JP7317738B2 - 膜厚測定用成膜部材及びこれを用いた膜厚測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗膜等の膜厚測定に用いられる膜厚測定用成膜部材及びこれを用いた膜厚測定方法に関する。
近年、樹脂フィルムの表面に微細な凹凸構造を形成し、光学的、特には視覚的な機能を付与することが提案されている。例えば、特許文献1には、表面に凹凸形状が形成された型を、第1の樹脂からなる樹脂基材に押圧して、樹脂基材の表面に凹凸形状を形成した後、この樹脂基材の表面に第2の樹脂を塗布し、樹脂基材から第2の樹脂を離型することにより、表面に凹凸形状が形成された樹脂成形品を製造することが記載されている。
特許第6059967号公報
従来、樹脂フィルムの表面に塗膜等の薄膜を形成する場合、膜厚の測定作業が煩雑であった。例えば、電磁誘導や渦電流などの電磁特性を利用した膜厚計は、基材が金属製の場合に限られ、樹脂フィルムのように電気絶縁性の基材には使用できない。また、薄膜に測定光を照射して反射光の干渉を利用する分光式の膜厚計は、樹脂フィルムにも使用できるが、精密な測定機器を使用することから、塗膜の乾燥、基材の温度などの条件が安定するまで膜厚の測定が困難である。
また、赤外線吸収スペクトルを用いた赤外線膜厚計は、予め材質及び膜厚の違いごとに赤外線吸収スペクトルの違いを確認して、検量線を作製する必要がある。塗膜を形成した後に塗膜中で硬化等の化学反応が進行する場合には、赤外線吸収スペクトルが経時的に変化するため、膜厚の測定が困難となる。また、超音波方式の膜厚計は、測定範囲が比較的厚いものに限られており、薄膜には使用が困難である。
このように、従来の膜厚計では、樹脂フィルムに薄膜を形成した直後から迅速に膜厚を測定することが困難であった。例えば塗工装置や押出装置等の薄膜形成装置を用いて所望の膜厚が得られるように、薄膜形成装置の加工条件等を調整する作業を行う場合がある。その際、基材上に形成される膜厚の測定が煩雑であるため、薄膜形成装置の調整に多大な労力を要していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、塗膜等の膜厚測定に用いられる膜厚測定用成膜部材及びこれを用いた膜厚測定方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、基材の表面に凹凸形状からなる構造発色領域を有する膜厚測定用成膜部材であって、前記基材の表面に所定の膜厚の薄膜が形成されたとき、前記凹凸形状による構造発色が消失することにより、前記薄膜の膜厚を測定することができることを特徴とする膜厚測定用成膜部材を提供する。
前記構造発色領域が、前記所定の膜厚に応じて2以上の構造発色領域を有してもよい。
前記膜厚測定用成膜部材が、長尺の基材又はロール状に巻回された基材からなり、前記2以上の構造発色領域が、前記基材の流れ方向又はそれに対して所定の角度をなす方向の帯状に形成されていてもよい。
前記膜厚測定用成膜部材が、前記凹凸形状による構造発色が消失する膜厚表示を有してもよい。
前記基材が樹脂フィルムからなる構成でもよい。
また、本発明は、基材の表面に形成される薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、前記膜厚測定用成膜部材の前記基材の表面に薄膜を形成して、前記凹凸形状による構造発色が消失するか否かにより、前記薄膜の膜厚を測定することを特徴とする膜厚測定方法を提供する。
本発明によれば、所定の膜厚の薄膜が形成されたとき、凹凸形状による構造発色が消失することから、この構造発色が消失するか否かにより、薄膜の膜厚を迅速に測定することができる。
膜厚測定用成膜部材の一例を示す斜視図である。 膜厚測定用成膜部材の使用方法を例示する断面図である。 ハニカム状の凹凸形状からなる構造発色領域の例を示す斜視図である。 断面四角溝状の凹凸形状からなる構造発色領域の例を示す斜視図である。 断面三角溝状の凹凸形状からなる構造発色領域の例を示す斜視図である。 ロール状の膜厚測定用成膜部材を(a)~(c)に例示する斜視図である。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
