程と、第一の液が含浸されたシートを乾燥する工程と、少なくとも無機コロイド粒子を含有する第二の液でシートの表面をコーティングすることによって表面層を形成する工程とを備える。
本発明によれば、高温となる汚染コントロール装置内において汚染コントロール要素を保持する機能を十分に維持できる保持材が提供される。
本発明の一実施形態に係る保持材を示す斜視図である。 無機繊維材料からなるシートの光学顕微鏡写真であって、(a)及び(b)は無機コロイド粒子及び有機バインダを含浸させる前及び後をそれぞれ示す写真である。 (a)は図1のIII−III線に沿った模式断面図であり、(b)は図3(a)の厚み方向A−Bにおける無機コロイド粒子の分布を模式的に示したグラフである。 本発明の一実施形態に係る保持材が高温条件に曝された後において、焼結した無機コロイド粒子が無機繊維に固着している様子を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る汚染コントロール装置を模式的に示す断面図である。 保持材の静止摩擦係数を測定するための装置を模式的に示す断面図である。 実施例1及び比較例1の保持材における焼成後の面圧の変化を示すグラフである。
本実施形態の無機繊維材料を有するマット状保持材は、無機コロイド粒子を有する表面層と、無機コロイド粒子と有機バインダが含浸された、表面層よりも内側に位置する内部領域とを備え、内部領域に一定量の無機コロイド粒子が含浸されているとともに、表面層において、内部領域に比較し、より高濃度に無機コロイド粒子が存在していることを主たる特徴とする。本実施形態の保持材によれば、高温下で有機バインダが消失した後においても、表面層及び内部領域の無機コロイド粒子は残存し、高い面圧と静止摩擦係数とを維持でき、結果として高い保持力が得られる。
また、本実施形態の保持材は、無機繊維材料からなるシートに、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第一の液を含浸する工程と、第一の液が含浸されたシートを乾燥する工程と、少なくとも無機コロイド粒子を含有する第二の液でシートの表面をコーティングすることによって表面層を形成する工程とを有するプロセスにより形成できる。含浸工程とは別に無機コロイド粒子を含有する第二の液でシート表面をコーティングする工程を有することにより、内部領域に一定量の無機コロイド粒子と有機バインダを有するとともに、無機コロイド粒子が主成分となる表面層を形成し、表面層において、内部領域に比較し、より高濃度に無機コロイド粒子が存在する保持材を得ることができる。
本願明細書において、汚染コントロール要素(例えば、触媒担体)が保持材により汚染コントロール装置(例えば、触媒コンバータ)の中に保持されるとき、汚染防止要素の保持力は次の式により求められる。
保持力=(面圧)×(静止摩擦係数)
そのため、保持材の圧縮量を増やすことにより保持材の面圧を増やすこと、又は保持材の静止摩擦係数を増加することによって、汚染コントロール要素の保持力を高めることができる。本実施形態の保持材によれば、無機コロイド粒子を高濃度に含む表面層が、保持材の表面上に形成される。その結果、この表面層の存在のために、保持材の表面は、保持材を構成するセラミック繊維又は他の無機繊維の表面より高い摩擦係数を示す表面形状を付与されることができる。更に、こうした表面形状の存在のために、保持材の表面と汚染コントロール要素の表面又はケーシングの表面との間の摩擦係数は増加されることができる。本実施形態の保持材とケーシングとの間の摩擦係数は、ケーシングが金属プレート、例えばステンレススチール(SS)からできている場合、特に増加する。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の保持材の一例を示す斜視図である。同図に示す保持材10は、円柱又は楕円柱の外形を有する汚染コントロール要素30を巻回してケーシング20内に保持するためのものである(図5参照)。保持材10は、汚染コントロール要素30の外周の長さに応じた長さを有する。保持材10は、例えば、一端に凸部10aを有し、他端に凹部10bを有しており、汚染コントロール要素30に保持材10を巻きつけたときに、互いに凸部10aと凹部10bが嵌合する形状を有するが、嵌合部において有効に排気ガスの漏洩を防止できればよく、L字型等の他の形態をとることもでき、嵌合の形状等は特に限定されない。
図2は、シート1を光学顕微鏡で拡大した写真である。図2(a)は、有機バインダ及び無機コロイド粒子が付着していないアルミナ繊維からなるシートの写真である。これに有機バインダ及び無機コロイド粒子が付着すると、図2(b)のように、無機繊維表面や交絡点に有機バインダ及び無機コロイド粒子が付着し、アルミナ繊維表面に凹凸形状を付与するとともに繊維同士を結合する効果が得られる。
保持材10は、図3(a)に示すように、主成分として無機コロイド粒子を有する表面層5と、表面層5よりも内側に位置する内部領域6とを備える。内部領域6には無機コロイド粒子4と有機バインダ3が含浸されている。図3(b)に、保持材10の厚み方向における、無機コロイド粒子の濃度分布を示す。同図に示すように、内部領域に所定の濃度の無機コロイド粒子が含浸されているとともに、表面層5における無機コロイド粒子4の濃度は、内部領域6における濃度よりも高い。保持材10はその両面にそれぞれ表面層5を有する。なお、保持材10はその一方の面のみに表面層5を有したものであってもよい。なお、本願明細書において、無機コロイド粒子の「濃度」は、一定領域あたりの無機コロイド粒子、例えば単位面積あるいは単位体積あたりの無機コロイド粒子の量で示すことができる。
