JP7313344B2 - 高結晶質非絡み合い超高分子量ポリエチレン(uhmwpe)の調製のための不均一系プレ触媒およびその調製方法 - Google Patents

高結晶質非絡み合い超高分子量ポリエチレン(uhmwpe)の調製のための不均一系プレ触媒およびその調製方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、不均一系プレ触媒およびその調製方法に関する。より詳しくは、本発明は、不均一系プレ触媒を用いた高結晶質非絡み合い超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の合成方法に関する。
発明の背景および従来技術
UHMWPEは、少なくとも1,000,000g/molの分子量を有し、これは、高密度ポリエチレン(HDPE)の分子量の10~100倍大きい。UHMWPEは、高い耐衝撃性、引張強さ、耐摩耗性、および耐応力亀裂性という点で、大きな利点をもたらす。UHMWPEは、チーグラー重合により製造することができる。その方法は、並外れて純粋なエチレンおよび他の原料を必要とする。従来のHDPEと同様に、チーグラー重合により製造されたUHMWPEは、5~20の範囲内の広範な分子量分布M/M(Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有し、絡み合いが高い。
しかしながら、5未満の狭い分子量分布M/Mを有するUHMWPEは、機械的特性が改善している。新たに開発されたメタロセンおよびシングルサイト触媒は、非常に狭い分子量分布(1~5のM/M)を有するポリエチレンおよび他のポリオレフィンを有利に提供する。狭い分子量分布は、低分子量種の減少、および耐摩耗性をさらに改善する高いMをもたらす。これらの新規触媒はまた、長鎖α-オレフィンコモノマーのポリエチレンへの取り込みを大幅に亢進し、従って、その密度を減少させる。しかしながら、これらの触媒は、チーグラー・ナッタ触媒で生成されたものより低い分子量を有するポリエチレンを生成する。
US6015768は、少なくとも4個以上の炭素原子を含有するα-オレフィンの超高分子量ポリマーの調製に有用な不均一系触媒の調製方法を開示している。より具体的には、本発明は、このようなジルコニウムベースの不均一系触媒を調製する方法に関する。
US20110269925A1は、a)1)マグネシウム化合物を含有する有機酸素と2)チタン化合物を含有する有機酸素とを含んでなる炭化水素溶液、およびb)メンデレーエフの化学元素の周期系の第IVまたはV族の遷移金属を含んでなり、少なくとも2個のハロゲン原子を含有する化合物の反応により得られる固体反応生成物を含んでなるポリエチレンの製造のための触媒を開示している。
Polymer, 2015, 74, pp 76-85に発表されたD Romanoらによる「Aluminoxane co-catalysts for the activation of a bis phenoxyimine titanium (IV) catalyst in the synthesis of disentangled ultra-high molecular weight polyethylene」という標題の論文は、絡み合い密度が低下した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の合成のためのビス[N-(3-tert-ブチルサリチリデン)ペンタフルオロアニリナト]二塩化チタン(IV)触媒(FI)のための新規活性化系を報告している。よく研究されたFI触媒-メチルアルミノキサン(MAO)触媒系とともに、異なるアルミノキサン、すなわちポリメチルアルミノキサン-性能改善(polymethylaluminoxane-improved performance)(PMAO)、修飾メチルアルミノキサン12型(MMAO12)および3A型(MMAO3A)が使用されている。
