JP7316108B2 - ラドンの放射能測定方法 - Google Patents

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Description

本発明はライフサイエンス分野をはじめとする幅広い科学の分野で使用される、ラドンの放射能測定方法に関する。
一般にα線、β線等の荷電粒子である放射線は、物質を通過する際にその物質中の原子又は分子を電離、励起又は解離し、エネルギーを失う。物質に伝達されたエネルギーはさらに熱運動エネルギーもしくは電磁波として放出される。この物質が蛍光を発する物質等である場合、そのエネルギーの多くの部分が可視領域の光として放出され、この現象をシンチレーション、放出される光をシンチレーション光という。
さらにγ線や中性子線等のような電荷を有しない放射線の場合も、前記放射線が物質と相互作用する際に放出される二次的な荷電粒子により同様の現象が起こるため、このシンチレーション現象を利用して放射線の検出が行われている。
シンチレーション光の測定には光電子増倍管が使用される。光電子増倍管は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を基本に、電流増幅(=電子増倍)機能を付加した高感度光検出器である。
シンチレーション現象を起こす物質を一般にシンチレータと総称し、放射線測定分野においてはNaI(Tl)に代表される無機結晶を含む無機シンチレータ、アントラセンのような有機結晶、ターフェニル等の放射線が入射すると蛍光を発する蛍光体をキシレン等の有機溶媒に溶かした液体シンチレータ、また蛍光体をスチロール系の透明樹脂に溶解分散させたプラスチックシンチレータを含む有機シンチレータが使用されている。
空気中に含まれるラドンの放射能を測定する方法としては、特許文献1のようなあらかじめバイアル中に固定された吸着剤にラドンを吸着させて、吸着したラドンを液体シンチレータに浸出させて標準的な液体シンチレーション測定法でラドンの放射能を測定することが開示されている。具体的には、バイアル瓶上部のキャニスターに活性炭からなる吸着剤を配置したバイアルの蓋を開け、ラドンの放射能を測定したい空間に一定時間静置し、その後、キャニスターの上から液体シンチレータを注ぎ、蓋をした後に振とうによりラドンを液体シンチレータに浸出させ、バイアル瓶下部に溜まったラドンを含んだ液体シンチレータをシンチレーション測定装置にかけて、ラドンの放射能を測るものである。
特開平1-98986号公報
従来の方法であると、バイアル上部にキャニスターが固定できる専用バイアルが必要であり、また、活性炭から液体シンチレータにラドンを浸出させるために振とうさせた後に3時間程度静置させる必要があった。
本発明者は、活性炭が封入された通気性の袋体をラドンの放射能測定箇所に一定時間静置し、当該袋体を回収後にバイアルに入れ、袋体の入ったバイアル中に液体シンチレータを投入し、シンチレーション測定装置にてラドンの放射能を測定することで、従来方法のような専用バイアルを用いずに迅速にラドンの放射能測定が可能であることを見いだした。
請求項1記載の発明は、
活性炭が封入された不織布からなる長方形形状の袋体をラドンの放射能測定箇所に当該長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を24時間以上静置するラドン吸着工程と、
前記袋体を回収しキャニスターを有しない低カリウムガラス製またはプラスチック製バイアルに入れる袋体投入工程と、
前記バイアルに、
有機シンチレータとしてp-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)から選ばれる1つまたは複数の有機シンチレータを含み、
有機溶媒として1,2,4-トリメチルベンゼン(別名:プソイドクメン)、1,4-ジメチルベンゼン(別名:P-キシレン)、メチルベンゼン(別名:トルエン)、ベンゼン、1,4-ジオキサン、ドデシルベンゼン、1-フェニル-1-(3,4-ジメチルベンゼン)エタン(別名:PXE)、2-6-Di-isopropylnaphthaline(別名:DIPN)から選ばれる1つまたは複数の有機溶媒を含む液体シンチレータを入れて前記袋体がすべて液体シンチレータに浸るように前記袋体を液体シンチレータ中に沈めて3時間静置して活性炭に吸着したラドンを液体シンチレータ中に浸出させる浸出工程と、
前記袋体と前記液体シンチレータが入ったバイアルをそのままシンチレーション測定装置に入れて放射能を測定する放射能測定工程、
とからなるラドンの放射能測定方法である。
活性炭が封入された通気性の袋体をラドンの放射能測定箇所に一定時間静置して空気中のラドンを吸着させる方法では、従来の専用バイアルを静置する方法と比較して簡易にラドン吸着体を設置できる。また、バイアル上部にキャニスターが固定できる専用バイアルが不要であり、汎用バイアルが利用可能である。さらに本発明の方法であれば、従来のような活性炭から液体シンチレータにラドンを浸出させるために振とうさせた後に3時間程度静置させる工程が不要であり、迅速にラドンの放射能測定が可能である。