一つの表面層5に含まれる無機コロイド粒子4の単位面積当たりの量は、1g/m〜20g/mとすることができる。表面層5に含まれる無機コロイド粒子4の量が1g/m以上であればケーシング内に汚染コントロール要素を保持するために必要な静止摩擦係数を達成しやすく、他方、20g/m以下であれば表面層5の固くなりすぎるのを防止できるとともに、表面層5の割れ及び無機コロイド粒子4の脱落を抑制できる。表面層5における無機コロイド粒子4の量は、好ましくは2g/m〜18g/mであり、より好ましくは3g/m〜15g/mである。なお、表面層5の保持材全質量基準の量は、例えば、0.05〜3質量%程度であり、表面層の厚みを考慮すると、内部領域より高濃度に表面層に無機コロイド粒子が分布しているといえる。
表面層5は、シート1の表面を覆うように形成され、あるいはそのシート1側の少なくとも一部はシート1に浸み込んだ状態となっている。表面層5は、シート1に付加される成分の中で無機コロイド粒子4を主成分として有する。なお、無機コロイド粒子が高濃度に存在しているかどうかは、製造条件において、無機コロイド粒子を主成分として含む溶液をシート1の表面にコーティングする場合は、表面層5に無機コロイド粒子が主成分として高濃度に含まれることは明らかである。また、最終製品においても、各種表面分析手法の他に光学顕微鏡、SEM等による表面観察で、無機コロイド粒子の付着状態を表面層と内部領域とで比較することで確認できる。なお、無機コロイド粒子のみならず、有機バインダ3を含んでいてもよい。ここでいう主成分とは表面層5を構成する無機繊維を除く主たる構成組成物をいう。主成分は、一種類に限らず、複数の主成分が存在する場合もある。例えば、無機コロイド粒子が、主成分として、質量を基準として、表面層に0.01質量%以上含まれる場合もある。なお、無機コロイド粒子4が高濃度に存在している領域である表面層5の厚さは特に限定されない。表面層5の厚さは、例えば、0.1〜2mmであってもよく、あるいは0.1〜1mmであってもよい(図3参照)。
保持材10においては、無機コロイド粒子4を主成分とする表面層5を設けたことで、保持材10の表面に無機コロイド粒子が高濃度に存在する。保持材10が高温条件に曝されることにより無機コロイド粒子4の焼結が進行することで十分に高い静止摩擦係数の維持に効果を発揮する。
図3(a)には無機コロイド粒子4の分布のみを示しているが、有機バインダ3の分布は特に限定されない。有機バインダについては、内部領域のみに分布していてもよいし、表面層5に無機コロイド粒子4と同様に内部領域6より多く含むこともできる。
なお、保持材に含まれる有機バインダの量を減らすことは、高度化が進展する自動車エンジンの制御システムに対して特に有用である。保持材に過剰の有機バインダが含まれていると、その燃焼に伴って制御システムのセンサーが誤作動するおそれがあるからである。特に、有機バインダとして、ガラス転移温度が−5℃以下のアクリル系ラテックスを用いた場合は、組み付け作業が行われる常温において、有機バインダが無機繊維に対し、十分に高い濡れ性を有するため、無機繊維の飛散を効果的に抑制できる。保持材の全質量を基準とする有機バインダの含有率を、例えば3質量%以下としてもファイバ片の飛散を十分に抑制が可能となる。
保持材10における有機バインダ3の量は、保持材10の全質量基準で、好ましくは3質量%以下であり、好ましくは2質量%以下である。上述のとおり、有機バインダの含有量を抑制することで、その燃焼に起因する例えば自動車の制御システムのセンサーの誤作動等のリスクをなくすことができる。ファイバ片の飛散を防止する観点から、有機バインダの含有率の下限値は、好ましくは0.1質量%である。
保持材10の内部領域6においては、有機バインダ3及び無機コロイド粒子4の両方が分散している。無機繊維の表面に付着した無機コロイド粒子は、有機バインダが燃焼した後もマット状保持材内に残存し、ケーシングの内面と汚染コントロール要素との間で十分に高い面圧の維持に効果を発揮する。
内部領域6における無機コロイド粒子4の量は、保持材の全質量基準で1質量%〜10質量%とすることができる。内部領域6における無機コロイド粒子4の量が1質量%以上であれば十分に高い面圧が得られやすい。なお、内部領域6における無機コロイド粒子4の量が10質量%を超えると、保持材10の柔軟性が不十分となり、汚染コントロール要素に保持材10を巻き付ける作業がやりにくくなる。内部領域6における無機コロイド粒子4の量は、保持材の全質量基準で好ましくは2質量%〜8質量%であり、より好ましくは2質量%〜5質量%である
表面層5における有機バインダ3の量に限定はないが、例えば0.2g/m〜25g/mとすることができる。好ましくは0.4g/m〜10g/mである。表面層5における有機バインダ3の量を0.2g/m以上とすることで無機繊維の飛散を十分に抑制でき、25g/m以下とすることで有機バインダの使用量を十分に少なくできる。
表面層5及び内部領域6における有機バインダの量は、各領域に対し、後述する方法により、保持材の加熱減量を有機バインダの量として測定することができる。