Journal of Polymer Science Part A Polymer Chemistry; 2013, 51(7); pp 1630-1635に発表されたD Romanoらによる「Effect of a co-catalyst modifier in the synthesis of ultrahigh molecular weight polyethylene having reduced number of entanglements」という標題の論文は、オレフィン重合のためのシングルサイト均一系触媒の性能を改善するために、メチルアルミノキサン(MAO)溶液中の遊離トリメチルアルミニウム(TMA)を捕捉するためのヒンダードフェノールの使用を報告している。本研究では、レオロジー解析を用いて、著者らは、MAOおよびフェノール修飾MAOにより活性化されたシングルサイト触媒で合成された超高分子量ポリエチレンの分子量、分子量分布および絡み合い密度を検討し、比較している。
US6730752B2は、抵抗減少剤として機能するポリアルファオレフィンを含む組成物、および抵抗減少剤として機能するポリアルファオレフィンの調製方法を開示している。この方法は、αオレフィンモノマーを触媒系(反応混合物中に触媒およびアクチベーター(共触媒)を含む)と接触させることを含む。触媒は、遷移金属触媒、好ましくは三塩化チタンであり、共触媒は、単独で、またはハロゲン化ジアルキルアルミニウムもしくはハロ炭化水素と組み合わせて、アルキルアルミノキサンを含んでよい。αオレフィンモノマーの重合は、少なくとも10dL/gの固有粘度を有する非晶質超高分子量ポリアルファオレフィンを生成する。
従来技術の触媒系にはいくつかの限界があり、それには、多段階の時間のかかる配位子合成、多段階の触媒合成、高い共触媒(アルミニウム)対触媒比、反応器の腐食を生じさせ、高絡み合いUHMWPEのみ生成し得る金属ハロゲン化物の使用、およびポリエチレンの結晶化を制御することが困難な方法の使用が含まれる。
従って、従来技術の欠点を克服する効率的な方法の必要性が存在する。よって、本発明者らは、物理的および機械的特性が改善した非絡み合いUHMWPEの合成に使用される新規なオレフィン重合触媒を開発した。
発明の目的
本発明の主な目的は、不均一系プレ触媒を提供することである。
本発明の別の目的は、不均一系プレ触媒の調製方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、不均一系プレ触媒を用いた非絡み合い超高分子量ポリエチレン(非UHMWPE)の調製方法を提供することである。
従って、本発明は、
(a)式:M(OR)の化合物;
(b)式:AlR’Cl3-nの化合物;および
(c)担体(M’-X)
とを含んでなる不均一系プレ触媒であって、
遷移金属(M)は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)、好ましくは、チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)からなる群から選択され;
Alは、アルミニウムであり;
Rは、メチル、エチル、イソ-プロピル、tert-ブチルなどの1~8個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル、p-メチルフェニル、p-メトキシフェニル、2,4,6ブロモフェニルおよび2,4,6トリエトキシフェニル基などのアリールまたは置換アリール基からなる群から選択され;
R’は、メチル、エチル、イソプロピルおよびtertブチルなどの1~8個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基からなる群から選択され、
nは、1~3であり;
担体(M’-X)は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化バリウムからなる群から選択される、不均一系プレ触媒を提供する。
本発明の一実施形態において、M’/Mのモル比は、10~20、好ましくは15~16の範囲内である。
本発明の別の実施形態において、Al/Mのモル比は、8~16、好ましくは12~13の範囲内である。
本発明のさらに別の実施形態において、前記触媒はMを含んでなり、Mは2.5~6重量%の範囲内であり、M’は10~17重量%の範囲内であり、Alは0.8~1.1重量%の範囲内である。
さらに別の実施形態において、本発明は、不均一系プレ触媒を調製する方法であって、以下の工程:
a)一般式:M(OR)の化合物を、60℃~100℃の範囲内の温度で、1~4時間の範囲内の期間、溶媒中で金属ハロゲン化物と反応させて、スラリーを形成する工程;
