以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
[第1の実施の形態]
[概要]
撮像素子の前面に赤外線カットフィルタ(infrared cut filter:IRCF)が配置された撮像装置は、蛍光灯のように輝線スペクトルを有する光源下で撮像すると、適切な色シェーディング補正が掛けられない。蛍光灯は、赤色光から赤外光にかけての分光分布比率が低く、赤外線カットフィルタの入射角依存性の影響が小さいためである。このため、蛍光灯光源下で撮像された画像に対し、通常の色シェーディング補正を行うと、過剰補正となり、画像周辺部が赤色に色づいてしまう。
本実施の形態の撮像装置では、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別し、蛍光灯光源下での撮像の場合は、色シェーディング補正の条件を変えることにより、適切に色シェーディングを補正する。
[構成]
ここでは、本発明をレンズ交換式のデジタルカメラに適用した場合を例に説明する。デジタルカメラは、撮像装置の一例である。
図1は、デジタルカメラの概略構成を示す図である。
デジタルカメラ1は、撮像レンズ10及びカメラボディ100を有する。撮像レンズ10は、交換可能であり、レンズマウントを介して、カメラボディ100に装着される。
撮像レンズ10は、レンズ12、絞り14、レンズ駆動部16、絞り駆動部18、レンズ操作部20及びレンズマイコン22を備える。なお、図1では、便宜上、レンズ12を1枚のみ図示しているが、撮像レンズ10には、複数枚のレンズが備えられる。撮像レンズ10は、少なくとも焦点調節機能を有する。レンズ駆動部16は、焦点調節に係わるレンズ群(フォーカスレンズ群)を光軸に沿って前後移動させる。絞り14は、たとえば、虹彩絞りで構成される。絞り駆動部18は、絞り14を駆動して、絞り羽根を動作させ、絞り14の開口径を変化させる。レンズ操作部20は、撮像レンズ10の操作部であり、フォーカスリング、絞りリング等の各種操作部材を備えて構成される。レンズ操作部20は、各操作部材の操作に応じた信号をレンズマイコン22に出力する。レンズマイコン22は、プロセッサ及びメモリを備えたマイクロコンピュータで構成される。プロセッサは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)等で構成される。メモリは、たとえば、RAM(Ramdom Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成される。レンズマイコン22は、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、撮像レンズ10の制御部として機能する。メモリには、プロセッサが実行するプログラム及び各種データが格納される。レンズマイコン22は、レンズ操作部20からの操作入力及びカメラマイコンからの指令に応じて、レンズ駆動部16及び絞り駆動部18を制御する。
カメラボディ100は、撮像素子110、撮像素子駆動部120、メカシャッタ122、シャッタ駆動部124、赤外線カットフィルタ126、アナログ信号処理部128、ADC(Analog to Digital Converter)130、記憶部132、表示部134、カメラ操作部136及びカメラマイコン140等を備える。
撮像素子110は、所定のカラーフィルタ配列を有する二次元のカラーイメージセンサで構成される。本実施の形態の撮像装置では、撮像素子110が、CMOS(Complementary Mental-Oxide Semiconductor)型のカラーイメージセンサで構成される。なお、撮像素子110は、CMOS型の他、CCD(Charged Coupled Device)型、XYアドレス型等のカラーイメージセンサで構成することもできる。撮像素子110は、撮像レンズ10の光軸上に配置される。撮像素子駆動部120は、カメラマイコン140からの指令に応じて、撮像素子110を駆動する。
メカシャッタ122は、たとえば、フォーカルプレーンシャッタで構成される。シャッタ駆動部124は、メカシャッタ122を駆動して、シャッタ幕を動作させ、メカシャッタ122を開閉させる。
赤外線カットフィルタ126は、撮像素子110の前面に配置される。赤外線カットフィルタ126は、入射光の中から赤外光(波長650nm以上の光線)をカットする。一般的な撮像素子は、人間の眼の分光感度特性に比較して、赤外光の感度が高い。このため、本実施の形態のデジタルカメラ1では、撮像素子110の前面に赤外線カットフィルタ126を挿入し、比視感度を補正している。赤外線カットフィルタ126は、たとえば、光の干渉を利用したダイクロイックタイプが使用される。赤外線カットフィルタ126は、光学フィルタの一例である。
アナログ信号処理部128は、撮像素子110から出力される画像信号に対し、相関二重サンプリング処理、ゲイン調整等の所定のアナログ信号処理を行う。
ADC130は、アナログ信号処理部128で所定の処理が施されたアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。
なお、撮像素子110が、CMOS型のイメージセンサである場合、撮像素子駆動部120、アナログ信号処理部128およびADC130は、撮像素子110に含まれることが多い。また、アナログ信号処理部128に変えてデジタル信号処理部(不図示)を有することも多い。CMOS型のイメージセンサの一例としては、以下である。撮像素子110を構成する画素ごと又は複数の画素ごとに、アナログ増幅部が設けられる。画素信号は、アナログ増幅部において増幅された後、行単位で読み出され、ADCに供給される。ADCは、供給された画素信号をデジタル画素信号に変換し、デジタル信号処理部に供給する。デジタル信号処理部は、デジタル画素信号をデジタル相関二重サンプリング処理、デジタルゲイン処理、補正処理等を行って、デジタル画像信号に変換する。
記憶部132には、主として、撮像した画像データが記憶される。記憶部132は、たとえば、内蔵メモリ及び/又は外部メモリで構成される。内蔵メモリは、たとえば、不揮発性を有する半導体メモリで構成され、カメラボディに内蔵される。外部メモリは、たとえば、メモリカードで構成され、カメラボディに備えられたカードスロットに装填される。
表示部134は、撮像済みの画像の再生に使用される他、撮像の際にライブビュー画像が表示され、ファインダとして使用される。また、各種設定を行う際に、各種設定情報を表示して、設定用モニタとして使用される。表示部134は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)などで構成される。
カメラ操作部136は、カメラボディ100の操作部であり、電源ボタン、シャッタボタン等の各種操作部材を備えて構成される。カメラ操作部136は、各操作部材の操作に応じた情報をカメラマイコン140に出力する。
