以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、押しボタン式の演出ボタン13(第1の操作手段)の他、上方向を指し示すボタン75a、右ボタン75b、下ボタン75c、および左ボタン75dから構成され、上下左右方向に入力操作可能な十字形の方向キー75(第2の操作手段)とが設けられている。演出ボタン13や方向キー75は、遊技者が操作可能な操作手段として機能し、特定の予告演出(たとえば、後述の「遊技者参加型演出」など)における所定の操作有効受付期間(ボタン有効期間)中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことが可能となっている。また、これらの操作手段は、客待ち待機中(後述の「デモ開始待ち演出」または「客待ち演出(デモ表示)」中)に係る「遊技設定画面」において、遊技者が好みの遊技設定を行う際にも利用される。この遊技設定画面とは、たとえば、遊技者が好みの音量や光量などの遊技設定が可能なメニュー画面である。なお、演出ボタン13には、その内部に内蔵ランプ(ボタンLED13b)が設けられており、ボタンLED13bの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(たとえば、所定色で点灯または点滅中)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。この発射装置32は、毎分100発程度の発射性能を有するものを採用している。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、遊技機の適所、たとえば、ガラス扉6の前枠周縁の装飾部材やセンター飾り体48(図2参照)の内部には、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(演出用LED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄(図5参照))の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48が設けられている。センター飾り体48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り体48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えており、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間に遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と、下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動表示および停止表示)による‘特別図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。なお、特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、普通図柄の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。本実施形態に係る普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行される。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
また普通図柄表示装置39aに隣接して、右打ち表示装置39bが設けられている。この右打ち表示装置39bは、LEDの点灯・消灯状態の組合せにより、遊技球が右流下経路3cを通過(流下)するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過(流下)するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知する。たとえば、LEDの発光状態が、点灯した状態であれば右打ち有利、消灯状態であれば左打ち有利であることが報知される。
また、右打ち表示装置39bに隣接して2個のLED(ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39cが設けられている。このラウンド数表示装置39cは、複数個のLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り体48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口を開放または拡大可能にする‘始動口開閉手段’を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り体48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として左右一対の可動翼片(可動部材)47を備え、この可動翼片47が開閉動作を行うことで、第2の特別図柄始動口である下始動口35を開放または拡大可能となっている。
また、普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に4つ(43a~43d)、右側に1つ(43e)、計5つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43h(各一般入賞口43a~43eの個々に対応)が形成されている。
また、普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲートからなる普通図柄始動口37(第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていないが、これに限らず、両流下経路に形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに不図示のゲージ構成(遊技くぎの配列)により、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞しうるが、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれるようになっている。なお、本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の一般入賞口43a~43dがあり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の一般入賞口43eがある。なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
(特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態の遊技機1では、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた「右打ち」をした場合、普通図柄始動口37に遊技球は入賞し易いが、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされる。しかし、この可動翼片47は、後述の「電サポ有り状態(電サポ状態)」が生起すると、少なくとも通常状態(通常遊技状態)よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。したがって、非電サポ中(後述の電サポ無し状態)下であれば遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」ではなく、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利となり、一方、電サポ状態下であれば、逆に「左打ち」ではなく「右打ち」が有利とされる。すなわち、遊技状態に応じて、左流下経路3bおよび右流下経路3cのいずれの流下経路に遊技球を流下させるかにより遊技進行が遊技者にとって有利または不利に作用し、「左打ち」か「右打ち」のいずれの打ち方をすれば遊技者にとり有利な状況(遊技進行が遊技者にとり有利)になるかについては、遊技状態に応じて変化し、非電サポ状態下を伴う遊技状態(たとえば、通常状態または潜確状態)では「左打ち」が、電サポ状態下を伴う遊技状態(たとえば、時短状態または確変状態)では「右打ち」が有利とされる。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43a~43eなどの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43h(各一般入賞口43a~43eの個々に対応)などの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。なお上記した各入賞手段については、遊技性に応じて、その個数、形状、形成位置などを適宜変更することができる。また、各入賞手段について、左流下経路3bおよび/または右流下経路3cのいずれを流下する遊技球を、入賞困難または入賞不可能、あるいは入賞可能とするかについても遊技性に応じて適宜変更することができる。
各入賞口に遊技球が入賞した場合、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、上始動口34は3個、下始動口35は1個、普通図柄始動口37は0個(賞球なし))、大入賞口50は15個、一般入賞口43a~eは3個が払い出される。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物>
また遊技領域3a内には、遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。本実施形態では、センター飾り体48内の右上側に第1の可動体役物80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物90が配設されている。第1の可動体役物80は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部81と、この時計盤部81上を回動可能に形成された短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として「掛時計部」を形作る。この意味で、第1の可動体役物80を「時計型役物」とも称する。時計盤部81は、短針が示すセクター区画場所毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、各数字セクターが個々に独立して異なった色で発光可能な構成となっている。
また、第2の可動体役物90は、花心の周りに複数枚の花弁からなる花冠を配し、更にその外側周囲に萼を配して花被を二重にし、以て花の形とした花型部91(第1可動体91)を、スイング動作が可能なアーム92(第2可動体92)の先端に取り付け、全体として花型役物90として構成されている。なお、花型部91は、花心を中心軸として複数枚の花弁が回動可能となっている。この花型役物90は、通常は液晶画面内の縁または液晶画面外の脇に定めた原位置(図2に実線で示す)で静止しており、所定の動作条件が成立すると、アーム92が傾倒動作して、当該アーム92と共に花型部91が液晶画面を覆う位置(図2に破線で示す)まで移動する。そして、図2に破線で示す演出位置まで移動すると、花型部91がアーム先端部において回転すると共に、半透明の花心および花弁部分が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色しうる。花型役物90は、その動作を終了すると、破線の演出位置から実線の原点位置に戻る。花型部91は、花弁の回動動作として、高速回転、低速回転、逆回転などの複数種類の動作パターンが可能であり、アーム92は、破線部まで傾倒する全開傾動動作の他、所定の傾動角度まで傾動する準傾動動作やアームがガタガタと振動する振動動作、寸動動作など複数種類の動作パターンが可能である。上記の時計型役物80(時計針82)や花型役物90(第1可動体91、第2可動体92)は、その動作態様により、予告演出に利用される他、後述の設定示唆演出を実行(現出)する際にも利用される。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下、「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行(現出)制御を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下、「演出制御部24」と称する)と、遊技球払出装置19による賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2-1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込みなどの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知し、システムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数(ハード乱数)を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(主制御基板)20と払出制御基板29は、不図示の電源基板から電圧降下信号(電源異常信号)を受けることによって、電源遮断に先立ち、バックアップ処理を開始して、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、RAMの各記憶内容を保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
また主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口センサ34a、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37への遊技球の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、これらセンサからの検出信号に基づき、いずれの入賞口に遊技球が入賞(入球)したのかを把握する。
また主制御部20には、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号に基づき、アウト球数を計数する計数手段を備えている。このアウト球数は、遊技者が発射装置32から遊技球を発射し続ければ、始動口34、35に入賞したか否かによらず、つまり、図柄変動表示ゲームが実行されるか否かによらず、増加していく。本実施形態に係る発射装置32の発射性能は、毎分100発であるから、たとえば「本日の累計アウト球数が30000発」であれば、遊技機1が本日300分稼働していたという稼動情報(累計アウト球数(個)/発射性能(毎分100発)を得ることができる。したがって、アウト球数(累計アウト球数)は、特定値で規定される遊技実績情報の一つであるといえる。なお、このアウト球数に関する情報(計数手段によるアウト球の計数結果)は、後述のベース値(遊技実績情報の一つ)の算出に利用される。
また主制御部20には、遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(たとえば、振動センサ、電波センサ、磁気センサ:不図示)が接続され、主制御部20は不正検出センサからの検出信号に基づき、遊技機に対する不正行為を監視可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを駆動制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと、特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cと、右打ち表示装置39bと、ラウンド数表示装置39cとが接続され、主制御部20は、これらに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、枠用外部端子基板21を介して、所定の遊技情報(外端信号)を遊技機の外部に設けられた、「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」などの外部装置に送信可能となっている。所定の遊技情報としては、たとえば、当り遊技開始/終了情報、入賞情報、特別図柄の変動開始/変動停止情報、賞球数情報、各種セキュリティ情報(不正行為検出情報や、RAMクリア、扉開放、設定変更などの発生情報)などがある。上記「データカウンタDT」とは、上記の外端信号に含まれる遊技情報に基づき、たとえば、大当り回数、ゲーム実行回数(図柄変動回数)、大当り間のゲーム実行回数などの遊技機に関する特定情報を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、ホールコンピュータHCとは、上記の外端信号に含まれる遊技情報に基づき、遊技機の遊技情報を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する遊技店専用の管理コンピュータである。
また主制御部20には、RAM203の所定領域(領域内メモリ)を初期化するためのRAMクリアスイッチ98と、後述する設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態に切り替えるための設定キースイッチ94と、その設定変更許容状態において、設定値を変更するための設定変更スイッチ95と、設定変更スイッチ95により選択された設定値を確定させるための設定変更完了スイッチ96とが接続され、主制御部20は、これらスイッチからの検出信号を受信可能となっている。
この実施形態の場合、RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、および設定変更完了スイッチ96は、いずれも操作者が操作可能な押しボタン式スイッチとなっている。また、設定キースイッチ94は、設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより、設定変更許容状態(ON)と設定変更禁止状態(OFF)とに切り替え可能なキースイッチとなっている。なお、これらスイッチ95、96、98は、設定値に対する不正変更操作などのゴト行為(不正行為)防止の観点から、遊技機内部の適所に形成されており、前枠2を開放しない限り、遊技機外部からのON/OFF操作が不可能となっている。
また主制御部20には、設定値に関する情報を表示する設定表示器97(設定表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態に係る設定表示器97は、1個の7セグメント表示器から構成されており、主制御部(主制御基板)20上に装着されている。なお、設定表示器97は、主制御基板20に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類などと制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
(設定値について)
主制御部20は、出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率)などの遊技者に付与する利益の期待値(利益)を段階別に変更可能な「設定変更機能」が設けられている。上記「設定値」とは、この段階を示す値である。この設定値は、設定表示器97により確認可能となっており、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員により適宜設定される。
「設定値」は、たとえば、大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を段階別に規定するもので、設定値が高くなるほど、大当りの抽選確率(大当り当選確率)が高く設定され、遊技者に有利に作用するようになっている。このような設定値は、少なくとも2段階(少なくとも第1設定値と第2設定値)を設けることができる。本実施形態では、設定1~6の6段階の設定値が設けられており、たとえば、低確率時において、設定1で1/240、設定2で1/231、設定3で1/222、設定4で1/210、設定5で1/198、設定6で1/189などである。すなわち、設定値が高くなるほど、大当りに当選し易くなり(機械割が高くなる)、遊技者に有利に作用することになる。このように「設定値」とは、機械割に影響する事象を段階別に規定する値であり、大当りなどの特別な事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味する。つまり、低確率時の大当りの抽選確率および/または低確率時の大当りの抽選確率を設定値に応じて異なるように構成することができる。なお、大当り抽選確率が高確率状態の場合(後述の特別図柄確変機能が作動する場合)、その確率が、10倍を超えない値まで上昇しうる。ただし、その上昇率は、設定値ごとに同一であってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態の場合、上昇率は各設定値で同一としてある。上記の例で言えば、低確率時の大当り抽選確率が設定1~6=1/240~1/189、上昇率が3倍とした場合、高確率時の大当り抽選確率は、設定1~6=1/80~1/63となる。
また、大当りを複数種類設けている場合には、設定値に応じて、1または複数種類の大当りの当選確率を変化させることができる。たとえば、大当り1~4という4種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1~4のすべての当選確率を高くなるように構成してもよいし、一部の大当りである大当り1~3の当選確率だけを高くなるように構成してもよいし(この場合、大当り4については全設定値で共通の当選確率となる)、特定の大当りのみ(たとえば、大当り1のみ)の当選確率だけを高くなるように構成してもよい(この場合、大当り2~4については全設定値で共通の当選確率となる)。また、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1~4の合算当選確率を高くなるように構成してもよい。また、条件装置の作動契機とならない小当り種別の当選確率を、前述の大当りのケースと同様に、設定値に応じて変化させてもよい。
(設定値の変更操作について)
本実施形態では、電源投入時に、少なくとも設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98とがON状態の場合に設定変更許容状態に制御され、それ以外のスイッチ操作にて、電源を投入した場合には、設定変更禁止状態に制御されるようになっている。この設定変更許容状態中において、設定変更スイッチ95をON操作すると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように設定1~6の使用範囲で循環式に切り替え表示される。そして希望する設定値が表示された際に、設定変更完了スイッチ96をON操作すると(設定確定操作)、現在の表示値が今回の設定値として確定され、その設定値データがRAM203の所定領域(設定値格納領域)に記憶される。そして、設定キースイッチ94を現在のON状態からOFF状態に操作すると、設定変更許容状態が終了され、以後、確定された設定値の下で遊技が開始されることになる。本実施形態の主制御部20は、遊技者に対する有利度が異なる複数の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択可能な設定値選択手段と、設定値選択手段により選択された設定値を設定する設定値設定手段とを備えている。なお、上記のような設定機能を有しない「設定無し遊技機」であってもよい。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報や、エラー情報などの各種遊技処理情報を、演出制御コマンドにより、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、外部からのゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(性能表示器99について)
また主制御部20には、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下、「性能情報」と称する)を報知する性能表示器99(情報表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態の性能表示器99は、複数個の7セグメントLEDからなり、具体的には、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLED(7セグ表示器99a~99d)を4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。また各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDP(ドット)を有している。上記「性能情報」は、主に、パチンコホール店や関係各庁が確認・調査等のために利用する情報であり、たとえば、遊技くぎの不正調整やゴト行為などにより出玉性能に異常が生じていないか、遊技機本来の出玉性能(設計上の出玉性能)が正当に発揮されているかなどを調査するための情報、換言すれば「遊技実績に関する情報(遊技実績情報)」である。したがって、性能情報自体については、後述の予告演出や設定示唆演出などとは異なり、遊技者が遊技に興じる際の遊技進行それ自体には直接的に関係の無い情報である。このため性能表示器99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の視認し易い箇所、たとえば、制御基板上またはこれを保護する基板ケース上などに搭載される。
本実施形態では、通常状態(大当り抽選確率が低確率(通常確率)、かつ後述の電サポ無し状態)中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の累計アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出されるベース値)を、上記「性能情報」として採用し、これを性能表示器99により所定態様にて表示する。なお、ベース値は、小数点第1位を四捨五入した値が性能表示器99に表示されるようになっている。ただし、単に永続的に計測してベース値(性能情報)を表示するのではなく、計測中のアウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了し、その計測終了時点のベース値を、履歴情報として、RAM203に格納し(今回のベース値を記憶する)、再度、新たなベース値の計測を開始する。なお、計測終了契機となる上述の「規定個数(60000個)」とは、本実施形態の場合、通常時アウト個数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)で計測される累計アウト球数(全状態アウト個数)を採用しており、この「全状態アウト個数」もリアルタイムに計測される。なお、性能表示器99に表示制御およびベース値に関する処理プログラムとそのワーク領域は、CPU201が通常の遊技進行の際にアクセスする領域(領域内メモリ)とは異なる領域(領域外メモリ)に定められている。また、性能情報は、上述した通常状態のベース値に限らず、有用な遊技実績情報であれば、特に制限はない。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。
払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払い出し動作状態に関する情報(状態信号)の送信などである。主制御部20は、球の払い出しの必要がある場合に、払出制御基板29に対して払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する「払出制御コマンド」)を送信可能となっており、他方、払出制御基板29は、主制御部20に対して上記状態信号を送信可能となっている。
払出制御基板29には、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態(上受け皿9が満杯状態であるか否か)を検出する満杯検出センサ60と、前枠2および/または前面操作パネル7の開閉状態を検出する扉開放センサ61(開放時ON/閉鎖時OFF)とが接続されており、払出制御基板29はこれらセンサからの検出信号を受信可能となっている。
また払出制御基板29は、遊技球払出装置19に設けられた、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bなどからの検出信号を受信可能となっている。また払出制御基板29は、遊技球払出装置19の払出モータ19c(遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動するモータ)を制御するための制御信号を送信可能となっている。
払出制御基板29は、上記状態信号として、満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bなどの各種センサからの検出信号に基づいて、満杯状態を示す「球詰り信号」、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す「扉開放信号」、遊技球の供給不足を示す「補給切れ信号」、賞球の払出異常(払出不足、払出過剰)を示す「計数エラー信号」、払い出し動作が完了したことを示す「払出完了信号」などの様々な状態信号を、主制御部20に対して送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7が開放状態であるか否か(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(賞球エラー)や、上受け皿9の満杯状態であるか否か(球詰りエラー)などを監視する。
また払出制御基板29には発射制御基板(発射制御部)28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号(発射許可信号ES)を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。
(2-2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、RTC機能部(Real Time Clock)、一定範囲のハード乱数を生成するためのカウンタ回路(16ビット用カウンタ、8ビット用カウンタ)、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。また、RTC機能部は、時を刻む時計ICであり、現在の時刻(「現在が何時何分何秒である」)という実時間上の時間情報および/または日付(月、日、曜日)に関する暦情報を提供する時計手段として働く。また、主制御部20と同じく、バックアップ機能やソフト乱数生成手段(たとえば、演出用抽選用乱数生成手段)も備えている。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、各種の演出用LED(装飾ランプ45、ボタンLED13b、その他の演出用LED)の発光制御、各種の可動体役物(時計型役物80、花型役物90)の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、画像表示演出、光演出、音演出、または可動体演出などを実行させるために、装飾ランプ45、ボタンLED13bなどの各種の演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、可動体役物(時計型役物80、花型部91、アーム92)を動作させる可動体役物モータ80c、91c、92cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば所定のエラー報知処理を行う。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aと、方向キー75(75a~75d)の操作を検出する方向キースイッチ75a’~75d’とが接続され、演出制御部24は、これら演出ボタン13や方向キー75からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドを受信した場合、そのコマンドに含まれる情報に基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、液晶表示装置36による演出画像の表示(画像表示演出)、スピーカ46からの音の再生(音演出)、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄の変動表示動作や予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。また演出制御部24は、所定の操作受付有効期間中において、演出ボタンスイッチ13aや方向キースイッチ75a’~75d’からの操作検出信号に基づき、演出ボタン13および/または方向キー75に対してどのような操作が行われたか(たとえば、押圧、長押し、連打、方向キー75の上下左右方向の押し順など)を識別可能な構成となっており(操作識別手段)、その操作態様に応じた演出を実行制御可能な構成となっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3-1.図柄変動表示ゲーム)
(3-1-1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお、本明細書中では説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する場合がある。また、特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称する(場合により「特図」と略す)し、「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを区別せずに「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、また液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(当り図柄:たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示態様)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bによる大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口50への入賞球数が最大入賞数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される(ラウンド遊技終了条件(閉鎖条件)の成立)、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定のラウンド数(たとえば、最大10ラウンド)繰り返される。
上記大当り遊技が開始すると、まず開始インターバル時間(開始INT)を利用してオープニング演出が行われ、開始INTが終了すると、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数(最大ラウンド数)を上限として複数回行われる。そして、最大ラウンド数が終了すると、終了インターバル時間(終了INT)を利用してエンディング演出が行われて、一連の大当り遊技が終了する。なお、今回のラウンド遊技が終了すると、所定のインターバル時間(ラウンド間INT)を介して、次回のラウンド遊技が開始される。また、ラウンド遊技中には「ラウンド中演出」が、ラウンド遊技間(ラウンド間INT中)には「ラウンド間INT演出」が現出される。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング期間(開始INT期間)、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技期間、およびエンディング期間(終了INT期間)の各遊技期間を含んで構成される。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当りまたはハズレが1種類の場合は、図柄抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果や、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を、演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄に関する情報(図柄抽選結果情報)を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、大当り抽選結果の他、特定の予告演出(たとえば、後述のリーチ演出や疑似連演出(疑似連回数を含む))の実行を指定する情報なども含むことができる。詳しくは、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出(リーチの種類の指定を含む)の実行を指定する“リーチ変動パターン”、リーチ演出の実行を指定しない“通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との実行を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン”、疑似連演出の実行を指定しリーチ演出の実行は指定しない“疑似連有り通常変動パターン”などの、複数種類の変動パターンが含まれる。また、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンについては、その予告演出の演出時間を確保する関係上、基本的には、通常変動パターンの変動時間よりも長時間の変動時間が定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45などの演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えてもよい。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。また、図柄変動表示ゲーム(特に、特別図柄変動表示ゲーム)の実行回数(ゲーム数)を、説明の便宜のために「図柄変動回数」または「変動回数」あるいは「**回転(たとえば、1回転、10回転、1000回転など)」と称する場合がある。
(3-1-2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、所定の変動時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動(開動作)して、下始動口35の開放時間(始動口開状態時間)が最大開放時間(たとえば、最大6秒)経過した場合か、または下始動口35への入賞球数が所定個数(たとえば、最大10個)に達するまで、入賞領域が開放または拡大する開放状態に制御され、これらいずれかの条件を満した場合に可動翼片47の開放動作が終了して下始動口35が閉鎖される。なお、最大開放時間以内であれば、下始動口35を1または複数回開放することができる。
(3-1-3.作動保留球)
本実施形態では、図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、小当り遊技中、または普電開放遊技中に、各始動口34、35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中のデータまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。本明細書中では説明の便宜のために、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄の各作動保留球をそれぞれ、「特図1作動保留球」、「特図2作動保留球」、「普図作動保留球」とも称する。
(3-2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態の遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動機能(確変機能)」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率から高確率に変動させて、通常状態よりも有利な「高確率状態(大当り高確率状態)」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。なお、既に説明したように、本実施形態の場合、設定値に応じて低確率時および高確率時の大当り抽選確率が異なる(図4参照)。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率から高確率に変動させて(たとえば、1/256から255/256に変動させる)、通常状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。この特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、20秒から0.6秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。この開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間)を通常状態よりも延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。開放延長状態下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.6秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間あたりの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。したがって、開放延長機能が作動すると、下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常状態より高まり、開放延長機能が作動しない(非作動)状態と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この点で、上記開放延長状態は「電チューサポート状態(電サポ状態)」とも称される。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、少なくとも特別図柄確変機能が作動し、開放延長機能が作動しない遊技状態(本実施形態では、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態)を「潜確状態」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態(通常確率)’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。なお、条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれまた特別図柄の変動表示は中断される。
(高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の3つの機能が同じ契機にて動作する。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくとも1の機能が作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇する(入賞し易くなる)ことから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度または出玉率(ベース)が通常状態よりも高まる「高ベース遊技状態(始動口入球有利状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能および開放延長機能の少なくとも1つの機能)が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常状態よりも短時間となる「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度等が通常状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。この電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り’となる。本明細書中では、「電チューサポート状態無し」を、「電サポ無し状態」または「非電サポ状態」と称し、「電チューサポート状態有り」を、「電サポ有り状態」または「電サポ状態」と称する。
(3-2-1.内部遊技状態(遊技状態判定番号YJ):図28)
遊技状態を定める上記各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況については、主制御部20側において、これらの機能に対応したフラグのON/OFF状態により、その作動(5AH)/未作動(00H)が管理される。この各機能の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」とも称する。現在の内部遊技状態が如何なる内部遊技状態であるかについては、「遊技状態判定番号YJ」という識別子を用いて管理される。たとえば、遊技状態判定番号YJが「00H」の場合は‘通常状態’を指定し、「01H」の場合は‘確変状態’を指定し、「02H」の場合は‘時短状態’を指定し、「03H」の場合は‘潜確状態’を指定する。
(3-2-2.変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号Tcode):図28)
ここで本実施形態では、上述の内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理可能な構成となっている。詳細は追って説明するが、たとえば、通常状態には「一般」「前兆」といった複数種類の通常状態が含まれ、また、確変状態には「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」といった複数種類の確変状態が含まれ、これらは、“変動パターン振分指定番号Tcode”という識別子を用いて、それぞれ異なる遊技状態として管理されている。この変動パターン振分指定番号Tcodeの実体は、現在の遊技状態に対応する「変動パターン振分テーブル」(後述の図24~図27参照)を選択する際に利用される識別子(変動パターン選択モードを特定するデータ)である。したがって、たとえば、確変状態(遊技状態判定番号YJ=01H)を「ST序盤」、「ST中盤」および「ST終盤」に区分した場合、つまり、確変状態(YJ=01H)に対応する変動パターン振分指定番号Tcodeとして、「ST序盤(Tcode=02H)」、「ST中盤(Tcode=03H)」、「ST終盤(Tcode=04H)」とを定めれば(図28参照)、それぞれ異なる変動パターン振分テーブルを選択することが可能となる。
上記「変動パターン振分テーブル」は、図柄変動表示ゲームに係る特別図柄の変動パターンを決定する際に利用されるものであり、1または複数種類の変動パターン(特別図柄の変動パターン)が、少なくとも現在の遊技状態(変動パターン振分指定番号Tcode)と大当り抽選結果とに関連付けて定められている。たとえば、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルが指定され、「01H」である場合は、前兆モード用の変動パターン振分テーブルが指定される。すなわち、内部遊技状態は同一の「通常状態」であっても、変動パターン振分指定番号Tcodeが「00H」である場合は、一般モード用の変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択され、変動パターン振分指定番号Tcodeが「01H」である場合は、前兆モード用変動パターン振分テーブルに係る変動パターンが選択されることになる(後述の図12のS413、図24~図27等参照)。
またこれに起因して、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する複数種類の「演出モード」が設けられており、演出制御部24側において、各演出モード下における演出を現出(実行)させることができるようになっている。なお、演出モードについての詳細は後述する。
したがって、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「一般」または「前兆」という異なる変動パターン振分指定番号Tcodeに対応した変動パターンの選択が可能となり、変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する演出を現出させることができるようになっている。
本実施形態の場合、図28に示す通り、上記「内部遊技状態」の種類には、通常状態、時短状態、確変状態が含まれる(図28の「YJ」の欄参照)。一方、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態、換言すれば、演出の決定に着目した場合の「変動パターン振分指定番号Tcode」に関連する遊技状態の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、「一般」「前兆」「天井」「天国」「時短」「ST序盤」「ST中盤」「ST終盤」が含まれる(図28の「Tcode」の欄参照)。
このように、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能に着目した場合の「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「変動パターン振分指定番号Tcode」とを異なるものとして管理することにより、内部遊技状態が同じであっても(たとえば、通常状態)、異なる変動パターン振分指定番号Tcode(たとえば、一般中と前兆中)に対応した変動パターンを選択可能となっている。この結果、同じ内部遊技状態下であっても、図柄変動表示ゲームの消化時間(特別図柄の変動時間)や、これに関連する演出に大きな変化をもたらすことが可能となり、同一の内部遊技状態下における演出のバリエーションを豊富なものすることができる。
本明細書中では特に必要のない限り、少なくとも変動パターン振分指定番号Tcodeに関連する遊技状態を「遊技モード」と称する(図28の「遊技モード種別」の欄参照)。この遊技モードは、図28に示す通り、「変動パターン振分指定番号Tcodeと遊技状態判定番号YJ(内部遊技状態)」とに関連する遊技状態、換言すれば、“遊技機全体として捉えた遊技状態”として扱うことができる。なお、説明の便宜上、内部遊技状態と遊技モードとを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。また、変動パターン振分指定番号Tcodeを「変動パターン選択モード(Tcode)」と称し、適宜「Tcode」と略す。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係る「当り」について説明する。図4は、当り種別、当り遊技動作態様、当り遊技後の移行先遊技状態(移行先遊技モード)の説明に供する説明図である。
(4-1.当り種別について)
本実施形態の遊技機1では、大当り抽選対象の当り種別として、図示のように、確変大当り1~6、時短大当り1~2などの複数種類の当り種別が設けられている。これらの当りは、条件装置の作動契機となる「大当り種別」に属する当りであり、条件装置の作動契機とならない所謂「小当り種別」に属する当り(小当り)とは異なる。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置(特別電動役物を連続して作動させる装置)作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。また、役物連続作動装置の作動は、電サポ有り状態(開放延長機能作動)や確率変動を生起させる(一の内部遊技状態から他の内部遊技状態に移行させる)ための条件となっている。
したがって、小当りに当選した場合には、条件装置が作動せず、役物連続作動装置も作動しないため、内部遊技状態の移行は無い(小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない)。また、その小当りによる当り遊技(小当り遊技)は、役物連続作動装置が作動しないため、大当りのようなラウンド遊技は実行されないが、大入賞口の開閉パターンの定め方によって、見た目上、ラウンド遊技が実行されているように振る舞う「疑似的なラウンド遊技」を実現可能である。小当り遊技の動作態様は、ラウンド遊技が実行されない点を除き、基本的には、大当り遊技と同じであり、所定の開始INTの経過後、大入賞口を開放する「開閉動作遊技」が実行され、開閉動作遊技が終了すると、所定の終了INTを経て一連の小当り遊技が終了するようになっている。斯様な小当りは、大当りと同様に大入賞口の開閉動作を伴う当り遊技(特別遊技状態)の移行契機(実行契機)となる当選種別であるという点で、単なる「ハズレ」とは性質を異にする。
また、小当り当選した場合には内部遊技状態の移行は行われないが、変動パターン選択モード(Tcode)の移行は行うように構成することができる。このような移行形態を利用すれば、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と他の大当り遊技後の遊技状態とを同じ変動パターン選択モード(Tcode)に移行させた場合、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させることができる。また、小当り当選に起因して、第1変動パターン選択モードから第2変動パターン選択モードに移行させたり、第2変動パターン選択モードから第1変動パターン選択モードに再移行させたりすることも可能である。なお、本実施形態では「小当り」を設けていないが、遊技性などを考慮して、特図1側および/または特図2側の抽選対象に1または複数種類の小当りを設けることができる。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当り1~3および時短大当り1~2は、特別図柄1側の大当り抽選対象、確変大当り4~6は、特別図柄2側の大当り抽選対象となっている。また、図柄抽選確率は、図示の通りである。
(4-2.当り遊技について)
次に、上記した各当りによる当り遊技の内容について説明する。
図4の「当りの内容」の欄の確変大当り1~7および時短大当り1~2における「5R」、「7R」、「10R」の表記は、それぞれ、大当りに係る最大ラウンド数を示す。本実施形態の各大当りは、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が、大入賞口への入賞数が最大入賞数(10個)に達する可能性が十分に見込める「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定される大当りとなっている。なお、ラウンド遊技に係る大入賞口の開放パターンを、どのような開放パターンに定めるかは自由である。たとえば、少なくとも一部のラウンド遊技(特定のラウンド数目のラウンド遊技)に係る大入賞口の開放パターンを、上記長開放時間よりも短時間の「短開放時間(たとえば、1.8秒)」または、さらに短時間の「極短開放時間(たとえば0.2秒)」となるように設定してもよい。また、最大開放時間中は、大入賞口を開放し続けてもよいし、1または複数回の閉鎖を伴う開放パターン(たとえば、「1.3秒開放+0.5秒閉鎖+27秒開放」など)としてもよい。大当り遊技中の利益状態(利益度合)については、最大ラウンド数が相対的に多いほど高くなり、また大入賞口の最大開放時間が短開放よりも長開放の方が高くなる。本実施形態の場合、各大当りに係る最大開放時間は同じであるため、最大ラウンド数が多い大当りほど、大当り遊技中の利益状態が相対的に高くなる。
(4-3.当り遊技後の移行先遊技状態について:図4)
次に、上記各大当り遊技終了後に移行される遊技状態(遊技モード)について説明する。図4に示す「当選時の遊技状態/移行先遊技状態」の欄には、当り種別に応じて、当選時の遊技状態とその当り遊技後に移行される遊技状態(移行先遊技状態)との関係を示してある。
本実施形態では、少なくとも当選した大当り種別と当選時の遊技状態(内部遊技状態)とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている。具体的には、大当りに当選した場合は、その当選時の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)と、当選した大当り種別とに基づき、大当り遊技後の遊技状態が決定されるようになっている(後述の図21の遊技状態移行テーブル選択テーブル、図22の遊技状態移行テーブルを参照)。なお、図4の「当選時の遊技状態」は、遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示し、「移行先遊技状態」は、移行先の遊技モード(括弧内は、対応する内部遊技状態)を示す。
本発明の理解を容易なものとするために、先ず、大当り遊技後に移行される内部遊技状態について説明する。遊技モードの移行形態についての詳細は、図6および図7を用いて後述する。
(4-3A.時短系大当り(時短大当り1~2)に当選した場合)
まず、時短大当り1(5R時短A)、時短大当り2(5R時短B)に当選した場合について説明する。これら時短大当り1、2に当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「時短状態(YJ=02H)」に移行される。時短大当り1~2は、時短状態への移行契機となる大当りである点で「時短大当り」と称している。
上記「時短状態」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が、所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない小当りを除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該時短状態が終了して次回ゲームから「通常状態(YJ=00H)」に移行にされるようになっている。なお、規定回数に達したか否かは、特別図柄変動表示ゲーム1、2の実行回数をカウントすることにより判断される(後述のST回数のカウント、天井ゲーム数のカウントについても同様)。つまり、大当りすることなく、特別図柄変動表示ゲーム1、2の合計実行回数(特図1、2の合計変動回数)が規定回数分終了すると時短状態が終了されることになる。
時短大当り1に当選した場合には、上記規定回数として、時短回数100回(時短A)が設定され、時短大当り2に当選した場合には、時短回数50回(時短B)が設定される。すなわち本実施形態の時短大当り1、2は、有限の時短回数を付与する有限時短大当りとなっている。なお、次回の大当り当選まで時短状態を継続させる(時短回数が無限)の大当り(無限時短大当り)を設けてもよい。また、時短大当り1、2で同じ時短回数としてもよいし、時短大当りは1種類だけであってもよい。
(4-3B.確変系大当り(確変大当り1~7)に当選した場合)
次に、確変大当り1~7に当選した場合について説明する。
確変大当り1~7のいずれかに当選した場合、その当り当選時の遊技状態にかかわらず、少なくとも内部遊技状態が「確変状態(YJ=01H)」に移行される。確変大当り1~7は、確変状態への移行契機となる大当りである点で「確変大当り」と称している。
上記「確変状態」に移行された場合には、上述の時短状態に移行された場合と同じく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が所定の規定回数を終了するまで継続され、その規定回数内で大当りに当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該確変状態が終了するといった所謂「回数切り確変タイプ(STタイプ(有限確変タイプ))」となっている。正確には、大当り抽選確率が少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(確変状態や潜確状態)に移行された後、大当りに当選することなく上記規定回数が終了した場合、当該高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率状態に移行させる。この高確率状態が継続される上限回数を「ST回数」と称する。したがって、確変状態に移行された後、ST回数が終了した場合に確変状態が終了して通常状態(YJ=00H)に移行されるケース(後述の確変A)と、ST回数が終了した場合に高確率状態だけが終了するケース、詳しくは「特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能」のうちから「特別図柄確変機能」だけが終了して「時短状態(YJ=02H)」に移行されるケース(後述の確変B、確変C)とが含まれる。
本実施形態の確変状態には、ST回数が異なる複数種類の確変状態(確変A、確変B、および確変C)が設けられており、当選した大当り種別に応じて、確変A、確変B、確変Cのいずれかにに移行されるようになっている。なお、詳細は後述するが、遊技モードに着目した場合には、確変Aに移行される場合はST100モード、確変Bに移行される場合はST75モード、確変Cに移行される場合はST25モードといった確変A~Cに対応した遊技モードに移行されるようになっている(図6参照)。
(確変A、確変B、確変C)
上記「確変A」、「確変B」、「確変C」について説明する。
(イ)確変A(ST100モード)
確変Aは、ST回数が100回に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大1、確変大当り4、または確変大当り7に当選した場合、この確変Aに移行される。確変Aに移行された場合、大当りに当選することなくST回数100回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから内部遊技状態が「通常状態」に移行される。
(ロ)確変B(ST75モード)
確変Bは、ST回数が75回(確変BのST回数<確変AのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り2または確変大当り5に当選した場合、この確変Bに移行される。確変Bに移行された場合、大当りに当選することなくST回数75回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数25回の「時短状態」に移行される。詳しくは、大当り遊技後に確変状態に移行させた後、所定のST回数が終了した場合に、高確率状態だけを終了させて(特別図柄確変機能をOFF)、遊技状態を「低確率状態+電サポ有り状態」、すなわち「時短状態」に移行させる(ここでは、確変B=「ST回数75回+時短回数25回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数25回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。したがって、電サポ自体は、上述の確変Aと同じく、100回分が付与されるようになっているが、確変Bは、所定のST回数終了後に時短状態に移行される点で、上述の確変Aと大きく異なる。
(ハ)確変C(ST25モード)
確変Cは、ST回数が25回(確変CのST回数<確変BのST回数)に設定される確変状態である。本実施形態では、確変大当り3または確変大当り6に当選した場合、この確変Cに移行される。確変Cに移行された場合、大当りに当選することなくST回数25回を終了すると「確変状態」が終了し、次回ゲームから、時短回数75回の「時短状態」に移行される(ここでは、確変C=「ST回数25回+時短回数75回」となる)。そして、大当りに当選することなく時短回数75回が終了すると「時短状態」が終了し、次回ゲームから「通常状態」に移行される。確変Cも確変A、Bと同じく、電サポ100回が付与される。
なお、確変大当り2、3、5、6は、「所定のST回数の確変状態+所定の時短回数の時短状態」を付与する大当り(確変時短大当り)である点で“純粋な確変大当り(確変だけを付与する大当り)”ではないが、本明細書中では、先ず確変状態に移行させる点で「確変大当り」に属するものとして扱う。したがって正確には、確変大当りには、時短状態を付与しない「確変大当り」と、時短状態を付与する「確変時短大当り」とがある。
上記確変A、確変B、および確変Cは、それぞれ電サポ回数(電サポ有り状態の回数)が同一(100回)であるが、確変A、確変B、および確変Cの少なくとも1つは、異なる電サポ回数であってもよい。たとえば、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ100回としたり、確変Aは電サポ200回、確変Bは電サポ150回、確変Cは電サポ150回とすることができる。また、確変Bと確変Cは、確変状態から時短状態に移行されるものとして説明したが、確変状態だけで時短状態に移行されない、つまり、所定のST回数を伴う確変状態としてもよい。換言すれば、確変大当り2、3、5、6を上記「確変時短大当り」ではなく、確変大当り1、7と同じ「確変大当り」として定めてもよい。また、本実施形態の確変大当りの少なくとも一部を、潜確大当り(潜確状態移行契機大当り)としてもよい。たとえば、特図1側の確変大当り1~3を潜確大当りとすることができる。
<5.演出について>
(5-1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態(内部遊技状態および/または変動パターン選択モード)に関連する複数種類の演出モードが設けられている。たとえば、「通常状態」に関連する演出をなす「通常演出モード」、時短状態に関連する演出をなす「時短演出モード」、確変状態に関連する演出をなす「確変演出モード(ST演出モード)」、時短状態に関連する演出をなす「時短演出モード」など、各遊技状態に関連する複数種類の演出モードが設けられている。演出制御部24は、現在の演出モードに基づく演出を実行し、これにより、現在の遊技状態に関連する演出を実現する。また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示(背景演出)やBGMなどが、遊技状態に関連する演出態様にそれぞれ切り替え制御される。なお、各演出モードについての詳細は、図6~図7を用いて後述する。
演出制御部24(CPU241)は、遊技状態の移行(更新)に応じて、各演出モード間を移行制御可能に構成され、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる演出制御コマンドのうち、遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行されることを指定したりする特定の演出制御コマンドに含まれる情報に基づき、遊技状態(内部遊技状態(YJ)および/または変動パターン振分指定番号Tcode)を把握し、主制御部20側の遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理し、処理状態に応じて、一の演出モードから他の演出モードへの移行(複数種類の演出モード間の移行)を制御可能に構成されている。上述の特定の演出制御コマンドには、たとえば、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される特定コマンド(大当り開始コマンドや、大当り終了コマンド)などがある。
(5-2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(本実施形態では、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている(予告演出現出制御手段)。予告演出の主な役割は、当り種別に当選したか否かの期待度(周知の「当選期待度」)の示唆(予告)や、特定の予告演出の発生期待度(特定予告発生期待度)の示唆などである。予告演出の多くは、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」、「疑似連演出」、「遊技者参加型演出」、「先読み予告演出」などがあり、これらの演出に付随して複合的(同時的、重複的)に、または単独的に発生する種々の予告演出(所謂、ステップアップ演出、カットイン演出など)がある。
(5-2-1.リーチ演出)
「リーチ演出」とは、リーチ状態(所謂、テンパイ状態)を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由してゲーム結果を導出表示しうる演出態様をいう。リーチ演出には、特定のリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ演出(Nリーチ(ノーマルリーチ)が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を「SPリーチ(スーパーリーチ)」と称する。SPリーチは、遊技者の当選期待感を煽るべく、Nリーチよりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持ち、通常は、Nリーチを経由して実行される。上記NリーチやSPリーチは、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチが含まれる。
ゲーム結果が当りとなる場合は、その殆どが、このリーチ演出を経由して、当り図柄(たとえば、図柄揃い)が導出表示されるようになっている。すなわち、当り図柄が導出表示される過程において、何かしらのリーチ演出が現出されうる。このため、遊技者にとっては、リーチ演出の発生の有無が、当選可能性を知る手がかりとなる。そこで、リーチ演出の発生可能性を予告(示唆)する演出態様、換言すれば、当選期待度をさらに明確に予告しうる演出態様として、複数種類の「予告演出」が設けられている。この「予告演出」は、当選期待度を予告する煽り演出としての役割を担うものであるが、特定の演出(たとえば、リーチ演出や疑似連)が発生する可能性をしたり、特定の演出の発生を確定的に報知したりする役割も担う。したがって、たとえば、リーチ演出シナリオでは、リーチ演出が発生する前段階で或る予告演出が発生し、リーチ演出の発生可能性を予告するとともに、当選期待度を予告する場合がある。つまり、単にリーチ演出が単独で発生する場合よりも、他の予告演出が伴えば、当選期待度がより明確化され、遊技者の当選期待感を煽ることができるようになっている。また、予告演出は、大当り抽選結果に関連して、1または複数種類の期待予告演出が複合(同時的、重複的)して発生する場合があり、複数種類の期待予告演出が複合することで、より明確な当選期待度が示される。たとえば、当選期待度が低い低期待度予告演出であっても当選期待度が高い高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度がより一層高まり、複数の高期待度予告演出が複合すれば、当選期待度は飛躍的に高まる。
(5-2-2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(いわゆる「疑似変動」)を伴う演出態様をいう。この「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行されうる後述の「先読み予告演出」とは異なる。「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当選期待度が高まるように、その発生率が定められている。たとえば、疑似変動回数1回よりも2回の方が、当選期待度の高い予告演出(たとえば、SPリーチ)の発生期待度が高まることになる。したがって「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合には、主として、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、1または複数回の疑似変動を行った後、本変動であるリーチ演出が実行され、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。本明細書中で、疑似Nと称する場合、疑似変動M回と本変動とを合わせた回数を意味する。たとえば、「疑似2」と表記する場合は「疑似変動1回+本変動」、「疑似3」と表記する場合は「疑似変動2回+本変動」を意味する。
(5-2-3.遊技者参加型演出)
「遊技者参加型演出」とは、いわゆる「ボタン予告演出」に属する演出態様であり、操作手段(演出ボタン13および/または方向キー75)に対して所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされた場合、その操作内容に基づき、演出の内容が変化しうる予告演出態様である。遊技者参加型演出では、所定のボタン有効期間中になると、操作手段に対して所定の操作を指示する「操作指示演出」が現出され、そのボタン有効期間中に、遊技者が操作手段を操作すると、その操作内容に基づき、現出中の演出が他の演出(操作時演出)に変化し、操作前後の演出態様(演出内容)に応じて、当選期待度、当落、または設定示唆情報などを報知可能となっている。演出制御部24は、所定の設定条件に基づき(たとえば、遊技者参加型演出中の所定のタイミング)、操作手段の操作が有効となる操作有効期間(ボタン有効期間)を設定する機能部(操作有効期間設定手段)と、ボタン有効期間中に所定の操作前演出を現出制御可能な操作前演出制御手段と、当該操作有効期間に演出ボタンが操作されたことに基づき、所定の操作時演出を実行制御可能な操作時演出制御手段とを備えている。
(5-2-5.先読み予告演出)
「先読み予告演出」(以下「先読み予告」と略す)とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様(保留変化系先読み予告)や時系列的に先に実行される図柄変動表示ゲーム中の演出(図柄変動中系先読み予告)を利用して、当該作動保留球に関する当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。
図5を用いて、上記先読み予告を含め、本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示の概要について説明する。図5は、本実施形態に係る液晶表示装置36の画面表示の説明に供する説明図である。
液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特図1作動保留球の個数を表示する保留表示領域76と、特図2作動保留球の個数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関して、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1~d1(特別図柄1側に対応)、a2~d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1~d1、a2~d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留球数を表示する保留表示手段として働く。しかし、後述の先読み予告を実行する場合は、保留表示部a1~d1、a2~d2のうち該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告を発生させる手段として働く。
また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。
また、図5に示す液晶画面内の右下隅には、装飾図柄や予告演出などのメイン演出とは別のサブ的な演出(サブ演出)の表示領域として、特図1、2の作動保留球、普図作動保留球数、特図1、2の変動表示動作に関する情報、普図の変動表示動作に関する情報を表示可能なサブ表示領域79を設けてある。このサブ表示領域79の情報は、予告演出を表示する上で、装飾図柄の表示および/または保留表示部が非表示となった場合でも表示され続ける。したがって、現在、図柄変動表示ゲーム中であるか否か、作動保留球が幾つあるかについては、サブ表示領域79の情報により識別可能となっている。なお、遊技状態(遊技モードまたは内部遊技状態)に応じて、第1の遊技状態中(たとえば、通常モード(通常状態)中)の場合は、保留表示領域76を保留表示領域77よりも優先的(協調的)に表示し(一方を表示して他方を表示しない、或いは、一方の透過率を低くし、他方の透過率を高くする、一方を他方よりも相対的大きく表示する、エフェクト画像を一方に付し他方には付さないなど)、第2の遊技状態中(たとえば、後述の時短モード(時短状態)やSTモード(確変状態))の場合は、保留表示領域77を保留表示領域76よりも優先的に表示することができる。また、第1の遊技状態中は、保留表示領域76、77の双方を表示し、第2の遊技状態中は、保留表示領域77を優先的に表示することができる。
(先読み予告について)
次に、先読み予告について説明する。この先読み予告に関する現出制御については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図11のステップS318~S320(乱数判定処理~特別停止図柄データ作成処理)、図12のステップS410~S410(特別電動役物作動判定用乱数判定処理~特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)を事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図11のステップS320(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由するリーチ変動パターンとなるのか、それともリーチ状態を経由しない通常変動パターンとなるのかなどについて事前に判定される。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターンを判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
先読み判定結果に関する情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告に関する演出制御処理が行われる。本実施形態の場合、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)と、上記先読み変動パターン情報(少なくとも当落結果を先読み判定した情報)を特定可能な「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され(後述の図11のステップS323参照)、演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、そのコマンドに含まれる情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告に関する演出制御処理が行われる。
具体的には、演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、先読み変動パターン情報に基づき、先読み予告を実行(現出)するか否かに関する「先読み予告抽選」を行い、先読み予告を実行する場合には先読み予告に係る演出シナリオ決定し、その演出シナリオに従い、先読み予告を現出させる(たとえば、後述の図32参照)。上記先読み予告抽選の実行確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また、当選期待度が相対的に高い先読み変動パターン種別の場合の方が高確率となっている。よって、先読み予告が発生するか否かにより当選期待度が示される。なお、先読み予告は、作動保留球の発生したタイミング、または時系列的に先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告が現出されうる。なお、保留加算コマンドは、特図種別情報(特図1、2の別)を特定可能とする上位バイト側のデータと、先読み判定時の作動保留球数情報と特定可能とする下位バイト側データとの2バイトで構成される。また、保留加算コマンドは、当落結果を指定する上位バイト側のデータと、先読み判定情報として先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データの2バイトで構成される(図24~図27参照)。
なお上記先読み判定結果に関する情報は、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や変動開始時の変動パターンなどを事前判定した際に得られる遊技情報である。したがって、先読み判定結果に関する情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果の先読み判定結果(先読み当落結果)情報が含まれ、その他に、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、変動開始時の変動パターンに関する先読み判定結果(先読み変動パターン)情報を含ませることができる。たとえば、先読み変動パターン情報には、当り当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報(当落抽選結果に関する情報)だけでなく、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、リーチの有無(リーチ有りの場合はその種別)や疑似連の有無(疑似連有りの場合はその回数)に関する情報など、特定の予告演出が実行情報も含まれうる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、報知する予告内容をどのようなものにするかに応じて適宜定めることができる。たとえば、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、変動開始時に「Nリーチ1」を指定する変動パターンのケースであれば、先読み変動パターンにより指定される内容は「Nリーチ1」というリーチの種類そのものではなく、その骨子である「Nリーチ種(Nリーチ1またはNリーチ2)」である旨を指定してもよい。
(入賞時系先読み予告:保留変化予告)
この実施形態では、先読み予告を実行する場合(先読み予告抽選に当選した場合)、保留表示部a1~d1、a2~d2の保留アイコン(たとえば、後述の図29の備考3に示すアイコンや、図32に示す宇宙人のアイコンなど)のうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の特殊な保留色や色彩を付した保留表示(特別保留表示態様)に変化する保留変化予告が実行されうる。この保留変化予告は、入賞時(保留表示)を契機として現出しされうることから「入賞時系の先読み予告」とも称する。
この保留変化予告として、図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味し、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコン(当確保留予告)となっている。白点滅のアイコン表示は、後述の「ステップアップ保留変化予告」の発生可能性を示唆する保留アイコンであり、最終的な保留色が何色になるかを期待させるものとなっている(保留色が変化せずに白点滅のままの場合もある)。白点滅の場合は保留表示がそのままであれば当選期待度が特別保留表示の中で最も低いが、他の保留色に変化すれば、その保留色による当選期待度まで高まる。
本実施形態では、予告演出に関し、大当り抽選結果がハズレの場合には相対的に低い確率で選択され(低出現率)、大当りの場合には相対的に高い確率で選択(高出現率)される、といった高い当選期待度を持つ予告演出として、当選期待度が所定の期待値以上(本実施形態では、当選期待度20%以上を持つ予告演出)のものを「高期待度(当選期待度高」の予告演出とし、それ以外を低期待度の予告演出として扱う。先述の保留変化予告の場合、白点滅、青色、黄色、緑色、赤色、虹色の当選期待度がそれぞれ、1%、5%、9%、20%、30%、100%であるとすれば、「緑色、赤色、虹色」が高期待度予告演出に属し、それ以外は(白点滅、青色、黄色)、低期待度予告演出に属する。先読み予告が発生した場合、その作動保留球を対象とした図柄変動表示ゲーム中に、当選期待度が相対的に高い高期待度予告(高回数疑似連やSPリーチなど)が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、当りへの当選期待感はより一層高まることになる。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行し(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した特別保留表示は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、先読み予告は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出が現出されうるといった点で、疑似連などのような1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
保留変化予告に係る特別保留表示は、(A)入賞を契機に現出させるケース、換言すれば、保留表示のタイミングで現出させるケース、(B)入賞時は通常保留表示(白色)であるが、通常保留表示から特別保留表示(青色など)に変化させるケース、(C)現在の特別保留表示よりも当選期待度が相対的に高い特別保留表示に変化(たとえば、青色から黄色以上の保留色にステップアップ的に変化)させるケースなどもある。この(B)または(C)のケースでは、シフト表示中の所定のタイミング、先に実行されている図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング、特定の予告演出の現出中の所定のタイミング、保留変化予告用の遊技者参加型演出中(たとえば、ボタン操作有効期間中)などにおいて、一の保留表示態様から他の保留表示態様に変化させることができる。なお、上記(B)または(C)のような当選期待度がより高い保留表示に変化する保留変化予告を「ステップアップ保留変化予告」と称する。
また、ゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77における保留表示態様と同じ表示態様が維持されて、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告(特別保留表示)が当該ゲーム中においても遊技者に報知されうるが、当該図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングに、そのゲーム実行中保留Kの保留表示態様が他の保留表示態様に変化する場合もある。このようなゲーム実行中保留Kの表示態様の変化も上記ステップアップ保留変化予告に属するものとして扱う。
なお、原則として、現在の保留色から当選期待度が相対的に低い保留色に変化する「特別保留表示の成り下がり」は無いが、例外的に成り下がりが発生した場合は、その作動保留球が当確である旨が示唆され、当確保留予告と同じプレミアム的な保留変化予告となる。成り下りのケースとしては、たとえば、保留色が「青色→白色」や「赤色→青色」など、現在の保留表示よりも当選期待度が低い保留表示に変化する場合である。また、保留表示態様は、静止画による保留アイコン表示(静的表示態様)に限らず、動画(アニメーション)による保留アイコン表示(動的表示態様:たとえば、保留アイコンを回転、振動、、搖動、点滅(高速点滅や低速点滅)をさせて表示する)にしてもよい。
(図柄変動中系先読み予告:変動中先読み予告)
また本実施形態では、上述の「入賞時系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動中先読み予告」を現出可能となっている。この変動中先読み予告は、上述の保留変化予告とは異なり、図柄変動表示中の所定タイミングで現出されうることから「図柄変動中系(変動開始時変化系)」の先読み予告とも称する。
この「変動中先読み予告」とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを1または複数回の図柄変動表示ゲームにて実行(単発的にまたは連続表示させる)といった先読み予告である。すなわち、変動中先読み予告は、或る図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を実行するか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選を実行する場合には、その時点で現存する作動保留球(保留記憶)が複数個存在する場合には、それら全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にすることができる。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲーム中において、液晶表示装置36の画面に先読み専用予告画像(たとえば、図5Bの稲妻を模した予告画像)を表示させる。この場合、各図柄変動表示ゲームにおいて、その全部または一部が異なる先読み予告を現出させてもよい。たとえば、3回の図柄変動表示ゲームにわたり現出させる場合、1回目の図柄変動表示ゲームは雷雲画像、2回目の図柄変動表示ゲームは雨画像(雷雲から雨が降る様を表現した画像表示)または雷雲画像、3回目の図柄変動表示ゲームは稲妻画像とすることができる。また、予告画像に応じて当選期待度が異なるものとしてもよい。上述の例でいえば、雷雲画像は低期待度、雨画像は中期待度、稲妻画像は高期待度とすることができる。この場合、雷雲画像だけで終了した場合は当選期待感が低いが、稲妻画像が表示されれば、当選期待感が飛躍的に高まるといった演出効果を奏することができる。また、図柄変動表示ゲームの実行ごとに「雷雲画像→雨画像→稲妻画像」と期待度が段階的に発展(期待度が増す)するステップアップ系の先読み予告としてもよい。