b)一定の撹拌(constant stirring)下で、40~50℃の範囲内の温度で、溶媒中で式:AlR’Cl3-nの化合物で処理し、次いで、60~100℃の範囲内の温度で、2~8時間の範囲内の期間、反応混合物をさらに撹拌することにより、工程(a)で得られたスラリーを活性化して、不均一系プレ触媒を得る工程
を含んでなる方法を提供する。
本発明のさらに別の実施形態において、前記担体(M’-X)は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムからなる群から選択される。
本発明のさらに別の実施形態において、式:AlR’Cl3-nの化合物は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化エチルアルミニウム、塩化アルミニウム、トリ-イソプロピルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム、トリ-tertブチルアルミニウムまたは塩化ジ-tertブチルアルミニウムからなる群から選択される。
本発明のさらに別の実施形態において、使用される溶媒は、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエンまたはキシレンからなる群から選択される炭化水素である。
さらに別の実施形態では、本発明は、不均一系プレ触媒を用いて非絡み合い超高分子量ポリエチレン(disentangled ultra-high molecular weight polyethylene)を合成する方法であって、以下の工程:
i.0~60℃の範囲内の温度で、10分~10時間の範囲内の期間、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒の存在下でエチレンモノマーを重合して、非絡み合い超高分子量ポリエチレンを得る工程
を含んでなる方法を提供する。
本発明のさらに別の実施形態において、前記溶媒は、飽和または不飽和炭化水素、好ましくはトルエンである。
本発明のさらに別の実施形態において、前記共触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)またはエチルアルミノキサンからなる群から選択される。
本発明のさらに別の実施形態において、前記反応は、アルゴン雰囲気下で行われる。
本発明のさらに別の実施形態において、プレ触媒におけるMに対する共触媒のモル比は、100~1000、好ましくは600である。
本発明のさらに別の実施形態において、UHMWPEの分子量は、1×10~4×10グラム/モルの範囲内である。
本発明のさらに別の実施形態では、前記反応は、連続またはバッチモードで行われる。
プレ触媒1の固体H NMRスペクトル(300MHz)。 プレ触媒1の固体13C NMRスペクトル(75.5MHz)。 プレ触媒の走査型電子顕微鏡法(SEM)の顕微鏡写真。 エントリー1に対する高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)曲線。 エントリー2に対するHT-GPC曲線。 エントリー3に対するHT-GPC曲線。 エントリー4に対するHT-GPC曲線。 エントリー5に対するHT-GPC曲線。 第1の加熱、冷却および第2の加熱(エントリー番号6)の示差走査熱量測定(DSC)加熱および冷却曲線。 第1の加熱、冷却および第2の加熱(エントリー番号18)のDSC加熱および冷却曲線。 MMAO12添加前(a)の触媒1のTi 2p XPSスペクトル。 [Al]/[Ti]=20でMMAO12添加後(b)の触媒1のTi 2p XPSスペクトル。 [Al]/[Ti]=600でMMAO12添加後(c)の触媒1のTi 2p XPSスペクトル。 トルエン中での[Al]/[Ti]比600、エチレン圧力1バールおよび40℃でのエチレン重合に対する重合時間の関数としてのMおよびM/M(PDI)のプロット。 アニーリング時間5、15、30および60分での第2の加熱サイクルから得た非UHMWPEサンプル(表1、ラン13)のDSCプロット。 約48時間のPE4サンプルの時間掃引データ。平衡貯蔵弾性率は、約37時間後に達成される。その時間の間に、G’値は0.96MPaから1.82MPaに増加する。 時間掃引における平衡後のPEサンプルの動的周波数掃引。G’およびG”は、それぞれ実線および破線で示す(上部)。PE1およびPE2の弾性率の交差は、赤丸で示す。PE2のデータは、明確にするために、下部に別に示す。
発明の詳細な説明
