JP7317693B2 - 圃場水管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、圃場水管理システムに関する。
近年、各圃場に備えた給水装置を遠隔制御することにより自動給水可能な圃場水管理システムが実用化されつつある。例えば、特許文献1には、稲の生育段階に応じて毎日の水田目標水位を決定し、水田水位が目標水位の近傍内に収まるように給水バルブを制御する圃場水管理システムが提案されている。
また、頭首工から取り出され揚水機場に導かれた灌漑用水を、圃場の集合体である各圃場群へ分水工などを介して配水管理する灌漑用水管理システムも提案されている。例えば、特許文献2には、水源の水を各圃場群に供給するための親揚水機場と、親揚水機場から供給された灌漑用水を受け取り圃場群内の各末端圃場に対して給水するための圃場群ごとに設置された子揚水機場・直分分水弁とを、中央管理部より遠隔制御することにより、水源からの灌漑用水を所定量だけ各圃場群に配水できる灌漑用水管理システムが提案されている。
特許文献3には、圃場地域で利用可能な灌漑用水が不足する場合に、各圃場に対して適正に水配分し、上記圃場地域全体としての作物の品質向上・高収量化を図ることを目的とする圃場潅漑システムが提案されている。
当該圃場潅漑システムは、複数区画からなる圃場地域の各圃場ごとに設置された給水装置を制御して各圃場への灌漑を行うように構成され、上記圃場地域に対して所定期間中に利用可能な総灌漑用水を所定値で分割し、各圃場に対して配分するときの各圃場への水配分量をそれぞれ決定する水配分量決定部と、上記水配分量に基づいて上記各給水装置を動作させる制御部とを有する圃場潅漑水管理装置を設置したことを特徴とする。
特開平09-65776号公報 特開平10-42726号公報 特開2001-275501号公報
しかし、特許文献3に記載された圃場潅漑水管理装置では、期間を定めて一律に定められた量の灌漑用水を該当する圃場地域に一斉に給水する場合には、灌漑用水を送水する給水管の下流側で十分な水圧が得られず、当該期間に十分に給水できないという不都合な事態が発生する虞がある。
また、営農者の栽培計画や圃場で栽培される作物や品種によっては、各圃場に灌漑用水を給水する時期が他の圃場と異なる場合があり、そのような場合に柔軟に対応できないという問題が発生する虞がある。
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、必要な時期に必要な量の灌漑用水を安定的に圃場に給水できるように柔軟に対応できる圃場水管理システムを提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による圃場水管理システムの第一の特徴構成は、配水池から給水路への灌漑用水の供給量を調整する灌漑用水管理システムと通信可能に接続され、前記給水路を介して圃場群毎に供給される灌漑用水に対して、各圃場群を構成する各圃場への給水を管理する圃場水管理システムであって、前記灌漑用水管理システムに備えた給水スケジュール管理部から供給される各圃場群に対する所定期間の給水可能最大量である許容最大給水量を含む給水可能スケジュールに基づいて、各圃場管理者の端末装置からの給水予約要求の受け付け処理を実行する給水予約受付部と、前記給水予約受付部で受け付けた給水予約に基づいて前記所定期間の各圃場への給水スケジュールを生成する圃場給水スケジュール生成部と、前記圃場給水スケジュール生成部により生成された給水スケジュールに従って各圃場の給水装置を制御する圃場給水制御部と、を備え、前記圃場給水スケジュール生成部は、前記許容最大給水量を超えない範囲で、各圃場への給水量が維持されるように給水対象となる圃場を順序付けするように構成されている点にある。
許容最大給水量を超えない範囲で予め順序付けされた圃場に順番に給水されるので、給水圧の低下を来すことなく、安定的かつ効率的に給水されるようになる。
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水装置に備えた弁機構の数に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする点にある。
同一圃場に給水栓が複数あるような場合には、当該圃場の給水栓に同時に給水した方が効率的になる。
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水装置に備えた弁機構の特性に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする点にある。