図1に、膜厚測定用成膜部材の一例を示す。この膜厚測定用成膜部材10は、基材11と、基材11の表面に凹凸形状12からなる1つ以上の構造発色領域13を有する。図示例の膜厚測定用成膜部材10の場合は、構造発色領域13として、第1の凹凸形状12Aから構成された第1の構造発色領域13Aと、第2の凹凸形状12Bから構成された第2の構造発色領域13Bとが形成されている。以下の説明では、異なる凹凸形状12又は異なる構造発色領域13の区別が必要であるときに、凹凸形状12A,12B又は構造発色領域13A,13Bの符号を区別する場合がある。
基材11の材料としては、特に限定されないが、可撓性、軽量性、耐久性等の観点から、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂からなるフィルム又はシートが好ましい。紙、金属箔、薄板ガラス等を基材11に用いることも可能である。なお、基材11が可撓性を有しない板状であってもよく、例えば、金属板、ガラス板、樹脂板、半導体基板等が挙げられる。基材11の光学的特性は特に限定されず、透明でも不透明でもよく、あるいは鏡面等の金属光沢を有してもよい。
構造発色領域13は、構造発色の機能を有する領域である。構造発色によれば、可視光の波長と同程度又はそれ以下の微細構造に対して可視光が照射されたとき、光の干渉、回折、散乱などにより観察者の眼には色が認識される。構造発色は、色素や着色材とは異なり、材料自体の光学特性(例えば透過率、吸収率など)の波長依存性によるのではなく、凹凸形状12の形状、寸法、凹凸形状12の周囲の媒質との屈折率差、観察者が構造発色領域13を目視する方向などにより影響され得る。構造発色領域13は、ホログラムを構成してもよい。
膜厚測定用成膜部材10を使用する際には、例えば図2に示すように、膜厚測定用成膜部材10の基材11の表面に薄膜21を形成して、構造発色領域13において凹凸形状12による構造発色が消失するか否かを目視等で確認する。
第1の構造発色領域13Aに形成された薄膜21の膜厚が凹凸形状12Aの高さより厚いこと等の理由で、凹凸形状12Aによる構造発色が消失する場合がある。この場合は、薄膜21の膜厚が凹凸形状12Aの高さより厚いことを確認することができる。
また、第2の構造発色領域13Bに形成された薄膜21の膜厚が凹凸形状12Bの高さより薄いこと等の理由で、凹凸形状12Bによる構造発色が消失する場合がある。この場合は、薄膜21の膜厚が凹凸形状12Bの高さより薄いことを確認することができる。
このため、膜厚測定用成膜部材10は、基材11の表面に薄膜21が形成されたとき、凹凸形状12による構造発色が消失するか否かにより、薄膜21の膜厚を測定することができる。膜厚測定用成膜部材10上に薄膜21が形成されていない場合は、構造発色領域13に構造発色が目視される。このため、基材11の表面に形成される薄膜21の膜厚が所定の膜厚又はそれ以上である場合に、少なくとも1以上の凹凸形状12による構造発色が消失する。
実施形態の膜厚測定用成膜部材10によれば、薄膜21を形成した直後から、薄膜21の膜厚を測定することができる。薄膜21が溶剤を含む塗膜等であって、乾燥に従って膜厚が変化し、あるいは薄膜21中で化学反応が進行して薄膜21の組成が変化する場合であっても、その時点における膜厚に応じて構造発色の有無を観察することができる。所定の膜厚の薄膜21が形成されたとき、凹凸形状12による構造発色が消失することから、この構造発色が消失するか否かにより、薄膜の膜厚を迅速に測定することができる。
構造発色の有無を観察するために必要な設備は、可視光の照射又は照明があれば十分であるため、通常の設備であれば容易に利用することができる。構造発色の観察に用いる光が太陽光線や通常の電灯から放射される照明光のように、紫外線又は赤外線を含んでもよい。紫外線又は赤外線が基材11又は薄膜に影響する場合には、紫外線又は赤外線における所望の波長範囲を、構造発色領域13に照射される光から低減又は除去してもよい。なお、以下の説明では、構造発色領域13において凹凸形状12による構造発色が消失する所定の膜厚を、膜厚設定値という。