用語「不均一系触媒系」またはプレ触媒または「不均一系プレ触媒」は、本明細書を通じて同義語として使用され、これらの用語は、特に断りのない限り、同じ意味を有している。
用語「プレ触媒」は、本明細書で使用する場合、触媒反応の過程中に触媒に変換される化合物と定義される。
本発明は、不均一系触媒系(プレ触媒)、高結晶質非絡み合い超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の合成のためのその調製および使用方法を提供する。
本発明は、
(a)一般式:M(OR)の遷移金属アルコキシド/フェノキシド
(b)一般式:AlR’Cl3-nの有機アルミニウム化合物および
(c)担体
を含んでなる不均一系触媒系(プレ触媒)を提供する。
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)、好ましくは、チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)から選択される。
Rは、メチル、エチル、イソ-プロピル、tert-ブチルなどの1~8個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フェニル、p-メチルフェニル、p-メトキシフェニル、2,4,6ブロモフェニルおよび2,4,6トリエトキシフェニル基などのアリールまたは置換アリール基からなる群から選択される。
R’は、メチルまたはエチルなどの1~8個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基からなる群から選択される。
nは、1~3から選択される。
Mg/Mのモル比は、10~20、好ましくは15~16の範囲内である。Al/Mのモル比は、8~16、好ましくは12~13の範囲内である。触媒系は、2.5~6重量%のM、10~17重量%のMgおよび0.8~1.1重量%のAlを含んでなる。
担体は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムから選択される。
本発明は、不均一系触媒系(プレ触媒)を調製する方法であって、以下の工程:
a)金属アルコキシド/フェノキシドを、好適な溶媒中で金属ハロゲン化物と反応させて、スラリーを形成する工程;
b)溶媒中にてハロゲン化有機アルミニウム化合物で処理することにより、工程(a)のスラリーを活性化して、不均一系触媒系(プレ触媒)を得る工程
を含んでなる方法を提供する。
不均一系触媒系(プレ触媒)を調製する方法は、以下の工程:
a)溶媒中、金属アルコキシド/アリールオキシドおよび金属ハロゲン化物の反応混合物を、60℃~100℃の範囲内の温度で、1~4時間の範囲内の期間、撹拌する工程;
b)一定撹拌下で、40~50℃の範囲内の温度で、溶媒中有機アルミニウム化合物を工程(a)の反応混合物に加え、次いで、60~100℃の範囲内の温度で、2~8時間の範囲内の期間、反応混合物をさらに撹拌することにより、不均一系触媒系(プレ触媒)を得る工程
を含んでなる。
金属アルコキシド/アリールオキシドは、ジルコニウム(IV)エトキシドまたはチタン(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシドまたはチタン(IV)イソプロポキシドから選択される。
金属ハロゲン化物は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムから選択される。
ハロゲン化有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化エチルアルミニウム、塩化アルミニウム、トリ-イソプロピルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム、トリ-tertブチルアルミニウムまたは塩化ジ-tertブチルアルミニウムから選択される。
溶媒は、炭化水素、好ましくは、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエンまたはキシレンから選択される。
本発明は、非絡み合い超高分子量ポリエチレン(disentangled ultra-high molecular weight polyethylene)を合成する方法であって、以下の工程:
i.0~60℃の範囲内の温度で、10分~10時間の範囲内の期間、不均一系プレ触媒および共触媒の存在下でエチレンモノマーを重合して、非絡み合い超高分子量ポリエチレンを得る工程