なお、変動中先読み予告に用いる演出手段およびその演出内容については、適宜定めることができる。たとえば、画像表示であれば、先読み専用の背景画像や装飾図柄の組合せを利用してもよく、また、この画像表示に付随して専用の音演出、光演出、または可動体演出などを組合せてもよい。
本実施形態では、変動中先読み予告と保留変化予告とはそれぞれ独立して現出可能となっている。具体的には、保留変化予告の実行抽選と、変動中先読み予告の実行抽選とはそれぞれ独立した抽選となっている。したがって、保留変化予告が単独で発生ケースと、変動中先読み予告が単独で発生するケースと、保留変化予告と変動中先読み予告とが同時的(重複的)に発生するケースとがある。なお、変動中先読み予告を実行する際に用いる演出手段およびその演出内容については、適宜定めることができる。
(4-2-6.設定示唆演出)
また本実施形態では、上記「設定値」に関する情報を示唆する演出態様(設定示唆演出)を現出可能となっている。たとえば下記(ア)~(シ)のような設定示唆演出である。
(ア)低設定域(設定1~3、1~2、2~3など)を示唆する「低設定示唆演出」。
(サ)高設定域(設定4~6、4~5、5~6など)を示唆する「高設定示唆演出」。
(キ)偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」。
(ユ)奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」。
(メ)特定の設定値(設定1~6のいずれでもよい)を確定的に報知する「特定設定確定演出」。たとえば「設定N」を確定的に報知する「設定N確定演出」。ただし、無闇に内部的な設定値を確定的に報知するのは、好ましくない。その理由は、設定1や設定2確定などのように、低設定領域を確定的に示唆するものは、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうからである。そこで、高設定領域の設定4~6のいずれかを確定的に報知させることが好ましい。特に、設定5確定や設定6確定などの高設定が確定する特定設定確定演出が出現すれば、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
(ミ)特定の設定値(設定1~6のいずれでもよい)でないことを確定的に報知する「特定設定否定演出」。
(シ)特定範囲の設定値を示唆する「特定範囲示唆演出」。たとえば、設定3~5(α≦設定値≦β)を示唆、設定4以上(α≦設定値)を示唆、「設定1、3、5、6」の複数の特定値を示唆するなどがある。また、設定値に応じて出現率を異ならせて、たとえば設定1では出にくい、設定4ではそこそこ出る、設定6では出やすいなどのように、或る設定値の可能性が高い/低いを示唆することが可能である。
なお、設定示唆演出の現出率(実行確率)は、設定値に応じて適宜定めることができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど設定示唆演出の出現率が低くなるように定めてもよい。また、設定示唆演出の演出態様には特に制限はなく、音演出、光演出、画像表示演出、可動体演出のうち、1または複数の演出を利用することができる。
また、設定示唆演出は、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング、たとえば、予告演出と複合的または単独的に現出させることができる。また、図柄変動ゲーム中に限らず、大当り遊技中や、遊技開始待ち中の後述の「デモ開始待ち演出」や「客待ち演出(デモ表示)」などにも現出させることができる。
また、設定値に応じて特定の予告演出の出現率を規定することにより、その予告演出自身を「設定示唆演出」として機能させることもできる。たとえば、特定のリーチ演出、特定の疑似連(特定の疑似連態様や特定の疑似連回数)、特定の遊技者参加型演出、および特定の先読み予告などのうち、少なくとも1つ演出の出現率を設定値に応じて異ならせることにより、その予告演出自体を「設定示唆演出」として機能させることができる。たとえば、ハズレ時に特定のSPリーチが出現し易い場合は“高設定濃厚”、ハズレ時に疑似連3回(疑似変動2回+本変動)が出現し易い場合は“高設定濃厚”、特定のボタン操作演出が出現した場合は“設定6確定”示唆などである。また、先読み予告の演出を利用し、設定示唆演出専用の先読み予告態様を現出させることができる。たとえば、保留アイコンが高速点滅した場合は高設定濃厚、保留アイコンの1または全部が専用の保留アイコン(専用のキャラクタやアイテム画像)に変化した場合は“高設定濃厚”示唆などである。
<6.演出手段>
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であればよく、装飾ランプ45やLED装置などの光発生(発光)手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者に振動を与える振動装置(たとえば、発射操作ハンドル15が震えるなど)、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物は、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置(画像表示手段)と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出(画像表示演出)を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<7.遊技モードの遷移形態:図6、図7>
次に図6および図7を参照して、変動パターン選択モードに関連する「遊技モード」の内容と、各遊技モード間(各遊技状態間)の移行制御について説明する。図6および図7は、遊技モードとこれに関連する演出モードの概略を示す遊技フローである。
本実施形態では、図6および図7に示すように、一般、前兆、天井、天国、ST(ST序盤、ST中盤、ST終盤)などの複数種類の遊技モードが設けられており、これらの遊技モード下にて遊技の進行が制御される。
(7-1A.「通常モード」について)
通常モードは、内部遊技状態が通常状態に関連する遊技モードであり、この通常モードは、RAMクリア時(たとえば、RAMクリア操作時、設定変更時など)などが実行された場合に開始される初期の遊技モードとなっている。
この通常モードには、変動パターン選択モード(Tcode)が「00H」の「一般モード」と、「01H」の「前兆モード」とが含まれる。「一般モード」は、遊技進行中、最も長く滞在しうる遊技モードであり、基本的には、この一般モードから大当りに当選して他の遊技モード(後述のSTモードや時短モードなど)に移行されることになる。
(7-1A-1.一般モード中の演出について)
一般モード中は、一般モードに関連した演出をなす「一般演出モード」に移行される。本実施形態に係る一般演出モードには、複数種類の一般演出モードが含まれ、たとえば、客待ち待機中に遊技者が操作手段(演出ボタン13や方向キー75)を操作することにより、好みの一般演出モードに切り替え可能となっている。この実施形態の場合、図6の通常モードのブロック枠に示すように、「ノーマルモード(通常A演出モード)」、「シンプルモード(通常B演出モード)」、「プレミアムモード(通常B演出モード)」の3種類の演出モード(遊技者選択可能演出モード)のいずれかを選択可能となっている。ただし混同してはならないのは、これらの演出モードは、同一の変動パターン選択モード(Tcode=00H)下の演出モードであり、遊技者側が変動パターン選択モード(Tcode)自体を自由に切り替えられることを意味するものではない。したがって、ノーマル、シンプル、プレミアムモードの違いにより、出現する演出はそれぞれ異なる場合があるが、内部的に選択される特別図柄の変動パターン(変動パターン振分テーブル)は変化しないため、図柄変動表示ゲームの時間(特別図柄の変動時間)自体は変化しない。
「ノーマルモード」とは、デフォルトの演出モードであり、「シンプルモード」とは、ノーマルモードと比べて特定の予告演出の出現率が低確率または一切出現しない(出現率0%)演出モードとなっている(特定予告演出出現率変更モード)。
「シンプルモード」では、たとえば、(イ)当選期待度が相対的に高い特定の高期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%以上)のハズレ時の出現率がノーマルモードよりも低確率となり、当該特定の高期待度予告の出現時は当選期待度が大幅にアップし、高期待度予告出現時の興奮度を高める。また(ロ)当選期待度が相対的に低い特定の低期待度予告(たとえば、ノーマルモード時の当選期待度30%未満の演出、先読み予告)の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、過度な煽り演出(ハズレ時の演出)が少なく、シンプルな演出が好みの遊技者に好適である。また(ハ)遊技者参加型演出の出現率がノーマルモードよりも低確率(0%を含む)となり、演出ボタン操作を伴う演出の出現率が低確率となるため、落ち着いた遊技が好みの遊技者に好適である。
「プレミアムモード」では、当確系演出(大当り当選濃厚の演出(たとえば、当選期待度90%以上)または大当り当選確定の演出)の出現率が、ノーマルモードおよびシンプルモードよりも高確率となり、1または複数種類の特定の低期待度予告の出現率が低確率(0%を含む)となる。したがって、当確を予告しうるプレミアム的な演出の出現を楽しみたい遊技者に好適な演出モードとなっている。
なお、ノーマル、シンプル、およびプレミアムのいずれの演出モードも設定示唆演出の出現率については同一の確率としてもよいし、それぞれ異なる確率としてもよい。
また、ノーマル、シンプル、プレミアムの各演出モードでは、いずれのモード中であるかを識別可能とするため、演出モード別に対応した固有の演出が現出される。具体的には、画像表示演出(たとえば、背景画像(背景表示)、予告演出時の登場キャラクタ、または装飾図柄など)、音演出(たとえば、BGM、効果音)、および光演出(たとえば、特定の演出用LEDの発光態様)の少なくともいずれか1つの演出が各演出モードに対応して変化する。これにより、ノーマル/シンプル/プレミアムのいずれの演出モード中であるのかを識別可能となっている。本実施形態では、一般モード中においては、太陽が輝く“昼背景画像”をベースとし、「ノーマルモード」では季節‘春’を連想させる背景画像(たとえば、桜の木などを含む背景画像)、「シンプルモード」では季節‘夏’を連想させる背景画像(たとえば、海や砂浜を含む背景画像)、「プレミアムモード」では季節‘秋’を連想させる背景画像(たとえば、紅葉の山や木々を含む背景画像)など、少なくとも各演出モードに応じた背景表示(背景演出)にそれぞれ切り替え制御される。なお、他の遊技モード下において、ノーマル、シンプルおよびプレミアムモードの少なくとも2つの演出モード間を切り替え可能に構成することができる。この場合も、上述のように、いずれのモード中であるかを演出的に識別可能な構成とすることができる。
(7-1B.前兆モードについて)
また上記「前兆モード」とは、後述の「天井(ハマリ救済機能)」の到達間近に移行される遊技モードであり、たとえば、天井到達が間近であることを報知する「前兆演出」を実行させるための遊技モードとして設けられている。この前兆モードは、通常モード(通常状態)中、大当りに当選せずに、所定のゲーム数(所定の変動回数)に到達した場合に移行される。本実施形態の場合、一般モード中に989ゲームハマると、990ゲーム目から前兆モードに移行されるようになっている(図7の「前兆モード」のブロック枠(α)参照)。「天井」についての詳細は後述するが、本実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に1000ゲーム(1000回転)ハマる(ハズレ続ける)と、天井機能が発動して、特別利益(天井特典)が付与されるようになっている(図7の備考2の天井特典の例の欄参照)。
(7-1B-1.前兆モード中の演出について)
前兆モード中は、前兆モードに関連した演出(前兆用演出)をなす「前兆演出モード」に移行される。前兆演出モード中は、一般モードの太陽が輝く“昼背景画像”から、星が輝く“夜背景画像”に切り替え表示され、前兆モード中であることが報知されるようになっている。また、前兆演出モード中も、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能となっている(図7の前兆モードのブロック枠(γ)参照)。また、前兆演出モード中は、天井到達までの残余ゲーム数(残り天井回数)を識別可能な演出(残余天井回数表示演出)として、たとえば、カウントダウン表示が現出される(図7の前兆モードのブロック枠(δ)参照)。この残余天井回数表示演出は、前兆モード中の一部の期間で現出させてもよく、たとえば、天井間近の996ゲーム目から残余天井回数表示演出を開始(カウントダウン表示開始)してもよい。たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム~999ゲーム間または天井ゲームを含む995~1000ゲーム間でカウントダウン表示(たとえば、天井ゲームでカウントゼロを示唆)を行うことができる。天井までのゲーム数が分かれば、遊技者が天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットがある。
また、前兆演出モード中は、少なくとも一般モードとは異なる保留表示態様(保留アイコン)が現出されるようになっている。たとえば、一般演出モード中では、図5に示す単純な「丸型アイコン」をベースとする保留表示態様であるが、前兆演出モード中では「キャラクタアイコン」をベースとする専用の保留表示態様を現出する(図7の前兆モードのブロック枠(ε)、図32参照)。なお、一般モード中において、前兆モード移行直前(989ゲーム目)に現存する1または複数の保留表示については、前兆モード移行後(990ゲーム目)に専用の保留表示(キャラクタアイコン)に一斉に変化させてもよいし、前兆モード中に消化対象となる保留表示だけを専用の保留表示に変化させてもよい。後者の構成を具体的に説明すれば、たとえば、988ゲーム実行中に作動保留球が3個存在するケースの場合、989ゲーム~991ゲーム目に係る保留表示を「‘丸型アイコン(一般モード中消化対象保留:989ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:990ゲーム目)’ ‘キャラアイコン(前兆モード中消化対象保留:991ゲーム目)’」とすることができる。また、前兆演出モード中の開始から所定のゲーム数を消化するまでは一般演出モードと同じ保留表示(丸型アイコン)とし、天井到達間近(たとえば、最大保留記憶数4個を考慮して、996ゲーム~999ゲーム間)になると、前兆専用の保留表示(キャラクタアイコン)に切り替えてもよい。また、前兆演出モード中は、上記「残余天井回数表示演出」および/または「前兆専用の保留表示」を現出させてもよい。
(前兆モード中のノーマル/シンプル/プレミアムモードの選択について)
本実施形態の前兆演出モード中は、「ノーマル/シンプル/プレミアムモード」のいずれかに切り替え可能であると説明したが、本発明はこれに限定されず、その切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。すなわち、前兆演出モード中は、遊技者選択可能の演出モードを固定的なものとすることができる。たとえば、一般モード中で選択中であった演出モードに固定したり、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのうちいずれかの演出モード(たとえば、デフォルトのノーマルモード)に強制的に固定したりすることができる(後述の天国モードも同様)。この場合、一般モードでは切り替え可能であった演出モードが切り替え不可能になるという事象によって、遊技者に違和感を与え、天井到達間近であることを遊技者に知得させることができる。特に、前兆演出モードと一般演出モード中とを演出的に秘匿状態とする場合(たとえば、前兆演出モードと一般演出モードとを共通の背景画像にする、前兆モードと一般モードとで共通の演出モードとする(内部的に前兆モードであるが演出モードは一般演出モードとする)、前兆モード自体を設けないなど)、「演出モード切り替え不能状態」という違和感を遊技者に与えることを以て、天井到達(天井ゲーム)が近づいていること報知することができる。
(7-2.「STモード」について)
STモードは、内部遊技状態が確変状態(YJ=01H)に関連する遊技モードであり、このSTモードには、変動パターン選択モード(Tcode)が、「02H」の「ST序盤モード」と、「03H」の「ST中盤モード」と、「04H」の「ST終盤モード」とが含まれる。このSTモードには、確変大当り1~7のいずれかに当選した場合に移行される。
本実施形態の場合、確変大当り1~7のいずれに当選したかに応じて、上記「確変A」~「確変C」のいずれかに移行されるため、遊技モードの移行形態も異なる。詳しくは、下記(A-1)~(A-3)の移行形態となる。
(A-1:確変C(ST回数25回+時短回数75回)を付与する確変大当り3、6(5R確変ST25、7R確変ST25)に当選した場合)
確変大当り3、6のいずれかにに当選した場合は、図4にて既に説明したように「確変C」に移行され、「ST回数25回+時短回数75回」が付与される。この場合の遊技モードの移行形態は、1~25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26~100ゲーム目(時短回数内)まで「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り3、6当選時に移行される遊技モードを「ST25モード」とも称する(図4参照)。
(A-2:確変B(ST回数75回+時短回数25回)を付与する確変大当り2、5(5R確変ST75、7R確変ST75)に当選した場合)
確変大当り2、5のいずれかに当選した場合には、上記「確変B」に移行され、「ST回数75回+時短回数25回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1~25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26~75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76~100ゲーム目(時短回数内)までは「時短モード」に滞在するようになっている。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST50回)⇒時短モード」という一連の移行形態に着目して、確変大当り2、5当選時に移行される遊技モードを「ST75モード」とも称する(図4参照)。
(A-3.確変A(ST回数100回)を付与する確変大当り1、3、7(5R確変ST100)、10R確変ST100、特殊7R確変)に当選した場合)
確変大当り1、3、7のいずれかに当選した場合には、上記「確変A」に移行され、「ST回数100回」が付与される(図4参照)。したがって、この場合の遊技モードの移行形態は、1~25ゲーム目(ST回数内序盤)まで「ST序盤モード」に滞在し、26~75ゲーム目(ST回数内中盤)まで「ST中盤モード」に滞在し、76~100ゲーム目(ST回数内終盤)まで「ST終盤モード」に滞在する。この「ST序盤モード(ST25回)⇒ST中盤モード(ST75回)⇒ST終盤モード(ST25回)」という一連の移行形態に着目して、確変大当り1、3、7当選時に移行される遊技モードを「ST100モード」とも称する(図4参照)。
(B.確変A~確変C(ST25、ST75、ST100モード)の連荘性能)
上記確変大当り1~7のいずれに当選するか、すなわち「確変A~確変C」のいずれかに移行されるかにより「ST回数」が異なるため、確変A~確変Cにおける電サポ有り状態中(確変状態または時短状態)の大当りの引き戻し率(いわゆる「連荘率」)も異なる。すなわち、遊技者に対する有利度(遊技者に付与する利益状態(利益度合))が異なる。たとえば、設定6(低確率時1/189、高確率時1/63)の場合、確変A(ST回数100回)の連荘率、つまり、ST中連荘率は約79.8%となる。また、確変B(「ST回数75回+時短回数25回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約70%、時短中連荘率は約12.4%、全体(ST回数75回+時短回数25回)の連荘率は約73.6%となる。また、確変C(「ST回数25回+時短回数75回」の電サポ100回)の連荘率は、ST中連荘率は約33%、時短中連荘率は約32.8%、全体(電サポ有り状態中)の連荘率は約55%となる。なお、時短大当りの場合の連荘率(時短中連荘率)は、約41.2%となる。
以上のように本実施形態では、ST回数が異なる複数の確変大当りを設けているため、当選した大当り種別に応じてST中の連荘度合を異ならせることができる。特に本実施形態のように、電サポ有り状態の回数(電サポ回数)は同一(たとえば、100回)であるが、ST回数がそれぞれ異なる場合(たとえば、ST25回、ST75回、ST100回)、電サポ有り状態中の利益度合や連荘度合を当選した大当り種別に応じて大きく異ならせることができる。その結果、遊技性の自由度が増し、遊技の面白みを一層向上させることができる。また、STモード中に関連する演出(後述のST演出モード)の自由度も向上し、演出を多彩なものとすることができる。
(7-2-1.ST序盤、ST中盤、ST終盤の変動状態について)
既に説明したように「ST序盤モード」、「ST中盤モード」、「ST終盤モード」は、変動パターン選択モード(Tcode)がそれぞれ異なる(図28参照)。これにより、各STモードに対応した変動パターン振分テーブル(図25、図27参照)を選択することができるため、各STモードが、それぞれ特徴有るSTモードを作り出すことができる。たとえば、ST序盤モード用の変動パターン振分テーブルでは、変動時間が2秒の変動パターンが高確率で選択され、ST中盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が3秒の変動パターンが高確率で選択され、ST終盤モードの変動パターン振分テーブルでは、変動時間が4秒の変動パターンが高確率で選択されるという具合に、各STモードに係る特別図柄の平均的な変動時間(変動パターンの変動時間)、換言すれば、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(1ゲームあたりの図柄変動表示ゲームの平均実行時間または単位時間あたりの図柄変動表示ゲームの実行回数:以下、「平均消化時間」とも称する)に緩急を付けることができる。なお、上述の図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間(平均消化時間)とは、少なくともハズレ時における平均的な消化時間、つまり、各STモードにおける「ハズレ変動パターンの平均変動時間」である。
本実施形態の場合、STモードに係る平均消化時間の関係が、「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」を満たすように定められている(図27参照)。すなわち、ST序盤モードは「高速変動状態(全遊技モード中最速(平均消化時間最短))」、ST中盤モードは「中速変動状態」、ST終盤モードは「低速変動状態」下に制御される。なお、各モードにおける平均消化時間(消化スピード)が上記「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係を満たすものであれば、その時間は特に制限はない。ただし、STモードは確変状態に関連する遊技モードであり、STモード中は「特別図柄時短機能」が作用するため、いずれの変動状態も、少なくとも通常モード(通常状態)よりも図柄変動表示ゲームの平均消化時間は短時間となる。上記した各変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、下記のような特徴を持つ。
上記「高速変動状態」は、主として、「ゲームの平均消化速度を上げて、遊技の進行に関する時間効率を高める」といった遊技性に重きを置いた遊技モード(遊技状態)で有用である。STモード(確変状態)中は、「電サポ有り状態+高確率状態(特別図柄確変機能作動)+特図時短状態(特別図柄時短機能作動)」となり、少なくとも通常モードと比べて図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が相対的に短くなり、また大当り当選が容易となるように工夫された遊技状態となるが、このような遊技状態になると、遊技者の中には、演出を楽しむよりも早く大当りを得たいと欲する遊技者も多い。そこで本実施形態では、ST序盤モードの場合には、変動時間が相対的に短時間の変動パターンが選択され易くし「高速変動状態」を発生させるようになっている。
一方、上記「高速変動状態」に対して、変動時間が相対的に長時間の変動パターンが選択され易い「中速変動状態」または「低速変動状態」下では、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間が「高速変動状態」よりも長くなるが、その代わりに演出時間を長めにとることができるため、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードに有用である。
(7-2-2.STモード中の演出について)
本実施形態に係るSTモードには、上記したように「ST序盤モード」と、「ST中盤モード」と、「ST終盤モード」とが含まれる。したがって、これらSTモードに対応する演出モード(ST演出モード)として、“ST序盤”に関連する演出(ST序盤用演出)が現出される「ST序盤演出モード」と、“ST中盤”に関連する演出(ST中盤用演出)が現出される「ST中盤演出モード」と、“ST終盤”に関連する演出(ST終盤用演出)が現出される「ST終盤演出モード」とが設けられている。
(7-2-3.STモード中の演出例:図29)
図29に、上記ST序盤演出モード、ST中盤演出モードおよびST終盤演出モード中の演出例を示す。
図29を参照して、本実施形態に係る「ST序盤演出モード」は、潜水艦同士の戦いを表現した演出をなす“水中音響戦モード”、「ST中盤演出モード」は、艦隊同士の戦いを表現した演出をなす“水上戦モード”、「ST終盤演出モード」は、戦車同士の戦いを表現した演出をなす“陸戦戦モード”となっている。換言すれば、STモード期間は、残りST回数に応じて、ST序盤、ST中盤、ST終盤の3つに区分され、この3つのST区分のいずれに滞在しているかはST区分演出として、主に、変動パターンのダイナミックな変化(高速、中速、低速という変動状態の変化)、これに伴う演出(背景演出の切り替わり、予告演出など)とにより遊技者に報知される。なお、図示の「右打ち⇒」の表示は、遊技者に右打ちを促す発射誘導報知演出(右打ち指示演出)である。また、保留アイコンについては、同図(イ)の演出例(ST100モードに係る演出例)にのみ示し、(ロ)(ハ)については省略してある。また、図示では、装飾図柄が停止表示中を示しているが、これは説明の便宜上、一旦ゲームが終了して装飾図柄が停止表示されているときを示したものであり、実際には、作動保留球があれば、当然、現在の演出モード下において装飾図柄の変動表示が実行されるものである。
ST期間中の演出モードを区分することとなる「ST区分演出」については、「ST序盤演出モード」、「ST中盤演出モード」、「ST終盤演出モード」の各演出モードで、水中音響戦モード、水上戦モード、陸戦戦モードなどの戦闘モード演出に切り替えられ、これにより段階的にST回数が最終回目に近づいて来ていることが報知される。
本実施形態では、確変大当り1~7のいずれに当選した場合でも、演出モードは、ST序盤演出モードの「水中音響戦モード」から開始される。すなわち、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)は、図示の通り、各STモード(ST25、ST75、ST100モード)で共通である。しかし、各STモードは、遊技モードの遷移形態が異なり、これに伴い演出モードの遷移形態も異なる。
(ST25モードの場合:図29(ハ))
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合は、図29(ハ)に示すように、1~25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。そして、ST最終の25ゲーム目を終えると、遊技モードがST序盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)から時短演出モード(戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”)に移行される(時短モード、時短演出モードの詳細は後述する)。この時短演出モード(空戦モード)には、26ゲーム~100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、時短モードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードも時短演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される(後述のST75モードも同様)。
(ST75モードの場合:図29(ロ))
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、図29(ロ)に示すように、1~25ゲーム間は、ST序盤演出モード(水中音響戦モード)に滞在する。25ゲーム目が終了すると、遊技モードがST序盤モードからST中盤モードに移行され、これに伴い、演出モードもST序盤演出モード(水中音響戦モード)からST中盤演出モード(水上戦モード)に移行され、75ゲーム目まで、このST中盤演出モード(水上戦モード)に滞在する。そして、ST最終の75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードから時短モードに移行され、これに伴い、演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)から時短演出モード(空戦モード)に移行される。ST75モードの場合、この時短演出モード(空戦モード)には、76ゲーム~100ゲーム(時短最終ゲーム)間滞在する。
(ST100モードの場合:図29(イ))
ST100モード(ST回数100回)の場合は、図29(イ)に示すように、75ゲーム目までは、上述のST75モードを同じ遊技モードおよび演出モード遷移である。しかし、75ゲーム目を終えると、遊技モードがST中盤モードST終盤モードに移行され、これに伴い、演出モードも演出モードもST中盤演出モード(水上戦モード)からST終盤演出モード(陸戦モード)に移行される。ST100モードの場合は、電サポ有り状態が終了するまでの100ゲーム間はすべてST中(確変中)であり、この陸戦モードは、ST100モードだけに生起するする特別な演出モードとなっている。また、ST100モードの場合は、STモードの全区間で、背景が順次切り替わっていくため、遊技者の緊張感は、演出モードが、水中音響戦(ST序盤)、水上戦(ST中盤)、陸戦モード(ST終盤)へと切り替わるたびに強まり、ST終盤の陸戦モードに至ったときに最も強くなる。なお、図示はしていないが、100ゲーム目を終えると、STモードが終了(電サポ有り状態が終了)して通常モードに移行され、これに伴い、演出モードもST終盤演出モードから通常演出モード(一般演出モード)に移行される。
このように本実施形態では、いずれの大当りに当選した場合も、「ST序盤モード+ST序盤演出モード」から開始される。すなわち、大当り遊技の移行先遊技状態(確変A~確変C)によらず、換言すれば、初期の残りST回数(付与されるST回数)によらず、大当り遊技後の開始演出モード(初期の演出モード)は共通となっている。
(STモードに係る変形例:図30、図31)
なお、遊技進行具合におけるSTモードおよびST演出モードの推移は、上記実施形態(図29)に限らず、下記の変形例1、2示す推移を辿るように構成することができる。以下、図30、図31を参照して、変形例1、2について説明する。
(STモードに係る変形例1:図30)
図30に、本実施形態のSTモードに係る変形例1を示す。なお、図30において、演出モードに対応する保留アイコンは省略してある(後述の図31も同様)。
本例(変形例1)の場合も、STモードが複数に区分されているが、各STモードに応じて(当選した大当り種別に応じて)、開始演出モードが異なり、残りST回数に応じて、異なる演出モードから開始するようになっている。
図30を参照して、ST100モードの場合は、図30(イ)に示す通り、上記実施形態(図29(イ))と同じモード推移を辿る。
しかし、ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合は、初期の残りST回数が75回である点に着目して、図(ロ)に示す通り、次のようなモード推移(STモード、対応する演出モードの推移)を辿るようになっている。
「1~25ゲーム間」:「ST中盤モード+ST中盤演出モード(水上戦モード)」
「26~75ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「76~100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
また、ST25モード(ST回数25回+時短回数50回)の場合は、初期の残りST回数が25回である点に着目して、図(ハ)に示す通り、次のようなモード推移を辿るようになっている。
「1~25ゲーム間」:「ST終盤モード+ST終盤演出モード(陸戦モード)」
「26~100ゲーム間」:「時短モード+時短演出モード(空戦モード)」
本例の場合、「ST序盤モード」が存在するのは、ST100モードの場合のみとなり、「ST中盤モード」が存在するのは、ST100モードとST75モードの場合となる。そして、ST終盤モードは、各STモードで共通して存在する。本例が上記実施形態と異なる点は、下記の点である。
本例の場合、変動状態に着目すれば、ST75モードでは、ST中盤モード(水上戦モード)から開始されるため、変動状態が「中速変動状態」から開始される。また、ST25モードでは、ST終盤モード(陸戦モード)から開始されるため、変動状態が「低速変動状態」から開始される。すなわち、本例の場合、初期のST回数が相対的に少ないST回数ほど、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が遅い遊技モードから開始されるようになっている。したがって、上記実施形態のST序盤の「高速変動状態」に相当する区間(1~25ゲーム間)が、中速変動状態または低速変動状態の区間となるため、ST回数が少ない場合であっても、ST期間があっという間に終了してしまうという恐れが無く、ST期間を長期間楽しませることができる、という利点がある。
(STモードに係る変形例2:図31)
図31に、本実施形態に係るST演出モードの変形例2を示す。本例は、ST回数によらず、共通の「ST演出モード」から開始され、時短状態に移行された場合は「時短モード」に移行されるようになっている。図示では、ST中盤モードから開始される例を代表的に示す。
本例の場合、図31(イ)~(ロ)に示す通り、ST25、ST75、およびST100モードのいずれも、共通のSTモードおよびST演出モード(水上戦モード)となっている。すなわち、STモード中は変動パターン選択モードが同一(本例の場合は、ST中盤モードの「03H」)であり、少なくとも変動状態(平均消化時間)は、残りST回数に応じて変化しない。この点、上記実施形態や変形例1とは大きく異なる。ただし、ST25モードまたはST75モードの場合には、ST回数が終了すると、STモードから時短モードに移行され(変動パターン選択モードが時短モードの「05H」に更新される)、これに伴い、演出モードもST中盤演出モードから時短演出モードに移行される。換言すれば、ST25とST75モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じ、ST100モードの場合は、電サポ有り状態中の遊技モード(変動パターン選択モード)の移行が生じない。
本例の場合、ST演出モード(STモード)がST回数に応じて変化しないため、たとえば、ST回数が「5回、10回、15回」などの比較的少ないST回数(低ST確変状態)を複数種類設ける場合に好適である。ST回数が少ない場合、無闇に演出モードや変動パターン選択モードを変化させると、かえって遊技者が煩わしく感じてしまうためである。
なお、STモード中は、通常モードで説明した「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」を切り替え不可の構成としてもよいし、通常モードと同様に、遊技者側で切り替え可能に構成してもよい(他の遊技モード(後述の時短モードや天国モード)についても同様)。切り替え可能な構成とする場合には、「ノーマルモード」、「シンプルモード」、「プレミアムモード」の各演出モードで、この順に背景画像色が濃くなるように定めた特定色(たとえば、ダーク系の色)の背景表示色に切り替えたり、各STモードに係る兵器画像(潜水艦、艦船、戦車、戦闘機(後述の時短演出モードの場合))の表示色や絵柄を、ノーマル/シンプル/プレミアムモードの各演出モードで変化させたりするなどの表示処理を施して、これにより、いずれの演出モードに切り替えられているかを識別可能に構成することができる。また、各モードにおける変動状態(平均消化時間)をどのように定めるかは自由である。本実施形態では「ST終盤モード<ST中盤モード<ST序盤モード」の関係について説明したが、変形例1、2の変動状態のように構成したり、「ST序盤モード<ST中盤モード<ST終盤モード」の関係のように、変動状態がST回数に応じて相対的に低速化していく、といった関係であってもよい。
残りST回数を報知する「残余ST回数報知演出」と残り電サポ回数を報知する「残余電サポ回数報知演出」とについて、下記(1)~(10)の構成とすることができる。
(1)各ST演出モード(各STモード)中のいずれも、「残余ST回数報知演出」および/または「残余電サポ回数報知演出」を現出することができる。
また(2)残余ST回数報知演出を現出する場合、各演出STモードの残りST回数を報知してもよい。たとえば、ST序盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行う、ST中盤モード中であれば、残り50回からカウントダウン表示を行う、ST終盤モード中であれば、残り25回からカウントダウン表示を行うなどである。
また(3)残余ST回数報知演出を現出しない構成(残りST回数が把握できない構成)としてもよい。この場合、残余電サポ回数報知演出だけを表示してもよい。
また(4)残余ST回数報知演出は、ST開始から所定のゲーム数の経過後に開始させてもよい。たとえば、ST終了5ゲーム前から、カウントダウン表示を開始してもよい。
また(5)残余ST回数報知演出は、特定のSTモードに限り現出させてもよい。特定のSTモードは、ST25、ST75、ST100のいずれでもよいが、遊技者は、残りST回数多いほど、その回数を気にしながら遊技に興じる傾向があるため、ST25モード以外のST75またはST100モードで現出させることが好ましい。
また(6)ST演出モード(STモード)中は、残余ST回数報知演出を現出し、時短演出モード(時短モード)中は、残余電サポ回数報知演出を現出してもよい。
また(7)残余ST回数報知演出と残余電サポ回数報知演出とを別途独立して現出するのではなく、たとえば、カウントダウン表示を兼用する演出態様としてもよい。たとえば、同じカウントダウン表示を利用して、STモード中はその数字表示を「白色」とし、時短モード中は「赤色」する、または、STモード中は、数字画像の周囲に所定のエフェクト画像((たとえば、ライト(グロー効果やシャドウ効果)、グラデーション、ブラー、エンボスなどによる適宜なエフェクト画像処理を施したもの)を付した表示にするが、時短モード中はエフェクト無しにする、などである。
(7-3.「時短モード」について)
図6の説明に戻る。時短モードは、内部遊技状態が時短状態(YJ=02H)に関連する遊技モードであり、この実施形態の場合、変動パターン選択モード(Tcode)が、「05H」の1種類となっている。時短モードには、時短大当り1、2(5R時短A、5R時短B)に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6(5R確変ST75、5R確変ST25、7R確変ST75、7R確変ST25)などに当選した場合のST回数終了後にも移行される遊技モードである。時短モードの終了後(時短回数の終了後)は、「通常モード」に移行されるようになっている(図6の時短モードのブロック枠の上向き太矢印参照)。
(7-3-1.時短モード中の変動状態について)
上記時短モード中は、「低確率(特別図柄確変機能未作動)+電サポ有り状態+特別図柄時短状態」となるが、図柄変動表示ゲームの平均的な消化時間に関し、上記STモードに係る高速変動状態、中速変動状態、または低速変動状態と同一または略同一の変動状態とするか、また、これらとは異なる平均消化速度を持つ変動状態とするかは自由である。ただし、時短モードへは、STモードからも移行される点、具体的には、ST25モードの場合は、「ST序盤モード(高速変動状態)」から「時短モード」に移行し、ST75モードの場合は「ST序盤モード(高速変動状態)」および「ST中盤モード(中速変動状態)」を経て「時短モード」に移行する点や、時短モード中は大当り抽選確率が低確率となる点(ハズレが多発する点)などを考慮し、時短モード中は、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。そこで、時短モード中の変動状態(平均消化時間)を「時短モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」とすることが好ましく、より好ましくは「時短モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とする。なお、時短モードもSTモードと同じく、複数の時短モードを移行可能に構成してもよく、この場合は、時短モード用の複数の変動パターン選択モードを設ければよい。
(7-3-2.時短モード中の演出について)
時短モード中は、“時短状態中”に関連する演出が現出される「時短演出モード」に移行される。時短演出モードでは、戦闘機同士の戦いを表現した演出をなす“空戦モード”となり、上記STモード中の各遊技モード(ST序盤、ST中盤、ST終盤モード)とは区別される。本実施形態では、時短大当り1、2に当選した場合の他、確変大当り2、3、5、6のST終了後の時短モードに移行した場合も、いずれも同じ時短演出モードに移行されるが、本発明はこれに限られない。たとえば、時短大当り1と時短大当り2とで、異なる演出をなす時短演出モード(たとえば、時短大当り1当選時は時短A演出モード、時短大当り2当選時は時短B演出モード)に移行させてもよい。また、時短大当り当選時の時短演出モードと、確変大当り当選時のST終了後の時短演出モード(ST25、ST75に係る時短演出モード)とで、異なる時短演出モードとしてもよい。
(7-4.「天井モード」について:図7)
次に図7を参照して、「天井モード」について説明する。本実施形態では、大ハマリした場合の救済機能として「天井機能」が設けられている。この天井機能は、大当りに当選することなく、所定のゲーム数(所定の変動回数)に到達した場合、遊技者を救済するべく、所定の利益状態(天井特典)を付与するという機能である。天井特典は、ハマリ救済機能という点で、少なくとも通常状態よりも有利な利益状態が付与される。本実施形態の天井ゲーム数は、設定1~6の低確率時の大当り抽選確率を考慮したゲーム数(天井ゲーム数)として、通常モード中のハマリ1000ゲーム目としてあり(低確率時の3倍~4倍程度)、天井モードはこの1000ゲーム目に生起する遊技モードとなっている。なお、天井ゲーム数をどのような値に定めるかは適宜定めることができる。たとえば、通常状態中の大当り抽選確率が比較的高確率(1/100前後)の「甘デジタイプ」である場合は、天井ゲーム数を300~500ゲーム程度とすることができる。なお、本実施形態では、設定値によらず天井ゲーム数を同一としているが、本発明はこれに限らず、各設定値の全部または一部において、天井ゲームを異なるものとすることができる。たとえば、設定1~6でそれぞれ異なる天井ゲーム数としたり(たとえば、1100ゲーム~1050ゲーム:設定値が高いほど天井ゲーム数が少ない)、高設定領域(設定4~6)は天井ゲーム数を1000ゲームとし、中・低設定領域(設定1~3)は1032ゲームとしたり、特定の設定値(たとえば、最高設定の設定6)のみ、他の設定値と異なる天井ゲーム数とすることができる。
先ず、天井特典の種類について説明しておく。天井特典の種類としては、図7の備考2の「天井特典の例」の一覧表に示すように、たとえば、「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、「有限潜確」、「強制当り」などがある。これらの特典を大別すれば、「無限時短」と「有限時短」は“天井時短種別”、「無限確変」と「有限確変」は“天井確変種別”、「無限潜確」と「有限潜確」は“天井潜確種別”、「強制当り」は“天井当り種別”に属する天井特典である。以下、これら天井特典種について、順次説明していく。
(無限時短)
(A)「無限時短」とは、次回大当りまで時短状態を付与する特典である。なお、無限時短の場合、その時短回数は「回数制限無し(無限)」であるが、実質的に次回大当りまでとなる時短回数、たとえば、10000回や65536回などのように、時短回数到達による時短状態の終了可能性は皆無となる場合(0%と考えても差し支えがない場合)やパチンコホールの営業時間内に消化不可能な時短回数を付与する場合(たとえば、65536回など)も、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短)
(B)「有限時短」とは、適切な大当り当選率となるように、所定の時短回数を限度に時短状態を付与するものである。この点、制限回数の無い前述の無限時短とは異なる。付与される時短回数としては、たとえば、時短大当り1、2と同じ時短回数100回または時短回数75回などがその代表例であるが、時短大当りと同じ時短回数を付与するに限らず、異なる時短回数(たとえば、75回や150回や200回など)を付与することができる。なお、上記「無限時短」における「実質的に次回大当りまで」となる時短回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限時短に属するものと言えるが、上記のように、本発明では無限時短に属するものとして扱うことができる。
(有限時短を付与する場合の具体例)
ここで、有限時短を付与する場合には、下記のような付与形態(1)~(4)(有限時短付与形態1~4)とすることができる。
(有限時短付与形態1)
(1)大当りによる時短回数(大当り当選に起因して付与される時短回数(時短状態))は複数種類(種類数A)あるが、天井特典による時短回数(時短状態)の種類はそれよりも少ない種類(種類数B)に定める。具体的には「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、大当りによる時短回数は、100回(時短A)と50回(時短B)の2種類(種類数A)存在するが、天井特典では、たとえば天井特典では、時短回数100回(時短A)の1種類だけを付与するように構成する。なお、「種類数B<種類数A」の関係を満たすのであれば、大当りによる時短回数とは異なる時短回数(たとえば、150回)を付与してもよい。なお、天井特典による時短回数(時短状態)の種類を2種類以上設ける場合には(「2≦種類数B<種類数A」の場合)、所定の抽選により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定可能に構成することができる。
(有限時短付与形態2)
(2)天井特典による時短回数(時短状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選(天井特典抽選)により、いずれかの時短回数(時短状態)を決定する。
たとえば、大当り当選に起因して付与される複数の時短回数(本実施形態では、50回と100回)のうちから抽選により決定することができる。この場合は、大当りと同等の時短回数を付与されうる。勿論、大当り当選に起因して付与される時短回数とは異なる時短回数を含む複数の時短回数(たとえば、100回と75回と25回)のうちから抽選により決定してもよい。この場合は、大当りと異なる時短回数が付与されうる。なお、抽選対象となる天井特典種(ここでは、各時短回数)の抽選確率(選択率)は、同一または略同一であってもよいし、全部または一部が異なっていてもよい。また、抽選対象に、天井特典を付与しない「天井特典ハズレ」を含んでもよい。天井特典ハズレを含む場合、天井ゲームに到達しても必ずしも天井特典が付与されるわけではないが、この場合は「天井特典抽選の実行」がハマリ救済機能としての役割を果たすことになる。
また、「設定値」に応じた抽選確率を定めて、所定の抽選(設定値に応じた天井特典抽選)により時短回数(時短状態)を決定してもよい。たとえば、設定値が高くなるに従い、相対的に多い時短回数(時短状態)が選択され易いように構成する。つまり、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。具体的には、時短回数の種類として「100回、75回、50回」を設けた場合、これらの抽選確率が“設定1”の場合は「25%、35%、40%」、“設定6”の場合は、「45%、30%、25%」などである。しかしこれとは逆に、設定値が低いほど大ハマリし易いことを考慮して、設定値が低くなるに従い、相対的に多い時短回数が選択され易いように構成してもよい。つまり、設定値が低くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典が付与され易い構成である(後述の他の天井特典についても同様)。また、「特定の天井特典が付与される場合には、特定の設定値が確定する」という構成としてもよい。たとえば、時短回数25回が付与された場合は「設定6確定」、75回が付与された場合は「設定4以上確定」などである。このように、設定値に関連した天井特典決定方法は、設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることができるため、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用である。
(有限時短付与形態3)
(3)時短大当りによる平均時短回数Nとし、天井特典による平均時短回数Mとした場合、下記(式1)~(式3)の関係を満たすように構成することができる。
(式1)「平均時短回数N<平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。本実施形態の場合、大当りによる平均時短回数Nは75回であるので、天井特典による平均時短回数Mは、これよりも多い時短回数とする。本例の場合、通常の大当り当選よりも利益度合が相対的に高い天井特典となるため、大ハマリをして遊技意欲が著しく減退している遊技者にとっては、嬉しい特典になる。なお、平均時短回数Mは、無限回数としてもよい。平均時短回数Mを無限回数とする場合は上記「無限時短」を付与する場合と等価となる。
(式2)「平均時短回数N=平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、大当りによる利益度合(時短回数)と、天井特典による利益度合が同等となる。
(式3)「平均時短回数N>平均時短回数M」の関係を満たすように構成する。この場合は、天井特典による利益度合よりも大当りによる利益度合の方が相対的に低くなり、過度な特典付与とならないようにすることができる。
(有限時短付与形態4)
(4)上記(式3)と同じく、過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典による時短回数≦大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数に定める。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り1による「時短A」の時短回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小時短回数に着目して、「大当りによる最小時短回数≦天井特典による時短回数<大当りによる最大時短回数」の関係を満たす時短回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典による時短回数を、時短大当り2による時短Bの時短回数以上、時短大当り1による「時短A」の時短回数未満、たとえば、50回、60回などである。
(無限確変)
(C)「無限確変」とは、次回大当りまで確変状態を付与する特典である。なお、無限確変の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記「無限時短」と同事象のように、実質的に次回大当りまでとなるST回数(たとえば、10000回や65536回)を付与してもよい。
(有限確変)
(D)「有限確変」とは、前述の無限確変とは異なり、適切な大当り当選率となるように、所定のST回数を限度に確変状態を付与するものである。たとえば、確変大当り1~7と同じく、ST回数として、100回、75回、または25回などを付与する。勿論、確変大当り1~7のST回数と同じ回数でなくてもよく、50回や150回などを付与してもよい。なお、上記「無限確変」における「実質的に次回大当りまで」となるST回数を付与する場合も、回数制限がある点で、この有限確変に属するものと言えるが、上記「無限時短」と同事象のように、無限確変に属するものとして扱ってもよいし、有限確変に属するものとして扱ってもよい(後述の無限潜確についても同様)。
(有限確変を付与する場合の具体例)
ここで、有限確変を付与する場合、上記「有限時短」の有限時短付与形態1~4で説明した内容と同事象のように、下記のような天井特典付与形態(有限確変付与形態)1~4とすることができる。なお、下記の有限確変付与形態1~4は、上記「有限時短付与形態1~4」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容(概念)と実質的に同じであるため、説明の便宜上、重複記載を避けるために、その内容については適宜省略しながら説明する。
(有限確変付与形態1)
(1)大当りによるST回数(大当り当選に起因して付与されるST回数(確変状態)は複数種類(種類数A)あるが、天井特典によるST回数(確変状態)はそれよりも少ない種類(種類数B)とする。つまり「種類数B<種類数A」の関係を満たすように構成する。
本実施形態の場合、図4に示す通り、確変大当りに当選に起因して付与されるST回数(確変状態)は、100回(確変A)、75回(確変B)、25回(確変C)の3種類あるが、たとえば天井特典では、ST回数100回(確変A)の1種類だけを付与するように構成する。
(有限確変付与形態2)
(2)天井特典によるST回数(確変状態)の種類が複数ある場合、所定の抽選によりいずれかのST回数(確変状態)を決定する。この点ついては、上記有限時短における「(有限時短付与形態2)」で説明した「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」などに適宜読み替えた内容と実質的に同じである。
(有限確変付与形態3)
(3)確変大当りによるST回数の平均ST回数Nとし、天井特典による平均ST回数Mとした場合、下記(式4)~(式6)の関係を満たすように構成することができる。この(式4)~(式6)に関しても、上記有限時短における「(有限時短付与形態3)」で説明した(式1)~(式3)の「時短回数」の文言等を「ST回数」の文言等に読み替えた内容と実質的に同じである。
(式4)「平均ST回数N<平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。なお、平均ST回数Mは、無限回数としてもよい。平均ST回数Mを無限回数とする場合は、上記「無限確変」を付与する場合と等価となる。
(式5)「平均ST回数N=平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(式6)「平均ST回数N>平均ST回数M」の関係を満たすように構成する。
(有限確変付与形態4)
(4)過度な特典付与とならないようにするという点に着目して、少なくとも「天井特典によるST回数≦大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数に定める。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り1などによるST回数以下、たとえば、100回、90回などである。また、大当りによる最小ST回数に着目して、「大当りによる最小ST回数≦天井特典によるST回数<大当りによる最大ST回数」の関係を満たすST回数であってもよい。本実施形態であれば、天井特典によるST回数を、確変大当り6などによるST回数以上、確変大当り1などによるST回数未満、たとえば、25回、50回、75回(ST75と同一ST回数)などである。
(無限潜確)
(E)「無限潜確」とは、次回大当りまで潜確状態を付与する特典である。なお、無限潜確の場合、そのST回数は「回数制限無し(無限)」であるが、上記無限時短や無限確変と同じように、実質的に次回大当りまでとなるST回数を付与してもよい。
(有限潜確)
(F)「有限潜確」とは、上述の無限潜確とは異なり、適切な当選率となるように、所定のST回数を限度に潜確状態を付与するものである。本実施形態では、潜確状態への移行契機となる潜確大当りは設けられていないが、仮に、確変大当りの一部が潜確大当りの場合には、有限確変で説明した有限確変付与形態1~4と同様の構成(ST回数の付与に関する構成)とすることができる。この点については、有限確変(「確変状態」の文言を「潜確状態」の文言に適宜読み替えた内容)と実質的に同じ内容であるため、重複記載を避けるために詳細な説明は省略する。
(強制当り)
(G)「強制当り」とは、大当り抽選とは無関係に、強制的に大当り当選を付与するものである。「大当り抽選とは無関係」とは、大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとして処理をする、という意味であり、大当り抽選が一切無関係であるという意味に限定されない。
強制当りによる大当りの種類は、確変大当り(有限確変大当り、無限確変大当り)、時短大当り(有限時短大当り、無限時短大当り)、または潜確大当り(有限潜確大当り、無限潜確大当り)のいずれであってもよい。また、最大ラウンド数またはラウンド遊技態様も適宜定めることができる。また、強制当り後の移行先遊技状態も適宜定めることができる。たとえば、図4に示す大当りが当選した場合と同じ移行先遊技状態(たとえば、時短A、時短B、または確変(ST)A~C)であってもよく、上記天井特典にて説明した有限時短付与形態1~4や、有限確変付与形態1~4などと同様の遊技状態に移行させてもよい。
ただし、過度な特典付与とならないように、強制当りとしては、大当り抽選対象のうち、いずれかの大当り(本実施形態であれば、確変大当り1~7および時短大当り1~2のいずれかの大当り)とすることが好ましい。より好ましくは、全大当りよりも利益度合が高くならないようにする。ここでいう利益とは、「大当り遊技による利益」または「大当り遊技と移行先遊技状態とを含めた利益」を意味する。本実施形態であれば、少なくとも「強制当りによる利益≦確変大当り4(全大当り中、利益度合が最も高い大当り)による利益」の関係を満たすことが好ましい。
以上に説明した天井特典は、大当り抽選結果により付与される利益度合と同等または異なる利益を付与することができるため、ハマリ救済機能として有用である。
また上記では各種の天井特典について説明したが、いずれの天井特典を採用するかは自由である。また、天井特典は、性格の異なる特典を複数種類設けたり(たとえば、有限時短と有限確変など)、性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典(たとえば、時短回数100回の有限時短Aと時短回数50回の有限時短Bなど)を複数種類設けたりすることができる。この場合、どのような複数種類の天井特典(2以上の天井特典)を設けるかは、適宜定めることができる。たとえば、有限時短と有限確変とを設け、いずれの天井特典を付与するかを、所定の抽選により決定することができる。この場合、設定値によらず同じ抽選確率としてもよいが、上記「天井特典抽選」と同じように、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。具体的には、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に高い特典(たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限確変」側)が付与され易い構成や、反対に、設定値が高くなるに従い、利益度合が相対的に低い特典((たとえば、有限時短と有限確変とを抽選する場合は「有限時短」側)が付与され易い構成とすることができる。なお、強制当りの場合、先述の「性格の異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短大当り、確変大当りおよび潜確大当りのうち少なくともいずれか2つを設ける」ケースなどがあり、「性格は同じであるが有利度(利益状態)が異なる特典を複数種類設ける」ケースには、たとえば「時短回数が異なる複数の大当り(時短大当り)を設けるケース」や「ST回数が異なる複数の大当り(確変大当りまたは潜確大当り)を設ける」ケースなどがある。
また、天井特典が付与された後は、その天井特典が消化されるまで、または大当りに当選するまで天井特典に係る遊技状態(遊技モード)に制御される。具体的には、有限時短、有限確変、または有限潜確などの“有限系特典”であれば、大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合か、大当りに当選した場合に通常モード(通常状態)に移行され、再度、天井発動契機(天井ゲーム)が到来するまで、天井特典は付与されない。一方、無限時短、無限確変、または無限潜確などの“無限系特典”であれば、次回大当りまでその特典状態が継続され、大当りの当選を以て、当該特典状態が終了されることになる。
なお、天井特典が有限確変の場合、ST75モードやST25モードのように、規定ST回数が終了した場合に時短状態(有限時短または無限時短)に移行させる「有限確変時短型」の天井特典であってもよい。この「有限確変時短型」としては、下記(甲)~(丁)のタイプが含まれる。
(甲)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると、有限時短(たとえば、時短回数100回)に移行する「有限確変・有限時短」型の天井特典。
(乙)規定ST回数が終了すると無限時短に移行する「有限確変・無限時短」型の天井特典。
(丙)第1規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、第2規定ST回数(たとえば、100回)の有限潜確に移行する「有限確変・有限潜確」型の天井特典(第1規定ST回数と第2規定ST回数は同一回数であっても、異なる回数であってもよい)。
(丁)規定ST回数(たとえば、75回)が終了すると電サポ状態だけが終了し、無限潜確に移行する「有限確変・無限潜確」型の天井特典。
図7の天井モードの説明に戻る。ここでは、天井特典として「有限時短」(大当りによる最大時短回数の100回)を採用した構成を代表例として説明する。
天井モードは、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。ただし、天井モードでは、天井専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「06H」に更新される。ここで、天井到達時(天井ゲーム時)は、後述の「天井演出」の演出時間幅を確保するため、比較的長い変動時間の変動パターン(天井用変動パターン)が選択されるようになっている。本実施形態では、全遊技モード中(全変動パターン選択モード中)で、最長の変動パターンが選択されるようになっている(図26の「天井変動」の欄参照)。なお、天井用変動パターンは、「天井演出」の演出時間幅を確保できれば特に制限はないが、少なくとも通常モード中のSPリーチ以上(少なくとも疑似連無しSPリーチ以上)の変動時間を有する変動パターンを選択可能に構成することが好ましい。
なお、1000ゲーム目(天井ゲーム)も通常通り、大当り抽選は実行されるため、1000ゲーム目に大当りに当選した場合は、1000ゲーム目の終了後、通常通り、大当り遊技が開始されることになる。詳細は後述するが、本実施形態では、天井ゲームに大当りに偶々当選した場合には、天井機能の発動を制限(禁止)するようになっており(後述の図13の天井発動管理処理を参照)、天井特典が付与される場合は、1000ゲーム目が「ハズレ」の場合となる。小当りを設けている場合は、1000ゲーム目に小当りに当選しても、ハズレと同様に天井特典が付与される。この点は、天井特典が有限時短の場合に限らず、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確の場合も同様である。しかし、天井特典が「強制当り」の場合は、強制的に大当り当選状態に制御されるため、1000ゲーム目の大当り抽選自体を実行しないか、または、大当り抽選を実行してもその結果を無効扱いとし、天井用の大当りが当選したものとして処理すればよい。したがって、天井特典が「強制当り」の場合は、1000ゲーム目の終了後、通常の大当りが当選したときと同じように、天井用の大当りに係る大当り遊技(強制大当り遊技)が開始されることとなる。なお、強制大当り遊技中の当り中演出は、通常の大当りと同じ(時短大当り1および確変大当り1~7のいずれかと同じ)であってもよいし、強制大当り専用の当り中演出を現出させてもよい。
(7-4-1.天井モード中の演出について)
天井モード中は、天井到達を報知するための演出(天井演出)が現出される「天井演出モード」に移行される。この天井演出モードは、天井(1000ゲーム目)専用の演出モードであり、本実施形態の場合、1ゲーム限り(1回転限り)の演出モードである。天井演出モードにおける演出例としては、たとえば、天井時の装飾図柄(天井用装飾図柄)が、少なくとも通常モード(1~9の数字図柄)とは異なる装飾図柄が現出される。「少なくとも通常モードとは異なる装飾図柄」とした理由は、天井到達となるのは通常モードで大ハマリに遭遇した場合であり、長らく通常モードで現出されていた装飾図柄とは異なる装飾図柄を現出させ、天井到達を報知することが適切だからである。
天井用装飾図柄は、具体的には、特別なキャラクタやアイテムや文字を表示した専用図柄(天井用装飾図柄)であり、天井用装飾図柄は、演出的に、インパクトの強い図柄であることが好ましく、たとえば、図7の備考1に示す装飾図柄778(「天」「☆」「井」の装飾図柄)である。通常の装飾図柄列は、右図柄、中図柄、左図柄の3つであるが(図5参照)、天井用装飾図柄列は、必ずしも3つの図柄列でなくてもよい。たとえば、「天」「井」「到」「達」の4つの図柄列や、「天」「井」の2つの図柄列とすることができる。また、天井到達であることを強調するために、通常の装飾図柄より表示面積の大きい巨大装飾図柄、あるいは、所定のエフェクト画像を付したものを用いてもよい。また、天井ゲームに係る装飾図柄について、変動表示時は通常の装飾図柄を用い(全部または一部が同じ装飾図柄)、最終的に停止させる装飾図柄(装飾停止図柄)だけを天井用装飾図柄としてもよい。
また、装飾図柄の背景表示として、専用のキャラクタ画像777が現出される。このキャラクタ画像777は、天井ゲームに限り現出される特別な演出である。また、特徴的演出の一つとして、図柄変動表示ゲームの開始を契機に、右打ちを促す「右打ち指示画像779(発射誘導報知演出)」が現出されている点である。
右打ち指示画像779を現出する理由は、次の理由による。天井特典として有限時短が付与される場合(無限時短、有限確変、または無限確変が付与される場合も同様)、1000ゲーム目の開始を契機に「電サポ有り状態」が生起する。このため、右打ちが有利である旨を直ちに報知し、遊技者に不利益を与えないようにするためである。本実施形態では、図柄変動表示ゲームの開始と同時または略同時に、右打ち指示画像779が現出される。なお、天井時(1000ゲーム目)に「電サポ有り状態」が生起する点を考慮して、前兆モード中または一部の期間(たとえば、天井ゲーム直前のゲーム(前兆モード最終回目))において、まもなく「右打ち」となることを報知する演出(事前発射誘導報知演出)を現出させることが好ましい。
また、天井時(1000ゲーム目)の図柄変動表示ゲームで「ハズレ」の場合には、特定の予告演出を現出させないこと好ましい。たとえば、少なくとも高期待度予告演出は現出しない、または、疑似連、リーチ演出、および遊技者参加型演出のうちの少なくとも1つは現出しない。その理由は、天井時に、大当りの当選期待感を煽るような仰々しい予告演出は不要だからである。ただし、天井モード(天井ゲーム)専用の予告演出として、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などを設ける場合は、この限りではない。しかしいずれにしても、当選期待感を煽るような予告演出は現出させないことが好ましいため、疑似連、リーチ演出、または遊技者参加型演出などの予告演出を現出させる場合は、他の演出モードで現出される演出態様とは異なる、天井専用の演出態様とすることが好ましい。また、天井到達の特典として、設定示唆演出を現出させてもよい。設定推測要素という有益な情報を遊技者に与えることは、ハマリに遭遇した遊技者の遊技意欲を向上させる上で有用だからである。なお、天井時に設定示唆演出を現出させる場合、その出現率を100%としてもよいし、所定の抽選により現出させてもよい。
一方、天井ゲーム(1000ゲーム目)で、偶々、大当りに当選となった場合、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)に係る大当り当選時に現出されうる予告演出を現出させるようになっている(図24の「天井」の欄参照)。天井ゲームで大当りとなった場合にも天井用の演出を現出させてしまうと、大当りであるのか天井特典が付与されるのか不明瞭になり、遊技者が混乱してしまうからである。
(7-5.天国モード)
天国モードは、天井ゲームの次ゲーム(1001ゲーム目)に移行される遊技モードであり、天井特典に応じて、内部遊技状態が時短状態や確変状態などに関連した遊技モードとなるが、ここでは「有限時短(時短回数100回)」が付与される例について説明しているので、天井モードは、時短状態(YJ=01H)に関連する遊技モードとなる。また、天国モード中は、天国専用の変動パターンを選択させるべく、変動パターン選択モード(Tcode)が、専用の「07H」に更新される。なお、この天国モードに移行する場合は、「強制当り」以外の天井特典(有限時短、無限時短、無限確変、有限確変、無限潜確、または有限潜確など)の場合となる。
天国モードは、大当りに当選した場合か、上記有限系の天井特典であれば大当りに当選することなく、規定の時短回数やST回数が終了した場合に終了される。ここでは、天井特典が「有限時短(時短回数100回)」として説明しているので、天国モードは、時短回数100回が終了した場合か、またはその時短回数消化中に大当りが当選した場合に終了されることになる。そして、天国モードが終了した場合は、通常モードに移行される。なお、天井特典が、有限確変または有限潜確の場合は、ST回数が終了した場合かまたはそのST回数以内に大当りに当選した場合に終了され、また、無限時短、無限確変および無限潜確の場合には、大当り当選した場合に終了されることになる。
(7-5-1.天国モードに係る変動状態)
ここで、天国モード中は、上記した高速変動状態、中速変動状態、低速変動状態など、いずれの変動状態を採用することができる。ただし、天井特典種別に応じて、天国モード中の変動状態を定めることが好ましい。たとえば、天井特典が有限時短または無限時短の場合は、時短モード中と同じく、「演出を楽しむ」といった遊技性に重きを置いた遊技モードとしての位置付けとすることが好ましい。すなわち、有限時短または無限時短付与時の天国モード中の変動状態を「天国モード中の変動状態<STモード中の高速変動状態」または「天国モード中の変動状態≦STモード中の中速変動状態」とすることが好ましい。ただし、無限時短付与時の場合は時短回数に制限が無い点を考慮し、高速変動状態としてもよい。
他方、有限確変または無限確変付与時の場合は、電サポ有り状態に加えて大当り抽選確率が高確率となることから、STモード中の高速変動状態と同一または略同一の変動状態とすることが好ましい。一方、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、大当り抽選確率は高確率となるが電サポ無し状態下に制御されるため、通常状態と同じく、作動保留球が発生し難い状態となる。この点を考慮し、無限潜確または有限潜確付与時の場合は、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。すなわち、「通常モード中の変動状態≦無限潜確または有限潜確中の変動状態<時短モード中の変動状態」を満たす関係にする。
(7-5-2.天国モード中の演出について)
天国モード中は、天国モードに関連する演出(天国用演出)をなす「天国演出モード」に移行される。この天国演出モードは、天井の次ゲーム以降(1001ゲーム目以降)専用の演出モードであり、天国モードの終了とともに終了される。この天国演出モード中は、背景表示を他の遊技モードとは異なる特殊な背景表示に切り替え表示され(たとえば、宇宙空間を表現した“宇宙背景画像”)、天国モード中であることを報知する。
なお、天井特典として、有限時短または無限時短を付与する場合は、天国演出モードとして、時短状態に関連する上記「時短演出モード(空戦モード)」を採用してもよい。
また、天井特典として、有限確変、無限確変、有限潜確、または無限潜確を付与する場合は、天国演出モードとして、確変状態に関連する上記「ST演出モード」を採用してもよい。この場合、上記ST演出モードと同じく、ST消化回数に応じて、異なるST演出モードに移行させる構成としてもよい。具体的には、ST消化回数に応じて、「ST演出序盤モード(水中音響戦モード)⇒ST演出中盤モード(水上戦モード)⇒ST演出終盤モード(陸戦モード)」のように演出モードを順次移行させることができる。なお、無限確変または無限潜確の場合はST回数の制限が無いため、ST101回目以降は、ST終盤演出モードをそのまま継続させてもよいし、別途の新たなST演出モード(ST継続演出モード)に移行させてもよい。また、ST101目にST演出序盤モードに戻り、再度「ST演出序盤モード⇒ST演出中盤モード⇒ST演出終盤モード」の移行をループさせてもよい。
また、天国演出モード中は、既に説明した「前兆演出モード」や「ST演出モード」の内容と同事象のように、ノーマル/シンプル/プレミアムモードのいずれかに切り替え可能に構成してもよいし、ノーマル/シンプル/プレミアムモード間の切り替えが不可能(切替不能状態下に制御する)な構成としてもよい。
また、大ハマリをした遊技者の救済措置の一環として、天国モード中は、他の遊技モードよりも設定示唆演出の出現率を高確率としてもよい。たとえば、天国モードは、少なくとも通常モード(一般モードおよび/または前兆モード)よりも設定示唆演出(図柄変動表示ゲーム中に出現しうる設定示唆演出)の出現率を高確率となるように構成することができる。特に、天井特典が電サポ有り状態を伴う特典(無限潜確および有限潜確以外の天井特典)の場合、天国モード中は高ベース状態下に置かれるため、遊技者は自身の持ち玉(遊技者が保有する遊技媒体やそれに準ずる遊技価値など)をあまり減らすことなく、または現状を維持したまま、遊技を進行させることができる。そのため、遊技者の中には「設定示唆演出を見るまでは、多少のハマリを食らってもよい」という具合に、通常モードとは逆に、寧ろハマリを食らうことで、有利な情報を知得したいと欲する遊技者も多いと考えられる。このような点を考慮し、天国モード中は設定示唆演出の出現率を高確率に変動させ、「設定示唆出現チャンスゾーン」として機能させることが好ましい。これにより、ハマリ後の遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
<8.遊技進行形態について:図6、図7>
次に図6および図7を用いて、遊技モード移行制御と演出面とに着目しながら、遊技機1に係る具体的な遊技進行形態について説明する。
なお、遊技者がどのような打ち方をすれば有利な状況となるかについては、基本的には、内部遊技状態に応じて変化する(遊技モードに着目した場合には、内部遊技状態に関連する遊技モードに応じて変化する)。既に説明したように、通常状態(通常モード)であれば、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利とされ、確変状態(STモード)または時短状態(時短モード、天井モード、天国モード)であれば、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。以下では、遊技者が遊技状態に応じた有利な打ち方に従うものとして説明し、特段断りのない限り、左打ち有利(通常状態)の場合には“特図1側の図柄変動表示ゲーム1”が実行され、右打ち有利(確変状態、時短状態)の場合には“特図2側の図柄変動表示ゲーム2”が実行されるものとして説明する。また、遊技モードは、初期の遊技モードである「通常モード」から開始されるものとして説明する。
通常モード中に大当りに当選した場合には、いわゆる「初当り」となり、当選した大当りに応じた大当り遊技が開始される(図6の「初当り」のブロック枠参照)。大当り中の打ち方は、大入賞口50側に狙いを定める「右打ち」となる。
演出面に着目して説明すれば、通常モード中に、確変大当り1(5R確変ST100:特図1側最高利益大当り)に当選した場合、装飾図柄が「7図柄揃い(777)」で停止して、最高利益をもたらす大当りに当選したことが報知される。確変大当り1当選時の当り中演出は、STモード突入を確定的に報知する「ST突入確定演出」が現出されるとともに、ST100モードへの移行確定が報知される。そして、当該大当り遊技後は、ST100モードに移行される。
一方、通常モード中に、確変大当り2、3、時短大当り1、2に当選した場合には、装飾図柄が「7図柄揃い」以外で停止し、今回の図柄変動表示ゲームにおいて、確変大当りであるか、時短大当りであるかは報知されない。「7図柄揃い」以外で停止した場合は、その後の大当り遊技中の当り中演出で、遊技者参加型演出の「ST突入チャレンジ演出」が展開され、この演出結果により、大当り種別が報知される。このST突入チャレンジ演出において、成功演出が現出された場合は確変大当り、失敗演出が現出された場合は時短大当りである旨が確定的に報知される。また、成功演出には「大成功演出」と「通常の成功演出」の2種類が用意されており、「大成功演出」が現出された場合は確変大当り2(ST75モード)に当選した旨が、「通常の成功演出」が現出された場合は確変大当り3(ST25モード)に当選した旨が報知される。他方、失敗演出には「大失敗演出」と「通常の失敗演出」の2種類が用意されており、「大失敗演出」が現出された場合は時短大当り2(時短B:時短50回)に当選した旨が、「通常の失敗演出」が現出された場合は時短大当り1(時短A:時短100回)に当選した旨が報知される。
確変大当り1~3に当選した場合は、その大当り遊技後、対応するSTモードに移行され(図6のSTモードのブロック枠参照)、時短大当り1~2に当選した場合は、その大当り遊技後、時短モードに移行される(図6の時短モードのブロック枠参照)。そして、STモード中および時短モード中は、上記したように「右打ち有利」となり、特図2側の図柄変動表示ゲーム2が実行される。特図2側で大当り当選した場合は、図4に示す通り、すべて確変大当りであるので、STモード中または時短モード中に大当り当選し続ける限り、STモードがループして、遊技者に大きな利益をもたらすようになっている。
STモード中に確変大当り4~7のいずれかに当選した場合は、その大当り種別に応じた装飾図柄が停止表示される。たとえば、特図2側の最高利益大当り(全大当り中最高利益の大当り)の「確変大当り4(10R確変ST100)」に当選した場合には、通常モードでは表示されない特別な装飾図柄(たとえば、数字図柄ではなく、キャラクタを表示した図柄など)が停止して、当該大当り当選を祝福する。また、確変大当り4(10R確変ST100)よりも利益度合が低いが、確変大当り6(7R確変ST25)よりも利益度合が高い「確変大当り5(7R確変ST75)」に当選した場合には「奇数図柄揃い」が停止し、最も利益度合の低い「確変大当り6(7R確変ST25)」に当選した場合には「偶数図柄揃い」が停止するようになっている。なお、大当り遊技中は、大当り種別に応じた当り中演出が現出される。
(「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合について)
ただし「確変大当り7(特殊7R確変)」に当選した場合は、所定の確率で「奇数図柄揃い」または「偶数図柄揃い」が停止表示されるようになっている。偶数図柄揃いが停止することに当選した場合は、その後の大当り遊技中において上記確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り6(7R確変ST75)と少なくとも一部が共通する当り中演出を現出させ、その当り中演出の所定のタイミング、たとえば、特定のラウンド中演出やエンディング演出中に、確変大当り7当選に関する情報(たとえば、STモード(ST100モード)への突入確定)が報知(昇格報知)される。これにより、たとえ「偶数図柄揃い」が停止しても、高利益が期待できるST100モードへの突入可能性を残すようにし、当り中演出にて、STモード突入期待感を煽ることができるようになっている。
しかし、当り中演出にて、上記昇格報知を行わずに、演出上、確変大当り5(7R確変ST25)および/または確変大当り7(7R確変ST75)と共通(同一)の当り中演出を現出させて、確変大当り7(特殊7R確変)当選を秘匿し、大当り遊技後のSTモード中において、確変大当り7(特殊7R確変)当選を報知してもよい。
STモード(ST演出モード)中に上記昇格報知を行う場合は、ST序盤モードが終了するまで(ST回数25回が終了するまで)の期間中であればよいが、ST序盤モード終了ゲーム(ST中25回転目)中に報知することが好ましい。具体的には、第1ST回数(たとえば、確変大当り5当選によるST25回)または第2ST回数(たとえば、確変大当り7によるST100回)のうちいずれか少ない回数に達するまで(たとえば、ST中のゲーム数が25回に達するまで)、第1当り(たとえば、確変大当り5)であるか第2当り(たとえば、確変大当り7)であるかを直接的に示す表示を行わないように表示制御可能な構成である。しかしこのような報知タイミングに限らず、たとえば、上記昇格報知のタイミングを、ST序盤演出モードが終了した次ゲームの開始時またはST中盤モード中の所定のタイミングとしてもよい。また、ST序盤演出モード中で第1昇格報知を行い、ST中盤演出モードで第2昇格報知を行う「ステップアップ」的な昇格報知を行ってもよい。この場合の第1昇格報知はST75モード突入以上が確定的であることを報知する昇格報知であり、第2昇格報知はST100モード突入を確定的に報知する昇格報知である。このようにすれば、大当り遊技中~STモード中の長期間にわたって、当選した大当り種別が、確変大当り5~7のいずれかであるかの緊張感を持続させることができる。換言すれば、ST100モードへの移行期待感を持続させることができる。なお、当り中演出中に昇格報知するか、STモード中に昇格報知するかについては、大当り遊技開始時の当り中演出シナリオを決定する際のシナリオ抽選などにより決定することができる。
(天井モードへの移行)
また、通常モードにおいて、989ゲーム目まで大当りに当選しなかった場合、990ゲーム目から「前兆モード」に移行される(図7の前兆モードのブロック枠参照)。そして、前兆モード中にも大当りに当選できずに1000ゲーム目に到達した場合(天井到達)、「天井モード」に移行し、天井機能が発動する。本実施形態では、ハズレ時の場合に、天井特典の「有限時短」が付与され、1001ゲーム目以降は、天国モードに移行されることになる。
<9.前兆モード中の特定予告演出禁止機能について:図32>
ここで本実施形態では、前兆モード中に、特定予告演出禁止機能(特定予告演出禁止手段)が働く。詳しくは、前兆モードが天井間近の報知に係る遊技モードである点や、天井モードが天井特典付与に係る遊技モードである点に着目して、前兆モード(前兆演出モード)や天井モード(天井演出モード)では、特定の予告演出の現出を禁止する。本実施形態の場合、その禁止機能として、先読み予告の実行を禁止する「前兆中先読み予告禁止手段(特定先読み予告禁止手段)」を設けてある。以下、図32を用いて、「前兆中先読み予告禁止手段」について詳細に説明する。
図32は、前兆中先読み予告禁止手段により先読み予告が禁止される場合の説明に供する説明図である。図32では、前兆中先読み予告禁止手段による禁止対象として「保留変化予告」を扱った形態について説明するが、本発明はこれに限らず、当該禁止対象として「保留変化予告」および/または「変動中先読み予告」とすることができる。
(A.前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成(通常のケース):図32(イ))
図32(イ)を参照して、「通常のケース」について説明する。この「通常のケース」とは、前兆中先読み予告禁止手段を設けない構成を示すものであり、後述の前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成(同図(ハ-1)(ハ-2))との比較例として示したものである。なお、図示の保留アイコン770は「通常保留表示(白色保留)」であり、保留アイコン771は特別保留表示(通常の保留変化予告)のうちの「高期待度保留表示」であり、保留アイコン772は「天井用保留表示(天井用保留変化予告)」を示す。また、保留アイコン771は、ここでは、特別保留表示のうち、大当り当選時に現出されうる「虹色保留(当確保留表示)」を示してある。
また図(イ)は、説明の便宜上、997~999ゲーム目の3個の作動保留球が現存する場合に、4個目の作動保留球として、1000ゲーム目(天井ゲーム)に係る作動保留球(以下、「天井ゲーム保留球」と称する)が発生したケースを代表的に示したものである。
図(イ)に示す比較例の場合は「前兆中先読み予告禁止手段」を設けていない構成のため、天井ゲーム到達前の特別保留表示(以下「通常の保留変化予告」と称する)の有無にかかわらず、1000ゲーム目の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)の実行が許容されることになる。ここで、天井用保留表示を“許容する”とは、必ず現出される場合と、所定の抽選に当選した場合に現出される場合のいずれでもよい、という意である(後述の(ロ)(ハ-1)(ハ-2)についても同様)。したがって、この比較例の場合は、3個目の虹色保留(当確保留)の保留変化予告があっても、4個目の天井ゲーム保留球の保留表示が藤丸くんの保留アイコン772(天井用保留表示)に変更されうる。
しかし、天井到達前に大当りに当選した場合には天井機能が発動しないため(天井ゲーム数がリセットされる)、天井用保留表示を実行する必要性に乏しいといえる。また、当選期待度を予告する保留変化予告(特別保留表示)と、天井ゲームであることを予告する天井用保留変化予告(天井用保留表示)とが同時に表示されてしまうと、性格の異なる予告表示が同時に出現することになり、かえって遊技者を混乱させてしまう恐れもある。そこで本実施形態では、前兆中先読み予告禁止手段を設けて、これらの問題点を解決している。
(B.前兆中先読み予告禁止手段を設けた構成例:図32(ロ)、(ハ-1)、(ハ-2))
以下、上記「前兆中先読み予告禁止手段」を設けた構成例について説明する。これには、図(ロ)に示す「通常の先読み予告を優先実行するケース」と、図(ハ-1)(ハ-2)に示す「天井用先読み予告を優先実行するケース」の形態がある。
(通常の先読み予告を優先実行するケース:図32(ロ))
図32(ロ)は、「通常の先読み予告を優先実行するケース」、具体的には、「天井ゲーム到達前に当確保留が存在する場合、天井用先読み予告を禁止するケース(天井ゲーム保留球を対象とした先読み予告禁止するケース)」を示したものである。ここでは上記図(イ)のケースと同様に、3個目の作動保留球が「当確保留」である場合を示してある。
本例の場合、天井ゲーム到達前に当確保留が存在するときは、1000ゲーム目(天井ゲーム)の保留表示が天井用保留表示(天井用保留変化予告)に変更されずに「通常保留表示」が現出される。つまり、前兆中先読み予告禁止手段による「先読み禁止対象保留」を“天井ゲーム保留球”とする構成である。
先読み禁止対象保留を“天井ゲーム保留球”とする理由は、次の通りである。天井ゲーム前に当確保留が存在する場合は、天井機能が発動される前に(天井特典付与前)大当りに当選となってしまうため、天井用保留表示を現出する必要性に乏しい。また、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を禁止する構成とした場合、1000ゲーム目の保留表示が通常保留表示のままであれば「天井ゲーム到達前に当確保留がある」という推測要素を与えることができ、これを知る遊技者は、天井到来まで無駄打ちを防止することができる、という演出的メリットもある。ただし、当確保留が存在する場合に天井用保留表示を一切禁止するのではなく、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されていない場合、つまり、当確保留を対象とした先読み予告抽選が「ハズレ」となった場合には、天井用保留表示を現出(許容)してもよい。当確保留に係る保留変化予告が現出されていない場合には、遊技者は天井ゲーム到達前に当確保留が存在することを知ることができないが、たとえ、天井用保留表示が現出されていたとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。なお、当確保留に係る保留変化予告(虹色保留)が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止するのではなく、高期待度保留変化予告以上(たとえば、緑色保留以上)の保留変化予告が現出されている場合に天井用保留表示の現出を禁止する構成としてもよい。