本発明の方法では、活性炭が封入された通気性の袋体をあらかじめバイアルの中に入れて蓋をしないでラドンの放射能測定箇所に一定時間静置して空気中のラドンを吸着させることも可能である。この場合、当該バイアルに液体シンチレータを投入して当該袋体を液体シンチレータに浸出させ、蓋をしてすぐにシンチレーション測定装置にてラドンの放射線測定をすることができる。
本発明に用いる袋体は、不織布もしくは織布などからなる袋体が好適である。袋体は繊維などから作られるものであり、その素材は天然繊維でも合成樹脂製の繊維でも良い。活性炭は、ちょうどティーバッグを封入するように不織布もしくは織布に封入される。袋体の封入の仕方は、熱によりシールする方法などが好適である。
液体シンチレータには有機シンチレータ(蛍光体)の添加が必要である。それは放射線の照射により励起された有機溶媒が放出する電磁波の波長が150~300nmと短く、測定に使用される光電子増倍管の測定に適した波長範囲の300~400nに変換する必要があるためである。また有機シンチレータ(蛍光体)には第1蛍光体と第2蛍光体の2種類あり、有機溶媒が出す電磁波のエネルギーを第1蛍光体により~350nmの光に変換し、さらに第2蛍光体により~420nmの光に変換して、光電子倍増管にて測定される。このため一般的に第1蛍光体と第2蛍光体を組み合わせて使用される。
第1蛍光体としては、p-テルフェニル(P-TP/)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)等が挙げられ、第2蛍光体としては、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)等が挙げられる。
本発明の活性炭が封入された通気性の袋体をラドンの放射能測定箇所に一定時間静置して空気中のラドンを吸着させる方法により、バイアル上部にキャニスターが固定できる専用バイアルが不要であり、汎用バイアルが利用可能である。さらに本発明の方法では、従来のような活性炭から液体シンチレータにラドンを浸出させるために振とうさせた後に3時間程度静置させる工程が不要であり、迅速にラドンの放射能測定をすることができる。
本発明に用いる袋体の斜視図である。 本発明の第1の実施形態のラドンの放射能測定方法の手順を示した図である。 本発明の第2の実施形態のラドンの放射能測定方法の手順を示した図である。 表1をグラフ化した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明は、活性炭が封入された通気性の袋体をラドンの放射能を測定したい箇所に一定時間静置し、当該袋体を回収後にバイアルに入れ、袋体の入ったバイアル中に液体シンチレータを投入し、シンチレーション測定装置にてラドンの放射能を測定することを発明の要旨とする。
すなわち本発明は 、
活性炭が封入された不織布からなる長方形形状の袋体をラドンの放射能測定箇所に当該長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を24時間以上静置するラドン吸着工程と、
前記袋体を回収しキャニスターを有しない低カリウムガラス製またはプラスチック製バイアルに入れる袋体投入工程と、
前記バイアルに、
有機シンチレータとしてp-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)から選ばれる1つまたは複数の有機シンチレータを含み、
有機溶媒として1,2,4-トリメチルベンゼン(別名:プソイドクメン)、1,4-ジメチルベンゼン(別名:P-キシレン)、メチルベンゼン(別名:トルエン)、ベンゼン、1,4-ジオキサン、ドデシルベンゼン、1-フェニル-1-(3,4-ジメチルベンゼン)エタン(別名:PXE)、2-6-Di-isopropylnaphthaline(別名:DIPN)から選ばれる1つまたは複数の有機溶媒を含む液体シンチレータを入れて前記袋体がすべて液体シンチレータに浸るように前記袋体を液体シンチレータ中に沈めて3時間静置して活性炭に吸着したラドンを液体シンチレータ中に浸出させる浸出工程と、
前記袋体と前記液体シンチレータが入ったバイアルをそのままシンチレーション測定装置に入れて放射能を測定する放射能測定工程、
とからなるラドンの放射能測定方法である。
図1は、本発明に用いる袋体の斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施形態のラドンの放射能測定方法の手順を示した図である。
図3は、本発明の第2の実施形態のラドンの放射能測定方法の手順を示した図である。
本発明に用いる袋体1は、通気性の袋体がよい。通気性の袋体は不織布もしくは織布2などからなる袋体が好適であり、通気性が良いことで袋体の中の活性炭に空気中のラドンが吸着しやすくなる。袋体は繊維などから作られ、その素材は天然繊維でも合成樹脂製の繊維でも良い。活性炭3は、ちょうどティーバッグにお茶を封入するように不織布もしくは織布に封入される。袋体の封入の仕方は、縫製による方法や熱によりシールする方法などがある。とりわけ素材が熱可塑性の合成繊維の場合は、熱によりシールする方法が好適である。