を含んでなる方法を提供する。
溶媒は、飽和または不飽和炭化水素、好ましくはトルエンから選択される。
共触媒は、ホウ素系またはアルミニウム系共触媒、好ましくは、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサンまたは修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)から選択される。より好ましくは、共触媒は修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)である。
反応は、アルゴン雰囲気下で行われる。
反応は、連続またはバッチモードで行われる。
共触媒/Mのモル比は、100~1000、好ましくは600であり、ここで、M=TiまたはZrであり、UHMWPEの分子量は、1×10~4×10の範囲内である。
触媒1および2の固体Hおよび13C NMRスペクトルが記録されている。H NMRでは、触媒中に存在するエチル基に由来するメチルピークが、触媒2および1に対してそれぞれ0.86および0.99ppmで認められる。エチル基に由来するメチレンピークは、触媒2および1においてそれぞれ4.08および4.38ppmで認められる。13C NMRでは、18.4および17.5ppmでのピークは、触媒2および1それぞれにおけるメチル(CH)ピークを示している。さらに、メチレン(CH)シグナルは、触媒2に対して71.5および77.7ppmで、(触媒1に対して)62.5および66.4ppmで二重線として現れている。13C NMRにおける26.0および33.0ppm(触媒2に対して)、25.6および32.9ppm(触媒1に対して)でのピークは、溶媒として使用される残留n-ヘキサンに相当するメチレンピークを示している。
この固体の固体(CP-MAS:交差分極マジック角回転)プロトンNMRスペクトルにより、0.77および3.88ppmでの共鳴が明らかにされた。これらのピークはそれぞれ、チタン上に存在するメチル(CH)およびメチレン(CH)基に帰属することができた。このプロトンNMRの所見は、それぞれメチルおよびメチレン炭素に帰属できる17.8および71.1~76.1ppmでのピークを示した13C CP-MAS NMRによってさらに支持される。触媒(1)の金属含量は、誘導結合プラズマ発光分析により決定され、触媒中3.02%Ti、17.83%Mgおよび1.12%Alであることが明らかにされた。
触媒1の形態的特徴は、走査型電子顕微鏡(SEM)分析を用いて得られる。触媒1および2のSEM像を図5に示す。両方の触媒において、粒子は、形状がほぼ球形/卵形であり、触媒2および1に対して直径がそれぞれ129~154nmおよび66~166nmのサイズ範囲である。これらは、両方の触媒が、異なるサイズの粒子を含有していることを明らかに示している。SEM像は、触媒1の粒子は、平均サイズが109~206nmの形状が球形または卵形であることを明らかに示している。
MMAO12の添加前後に触媒1から回収したTi 2p XPSスペクトルを、図13に示す。およそ458eVおよび464eVを中心とする2pのスピン軌道分裂に対応する2つの別々のピークは、Ti2p内殻準位スペクトルと識別可能である。塩化ジエチルアルミニウムで活性化されたTi(OEt)/MgCl系に対するTi 2p3/2ピークのXPSは、4+、3+および2+酸化状態にあるチタン種でデコンボリューションされている。結合エネルギー値は、報告値と一致している。異なるTi酸化状態の定量化により、以下の組成;Ti(IV)[BE=459.7eV]25.7%、Ti(III)[BE=457.2eV]56.8%およびTi(II)[BE=454.4eV]17.5%が示されている。表面Ti種の複数の酸化状態の存在の理由としては、有機アルミニウムの存在下でTi4+[Ti(OEt)]が制御されない様式で還元され、その結果、マルチサイト触媒がオレフィン重合に向かうようになったことが原因である可能性がある。[Al]/[Ti]比=20でのMMAO12による活性化では、Ti酸化状態のわずかな変化が明らかにされ、総てのTi種が、およそ0.5eVわずかに高い結合エネルギー側にシフトし、Ti中心は同様に4+、3+および2+酸化状態で存在した。MMAO12の添加は、チタン前駆体の還元をもたらし得るため、このことは予想されるものである。