弁機構の特性、例えば弁機構の口径が異なれば単位時間当たりの給水量が異なる。所定の給水量が維持されるように給水するため、弁機構の口径に基づいて給水対象となる圃場を順序付けすることにより、安定した給水が可能になる。
同第四の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水優先度に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする点にある。
例えば、圃場ごとに代掻きなどの作業予定が異なる場合には、最も近い予定の圃場を優先して給水することで、その後の作業の遅れを招くことがない。
以上説明した通り、本発明によれば、必要な時期に必要な量の灌漑用水を安定的に圃場に給水できるように柔軟に対応できる圃場水管理システムを提供することができるようになった。
灌漑用水設備の説明図 圃場の説明図 圃場水管理システムの説明図 圃場給水可能スケジュール生成手順を示すフローチャート 圃場給水予約受付手順を示すフローチャート 圃場給水スケジュール生成手順を示すフローチャート
以下に、本発明による圃場水管理システムを説明する。なお、以下の説明で用いる圃場との用語は水田及び畑の双方を意味し、水源から分水工などで分水された共通の給水系統から灌漑用水が供給される複数の圃場を圃場群という。通常、共通の水源から取水された灌漑用水は分水工により分水された複数の給水系統によって異なる圃場群に給水される。以下の実施形態では稲作用の圃場について説明するが、畑用の圃場であっても同様である。
図1に示すように、灌漑用水設備は、河川や湖沼などの水源池130で取水された灌漑用水を、配水池121を介して各圃場1に給水するための給水設備であり、配水池121と各圃場1とが幹線となる給水管120と支線となる給水管100,101で接続されている。
配水池121は、各圃場群10に供給する灌漑揚水を貯水する設備で、水源池130に備えた揚水機場131のポンプによって灌漑用水が汲み上げられ、一定の水位を保つようにされてある。配水池121の配水口には給水管120が接続されて水圧により灌漑揚水が圧送される。
幹線となる給水管120は配水池121から各圃場群10に向けてそれぞれ分岐され、分岐された各給水管100への給水量を調整するための分水工として機能する分水装置140が設けられている。つまり、配水池121から圧送された灌漑用水は、分水装置140によって給水量が調整された後に各圃場群10へ給水される。
支線となる給水管100も各圃場1に向けて分岐され、分岐した給水管101に各圃場1へ給水する給水栓を備えた給水装置2が接続されている。また、各圃場1には排水栓を備えた排水装置4が設けられ、排水装置4を介した各圃場1からの放水が河川に放流されるように排水路9が設けられている。
図2に示すように、圃場1には、給水管100(101)に流れる灌漑用水を、導水路3を介してして圃場1に導く給水装置2、圃場1の水を、放水路5を介して排水路9に排水する排水装置4が設けられ、圃場1の近傍にはインターネットなどの通信ネットワークに接続可能な無線中継器7が設置されている。さらに、圃場1の水位を計測する水位センサ6が設けられている。
給水装置12及び排水装置16にはソーラーパネルSPを備えた蓄電器、給水栓または排水栓を駆動する電動モータ、電動モータを制御する制御回路、無線中継器7を介して無線通信する通信回路などが設けられ、ソーラーパネルSPによる発電電力が蓄積された蓄電器の電力によってモータや通信回路などが作動するように構成されている。
当該給水装置2及び排水装置4に備えた通信回路は無線中継器7を介して圃場水管理サーバ21と通信可能に構成され、給水栓または排水栓の状態や水位センサ6で検出された圃場1の水位が圃場水管理サーバ21に送信されるとともに、圃場水管理サーバ21により給水栓及び/または排水栓が遠隔制御により調整可能に構成されている。
図1に戻り、配水池121と各圃場群10を結ぶ給水管120,100に備えた各分水装置140には分水のための流量調整弁と、流量調整弁を制御する制御回路及び通信回路が設けられ、通信回路を介して灌漑用水管理サーバ31とネットワーク通信可能に構成され、灌漑用水管理サーバ31により流量調整弁が遠隔制御で調整可能に構成されている。
配水池121から圧送された灌漑用水は、分水装置140により流量が調整された後に各圃場群10を構成する個別の圃場1に給水される。
稲作を例に挙げると、圃場に十分な量の水を供給して代掻きを行ない、田植え後のしばらくは稲の保護のために深水管理を継続し、ある程度安定すると浅水管理を経て間断灌水して根の成長を促し、茎の増加を抑制すべく中干した後に間断灌水を再開し、収穫時期に落水する、といったように稲の成長に伴って圃場の水位を調整する必要がある。