本発明に用いる活性炭は、空気中のラドンを吸着できる活性炭であればどのような活性炭でも利用可能である。本発明に利用できる活性炭としては、例えば木粉、石炭、ヤシガラ等から作られるものがあり、また形状としては粉末、粒状(破砕、造粒、顆粒)などがあるがどのようなものでも利用可能である。とりわけ、大阪ガスケミカル株式会社製の白鷺シリーズが好適である。
本発明に用いるバイアルは、放射能測定に用いられる一般的なものを用いるのが良い。放射能測定用のバイアルにはガラス製バイアルとプラスチック製バイアル(主に不透明なプラスチック製バイアル)があるがどちらでも利用可能である。具体的にはガラス製バイアルとしては、カリウムを多く含まない低カリウムガラス製のバイアルであり、英国Meridian社製の低カリウム(40K40K)ウルトラクリアガラスシンチレーションバイアルなどが好適で、定性にも定量にも適用可能である。プラスチック製バイアルとしては、使い捨ての米国PerkinElmer社製ポリエチレンバイアル(20mL)が利用可能であるが、定量には向くが定性には向かない。容量としては5mL以上25mL以下程度の瓶がよく、特に液体シンチレーションカウウンター用の7mL瓶(スモールバイアル)や20mL瓶(ラージバイヤル)が使い勝手が良く好適である。
またバイアルに蓋をするキャップとしては、ポリエチレン製バイアルキャップ(Meridian社製uGV2-CAP)や、コルク製バイアルキャップ(PerkinElmer社製Glass Vial Caps)などが好適である。
本発明に用いる液体シンチレータは、有機溶媒に蛍光体としての有機シンチレータを添加したものである。液体シンチレータに利用される有機溶媒としては、1,2,4-トリメチルベンゼン(別名:プソイドクメン)、1,4-ジメチルベンゼン(別名:P-キシレン)、メチルベンゼン(別名:トルエン)、ベンゼン、1,4-ジオキサン、ドデシルベンゼン、1-フェニル-1-(3,4-ジメチルベンゼン)エタン(別名:PXE)、2-6-Di-isopropylnaphthaline(別名:DIPN)などがあげられる。
また、有機溶媒に添加する有機シンチレータには第1蛍光体と第2蛍光体とがあり、通常は第1蛍光体と第2蛍光体を組み合わせて使用される。
第1蛍光体は、p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)等が挙げられ、
第2蛍光体は、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、
1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)等が挙げられる。
この中でも特に好適なのは、
第1蛍光体としてのp-テルフェニル(P-TP)または2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)と、
第2蛍光体としての1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)との組み合わせである。
前記有機シンチレータとは放射線のエネルギーを吸収して励起あるいは電離が起こる蛍光体を指す。この中でも有機シンチレータは、1947年にKallmanがナフタレン結晶のシンチレータとしての有用性を見いだして以来、アントラセン、スチルベンなどの結晶シンチレータが次々と発見された。現在では多くの物質が有機シンチレータとして知られている。本発明に利用する液体シンチレータに添加する有機シンチレータとしては、p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)などであり、本発明に利用する液体シンチレータにはこれらの物質を適宜1種類または複数種類組み合わせて添加されている。
次に本発明のラドンの放射能測定方法(第1の実施形態)について図2を用いて説明する。
第1工程は「ラドン吸着工程」(図2の<1>)である。空気中のラドン量を測定したい場所に袋体1を一定時間静置しておき、空気中のラドンを活性炭3に吸着させる。袋体が長方形形状の場合は、前記静置工程の際に長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を静置させると、ラドンの吸着量が向上する。なお、静置時間は24時間が好適である。
第2工程は「袋体投入工程」(図2の<2>)であり、バイアル4内に袋体1を入れる工程である。放射能測定に一般的に用いられる空のバイアル4に、袋体1を投入する。
第3工程は「浸出工程」(図2の<3>)であり、袋体1の入ったバイアル4に液体シンチレータ5を注ぎ(10ml程度が好適)、バイアルキャップ7で蓋をする工程である。第2工程にてバイアル4に袋体1を入れた後に袋体1がすべて浸るように液体シンチレータ5をバイアル4に注ぎ込む。これは袋体1全体が液体シンチレータ5に接するようにするためであり、袋体1と液体シンチレータ5が接することで袋体1中のラドンが液体シンチレータ5中に浸出して放射能測定をする際により感度が上がるからである。バイアル4に液体シンチレータ5が注ぎ込まれた後、バイアルキャップ7で蓋をして液体シンチレータ5がこぼれたり蒸発したりしないようにする。なお、バイアル7内にて液体シンチレータ5に浸したまま袋体1を一定時間静置しておくと、袋体1より液体シンチレータ5中に浸出するラドンの量が多くなり、放射線測定の際に感度が上がり定量しやすくなり好適である。本発明に於いては浸し時間は1時間未満でもラドンの放射能は検出可能であるが、一般的には3時間静置するのが好適であるとされる。3時間静置するのは活性炭に吸着した222Rnが90%以上溶出するのにその程度の時間がかかるからであるとされている。