しかしながら、[Al]/[Ti]比=600でのMMAO12の添加後、Ti4+およびTi2+ピーク強度は、劇的に減少し、1種類のTi種、すなわちTi3+[BE=457.7eV]によってのみ適合する。従って、[Al]/[Ti]比=600の触媒は、唯一検出可能な酸化状態としてTi3+を有する偽シングルサイト触媒であることを強く示している。Ti触媒の表面上の酸化状態分布は、それぞれ[Al]/[Ti]比が20および600の(MMAO12の添加)前およびMMAO12の添加後のチタン種のTi 2p XPSピークから得られる。これらのサンプルに対するTi 2p XPSピークを図13に示し、Ti原子価状態の定量的分布を表1に記載する。
Figure 0007313344000001
表1から明らかなように、[Al]/[Ti]比が600の触媒1の処理は、Ti(IV)からTi(III)への定量的還元をもたらした。報告値と一致する457.7eVの結合エネルギーで、Ti+3の特徴的なTi2p3/2ピークが認められている。主にTi+3状態の担持触媒への接近が確立した後、1の性能をエチレン重合において評価する。MMAO12による第2の活性化後の触媒1は、エチレン重合において高活性であることが認められており、非常に高い分子量のポリエチレンを生成した。分子量、分子量分布および活性に対するMMAO12の効果を検討し、[Al]/[Ti]比600が、M、MWDおよび生産性の間で最適な平衡をもたらした。従って、[Al]/[Ti]=600において、重量平均分子量が2.07×10g/mol、活性が671kgPE/mol.Ti/h/atmのPEが得られる。最小活性の最高Mが0℃で認められ、一方、最小Mおよび最高活性は、60℃の高温で証明されている。注目すべきことに、触媒1は、2時間の期間にわたり生存挙動を示し、狭いMWDを有する13.07×10g/molという最高Mが達成されている。
得られた非UHMWPEの熱的特性を、DSCを用いて観察する。第1の加熱サイクルでは、新生ポリエチレンは、およそ141~144℃で熱転移を示し、これは、非絡み合いUHMWPEにとって特徴的な融解転移である。DSCでの検討では、絡み合い状態(およそ134℃で融解)および非絡み合い状態(およそ140℃で融解)は、第2の加熱サイクルにおいて共存することが示された。同様の観察所見が、同一の熱プログラムの下でRastogiら(Macromol.Rapid Commun. 2015, 36, 327-331)により報告されている。従って、DSCでの検討から、得られた新生ポリマーは非絡み合い状態にあることが明らかである。PEの非絡み合い状態、分子量および分子量分布は、レオロジーによる検討によってさらに実証されている。等温時間掃引実験は、弾性率は時間とともに増加し、約48時間後にプラトー値に達したことを示した。このことは、合成直後のPEの非絡み合い性質のDSCによる証拠を実証している。
重合反応を、第2段階のアクチベーターとしてのMMAO12の存在下で、Buechi高圧反応器中で行い、重要な重合結果を表2に要約する。金属対MMAO12比、温度、エチレン圧力、および時間などの最も影響力のある重合パラメーターを選別して、最高分子量および狭い分子量分布を得た。重合の後、ポリマーモル質量(MおよびM)ならびにモル質量分布(MWD)を、1,2,4-トリクロロベンゼン中で160℃にて高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)を用いて決定する。メチル分岐が存在しないことは、高度に直鎖状の(highly linear)ポリエチレンの存在を示唆している。表2から明らかなように、修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)または触媒1の非存在下では、重合は生じない可能性がある(表2、ラン1~2)。オレフィンの均一系メタロセンまたはポストメタロセン触媒重合では、メチルアルミノキサン(MAO)または修飾MAO(MMAO12)は、一般に大過剰に(Al:M=1000~20000)使用される。従って、ポリエチレンの活性および分子量に対する[Al]/[Ti]比の効果を、最初に評価する。[Al]/[Ti]比10または20での最初の重合は、大部分が不成功である(表2、ラン3)。しかしながら、[Al]/[Ti]比100では、数ミリグラムのポリエチレンが得られる。