無機コロイド粒子4及び有機バインダ3は、保持材10の内部領域6にほぼ均一に分散させて使用することが好ましい。すなわち、保持材10を厚さに関して観察した場合、無機コロイド粒子4及び有機バインダ3が、保持材10の内部領域6の厚さ方向にほぼ均一に分散していることが好ましい。
次に保持材10を構成するシート1、有機バインダ3及び無機コロイド粒子4について説明する。
シート1は繊維材料、好ましくは無機繊維を含む。シート1を形成するために好ましい無機繊維には、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維及びホウ素繊維が挙げられるが、必要であれば他の無機繊維が使用されてもよい。無機繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよく、複合繊維としてもよい。無機繊維の中で特に好ましいのは、アルミナ繊維、シリカ繊維、及びアルミナ−シリカ繊維のようなセラミック繊維である。セラミック繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよく、複合繊維としてもよい。また、他の無機材料が、添加剤として、上記のセラミック繊維又は他の無機繊維と共に使用してもよい。好適な添加剤としては、例えば、ジルコニア、マグネシア、カルシア、酸化クロム、酸化イットリウム、及び酸化ランタンが挙げられる。添加剤は、通常、粉末又は微粒子の形態で使用し、一種を単独で又は2種以上の混合物として使用してもよい。
シート1を構成する無機繊維は、特にその太さ(平均直径)が限定されるものではないが、約2〜7μmの平均直径を有するのが好適である。無機繊維が約2μmより小さい平均直径を有していると、脆くて強度不足になる傾向にあり、反対に、約7μmより大きい平均直径を有していると、保持材の成形を困難にする傾向にある。
また、太さと同様に、無機繊維の長さも特に限定されるものではない。しかし、無機繊維は、約0.5〜50mmの平均長さを有するのが好適である。無機繊維の平均長さが約0.5mmより小さいと、それを使用して保持材を形成した効果などを出しにくくなり、反対に、約50mmより大きいと、取り扱い性が劣りやすくなるので、保持材の製造プロセスをスムースに進行することが困難になる。
シート1として、主としてアルミナ繊維の積層シートからなるアルミナ質繊維シートを使用してもよい。このようなアルミナ質繊維シートにおいて、アルミナ繊維の平均長さは、好ましくは約20〜200mmの範囲であり、また、繊維の太さ(平均直径)は、好ましくは約1〜40μmの範囲である。また、アルミナ質繊維は、Al/SiO重量比(Al/SiO)=約70/30〜74/26のムライト組成であることが好ましい。
上記のアルミナ質繊維のシートは、例えば、オキシ塩化アルミニウム等のアルミナ源、シリカゾル等のシリカ源、ポリビニルアルコール等の有機バインダ及び水の混合物から成る紡糸原液を使用して製造することができる。すなわち、紡糸したアルミナ繊維前駆体を積層してシート化し、通常、約1000〜1300℃の高温で焼成することによって上記シートを製造できる。
上記のシートは、その後ニードルパンチを施した成形物とすることが好ましい。このようなシートであれば、シートを構成する無機繊維材料が絡み合うことによって、シート単独での形状保持性を確保できる。
有機バインダは、無機繊維に付着してファイバ片の飛散を抑制する。有機バインダの適当な例としては、天然もしくは合成の高分子材料、例えばブタジエン−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料あるいはポリビニルアルコール等の有機材料を挙げることができる。有機バインダとして、好ましくはアクリル系ラテックスを使用することができる。
アクリル系ラテックスは多数の種類があるが、保持材10の構成及び汚染コントロール要素30に求められている特性などを考慮して、好適なガラス転移温度(Tg)を有するものを選択することが好ましい。アクリル系ラテックスとして、通常、Tgが約−70〜50℃の範囲のものが知られているが、本実施形態においては、Tgが15℃以下のものが好ましく、1℃以下、あるいは−10℃以下のものも使用できる。Tgが15℃以下のアクリル系ラテックスを使用すれば、ケーシング20内に汚染コントロール要素30を組み付け作業を行う一般的な作業温度(25℃)で、マット内の無機繊維に対し、十分高い濡れ性を発揮するため、ファイバ片の飛散を効果的に抑制できる。
本実施形態で使用する有機バインダは、保持材10の特性などに悪影響がでないかぎり、いろいろなアクリル系ラテックスを使用することができ、所望ならば、商業的に入手しうるアクリル系ラテックスをそのままの形で、あるいは、保持材が使用される環境にあわせて任意に変性した後で使用してもよい。適当なアクリル系ラテックスは、アクリル系樹脂を水性媒体あるいはその他の媒体に分散させて得たコロイド状分散液である。