カメラマイコン140は、プロセッサ及びメモリを備えたマイクロコンピュータで構成される。プロセッサは、たとえば、CPU等で構成される。メモリは、たとえば、RAM及びROM等で構成される。カメラマイコン140は、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。メモリには、プロセッサが実行するプログラム及び各種データが格納される。
図2は、撮像素子の概略構成を示す図である。
撮像素子110の受光面112には、多数の画素が二次元マトリクス状に配置される。受光面112に配置される画素は、第1画素114R、第2画素114Rx、第3画素114G及び第4画素114Bのいずれかの画素で構成される。
第1画素114Rは、第1カラーフィルタRを備えた画素である。第1カラーフィルタRは、赤色(Red,R)の波長域の光を透過させるカラーフィルタである。第1画素114Rは、いわゆるR画素であり、赤外線カットフィルタ126と共に用いた場合に、赤色の波長域(610nm~750nm)に分光感度のピーク(第1ピーク)を有する。
第2画素114Rxは、バンドパスフィルタRxを備えた画素である。バンドパスフィルタRxは、次のような透過波長特性を有する。
図3は、第1画素及び第2画素の分光感度分布、並びに、赤外線カットフィルタの透過波長特性を示すグラフである。同図において、符号Saは、第1画素114R(R画素)の分光感度分布を示している。符号Sbは、第2画素114Rxの分光感度分布を示している。符号Scは、赤外線カットフィルタ126の透過波長特性を示している。また、図4は、一般的な蛍光灯のスペクトル分布を示すグラフである。
バンドパスフィルタRxは、一般的な蛍光灯(三波長発光形蛍光灯)のスペクトルの赤色の発光ピーク(620nm)よりも長波側で短波側の波長をカットし、かつ、赤外線カットフィルタ126の長波側のカット波長よりも短波側で長波側の波長をカットする構成を有する。一例として、本実施の形態のバンドパスフィルタRxは、中心波長が660nm、バンド幅(半値全幅)が40nmのバンドパスフィルタで構成される。
このような構成のバンドパスフィルタRxを備えた第2画素114Rxは、赤外線カットフィルタ126と共に用いた場合に、一般的な蛍光灯のスペクトルの赤色の発光ピーク(620nm)と赤外線カットフィルタ126の遮断域の短波側カットオフ波長との間に分光感度のピーク(第2ピーク)を有する構成となる。
なお、第1画素114R(R画素)は、一般的な蛍光灯のスペクトルの赤色の発光ピークよりも短波側に分光感度のピーク波長(第1ピーク波長)を有する。したがって、第2画素114Rxは、赤外線カットフィルタ126と共に用いた場合に、第1画素114Rの分光感度のピーク波長(第1ピーク波長)と赤外線カットフィルタ126の遮断域の短波側カットオフ波長との間に分光感度のピーク(第2ピーク)を有する構成となる。また、第2画素114Rxは、第1画素114Rの分光感度のピーク波長(第1ピーク波長)よりも長波側で、かつ、赤外線カットフィルタ126の遮断域の長波側のカットオフ波長よりも短波側の光を受光する構成となる。また、図3に示す、第1画素114R及び第2画素第2画素114Rxの分光感度分布は一例であり、上述の特性を満たす異なる分光感度分布でも実現可能である。
第3画素114Gは、第3カラーフィルタGを備えた画素である。第3カラーフィルタGは、緑色(Green,G)の波長域の光を透過させるカラーフィルタである。第3画素114Gは、いわゆるG画素であり、緑色の波長域(500nm~560nm)に分光感度のピーク(第3ピーク)を有する。
第4カラーフィルタBは、第4カラーフィルタBを備えた画素である。第4カラーフィルタBは、青色(Blue,B)の波長域の光を透過させるカラーフィルタである。第4画素114Bは、いわゆるB画素であり、青色の波長域(435nm~480nm)に分光感度のピーク(第4ピーク)を有する。
各画素は、規則的に配置される。本実施の形態のデジタルカメラ1では、図2に示すように、6×6の画素を1つのユニット(画素ユニット)とし、この6×6の画素ユニットUが、行方向(x方向;水平方向)及び列方向(y方向;鉛直方向)に繰り返し配置される。
図5は、1つの画素ブロックにおける画素の配列を模式的に示す図である。
同図に示すように、1つの画素ユニットUには、次のように、各画素が配置される。第1行目には、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114B、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114Rの順で各画素が配置される。第2行目には、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114G、第1画素114R、第2画素114Rx、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第3行目には、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114G、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第4行目には、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114R、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114Bの順で各画素が配置される。第5行目には、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114G、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第6行目には、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114G、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。特に、本実施の形態のデジタルカメラ1では、水平方向(x方向)において、第2画素114Rxが第1画素114Rに隣接して配置される。なお、図2に示す画素の配列は、第2画素114Rxを第3画素114Gに置き替えた場合、X-Trans(登録商標)配列と称される配列となる(図18参照)。
以上の構成の撮像素子110は、通常の原色カラーフィルタ(第1カラーフィルタR、第3カラーフィルタG及び第4カラーフィルタB)を備えた画素(第1画素114R、第3画素114G及び第4画素114B)に加えて、所定のバンドパスフィルタRxを備えた画素(第2画素114Rx)を有することにより、その出力信号から蛍光灯光源下での撮像であるか否かを高い精度で判別できる。具体的には、同色系の画素である第1画素114R及び第2画素114Rxの出力(画素値)の比に基づいて、蛍光灯光源下での撮像であるか否かを判別する。蛍光灯光源下での撮像の場合、第1画素114R及び第2画素114Rxの出力の比は低下する。これは、第2画素114Rxが、蛍光灯のスペクトルの赤色の発光ピーク(620nm)と赤外線カットフィルタ126の遮断域の短波側カットオフ波長との間に分光感度のピーク(第2ピーク)を有するためである。よって、判別のための閾値を設定し、比が閾値以上か否かを判定することで、蛍光灯光源下での撮像であるか否かを判別できる。この場合、比が閾値未満の場合に蛍光灯光源下での撮像と判定される。