[Al]/[Ti]比が100から600に増すにつれて、活性が増加することが認められている(表2、ラン4~6)(活性=671kgPE/molTi/h/atm)。しかしながら、[Al]/[Ti]比を800または1000までさらに増加させた場合、642kgPE/molTi/h/atmへの活性の低下が認められている(表2、ラン7~8)。同様の傾向が重量平均分子量(M)に対して認められており、[Al]/[Ti]比600において2.07×10g/molという最高Mが認められている。MMAO12を600という限界を超えて増加させた際のMの減少は、トリメチルアルミニウム(TMA)への連鎖移動によって説明することができる。トリメチルアルミニウムは、MMAO12中に通常存在し、MMAO12の濃度が増すにつれ、TMAの量は増加し、その結果、連鎖移動が増加し、その後、分子量が減少する。
重合反応は、0~60℃の間で、[Al]/[Ti]比600で、トルエン中、周囲エチレン圧力にて10分間行う。3.3×10g/molという最高M(表2、ラン9)が0℃において認められ、一方、温度を60℃に上げると、1.35×10g/molという分子量の減少がもたらされた(表2、ラン11)。高温での低分子量は、60℃でのβ-水素化物の脱離または連鎖移動反応の亢進に起因している可能性がある。最高分子量が0℃で認められているが、認められた活性は、これらの条件下では最低である(表2、ラン9)。活性、分子量および温度の間の最適な平衡は、40℃においてとられている(表2、ラン6)。
上記の2つのパラメーター、[Al]/[Ti]および温度は一定に保たれており、ポリマー分子量および触媒活性に対する時間の効果を検討する。ラン6および12~15(表2)ならびに図14から明らかなように、分子量は、時間の増加とともに直線的に増加する。時間の効果を10分から120分まで検討し、結果は、時間の増加とともに分子量が増加を続けているように、触媒は生存挙動を示すことを示している。120分後、分子量は、狭い分子量分布(PDI=1.84~2.17)とともに、実に13,000,000(13.07×10)g/molまで増加する。これらの観察所見は、触媒系の偽シングルサイト性質および生存挙動を示している。次に、エチレン圧力の効果を検討し、同一の条件下([Al]/[Ti]=600;40℃;トルエン=150mL、時間=10分)で、1、2および5バールのエチレン圧力で重合反応を行う。予想通り、分子量はエチレン圧力の増加とともに増加し、5バールのエチレン圧力で3.91×10g/molという最高Mが得られている(表2、ラン17)。
融解および結晶化温度は、示差走査熱量測定データから得られる。第1の加熱サイクルから得られた第1の融解ピーク(Tm1)は、この検討において調製されたポリエチレンでは141.3~144.1℃の範囲内にあり、一方、第2の加熱サイクルから得られた第2の融解ピーク(Tm2)は、134.6~135.7℃の間で変動していた。従って、概して、第2の融解ピークは、第1の融解ピークよりおよそ7~8℃低い。この挙動は、UHMWPEの非絡み合い状態を意味している。新生PEの第1の融解ピークは、非絡み合い状態の特徴である単結晶ラメラの形成に起因しており、一方、第2の融解後のピークは、第1の加熱後に形成された絡み合いの存在に起因する単結晶ラメラの形成の妨害を示している。100%結晶性PEに対する293J/gの理論上の融解エンタルピーと比較して、第1の融解ピークのエンタルピーから分析した結果、大部分の新生PEサンプルの結晶化度は、60%超である。82%および84%という最高結晶化度が、それぞれ10分間および1時間の0℃での重合ランで得られている(表1ラン9および18)。
触媒1を用いて得られたポリエチレンの非絡み合い状態をさらに検討するため、Rastogiら(Macromolecules 2016, 49, 7497-7509)により開発された熱分析プロトコールを用いて、DSC実験を行う。半結晶性ポリマーが融解するとき、非晶相の非絡み合いポリマー鎖は絡み合う傾向があり、融解物における絡み合い密度の不均一な分布がもたらされる。非絡み合いPEの存在は、規定の時間のアニーリングおよび等温結晶化後の、DSC曲線における2つの別々の融解ピークの出現により確認される。134℃での低温融解ピークおよび139.5℃での高温融解ピークは、それぞれ、不均一系ポリマー融解物の絡み合いおよび非絡み合いドメインからの結晶化を示す。さらに、低および高融解温度ピーク下面積の比は、アニーリング時間(160℃にて)とともに変化することが認められる。従って、アニーリング時間が5分から60分に増加するにつれ、高温融解ピーク下面積の比は減少し、最終的に、低温融解ピーク下面積(絡み合い密度)は増加する。この現象は、以前の報告と一致しており、絡み合い密度の不均一な分布から均一な状態への変換と関連している(図15)。