薄膜21の膜厚の範囲に応じて、2以上の構造発色領域13を用いることが好ましい。1つの膜厚測定用成膜部材10が1つの構造発色領域13を有してもよい。この場合は、2種以上の膜厚測定用成膜部材10を用意し、それぞれの膜厚測定用成膜部材10が、膜厚設定値の異なる構造発色領域13を有してもよい。また、1つの膜厚測定用成膜部材10が、2以上の構造発色領域13を有してもよい。この場合は、それぞれの構造発色領域13が同一の膜厚設定値を有してもよく、あるいは、互いに異なる膜厚設定値を有してもよい。
1つの膜厚測定用成膜部材10が、膜厚設定値の異なる2種類以上の構造発色領域13を有する場合、2種以上の構造発色領域13上で薄膜21を同時に形成することができる。これにより、それぞれの構造発色領域13において構造発色が消失するか否かを確認し、かつ、それぞれの構造発色領域13の膜厚設定値を比較することにより、薄膜21の膜厚の数値を容易に求めることができる。
例えば、互いに異なる5種類の膜厚設定値T1,T2,T3,T4,T5を有する5種類の構造発色領域13を用いて、膜厚設定値の大小関係がT1<T2<T3<T4<T5である場合を例に挙げる。この場合、膜厚設定値T1の構造発色が消失した場合は、薄膜21の膜厚がT1以上であると分かる。これと同様に、膜厚設定値T2,T3,T4,T5の構造発色が消失した場合は、薄膜21の膜厚がそれぞれT2以上、T3以上、T4以上又はT5以上であると分かる。このため、例えば、膜厚設定値T2の構造発色が消失すると同時に、膜厚設定値T3の構造発色が目視される場合は、薄膜21の膜厚がT2以上T3未満であることが分かる。
薄膜21の膜厚の値を所望の数の段階に区別するため、これらの各段階に相当する膜厚設定値の構造発色領域13が、膜厚測定用成膜部材10に設けられる。具体例を挙げると、膜厚設定値が1μm、2μm、3μm、4μm、5μmの構造発色領域13を膜厚測定用成膜部材10に設けた場合、薄膜21の膜厚が、1μm程度なのか、2μm程度なのか、3μm程度なのか、4μm程度なのか、5μm程度なのかを区別することができる。
膜厚設定値としては、後述する凹凸形状12の高さ等に応じて、適宜設定することが可能であるが、例えば、1μm,2μm,5μm,10μm,20μm,50μm,100μm,200μm,500μm,900μm等のマイクロメートルレベルでもよく、10nm,20nm,50nm,100nm,200nm,500nm,900nm等のナノメートルレベルでもよい。
膜厚測定用成膜部材10に設けられる構造発色領域13の膜厚設定値の個数は、目的に応じて適宜選択することができる。薄膜21の膜厚をより詳しく特定するには、膜厚設定値を、例えば3個以上、5個以上、あるいは10個以上などとすることが好ましい。薄膜21の膜厚が所定のしきい値に対して、大きいか小さいかを区別するだけであれば、構造発色領域13の膜厚設定値が1種類だけでも目的を達成することができる。
図3に、六角柱状の凹部31aを、平面に沿って連続した凸部31bの中でハニカム状に配置した凹凸形状12を用いた構造発色領域13の例を示す。また、図4には、断面四角形状の凹溝32aと凸条32bとを交互に配置した凹凸形状12を用いた構造発色領域13の例を示す。また、図5には、断面三角形状の凹溝33aと凸条33bとを交互に配置した凹凸形状12を用いた構造発色領域13の例を示す。
凹凸形状12の高さは、構造発色を生じるものであれば特に限定されないが、例えば0.001μm~10mm、0.01μm~5mm、0.1μm~30μm、1~5μmなどが挙げられる。凹凸形状12の高さと幅との比(高さを幅で除した値)であるアスペクト比は、例えば0.05~10程度が挙げられる。ここで、凹凸形状12の幅とは、基材11の表面に沿って1つの凹凸形状12を横断する寸法の最小値である。凹凸形状12が所定の方向に凸条状又は凹溝状に延在する場合は、延在方向に交差する方向の寸法として、凹凸形状12の幅が求められる。基材11の表面に垂直な断面における凹凸形状12の断面形状としては、三角形、四角形等の多角形、半円形、扇形などが挙げられる。