無機コロイド粒子4は、有機バインダ3とともにシート1内に含浸されることで、内部領域6に分散した状態で存在する。より具体的には、無機コロイド粒子4は、保持材10に対して熱が加わる前、有機バインダ3とともに無機繊維の表面や交絡点に付着して存在する。その後、有機バインダ3が燃焼するような高温条件に保持材10が曝されると、無機コロイド粒子4の焼結が進行し、無機繊維の表面に付着していた無機コロイド粒子4は無機繊維に固着し、焼結体4aとなり、無機繊維の表面の粗度を高めて無機繊維同士を滑りにくくする役割を果たしうるだろうと考えられる(図4参照)。他方、無機繊維の交絡点に付着していた無機コロイド粒子4は、焼結体4bとなり、当該交絡点を拘束し、無機繊維の立体的形状を維持する役割を果たすだろうと考えられる。このような無機コロイド粒子4の機能により保持材10が厚さ方向(図4矢印T方向)に圧縮されにくくなり、十分に高い面圧が維持可能となると考えられる(図4参照)。更に、保持材10の表面層5における無機コロイド粒子4は、保持材10の表面粗さの増大に寄与し、これにより高い静止摩擦係数を維持できると考えられる。なお、図4は、有機バインダ燃焼後のシート内の無機繊維1aと無機コロイド粒子4の構造例について理解を助けるための概念的な模式図である。
無機コロイド粒子4は、無機繊維1aに固着可能なものであればよいが、好適な具体例として、金属酸化物、窒化物、炭化物及びそれらの複合材料からなる微粒子により形成されるコロイド粒子が挙げられる。これらの微粒子は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。シート1がアルミナ繊維を含有するものを採用した場合、アルミナ繊維との結合性の点から、無機コロイド粒子4はシリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子及びジルコニア微粒子から選択される微粒子により形成されることが好ましい。
なお、本実施形態において、無機コロイド粒子の大きさや形状は、無機繊維に付着し、更に、保持材が汚染コントロール装置内で使用されることで、有機バインダが燃焼した後にもシート内に残留できるものであればよく、限定はないが、無機コロイド粒子4の平均粒径は、焼結性の観点から、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは500nm以下である。他方、取り扱い性及び入手の容易性の観点から、無機コロイド粒子4の平均粒径の下限値は、好ましくは1nmであり、より好ましくは4nmである。なお、平均粒径は、例えば代表的には、BET法を用いて測定することができる。
本実施形態の保持材10は、無機コロイド粒子4を主成分とする表面層を有するため、従前のものに比較し、5%〜10%以上の高い面圧を得ることができる。例えば、焼成前の充填密度0.25g/cmに設定した場合、面圧を90kPa以上、100kPa以上、あるいは110kPa以上とすることができる。ただし、充填密度を0.25g/cmに設定した場合に400kPaを超える面圧を有する保持材は汚染コントロール装置における最大充填密度において触媒コントロール要素を圧壊するおそれがある。また、本実施形態の保持材10は、無機コロイド粒子4を主成分とする表面層を有するため、従前のものと比較して焼成前の静止摩擦係数は、より高い値を得ることができ、例えば、0.30以上あるいは、0.34以上1.00以下の範囲で高い数値を得ることができる。
また、保持材10は、焼成後も高い面圧を維持することができ、ケーシング内に汚染コントロール要素を長期にわたって強固に保持することができる。焼成後の保持材の面圧は、例えば、以下の方法により測定することができる。保持材を充填密度が0.25g/cmになるマット圧になるまで2枚のプレートで圧縮し、プレートの一方を900℃、もう一方を650℃に加熱する。その後、それぞれのプレートが900℃及び650℃に達してから、20時間後に面圧を測定し、これを焼成後の面圧とすることができる。焼成後の面圧としては、60kPa以上、あるいは65kPa以上、更に70kPa以上の高い面圧を得ることができる。
保持材10は、焼成後(600℃で1時間)も高い静止摩擦係数を維持することができ、ケーシング内に汚染コントロール要素を長期にわたって強固に保持することができる。例えば、ケーシングに接する面での静止摩擦係数としては、0.30以上、あるいは0.32以上、更に0.35以上とすることができる。焼成後の保持材の静止摩擦係数は1.00以下の範囲で高い数値を維持できる。
次に、保持材10の製造方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、(a)無機繊維材料からなるシート1に、無機コロイド粒子4及び有機バインダ3を含有する第一の液を含浸する工程と、(b)第一の液が含浸されたシート1を乾燥する工程と、(c)少なくとも無機コロイド粒子4を含有する第二の液でシート1の表面をコーティングすることによって表面層5を形成する工程とを備える。上記製造方法によれば、有機バインダ3及び無機コロイド粒子4の両組成がシート1の略全体に分散して存在し、更に表面層5に無機コロイド粒子4がコーティングされている保持材10を得ることができる。そのため、該製造方法によれば、面圧及び静止摩擦係数に優れ、かつファイバ片の飛散を抑制することができる保持材10を効率よく製造することができる。
工程(a)の第一の液における有機バインダ3及び無機コロイド粒子4としては、上述のものを使用することができる。また、無機コロイド粒子4が分散したコロイド溶液を用いることもできる。無機コロイド粒子4が分散したコロイド溶液(無機ゾル)の好適な例としては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル及びジルコニアゾル等が挙げられる。例えば、シリカゾルとしては、市販のスノーテックス(登録商標、日産化学工業株式会社)などを使用できる。コロイド溶液を使用することで、サイズが十分に均一の無機コロイド粒子を含む液を調製しやすいという利点がある。