(天井用先読み予告を優先実行するケース:図32(ハ-1)(ハ-2))
次に、「天井用先読み予告を優先実行するケース」について説明する。
図32(ハ-1)は「天井用先読み予告を優先実行するケース」の例として、
(α)“前兆モード中において、通常の先読み予告の一部を禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例と、
(β)“前兆モード中において、通常の先読み予告を全面的に禁止する一方、天井用保留変化予告(天井用保留表示)は許容する”という構成例とを示したものである。
この図(ハ-1)に示す構成例は、上記図(ロ)のように、先読み禁止対象保留を「天井ゲーム保留球」とするのではなく、先読み禁止対象保留を「前兆ゲーム中に消化される作動保留球」だけとし、天井ゲーム保留球を禁止対象から除外する構成例である。
上記(α)における「通常の先読み予告の一部を禁止する」とは、たとえば、通常の保留変化予告(特別保留表示)のうち、低期待度保留変化予告の現出は許容する一方、高期待度保留変化予告の現出は禁止する、という構成である。具体的には、下記の構成1、2などである。
(構成1)黄色保留以下の保留変化予告(青色保留と黄色保留)の現出は許容し、当該黄色保留よりも当選期待度が高い緑色以上の保留変化予告(緑色保留、赤色保留および虹色保留)の現出は禁止する構成。
(構成2)当確以外を示す保留変化予告(虹色保留以外の保留表示)の現出は許容し、当確を示す保留変化予告保留の現出は禁止する構成。
上記「構成1」は、当確保留の場合に緑色や赤色や虹色などの高期待度保留変化予告だけを禁止対象とするものである。他方、上記「構成2」は、高期待度保留変化予告のうち、当確保留表示の「虹色保留」だけを禁止対象とするものである。したがって、構成2の場合は、当確を示す「虹色保留」以外の保留変化予告の生起は許容される。
上記(β)における「先読み予告を全面的に禁止する」とは、通常の先読み予告(ここでは、保留変化予告)は一切禁止し、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出は許容する、という構成である。したがって、上記(β)の構成の場合は、前兆モード中において通常の先読み予告は一切現出されず、天井用保留変化予告(天井用保留表示)の現出だけが許容されることになる。
図(ハ-1)(上記(α)または(β))のようにするのは次の理由による。通常の保留変化予告(特別保留表示)の現出を無闇に許容してしまうと、通常の保留変化予告と、天井用保留表示とが同時に表示されてしまい、保留表示に関して、遊技者(特に、遊技初心者)の混乱を招来してしまう。特に、高期待度保留変化予告と天井用保留変化予告とが混在してしまうと、遊技者の混乱度合が増してしまう。したがって、先読み予告自体を禁止するか、少なくとも高期待度保留変化予告を禁止することが好ましい。また、前兆モード中に先読み予告を一部または全部を禁止する場合には、遊技者は、天井ゲーム到達前に当確保留の存在または存在する可能性が高いことが分からないが、たとえ、そのようことを示す高期待度保留変化予告が現出されていないとしても、天井ゲーム到達前に大当りに当選した場合には、遊技者にとって特に不利益とはならならないからである。また、前兆モード中の先読み予告自体を全面的に禁止する場合は、演出制御負担の軽減にも繋がる。
図(ハ-2)は、上記図(ハ-1)とは異なり、前兆モード中の一部の期間を先読み禁止区間として定めることにより、天井用保留変化予告を優先実行する構成例である。図(ハ-2)は、代表例として、天井ゲーム前の最大保留球数分(996~999ゲーム目の区間)を、先読み禁止区間に定めた例を示してある。本例の場合は、996~999ゲーム目の区間は、先読み予告が一切禁止される。ただし、当該区間において先読み予告を一切禁止するのではなく、上記図(ハ-1)の(α)のように、「先読み予告の一部を禁止する」構成としてもよい。
なお、図32の(イ)、(ロ)、(ハ-1)および(ハ-2)のいずれも、上記「カウントダウン表示(残余天井回数表示演出)」などの特定報知演出により、天井ゲーム数までの残余ゲーム数を報知可能に構成することができる。ここで、カウントダウン表示自体は、当選期待度を予告するものではなく、単に、残り天井ゲームを報知するだけであり、先読み予告のような予告機能を果たすものではない。しかし、カウントダウン表示の演出態様を利用して当選期待度を予告する、つまり、当確保留の存在可能性を報知してもよい。たとえば、図(ハ-1)または(ハ-2)の天井用先読み予告を優先実行するケースにおいて、当確保留(3個目)よりも時系列的に先に発生した作動保留球(1~2個目)が消化されるごとに、通常のカウントダウン表示(当確保留が存在しない場合の表示態様)とは異なる特別なカウントダウン表示(たとえば、表示色の違いや表示の大小の違い)を行い、当確保留の存在を示唆してもよい。たとえば、通常のカウントダウン表示が白色の数字画像を用いたものである場合、特別なカウントダウン表示は、その数字画像が白色以外の色(赤色)に変化する、あるいは、数字画像が巨大化するなどである。
本実施形態は、先読み予告に関して、たとえば下記の構成を含むことができる。
始動条件が成立したことに基づいて(始動手段が遊技球を検出したことを契機に)、所定の遊技情報を取得する取得手段(図10のS301、S302、図11のS314)と、
上記取得手段により取得された遊技情報に基づき、当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記取得手段により取得された遊技情報を、上記図柄表示手段における遊技図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(RAM203の保留記憶エリア、図10のS311~S314)と、
上記保留記憶に基づく上記遊技図柄の変動表示動作が実行される前に、少なくとも上記抽選手段による抽選結果を先読み判定する先読み判定手段(図11のS318)と、
上記先読み判定手段による先読み判定結果に関連する情報を報知する先読み予告を実行制御可能に構成された先読み予告演出制御手段(演出制御部24、図19のS1008)と、
所定の禁止条件に基づき、上記先読み予告の実行(表示)を禁止する先読み予告禁止制御手段(図32)と、
所定の付与条件に基づき、通常状態よりも有利な天井特典を付与する(天井特典を実行制御する)天井特典制御手段(図7、図12のS420、S421、S412、図13~図15など)と、
上記天井特典が付与されること(たとえば、天井ゲームが間近であること、または現存する作動保留球数内で天井特典が付与されること、あるいは、対象の作動保留球に係る図柄変動表示ゲームが実行された場合に天井特典が付与されることなど)を事前報知する天井前報知演出(たとえば、図32の天井保留変化予告(天井用保留表示))を実行制御する天井特典事前報知制御手段と、を備え、複数種類の遊技状態(遊技モード)を制御可能に構成することができる。上記先読み予告禁止手段は、特定の遊技モード中の全期間または一部の期間で上記先読み予告の実行を禁止する(図32(ロ)(ハ-1)(ハ-2))。特定の遊技モードは、たとえば、天井ゲーム到達前(天井モード移行前)の遊技モードであり、具体的には、天井ゲーム到達直前(天井モード移行直前の遊技モード)の前兆モードが該当する。また、上記天井特典制御手段は、具体的には、所定の開始条件が成立した後(たとえば、電サポ終了後または大当り遊技後あるいは、低確率状態を伴う遊技状態に移行後など)、当り遊技が発生されずに(または大当りに当選することなく)、低確率状態を伴う遊戯状態で実行された図柄の変動回数(ゲーム数)が所定の上限回数(天井ゲーム数)に達した場合に通常遊技状態よりも遊技者に有利な天井特典(特典遊技状態)に制御する機能部として働く。
(潜確状態に係る遊技モード)
なお、潜確状態を設ける場合は、たとえば、図28に示すように、他の遊技状態に対応する変動パターン選択モード(Tcode)と遊技状態判定番号YJとは異なるデータ値を定めればよく、潜確状態に対応した遊技モードとして「潜確モード」、潜確モードに関連する演出モードとして「潜確演出モード」を設ければよい。また本実施形態に係るSTモードはすべて「確変状態」に対応する遊技モードであるとして説明したが、STモードの全部または一部を「潜確状態」に対応する遊技モードと扱うことができる。なお、潜確モード(潜確状態)下の変動状態は、上記「(7-5-1.天国モードに係る変動状態)中の“無限潜確または有限潜確付与時の場合”」で説明したのと同様に、通常モードと同一または略同一の変動状態か、少なくとも時短モードよりも遅い変動状態(平均消化時間が相対的に長い変動状態)とすることが好ましい。
<主制御部側の処理:図8~図18>
次に図8~図18を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図8)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図9)とを中心的に構成される。
<12.主制御側メイン処理:図8>
図8を参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。
図8は、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。主制御側メイン処理の開始契機には、停電状態や電源異常などからの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)された場合などがある。いずれの場合でも、主制御側メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、電源投入時処理の一環として、遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
ステップS011の初期設定処理を終えると、次いで、設定値を変更可能な設定変更モード移行状態であるかを判定する(ステップS014)。本実施形態では、遊技機1への電源オフおよび扉開放(扉開放センサ61がON(開放検出))の状態において、設定キースイッチ94(設定変更モード側に操作)およびRAMクリアスイッチ98をON操作したまま(設定キースイッチ信号と、RAMクリア信号とが共にON)、遊技機1の電源を投入すると、設定変更モード移行条件を満たしたとして、設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態(設定変更モード移行状態)に制御される。
設定変更モード移行状態の場合(ステップS014:YES)、設定値(1~6段階)の変更操作を管理する設定変更処理を実行する(ステップS023)。この設定変更処理では、まず、領域内RAMの設定値格納領域に格納されている設定値Nc(設定値データ)が異常値(設定1~6に対応する00H~05H以外の値)であるか否かを判定する。正常な遊技動作であれば、設定値格納領域には、設定1~6に対応して‘00H~05H(正常値)’のいずれかの設定値データ(設定値Nc)が格納されている。しかし、何らかの不具合により設定値データが破損して、設定1~6のいずれにも対応しない値が設定されている場合もありうる(設定異常エラー)。そこで、設定値Ncが正常値でない場合には、設定値格納領域をゼロクリアして、初期値の00H(ここでは、設定1)に戻すようになっている。
初期値に戻した場合か正常値である場合は、現在の設定値を設定表示器97に表示する。その後、設定変更スイッチ95のON/OFF操作を監視し、設定変更スイッチ95のON操作がある毎に、現在の設定値Ncを変更(更新)する。設定変更中(設定変更操作中)の設定値については、既に説明したように、設定変更スイッチ95を操作するごとに、設定1~6の範囲で循環式に切り替わり、設定表示器97に設定変更中における現在の設定値が表示されるようになっている。そして、設定変更完了スイッチ96のON操作を確認した場合、設定値が確定されたとして、現在の設定値Nc(設定作業値)をRAM203の設定値格納領域に格納する。これにより、設定変更処理を抜ける。そして、処理状態を後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)に移行させる。
なお、設定変更スイッチ95を設けずに、RAMクリアスイッチ98を設定変更スイッチ95として機能させる構成としてもよい。RAMクリアスイッチ98を押下するごとに、設定1~6のいずれかの設定値を選択可能に構成することができる。また、設定変更完了スイッチ96を設けずに、設定キースイッチ94を設定変更完了スイッチ96として機能させる構成としてもよい。この場合、設定キースイッチ94をOFFにすることにより、設定変更操作を終了させることができる。
一方、設定変更モード移行状態でない場合(ステップS014:NO)、RAMの内容をチェックして、その異常の有無を判定する(ステップS015)。具体的には、設定値格納領域における設定値データ(設定値Nc)が正常値であるか否か、バックアップ時のチェックサム値が正常値であるか否かなどをチェックする。RAMの内容に異常がある場合(ステップS015:YES)、後述のRAM異常時に係る電源再投入待ち処理(ステップS020)を実行する。
RAMの内容に異常がない、つまり正常である場合(ステップS015:NO)、次いで、バックアップフラグBFがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS016)。このバックアップフラグBFは、後述する電源異常チェック処理(図9のステップS081)の処理にて、正常にバックアップ処理が実行された場合に「5AH(正常値)」が領域内RAMのBFフラグ格納領域に設定される。したがって、正常時であれば、バックアップフラグBFが5AHのはずである。しかし何らかの不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値(≠5AH)でない場合もありうる。そこで、バックアップフラグBFがON状態でない場合(ステップS016:NO)、電源再投入待ち処理を実行する(ステップS020)。
ステップS020の電源再投入待ち処理では、遊技処理の進行を強制的に停止させる遊技停止状態に制御する。この電源再投入待ち処理が実行されて遊技停止状態となった場合は、、遊技機1の電源を再投入し、その再投入時に上記設定変更モード移行状態に設定されるように操作して、上記した設定変更処理(ステップS023)が実行されない限り、現在発生中のRAMエラー状態が解消できないようになっている。本実施形態では、上記設定変更処理(ステップS023)が実行された後(設定異常エラーの場合には設定値格納領域がクリアされた後)、後述のステップS031の領域内RAMクリア処理が実行されることで、実質的にRAM203の全領域(ただし、性能表示に関するRAM領域(領域外RAM領域)は除く)がクリアされる。これにより、RAM203が初期状態に戻り、RAMエラーが解消されるようになっている。
バックアップフラグBFがON状態である場合(ステップS016:YES)、RAMクリアモード移行状態であるか否かを判定する(ステップS025)。本実施形態では、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をOFF操作し(設定変更モード側に操作しない)、RAMクリアスイッチ98をON操作した状態で(設定キースイッチ信号OFF、RAMクリア信号ON)遊技機1への電源を投入すると、RAMクリア移行条件を満たしたとして、RAMクリアモード移行状態に制御される。
RAMクリアモード移行状態である場合(ステップS025:YES)、領域内RAMクリア処理を実行する(ステップS031)。この領域内RAMクリア処理では、RAM203の記憶領域のうち、少なくとも性能表示に係る領域外RAM領域と、領域内RAM領域のうち上記設定値格納領域とを除く記憶領域がクリアされる。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグBFの値やチェックサム値などは、本処理において、共にゼロクリアされる。またここでは、RAMクリア時に必要な各種のコマンド(たとえば、RAMクリアされた旨を示す「RAMクリアコマンド」、「客待ち中コマンド」など)を演出制御部24に送信する。演出制御部24がRAMクリアコマンドを受けると、RAMクリアを報知する初期化報知演出を実行し、初期状態の演出モードとして、演出モードを「通常演出モード」に設定する。すなわち、領域内RAMクリア処理が実行されると、遊技モードが初期モードの通常モードに設定され、演出モードも通常モードに関連する通常演出モード(たとえば、ノーマル(通常A演出モード)、シンプル(通常B演出モード)、プレミアムモード(通常C演出モード)のいずれか)に設定されることになる。
ステップS031の領域内RAMクリア処理を終えると、次いで、RAMクリア時の初期設定処理(電源投入時初期データ設定処理)を実行する(ステップS032)。電源投入時初期データ設定処理では、たとえば、RAMクリア信号(セキュリティ信号の一つ)の送信用タイマに30000msをセットし、特別図柄表示装置38a、38bに表示する特別図柄(特図1停止図柄、特図2停止図柄)データとして、ハズレ図柄データを設定する。そして、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
ステップS025の説明に戻り、RAMクリアモード移行状態でない場合(ステップS025:NO)、次いで、現在の設定値を確認可能な設定確認モード移行状態(設定確認許容状態)であるか否かを判定する(ステップS026)。本実施形態の場合、遊技機1への電源オフの状態において、設定キースイッチ94をON操作し、RAMクリアスイッチ98をOFF操作した状態で(設定キースイッチ信号ON、RAMクリア信号OFF)、遊技機1への電源を投入すると、設定確認モード移行条件を満たしたとして、設定確認モード移行状態に制御される(ステップS014~S026参照)。
設定確認モード移行状態である場合(ステップS026:YES)、現在の設定値を確認可能な設定確認状態に制御するための設定確認処理(ステップS027)が実行され、設定確認処理を終えると、続いて、電断時にバックアップされたバックアップデータから遊技処理を復帰させるバックアップ復帰処理(ステップS028)を実行する。ステップS027の設定確認処理では、設定表示器97に、現在の設定値を表示(設定確認表示)させるための表示処理を行う。設定値の表示は、設定キースイッチがOFF操作されることで終了されるようになっている。そして、設定キースイッチ94がOFF操作された後は、上記バックアップ復帰処理を行い、後述のCTCの設定処理(ステップS036)を実行する。
一方、設定確認モード移行状態でない場合(ステップS026:NO)、つまり、単に遊技機1に電源を投入した場合は、上記バックアップ復帰処理(ステップS028)を行い、バックアップデータに基づき、バックアップ時の遊技処理を復帰させる。
上記した設定変更処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、設定確認処理(ステップS027)、およびバックアップ復帰処理(ステップS028)のいずれかの処理を実行した後は、CTCの設定処理を実行する(ステップS036)。ここでは、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する。これにより、以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図9に示す主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理)が実行される。
そして、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定し、遊技開始コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、発射装置32からの遊技球の発射動作が許容される。また、演出制御部24が上記遊技開始コマンドを受けると、可動体役物に関する初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。ただしイニシャライズ動作中は、液晶表示装置36の画像表示態様、装飾ランプ45の発光態様、スピーカ46からの音出力については変化しない。ここでのイニシャライズ動作は、専ら、可動体役物に関する電源投入時の動作チェックである。
なお、上記ステップS028のバックアップ復帰処理の実行後、ステップS036のCTCの設定処理を実行する前段階において、性能表示器99が正常に動作しているか否かの確認動作を実行するために必要な「動作確認設定処理」を実行可能に構成してもよい。この性能表示器99の確認動作では、たとえば、4個の7セグ表示器99a~99dの表示態様を、所定時間(たとえば、5秒間)、全点灯と全消灯とを周期的に繰り返す「全点滅表示(動作確認表示)」態様に制御する(動作確認表示処理)。これにより、セグメント欠け等の不具合をチェックすることが可能になる。この場合、動作確認に関する表示処理は、後述の主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理(ステップS102:領域外プログラム)で行う。性能表示器99によるベース値の表示は、ステップS036のCTCの設定処理後、主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理(ステップS102)にて実行されるため、設定変更処理(ステップS023)や設定確認処理(ステップS027)中は、性能表示器99によるベース値の表示はこの段階では実行されない。この点を利用して、性能表示器99の4つのセグ99a~99dのうち、少なくとも1つのセグを設定表示器97として利用可能に構成し、性能表示器99を一時的に設定表示器97として機能させる構成としてもよい。この場合、設定表示器97を性能表示器99で代用できるため、制御負担の軽減やコスト削減に寄与することができる。
上記一連の電源投入時処理を終えると、通常の遊技進行に係るステップS040~S045の無限ループ処理を実行する。これにより、遊技の進行が可能な遊技開始可能状態下に制御される。ループ処理に入ると、まずCPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS040)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS041)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS041)を終えると、次いで、領域外プログラムの性能表示モニタ集計除算処理を実行する(ステップS043)。この性能表示モニタ集計除算処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出に必要な処理を実行する。
上記ステップS043の性能表示モニタ集計除算処理を終えると、割込み許可状態に設定して(ステップS045)、ステップS040の処理に戻り、以後、ステップS040~S045の処理を繰り返し実行する(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
<13.主制御側タイマ割込処理:図9>
次に図9を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図9は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図9において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、不図示の電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電断などの電源異常が生じた場合には、バックアップフラグBFの設定(BF←5AH)、チェックサム値を算出するチェックサム演算(ここでは、領域内RAMを対象とする8ビット加算演算処理)、その演算結果の記憶などを含むバックアップ処理を行う。電源異常チェック処理は、電源遮断後もRAMの所定領域のデータを保持するバックアップ手段として働く。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS082)。遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(時間)のタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS083)。入力管理処理では、遊技機1に設けられた各種のセンサやスイッチ類の検出情報に基づき、各種カウンタ(たとえば、各入賞口別に設けられた入賞球カウント用の入賞カウンタ)を更新する。またここでは、払出制御基板29からの状態信号の入力情報に基づき、入力データの作成を行う。状態信号が異常を示すものある場合は、後述のエラー管理処理(ステップS089)にて所定のエラー処理を行う。
次いで、設定異常チェック処理を実行する(ステップS084)。設定異常チェック処理では、設定値データが正常値(設定1~6を示す値)であるかを判定し、正常範囲内の値でない場合には、設定値データに異常が発生したとして、設定エラーフラグをON状態(5AH)に設定する。そして、設定値異常コマンドを演出制御部24に送信して、設定異常チェック処理を抜ける。なお、演出制御部24が設定値異常コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行する。なお、再度、この設定異常チェック処理が実行される際に、設定エラーフラグがON状態であれば、何もせずに、そのまま本処理を抜ける。
次いで、タイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。タイマ割込内乱数管理処理では、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する。具体的には、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などに対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値の変更処理を行う。なお、内部抽選用乱数(大当り判定用乱数)は、上記乱数生成回路で生成されるので、ここでは更新されない。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS089)。このエラー管理処理では、各種のスイッチやセンサ類に係る検出情報や、払出制御基板29からの状態信号などに基づき、遊技動作にエラー(異常)が生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、そのエラー種別を特定可能なエラーコマンドを演出制御部24に送信し、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。またエラーが解除された場合には、エラー解除コマンドを演出制御部24に対して送信して、エラー解除処理を実行する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄の変動表示動作)に関して必要な処理を実行する。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数など)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普図作動保留球)として、最大保留記憶数(ここでは、4個)まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、所定の変動表示開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を実行する。ここでは、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を実行する。ここで設定されたソレノイド制御用データは、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、励磁信号に変換され、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力される。これにより、開閉蓋47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、特別図柄変動表示ゲームに関する処理を実行する。この特別図柄管理処理では、主に、先読み判定や特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図10にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果に基づき、当選となった当りに応じた当り遊技の実行制御や、大当り遊技後の移行先遊技状態の設定処理など、当り遊技に必要な処理を行う。特別電動役物管理処理は、当選種別に応じた当り遊技を実行制御する特別遊技制御手段として働く。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図17にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(当り遊技中、電サポ有り状態中(時短状態または確変状態))下である場合に、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、右打ち表示装置39bなどの各種LED表示装置に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を実行する。上記普通図柄管理処理(ステップS091)、特別図柄管理処理(ステップS093)、右打ち報知情報管理処理(ステップS097)などで作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を実行する(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部端子基板21を通して、各種の外端信号を作成して、ホールコンピュータHCなどの外部装置に対して出力制御を実行する。
次いで、ソレノイド管理処理を実行する(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)や特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド52cに対して励磁信号の出力制御を実行する。これにより、可動翼片47や開放扉52bを駆動制御し、下始動口35や大入賞口50の開閉動作を実現する。
次いで、全レジスタを退避して(ステップS101)、領域外プログラムに属する性能表示モニタ処理を実行し(ステップS102)、その後、全レジスタを復帰する(S103)。性能表示モニタ処理では、性能表示器99に表示するベース値の算出や表示制御に関しての必要な処理を実行する。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS104)。これにより、割込みごとにWDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081~ステップS104の処理を終えると、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで、主制御側メイン処理を実行する。
<19.特別図柄管理処理:図10>
次に、図9中の特別図柄管理処理(ステップS093)について説明する。図10は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず特図1側(上始動口34側)に関する「特図1始動口チェック処理」を行い(ステップS301)、続いて、特図2側(下始動口35側)に関する「特図2始動口チェック処理」を実行する(ステップS302)。この特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理の詳細は図11にて後述する。
ステップS301~S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。なお、本実施形態では小当りを設けていないが、以下では、当り種別に「小当り」が含まれるものとして説明する。
上記小当り中フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306~S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない。つまり、当り遊技中は、特別図柄の停止表示態様が、小当り図柄または大当り図柄で確定表示されたまま保持される。
一方、ステップS304において、上記条件装置作動フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H~03H)に応じた処理を行う。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、上記特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じてステップS306~S308のいずれかの処理を実行する。具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする表示動作)が実現されることになる。なお、本発明と関連の深い、特別図柄変動開始処理(ステップS306)と、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)とについての詳細は、それぞれ図12、図16A~図16Bにて後述する。
上記ステップS306~S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図9のLED管理処理(ステップS098)でLEDデータとなって出力され、特別図柄表示装置38a、38bにおける特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。特別図柄表示データ更新処理を終えると、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理を実行する。
<11.特図1始動口チェック処理:図11>
図11を参照して、特図1始動口チェック処理(図10のステップS301)について説明する。図11は、特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、主に、上始動口34に遊技球が入賞したときの保留記憶に関する処理や、先読み判定に関する処理を中心に構成される。なお、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは、その処理内容が、特図1側に関するものであるか、それとも特図2側に関するものであるかの違いだけで、実質的には、同じ処理内容である。したがって、ここでは、重複記載を避けるために、特図1始動口チェック処理に着目して説明する。
図11において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34(特図1側始動口)の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特図1作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特図1作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合、つまり、最大保留記憶数を超えるオーバー入賞が発生した場合(ステップS312:YES)、オーバー入賞を指定するオーバー入賞コマンド(特図1の場合はB006H、特図2の場合はB106H)を演出制御部24に送信する(ステップS324)。一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値を領域内RAMの保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお、上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、上記「保留加算コマンド」の下位バイト側(EVENT)に相当するコマンドデータ(入賞コマンド1)に、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を取得し(ステップS315)、続いて、「先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。この「先読み禁止条件」とは、特図1始動口チェック処理中の場合は特図1作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図1先読み禁止条件)であり、特図2始動口チェック処理中(不図示)の場合は、特図2作動保留球側を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)する条件(特図2先読み禁止条件)である。本実施形態では、特図1作動保留球よりも特図2作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ有り状態を伴う遊技状態(時短状態や確変状態)」であれば‘特図1先読み禁止中’とし、逆に、特図2作動保留球よりも特図1作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ無し状態を伴う遊技状態(通常状態や潜確状態)」であれば‘特図2先読み禁止中’としている。したがって、ステップS316の判定処理では、現在の遊技状態が、時短状態または確変状態である場合、特図1先読み禁止条件成立中として、その判定結果が‘YES’となる。また、先読み禁止条件として、特定の遊技モード中(たとえば、前兆モード中)の場合を先読み禁止とすることもできる。
ここで本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)種別により、現在の遊技モードを特定可能であるため(図28のTcodeの欄参照)、遊技モードを判定する場合は、変動パターン選択モード(Tcode)の値を判定すればよいが、変動パターン選択モード(Tcode)とは別途に、各遊技モード自体を識別可能な識別子(たとえば、遊技モード判定番号YM)を設けて、これにより、現在の遊技モードを判定してもよい。たとえば、一般モードに属する遊技モードに「一般モードA」と「一般モードB」とを設けた場合、これらは変動パターン選択モード(Tcode)が同一であるが、遊技モードとしては別の遊技モードとして管理したいケースである。いずれにしても、現在の遊技状態(内部遊技状態または遊技モード)に基づく何らかの処理を行う場合(遊技状態に関する情報が必要となる遊技処理を行う場合)、現在の内部遊技状態、現在の変動パターン選択モード、または現在の遊技モードを識別可能な識別子(遊技状態判定番号YJ、変動パターン振分指定番号Tcode、前述の遊技モード判定番号YMなど)の1または複数の識別子を適宜用い、遊技動作を処理可能な構成とすればよい。本実施形態では、変動パターン選択モード(Tcode)の値により、遊技モードが特定可能であるものとして説明する。
特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317~S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS322参照)。これにより、今回の作動保留球の先読み予告の実行が禁止状態に制御される(今回の作動保留球を対象とする先読み予告が実行されない)。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS316:NO)、次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS317)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS317:=5AH)、すなわちRAMエラー(設定異常エラー)が生じている場合、先読み判定に関する処理(ステップS317~S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合も今回の作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されて、これにより先読み予告は実行されない。換言すれば、上記先読み禁止データ(9FH)は、先読み判定に関する処理(ステップS318~S321)が未実行であることを指定するデータともいえる。
設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS317:≠5AH)、「設定値コマンド」を送信した後、乱数判定処理を実行する(ステップS318)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の当落抽選(後述の図12のステップS410)」を事前に判定する‘先読み当落判定’を行う。
(設定値コマンド)
上記「設定値コマンド」は、現在の設定値を特定可能な情報が含まれ演出制御部24側にて、当該設定値に基づく予告演出(後述の設定示唆演出)を現出制御する際に利用される。この設定値コマンドは、始動口チェック処理にて、作動保留球が発生するごとに送信されるようになっている。これにより、演出制御部24側では、正しい設定値情報に基づき、作動保留球に係る予告演出(たとえば、先読み予告演出に関連する設定示唆演出)を現出制御可能となっている。
ステップS318の乱数判定処理では、まず「当り乱数判定テーブル(図示せず)」を取得し、大当り判定用乱数値を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(先読み当落判定)を実行し、その抽選結果(先読み当落結果)を取得する。
上記当り乱数判定テーブルには、特図1作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム1)と特図2作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム2)のそれぞれに対応した当り乱数判定テーブル(特図1用当り乱数判定テーブル、特図2用当り乱数判定テーブル)が設けられている。特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」が、特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。この当り乱数判定テーブルは、後述の「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(図12のステップS410)」において、当落抽選を行う際にも利用される。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率と低確率)別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当落種別が決定されるようになっている。
本実施形態の場合、上記当り乱数判定テーブルには、設定値(設定1~6)ごとに対応した当り判定テーブル(設定1~6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。また本実施形態の場合、低確率時の大当り抽選確率に対する高確率時の大当り抽選確率の割合は(確率上昇割合:高確率/低確率)、各設定値において同一であり、その割合は10を超えない値に設定されている。たとえば、設定6「低確率時1/189、高確率時1/63」、設定5「低確率時1/198、高確率時1/66」、・・・、設定2「低確率時1/231、高確率時1/77」、設定1「低確率時1/240、高確率1/80」で、大当りに当選するようになっている。なお、確率上昇割合は、各設定値で異なっていてもよい。
上記したステップS318の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を実行する(ステップS319)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の図柄抽選(後述の図12のステップS411)」を事前に判定する‘先読み図柄判定’を行う。
上記特別停止図柄データ作成処理では、ステップS318で得られた先読み当落結果と、今回の処理対象の特別図柄種別(特図1、特図2の別)とに応じた「図柄テーブル(図示せず)」を選択する。そして、ステップS314で得られた特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと、取得した特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(先読み図柄判定)を実行し、その抽選結果(先読み図柄結果)を取得する。
上記「図柄テーブル」には、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を決定するための「大当り図柄テーブル」、「小当り図柄テーブル」、「ハズレ図柄テーブル」が含まれ、各図柄テーブルが特別図柄種別に対応して設けられている。これらの図柄テーブルは、後述の特別停止図柄作成処理(図12のステップS411)において、変動開始時の図柄抽選を行う際にも利用される。
図柄テーブルには、当選種別(図柄種別)を決定するための判定領域(判定値)と、特別図柄判定用乱数値(たとえば、特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、所定の図柄抽選率に従い、当選種別が決定され、その抽選結果を示すデータとして、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が取得される。なお本実施形態では、大当りの場合には、図4の図柄抽選率に従いいずれかの大当りが決定される。また、図示していないが、特図1側のハズレ種別にはハズレAとハズレBとが設けられており、その図柄抽選率は、ハズレAは95%、ハズレBは5%となっている。ハズレBが選択された場合は、Nリーチ以外のリーチ(たとえば、SPリーチ以上のリーチ)が高確率で選択されるようになっている(図26参照)。また、特図2側のハズレ種別は、ハズレAの1種類である。なお、ハズレの種類は特に制限されず、1または複数設けることができる。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、具体的には、当り種別(確変大当り1~7、時短大当り1~2)と図示しないハズレ種別(ハズレA、ハズレB)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS412の遊技状態移行準備処理、ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図17の特別電動役物管理処理)などにおいて利用される。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。なお、普通図柄についても特別図柄と同じように、普通図柄判定データや普通停止図柄番号が設けられている。
なお、全設定で共通の図柄テーブルを定めてもよいが、設定に応じた図柄テーブルを定めてもよい。たとえば、下記(A)(B)のように構成することができる。
(A)各設定値の一部または全部において、1または複数の当選種別の図柄選択率が異なる。たとえば、確変大当り1の図柄抽選率を、設定値が高いほど相対的に高確率となるように定めることができる。
(B)各設定値の全部または一部において、確変突入率(少なくとも高確率状態を伴う大当り(確変大当りおよび/または潜確大当り)の合算図柄抽選率)が異なる。たとえば、特図1側の確変突入率が50%(図4の確変大当り1~3の図柄抽選確率参照)であるが、たとえば、設定1~6の確変突入率を、たとえば「40%、42%、44%、46%、48%、50%」という具合に、という具合に、設定値が高いほど相対的に高確率(確変に突入し易い)となるように定めることができる。また、時短突入率(時短大当りの合算図柄選択率)についても同様である。
いずれにしても、設定が高くなるに従い、出玉性能(機械割)が遊技者にとって有利となるように定めればよい。
上記したステップS319の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、始動口入賞時乱数判定処理を実行する(ステップS320)。この始動口入賞時乱数判定処理も‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際の「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み変動パターン判定’を行う。具体的には、後述の図12に示す「特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)」の結果を先読み判定する。
詳しくは、上記特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)で得られた先読み図柄判定の結果(少なくとも乱数判定処理(ステップS318)で得られた当落抽選結果)と、ステップS314で取得した変動パターン用乱数(乱数値の大きさ:10000)とを利用し、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を先読み判定する。なお、先読みパターン判定は、変動開始時の変動パターンを事前に判定するものであるため、変動開始時に利用される変動パターン振分テーブルと基本的構成を同じにする別途設けた「先読み判定テーブル」を参照して行う。ただし本実施形態の場合は、プログラム容量の軽減を図るべく、図24~図27に示す変動パターン振分テーブルが「入賞時(先読み判定時)・変動開始時兼用」として設けられており、入賞時および変動開始時の双方において、当該変動パターン振分テーブルを参照し、ステップS314の処理で取得された変動パターン用乱数値に基づき、変動開始時の変動パターンを先読み判定する。
変動開始時の変動パターンに関する先読み判定について、図24の「当り変動パターン振分テーブル」を用いて説明する。図24に示す「確」の表記は確変大当り、「時」の表記は時短大当りを意味し、「確1、2、3、4、5、6、7」の表記は確変大当り1~7、「時1、2」は時短大当り1、2を意味する。図24を参照して、たとえば、今回の先読み図柄結果が「確変大当り1(確1)」であり、現在の遊技状態(変動パターン選択モードTcodeが「一般モード(00H)」であり、変動パターン用乱数が「通常変動直撃当り」の判定値(判定領域0~49)に属する値である場合は、図示のEVENT1「21H」が取得される(“通常変動直撃当り”のEVENT1の欄を参照)。なお、図示のアラビア数字は判定値(判定領域の大きさ)を示し(図25~図27も同様)、たとえば、変動パターン用乱数が判定値0~49に属する場合は「通常変動直撃当り」が選択され(選択率:50/10000)、判定値50~129に属する場合は「通常中NリーチB」が選択され(選択率:80/10000)、判定値130~209に属する場合は「通常中SPリーチA」が選択され(選択率:80/10000)、・・・、判定値9850~9999に属する場合は「特殊リーチ」が選択される(選択率:150/10000)ようになっている。
上記「EVENT1」は、保留加算コマンドの作成に利用されるデータ(入賞コマンドデータ1)であり、保留加算コマンドの2バイト目(下位バイト)のデータである。これにより、ステップS315で取得された先読み禁止データ「9FH」が、本処理にて、先読み変動パターンの内容を特定するデータ値に更新され、先読み変動パターンが指定される。なお、保留加算コマンドの1バイト目(上位バイト)のデータ(作動保留球数に関するデータ)は、後述のステップS322において取得される。
なお、先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮されない。その理由は、次の通りである。変動開始時の変動パターンの判定段階では作動保留球数を考慮して変動パターン決定されるようになっている(たとえば、図26~図27の作動保留球数の欄参照)。しかし、先読み判定時においては、先読み判定時の作動保留球数が変動開始時の作動保留数と必ずしも一致しないため、正確な変動開始時の変動パターン(詳細パターン)を判定することができない。したがって、先読み変動パターン判定では、先読み判定時の作動保留球数は考慮せずに、変動開始時の変動パターンの骨子となる変動パターン種別(基本パターン)について判定する。たとえば、図26に示す「ハズレ変動パターン振分テーブル」の通常変動4s~通常変動12s、通常中NリーチAの欄を参照すれば、変動開始時には、通常変動4s~通常変動12sのいずれの通常変動であるか、または通常中NリーチAを特定するために、それぞれ異なるデータ(COM2(変動パターン指定コマンドデータ)の欄参照)が取得されるが、先読み判定時では作動保留球数によらず、通常変動4s~通常変動12sと通常中NリーチAとが共通のデータ(EVEN1「01H」)が取得される。
ステップS320の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、次いで、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づき、上位バイト側の入賞コマンドデータ2(MODE)を取得する。ここでは、特図1作動保留球1個~4個に応じて「B6H~B9H」、特図2作動保留球1個~4個に応じて「BBH~BEH」が取得される。
そして、取得した入賞コマンドデータ2(MODE:作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)および特別図柄種別情報)と、下位バイト側の上記入賞コマンドデータ1(EVENT:先読み変動パターン情報)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS322)、これをRAM203に格納することなく(以後、保留加算コマンドに関するデータは不必要のため)、演出制御部24に送信する(ステップS323)。なお、本実施形態では、先読み変動パターン情報と、先読み判定時の作動保留球数(作動保留球数および特別図柄種別情報)とを1つのコマンド(保留加算コマンド)で送信する構成となっているが、本発明はこれに限られない。先読み変動パターン情報と、作動保留球数および特別図柄種別情報と、別々のコマンドで送信してもよい。具体的には、先読み変動パターン情報を特定可能な第1コマンド(入賞時コマンド)と、作動保留球数および特別図柄種別情報を特定可能な第2コマンド(保留加算コマンド)とを送信する構成としてもよい。この場合、演出制御部24は第1コマンドと第2コマンドとを受信した場合に先読み予告に関する演出処理(後述の先読み予告抽選など)を実行可能な構成とすればよい。
なお、先読み禁止中である場合や設定値データに異常が発生した場合は、先読み禁止データ「9FH」がそのまま維持されるため、「先読み禁止データ」を持つ保留加算コマンドが演出制御部24に送信されることになる(ステップS315→S322またはS316→S322の処理ルート参照)。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報が、「先読み禁止指定以外」であれば、先読み予告の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、これに当選した場合には、先読み予告の演出シナリオを作成し、そのシナリオに基づいて、今回の作動保留球を対象とする先読み予告を現出制御する。一方、「先読み禁止指定」であれば、先読み予告抽選を実行せずに、或いは、先読み予告抽選を実行するがその抽選結果を強制的にハズレとして処理し、先読み予告の発生を禁止する。この実施形態では、先読み禁止中の場合か、または設定異常エラーが生じている場合のいずれも、先読み禁止指定の保留加算コマンドを送信する構成となっているが、その理由は下記の通りである。
本実施形態の場合、設定異常エラーが生じても遊技動作を強制的に停止制御することはしない。その理由は第1に、設定異常エラーの解消は、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消されるが、営業中の設定変更操作は、法的要請の観点から射幸心煽る事項として禁止事項に該当する可能性が高い。第2に、設定異常エラーが生じた際、直ちに遊技動作処理を強制的に停止させてしまうと、突然の遊技停止に、遊技者が不信感を抱いてしまう。たとえば、仕掛り中の図柄変動表示ゲームが正常動作時に実行されたものである場合や、大当り遊技中の場合などに、偶々、設定異常エラーが発生して、直ちに遊技ができない状態に制御してしまうと、遊技者が本来得られるべき利益が消失してしまい、遊技者の不信感を招く。このような事情を考慮し、設定異常エラーが発生した場合はエラー報知を行うに止めて、遊技進行自体は条件付きであるが、そのまま進行させる。「条件付きであるが」と表現したのは、設定異常エラーが発生した場合には、先読み予告を禁止したり、図柄変動表示ゲームの結果を強制的にハズレとするからである(図11のステップS317(=5AH)、後述の図12のステップS409(=5AH)の処理ルート参照)。
以上により、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて、特図2始動口チェック処理(ステップS302)を実行する。
<21.特別図柄変動開始処理:図12>
次に、図10中の特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図12は、特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、特図2作動保留球数対象とした変動開始時の処理(ステップS403~S416)を実行する。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、特図1作動保留球数を対象とした変動開始時の処理(ステップS403~S416)を実行する。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合である。そこで「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
上記「作動保留球なし」の状態となったときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)(後述の図16Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、客待ち中コマンド(BA04H)を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。演出制御部24が上記客待ち中コマンドを受信した場合、所定の実行条件に基づき、遊技機1に係る遊技の説明やその紹介(デモンストレーション)のためのデモムービーが流れる「客待ち演出(デモ表示)」を現出させる。具体的には、客待ち中コマンドを受信した後、遊技が開始されずに、つまり作動保留球が発生せずに(保留加算コマンドを受信することなく)、所定時間(たとえば、180秒)が経過した場合、客待ち演出を現出させる。客待ち演出開始までの待機時間(180秒)が経過するまでは、今回の図柄変動表示ゲームの終了後に停止した装飾停止図柄の表示状態が引き続き表示され、装飾ランプ45は所定の発光パターンで発光し、スピーカ43は、消音状態(所定の音演出を実行していてもよい)とする「デモ開始待ち演出」が現出され、客待ち演出開始までこの状態が維持される。また、演出制御部24は、客待ち演出(デモ表示)の開始後、所定の移行条件(節電モード移行条件)を満たした場合に、客待ち演出を終了して「節電モード」に移行させる。この実施形態の場合、客待ち演出(デモ表示)の開始後、作動保留球が発生せず、かつメニュー画面(遊技設定画面)に切り替わることなく、所定時間(たとえば、120秒)が経過した場合、演出モードを節電モードに移行させ、液晶表示装置36に節電用画面(たとえば、液晶画面に「節電中です」の文字表示)を表示させ、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの一部またはすべてを消灯させるように制御する(節電制御)。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NOまたはS402:NO)、ステップS403~S416を順次実行していく。なお、以下に説明するステップS403~S416の処理の仕方については、特図1作動保留球を対象とするか、特図2作動保留球を対象とするかの違いだけで、その内容は実質的には同じである。したがって重複記載を避けるため、特に必要が無い限り、どちらの作動保留球を対象とした処理であるかを区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、今回の変動表示動作に供する特図側の作動保留球数を1減算し(ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、特図1が変動開始側であるならば「00H」を、特図2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406~S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データを読み出し、領域内RAMの判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリアに格納されている保留データを、それぞれ‘n-1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能となっている。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS408)。遊技状態情報送信処理では、「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する。ここでの遊技状態指定コマンドには、ゲーム開始時の遊技状態を特定可能な遊技状態情報が含まれる。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドを受信すると、これに含まれる情報に基づき、遊技状態を把握し、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で演出モードを管理する。遊技状態指定コマンドに含ませる遊技状態情報は、目的の遊技処理を行う際に最低限必要な情報であればよく、たとえば、「内部遊技状態(遊技状態判定番号YJ)」および/または「変動パターン振分指定番号Tcode」を含む情報とすることができる。また、遊技状態指定コマンドとして、遊技状態判定番号YJを特定可能な「内部遊技情報コマンド」および/または変動パターン選択モード(Tcode)を特定可能な「振分モード指定コマンド」を送信可能な構成とすることができる。
またここでは、必要に応じて、特別図柄時短回数カウンタに関する情報(時短回数情報)を含む「時短回数コマンド」と、特別図柄確変回数カウンタに関する情報(ST回数情報)を含む「ST回数コマンド」が送信される。演出制御部24は、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、残り時短回数や残りST回数を把握し、その残り時短回数または残りST回数を演出的に報知する「残余回数表示演出(たとえば、カウントダウン表示)」を現出制御可能に構成されている。具体的には、残余回数表示演出として、時短モード中であれば「残余時短回数表示演出」を現出させ、STモード中であれば「残余ST回数表示演出」を現出させる。なお、本処理で送信される時短回数コマンドとST回数コマンドは、今回のゲーム分が減算されていないカウンタ値が送信されるため(カウンタ減算処理は、ゲーム終了時に係る図16A~図16Bの特別図柄確認時間中処理中(S479、S484)で行う)、演出制御部24が、把握したカウンタ値にデクリメント処理を適宜に施し、残余回数表示演出を現出可能な構成となっている(後述の天井回数コマンドについても同様)。ただしこの実施形態の場合、時短回数コマンドは特別図柄時短回数カウンタがゼロ以外(当該時短回数カウンタ≠0)の場合に送信され、また、ST回数コマンドも同様に、特別図柄確変回数カウンタがゼロ以外(当該確変回数カウンタ値≠0)の場合に送信される。勿論、カウンタ値がゼロであっても、ゼロである情報を含む時短回数コマンドやST回数コマンドを送信する構成としてもよい。
なお、遊技状態に応じて、時短回数コマンドだけを送るのか、ST回数コマンドだけを送るのか、それとも双方のコマンドを送るのかを定めることができる。ただし、無限系の天井特典が付与される場合、具体的には、時短回数の制限が無い「無限時短」や、ST回数の制限が無い「無限確変」ないし「無限潜確」、あるいは、実質的に制限がない回数(65536回など)が設定されて時短回数やST回数が「無限回数」とみなせる無限時短、無限確変、または無限潜確が付与される場合、その特典中に係る遊技状態(本実施形態では、天国モード)においては、制御負担軽減のために、時短回数コマンドやST回数コマンドは送信しない構成としてもよい。また、大当り当選により付与される時短状態または確変状態が、次回大当りまで継続するものである場合も同様に、時短回数コマンド、ST回数コマンドを送信しない構成としてもよい。
また、上記「残余回数表示演出」は、時短モード、STモード、天国モードのいずれの遊技モードにおいても現出可能に構成することができる。なお、無限系に係る残余回数表示演出は、残り回数が無限であること報知する演出態様が好ましい。たとえば、画像表示演出であれば、「残り∞回」や「次回大当りまで継続」などである。
(残余天井回数表示演出について)
また、ステップS408の遊技状態情報送信処理では、残り天井ゲーム数情報(後述の天井カウンタに関する情報)を含む「天井回数コマンド」も送信される。演出制御部24は、天井回数コマンドに含まれる情報に基づいて、天井到達までの残りゲーム数を把握し、上記「残余天井回数表示演出」を現出制御する。本実施形態の場合、この残余天井回数表示演出は、前兆モード(前兆演出モード)中にカウントダウン表示という形で現出される。
上記「残余天井回数表示演出」は、天井ゲームの監視対象(カウント対象)期間の全部または一部の期間において現出可能である。本実施形態であれば、「一般モード中」および/または「前兆モード中」で現出可能である。また、通常モードで残余天井回数表示演出を現出させる場合、一般モードと前兆モードとで、異なる演出態様とすることができる。たとえば、一般モード中は、液晶画面の隅部に小さな表示領域に残り天井回数を報知し(カウントダウン表示を小さく表示)、前兆モード中は、液晶画面の中央部の広い表示領域に残り天井回数を報知(カウントダウン表示を大きく表示)することができる。
(設定値が正常時の処理ルート:S420を辿る処理ルート)
次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS409)。設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS409:≠5AH)、上記「設定値コマンド」を演出制御部24に送信し、次いで、図13に示す天井機能管理処理を実行する(ステップS420)。
<13.天井機能管理処理:図13>
上記天井機能管理処理(ステップS420)について説明する。図13は、天井機能管理処理(ステップS420)の詳細を示すフローチャートである。この天井機能管理処理は、主に、天井ゲーム数までの残りゲーム数を管理する処理となっている。
図13において、CPU201は、まず、「天井カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS901)。この天井カウンタは、残り天井ゲーム数を管理(監視)するためのカウンタであり、本実施形態の場合、天井特典付与に関するデータの設定契機となるゲーム数を管理するためのカウンタとして利用される(後述のステップS903~S904(天井フラグをON)、図12中の遊技状態移行準備処理(ステップS412)の詳細を示す図15のステップS915参照)。上記「天井カウンタ」は、特定事象の実行回数または成立回数あるいは発生回数などをカウントするカウント手段として機能し、天井発動契機(天井特典付与契機)の到来を監視する機能部として働く。ここでいう「特定事象」とは、図柄変動表示ゲームの実行(当り変動またはハズレ変動)、大当りまたは小当りあるいはハズレの当選、特定の遊技状態への移行(特定の遊技モードへの移行または特定の変動パターン選択モードへの移行、あるいは特定の内部遊技状態への移行)、大当り遊技または小当りの実行などの他、遊技に関する特定条件の成立などの特定の事象である。本実施形態では、天井カウンタの値を監視して、天井機能発動契機の到来を判定するようになっている。斯様なカウント手段は、たとえば、後述の特典付与形態の変形例1、変形例2(図33、図34、付与形態(α)~(μ))などにおいて、天井発動契機あるいは所定の特典付与契機の到来を監視するための機能部として利用される。
天井カウンタがゼロである場合(ステップS901:YES)、何もせずにそのまま天井機能管理処理を抜ける。上記天井カウンタに初期値がセットされるのは、上記した図8に示す主制御側メイン処理中の領域内RAMクリア(ステップS031)によりRAMクリアされた場合や、他の遊技モードから通常モードに移行する場合、つまり内部遊技状態が通常状態に移行する場合(後述の図16BのステップS481、S486参照)などである。
一方、天井カウンタがゼロでない場合(ステップS901:NO)、天井カウンタを1減算し(ステップS902)、その減算結果がゼロでなければ(ステップS903:NO)、そのまま天井機能管理処理を抜け、ゼロであれば(ステップS903:YES)、天井フラグをON状態(5AH)にセットする(ステップS904)。この天井フラグは、天井カウンタがゼロになったか否かを指定するためのフラグであり、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理で利用される(図15のステップS915参照)。以上により、天井機能管理処理抜ける。
再び図12の説明に戻り、ステップS420の天井機能管理処理を終えると、次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を実行する(ステップS410)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした「変動開始時の当落抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11のステップS318の乱数判定処理と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、まず特別図柄作動確認データに基づき、今回の処理対象側の当り乱数判定テーブル(たとえば特図1側が処理対象であれば、特図1用の当り乱数テーブル)を取得する。次いで、上記判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を実行する。そして、その抽選結果が「大当り」当選であれば大当り判定フラグを「5AH」に設定し、「小当り」当選であれば小当り判定フラグを「5AH」に設定し、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった場合、つまり‘ハズレ’の場合には、大当り判定フラグと小当り判定フラグの双方に「00H」を設定する。
次いで、図14に示す天井発動管理処理を実行する(ステップS421)。
<14.天井発動管理処理:図14>
図14は、図12中の天井発動管理処理(ステップS421)の詳細を示すフローチャートである。この天井発動管理処理では、天井特典付与に係る必要な設定処理を行う。
図14において、CPU201は、まず、大当り判定フラグがON状態であるか否か、つまり、今回のゲーム結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS920)。
大当り判定フラグがON状態でない場合(ステップS911:≠5AH)、次いで、天井発動フラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS921)。この「天井発動フラグ」とは、天井機能を発動させるか否か(天井特典を付与するか否か)を指定するためのフラグであり、当該フラグがON状態の場合には天井特典の付与する旨を指定し、当該フラグがOFF状態の場合には天井特典を付与しない旨を指定する。天井発動フラグは、後述のステップS412の遊技状態移行準備処理にて、天井カウンタがゼロになった場合にON状態に設定されるフラグである(遊技状態移行準備処理の詳細を示す図15のステップS915~S916参照)。この天井発動フラグがONにである場合は、今回のゲームにおいて天井発動契機が到来したと判定され(ステップS921:=5AH)、天井特典を付与するために必要な処理(ステップS922~S925)が実行される。一方、天井発動フラグがON状態でない場合には(ステップS921:≠5AH)、天井発動契機が到来していないとして、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。
上記天井発動フラグがON状態である場合には(ステップS921:=5AH)、天井特典付与(天井発動)に必要な処理を実行する。ここではまず、後述の遊技状態移行準備処理(ステップS412)で設定された各状態バッファの値を、対応する状態フラグおよびカウンタに設定する(ステップS922:状態フラグ設定処理)。これにより、指定された天井特典状態に制御される。本実施形態の場合は、有限時短(時短回数100回の時短状態)が指定され、変動パターン選択モード(Tcode)が、前兆モードの「01H」から天井モードの「06H」に更新されるようになっている。そして、天井特典付与時の終了処理として、各々の状態バッファをクリアし(ステップS923:天井発動時の各種設定処理)、次いで、天井フラグと天井発動フラグをOFF状態(00H)に設定する(ステップS924~S925)。次いで、遊技状態情報送信処理(ステップS926)を実行し、天井発動管理処理を抜ける。ここでの遊技状態情報送信処理では、有限時短(時短状態)情報を含む遊技状態指定コマンドを演出制御部24に送信する。これにより、今回のゲーム(1000ゲーム目)の開始とともに有限時短状態に制御され、後述の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS413)において天井モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、天井演出モード下における演出が現出されることになる。
ステップS911の説明に戻り、大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、何もせずに天井発動管理処理を抜ける。したがって、大当りに当選した場合は、天井ゲームであっても「天井発動禁止状態」に制御され、大当りに当選した場合の処理が優先的に実行される。したがって、天井特典が付与されるには、1000ゲーム間ハマったことが条件とされる。このように本実施形態では、ハマリゲーム数(ハズレの連続回数)の監視対象遊技区間を通常モード(通常状態)の1000ゲーム間とし、このゲーム間ハマった場合に天井特典を付与するようになっている。
(天井特典の発生タイミングの変形例1)
なお、大当りに当選した場合、天井機能を禁止状態に制御せずに、天井特典を付与してもよい。ただしこの場合は、今回のゲームに限り(1ゲーム限り)の天井特典となる。今回のゲーム終了後、大当り遊技が開始されるからである。しかし、1ゲーム限りの天井特典であっても、電サポ有り状態を伴う時短状態や確変状態が付与される場合には、今回の図柄変動表示ゲームが終了するまでの間は電サポの恩恵を受けることができる。具体的には、下始動口35への入賞が容易になり、特図2側の作動保留球が発生し易くなる、という利点がある。天井特典として、電サポ有り状態を伴う遊技状態を付与する場合には、今回のゲームにおいて、少なくとも図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させ、遊技者に右打ちを促すことが好ましい。
(天井特典の発生タイミングの変形例2)
本実施形態では、ゲーム開始を契機に天井特典を付与する構成について説明したが本発明はこれに限らず、ゲーム終了を契機に天井特典を付与する構成であってもよい。すなわち、天井ゲーム終了時を天井発動契機とする構成である。この変形例の場合、図柄変動表示ゲームの終了後、直ちに天井特典が付与されることになる。たとえば、天井特典が有限時短である場合、1000ゲームの終了直後から時短状態中とすることができる。また、天井特典が「強制当り」である場合は、1000ゲーム終了後、強制当りによる大当り遊技(強制当り遊技)が開始されることになる。なお、ゲーム終了時を天井発動契機とする場合、天井発動管理処理(ステップS421)を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時の処理に係る、後述の特別図柄確認時間中処理(図16B)中のステップS495の処理の後で実行すればよい。
(天井特典の発生タイミングの変形例3)
また本実施形態では、1000ゲーム目に天井特典を付与するものと説明したが本発明はこれに限らず、第1の付与条件が成立後、第2の付与条件が成立したことに基づき、天井特典を付与してもよい。たとえば、1000ゲームハマった場合(第1の付与条件が成立)、天井特典付与権利を成立させ、所定の前兆ゲーム数の消化後に天井特典を付与する(天井特典の付与を一旦保留し、複数ゲーム先に予定する)。この場合、複数種類の前兆ゲーム数を設け(たとえば、1~16ゲーム)、抽選(前兆ゲーム数抽選)により前兆ゲーム数を決定することができる。抽選で前兆ゲーム数を決定する場合、全設定(設定1~6)で、各前兆ゲーム数の抽選確率を同じにしてもよいが、設定値に応じた抽選確率を定めることが好ましい。たとえば、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各前兆ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、ゲーム数の違いによる設定推測要素を遊技者に与えることができる。また、特定の前兆ゲーム数(たとえば、7ゲーム)が選択された場合は、高設定確定や設定6確定などのように、設定値に応じた抽選確率を定めることができる。
(天井特典の発生タイミングの変形例4)
上記の変形例3では、所定の前兆ゲーム数が消化されるまで天井特典付与権利を一旦保留状態とする例、つまり、その権利保留期間がゲームの実行回数に依存する例について説明した。しかし、権利保留期間がゲームの実行回数に依存するものではなく、時間経過に依存するものであってもよい。たとえば、天井ゲームの開始時から所定時間経過した場合、天井特典を付与するという「時限式」の天井付与形態である。具体的には、天井ゲームに係る図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで天井特典を付与する。この場合、天井ゲームの開始時から天井特典開始までのインターバル時間を利用して、有限時短が間も無く発生する旨を事前報知する演出、たとえば図7に示す「右打ち指示画像779」を現出させて、左打ち中の遊技者に対して遊技者に右打ちを促すようにし、無駄打ちをさせないようにすることができる。
再び図12の説明に戻り、ステップS421の天井発動管理処理を終えると、特別停止図柄作成処理を実行する(ステップS411)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS410の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値とを利用し、「変動開始時の図柄抽選」を実行する。本処理の基本的な処理手順は、既に説明した図11に示す特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)と同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データ(特図種別)と、上記ステップS410の当落抽選結果とに応じた図柄テーブル(大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブルのいずれか)を選択する。たとえば、特別図柄作動確認データが00H、大当り判定フラグが5AHである場合、すなわち、今回の変動開始側が‘特図1側’であり、当落抽選結果が‘大当り’である場合には、「特図1用大当り図柄テーブル」が選択される。そして、上記判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づく図柄抽選を実行し、その抽選結果である特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号を、領域内RAMの対応領域にそれぞれ格納する。
ステップS411の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を実行する(ステップS412)。
<15.遊技状態移行準備処理:図15>
上記遊技状態移行準備処理(ステップS412)について説明する。図15は、遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合に、その大当り遊技後の移行先遊技状態(図4参照)を指定するためのデータを所定のバッファ(状態バッファ)に格納するための処理と(ステップS911~S914)、ハズレであって、天井フラグがON状態の場合に、天井特典を指定するためのデータを所定のバッファに格納するための処理(ステップS915、S916、S917)とに分かれている。先ず、前者の「大当りに当選した場合」の処理内容について説明する。
(大当りに当選した場合)
大当り判定フラグがON状態の場合(ステップS911:=5AH)、図22に示す「遊技状態移行テーブル選択テーブル」を取得する(ステップS912)。次いで、取得した大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、現在の遊技状態(当選時の遊技状態(本実施形態では、遊技状態判定番号YJ))と当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(JTTBL-1~5のいずれか)を取得し(ステップS913)、その取得した遊技状態移行テーブルに定められたデータを各種の状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。この遊技状態移行テーブルは、目的の遊技状態に移行させるための各種データが定められている。本実施形態に係る遊技状態移行テーブルには、JTTBL-1~5が設けられており、詳しくは、図22に示すように、JTTBL-1は「時短A」、JTTBL-2は「時短B」、JTTBL-3は「確変A」、JTTBL-4は「確変B」、JTTBL-5は「確変C」に移行させるための各種データが定められている。
上記状態バッファに格納された値は、後述の図18に示す大当り終了処理((図17のステップS509、その詳細を示す図18のステップS592参照)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、大当り遊技後の遊技状態(図4の移行先遊技状態)が指定される。
なお、上記各種の状態バッファの役割は、下記の通りである。
(α)「普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ」
内部遊技状態を指定するための各機能のON/OFFの指定データが設定される。具体的には、開放延長機能の作動状態を指定する普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短機能の作動状態を指定する普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変機能の作動状態を指定する普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短機能の作動状態を指定する特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変機能の作動状態を指定する特別図柄確変状態フラグ用のデータが設定される。
(β)「特別図柄時短回数カウンタバッファ」
時短回数(電サポ回数)を指定するためのデータ(特別図柄時短回数カウンタ用のデータ)が設定される(図16A~図16BのステップS478~S481参照)。
(γ)「特別図柄確変回数カウンタバッファ」
ST回数を指定するためのデータ(特別図柄確変回数カウンタ用のデータ)が設定される(図16BのステップS483~S486参照)。
(δ)「特別図柄変動回数カウンタ1~3バッファ」
特定の変動パターン選択モード(Tcode)の継続回数を指定するためのデータ(特別図柄変動回数カウンタ用のデータ)が設定される。
(ε)「変動パターン振分指定番号1~3バッファ」
所定の更新条件が成立した場合に、更新先となる変動パターン選択モード(Tcode)を指定するデータ(変動パターン振分指定番号Tcode用のデータ)が設定される。
たとえば、現在の遊技状態が「通常状態(YJ=00H)」であり、「確変大当り2(5R確変ST75)」に当選した場合は、図21に示す遊技状態移行テーブル選択テーブルに基づき、「JTTBL-4」、つまり、確変B用の遊技状態移行テーブル(図22参照)が取得される。このケースでは、普電役物開放延長移行状態バッファ~特別図柄確変移行状態バッファにそれぞれ「5AH(ON指定)」が設定され、特別図柄時短回数カウンタバッファに「100回(電サポ回数100回)」が設定され、特別図柄確変回数カウンタバッファに「75回」が設定される。これにより、大当り遊技後の移行先遊技状態が「ST回数75回+時短回数25回」(確変状態75回転終了後、時短状態25回転に移行)が指定されることになる。また遊技モード移行指定データとして、変動パターン振分指定番号1バッファには「02H(ST序盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ1バッファには「25回(ST序盤モード継続回数)」が設定され、また変動パターン振分指定番号2バッファには「02H(ST中盤指定)」が設定され、特別図柄変動回数カウンタ2バッファには「50回(ST中盤モード継続回数)」が設定される。これにより、「ST序盤モード25回⇒ST中盤モード50回⇒時短モード」という遊技モード移行形態が指定されることになる。
(S.ST回数・時短回数の変形例:設定値に応じてST回数または時短回数が異なるケース)
なお本実施形態では、同じ大当りが当選した場合に、設定値よらず同じ遊技状態移行テーブルが選択されるものとして説明した。つまり、現在の設定が1~6のいずれであっても、たとえば、確変大当り1に当選した場合には、JTTBL-3により指定される確変状態(確変A(ST100モード))に移行される。しかし本発明はこれに限らず、同じ大当りが当選した場合であっても、設定値に応じて、ST回数の異なる確変状態に移行させたり、時短回数の異なる時短状態に移行させてもよい。この場合、少なくとも上記特別図柄確変回数カウンタおよび/または特別図柄時短回数カウンタに係るデータ値が、設定値に応じて異なる遊技状態移行テーブルを選択可能に構成すればよい。
また上記では同じ大当りが当選したケースについて説明したが、異なる大当り同士に着目して次に述べる構成とすることもできる。たとえば、設定値に応じて、特定のST回数の有無または特定の時短回数の有無を定めてもよい。具体的には、第1設定値の場合には特定のST回数を付与する特定大当りが存在し、第2設定値の場合にはその特定大当りが存在しないという構成とすることができる。すなわち、第1設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれるが、第2設定値の場合には大当り抽選対象に「特定大当り」が含まれない、という構成である。
以上のような構成とすることにより、特定の確変大当り(潜確大当りであってもよい)や特定の時短大当りに当選した場合、下記(SA)、(SB)に述べるような遊技性を作り出すことができる。
(SA)たとえば、特定の確変大当りに当選した場合、各設定値(設定1~6)でそれぞれ異なるST回数を設定してもよいし(それぞれST回数の異なる確変状態に移行される)、少なくとも1の設定値において異なるST回数を設定してもよい(少なくとも1の設定値が、他の設定値とは異なるST回数の確変状態に移行される)。代表例として、前者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1~6のST回数を100回~105回」(ST回数に応じていずれかの設定値が判明するケース)とすることができる。後者の例であれば、同じ確変大当りに当選した場合に、たとえば「設定1~5はST回数100回、設定6は101回」(ST回数101回消化で設定6確定のケース)や、「設定1~4はST回数100回、設定5、6は101回」(ST回数101回消化で高設定確定のケース)、「少なくとも第1設定値はST回数100回、第2設定値は105回」などとすることができる。
また、異なる確変大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1ST回数(たとえば、ST100回)とし、第2当りに当選した場合は第1ST回数とは異なる第2ST回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。