代掻きの時期など、各圃場の給水時期が重なり同時期に大量の用水を供給する必要があり、水源で確保された一定量の灌漑用水を各圃場に公平に配水するべく、圃場群単位で給水日程を計画して管理しているが、同一の圃場群の圃場でも給水管の水圧によってはそのときに十分な量の給水ができない場合があり、所定量の給水後も給水栓が解放され続けていると他の圃場への給水量が不足する場合がある。
また、稲作であっても品種が異なると給水時期が異なる場合もあり、それぞれの圃場の固有の条件によって適切な時期に適切な量の給水を計画管理するのは非常に困難である。
本発明による圃場水管理システムは、この様な問題に柔軟に対処すべく、営農者が管理する個々の圃場の状況に応じて灌漑用水を適切に供給可能とするシステムで、上述した灌漑用水管理サーバ31と圃場水管理サーバ21をインターネットなどの通信媒体を介して連系させることにより、圃場1の集合体である圃場群10に対して灌漑用水の給水を広域で管理する広域圃場給水管理システムに組み込まれている。
具体的に、図3に示すように、広域圃場給水管理システム200は、圃場水管理システム20と、灌漑用水管理システム30とで構成されている。
圃場水管理システム20は、圃場水管理サーバ21と、営農者などが所有する端末装置8と、各圃場1に備えた給水装置2や排水装置4などを備えて構成されている。圃場水管理サーバ21には、給水予約受付部21Aと圃場給水制御部21Bと圃場給水スケジュール生成部21Cの各機能ブロックが設けられている。端末装置8にはスマートフォンのような可搬性の端末装置やデスクトップコンピュータのような据置型の端末装置が含まれる。
灌漑用水管理システム30は、灌漑用水管理サーバ31と、配水池121から各圃場群10への給水量を調整する圃場群給水量調整装置として機能する分水装置140を備えている。圃場群給水量調整装置により各圃場群10への給水総量が調整される。灌漑用水管理サーバ31には、許容最大給水量取得部31A、圃場群給水量調整部31B、給水スケジュール管理部31Cの各機能ブロックが設けられている。なお、以下では、分水装置140を圃場群給水量調整装置140と記載することもある。
各サーバ21,31には、CPUボード、メモリボード、通信ボード、大容量の外部記憶装置などが設けられ、メモリボードに備えたメモリに格納されたアプリケーションプログラムがCPUボードに搭載されたCPUによって実行されることにより、上述した各機能ブロックが実現されている。
灌漑用水管理サーバ31は、圃場水管理サーバ21から入力された各給水予約情報に基づいて新たに受付可能な給水可能スケジュールを生成して圃場水管理サーバ21に出力し、圃場水管理サーバ21は当該給水可能スケジュールに基づいたタイムテーブルを端末装置8に提示するとともに、端末装置8から入力された給水予約要求を実行可能な場合に、当該給水予約を受け付けるとともに給水予約情報を生成して灌漑用水管理サーバ31に出力するように構成されている。
灌漑用水管理サーバ31に備えた許容最大給水量取得部31Aは、所定期間内の圃場群10ごとの許容最大給水量を取得して給水スケジュール管理部31C及び圃場水管理サーバ21の圃場給水スケジュール生成部21Cに出力するように構成されている。
許容最大給水量とは配水池121で得られる灌漑用水のうち各圃場群10へ供給可能な日当たりあるいは時間当たりの給水可能最大量をいい、例えば、配水池121の圧送水量に対し、各分水装置140で均等に分水した給水量が計算されて、灌漑用水管理サーバ31の外部記憶装置に格納されている。
灌漑用水管理サーバ31に備えた給水スケジュール管理部31Cは、圃場識別情報、給水日時情報及び必要給水量を含む給水予約情報に基づいて、圃場群10ごとに必要給水量の合計が許容最大給水量を下回る給水可能量及び給水可能日時を含む給水可能スケジュールを生成し、当該給水可能スケジュールをメモリボード上のメモリに格納するとともに、圃場水管理サーバ21に出力するように構成されている。
圃場水管理サーバ21に備えた給水予約受付部21は、給水スケジュール管理部31Cから給水可能スケジュールが入力されると、メモリボード上のメモリに記憶し、当該給水可能スケジュールを予約確認の要求のあった端末装置8に提示する。そして、当該端末装置8から入力された給水対象圃場1及び給水日程を特定した給水予約要求の受付可否を判断する。
給水予約受付部21は、当該給水可能スケジュールに従って給水予約要求を実行可能であると判断すると、当該給水予約要求を受け付けて、当該給水対象圃場に対応する圃場識別情報、給水日時情報及び必要給水量を含む給水予約情報を生成して給水スケジュール管理部31Cに出力するように構成されている。