図6は、カメラマイコンが実現する機能のブロック図である。
同図に示すように、カメラマイコン140は、所定の制御プログラムを実行することにより、制御部140A及び信号処理部140B等として機能する。
制御部140Aは、デジタルカメラ1の全体の動作を統括制御する。制御部140Aが行う制御には、測光制御、測距制御、露光制御(撮像制御)、記録制御、再生制御、表示制御及び設定制御等が含まれる。露光制御には、レンズ12の駆動制御、絞り14の駆動制御、メカシャッタ122の駆動制御及び撮像素子110の駆動制御等が含まれる。レンズ12の駆動制御及び絞り14の駆動制御は、レンズマイコン22を介して行われる。カメラマイコン140は、レンズマウントに備えられた通信用の端子を介して、レンズマイコン22と通信する。
信号処理部140Bは、各種信号処理を実施する。信号処理部140Bが行う処理には、撮像素子110から出力される信号に基づいて、画像データを生成する処理が含まれる。画像データを生成する処理には、色シェーディング補正処理、画素補間処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理及びホワイトバランス調整処理等が含まれる。画素補間処理は、第2画素114Rxの位置の画素を補間する処理である。本実施の形態では、第2画素114Rxの位置に第3画素114Gが配置されているものとして、第2画素114Rxの位置の画素が補間される。すなわち、G画素で補間される。画素の補間技術については、公知技術を採用できる。たとえば、隣接する第3画素114Gの出力に基づいて補間される。この他、画像データの生成に関して、色シェーディング補正処理以外の処理については、公知技術を採用できる。したがって、以下においては、色シェーディング補正処理についてのみ説明する。
図7は、色シェーディング補正処理に係わる機能のブロック図である。
同図に示すように、色シェーディング補正処理は、主として、画像信号取得部150A、入射角度情報取得部150B、係数選択部150C、係数補正部150D、撮像光源判別部150E及び色シェーディング補正処理部150Fにより実現される。各部の機能は、カメラマイコン140を構成するプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現される。
画像信号取得部150Aは、処理対象の画像信号を取得する。すなわち、撮像素子110から出力される画像信号を取得する。撮像素子110から出力される画像信号は、アナログ信号処理部128及びADC130を介して取得される。
入射角度情報取得部150Bは、撮像レンズ10から入射角度情報を取得する。入射角度情報は、撮像レンズ10の受光面に入射する光線束の集光部分の集光角度に関する情報である。入射角度情報には、上下光線中心角及び上下光線角幅の情報が含まれる。以下、上下光線中心角及び上下光線角幅について説明する。
図8は、上下光線中心角及び上下光線角幅を説明する図である。
撮像レンズ10を通った光線束は、撮像素子110の受光面上に集光される。絞り(入射瞳)の中心を通る光線が主光線L0である。入射瞳の上側の縁を通る光線が上光線L1である。入射瞳の下側の縁を通る光線が下光線L2である。
上下光線中心角θは、上光線L1及び下光線L2の中間点を通る光線(中心光線)Lxの入射角をいう。上下光線中心角θは、上光線L1の入射角及び下光線L2の入射角の平均値として算出される。たとえば、上光線L1の入射角が13度、下光線L2の入射角が7度の場合、(13+7)÷2=10により、上下光線中心角θは10度となる。
なお、中心光線Lxと主光線L0は必ずしも一致しない。集光位置が周辺に行くに従い(像高が高くなるに従い)、両者のずれは大きくなる。
上下光線角幅wは、上光線L1及び下光線L2の成す角度をいう。上下光線角幅wは、上光線L1の入射角及び下光線L2の入射角の差分として算出される。たとえば、上光線L1の入射角が13度、下光線L2の入射角が7度の場合、(13-7)=6により、上下光線角幅wは6度となる。上下光線角幅wは、集光位置ごとに異なり、集光位置が周辺に行くに従い狭くなる。
上下光線中心角及び上下光線角幅は、撮像素子110の受光面112を像高に応じて複数の領域に分割し、分割した領域ごとに求められる。
図9は、撮像素子の受光面の分割を説明する図である。
本実施の形態のデジタルカメラでは、撮像素子110の受光面112が、像高に応じて8つの領域(像高0~像高7の領域)に分割される。撮像レンズ10に備えられたレンズマイコン22のメモリ(不図示)には、各領域の上下光線中心角及び上下光線角幅の情報が格納される。レンズマイコン22は、カメラマイコン140からの要求に応じて、メモリに格納された各領域の上下光線中心角及び上下光線角幅の情報を読み出し、カメラマイコン140に送信する。入射角度情報取得部150Bは、このレンズマイコン22から送信される情報を受信して、各領域の上下光線中心角及び上下光線角幅の情報を取得する。なお、レンズマイコン22から送信される情報には、この他、絞りの位置、フォーカスレンズ群の位置の情報等も含まれる。また、撮像レンズ10がズームレンズの場合には、ズームレンズ群の位置の情報も含まれる。
係数選択部150Cは、色シェーディング補正に必要な係数を選択する。色シェーディング補正に必要な係数の情報は、係数記憶部160に格納される。係数記憶部160は、カメラマイコン140を構成するメモリで構成される。メモリの一記憶領域には、色シェーディング補正に必要な係数の情報が格納される。
ここで、本実施の形態のデジタルカメラ1において、色シェーディング補正は、像高に応じて分割された領域(像高0~像高7の領域)ごとに行われる。よって、色シェーディング補正に必要な係数は、像高0~像高7の領域ごとに定められる。
図10は、色シェーディング補正の係数の一例を示す図である。
同図に示すように、係数は、分割された領域(像高0~像高7の領域)ごとに定められ、かつ、画素の種類ごとに定められる。画素の種類は、第1画素114R(いわゆるR画素)、第3画素114G(いわゆるG画素)及び第4画素114B(いわゆるB画素)の3つである。また、係数は、各領域において、像高の方向ごとに定められる。像高の方向は、図9に示すように、受光面112の中心Oから右方向に水平に延びる直線の方向を0度方向とし、反時計回りに20度の間隔で各方向の係数が定められる。
図10に示す例では、係数を「%」で表示している。この場合、たとえば、+1%は係数として1.01を表わし、±0%は係数として1.00を表わす。
係数は、図10に示すように、テーブルの形式で定められる。係数を定めたテーブルは、係数記憶部160に格納される。本実施の形態のデジタルカメラ1では、色シェーディング補正の係数を定めたテーブル(係数テーブル)が複数用意される。各係数テーブルは、ナンバリングされて、係数記憶部160に格納される。