これらの構成の場合、或る確変大当りに当選した場合に、設定値に応じてST回数が異なるため、ST回数に応じた設定示唆を行うことが可能になる。具体的には、特定のST回数であった場合、設定1~6のいずれかが判明したり、特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)であることが判明する。換言すれば、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「ST回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。
(SB)また、特定の時短大当りに当選した場合も同様に、各設定値(設定1~6)でそれぞれ異なる時短回数を設定してもよいし、少なくとも1の設定値が異なる時短回数を設定してもよい。また、異なる確変大当り着目したケースであれば、たとえば「大当り抽選対象となる当り種別のうち、第1当りに当選した場合は第1時短回数(たとえば、時短100回)とし、第2当りに当選した場合は第1時短回数とは異なる第2時短回数(たとえば、105回)とし、第1設定値の場合には、少なくとも第2当りは含まれない」構成とすることができる。これらの場合も上述した(SA)の構成と同様に、特定の時短回数であった場合に、設定1~6のいずれかである、あるいは特定の設定値領域(低設定領域、高設定領域、設定1否定、設定6確定など)など、時短回数に応じた設定示唆を行うことが可能になり、設定示唆演出が持つ機能(設定示唆)を「時短回数」を利用して作り出す、といった斬新性のある遊技性を創出することができる。
なお、本例の特定の大当りは、1または複数の大当りとすることができる。なお、特定の大当りとしては、図柄抽選率が最も低い大当り(たとえば、確変大当り1)または最も有利度(利益状態)が低い大当りとすることが好ましい。その理由は、次に述べる通りである。図柄抽選率が最も低い大当りは、中々当選することができない「レアな大当り」としての位置付けである。そのため、当該大当りに当選した場合には、特典として“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供することが好ましい。また、最も有利度(利益状態)が低い大当りは、苦労して大当りに当選させても利益が低く、遊技者にとり残念な大当りとなってしまい、遊技者の遊技意欲を減退させる恐れがある。そこで、当該大当りに当選した場合には、“設定示唆”という有利情報を遊技者に提供して、遊技者の遊技意欲の減退を防止することが好ましい。
上記(SA)の構成は、たとえば下記(SA-1)の構成とすることができる。
(SA-1)
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、複数種類の当りを対象に抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
上記抽選手段による抽選結果が当りである場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、図柄の変動回数が所定の上限回数に達するまでの間、上記当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態(具体的には、高確率状態伴う遊技状態:確変状態または潜確状態)に制御可能な確率変動制御手段を備え、
複数段階に変更可能な設定値に応じて上記当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なる遊技機であって、
複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記確率変動制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、抽選手段により第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御するように構成することができる。
また、上記(SA-1)を下記(SA-2)のように構成してもよい。
(SA-2)
上記確率変動制御手段は、
上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記抽選手段により上記第2当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記高確率状態に制御し、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、という構成とすることができる。
なお、上記(SB)の構成とする場合には、確率変動制御手段の替りに「始動手段への入球状態が通常遊技状態(通常状態)よりも有利な入球有利状態(電サポ状態)を伴う有利遊技状態(時短状態)に制御する有利遊技状態制御手段」を設ける。そして、
上記有利遊技状態制御手段は、
上記設定値が上記第1設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には第1上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御し、
上記設定値が上記第2設定値である場合、上記抽選手段により上記第1当りが当選した場合には上記第1上限回数とは異なる第2上限回数に達するまでの間、上記有利遊技状態に制御する、という構成にすればよい。
(大当り非当選(ハズレ)であって、天井フラグがON状態の場合)
再び図15の説明に戻る。大当り判定フラグがON状態(5AH)でなく(ステップS911:≠5AH)、天井フラグがON状態の場合(ステップS915:=5AH)、天井発動開始前処理(天井特典を付与するための前処理)の一環として、天井発動フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS916)。本処理で、ON状態に設定された天井発動フラグは、次ゲームにおける上記天井発動管理処理(ステップS421)で確認される。
次いで、図23に示す「天井用遊技状態移行テーブル」を取得する(ステップS917)。図23では、各種天井特典に対応する天井用遊技状態移行テーブルとして、JTTBL-6~JTTBL11(有限時短~無限潜確)を例示してある。実際には、天井特典種に応じて、必要な天井用遊技状態移行テーブルを設ければよい。
次いで、取得した天井用遊技状態移行テーブルに定められたデータを上記した状態バッファに格納する(ステップS914:状態バッファ設定処理)。これら状態バッファに格納された値は、上記天井発動管理処理(ステップS421、図14中のステップS922参照)で読み出され、上記大当りに当選した場合と同様に、RAM203の所定の記憶領域(各々の状態バッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。これにより、天井特典に係る遊技状態が指定されることになる。なお、図示の「*(回)」「*(H)」は任意のデータ値であり、遊技性や設計値に応じた適宜な値を設定可能であることを意味する。たとえば、本実施形態の場合、天井特典として「有限時短(時短回数100)」を代表的に説明しているので、この場合は、図示の「有限時短」の欄に示すようなデータ値が定められている。
なお、大当り判定フラグと天井フラグとが共にOFF状態(00H)である場合(ステップS911が≠5AHであり、かつステップS915≠5AHの場合)、何もせずにそのまま遊技状態移行準備処理を抜ける。
再び図12の特別図柄変動開始処理の説明に戻る。上記ステップS412の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS413)。特別図柄変動パターン作成処理では、少なくとも現在の遊技状態と上記ステップS411の図柄抽選結果(特別図柄判定データ)とに応じた変動パターン振分テーブル(図24~図27)を取得し、取得した変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とに基づき(変動パターン抽選)、変動パターンを決定する。本実施形態の場合、現在の設定値、現在の変動パターン選択モード(Tcode)、図柄抽選結果、および作動保留球数(今回の変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数0~3個:ステップS403参照)に応じた「変動パターン振分テーブル」が取得されるようになっている。。
(変動パターン振分テーブル:図24~図27)
図24~図27に、変動パターン振分テーブルを示す。図24は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各当り変動パターン振分テーブルを、図25は「ST序盤用、ST中盤用、ST終盤用」の各当り変動パターン振分テーブル」を、図26は「一般用、前兆用、天井用、時短用、天国時短用」の各ハズレ変動パターン振分テーブルを、図27はST序盤用、ST中盤用、ST終盤用の各「ハズレ変動パターン振分テーブル」を示したものである。また、図24と図25に示す「FB1~FB17」は当選時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を、図26と図27に示すの「FH1~FH22」はハズレ時に選択される当り変動パターン振分テーブル種別を示す。
なお、図24および図26に示す変動パターン振分テーブルの「天国時短」(「時短/天国時短」欄参照)については、時短モードと共通のテーブルとなっている。共通のテーブルとしている理由は、制御負担の軽減の観点からである。天井特典と同じ遊技状態を設けている場合には、天井特典とその遊技状態とで共通の変動パターン振分テーブルを設けることができる。勿論、天井特典に応じた専用の変動パターン振分テーブルを設けてもよい。たとえば、有限時短や無限時短の場合は「天国時短専用の変動パターン振分テーブル」、有限確変や無限確変の場合は「天国確変専用の変動パターン振分テーブル」、有限潜確や無限潜確の場合は「天国潜確専用の変動パターン振分テーブル」などである。
また、図示はしていないが、変動パターン振分テーブルは、設定値(設定1~6)に対応する変動パターン振分テーブルが設けられている。すなわち、設定値に応じて、1または複数の特定の変動パターンが抽選される確率が異なる場合があり、たとえば、その特定の変動パターンに係る演出の出現率の違いにより、設定推測要素を与えることができるようになっている。
図24~図27に示す通り、各変動パターン振分テーブルには、1または複数種類の変動パターンが、遊技状態(変動パターン選択モード(Tcode))、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数)、図柄抽選結果、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められている。変動パターンの種類は、図示の通り、種々の変動パターンが設けられている。当選期待度の高低については、次のような関係である。同種のリーチ同士間の関係は、Nリーチ同士では「NリーチA<NリーチB」、SPリーチ同士では「SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC」となっている。異種のリーチ同士の関係は、「NリーチA<NリーチB<SPリーチA<SPリーチB<SPリーチC<特殊リーチ」の関係である。また「煽りリーチ」は、主に、通常モードにおいて、特図2側始動口である下始動口35に入賞があった場合に選択される特殊なリーチとして設けられている。
なお、疑似連や他の予告演出が複合的に実行される場合、当選期待度が変化しうる。たとえば「SPリーチB<疑似3+SPリーチA」のように、当選期待度が相対的に低いSPリーチAであっても、疑似連が伴うと、SPリーチBやSPリーチCよりも当選期待度が高くなる場合がある。また、この実施形態の場合、疑似4が伴うと、SPリーチB以上の発生が確定するものとなっている。また図示では、Nリーチが「疑似連無し」となっているが、実際には、疑似連を伴うNリーチ、たとえば、疑似2~3+NリーチA、疑似2~3+NリーチBなどが含まれ、疑似3以上が伴う場合に、SPリーチの発生が確定するものとなっている。
特別図柄変動パターン作成処理は、既に述べた、先読み変動パターン判定処理である始動口入賞時乱数判定処理(図11のステップS320)と、基本的には同じである。ここでは、変動パターン振分テーブルが参照され、変動パターン用乱数値に応じた変動パターンが決定される(図24~図27に示す変動パターン指定コマンドデータCOM2が取得される)。変動パターンが決定されると、対応する変動時間が決定される(図示の「TIME」の欄参照)。この変動時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)は、領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定される。そして、決定した変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターン内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。具体的には、特別図柄変動パターン作成処理では、変動開始時の変動パターンを指定するための「変動パターン指定コマンド」を決定に関する処理として、下記(A)~(D)の処理を含んで構成されている。
(A)「変動パターン振分テーブル」を決定する“変動開始時変動パターン振分テーブル決定処理”と、
(B)上記(A)で決定された「変動パターン振分テーブル(図24~図27)」を参照し、作動保留球数と、ステップS314の処理で取得された変動パターン用乱数値とに基づき、変動パターンを決定し、対応する変動パターン指定コマンドのコマンドデータ(COM2)を取得する“変動パターン指定コマンドデータ取得処理”(変動パターン抽選処理)と、
(C)変動パターン決定処理で決定された変動パターンに対応する変動時間を決定して、領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定する“変動時間設定処理”と、
(D)上記(B)で取得した変動パターン指定コマンドを演出制御部24に送信するための“コマンド送信処理”と、を含んで構成される。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、少なくとも、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、詳細な図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)や、現在の遊技状態、変動時間情報、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無およびその種別や、疑似連指定情報など)を含むことができる。主制御部20は、その内容を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24に送信し、この変動パターン指定コマンドに含まれる情報は、演出制御部24側にて、今回の図柄変動表示ゲームに係る演出シナリオ(装飾図柄の変動表示、各種予告演出、変動中の設定示唆演出など)を決定する際に利用される。
(変動パターンに関連する特徴的要素について)
ここで、複数種類のSTモードを有する点と、天井機能を有する点とに着目しながら、変動パターンに関連する特徴的要素について説明する。
(変動状態について)
各遊技モードにおける上記変動状態(高速、中速、低速変動状態)は、専ら、図26~図27に示すハズレ変動パターン振分テーブルに定められた変動パターン群およびその選択率により実現される。たとえば、図27に示す「ST中用ハズレ変動パターン振分テーブル」を参照すれば、ST序盤では、高速変動状態を実現すべく、特図2側の通常変動(通常変動パターンに属する変動パターン)の変動時間が2s(秒)という最も変動時間が短い最短変動パターン(ST序盤通常変動2s)が高確率で選択されるようになっている。また、ST中盤とST終盤では、それよりも変動時間が長い変動パターン(ST中盤通常変動3s、ST終盤通常変動4s)が高確率で選択されるようになっており、これにより、中速変動状態や低速変動状態を実現する。また、図27に示すように、ハズレ時においては「ST終盤、ST中盤、ST序盤」モードの順にリーチ変動パターンが選択され易く(この実施形態では、ST序盤中はリーチ変動パターンの選択率がゼロ)、かつその変動時間も相対的に長時間となっている。この点にからも、ST序盤、ST中盤、およびST終盤モードのこの順に、図柄変動表示ゲームの平均消化時間が相対的に長時間となるようになっている。
また、ST序盤モードでは、ハズレ時には通常変動種別(ST序盤通常変動2s、8s)しか選択されない。つまり、ST序盤中(1~25ゲーム以内)は、リーチが掛かった時点で「当確」となる(大当り当選時は、「直撃リーチ」が選択される(図25参照))。本実施形態では、ST序盤モードで当選となった場合、当り種別によらず、共通の変動パターン振分テーブル「FB9」が選択されるようになっているが、本発明はこれに限らず、ST中盤モードやST終盤モードと同じように、当り種別に応じて異なる変動パターン振分テーブルが選択される構成としてもよい。
また、STモードが複数種類あることを利用して、下記(I)または(II)のような構成とすることができる。
(I)STモードの最終回目専用のTcodeを設け、当該最終回目に特定の変動パターン(最終煽り変動)を選択可能な構成としてもよい。最終回目専用のTcodeは、ST序盤モード、ST中盤モード、およびST終盤モードの少なくともいずれか1つのSTモードで設けることができる。たとえば、図25(大当り時)の備考2~4に示す「ST序盤最終煽りA、ST中盤最終煽りA、ST終盤最終煽りA」や、図27(ハズレ時)の備考2~4に示す「ST序盤最終煽りB、ST中盤最終煽りB、ST終盤最終煽りB」などである。この場合、次のような演出を現出させることができる。代表的に、ST序盤モードの最終ゲーム(ST中の25ゲーム目)を例にとり説明すれば、当該最終ゲームにおいて、大当り時には「ST序盤最終煽りA」が選択され、ハズレ時には「ST序盤最終煽りB」が選択される。このとき、ST序盤最終煽りA、Bに係る図柄変動表示ゲームのいずれにおいても、ゲーム開始から所定時間の間(ゲーム開始から所定の変動時間が経過するまで)、共通の特定演出を現出させ、ハズレであるか大当りであるかをしばらく秘匿状態にして、遊技者の緊張感を煽る。そして、ハズレであればリーチを掛けずにそのまま「ハズレ図柄(バラケ目)」で停止させ、大当りであればリーチを掛けて「図柄揃い(当り図柄)」で停止させる。特に本実施形態の場合は、ST序盤中は「リーチ」が掛かった時点で当確となるため、上記共通の特定演出として、リーチが掛かるか否かを煽るような演出を現出させれば、遊技者の緊張感や当選期待感を煽ることができる。なお、最終煽りA(当り時)と最終煽りB(ハズレ時)の変動時間は同一の変動時間としてもよいが、ハズレ時よりも大当り時の変動時間を長時間として、リーチ演出後、当選を祝福する祝福演出や、当選した大当り種別に応じて偶数図柄揃いから奇数図柄揃いの昇格表示または偶数図柄揃いから偶数図柄揃いへの非昇格表示を報知可能な昇格演出などの特定の演出を現出させることが好ましい。
(II)当選した大当り種別(1または複数の特定の大当り種別でもよい)を演出的に秘匿状態として、移行先遊技状態を秘匿状態とする場合(図柄変動表示ゲーム中の演出および当り中演出において、当選した大当り種別を秘匿状態とする場合)、たとえば、ST序盤モードの最終ゲーム(ST25ゲーム目)で、ハズレ時には、ST序盤最終煽りを利用して、STモードが終了するのか継続するか否かの「継続煽り演出」を現出させる。たとえば、現在の遊技モードがST25モードである場合には、継続煽り演出の結果として、ST非継続を報知する継続失敗演出を現出し、ST75またはST100モードである場合には、ST継続を報知する継続成功演出を現出させる。
上述の(I)(II)のいずれの構成も、ST最終ゲーム目において遊技者の緊張感を煽り、STモードにおける遊技の面白みを向上させることができる。また、上記のような「最終煽り変動」は、全STモードまたは一部のSTモードで選択可能に構成してもよい。ただし、ST序盤モードのような「高速変動状態」をなすSTモードにおいて、最終煽り変動を選択可能に構成することが好ましい。「高速変動状態」下の場合、大当りに当選することなくハズレ続けてしまうと、ST(確変状態)があっという間に終了してしまい、遊技者のガッカリ感が強くなる。そこで、最終回目に「最終煽り変動」を選択させ、遊技者の緊張感を持続させるようにすることが、遊技の面白みを向上させる点で好ましいからである。また、ST最終ゲーム目に限らず、最終ゲームよりも1または複数ゲーム手前のゲームから「最終煽り」を連続的に選択させる構成としてもよい。たとえば、ST23~25ゲーム目の3ゲーム間は「最終煽り」を連続して選択する。
(天井モードに係る変動パターンついて)
また、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブを参照して、天井モードでは、図示の「天井」の欄に示す通り、特図種別および作動保留球数によらず、共通の「天井変動」が選択されるようになっている。ただし本実施形態の場合、ハズレ種別が複数種類あるため「特図種別、作動保留球数、およびハズレ種別」によらず「共通の天井変動」が選択される。このようにする理由は、次に述べる通りである。第1に、天井到達時においては、少なくとも特図種別および作動保留球数などによらずに共通の天井演出を現出させ、天井発動(天井特典の付与)を報知することが好ましい。第2に、天井ゲーム1ゲーム限り(1回転限り)のために、変動パターン振分テーブルを複数種類用意したり、これに基づく演出を現出したりするのは、制御負担が増し、制御負担軽減の観点から好ましくない、という理由からである。また、当りの場合も、上述の「ハズレ」の場合と同様に、演出面と制御負担軽減の観点から、次に述べる構成としてある。既に説明したように、天井ゲーム(1000ゲーム目)において、偶々、大当りに当選となった場合には、天井演出モードに係る演出を現出するのではなく、通常演出モード中(たとえば、一般モード中または前兆モード中)に係る当選時の演出を現出させることが好ましい(上記「7-4-1.天井モード中の演出について」の記載参照)。そこで本実施形態では、図26に示すハズレ変動パターン振分テーブルの「天井」の欄に示すように、大当りに当選時は、通常モード中(一般モードおよび/または前兆モード)に係る当り変動パターン振分テーブルFB1~FB4のうち、「FB2」が選択されるようになっている。なお、「FB2」に限らず、FB1~FB4のいずれでもよい。
(前兆モードに係る変動パターンついて)
また、図26示すハズレ変動パターン振分テーブルの「前兆モード」に着目すれば、この実施形態の場合、前兆モード中は、通常モードのうちで、変動状態が最も速い高速変動状態(通常モード中、平均消化時間が最速の遊技モード)とされるようになっている。これは、遊技者の心境を考慮したものである。遊技者の多くは、天井間近になると「ここまで来たら、さっさと天井に到達したい」、「早く、天井特典を得たい」という気持ちが強くなると考えられる。そこで本実施形態では、前兆モード中の平均消化時間を高速化してある。また、この実施形態の場合、前兆モード中の大当り当選時は、図24に示すように、一般モードと共通の当り変動パターン振分テーブルFB1~FB4を採用しているが、本発明はこれに限らず、前兆モード専用の当り変動パターン振分テーブルを設けてもよい。たとえば、前兆モード中専用の当り変動として「前兆当り変動」を設けることができる(図24の備考2「前兆当り変動」参照)。
また、前兆モード中の最終ゲーム目が「ハズレ」の場合には、上記「事前発射誘導報知演出」を現出させるために、特定の変動パターン(比較的長い変動時間を持つ変動パターン)を選択可能な構成としてもよい(図26の備考2「前兆最終変動」参照)。この事前発射誘導報知演出は、電サポ有り状態が生起する当該ゲームが到来する前のゲームで「打ち方」を指示する演出である点で、従来の電サポ有り状態が発生する当該ゲーム(確変または時短が生起するゲーム)で「右打ち」を指示したり、電サポ無し状態となった当該ゲームで「左打ち」を指示したりするといった発射誘導報知演出、つまり、実際に電サポの有り無しが生じる当該ゲームで打ち方を指示する報知演出とは性格を異にするものである。この点で、事前発射誘導報知演出は、天井特典を搭載する遊技機特有の演出である。
再び図12の説明に戻る。上記ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、今回の変動開始側に対応する変動中フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS414)。上記「変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらが変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。本実施形態では、特図1対応の「特別図柄1変動中フラグ」と、特図2対応の「特別図柄2変動中フラグ」を扱う。たとえば、特図1側が今回の処理対象(変動開始側)であれば、特別図柄1変動中フラグをON、特別図柄2変動中フラグをOFFに設定する。
次いで、ステップS411の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果情報を特定可能な装飾図柄指定コマンドを作成し、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。この装飾図柄指定コマンドは、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドを受信すると、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、今回の装飾図柄変動表示ゲームを開始し、図柄変動表示ゲーム中における各種演出を現出制御する。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
(設定異常エラーが生じたケースについて:S409→S411の処理ルート)
ステップS409の判定処理の説明に戻り、ステップS409において、設定エラーフラグがON状態(5AH)である場合、つまり設定異常エラーが発生中の場合(ステップS409:=5AH)、ステップS410の特別電動役物作動判定用乱数判定処理(当落抽選)をスキップし、ステップS411の特別停止図柄作成処理を実行する。すなわち、設定異常エラーが発生した場合には、変動開始時の当落抽選を実行せず、今回の当落抽選結果は、常に「ハズレ」として処理される(強制ハズレ制御)。設定異常エラーの場合は、エラー専用の変動パターンを設け、これを選択することが好ましいが、既存の特定の変動パターンが選択されるように構成してもよい。既存の変動パターンを選択する場合は、「設定異常エラー」という深刻なエラーが生じていることを考慮し、当選期待感を煽るようなリーチ変動パターン種別は選択せずに、通常変動パターン種別のみを選択することが好ましい。なお、強制ハズレという状況下では、最早、遊技の意味を成さないため、長変動パターン種別を選択することが好ましく、より好ましくは、最長の通常変動パターン(本実施形態では、通常変動16s)だけを選択する。また、設定異常エラーの場合には、「遊技続行不可」として、図柄変動表示ゲーム自体を開始させない(図柄変動を開始させな)構成としてもよい。この場合には、遊技機の電源がOFFになるまでエラー報知を継続する。なお本実施形態では、図8に示す設定変更処理(ステップS023)が実行されて設定異常エラーが解除されるまでは、電源を再投入してもエラー報知が継続される。
<A.特別図柄変動中処理:図10>
次に、図10に示す特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。
特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマにセットされた特別図柄の変動時間Tが経過したか否かを判定する。変動時間Tが経過していないならば(変動時間T≠0)、特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。特別図柄の変動時間Tが経過したならば(変動時間T=0)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド(BF01H)」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、変動停止コマンドを受信すると、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了される。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、領域内RAMの該当領域に、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)、確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグにOFF状態を格納する。そして、特別図柄の変動停止時の設定処理を終えると、特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
以上の特別図柄変動中処理を抜けると、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理を抜けて、図9のステップS095の特別電動役物管理処理に進む。
<16.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図16Aおよび図16B>
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図16Aおよび図16Bは、図10の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図16Aおよび図16Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(上記特別図柄変動中処理のステップS307参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態情報をRAMの遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、図示の通り、大当り判定フラグをOFF状態(00H)に設定し、大当りに当選したとして条件装置作動フラグをON状態(5AH)に設定し、その他、大当り遊技中を低確率および電サポ状態無しの状態に設定する(各種フラグやカウンタをクリア)。また、天井フラグと天井発動フラグとをOFF状態(00H)に設定し、天井カウンタをクリア(00H)する。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、すなわち、大当りでもなく小当りでもない「ハズレ」の場合には、ステップS478の処理に進む。
一方、小当り判定フラグがON状態(5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(残り時短回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、ステップS483の処理に進む。
一方、特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。一方、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。
(時短終了時の設定処理:ステップS481)
ここでは、時短終了時の設定処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hに設定)して、「電サポ無し状態」への移行設定を行う。また、特別図柄時短機能の作動を終了させるために、特別図柄時短機能をOFF状態(特別図柄時短状態フラグに00Hに設定)に設定し、遊技状態報知LED出力番号(複合表示装置38cの状態報知データ)に非特別図柄時短状態を指定する00Hを格納する(「01H」の場合は、特別図柄時短状態指定)。
ステップS481の「時短終了時の設定処理」が実行されるケースは、遊技モードが「時短モード」から通常モード(一般モード)に移行するケース、具体的には、内部遊技状態が「時短状態」から「通常状態」に移行するケースである。したがってここでは、次ゲームから通常状態(一般モード)に移行することに伴い、残り天井ゲーム数のカウントを開始するべく、天井カウンタに初期値(999回)を設定する。本実施形態では、天井カウンタ値がゼロとなるゲームは、天井ゲーム直前のゲーム(999ゲーム目)となっており、この天井ゲーム直前のゲームにて、天井特典開始前の各種設定処理、具体的には、上記遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)において、天井発動フラグがON状態(5AH)に設定され、天井特典を指定するためのデータが各状態バッファに格納される(図15のステップS915~S917、S914)。そして、次ゲーム(天井ゲーム)開始時における上記天井発動管理処理(図12のステップS421)において、当該状態バッファのデータが読み出されて、遊技状態指定に係る各種のフラグやカウンタに設定される(図14のS921~S926)。これにより、天井ゲームの開始とともに天井特典が付与されるようになっている。なお、天井カウンタに初期値として「1000」をセットしてもよく、この場合には、天井カウンタがゼロになったか否か、つまり1000ゲーム目であるか否かを監視し、ゼロであるならば、状態バッファを介さずに、直接的に、天井特典に関する指定データを各種フラグやカウンタにセットする処理にすればよい。
(ゲーム終了を契機に天井特典を付与する場合の制御処理)
ここで、ゲームの終了時(図柄停止時)に天井特典を付与する構成とする場合には、既に説明したように、サブルーチンである「天井発動管理処理(ステップS421)」を、たとえば、図柄変動表示ゲーム終了時に係る特別図柄確認時間中処理の最後の処理(後述のステップS495)の後、天井発動管理処理(ステップS421)を実行させればよい。この場合、本実施形態のように天井カウンタには999をセットした場合には999ゲーム終了時に天井特典が付与され、1000をセットした場合には1000ゲーム終了時に天井特典が付与される。いずれにしても、遊技に関する特定事象(ここでは、通常状態中のハズレ回数)をカウントして、そのカウント値が所定値(ここでは、ゼロ)となった場合に天井機能発動契機または天井特典を付与可能に構成すればよい。なお、本実施形態の処理の仕方(図12~図16B参照)を採用すれば、旧機種ではゲーム開始時を天井発動契機としていたが、新機種ではゲーム終了時を天井発動契機としたい場合に設計変更を容易になり、旧機種と新機種との間の互換性を高めることができるという利点がある。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、次いで、遊技状態更新処理を実行する(ステップS482)。ここでは、変動パターン選択モード(Tcode)を時短モードの「05H」から一般モードの「00H」に更新する。更新後の遊技状態情報は、後述のステップS495にて、遊技状態指定コマンドにより演出制御部24に送信される。したがって、ステップS481の時短終了時の設定処理が実行される場合、後述のステップS495にて送信される遊技状態指定コマンドは、「一般モード」を指定する情報が含まれ、この遊技状態指定コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで時短モード(時短状態)が終了した旨を把握し、次ゲームから一般モード(通常状態)に移行される旨を把握する。これにより、次回の図柄変動表示ゲームでは、「一般モード」に基づく特別図柄の変動パターンが選択され、「一般演出モード」下における演出が現出されることになる。
次いで、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、何もせずにステップS488の処理に進む。一方、特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST回数が終了していないので、何もせずにステップS488の処理に進む。しかし減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、ST回数が終了したとして、確変終了時の設定処理を実行する(ステップS486)。ここでは、確変終了時の設定処理として、確変状態に関する機能をOFF状態に設定して確変状態を終了させる。ただし、特別図柄時短回数カウンタの値に応じて処理内容が異なる。以下、詳述する。
(1)“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなりSTモードの終了となるが、時短回数が残っているため、次ゲームから時短モードに移行されるケースである。つまり、ST25モード中にST回数25回が終了した場合か、またはST75モード中に、ST回数75回が終了した場合である(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL-4、5」を参照)。したがってこの場合は、特別図柄確変機能だけをOFF状態(00H)に設定して(特別図柄確変状態フラグに00Hを格納)確変状態から時短状態への移行設定を行い、遊技状態判定番号YJを「02H(時短状態)」に更新する。なお、ST25、ST75、ST100モードの場合に本処理が実行される場合、変動パターン選択モード(Tcode)の更新については後続のステップS491で行う。
(2)一方、“減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであり、かつ特別図柄時短回数カウンタもゼロである場合”、この場合は、今回のゲームでST回数がゼロとなり、かつ時短回数もゼロとなるケース、すなわち、ST100モードに滞在したが、今回のゲームでST100モードが終了するケースである(図22に示す遊技状態移行テーブルの「JTTBL-3」を参照)。したがってこの場合は、確変状態の終了に要する処理として、電チューサポート機能(普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)をOFF状態に設定し(普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、また、特別図柄時短機能と特別図柄確変機能とをOFF状態(特別図柄時短状態フラグと特別図柄確変状態フラグにそれぞれ00Hを格納)、遊技状態報知LED出力番号00Hを格納し、天井カウンタに初期値を設定し、遊技状態判定番号YJを「00H(通常状態)」に更新する。なお、潜確状態を終了させる場合(有限潜確大当りを設けた場合)も同様である。これにより、ST100モード(確変状態)が終了され、次ゲームから通常モード(一般モード)に移行される。なお、ST100モードの場合、特別図柄確変回数カウンタがゼロとなる場合には特別図柄時短回数カウンタもゼロとなるため(今回のゲームでST回数がゼロになる場合には、時短回数もゼロになる。)、特別図柄時短回数カウンタがゼロになった際に実行される上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、電チューサポ―ト機能などの時短状態に係る機能はOFFに設定することが可能なため、本処理においては特別図柄確変機能だけをOFFにし、確変状態に係る全機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)がOFFに設定されるようにしてもよい。また、天井カウンタの設定についても、上記「時短終了時の設定処理(ステップS481)」にて、初期値(999回)を設定してもよいし、本処理で設定してもよい。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、次いで、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS488)。ここでの特別図柄変動回数カウンタの判定処理は、主に、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の切り替えゲーム(更新ゲーム)の監視である。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS488:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS488:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS489)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS490)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS490:NO)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームでないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、変動パターン選択モード(Tcode)の更新ゲームが到来したとして、遊技状態更新処理を実行する(ステップS491)。ここでは、STモードにおける変動パターン選択モード(Tcode)の更新処理を行う。変動パターン選択モード(Tcode)の更新が行われるのは、(α)ST序盤モードが終了する場合、(β)ST中盤モードが終了する場合、(γ)ST終盤モードが終了する場合などである。正確には、ST25、ST75、ST100モードに応じた更新処理が行われる。
ST25モードの場合は、ST序盤モードが終了すると時短モードに移行されるため、変動パターン選択モード(Tcode)をST序盤モードの「02H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST75モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。そして、ST中盤モードが終了すると時短モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」から時短モードの「05H」に更新する。
ST100モードの場合は、ST序盤モードが終了するとST中盤モードに移行されるため(更新1回目)、上述のST75モードの場合と同じく、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST序盤モードの「02H」からST中盤モードの「03H」に更新する。その後、ST中盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新2回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST中盤モードの「03H」からST終盤モードの「04H」に更新する。そして、ST終盤モードが終了するとST終盤モードに移行されるため(更新3回目)、このときは、変動パターン選択モード(Tcode)を、ST終盤モードの「04H」から一般モードの「00H」に更新する。
上記したステップS491の処理は、所定の変更条件の成立に基づき、特別図柄の変動パターンの選択条件を更新(変更)する変動パターンモード更新手段として働く。
次いで、ステップS491の遊技状態更新処理を終えると、次いで、特図変動回数カウンタ更新処理を行う(ステップS492)。ここでは、(1)ST序盤モードのST回数25回が消化された後、ST中盤モードの継続期間(ST回数50回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ2の値を設定する処理)、(2)ST中盤モードのST回数50回が消化された後、ST終盤モードの継続期間(ST回数25回)を設定する処理(特別図柄変動回数カウンタ3の値を設定する処理)を行う(更新される特別図柄変動回数カウンタの値については、図22の遊技状態移行テーブルの特別図柄変動回数カウンタ1~3バッファの欄を参照)。本実施形態では、ステップS488~S491の処理により、ST序盤、ST中盤、ST終盤モードを実現する。
次いで、前兆モード移行管理処理を実行する(ステップS493)。前兆モード移行管理処理では、天井カウンタを確認して、天井カウンタの値が前兆モード移行契機ゲーム数である否かを判定する。本実施形態の場合、990ゲーム目から前兆モードに突入するため(図7参照)、今回のゲームで天井カウンタNが989ゲーム目を示す場合に(天井カウンタN=10)、前兆モードへの移行設定処理を行う。具体的には、変動パターン選択モード(Tcode)を、一般モードの「00H」から前兆モードの「01H」に更新する。これにより、次ゲームの990ゲーム目から前兆モードに移行され、前兆モードに基づく特別図柄の変動パターンが選択され、前兆演出モード下における演出が現出される。
上記ステップS493の前兆モード移行管理処理を終えると、次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS495)。この遊技状態情報送信処理は、図12に示す特別図柄変動開始処理中の遊技状態情報送信処理(ステップS408)と同じく、遊技状態指定コマンドを送信する。ただし、ここで送信される遊技状態指定コマンドは、ゲーム終了時に係る遊技状態に関する情報、すなわち、上記ステップS482、S491、S494などで更新された内容を含む情報である。したがって、本処理で送信される遊技状態指定コマンドにより、演出制御部24は、遊技状態の移行が生じるか否かを把握し、今回のゲーム終了時に、演出モードの移行制御を行うことができる。たとえば、989ゲーム目が終了後、990ゲーム目が開始されていなくとも、989ゲーム目が終了直後に、一般演出モードの昼背景から前兆モード中の夜背景に切り替え表示することができる。
以上のステップS495の遊技状態情報送信処理を終えると、特別図柄確認時間中処理を抜けて、図10の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図9の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
<23.特別電動役物管理処理:図17>
次に、図9中の特別電動役物管理処理(ステップS095)について説明する。図17は、ステップS095の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。この小当り処理では、小当り遊技動作を制御するための必要な処理が実行される。
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H~04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、領域内RAMの特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。特別電動役物動作ステータスには、大当り遊技開始前の待機状態である旨を指定する「開始処理中(00H)」、ラウンド遊技開始前の待機状態である旨を指定する「作動開始処理中(01H)」、ラウンド遊技が実行中である旨を指定する「作動中(02H)」、次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を指定する「継続判定中(03H)」、大当り遊技終了時の終了処理中である旨を指定する「大当り終了処理中(04H)」が含まれる。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値が「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「作動中(02H)」「継続判定中(03H)」「大当り終了処理中(04H)」のいずれかのステータス値であるかに応じてステップS505~S509のいずれかの処理を実行する。これらの処理は大当り遊技を実行制御する処理であり、ステップS505~S509の処理を経て、各種当りに対応する当り遊技が実現される。以下に、ステップS505~S509の処理内容について説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505~S509)>
(9-1.大当り開始処理)
ステップS505の「大当り開始処理」について説明する。大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが、初期値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって「大当り」となった場合は、まずこの「大当り開始処理」が実行される。
大当り開始処理に入ると、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な設定処理(開始時の設定処理)として、役物連続作動装置作動フラグにON状態に設定する。これにより、特別電動役物の連続作動(ラウンド遊技)が許容状態となる。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に更新し、ラウンド数をカウントする「連続回数カウンタ」に初回の1R目を指定する01Hを設定する。次いで、今回当選した当り種別(特別図柄判定データ)に応じて、領域内RAMの該当領域に、今回の大当りに対応する「最大ラウンド数」、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を設定する。「開始インターバル時間(開始INT)」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して(図16AのステップS471参照)大当りが確定した後、特別変動入賞装置52が作動するまで(1R目のラウンド遊技が開始されるまで)のインターバル区間であって、オープニング演出区間を定めた時間幅を指す。
次いで、「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜ける。なお「大当り開始コマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。かくして、大当り遊技が開始される。
(9-2.特別電動役物作動開始処理)
次に、ステップS506の「特別電動役物作動開始処理」について説明する。
特別電動役物作動開始処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、ラウンド開始前インターバル時間が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記「大当り開始処理(ステップS505)」で設定された「開始インターバル時間(開始INT)」が監視されるが、2R目以降で本処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間」、具体的には、今回のラウンド遊技が終了して次回ラウンド遊技が開始されるまでのラウンド間のインターバル時間(R間INT)が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、今回のラウンド遊技が終了していないので、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(1R目の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、大当り種別(特別図柄判定データ)と現在のラウンド数(連続回数カウンタ値)とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。ここでは、大入賞口開閉動作時間(最大開放時間)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データ(ラウンド数に対応して実行される大入賞口開閉動作パターン用データ)を設定する。
また大入賞口開放開始動作に伴い、大入賞口開放コマンドを演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」には、現在のラウンド数情報が含まれ、演出制御部24において、ラウンド数に対応するラウンド中演出を現出させる際に利用される。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替えて、この特別電動役物管理処理を抜ける。これにより、大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放され、今回のラウンド遊技が開始される。
(9-3.特別電動役物作動中処理)
次に、ステップS507の「特別電動役物作動中処理」について説明する。
特別電動役物作動中処理に入ると、CPU201は、まず大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達したか否かを監視し、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをゼロクリアする。これにより、上記「特別電動役物作動開始処理(ステップS506)」で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことを以って、開放中の大入賞口50が閉鎖されることになる。また、ここでは、大入賞口50に入賞があるごとに、「大入賞口入賞コマンド」を演出制御部24に送信する。この大入賞口入賞コマンドには、大入賞口への入賞発生情報と賞球数情報とが含まれ(設定値情報も含ませてもよい)、大入賞口50に入賞した旨を報知する入賞演出に利用される他、入賞演出を利用した設定示唆演出の現出制御にも利用される。たとえば、最大入賞数を超えるオーバー入賞があった場合、設定値に応じて定められた出現率に従い、通常のオーバー入賞演出に替えて、特別なオーバー入賞演出を現出する。
なお、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間、つまり、大入賞口開放動作時間(最大開放時間)が経過するか、または最大入賞数に達するまでの間は、何もしないで、そのまま特別電動役物作動中処理を抜ける。
最大入賞数に達するか、または最大開放時間が経過して、特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1980ms)を格納する。この「残存球排出時間」とは、大入賞口が閉鎖された後、大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指す。また大入賞口閉鎖(ラウンド遊技終了)に伴い、ラウンド間インターバルコマンドを演出制御部24に送信する。この「ラウンド間インターバルコマンド」は、ラウンド遊技終了情報や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24において、次回ラウンドまでのラウンド間インターバル(R間INT)中の演出(ラウンド間インターバル演出)を現出させる際に利用される。以上により、この特別電動役物作動中処理を抜ける。
(9-4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、ステップS508の「特別電動役物作動継続判定処理」について説明する。
特別電動役物作動継続判定処理に入ると、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間(1980ms)が設定されているので(ステップS507参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタの値を取得して、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える。
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合には、最終ラウンド終了時の設定処理として、「終了インターバル時間(終了INT)」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える。上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンド目のラウンド遊技が終了して残存球排出時間経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信して、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。これにより、最大ラウンド数目のラウンド遊技が終了される。なお、上記大当り終了コマンドには、今回の大当り種別とその当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。
(9-5.大当り終了処理:図18)
次に、ステップS509の「大当り終了処理」について説明する。図18は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間(終了INT)が設定されているので、ここでは、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、状態フラグ設定処理を実行する(ステップS592)。ここでは、既に説明した「遊技状態移行準備処理(図12のステップS412)」において設定された状態バッファの各々の値を、状態バッファに対応するフラグ領域やカウンタにそれぞれ設定する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を実行する(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータ(たとえば、ステップS505~S509で利用したフラグやカウンタ値)をクリアし、遊技状態報知LED出力番号を更新し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了して、今回の大当り遊技が終了される。なお、以上に説明した大当り遊技に関する一連の制御処理は、天井特典による「強制当り」が付与される場合も同様である。
<19.演出制御部側の処理:図19~図20>
次に、図19~図20を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図19)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図20)とを中心に構成される。
<19.演出制御側メイン処理:図19>
図19は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図19に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部24(CPU241)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS1001)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
上記初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごと(16ms)にステップS1003~S1011のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS01012の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS1002の処理において、CPU241は、メインループ更新カウンタを参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期(カウンタ値>15)が到来したか否かを判定する(ステップS1002)。上記メインループ更新カウンタは、1ms毎に実行される後述の演出制御側タイマ割込処理中でインクリメントされるカウンタである(図20のステップS1057参照)。本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっており、ステップS1002の判定処理にて、メインループ更新カウンタ値を判定し、その値が「15」より大きい場合には(ステップS1002:YES)、メインループ処理の実行タイミングが到来したとして、ステップS1003~S1011の処理を実行し、それ以外の場合には、メインループ更新周期が到来するまで(ステップS1002:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS1012)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS1002:YES)、メインループ更新カウンタをゼロクリアし(ステップS1003)、次いで、エラー処理を実行する(ステップS1004)。ここでは、エラー中におけるエラー報知用の演出シナリオの設定やエラーが解除された際のエラー解除処理などを実行する。なお、演出手段に関するエラー(可動体役物エラー、音声ICエラーなど)は、ここで監視される。
次いで、デモ・節電モード処理を実行する(ステップS1005)。このデモ・節電モード処理では、デモ開始待ち演出、客待ち演出、および節電モードに必要な設定処理を実行する。
次いで、演出スイッチ入力処理を実行する(ステップS1007)。この演出スイッチ入力処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)の操作状態を監視し、操作を検出した場合には、その操作に応じた演出制御処理を実行する。操作手段の入力状態は、後述の図20中のボタン入力状態更新処理(ステップS1052)にて監視される。
次いで、コマンド解析処理を行う(ステップS1008)。このコマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出処理を実行する。なお、主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じた際、図示しないコマンド受信割込処理が実行される。このコマンド受信割込処理により、演出制御コマンドが取得され、そのデータは、RAM243のコマンド受信バッファに格納される。
コマンド解析処理では、たとえば、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し、その内容である特別図柄の変動パターン情報を取得し、RAM243の所定領域に格納する。図柄変動表示ゲーム中の演出は、まだこの時点では決定せず、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる装飾図柄指定コマンドを受信した場合に決定される。つまり、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(図柄抽選結果情報)とに基づき、図柄変動表示ゲーム(装飾図柄変動表示ゲーム)中の演出シナリオ(装飾図柄の変動表示、予告演出など)が決定されるようになっている。たとえば、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信された場合、コマンド解析処理において、これらコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選種別情報)に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243の所定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとに含まれる情報に基づき、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを決定しているが本発明はこれに限らず、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる情報に基づき決定することができる。変動パターン指定コマンドには、当落情報と変動パターン情報とが含まれるので、当り種別(図柄抽選情報)自体を必要としない場合には、この変動パターン指定コマンドに基づいて、図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオを構成することもできる。
またたとえば、「保留加算コマンド」を受信した場合には、先読み予告抽選により先読み予告(保留変化予告および/または変動中先読み予告)を実行するか否かを決定し、先読み予告を実行する場合には、その演出シナリオを決定して、その演出シナリオのデータをRAM243の対応領域に格納し、先読み予告の実行の際に適宜利用する。また、他の先読み予告、たとえば、天井用保留変化予告(図32)を現出させる場合も同じように、天井用保留変化予告を実行する場合には、その演出シナリオのデータをRAM243の対応領域に格納し、天井用保留変化予告の実行の際に適宜利用する。これにより、通常の先読み予告(保留変化予告、変動中先読み予告)や、天井専用の先読み予告(天井用保留変化予告)の現出を実現する。
上記コマンド解析処理を終えると、続いて、シナリオ更新処理を実行する(ステップS1009)。このシナリオ更新処理では、演出シナリオの実行に必要なタイマの内容を更新、当該タイマ値に基づいて演出シナリオを進行する処理を実行する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、どのような演出手段で現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)や演出役物動作更新処理(ステップS1053)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物動作更新処理(ステップS1053)で作成される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS1010)。このサウンド出力処理では、ステップS1009のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音チャネル毎に設定されている音データに基づき、フレーズやボリュームなどのデータを音響制御部(音源LSI)に出力し、音響制御部を通じてスピーカ46から音演出を現出させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、LED駆動データ更新処理を実行する(ステップS1011)。このLED駆動データ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13や各種演出用LEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
以上により、メインループ処理を終了すると、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS1012の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
<31.演出制御側タイマ割込処理:図20>
次に図20を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図20は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図20において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS1051)、ボタン入力状態更新処理を実行する(ステップS1052)。このボタン入力状態更新処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)からの操作検出信号の入力状態を監視し、操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この操作検出情報は、図19シナリオ更新処理(ステップS1009)にて、遊技者参加型演出やメニュー画面やメニュー項目に係る情報などを表示する際に利用される。本実施形態では、1回押し、長押し、連打などの検出も可能となっている。
次いで、演出役物動作更新処理を実行する(ステップS1053)。この演出役物動作更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物用のモータ制御データを作成する処理を行う。
次いで、SOL・MOT出力処理を行う(ステップS1054)。このSOL・MOT出力処理では、上記演出役物動作更新処理で作成された可動体役物用の制御データを駆動制御部に出力する。駆動制御部は、制御データに基づく制御信号を、動作対象とする可動体役物の可動体役物モータに出力しその動作を制御する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物80、花型役物90など)による可動体演出が実現される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS1055)。この液晶コマンド送信処理では、図19のシナリオ更新処理(ステップS1009)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信し、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、RTC情報取得処理を実行する(ステップS1056)。このRTC情報取得処理では、RTCにより計時される日時情報(RTC情報)を取得する。このRTC情報は、RTC情報に基づく演出を現出する際に利用される。
次いで、メインループ更新カウンタをインクリメントする(ステップS1057)。このメインループ更新カウンタは、上述の演出制御側のメイン処理中のステップS1003でリセットされ、本処理でインクリメントされる。したがって、ステップS1057が実行される際には、メインループ更新カウンタ値は0~15のいずれかとなっている。
上記ステップS1057の処理を終えると、退避していたレジスタの内容を復帰させ(ステップS1058)、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を実行する。
〔特典付与形態の変形例1:図33〕
上記実施形態では、通常モード中(少なくとも内部遊技状態が通常状態中)に、大当りに当選することなく、所定のゲーム数が実行された場合、天井特典を付与する構成について説明した。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、下記付与形態(α)~付与形態(ζ)とすることができる。
<付与形態(α):図33(イ)>
(α)遊技モードまたは内部遊技状態とは無関係に、実行ゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する(図33(イ)参照)。本構成の場合、通常モード(通常状態)のみならず、時短モード(時短状態)中や確変モード(確変状態)中に実行されたゲーム数もカウントされる。したがって、純粋に、今回の大当りから何ゲームハマったのかに応じて、天井特典を付与することができる。
<付与形態(β):図33(ロ)>
(β)「低確率状態を伴う遊技状態(低確遊技状態)」中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、1000ゲーム目)に達した場合に天井特典を付与する。本例の場合、高確率状態を伴う遊技状態(高確遊技状態)中に実行されたゲーム数はカウント対象から除外される。ここで、「低確率状態を伴う遊技状態」とは、内部遊技状態に着目した場合は「通常状態」または「時短状態」が該当し、遊技モードに着目した場合は「通常モード」または「時短モード」が該当する。
図33(ロ)は、代表的に、時短大当り1(移行先遊技状態が時短A)と、確変大当り3(移行先遊技状態がST25モード(確変C))と、確変大当り2(移行先遊技状態がST75モード(確変B))と、確変大当り1(移行先遊技状態がST100モード(確変A))とを、本例(付与形態(β))に適用したケースを示したものである。図示では、三者を比較し易いように、いずれも「電サポ100回を付与する大当り」を示してある。各大当りについて、電サポ終了後(101ゲーム目)から天井ゲーム(1000ゲーム目)までに必要なゲーム数(本例において「必要ゲーム数X」と称する)は次の通りとなる。
図33(ロ)を参照して、時短A大当りの場合、大当り遊技終了後から時短回数100回の時短状態に移行され、この時短回数100回分がカウント対象とされる。したがって、必要ゲーム数Xは「900ゲーム」となる(図33(ロ)の「時短A」参照)。
一方、STモード移行契機大当りの場合には、STモードに応じて、電サポ終了後から天井到達までのゲーム数が異なる。具体的には、図33(ロ)の「ST25」、「ST75」、「ST100」を参照して、
ST25モード(ST回数25回+時短回数75回)の場合、ST25回終了後の時短回数75回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「925ゲーム」となる。
ST75モード(ST回数75回+時短回数25回)の場合、ST75回終了後の時短回数25回分がカウント対象とされるため、必要ゲーム数Xは「975ゲーム」となる。
ST100モード(ST回数100回)の場合、電サポ終了までの100ゲーム間はSTモード中となるため、この100ゲーム分はカウント対象から除外される。したがって、必要ゲーム数Xは1000ゲームとなる。STモードの場合は、相対的に利益度合が低いSTモードほど、電サポ終了後から天井ゲーム数までの必要ゲーム数が少なくなる。
図示の関係を纏めれば、上記「必要ゲーム数X」に関し、「時短A(時短回数100回)<ST25モード<ST75モード<ST100モード」の関係となる。すなわち、利益度合が相対的に低い遊技モード(内部遊技遊技状態)に移行されるほど、電サポ終了後からの天井到達までの必要ゲーム数(通常モード(通常状態)中における必要ゲーム数)が減少する、という特異な関係となる。この「通常モード(通常状態)で実行すべき必要ゲーム数が減少する」という点は、天井特典とは別の性格の救済機能であるともいえる。
<付与形態(γ):図33(ハ)>
(γ)特定の変動パターン選択モード(特定のTcode)中のゲーム数をカウントし、大当りに当選することなく、当該カウントされたゲーム数が所定ゲーム数に達した場合に天井特典を付与する。本例の理解を容易なものとするために、仮想的な遊技機として、通常モードに相当する遊技モードとして、変動パターン選択モードが異なる「通常Aモード」と「通常Bモード」の2つの遊技モードを含む複数種類の遊技機モードを移行制御可能な遊技機を例にとり説明する。この場合、図33(ハ)に示すように、たとえば、カウント対象を「通常Bモード」における実行ゲーム数とする。この場合、「通常Aモード」の実行ゲームはカウント対象外となるため、通常Aモードでいくらゲームが実行されても天井特典が付与されることがないが、「通常Bモード」中に実行されたゲーム数が所定のゲーム数に達すれば天井特典が付与される、という構成とすることができる。なお、「通常Aモード」と「通常Bモード」の移行条件(変動パターン選択モードの移行条件)としては、たとえば、「小当りに当選した場合にモード移行を生じさせる」または「実行ゲーム数(変動回数)に応じて、モード移行を生じさせる」などがある。本例を利用して、下記(A)または(B)のような遊技性を作り出すことができる。
[(A)小当り当選に起因して、変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
小当り当選に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、特図1側に小当り(当選確率1/50)を設け、変動パターン選択モードの移行に関し、「通常Aモード」中に小当り(昇格抽選)に当選した場合に「通常B」に移行させ(小当り遊技後に通常Bモードに移行する)、「通常Bモード」中に再度小当りに当選した場合(転落抽選)に当選した場合に「通常Aモード」に移行させる(小当り遊技後に通常Aモードに移行する)。そして、天井特典付与に関し、「通常Bモード」中において小当りまたは大当りに当選することなく所定のゲーム数(たとえば、70ゲーム)ハマった場合に(通常Bモード中に70ゲーム連続してハズレの場合)天井特典を付与する。本ケースの場合、通常Aモード中にいくらハマっても天井特典が付与されることはないが、通常Bモード中に70ゲームハマった場合には天井特典が付与される。したがって、通常Bモードを遊技者に有利な“天井特典付与チャンス期間”つまり「チャンスゾーン」として機能させるという斬新な遊技性を作り出すことができる。なお、小当りは複数設けてもよく、たとえば、通常Aモード中に第1小当りに当選した場合に通常Bモードに移行させ、通常Bモード中に第2小当りに当選した場合に通常Aモードに移行させてもよい。この場合、第1小当りと第2小当りとが異なる当選確率であってもよいし、同一の当選確率であってもよい。また、設定値に応じた小当りの当選確率を定めることができる。たとえば、設定値が高いほど第1小当り(通常Bモード(チャンスゾーン)への移行契機となる小当り)の当選確率を高くなるようにし、第2小当り(通常Aモードへの移行契機となる小当り)の当選確率を低く定めれば、高設定になるほど、通常Bモードからの転落確率が低くなる。つまり、設定値が高くなるなるほど、天井特典の付与確率が高くなる、という遊技性を作り出すことができる。なお、小当りの当選確率、カウント対象の変動パターン選択モード、天井特典付与のゲーム数については、遊技性を考慮して適宜定めることができる。
[B:変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケース]
次に、変動回数に起因して変動パターン選択モードの移行を生じさせるケースについて説明する。本ケースの例として、たとえば、変動パターン選択モードの移行に関し、通常Aモード中に第1ゲーム数(たとえば、50ゲーム)実行された場合に「通常Bモード」に移行させ、「通常Bモード」中に第2ゲーム数(たとえば、40ゲーム)実行された場合に「通常Aモード」に移行させる。そして、通常Bモード中のゲーム数が所定のゲーム数(たとえば、400ゲーム)に達した場合に天井特典を付与する。この例では、通常Bモードに10回移行されると天井到達ゲーム数の400ゲームに達することができる。なお、天井到達ゲーム数を固定的なものとするのではなく、たとえば、400ゲーム、600ゲーム、800ゲームなどの複数種類のゲーム数を設け、抽選によりいずれかのゲーム数を決定可能に構成してもよい。この場合、天井到達ゲーム数がランダム化され、遊技の面白みを向上させることができる。また、設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数(400ゲーム)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数(800ゲーム)が選択され易いという様に、天井到達ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
また、特定の変動パターン選択モードのゲーム数をカウント対象とするのではなく、「特定の変動パターン選択モードへの移行回数」をカウント対象としてもよい。この場合、特定の変動パターン選択モード(本例の場合、通常Bモード)への移行回数が所定回数(たとえば、10回)に達した場合に天井特典を付与することができる。また、複数種類の上記移行回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回など)、抽選(移行回数抽選)によりいずれかの移行回数を決定可能な構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない移行回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い移行回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、移行回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる。
<付与形態(δ)>
また、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)をカウント対象とするのではなく、(δ)「普図変動表示ゲームの実行回数(普図の変動回数)」をカウント対象としてもよい。この場合、低確率状態(通常状態および/または時短状態)を伴う遊技状態中の「普通図柄の変動回数」をカウントすることが好ましい。たとえば、通常モード(通常状態)中の普図変動表示ゲームの実行回数をカウントして、所定のゲーム数(たとえば、2000ゲーム目)に達した場合、天井特典を付与することができる。
<付与形態(ε)>
また(ε)条件装置が作動しない「小当り」の当選回数をカウントし、大当りに当選するこなく、そのの当選回数が所定回数に達した場合に天井特典を付与することができる。たとえば、小当りの当選確率を1/100とし、小当りの当選が10回に達した場合に、天井特典を付与する。なお、「小当り」の当選回数に替えて、小当りに当選した場合の特別電動役物の作動回数(小当り遊技の実行回数)をカウントしてもよい。また、複数種類の上記当選回数を設け(たとえば、7回、8回、9回、10回)、抽選(天井移行当選回数抽選)によりいずれかの回数を決定可能に構成してもよい。この場合、設定値が高いほど相対的に少ない当選回数(たとえば、7回)が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多い当選回数(たとえば、10回)が選択され易いという様に、各当選回数の抽選確率を設定値に応じて定めれば、高設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたり、逆に低設定ほど天井特典の恩恵を付与し易くしたりすることができる。また、天井到達ゲーム数の違いにより、設定推測要素を遊技者に与えることもできる(次に述べる「付与形態ζ」も同様)。
<付与形態(ζ)>
また(ζ)「補助当り」の当選回数をカウントして、所定の当選回数に達した場合に、天井特典を付与することができる。この場合、少なくとも補助当り抽選確率が低確率状態(普通図柄確変機能非作動)を伴う遊技状態(通常状態および/または潜確状態)における当選回数をカウントすることが好ましい。なお、「補助当り」の当選回数に替えて、普電開放遊技の実行回数をカウントしてもよい。
上記付与形態(ε)および(ζ)の付与形態は、天井特典を付与する条件が、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄の変動回数)に依存しない点に特徴がある。
なお、上記実施形態、付与形態(α)や付与形態(β)について、所定のゲーム数(天井ゲーム数)に達した場合に天井特典を付与すると説明したが、本発明はこれに限らず、上記付与形態(γ)のように、所定の抽選(天井ゲーム数抽選)により天井ゲーム数を決定可能に構成してもよい。具体的には、複数種類の天井ゲーム数を設け(たとえば、500ゲーム、700ゲーム、1000ゲーム)、抽選によりいずれかの天井ゲーム数を決定可能な構成とすることができる。この場合も設定値が高いほど相対的に少ないゲーム数が選択され易く、設定値が低いほど相対的に多いゲーム数が選択され易いという様に、各天井ゲーム数の抽選確率を設定値に応じて定めることができる。
〔特典付与形態の変形例2(分割特典付与形態):図34〕
上記実施形態と特典付与形態の変形例1では、天井発動契機が1回(1000ゲーム目に天井特典を付与)の形態について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数回(少なくとも2回)の特典発動契機(小特典付与契機)を定め、各特典発動契機による付与される小特典により、大特典(たとえば、天井特典と同等の利益)を付与可能な構成とすることができる(分割特典付与形態)。この変形例2は、複数回の特典発動契機を利用するという点で、「遊技者を大ハマリから救済するために特典を付与する」という目的よりも、特定の遊技状態(たとえば、通常状態(通常モード))中のベースアップ」の目的が強いものとなっている。
この変形例2の代表例としては、たとえば、大当り間で付与する時短回数に上限を設け、その上限の時短回数を複数回に分けて付与する構成である。具体的には、時短回数100回の有限時短という“大特典(天井特典に相当)”を、時短回数25回の有限時短という“小特典”により4回に分けて付与(分割付与)する構成である。したがって、本変形例は下記の関係式(10)を満たす。
付与する時短回数の上限(以下「上限時短回数」と称する)をX回、付与回数をY回、上限時短回数分を分割した回数(以下「分割時短回数」と称する)をZk回(k=1~Y:以下、単に「Z」と表記する場合がある)とした場合、
「ΣZk=X k=1~Y」・・・式(10)
を満たす。たとえば、上限時短回数Xを100回、分割付与回数Yを4回とした場合、次回大当りに当選するまでに、4回付与した場合における分割時短回数の合計(Z1+Z2+Z3+Z4)が、上限時短回数の100回(Z1+Z2+Z3+Z4=100)となるように時短状態を付与する。なお、分割時短回数Zkは、それぞれ同一または略同一の分割時短回数としてもよいし、少なくとも1つが異なる分割時短回数としてもよい。すなわち、同一または略同一利益の小特典を分割付与する構成であってもよいし、異なる小特典を分割付与する構成であってもよい。前者の例としては、たとえば、時短回数25回を4回に分けて付与し上限時短回数100回とする(同一の分割時短回数を付与)、後者の例としては、たとえば、初回~4回目の分割時短回数を「20回、20回、20回、および40回」とする(一部が異なる分割時短回数)、「15回、35回、20回および30回」とする(それぞれ異なる分割時短回数)などである。また、ハマリゲーム数が相対的に多くなるほど、利益度合が相対的に高い小特典を付与する構成としてもよい。たとえば、初回~4回目の分割時短回数を「10回、20回、30回および40回」とすることができる。
なお、上限時短回数X、付与回数Y、および分割時短回数Zをどのような値に定めるかは、遊技性などを考慮して適宜定めることができる。たとえば、上限時短回数Xを「上限時短回数X>大当りによる最大時短回数」の関係を満たす回数(たとえば、300回)に定めることができる。しかし、過度な特典付与にならないように、上限時短回数Xを、少なくとも「上限時短回数X≦大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係または「大当りによる最小時短回数(50回)≦上限時短回数X<大当りによる最大時短回数(100回)」を満たす関係とすることが好ましい。
また、特典発動契機(付与回数Y)は複数存在すればよく、たとえば、「遊技状態によらず、何ゲーム目に付与するかまたは何ゲーム実行された場合に付与するか」、「特定の遊技状態の何ゲーム目に付与するか」、「特定の遊技状態で何ゲーム実行された場合に付与するか」などについても適宜定めることができる。
また、上限時短回数分の時短回数(大特典)が付与された後は、これ以上の時短状態は付与されず、次回大当りまで特典は付与されないようになっている。大特典の付与を終えた後は、十分な特典が付与された、換言すれば、救済機能を果たしたものとして、以後、次回大当りまで特典を付与しない。しかし、別途、天井特典(図7、図23)を付与してもよい。たとえば、分割特典付与が終了した後、次回大当りに当選することなく、所定のゲーム数が1000ゲームハマった場合に、天井特典を付与することができる。また、複数の特典発動契機のうち少なくとも1つにおいて、設定示唆演出を現出可能に構成することができる。この場合、特典発動契機(特典付与ゲーム)が到来により特典付与に加えて設定示唆情報も得ることができるため、遊技の面白みを向上させることができる。
またここでは、大特典として有限時短を付与する構成について説明したが、有限確変または有限潜確にも適用することができるのは勿論のことである。この場合、上述の「時短回数」を「ST回数」に、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えれば、有限確変(大特典)を分割付与(小特典の有限確変を複数回付与)する構成、または有限潜確(大特典)を分割付与(小特典の有限潜確を複数回付与)する構成の概念になる点は自明である。たとえば、上限時短回数Xを「上限ST回数X」、分割時短回数Zを「分割ST回数」などと適宜読み替えればよい。その一例として、上記式(10)であれば、付与するST回数の上限(上限ST回数)をX回、付与回数をY回、上限ST回数分を分割した回数(分割ST回数)をZk回(k=1~Y)とした場合、「ΣZk=X k=1~Y」を満たす、と読み替えればよい。
(変形例2の具体例:図34)
本変形例(変形例2)は、大別すると、「所定のゲーム数が実行される毎に小特典を付与していく」といった周期的(定期的)に特典を付与する“周期的付与形態”と、周期的には分割付与しない“非周期的付与形態”とがある。図34を用いて、先ず、周期的付与形態について説明する。
[周期的付与形態]
<A.周期的付与形態の具体例1(付与形態(κ)):図34(イ)>
図34(イ)は、周期的付与形態の一例(付与形態(κ))を示したものである。図34(イ)は、大当りによる電サポ終了後(図示のp0)の通常状態(通常モード)中に、図柄変動表示ゲームが所定のゲーム数(ここでは、100ゲーム)実行される毎に(図示のp1、p3、p5、p7)、小特典の「時短回数25回(分割時短回数25回)の有限時短」を付与するものである。ここでは、付与回数を4回とし、この計4回の小特典を付与することを以て、大特典である「時短回数100回の有限時短(上限時短回数100回の時短状態)」の付与を完結するケースを示している。
詳しくは図34(イ)に示すように、電サポ終了後(p0)の1~100ゲーム目(p1)までの100ゲーム間は通常状態に制御され(分割付与無し期間)、101ゲーム目に初回の特典発動契機(特典付与契機)が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、101~125ゲーム目(p2)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(初回の小特典による時短状態に制御)。