営農者により操作される端末装置8から送信された給水予約要求には、給水対象圃場を特定する情報とその圃場に対する給水期限を示す給水日程を特定する情報が含まれる。複数の給水対象圃場や、各圃場に対する給水日程として複数の希望日あるいは給水希望時間を含めることが可能となっている。例えば、給水希望時間は0時から24時の間を6時間間隔で第1期から第4期に区分けして特定される。給水期限とは給水完了期限をいう。したがって、給水開始時期は余裕をもって早めることも可能になる。
各圃場群10及びその圃場群10に属する各圃場1は、予め圃場水管理システム20及び灌漑用水管理システム30の外部記憶装置に圃場データベースとして格納されており、当該データベースにリンクした給水予約情報データベースが格納される。
圃場データベースには、圃場群識別コード、圃場識別コード(圃場識別情報)、圃場所在地、所有者コード、連絡先情報、圃場サイズ、圃場の給水栓の型式情報などのフィールド情報で構成されるレコードが格納されている。
給水予約情報データベースには、上述した圃場識別コードにリンクして、給水日時、必要給水量、給水完結確認情報などのフィールド情報で構成されるレコードが格納されている。
上述したように給水予約受付部21Aが給水予約要求を受け付けた場合に生成する給水予約情報は、当該給水対象圃場に対応する圃場識別情報と、給水日時情報に加えて、必要給水量が含まれる。
給水予約受付部21Aは、対応する圃場の圃場サイズと圃場1の目標水深から必要給水量を算出する。圃場1への給水は、代掻きや田植え時期の深水管理期間、その後の間断灌水管理期間などのそれぞれの管理期間について目標水深が定められてあり、例えば代掻き期間であれば水深15cmなどのように水深は予め定められている。
この目標水深情報は、端末装置8からの給水予約要求の給水日時情報と関連付けられて与えられる。この場合、給水予約受付部21Aが目標水深から必要給水量を算出しているが、給水予約要求に必要給水量の情報が含まれていてもよい。あるいは、目標水深情報は、圃場データベースに保有していてもよい。
各圃場1に備えた給水装置2に備えた給水栓の型式情報から時間当たりの給水量が定まるので、当該型式情報から給水に要する時間を求めることもできる。従って、必要給水量に必要給水時間情報を含めることができる。
給水予約受付部21Aは、給水可能スケジュールを参照して、給水予約要求で特定される圃場、給水日程に必要給水量だけ給水可能か否かを判断し、可能と判断した場合に当該給水予約を受け付けて給水予約情報を生成する。
給水スケジュール管理部31Cは、給水予約受付部21Aから給水予約情報を受け取ると、当該給水予約情報を給水予約情報データベースに格納するとともに、次の給水予約要求に対応すべく、許容最大給水量取得部31Aにより取得された圃場群10毎に許容最大給水量を満たす範囲で給水予約情報に基づく給水が可能であるか否かを判断できるような給水可能スケジュールを順次更新生成する。
当該給水可能スケジュールは、例えば所定期間内の給水日及び1日を6時間間隔で第1期から第4期に区分けされたタイムテーブルに沿って、各期に給水可能な容量が明示される。給水可能スケジュールは、これまでに受け付けられた給水予約情報を反映した給水可能スケジュールであるため、給水可能な日にちと時間帯と給水量が示されることになる。
広域圃場給水管理システム200にエントリーして給水予約を行なう営農者は、端末装置8に表示された給水可能スケジュール、つまり所定日時の給水可能量を表示するタイムテーブルから、給水を希望する圃場に対し所望の給水が可能か否かの判断を行ない、給水可能な日または日時に給水するように給水予約入力することで給水予約受付部21Aに給水予約要求し、給水予約要求が拒否されると新たな日または日時を設定して給水予約要求を行なう。
以上説明した給水スケジュール管理部31Cによって実行される給水可能スケジュールの生成手順が図4に示され、給水予約受付部21Aによって実行される給水予約受付の処理手順が図5に示されている。
このようにして給水スケジュール管理部31Cによって給水可能スケジュールが確定すると、圃場水管理サーバ21に備えた圃場給水スケジュール生成部21Cにより給水可能スケジュールが引き継がれ、具体的な圃場給水スケジュールが生成されてメモリに記憶される。
圃場給水スケジュール生成部21Cは、上述した給水可能スケジュールを基礎にして、所定期間に圃場群に供給される許容最大給水量を超えない範囲で、所定の給水量が維持されるように給水対象となる圃場を順序付けする。許容最大給水量を超えない範囲で予め順序付けされた圃場に順番に給水されるので、給水圧の大幅な変動や低下を来すことなく、安定的かつ効率的に給水されるようになる。なお、給水は複数の圃場で同時に実行されることが前提である。