係数選択部150Cは、入射角度情報取得部150Bで取得された領域ごとの上下光線中心角及び上下光線角幅の情報に基づいて、領域ごとに係数テーブルを選択する。係数選択部150Cは、選択テーブルを参照して、係数テーブルを選択する。
図11は、選択テーブルの一例を示す図である。
同図に示すように、選択テーブルは、行方向(横方向)を上下光線中心角、列方向(縦方向)を上下光線角幅として、選択すべき係数テーブルの番号がマトリクスで規定される。
係数テーブルの選択は、次のように行われる。たとえば、像高3の領域における上下光線中心角が10度、上下光線角幅が6度とする。この場合、選択テーブルから選択すべき係数テーブルは2となる。したがって、この場合、像高3の領域における係数は、番号2の係数テーブルの像高3の係数が選択される。
このように、色シェーディング補正の係数は、領域ごとの上下光線中心角及び上下光線角幅の情報に基づいて、領域ごとに係数テーブルを選択することにより、像高の領域(像高0~像高7の領域)ごとに特定される。
なお、ここで特定される色シェーディング補正の係数は、標準で定められる色シェーディング補正の係数である。標準で定められる色シェーディング補正の係数とは、蛍光灯光源以外の光源下で撮像された画像に対して適用される色シェーディング補正の係数である。蛍光灯光源下での撮像の場合は、この標準で定められる色シェーディング補正の係数に対し、所定の補正係数がかけられて補正される。
係数補正部150Dは、係数選択部150Cで選択された係数(標準で定められる色シェーディング補正の係数)を必要に応じて補正する。補正するか否かは、撮像光源判別部150Eの判別結果に基づいて決定される。係数補正部150Dは、撮像光源判別部150Eにおいて、蛍光灯光源下での撮像であると判別されると、係数選択部150Cで選択された係数を補正する。
撮像光源判別部150Eは、撮像素子110から出力される画像信号に基づいて、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別する。具体的には、第1画素114R及び第2画素114Rxの出力(信号値)に基づいて、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別する。撮像光源判別部150Eは、第1画素114Rの出力VRに対する第2画素114Rxの出力VRxの比Vr(Vr=VRx/VR)を算出し、算出した比Vrに基づいて、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別する。具体的には、算出した比Vrを閾値Vthと比較し、閾値未満の場合(Vr<Vthの場合)に、蛍光灯光源下での撮像であると判定する。第2画素114Rxの特性により、赤色の波長域において、急峻なスペクトルを有する蛍光灯光源下での撮像では、第2画素114Rxの出力値が、第1画素114Rの出力値に比して大きく低下する。よって、両者の出力の間に大きな比が取れ、その出力の比から蛍光灯光源下での撮像か否かを容易に判別できる。これにより、たとえば、青空のように、青色の波長域に強い強度を持ち、赤色の波長域に弱い強度を持つ光源下での撮像であっても、容易に区別できる。
なお、比Vrは、隣接する第1画素114R及び第2画素114Rxの間で算出することが好ましい。特に、水平方向(x方向)において、隣接する第1画素114R及び第2画素114Rxの間で算出することが好ましい。これにより、被写体の色味に依存せずに高い精度で蛍光灯光源下での撮像か否かを判別できる。本実施の形態のデジタルカメラ1では、図2に示すように、各画素ユニット内における2行4列目に配置される第1画素114Rと、2行5列目に配置される第2画素114Rxとの間で比Vrが算出される。また、比Vrは、第1画素114R及び第2画素114Rxの出力の平均又は総和で算出される。すなわち、すべての第2画素114Rxの出力の平均又は総和と、第2画素114Rxに隣接するすべての第1画素114Rの出力の平均又は総和との比が算出される。
閾値Vthは、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別できる値に設定される(一例として、Vth=0.05)。閾値Vthの情報は、カメラマイコン140のメモリに格納される。
撮像光源判別部150Eで蛍光灯光源下での撮像であると判別されると、撮像光源判別部150Eは、係数選択部150Cで選択された各領域(像高0~像高7の領域)の係数を補正する。撮像光源判別部150Eは、領域ごとに定められた第1画素114R(R画素)、第3画素114G(G画素)及び第4画素114B(B画素)の係数のうち第1画素114R(R画素)の係数に所定の補正係数Kを乗じて、各領域の係数を補正する。
図12は、色シェーディング補正の係数の補正の一例を示す図である。
同図において、上段は、補正前の係数を示し、下段は、補正後の係数を示している。上段の補正前の係数は、標準で定められる係数である。同図に示す例では、補正係数KをK=0.5とし、各領域(像高0~像高7の領域)の係数を補正している。補正係数Kは、各領域の第1画素114R(R画素)の係数に対してのみ乗じられる。
係数補正部150Dにおいて、係数が補正されることで、蛍光灯光源下でされる画像に対する色シェーディング補正の係数が設定される。
色シェーディング補正処理部150Fは、撮像素子110から出力される画像信号に対し、色シェーディング補正の処理を行う。色シェーディング補正の処理は、次のように行われる。すなわち、像高に応じて分割された各領域(像高0~像高7の各領域)の画像信号に対し、領域ごとに定められた係数を乗じて、画像信号を補正する。各領域の係数は、画素の種類ごと、像高の方向ごとに定められているので、画素の種類ごと、像高の方向ごとに係数が乗じられて、画像信号が補正される。
[作用]
ここでは、本実施の形態のデジタルカメラ1で行われる色シェーディング補正処理の手順について説明する。
図13は、色シェーディング補正処理の手順を示すフローチャートである。
まず、撮像レンズ10から入射角度情報を取得する(ステップS1)。入射角度情報には、上下光線中心角及び上下光線角幅の情報が含まれる。
次に、色シェーディング補正の係数を選択する(ステップS2)。色シェーディング補正の係数は、上下光線中心角及び上下光線角幅の情報に基づいて選択される。選択された係数が、標準で定められる色シェーディング補正の係数となる。
次に、選択した係数の補正処理が行われる(ステップS3)。
図14は、係数の補正処理の手順を示すフローチャートである。
まず、第1画素114Rの出力に対する第2画素114Rxの出力の比Vrを算出する(ステップS3a)。次に、算出した比Vrと閾値Vthとを比較する(ステップS3b)。次に、算出した比Vrが閾値Vth未満か否かを判定する(ステップS3c)。算出した比Vrが閾値Vth未満の場合、選択した係数を補正する(ステップS3d)。補正は、像高0~像高7の各領域の第1画素114R(R画素)の係数に所定の補正係数Kを乗じることで行われる。補正した場合、補正後の係数が、色シェーディング補正の係数として設定される。算出した比Vrが閾値Vth以上の場合は、係数を補正せずに、選択された係数が色シェーディング補正の係数として設定される。以上により、係数の補正処理が完了する。