次いで、126~225ゲーム目(p3)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、226ゲーム目に2回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、226~250ゲーム目(p4)までの25ゲーム間が時短状態に制御される(2回目の小特典による時短状態に制御)。
次いで、251~350ゲーム目(p5)までの100ゲーム間は再度通常状態に制御され(分割付与無し期間)、351ゲーム目に3回目の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、351~375ゲーム目(p6)まで時短状態に制御される(3回目の小特典による時短状態に制御)。
そして、376~475ゲーム目(p7)まで再度通常状態に制御されて、476ゲーム目に最終回(4回目)の特典発動契機が到来して、小特典の有限時短(時短回数25回)が付与され、476~500ゲーム目(p8)まで時短状態に制御(4回目の小特典による時短状態に制御)され、以上を以て、大特典である「時短回数100回の有限時短」の付与が完結する。すなわち、周期的(100ゲーム毎)に小特典(時短回数25回)が4回に分けて分割付与され、電サポ終了後から500ゲームハマると上限時短回数100回分のすべてが付与されることになる。このような付与形態は、換言すれば、「通常状態中の実行ゲーム数100回+時短回数25回」という遊技期間を1セットとして最大4セットを付与することと同事象になり、リミッタ機能を備えた特典付与機能ともいえる。なお、演出モードについては図示を省略してあるが、上記実施形態(図6、図7)のように、通常状態(通常モード)であれば通常演出モードに、時短状態(時短モード)であれば時短演出モード(空戦モード)のように、遊技状態に応じた演出モードに移行制御可能に構成すればよい。
(無限系の特典を付与する場合について)
上記の例では、大特典として有限時短を分割付与する構成について説明したが、上限時短回数が無限、すなわち「無限時短」を分割付与する構成とすることもできる。大特典が「無限時短」の場合には、たとえば、次回の大当りに当選するまで、100ゲーム毎に、所定の分割時短回数(小特典)を永続的に付与していく構成とすればよい。また、図34(イ)と同じく100ゲーム毎に分割時短回数25回を付与するが、476ゲーム目(最終付与目のp7)に、分割時短回数として無限回数を付与する構成としてもよい。この場合は、501ゲーム目以降も時短状態が継続されうることになる。勿論、上限ST回数が無限の無限確変や無限潜確を分割付与する構成とすることができる。この場合、既に説明したのと同様に、上述の「時短回数」を「ST回数」、「時短状態」を「確変状態」または「潜確状態」に適宜読み替えればよい。
<B.周期的付与形態の具体例2(付与形態(κ)):図34(ロ)>
上述の付与形態(κ)では、「天井特典を分割付与する」という周期的付与形態について説明した。次に、その他の周期的付与形態として、大当りの当選によって付与される利益状態の「無限時短」、「有限時短」、「無限確変」、「有限確変」、「無限潜確」、または「有限潜確」などを、複数回の特典発動契機により分割付与する構成(付与形態(λ))について説明する。
本例は、大当りの当選によって付与される時短状態(無限時短、有限時短)、確変状態(無限確変、有限確変)、潜確状態(無限潜確、有限潜確)などの利益を、複数回の特典発動契機により分割付与していく構成である。つまり、上記実施形態のように(図4、図6~図7等を参照)大当り遊技後に全時短回数や全ST回数を直ちに付与するのではなく、長期間の遊技期間にわたり小出しに付与していく構成である。本例では、時短大当りの場合は、大当りにより付与される時短回数が「上限時短回数」(大特典)に相当し、分割付与される時短回数が上記「分割時短回数」(小特典)に相当する。また、確変大当りまたは潜確大当りの場合は、大当りにより付与されるST回数が「上限ST回数」(大特典)に相当し、分割付与されるST回数が上記「分割ST回数」(小特典)に相当する。図34(ロ)に、その具体例を示す。
図34(ロ)は、本例(付与形態(λ))の代表例として、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα~γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)に当選したケースを例示してある。図(A)は、時短回数50回の時短大当り(図4の時短大当り2に相当)に当選した場合に時短回数を分割せずに付与する通常付与のケースを示し、図(B)は、時短回数100回の時短大当り(図4の時短大当り1に相当)に当選した場合に、その時短回数100回を2回に分けて分割付与するケース(分割時短回数50回を2回に分けて分割付与するケース)を示し、図(C)は、無限(実質無限となる回数を含む)の時短回数を付与する時短大当りに当選した場合に、初回に時短回数50回を付与し、2回目に無限回数を付与するケースを示したものである。
図34(ロ)を参照して、図(A)~(C)に示すように、時短大当りα~γのいずれかに当選した場合には、どの大当りに当選した場合も、最初に時短回数50回が付与され、その後、当選した大当り種別に応じて異なる遊技遷移を辿る。ここで、図示のように、演出モードを共通化するように定めた場合には、次に述べる遊技性を作り出すことができる。
(時短回数秘匿遊技)
時短大当りα~γが当選した場合に、図柄変動表示ゲーム中の演出(装飾停止図柄を含む予告演出など)および当り中演出において当選した大当り種別を秘匿状態とする。そして、大当り遊技後の演出モードも、初回の時短回数50回(1~50ゲーム間)まで共通の時短演出モード(空戦モード:図29~図31参照)であり(図示のa0~p0の区間)、その後の51ゲーム目~150目までも共通の通常演出モード(たとえば、一般演出モード)である(図示のp0~p1の区間)。したがって、150ゲーム目が経過するまで当選した大当り種別が演出から秘匿され、この間、遊技者は時短大当りβまたは時短大当りγの当選に期待を寄せながら遊技に興じることになる。ここで、今回当選した大当りが時短大当りαであった場合は、151ゲーム目以降(p1以降)も通常演出モードが継続されるため、この時点で、今回当選した大当りが時短大当りαであったことが判明することになる。しかし、当選した大当りが時短大当りβまたは時短大当りγの場合はいずれも151ゲーム目に時短状態が発生して、再度、時短演出モードに移行されるため、この段階では、時短大当りβまたは時短大当りγのどちらに当選したのかは秘匿状態である。したがって、遊技者は、時短状態が200ゲーム(図示のp2)で終了しないことを願いながら(時短大当りγの当選に期待を寄せながら)遊技に興じることになる。そして、201ゲーム以降も時短状態が継続すれば、当選した大当りが時短大当りγ、つまり無限時短であることが確定し、遊技者は安心して、次回大当りまで高ベース状態下にて遊技を進めることができる。このように、秘匿状態の時短回数を段階的に公開していくことにより、遊技者の電サポ継続への期待感、電サポ終了の緊張感、電サポ継続が判明したときの高揚感を煽るといった遊技性(時短回数秘匿遊技)を作り出すことができる。なお、無限時短が判明する201ゲーム以降の時短状態下は、通常の時短演出モード(空戦モード)としてもよいが、図示のように、通常の時短演出モードとは異なる特別な時短演出モード(たとえば、空戦モードとは異なる背景表示(不図示)となる)を現出させ、無限時短であったことを確定的に報知してもよい。
なお上記では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα~γ(時短回数50回の有限時短大当り、時短回数100回の有限時短大当り、無限時短大当り)の三者の関係について説明したが、少なくとも時短回数が異なる2つの時短大当りであれば、上記のような時短回数秘匿遊技を実現することができる。また図34(ロ)の例では、時短回数がそれぞれ異なる時短大当りα~γについて説明したが、ST回数がそれぞれ異なる複数の確変大当り(たとえば、ST回数50回の有限確変大当りα、ST回数100回の有限確変大当りβ、無限確変大当りγ)についても同事象であり、この場合は、秘匿状態のST回数を段階的に公開していくといった「ST回数秘匿遊技」を実現することができる。
[非周期的付与形態]
<付与形態(μ)>
上記した付与形態(κ)(λ)では、周期的に小特典を付与していく形態を説明したが、非周期的に小特典を付与していく形態であってもよい(非周期的付与形態)。たとえば、特典発動契機が200ゲーム目、350ゲーム目、600ゲーム目、および800ゲーム目などである。非周期的付与形態とする場合には、複数の特典発動契機を抽選により決定可能な構成としてもよいし、特典発動契機シナリオ(複数の特典発動契機ゲーム数が予め定められているシナリオ)を複数設け、抽選によりいずれかの特典発動契機シナリオを決定可能な構成としてもよい。その他の点(大特典、小特典に関する事項など)は、上記した付与形態(κ)(λ)で述べたものと重複するため、詳細な説明は省略する。
[その他の付与形態]
<付与形態(ν)>
上記分割特典付与形態では、大特典の利益を上限に小特典を分割付与する形態について説明した。しかし大特典の利益を上限としない構成としてもよい。たとえば、周期的または非周期的に「特定特典」を付与していくが、その付与される利益の上限は設けない、という構成である。端的言えば、大特典が無限系特典(無限時短、無限確変または無限潜確)であり、小特典が有限系特典(所定の時短回数の時短状態、所定のST回数の有限確変または所定のST回数の有限潜確)であり、小特典を付与回数Yに制限なく、次回の大当りまで、周期的または非周期的に付与していくという構成である。本例は、付与回数Yに制限が無い点(無限回数である点)で、上限のある「分割付与」とは性格を異にする。本例について、たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、小特典の「時短回数25回の有限時短」を周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)するが、その付与がp8時点(4回目)で完結することなく、次回の大当り当選まで永続的に付与するという付与形態となる。また、たとえば図34(ロ)(C)を用いて説明すれば、p2の時点で、付与する特典を「無限時短」に切り替えるのではなく、小特典の「時短回数50回の有限時短」を、p2以降も周期的に付与(通常状態中の100ゲーム毎に付与)するという付与形態となる。なお、付与回数が所定の規定回数または所定の規定ゲーム数に達した場合、小特典の有利度(利益状態)を高くしてもよい。たとえば、図34(イ)を用いて説明すれば、付与回数が10回に達した場合、現在の小特典の「時短回数25回の有限時短」よりも相対的に有利度が高い「時短回数50回の有限時短」(中特典)とすることができる。小特典から中特典への切替条件は、所定の規定付与回数および/または所定の規定ゲーム数に達した場合とすることができる。
上記した実施形態は、下記の構成(1)~構成(6)とすることができる。なお括弧内は実施形態における対応要素を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)遊技領域(図2の遊技領域3a)に遊技球を発射可能な発射手段(発射装置13、図3)と、
始動手段(始動口34、35)が遊技球を検出したことを契機に、複数種類の当りを対象に抽選を行う抽選手段(図15のS410)と、
上記抽選手段による抽選結果が当りである場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段(図17)と、
図柄の変動表示を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38a、38b)と、を備える遊技機であって、
上記当りとなる抽選確率が所定の通常確率の低確率状態を伴う低確遊技状態と、当該通常確率よりも高確率となる高確率状態を伴う高確遊技状態とを制御可能な遊技状態制御手段(図12のS412、図15、図18、図21、図22)と、
所定の開始条件が成立した後、上記当り遊技実行制御手段により上記当り遊技が発生されずに、上記低確遊技状態で実行された図柄の変動回数が所定の上限回数(たとえば、1000回)に達した場合に通常状態よりも遊技者に有利な特典遊技状態(天井特典(図7、図23))に制御する特典遊技状態制御手段(図7(天井モード、天国モードの欄)、図12のS420~S421、S412、図13~図15、図23、図33など)と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
(2)始動手段への入球状態が通常遊技状態よりも有利な入球有利状態(たとえば、電サポ有り状態)を伴う有利遊技状態(たとえば、時短状態)に制御する有利遊技状態制御手段(図6(時短モードの欄)、図12のS412、図15、図16A~図16B、図18、図21、図22、図28など)をさらに備え、
上記有利遊技状態制御手段は、上記当り遊技後に上記有利遊技状態を制御可能に構成された、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)上記特典遊技状態と上記有利遊技状態とは、遊技者に対する有利度が異なる(たとえば、天井特典による時短回数と、大当りによる時短回数とが異なるケース)、
ことを特徴とする上記(2)に記載の遊技機。
(4)上記有利遊技状態制御手段は、
上記抽選手段により当選した当り種別に応じて、少なくとも第1有利遊技状態(たとえば、時短B)と、当該第1有利遊技状態よりも有利度が高い第2有利遊技状態(たとえば、時短A)とを少なくとも制御可能に構成された、
ことを特徴とする上記(2)に記載の遊技機。
(5)上記特典遊技状態制御手段は、
上記特典遊技状態として上記第1有利遊技状態に制御する(たとえば、天井特典による時短回数が時短Bと同じ50回の時短状態が付与されるケース)、
ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
(6)上記特典遊技状態制御手段は、
上記特典遊技状態として上記第2有利遊技状態に制御する(たとえば、天井特典による時短回数が時短Aと同じ100回の時短状態が付与されるケース)、
ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
(7)遊技状態に関連する複数種類の演出モードを制御可能な演出制御手段をさらに備え(演出制御部24)、上記特典遊技状態に係る演出モードと上記有利遊技状態に係る演出モードとは異なる演出モードである(たとえば、時短演出モード(図6、図29)、天国演出モード(図7))、
ことを特徴とする上記(2)~(6)のいずれかに記載の遊技機。
また上記した実施形態と、その変形例に関する付与形態(付与形態(α)~(μ):図33~図34))は、下記の(構成A)~(構成G)とすることができる。
(構成A)
遊技領域に遊技球を発射可能な発射手段と、
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、当りに関する抽選を実行する抽選手段と、
図柄の変動表示動作を行い、当該図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段と、
所定の発生条件に基づき、遊技者に有利な利益状態を発生可能な利益状態発生手段と、を備えた遊技機であって、
上記利益状態発生手段は、
上記抽選手段による抽選に当選した場合、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段と、
上記当り遊技が終了した後、第1利益状態を発生させる第1利益状態発生手段と、
所定の開始条件が成立した後、上記当り遊技が実行されることなく、特定発生条件が成立した場合に第2利益状態を発生させる第2利益状態発生手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。
(構成B)
上記第1利益状態と第2利益状態とは同一の利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aの遊技機。
(構成C)
上記第1利益状態と第2利益状態とは異なる利益状態である、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成D)
上記第1利益状態よりも上記第2利益状態の方が利益状態が低い、
ことを特徴とする上記構成Aに記載の遊技機。
(構成E)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、所定遊技期間が経過した場合に一旦終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Bに記載の遊技機。
(構成F)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、所定の遊技回数が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記当り遊技に当選するまで継続する、
ことを特徴とする上記構成Aまたは上記構成Cに記載の遊技機。
(構成G)
上記第1利益状態は、上記当り遊技の終了後に開始された後、第1遊技期間が経過した場合に終了し、
上記第2利益状態は、上記特定発生条件の成立後に開始された後、上記第1遊技期間より短い第2遊技期間が経過した場合に終了し、再度上記特定発生条件が成立した場合に上記第2利益状態が再開される、
ことを特徴とする上記構成A、上記構成C、上記構成Dのいずれかに記載の遊技機。
〔第2実施形態〕
<電サポ有り状態下における出玉性能>
ところで、近年では、法的要請により、射幸心を煽ることを適度に抑制することが求められている。時短状態または確変状態では、電サポ有り状態となり、通常状態(電サポ無しの低ベース状態)よりも高ベース状態下に制御される。この電サポ有り状態(高ベース状態)下は、遊技者が通常状態よりも持ち玉を減らすことなく、次回の大当り当選を狙えるという遊技者に有利な遊技状態である。しかし、射幸心を煽ることを抑制するためにベース値(いわゆる、出玉率:「セーフ球数/アウト球数」×100)を過度に下げてしまうと、電サポ有り状態でありながら遊技者の持ち玉が減少するスピードが速まり、遊技者の遊技意欲を減退させてしまうばかりか、結果的に、遊技者の使用する金額(消費金額)が増えるという事態を招来してしまい、遊技者の遊技意欲を減退させてしまう。特に、天井特典として無限時短や無限確変が付与された場合には、遊技者の殆どが次回の大当りが当選するまで遊技を続行するため、次回の大当り当選までのゲーム数が嵩めば嵩むほど持ち玉も減少して行ってしまう。すなわち、遊技者にとっては、散々大ハマリをした上に天井特典中においても投資金額が増えてしまう事態に直面してしまい、遊技意欲が著しく減退してしまう。このように、折角の天井特典の恩恵を受けようとして遊技を続行しても使用金額も増加していくでは、ハマリ救済機能としての天井機能の意義が没却され、かえって射幸心を煽ることにも成り兼ねないという問題がある。
そこで、持ち球が極端に減少しない工夫が必要となる。たとえば、高ベース状態の出玉率(ベース値)が、少なくとも「100%≦出玉率」とすることが、遊技者の遊技意欲および射幸心の抑制の観点から適切なものであるといえる。好ましくは「100%≦出玉率≦120%~130%」である。このような高ベース状態の出玉率を実現するための具体的構成について、以下詳細に説明する。
本実施形態の場合、既に説明したように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」のどちらか有利な方向に打ち分けるため、電サポ無し状態下であれば「左打ち有利」となるため、左流下経路3bに属する一般入賞口43a~43d(第1一般入賞手段)と上始動口34(第1始動手段)とには入賞可能性があるが、右流下経路3cに属する一般入賞口43e(第2一般入賞手段)と下始動口35(第2始動手段)は入賞することはない。一方、電サポ有り状態下であれば「右打ち有利」となるため、右流下経路3cに属する一般入賞口43eと下始動口35(特図2始動口)とには入賞可能性があるが、左流下経路3bに属する一般入賞口43a~43dと上始動口34(特図1始動口)とには入賞することはない。また、一般的な遊技機では、電サポ無し状態(通常状態または潜確状態)中の出玉率(低ベース時出玉率)は概ね30%~40%(少なくとも100%未満、好ましくは、50%未満)、電サポ有り状態(時短状態または確変状態)中の出玉率(高ベース時出玉率)は概ね80%~95%で、いずれも出玉率が100%未満である(打ちっぱなしにしていた場合)。仮に遊技機1で説明すれば、想定される出玉率の設計値は、たとえば、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43a~43d(賞球数3個)がそれぞれ2個、0.6個、0.4個、1.04個であり、上始動口34(賞球数4個)が「5.52個」であれば低ベース時出玉率は34.2%となり、他方、電サポ無し状態中の1分当りの平均入賞個数に関し、一般入賞口43e(賞球数3個)が12.5個、下始動口35(賞球数1個)が58.2個であれば高ベース時出玉率は95.7%である。
ここで、本実施形態に係る遊技機1のように、遊技状態に応じて「左打ち」か「右打ち」かに打ち分けが必要となる遊技機の場合、上記高ベース時出玉率を極端に減少させないためには、一般入賞口43a~43e(賞球数3個)、上始動口34(賞球数4個)、下始動口35(賞球数1個)の配置構成や賞球数を工夫することにより実現できる。具体的には、下記(A)~(H)の手法により実現可能である。
(A)一般入賞口43eおよび/または下始動口35(普通変動入賞装置41側の始動口(電チュー付始動口))の賞球数を増やす。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数の方が多い賞球数に定める。または、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方が多い賞球数に定める。あるいは、左流下経路3bに属する一般入賞口の賞球数よりも、右流下経路3cに属する一般入賞口および下始動口35の賞球数の方を多い賞球数に定める。たとえば、一般入賞口43eを4個としたり、下始動口35を2個とするなどである。
(B)少なくとも一般入賞口43eの数を増やす(右流下経路3cに属する一般入賞口の数を1個から2個に増やし、右打ち時の一般入賞口に対する入賞個数(入賞個数/分)を底上げする)。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の数(設置数)よりも右流下経路3cに属する一般入賞口の数(設置数)の方が多くなるように構成する。本実施形態では、左流下経路3bに属する一般入賞口が4個(一般入賞口43a~43d)配置されているが、たとえば、これを1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口43eをそれよりも多い2個~4個とするなどである。
(C)少なくとも一般入賞口43eの入賞率(入球率)を高める(たとえば、12.5個/分から20個/分に上昇させる)。複数の一般入賞口43eを設ける場合には、少なくとも1つの入賞率を高める。具体的には、左流下経路3bに属する一般入賞口の入球率Nよりも右流下経路3cに属する一般入賞口の入球率Mが高くなるように定める。
なお、本実施形態の場合、一般入賞口43a~43dが複数配置されているため、次のように構成してもよい。一般入賞口43a~43dのうち最も低い入球率を「Nmin」とし、最も高い入球率を「Nmax」とした場合、次の関係式(式1)または(式2)を満たすように構成することができる。
(式1)「Nmin<M」
(式2)「Nmax<M」
また、本実施形態の場合、一般入賞口43eが1個であるが、複数個設けられている場合には、次のように構成してもよい。複数の一般入賞口43eのうち、最も低い一般入賞口43eの入球率を「Mmin」とし、最も高い入球率を「Mmax」とした場合、次の関係式(式3)~(式6)のいずれかを満たすように構成することができる。
(式3)「N<Mmin」(左流下経路3bに属する一般入賞口が1つの場合)
(式4)「Nmin<Mmin」
(式5)「Nmax<Mmin」
(式6)「Nmax<Mmax」
(D)普電開放遊技の開始INT(可動翼片47の開放開始までのインターバル時間)および/または終了INT(可動翼片47の開放動作終了後、普電開放遊技が終了するまでのインターバル時間)を長くする(たとえば、開始INTおよび/または終了INTを500msから700msにするなど)。この場合、打ちっ放し時の無駄玉(死に玉)を回避する、いわゆる「止め打ち」により持ち玉を増加させる(出玉率を上昇させる)ことが可能である。たとえば、打ちっ放しの場合は出玉率(BA)が95%程度であり、止め打ちを行った場合には出玉率120%程度とすることができる。この打ち止めは、特に、下始動口35の賞球数が多い場合(たとえば、3個~4個程度)である場合に効果を発揮する。
(E)小当り遊技中の出玉が増えないまたは出玉が減少するような小当り遊技動作を生起させる小当りを1または複数設ける(本実施形態では、少なくとも特図2側に当該小当りを設ける)。たとえば、大入賞口の開放時間を短時間(0.1秒~1秒程度)とし、大入賞口閉鎖期間である「開始INTおよび/または終了INT(各INTの合計時間でもよい)」がセコンドオーダの長時間(たとえば、1秒~5秒程度)とする小当り遊技動作である。このような小当り遊技は、出玉性能が低く、遊技球を打ちっ放しにしている場合に、出玉が増えない(小当り遊技中の出玉率が100%)、または出玉が減少しうる(小当り遊技中の出玉率が100%未満)。この場合、前述の(D)と同じく、開始INTや終了INT中に「止め打ち」を駆使すれば、小当り遊技中の出玉性能に反して持ち玉を増加させることができる。したがって、出玉率を向上させることができる。特に、小当りを高確率で当選(小当り遊技の発生頻度を高くする)させる、たとえば、少なくとも1/5~1/20程度で当選させるようにすれば、その効果は一層高まる。
(F)上始動口34の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。電サポ中に頻繁に入賞しうる始動口側の賞球数を多くしてしまうと、止め打ち効果が増し(技術介入度が高くなる)、遊技者間の不平等感を招来する恐れがある。そこで、出玉率に大きく影響する入賞口を、下始動口35以外のその他の入賞口(特に、右流下経路3cに属する一般入賞口)とすることが好ましいからである。
(G)右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数よりも下始動口35の賞球数の方を少ない賞球数に定める。止め打ちにより入賞率に差が生まれる“下始動口35”の賞球数よりも、止め打ちにより入賞率に差が生まれない“右流下経路3cに属する一般入賞口(一般入賞口43e)”の賞球数を多くすることにより、止め打ちによる攻略要素を少なくすることができる。
(H)下始動口35の賞球数は1個であり、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数は少なくとも2個とする。下始動口35の賞球数1個とする場合には、入賞率100%であったとしても純増個数が0個となり、下始動口35の開放動作を狙い撃ちして如何に止め打ちを駆使しようとも遊技者の持ち球は増えることが無い。そこで、下始動口35の賞球数は1個とし、右流下経路3cに属する一般入賞口の賞球数を少なくとも2個とすることにより、止め打ちによる攻略要素を完全に排除するとともに、出玉率の向上を図ることができる。
なお、上述の(D)または(E)とする場合、止め打ちを駆使する者とそうでない者との間に獲得利益の不平等感を招来する恐れがある。そのため、止め打ち効果の無い一般入賞口に関する上述の(A)~(C)、(F)~(H)の構成を採用することが好ましい。特に、上述の(B)(C)(F)~(H)の構成は、止め打ち効果を低下させるとともに、出玉率を向上させる上で効果的である。また、左流下経路3cに属する一般入賞口または右流下経路3cに属する一般入賞口一般入賞口のいずれも、その設置数を1または複数とすることができる。
(機種タイプに関する変形例)
本実施形態では、STタイプの機種について説明した。しかし本発明に係る遊技機は、STタイプの機種に限らず、遊技状態の移行形態を下記のように定めた機種、たとえば、下記(機1)~(機3)の機種としてもよい。
(機1)『V確変タイプ』
大入賞口内に遊技球が通過可能な特定領域を設け、1または複数の特定の大当り(たとえば、確変大当り1~7)に当選した場合には、その特定領域に遊技球を通過容易(通過可能)に構成する一方、他の大当り(たとえば、時短大当り1、2)に当選した場合には、特定領域の通過を困難または不可能に構成し、特定領域を遊技球が通過した場合(いわゆる「V入賞」)に限り、特別図柄確変機能を作動させ、確変状態または潜確状態に移行させるといった、いわゆる「V確変タイプ」の機種としてもよい。
(機2)『転落抽選タイプ』
高確率状態を伴う遊技状態(潜確状態または確変状態)中の場合、毎ゲーム、所定の転落確率で、高確率状態から低確率状態への移行抽選(転落抽選)を行うといった、いわゆる「転落抽選タイプ」の機種としてもよい。この転落抽選タイプでは、転落抽選に当選すると、当該当選ゲーム(転落ゲーム)で低確率状態に移行され(少なくとも特別図柄確変機能がOFFに設定される)、当該当選ゲームにおける大当り抽選も低確率状態で抽選されるようになっている。転落抽選に当選した場合の遊技状態移行形態には、下記(A)~(C)のケースがある。(A)確変状態(STモード)→時短状態(時短モード)、(B)確変状態→通常状態(通常モード)、(C)潜確状態(潜確モード)→通常状態(通常モード)。このような転落抽選タイプでは、転落ゲームで、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態に移行される。したがって、通常状態または時短状態中の実行ゲームを天井ゲームのカウント対象とする場合には、転落ゲームを1ゲーム目としてカウントすることが好ましい。なお、転落ゲームを除いて、その次のゲームを1ゲーム目としてカウントしてもよい。
上記実施形態で説明したSTタイプの機種と、本例(機2)の転落抽選タイプとは、主に、「転落抽選(転落抽選手段)の有無」および「転落抽選結果に基づく転落移行制御(転落移行制御手段)の有無」が異なるだけである。したがって、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21~図34)に関し、転落抽選に当選する前は(高確率状態を伴う遊技状態中の場合)STモードに関する実施形態に適用可能であり、転落抽選に当選した後は(転落抽選に当選して、低確率状態を伴う遊技状態に移行された場合)は、通常状態や時短状態(転落移行先の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
ところで、従来の転落抽選タイプは、大当り種別(当選図柄の種別)によらず、転落確率が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じて、転落確率を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なる転落確率としてもよいし、一部が同一または異なる転落確率としてもよい。上記実施形態に係る遊技機1が「転落抽選タイプ」とした仮定した場合、たとえば転落確率を、確変大当り1~3(特図1側)は1/200、1/150、1/100、確変大当り4~7(特図2側)は1/240のように、特図1側に属する大当りに当選した場合はそれぞれ異なる転落確率、特図2側の大当りに当選した場合は同一の転落確率とすることができる。また、転落確率を複数種類設ける手段として、設定値(設定1~6)に応じた転落確率を定めることができる。換言すれば、少なくとも第1設定値と第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。たとえば、設定値が相対的に低いほど、転落確率が相対的に高くなるように定めることができる。
また、ST回数については、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数は、有限回数だけでなく、無限回数も含むことができる。たとえば、図4に示す確変大当り1~7のように、ST回数25回、75回、100回としてもよいし、各大当りのST回数を100回や無限回数などとしてもよい。ただし、転落抽選タイプの場合は、ST回数を消化する前に転落抽選に当選すると、強制的に低確率状態に移行されることになる(ST回数が強制的にゼロになる)。また、転落抽選に当選した場合、演出手段により設定示唆演出(転落時設定示唆演出)を実行可能に構成してもよい。この場合、設定値に応じて、転落時設定示唆演出の実行確率を定めることができる。
上記の転落抽選タイプに関して、たとえば、下記(T1)~(T3)の構成とすることができる。
(T1)
始動条件が成立したことに基づいて、第1の遊技情報(大当り判定用乱数)および第2の遊技情報(転落判定用乱数)を含む複数種類の遊技情報を取得する取得手段(たとえば、図11のS314:本例の場合、大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数、転落判定用乱数を取得可能に構成する)と、
上記取得手段により取得された第1の遊技情報に基づき、複数種類の当りに関する抽選を実行する抽選手段(図12のS410)と、
図柄の変動表示動作を行い、図柄の停止表示態様により上記抽選手段による抽選結果を表示する図柄表示手段(特別図柄表示装置38、図10のS309)と、
上記図柄表示手段において図柄が特定の表示態様で停止表示された場合(抽選手段の抽選結果が当りである場合)、当り遊技を実行制御する当り遊技実行制御手段(図17)と、
上記当り遊技が終了した後、上記抽選手段による当りとなる抽選確率が所定の通常確率よりも高確率となる高確率状態に制御可能な確率変動制御手段(図12のS412、図15、図18、図21、図22)と、
上記高確率状態中である場合、上記第2の遊技情報(転落判定用乱数値)に基づき、上記高確率状態から低確率状態に移行させるか否かの転落抽選を実行する転落抽選手段(主制御部20)と、
上記転落抽選に当選した場合、上記高確率状態から上記低確率状態に移行制御する転落移行制御手段(主制御部20)と、を備える遊技機Tであって、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合(第1当りによる当り遊技が実行される場合)と、上記第2の当りが当選した場合(第2当りによる当り遊技が実行される場合)とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成することができる。
(T2)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成される。この場合、上記複数段階に変更可能な設定値には第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、当該第1設定値と当該第2設定値とで転落確率が異なるように構成することができる。
(T3)
上記遊技機Tは、複数段階に変更可能な設定値に応じて上記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なるように構成され、
上記複数種類の当りには、第1当りと第2当りとが少なくとも含まれ、
上記複数段階に変更可能な設定値には、第1設定値と第2設定値とが少なくとも含まれ、
上記第1の当りが当選した場合と上記第2の当りが当選した場合とで、上記転落抽選手段による転落抽選確率が異なるように構成され、
上記設定値が第1設定値の場合には、上記抽選手段による抽選結果の中に少なくとも第2当りは含まれない、構成とすることができる。
なお、上記遊技機Tは、複数種類の遊技状態(確変状態、潜確状態、時短状態および通常状態のうち、確変状態および/または潜確状態を含む少なくとも2つの遊技状態)を制御可能に構成することができる。また上記((T1)~(T3)において、上記転落抽選手段による転落抽選に当選した場合に、現在の設定値を示唆する設定示唆演出を実行可能な設定示唆演出実行手段をさらに備えることができる。
(機3)『リミッタ搭載タイプ』
大当りが当選した場合(特定の大当りが当選した場合でもよい)、確率変動制御手段により高確率状態に移行される回数を所定の上限回数(リミット回数)までに制限するリミッタ機能を有する、いわゆる「リミッタ搭載タイプ」の機種としてもよい。このリミッタ搭載タイプは、たとえば、特許第5075301号に開示されたいわゆる「リミッタ機(セットタイプ)」などが該当する。
リミッタ搭載タイプの場合、大当り当選回数が所定のリミット回数に達するまで(条件装置の連続作動回数が所定の上限回数に達するまで)、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態を伴う遊技状態(確変状態または潜確状態)に移行させる。たとえば、リミット回数5回がである場合は、初回の大当りから4回目の大当りまで大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に制御され、最大4回の大当りまで高確率状態下による大当り抽選の恩恵を受けることができるようになっている。しかし、5回目の大当りに当選すると、リミット回数に達したとして「リミッタ機能」が作動を開始し(リミッタ機能ON)、その大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行される。このリミッタ機能作動中に大当りに当選すると、作動中のリミッタ機能が解除され(リミッタ機能OFF)、再度、リミット回数に達するまで、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態を伴う遊技状態に移行される。この点でリミット回数5回とするリミッタ機の場合は「5回パック機」とも称される。
ところで、従来のリミッタ機は、リミット回数が1種類しかなく、遊技が単調になりがちで、遊技の面白みに欠けていた。そこで、大当り種別に応じてリミット回数を複数種類設ける。この場合、各大当りでそれぞれ異なるリミット回数としてもよいし、一部が異なるリミット回数としてもよい。
たとえば、大当りA~Dを設け、大当りA~Dのリミット回数を、2回、3回、4回、5回とすることができる。また、各大当りに関する図柄抽選率は、適宜定めることができる。また、いずれの大当りに当選したかに応じて確変状態に移行させるか、潜確状態に移行させるかは適宜定めることができる。たとえば、各大当りA~Cの全部を確変状態または潜確状態に移行させてもよいし、1または複数の特定の大当りだけ確変状態に移行させてもよい(たとえば、大当りAに当選した場合には確変状態に移行させ、その他の大当りB、C、Dに当選した場合は潜確状態に移行させる)。また、ST回数は無限回数が好ましいが、各大当りで同一のST回数としてもよいし、それぞれ異なるST回数としてもよいし、一部が異なるST回数としてもよい。また、ST回数が有限である場合には、そのST回数が終了して通常状態や時短状態に移行されても、リミット回数に達するまでは、大当り遊技後の遊技状態を、再度、高確率状態を伴う遊技状態に移行させることができる。なお、大当りA~Dのうち、特定の大当りに当選した場合に高確率状態に移行させずに、低確率状態を伴う遊技状態(時短状態または通常状態)に移行させてもよく、時短状態に移行させるか、通常状態に移行させるかは適宜定めることができる。
上記リミッタ機の場合も、本実施形態で説明した遊技性に関する事項(たとえば、図21~図34)について、リミッタ回数到達前の高確率状態を伴う遊技状態に関してははSTモードに関する実施形態に適用可能であり、リミッタ回数到達後の低確率状態を伴う遊技状態に関しては、通常状態や時短状態(リミット回数到達後の遊技状態)に関する実施形態に適用可能である。
(正面より見た遊技機外観:図35)
理解を容易にするために、図35を参照して、本発明の遊技機を正面より見たときの遊技機外観について説明しておく。図35において、枠1010は外枠4の前面側に開閉可能に配置される前枠2と同じもの(以下単に「枠」と略す)であり、枠上部1011と枠中部1012と枠下部1013から構成され、遊技領域を視認可能とする視認窓を備える。ここでの枠1010は、遊技機を前面(正面)から見た場合に視認される形状と大きさを大まかに描いたものである。前枠2の形状と大きさには様々なものが用いられており、どのような形状寸法のものを採用するかは自由である。ここでの枠1010は、上部に位置する横材からなる枠上部1011と、左右両側に位置する縦材からなる枠中部1012と、下側に位置するパネル状の枠下部1013とを有し、全体として長方形の視認窓を形作る長方形の枠形状である。
1020は、図2で遊技盤3として説明した遊技盤であり、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム内に装着されるか、または外枠4に設けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に装着される。つまり前枠2側または外枠4のいずれの側に取り付けられる形態であっても、遊技盤は遊技盤収納フレーム(以下、「本体枠」という)に装着される。この本体枠1020に装着された遊技盤1020は、遊技機を正面から見て、ガードレールより内側の遊技球が流下する遊技領域1021(図2の遊技領域3a)と、ガードレールより外側の非遊技領域1022(図2の遊技盤3の四隅)とを有する。
遊技盤1020には、正面から見て、遊技領域1021の中央にメイン液晶表示装置1031(図2の液晶表示装置36)が設けられとともに、遊技領域下方にサブ液晶表示装置1032が設けられている。なお1023は始動口(図2の上始動口34)、1024は大入賞口(図2の大入賞口50)を示す。
遊技盤1020と枠1010の関係は、前後方向に見て遊技盤1020の前側に枠1010が位置している。このため、遊技盤面はその一部が枠1010により覆われている。すなわち遊技盤面は、その一部が枠上部1011、枠中部1012、枠下部1013の一部に被われて前側からは見えない箇所がある。メイン液晶表示装置1031は、その長方形の表示面を有し、その表示面の全部が前側から視認窓を通して見えるように設けられている。換言すれば、メイン液晶表示装置1031はその表示面が枠1010に隠れない大きさと形状と配置で設けられている。また遊技盤面内においてメイン液晶表示装置1031よりも下側に位置するサブ液晶表示装置1032は、その表示面の下部が枠下部1013により覆われた状態で設けられている。
しかし、メイン液晶表示装置1031はその一部が枠1010の一部により覆われているように設けることもできる。またサブ液晶表示装置1032についても、その表示面が視認窓から全て見えるように、つまり表示面のどの部分も枠下部1013により覆われていないように設けることができる。これらメイン液晶表示装置1031とサブ液晶表示装置1032とを含む液晶表示装置1030は、所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段として働く。サブ液晶表示装置1032は適宜省略することができる。
枠下部1013は、図1の前面操作パネル7に相当するもので、正面から見て、上受け皿ユニット8に相当する上皿1013aと、下皿1013bと、ベース部1013cとで構成されている。上皿1013aは図1の上受け皿ユニット8を正面から見たものである。操作手段1040の下操作手段1041として、上皿1013aに演出ボタン13が設けられており、また上操作手段1042として演出ボタンが枠中部1012に設けられている。
枠下部1013のベース部1013cは、図1の前面操作パネル7の下方部分に対応するものであり、正面から見てハンドル1050(発射操作ハンドル15)が設けられている。
弾球遊技機においては、液晶表示装置の画面以外の場所に、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(商標法2条の標章)からなる識別情報を表示することが行われる。図36Aは、遊技盤面、正確には遊技盤の遊技領域1021に、識別情報として機種名「藤丸くん」を付した例であり、図36Bは、前枠1010の枠上部1011に、機種名「藤丸くん」を付した例である。
<別実施形態1~4>
<1.別実施形態1:識別情報を液晶画面にも表示する>
(1-1:従来の問題点)
ところで、近年の遊技機においては、これまで説明してきたような遊技者の興趣を損ねうる課題以外にも様々な課題が生じている。この点について、これから詳しく説明する。
今から10年以上前に市場に投入された遊技機と比較して、現在の遊技機は様々な変化点を有しているが、ここ数年における特に大きな変化点のひとつとして「遊技機のサイズの拡大化」が挙げられる。これまでも、液晶サイズの大型化、盤面サイズの大型化、操作デバイス(ボタンやレバーなどの操作手段)の大型化などが見て取れたが、遊技機本体のサイズ(簡単に言うと縦×横のサイズ)にはそれほど大きな変化は見られなかった。
遊技機本体のサイズに大きな変化が見られなかった理由として挙げられるのが、遊技機が設置されるスペースに限りがある(すなわち適正とされるサイズが決まっている)という点である。遊技機を製造するメーカーがその点を無視して自由にサイズ設定した場合、いざ遊技店舗(パチンコホール)に納品して設置しようとしても、設置スペースに納まりきらないという問題が生じる。
遊技店舗においては、遊技機を設置するための設備を有しており、遊技機と遊技機の間のスペースも考慮しつつ一列に何台設置するかが決められている。また、遊技機の上部にはデータ表示機(大当り回数や現在回転数などを示す表示機:たとえば、図3に示すデータカウンタDT)が設置されている。したがって、左右方向に対しても上方向に対しても、これ以上遊技機のサイズを大きくできないと考えられていたため、遊技機本体のサイズにはそれほど大きな変化は見られなかった。
しかし、上述したようにここ数年でその状況に変化があり、遊技機本体の左右部分(特に右側)において、サブ液晶、操作デバイス、発光手段等を設けたり、遊技機本体の上部において、演出時にはデータ表示機を覆い隠すほどに突出する可動物、もしくは待機状態ですでにデータ表示機を隠すほど上部に突出した構造物等を設けたり、といったような遊技機が実際に市場に投入されている。
これらはすべて「装飾効果の増大」を目的として為されたものである。そして実際にその効果も表れている(豪華な装飾が施された遊技機を好む遊技者も一定数存在する)と評価できる一方で、「データ表示機は遊技者が視認可能な状態にしておく」、「本体の左右部分は遊技機の前扉の開け閉めもあるから邪魔にならないようにしておく」といった従来の暗黙のルールが破られてしまっているという見方もある。
このように、遊技機の一部または全部における転換期を迎えた場合、その代償として従来達成できていた効果が低下したり、もしくは全く無くなってしまったりすることは少なからず存在する。
これから説明するのは、上述したように、ある目的を達成するために採用した新たな構成(前述の例で言うと、装飾効果を高めるために遊技機本体のサイズを大きくするという構成)によって、従来は達成していた効果(前述の例で言うと、遊技機上部を突出させていなかったのでデータ表示機が容易に視認可能であった)が失われてしまった場合において、新たな構成を採用した上で、すなわち新規効果も獲得しつつ、従来獲得していた効果もともに実現するためにどうするかという点について詳しく説明していく。
まず、遊技機の拡大化傾向の弊害として、「識別情報」の識別力の低下を課題に挙げてその解決手段を述べる。識別情報は、下記に示すように、従来から様々な種別・目的のものが遊技機に付されていた。
(i)たとえば、遊技盤における遊技領域外において、「機種名称(機種名)」、「大当り確率」、「確変突入率」、「賞球数」などがシールに記載されて貼付されている。
(ii)たとえば、遊技盤における遊技領域外において、「特別図柄の変動状態」、「特別図柄の作動保留球数(保留個数)」、「普通図柄の変動状態」、「普通図柄の作動保留球数」、「大当りラウンド数」などが複数のLEDによって表示されている。
(iii)たとえば、遊技領域内または遊技領域外においては、「機種名(主題)」、「機種名(副題)」、「遊技機に登場するキャラクタの顔や名前」、「右打ちや狙えといった指示内容」、「遊技方法(遊技説明)」などの識別情報が構造物(可動体、非可動体)として配置されていたり、遊技盤面や遊技部品に印刷されていたりシールに記載されて貼付されていたりする。
従来、遊技機、たとえば弾球遊技機においては、始動口への入球を契機に、大当りについての内部抽選を行うとともに、図柄変動表示ゲームを行い、その図柄変動表示ゲーム中において、上記内部抽選の結果を反映させた種々の予告演出を表示させて遊技を楽しませる構成となっている。また、この種の遊技機において、商標的機能(自他商品識別機能等)の発揮を目的として機種名やメーカー名などを、枠や盤面に配置した遊技機も知られている(たとえば、特開2001-259169、特開2018-175949号公報)
しかし近年の遊技機の拡大化傾向や装飾効果の過度な追求などを一因として、多数の識別情報が配置可能となってしまったがゆえに、識別情報の表示に関する課題(たとえば、識別情報が見落とされたり、識別情報が異なる識別情報に誤認されたり、識別情報の表示目的が遊技者、取引者または第三者に正確に伝わらなかったりするなど)が生じていた。
そこで本発明の目的は、識別情報の表示に関する課題を解決した遊技機を提供することにある。
具体的な解決手段は後述するが、これにより、識別情報の表示に関する課題を解決し得る遊技を提供することができる。
なお、もう少し詳細に課題を見てみると、従来は、たとえば機種名を表すロゴが液晶近傍に配置されていることが多く、遊技者、取引者に対して当該機種であることを示す「トレードマーク」や「サービスマーク」としての効果を奏しつつ、所定のタイミング(当選期待度が高い予告演出発生時など)で可動したり発光したりすることで「演出手段」としての役割も担っていた。
しかしながら、先行技術文献の例で言うと(たとえば、特開2018-175949号の図1)、配置自由度が増した結果、枠にロゴを配置した(すなわち、より高い位置により大きく表示するようにした)ことで以前よりトレードマーク、サービスマークとしての効果は高まったものの、表示手段との距離が遠くなってしまった(すなわち、遊技者の視点から外れてしまった)ことで演出手段としての効果が低くなってしまった。
(解決手段)
上述問題点(課題)に対する解決手段として、以下に別実施形態1~4を示す。別実施形態1~4によれば、自他商品識別機能、出所表示機能、その他性能や特徴を示す表示機能を有する識別情報としての機能は確保しつつ、当該識別情報を必要に応じて適切な表示態様で表示することで演出効果も併せ持つ遊技機を提供可能とする。
(1-2:別実施形態1の具体例)
図38~図43A、図43Bに、遊技機に種々の識別情報が記載されている例を示す。なお、説明のために識別情報の種別ごとに図を分けているが、実際の遊技機は異なる種別の識別情報が混在していてもよい。
(識別情報を表示する目的)
遊技店舗に入店した遊技者がこれから遊技しようとする台を選択する上で、何を選択根拠とするかは遊技者間で異なる。選択根拠となり得る一例を挙げると、
(i)遊技店舗に導入・設置されて間もない遊技台、
(ii)モチーフとなっている原作のファンである遊技台、
(iii)自分が好きな性能(大当りしにくいが1回の大当り出玉が多い、または1回の大当り出玉は少ないが大当りしやすい等)を有している遊技台、などが挙げられる。勿論、これ以外にも遊技台を選択する理由は人それぞれである。
種々の識別情報が遊技機に付されている理由は様々で、たとえば、識別情報の種別が「機種名称」である場合、その識別情報が付されている理由の一つに、遊技者に対して当該機種が何の機種であるかという識別力の向上が挙げられる。機種名称が記載されていない場合、遊技者が目当ての遊技機を探し当てるのが困難であるか、少なくとも容易であるとは言い難い。
また、識別情報の種別が「性能表示」である場合、その識別情報が付されている理由の一つに、遊技者に対して当該機種が有する性能が何であるかという識別力の向上が挙げられる。性能表示が記載されていない場合、当該機種がどのような性能を有しているのかを識別するのが困難であるか、少なくとも容易であるとは言い難い。
いずれの場合にしても、遊技者が遊技機を選択する場合には、遊技機に表示された何らかの識別情報を確認することによって、少なくとも目的とする遊技機であるか否かを認識し、また、上述したいずれかの条件(選択根拠)を満たすかどうかを確認している。
以下に、図38~図43A、図43Bを用いて、識別情報の種別の説明およびそれぞれの識別情報に適した表示位置や表示サイズ等を説明する。
(1-2-1:「液晶以外の識別情報」の種別・カテゴリ)
(イ)機種名称
まず、機種名称について説明する。
図38に示す通り、遊技機1の前枠1010上部に、機種名称である「藤丸くん」という標章を付した立体構造物(機種名ロゴ:機種名表示物、ロゴ役物などと称してもよい)1090が配置されている。このロゴ役物(機種名ロゴ)1090はメッキ部材で各文字が縁取られており、各文字の内側には発光手段(フルカラーLED等)が、その前面側には透光性部材が配置されている。一文字あたりおよそ「縦10cm×横10cm」の表示領域を有している。なお、柔らかくて親しみやすい印象を与えることを意図して、フォント(字体)は第1フォント(ここではPOP体)を採用している。図示したように、機種名称は、目立つ位置(盤面上部や枠上部1011など)に目立つ大きさ(たとえば数メートル離れていても視力0.7程度の人が文字を識別できる程度)で記載されていることが好ましい。
なお、ここでいう「ロゴ」(標章)は、文字よりなる「ロゴタイプ」と、記号、絵柄等よりなる「ロゴマーク」とを含む概念で、ロゴタイプまたはロゴマークのみで構成してもよいし、ロゴタイプとロゴマークとの両方で構成してもよい。また、ロゴタイプは図案化、装飾化された文字又は文字列をいうが、ごく一般的な字体を用いた文字またはは文字列も含むものとする。
さらに言及すると、(a)「遊技機を選択中の者」に対して目立たせたいのか、(b)「現在遊技している者」に対して目立たせたいのか、によって適した配置、大きさが異なる。前者(a)であれば、できる限り「上」「手前」「側面」にあると遠くからも視認しやすいし、後者(b)であれば、できる限り「液晶寄り(液晶周辺)」「盤面」「内側」にあると視認しやすい。
続いて、遊技盤面下部には、機種名称が記載されたシール1061が配置されている。より正確には、1枚のシールに、
(イ)P:2019年2月より施行された新規則対応機である旨を示すマーク、
(ロ)藤丸くん:機種名称における「主題(メインタイトル」、
(ハ)~藤香ちゃんを救え~:機種名称における「副題(サブタイトル)」、
(ニ)[設定6段階つき]:6段階の設定機能を有する旨を示す記載、
(ホ)大当り確率:設定1~設定6(1/300~1/240):最低設定と最高設定における大当り確率を示す記載、
(ヘ)確変突入率:65%:確変突入率を示す記載、
(ト)賞球数:4&1&10&15:始動口1&始動口2&その他入賞口&大入賞口への入賞時賞球数を示す記載、が付記されている。
遊技者はここを見ることによって、機種名称および性能表示の両方を知ることが可能である。一方で難点もあり、表示領域(シールのサイズ)が小さいため、よほど近づかないとその内容を識別できない点である。
なお、上記難点を解消しようと表示領域を大きくした場合、シールのサイズが大きくなるためコストアップしたり、多くの情報量を有するシールを大きくした場合には配置できる場所が限られてしまったりするという問題点が生じることも認識しておく必要がある。このシールによる表記は、遊技者に柔らかさや親しみやすさを与える意図はないため、文字のフォントは第2フォント(ここではゴシック体)を採用している。
また図43Aに示すように、表示手段である液晶表示装置1030(一の液晶表示装置を扱って説明する場合であるため、サブ液晶表示装置1032を含め、単に、液晶表示装置1030と称する。以下も同様である)には、「藤丸くん~藤香ちゃんを救え~[設定6段階つき]」という機種名称1080が、所定の表示タイミング(たとえば「客待ち待機中」、「大当り遊技中」、「特定の予告演出中」など)で表示されうる。液晶表示においては、色を変化させたり、発光させたり、表示サイズを拡大(または縮小)したり、といったようにある程度表現自由度が高い。ここでは、メインタイトルを前述したロゴ役物同様に第1フォント(POP体)で表示し、サブタイトルもそれに合わせて第1フォント(POP体)で表示しているが、「設定6段階つき」は機種名ではないため第2フォント(ゴシック体)で表示している。なお、設定つきの情報は遊技者にとっても重要な情報であるため、赤字で強調表示している。
(ロ)機能名称
次に、機能名称について説明する。
機能名称の「機能」とは、「ハンドル」、「電チュー」、「アタッカー(大入賞口)」等の構造的機能、「大当り遊技」、「確変遊技」、「小当りラッシュ」等の制御的機能、「3Dサウンド」、「フルカラーLED」等の品質機能など、遊技機を構成する機能を広い意味で指す。さらに、これらの機能名称のうち、当業者間で広く普及している用語(一般名称化しているもの)を一般機能名称(普通機能名称、非特別機能名称でも可)とし、機種固有の名称を設定したもの(後述する「大吉RUSH」や「DANGER SOUND」など)を特別機能名称と分けて呼称してもよい。特に機種固有の名称を設定する理由としては、たとえば、
(i)機種イメージを遊技者に印象付けるため、
(ii)特典の多寡を遊技者に印象付けるため、
(iii)商品特長(セールスポイント)を印象づけるため、などがある。
図39に示す通り、遊技機1の遊技盤面1020に「MAX BONUS」という文字からなる機能名称1070が記載されている。図4の「当りの内容」の欄の確変大当り1~7および時短大当り1~2における「5R」、「7R」、「10R」の表記のうち、最大ラウンド数が最も多い「10R大当り(確変大当り4)」が、有利度合が最も大きい。しかし、別の機種では「4R大当り」と「8R大当り」しかない場合もある。したがって、初見の遊技機において「8R大当り!」と表示されたとしても、それがその機種における最大有利度合であるか否かはわかりにくい。
そこで、本遊技機においてはこの10R大当りを「MAX BONUS」と称し、10R大当り中にこの「MAX BONUS」の文字が発光することによって、この10R大当りが本機種における最大有利度合であることを認識させるとともに、プレミア感(特別感)を遊技者に与えている。
続いて、遊技盤面1020の右下に「大吉RUSH」という文字からなる機能名称1070が記載されている。当該遊技機においては、確変状態(STモード)を「大吉RUSH」と称しており、確変状態中はこの大吉RUSHの文字が発光するように発光手段が設けられている。なお、大吉RUSHの文字は一文字ずつ個別点灯するようにはなっておらず、あくまでも点灯状態(もしくは特定色点灯状態)と非点灯状態(もしくは非特手色点灯状態)とを区別できればよい。この点で機種名称を示すロゴ役物1090とは異なっている。なお、大吉RUSHの文字を点灯状態に制御する場合、全STモードで点灯状態としてもよいし、遊技者を特別に祝福するという観点から、有利度合が相対的に高いST75モードまたはSTモード100のいずれか、或いは、最も有利度合の高いST100モードに限り点灯状態に制御してもよい。また、STモードに応じて異なる発光色で点灯状態としてもよい。
また、当該遊技機では「確変状態」をこのように機能名称として遊技盤面に表示するようにしているが、これに限らず、たとえば、いわゆる「小当りラッシュ」と称される特別な機能に対して所定の名称を設けてもよい。いずれにしても、その目的と効果は、遊技機のもつ機能(大当り遊技、小当り遊技、時短状態(時短遊技)、確変状態(確変遊技)、小当りラッシュ、AT(アシストタイム)遊技、RT(リプレイタイム)遊技、ART(アシストリプレイタイム)遊技、チャンスモード(AT遊技などに当選しやすい有利状態)、その他遊技者に有利な特典遊技)の存在を遊技者に示すとともに、実際にその機能がON(特典遊技が付与される状態)になった場合に、発光状態(点灯/非点灯、特定色点灯/非特定色点灯、点滅/点灯または消灯=いずれも前者が機能ON)によって遊技者に機能ONを示すことができる。
続いて、遊技機枠1010の下部1013に「DANGER SOUND」という機能名称1070が立体構造物の表示態様で配置されている。これはスピーカの機能を遊技者にわかりやすく伝えることを目的として表示された機能名称である。直訳すると「危険な音」であるが勿論、サウンドが人体に及ぼす危険性はなく、いわゆる「ホラー物」で効果音によく用いられる重低音が聞き取りやすいということを伝えている。なお、遊技機枠はメーカーのイメージを定着させることと、コスト上昇を抑えるため、数年間は同じ枠を用いられることが多い。そのため、ホラー物で用いる遊技機枠と恋愛ドラマ物で用いる遊技機枠とが同一である場合もある。したがって、「DANGER SOUND」のように遊技機枠に機能名称を表示する場合は、なるべく遊技機の端部(たとえば図にあるように下端部など)や外側面(上面または左右外側面)に表示することが好ましい。これにより、たとえば恋愛ドラマ物の機種に「DANGER SOUND」が表示される場合でも、遊技者の視野に入りにくいため違和感は低減される。同様に、表示色も機種名称と比較して目立たないようになっており、「DANGER SOUND」は遊技機枠の色と同系色となっている。
(ハ)性能表示(大当り確率、出玉、設定機能の有無)
次に、性能表示について説明する。
遊技機、特に弾球遊技機における性能表示とは、「大当り確率(低確率時、高確率時)」、「賞球数」、「カウント数」、「確変突入率&継続率」、「設定機能の有無」などが該当する。すなわち、遊技者が遊技機を選択する際のひとつの指標となる情報である。
図40に示す通り、遊技機枠1010の左上外側面に「設定1~設定6、1/199~1/149」との性能表示1071が印刷物(セルシート)により表示されている。また、遊技機枠の右上外側面に「確変突入率&継続率、85%」との性能表示1071が同じく印刷物(セルシート)により表示されている。いずれも遊技者に目立つように大きな文字(表示領域の大きさは縦10cm、横20cm、文字の大きさはその表示領域いっぱいに記載される大きさ)で記載されている。なお、遊技者へのアピール度を高めるために、フォントは第1フォント(POP体)により記載され、数字の部分だけ赤字に黒の縁取りを施している。
これらの性能表示1071を遊技機枠1010に表示する目的は、遊技する機種をまだ決定していない(迷っている)遊技者であって、特定の性能を有する機種(たとえば確変継続率が高い機種や、大当り確率が1/200より高い機種(ミドルスペックや甘デジタイプ)など)が打ちたいと思っている遊技者に対して、当該機種が有する性能をより目立つ位置に表示することで当該機種が選択される可能性を高くするためである。
また、遊技機盤面1020の上部には、「設定付き」という設定機マーク(標章)1081がシールとして貼り付けられて表示されている。このシールは当該機種のみでなく、次機種(当該メーカーが次に開発、販売する機種という意味)以降も使用可能であり、コスト面の無駄を削減し得る。さらに、長期にわたって使用することで、遊技者に対して当該マークの意味(設定付きの機種である旨)を容易に理解しやすくできるという利点がある。フォントは、複数機種で共通で使用することを想定し、第3フォント(明朝体)である。
さらに、図38ですでに述べた通り、遊技盤面下部には、機種名称が記載されたシール1061が配置されている。前述の通り、このシールには機種名称だけでなく、当該機種の性能も詳細に記されている。また、すでに述べた通り、文字のフォントは第2フォント(ゴシック体)である。
したがって、当該遊技機には、遊技機を選択中の遊技者(立っている遊技者)に対してアピールを行う性能表示と、当該遊技機に決定した遊技者(着席した遊技者)が必要に応じて確認可能な性能表示とが表示されており、それぞれの目的の達成に適した位置、大きさ、フォントで表示されていることがわかる。
(ニ)警告表示(注意喚起表示、不正防止対策済み表示)
次に、警告表示について説明する。
遊技機における警告表示については、いずれもその表示を目にした者に対して注意を与えるという点で共通するが、その対象者によって大きく2つに分けられる。この2つとは、遊技者を対象者とする場合と、店員(遊技店舗関係者)を対象者とする場合である。後者の店員を対象者とする場合、警告表示の例としては、遊技機の設置方法(組立方法等)やその際に怪我をしやすい(手を挟みやすい)箇所を警告する表示などがこれに該当する。
次に、図41を用いて、遊技者に対する警告表示の例を説明する。遊技者に対する警告表示については、さらにいくつかに分類することができる。一つ目は「遊技者に影響する事柄に対する警告表示(換言すると、「注意喚起表示」)」であり、二つ目は「遊技機に影響する事柄に対する警告表示(換言すると、「警戒表示」)」である。さらに、三つ目として「遊技に影響する事柄に対する警告表示(換言すると「忠告表示」)」である。
遊技盤面1020の上部には、「長時間連続して遊技せず、適度に休憩を取りましょう」、「台の上部がせり出していますので注意して下さい。(吹き出す)風に注意して下さい。(激しい)音や光に注意して下さい」という警告表示1072がなされている。また、遊技機枠の上皿の近傍に「(飛び出す)ボタンに手を挟まないよう注意して下さい」との警告表示1072がなされている。これらは、前述の「注意喚起表示」に該当する。
予測されるリスクについて最低減の注意喚起を行うものの、すべてのリスクを完全に排除すべく長文になってしまってはかえって読んでもらえないため、簡潔に注意事項を記載している。なお、操作手段に対する注意喚起表示については、考えられるリスク(手を挟む、突き指する、ボタンの上に置いていた物が落ちる、ビックリしてタバコを落とす)をすべて記載することはせず、少なくとも一般的に考えて発生確率が高いものや、発生確率は低くとも発生した場合に与える被害が大きいものなど、その重要性を検討して、必要な注意喚起表示だけを行うようにしている。また、当該注意喚起表示は、いずれも縦2~4cm×横3~10cm程度の表示領域しか有しておらず、文字のフォントは第2フォント(ゴシック体)で、文字の色は黒一色である。
続いて、遊技盤面1020の左下には「不正感知システム搭載!」という文字からなる警戒表示1073が表示されている。これは、前述の「警戒表示」に該当する。遊技機に対する不正の種類には「電波ゴト」、「磁石ゴト」、「ドツキゴト」「大玉ゴト」などがあり、それらを監視したり対応したりするために、電波センサ、磁石センサ、振動センサ、糸切り構造などの対策がなされている。したがって、予め不正対策済みであることを示し、防犯効果を高めている。
この「警戒表示」は、遊技者(より正確には不正を行おうとする者)に対して目立つ表示であることが好ましいため、図41では遊技盤面左下に縦15cm×横4cmという表示領域を有する。また、ベースとなる背景色は黄色、文字色は赤色、さらにそのベース部分を黒で縁取りしており、フォントも目立つように第2フォント(POP体)となっている。
最後に、遊技機枠1010の上部左側には、「役物可動時に[解除ボタン]を押すと役物を収納することができます」と記載されており、これは「忠告表示」(忠告表示1074)に該当する。すなわち、それを知らなかったとしても、遊技者が怪我をすることもなければ、遊技機に不具合が生じるわけではないものの、遊技者が選択可能なひとつの選択肢を表示している。
(ホ)知的財産権使用許諾証(著作権、特許権、商標権など)
次に、知的財産権使用許諾証について説明する。
近年の遊技機においては、その大半が著名な版権(たとえば、漫画、アニメ、ドラマ、映画、小説、スポーツ選手、芸能人等)を元にして作られている。この場合、その版権を管理する個人または法人が存在するため、その使用にあたっては使用許諾契約を結んだ上で開発がスタートし、さらに開発途中にはアプルーバルと呼ばれる版権元に開発過程の成果物を確認してもらう作業を何度も繰り返すことになる。その許諾契約番号や、アプルーバルが正式に完了している旨を示すのが知的財産権使用許諾証(版権許諾証)であり、版権元を示すマークのみの場合もあれば、数字やアルファベット等の組み合わせによる識別番号が付されている場合もある。
また、それ以外にも音楽を使用する際には、音楽利用の許諾を包括的に行っている法人と契約を交わした上で、その旨を示す許諾番号が表示されていることが多い。
さらに、版権元がカバーしきれていない知的財産権(特許権や商標権など)を別途使用したい場合は、さらにその権利者と許諾契約を行う必要があるため、その数に応じてこの知的財産権許諾証に類する識別情報(標章)は増えていくことになる。
図42を見ると、遊技盤面1020の右下、より厳密には遊技盤面における遊技領域外(外レールの外側)には「JoyForJoy“オモシロ”さイロイロ。許諾証123456」というシール(許諾証シール)1062が貼付されている。これは、当該遊技機における版権元として「JFJ」という会社が許諾証を発行し、その許諾番号が「123456」である旨を示している。なお、「“オモシロ”さイロイロ。」は「JFJ」の企業キャッチコピーを示している。
この標章(許諾証シール)1062は版権元が発行するものであるため、企業名を示す部分のフォントは企業が指定する特別フォント(第4フォント:オリジナルフォント)で表示され、許諾証番号を示す部分は汎用的な第2フォント(ゴシック体)で表示されている。
続いて、遊技盤面1020の左上、より厳密には遊技盤面における遊技領域外(外レールの外側)に「(○にCマーク)JFJ監修」というシール(適正証シール)1063が貼付されている。先ほどの許諾証は総合的に版権の使用を許諾した証であり、本適正証シールは前述のアプルーバル作業が適切に完了した旨を示す証である。なお、本適正証シールは開発者サイドで用意するものであるため、フォントは汎用的な第2フォント(ゴシック体)で表示されている。
さらに、液晶表示装置1030においても、所定タイミング(たとえば「客待ち待機中(「デモ開始待ち演出」または「客待ち演出(デモ表示)」中)、「大当り遊技中(たとえば、開始INT中、終了INT中)」、「特定の予告演出中(たとえば、リーチ演出中)」など)で「(○にCマーク)JFJ」という適正証表示1064が行われる。これは、遊技者に対して当該遊技機において知的財産権に係る権利処理が適切に行われていることを示すものである。なお、前述の通り遊技領域外にシールによって表示されているが、その表示位置や表示サイズの関係で気付いていないおそれがあるため、念押しの意味で所定タイミングにおいて当該表示を行うようにしている。なお、フォントは第2フォント(ゴシック体)や第4フォント(企業オリジナルフォント)などが好ましく、少なくとも第1フォント(POP体)のような企業のイメージを壊したり誤ったイメージを与えたりするフォントは好ましくない。
(ヘ)その他表示(キャッチコピー、勧善懲悪)
最後に、その他表示について説明する。
なお、「その他表示」とは、あくまでも上述した(イ)機種名称~(ニ)警告表示に属さないという意味であり、標章が属するカテゴリに「その他表示」があるわけではない。
図43Aに示す通り、遊技機枠1010の上部には「ヒト味違う“オモシロ”さ!」という「キャッチコピー」1065が表示されている。このキャッチコピー1065は機種名称を示しているのではなく、当該遊技機を開発した会社のキャッチコピーを示している。当該遊技機を開発した会社が複数機種にわたって(継続的に)使用しており、ある程度遊技者に認知されていることを前提として遊技機枠上部という目立つ位置に配置されている。ただし、機種名称よりは表示サイズは小さくなっている。なお、フォントは第4フォント(オリジナルフォント)である。
続いて、遊技機枠1010の右上には「藤丸くん」が樹脂成形品のフィギュア(立体造形物)1066として配置されている。文字情報はないものの、当該標章(フィギュア)は離れた場所からも視認しやすい位置に配置されているため、遊技機の「顔」として位置づけられている。
続いて、遊技盤面中央付近には「藤香ちゃん」が可動役物1067として配置されている。待機状態(初期位置、待機位置)においては、遊技球が転動可能なステージと重なっているため目から上が視認可能となっており、手も下がった状態(見えない状態)になっている。そして、所定演出発生時においては、上方に移動することによって口より下(顔の下半分)も視認可能となり、手はピースサインをした状態で上方に飛び出すようになっている。
続いて、遊技盤面1020の左側には「勧善懲悪」の文字からなる熟語表示1068が印刷されている。当該遊技機は藤丸くんが悪を懲らしめるというコンセプトであるため、そのコンセプトをわかりやすく示した四字熟語が遊技盤面に記されているということである。なお、表示サイズは比較的(版権許諾証シールや性能表示シールと比較して)大きくなっているが、機種名称よりは小さい。また、文字のフォントは第3フォント(明朝体)となっている。
ここで、図43Bを用いて図43Aで示した各標章が示す内容と略同一の内容が表示手段(液晶表示装置)1030に表示される場合の例を示す。図43Bの四角の枠は表示手段1030の外枠を表している。この表示手段1030には、キャッチコピー表示1065b、キャラクタA(男の子キャラ)1066b、キャラクタB(女の子キャラ)1067b、熟語表示1068bが表示されているが、これは客待ち演出中の表示例である。遊技盤面や遊技機枠に表示された各種標章は、互いにある程度の距離を有している(離れている)が、表示手段においては同時かつ近くに表示されることでひとつのイメージが形成されている。すなわち、当該機種が「勧善懲悪」をコンセプトとした「時代劇」であり(熟語表示1068b)、主要キャラとして男の子キャラ(キャラクタA)と女の子キャラ(キャラクタB)が登場し(キャラ1066b、1067b)、キャッチコピーとして「一味違う(他機種とは一線を画す)機種」(キャッチコピー表示1065b)であるというイメージを植え付けられる。
なお、図43Aの標章が指し示す内容と図43Bの表示手段に表示される表示物とが違いに関連性があることは上述の通りであるが、共通点を有するとともに相違点も有している。たとえば、遊技盤面に配置された標章では「勧善懲悪」という四字熟語が表示されているが、表示手段における表示物では「勧善懲悪 時代劇」と情報が追加されている。また、遊技機枠に配置された標章では「藤丸くんの顔」が表示されているが、表示手段における表示物では「藤丸くんをデフォルメ化」したキャラクタが表示されている。
遊技盤面や遊技機枠に標章を表示する場合、その表示サイズ、原作の再現度(キャラクタの外見や絵のタッチ)などあらゆる面で精巧さを追求できない阻害要因が存在する。その場合に、遊技盤面や遊技機枠にある標章には、必要最低限の表示サイズ(および/または情報量)や、必要最低限の原作再現度を確保しておき、それを補完する形で表示手段1030に表示することで、遊技者に各標章の本来のフォント、色合い、絵のタッチ、正確な情報などを伝えることが可能である。
(1-2-2:「液晶以外の識別情報」の配置)
以上が各種標章(識別情報)の種別についての説明である。上記で説明した通り、各種標章はその種別に応じて最適表示方法(適した表示位置、適した表示サイズ、適したフォントなど)が異なることが明らかとなった。続いては、標章の「種別」に基づいた最適表示方法ではなく、標章の「表示位置」に基づいた最適表示方法を説明する。
(イ)標章が枠にある
まず、枠にある標章は、離れて見る(遊技機全体を見渡せる位置から見る)場合にその標章を目立たせる(一番に目がいく)ことができる。ただし、その要件を満たすには、一定以上の大きさ(表示サイズ)を有する必要があり、単独要件としては最低でも縦10cm×横10cmの表示サイズ以上を有することが好ましい。また、複合要件としては、枠以外(すなわち遊技盤面等)に配置された標章と比べて少なくとも同等以上の表示サイズを有することが好ましい。この点について詳しくは後述する。
また、枠にある標章は、複数機種にわたって継続して使用する標章の場合に、表示位置の固定化および/または表示方法(シール、印刷、ロゴ、その他の表示方法)の共通化が図れるため、遊技者への刷り込み効果が期待できたり、コストダウン効果が期待できたりする。
また、枠にある標章は、近くで見る場合、遊技盤面と比べて凹凸が大きいため、平面領域を確保することが比較的困難である。したがって、平面領域である上端部(上面、上外側部)、左右外側面など、着席中の遊技者からは視認しにくい(または視認不能)位置であるため、着席中の遊技者以外(たとえば、遊技機を選択中の遊技者や遊技店舗関係者など)に向けた標章を配置することが好ましい。
(ロ-1)標章が遊技盤面かつ遊技領域内にある
まず、遊技盤面(遊技盤3)における遊技領域3a内(広義では球誘導レール5の外側のレール(外レール)より内側の領域、狭義では外レールより内側の領域かつ遊技球が転動可能な領域)にある標章は、着席している遊技者にその標章を目立たせることができる。ただし、その要件を満たすためには、やはり一定以上の大きさ(表示サイズ)を有する必要があり、単独要件としては最低でも縦10cm×横10cmの表示サイズ以上を有することが好ましい。また、複合要件としては、枠に配置された標章と比べて少なくとも同等以上の表示サイズを有することが好ましい。この点について詳しくは後述する。
また、遊技領域3a内にある標章は、単なる標章としての役割だけでなく、演出手段としての役割を兼ねることも可能である。ただし、その要件を満たすには、発光手段との組合せ、もしくは液晶表示装置などの表示手段との組合せを必要とする。また、演出手段の役割を強くした場合には、標章としての役割が十分に果たせないおそれがあるため、そのバランスが求められる。この点について詳しくは後述する。
(ロ-2)標章が遊技盤面かつ遊技領域外にある
まず、遊技盤面における遊技領域外(外レールより外側の領域)にある標章は、着席している遊技者(もしくは遊技盤面に意図的に顔を近づけた人)のみ視認可能であるという特徴がある。そもそも、遊技盤面における遊技領域外の領域(非遊技領域)自体がそれほど広い領域ではないため、大きな表示サイズの標章を配置することは難しい。なお、非遊技領域に配置することの利点としては、遊技者が触ることができない(ガラス扉6(透明ガラス)があるため)という点と、遊技球が転動する領域ではないため遊技球によって擦れることがないという点が挙げられる。ただし、非遊技領域は基本的にその部分を意図的に照らすことは少ないため、非遊技領域にある標章が上述の演出手段としての役割を兼ねることはほとんど無い。
(ハ-1)標章が枠に非可動体としてある
枠に非可動体としてある標章は、基本的には着脱不能な備え付けのロゴやシール、印刷物等であるため、可動体である場合と比べて凹凸度合いは少ないことが想定される。ただし、可動体である場合は可動させるための機構をその周辺に備える必要があるため、配置や大きさが少し制限されることになるが、非可動体である場合はそのことを気にする必要がないため、平面的な表示サイズは可動体である場合と比べて大きくすることができる。
(ハ-2)標章が遊技盤面に非可動体としてある
遊技盤面に非可動体としてある標章は、様々な可能性が考えられる。前面をガラスに覆われているため、遊技者に触れられるおそれがないことから、取り付け強度はそれほど高くする必要はない。
(ニ-1)標章が枠に可動体としてある
枠に可動体としてある標章は、着脱不能な備え付けのロゴやシールと比べて、凹凸度合いが多い(上に突出している、手前に突出している等)ことが想定される。ただし、可動体である場合は可動させるための機構をその周辺に備える必要があるため、配置や大きさが少し制限されることになる。また、枠にあるものの大半は遊技者が触れることができるため、その点は遊技盤面にある標章との違いのひとつであると言える。遊技者が触れることができる場合、意図的にまたは誤って強く触れられる(叩かれる)おそれがあるため、強度が求められる。可動体であるということは非可動体である場合に比べてどうしても強度が弱くなりがちであるため、その点を考慮して配置する必要がある。
(ニ-2)標章が遊技盤面に可動体としてある。
遊技盤面に可動体としてある標章は、演出手段としての役割が期待されている標章である。すなわち、第1タイミング(待機状態)においては標章としての役割が重視され、第2タイミング(演出状態)においては演出手段としての役割が重視される。なお、可動体の可動の仕方(標章がまとまって動くのか、それとも標章が2以上に分かれるように動くのか)によっては注意が必要である。この点について詳細は後述する。
(ホ)標章が表示手段に表示される位置より上方または下方にある。
遊技盤面の表示手段より上方に位置する標章は、遊技者の目線の高さに近いこともあり、演出手段としての役割が期待されたり、注意喚起等のメッセージを伝えたりすることが意図されている標章である。また、遊技盤面の表示手段より下方に位置する標章は、遊技者が目線からやや外れているため、見落とされると困るものを配置するのは適していない。
なお、表示手段の上方は、表示手段と外レールとの間に縦5~10cm×横10~15cmほどの平面領域(地続きの領域)が確保できるが、表示手段の下方は、表示手段と外レールの間に始動口や電チュー、大入賞口などの機能構造が存在するため、平面領域を確保するのは難しい。したがって、大きな標章をひとまとまりで配置する場合には、表示手段の上方が好ましい。
(ヘ)標章が表示手段に表示されるものより大きいまたは小さい。
遊技盤面に表示される標章で、表示手段により表示される標章よりも表示サイズが大きい標章は、当該遊技機に表示される標章の中でも上位の表示サイズを持つ標章である。たとえば機種名称や主役キャラクタ標章等がこれに該当する。また、遊技盤面に表示される標章で、表示手段により表示される標章よりも表示サイズが小さい標章は、様々な標章が該当する。なお、遊技盤面に表示する標章と同じ標章(もしくは一部が共通する標章、または類似内容を示す標章)を表示手段に表示する場合、その目的としては、常時目立たせる必要はないものの、所定タイミングでは当該標章を目立たせる必要がある標章である。具体例としては、注意喚起表示や性能表示等がこれに該当する。
(ト)遊技盤の球転動面より奥にある。
図44(イ)および(ロ)は、遊技盤において遊技球転動面より奥側に標章(ここでは特定キャラを模した可動体4402)がある例を示している。なお、この可動体4402は、左右一対の可動体駆動手段a、b(図示せず)により、たとえば略水平な状態を保ったまま、表示手段1030の下部前側の下部位置(図44(イ))と上下方向中間部前側の上部位置(図44(ロ))との間で移動可能となっている。なお、可動体4402は下部位置を原点位置とし、所定タイミング(たとえば「客待ち待機中」、「大当り遊技中」、「特定の予告演出中(たとえば、リーチ終盤の当落報知時)」など))において上部位置に変位可能である。また、図柄変動中に可動体4402が上部位置に変位する場合、変動中の装飾図柄は右上や左上など、可動体4402と重ならない位置に退避して小さく表示(退避表示)される(図44(ロ))。なお、遊技者による操作手段の操作を可動体4402が変位する契機としてもよい。
また本実施形態では、可動体4402が上部位置にあるときには可動体に表記された特定キャラクタの顔の全体が前側から視認可能であるが、可動体4402が原点位置(下部位置)にあるときには、特定キャラクタの顔はその大部分が中央表示枠ユニットの後側に隠れ、上部側の一部分のみが前側から視認可能な状態となっている。
このように、可動体4402に表記され特定キャラクタは、主要パーツ(上記例では「顔」)の全体が視認可能な完全視認状態、少なくとも一部が視認不可能(又は視認困難)な不完全視認状態と、に切り替え可能であり、本実施形態では、リーチ演出中に一時的に不完全視認状態から完全視認状態に切り替えられるようになっている。
(チ)遊技盤の球転動面より手前にある。
なお、図44で示したように、特定の標章が、第1表示態様(または第1位置)にあるときと、第2表示態様(または第2位置)にあるときとで見え方が異なる(視認可能な領域が変化する、視認可能と視認不能が切り替わるなど)例としては、これに限られず、たとえば、遊技球の転動面より手前側に標章が位置する場合であってもこれに該当する場合がある。
具体的には、表示手段1030の手前側および/または釘の手前側に導光板(イルミパネル)と呼ばれる所定角度から光を照射した場合に所定標章が視認容易となるものが知られている。これを用いると、必要なタイミング以外では標章を目立たなくすることが可能となる。
(1-2-3:枠または遊技盤にある各種標章の発光態様)
次に、図45Aを用いて、遊技機枠1010または遊技盤1020に表示された各種標章(各種識別情報)が様々な色に発光態様を変化させる場合の例を示す。
(イ)図柄停止中(非デモ中)~(ヘ)図柄変動~停止(図柄揃い停止時)
図45A(イ)および(ロ)は、いずれも図柄停止中の表示例を示している。図45A(イ)の例では、電源立ち上げ直後(初期設定期間終了後)または遊技者が遊技を終了した後であって、装飾図柄1033が停止している状態(図ではハズレ図柄の一部に対応する「634」(バラケ目)で停止)を示している。このとき、機種名ロゴ1090は赤系統の色で一様に点灯している。
この状態が所定期間(たとえば60秒)継続すると、図45A(ロ)の表示状態に移行し、遊技機の魅力を端的に表す「デモ演出(客待ち演出(デモ画面))」が行われる。このとき、機種名ロゴ1090は機種名称1080をアピールするというより、演出手段の一部としての機能が重視され、デモ演出に合わせて機種名称1080の構成要素1081である各文字が別々の色(ここでは「藤丸くん」の各文字が赤色、青色、緑色、桃色)で点滅している。
新たな遊技者が遊技を開始し、始動口に遊技球が入賞すると、図柄の変動が開始し、図45A(ハ)の表示状態となる。このとき、機種名ロゴ1090は再び赤系統の色で低速点滅(高輝度発光と低輝度発光を低速で切り替える発光態様)している。機種名ロゴ1090はその大きさ(表示サイズ)ゆえに、発光態様を急速に変化させるとそちらに目がいきやすい。無闇に高速点滅や様々な色で発光させると遊技者に「当該変動における当選期待度が高いかも」と誤認させてしまうおそれがある。したがって、変動中においては特定予告発生時以外、同一系統色で点灯、低速点滅、消灯など目立たない発光態様であることが好ましい。
続いて、図45A(ニ)は、図柄変動中において特定予告(ここでは「藤丸くん登場予告」)が発生した場合の表示例を示している。このとき、機種名ロゴ1090のベース部全体が青く発光し、特定予告の発生を遊技者にアピールする発光態様となっている。この特定予告は、たとえば、高期待度予告演出や、設定示唆演出(たとえば、設定6確定示唆)などがある。
図45A(ホ)は、図45A(ニ)の状態を経て、リーチ演出(たとえば、SPリーチ)が実行された状態を表している。ここでは味方側として移動式砲台が、敵側として飛行物体(円盤)が表示されており(たとえば、後述の図85(c)の移動式砲台911、円盤913)、飛行物体を見事撃墜できれば大当りという流れになっている。このとき、機種名ロゴ1090は、味方側のイメージカラー(味方側のキャラクタの色、装着物等の色、体から湧き上がるオーラの色等によって遊技者が敵味方を判別しやすくしたもの)が赤色で、敵側のイメージカラーが青色であるものとして、ちょうど「藤丸(二文字)」と「くん(二文字)」がそれぞれ赤色と青色に分かれて発光しており、互角の状況を表している。
なお、結果が出るまでの途中段階で、赤色に発光する割合(文字数、発光面積等)が大きいことをもって優勢である状況を表すようにしてもよい。この場合、反対に青色に発光する割合が多ければ、味方側が劣勢である状況を表すものとし、後者より前者の発光態様(発光パターン)の方が当選期待度が高いものとしてもよい。
そして、図45A(ヘ)が示すように、見事飛行物体を撃墜すると図柄が揃った状態(大当り図柄)で停止表示される。このとき、機種名ロゴ1090は、各文字が様々な色に発光し、全体で虹色を表しているような発光態様となる。
図45Aでは、図柄停止中または図柄変動中のいわゆる「非大当り中」の機種名ロゴ1090の発光態様について説明したが、次は、図45B(イ)~(ヘ)を用いて、「大当り中」の発光態様について説明する。
(イ)大当り中(開始インターバル)~(ヘ)大当り中(終了インターバル3)
図45B(イ)は、大当り遊技中の開始INT(開始インターバル)中における、表示手段(液晶表示装置)1030の表示画面および機種名ロゴ1090の発光パターンの一例を示している。
開始INT中、つまりオープニング期間中は、図45B(イ)に示すように、「MAX BONUS」等の文字よりなる機能名称ロゴ画像4611と、右側を狙って発射すべき旨を報知するための発射方向報知画像4612とが表示手段1030に表示される。この機能名称ロゴ画像4611は、図39に示した機能名称1070を表す標章3911と同じ「MAX BONUS」の文字を含んでいるが、いずれも第2フォント(ここではゴシック体)で構成されている。
また、このとき、遊技機枠1010前側および遊技盤1020前側の電飾と機種名ロゴ1090については、特定色(たとえば青色)で全点灯状態となっている。なお、発射方向報知画像4612は、開始INTの途中から表示を開始してもよい。この場合、発射方向報知画像4612の表示開始後、たとえば遊技機枠1010前側および遊技盤1020前側の電飾を、発射方向報知画像4612の示す右方向に流れるように発光させてもよい。
大当りラウンド中は、図45B(ロ)に示すように、発射方向報知画像4612、進行中のラウンドを示すラウンド数報知画像(図示せず)、その大当り遊技における獲得球数を示す獲得球数報知画像(図示せず)の他、キャラクタ等の大当り演出画像4613が表示手段1030に表示される。このとき、遊技枠1010前側および遊技盤1020前側の電飾については虹色のグラデーション(レインボー発光)で発光する。またこのとき、機種名ロゴ1090はその周囲とは異なる色(たとえば赤色と青色)で「藤」、「丸」、「く」、「ん」が流れるように順次切り替わって発光する。なお、これ以外にも略均一に同一系統色で発光させるか、もしくは消灯させるか、または遊技機枠1010と遊技盤1020と機種名ロゴ1090が一体的にレインボー発光するようにしてもよい。