具体的に、圃場給水スケジュール生成部21Cは、給水可能スケジュールに規定された給水期限に基づいて、直近の給水期限となる圃場ほど高い給水優先度に設定し、給水優先度の高い圃場から前倒しで給水するように順序付けする。例えば、圃場ごとに代掻きなどの作業予定が異なる場合には、最も近い予定の圃場を優先して給水することで、その後の作業の遅れを招くことがないように計画される。
圃場給水スケジュール生成部21Cは、各圃場の給水装置2に備えた弁機構の特性に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする。弁機構の特性、例えば弁機構の口径が異なれば単位時間当たりの給水量が異なる。所定の給水量が維持されるように給水するため、弁機構の口径に基づいて給水対象となる圃場を順序付けすることにより、安定した給水が可能になる。
本実施形態では、圃場給水スケジュール生成部21Cにより、圃場を単位に給水スケジュールが生成されるが、給水栓単位で給水スケジュールが生成される場合には、各圃場の給水装置2に備えた弁機構の数に基づいて給水対象となる圃場を順序付けすることが好ましい。同一圃場に給水栓が複数あるような場合には、当該圃場の給水栓に同時に給水した方が効率的になるからである。
その後、圃場給水制御部21Bは、圃場給水スケジュール生成部21Cによって生成され、メモリに記憶された圃場給水スケジュールに基づいて給水制御を開始する。つまり、メモリに記憶された圃場給水スケジュールに従って、圃場識別情報に対応する圃場1に設けられた給水装置2を遠隔制御して給水栓を開放して当該圃場1に給水する。
受け付けられた給水予約要求が自動的に実行されるので、営農者はその都度圃場に赴いて給水装置1を手動操作するような煩わしい操作から開放される。このとき、排水装置4を遠隔制御して事前に排水栓を目標となる給水水位に設定することは言うまでもない。
各圃場1に備えた水位計6により検出された水位が給水装置2に入力されると、給水装置2によって給水栓が閉塞され、当該検出水位が給水装置2から圃場水管理サーバ21に送信される。圃場水管理サーバ21の圃場給水制御部21Bは、受信した水位計6の水位に基づいて対応する給水予約情報に基づく給水が完結したと判定し、当該圃場1への給水が完結する。
また、圃場群給水量調整部31Bは、給水予約情報に基づいて、各圃場群10に対応して設けられた圃場群給水量調整装置140を遠隔制御して各圃場群10への給水量を調整するように構成されている。
例えば、給水予約情報から所定期間毎に必要とされる給水量に合わせて各圃場群10に給水することで、無駄な配水を低減することができる。
各圃場群10への許容最大給水量は、例えば、配水池121から圧送される水量を各圃場群10で均等に分水した給水量とされ、個々の圃場群10での予約はその供給量の範囲内とされるが、各圃場群10の給水量に余力がある場合、許容最大給水量がその余力分を加算されてもよい。この場合、給水予約要求を受け付けた際に許容最大給水量が再計算される。但し、圃場群給水量調整装置140の給水量には限界があるため、これを超えない範囲で許容最大給水量が設定される。
図6には、圃場給水スケジュール生成部21Cによる圃場給水スケジュールの生成手順が示されている。給水スケジュール管理部31Cから給水可能スケジュールを読み込むと(SC1)、許容最大給水量内で給水優先度に基づいて、つまり優先度が高い順に給水対象圃場の順序を設定し(SC2)、さらに、給水量が安定するように、給水弁の口径に基づいて給水対象圃場の順序設定し(SC3)、圃場給水スケジュールを決定する(SC4)。なお、ステップSC2とSC3は何れを先に実行してもよいし、何れか一方のみ実行するように構成してもよい。
圃場給水スケジュール生成部21Cは、機械学習装置を用いて給水可能スケジュールから圃場給水スケジュールを生成するように構成してもよい。機械学習装置としてグラフ探索アルゴリズムを好適に用いることができる。
所定期間の給水可能スケジュールに含まれる全圃場に対して当該所定期間内に給水を完了するための最も効率のよい順序を探索することになる。
例えば、各圃場に設置された給水栓の数、各給水栓の口径、配水池121から各給水栓まで距離及び/または高低差に基づいて正規化した重み係数(距離が短いほど値が大きく、高低差が大きいほど値が大きく)に基づいて各圃場への給水に必要となる基本給水時間を算出し、各圃場の給水期限(各圃場で給水後に予定されている作業日時)を最も差し迫った日時から最も余裕のある日時の間で正規化し、直近に作業予定が決まっている圃場が大きな値となる重み係数と、先に算出した基本給水時間と、同時並行で給水可能な最大給水量とに基づいて、同時並行給水を許容しつつ、最も効率のよい順序を探索するように構成することができる。