次に、設定された係数に基づいて、色シェーディング補正の処理を実行する(ステップS4)。色シェーディング補正の処理は、像高0~像高7の各領域の画像信号に対し、領域ごとに定められた係数を乗じて、画像信号を補正することにより行われる。
以上説明したように、本実施の形態のデジタルカメラ1によれば、撮像素子110から出力される信号に基づいて、蛍光灯光源下での撮像であるか否かを高精度に判別できる。これにより、色シェーディングを適切に補正できる。
[変形例]
上記実施の形態では、撮像レンズに入射角情報が保持される例で説明したが、各撮像レンズの入射角度情報をカメラボディ側で保持する構成とすることもできる。この場合、たとえば、撮像レンズ側からレンズの識別情報を取得し、該当する入射角度情報を特定する。
また、入射角度情報は、撮像レンズで設定可能な絞り値(F値)ごとに定めてもよい。この場合、設定されている絞り値に応じた入射角度情報が取得される。
また、上記実施の形態では、撮像素子の受光面を像高に応じて複数の領域に分割し、領域ごとに色シェーディング補正する構成としているが、領域の分割の態様は、これに限定されるものではない。たとえば、撮像素子の受光面をマトリクス状に分割する構成としてもよい。たとえば、受光面を8×8の領域に分割し、領域ごとに色シェーディング補正する構成とすることができる。この場合も領域ごとに色シェーディング補正の係数が設定され、設定された係数を用いて、色シェーディング補正が行われる。
また、受光面内で第2画素114Rxを配置する領域については、適宜設定できる。たとえば、受光面の中央領域にのみ配置する構成とすることもできる。
また、第2画素114Rxを配置する領域内で第2画素114Rxを配置する位置、数等については、適宜変更できる。
図15は、第2画素の配置の他の一例を示す図である。
本例の撮像素子は、第2画素114Rxが存在する画素ユニットUと、第2画素114Rxが存在しない画素ユニットUaとが、受光面規則的に配置される。本例では、第2画素114Rxが存在する画素ユニットUと、第2画素114Rxが存在しない画素ユニットUaとが、行方向(y方向)に交互に配置されている。
第2画素114Rxが存在しない画素ユニットUaは、第2画素114Rxが存在する画素ユニットUの第2画素114Rxを第3画素114Gで置き替えたものである。
このように、第2画素114Rxの数及び配置等については、適宜変更できる。
また、画素の配置は、適宜変更できる。たとえば、画素の基本配列(第2画素114Rxを配置しない場合の配列)として、ベイヤ配列を採用することもできる。
図16は、ベイヤ配列の撮像素子に本発明を適用した場合の画素の配列の一例を模式的に示す図である。
ベイヤ配列では、2×2の画素を1つのユニット(画素ユニット)とし、この2×2の画素ユニットUbが、行方向(x方向)及び列方向(y方向)に繰り返し配置される。1つの画素ユニットUbは、1行1列目に第3画素114G(G画素)、1行2列目に第1画素114R(R画素)、2行1列目に第4画素114B(B画素)、2行2列目に第3画素114G(G画素)が配置される。
第2画素114Rxは、一部の画素が規則的に置き替えられて、規則的に配置される。ベイヤ配列では、各画素の割合が、R画素:B画素:G画素=1:1:2となる。したがって、G画素(第3画素114G)の一部を第2画素114Rxで置き替えることが好ましい。これにより、画質への影響を最小限に抑えることができる。また、この場合、水平方向(x方向)において、R画素(第1画素114R)に隣接するG画素の一部を第2画素114Rxで置き替えることがより好ましい。これにより、被写体の色味に依存せずに高精度に蛍光灯光源下での撮像であるか否かを判別できる。
[第2の実施の形態]
本実施の形態のデジタルカメラは、撮像素子の構成が、上記第1の実施の形態のデジタルカメラと相違する。本実施の形態のデジタルカメラの撮像素子は位相差検出用の画素を有している。
図17は、撮像素子の画素の配列を模式的に示す図である。
本実施の形態のデジタルカメラの撮像素子は、上記の第1画素114R、第2画素114Rx、第3画素114G及び第4画素114Bに加えて、位相差検出用の画素を備える。位相差検出用の画素は、第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116B及び第3の位相差検出用画素116Cで構成される。位相差検出用の画素は、第5画素の一例である。
撮像素子は、位相差検出用の画素が存在する第1の画素ユニットU1と、位相差検出用の画素が存在しない第2の画素ユニットU2とが、規則的に配置される。第1及び第2の画素ユニットは、共に6×6の画素で構成される。本実施の形態では、第1の画素ユニットと第2の画素ユニットとが、行方向(y方向)に交互に配置される。
図18は、第2の画素ユニットにおける画素の配列を模式的に示す図である。
第2の画素ユニットU2には、次のように、各画素が配置される。第1行目には、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114B、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114Rの順で各画素が配置される。第2行目には、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114G、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第3行目には、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114G、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第4行目には、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114R、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114Bの順で各画素が配置される。第5行目には、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114G、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第6行目には、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114G、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。この配列は、X-Trans(登録商標)配列と称される配列である。
図19は、第1の画素ユニットにおける画素の配列を模式的に示す図である。