基材11の表面に沿った凹凸形状12の平面形状は、特に限定されず、三角形、四角形等の多角形、円形、楕円形、環状、網状、格子状、ジグザグ状、波形などが挙げられる。凹凸形状12が凸条状又は凹溝状である場合には、凹凸形状12の端部が基材11の端部まで達してもよい。薄膜21を形成する材料が流動性を有する場合、凹凸形状12の周囲で円滑に供給されるためには、基材11の表面に沿った凹凸形状12の形状が有限の範囲内である、微小な突起からなることが好ましい。また、凹溝32a,33aと凸条32b,33bとが交互に繰り返してなる凹凸形状によれば、凹溝32a,33aに沿って材料が円滑に供給されるので好ましい。
基材11の表面に沿った凹凸形状12の寸法、特に限定されないが、例えば0.001μm~10mm、0.01μm~5mm、0.1μm~30μm、1~5μmなどが挙げられる。基材11の表面に沿った凹凸形状12の長径と短径との比は、例えば、10以下、5以下、2以下であってもよい。また、凹凸形状12の長径と短径が略同等(比が略1)であってもよい。
凹凸形状12の立体形状は、直方体状、柱状、錐状、球状、半球状などが挙げられる。凹凸形状12の立体形状が三角錐、四角錐、五角錐、六角錐等の多角錐状(ピラミッド状)である場合には、平面状で凹凸形状12を隙間なく密に配置でき、しかも凹凸形状12の側面に薄膜21を形成する材料を供給できる隙間が形成されるので、好ましい。構造発色領域13は、同一の凹凸形状12を規則的に繰り返すパターンであってもよく、2種類以上の凹凸形状12を含むパターンであってもよく、不規則なパターンであってもよい。
膜厚測定用成膜部材10の長さ及び幅は特に限定されないが、薄膜21を形成する薄膜形成装置の仕様に対応できる幅及び長さが好ましい。薄膜形成装置としては、コーター、プリンター、押出ダイ等が挙げられる。薄膜21としては、塗膜、印刷膜、接着膜、粘着膜、樹脂膜、蒸着膜などが挙げられる。薄膜21の形成材料としては、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、溶融樹脂、各種の無機材料、各種の有機材料などが挙げられる。
膜厚測定用成膜部材10が長尺である場合には、膜厚測定用成膜部材10をロール体に巻き取ると、保管、運送などが容易になり、好ましい。また、基材を流れ方向に搬送しながら連続的に薄膜形成加工を行う場合は、ロール体を用いて、長尺の膜厚測定用成膜部材10を薄膜形成装置に容易に供給することができる。長尺の膜厚測定用成膜部材10の長さとしては、特に限定されないが、例えば1m以上、あるいは、10m~1000m等が挙げられる。ロール体に用いる基材11は、例えば、フィルム、シート、ウェブ等の可撓性の基材が好ましい。また、ロール体とする場合、基材11の厚さ、又は、凹凸形状12を含む膜厚測定用成膜部材10の厚さは、例えば、5mm以下、さらには1mm以下が挙げられる。
膜厚測定用成膜部材10が長尺の基材11からなる場合は、2以上の構造発色領域13が、基材11の流れ方向又はそれに対して所定の角度をなす方向の帯状に形成されていてもよい。例えば図6(a)には、基材11の流れ方向に沿って、2以上の構造発色領域13が帯状に形成された膜厚測定用成膜部材10のロール体15を示す。この場合、2以上の構造発色領域13が、それぞれ基材11の流れ方向に延在して、膜厚測定用成膜部材10の流れ方向の両端まで達してもよい。
また、図6(b)には、基材11の流れ方向に垂直な幅方向に沿って、2以上の構造発色領域13が帯状に形成された膜厚測定用成膜部材10のロール体15を示す。また、図6(c)には、基材11の流れ方向に対して傾斜する方向に沿って、2以上の構造発色領域13が帯状に形成された膜厚測定用成膜部材10のロール体15を示す。この場合、2以上の構造発色領域13が、それぞれ基材11の流れ方向には一定の区間にわたって配置され、膜厚測定用成膜部材10の幅方向の両端まで達してもよい。