含浸方法は、シート1をなす内部領域の無機繊維にも無機コロイド粒子4及び有機バインダ3を十分に付着させることができるものであれば、特に制限はない。例えば、第一の液にシート1を浸漬させてもよいし、あるいは、当該液をシート1表面にコーティング後、裏面から吸引し、シート全体に当該液を含浸させてもよいし、当該液をシート1で濾過する処理を実施することでシート1の内部領域にも無機コロイド粒子4及び有機バインダ3を含浸させ、内部領域の無機繊維に付着させてもよい。
工程(a)は、表面層5よりも内側に位置するシートの内部領域6において、無機コロイド粒子4の量が、該内部領域の全質量を基準として1質量%〜10質量%となるように、第一の液の組成を調整することが好ましい。内部領域6における無機コロイド粒子4の量が内部領域6の全質量基準で1質量%未満であると、十分な面圧が得られにくい。また、内部領域6における無機コロイド粒子4の量が内部領域6の全質量基準で10質量%を超えると、保持材10が硬くなりすぎるため、保持材10を汚染コントロール要素に巻回させるのに十分な柔軟性が得られにくい。内部領域6における無機コロイド粒子4の量は、内部領域6の全質量基準で好ましくは2質量%〜8質量%となるように、より好ましくは2質量%〜5質量%となるように第一の液の組成又は含浸条件を調整することがより好ましい。
工程(b)としては、工程(a)により得られたシート1を乾燥できるものであればよい。例えば、工程(a)により得られたシートを、80〜250℃に設定した温風乾燥機の中で10〜180分間乾燥させてもよい。
工程(c)の第二の液としては、少なくとも無機コロイド粒子を含む溶液を用いることができる。なお、有機バインダ3及び無機コロイド粒子4を含む上述の第一の液と同様のものを使用することもできる。
コーティング方法としては、第二の液をシート1のほぼ表面領域のみに均一に付着させることができるものであれば、特に制限はない。コーティング方法の好適な例としては、例えば、スプレーコーティング、ロールコーティング、フィルム転写及びカーテンコーティングなどが挙げられる。
また、工程(c)におけるコーティングは、シート1の両面に第二の液をそれぞれコーティングすることが好ましい。このようにして得られる保持材10によれば、無機コロイド粒子4を多く含む表面層5を両面に備えるため、保持材10の両面の静止摩擦係数が高くなり、より強固にケーシング内に汚染コントロールを保持することができる。また、保持材10の両面を高濃度で無機コロイド粒子4及び有機バインダ3を含む表面層5で覆うことで、ファイバ片の飛散をより抑制することができる。
工程(c)において、コーティングによって形成される表面層5の無機コロイド粒子4の量が1g/m〜20g/mとなるように、第二の液の組成と、第二の液のコーティング量とを調整することが好ましい。表面層における無機コロイド粒子の量が1g/mより少ないと、ケーシング内に汚染コントロール要素を保持するために必要な静止摩擦係数が得られにくい。一方、表面層における無機コロイド粒子の量が20g/mより多いと、表面層5が固くなり、表面層5の割れ及び無機コロイド粒子4の脱落が起きやすくなる。表面層5の無機コロイド粒子4の量はより好ましくは2g/m〜18g/mであり、更に好ましくは3g/m〜15g/mであり、これらの範囲となるように第二の液の組成と、第二の液のコーティング量とを調整してもよい。
本実施形態の製造方法において、保持材10の全質量基準で有機バインダ3の量が3質量%以下となるように、第一及び第二の液の組成と、第二の液のコーティング量とを調整することが好ましい。このようにして得られる保持材10は、有機バインダの量が少ないため、有機バインダの燃焼に伴う制御システムのセンサーの誤作動の可能性を抑制できる。保持材10の全質量基準で有機バインダ3の量は、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、これらの範囲となるように第一及び第二の液の組成と、第二の液のコーティング量とを調整してもよい。
上記工程(a)〜(c)の実施後、シートを脱水及び/又は乾燥することによって本実施形態の保持材が得られる。得られた保持材は、必要に応じて、所望の形状及びサイズに切断して使用してもよい。
保持材10は、図5に示すとおり、汚染コントロール装置50内において汚染コントロール要素30を保持するのに使用される。汚染コントロール要素30の具体例としては、エンジンからの排ガス浄化用の触媒担体やフィルター要素などが挙げられる。汚染コントロール装置50の具体例としては、触媒コンバータ及び排気浄化装置(例えば、ディーゼルパーティキュレートフィルター装置)が挙げられる。
図5に示す汚染コントロール装置50は、ケーシング20と、ケーシング20内に設置された汚染コントロール要素30と、ケーシング20の内面と汚染コントロール要素30の外面との間に配置された保持材10とを備える。汚染コントロール装置50は、汚染コントロール要素30に排ガスを導入するガス流入口21と、汚染コントロール要素30を通過した排気ガスを排出するガス流出口22とを更に備える。