第1の画素ユニットU1には、次のように、各画素が配置される。第1行目には、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114B、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114Rの順で各画素が配置される。第2行目には、第4画素114B、第3の位相差検出用画素116C、第3画素114G、第1画素114R、第2画素114Rx、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第3行目には、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114G、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。第4行目には、第3画素114G、第4画素114B、第1画素114R、第3画素114G、第1画素114R、第4画素114Bの順で各画素が配置される。第5行目には、第1画素114R、第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116B、第4画素114B、第3画素114G、第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116Bの順で各画素が配置される。第6行目には、第4画素114B、第3画素114G、第3画素114G、第1画素114R、第3画素114G、第3画素114Gの順で各画素が配置される。
すなわち、第1の画素ユニットU1は、第2の画素ユニットU2における2行2列目の位置の画素(第3画素114G)を第3の位相差検出用画素116Cに置き替え、2行5列目の位置の画素(第3画素114G)を第2画素114Rxに置き替え、5行2列目及び5行5列目の位置の画素(第3画素114G)を第1の位相差検出用画素116Aに置き替え、5行3列目及び5行6列目の位置の画素(第3画素114G)を第2の位相差検出用画素116Bに置き替えたものである。位相差検出用の画素(第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116B及び第3の位相差検出用画素116C)、並びに、第2画素114Rxに置き替えられる画素は、すべて第3画素114G(G画素)である。
位相差検出用の画素(第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116B及び第3の位相差検出用画素116C)、並びに、第2画素114Rxは、水平方向(x方向)の片側半分が遮光された構造を有する。
図20は、第1の位相差検出用画素及び第2の位相差検出用画素の概略構成を示す図である。
同図に示すように、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bは、フォトダイオード116A1、116B1の前面にマイクロレンズ116A4、116B4、カラーフィルタ116A3、116B3及び遮光層116A2、116B2を有する。
第1の位相差検出用画素116Aの遮光層116A2は、水平方向(x方向)において、フォトダイオード116A1の受光領域の左側半分を遮光する。第1の位相差検出用画素116Aにおいて、マイクロレンズ116A4及び遮光層116A2は、撮像レンズ10の瞳領域を分割する機能を有する。この結果、第1の位相差検出用画素116Aでは、撮像レンズ10の射出瞳を通過する光束のうちの光軸の右側を通過する光束のみが受光される。
第2の位相差検出用画素116Bの遮光層116B2は、水平方向(x方向)において、フォトダイオード116B1の受光領域の右側半分を遮光する。第2の位相差検出用画素116Bにおいて、マイクロレンズ116B4及び遮光層116B2は、撮像レンズ10の瞳領域を分割する機能を有する。この結果、第2の位相差検出用画素116Bでは、撮像レンズ10の射出瞳を通過する光束のうちの光軸の左側を通過する光束のみが受光される。
第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bには、第3画素114Gと同様に、カラーフィルタ116A3、116B3として、緑色の波長域の光を透過させるカラーフィルタが備えられる。したがって、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bは、緑色の波長域に分光感度のピークを有する。
第3の位相差検出用画素116Cの構成は、第1の位相差検出用画素116Aの構成と同じである。すなわち、フォトダイオードの前面にマイクロレンズ、カラーフィルタ及び遮光層を有し、遮光層が、水平方向において、フォトダイオードの受光領域の左側半分を遮光する構成を有する。また、カラーフィルタとして、緑色の波長域の光を透過させるカラーフィルタが備えられる。
第2画素114Rxの構成は、カラーフィルタ以外、第1の位相差検出用画素116Aの構成と同じである。すなわち、フォトダイオードの前面にマイクロレンズ、カラーフィルタ及び遮光層を有し、遮光層が、水平方向において、フォトダイオードの受光領域の左側半分を遮光する構成を有する。その一方で、カラーフィルタに代えて、バンドパスフィルタRxが備えられる。バンドパスフィルタRxの構成は、上記第1の実施の形態の撮像素子110の第2画素114Rxに備えられたバンドパスフィルタRxと同じである。
以上の構成の撮像素子110によれが、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bの出力に基づいて、位相差を検出できる。なお、この種の位相差検出用画素を用いた位相差の検出は、公知の技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
第3の位相差検出用画素116Cは、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bのゲイン計算用の画素として機能する。位相差検出用の画素は、一部が遮光されることから、通常のG画素(第3画素114G)に比して、感度が低下する。そこで、通常のG画素と出力レベルを合わせるため、ゲインが調整される。カメラマイコン140は、第3の位相差検出用画素116Cと、第3の位相差検出用画素116Cに隣接する第3画素114Gとの出力の比に基づいて、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bのゲイン値を算出する。算出したゲイン値を第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bの出力に掛けて、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bの出力を補正する。補正後の出力は、G画素としての出力となる。