構造発色領域13が、凹溝と凸条とが交互に繰り返してなる凹凸形状12を有する場合など、凹凸形状12の延在方向が、基材11の流れ方向に垂直な幅方向(TD方向)であるか、又は、流れ方向に対して傾斜する方向であることが好ましい。これにより、流れ方向(MD方向)に対して余分な材料ができるだけ流れないような構造となる。
基材11の流れ方向に対する凹凸形状12の延在方向の角度としては、流れ方向(前方又は後方)を0°、幅方向を90°として、例えば10~90°の範囲が好ましく、前記角度の具体例としては、10°、30°、45°、60°、75°、90°、あるいはこれらの中間の角度が挙げられる。なお、前記角度が90°を超える場合は、180°から差し引いた値(例えば100°に対しては80°、120°に対しては60°)と同一の結果となるので、ここでは0~90°の範囲で角度をとるものとした。
膜厚測定用成膜部材10に2以上の構造発色領域13を設ける場合、それぞれの構造発色領域13の間に、印刷などで着色された境界線を設けてもよい。また、図1に示すように、基材11上に構造発色領域13が設けられていない空白領域16を配置してもよい。構造発色領域13が、基材11の流れ方向及び幅方向の端部まで延在していない、比較的狭い領域ごとに形成されてもよい。例えば、空白領域16を格子状に設け、格子目の中に構造発色領域13を配置してもよい。境界線又は空白領域16は、2以上の構造発色領域13にまたがる薄膜21を容易に形成できるように、基材11の表面を平坦にしたまま配置することが好ましい。基材11の幅方向の端部に沿って空白領域16を設け、薄膜21が基材11の幅方向の端部からはみ出ないようにするための余白部としてもよい。
膜厚測定用成膜部材10が、構造発色領域13の膜厚設定値を表示するための膜厚表示14を有してもよい。膜厚表示14は、所定の膜厚を1,2,3等の数値で表示してもよく、A,B,C等の文字、円形、三角形、四角形等の記号、赤色、青色、黄色、緑色等の着色部などで表示してもよい。膜厚表示14が数値で膜厚を表示する場合には、膜厚表示14にマイクロメートル(μm)、ナノメートル(nm)等の単位記号を付加してもよく、あるいは単位記号を省略してもよい。
膜厚表示14は、構造発色領域13の内部に配置してもよく、構造発色領域13の外側に配置してもよい。膜厚測定用成膜部材10に2以上の構造発色領域13を配置する場合は、それぞれの構造発色領域13と膜厚表示14とが一対一で対応付けられればよい。膜厚表示14を、印刷などの恒久的な表示とする場合は、構造発色が消失しても膜厚表示14を確認することができる。膜厚表示14を、構造発色により構成する場合は、構造発色の消失と同時に膜厚表示14を消滅させることができる。
膜厚表示14は、基材11に構造発色領域13の凹凸形状12が形成される側の面に形成されてもよく、凹凸形状12とは反対側の面に形成されてもよい。基材11が多層の積層体からなる場合は、積層体を構成するいずれかの層に膜厚表示14を設けてもよい。なお、膜厚測定用成膜部材10に膜厚表示14を設ける代わりに、膜厚測定用成膜部材10の包装、巻芯、保護フィルム等に膜厚表示14を設けることも可能である。
膜厚測定において、膜厚の時間的変動に対処するため、同一の膜厚設定値を有する構造発色領域13が、基材11の流れ方向に連続して、又は繰り返して配置されることが好ましい。図6(a)に示すように、構造発色領域13が基材11の流れ方向に連続して形成される場合は、流れ方向における所定の区間にわたり、構造発色領域13の構造発色が消失するか否かの結果が同一であることを確認してもよい。
また、図6(b)又は(c)に示すように、1つの構造発色領域13が基材11の流れ方向で一定の範囲内に配置される場合は、同一の膜厚設定値を有する構造発色領域13を、基材11の流れ方向に繰り返して配置することができる。この場合、流れ方向に離れた複数の構造発色領域13にわたり、構造発色が消失するか否かの結果が同一であることを確認してもよい。