なお、図45B(ハ)は、「V入賞すれば確変突入」という機能を有している機種、いわゆる「1種2種混合タイプ」の機種(たとえば、特開2013-236851号公報に記載の遊技機)において見事V入賞を果たした瞬間の発光態様と表示態様を示している。「1種2種混合タイプ」とは、具体的には、大入賞口内に遊技球が通過可能な特定領域(V領域)設け、大当りに当選した場合(特別図柄表示装置に大当り図柄が停止表示された場合)には“1種当り”となって大当り遊技が行われ、一方、小当りに当選した場合(特別図柄表示装置に小当り図柄が停止表示された場合)には、大入賞口を1ラウンド相当分開放する小当り遊技が行われ、この間に遊技球がV領域を通過(V入賞)した場合には“2種当り”となり、条件装置および役物連続作動装置が作動して、1種当りと同様の当り遊技(V当り遊技)が行われるといったタイプの機種である。ここでは、戦闘機がV字状に3機並ぶとともに、それにVの字を重ね合わせた画像4613aの表示を行い、機種名ロゴ1090はレインボー発光によって遊技者を祝福している様子を示している。
続いて、図45B(ニ)は、大当りラウンドが終了し、終了INT(終了インターバル)期間の様子を表している。ここでは、今回の大当りで獲得した球数を表示する獲得球数表示画像4614が示し、また、機種名ロゴ1090はレインボー発光を行っている。
そして、図45B(ホ)では、デモ演出と同様に本機種の正式名称を表す機種名称表示4615が表示手段1030に表示されている。機種名称表示4615(第2標章)は、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応するものである。なお、本パチンコ機の正式名称は「藤丸くん ~藤香ちゃんを救え~」であり、機種名称表示4615では、第1構成要素4615a(藤丸くん)と第2構成要素4615b(~藤香ちゃんを救え~)とで構成されているが、機種名ロゴ1090はこのうち第1構成要素のみ表示されている。
このように、表示手段1030に表示する機種名表示画像(第2標章)4615は、遊技機枠1010に表示する機種名ロゴ1090(第1標章)に新たな情報(ここでは第2標章(サブタイトル)の「~藤香ちゃんを救え~」)が付加された構成となっているため(画像4614a+画像4614b)、機種名ロゴ1090に盛り込む情報は必要最小限とし、必要に応じて表示手段1030側で足りない情報を補足することが可能である。なお、設定変更機能を搭載していることを示す付加情報である「設定付」を併せて表示してもよい。
機種名表示画像4615は、機種名ロゴ1090と共通する「藤丸くん」の文字(画像4614a)については、機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(ここではPOP体)で構成されている。また、機種名表示画像4615における「藤丸くん」以外の「~藤香ちゃんを救え~」(画像4614b)についても、機種名ロゴ1090と同じ第1フォントを用いている。但し、サブタイトルについては、メインタイトルである「藤丸くん」より小さなフォントサイズを用いている。
なお、機種名表示画像4615のうち、機種名ロゴ1090と共通する部分(画像4614a)については共通して第1フォントで表示し、共通していない部分(ここではサブタイトル:画像4614b)については、その少なくとも一部を機種名ロゴ1090と異なるフォント(たとえば明朝体や行書体)で表示することが好ましい。このようにする理由は、すでに述べた通り、共通部分である「藤丸くん」は複数機種(新旧機種)にわたって使用されている部分(シリーズにおけるメインタイトル部)であり、「藤丸くん」というシリーズ機種であるが、販売時期の異なる「藤丸くん1(前々作の機種)」と、「藤丸くん2(前作の機種)」と、「藤丸くん3(最新機種)」とが同時期に遊技店に設置されている可能性もある。その場合に、差別化するためにはサブタイトルを目立たせる必要がある。そのため、共通部分とは異なるフォント(使用する字体、文字の大きさ、文字の色などのいずれか1または複数を異ならせる)とすることで、差別化を実現しうる。また、将来的に続編機種やリメイク機種等を販売する際にメリットがある。
また、この機種名表示画像4615が表示手段1030に表示されているとき、遊技機枠1010前側の機種名ロゴ1090を機種名表示画像4615における「藤丸くん」の表示色と同系色で略均一に発光させてもよい。この場合の機種名ロゴ1090の発光色は、周辺に位置する遊技機枠1010および遊技盤1020の電飾とは異なる色であることが望ましい。
このように、終了INT(大当り終了インターバル)中に、機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」を含む機種名表示画像4615を表示手段1030に表示することにより、遊技者の視界に入り難い遊技機枠1010の上部側に位置する機種名ロゴ1090が配置されているにも拘わらず、機種名ロゴ1090に用いられている「藤丸くん」の標章を演出手段として有効に機能させることが可能である。
図45B(ヘ)は、大当り遊技終了後に移行する遊技状態(確変状態、時短状態、通常状態など)を機能名称化して、終了インターバル期間に表示する例を示している。なお、ここでは、「確変状態」のことを「藤丸タイム」として機種固有の機能名称化を図っている。
図46は、遊技の進行に応じて「機種名ロゴの発光態様」が変化する例(客待ち待機中)を示した図である。まず、「客待ち待機期間」について説明する。遊技者が遊技を終了し離席した場合、最後の作動保留球数分の図柄変動が終了して図柄停止中となってから所定時間(図では15秒)経過するまで、(イ)デモ開始待ち演出期間として、図柄停止表示が継続される。この期間は、遊技者が遊技を終了したのか、それとも財布からお金を取り出したりタバコに火をつけたりしようとしているのか、遊技機は正確に把握することはできないため、いわゆる判断を保留している期間である。
(イ)客待ち前期間が所定時間継続すると、続いて(ロ)客待ち期間に移行する。図46に示す通り、表示手段1030には、にぎやかし目的の演出表示(図では戦闘機が横切る演出表示)や操作手段(演出ボタン13、十字キー75)表示および操作した場合に音量や光量が調節できたりメニュー画面を開くことができたりする旨の表示が行われる。なお、ボタンを操作してメニュー画面を開くと、より詳細な遊技設定が可能である。
(ロ)客待ち期間が所定時間(図では30秒)継続すると、続いて(ハ)デモ演出期間に移行する。デモ演出期間は、(イ)(ロ)の期間を経たことで、遊技者が離席中であるものとみなし、新たな遊技客を惹きつけるべくデモンストレーション演出が行われる期間である。このデモ演出期間を細分化すると、(ハ-1)デモムービー期間(機種イメージ演出期間)、(ハ-2)機種名表示期間、(ハ-3)その他表示期間(企業ロゴ表示、のめり込み防止表示やプリペイドカードの取り忘れ防止等の注意喚起表示)に分けられる。
そして、この(ハ)デモ演出期間が所定時間(図では90秒)かけて行われた後、再度(ロ)客待ち期間に移行し、以降は(ロ)→(ハ)→(ロ)・・・と繰り返される。なお、デモ演出が行われた時点で遊技者は離席しているものみなしているため、(イ)の客待ち前には移行しないようにしている。また、図46ではそれぞれの期間を15秒、30秒、90秒と定めたがこれに限られず、たとえば頻繁にデモ演出を繰り返すことで隣の台で遊技している遊技者に迷惑をかけると機械設計者が判断した場合、客待ち時間をデモ演出時間より長くするか、少なくとも略同一時間以上としてもよい。
さらに、各状態の移行契機は、最終の図柄停止からカウントを開始し、「15秒経過時に(ロ)に移行」、「45秒経過時に(ハ)に移行」、「135秒経過時に(ロ)に移行」するようにしてもよいし、各状態に移行するごとにカウンタをリセットしてその都度状態指定コマンドを送ったり、2以上のカウンタを用いたりするなどしてもよい。
なお、カウンタのリセット条件として、「ハンドルタッチセンサがONになった場合」、「遊技機枠に設けられた複数の操作手段のいずれかが操作された場合」、「遊技機枠に設けられた特定の操作手段が操作された場合(有効な操作が行われた場合)」、「遊技球が発射された場合」、「遊技盤面に設けられた複数の遊技球検出手段のいずれかがONになった場合」、「特図始動口に設けられた遊技球検出手段がONになった場合(図柄変動が開始した場合)」のうちいずれか1つまたは複数の条件を設定してもよい。
以上、説明した通り、「図柄停止中かつ非大当り遊技中」という期間においても、(イ)(ロ)(ハ)もしくは、さらに細分化すると(イ)(ロ)(ハー1)(ハー2)(ハー3)という期間に分けることができる。したがって、それぞれを第1期間、第2期間、第3期間(さらに細分化してもよい)と特定することが可能である。これを前提として、各期間のタイトルロゴ(藤丸くん)の発光態様を見てみると、(ハー1)も最も特徴的であり、デモムービーに合わせてカラフルに個別発光している。それ以外の期間も色を変えたり点滅周期を異ならせたりする場合もあるが、基本的に「藤」と「丸」と「く」と「ん」の色は略同一色で発光するようにしてある。
これは、少し離れた位置から当該遊技機を見た遊技者が、機種名ロゴ1090の特定部分(たとえば「丸くん」)だけが光っている(または異なる色で光っている)状態を見て、当該遊技機の名称を「丸くん」であると誤認しないようにするためである。なお、デモムービー演出時はそもそも遊技者を惹きつけるために行われるのがデモムービーであるため、遊技者の視線は表示手段1030に向いているものとして、このタイミングではタイトルロゴ1080も演出手段としての役割を担っている。
このように、機種名ロゴ1090が機種名称を示す役割を担う期間(図46における(イ)(ロ)または(イ)(ロ)(ハ-2)(ハ-3))を第1期間とし、タイトルロゴ1080が演出手段としての役割を担う期間(図46における(ハ)または(ハ-1))を第2期間とし、各期間に応じて発光態様を個別発光主体とするか統一発光(全体発光)を主体とするかを異ならせるようにしてもよい。
(1-2-4:枠または遊技盤にある各種標章を表示手段にも表示する)
以下に、表示手段1030に各種標章(各種識別情報)が表示される具体例を示す。なお、以下に示す各種標章は、同一内容または類似内容の標章が表示手段1030以外の場所(遊技機枠1010や遊技盤1020の各部)に表示されていることを前提とする。
すなわち、表示手段1030以外に常時視認可能に表示されているにも関わらず、さらに所定タイミングにおいて表示手段1030に同一内容または類似内容の各種標章を表示する意味(目的、効果)について説明する。
(A)各種標章を表示手段に表示するタイミングおよび具体的な表示態様(図47)。
(イ)機種名称
図47(イ)は、機種名称が表示手段1030に画像として表示される例である。表示タイミングは「デモ演出中」、「予告演出中」、「大当り中」などが挙げられる。表示態様は図示している通り、メインタイトル4711(「藤丸くん」)、サブタイトル4712(「~藤香ちゃんを救え~」)、設定機能の有無を示す標章(設定機能表示標章)4713(「設定6段階付き」)が表示されている。なお、メインタイトル4711とサブタイトル4712はともに機種名ロゴ1090と略同一のフォントで表示されている。なお、表示サイズは機種名ロゴ1090の方が大きい。
(ロ)機能名称
図47(ロ)は、機能名称が表示手段1030に画像として表示される例である。表示タイミングは(何の機能名称を表示するかにもよるが)、「図柄停止時(大当りの場合)」、「大当り中(開始インターバル期間)」などが挙げられる。表示態様は図示している通り、大当り開始時に「MAX BONUS」という複数種類の中で最も有利度合いの大きい大当り(たとえば10R確変大当り)に当選したことを表す標章(第2標章)4714が第2フォント(ゴシック体)で表示されている。なお、図示していないが、その他の機能名称(たとえば「藤丸タイム突入確定!」)も同じタイミングで表示してもよい。いずれの場合もフォントは遊技盤面1020に表示された標章(第1標章)と略同じフォントとすることが好ましい。これにより、どの機能が作動(現出、発動、開始等も同義)したかを遊技者が把握しやすい。
(ハ)性能表示
図47(ハ)は、性能表示が表示手段1030に画像として表示される例である。表示タイミングは「デモ演出中」、「図柄変動中(インフォメーション予告等)」、などが挙げられる。表示態様は図示した通り、性能表示4731(「確変突入率 85%」)が表示手段1030に大きく表示される。なお、表示サイズは表示手段1030に表示される性能表示4731(第2標章)の方が遊技盤に表示された性能表示(第1標章)より大きい。ただし、これは性能表示が商品特長(還元するとセールスポイント)になり得る場合の例であり、別の例としては、表示義務が課された標章(たとえば将来的にリアルタイムの出玉率を表示しなければいけなくなった場合に、その値を示す識別情報など)はアピールする意図はないため、必要最低限の表示サイズでもよい。
また、同様の思想で、性能表示4731(第2標章)の表示目的が遊技者へのアピールである場合は、第2標章を第1標章より目立つフォント(字体、色等)とし、遊技者へのアピールが目的でない場合は、第2標章と第1標章を略同一フォントとするといったように、同じ性質(ここでは「性能表示」)の標章であっても、その目的によって第1標章と第2標章のフォントを同一とするか一方を目立たせるか異ならせてもよい。
(ニ)警告表示
図47(ニ)は、警告表示4741が表示手段1030に画像として表示される例である。表示タイミングは「デモ演出中」、「エラー発生時(異常検出時)」、「大当り中(終了インターバル期間)」などが挙げられる。表示態様は図示した通り、表示手段1030の表示画面に大きく注意事項(警告表示)が表示される。なお、遊技盤1020に記載された警告表示は「不正感知システム搭載!」である。このように、遊技盤1020に記載する場合は、すべての情報を詰め込もうとすると文字のサイズが小さくなり、伝えたい内容が伝わりにくくなってしまう。したがって、遊技盤1020には情報量は最小限に抑えつつ、表示手段1030で表示する際には情報量を増やしたり、表示サイズを大きくしたり、表示色やフォントを目立つようにしたりすることが望ましい。
(ホ)知的財産権関連表示
図47(ホ)は、知的財産関連表示4742が表示手段1030に画像として表示される例である。表示タイミングは「デモ演出中」、「大当り中(終了インターバル期間等)」などが挙げられる。表示態様は図示した通り、「(○にCマーク)JFJ」という表記が表示手段1030の右下に表示されている。なお、この知的財産関連表示(著作権許諾証、著作権許諾番号等も同義)4742を表示手段1030に表示するタイミングは、当該表示が示す対象となるものが明確となる期間(音楽に関する著作権許諾番号であれば少なくとも該当する音楽が流れている期間、遊技機のモチーフとなる版権許諾証であれば少なくとも機種名称が表示されている期間)に表示されることがより好ましい。
(ヘ)その他表示
図47(ヘ)は、上記(イ)~(ホ)に含まれないその他表示4743が表示手段1030に画像として表示される例である。したがって、表示タイミングは表示される内容に依存する。たとえば、図示した「ヒト味違う“オモシロ”さ!」とは、遊技機を製造販売したメーカーの企業キャッチコピーであり、表示するタイミングは主に「デモ演出中」、「大当り中」などが挙げられる。表示態様は図示している通り、「ヒト味違う“オモシロ”さ!」という標章(第2標章)が様々な色の文字で構成されており、中央に大きく表示されている。
なお、遊技機枠1010に同一の標章(第1標章)を表示する場合、すなわち成型品として標章を配置する場合、一文字ずつ色を変えるのは相当なコストがかかる。したがって、第1標章は1色またはせいぜい2色から成る標章とし、第2標章は表示手段1030にカラフルに表示することで、本来の色合い(企業キャッチコピーとして用いる際の正しい配色の意)を遊技者に伝えることができる。
<遊技の進行に応じて表示手段に表示される各種標章のフォントが異なる実施例>
図48(イ)~(ニ)は、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」を含む標章(第2標章)4811を表示手段1030に表示し、さらに少なくとも2以上の表示タイミングを持つ場合において、その表示タイミングにおいてそれら標章の表示サイズ、表示色、フォントの少なくともいずれかを互いに異ならせた例を示している。
図48(イ)では、「デモ演出中」に第1機種名表示4811(第2標章)が表示されている。詳述すると、デモ演出中に当該機種のオリジナルソングである「それいけふじまるくん」が流れ、その曲のサビ部分に「お~い、ふ~じまるく~ん」という歌詞がある。その歌詞に合わせて表示手段1030に「ふ~じまるく~ん♪」と表示される。これは、歌詞を伝えるという意味合いと当該機種の機種名称を伝えるという意味合いが含まれている。このように、機種名称を伝える(すなわち、第1標章と表示意図が重なるものを表示する)場合において、機種名ロゴ1090の表記フォントをそのまま表示したのでは、歌詞を伝えていることが伝わらない。したがって、歌詞に合わせたり、その他の目的に合わせたりして第1標章を表示手段に表示する場合は、それらの目的に合わせて第2標章として第1標章とは異なるフォントや異なるサイズ、異なる配列などで表示するようにしてもよい。
また、図48(ロ)では、「図柄変動中」に予告演出として第2機種名表示4812(第3標章)が表示されている。詳述すると、擬似連図柄(その図柄が停止すると再度変動が最初から開始されるかのように見せる図柄のことで、擬似連図柄を備えることそれ自体は周知技術)として藤丸くんのキャラクタ表示とこのキャラクタが藤丸くんであることを示すキャラクタ名称表示が表示されている。ここではこの2つ(キャラクタ表示+キャラクタ名称表示)を併せて第2機種名表示4812(第3標章)としている。この第3標章は、キャラクタ名称を伝えるという意味合いと、当該機種の機種名称を伝えるという意味合いが含まれている。このように、機種名称を伝える(すなわち、第1標章と表示意図が重なるものを表示する)場合において、機種名ロゴ1090の表記フォントをそのまま表示したのでは、キャラクタ名称を伝えていることが伝わらない。したがって、キャラクタ名称であることをわかりやすくするために、対象物(キャラクタ表示)の近傍に表示したり、その表示サイズを対象物に合わせたり、といったようにそれらの目的に合わせて第3標章として第1標章とは異なるフォントや異なるサイズ、異なる配列などで表示するようにしてもよい。
なお、予告演出として機種名称が用いられる場合、機種名称の形状、配列、配色等を全く崩さずに使用するとなると、ほとんど使い道がない(使い勝手が悪い)。たとえば、擬似連図柄として用いるのであれば円形または正方形に近い形の方が図柄に見立てやすいが、横長の配列をそのまま使用するとなると図柄に見立てづらい。
このように、遊技機枠1010または遊技盤1020に表示された標章(第1標章)と同一または類似する標章を2以上のタイミングで表示手段1030に表示する場合、少なくとも1つのタイミングでの標章は第1標章とは異なるフォントで使用することが好ましい。
図48(ハ)および(ニ)は、「藤丸くん」という機種名称に対して、その名称が大当り名称にも用いられ、「藤丸くんBONUS」という機能名称を備える場合の例を示している。
図48(ハ)は図柄変動中における「次回予告(高期待度予告)」として用いられる例である。「次回予告」には複数パターンのバリエーションがあり、たとえば「次回、〇〇リーチ」や「次回、激熱!」といった発展先や当選期待度を示唆するものが含まれ、その種類によっても当選期待度が異なるように設定されている。そして、その最上位に位置し、直接的に大当りを示唆するのがこの「次回、藤丸くんBONUS」という第3機種名表示4813(第4標章)である。遊技者にとって最高に嬉しい瞬間のひとつでもあるため、この第4標章はカラフル(いわゆるレインボー)に表示されている。このように、機種名称と重なるものを表示する場合に、機種名ロゴ1090の表記フォントをそのまま表示した(たとえば黒文字一色表示した)のでは、遊技者がいまいち祝福されている感じを味わうことができない。したがって、特典を付与する場合や、複数の特典の中でも有利度合が高い特典を付与する場合などには、それらの目的に合わせて第4標章として第1標章とは異なるフォントや異なるサイズ、異なる配列などで表示するようにしてもよい。
図48(ニ)は、図48(ハ)で説明した「藤丸くんBONUS」がこれから開始される際に第4機種名称表示(第5標章)として表示する場合の例を示している。
ここでは、図48(ハ)と同一の目的により第1標章とは異なるフォントとなっているが、それだけではなく、同一標章(藤丸くんBONUS)であるにも関わらず第4標章と第5標章とでフォントが異ならせている点に特長がある。
その理由(意図、効果)は、図柄変動中の予告発生時は図柄表示、保留表示、背景表示、その他オブジェクト表示があるために、表示サイズが制限される場合があるが、大当り開始時にはそれらの表示がないために、表示サイズはほとんど制限されない。また、当業界で慣用的に行われているのは「レインボーが表示されたら限りなく大当りに近い」という意識づけであり、予告演出として用いる場合(図48(ハ))はレインボー表示でもいいものの、大当り開始時に用いる場合(図48(ニ))はレインボーで表示してしまうと別の意味合い(たとえば保留内にさらに大当りが潜んでいることを伝えているとか、設定機能つきのパチンコの場合最高設定であることを伝えているなど)といったように遊技者にその表示意図を誤認させてしまうおそれがある。したがって、同一標章であっても表示タイミングによっては、その目的に合わせて第2標章として第1標章とは異なるフォントや異なるサイズ、異なる配列などで表示するようにしてもよい。
なお、図示していないが、これ以外にもフォントを異ならせる例を以下に示す。
たとえば、予告演出中に表示手段1030に機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」の標章を先読み予告画像として表示する場合、この先読み予告画像(第2標章)は、機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」を含む「藤丸くん高確率ゾーン」の文字を横一列状に配列したものとする。この先読み予告画像における「藤丸くん」の文字は、機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(ここではPOP体)で構成され、その大きさは機種名ロゴ1090よりも小さくてもよい。なお、先読み予告画像における「藤丸くん」以外の「高確率ゾーン」の文字についても、機種名ロゴ1090と同じ第1フォントを用いる。
その上で、先読み予告画像のうち、機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」を冠する「藤丸くん高確率ゾーン」については機種名ロゴ1090と同じ第1フォントとし、他の「ノーマル高確率ゾーン」については他のフォントを用いるといったように、同一種別の予告演出(ここでは「先読み予告」)に対しても第1演出(ここでは「藤丸くん高確率ゾーン」)と第2演出(ここでは「ノーマル高確率ゾーン」)とがある場合に、機種名ロゴ1090と同一または類似する名称を冠する予告についてはフォントを類似させるようにしてもよい。
なお、説明の便宜上、第1標章をすべて「機種名称」で統一したが、これに限らず第1標章をすでに説明した「機能名称」、「性能表示」、「警告表示」、「知的財産関連表示」、「その他表示」としてもよい。この場合、第2~第5標章もこれらに合わせてその表示タイミングや表示サイズを変更可能であり、少なくとも第1標章と第2~第5標章とでフォントが異なっていればよい。
<当選期待度に応じてフォントを異ならせる例>
図49(イ)~(ニ)は、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」を含む標章(第2標章)を表示手段1030に表示する際に、当選期待度に応じてフォントを異ならせた例を示している。
図49(イ)と(ニ)では、同種類の予告演出(ここでは疑似連予告演出)を実行する場合に、当選期待度に応じて、たとえば当選期待度が相対的に高い(ここでは50%)場合には疑似連図柄4911の字体に機種名ロゴ1090と異なるフォント(たとえばオリジナルの強調フォント)を用い(図49(イ))、当選期待度が相対的に低い(ここでは25%)場合には疑似連図柄4911の字体に所定のフォント(たとえば明朝体)を用いている(図49(ロ))。なお、いずれか一方を機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(たとえばPOP体)を用いるようにしてもよい。
また図49(ハ)と(ニ)では、特定予告演出(ここでは次回予告演出)を実行する場合に、予告演出毎の確変期待度に応じて、たとえば確変期待度が相対的に高い(ここでは80%)予告演出の場合には次回予告画像4911の字体に機種名ロゴ1090と異なるフォント(たとえばオリジナルの強調フォント)を用い、確変期待度が相対的に低い(ここでは25%)予告演出の場合には次回予告画像4912の字体に所定のフォント(たとえば明朝体)を用いている(図49(ロ))。なお、いずれか一方を機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(たとえばPOP体)を用いるようにしてもよい。
このように、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」を含む標章(第2標章)を表示手段1030に表示する場合、当選期待度に応じて字体を異ならせてもよい。なお、図49の例においても図48と同様に、第1標章を機種名称として説明したが、この限りではない。
<遊技者の有利度合いに応じて第2標章を表示する例>
図50(イ-1)~(イ-2)、(ロ-1)~(ロ-2)は、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」を含む標章(第2標章)を表示手段1030に表示する際に、遊技者の有利度合いに応じて第2標章を表示するか否かを分けるように構成した例を示している。
図50(イ-1)は、4R大当りに比べて遊技者の有利度合いが高い10R大当りの場合に、たとえば開始INTにおいて機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」の文字を含む「藤丸くんボーナス」等の機能名称表示画像5011を表示し、図50(イ-2)は、一方の4R大当りの場合に、たとえば開始INTにおいて機種名ロゴ1090と同じ「藤丸くん」の文字を含まない「レギュラーボーナス」等の機能名称表示画像5012を表示する例を示している。
また図50(ロ-1)は、非確変大当りに比べて遊技者の有利度合いが高い確変大当りの場合に、たとえば開始INTにおいて機種名称ロゴ1090と同じ「藤丸くん」の文字を含む「藤丸くんボーナス」等の機能名称表示画像5011を表示し、図50(ロ-2)は、一方の非確変大当りの場合に、たとえば開始INTにおいて機種名称ロゴ1090と同じ「藤丸くん」の文字を含まない「レギュラーボーナス」等の機能名称表示画像5012を表示する例を示している。
このように、遊技者の有利度合いに応じて、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する標章(第2標章)を表示手段1030に表示するか否かを異ならせてもよい。
<第1標章に情報を追加した第2標章を表示する例>
図51(イ)~(ニ)は、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」を含む標章(第2標章)を表示手段1030に表示する際に、情報量を追加した第2標章を表示するように構成した例を示している。
図51(イ)は、表示手段1030に表示される第2標章のうち、第1標章と共通する文字については第1標章と同じ字体を用いるが、第1標章と共通しない文字の少なくとも一部については第1標章とは異なる字体を用いるように構成した例を示している。
図51(ロ)は、デモ演出において表示手段1030に表示される機種名表示画像5121(第2標章)の一例を示している。図51(ロ)に示す機種名表示画像5121では、機種名ロゴ1090(第1標章)と共通の「藤丸くん」を含む「P藤丸くん」の文字については機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(ここではPOP体)を用いているが、それ以外の「~藤香ちゃんを救え~」の文字については、機種名ロゴ1090とは異なる第2フォント(ここではゴシック体)を用いている。なお、機種名ロゴ1090と共通する「藤丸くん」の文字のみについて機種名ロゴ1090と同じ第1フォント(ここではPOP体)を用い、それ以外の「P」、「~藤香ちゃんを救え~」の文字については全て機種名ロゴ1090とは異なるフォントを用いてもよい。
<5.別実施形態5>
(5-1:正面より見た遊技機外観:図35)
図35は、本発明の遊技機を正面より見たときの遊技機外観を示す。図35において、枠1010は外枠4の前面側に開閉可能に配置される上記前枠2と同じもの(以下単に「枠」と略す)であり、枠上部1011と枠中部1012と枠下部1013から構成され、遊技領域を視認可能とする視認窓を備える。ここでの枠1010は、遊技機を前面(正面)から見た場合に視認される形状と大きさを大まかに描いたものである。前枠2の形状と大きさには様々なものが用いられており、どのような形状寸法のものを採用するかは自由である。ここでの枠1010は、上部に位置する横材からなる枠上部1011と、左右両側に位置する縦材からなる枠中部1012と、下側に位置するパネル状の枠下部1013とを有し、全体として長方形の視認窓を形作る長方形の枠形状であるとして説明する。
1020は、図2で遊技盤3として説明した遊技盤であり、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム内に装着されるか、または外枠4に設けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に装着される。つまり前枠2側または外枠4のいずれの側に取り付けられる形態であっても、遊技盤は遊技盤収納フレーム(以下、「本体枠」という)に装着される。この本体枠1020に装着された遊技盤1020は、遊技機を正面から見て、ガードレールより内側の遊技球が流下する遊技領域1021(図2の遊技領域3a)と、ガードレールより外側の非遊技領域1022(図2の遊技盤3の四隅)とを有する。
遊技盤1020には、正面から見て、遊技領域1021の中央にメイン液晶表示装置1031(図2の液晶表示装置36)が設けられとともに、遊技領域下方にサブ液晶表示装置1032が設けられている。なお1023は始動口(図2の上始動口34)、1024は大入賞口(図2の大入賞口50)を示す。
遊技盤1020と枠1010の関係は、前後方向に見て遊技盤1020の前側に枠1010が位置している。このため、遊技盤面はその一部が枠1010により覆われている。すなわち遊技盤面は、その一部が枠上部1011、枠中部1012、枠下部1013の一部に被われて前側からは見えない箇所がある。メイン液晶表示装置1031は、その長方形の表示面を有し、その表示面の全部が前側から視認窓を通して見えるように設けられている。換言すれば、メイン液晶表示装置1031はその表示面が枠1010に隠れない大きさと形状と配置で設けられている。また遊技盤面内においてメイン液晶表示装置1031よりも下側に位置するサブ液晶表示装置1032は、その表示面の下部が枠下部1013により覆われた状態で設けられている。
しかし、メイン液晶表示装置1031はその一部が枠1010の一部により覆われているように設けることもできる。またサブ液晶表示装置1032についても、その表示面が視認窓から全て見えるように、つまり表示面のどの部分も枠下部1013により覆われていないように設けることができる。これらメイン液晶表示装置1031とサブ液晶表示装置1032とを含む液晶表示装置1030は、所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段として働く。
枠下部1013は、図1の前面操作パネル7に相当するもので、正面から見て、上受け皿ユニット8に相当する上皿1013aと、下皿1013bと、ベース部1013cとで構成されている。上皿1013aは図1の上受け皿ユニット8を正面から見たものである。操作手段1040の下操作手段1041として、上皿1013aに演出ボタン13が設けられており、また上操作手段1042として演出ボタンが枠中部1012に設けられている。
枠下部1013のベース部1013cは、図1の前面操作パネル7の下方部分に対応するものであり、正面から見てハンドル1050(発射操作ハンドル15)が設けられている。
図36Aは、遊技盤面、正確には遊技盤の遊技領域1021に、識別情報として機種名「藤丸くん」を付した例であり、図36Bは、前枠1010の枠上部1011に、機種名「藤丸くん」を付した例である。
(5-2:従来の問題点)
従来、弾球遊技機においては、液晶表示装置の画面以外の場所に、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(商標法2条の標章)からなる識別情報を表示することが行われる。たとえば、枠や盤面に機種名称をロゴとして配置するものがあった。また、機種名ロゴが予告演出やリーチ演出に対応して種々の発光態様を為すことも知られている。さらにまた、機種名ロゴを可動(または変形・合体)させるものも知られている(たとえば、特開2018-175949号公報)。
遊技機に対し文字、図形、記号等を構成要素とする識別情報を表示する場合に、識別情報の構成要素をどのように配置するかは基本的には自由である。加えて、近年の遊技機は、正面から見た表示可能領域が増しており、これに伴い識別情報の配置自由度も増している。この結果、演出手段としての効果を重視した表示態様とする傾向が強まり、元来の識別情報としての機能(たとえば、商標的機能(自他商品識別機能、右機能から派生する出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能など))が低下または消失してしまっている、ということがあった。また、使用態様によっては、不正競争防止法等の他の法律に抵触する恐れもある。
そこで、弾球遊技機の液晶表示装置の画面以外の場所に識別情報を表示する場合について、別実施形態5では識別情報を構成する要素の「配置」を工夫することにより、また別実施形態6では識別情報を構成する要素の「光らせ方」(光らせる時期的条件など)を工夫することにより、また実施形態7では特定識別情報と非特定識別情報との配置を工夫することにより、また実施形態8では特定識別情報の表示態様を工夫することによって、この課題を解決する。
(5-3:識別情報を構成する要素の「配置」について(別実施形態5)、図52、図53)
(別実施形態5が解決しようとする課題)
識別情報は、遊技機の何処に配置するかによって当該情報が発揮する識別力の大きさが異なってくる。また、識別情報は、文字、図形等が一続きになっている表示態様で示されることによって、本来の識別力を発揮するものであり、識別情報を構成する文字等の配置の如何および/または発光態様(色彩を含む)の如何によっては意図した識別力を発揮できないおそれがある。逆に、識別情報を構成する文字等の配置の仕方および/または発光態様の付加の仕方によっては、意図したものとは異なる別の識別情報を表示したものと誤認されてしまうおそれもある。
識別情報が液晶表示装置の画面に表示される表示形態は、表示されていなければ識別情報が識別力を有効に発揮し得ないので、識別情報の配置箇所としてはあまり適切でない。そこで、まず液晶表示装置の画面以外の場所に識別情報が配置される場合について、その識別情報を構成する構成要素の「配置」を適正にする表示態様(別実施形態5)について説明する。
(5-4:別実施形態5の具体例)
図52(a)(b)は液晶表示装置の画面以外の場所(この例では遊技盤1020)に、識別情報として「藤丸くん先生」を配置する場合を例示したものである。このうち(a)は識別情報が意図した識別力を発揮できていると考えられる表示態様例であり、(b)は意図した識別力を発揮できないと考えられる表示態様例である。
図52(a)では、「藤丸くん先生」の各文字を一続きのものとして一行に並べて表示している。「藤丸くん先生」の各文字は、遊技機の前後方向に見て、遊技盤の遊技球転動面より前側に突出した位置にある。「藤丸くん先生」の構成要素である各文字は、同じ文字サイズ、同じフォントのものを等間隔で配置している。このため、「藤丸くん先生」が一つにまとまった秩序あるものとして評価される。よって、図52(a)は識別情報の「藤丸くん先生」が意図した識別力を発揮できていると考えられる。この意味で図52(a)には「OK」と記してある。
これに対し、図52(b)では、「藤丸くん先生」が「藤丸くん」と「先生」の2つの文字列に分離され、二段に配置されている。しかも、上段の「藤丸くん」の文字列は斜め右上がりに配置されていて、上段と下段の文字列はそれらが互いに非並行となっている。このため「先生」の文字列は他の文字列から完全に「独立したもの」と見られる状態にある。加えて、「先生」の文字列は単独の「将」と「軍」の文字に分けられ、かつ各々の文字サイズが大きくなっている。また、各文字は、前後方向に見て、遊技盤の遊技球転動面より前側に突出した位置にある。それ故、「先生」の文字列は、完全に「藤丸くん」の文字列とは別個のものとして認識され得る状態にある。
さらに、「藤丸くん」の文字列は遊技盤面に印刷物(セルシート)として表示され、「先生」の文字列はセンターケースに設けられ、遊技盤面から所定の隙間・距離を有する立体構造物(ロゴ)として表示されている。それ故、「先生」の文字列は「藤丸くん」の文字列とは一続きの識別情報ではないと認識され得る状態にある。
この図52(b)のように「藤丸くん」の文字列と「先生」の文字列が複数の文字列に分離されて、それぞれ別個の文字列と認識され得る表示態様となっている場合、次のような問題が生じ得る。
(i)「藤丸くん先生」全体についての識別力が正常に機能していない。たとえば、この文字列が仮に、遊技機の製作者や販売者等を示す識別情報であったならば、商標的機能が正常に機能していないことになる(意図した識別力が発揮されない状態となり得る)。
(ii)「藤丸くん」単体または「先生」単体に関して他人の権利(たとえば、知的財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利)がある場合、その権利の侵害可能性が高まり、販売等のリスクが大きくなる。したがって、たとえば自己が「藤丸くん先生」の使用等に関して正当な権原を持つ者である場合であっても、図52(b)のような表示態様とすることは、自己の製品が他人の権利に抵触するリスクが高まるため、極力回避すべきである。この意味で、図52(b)には「NG」と記してある。
上記のことから次のことが言える。(i)意図した特定の識別情報であっても、その構成要素が2行以上に分割されていると、意図した特定の識別情報(本来の識別情報)の表示と評価され難くなる。(ii)意図した特定の識別情報であっても、その構成要素が2行以上に分割されており、かつ、それらが互いに非並行であると、意図した本来の特定の識別情報の表示と評価され難くなる。(iii)よって、意図した特定の識別情報(本来の識別情報)の表示であると評価されるためには、識別情報の構成要素を一行で書くのがよい。もし識別情報を2行以上に分けて表示する場合は、その各文字列を相互に平行にする。このように、識別力の低下防止や他者の権利侵害防止のために、以上の点を考慮に入れた表示態様にするのがよい。
図53は液晶表示装置の画面以外の場所(この例では枠上部1011)に識別情報として「あいうえお藤丸くん」を配置する場合を例示したものである。このうち、図53(a)は識別情報が意図した識別力を発揮できていると考えられる表示態様例であり、図53(b)は意図した識別力を発揮できていないと考えられる表示態様例である。
図53(a)では、「あいうえお藤丸くん」の各文字を一続きのものとして一行に横並びに表示している。「藤丸くん先生」の構成要素である各文字は、同じ文字サイズ、同じフォントのものを等間隔で配置している。このため、「あいうえお藤丸くん」が一つにまとまった秩序あるものとして評価される。よって、図53(a)は識別情報の「あいうえお藤丸くん」が意図した識別力を発揮できていると考えられる。この意味で図53(a)には「OK」と記してある。
これに対し、図53(b)では、「あいうえお藤丸くん」が「あ」と「い」と「う」と「え」と「お藤丸くん」の5つの文字群に分離されているように見える例を示している。なぜそのように見えるかと言うと、これらは文字相互の間隔が均等ではなく、「あ」と「い」の文字間が最も長く、「い」と「う」の間および「う」と「え」と「お藤丸くん」の文字間が次いで長く、「お藤丸くん」を構成する文字の文字間が最も短くなっているためである。「あ」の文字だけが左側にポツンと存在し、その右側に横に在る「い」「う」「え」「お藤丸くん」がまとまりのある一群として認識される。すなわち「あ」は別のものとして認識事項から除外され、「いうえお藤丸くん」が意味のあるグループであるとして読み取られることになる。
この図53(b)のように文字列が離散的に配置されている表示態様となっている場合、その中でも比較的文字間隔の近いもの同士である「いうえお藤丸くん」を秩序あるまとまったものとして評価することになる。よって、「いうえお藤丸くん」の表示に対する評価としては、「あいうえお藤丸くん」という識別情報により発揮させたかった識別力とは別のものの評価に変わってしまう。これでは意図した識別力が発揮できないことになり、不適切な表示態様となってしまう。よって、この図53(b)のような表示態様とすることは回避されるべきである。この意味で図53(b)には「NG」と記してある。
上記は識別情報を構成する文字の文字間隔が等しくない場合についての説明であったが、識別情報を構成する文字の文字サイズが等しくない場合(たとえば「あ」だけ他の文字の2倍の文字サイズであるなど)や、識別情報を構成する文字のフォントが統一されていない場合(たとえば「あ」だけPOP体で、その他はゴシック体など)、その他には文字色が統一されていない場合(たとえば「あ」だけ赤色で、その他は青色など)も、同様に、意図した識別力が発揮できないことになり、不適切な表示態様となってしまう。
上記のことから次のことが言える。(i)意図した特定の識別情報であっても、その構成要素である文字間隔が等しくなければ、意図した特定の識別情報(本来の識別情報)の表示と評価され難くなる。(ii)意図した特定の識別情報であっても、その構成要素である文字のサイズが等しくなければ、意図した特定の識別情報の表示と評価され難くなる。(iii)意図した特定の識別情報であっても、その構成要素である文字のフォントが等しくなければ、意図した特定の識別情報の表示と評価され難くなる。(iv)よって、意図した特定の識別情報(本来の識別情報)の表示であると評価されるためには、識別情報の構成要素である文字の文字間隔を均等にして統一する。特定の識別情報の文字のサイズを統一する。特定の識別情報の文字のフォントを統一する。といった点を考慮に入れた表示態様にするのがよい。
上記のように、液晶表示装置以外の場所、たとえば遊技盤や枠に、文字、図形、記号等からなる識別情報を付する場合には、その識別情報の構成要素についての配置を工夫することで、識別情報の誤認、すなわち意図した識別情報がそれは別の識別情報であると評価されることを防止することができる。
(5-3:別実施形態5の構成例1)
図52、図53で述べた実施形態5は、下記(1)~(14)のように構成することができる。その際、次の(i)または(v)のいずれかの特徴を含ませることができる。
(i)機種名称の少なくとも一部を表す第1識別情報と、機種名称以外の少なくとも一部を表す第2識別情報とが、遊技者に視認可能な位置に配置された遊技機において、
前記第1識別情報は立体形状で配置され、前記第2識別情報は平面形状で配置されている。
これにより、少なくとも第1識別情報は、その文字サイズ、文字間隔、フォントのいずれか1以上を判断基準とする場合において、多少の相違があったとしても、「立体形状」という同一系統の装飾(成型、加工)が施されているという共通点を有することで、該1つの第1識別情報が2つ以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減できるという効果が期待できる。なお、前提として「機種名称」と「機種名称以外」とで分けているが、「機種名称(主題部分)」を第1識別情報とし、「機種名称(副題部分)」を第2識別情報としても同様の効果は期待できる。
(ii)同遊技機において、前記第1識別情報は、そのすべてが1行または1列で配置され、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている。
これにより、第2識別情報については2行以上または2列以上で配置することで配置自由度を高めつつ、第1識別情報については2以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減し得るという効果が期待できる。
(iii)同遊技機において、前記第1識別情報は、そのすべての文字間隔が略同一であり、前記第2識別情報は少なくとも一部の文字間隔が異なる。これにより、第2識別情報については配置自由度を高めつつ、第1識別情報については2以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減し得るという効果が期待できる。
(iv)同遊技機において、前記第1識別情報は、そのすべての文字サイズが略同一であり、前記第2識別情報は少なくとも一部の文字サイズが異なる。
これにより、第2識別情報については配置自由度を高めつつ、第1識別情報については2以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減し得るという効果が期待できる。
(v)同遊技機において、前記第1識別情報は、そのすべての文字フォントが略同一であり、前記第2識別情報は少なくとも一部の文字フォントが異なる。
これにより、第2識別情報については表現自由度(表示態様の多様性)を高めつつ、第1識別情報については2以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減し得るという効果が期待できる。
上記(i)~(v)に共通する効果として、「(遊技機を識別する上で)重要性が高い識別情報」、「(著作権や商標等の関係で)表現自由度の低い識別情報」、「(遊技者から見て)視認性の高い識別情報」等については上記構成により、識別力を高く保ちつつ、それ以外の識別情報については異なる表示態様(文字サイズ、文字間隔、文字色等)とすることで配置自由度や表現自由度を高く保つことが可能である。
具体的には次のように構成することができる。
(1)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備え、
機種名称の少なくとも一部を表す第1識別情報と、遊技機の性能の少なくとも一部を表す第2識別情報とが、遊技者に視認可能な位置に配置された遊技機において、
前記第1識別情報は前記第2識別情報よりも目立たせたい情報であり、
前記第1識別情報は前記前枠に配置され、
前記第2識別情報は前記遊技盤に配置されており、
前記第1識別情報はその構成要素が一続きに表示された非可動体(たとえばロゴ)として設けられている、
ことを特徴とする遊技機。
これにより、少なくとも第1識別情報は、その文字サイズ、文字間隔、フォントのいずれか1以上を判断基準とする場合において、多少の相違があったとしても、「一続きに表示(装飾、成型、加工)」されているという共通点を有することで、該1つの第1識別情報が2つ以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減できるという効果が期待できる。
(2)前記第1識別情報は前記前枠の可動体(ボタン、その他ギミック)として配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
これにより、少なくとも第1識別情報は、その文字サイズ、文字間隔、フォントのいずれか1以上を判断基準とする場合において、多少の相違があったとしても、「同一のベース体(上記例では操作手段など)」に表示(装飾、成型、加工、印刷)されているという共通点を有することで、該1つの第1識別情報が2つ以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減できるという効果が期待できる。
(3)前記第1識別情報は前記前枠に対し平面状のもの(たとえば印刷物)として配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(4)前記第1識別情報は前記前枠に対し立体的に(たとえば立体的な構造物として)配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。この(4)の構成において、前記第2識別情報は平面状に配置されている構成とすることができる(上記特徴(i))。
(5)前記第1識別情報は遊技機の前後方向における前記前枠の突出部に配置(凹凸を有して配置)されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(6)前記第1識別情報はその構成要素のすべてが1行または1列で配置されている、ことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の遊技機。この(6)の構成において、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている構成とすることができる(上記特徴(ii))。
ここまでで共通する効果として、少なくとも第1識別情報については、共通点(立体/平面、成型/印刷、同一のベース体に記されている、1行または1列で記されている)を有することで、知的財産権に関する販売上等のリスク(たとえば、商標リスク)を低減に寄与し得る。
(7)前記第1識別情報は整列配置(構成要素列の上端ラインと下端ラインが略平行)であり、前記第2識別情報は非整列配置(構成要素列の上端ラインと下端ラインが非平行)である、ことを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の遊技機。この(7)の構成においては、上記(6)との関係で、前記第1識別情報はその構成要素のすべてが1行または1列で配置され、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている構成とすることができる(上記特徴(ii))。
(8)前記第1識別情報は2行以上で、かつ各行が互いに平行となるように配置されている、ことを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の遊技機。
(9)前記第1識別情報は、その構成要素間の間隔(第1識別情報が文字列からなる場合はその文字間隔)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(8)のいずれかに記載の遊技機。この(9)の構成において、前記第2識別情報は少なくともその一部の構成要素間の間隔が異なる構成とすることができる(上記特徴(iii))。
(10)前記第1識別情報は、その構成要素のサイズ(第1識別情報が文字列からなる場合はその文字サイズ)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(9)のいずれかに記載の遊技機。この(10)の構成において、前記第2識別情報は少なくともその一部の構成要素のサイズが異なる構成とすることができる(上記特徴(iv))。
(11)前記第1識別情報は、その構成要素の形状、模様、色彩に関わる属性(文字列である場合はその文字サイズ、文字列以外の場合はそれらの色彩や配色)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(10)のいずれかに記載の遊技機。この(11)の構成において、前記第1識別情報および前記第2識別情報は文字列からなり、前記第1識別情報は、そのすべての文字フォントが略同一であり、前記第2識別情報は少なくともその一部の文字フォントが異なる構成とすることができる(上記特徴(v))。
(12)前記第2識別情報は、前記第1識別情報と少なくとも一部が共通する共通識別情報であり、当該共通識別情報は前記画像表示手段には表示されるが、遊技盤面には表示(配置)されていない、ことを特徴とする上記(1)~(11)のいずれかに記載の遊技機。
(13)前記第2識別情報は、その構成要素の並びが前記第1識別情報と少なくとも一部について共通する共通識別情報であり、当該共通識別情報は前記画像表示手段には表示されるが、遊技盤面には表示(配置)されていない、ことを特徴とする上記(1)~(11)のいずれかに記載の遊技機。
(14)前記第1識別情報は、その構成要素の並びの少なくとも一部が可動体として前記前枠に配置されており、第1特定期間(客待ちデモ演出期間中)では前記第1識別情報の構成要素がひとまとまりとなる位置に在り、第2期間(リーチ演出中、予告演出中)では前記第1識別情報が分離する位置に移動可能である、ことを特徴とする上記(1)~(13)のいずれかに記載の遊技機。
(5-4:別実施形態5の構成例2)
上記別実施形態5の構成例1では、第1識別情報を前枠に配置することを前提としたが、第1識別情報はセンターケース(センター飾り体48)に配置すること、すなわち遊技盤面に配置することもできる。この構成について記載すると次のようになる。
(1)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記遊技盤に設けられたセンターケースと、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備え、
機種名称の少なくとも一部を表す第1識別情報と、遊技機の性能の少なくとも一部を表す第2識別情報とが、遊技者に視認可能な位置に配置された遊技機において、
前記第1識別情報は前記第2識別情報よりも目立たせたい情報であり、
前記第1識別情報は前記センターケース(遊技盤面)に配置され、
前記第2識別情報は前記遊技盤に配置されており、
前記第1識別情報はその構成要素が一続きに表示された非可動体(たとえばゴロ)として設けられている、
ことを特徴とする遊技機。
(2)前記第1識別情報は前記センターケースの可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)前記第1識別情報は前記センターケースに対し平面的に(たとえば機種名を印刷物として)配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(4)前記第1識別情報は前記センターケースに対し立体的に(たとえば立体的な構造物として)配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。この(4)の構成において、前記第2識別情報は平面状に配置されている構成とすることができる(上記特徴(i))。
(5)前記第1識別情報は遊技機の前後方向における前記センターケースの突出部に配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(6)前記第1識別情報はその構成要素のすべてが1行または1列で配置され、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている、ことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の遊技機。
(6)前記第1識別情報はその構成要素のすべてが1行または1列で配置されている、ことを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の遊技機。この(6)の構成において、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている構成とすることができる(上記特徴(ii))。
(7)前記第1識別情報は整列配置(構成要素列の上端ラインと下端ラインが略平行)であり、前記第2識別情報は非整列配置(構成要素列の上端ラインと下端ラインが非平行)である、ことを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の遊技機。この(7)の構成においては、上記(6)との関係で、前記第1識別情報はその構成要素のすべてが1行または1列で配置され、前記第2識別情報は2行以上または2列以上で配置されている構成とすることができる(上記特徴(ii))。
(8)前記第1識別情報は2行以上で、かつ各行が互いに平行となるように配置されている、ことを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の遊技機。
(9)前記第1識別情報は、その構成要素間の間隔(第1識別情報が文字列からなる場合はその文字間隔)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(8)のいずれかに記載の遊技機。この(9)の構成において、前記第2識別情報は少なくともその一部の構成要素間の間隔が異なる構成とすることができる(上記特徴(iii))。
(10)前記第1識別情報は、その構成要素のサイズ(第1識別情報が文字列からなる場合はその文字サイズ)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(9)のいずれかに記載の遊技機。この(10)の構成において、前記第2識別情報は少なくともその一部の構成要素のサイズが異なる構成とすることができる(上記特徴(iv))。
(11)前記第1識別情報は、その構成要素の形状、模様、色彩に関わる属性(文字列である場合はその文字サイズ、文字列以外の場合はそれらの色彩や配色)が同一またはほぼ同一となるように統一されている、ことを特徴とする上記(6)~(10)のいずれかに記載の遊技機。この(11)の構成において、前記第1識別情報および前記第2識別情報は文字列からなり、前記第1識別情報は、そのすべての文字フォントが略同一であり、前記第2識別情報は少なくともその一部の文字フォントが異なる構成とすることができる(上記特徴(v))。
(12)前記第2識別情報は、前記第1識別情報と少なくとも一部が共通する共通識別情報であり、当該共通識別情報は前記画像表示手段には表示されるが、遊技盤面には表示(配置)されていない、ことを特徴とする上記(1)~(11)のいずれかに記載の遊技機。
(13)前記第2識別情報は、その構成要素の並びが前記第1識別情報と少なくとも一部について共通する共通識別情報であり、当該共通識別情報は前記画像表示手段には表示されるが、遊技盤面には表示(配置)されていない、ことを特徴とする上記(1)~(11)のいずれかに記載の遊技機。
(14)前記第1識別情報は、その構成要素の並びの少なくとも一部が可動体として前記前枠に配置されており、第1特定期間(客待ちデモ演出期間中)では前記第1識別情報の構成要素がひとまとまりとなる位置に在り、第2期間(リーチ演出中、予告演出中)では前記第1識別情報が分離する位置に移動可能である、ことを特徴とする上記(1)~(13)のいずれかに記載の遊技機。
<6.別実施形態6>
(6-1:識別情報を構成する要素の「光らせ方」について(別実施形態6)、図54)
次に、液晶表示装置の画面以外の場所に配置される識別情報について、その構成要素の「光らせ方」を適正にする表示態様(別実施形態6)について説明する。
(6-2:別実施形態6が解決しようとする課題)
まずは、別実施形態6が解決しようとする課題であるが、別実施形態5の説明でも述べたように、識別情報は、文字、図形等が一続きになっている表示態様で示されることによって、本来の識別力を発揮するものであり、識別情報を構成する文字等の配置の如何および/または発光態様(色彩を含む)の如何によっては意図した識別力を発揮できないおそれがある。逆に、識別情報を構成する文字等の配置の仕方および/または発光態様の付加の仕方によっては、意図したものとは異なる別の識別情報を表示したものと誤認されてしまうおそれもある。
別実施形態5では、特に識別情報の「配置」に関する課題についてその解決手段について説明したが、別実施形態6では、特に識別情報の「光らせ方」に関する課題についてその具体的な解決手段を説明していく。
図54(a)(b)(c)は、液晶表示装置の画面以外の場所に識別情報として「藤丸くん先生」を配置する場合に、その識別情報を構成する要素の一部が光っている表示態様とするときに、どのような環境下ないし条件下で光らせるのが適当かについての説明に供する図である。ここで「光っている」とは自ら光を放つ場合のみを指すのではなく、反射して輝く場合を含む概念であってもよい。また、発光制御手段によって「光らせる」という表現をした場合も同様である。
さらに、識別情報を構成する要素の一部(たとえば第1構成要素とする)を、同じく当該識別情報を構成する他の要素(たとえば第2構成要素とする。なお、さらに構成要素を細分化して第3構成要素以下を定義してもよい)と「光り方を異ならせる」という表現をした場合、たとえば一方を赤色発光態様、他方を白色発光態様といったように双方が光っている状態のみを指すのではなく、一方が発光していて、他方が消灯しているという状態を含んでもよい。
また、上記例における第1構成要素と第2構成要素とが互いに同一系統色(たとえば白色)での発光態様である場合であっても、一方が他の部分より輝度または照度が高くなっている状態を意味してもよい。さらに、輝度、照度、明度などの明るさを示す用語によって第1構成要素と第2構成要素の光り方の違いを表現する場合、発光態様を表現するのに使用されるLEDの数の違い(第1構成要素はN個、第2構成要素はM個、N<MまたはN>M)や、使用されるLEDの種類の違い(第1構成要素はフルカラーLED、第2構成要素は単色LED)などによって区別してもよい。
一例として、「発光制御手段(または演出制御手段)によって、第1構成要素を第2構成要素よりも明るい発光態様とする」と表現した場合、その具体的手段として、(i)第1構成要素の背面側に位置するLEDの数(LEDには砲弾型LED、表面実装型LED,チップオンボードなどがあるが、この場合、LEDチップの数を指す)を第2構成要素の背面側に位置するLEDの数より多くする、(ii)第1構成要素を単色(白色)LEDとし、第2構成要素をフルカラー(RGB)LEDとする、などが挙げられる。
なお、明るさはLEDの性能差によるところもあるが、ほぼ同等(同等価格)のLEDであれば、白色光の発光効率は「青色LED+黄色蛍光体(=単色LED)」>「赤色LED+緑色LED+青色LED(=フルカラーLED)」>「近紫外LED+三色蛍光体(=複合LED)」と言われている。今後LEDの普及率の変化にともない価格差が是正された場合は、「明るい発光態様とする」方法として単色LEDを使用するかフルカラーLEDを使用するかは適宜選択可能としてもよい。
図54(a)は、識別情報が意図した識別力を発揮できていると考えられる表示態様例であり、図52(a)と同じ内容のものである。すなわち遊技盤1020の面内に、識別情報の「藤丸くん先生」が、その構成要素である文字が一続きになっている表示態様にて表示されている。ただし、この図54(a)では、客待ち待機中(デモ開始待ち演出」または「客待ち演出(デモ表示)」中」、特に客待ち演出(デモ表示)中)でなされる識別情報の表示を扱っている。すなわち弾球遊技機は、図柄が停止してから一定時間が経過したことを条件に「デモ表示中」の期間へと移行する。図54(a)は、この「デモ表示中」の期間へと移行した後の表示を扱っている点で、通常の遊技状態における表示態様を示していた図52(a)と異なっている。しかし、「デモ表示中」の期間は遊技が行われていない期間であり、識別情報の表示に対する評価は、通常の遊技状態の期間における場合と大差がないと考えられる。以上の点を考慮し、図54(a)には「(デモ中)OK」と記してある。
次に図54(b)は、識別情報が意図した識別力を発揮していない、換言すると、別の識別情報として認識され得るおそれがある表示例である。図54(b)も、図54(a)と同じく「デモ表示中」の期間へと移行した後の表示を扱っている。そして識別情報「藤丸くん先生」の構成要素である文字が「一続き」の文字列として表示されている点も図54(a)と同じである。しかし、この図54(b)の場合は、「藤丸くん先生」を構成している文字列のうちで「先生」の文字部分が他の文字部分とは異なる発光色で発光し、かつ他の文字部分よりも明るく光っている。この点で、図54(a)と相違している。
「先生」の部分を明るく光らせる方法は種々あるが、ここでは半透明の合成樹脂でできた文字プレート(「藤丸くん先生」の文字プレート)を、その後方に配置したランプ(LEDの場合を含む)により照らす構成とし、「先生」の文字部分の輝度を「藤丸くん」の文字部分の輝度よりも高くしかつ発光色も異ならせることで、「先生」の部分を明るく輝かせている。なお、LEDを採用する例は前述した通りである。
上記の先生の文字部分が藤丸くんの文字部分よりも明るく「光っている」期間は、「デモ表示中」の期間、つまり遊技が行われずに図柄が停止している期間(非遊技期間)であるので、比較的長時間である。また「デモ表示中」の期間は、場合によっては、一日のうちで幾度となく、つまり高頻度に移行する期間である。
このため、図54(b)のように、識別情報「藤丸くん先生」の文字列のうちで「先生」の文字部分が、他の文字部分よりも明るく光っている表示態様で表示されると、この「先生」の文字部分が単独に存在するのものとして強調されて認識される。つまり「先生」の表示に対して「商標的に使用している」と判断・評価される可能性が強まる。「先生」に対し他人が権利を有する可能性を完全には払拭できないことからすると、図54(b)のような表示態様とすることは回避されるべきである。この意味で図54(b)には「(デモ中)NG」と記してある。
次に図54(c)の表示例について説明する。図54(c)も、識別情報「藤丸くん先生」の構成要素である文字が「一続き」の文字列として表示されている点で、図54(b)と同じである。また「藤丸くん先生」を構成している文字列のうちで「先生」の部分が光っている点も、図54(b)と同じである。しかし、この図54(d)の場合は、「藤丸くん先生」のうちで「先生」の部分が光っている文字列から成る識別情報が、「デモ表示中」の期間において表示されるのではなく、「予告演出中」の期間において表示される点で、図54(b)と相違している。
リーチ演出期間中の「予告演出」として、「先生」の部分が光っている「藤丸くん先生」の文字列を、液晶表示装置1030の上辺当りに上辺を覆うように現出させる場合を考えてみる。このような予告演出を現出させる目的は「当選期待度」を遊技者に伝達することにあり、この当選期待度の大小を暗示的に報知することが予告演出の主たる役目となる。それゆえ「予告演出」においては、「藤丸くん先生」の意味内容よりも、(i)光っている部分を持つ文字列が現出したかどうか、または文字列の一部が光ったかどうか、または、(ii)光っている部分が何色であったか(青色、黄色、緑色、赤色、D柄色、金色、虹色のいずれであったか)、といったことが重要になる。前者の(i)「光っている部分を持つ文字列が現出したかどうか」という点は、光っている「先生」の部分を単なる発光手段としてみているものである。また、後者の(ii)「光っている部分が何色であったか」という点は、発光している「先生」の部分を色報知手段としてみているものであり、青色、黄色、緑色、赤色、D柄色、金色、虹色の順に当り期待度が大きくなる。
このように「予告演出」中であれば、「藤丸くん先生」のうちで「先生」の部分が光っている文字列を現出させたとしても、光っている部分が当選期待度を示すものとして理解され、その存在や色に注意が向けられることになり、「先生を意味する」という内容自体に注意が向けられて、光っている部分が認識されることがなくなる。このため、一部分が光っている文字列などを「予告演出」として現出させる形態であっても、その文字列についての識別力が問題になることはなくなると考えられる。この意味で図54(c)には「(予告演出)OK」と記してある。
上記のことから次のことが言える。(i)特定識別情報の一部だけを長時間(または高頻度で)点灯または消灯すると、点灯または消灯した当該部分を強調することになり、当該部分だけの識別情報として評価されることになる。(ii)デモ中(客待ちデモ演出の期間中)において特定識別情報の一部だけを消灯または異なる発光態様で光らせることは、上記の長時間にわたり(または高頻度で)点灯または消灯する場合と大差がない。このため当該部分だけの識別情報として評価され、商標的な使用態様であるとして評価される度合が強まる。よって「デモ中(客待ちデモ演出の期間中)」においては、特定識別情報の一部だけを消灯または異なる発光態様で光らせることは避けるべきである。(iii)「デモ中(客待ちデモ演出の期間中)」において、意図した特定の識別情報(本来の識別情報)の表示であると評価されるためには、特定識別情報の全部を同一系統色で光らせる(または消灯させる)ことが重要である。(iv)リーチ演出期間中のカットイン予告のように、図柄変動中の特定演出発生時という条件下であれば、特定識別情報の構成要素の一部を個別に光らせても、当該部分について商標的使用の態様として見られる恐れは薄れる。したがって、図柄変動中の特定演出発生時という条件下であれば、特定識別情報の構成要素の一部を個別に光らせて表示させることが可能である。なお、特定演出発生時という条件がなくなった場合、すなわち特定演出非発生時においては、特定識別情報の全部を同一系統色で光らせる(または消灯させる)ことが、全体を意図した特定識別情報(本来の識別情報)の表示であると評価される上で必要となる。
上記のように、液晶表示装置以外の場所、たとえば遊技盤や枠に、文字、図形、記号等からなる識別情報を付する場合において、その識別情報を構成する要素の一部が光っている表示態様とするときには、どのような条件下で光らせるかという意味での「光らせ方」を工夫することで、識別情報の誤認、すなわち意図した識別情報がそれは別の識別情報であると評価されることを防止することができる。
(6-2:別実施形態6の構成例)
図54で述べた別実施形態6は、次の(i)または(ii)の特徴を含ませて構成することができる。
(i)2文字以上で構成され、かつ機種名称の少なくとも一部を表す第1識別情報と、他の第2識別情報とが、遊技者に視認可能に配置される遊技機において、
前記第1識別情報は、
発光手段によって視認性が変化し、
少なくとも非遊技期間中における第1期間において、当該第1識別情報のすべてが同一系統色で視認可能とされ、
前記第2識別情報は、
前記発光手段によって視認性が変化し、
少なくとも非遊技期間中における第1期間において、当該第2識別情報の一部が前記第2識別情報と異なる系統色で視認可能とされている。
これにより、第1識別情報および第2識別情報がその発光態様を変化可能に構成されている場合に、少なくとも第1期間において第2識別情報は主に「演出手段」としての役割・効果を奏しつつ、第1識別情報はあくまでも「一続き」の識別情報であるという点を重視し、該1つの第1識別情報が2つ以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減できるという効果が期待できる。なお、上記では第1期間における第1識別情報と第2識別情報の発光態様を示したが、第1識別情報について第1期間と第2期間の発光態様を分けてもよい。たとえば、機種名称である第1識別情報について、第1期間(たとえば図柄変動中)は個別の発光態様とすることで主に「演出手段」としての役割を果たし、第2期間(たとえば図柄停止中)は統一した発光態様とすることで主に「自他商品識別機能」としての役割を果たすようにしてもよい。また、前提として「機種名称」を第1識別情報としているが、「機種名称(主題部分のみ)」を第1識別情報としてもよいし、「機能名称」を第1識別情報としても同様の効果は期待できる。
(ii)同遊技機において、
第1識別情報は、第1BGM再生中において同一系統色で視認可能とされ、
第2識別情報は、第1BGM再生中において少なくとも一部が別系統色で視認可能とされている。
これにより、第1識別情報がその発光態様を変化可能に構成されている場合に、少なくとも第2期間においては主に「演出手段」としての役割・効果を奏しつつ、少なくとも第1期間においては、該1つの第1識別情報が2つ以上の識別情報に分けて読み取られるリスクを低減できるという効果が期待できる。なお、上記では第1BGM再生中(第1期間)における第1識別情報と第2識別情報の発光態様を示したが、第1識別情報について第1BGM再生中(第1期間)と第1BGMの非再生中(第2期間)の発光態様を分けてもよい。たとえば、機種名称である第1識別情報について、第1期間は個別の発光態様(たとえば図柄変動中でテーマ曲が流れている場合は曲に同調した発光態様とするなど)とすることで主に「演出手段」としての役割を果たし、第2期間(たとえば図柄停止中)は統一した発光態様(曲に同調させない発光態様)とすることで主に「自他商品識別機能」としての役割を果たすようにしてもよい。また、前提として「機種名称」を第1識別情報としているが、「機種名称(主題部分のみ)」を第1識別情報としてもよいし、「機能名称」を第1識別情報としても同様の効果は期待できる。
具体的には、上記別実施形態5の構成例1または構成例2の特徴に加え、または単独の特徴として、次のように構成することができる。
(1)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えるとともに、
始動手段が遊技球を検出したことを契機に、所定の遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記遊技情報に基づき、当り遊技を発生させるか否かに関する抽選を行う抽選手段と、
遊技図柄の変動表示動作を行い、当該遊技図柄の停止表示態様により前記抽選手段による抽選結果を報知するための図柄表示手段と、
前記抽選手段による抽選結果に基づき、リーチ状態を経由して当該抽選結果を報知するリーチ演出指定用のリーチ変動パターンを含む複数種類の変動パターンのうちからいずれかを選択的に決定する変動パターン決定手段と、
前記変動パターン決定手段により決定された変動パターンに基づき、前記図柄表示手段における前記遊技図柄の変動表示動作を制御する図柄表示制御手段と、を備え、
前記図柄表示手段に前記遊技図柄が特定の表示態様で停止表示された後、前記当り遊技を実行制御可能に構成された遊技機であって、
前記前枠または遊技盤面(センターケース)に配置されて視認可能に表示される識別情報を有しており、
前記識別情報の構成要素の全部または一部を光らせることが可能な識別情報発光手段を有し、
前記識別情報発光手段は、前記遊技図柄の変動表示動作の停止中の第1期間(非デモ演出中)において前記識別情報の構成要素を同一系統色で光らせる、
ことを特徴とする遊技機。
(2)前記識別情報が、2文字以上で構成され、かつ機種名称の少なくとも一部を表す第1識別情報と、他の第2識別情報とを含み、
前記第1識別情報は、発光手段によって視認性が変化し、少なくとも非遊技期間中における第1期間において、当該第1識別情報のすべてが同一系統色で視認可能とされ、
前記第2識別情報は、前記発光手段によって視認性が変化し、少なくとも非遊技期間中における第1期間において、当該第2識別情報の一部が前記第2識別情報と異なる系統色で視認可能とされている(上記特徴(i))、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)前記遊技図柄の変動表示動作が一定時間以上行われないことを条件に、前記図柄停止中の前記第1期間から客待ちデモ演出モードの第2期間に移行させて、前記画像表示手段の画面をデモ表示とするデモ演出モード移行手段を備えており、
前記識別情報発光手段は、前記図柄停止中の第2期間(前記客待ちデモ演出モード中)においては前記識別情報の構成要素を個別に光らせるか、または前記識別情報の構成要素の一個または複数個を個別に光らせる、ことを特徴とする上記(2)に記載の遊技機。
(4)前記識別情報発光手段は、前記リーチ演出中(前記遊技図柄の変動表示動作の変動中における特定演出中)の期間以外の期間(たとえば非変動表示動作中の期間)では前記識別情報の構成要素を同一系統色で光らせる、ことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の遊技機。
(5)前記識別情報発光手段は、前記リーチ演出中(前記遊技図柄の変動表示動作の変動中における特定演出中)の期間では、前記識別情報の構成要素の一個または複数個を個別に光らせる、ことを特徴とする上記(4)に記載の遊技機。
(6)前記識別情報発光手段は、前記当り遊技の発生中は前記識別情報の構成要素を同一系統色で光らせる、ことを特徴とする上記(1)~(5)に記載の遊技機。
(7)前記当り遊技中において所定の条件下で音響演出(BGM)を再生させる音響演出手段を有し、
前記識別情報発光手段は、前記音響演出(BGM)の再生中においては前記音響演出の旋律に応じて前記遊技図柄を光らせ、前記音響演出(BGM)の終了後は前記識別情報の構成要素を同一系統色で光らせる、ことを特徴とする上記(1)~(6)に記載の遊技機。
この(7)の構成においては、第1識別情報は第1BGM再生中において同一系統色で視認可能とされ、第2識別情報は第1BGM再生中において少なくとも一部が別系統色で視認可能とされている構成とすることができる。
<7.別実施形態5、6の実施例>
図55~図56は、上記実施形態5、6についての実施例(イ)~(ト)を一覧形式で示したものである。実施例(イ)~(ト)の各図を拡大したものが、図57~図62、図63である。これらにおいては、特定識別情報(第1特定識別情報)の例として「藤丸くん」を扱っている。
実施例(イ)~(ト)には、識別情報としての役割を果たしているか否かの観点から、「○」「△」「×」に区別して、それぞれ3つの事例(a)(b)(c)を示してある。「○欄」の事例(a)は、「藤丸くん」が識別情報としての役割を果たしていると思われるものであり、「△欄」の事例(b)は識別情報としての役割を果たしているか判断の難しいものであり、「×欄」の事例(c)は、識別情報としての役割を果たしていないと思われるものである。
(7-1:間隔について(実施例(イ)、図55、図57)
実施例(イ)(図57参照)は「藤丸くん」を構成する文字列の文字の「間隔」をどのようにすべきかについて例示している。
実施例(イ)において、(a)は「藤丸くん」を構成する文字列の文字の間隔を等間隔に配置した場合を示している(各文字のサイズとフォントは同じである)。文字間隔が同じであるため、(a)の「藤丸くん」は、一続きのまとまりのある文字列として認識される。よって(a)は識別情報としての役割を果たしていると思われるので「○欄」に属する。
図57(b)は「藤丸くん」を構成する文字列において、「藤丸」と「くん」の部分との間で文字間隔を広げた例である。これは「藤丸」を第1表示部とし、「くん」または「く」を第2表示部として、意識的に分けたものと同じ結果になる。もはや「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されず、かろうじて「藤丸」が意味のあるものとして評価される。
図57(c)は「藤丸くん」を構成する文字列において、「藤」と「丸くん」の部分との間で、文字間隔を広げた例である。「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては全く認識されない。「藤」を第1表示部とし「丸くん」を第2表示部として、意味のない分け方をしたのと同じ結果になっている。
よって、実施例(イ)の結論として、特定識別情報の構成要素(文字列)を第1表示部と第2表示部とに分ける場合、第1表示部と第2表示部の表示領域の大きさ(または文字数)が同じかまたは略同じになるようにすることが必要である。また、第1表示部と第2表示部とに分けた場合でも、両者が一つのまとまりのある文字列として認識されるためには、第1表示部の文字間隔と第2表示部の文字間隔が略同じになるようにすることが必要である。
(7-2:2行以上にするときの分け方について(実施例(ロ)、図55、図58)
実施例(ロ)(図58参照)は「藤丸くん」を構成する文字列を2行以上にするときの分け方について例示している。
実施例(ロ)において、(a)では「藤丸くん」を構成する文字列
を真ん中で文字数が同じ「藤丸」と「くん」とに分け、同じ遊技盤面内において上下2行に配置している(各文字のサイズとフォントは同じである)。このため、(a)の「藤丸くん」は、2行に配置されているものの、全体としてまとまりのある文字群として認識される。よって(a)は識別情報としての役割を果たしていると思われるので「○欄」に属する。
図58(b)は「藤丸くん」を構成する文字列を「藤丸」と「くん」とに分け、「藤丸」を前枠に配置する一方、「くん」を遊技盤面に配置している。すなわち、「藤丸くん」を構成する文字列を前枠と遊技盤面に跨って配置している。このため、「藤丸」と「くん」とがそれぞれ別のものとして強調され、「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されなくなる。
図58(c)は「藤丸くん」を構成する文字列を「藤丸く」と「ん」とに分け、「藤丸く」を前枠に、そして「ん」を遊技盤面に配置している。これも「藤丸くん」を構成する文字列を前枠と遊技盤面に跨って配置した例であるため、「藤丸く」と「ん」とがそれぞれ別のものとして強調され、「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されない。
よって、実施例(ロ)の結論として、特定識別情報の構成要素(文字列)を第1表示部と第2表示部とに分ける場合、前枠と遊技盤面に跨らないように配置する(いずれか一方に配置する)ことが必要である。もしも、定識別情報の構成要素(文字列)を第1表示部と第2表示部とに分け、前枠と遊技盤面に跨るように配置する必要がある場合には、第1表示部と第2表示部の表示領域の大きさ(または文字数)が同じかまたは略同じになるようにすることが必要である。
(7-3:2行以上にするときの距離感について(実施例(ハ)、図55、図59)
実施例(ハ)(図59参照)は「藤丸くん」を構成する文字列を2行以上にするときの距離感について例示している。
実施例(ハ)において、(a)では「藤丸くん」を構成する文字列
を文字数が同じ「藤丸」と「くん」とに分け、同じ遊技盤面内において上下2行に配置している(各文字のサイズとフォントは同じである)。具体的には、「藤丸」と「くん」とを同じ液晶表示装置1032の上側に配置している。このため「藤丸」と「くん」の距離間は比較的短く、視覚上の距離感も、2行をまとまりのあるものとして認識される。よって(a)は識別情報としての役割を果たしていると思われるので「○欄」に属する。
図59(b)は「藤丸くん」を構成する文字列を「藤丸」と「くん」とに分け、「藤丸」を液晶表示装置1032の上側に、「くん」を液晶表示装置1032の表示面内に配置している。別々の素材に配置されているため、「藤丸」と「くん」との距離感が強まっている。よって「藤丸」と「くん」とがそれぞれ別のものとして強調され、「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されなくなる。
図59(c)は「藤丸くん」を構成する文字列を「藤丸」と「くん」とに分け、「藤丸」を液晶表示装置1032の上側に、「くん」を液晶表示装置1032の下側に配置している。液晶表示装置1032の両側に離れて配置されているため、「藤丸」と「くん」との距離感は非常に遠いものとなる。よって「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されなくなる。
よって、実施例(ハ)の結論として、特定識別情報の構成要素(文字列)を第1表示部と第2表示部とに分ける場合、液晶表示装置1032の上側と下側(または液晶表示装置1032の左側と右側)とに分けずに、いずれか一方の側に双方を配置する。また、まとまったものとして認識され易くするため、平面表記(たとえば面への印刷、印刷物の添付)と立体表記(構造物)とに分けずに、いずれか一方に統
(7-4:2行以上にするときの平行感について(実施例(ニ)、図56、図60)
実施例(ニ)(図60参照)は「藤丸くん」を構成する文字列を2行以上にするときの平行感について例示している。
実施例(ニ)において、(a)では「藤丸くん」を構成する文字列
を「藤丸」と「くん」とに分け、同じ遊技盤面内において「藤丸」を傾斜して配置し、「くん」を「藤丸」の傾斜と同じ向きに傾斜させて配置している(各文字のサイズとフォントは同じである)。このため「藤丸」と「くん」の2つの文字列部分がまとまりのあるものとして認識される。よって(a)は識別情報としての役割を果たしていると思われるので「○欄」に属する。
図60(b)は「藤丸くん」を構成する文字列を、遊技盤面にアーチ状に(発射レールの円弧に沿った形で)配置している。よって「藤丸」と「くん」とがそれぞれ別のものとして認識される度合は弱まっており、「藤丸くん」というまとまりのある文字列として認識され易い。
図60(c)は「藤丸くん」を構成する文字列を「藤丸」と「くん」とに分け、同じ遊技盤面内において「藤丸」を傾斜して配置し、「くん」を「藤丸」の傾斜と異なる向きに配置している。具体的には、「藤丸」はアーチ状に(発射レールの円弧に沿った形で)傾斜して配置され、「くん」は横方向につまり傾斜角ゼロで配置されている。このため、「藤丸」と「くん」との平行感がくずれ、「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されなくなる。
よって、実施例(ニ)の結論として、特定識別情報の構成要素(文字列)を第1表示部と第2表示部とに分ける場合、互いに平行になるように配置する必要がある。つまり傾斜して配置したい場合は、第1表示部を傾斜して配置し、かつ、第2表示部を第1表示部の傾斜と同じ向きに傾斜させる。あるいは第1表示部と第2表示部とをアーチ状に、つまり同心円に沿って傾斜させてもよい。
(7-5:文字サイズについて(実施例(ホ)、図56、図61)
図61(a)は、前枠に配置する「藤丸くん」について、「藤丸くん」を構成する文字のサイズおよび文字間隔を同じにして、統一感を出している。
図61(b)は、「藤」「丸」「くん」の順に、文字サイズを徐々に小さくし、文字間隔もこの順序で大から小へと変化している。よって統一感は弱くなっている。
図61(c)は、「藤」の文字サイズを大きく、「丸くん」の文字については、縦サイズで「藤」の1/2程度に、文字サイズを小さくしている。このように文字サイズが極端に不揃いであると、「藤丸くん」というまとまりのある文字列としては認識されなくなる。
よって、実施例(ホ)の結論として、特定識別情報を構成する各構成要素(文字)のサイズは統一する必要がある。また、特定識別情報を構成する各構成要素(文字)のサイズを変える場合は、等間隔で小さくまたは大きくする。
(7-6:文字フォントについて(実施例(ヘ)、図56、図62)
図62(a)は、前枠に配置する「藤丸くん」について、「藤丸くん」を構成する文字のフォント(字体)および色を同じにして、統一感を出している。どのようなフォントを用いるかは自由であり、たとえば図79に示すようなものを採用することができる。
図62(b)は、「藤丸」に太字のフォントを、「くん」に細字のフォントを用いて、「藤丸くん」を2行に表示している。すなわち、(a)のように字体の統一、色の統一はなされていないが、統一感を出すために、ひとまとまりであることが分かるように、2行全体を囲み線(枠線)を設けている。このように囲みを設けることで一体感を出すことができる。
図62(c)は、「藤」に細字のフォントを、「丸く」に太字のフォントを、「ん」に細字のフォントを用いて、「藤丸くん」を1行に表示している。(a)のように字体の統一、色の統一はなされていない。また、統一感を出すための囲み線(枠線)も設けられていない。
よって、実施例(ヘ)の結論として、一体感を出すためには特定識別情報を構成する各構成要素(文字)の字体を統一すること、および色を統一することが必要である。特定識別情報を構成する各構成要素(文字)の一部の字体または色が異なる場合、ひとまとまりであることが分かるように、(i)囲み線(実線または構造物の凹凸による境界線を含む)を設けること、(ii)同一の背景色とすること、(iii)同一の装飾とすること(たとえば一文字ずつ銀メッキで縁取るなど)などが必要である。
(7-7:発光態様について(実施例(ト)、図56、図63)
実施例(ト)(図63参照)は「藤丸くん」を構成する文字列を光らせるときの発光態様について例示している。ここにいう「発光態様」は自ら光を発する形態と、他から明るく照らされる形態とを含むものである。
図63(a)は、「通常の遊技状態」の期間または「デモ表示中」の期間における表示を扱っている。識別情報の「藤丸くん」が一続きの文字列として前枠に表示されている。
図63(b)は「予告演出中」(図柄変動中)の期間での表示を扱っている。すなわち、図63(b)は「予告演出中」の期間中に、「藤丸くん」のうちの「くん」の文字部分が他の「藤丸」の文字部分よりも明るく光る、という状況を説明している。予告演出は「当選期待度」を遊技者に伝達することを目的としおり、「くん」の文字部分が光った場合、その光ったこと自体や色に注意が向けられることになり、「くん」の意味する内容には意識が行かない。このため、商標的使用態様であると認識される恐れはない。
これに対し、図63(c)は「待機中」、すなわち「デモ表示中」(図柄停止中≠大当り中)の期間へと移行した後の表示を扱っている。「藤丸くん」のうちの「くん」の文字部分が他の「藤丸」の文字部分よりも明るく光っている。この「デモ表示」の期間中は非遊技期間であるので、「くん」の文字の使用が商標的使用態様であると認識される恐れがある。
上記のことから次のことが言える。(i)所定タイミングにおいて、特定識別情報全体を同一系統色で発光させる表示態様とすることができる。(ii)所定タイミングにおいて、特定識別情報全体を点灯(または消灯)させる表示態様とすることができる。ここで「所定タイミング」とは、図柄停止中(≠大当り中)の場合と図柄変動中の場合とがあり、ある幅をもったタイミングを指す。すなわち、図柄停止中(≠大当り中)においては、その少なくとも半分以上の時間を占める期間(つまり幅をもったタイミング)を指し、また図柄変動中)においては、その少なくとも半分以上の時間を占める期間(つまり幅をもったタイミング)を指す。(iii)具体的には、図柄停止中は特定識別情報全体を一様に点灯させ、図柄変動中は特定識別情報の少なくとも一部を点滅(もしくは異なる色で点灯)させることができる。
<8.別実施形態7、8>
(8-1:従来の問題点)
従来、弾球遊技機においては前枠や遊技盤面に機種名称をロゴとして配置するものがあった。また、機種名ロゴが予告演出やリーチ演出に対応して種々の発光態様を為すことも知られている。さらにまた、機種名ロゴを可動(または変形・合体)させるものも知られている(たとえば、特開2018-175949号公報)。