ケーシング20の内面と、汚染コントロール要素30の外面との隙間の幅は、気密性の確保及び保持材10の使用量の低減の観点から、好ましくは約1.5〜15mmである。保持材10は、ケーシング20と汚染コントロール要素30との間で適切な嵩密度となるように、適度に圧縮されている状態であるのが好ましい。汚染コントロール要素30の保持に保持材10を使用することで、その製造過程において無機繊維材料の飛散を十分に抑制できるとともに、ケーシング20の内面と汚染コントロール要素30との間で十分に高い面圧及び静止摩擦係数を維持できる。また、従来と比較して組み付け時の嵩密度を低く設定することができ、比較的高価な無機繊維材料の使用量を削減できる。
保持材10を圧縮して組み付ける手法には、クラムシェル法、スタッフィング法、ターニキット法などがある。
汚染コントロール装置50は、高い面圧及び高い静止摩擦係数を両立し得る保持材10を備えることにより、ケーシング20内に汚染コントロール要素30を強固に保持することができる。
例えば、汚染コントロール装置50として触媒コンバータを構成した場合、触媒コンバータは、好ましくは、モノリス状に成形された触媒要素を備えた触媒コンバータ、すなわち、モノリス型触媒コンバータである。この触媒コンバータは、ハニカム状の断面の小さな通路を有する触媒要素からなるので、従来のペレット型触媒コンバータに比較して小型であり、排気ガスとの接触面積を十分に確保しながら、排気抵抗を小さく抑えることができ、よって、より効率よく排気ガスの処理を行うことができる。当該触媒コンバータは、各種の内燃機関と組み合わせて、その排気ガスの処理に有利に使用することができる。特に、乗用車、バス、トラック等の自動車の排気システムに当該構成の触媒コンバータを搭載した時に、その優れた作用効果を十分に発揮させることができる。
触媒担体に担持されるべき触媒は、通常、金属(例えば、白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムなど)及び金属酸化物(例えば、五酸化バナジウム、二酸化チタンなど)であり、好ましくは、コーティングの形で用いられる。なお、触媒担体の代わりにフィルター要素を適用することにより、ディーゼルパーティキュレートフィルターとして汚染コントロール装置を構築することもできる。
本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
<含浸工程>
24gのコロイダルシリカ(スノーテックスOS、日産化学工業株式会社製)及び0.7gのニッポール LX874(Tg:−31℃、日本ゼオン株式会社製)を500mLの水中に添加し、5分間攪拌することで、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第一の液を調製した。ニードルパンチ処理を施したアルミナファイバーブランケット(三菱樹脂株式会社製、マフテックMLS−2ブランケット(商品名))を14cm×49cmに裁断し、スプレーを用いて第一の液をコートし、更に金属メッシュ上で5秒間吸引脱水した。このようにしてブランケットに上記第一の液を含浸させた後、温度を170℃に設定した温風乾燥機で30分間にわたって乾燥処理をした。
<表面コーティング工程>
63gのコロイダルシリカ(スノーテックスOS)及び10gのニッポール LX874を65mLの水中に添加し、1分間攪拌することで、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第二の液を調製した。この第二の液を、第一の液を含浸後乾燥したブランケットの上表面及び下表面に、それぞれコロイダルシリカが3.5g/mとなるように、合計でブランケット1枚当たり7g/mとなる量をスプレーを用いて両表面に塗布した。第二の液を塗布したブランケットを、温度を170℃に設定した温風乾燥機で5分間にわたって乾燥処理して、保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.7質量%であった。
(実施例2)
第一の液を含浸後乾燥したブランケットの上表面及び下表面に、第二の液をそれぞれコロイダルシリカが7.0g/mとなるように、合計でブランケット1枚当たり14g/mとなる量を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.8質量%であった。
(実施例3)
第一の液を含浸後乾燥したブランケットの上表面及び下表面に、第二の液をそれぞれコロイダルシリカが14g/mとなるように、合計でブランケット1枚当たり28g/mとなる量を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.8質量%であった。
(実施例4)
36gのコロイダルアルミナ(アルミナゾル、日産化学工業株式会社製)及び0.7gのニッポール LX874を500mLの水中に添加し、5分間攪拌することで、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第一の液を調製した。この第一の液を用いたこと以外は実施例2と同様にして保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.8質量%であった。
(比較例1)