膜厚測定用成膜部材10を製造する方法としては、基材11の表面に凹凸形状12による構造発色領域13を形成する工程を少なくとも有すればよい。基材11は空中でロール等により搬送してもよく、基材11を移動させずに受け台の上に載せて支持してもよい。基材11が長尺又はロール状である場合は、ロール・トゥー・ロール方式で基材11を搬送し、加工開始側で基材11を引き出すロールと、加工終了側で基材11を巻き取るロールとの間で、構造発色領域13を形成する加工工程を行うことが好ましい。構造発色領域13を形成した後で、基材11をロール状に巻き取ったり、基材11の表面に保護フィルムを積層したりして、構造発色領域13を汚染等から保護してもよい。保護フィルムは、膜厚測定用成膜部材10を使用する前に基材11の表面から剥離除去される。
構造発色領域の凹凸形状12は、基材11を構成する材料を塑性的又は弾性的に変形させることで、形成してもよい。例えば、少なくとも表面が熱可塑性樹脂からなる基材11に対して、熱可塑性樹脂を溶融可能な金型を押圧して、金型の凹凸形状を基材11に転写してもよい。基材11を構成し得る流動性の材料を金型に塗布し、塗布された材料を金型の凹凸形状に硬化させた後に、基材11を離型してもよい。
構造発色領域の凹凸形状12は、基材11上に粒子、樹脂等の材料を付与して、これらの材料から凹凸形状12を形成してもよい。粒子の形状は特に限定されないが、球状、半球状、柱状、錐状などが挙げられる。粒子の材質は特に限定されず、シリカ、アルミナ等の無機系材料、樹脂等の有機系材料などが挙げられる。基材11上に樹脂等を所定のパターンで付与する方法としては、グラビアロール等の版を用いて所定のパターンに樹脂等の材料を基材11に付着させてもよく、基材11上に流動性の材料を塗布した後、金型を用いて凹凸形状12を成形してもよい。レーザー等のビーム加工、エッチング等の化学的可能により凹凸形状12を形成してもよい。
凹凸形状12を樹脂で形成する場合、可撓性、軽量性、耐久性等の観点から、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂が好ましい。凹凸形状12の形成に用いられる樹脂が、基材11に用いられる樹脂材料と同一でも異なってもよい。基材11又は凹凸形状12を形成するための樹脂を溶媒に溶解させる場合、溶媒の具体例としては、炭化水素系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系、アミド系、その他の各種有機溶媒や水が挙げられる。
基材11又は凹凸形状12に用いられる樹脂材料は特に限定されず、公知の材料を適宜使用可能であるが、その具体例としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等の環状オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、液晶ポリマー、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、カルボン酸系モノマーを含有する酸変性樹脂、接着性樹脂などの1種又は2種以上が挙げられる。酸変性樹脂として、酸変性ポリオレフィン樹脂は、熱接着性に優れるので好ましい。カルボン酸系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物が挙げられる。
基材11又は凹凸形状12には、無機や有機の添加剤を含んでもよい。添加剤の具体例としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、保存安定剤、レベリング剤、シランカップリング剤、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、可塑剤、滑剤、溶剤、充填剤、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等の一般的な添加剤のほかに、カーボンナノチューブ、フッ化炭素、炭化ケイ素、一酸化ケイ素、無機粒子や金属粒子なども例示できる。
樹脂の塗布方法としては、塗布する樹脂組成物の粘度等に適したものであればよく、限定されず、ロールコート、スピンコート、ブレードコート、バーコート、リバースコート、ダイコート、ディップコート、スプレーコート、グラビアコート、カーテンフローコート、キャスト、刷毛塗り、印刷等が挙げられる。塗布する樹脂組成物の粘度(η)は、特に限定されないが、例えば1000~6000mPa・sが挙げられる。