なお、通常(第2画素114Rxを備えていない場合をいう)、位相差検出用の画素は、隣接する第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bを1組とし、その1組の位相差検出用の画素(第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116B)に対して、1つのゲイン計算用の位相差検出用画素(第3の位相差検出用画素116C)が用意される。本実施の形態の撮像素子の場合、図19に示すように、位相差検出用の画素が備えられた第1の画素ユニットU1において、5行2列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行3列目の第2の位相差検出用画素116Bとの組み合わせ、及び、5行5列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行6列目の第2の位相差検出用画素116Bとの組み合わせが、1組の位相差検出用の画素を構成する。5行5列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行6列目の第2の位相差検出用画素116Bとの組み合わせに対しては、2行2列目の第3の位相差検出用画素116Cがゲイン計算用の画素として機能する。一方、5行5列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行6列目の第2の位相差検出用画素116Bとの組み合わせに対しては、対応するゲイン計算用の画素が存在しない。すなわち、本実施の形態の撮像素子では、本来、ゲイン計算用の画素(第3の位相差検出用画素116C)が配置される位置(図19において、2行5行目の画素の位置)に第2画素114Rxが配置されていることから、5行5列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行6列目の第2の位相差検出用画素116Bとに対しては、対応するゲイン計算用の画素が存在しない。そこで、本実施の形態の撮像素子では、5行5列目の第1の位相差検出用画素116Aと5行6列目の第2の位相差検出用画素116Bのゲイン値を隣接する位相差検出用の画素のゲイン値で補間する。具体的には、5行2列目の第1の位相差検出用画素116A及び5行3列目の第2の位相差検出用画素116Bのゲイン値で補間する。
第3の位相差検出用画素116Cの出力については、たとえば、ゲイン値の算出に使用した第3画素114G(第3の位相差検出用画素116Cに隣接する第3画素114G)の出力で補間する。具体的には、図19において、2行3列目の第3画素114G(G画素)の出力で補間する。
第2画素114Rxの出力については、たとえば、水平方向(x方向)において、第2画素114Rxに隣接する第3画素114Gの出力で補間する。具体的には、図19において、2行6列目の第3画素114G(G画素)の出力で補間する。
以上の構成の撮像素子110においても、第1画素114R及び第2画素114Rxの出力の比から、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別できる。撮像光源判別部150Eは、第1画素114Rの出力VRに対する第2画素114Rxの出力VRxの比Vr(Vr=VRx/VR)を算出し、算出した比Vrに基づいて、蛍光灯光源下での撮像か否かを判別する。すなわち、算出した比Vrを閾値Vthと比較し、閾値未満の場合(Vr<Vthの場合)に、蛍光灯光源下での撮像であると判定する。蛍光灯光源下での撮像と判別された場合は、標準で定められる色シェーディング補正の係数を補正し、色シェーディング補正を行う。
本実施の形態の撮像素子によれば、位相差検出用の画素を備える場合において、規則的に配置される位相差検出用の画素の一部を第2画素114Rxに置き替えて配置することにより、位相差検出用の画素の補間技術を流用して、第2画素114Rxが配置された位置の画素を補間できる。位相差計算用の画素(第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116B)ではなく、ゲイン計算用の画素(第3の位相差検出用画素116C)の一部を置き替えることにより、位相差の検出精度を確保できる。
なお、位相差検出用の画素は、必ずしも受光面の全体に備える必要はない。位相差検出用の画素は、フォーカスエリアとして設定可能な領域に備えられる。
[変形例]
図21は、ベイヤ配列の撮像素子に位相差検出用の画素及び第2画素を配置する場合の画素の配置の一例を模式的に示す図である。
本例は、規則的に配置される位相差検出用の画素の一部を第2画素に置き替えて配置する場合の例を示している。
位相差検出用の画素は、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bで構成される。第2画素は、第1の第2画素114Rx1及び第2の第2画素114Rx2で構成される。第1の第2画素114Rx1は、水平方向(x方向)の左側半分が遮光された構造を有する。第2の第2画素114Rx2は、水平方向(x方向)の右側半分が遮光された構造を有する。
図21に示す例では、位相差検出用の画素が配置された行において、第4画素114B(B画素)、第1の第2画素114Rx1、第2の位相差検出用画素116B、第3画素114G(G画素)、第1の位相差検出用画素116A、第2の第2画素114Rx2の順で繰り返し各画素が配置される。これにより、規則的に配置される位相差検出用の画素の一部が、規則的に第2画素(第1の第2画素114Rx1及び第2の第2画素114Rx2)に置き替えられて配置される。
本例のように配置することにより、位相差検出用の画素の補間技術を流用して、第2画素が配置された位置の画素を補間できる。
なお、本例には、ゲイン計算用の位相差検出用画素が備えられていないが、ゲイン計算用の位相差検出用画素を更に備えることもできる。本例の場合、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bのゲイン値は、たとえば、第1の位相差検出用画素116A又は第2の位相差検出用画素116B位相差検出用の画素に隣接して配置される第3画素114G(G画素)の出力を利用して、ゲイン値を求めることができる。
図22は、ベイヤ配列の撮像素子に位相差検出用の画素及び第2画素を配置する場合の画素の配置の他の一例を模式的に示す図である。
本例では、位相差検出用の画素が配置された行が、鉛直方向(y方向)に一定の間隔で配置される。また、第2画素114Rxが配置された行が、鉛直方向(y方向)に一定の間隔で配置される。位相差検出用の画素が配置された行と第2の第2画素114Rx2が配置された行は、一定の間隔で交互に配置される。
位相差検出用の画素が配置された行において、位相差検出用の画素は、第1の位相差検出用画素116A及び第2の位相差検出用画素116Bが、一定の間隔で規則的に配置される。具体的には、第4画素114B(B画素)、第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116B、第3画素114G、第1の位相差検出用画素116A、第2の位相差検出用画素116Bの順で繰り返し配置される。