0.7gのニッポール LX874を500mLの水中に添加し、5分間攪拌して第一の液を調製した。ニードルパンチ処理を施したアルミナファイバーブランケットを14cm×49cmに裁断し、第一の液をスプレーコートし、更に金属メッシュ上で5秒間吸引脱水した。このようにしてブランケットに上記第一の液を含浸させた後、温度を170℃に設定した温風乾燥機で30分間にわたって乾燥処理をし、保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.4質量%であった。
(比較例2)
比較例1の保持材に対し、実施例1の<表面のコーティング工程>と同様の処理を行い、保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.8質量%であった。
(比較例3)
実施例1の<含浸工程>のみを行ったものを、保持材として作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.4質量%であった。
(比較例4)
95gのコロイダルシリカ(スノーテックスOS、日産化学工業株式会社製)及び0.7gのニッポール LX874を430mLの水中に添加し、5分間攪拌することで、無機コロイド粒子及び有機バインダを含有する第一の液を調製した。この第一の液を用いたこと以外は実施例1と同様にして保持材を作製した。この保持材の有機バインダの量は、保持材の全質量基準で0.7質量%であった。
<保持材全体の有機バインダの含有率の測定>
各保持材から切り出した25mm×25mmのサンプルを110℃、1時間オーブンで乾燥した後に有機バインダを含むサンプルの質量(W0)を測定した。その後、そのサンプルを900℃の炉中で1時間加熱し、有機バインダを燃焼させた後の質量(W1)を測定した。保持材全体での有機バインダの含有率に相当する加熱減量(LOIt)を以下の式より算出した。
加熱減量(LOIt)(質量%) = (W0−W1)/W0 ×100
<内部領域及び表面層における有機バインダと無機コロイド粒子の含有率の測定>
まず、含浸前の無機繊維シートから50mm×50mmのサンプルを切り出し、重量を測定した(Wm0)。次に、当該サンプルに各実施例、比較例の条件で、有機バインダ及び無機コロイド粒子を含む溶液を含浸した無機繊維シートを110℃、1時間オーブンで乾燥した後に、無機繊維シート重量を測定した(Wm1)。その後、そのサンプルを900℃の炉中で1時間加熱し、有機バインダを燃焼させた後の質量(Wm2)を測定した。
次に、各実施例、比較例の条件で、含浸工程(含浸、乾燥後)を経た上記無機繊維シートから新たに50mm×50mmのサンプルを切り出し、重量を測定した(Wm3)。次に、当該サンプルに各実施例、比較例の条件で、有機バインダ及び無機コロイド粒子を含む溶液を片側表面にスプレーし、110℃、1時間オーブンで乾燥し、重量を測定した(Wm4)。その後、そのサンプルを900℃の炉中で1時間加熱し、有機バインダを燃焼させた後の質量(Wm5)を測定した。
内部領域における有機バインダの含有率に相当する加熱減量(LOIm)を以下の式より算出した。
加熱減量(LOIm)(質量%)= (Wm1−Wm2)/Wm4×Wm3/Wm1×100
無機コロイド粒子量(ICm)(質量%)= (Wm2−Wm0)/Wm4×Wm3/Wm1×100
表面層内の有機バインダの含有率に相当する加熱減量(LOIs)を以下の式より算出した。
加熱減量(LOIs)(質量%)= (Wm4−Wm5)/Wm4×100−LOIm
無機コロイド粒子量(ICs)(質量%)= (Wm5−Wm3)/Wm4×100+LOIm
無機繊維シートの単位面積あたりの重量及びサンプルのサイズから、単位面積あたりの無機コロイド粒子量が算出できる。
<常温における保持材の面圧測定>
(1)実施例1と同様にして作製した保持材(サイズ:250mm×250mm)から、円形試験片(直径:45mm)を打ち抜き型にて作製し、その質量を測定した。
(2)質量の測定値から、充填密度が0.25g/cmになるマット厚を計算した。
(3)試験片を圧縮試験機(型番「Autograph AG−I」、島津製作所製)の圧縮板の中心に載置し、上記の計算で求めた所定のマット厚になるまで20mm/分の速度で圧縮した。そのピーク時の圧力を面圧(kPa)とした。
<焼成前の保持材の静止摩擦係数の測定>
ステンレススチール(SS)プレートと保持材との間の静止摩擦係数は、オートグラフAGS100D(登録商標、株式会社島津製作所製)を用いて、下記の手順により測定した。
各保持材を50mm角となるように切り出し、サンプル片を調製した。図6に示されるように、静止摩擦係数を測定する表面12の反対側にあるサンプル片11の表面を、両面接着テープ62を介してSSプレート66に接着することで、サンプル片11を固定した。
約1mのSSコード63の一方の端部をSSプレート66に固定し、もう一方の端部を滑車ブロック65を介してロードセル64に固定した。この際、滑車ブロック65をロードセル64の真下に配置し、ロードセル64が持ち上げられたときに、サンプル片11に固定したSSプレート66が地面に対して平行に移動するようにした。
次に、地面に平行且つ滑車ブロック65の中心軸に対し、SSコード63が垂直になる位置に、サンプル片11をSSプレート61上に設置した。SSプレート61は、ケーシングの代わりに使用されるため、プレート表面に2B処理(冷間圧延処理)を施し、表面が0.2〜0.5μmの表面粗さRaを有するように機械加工した。また、ロードセル64の高さは、サンプル片11が滑車ブロック65から最大距離の位置となるように調整した。