実施形態の膜厚測定用成膜部材10を用いた膜厚測定方法は、種々の薄膜21を形成する工程において、薄膜21の膜厚を測定するために用いることができる。薄膜21の形成により構造発色領域13の構造発色が消失することから、構造発色領域13の凹凸形状12を構成する材料の屈折率は、薄膜21を構成する材料の屈折率と同程度であることが好ましい。これらの屈折率差は、例えば、0.1以下、あるいは0.05以下が好ましい。凹凸形状12及び薄膜21は、構造発色及びその目視に適した光透過性を有する。凹凸形状12及び薄膜21が、構造発色を妨げない程度に、着色又はヘーズ(曇り)を有してもよい。
膜厚測定方法を実施する時期は、製品用の薄膜21を形成する工程の直前でもよく、薄膜形成装置を検査する際に合わせて行うのでもよい。例えば、薄膜形成装置の設定を変更するときや、作業環境条件が以前より変わったときなどに膜厚測定方法を実施することが好ましい。膜厚測定用成膜部材10の基材11は、膜厚測定方法を実施した後で薄膜21を製品として形成するための製品製造用基材と同様な材質、仕様からなることが好ましい。製品製造用基材の一部に凹凸形状12からなる構造発色領域13を形成して、膜厚測定用成膜部材10を製品製造用基材と一体化してもよい。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
凹凸形状からなる構造発色領域が形成される基材の表面とは、基材の少なくとも片面であればよく、基材の両面でもよい。基材の両面に構造発色領域を設ける場合、それぞれの構造発色領域における凹凸形状、膜厚設定値、薄膜材料等は、同一であってもよく、互いに異なってもよい。必要などに応じて、表側の構造発色領域と裏側の構造発色領域とを使い分けてもよい。表側に薄膜を形成して表側の構造発色領域を膜厚測定に使用した後、裏側に薄膜を形成して裏側の構造発色領域を膜厚測定に使用してもよい。
10…膜厚測定用成膜部材、11…基材、12,12A,12B…凹凸形状、13,13A,13B…構造発色領域、14…膜厚表示、15…ロール体、16…空白領域、21…薄膜、31a…凹部、31b…凸部、32a,33a…凹溝、32b,33b…凸条。

Claims (6)

  1. 基材の表面に凹凸形状からなる構造発色領域を有する膜厚測定用成膜部材であって、
    前記基材の表面に所定の膜厚の薄膜が形成されたとき、前記凹凸形状による構造発色が消失することにより、前記薄膜の膜厚を測定することができることを特徴とする膜厚測定用成膜部材。
  2. 前記構造発色領域が、前記所定の膜厚に応じて2以上の構造発色領域を有することを特徴とする請求項1に記載の膜厚測定用成膜部材。
  3. 前記膜厚測定用成膜部材が、長尺の基材又はロール状に巻回された基材からなり、前記2以上の構造発色領域が、前記基材の流れ方向又はそれに対して所定の角度をなす方向の帯状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の膜厚測定用成膜部材。
  4. 前記膜厚測定用成膜部材が、前記凹凸形状による構造発色が消失する膜厚表示を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の膜厚測定用成膜部材。
  5. 前記基材が樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の膜厚測定用成膜部材。
  6. 基材の表面に形成される薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法であって、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の膜厚測定用成膜部材の前記基材の表面に薄膜を形成して、前記凹凸形状による構造発色が消失するか否かにより、前記薄膜の膜厚を測定することを特徴とする膜厚測定方法。
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