第2画素114Rxが配置された行において、第2画素114Rxは、一定の間隔で規則的に配置される。具体的には、第3画素114G(G画素)、第1画素114R(R画素)、第3画素114G(G画素)、第1画素114R(R画素)、第2画素114Rx、第1画素114R(R画素)の順で繰り返し配置される。すなわち、第2画素114Rxは、第1画素114R(R画素)及び第3画素114G(G画素)が配置される行に配置され、かつ、一部の第3画素114Gが第2画素114Rxに置き替えられて配置される。これにより、水平方向(x方向)において、第1画素114R(R画素)に隣接して、第2画素114Rxを配置できる。また、このように配置することにより、被写体の色味に依存せずに高い精度で蛍光灯光源下での撮像か否かを判別できる。位相差検出用の画素の補間技術を流用して、第2画素が配置された位置の画素を補間できる。
[その他の実施の形態]
(1)色シェーディング補正
画像を複数の領域に分割し、領域ごとに色シェーディング補正の係数を設定して、画像に色シェーディング補正を行う場合、分割した領域ごとに蛍光灯光源下での撮像であるか否かを判別する。判別結果に基づいて、領域ごとに色シェーディング補正の係数を設定する。
窓際での撮像のように、蛍光灯と太陽光とが混在する光源下での撮像の場合、領域によって色シェーディングの現れ方が異なる。したがって、領域ごとに蛍光灯光源下での撮像であるか否かを判別することで、より適切に色シェーディングを補正できる。
上記第1の実施の形態のデジタルカメラ1では、撮像素子110の受光面112を像高に応じて8つの領域(像高0~像高7の領域)に分割し、分割した領域ごとに標準の色シェーディング補正の係数を求めている。したがって、この場合、分割した8つの領域(像高0~像高7の領域)ごとに蛍光灯光源下での撮像であるか否かを個別に判別する。また、領域ごとの判別結果に基づいて、係数を補正する。すなわち、蛍光灯光源下での撮像と判別された領域については、当該領域について求められた標準の色シェーディング補正の係数に所定の補正係数を乗じ、新たな係数に設定する。蛍光灯光源下での撮像ではないと判別された領域については、当該領域について求められた標準の色シェーディング補正の係数をそのまま使用する。
なお、上記実施の形態では、撮像素子110の受光面112を像高に応じて複数の領域に分割する構成としているが、分割の態様は、これに限定されるものではない。この他、たとえば、撮像素子110の受光面112をマトリクス状に分割する構成とすることもできる。たとえば、受光面112を8×8で等分割し、分割した領域ごとに色シェーディング補正の係数(標準の係数)を求め、領域ごとに係数を補正する構成とすることができる。
また、補正係数については、第1画素114Rの出力VRに対する第2画素114Rxの出力VRxの比Vrに応じて変える構成とすることもできる。
(2)第2画素の構成
第2画素については、蛍光灯光源のスペクトルの赤色の発光ピークと赤外線カットフィルタ126の遮断域の短波側カットオフ波長との間に分光感度のピーク(第2ピーク)を有する構成であることが好ましい。これにより、蛍光灯光源下で撮像した場合に、第1画素に対する第2画素の出力の比を大きく取れ、蛍光灯光源下での撮像を容易に判別できる。
一般的な蛍光灯光源を検出対象とする場合、第2画素は、第1画素(R画素)のピーク波長(第1ピーク波長)に対し、長波側に20nm以上、80nm以下の範囲に中心波長を有し、30nm以上、50nm以下の範囲に半値全幅を有することが好ましい。
(3)第2画素の配置
第2画素については、可能な限り第1画素(R画素)に近接して配置することが好ましい。これにより、被写体の色味に依存せずに高い精度で蛍光灯光源下での撮像か否かを判別できる。近接とは、たとえば、第1画素から2画素以内の範囲をいう。なお、好ましくは、第1画素に隣接して配置する。より好ましくは、水平方向(x方向)に隣接して配置する。
(4)撮像素子
撮像素子は、少なくとも光学フィルタと共に用いた場合に、赤色の波長域に分光感度のピーク(第1ピーク)を有する第1画素と、第1画素の分光感度のピーク波長(第1ピーク波長)と光学フィルタの遮断域の短波側カットオフ波長との間に分光感度のピーク(第2ピーク)を有する第2画素と、を有する構成であればよい。したがって、たとえば、モノクロの撮像素子の一部の画素を第1画素及び第2画素に置き替えて、撮像素子を構成することもできる。また、たとえば、原色カラーフィルタ以外のカラーフィルタを有する撮像素子の一部の画素を第1画素及び第2画素に置き替えて、撮像素子を構成することもできる。
(5)光学フィルタ
本発明は、少なくとも近赤外線に遮断域を持つ光学フィルタが撮像素子の前面に配置された撮像装置であれば、有効に作用する。少なくとも近赤外線に遮断域を持つ光学フィルタには、一般的な赤外線カットフィルタの他、たとえば、次の構成の光学フィルタも含まれる。すなわち、可視光域に透過特性を有し、可視光域の長波側に隣接する第1の波長域に遮断特性を有し、かつ、第1の波長域内の一部分である第2の波長域に透過特性を有する光学フィルタである。この光学フィルタでは、可視光域及び第2の波長域の2つの波長域で光が透過する(いわゆるデュアルバンドパスフィルタ)。この光学フィルタを備えた撮像装置では、可視光撮像及び赤外光撮像が可能となる。
(6)撮像装置
上記実施の形態では、本発明をレンズ交換式のデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。撮像レンズが、カメラボディに一体的に備えられたデジタルカメラにも適用できる。同様に、ビデオカメラ、テレビカメラ、シネカメラ、監視カメラ及び車載カメラ等にも適用できる。
また、撮像装置には、単体で構成されるものに限らず、他の機器に組み込まれたものも含まれる。たとえば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ウェラブルデバイス等に組み込まれた撮像装置も含まれる。
(7)プロセッサ
制御部及び信号処理部を構成するプロセッサには、汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
1つの制御部及び信号処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(たとえば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
また、複数の制御部及び信号処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の制御部及び信号処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の制御部及び信号処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の制御部及び信号処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。
このように、各種の制御部及び信号処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。