SSプレート66の上に、12kgの荷重67を設置した。その後、ロードセル64を持ち上げ、SSコード63を矢印方向に100mm/分の牽引速度で牽引した。SSプレート61の表面からサンプル片11が滑り始める直前に測定された荷重を、静止摩擦力(N)として記録した。静止摩擦係数は、SSプレート66を含むサンプル片11に適用された荷重(N)で、静止摩擦力を除すことで算出した。
<焼成後の保持材の静止摩擦係数の測定>
各保持材を50mm角となるように切り出し、サンプル片を調製した。このサンプル片を600℃に設定した電気炉で1時間焼成した。その後、常温に冷ましたサンプル片を用いたこと以外は、<焼成前の保持材の静止摩擦係数の測定>に記載した方法で静止摩擦係数を測定した。
<担体引抜力の測定>
各保持材を幅75mm、長さ350mmに切り出し、長さ115mm、外径105mmを有する円筒形状を有する触媒担体(登録商標「ハニセラム(HONEYCERAM)」、日本碍子株式会社製)の外周に巻き付けた。これを、ガイドコーンを使用して、長さ150mm、内径114mmの円筒形のステンレススチールケーシングの中に、40mm/秒で圧入した。圧入してから24時間後に、触媒担体を40mm/秒でステンレススチールケーシングから引き抜く際の最大荷重(N)から、保持材の単位面積当たりの担体引抜力(N/cm)を算出した。なお、内部領域における無機コロイド粒子の量が多かったことにより、保持材が硬くなり、触媒担体の周りに巻き付けることが困難だったため、比較例4の保持材は担体引抜力を測定できなかった。
表1に結果を示す。
<焼成後の保持材の面圧測定>
(1)実施例1と同様にして作製した保持材から、円形試験片(直径:45mm)を打ち抜き型にて作製し、その質量を測定した。
(2)質量の測定値から、充填密度が0.25g/cm(有機成分等の焼失成分を除く。)になるマット厚を計算した。
(3)圧縮試験機(型番「Autograph AG−I」、島津製作所製)が有する2枚のプレート(ステンレス鋼製)で試験片を挟み、上記の計算で求めた所定のマット厚になるまで20mm/分の速度で圧縮した。
(4)試験片を圧縮している状態で、2枚のプレートのうちの一方を900℃に加熱し、他方を650℃に加熱した。面圧の経時変化を観察するため、2枚のプレートがそれぞれ900℃及び650℃に到達した時点(試験開始時)から、30分毎に20時間にわたって面圧を測定した。表2及び図7に結果を示す。なお、この面圧変化は、下記式で近似でき、この近似式から十年後の面圧を算出した。
Y=aX
式中、Xは時間(hour);Yは面圧(kPa);a、bは係数をそれぞれ示す。
比較例1と同様にして作製した保持材から試験片を作製し、これを測定に供したことの他は、上記の同様にして面圧測定を行った。表2及び図7に結果を示す。
1…シート、1a…無機繊維、4…無機コロイド粒子、4a、4b…焼結体、5…表面層、6…内部領域、10…保持材、10a…凸部、10b…凹部、11…サンプル片、12…静止摩擦係数を測定する表面、20…ケーシング、21…ガス流入口、22…ガス流出口、30…汚染コントロール要素、50…汚染コントロール装置。61…SSプレート、62…両面接着テープ、63…SSコード、64…ロードセル、65…滑車ブロック、66…SSプレート、67…荷重

Claims (9)

  1. 無機繊維材料を有するマット状保持材であって、
    無機コロイド粒子を有する表面層と、
    無機コロイド粒子と有機バインダが含浸された、前記表面層よりも内側に位置する内部領域と、
    を備え、
    前記表面層において、内部領域に比較し、より高濃度に前記無機コロイド粒子が存在し、
    前記内部領域における前記無機コロイド粒子の量は、前記保持材の全質量基準で1質量%〜10質量%である、
    保持材。
  2. 当該保持材は、その両面にそれぞれ前記表面層を有する、請求項1に記載の保持材。
  3. 前記表面層における前記無機コロイド粒子の単位面積当たりの量は1g/m〜20g/mである、請求項1又は2に記載の保持材。
  4. 前記有機バインダの量は、前記保持材の全質量基準で3質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保持材。
  5. ニードルパンチされた成形物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保持材。
  6. 前記有機バインダは、アクリル系ラテックスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の保持材。
  7. 前記無機コロイド粒子は、平均粒径が1μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の保持材。
  8. ケーシングと、
    前記ケーシング内に設置された汚染コントロール要素と、
    前記ケーシングと前記汚染コントロール要素との間に配置された請求項1〜7のいずれか一項に記載の保持材と、
    を備える汚染コントロール装置。
  9. 前記汚染コントロール要素は、触媒担体もしくはフィルター要素である、請求項8に記載の汚染コントロール装置。
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