遊技機に対し文字、図形、記号等を構成要素とする識別情報を表示する場合に、識別情報の配置箇所をどこにするか、識別情報を2以上配置するか、表示態様をどのようにするかは自由である。加えて、近年の遊技機は、正面から見た表示可能領域が増しており、これに伴い識別情報の配置箇所や配置個数の自由度も増している。この結果、配置箇所や配置個数あるいは表示態様によっては、元来の識別情報としての機能が弱められ、異なる識別情報と誤認されてしまう恐れがある。
そこで、別実施形態7では、弾球遊技機の液晶表示装置の画面以外の場所に配置された特定識別情報を目立たせることにより、また別実施形態8では、特定識別情報の他に非特定識別情報を有する場合に非特定識別情報の方を目立たせないことにより、この課題を解決する。
(8-2:評価基準)
まず評価の基準となりうるものについて触れておく。
(配置箇所の優位度)
図36(A)に示すように、枠1010は、側方から見た場合、その枠上部1011が枠中部1012および枠下部1013に対して前面側に膨出しており、その枠上部正面1011aが枠中部1012および枠下部1013の正面よりも前側に突き出て位置している。この結果、遊技機は、その枠上部1011が突出して枠上部正面1011aが遊技者側に近づくことで、遊技者に対し自己の遊技機の存在を強く主張している。
図36(A)は、遊技機の付近で取引業者または遊技者が立っている場合のその者の目線の高さ位置Aを示し、図36(B)は、遊技機に対して取引業者または遊技者が座っている場合のその者の目線の高さ位置Bを示している。取引業者が遊技機を購入する場合、試打室にホールと同様に設置された遊技機に対し、立った状態で遊技台を選択し、座って試し打ちをするのが普通である。また、遊技者がホールにおいて遊技機で遊ぶ場合も同様で、立った状態で遊技台を選択し、座って打ち始める。この辺の事情は取引業者と遊技者とで変らないので、以下では遊技者から遊技機を見た場合を中心に説明をする。
遊技者は、ホールにおいて遊技機を探す場合、立った状態で遊技機を視察・確認する。このとき遊技者の目線の高さ位置は図36(A)のA位置にある。この目線高さ位置Aは、遊技機の枠1010のうち特に枠上部1011に近い。このため「立った状態」で遊技機を見た場合、遊技者の目を刺激する刺激度合は、遠くからでも視認しやすい枠1010、特に枠上部1011が目に付き易く、刺激度合が最も高くなる。この点に加えて、図36(A)に示した枠上部1011の場合、枠上部正面1011aが正面側に突出している構造となっている。この構造の遊技機の場合は、正面部位のうち前側に突出している枠上部正面1011aが特に目に付き易い。よって、枠上部正面1011aが突出している構造の枠上部1011は、枠上部正面1011aが突出していない構造の枠上部1011に比べて刺激度合が高くなる。
目線高さ位置Aから見て、次に目を引く部位は枠中部1012であり、さらには枠1010で囲まれた内側の部位である遊技盤1020の領域、メイン液晶表示装置1031、サブ液晶表示装置1032の表示面に向かうであろうと推測される。
次に遊技者が座った場合には、遊技者の目線が遊技盤1020に向かった高さ位置B(図36(B))になる。このとき枠上部正面1011aは視認できなくなる。目を引く部位は遊技機正面の中程であり、枠中部1012の表示領域や、枠1010で囲まれた内側の部位である遊技盤1020の領域、すなわち遊技領域1021や非遊技領域1022が目に付き易くなり、さらにはメイン液晶表示装置1031やサブ液晶表示装置1032の画面内の表示が目に付き易くなり、さらには操作手段1040である下操作手段1041、上操作手段1042の面が目に付き易くなると推測される。
一方、遊技機に目立つように文字や図形や記号からなる識別情報を配置または表示したい場合がある。これには、商品識別表示や出所表示との関りが深いと思われる遊技機の「機種名や製造会社名など」を表示する場合だけでなく、出所表示等との関わりはそれ程深くないと思われる「プレミアムキャラクターや物語の主人公の名前など」を表示する場合や、表示態様が物品装飾する意匠とも見られるような場合も含まれる。
そのような識別情報の「配置箇所(配置または表示する場所)」として適している遊技機の部位を、立ち位置での目線高さ位置Aにおいて目に付き易いか否か(遊技者の目を刺激する刺激度合)によって区分すれば、(1)枠1010(枠上部1011、枠中部1012、枠下部1013)、(2)遊技盤1020(遊技領域1021、非遊技領域1022)、(3)液晶表示装置1030(メイン液晶表示装置1031、サブ液晶表示装置1032)、(4)操作手段1040(下操作手段(演出ボタン)1041、上操作手段1042)があり、(1)(2)(3)(4)の順に「識別情報の伝達力(商標の指標力に相当する力)」が強くなる。つまり枠>遊技盤>液晶表示装置>操作手段の順序に識別情報の伝達力が強くなり、配置箇所としての「優位度」が高くなる。
(大きさの優位度)
次に、識別情報の「大きさ」つまり表示サイズの観点から考える。識別情報が持つ識別力ないし情報伝達効果(識別情報の自己アピール度)は、識別情報が大きいサイズで表示されているほど強くなる。したがって「大きさ」に関しては、大きいサイズであるほど「優位度」が高くなる。たとえば大きさを「大」「中」「小」の3つに区分して考えた場合、先に記載のものほど識別情報が持つ識別力が強くなる。すなわち、大きさが小<中<大の順に識別情報の自己アピール度が強くなり、表示態様を決める際の「優位度」が高くなる。
(表示期間の優位度)
次に、識別情報が表示される「表示期間」の観点から考える。識別情報が持つ識別力の程度ないし情報伝達効果(識別情報の自己アピール度)を「表示期間」の長短で考えると、表示されている期間が長いほど識別情報の自己アピール度は強くなる。したがって、「表示期間」に関して表示態様を決める際には、表示されている期間が長いほど有利、つまり「優位度」が高いものとして扱うことになる。
遊技機の場合、識別情報の表示態様には、表示期間として識別情報が「常時」表示されている場合と、特定の条件下で「一時的」に識別情報が表示される場合とがある。両者を比べれば、識別情報が「常時」表示される場合の方が「一時的」に表示される場合よりも識別力の度合が強い。
前者の「常時」表示されているケースとしては、次のように静的表示態様のものと動的表示態様のものがある。(a)識別情報が定常的に存在するように平面的または立体的に描かれている「静的表示態様」、(b)識別情報が内蔵するランプにて照らされてまたは自ら発光することによって点灯し、識別情報が連続的に明るく表示(連続点灯)している「静的表示態様」、(c)識別情報が内蔵するランプによってまたは自ら発光することによって点灯し、識別情報が点滅表示または間欠的表示されている「動的表示態様」などである。
また後者の特定の条件下で「一時的」に識別情報が表示されるケースとしては、画像表示装置1030の画面において、所定の条件下で所定期間だけ識別情報が表示される場合がある。たとえば、(a)リーチ演出期間中の抽選に当選したことを条件として、リーチ演出中に、当選期待度が極めて高い特定演出として識別情報が表示される場合や、(b)一定時間遊技が行われていないことを条件として、画像表示装置1030に発生されるデモ画面において識別情報が表示される場合や、(c)大当り遊技中のオープニング期間またはエンディング期間において、画像表示装置1030の画面に識別情報が表示される場合などがある。
そして識別情報の「表示期間」については、「一時的」に表示される度合つまり表示頻度が多くなるほど、識別情報の自己アピール度が強くなりる。つまり「一時的」に表示される度合が低頻度の場合より高頻度の場合の方が識別情報の自己アピール度が強くなり、「常時」表示される状態に至って最も識別情報の自己アピール度が強くなる。よって、識別情報の「表示期間」については、常時>一時的(高頻度)>一時的(低頻度)の順に優位度が高くなる。
この画像表示装置1030による「一時的」表示である場合は、識別情報が画面に画像で表示されるため、識別情報は、必ずしも表示されている期間中にわたり同じ表示態様を保っている必要はない。たとえば識別情報が複数個の文字からなる場合、それらの文字が一定の大きさや並びや形を保って「一時的」に表示され続けている「静的表示態様」とすることもできるし、「一時的」な表示ではあるが、表示中は大きさや形などが変化する「動的表示態様」であってもよい。
要するに「常時」表示されている場合の方が「一時的」に表示される場合に比べ、識別情報の自己アピール度は強くなる。そして、識別情報が表示される期間は、「一時的」に表示される度合(表示頻度)が多くなるほど、識別情報の自己アピール度が強くなり、「常時」表示される場合に識別情報の自己アピール度が最も強くなる。
(評価基準のまとめ)
上記の配置箇所、大きさ、表示期間の場合について整理すると、遊技機に識別情報を設けて目立たせたい場合、識別情報を何処にどの様に表示したら効果的で有利かという表示態様の優位度について、次の3つの評価基準(判断尺度)1~3を考慮する(図36(A)の下部の記載を参照)。
(評価基準1:配置箇所)
識別情報の「配置箇所」については、枠>遊技盤>液晶表示装置>操作手段の順序に識別情報の自己アピール度が強くなり、優位度もこの順序に高くなる。「配置箇所」について表示態様を決める際には、この優位度の序列に従う。
(評価基準2:大きさ)
識別情報の「大きさ」については、表示する大きさを「大」「中」「小」の3つに区分した場合、大>中>小の順に識別情報の自己アピール度が強くなる。よって識別情報の「大きさ」について表示態様を決める際には、この優位度の序列に従う。
(評価基準3:表示期間)
識別情報の「表示期間」については、表示される度合が高まるほど識別情報の自己アピール度が強くなり、「常時」表示されている場合が最も強くなる。したがって、識別情報の「表示期間」については、常時>一時的(高頻度)>一時的(低頻度)の順に自己アピール度が強くなるので、表示態様を決める際には、この優位度の序列に従う。
(8-3:液晶表示装置の画面以外の場所に配置された特定識別情報を目立たせる実施形態(別実施形態7)、図64、図65)
液晶表示装置の画面以外の場所に配置される識別情報について、その配置箇所等を適正にして目立つようにする表示態様(別実施形態5)について説明する。ここでは特定識別情報(商標リスクの低いもの)と、非特定識別情報(商標リスクの高いもの、または商標リスクが不明なもの)とを扱う。商標リスクとは、商標的使用として評価されて商標権の侵害となる恐れの程度をいう。特定識別情報も非特定識別情報も識別標識の一種であり、その商標リスクに差があるだけである。よって「特定識別情報と非特定識別情報」を、「第1特定識別情報と第2特定識別情報」と称することもできる。
図64の例では、理解を容易にするため、第1特定識別情報として機種名「藤丸くん先生」を扱い、また第2特定識別情報としてサブタイトル「勧善懲悪」を扱う。しかし、商標リスクに差から、機種名「藤丸くん先生」を特定識別情報として扱い、サブタイトル「勧善懲悪」を非特定識別情報として扱うこともできる。
図64(a)は、第1特定識別情報である機種名の「藤丸くん先生」を枠上部1011に配置し、第2特定識別情報であるサブタイトルの「勧善懲悪」を遊技盤面に配置している。サブタイトルの「勧善懲悪」は、液晶表示装置1032の下方において「勧善」と「懲悪」に分けて配置されている。この図64(a)の例では、機種名の「藤丸くん先生」がサブタイトルの「勧善懲悪」よりも上に在るため、また、「藤丸くん先生」のサイズが「勧善懲悪」よりも大きいため、「藤丸くん先生」が機種名として認識されやすい。
これに対し、図64(b)では、第1特定識別情報と第2特定識別情報の配置関係が逆転しており、第2特定識別情報であるサブタイトルの「勧善懲悪」が枠上部1011に配置され、第1特定識別情報である機種名の「藤丸くん先生」が遊技盤面、正確には液晶表示装置1032の上方に配置されている。また「藤丸くん先生」のサイズは「勧善懲悪」よりも小さいため、「藤丸くん先生」が機種名としては認識され難い。
よって、第1特定識別情報と第2特定識別情報とを配置する場合、目立たせたい第1特定識別情報の方を第2特定識別情報よりも上側に、かつ大きく表示することが必要である。また、識別情報と第2特定識別情報とを配置する場合、目立たせたい第1特定識別情報の方を第2特定識別情報よりも上側に、かつ大きく表示することが必要である。
図65(a)は、第1特定識別情報である機種名の「藤丸くん先生」を枠上部1011に配置し、非特定識別情報の「運命」を遊技盤面の遊技球転動面に配置している。そして、第2特定識別情報の「炎獄鬼神の怪」を、遊技盤面において立体的にして手前側に膨出させた面に設けることで、非特定識別情報の「運命」よりも手前側に配置している。「炎獄鬼神の怪」を枠で囲っているのは手前側に膨出していることを表している。そして文字サイズは、「藤丸くん先生」>「炎獄鬼神の怪」>「運命」の関係にあり、「藤丸くん先生」が最も大きいサイズになっている。よって「藤丸くん先生」が機種名として認識されやすい。
これに対し、図65(b)では、第1特定識別情報と第2特定識別情報と非特定識別情報の配置関係は図65(a)と同じであるが、文字サイズが、「藤丸くん先生」>「運命」>「炎獄鬼神の怪」の関係にあり、「炎獄鬼神の怪」のサイズが「運命」よりも小さくなっている。また非特定識別情報の「運命」は枠で囲って示すように、立体的に手前側に隆起した面に形成され、第2特定識別情報がより手前側に配置している。このため、識別情報の一つでありがなら、第2特定識別情報の「炎獄鬼神の怪」については、これを識別情報として認識してもらうことが難しい。
よって、第1特定識別情報と第2特定識別情報と非特定識別情報とを配置する場合、つまり第1特定識別情報と第2特定識別情報の双方とも識別情報として認識してもらうためには、第2特定識別情報を非特定識別情報より大きくし、あるいは第2特定識別情報を非特定識別情報より手前側に配置する(たとえば立体的にする)ことが必要である。
(8-4:非特定識別情報を目立たせない実施形態(別実施形態8)、図66)
液晶表示装置の画面以外の場所に配置される識別情報について、非特定識別情報を目立たせないようにする表示態様(別実施形態8)について説明する。ここでは特定識別情報(商標リスクの低いもの)として機種名「藤丸くん先生」を扱い、また非特定識別情報(商標リスクの高いもの、または商標リスクが不明なもの)として製造会社のロゴ(シンボルマークと文字の組合せ、シンボルマークのみ、文字のみ)を扱う。ここで扱うロゴは、図66に示す「ドットマーク」と「FUJI」の文字を組合せたものであるが、説明の便宜上「FUJI」と略記する。
図66(a)(b)は、識別情報である機種名「藤丸くん先生」を遊技盤面において晶表示装置1032の上側に配置し、非特定識別情報のロゴ「FUJI」を液晶表示装置1032の画面内に現出させる形態を例示している。家紋や製造会社のロゴは商標登録その他の登録がなされている場合が多く、液晶表示装置1032の画面内に長時間表示させていると、その登録された商標等を使用していると見られる。特に、図66(c)に示すように、これらの非特定識別情報が一定以上の大きさ(たとえば直径5cm以上)で常時視認可能である場合や、図66(d)に示すように非特定識別情報が前枠に配置されている場合や、立体構造物として表わされている場合には、そのように見られ易い。
そこで、図66(a)に示すように、通常はロゴの「FUJI」が一部しか見えない状態で表示しておく。そして、必要に応じて、一時的に図66(b)に示すように、ロゴの「FUJI」が画面内に現出する面積が増えて来て、最終的にロゴ「FUJI」の全体が視認できるように変化させる構成にする。このように非特定識別情報の表示を一過性のものとすれば、ロゴであっても商標的使用態様であるとみられる可能性が低くなる。
よって、商標リスクの低い特定識別情報と商標リスクの高い非特定識別情報とを扱う場合には、非特定識別情報を目立たせないようにする。そのためには、(i)非特定識別情報を前枠に配置しない、(ii)遊技盤面において、非特定識別情報を立体構造物ではなく平面的な表示態様にて配置する、(iii)遊技盤面において非特定識別情報を一定以下の大きさで配置する、(iv)非特定識別情報は常時表示する表示態様(立体構造物として配置)とせず、液晶表示装置1032にて表示する、(v)非特定識別情報は完成体として配置せず、演出時において完成体となって視認可能になるようにする、といったことが必要である。
(9:別実施形態7、8の構成例)
図64、図65、図66で述べた別実施形態7、8は、具体的には次のように構成することができる。
(1)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報(第1識別情報)と非特定識別情報(第2識別情報)とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記前枠に配置されており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記前枠に配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(2)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記遊技盤面に配置されており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記前枠に配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(4)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(3)に記載の遊技機。
(5)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記画像表示装置に表示される構成であり、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記前枠に配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(6)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(5)に記載の遊技機。
(7)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
前記画像表示手段に演出を発生させる演出制御手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記画像表示装置に表示され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記前枠に配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置され、
前記特定識別情報は視認可能に常時表示され、前記非特定識別情報は前記演出制御手段により発生される演出時に表示される、
ことを特徴とする遊技機。
(8)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記遊技盤面に設けられたセンターケースと、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記前枠に配置されており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記センターケースに配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(9)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(8)に記載の遊技機。
(10)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記遊技盤面に設けられたセンターケースと、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記遊技盤面に配置されており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記センターケースに配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(11)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(9)に記載の遊技機。
(12)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記遊技盤面に設けられたセンターケースと、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記画像表示手段に表示され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記センターケースに配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(13)前記特定識別情報は非可動体として配置され、前記非特定識別情報は可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(12)に記載の遊技機。
(14)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
前記画像表示手段に演出を発生させる演出制御手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記画像表示装置に表示され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記センターケースに配置され、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも大きく配置され、
前記特定識別情報は視認可能に常時表示され、前記非特定識別情報は前記演出制御手段により発生される演出時に表示される、
ことを特徴とする遊技機。
(15)遊技領域が前面部に設けられた遊技盤を保持する本体枠と、
前記本体枠の前面側に開閉可能に配置され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を備える前枠と、
所定の画像を表示可能な表示領域を有する画像表示手段と、
を備えた遊技機であって、
当該遊技機に視認可能に表示される特定識別情報と非特定識別情報とを有しており、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも商標的使用とみられ易い識別情報であり、
前記非特定識別情報は前記前枠以外の箇所に配置し、
前記特定識別情報は前記非特定識別情報よりも上方において前記画像表示手段に表示され、
前記非特定識別情報は前記特定識別情報よりも小さく配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
(16)前記非特定識別情報は非可動体として配置されている、ことを特徴とする上記(15)に記載の遊技機。
<10.別実施形態7、8の実施例1、図67~図70>
この実施例1(図67~図70)は、第1識別情報が「前枠」に配置されている場合について示したものである。
この例では、最も目立たせたい識別情報(第1識別情報)として遊技機の「機種名(藤丸くん)」を扱う。また同時に、機種名以外の識別情報(製造会社名など)も扱う。最も目立つように表示したい識別情報が機種名(藤丸くん)」であることを前提としていることから、他のいずれの識別情報(たとえば「製造会社名」など)よりも「機種名」が目立たせるように工夫する。そこで、評価基準(評価尺度)1~3に照らし、機種名の「配置箇所」「大きさ」「表示期間」の各々について、それぞれ優位度が最上位のものを採用する。具体的には、機種名の「配置箇所」については「枠」を、「大きさ」については「大」を、「表示期間」については「常時」を選択する。
この選択結果として、図35(B)、図36(A)の例では、枠上部1011に、正確には枠上部正面1011aに、機種名1080として「藤丸くん」の文字を立体的に設けている(評価基準1:配置箇所「枠」)。また、この第1識別情報である機種名「藤丸くん」の大きさは、枠上部正面1011aの上下方向幅に対して一杯かまたはそれよりはみ出る程度の大きさ、つまり最大サイズにしてある(評価基準2:大きさ「大」)。また「藤丸くん」の文字は凸凹表記(凸設または凹設)による物理的な構造として、つまり常時継続して枠上部正面1011aに存在するように設けている(評価基準3:表示期間「常時」)。これにより、「藤丸くん」の文字が最も目立つ表示態様にて設けられていることになり、遊技機の機種名が「藤丸くん」であることが、遊技者に最大限にアピールされる。
図67は、遊技機に第1識別情報として「機種名」を付すると共に、第2識別情報として「機種名以外」の情報をも付する場合の表示態様を一覧表にしたものである。図67の左側欄には、第1識別情報である「機種名」の「藤丸くん」をどのように付するかについて、その表示態様の一例が示されている。また図67の右側欄には、「機種名以外」の識別情報(第2識別情報)をどのように付するかについて、その種々の表示態様が一覧表としてまとめられている。
この図67の「左側欄」の第1識別情報である機種名「藤丸くん」は、図35(B)~図36(A)で説明したところと同じ表示態様であるので説明を省略する。図67の「右側欄」の一覧表においても、第1識別情報は左側欄において示したものと同じ機種名「藤丸くん」であり、同じ表示態様であることを前提としている。つまり図35(B)、図36(A)で示したものと同じ「藤丸くん」になっており、枠1010の枠上部正面1011aに(配置箇所:「枠」)、最大サイズにて(大きさ:「大」)、常に現れている形(表示期間:「常時」)にて設けられている。
またこの一覧表(図67の右側)においては、「機種名以外」の識別情報(第2識別情報)として「製造会社名」を取り扱っている。この第2識別情報の「製造会社名」の表示の仕方については、配置箇所の違いや、第1識別情報に対する大きさの違いがあり、それらは第1識別情報の「藤丸くん」に対する組合せとして特徴付けられる。そこで、これらの違いを、第2識別情報の「配置箇所」を遊技機の何処にするかについての(イ)(ロ)(ハ)の行(横グループ)と、第2識別情報の「大きさ」を如何にするかについての(α)(β)(γ)の列(縦グループ)との組合せによって区分し、表示態様の特色を明らかにしている。
詳しくは、第2識別情報の製造会社名を表示する「配置箇所」として(イ)枠、(ロ)遊技盤面、(ハ)液晶表示装置の3行に分けてある。また第1識別情報と第2識別情報を両者の相対的な比較において第2識別情報の製造会社名をどのような「大きさ」にするかについて、(α)「第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」と、(β)「第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」と、(γ)「第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」との3列に分けてある。また「表示期間」を「通常」と「一時的」のいずれにするかついても区分番号1~6にて区分されている。
上記一覧表(図67の右側)において、表示例a、b、cは第2識別情報(機種名以外)が枠中部1012に設けられている横グループ(イ)に属し、表示例d、e、fは第2識別情報(機種名以外)が遊技盤面(遊技盤1020)に設けられている横グループ(ロ)に属し、表示例g、h、iは第2識別情報(機種名以外)が液晶表示装置1030に表示されている横グループ(ハ)に属する。また表示例a、d、gは(α)「第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の縦グループに属し、表示例b、e、hは(β)「第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の縦グループに属し、表示例c、f、iは(γ)「第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」の縦グループに属する。
以下、表示例a~iについて個々に説明する。
(10-1:表示例a、図68)
図68は、図67の右欄(イ)行のグループに属する表示例a、b、cの部分を拡大して示したものである。
図68の表示例a(図67のイ行α列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられており、また第2識別情報である製造会社名が、「株式会社藤商事」の文字を枠中部1012の表面に凸設または凹設することにより設けられている。第1識別情報の「藤丸くん」の大きさは、枠上部1011(枠上部正面1011a)幅(上下方向幅)に対して最大サイズ(大きさ:「大」)にて配設され、また、第2識別情報の「株式会社藤商事」の文字はこの第1識別情報の「藤丸くん」よりも大きいサイズにて設けられている。この表示例aでは第2識別情報の「株式会社藤商事」は枠中部1012の横幅より若干はみ出した大きさとなっている。しかし、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「株式会社藤商事」の大きさは、(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)の関係を保つ限り、枠上部1011または枠中部1012の横幅内に収まっている大きさ、または横幅よりはみ出した大きさ、のいずれをも採用することができる。
この表示例aでは、識別情報の大きさが「(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり(図67α列)、機種名の「藤丸くん」よりも製造会社名の「株式会社藤商事」の方が大きい。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る。つまり製造会社名の「株式会社藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度の方が、枠中部1012に設けられている製造会社名の「株式会社藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例aは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。なお、第1識別情報は非可動体として配置し、第2定識別情報は可動体として配置することができる。
(10-2:表示例b、図68)
図68の表示例b(図67のイ行β列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を「枠上部1011」の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報が、「藤商事」の文字を「枠中部1012」の表面に凸設または凹設することにより設けられている。製造会社名の「株式会社藤商事」から「株式会社」の文字が省かれて「藤商事」だけになっていることから、製造会社名の表示であるかどうかが分かり難くなっており、その分だけ商標的使用態様に近づいている。しかし、製造会社名を表示していると考えられる点では、表示例aの場合と同じになる。そこで以下では、説明の便宜上、第2識別情報の「藤商事」なる表示は会社名を表したものとして説明する。
しかし表示例bでは、大きさが「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、第1識別情報の「藤丸くん」の大きさに対して第2識別情報の「藤商事」の大きさが相対的にほぼ同じになっている。なお、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」の表示は、「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係を保つ限り、必ずしも枠上部1011または枠中部1012の横幅内に収まっている必要はなく、横幅よりはみ出した大きさ、のいずれをも採用することができる。
この表示例bでは、「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、機種名の「藤丸くん」と製造会社名の「藤商事」とがほぼ同じ大きさとなっている。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、枠中部1012に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例bは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-3:表示例c、図68)
図68の表示例c(図67のイ行γ列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名が「藤商事」の文字を枠中部1012の表面に凸設または凹設することにより設けられている。第1識別情報の「藤丸くん」の大きさは、枠上部1011(枠上部正面1011a)幅(上下方向幅)に対して最大サイズ(大きさ:「大」)にて配設されている。また、第2識別情報の「藤商事」はこの第1識別情報の「藤丸くん」よりも小さいサイズにて設けられている。すなわち、「(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」の関係になっている。この第2識別情報である「藤商事」の表示サイズが機種名の「藤丸くん」より小さくなっている点で、表示例bと異なる。
この表示例cでは第2識別情報の「藤商事」は枠中部1012の横幅内に収まっている。しかし、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」の大きさは、(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)の関係を保つ限り、枠上部1011または枠中部1012の横幅内に収まっている大きさ、または横幅よりはみ出した大きさ、のいずれをも採用することができる。
この表示例cでは、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。加えて、第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)の関係にあり、機種名の「藤丸くん」の方が製造会社名の「藤商事」よりも大きい。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、枠中部1012に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例cは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-4:表示例d、図69)
図69の表示例d(図67のロ行α列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が、遊技盤面(遊技領域1021)に、正確には液晶表示装置よりも下方の位置にて設けられている。このように「藤商事」の文字を遊技盤面に設ける方法としては、遊技盤1020の表面に「藤商事」の文字を凸設または凹設することにより設ける方法、遊技盤1020の表面に「藤商事」の文字を埋め込むことにより段差なくまたは段差有りの形で設ける方法、遊技盤1020を全面的に被うように通常は透明な液晶表示シート(電子ペーパー)を設け、必要に応じて当該液晶表示シートに「藤商事」の文字を表示させる方法のいずれであってもよい。
電子ペーパは、透過型表示装置として前枠2と遊技盤3との間に、遊技盤の遊技領域3aを前面側から透視できるように設けられる。電子ペーパの方式としては種々のものがあり、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式のいずれかの方式を用いることができる。なお、これらの方式は現在では公知であるので、これらの方式についての詳細な説明は省略する。
第1識別情報の「藤丸くん」の大きさは、枠上部1011(枠上部正面1011a)幅(上下方向幅)に対して最大サイズ(大きさ:「大」)にて配設され、また、第2識別情報の「藤商事」はこの第1識別情報の「藤丸くん」よりも大きいサイズにて設けられる。また「藤商事」の文字は「藤」「商」「事」が一直線状になく、メイン液晶表示装置1031を取り囲むように配置されている。しかし、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」の大きさは、「(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の関係を保つ限り、遊技盤面(遊技領域1021)内に収まって正面から見える状態である必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり機種名や製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で設けることができる。
この表示例dでは、「(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、機種名の「藤丸くん」よりも製造会社名の「藤商事」の方が大きい。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にあるため、その自己アピール度は、遊技盤面(遊技領域1021)に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例dは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-5:表示例e、図69)
図69の表示例e(図67のロ行β列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が遊技盤面(遊技領域1021)に設けられている。この点は、表示例dの場合と同じである。
しかし表示例eでは、第2識別情報である製造会社名「藤商事」が、遊技盤面(遊技領域1021)内の上部、正確にはメイン液晶表示装置1032の上方に設けられている点で表示例dと異なる。
また表示例eでは、大きさが(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)の関係にあり、第1識別情報の「藤丸くん」の大きさに対して第2識別情報の「藤商事」の大きさが、相対的にほぼ同じになっている。この表示例eの場合も、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」の表示は、(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)の関係を保つ限り、遊技盤面(遊技領域1021)内に収まって正面から全体が見えている状態にある必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり機種名や製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で設けることもできる。
この表示例eでは、(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)の関係にあり、機種名の「藤丸くん」と製造会社名の「藤商事」とがほぼ同じ大きさとなっている。また、第2識別情報である製造会社名「藤商事」が、遊技盤面(遊技領域1021)の上方に設けられている。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、遊技領域1021に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例eは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-6:表示例f、図69)
図69の表示例f(図67のロ行γ列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が遊技盤面(遊技領域1021)内の上部、正確にはメイン液晶表示装置1032の上方に設けられている。この点は、表示例eの場合と同じである。
しかし表示例fでは、大きさが「(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、第1識別情報の「藤丸くん」の大きさに対して第2識別情報の「藤商事」の大きさが、相対的に小さくなっている。この表示例fの場合も、第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」の表示は、「(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」の関係を保つ限り、遊技盤面(遊技領域1021)内に収まって正面から全体が見えている状態にある必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり機種名や製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で設けることもできる。
この表示例fでは、第2識別情報である製造会社名「藤商事」が、遊技盤面(遊技領域1021)の上方に設けられている。しかし、「(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、機種名の「藤丸くん」の方が製造会社名の「藤商事」よりも大きい関係になっている。また、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、遊技領域1021に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例fは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-7:表示例g、図70)
図70の表示例g(図67のハ行α列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が、液晶表示装置1030の画面内、この例ではメイン液晶表示装置1031の画面内にて表示されるようになっている。
ここで「藤商事」の文字は、メイン液晶表示装置1031またはサブ液晶表示装置1032の画面内にて表示される場合を想定しており、その例としては、リーチ演出中に当選期待度が極めて高い特定演出として「藤商事」の文字が表示される場合や、遊技が行われていないときに画像表示装置1030に発生するデモ画面において「藤商事」の文字が表示される場合や、大当り遊技中にの画面に「藤商事」の文字が表示される場合などが挙げられる。いずれの場合も、液晶表示装置の画面に「藤商事」の文字が「一時的」に表示される。
この表示例gは、後述する表示例h、iと共に「藤商事」の文字が「一時的」に表示されるものとして横グループ(ハ)に属する。この横グループ(ハ)のものは、「藤商事」の文字が「一時的」に表示されるものである点で、「藤商事」の文字が「常時」表示される横グループ(イ)(ロ)のもの(表示例a~f)とは一線を画する。
第1識別情報の「藤丸くん」は、枠上部1011(枠上部正面1011a)幅(上下方向幅)に対して最大サイズ(大きさ:「大」)にて配設され、また、第2識別情報の「藤商事」はこの第1識別情報の「藤丸くん」よりも大きいサイズにて設けられる。そして、「藤商事」の文字の並びの全体が液晶画面内に収まって、全体が正面から見える状態にて表示される。
しかし、第2識別情報「藤商事」の大きさは、「(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の関係を保つ限り、液晶画面内に収まって全体が正面から見える状態に表示される必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で表示することができる。また第2識別情報「藤商事」の文字の大きさも常に同じ大きさである必要はなく、必要に応じて変化することも可能であり、文字毎のサイズが異なるように表示してもよい。
この表示例gでは、「(α)第1識別情報(機種名)<第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、機種名の「藤丸くん」よりも製造会社名の「藤商事」の方が大きい。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。また第2識別情報の「藤商事」は一時的に表示されるにすぎない。このため、第1識別情報の「藤丸くん」その自己アピール度は、液晶画面に表示される第2識別情報の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例gは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-8:表示例h、図70)
図70の表示例h(図67のハ行β列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が、液晶表示装置1030の画面内、この例ではメイン液晶表示装置1031の画面内にて表示される。この点は、表示例gの場合と同じである。
しかし表示例hでは、大きさが「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、第1識別情報の「藤丸くん」の大きさに対して第2識別情報の「藤商事」の大きさがほぼ同じになっている。そして、「藤商事」の文字の並びの全体が液晶画面内に収まって、全体が正面から見える状態にて表示される。
しかし、この表示例hの場合も、第2識別情報「藤商事」の大きさは、「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係を保つ限り、液晶画面内に収まって全体が正面から見える状態に表示される必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で表示することができる。また第2識別情報「藤商事」の文字の大きさも常に同じ大きさである必要はなく、必要に応じて変化するようにすることも可能であり、文字毎のサイズが異なるように表示してもよい。
この表示例hでは、「(β)第1識別情報(機種名)≒第2識別情報(機種名以外)」の関係にあり、機種名の「藤丸くん」と製造会社名の「藤商事」とがほぼ同じ大きさとなっている。また、第2識別情報である製造会社名「藤商事」が、メイン液晶表示装置1032に表示されるようになっている。しかし、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。また第2識別情報である製造会社名「藤商事」がメイン液晶表示装置1032に表示されるのは一時的であり、常に表示されている訳ではない。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、メイン液晶表示装置1032に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例hは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-9:表示例i、図70)
図70の表示例i(図67のハ行γ列)では、第1識別情報である機種名が、「藤丸くん」の文字を枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に凸設または凹設することにより設けられ、また第2識別情報である製造会社名として、「藤商事」の文字が、液晶表示装置1030の画面内、この例ではメイン液晶表示装置1031の画面内にて表示される。この点は、表示例g、hの場合と同じである。
しかし表示例iでは、大きさが(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)の関係にあり、第1識別情報の「藤丸くん」の大きさに対して第2識別情報の「藤商事」の大きさが、相対的に小さくなっている。そして、「藤商事」の文字の並びの全体が液晶画面内に収まって、全体が正面から見える状態にて表示される。
この表示例iの場合も、第2識別情報「藤商事」の大きさは、(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)の関係を保つ限り、液晶画面内に収まって全体が正面から見える状態に表示される必要はなく、意図するメッセージが伝達されるのであれば、つまり製造会社名が判読できるのであれば、一部が枠に隠れている状態で表示することができる。また第2識別情報「藤商事」の文字の大きさも常に同じ大きさである必要はなく、必要に応じて変化するようにすることも可能であり、文字毎のサイズが異なるように表示してもよい。
この表示例iでは、(γ)第1識別情報(機種名)>第2識別情報(機種名以外)の関係にあり、また、第2識別情報である製造会社名「藤商事」は、下方のメイン液晶表示装置1032に小さく表示されるようになっている。つまり機種名の「藤丸くん」の方が製造会社名の「藤商事」よりも大きい関係になっている。また、第1識別情報の「藤丸くん」は最も目立つ場所(優位度が最も高い場所)である枠上部1011の表面(枠上部正面1011a)に在る、つまり製造会社名の「藤商事」よりも第1識別情報の「藤丸くん」の方が高い位置にある。また第2識別情報である製造会社名「藤商事」がメイン液晶表示装置1032に表示されるのは一時的であり、常に表示されている訳ではない。このため、第1識別情報の「藤丸くん」の自己アピール度は、メイン液晶表示装置1032に設けられている製造会社名の「藤商事」よりも大きい。この意味で、表示例iは、第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを適切な表示関係の下で設けた例となる。
(10-10:表示期間)
図67の「表示期間」の欄は、上記の表示例a~iにおいては、表示期間が「常時」である場合(区分番号1、3、5のケース)と「一時的」である場合(区分番号2、4、6のケース)とがあることを示している。
第2識別情報の配置箇所が「枠」である場合(横グループ(イ))において、一方の表示期間が「常時」(区分番号1)であるとは、第1識別情報および第2識別情報が消えることなく常に表示されている形態であり、既に説明したところと同じである。他方の表示期間が「一時的」(区分番号2)であるとは、第1識別情報および第2識別情報の一方または双方が一時的に現れて表示される形態であってもよいことを意味している。これには、たとえば枠1010に対しLEDや液晶表示装置などを凸状または凹状にまたはシート状に設け、これにより文字表示装置を構成しておき、この文字表示装置により第1識別情報および第2識別情報の一方または双方を必要に応じて点灯させる形態がある。
区分番号3、4は、上記の表示例d~fにおいては、表示期間が「常時」である場合(区分番号3のケース)と「一時的」である場合(区分番号4のケース)とがあることを示している。第2識別情報の配置箇所が「遊技盤面」である場合(横グループ(ロ))において、一方の表示期間が「常時」(区分番号3)であるとは、第1識別情報および第2識別情報が消えることなく常に表示されている形態であり、既に説明したところと同じである。他方の表示期間が「一時的」(区分番号4)であるとは、第1識別情報および第2識別情報の一方または双方が一時的に現れて表示される形態であってもよいことを意味している。これはたとえば第2識別情報について次のように構成することができる。遊技盤1020(遊技領域1021、非遊技領域1022)の面に対し、直接にLEDや液晶表示装置を凸状または凹状にまたはシート状に設け、または遊技盤面から浮かせた状態で遊技盤面に対して平行に透明の液晶シートを設け、これにより文字表示装置を構成しておき、第2識別情報を必要に応じて点灯表示させる形態がある。なお、この区分番号4において第1識別情報を一時的に表示する形態は、具体的には区分番号2の場合と同様に構成すればよい。
区分番号5、6は、上記の表示例g~iにおいては、表示期間が「常時」である場合(区分番号5のケース)と「一時的」である場合(区分番号6のケース)とがあることを示している。第2識別情報の配置箇所が「液晶表示装置」である場合(横グループ(ハ))において、一方の表示期間が「常時」(区分番号5)であるとは、第1識別情報および第2識別情報が消えることなく常に表示されている形態であり、既に説明したところと同じである。他方の表示期間が「一時的」(区分番号6)であるとは、第1識別情報および第2識別情報の一方または双方が一時的に現れて表示される形態であってもよいことを意味している。たとえば液晶表示装置1030(メイン液晶表示装置1031またはサブ液晶表示装置1032)において、第2識別情報の画像表示を所定のタイミングから開始させて連続表示する形態や、第2識別情報の画像表示を一定の期間だけ行う形態や、図示していないが複数個の液晶表示装置に跨る形で第2識別情報の画像表示を行う形態がある。なお、この区分番号6において第1識別情報を一時的に表示する形態は、具体的には区分番号2、3の場合と同様に構成すればよい。
(10-11:別実施形態の効果)
上記表示例a~iによれば、目立たせたい第1遊技情報の機種名「藤丸くん」が第2遊技情報の製造会社名「藤商事」よりも目立つ態様(配置箇所、大きさ、表示期間)で表示されているので、商品流通経路における取引業者またはホール内における遊技者が、遊技機のどの部位の識別情報が機種名であるかを容易に理解して希望する遊技台を見出すことができる。
(10-12:まとめ)
以上では、第1識別情報として機種名「藤丸くん」を例にして説明した。このように、機種名「藤丸くん」のように最も目立たせたい識別情報がある場合、これを上記の第1識別情報と同じに扱いにすることにより、つまり評価基準1~3(配置箇所、大きさ、表示期間)の評価尺度に照らして、最も「優位度」の高い所となるように表示することにより、最も効果的に当該識別情報の持つメッセージを遊技機から遊技者に発信することができる。この最も「優位度」の高い所は、第1識別情報が第2識別情報に対して更に目立つように表示されているという意味のものである。
遊技機において何らかの識別情報の表示(たとえば文字表記)があった場合に、それが特定の識別力を発揮するものであり「第2識別情報」として対比されるべきものであった場合に、初めて「第2識別情報」が存在することになり、この第2識別情報と第1識別情報との相対的な比較において「目立つか否か」が定まるのであって、「最も目立つか箇所」が常に遊技機の物理的な一定の箇所として定まるものではない。
また発信するメッセージを持つものである限り、何を第1識別情報として扱うかも自由であり、最も目立たせたいものがたとえば製造者名「藤商事」であって、これを機種名「藤丸くん」より優先してアピールしたいときには、製造者名「藤商事」が最も目立たせたい第1識別情報である。これ以外の識別情報、たとえば機種名「藤丸くん」などは第2識別情報であるとして扱うことになる。よって図67の表示例a~iの場合であれば、それぞれ機種名「藤丸くん」と製造者名「藤商事」の表示場所が入れ替わることになる。
(10-13:変形例)
上記別実施形態では、枠1010に配置されている第1識別情報の「藤丸くん」および遊技盤に配置されている第2識別情報「藤商事」は、変形しない表示態様で表示することを前提としている。しかし、第1識別情報および第2識別情報の双方または一方を、変化する表示態様で表示するようにしてもよい。たとえば文字の大きさが小から大に変化したり形状が変わったり、一部の文字だけが変化して並びが他と不揃いになる表示態様とすることができる。
<11.別実施形態7、8の実施例2、図71~図74>
この実施例2(図71~図74)は、第1識別情報が「遊技盤面」に配置されている場合について示したものである。
(11-1:(イ)第2識別情報が「前枠」に在る場合、図71、図72)
図71(イ)(図72参照)は、第1識別情報が「遊技盤面」に配置されている構成において、第2識別情報の「株式会社藤商事」または「藤商事」を「前枠」に配置した例である。aは「株式会社藤商事」を枠上部に、bは「藤商事」を枠上部に、cは「藤商事」を枠中部に設けてあり、この順序に徐々に文字サイズが小さくなっている。枠上部は、位置的に遊技盤よりも優位度が高いので、不適切な例となる。cの「藤商事」は枠中部に設けており、「藤丸くん」より下側でありかつサイズが小さいので、不適切な度合は軽減されている。
要するに、遊技盤面に第1識別情報(機種名)を配置し、前枠に第2識別情報(機種名以外)を配置する場合、第2識別情報(機種名以外)に対して第1識別情報(機種名)の方を大きく、第1識別情報(機種名)の方が上にあるようにする。
(11-2:(ロ)第2識別情報が「遊技盤」に在る場合、図71、図73)
図71(ロ)(図73参照)は、第1識別情報が「遊技盤面」に配置されている構成において、第2識別情報の「藤商事」を「遊技盤面」に配置した例である。a、b、cの各々において、遊技盤には「藤商事」がそれぞれ液晶表示装置1032の下側に設けてあり、a、b、cの順序に徐々に文字サイズが小さくなっている。aは「藤丸くん」が「藤商事」よりも上側にあるが、サイズが「藤商事」よりも小さいので、不適切な例となる。bは「藤商事」の文字サイズが小さいので、不適度合は軽減されている。cは「藤商事」の文字サイズが非常に小さくなっているので、不適度合をほとんど感じられなくなる。
要するに、遊技盤面に第1識別情報(機種名)と第2識別情報(機種名以外)とを配置する場合、第2識別情報(機種名以外)に対して第1識別情報(機種名)の方を大きく、第1識別情報(機種名)の方が上にあるようにする。第1識別情報は非可動体として配置し、第2識別情報は可動体として配置することができる。
(11-3:(ハ)第2識別情報が「液晶表示装置」に表示される場合、図71、図74)
図71(ハ)(図74参照)は、第1識別情報の「藤丸くん」が遊技盤面において液晶表示装置の上側に配置されている構成において、第2識別情報の「藤商事」を液晶表示装置に表示させるようにした例である。第1識別情報の方が第2識別情報の「藤商事」よりも上側にあり、g、h、iの順に文字サイズが小さくなっている。「藤丸くん」は「藤丸くん」より上側にあるので、「藤商事」の文字サイズの大小に拘わらず、機種名と認識されると考えられる。
要するに、遊技盤面に第1識別情報(機種名)を配置し、液晶表示装置に第2識別情報(機種名以外)を表示する場合、第2識別情報(機種名以外)に対して第1識別情報(機種名)の方を大きく、第1識別情報(機種名)の方が上にあるようにする。第1識別情報は可動(変形)せず、第2識別情報は可動(変形)する構成とすることができる。また第1識別情報(機種名)は常時表示され、第2識別情報(機種名以外)は演出時に表示される構成とすることができる。
<12.別実施形態7、8の対比例、図75~図78>
図75~図78に示す(イ)(ロ)(ハ)は、図71~図74の(イ)(ロ)(ハ)において、第2識別情報(株式会社藤商事または藤商事)の配置箇所は同じ(前枠、遊技盤、液晶表示画面)にしたまま、第1識別情報の「藤丸くん」の配置箇所を「遊技盤面」から「液晶表示装置の画面」に変更したものである。液晶表示画面は評価基準1における優位度が低いため、ここに表示される限り第1識別情報の「藤丸くん」を目立たせることは困難になる。ただ、同じ液晶表示画面内にて第1識別情報「藤丸くん」と第2識別情報「藤商事」を表示させる事例iについては、その大きさを「藤丸くん」>「藤商事」とすることで、若干ではあるが目立たせることが可能になる。
(13.その他の構成例)
上述した別実施形態1~8の課題を解決するその他の構成例として、下記にその構成およびその効果を説明する。
(1)盤面に配置された識別情報と略同一の内容を、表示手段(たとえば、液晶表示装置)にも表示する。
(1-1)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「警告(注意喚起)表示」が配置された遊技機において、
前記警告表示は表示手段より上方および/または下方に配置されるとともに、
図柄停止中に前記表示手段に前記警告表示と略同一内容の表示が行われる。
これにより、注意喚起表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該注意喚起表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
(1-2)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「機能名称表示」が配置された遊技機において、
前記機能名称表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記機能名称が指す機能が有効となることを示す表示が行われる。
これにより、遊技盤面および/または遊技機枠に「〇〇モード(確変、小当りラッシュ等)」が記載されていることにより、遊技者が当該遊技機にその機能(確変、小当りラッシュ等)が存在することを認知可能であり、さらに表示手段で「〇〇モード突入(確変突入、小当りラッシュ突入)」という表示がなされることにより、実際にその機能が有効となった(またはこの表示以降に有効となる)ことを認知可能となるという効果を奏する。
(1-3)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「性能表示」が配置された遊技機において、
前記性能表示は設定機能を有することを示す性能表示であるとともに、
所定タイミングで前記表示手段に前記性能表示が表示される。
これにより、性能表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害しない。さらに、所定タイミング(たとえばデモ演出中や図柄変動中、大当り中など)に当該性能表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対して当該性能(設定機能を有するという性能表示)が伝わりやすくなる。
なお、表示手段に表示する場合は、表示手段以外に配置された性能表示よりも詳しい性能表示であることが好ましい。たとえば、表示手段以外には「設定機能付き」としか表示されていない場合に、表示手段では「6段階の設定機能付き」などがそれに該当する。
さらに、表示手段以外に直接的に「設定機能付き」と表示されている場合に、表示手段では「特定予告が出現すると高設定の期待度アップ」などのインフォメーション表示を行うことにより間接的に「設定機能付き」であることを伝えてもよい。直接的または間接的に表示する場合のいずれにおいても、表示手段の表示を見た時点ではじめて遊技者が当該性能を遊技機が有していることに気づくことで、その後遊技盤面に配置された性能表示に気づく、もしくは店舗に備え付けられている機種ガイドや遊技機メーカーが作成・配布している小冊子などを確認する、といった導線となる点が上記構成の効果であると言える。
(1-4)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「知的財産関連表示」が配置された遊技機において、
前記知的財産関連表示は楽曲の使用に関する表示であるとともに、
少なくとも該当する楽曲が流れるタイミングで前記表示手段に前記知的財産関連表示が表示される。
これにより、知的財産関連表示を遊技盤面もしくは遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害しない。さらに、該当する楽曲が流れるタイミング(再生中だけでなく再生直前および/または再生直後も含んでもよい)で当該知的財産関連表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対して権利処理が適切に行われていることが伝わりやすくなる。
なお、表示手段に表示する場合は、表示手段以外に配置された性能表示よりも詳しい性能表示であってもよい。たとえば、表示手段以外には「許諾番号123456」としか表示されていない場合に、表示手段では「楽曲名あいうえお、許諾番号123456」としたり、その他作詞家情報や作曲家情報を表示したりしてもよい。これにより、遊技盤面に配置された知的財産関連表示が示す対象が何であるかが遊技者に伝わりやすくなる。
なお、知的財産関連表示が示す内容が、1の楽曲に対する使用許諾ではなく、2以上の楽曲に対する包括的な使用許諾である場合、そのすべての楽曲の再生時に当該知的財産関連表示を表示手段に表示すると情報過多となる(遊技者が不快に感じる)おそれがあるため、所定タイミング(デモ演出中やたとえば大当り開始時など)に代表して表示するようにしてもよい。
(2)盤面に配置された識別情報と略同一の内容を、液晶にも略同一フォントで表示する。
(2-1)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「機種名表示」が配置された遊技機において、
前記機種名表示は表示手段より上方に配置されるとともに、
前記表示手段に前記機種名表示と略同一内容の表示が略同一フォントで行われる。
これにより、タイトルロゴと表示手段に表示される機種名表示のフォントが同一であるため、機種名(特に機種名から想起されるイメージ)の統一を図ることができる(統一したイメージを伝えることができる)。このようにしない場合、タイトルロゴはポップで楽しげなイメージ、表示手段による機種名表示は朽ち果てて今にも崩れ落ちそうなイメージ、といったように当該機種はどのようなイメージの機種であるか遊技者がしっかり把握できないおそれがある。
(2-2)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「機能名称表示」が配置された遊技機において、
前記機能名称表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記機能名称が指す機能が有効となることを略同一フォントで表示する。
これにより、遊技盤面および/または遊技機枠に「〇〇モード(確変、小当りラッシュ等)」が記載されていることにより、遊技者が当該遊技機にその機能(確変、小当りラッシュ等)が存在することを認知可能であり、さらに、表示手段で「〇〇モード突入(確変突入、小当りラッシュ突入)」という表示がなされることにより、実際にその機能が有効となった(またはこの表示以降に有効となる)ことを認知可能となるという効果を奏する。また、この効果に加えて、機能名称(特に機能名称から想起されるイメージ)の統一を図ることができる(統一したイメージを伝えることができる)。
(2-3)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「知的財産関連表示」が配置された遊技機において、
前記知的財産関連表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記知的財産関連表示を略同一フォントで表示する。
これにより、知的財産関連表示を遊技盤面もしくは遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害しない。また、遊技盤面および/または遊技機枠に知的財産関連表示(たとえば「許諾番号123456」)が記載されていることにより、当該遊技機が適切な権利処理が行われていることを遊技者が認知可能である。
なお、表示手段に表示する場合は、表示手段以外に配置された性能表示よりも詳しい性能表示であってもよい。たとえば、表示手段以外には「許諾番号123456」としか表示されていない場合に、表示手段では「楽曲名あいうえお、許諾番号123456」としたり、その他作詞家情報や作曲家情報を表示したりしてもよい。これにより、遊技盤面に配置された知的財産関連表示が示す対象が何であるかが遊技者に伝わりやすくなる。
なお、1の楽曲に対する使用許諾ではなく、2以上の楽曲に対する包括的な使用許諾である場合、そのすべての楽曲の再生時に当該知的財産関連表示を表示手段に表示すると情報過多となる(遊技者が不快に感じる)おそれがあるため、所定タイミング(デモ演出中やたとえば大当り開始時など)にのみ表示するようにしてもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された知的財産関連表示と、表示手段に表示された知的財産関連表示とを同一フォントとすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-4)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「警告表示(注意喚起表示)」が配置された遊技機において、
前記警告表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記警告表示を略同一フォントで表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一フォントとすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-5)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
前記第1警告表示と共通する第1警告内容と前記第2警告表示と共通する第2警告内容とを、互いに異なるタイミングで各警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一フォントとすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-6)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
前記第1警告表示と共通する第1警告内容を所定タイミングで前記第1警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示し、
前記第2警告表示と共通する第2警告内容を所定条件が成立した場合に前記第2警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一フォントとすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(3)盤面に配置された識別情報と略同一の内容を、液晶にも異なるフォントで表示する。
(3-1)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「知的財産関連表示」が配置された遊技機において、
前記知的財産関連表示は表示手段より上方および/または下方に配置されるとともに、
前記表示手段に前記知的財産関連表示と略同一内容の表示が異なるフォントで行われる。
これにより、知的財産関連表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該注意喚起表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対して明確な意思表示(適切な知的財産毛処理ができている旨の意思表示)を行うことができる。また、表示手段による表示時は異なるフォントとすることにより、遊技盤面等に表示する際はいわゆる標準文字で表示しつつ、表示手段では強調表示したり、知的財産権者の要求(指定フォントでの表示)を満たしたりすることが可能となる。なお、反対に表示手段による表示時を標準文字で表示するものとしてもよい。
(3-2)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「警告(注意喚起)表示」が配置された遊技機において、
前記警告表示は表示手段より上方および/または下方に配置されるとともに、
前記警告表示と共通する警告内容を、前記警告表示とは異なるフォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示(注意喚起表示)を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該注意喚起表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対して明確な意思表示(適切な知的財産毛処理ができている旨の意思表示)を行うことができる。また、表示手段による表示時は異なるフォントとすることにより、遊技盤面等に表示する際はいわゆる標準文字で表示しつつ、表示手段では強調表示したり、知的財産権者の要求(指定フォントでの表示)を満たしたりすることが可能となる。なお、反対に表示手段による表示時に標準文字で表示するものとしてもよい。
(3-3)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
少なくとも前記第1警告表示と共通する警告内容を、前記第1警告表示とは異なるフォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを異なるフォントとすることにより、表示手段において遊技者に強調した表示を行うことを可能としている。
また、警告表示のすべてを表示手段に表示するようにした場合、遊技者に必要以上の警告表示をされていると感じさせてしまうおそれがあるが、上記構成においては必要な警告表示を行うため、遊技者に必要以上の不快感を与えることがない。
(3-3)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、少なくとも前記第1警告表示と共通する警告内容を、前記警告表示とは異なるフォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを異なるフォントとすることにより、表示手段において遊技者に強調した表示を行うことを可能としている。
(3-4)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、前記第1警告表示と共通する第1警告内容と前記第2警告表示と共通する第2警告内容とを、互いに異なるタイミングで各警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
そして、第1警告内容と第2警告内容とを異なるタイミングで表示するため、当該警告内容に応じたタイミングで遊技者に報知できるため、より適切な注意喚起を行うことができる。なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを異なるフォントとすることにより、表示手段において遊技者に強調した表示を行うことを可能としている。
(3-5)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
前記第1警告表示と共通する第1警告内容を所定タイミングで前記第1警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示し、
前記第2警告表示と共通する第2警告内容を所定条件が成立した場合に前記第2警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
そして、第1警告内容は予め定めたタイミングで警告表示を表示する一方で、第2警告内容は所定条件が成立しなければ(警告内容に該当する不正行為等が行わなければ)警告表示が行われることがないため、必要以上に警告表示を表示して遊技者に必要以上の不快感を与えることを防止し得る。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを異なるフォントとすることにより、表示手段において遊技者に強調した表示を行うことを可能としている。
(4)盤面に配置された識別情報と略同一の内容を、液晶にも略同一配列で表示する。
(4-1)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「機種名表示」が配置された遊技機において、
前記機種名表示は表示手段より上方に配置されるとともに、
前記表示手段に前記機種名表示と略同一内容の表示が略同一配列で行われる。
これにより、タイトルロゴと表示手段に表示される機種名表示の配列が同一であるため、機種名(特に機種名から想起されるイメージ)の統一を図ることができる(統一したイメージを伝えることができる)。このようにしない場合、タイトルロゴは一行で横書き、表示手段による機種名表示は二列で縦書き、といったように当該機種の元となる版権のイメージを正しく伝えられない、もしくは誤った認識を植え付けてしまうおそれがある。
(4-2)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「その他表示(企業キャッチコピーなど)」が配置された遊技機において、
前記その他表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記その他表示(企業キャッチコピーなど)と略同一内容の表示が略同一配列で行われる。
これにより、遊技盤面および/または遊技機枠に表示される企業キャッチコピーと表示手段に表示される企業キャッチコピーの配列が同一であるため、企業キャッチコピー(特に機種名から想起されるイメージ)の統一を図ることができる(統一したイメージを伝えることができる)。このようにしない場合、盤面側(枠側)の企業キャッチコピーはポップで楽しげなイメージ、表示手段による表示は朽ち果てて今にも崩れ落ちそうなイメージ、といったように当該企業はどのようなイメージであるかを正確に遊技者に伝えることができないおそれがある。
(4-3)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「知的財産関連表示」が配置された遊技機において、
前記知的財産関連表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記知的財産関連表示を略同一配列で表示する。
これにより、知的財産関連表示を遊技盤面もしくは遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害しない。また、遊技盤面および/または遊技機枠に知的財産関連表示(たとえば「許諾番号123456」)が記載されていることにより、当該遊技機が適切な権利処理が行われていることを遊技者が認知可能である。
なお、表示手段に表示する場合は、表示手段以外に配置された性能表示よりも詳しい性能表示であってもよい。たとえば、表示手段以外には「許諾番号123456」としか表示されていない場合に、表示手段では「楽曲名あいうえお、許諾番号123456」としたり、その他作詞家情報や作曲家情報を表示したりしてもよい。これにより、遊技盤面に配置された知的財産関連表示が示す対象が何であるかが遊技者に伝わりやすくなる。
なお、1の楽曲に対する使用許諾ではなく、2以上の楽曲に対する包括的な使用許諾である場合、そのすべての楽曲の再生時に当該知的財産関連表示を表示手段に表示すると情報過多となる(遊技者が不快に感じる)おそれがあるため、所定タイミング(デモ演出中やたとえば大当り開始時など)にのみ表示するようにしてもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された知的財産関連表示と、表示手段に表示された知的財産関連表示とを同一配列とすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-4)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「警告表示(注意喚起表示)」が配置された遊技機において、
前記警告表示は遊技領域内に配置されるとともに、
前記表示手段に前記警告表示を略同一配列で表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一配列とすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-5)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
前記第1警告表示と共通する第1警告内容と前記第2警告表示と共通する第2警告内容とを、互いに異なるタイミングで各警告表示と略同一配列で前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一配列とすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(2-6)
表示手段を備え、
遊技者が視認可能な位置に「第1警告表示」と「第2警告表示」とが配置された遊技機において、
前記第1警告表示と共通する第1警告内容を所定タイミングで前記第1警告表示と略同一フォントで前記表示手段に表示し、
前記第2警告表示と共通する第2警告内容を所定条件が成立した場合に前記第2警告表示と略同一配列で前記表示手段に表示する。
これにより、警告表示を遊技盤面や遊技機枠に常時視認可能に表示しつつも、最低限の表示サイズとすることで配置自由度を極端に阻害せず、さらに、デモ演出中や大当り中(大当り終了時等)に当該警告表示を表示手段に行うことにより、遊技者に対してより強い注意喚起(警告)を促すことができる。
なお、表示手段に表示する場合は、遊技者の興を削がないように、なるべく図柄変動中でないことが好ましい。ただし、警告表示が指し示す内容(振動、磁気、電波等を用いない旨の内容)が発生した場合(検出センサが検出した場合)は、図柄の変動中であっても表示手段に警告表示を表示してもよい。
そして、これらの表示を行う上で、表示手段以外に配置された警告表示と、表示手段に表示された警告表示とを同一配列とすることにより、双方が同一種別の標章であり、その対象が同一のものを示しているのであることが伝わりやすい。
(5)主要標章をバラバラに配置しない。
(5-1)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(機種名称)と第2標章(警告表示)とが配置された遊技機において、
第1標章は折り返さずに1行で表示し、第2標章は折り返して2行以上で表示するようにした。
これにより、機種名称などの一定のイメージが定着している標章に対しておかしなところで折り返してイメージを損ねることを防止しつつ、警告表示等の固定イメージのないものに対しては折り返して表示することで配置自由度を高めることが可能となる。
(5-2)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(構造物としての機種名称)と第2標章(印刷物としての機種名称)とが配置された遊技機において、
第1標章は正面視で平行に配置し、第2標章は正面視で斜めに配置した。
これにより、表示サイズが大きい標章に対して斜めやジグザグに配置した場合誤ったイメージを与えてしまうことを防止しつつ、同一内容の標章(上記例では機種名称)であっても、表示サイズが小さい標章に対しては斜めに表示することで配置自由度を高めることが可能となる。
(6)主要標章をバラバラに発光させない。
(6-1)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(機種名称)と第2標章(機種名称以外)とが配置された遊技機において、
少なくとも第1標章は発光態様が変化可能に構成され、
少なくとも第1期間(図柄停止中かつデモ演出非発生中)では第1標章の全体が同一系統色での発光態様となるようにした(第2期間ではバラバラ発光でもよい)。
これにより、図柄停止中という遊技者が離席中である可能性が高いタイミング(換言すると遊技機を模索中の遊技者が目にするタイミング)において、機種名称を統一感のある発光態様とすることにより、機種名称の一部が欠けた(消灯、異なる色での点灯、異なるパターンでの点滅)ように見えないため、遊技者に誤った印象や誤った情報を与えるリスクを低減できる。一方、機種名称ではない標章については標章としての識別機能より発光手段としての演出機能を優先させることで、遊技者を惹きつける効果を高めることを可能とした。
(6-2)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(機種名称)と第2標章(機種名称以外)とが配置された遊技機において、
少なくとも第1標章は発光態様が変化可能に構成され、
少なくとも第1期間(低確状態の図柄停止中)は第1系統色での発光態様、第2期間(高確状態の図柄停止中)は第2系統色での発光態様とし、いずれも第1標章の全体が同一系統色で発光するようにした。
これにより、機種名称においては、通常遊技中と確変遊技中のいずれの場合でも少なくとも図柄停止中は統一感のある発光態様とすることにより、機種名称の一部が欠けた(消灯、異なる色での点灯、異なるパターンでの点滅)ように見えないため、遊技者に誤った印象や誤った情報を与えるリスクを低減できる。さらに、通常遊技中と確変遊技中とで異なる発光態様とすることにより、遊技者または店員が遊技状態を容易に判別することができる。
(7)主要標章を目立たせる。
(7-1)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(機種名称のメインタイトル)と第2標章(機種名称のサブタイトル)とが配置された遊技機において、
第1標章は立体標章(ロゴ役物など)とし、第2標章は平面標章(印刷物など)とした。
これにより、2つ(またはそれより多く)ある標章のうち、少なくとも第2標章より第1標章の方が目立つため、遊技者が第2標章を特別な意味を持つ標章(上記例では機種名称の主題)であると誤解するリスクを低減できる。
(7-2)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(機種名称)と第2標章(機能名称)とが配置された遊技機において、
第2標章は全体発光は可能、一文字のみを光らせる個別発光は不能とし、
第1標章は全体発光は可能、一文字のみを光らせる個別発光も可能とした。(第1標章は文字ごとに区切られ、第2標章は文字ごとに区切られていない、としてもよい)
これにより、2つ(またはそれより多く)ある標章のうち、少なくとも第2標章より第1標章の方が目立つため、遊技者が第2標章を特別な意味を持つ標章(上記例では機種名称の主題)であると誤解するリスクを低減できる。
(8)要注意標章を目立たせない。
(8-1)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(商標的使用に該当すると判断されると困る標章)と第2標章(商標的使用に該当すると判断されても問題ない標章)とが配置された遊技機において、
第1標章は視認容易状態(または視認可能状態)と視認困難状態(または視認不能状態)とに遷移可能に構成され、少なくとも図柄停止中においては視認困難状態である割合の方が高くなるようにした。
これにより、2つ(またはそれより多く)ある標章のうち、少なくとも第2標章より第1標章の方が目立つため、遊技者が第2標章を特別な意味を持つ標章(上記例では機種名称の主題)であると誤解するリスクを低減できる。
(8-2)
遊技者が視認可能な位置に第1標章(商標的使用に該当すると判断されると困る標章)と第2標章(商標的使用に該当すると判断されても問題ない標章)とが配置された遊技機において、
第1標章は少なくとも第2標章よりも小さい表示サイズで配置されるとともに、
所定タイミングにおいて、盤面に配置されたサイズよりも大きいサイズで表示手段に表示するようにした。
これにより、2つ(またはそれより多く)ある標章のうち、少なくとも第2標章より第1標章の方が目立つため、遊技者が第2標章を特別な意味を持つ標章(上記例では機種名称の主題)であると誤解するリスクを低減できる。
なお、上記した「(5-3:別実施形態5の構成例1)」、「(5-4:別実施形態5の構成例2)」、「(6-2:別実施形態6の構成例)」、「(9:別実施形態7、8の構成例)」、および「(13.その他の構成例)」述べた構成例において、表示手段(画像表示手段、発光手段など)を有するものについては、その表示手段に表示される識別情報(第1識別情報または第2識別情報の別を問わない)の少なくとも一部として、設定示唆に関する情報が表示されるようにしてもよい。
機種名ロゴ1090を構成する「藤丸くん」の各文字が同一色または別々の色で点灯または点滅している場合において、「藤丸くん」の各文字のうちで注目する構成要素(たとえば、「丸」、「くん」)の少なくとも一部が、特定の発色をする場合、たとえば、青色が設定6確定示唆、赤色が高設定(設定4以上)確定示唆、緑色が設定1否定示唆を表すように定め、これにより、第1識別情報および/または第2識別情報が設定示唆演出を兼ねるようにしてもよい。なお、第1識別情報および/または第2識別情報と併記するような形で(或る時間尺(特定の遊技期間:図柄変動中、大当り遊技中、または客待ち中など)の中で同時的、重複的、重畳的、複合的に表示)、設定示唆演出を現出させてもよい。
<13.別実施形態9、図80~図81>
(13-1:背景)
従来、弾球遊技機や回胴式遊技機やアレンジボールや雀球遊技機など、各種の遊技機が広く知られている。これらは複数のメーカーから各種の遊技台が製造され、「○○先生」など長年複数機種にわたり付与されてきたシリーズ機種名や、機種を暗示する代表的シーン等が付与されて提供され、それらが島設備に並置される。
これらの遊技機の中には、遊技者に付与する利益の期待値を複数段階に設定可能な所謂「設定機能」を搭載したものが知られている(たとえば、特開2016-26756号公報)。現在のホール内においては、この「設定機能」を搭載した球技機と搭載していない遊技機とが混在している。したがってホール内において、「設定機能」を搭載した球技機であるか否かを判別する手掛かりとして、遊技機の「機種名」が何であるかを知ることが、遊技者にとり重要となっている。
弾球遊技機の機種名を遊技者に見えるように遊技機に付与する手法としては、上記別実施形態で説明したように、たとえば「藤丸くん」を前面枠1010に設ける形態(図35B、図69~図72)や、「藤丸くん」や「○○先生」などを遊技盤面に設ける形態(図35C、図66~図67、図73)が取りうる。
しかし機種名は弾球遊技機の種類ごとに多数存在することから、機種名だけから「設定機能」を搭載した球技機であるか否かを判別することが困難である場合がある。このため、「設定機能」を搭載したものであるか否かの判断を含め、ホール内において希望する機種名の遊技台を探す場合、目的の遊技台を探し当てるまでに時間をとられ、ホール内を探し回ることも希ではなかった。またホール内で一度希望する遊技台の設置場所を覚えても、遊技台の配置替えがなされると、再び希望する機種名の遊技台を探し当てるのに時間をとられる結果となっていた。
そこで、ホール内に設置された場合に、「設定機能」を搭載した遊技機であるか否かを識別することが容易で、希望する遊技台を見出すことが容易な遊技機の提供が望まれている。
(13-2:設定機情報の付与について、図80~図81)
図80は、遊技機に設定機情報1081を付与した実施形態を例示したものである。ここで「設定機情報」とは、設定機能を搭載した遊技機であるか否かを識別するための情報であり、字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(商標法2条の標章)からなる識別情報である。