第4工程は「放射能測定工程」(図2の<4>)であり、バイアル7中に袋体1及び液体シンチレータ5を残したままシンチレーション測定装置に入れて放射能を測定する工程である。シンチレーション測定装置としては、どのようなシンチレーション測定装置でも利用可能であるが、特に液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)が好適である。
次に本発明のラドンの放射能測定方法(第2の実施形態)について図3を用いて説明する。第1の実施形態と異なる点は、ラドン吸着工程に於いてすでに袋体をバイアル内に設置している点である。
第1工程は「ラドン吸着工程」(図3の<1>)である。空気中のラドン量を測定したい場所に袋体1をバイアルに入れて、当該バイアル4を蓋で密閉せずに一定時間静置しておき、空気中のラドンを活性炭3に吸着させる。袋体1が長方形形状の場合は、前記静置工程の際にバイアル4中で長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を静置させると、ラドンの吸着量が向上する。なお、静置時間は24時間が好適である。
第2工程は「浸出工程」(図3の<2>)であり、袋体1の入ったバイアル4に液体シンチレータ5を注ぎ(10ml程度が好適)、バイアルキャップ7で蓋をする工程である。第2工程にてバイアル4に袋体1を入れた後に袋体1がすべて浸るように液体シンチレータ5をバイアル4に注ぎ込む。これは袋体1全体が液体シンチレータ5に接するようにするためであり、袋体1と液体シンチレータ5が接することで袋体1中のラドンが液体シンチレータ5中に浸出して放射能測定をする際により感度が上がるからである。バイアル4に液体シンチレータ5が注ぎ込まれた後、バイアルキャップ7で蓋をして液体シンチレータ5がこぼれたり蒸発したりしないようにする。なお、バイアル7内にて液体シンチレータ5に浸したまま袋体1を一定時間静置しておくと、袋体1より液体シンチレータ5中に浸出するラドンの量が多くなり、放射線測定の際に感度が上がり定量しやすくなり好適である。本発明に於いては浸し時間は1時間未満でもラドンの放射能は検出可能であるが、一般的には3時間静置するのが好適であるとされる。3時間静置するのは活性炭に吸着した222Rnが90%以上溶出するのにその程度の時間がかかるからであるとされている。
第3工程は「放射能測定工程」(図3の<3>)であり、バイアル7中に袋体1及び液体シンチレータ5を残したままシンチレーション測定装置に入れて放射能を測定する工程である。シンチレーション測定装置としては、どのようなシンチレーション測定装置でも利用可能であるが、特に液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)が好適である。
以下に実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例に於いては前記の第1の実施形態の方法で行った。
本実施例に用いた袋体1は、後述する比較例で用いた米国ACCUSTAR LABS社製のピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))のキャニスターより取り出した活性炭を不織布に袋詰めしたものである。本実施例に用いた不織布は、東洋紡株式会社製の「エクーレ6501」である。当該二つ折りにした不織布に活性炭を挟み込み、ヒートシールで封入したものを用いた。また、本実施例に用いたプラスチック製バイアルは、
米国ACCUSTAR LABS社製のピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))のバイアル(20mL瓶)を用いた。
本実施例及び比較例に用いた液体シンチレータは、パーキンエルマー社製の「Insta-Fluor Plus」(疎水性サンプル測定用シンチレーションカクテル)であり、当該液体シンチレータは第1蛍光体と第2蛍光体を含み、また有機溶媒はプソイドクメンである。また、本実施例及び比較例に用いた液体シンチレーションカウンタ装置(LSC)は、パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)である。
実施例のラドンの放射能測定は図2に示す以下の第1~第4工程の手順で行った。
第1工程の「ラドン吸着工程」(図2の<1>)では、簡易的に作成した密閉した容積25Lの箱内に「Doll stone」(岡山県人形峠周辺で採取した微量の天然ウランを含む岩石及び土砂を原料としたテラコッタ(イタリア語で素焼きのタイル)、人形峠原子力産業株式会社の登録商標)及びRa針を静置して箱内にラドンを充満させ、同じ箱内に袋体1を入れ、袋体の長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を24時間静置し、箱内の空気中のラドンを活性炭3に吸着させた。