上述した実施形態では、許容最大給水量の調整も含めて灌漑用水管理システム30と協働して給水可能スケジュールを生成し、その給水可能スケジュールをベースに圃場水管理システム20に備えた圃場給水スケジュール生成部が圃場群で実際に実行される給水スケジュールを生成する例を説明したが、例えば、所定期間の許容最大給水量が固定値で定まっている場合など許容最大給水量の変動に影響を受けない場合には、灌漑用水管理システム30と協働して給水可能スケジュールを生成する必要はなく、圃場水管理システム20のみで給水スケジュールを設定することも可能である。この場合には、灌漑用水管理システム30に備えた給水スケジュール管理部31Cの機能を、圃場水管理システム20に備えた圃場給水スケジュール生成部21Cに持たせればよい。
また、給水予約受付部21A、圃場給水スケジュール生成部21Cの機能ブロックを灌漑用水管理サーバ31に備え、圃場水管理サーバ21に備えた圃場水制御部21Bが、灌漑用水管理サーバ31に備えた圃場給水スケジュール生成部21Cから送信される圃場給水スケジュールに基づいて圃場給水制御を行なうように構成してもよい。この場合には、灌漑用水管理システム30と圃場水管理システム20の双方が一体となって本発明の圃場水管理システムが構成されることになる。
以上説明した実施形態は本発明の一例に過ぎず、該記載により本発明の技術的範囲が限定されることを意図するものではなく、圃場水管理システム及び圃場水管理サーバ、灌漑用水管理システム及び灌漑用水管理サーバの具体的な構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
1:圃場
2:給水装置
3:導水路
6:水位センサ
8:端末
10:圃場群
20:圃場水管理システム
21:圃場水管理サーバ
21A:給水予約受付部
21B:圃場給水制御部
21C: 圃場給水スケジュール生成部
30:灌漑用水管理システム
31:灌漑用水管理サーバ
31A:許容最大給水量取得部
31B:圃場群給水量調整部
31C:給水スケジュール管理部
100:給水管(支線)
120:給水管(幹線)
121:配水池
130:水源池
140:圃場群給水量調節装置
200:広域圃場給水管理システム

Claims (4)

  1. 配水池から給水路への灌漑用水の供給量を調整する灌漑用水管理システムと通信可能に接続され、
    前記給水路を介して圃場群毎に供給される灌漑用水に対して、各圃場群を構成する各圃場への給水を管理する圃場水管理システムであって、
    前記灌漑用水管理システムに備えた給水スケジュール管理部から供給される各圃場群に対する所定期間の給水可能最大量である許容最大給水量を含む給水可能スケジュールに基づいて、各圃場管理者の端末装置からの給水予約要求の受け付け処理を実行する給水予約受付部と、
    前記給水予約受付部で受け付けた給水予約に基づいて前記所定期間の各圃場への給水スケジュールを生成する圃場給水スケジュール生成部と、
    前記圃場給水スケジュール生成部により生成された給水スケジュールに従って各圃場の給水装置を制御する圃場給水制御部と、
    を備え、
    前記圃場給水スケジュール生成部は、前記許容最大給水量を超えない範囲で、各圃場への給水量が維持されるように給水対象となる圃場を順序付けするように構成されている圃場水管理システム。
  2. 前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水装置に備えた弁機構の数に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする請求項1記載の圃場水管理システム。
  3. 前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水装置に備えた弁機構の口径に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする請求項1または2記載の圃場水管理システム。
  4. 前記圃場給水スケジュール生成部は、各圃場の給水優先度に基づいて給水対象となる圃場を順序付けする請求項1から3の何れかに記載の圃場水管理システム。
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