図80では、機種名1080に設定機情報1081を付加してなる「複合識別情報」を扱っている。この複合識別情報は、具体的には、図81(イ)に拡大して示すように、機種名1080の「藤丸くん」を構成する文字列における最後の文字「ん」に続いて、設定機情報として設定機マーク1081aの「.」を付加し、全体として複合識別情報「藤丸くん.」として構成したものである。
図80において、この複合識別情報「藤丸くん.」は、前面枠1010の箔上部正面1011aに設けられる。しかし、前面枠1010の他の箇所に設けてもよく、また、遊技盤面に設けてもよい。
図81(イ)を参照して、複合識別情報「藤丸くん.」は機種名情報と設定機情報とを含んでいるが、設定機情報は設定機マークの「.」であって機種名情報の「藤丸くん」に比べてサイズが小さく、「藤丸くん」の文字列の最後に付加的に設けられているだけであるので、「藤丸くん」の存在の方がサイズおよび字数の点で自己アピール度が強くなっている。よって、遊技者は「藤丸くん」が機種名であるとして認識することができる。また、「.」が設定機能を搭載した遊技機であることを示す設定機マークであることを知っている者は、機種名に設定機マーク「.」が付与されていることで、設定機能を搭載した遊技機であると識別することができる。
図81(ロ)は、機種名1080の「藤丸くん」を構成する文字列における最後の文字「ん」に続いて、設定機情報1081として、○形の6個のドットをF字状に配置してなるロゴ(以下、「F」と略記する)からなる設定機マーク1081bを付加し、全体として複合識別情報「藤丸くんF」として構成した例を示したものである。ロゴ「F」のサイズは機種名「藤丸くん」の文字列と同じであるが、文字ではなく図案化されたF、つまり記号から構成されており、両者は一見して異質の構成要素と認識することができる。この相違のため、遊技者は「藤丸くん」が機種名であると理解することができる。また、ロゴ「F」が設定機能を搭載した遊技機であることを示す設定機マークであることを知っている者は、機種名に設定機マーク1081bのロゴ「F」が付与されていることで、設定機能を搭載した遊技機であると識別することができる。
図81(イ)(ロ)に示す例では、複合識別情報「藤丸くんF」において、設定機マーク1081a、1081bを白のドットで構成しているが、機種名1080と同じ色で表示してもよい。
(設定示唆演出の確認:図82~図91)
次に、種々の設定示唆演出について説明する。すでに「設定示唆演出」とは何かについての説明は行っているが、以下ではより具体的な実施例を交えて説明していく。なお、設定示唆を実行する演出手段は、上記「<6.演出手段>」にて説明した種々の演出手段のいずれも用いることができるが、ここでは、本発明との関連の深い、表示手段と発光手段を用いた設定示唆演出を中心に説明する。
また、直近で説明した遊技盤面および/または遊技機枠に設けられた「第1標章(たとえば、機種名称や主要キャラクタのフィギュアやイラスト等)」や、表示手段に表示される第2標章(第1標章と同一または類似した標章もしくは全く別の標章)も設定示唆演出に用いられる可能性も十分考えられる。したがって、以下では、設定示唆演出について説明する中で、設定示唆演出と各種標章との関連性についても併せて説明していく。
(課題)
設定示唆演出が実行されるタイミングは、その殆どが遊技中(図柄変動表示ゲーム中や当り遊技中)であり、設定示唆演出が出現した場合にそれを真っ先に確認(認識)し得るのは、当然、その台で遊技をしている遊技者である。しかし、設定示唆演出が遊技中に現出されるものばかりでは下記のような問題が生じうる。
(1)第1の問題として、パチンコ遊技機(弾球遊技機)はスロットマシンとは異なり、遊技の進行が遊技者独自のペースで行われるものではなく、遊技機側に支配される。詳しくは、スロットマシンの場合、遊技者の都合で始動レバーを叩いてゲームを開始し、その後、遊技者が自由に停止ボタンを押してゲームを終える、という遊技者の都合で1ゲームを終えることができる。これに対して弾球遊技機の場合は、始動口に入賞したことを契機に変動パターンが選択され、その変動パターンに係る変動時間が1ゲームの実行時間として決定されるため、ゲーム開始~終了の期間について遊技者側が介入することはできず、すべて遊技機側に委ねられる。すなわち、弾球遊技機の場合、スロットマシンのように、遊技者の都合で遊技を終了させることができず、遊技の進行に係るタイムスケジュールが遊技機側に支配される。これが意味するところは、設定示唆演出の多くが、その現出(実行)の開始タイミングも終了タイミングも遊技機側によってコントロールされるということである。したがって、たとえば遊技者が隣の台の演出に気を取られて余所見をしていたり、携帯電話を弄ったりしている間に設定示唆演出が終了してしまうことも十分考えられる。
(2)また第2の問題として、設定示唆演出の実行が終わってから遊技を開始する者、たとえば、設定示唆演出の実行時に遊技していた前任者が遊技を終えた後、入れ替わりで遊技を開始する遊技者(後任者)は、前任者が出した設定示唆演出の内容を知る術がない。
(解決手段)
上記問題点(課題)に対して解決手段として、設定示唆演出(設定値に関する情報)という「有利情報の出現期間の延長(追加)」がある。これについて、図82~図85を用いて詳細に説明する。
図82の(A)~(C)は、或る図柄変動表示ゲーム中の演出の一例を、(D)~(F)は、その次の図柄変動表示ゲーム中の演出の一例を、(G)~(K)は、図柄変動表示ゲーム終了後の待機中(「デモ開始待ち演出」、「客待ち演出(デモ演出(デモ画面))」)の演出の一例を示したものである。なお図82では、実際には、演出モードに係る背景演出や複数の予告演出が出現するが、説明の便宜のため、図示を省略してある。また、説明の便宜のために「図柄変動表示ゲーム」を「図柄変動表示」または「図柄変動」と略す場合がある。
図82を参照して、今回(1回目)の図柄変動表示が開始した後(図(A))、当該図柄変動表示中に、特定キャラクタ(藤丸くん)901が、後光演出(後光表示)902とともに出現している(図(B):「後光演出902+特定キャラクタ901」)。ここではこの演出を、仮に上記「設定N確定演出」に属する“設定6(最高設定)確定演出”として説明する。その後、図柄変動表示ゲーム実行期間(変動時間)が経過して、装飾図柄はハズレ図柄を示す「357」で停止表示している(図(C))。
続いて、作動保留球が消化され、次回(2回目)の図柄変動表示が開始される(図(D))。本例では、この次回の図柄変動表示開始時において、前回の図柄変動で出現した「後光演出902」および画面右上に小さく特定キャラクタ901aが表示されている。この特定キャラクタ901aは、たとえば、前回の図柄変動表示ゲームの際に出現した特定キャラクタ901を縮小化(いわゆる、ちびキャラ化やスーパーディフォルメ(登録商標)化など)したものであり、特定キャラクタ901に関連する画像(特定の設定示唆演出が出現したことに対応して現出される演出表示)として表示される。
斯様な後光演出902と特定キャラクタ901aは、設定示唆演出の実行を認識(確認)可能な「特定演出(実行確認演出)」として働く。ここで図(E)~(F)に示すように、後光演出902はすぐに終了しているが、画面右上の特定キャラクタ901aの表示は、その後の図柄変動表示中も図柄変動停止時も継続している。すなわち、図柄の変動表示中に設定示唆演出が実行された場合、その図柄変動表示終了後に当該設定示唆演出の実行を認識可能(確認可能)な表示態様となっている。また、図柄の変動表示中に設定示唆演出が実行された場合、当該図柄変動表示終了後であり、かつ当該図柄変動停止中にその設定示唆演出の実行を認識可能な表示態様となっている。
その後、図(F)に示すように、装飾図柄が「634」のバラケ目で停止表示し、図柄変動表示ゲームの結果が“ハズレ”となる。本例では、今回(2回目)の図柄変動表示ゲームを以って、現存する作動保留球がすべて消化されて作動保留球がゼロになり(図(A)、(E)~(F)の保留表示領域76の保留アイコン参照)、そのまま空き台になったものとする。
(メニュー画面中の特定キャラクタの表示について:図82(G)(H)(I))
装飾図柄が「634」のハズレの状態で図柄が停止したまま(デモ開始待ち演出の状態のまま)空き台となり、遊技台がしばらく放置(図柄停止状態から所定時間(たとえば30秒)経過する、および/または図柄停止状態で遊技球を発射しない状態(タッチセンサ非検出状態)状態で所定時間経過した場合など)されると、図(G)に示すように、画面下に「メニュー画面表示→」の文字表示とボタン画像とを含むメニュー表示可能報知演出905が現出し、演出ボタン13を操作するとメニュー画面(遊技設定画面)を開くことができる旨の報知が開始される。この状態で演出ボタン13を遊技者が操作すると、図(H)に示すような「メニュー画面」が表示され、様々な遊技環境の設定が選択可能となるが、このとき、特定キャラクタ901aは非表示となる。すなわち、所定の条件下(たとえば、図柄変動停止状態中の期間(客待ち開始前演出中または客待ち演出中など)において遊技者による操作手段による所定操作が行われた場合、特定演出が非実行(非表示、非報知)とされ、設定示唆演出の実行が認識不能(確認不能)となる。端的に言えば、図柄変動停止中に設定示唆演出の実行が認識可能である場合において、操作手段による所定操作が行われた場合、当該設定示唆演出の実行が認識不能とされるようになっている。これは、無闇に特定演出を表示してしまうと、その表示がかえって邪魔になってしまうケースがあることを考慮したためである。なお、設定示唆演出の実行を確認不能(特定演出を一時的に非実行)とする期間や遊技状況は、遊技性に応じて異なることが多いため、適宜定めればよい。
なお、図(H)に示す「メニュー画面」は、操作手段(演出ボタン13や十字キー75)により、様々な遊技環境の設定((たとえば、音量の設定、光量の設定、演出モードの設定)を遊技者の好みの設定に選択可能な遊技設定画面に表示されるメニュー項目の一例を示したものである。ここでは、メニュー画面の一例として、現在の演出モード中で出現させる敵キャラクタを選択する「キャラクタ選択」、「音量調整」、「光量調整」、「BGM選択」、「戻る(メニュー画面の終了)」などの各種の項目が表示される例を示してある。このメニュー画面においては、方向キー75を操作することによりカーソル(矢印、指標)907が上下に移動して、遊技者が設定したいメニュー項目が選択可能となっている。カーソル905がメニュー項目を指し示した状態で、遊技者が演出ボタン13を押下すれば、そのメニュー項目を決定可能となっている。
たとえば、図(H)に示すメニュー画面中の「キャラクタ選択」という項目を選択した場合は、図(I)に示すような「キャラクタ選択画面」が表示される。このキャラクタ選択画面では、複数の宇宙人903(設定示唆演出とは無関係のキャラクタ)と、特定キャラクタ901または901aに関連するアイコン画像901b(実行された設定示唆演出に関連する特定画像(特定演出の一つ))とが表示されており、メニュー画面を開いた遊技者は、ここで設定示唆演出の実行、実行された設定示唆演出の種類、その設定値情報などを知ることも可能である。ここには、画面右上に小さく表示されていた特定キャラクタ901aが「アイコン」と称される「対象を指定しやすく、見分けやすくするために小さな絵で表したもの」で表示されている。この遊技者がこのアイコン画像901bを見ることにより、“設定6(最高設定)確定演出”となる設定示唆演出が現出された事実を知ることができる、すなわち、本遊技台の設定値が、最高設定の設定6であることを知ることができる。
また上記メニュー画面の表示中(ここでは、キャラクタ選択画面)において、カーソル907をこのアイコン画像901bに合わせることにより、設定示唆演出の現出状況に関連する特定の遊技情報を報知可能に構成してもよい。この「特定の遊技情報」としては、たとえば、本日の電源投入後から数えて、その設定示唆演出が何回出現したかといった「数値情報(出現回数情報)」や、そのアイコン画像が何を意味するかといった設定示唆演出に関する情報、つまり「設定値情報(示唆情報)」などを確認可能に構成してもよい。たとえば、液晶画面右側に吹き出し表示したり、メニュー項目の選択決定と同じように、操作手段によりアイコン画像を選択し決定して別画面(設定示唆演出情報画面)を表示したりするなどにより、遊技者が上述の数値情報や示唆情報を表示可能に構成することができる。また、メニュー画面中に、操作手段を所定の手順で操作することによりアイコン画像の表示と非表示(表示の継続/表示の終了)とを選択可能に構成してもよい。なお、表示(報知)する示唆情報については、設定示唆演出(ここでは、設定6確定演出)が示唆する「設定6確定である」という示唆内容そのものを表示してもよいが、曖昧化した情報、たとえば、設定4以上で選択され易い(現出され易い)、設定4以上確定などの情報を表示してもよい。また図示では、設定示唆演出に関連する画像(アイコン画像901b)として、特定キャラクタだけがアイコン化して強調的に表示されているが、宇宙人キャラ903もアイコン化して表示してもよい。
また図(I)では、液晶画面内に、特定演出としてのアイコン画像901bが1つだけ表示された例を示してあるが本発明はこれに限定されず、現出された設定示唆演出の種類に応じた“複数種類の特定演出(特定画像)”を表示可能に構成することができる。つまり、“過去に現出された複数の設定示唆演出が同時的に現出する”(正確には、過去に現出された設定示唆演出に関連する特定演出が同時的に現出する)、という表示態様とすることができる(後述の図83~図84についても同様)。
斯様な表示は、遊技者が設定推測や遊技台を選定する際に役立つ表示態様といえる。ただし、表示領域は限られているため、多くの表示種を設ける場合には、たとえば、操作手段を利用したスクロール表示などの表示方式により、画面に表示し切れない特定画像(非表示状態にある特定画像)を表示したり、サブの液晶表示装置(たとえば、メニュー画面表示用の液晶表示装置)を設けてこれに表示させたりすればよい(表示方式は特に制限はない)。また、特定キャラクタ901bは、アイコン化して表示しているが、その表示態様は特に限定されず、たとえば、特定キャラクタ901aと同一または類似するものを表示してもよい。また本例では、キャラクタ選択画面中に特定キャラクタを表示するものとして説明したが、他の1または複数の他のメニュー項目において表示させるように構成してもよい。また、複数種類の特定画像(特定演出)の表示は、図(I)に示す特定のメニュー項目(キャラクタ選択画面)だけに限らず、図柄変動表示中やデモ画面中(図(E)~(K)参照)などの期間においても可能である。この場合も、スクロール表示やサブの液晶表示装置などを利用して、複数種類の特定演出を表示可能に構成することができる(後述の図83~図85についても同様)。
また図(G)では、2回目の図柄変動表示が終了した後も特定キャラクタ901aが継続表示されている例を示してあるが、作動保留球がゼロの場合には、当該図柄変動表示が終了した後、特定キャラクタ901aを画面上から一旦消去してもよい。この消去タイミングとしては、たとえば、当該図柄変動表示が終了時、客待ち演出開始前(デモ開始待ち演出中)の所定のタイミング(たとえば、メニュー表示可能報知演出905の開始時)、客待ち演出開始前の状態から所定時間(たとえば、30秒)経過後などが挙げられる。この場合、特定キャラクタ901aは、上記メニュー画面(図(H))や、特定のメニュー項目を選択決定した場合(図(I))や、後述の図(J)(K)に示す客待ち演出中(デモ画面中)などに表示(再表示)させることができる。
(デモ画面中(客待ち演出中)の特定キャラクタの表示について:図82(G)(J)(K))
図82(G)の説明に戻り、図柄停止状態(図柄変動表示ゲーム終了後)でそのまま放置されると、既に説明したように、所定条件(たとえば、“図柄停止から所定時間(たとえば180秒)が経過する”および/または“図柄停止状態かつタッチセンサによる非検出状態が所定時間(たとえば、60秒)経過する”など)を満たしたとして「デモ画面(デモムービー)」が開始される。図(J)はデモムービーの前半部の一部を、図(K)はデモムービーの後半部の一部を例示したものであり、デモ画面期間中は、この図(J)~(K)の一連のデモムービーが繰り返し再生表示され、遊技台の魅力を効果的にアピールするようになっている。図(J)では、遊技機の名称表示(「CR 藤丸くん戦記」)と、上空を複数の戦闘機(デモ画面用キャラクタ)が飛び回る演出が表示されており、画面右上隅部に特定キャラクタ901aが表示されている。また図(K)では、画面中央に遊技機の名称が大きく表示され、画面右上隅部に特定キャラクタ901aが表示されている。つまり、客待ちデモ演出(デモ演出)の実行中に設定示唆演出の実行を認識可能となっている。
ここで、特徴的な点は、デモ画面表示が開始されても特定キャラクタ901aの表示は継続されつつ、デモ画面表示(たとえば上空に複数の戦闘機が飛び回る演出)に登場するデモ画面用キャラクタ(たとえば、図(J)に示す戦闘機群)の表示を極力邪魔しないようになっている点である(特定画像退避表示手段)。このようにデモ画面中に特定演出が現出されることは、遊技台を選定中の遊技者にとっては、遊技台を選ぶ際に役立つ情報(有利情報)が報知されている状況であるので好適である。
先の例(図82(D)~(F))では、図柄変動表示中に「キャラクタ表示+後光表示(特定キャラクタA)」を行い、デモ画面表示中は「キャラクタ表示のみ(特定演出A)」を行うものとした。しかし、必ずしもこの表示態様に限定されるものではない。たとえば、図柄変動表示中に設定示唆演出として「特定キャラクタA」または「特定キャラクタB(キャラクタ表示+文字表示)」などが表示された場合に、次回の図柄変動開始時や次回の図柄変動表示中の所定のタイミングにおいて、それぞれ個別の特定演出(特定キャラクタAであれば特定演出A、特定キャラクタBであれば特定演出B)を実行してもよいし、また、いずれの場合も「共通の特定演出」(特定キャラクタAでも特定キャラクタBでも共通特定演出C)を実行してもよい。
なお、上記「共通の特定演出」とする場合は、設定示唆演出が示唆する内容が一定レベル以上に似通っていることが好ましい。たとえば設定1(最低設定)である可能性が高い「設定示唆演出A」と、設定6(最高設定)である可能性が高い「設定示唆演出B」とがある場合に、いずれかの設定示唆演出が実行された後、共通の特定演出(特定キャラクタ)を実行してしまうと結局設定値が“高いのか低いのか”全くわからない、つまり、設定示唆演出が現出されたという事実は報知されることになるが、設定推測要素としては役に立たない情報が報知されうる、ということになってしまう。それではわざわざ特定演出(実行確認演出)を行う意味がない。
そこで、たとえば「設定6確定」の設定示唆演出(設定N確定演出)や「設定4以上確定」の設定示唆演出(特定範囲示唆演出)など「確定系の設定示唆演出」に絞って、その後に特定演出(実行確認演出)を実行するようにしてもよい。具体的には、確定系の設定示唆演出のうち、中間設定域(設定値3、4)以上が確定する設定示唆演出に絞ってもよいし、好ましくは、高設定域が確定する設定示唆演出(たとえば、設定N以上確定(N=4、5)、または設定N確定(N=4、5、6))に絞って、その後に特定演出を実行する、より好ましくは、高設定域が確定する設定示唆演出のうち、設定5以上が確定する設定示唆演出に絞って、その後に特定演出を実行する。また、機械割の観点に着目して、機械割100%を超える設定値が確定するものに絞ってもよい。
上記のように特定の設定示唆演出に絞る場合、その効果としては2つある。1つ目の効果は、情報の集約による表示内容の簡略化である。実行された設定示唆演出の種類に応じて無闇に特定画像を表示して、多くの設定示唆演出の出現を個別に示していては表示領域も足りなくなるし、表示物が煩雑化して余計に分かり難くなる。しかし、適度に情報を集約して表示することにより、見た目がすっきりするだけでなく、同一レベルの設定示唆演出が集約されることになるので、情報の精度が増す、という効果がある。
また、2つ目の効果は、情報の集約による設定示唆内容の曖昧化である。この「設定示唆内容の曖昧化」は、前者の1つ目の効果(情報の精度が増す)に逆行するかのようであるが、そういうことではない。以下に詳述する。
たとえば、第1設定示唆演出で「設定4以上確定の演出」が出現し、第2設定示唆演出で「設定5の可能性が高い演出」が出現し、第3設定示唆演出で「設定1を否定する演出(設定2以上確定演出)」が出現したとする。この場合、同一レベルの演出として第1設定示唆演出と第2設定示唆演出の出現を集約した特定演出として、“設定4以上の可能性が高い演出が出現したこと示すアイコン(特定演出)”が表示され、メニュー画面においてはそれが2回出現したことを知ることが可能となる。
しかし、第3設定示唆演出の「「設定1を否定する演出」は同一レベルではないため集約されない。1つ目の効果として「情報の精度が増す」としたのは、設定4以上の可能性が高い演出が「2回出現した」という部分である。当然ながら1回出現するよりも2回出現した方が、設定推測要素としての信憑性は増す。
そして、2つめの効果として「設定示唆内容の曖昧化」としたのは、第1設定示唆演出で「設定4以上確定の演出」が出ているにも関わらず、特定演出として「設定4以上の可能性が高い」アイコン表示をしている部分である。
これにより、実際に第1設定示唆演出を確認した遊技者(前任者)は「設定4以上確定である」ことを認識できるのに対し、第1設定示唆演出を確認していない遊技者(後任者)は「設定4以上の可能性が高い」ということだけを把握できる、といったように情報量に差を設けることが可能となる。換言すれば、設定推測要素が高い設定示唆演出(第1有利情報)を確認できた遊技者(上述のケースでは、設定4以上確定を確認した前任者)は、設定値が明確に確認できたことで有利にゲームを運ぶことができる。
一方、そうでない遊技者(上述のケースでは、設定4以上確定を確認してはいないが、設定4以上の可能性が高い(第1有利情報よりも、遊技情報としての価値が低い第2有利情報)ということを確認できた後任者)は、当該前任者よりも不安感を持ちながら遊技に興じることになりうる。このことは、設定推測要素が高い設定示唆演出を確認できた遊技者は自分だけが知り得る有用な情報を持つことができ、そうでない遊技者は、当該設定示唆演出を実際に確認できていない以上は同等価値の情報を与えずにある程度の有用な情報を与える、という“情報提供を平等的とする”という意義がある。斯様な「設定示唆内容の曖昧化」により、前者と後者との間に情報量の差を設けて、不平等感や不満感を与えないようにすることができる。
なお、最高設定6を確定的に報知する上記「設定6確定演出」が一度でも出現した場合は、特定演出として“設定6確定を示すアイコン”を表示し、それ以降はそれ以外のアイコンは表示しない(カウントはするが表示しない、またはそもそもカウントもしないなど)ようにしてもよい。最高設定6が確定した場合には、その他の特定演出を現出させる意義が無いからである。
また、上述した「設定示唆内容の曖昧化」の観点から、「設定6確定演出」については“設定6確定を示すアイコン”を表示せずに、たとえば、“設定5の可能性が高い”あるいは“設定4(または5)以上確定”を示すアイコンを表示して、実際に設定6確定演出を確認できた遊技者だけが、その特典として、設定6であることを知ることができるようにしてもよい。
また、すべての設定示唆演出の実行後に、対応する特定演出(実行確認演出)を実行する必要はない。前述の通り、曖昧な設定示唆や、むしろ低設定の方が選択されやすい設定示唆演出が出た場合などは、その後に特定演出を行うと逆効果(遊技意欲の減退)になってしまう。また、設定示唆演出が複数のタイミングで実行される遊技機にあっては、そのすべてに対して特定演出を用意することは制御負担に繋がるため、やはり取捨選択の上、いずれか1または2程度の設定示唆演出を対象にして特定演出を実行することが好ましいといえる。
また、上記特定演出(実行確認演出)の開始タイミング(特定演出開始条件)は、ゲーム性などに応じて適宜定めることができる。代表的には、図82で説明した、次回以降の図柄変動表示ゲーム中またはメニュー画面あるいはデモ画面中などである。この「次回以降の図柄変動表示ゲーム」の意には、設定示唆演出が出現したゲームの次ゲーム(変動開始時、変動中の所定のタイミング、変動終了時など)で表示させることを含む他、当該次のゲームで表示させずに、設定示唆演出が出現した次のゲームでは出現させずに、複数ゲーム後に表示させることも含む概念である。
また、上記特定演出(実行確認演出)を確認可能な期間(特定演出終了条件)は、適宜定めることができる。代表的には、たとえば下記(A)~(K)の1または複数の期間を採用することができる。(Α)次回または複数回の大当り当選(大当り開始または終了)まで(特定の大当りをカウントしてもよい)、(Β)図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数N(1≦N)に達するまで、(Γ-1)特定のタイミングから所定時間が経過するまで(RTCにより終了タイミングを管理)、(Δ)特定の時刻が到来するまで(RTCにより終了タイミングを管理)、(Ε)メニュー画面の表示回数が所定回数M(1≦M)に達するまで、(Ζ)デモ画面(デモムービー)の表示回数が所定回数X(1≦X)に達するまで、(Η)デモ画面(デモムービー)が表示されてから所定時間(たとえば、30分~1時間)経過するまで、(Ι)アウト球数(通常時アウト個数および/または全状態アウト個数)が所定個数(たとえば、1000発)に達するまで(打ち込み球数で表示終了タイミングを管理)、(Κ)遊技機の電源を落とすまで、(Λ)設定値を変更(同一設定の打ち替えを含む)するまで、などとすることができる(後述の図83~図85の演出例についても同様)。
なお、特定演出(実行確認演出)については、画像表示演出を利用するだけでなく、光演出(LEDを特定の発光パターンで発光させる)、音演出(特定の効果音を出力する、通常のBGMではなく、特定のBGMに変化するなど)、可動体役物(特定の動作パターンで動作させる)のうち、1または複数の演出手段を利用してもよい。たとえば、光演出を利用する場合、特定のLED(専用のLEDでもよい)が、現出された設定示唆演出の種類に応じて、青色、黄色、緑色、赤色、虹色などに発光させることができる(後述の図83の演出例についても同様)。
なお、特定演出として遊技盤面および/または遊技機枠に表示された標章を用いることも考えられる。この場合、同一表示態様で表示する場合の効果、異なる表示態様で表示する場合の効果等は先に説明した通りである。
また、上記特定演出(実行確認演出)については、過去に出現した設定示唆演出がどのような演出態様であるか、設定値情報(示唆情報)がどのような内容であるかなどを、遊技者が分かり易い演出態様とすることが好ましい。たとえば、設定示唆演出として、図(B)に示す「特定キャラクタ901(藤丸くん)」を含むキャラクタ系の設定示唆演出が現出された場合、これに対応する特定演出としては、たとえば、その特定キャラクタを縮小化やアイコン化したもの(藤丸くんであると容易に認識し易いもの)を表示することが好ましい(図(D)~(G)、(I)(J)(K)など参照)。また、現出された設定示唆演出に関連する文字情報を、特定演出として現出させることも遊技者が分かり易い演出態様という点で、好ましいといえる。たとえば、現出された設定示唆演出が「設定4以上確定」を示唆するものであれば、これに対応する特定演出として「設定4以上確定です!」の文字情報を表示することができる(後述の図83の特定演出についても同様)。
勿論、必ずしも分かり易い演出態様でなくてもよく、藤丸くんと何らかの関連性(たとえば、観念的関連性、意匠的関連性など)のあるキャラクタ(たとえば、恋人キャラの藤香ちゃん、宿敵キャラ)や藤丸くんに関連するアイテムなどを表示してもよいし、藤丸くんとは何ら関連性の無い他のキャラクタ(たとえば、戦闘機や円盤)やアイテムを表示してもよい(後述の図83の特定演出についても同様)。
また、設定示唆演出の種類またはその示唆内容に応じた表示態様(たとえば、色彩および/または形状が異なる表示態様)としてもよい(後述の図83の特定演出についても同様)。たとえば、設定2以上確定演出が出現した場合は青色に付したアイテム画像(青色の勾玉)、設定3以上確定演出が出現した場合は黄色の勾玉、設定4以上確定演出が出現した場合は緑色の勾玉、設定6確定演出が出現した場合は虹色の勾玉などである(他の設定示唆演出(偶数設定示唆演出、奇数設定示唆演出、低設定示唆演出、高設定示唆演出などについても同様)。
また、図柄変動表示中に現出される設定示唆演出については、上記変動中設定示唆非予告演出に属するものであってもよいし、上記変動中設定示唆予告演出に属するものであってもよい(後述の図83の設定示唆演出についても同様)。
(演出例2:図83)
図83に、図柄変動表示中に設定示唆演出が現出される他の演出例として、特定の予告演出中(たとえばリーチ演出中)に設定示唆演出が現出するケースを示す。
この図83の演出例では、図柄変動表示が開始された後(図(A))、その変動表示中の所定のタイミングにてリーチ演出が開始される(図(B))。ここでのリーチ演出では、図(C)に示すように、移動式砲台911が味方キャラ、円盤913が敵キャラとして登場し、移動式砲台911と円盤913との間で戦闘が繰り広げるといったストーリー仕立ての演出となっている。リーチ演出が開始されると、「円盤を撃墜せよ!」というミッションが表示され、移動式砲台911の攻撃で円盤913を撃墜できた場合には“ミッション成功”となり、大当り図柄(図柄揃い)が表示されて、今回のゲーム結果が大当りであることが報知される。しかし、円盤913を撃墜できない場合には“ミッション失敗”となり、ハズレ図柄が表示されて、今回のゲーム結果がハズレであることが報知される。
図(C)の後の演出が分岐しているところは、このリーチ演出シナリオが複数種類のシナリオが存在することを示している。本例では、代表的に、図(D1)側の演出が展開される演出シナリオと、図(E1)側の演出が展開される演出シナリオの2つのシナリオを示してある。いずれのシナリオが実行されるかは、変動パターン情報や設定値情報に基づく所定の演出抽選により決定される。
上記図(D1)側の演出シナリオは、戦闘中に“戦闘機917(通常支援キャラ)”が味方キャラ側の援軍として登場し、その戦闘機917が支援する形で、移動式砲台911による攻撃が行われる演出内容となっている。他方の図(E1)側の演出シナリオは、“特定キャラクタ919(特別支援キャラ)”が味方キャラ側の援軍として登場し、その特定キャラクタ919(以下、「藤丸くん919」と称する)が支援する形で、移動式砲台911による攻撃が行われる演出内容となっている。
ここで、大当りへの当選期待度は援軍の登場キャラに応じて異なり、本例では「戦闘機917(通常キャラ)<藤丸くん919(特定キャラ)」であるが、本例では、いずれもゲーム結果は「ハズレ」となっている(図(D2)または図(E2)参照)。なお、戦闘機917は全設定1~6で選択される可能性があるが、藤丸くん919は設定4以上でしか選択されない、すなわち「設定4以上確定」の設定示唆演出となっている。したがって、図(E1)側の演出シナリオは、今回のゲーム結果は「ハズレ」となってしまったものの、藤丸くん919が出現した時点で“設定4以上”であることが判明したことになる。
この図83の例では、「設定4以上確定」の設定示唆演出(藤丸くん919)が出現したことに対応して、図(E2)に示すように、液晶表示装置36の四辺が、特定画像により縁取られたように表示される。本例では、特定画像として、虹色のエフェクト画像920が額縁状に表示され、4辺が強調表示されている。この虹色のエフェクト画像920は、上記図82(D)(G)~(K)で説明した特定キャラクタ901と同様に、特定演出(実行確認演出)として働く。
図(E3)は、エフェクト画像920が今回の図柄変動表示ゲームが終了した後(たとえば、次回以降の図柄変動表示ゲーム中(不図示))も継続表示される例を示してある。ここで、図(D3)または(E3)に示す「メニュー画面表示⇒+ボタン画像」の表示は、図82(G)のメニュー表示可能報知演出905に相当する演出である。なお、このエフェクト画像920の表示終了条件としては、たとえば、図82中で説明した上記(Α)~(Λ)の1または複数を採用することができる。
したがって、遊技者が何らかの都合で、藤丸くん919の出現を見逃した場合であっても、そのことをエフェクト画像920により気付くことができるし、もし時間の都合などで辞めてしまう場合であっても、その後の遊技者(後任者)がいち早くこの状況(設定4以上であることが判明したという状況)を認識することができる。なお、上述の特定画像(エフェクト画像920)はあくまでも一例であり、特定画像(特定演出)については、当該設定示唆演出が出現したという事実を確認(認識)可能なものであれば、その演出態様は適宜定めることができる。
なお、上記エフェクト画像920に代えて(もしくは加えて)、「モノクロ藤丸くん919b」を表示してもよい。また、この場合において、たとえば「カラー藤丸くん919a」が表示された場合は設定6が確定し、「モノクロ藤丸くん919b」が表示された場合は設定4以上が確定するといったようにしてもよい。このように、同じ標章(藤丸くんのイラスト画像)に基づいて作成された標章(文字、図形、記号等)が表示手段に表示される場合に、色、大きさ、フォント等を互いに異ならせることで設定示唆度合いを異ならせることが可能となる。
(演出例3:図84)
図84に、他の演出例として、大当り遊技中に設定示唆演出が現出するケースを示す。ここでは、代表的に、上記「V確変タイプ」を採用した例について説明する。図84(B1)と図84(C1)は、大当り中にV入賞した場合に現出されるV入賞時演出(祝福演出)を例示したものである。
図(A1)は、大当り中のラウンド中演出を示したものであり、ここでは、6R目に大入賞口内の特定領域(V入賞領域)が開放されて、V入賞領域に遊技球が入賞したものとして説明する。
V入賞した場合、通常であれば、図(B1)に示す「V表示(V画像931)のみ」(通常V入賞演出(設定示唆演出が付随しない演出))が表示されるところ、所定条件を満たした場合(たとえば、設定示唆演出の現出抽選に当選した場合など)には、たとえば「高設定(設定4以上)確定演出」として、「V表示(V画像931)+特定キャラクタ(円盤932)」といった特別なV入賞演出(設定示唆付V入賞演出(設定示唆演出が付随する演出))が表示される。この「V表示+特定キャラクタ」が現出した場合、図(C2)に示すように、その大当りが終了して次のゲームが開始した後も、液晶画面右上に、設定示唆演出に係る特定キャラクタ(円盤932)が縮小化した形で表示される(図示の円盤932a)。なお、この特定キャラクタの表示は、次のゲーム(すなわち大当り終了後1回転目)のみ表示されるようにしてもよいし、次回大当りまで表示するようにしてもよい。または3分間といった時間管理であったり、総アウト球数300発といった打ち込み球数管理であったりしてもよく、その他、その表示終了条件として、たとえば図82中で説明した上記(Α)~(Λ)の1または複数の条件を採用することができる。
なお本例では、V確変タイプの遊技機を例にとり説明したが、大当り中に設定示唆演出を現出可能な遊技機であれば、機種は特に限定されない。たとえば、小当り中に特定領域を通過した場合(V入賞した場合)に役物連続作動装置が作動する、いわゆる「1種2種混合タイプ」であってもよいし、特図1と特図2とが並行して変動表示可能ないわゆる「同時変動タイプ」であってもよい。また既に説明した上記「STタイプ」や「転落抽選タイプ」や「一般確変タイプ」などの遊技機であってもよい。また、大当り遊技中に現出する設定示唆演出は、上記非変動中設定示唆非予告演出に属するものであってもよいし、非変動中設定示唆予告演出に属するものであってもよい。
(連系型設定示唆演出)
なお、図82~図84で説明した特定演出(図82の特定キャラクタ901aや図83のエフェクト画像920や図84の円盤932aなど)のように、所定の遊技期間、たとえば、或る設定示唆演出の現出に関連する特定演出(実行確認演出)や複数回転に跨る設定示唆演出(“設定示唆演出+設定示唆演出”または“設定示唆演出+特定演出(実行確認演出)”)を行う場合、ただ単に設定示唆演出が出現する期間を長くするというだけでなく、この後にもさらに設定示唆演出が続くのではないかという期待感を遊技者に抱かせるようにしてもよい。たとえば、「一の設定示唆演出の実行を条件として、他の設定示唆演出が実行される」といったような、“第1設定示唆演出の現出(実行)を条件に、第2設定示唆演出が現出される”という演出態様であり、第1設定示唆演出が「主」、第2設定示唆演出(特定演出(実行確認演出))が「従」の関係を持つ「連係型設定示唆演出」を採用してもよい。斯様な「連係型設定示唆演出」を現出させる場合には、たとえば、(I)第1設定示唆演出を現出させるか否を決定する第1抽選を実行し、この第1抽選に当選した場合に、つまり第1設定示唆演出を現出させる場合に、第2設定示唆演出を現出させるか否かを決定する第2抽選を実行する。そして第2抽選に当選した場合に第2設定示唆演出を現出させることができる。また他には、たとえば(II)設定示唆用の演出シナリオとして「設定示唆演出を現出しない」、「第1設定示唆演出のみ現出する」「第1設定示唆演出+第2設定示唆演出を現出する」および「設定示唆演出を現出しない」を設け、これらのうちからいずれかを抽選により決定することができる。
また「連係型設定示唆演出」を現出させる場合は、第1設定示唆演出により示唆される設定値情報(示唆情報)よりも第2設定示唆演出により示唆される設定値情報の方が有益な情報となるように示唆情報に関する禁止則を設けることが好ましい。これは、先行して現出される第1設定示唆演出がたとえば「設定4以上確定」を示唆するものであり、後に現出される第2設定示唆演出が「設定2以上確定」を示唆するものであるとすれば、無駄な設定値情報を遊技者に提供してしまうことになるからである。勿論、上述した禁止則を設けなくてもよい。設定示唆演出の現出回数が多ければ多いほど、設定推測要素としての情報の精度を増すことができるからである。たとえば、第1設定示唆演出で「偶数設定」を示唆し、第2設定示唆演出でも「偶数設定」を示唆するような場合(同一レベルの設定示唆演出が現出される場合)、連係型設定示唆演出の現出1回を以って「偶数設定の可能性がより高まった」という情報を得ることができる。また、第1設定示唆演出と第2設定示唆演出とで少なくとも一部が異なる演出態様とし、後発の第2設定示唆演出の演出態様に応じた設定値情報を報知することができるようにしてもよい。
なお、設定示唆演出(設定値を参照して決定される演出)と、それに該当しない演出(設定値を参照せずに決定される演出)とを区別する場合、「設定示唆演出と非設定示唆演出」といった具体的な名称を付すのみならず、「第1演出と第2演出(どちらが第1設定示唆演出でも可)」といったように数字によって分けたり、「特別演出と通常演出(どちらが特別演出でも可)」といったように用語によって分けたりしてもよい。その他、アルファベット、記号、平仮名、片仮名、漢字、ローマ数字などいずれでもよく、あくまでもそれぞれを区別するための符号であれば何を用いてもよい。
また、前述の通り、設定示唆演出には複数種類存在し得る(1つの遊技機において必ず設定示唆演出が複数存在するという意味ではなく、遊技機に搭載され得る選択肢としての設定示唆演出が複数あるという意味)ため、1つの遊技機において設定示唆演出を複数搭載する場合は、その中のいずれか1つを「第1設定示唆演出」とし、それとは異なる設定示唆演出を「第2設定示唆演出」、「第3設定示唆演出」、「第4設定示唆演出」(以下、続く)というように個々に称してもよいし、たとえば3つの設定示唆演出がある場合に、いずれか1つを「第1設定示唆演出」と個別に称し、それ以外を「第2設定示唆演出」と総称してもよい。また、いずれか1つを「第2設定示唆演出」と個別に称し、それ以外を「第1設定示唆演出」と総称してもよい。
また、設定示唆演出の中で少なくとも1つの共通点を有する設定示唆演出をカテゴリに分け、各カテゴリを「第1設定示唆演出」、「第2設定示唆演出」、「第3設定示唆演出」(以下、続く)としてもよい。カテゴリの例としては、(1)設定示唆に用いられる演出手段(たとえば、表示手段、可動物、LED、スピーカ等)によって分類されるもの、(2)設定示唆が行われるタイミング(たとえば、図柄停止時/図柄変動表示中/大当り中、図柄変動表示中をさらに細分化したもの(たとえば、リーチ前、リーチ中、リーチ後など)によって分類されるもの、(3)設定示唆の具体性(たとえば選択率は異なるが全設定で出現し得るもの/設定4以上でしか選択されないもの/設定6でしか選択されないものなど)によって分類されるもの、(4)設定示唆演出の演出時間(たとえば5秒未満/5秒以上15秒未満/15秒以上等)によって分類されるもの、などが挙げられる。
また、設定示唆演出および特定演出について上記例ではわかりやすく「表示」が行われるもので説明してきたが、本発明は必ずしもこれに限定されない。音演出、光演出、および可動体演出、および画像表示演出の少なくともいずれか一つの演出を用いた設定示唆演出は既に説明した通りであるし、特定演出についても同様に、当該少なくともいずれか一つの演出を用いたものでもよい。アイコン表示(たとえば、図82(I)に示すアイコン表示のキャラクタ901a)に替わる例としては、専用または兼用スピーカによる特定音であったり、専用または兼用ランプ(演出用LEDなど)による特定発光であったりしてもよい。そして、設定示唆演出も特定演出も各演出手段(液晶表示装置36、スピーカ46、装飾ランプ(LED)45、可動体役物80、90、その他の表示手段など)が、単独的または複合的(同時的)に実行されるようにしてもよい。
[設定示唆演出の他の具体例]
<設定示唆演出の具体例1:発光手段(LED)の色で設定示唆をする形態:図85~図87>
この設定示唆演出の具体例1は、遊技者から見えるように配置されたLED(発光手段)を、設定示唆用の色表示態様(設定示唆色)で発光させ、これにより設定示唆演出を実行するというものである。本例のようなLEDによる設定示唆演出を「LED設定示唆演出」とも称する。ここでLEDは、赤、緑、青の三原色のLEDがパッケージにされたフルカラーLED(単独のLED)か、またはこれらのLEDの集合体と拡散板とからなる面状の光源(以下、面状LEDと称する。)であり、必要に応じて、デフォルト(示唆無し)を白色とし、紫(偶数示唆)、青(奇数示唆)、黄(設定2以上(設定1否定))、緑(4以上確定)、赤(5、6確定)、虹(6確定)などの色で発光させることを想定している。これらのLEDが発色する色の種別には、保留変化予告で使用している青、緑、赤、D柄、虹色と共通のものや、大当り遊技中の所定画像(たとえば、エンディング演出(終了INT)中に係る表示画像(大当り終了を報知する画像))等の背景色として、青、黒、緑、金、虹と共通のもの、図柄変動中に現出される特定のキャラクタ(たとえば、特定の予告演出に係る宇宙人やUFOなどのキャラクタ)に付される色として、銅、銀、金、虹と共通のものを使用することができる。また、いずれの色がどのような設定値を示唆するのかは、適宜定めることができる。
本例に係るLED(設定示唆に利用するLED)は、遊技機に既に設けられている演出用LED、または設定示唆用に設けた専用のLED(設定示唆専用LED)のいずれでもよく、どの場所のLEDを使用するか、あるいはどの場所に設定示唆専用LEDを設けるかは自由であり、既に演出用としてどこかに配置されたLEDを、設定示唆用の発光態様で発光すること(予告演出と兼用とすること)もできる。先ず、本例に係るLEDについて詳細に説明する。
たとえば、ガラス扉6の前枠周縁に周方向に装飾用LEDを複数個設けてなる装飾ランプ45(以下「周囲LED45」とも称する)の少なくとも一部(周囲LEDの少なくとも一部)を設定示唆演出用に使用することができる。しかし、ガラス扉6の外側に設けた装飾ランプ45を利用するのではなく、ガラス扉6の内側において設けられているLEDを利用することもできる。たとえば、時計盤部81の数字セクター(図85に示す符号85a:以下、「数字表示部85a」と称する)用LED(遊技盤に設けたLED)やセンター飾り体48の或る場所に設けられたLEDなどである。
図85に、遊技盤3のセンター飾り体48の下方の上始動口34と下始動口35の背後壁に面状LED83bを配設し、この面状LED83bの発光態様により設定示唆演出を行う構成を示す。この構成は、遊技者が普通に遊技している状態で、設定示唆演出を確認しやすい位置に形成した構成を示す。また、図86に、数字表示部85aに設けられた数字セクター部を利用して設定示唆演出を行う構成を示す。この数字表示部85aを利用する形態では、特定箇所の数字セクター部だけを利用する形態(図86(イ))と、点灯箇所が変動する形態(図86(ロ))とがある。
詳しくは、前者の図86(イ)示す構成は、設定示唆内容(設定示唆色)によらず、発光箇所が固定的な「発光箇所固定タイプ」である。一方、後者の図86(ロ)に示す構成は、高設定の期待度が相対的に高い設定示唆内容(設定示唆色)であるほど、発光箇所が増加していく「発光箇所変動タイプ」である。換言すれば、設定示唆内容(設定示唆色)に応じて、設定示唆演出の使用領域が変動するタイプである。なお、図86(イ)または(ロ)について、特定の設定示唆演出(たとえば、設定6確定示唆)を行う場合、数字セクター全域が虹色に発色したり、時計針82が所定時刻(たとえば、6時)を示したり、エフェクト(たとえば、グロー、ライト、シャドー、フレアー、グラデーションなど)を施したりしてもよい。
また、図87に、周囲LED45を用いて設定示唆演出を行う構成例を示す。図87(イ)は周囲LED45の一部を用いて設定示唆演出を行う構成であり、図87(ロ)は周囲LED45の全部(全領域)を用いて、設定示唆演出を行う構成を示したものである。図87(イ)には、4つの構成例を示してあるが、正面左側の2つの構成例(イ-1)と(イ-2)は、設定示唆演出の周囲LED45の一か所乃至数ヵ所を領域とした使用領域小のもの、正面右側の2つの構成例(イ-3)と(イ-4)は、設定示唆演出の周囲LED45の使用領域を上半分、下半分の領域としたLEDの使用領域大のものを示してある。
図87(イ)に示す構成については、図86(ロ)に示す「発光箇所変動タイプ」とすることができる。なお、一旦、LEDによる設定示唆演出が実行された後、その後も長期間継続して設定示唆演出を行う場合は(後述の「1-2.LED設定示唆演出の継続期間について」参照)、図87(ハ)に示すように、設定示唆演出があった後、周囲LED45の一部を設定示唆演出用の領域として使用し、その余の領域を予告演出用として用いる構成とすることができる(設定示唆優先タイプ)。たとえば、設定示唆無しのデフォルトである場合、何らかの設定示唆が行われてデフォルト以外の色に変化するまでは、周囲LED45全体を予告演出用のLEDとして機能させる。しかし何らかの設定示唆が行われてデフォルト以外の色に変化した後は、周囲LED45の少なくとも一部を設定示唆演出用LEDとして機能させる。なお、予告演出として利用しない場合には、デフォルト色(たとえば、白色や消灯)で発光させるように制御すればよい(デフォルトが消灯の場合は消灯させる)。
なお、図86や図87において、数字表示部85aに設けられた数字セクター部や周囲LED45の発光に応じて、機種名ロゴ1090(第1標章)に対応する「藤丸くん」の少なくとも一部(構成要素1081の一部または全部)を発光させてもよい。たとえば、機種名ロゴ1090に係る機種名称1080の「藤丸くん」について、図87(イ-1)の場合には「藤」を点灯させる、図87(イ-2)の場合には「藤」と「丸」とを発光させる、図87(イ-2)(イ-3)の場合には「藤丸くん」の文字列の上半分または下半分を発光させる、図87(ロ)の場合には「藤丸くん」全体を点灯させる等である。この場合、周囲LED45の発光色(設定示唆色:ここでは、白、紫、青、黄、緑、赤、虹など)に対応して、機種名ロゴ1090の文字(「藤丸くん」の文字列、各文字)の色も同じ設定示唆色で発光させてもよいし、周囲LED45の発光色とは異なる色で発光させてもよい。いずれにしても、機種名ロゴ1090の「藤丸くん」の少なくとも一部が、周囲LED45の点灯点滅状態に応じて、所定の発光態様で発光可能な構成とすることができる。
また、図87(イ)の「設定示唆優先タイプ」とは反対に、周囲LED45が予告演出に用いられていない場合には設定示唆演出を行うが、周囲LED45が予告演出に用いられる場合には設定示唆演出よりも優先して予告演出の光演出を現出させる「設定示唆非優先タイプ」の構成としてもよい(図87(ニ)参照)。
また、客待ち待機中(特に、デモ画面中)の場合は、デモ画面に係る光演出よりも設定示唆演出を優先する「設定示唆優先タイプ」として構成として、待機画面中であっても周囲に対して設定示唆演出を報知可能に構成してもよいし、反対に、デモ画面に係る光演出を優先する「設定示唆非優先タイプ」としてもよい。前者の場合は客待ち待機中であっても、パチンコホール側が、イベント時などにおいて高設定を導入していることをアピールできるため、稼働率を向上させることができる。しかし一方で、周囲に報知すると、遊技者間で、高設定台の奪い合いが起こるという問題も生じうる。したがって、いずれのタイプを採用するかは適宜決定すればよい。
なお、LEDを用いて設定示唆演出を行う構成について、上記「発光箇所固定タイプ」、「発光箇所変動タイプ」、「設定示唆優先タイプ」、「設定示唆非優先タイプ」のいずれの構成を採用するかは自由である。またこれらを組合せた構成、具体的には、「発光箇所固定タイプ」および「設定示唆優先タイプ」の構成、「発光箇所固定タイプ」および「設定示唆非優先タイプ」の構成、「発光箇所変動タイプ」および「設定示唆優先タイプ」の構成、「発光箇所変動タイプ」および「設定示唆非優先タイプ」の構成のいずれを採用するかも自由である。
(可動体役物に設けられたLEDを用いた設定示唆演出:図85)
また、可動体役物に設けられたLEDを用いて設定示唆演出を行ってもよい。たとえば、第1可動体91(花心A1または花冠A2)の背面LEDなどを用いることができる。また、たとえば疑似連を行う際に、遊技機の適所に設けた「NEXT」などの文字プレート(可動体役物)を可動させ、次回の疑似連が生起することを確定的に報知する構成を採用しうるが、かかる構成の場合、この「NEXT」の文字プレートの一部や文字などに使われるLEDの発光態様を利用した設定示唆演出を現出させてもよい。たとえば、図85の二転鎖線で示すロゴプレート85(通常は、センター飾り体48の背面側に隠すように配置されている)が、疑似連を発生させるときに落下移動する構成において、このロゴプレート85に表示された「NEXT」の文字(図示せず)の一部または全部を設定示唆色(白、紫、青、黄、緑、赤、虹)で発光させる。
(設定示唆専用LED:図85のLED83a、84a、84b、84c)
上記したように、装飾ランプ45のLEDや予告演出のLEDを設定示唆演出に兼用すると、通常の装飾効果や予告演出における色表示態様と区別し難くなってしまうので、いずれにしても設定示唆専用LEDを設け、これにより設定示唆演出を行うことが好ましいといえる。そこで、設定示唆専用LEDを設ける場合には、下記のような形態がある。
たとえば、図85に示すように、演出ボタン13(爽快ボタン70)の周囲に面状LED83aを配設し、この面状LED83aを設定示唆専用LEDとして使用してもよい。演出ボタン13の外部のLEDを利用する形態としたのは、演出ボタン13の内部のボタンLED13bを利用すると操作有効期間中(ボタン有効期間)の報知と設定示唆演出のいずれであるか遊技者が混同してしまう恐れがあるため、これを防止するためである。その他として、図85に、遊技盤内に設定示唆専用LEDとして、LED84a、84b、84cを設けた例を示す。これらの設定示唆演出専用のLEDは、上述の面状LED83bと同じく、遊技者から見える場所に設けられる。
LED84aは遊技盤のセンター飾り体48の左上部に設けられ、LED84bは液晶表示装置の下辺縁中央の下部、すなわちセンター飾り体48の前面装着板48aに設けられており、これらは、上述した面状LED83bと同じく、遊技者が普通に遊技している状態で、設定示唆演出を確認しやすい位置に形成した例である。ただし、LED84cは遊技盤右上隅の非遊技領域の上記各種機能表示部に隣接するように設けられており、通常の遊技中に遊技者が殆ど視認しない位置に形成されている。すなわち、LED84cの場合は、遊技領域3a内に配設される他のLED84a、84bと比べて、演出用LEDであるか否かの区別がし易い位置に形成されている。このため、遊技者が予告演出による光演出であるか、LED設定示唆演出であるか、混同してしまう恐れを防止することができる。特に、設定示唆専用LEDを非遊技領域内に形成した場合は、予告演出による光演出と混同することなく、遊技者が設定示唆演出の内容を確認し易いものとなる。
なお、装飾ランプ45などの予告演出に利用されるLEDを設定示唆演出に兼用すると、通常の装飾効果や予告演出における色表示態様と区別し難くなってしまうので、いずれにしても設定示唆専用LEDを設け、これにより設定示唆演出を行うことが好ましい。
(1-1.LED設定示唆演出の具体例)
次に、上記のLEDによる設定示唆を行う場合の構成例について、特に発生時期(実行契機)やその継続期間など含む表示態様に着目しながら説明する。
LEDによる設定示唆(LED設定示唆演出)では、LEDを、たとえば、デフォルトの白から設定示唆色の「紫、青、黄、緑、赤、虹」のいずれかに変化させることで行うが、設定示唆色に変化させるタイミング(実行契機)としては、大別して「大当り遊技中」、「図柄変動表示ゲーム中」、「客待ち待機中(デモ開始待ち演出中またはデモ画面中:図82(G)(J)参照)」など種々のタイミングがある。
先ず、LED設定示唆演出の実行契機の具体例ついて説明する。なお、実行契機が到来した場合、必ずLED設定示唆演出を実行してもよいし、所定の実行抽選に当選した場合にLED設定示唆演出を実行してもよく、また、複数の実行契機が有る場合には、その実行契機に応じて、実行抽選を行う否かに関し適宜定めることができる。
(大当り遊技中に係る実行契機)
大当り遊技中の実行契機としては、たとえば、大当り終了時、具体的には、終了INT(エンディング演出期間)中の所定のタイミングがあるが、大当り遊技の開始時~終了時までの所定のタイミングで、LED設定示唆演出を現出させることができる。たとえば、開始INT中(オープニング演出期間)、特定のラウンド数目のラウンド遊技中(特定のラウンド中演出期間)、および特定のラウンド数目のR間INT中(ラウンド間INT演出期間)、終了INT(エンディング演出期間)のうち、少なくともいずれか1つの期間の所定のタイミングで、LED設定示唆演出を実行することができる。
また、大当り遊技中にLED設定示唆演出を行う場合は、たとえば、下記(a1)~(a4)の条件を付してもよい。
(a1)特定の大当りに当選した場合。たとえば、最高有利度の大当り(本実施形態の場合、16R長開放確変)または最低有利度の大当り(たとえば、4R長開放時短)に当選した場合、その大当り遊技中に、LED設定示唆演出を実行させることができる。
(a2)大当り当選回数(特定の大当りをカウントしてもよい)が所定回数に達した場合、LED設定示唆演出を実行させることができる。
(a3)大当りの連荘回数(連荘中の特定の大当りをカウントしてもよい)が所定回数に達した場合、LED設定示唆演出を実行させることができる。
なお、今回の大当りで設定示唆演出を実行した後は、上記(b1)では大当り当選回数が所定回数に達する毎(たとえば、2回周期で実行契機が到来する)、上記(c1)では大当りの連荘回数が所定回数に達する毎(たとえば、連荘2回周期(連荘2回、4回、6回・・・)で実行契機が到来する)に実行契機が到来するように構成することができる。
(a4)また、大当り遊技中において、特定の演出が実行された場合に、LED設定示唆演出を実行させることができる。たとえば、大当り遊技中の所定画像(たとえば、エンディング演出(終了INT)中に係る表示画像(大当り終了を報知する画像))が表示される際に(当該所定画像は設定示唆演出として機能するものでもよい)、LED設定示唆演出を実行する。この場合のLED設定示唆演出は、当該所定画像(特定の演出)の実行が条件とされる点で、上記「連係型設定示唆演出」に属するものといえる(ここでは、所定画像の表示演出が「主」、本例のLEDによる設定示唆演出が「従」の関係となる)。ただし、所定画像(特定の演出)と、LED設定示唆演出とが同時的または重複的に実行される場合であっても、LED設定示唆演出が当該所定画像の実行を条件としていない場合は、当該特定の演出とLEDによる設定示唆演出とは、それぞれ独立して実行される演出であり、上記「連係型設定示唆演出」に属するものではない。
(図柄変動表示ゲームに係る実行契機)
また、図柄変動表示ゲームに係る実行契機としては、たとえば、下記(b1)~(b4)などとすることができる。
(b1)遊技機の電源投入後、図柄変動表示ゲームの実行回数(図柄変動回数)が所定回数(たとえば300回)に達する毎に、LED設定示唆演出を実行することができる。
(b2)今回の大当りからの図柄変動回数が所定回数に達した場合、つまり、次回大当りまでのハマリ回数が所定回数に達した場合に、LED設定示唆演出を実行させることができる。
(b3)図柄変動表示ゲーム中に、特定の予告演出が実行された場合に、LED設定示唆演出を実行することができる。特定の予告演出としては、SPリーチ、疑似連3回などの高期待度予告演出などがあるが、特定の予告演出は特に制限はなく、適宜定めることができる。また、特定の先読み予告(たとえば、特定の当選期待度以上の先読み予告(赤色保留以上))が発生した場合に、LED設定示唆演出を実行することができる。
(b4)その他、後述の具体例2~具体例3に示す図柄変動表示ゲームに係る適宜なタイミングでLED設定示唆演出を実行することができる。
(客待ち待機中に係る実行契機)
また、客待ち待機中(デモ開始待ち演出中またはデモ画面中)に係る実行契機としては、たとえば、下記(c1)~(c3)などとすることができる。
(c1)デモ開始待ち演出中の所定のタイミング(たとえば、デモ開始待ち演出開始から所定時間経過時、デモ開始待ち演出終了時(デモ画面開始時)など)で、LED設定示唆演出を実行することができる。この場合、デモ開始待ち演出中の表示回数が所定回数(たとえば、複数回)に達したときを条件としてもよい。作動保留球が無くなった場合に、LED設定示唆演出を実行可能に構成することで、作動保留球が途切れてゲームが中々開始できない場合も、設定示唆演出の実行チャンスを与えることにより、遊技者のイライラ感を緩和することができる。
(c2)デモ画面(デモムービー(デモ表示))中の所定のタイミング(たとえば、デモ画面開始時、デモ画面開始から所定時間経過時など)でLED設定示唆演出を実行することができる。この場合、デモ画面の表示回数が所定回数に達したことを条件としてもよい。
(その他の実行契機)
その他の実行契機としては、たとえば、下記(d1)~(d4)などがある。
(d1)遊技機の電源投入時から所定時間が経過した場合、または所定時間が経過する毎に、LED設定示唆演出を実行することができる(RTCまたはソフトカウンタにより実行契機のタイミングを管理する形態)。
(d2)特定のタイミング(たとえば、大当り遊技開始/終了時、特定の遊技状態の開始時/終了時など)から所定時間経過した場合に、LED設定示唆演出を実行することができる。なお、特定のタイミングは適宜定めることができる。
(d2)特定の時刻(たとえば、午前11時と午後3時と午後7時など)が到来した場合に、LED設定示唆演出を実行することができる(RTCの時刻情報により実行契機のタイミングを管理する形態)。
(d3)アウト球数(たとえば、通常時アウト個数または全状態アウト個数)が所定個数(たとえば、1000発)に達した場合、または当該所定個数に達する毎に、LED設定示唆演出を実行することができる(打ち込み球数で実行契機を管理する形態)。
なお、上記した(a1)~(d3)の実行契機を複数組合せてもよい。特に、(d1)の遊技機の電源投入時から所定時間が経過した場合などのように、一日の遊技において実行契機が1回しか到来しないような場合には、他の実行契機と組合せて、LED設定示唆演出の実行契機を複数回到来させることが好ましい。
(1-2.LED設定示唆演出の継続期間について)
上記したタイミング(実行契機)に到った場合、LED設定示唆演出が実行されうることになるが、LED設定示唆演出が実行された場合は、所定の終了条件を満たすまで設定示唆を継続して行うことができる。
詳しくは、或る実行契機が到来した場合に、設定示唆色でLEDを発光させる設定示唆演出を開始し、以後、今回のLEDの設定示唆色を所定の終了条件が成立するまで継続させるが、ここで“所定の終了条件”とは、たとえば、「次回の実行契機が到来してLED設定示唆演出が再度実行された場合」、「今回のLED設定示唆演出実行後に、所定の回転数(図柄変動回数)が終了するまで」、「特定の予告演出が実行された場合(SPリーチ発生時、疑似連3回出現時など)」、「デモ開始待ち演出中」や「デモ画面中」等の客待ち待機中の所定のタイミング、あるいは「電源断まで」など種々の形態があり、終了条件は、図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、客待ち待機中の所定のタイミングとすることができる。
本例の特徴点の一つは、たとえば「大当り終了画面が表示される期間だけに現出される」などというように、その演出時間だけ現出される(比較的短時間で終了する)、という設定示唆演出とは異なり、今回のLED設定示唆演出が複数の遊技期間(長時間)にわたり現出し続けることが可能にした点である。たとえば、複数のゲーム期間にわたり継続して現出されたり、客待ち待機演出中~1または複数のゲーム期間、さらに大当り遊技期間にわたり現出し続けるようにすることも可能である。斯様な長時間継続してLED設定示唆演出が実行されるという点を利用して、下記のような特徴を有する構成とすることができる。
(A-1)構成例1
たとえば、今回のLED設定示唆演出の終了条件が「次回の実行契機が到来してLED設定示唆演出が再度実行された場合」の一例として、大当り終了時にLED設定示唆演出が実行されるケースを代表例にとり説明すれば、一のケースとしては、“1回目の大当り終了時にLED「青色」に発光→2回目の大当り終了時に「緑色」に発光→3回目の大当り時に「虹色」に発光→以後、変化なし”といった発光パターンの表示態様とする。つまり、前回の設定示唆情報よりも有益でない情報が報知されないケース、換言すれば、「成り下がり無し(変化する場合は、昇格のみ)」のケースとする。たとえば、白色(示唆無し:デフォルト)、紫(偶数示唆)、青(奇数示唆)、黄(設定2以上確定)、緑(4以上確定)、赤(設定5以上確定)、虹(設定6確定)の色で発光させる場合、“白色→「紫⇔青(偶数設定示唆と奇数設定示唆との間には有利不利の関係は無く、同等の示唆色(示唆内容)として扱う。以下同様)」→黄→緑→赤→虹色”という具合に、一方向的な色変化とする。たとえば、図86(イ)(ロ)に示すように、設定示唆色の成り下がりが無いケースである。したがって、今回のLED設定示唆演出で、設定6確定の「虹色」が出現したならば、以後「虹色」を維持し、赤や緑にはならないという設定示唆演出となる。このように「変化する場合は昇格のみ」とすることで、事象を理解し易い、確認し易い設定示唆演出とすることができる。また、変化する色を「昇格色のみ」とすることで、遊技回数が増してLED設定示唆演出が実行されるほど(設定示唆昇格チャンスに遭遇するほど)、つまり打てば打つほど、設定値についての推測精度が増すことになる。
しかし昇格するケースのみとせず、初回の大当り時に設定6確定の虹色が出たが、2回目には青色などのランクの低いことを示唆する色に変化可能、という「成り下がり有り(変化する場合は、降格有り)」のケースも存在可能な構成とすることもできる。この場合、今回「虹色」が出現しても次回は異なる設定示唆色となるケースがあるが、有益な設定示唆色が出現しても、専らその設定示唆を出現させた遊技者だけが密かに確認できるという遊技期間を作り出すことができる。このため、後から遊技する他の遊技者が労せずにその設定示唆情報を確認できるチャンスが減少し、苦労してその設定示唆色を出現させた遊技者と、当該他の遊技者との間の不平等感が生じないようにすることができる。LEDを用いて設定示唆演出を行う構成について、上記「成り下がり無し(変化する場合は、昇格のみ)」とするか、「成り下がり有り(変化する場合は、降格有り)」とするかは、適宜定めることができる。
上記した「設定示唆演出の具体例1(LEDの色で設定示唆をする)」における好ましい構成例を示すと次のようになる。なお括弧内は本構成例における対応要素を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)遊技領域に向けて遊技球を発射可能な発射手段(発射操作ハンドル15、発射装置32)と、
大当り抽選(大当りに関する抽選)を実行可能な抽選手段(図12の特別図柄変動開始処理中のS410)と、
図柄の変動表示が可能な図柄表示手段(液晶表示装置36、または特別図柄表示装置38a、38b)と、
演出を実行可能な演出手段(たとえば、ランプやLED(装飾ランプ45)を含む光表示装置45a、液晶表示装置36、加振装置、風圧装置、音響発生装置46a、可動体役物80、90など)と、
前記演出手段による演出を実行制御可能な演出制御手段(演出制御部24)と、
前記大当り抽選の結果が所定結果である場合、遊技者に有利な特別遊技(大当り遊技)を実行する特別遊技実行手段(図9の特別電動役物管理処理S095)と、を備え、
複数段階に変更可能な設定値に応じて前記大当り抽選の結果が所定結果となる確率が異なる遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記設定値を示唆する設定示唆演出を実行可能な設定示唆演出実行手段(演出制御部24、図32、図82~図86など)を備え、
前記設定示唆演出実行手段は、
前記演出手段の演出態様を第1演出態様(たとえば、第1設定示唆色:たとえば、白)から第2演出態様(第2設定示唆色:たとえば、紫、青、黄、緑、赤)に変更する第1設定示唆演出と、前記演出手段の演出態様を前記第2演出態様から第3演出態様(第2設定示唆色:たとえば、虹色)に変更する第2設定示唆演出とを少なくとも実行可能であり、
前記第1設定示唆演出によって前記演出手段の演出態様が前記第2演出態様に変更された場合、前記第2設定示唆演出が実行されるまで該第2演出態様を継続する(次の設定示唆演出による色変化が生起するまで、第2設定示唆色を継続する)、
ことを特徴とする遊技機。
この(1)に係る構成例は、LEDの色で設定示唆をする上記「(A-1)構成例1」のうち、第1設定示唆演出の実行後、次回の第2設定示唆演出が実行されるまで、当該第1設定示唆演出を継続させる構成例に対応している。表現上は単に「演出手段の演出態様」となっているが、LEDの場合の「演出手段のLEDの演出態様」を強く意識している。なお、「抽選手段」を詳述すれば、「始動手段が遊技球を検出したことを契機に、大当りに関する抽選を実行可能な抽選手段」であり、また「図柄表示手段」を詳述すれば、「図柄の変動表示動作を行い、当該図柄の停止表示態様により前記抽選手段による抽選結果を報知可能な図柄表示手段」である。また「特別遊技実行手段」は、当選種別(当りの種類:たとえば、図4に示す当選種別)に応じた当り遊技を実行可能に構成される。
(2)前記演出制御手段は、
所定の条件下で、少なくとも現在の設定値に基づき、前記設定値を示唆する設定示唆演出の実行を抽選する設定示唆演出実行抽選手段を備え、
前記第2演出態様は、設定値に関連した複数の第2演出態様(たとえば、紫、青、黄、緑、赤、虹)を含み、
前記設定示唆演出実行手段は、
前記設定示唆演出実行抽選手段による抽選に当選した場合に、前記複数の第2演出態様のいずれかを実行する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
この(2)に係る構成例は、設定示唆演出として設定値に関連した紫、青、黄、緑、赤、虹などの発光色(設定示唆色)があり、所定の設定示唆演出実行抽選で当選した場合に、現在の設定値に関連した色に変化するという構成例になっている。ここでの抽選は、たとえば、現在の設定値と複数の設定示唆色とが関連付けられており、いずれの設定示唆色とするかの選択率が定めればよい。
(3)前記演出手段は、
第1演出手段と当該第1演出手段とは異なる第2演出手段とを含む複数の演出手段を含み、
前記設定示唆演出実行手段は、
前記複数の演出手段のうち、少なくとも前記第1演出手段と前記第2演出手段とを用いて前記第1設定示唆演出を実行可能に構成され(たとえば、LEDと液晶表示装置36とを用いた設定示唆演出を実行)、
前記第2設定示唆演出が実行されるまで前記第1演出手段(LED)による前記第2演出態様を継続させ、前記第2設定示唆演出が実行されるより前に、前記第2演出手段(液晶表示装置36)による前記第2演出態様を終了させる、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の遊技機。
<設定示唆演出の具体例2:設定値によって役物の完成形が異なるようにする形態:図88~図89>
次に、図88~図89を用いて、設定示唆演出の具体例2について説明する。本例は、設定値に応じて、役物の完成形(演出としての完成形)を変更する(異ならせる)ことを以て、設定示唆を行うというものである。
本例に係る設定示唆演出の実行契機(役物完成契機)は、特定の予告演出中の所定のタイミングであり、たとえば、遊技者にとって関心度が高い特定事象の発生、またはその発生可能性を予告、示唆、確定報知するときである。具体的には、
(a)高期待度予告発生時(たとえば、SPリーチ発展時、疑似連3回発生時)、
(b)図柄変動中のプレミアム演出(当確演出)の発生時、
(c)図柄変動中の当落報知時(上記昇格演出や復活演出時)、
(d)確変大当りなどの高有利度大当り当選報知時、
(e)大当り遊技中の保留連報知時(保留連報知演出の実行時)などがある。
上記(e)の「保留連報知演出」とは、少なくとも大当り遊技開始時に存在した作動保留球の中に大当り当選に係る作動保留球(保留内当選保留球)がある場合、当り演出中、たとえば、オープニング演出、特定のラウンド数目のラウンド中演出、特定のラウンド数目後のラウンド間インターバル演出、またはエンディング演出中の所定のタイミングにて、現存する作動保留球内に保留内当選保留球が存在することを報知する演出態様であり、本実施形態の場合、いずれの作動保留球が保留内当選保留球であるか(たとえば、3個目の作動保留球が、保留内当選保留球である旨)も併せて報知されるようになっている。なお、保留内当選保留球が存在するか否か、或いは、いずれの作動保留球が保留内当選保留球であるか否かについては、上記保留加算コマンド(先読み判定情報)を受信することにより、演出制御部24側で把握可能となっている。また、保留連報知演出の対象となる作動保留球は、大当り遊技開始前に存在した作動保留球を対象とするだけでなく、大当り遊技開始後から保留連報知演出の実行タイミング前に発生した作動保留球を対象とすることができる。
役物の完成形態については、大当り当確予告や当落報知や保留連報知などのような「当選期待度」に関連した“予告演出上の形態”である場合と、「設定値」に関連した“設定示唆演出上の形態”である場合とがあるが、ここでは、演出としての完成形が設定値に応じて異なる(変更される)だけで、その完成形の違いによる当選期待度や予告内容については同じという“設定示唆演出上の形態”を扱う。たとえば、役物の完成形に、三角形(△)と星形(☆)とがある場合、いずれも当選期待度100%の当確報知(当選期待度および予告内容は同じ)であるが、設定示唆という点でみれば、三角形(△)の場合は“低設定示唆”であり、星形(☆)の場合は“高設定示唆”である(設定値に応じて完成形が異なる)、という具合である。また、ここでの完成形とは、可動体役物が所定の最終位置に移動した際または移動する過程で採る形態を意味する。
(δ1)本例で扱う役物としては、たとえば、花型役物(第2の可動体役物)90の第1可動体91と第2可動体92のように、複数の可動体役物がそれらに施された装飾により、共働して一の意匠(花型)を形作る「合体型役物」(たとえば、花型役物90)がある。このような合体型役物を利用し、(δ1-1)設定値に応じて複数の可動体役物が合体位置で形成する意匠の完成度合に差を付ける、あるいは(δ1-2)設定値に応じて異なる一意匠(有意な一意匠)が形成されるようにする。図88にその一例を示す。
(合体型役物を用いた設定示唆演出:図88)
図88は、液晶前面を覆う形で現出される合体型役物を示したものである。図示の可動体役物には、第1装飾枠501aと第2装飾枠501bとにより一意匠を形成可能な合体型の装飾体501(図(E)参照)と、液晶画面略中央部(合体型枠体501の略中央部)まで(最終位置)移動可能なギミック系合体型役物(合体の仕方により、役物511、513、515、517に示す意匠を形成する)とが設けられおり、これらは、設定値に応じて。その全体的形状が異なる形状を構成可能な合体型役物となっている。なお、役物511、513、515、517は、役物の合体する過程については省略しているが、複数の可動体が合体した状態を示してある。
図88(A)は、デフォルトの完成形A(デフォルト形態)を示したものである。このデフォルト形態は、第1装飾枠501aだけが出現し、装飾体501としては未完成の形状である。また、ギミック系合体型役物として、円形型の役物511が出現する。
図88(B)は、設定2以上確定を示唆する場合に出現する完成形Bを示したものである。この完成形Bは、装飾体501は上述のデフォルト形態と同一であるが、ギミック系合体型役物として、斜め十字形の役物513が出現するようになっている。装飾体501を未完成形としているのは、図(B)に示す完成形Bは、高設定域(設定4~6)の場合よりも低設定域(設定1~3)の場合に選択され易い、つまり完成形B(完成度合が低い形態)が出現しただけでは“高設定の期待度が薄い”という意味合いを持たせるためである。
高設定域が示唆される場合には、第1装飾枠501aと第2装飾枠501bとが上下で合体して装飾体501を形成し、装飾体501を含む完成形となる。
図88(C)は、その装飾体501を含む完成形として、高設定域である設定4以上確定を示唆する場合に出現する完成形Cを示したものである。完成形Cでは、ギミック系合体型役物として、十字形の役物515が出現するようになっている。
そして、最高設定の設定6確定を示唆する場合には、図88(D)に示すように、装飾体501と、ギミック系合体型役物として、星形多角形(図示の例は星形八角形型)を有した役物517が出現し、賑やかしが強い派手な演出が現出されるようになっている。また、少なくともギミック系合体型役物511~517には、その内部に面状LEDが形成されており、可動体演出を行う際には、中央部が美しく虹色に光色する。なお、完成形A~Cが出現する際には、ギミック系合体型役物511、513、517を、設定示唆の内容に応じた色で光色可能な構成としてもよい。たとえば、図(A)の完成形A(デフォルト形態)の場合は白色、完成形Bを成す場合は黄色、完成形Cを成す場合は赤色、完成形Dを成す場合は虹色という具合である。
(分離型役物を用いた設定示唆演出:図89)
なお、複数の可動体役物が合体して有意な一意匠を形成する合体型役物ではなく、複数の可動体役物それぞれが有意な一意匠として形成されているが、複数の可動体役物の出現の仕方によって、異なる観念を想起させるような「分離型役物」を用いて、設定示唆を行ってもよい。たとえば、図89に示すように、デフォルトの場合は図(A)人型ギミック役物521(藤丸くん役物)が1つだけが出現し、設定3以上確定を示唆する場合は図(B)のように、人型ギミック役物521、523(藤丸くん役物、藤香ちゃん役物)が出現し、この段階では、友人関係を想起させる。そして、設定5以上確定を示唆する場合は図(C)のように、人型ギミック役物521、523(藤丸くん役物、藤香ちゃん役物)と、「ハート型役物+ロゴプレート」からなる背景役物525とが出現して、カップル(恋人)のような関係を想起させる、という物語風演出を成す可動体役物群である。また、上記のように物語風演出を成す可動体役物群でなくてもよく、役物同士に何かしら関連性のある可動体役物群、たとえば、役物Aが戦車、役物Bが戦闘機、役物Cが軍艦を模した役物、つまり「兵器を模した役物」といったように、単に同じカテゴリー(兵器)に属する可動体役物群を採用してもよい。
また、設定値によって役物の完成形(最終形)を変更する形態には、下記(δ2)~(δ5)のものがある。
(δ2)「設定値に応じて、動作する役物の数または役物の組合せが異なる」
この実施形態は、設定値に応じて、最終位置に到達する役物数または役物の組合せが異なる形態である(完成形を成す役物数または役物の組合せが異なる形態)。すなわち、複数種類の役物を予め用意しておき、その複数種類の役物のうちで、幾つの可動体役物が最終位置に到達したか、あるいは複数種類の役物による組合せのうち、いずれの組合せが、役物が最終位置に到達したことで完成したかなどの違いにより役物の完成形に違いを付けるものである。これには、たとえば、下記の(A)、(B)の形態がある。ここでは3種類の役物A~Cを用意し、それぞれに施された装飾が合わさって有意な一意匠を形成する合体型役物として説明するが、役物A~Cが上記分離型役物であってもよい。本明細書中において特に断りのない限り、合体型役物と分離型役物とを特に区別することなく、「合体型役物」と称して説明する。
(A:設定値に応じて動作する役物数が異なる)
たとえば、動作する役物数が相対的に多いほど、設定値が相対的に高いことを示唆する形態である。具体的には、「役物Aのみ」または「役物Bのみ」(デフォルト:設定示唆無し)、「役物A+役物B」(設定2以上確定)、「役物A+役物B+役物C」(設定4以上確定)などである。たとえば、上記した図89の構成例に対応する。
(B:設定値に応じて役物の組合せ(1または複数の組合せ)が異なる)
たとえば、デフォルトでは「役物Aのみ」が動くだけ(一の有意な意匠は未完成)とし設定示唆無しの内容とする。そして、最終位置に到達した可動体役物の数が増えたり、その組合せに応じて、たとえば、「役物Bのみ」=偶数設定示唆、「役物Cのみ」=奇数設定示唆、「役物A+役物B」=設定2以上確定、「役物A+役物C」=設定4以上確定、「役物B+役物C」=設定5以上確定、「役物A+役物B+役物C」=設定6確定、などのように定める。この場合、「役物A+役物B+役物C」(一の有意な意匠が完成)のときは「設定6確定」の報知となる。
(δ3)「設定値に応じて役物の動きが異なる」
この実施形態は、最終位置に移動する役物の動きを設定値に応じて異ならせるものである。すなわち役物のデフォルトの動きが、たとえば「落下運動」であるとすると、これに他の動作、たとえば、振動や往復運動などの付加的な動きを付けるものである。具体的には、デフォルトの場合、役物の動きが「落下のみ」であり、これによる設定示唆は無いが、振動や往復運動などが加わると何かしらの設定示唆を行うようになっている。たとえば、「落下+往復運動小」(偶数設定示唆)、「落下+往復運動中」(奇数設定示唆)、「落下+往復運動大」(設定2以上確定)、「落下+振動」(設定4以上確定)、「落下+振動+往復運動小」(設定5以上確定)、「落下+振動+往復運動大」(設定6確定)などである。また、「振動」については、遊技盤3に設けられた可動体役物自体の振動ではなく、対遊技者刺激源手段を用いてもよい。たとえば、発射操作ハンドル15に設けられた加振装置による振動(操作する手に振動を与える)や、発射操作ハンドル15または遊技機の適所に設けられた風圧装置による風圧(遊技者に風圧を与える)であってもよい。
なお、上記「合体型役物」の場合には、次のように構成することができる。たとえば設定値が高いほど、可動体役物の一つまたは全部が、原位置Aから第1位置B(移動を開始すべく待機する開始位置)へ至る準備動作に、通常よりも時間がかかるように構成する。結果として、第1位置B(開始位置)への到達が遅れて、第2位置C(最終位置)に到達する時期に違いが生じるようにする形態とすることで、設定値に関連した「設定示唆演出上の形態」とすることができる。合体型役物の場合は、少なくとも可動体役物の1つを設定値に応じて異る動作とし、その異なる動作パターンを以って完成形へと導くことで、設定示唆を行うことができる。
(δ4)「役物の動作割合が異なる」
この実施形態は、設定値に応じて、役物が動作(作動)する割合(動作割合)が異なる形態である。詳しくは、或るタイミングにて役物Aが動作する場合、従来は、当選期待度に応じて役物Aが動作する・しないというものであったが、本形態の場合は、設定値に応じて動作割合(動作確率)を異ならせることにより、設定示唆を行うというものである。具体的には、役物Aが動作する動作確率に関し、設定値が高いほど、相対的に動作確率が高いまたは低いものとすることができる。たとえば、前者の場合は「設定1の場合は5%、設定2は8%、設定3は10%、設定4は12%、設定5は15%、設定6は18%」、後者の場合はその逆に、「設定1の場合は18%、設定2は15%、設定3は12%、設定4は10%、設定5は8%、設定6は5%」とすることができる。また変形例として、上記「合体型役物」を利用する場合、完成形を成す割合を設定値に応じて異ならせることができる。たとえば、設定値が高いほど相対的に完成確率が高いまたは低いものとすることができる。
(δ5)「役物に付随する演出が異なる」
この実施形態は、役物の動きがたとえば「落下運動」であるとすると、この落下運動に付随して、たとえば、設定値を推測させる演出(エフェクト演出)を付随して実行させるものである。この形態には、エフェクト演出の種類に応じて、下記のような構成とすることができる。
たとえば、光演出によるエフェクト演出の場合には、「落下+白色」(示唆無し:デフォルト)、「落下+紫」(偶数設定示唆)、「落下+青」(奇数設定示唆)、「落下+黄」(設定2以上確定)、「落下+緑」(設定4以上確定)、「落下+赤」(設定5以上確定)、「落下+虹色」(設定6確定)などである。光演出については、役物に設けたLEDを利用してもよいし、装飾ランプ45などの演出用LEDを用いてもよい。
また、音演出によるエフェクト演出の場合には、「落下+効果音無し」(示唆無し:デフォルト)、「落下+第1効果音」(偶数設定示唆)、「落下+第2効果音」(奇数設定示唆)、「落下+第3効果音」(設定2以上確定)、「落下+第4効果音」(設定4以上確定)、「落下+第5効果音」(設定5以上確定)、「落下+第6効果音」(設定6確定)などである。第1~第6効果音はそれぞれ異なる効果音であるが、演出時間幅は同一であっても異なるものであってもよく、適宜定めることができる。なお、少なくとも設定6確定の第6効果音は、祝福演出的な意味で、他の効果音よりも相対的に演出時間幅を長くしたり、音量が相対的に大きくするなどの派手な効果音とすることが好ましい。
また、画像表示(たとえば、キャラクタやアイテム画像)によるエフェクト演出を採用してもよい。たとえば、「落下+背景無し」(示唆無し:デフォルト)、「落下+戦車A」(偶数設定示唆)、「落下+戦車B」(奇数設定示唆)、「落下+戦車C」(設定2以上確定)、「落下+戦車D」(設定4以上確定)、「落下+戦車E」(設定5以上確定)、「落下+戦車F」(設定6確定)などである。
この(δ5)の形態では、設定値によらず役物自体の動作は同じであるが、設定値に応じて異なる演出態様(エフェクト演出)を付随させることにより、設定示唆演出として機能させることができる。このエフェクト演出は、上記した(δ1)~(δ4)にも適用可能である。たとえば、上記「(δ2)の(A)」の実施形態の場合、「役物A+役物B+役物C」は“設定4以上確定”を示唆するものとして説明したが、本例のエフェクト演出を適用した場合には、「役物A+役物B+役物C+緑」は“設定4以上確定”、「役物A+役物B+役物C+赤」は“設定5以上確定”、「役物A+役物B+役物C+虹色」は“設定6確定”のように、動作役物数は同じであってもエフェクト演出を付随させることで、設定示唆内容を複数種類定めることができる。したがって、設定示唆内容のバリエーションを増やすことができる。
<設定示唆演出の具体例3:操作手段の操作を介して設定示唆演出を行う形態:図90>
この設定示唆演出の具体例3は、演出ボタン13や方向キー75などの操作手段の操作を介して、設定示唆演出を実行する形態である。
たとえば、図90を参照して、ここでは、まず所定の予告演出中(ここでは、SPリーチ中)に、ボタン操作を受け付けるボタン有効期間(ボタン操作指示中)に入った状態を示してある(図90(A))。ボタン有効期間に入ったことを知らせるため、操作前演出として、ボタンLED13bがたとえば白色から黄色点灯色に切り替わるとともに、液晶表示装置36において、ボタン予告演出(操作指示演出)が開始され、「押せ!」のメッセージからなる操作指示画像155と、ボタン操作有効期間の残り時間を示すタイマ画像156と、演出ボタン13を模したボタン画像157とが表示される。
そして、ボタン有効期間中に、演出ボタン13が操作された場合、操作後演出として、図(B)や(C)に示す設定示唆演出が現出される。図(B)は、その一例として、「設定4以上確定」を示唆する円盤画像と「第一種接近遭遇」のメッセージが出現することにより「設定4以上確定」を示唆する設定示唆演出であり、図(C)は宇宙人画像と「第三種接近遭遇」のメッセージが出現することにより「設定5以上確定」を示唆する設定示唆演出を示したものである。なお、この設定示唆演出は予告演出の内容とは無関係のものとしてもよいし、予告演出の内容に関連するもの(たとえば、図83参照)であってもよい。また図(D)または(E)は、図柄変動中に設定示唆演出(図(B)または(C))が実行中または実行された後(当該図柄変動終了後を含む)、周囲LED45を用いて、当該図柄変動中に実行された設定示唆演出(設定示唆内容)に関連した色でLED設定示唆演出が現出される状態を例示してある。
本例では、操作手段の操作を介して設定示唆演出を行う形態であるが、その実行契機には、種々の契機がある。操作手段の入力は、既に説明したように、所定の操作有効受付期間(ボタン有効期間)中、その入力の受付が有効化される。したがって本例の対象は、このボタン有効期間中に、ボタン操作が行われた場合に設定示唆演出を実行可能とする構成である。ボタン有効期間(操作手段の操作に基づき、設定示唆演出の実行が許容されることとなる期間)には、下記のような期間がある。
(ζ1)客待ち待機中の期間。具体的には、メニュー画面(遊技設定画面)への切り替え有効期間。メニュー画面(たとえば、図82(H))が表示された場合に、LED設定示唆演出を実行することができる。この場合、遊技者がメニュー画面に切り替え操作をしたことを契機にLED設定示唆演出を実行可能に構成してもよいし、メニュー項目選択を契機にLED設定示唆演出を実行可能に構成してもよい。
(ζ2)図柄変動中(図柄変動表示ゲーム中)の所定期間。具体的には、特定の予告演出(たとえば、遊技者参加型演出を含む予告演出)中の所定期間。たとえば、上記図90演出例が対応する。
(ζ3)特定の図柄変動表示ゲーム中の所定期間。特定の図柄変動表示ゲームとは、たとえば、電源投入時から所定回転数目のゲームまたは所定回転数以内のゲーム、大当り遊技終了後(特定の大当りの大当り遊技終了後)から所定回転数目のゲームなどである。
(ζ4)大当り遊技中の所定期間。たとえば、オープニング演出、特定のラウンド数目のラウンド中演出、特定のラウンド数目後のラウンド間インターバル演出、およびエンディング演出中のうちの少なくとも1つ演出中の所定期間。なお、この(ζ4)の大当り遊技は、特定の大当りによる大当り遊技のみであってもよいし、連荘回数が所定回数に達したときの大当り遊技であってもよい。また、電源投入後の最初に当選した大当りの大当り遊技であってもよいし、電源投入後に当選した大当りが所定回数目の大当りであった場合、その大当り遊技であってもよい。
(ζ5)第1の設定示唆演出が実行中の全部または一部の期間。具体的には、第1の設定示唆演出が実行中の全部または一部の期間に操作手段が操作された場合、第2の設定示唆演出を実行可能に構成することができる。たとえば、上記終了インターバル画面変化(図52、図53)が実行中にボタン有効期間が到来し、その有効期間に演出ボタン13を押下した場合に、LED設定示唆演出を実行することができる。
なお、(ζ6)上記した具体例1~3で説明したいずれの実施形態も、操作手段の所定の操作に基づいて設定示唆演出を実行する、という構成とすることができる。
また、(ζ7)上記「設定示唆演出の具体例2」においては、ボタン有効期間内において遊技者が操作手段を操作した場合またはボタン有効期間が経過した場合に、これを実行契機として、役物を動作させることができる。しかしこの場合において、遊技者が操作手段を操作せずにボタン有効期間が経過した場合、すなわち、遊技者が役物動作に係るボタン操作演出に参加しなかった場合、役物は動作するが、その動作態様が、設定示唆無しの「デフォルトの動作」を行う構成とすることができる。つまり、遊技者が積極的にボタン操作をしない場合は、ペナルティ的な意味合いで「設定示唆無し」を報知する動作態様のみ行うように役物を動作制御する。このように「ボタン操作をしなければ設定示唆情報を得ることができない」という状況を作り出すことで、遊技者は積極的にボタン操作を行うようになる。これにより、ボタン操作演出(遊技者参加型演出)に大きな意義を持たせることができるとともに、演出のバリエーションを豊富化できる。
以上、本明細書に記載したすべての設定示唆演出の実行に関し、実行契機が到来した場合に必ず設定示唆演出を実行(現出)するように構成してもよいし、実行契機が到来した場合に、所定の実行条件に基づき、設定示唆演出を実行するか否かを決定してもよい。後者の形態としては、たとえば、(I)所定の実行抽選を行い、その抽選結果に基づいて設定示唆演出を実行するか否かを決定する形態、(II)1または複数の操作手段の操作結果に基づいて設定示唆演出を現出するか否かを決定する形態、(III)少なくとも第1実行条件と第2実行条件とを満たした場合に設定示唆演出を実行する形態。これは、目的の設定示唆演出が実行される条件として、複数の条件を有する形態である。たとえば、所定の実行抽選に当選し、かつ操作手段が操作された場合や、特定の演出が実行され、かつ所定の実行抽選または操作手段を操作した場合などである。
以上に説明した全ての実施形態(各実施形態で説明した構成、変形例のすべてを含む)の1または複数を組合せた構成としてもよく、各実施形態において記載した内容は個別の実施形態のみに限定されるものではない。
また以上に説明した実施形態では、遊技媒体として、遊技球を利用する弾球遊技機について説明したが、本発明は弾球遊技機に限られない。たとえば、アレンジボール機、雀球遊技機であってもよく、他の遊技媒体として、遊技メダルを利用する遊技機(回胴式遊技機)や、電磁気的な記録手段を利用して遊技媒体を管理する管理式遊技機などであってもよい。