第2工程の「袋体投入工程」(図2の<2>)では、24時間静置後の袋体1をバイアル4内に投入した。
第3工程の「浸出工程」(図2の<3>)では、袋体1の入ったバイアル4に袋体1がすべて浸るようにバイアル4に液体シンチレータ5を10ml注ぎ、バイアルキャップ7で蓋をした。
第4工程の「放射能測定工程」(図2の<4>)では、バイアル7に袋体1及び液体シンチレータ5を残したまま液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)に入れて液体シンチレータ投入後の一定時間経過後(1時間、6時間、12時間、24時間)の計数率cpm(count per minute)を測定した。
比較例の放射能測定方法は、従来からある特許文献1の方法を製品化した米国ACCUSTAR LABS社製のピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))を用いて行った(製品形状は特許文献1のFIG1と同じ)。なお実施例で用いた活性炭と、ピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))の活性炭は全く同じものである。
第1工程の「ラドン吸着工程」(図2の<1>)では、簡易的に作成した密閉した容積25Lの箱内に「Doll stone」(岡山県人形峠周辺で採取した微量の天然ウランを含む岩石及び土砂を原料としたテラコッタ(イタリア語で素焼きのタイル)、人形峠原子力産業株式会社の登録商標)及びRa針を静置して箱内にラドンを充満させ、同じ箱内に蓋を開けたピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))入れ、24時間静置し、箱内の空気中のラドンをピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))の活性炭に吸着させた。
第2工程の「浸出工程」として、ピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))に液体シンチレータを10ml注ぎ、バイアルキャップで蓋をした。
第3工程の「振とう工程」では、ピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))を上下に10分間振とうさせた。
第4工程の「放射能測定工程」では、振とう後の液体シンチレータの入ったピコラド(PICO―RAD(トレードマーク))のバイアルを液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)に入れて液体シンチレータ投入後の一定時間経過後(1時間、6時間、12時間、24時間)の計数率cpm(count per minute)を測定した。
実施例、比較例の実験を表1及び図4に示した。実験結果から本発明の方法は従来法と同等もしくはそれ以上のラドンの検出効率があることが確認できた。
本発明の活性炭が封入された通気性の袋体をラドンの放射能測定箇所に一定時間静置して空気中のラドンを吸着させる方法により、従来のような活性炭から液体シンチレータにラドンを浸出させるために振とうさせた後に3時間程度静置させる工程が不要であり、迅速にラドンの放射能測定をすることができ、ラドンの放射能測定の効率化が図れる。
1 袋体
2 不織布もしくは織布
3 活性炭
4 バイアル
5 液体シンチレータ
6 液体シンチレータ供給用容器
7 バイアルキャップ
8 液体シンチレーションカウンタ装置(LSC)

Claims (1)

  1. 活性炭が封入された不織布からなる長方形形状の袋体をラドンの放射能測定箇所に当該長方形形状の短辺を底部にして直立させた状態で当該袋体を24時間以上静置するラドン吸着工程と、
    前記袋体を回収しキャニスターを有しない低カリウムガラス製またはプラスチック製バイアルに入れる袋体投入工程と、
    前記バイアルに、
    有機シンチレータとしてp-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)から選ばれる1つまたは複数の有機シンチレータを含み、
    有機溶媒として1,2,4-トリメチルベンゼン(別名:プソイドクメン)、1,4-ジメチルベンゼン(別名:P-キシレン)、メチルベンゼン(別名:トルエン)、ベンゼン、1,4-ジオキサン、ドデシルベンゼン、1-フェニル-1-(3,4-ジメチルベンゼン)エタン(別名:PXE)、2-6-Di-isopropylnaphthaline(別名:DIPN)から選ばれる1つまたは複数の有機溶媒を含む液体シンチレータを入れて前記袋体がすべて液体シンチレータに浸るように前記袋体を液体シンチレータ中に沈めて3時間静置して活性炭に吸着したラドンを液体シンチレータ中に浸出させる浸出工程と、
    前記袋体と前記液体シンチレータが入ったバイアルをそのままシンチレーション測定装置に入れて放射能を測定する放射能測定工程、
    とからなるラドンの放射能測定方法。
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