図16は、表2からの代表的なサンプルラン18に対する等温時間掃引振動試験の結果を示す。貯蔵弾性率は、時間とともに増加することが認められ、最終的に、約48時間後に飽和する。G’の上昇は、最初は急速であり、次いで、飽和するまでより段階的に増加する。これらの傾向は、サンプルの非絡み合い状態を示すものであり、DSCの結果と一致する。非絡み合い状態は、本質的に準安定であり、低い弾性を有する。等温アニーリング中、鎖は、高い弾性を有する平衡絡み合い状態を達成することが認められる。よって、図16にみられるように、G’は増加する。全サンプルが、類似した時間掃引挙動を示し、それらは非絡み合い状態で合成されることが示された。次に、4つのサンプル、すなわち、190℃でそれぞれ標識されたPE1、PE2、PE3およびPE4である、表2からのラン7、6、13および18に対して、小振幅周波数掃引測定を行う。HT-GPCによれば、これらのUHMWPEサンプルの分子量は、PE1<PE2<PE3<PE4の順である。
周波数掃引は、サンプルの平衡絡み合い状態が達成された後、すなわち、190℃での時間掃引におけるおよそ48時間後にのみ、実施する。サンプルの貯蔵弾性率(G’)および粘性率(G”)を、図17にプロットしている(上部)。さらに、サンプルPE2のG’、G”およびタンデルタを、図17に別々に示す(下部)。貯蔵弾性率は、分子量の増加とともに増加する。低分子量サンプルでは、貯蔵弾性率(G’)曲線と粘性率(G”)曲線の交差が、PE1では(0.01rad/s、0.105MPa)において、PE2では(4×10-3rad/s、0.131MPa)において認められる。PE3およびPE4においては、サンプルの高分子量のために、交差は認められない。PE2に関する図17(下部)に示されるように、G’は、交差周波数後に弱いが有限の周波数依存を示しており、G”データは、交差周波数より高い周波数でピークを示している。絡み合い分子量Mは、190℃のUHMWPEに対して合理的な仮定である1250g/molとみなされる。
以下の実施例は、例示のために示されるものであり、従って、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
実施例1:触媒の合成
a)Mがジルコニウムである触媒(触媒2)の合成
マグネチックバー、窒素入口および出口、添加漏斗を備えた二口反応器中に、100mlの乾燥n-ヘキサンを加え、次いで、1.15g(4.24mmol)のジルコニウム(IV)エトキシドおよび6.2g(65mmol)の無水塩化マグネシウムを加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。温度を40℃にし、20mlのn-ヘキサン中6.2g(6.5ml)の塩化ジエチルアルミニウムを30分間滴下した。温度を80℃に上げ、2時間維持した。得られた緑黒色スラリーを30℃に冷却し、乾燥n-ヘキサンで3回洗浄した。最後に、固体触媒を真空下で乾燥させ、さらに使用するためにグローブボックスに保存した。固体触媒を、固体NMRを用いて特徴付け、元素分析を、ICPを用いて行った。触媒成分は、以下の重量パーセント:Zr5.37%;Al0.77%;Mg16.99%を含んでいた。
b)Mがチタンである触媒(触媒1)の合成
マグネチックバー、窒素入口および出口、添加漏斗を備えた二口反応器中に、100mlの乾燥n-ヘキサンを加え、次いで、1g(4.4mmol)のチタン(IV)エトキシドおよび6.1g(64mmol)の無水塩化マグネシウムを加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。温度を40℃にし、20mlのn-ヘキサン中6.34g(6.6ml)の塩化ジエチルアルミニウムを30分間滴下した。温度を80℃に上げ、2時間維持した。得られた褐黒色スラリーを30℃に冷却し、乾燥n-ヘキサンで3回洗浄した。最後に、固体触媒を真空下で乾燥させ、さらに使用するためにグローブボックスに保存した。固体触媒を、固体NMRを用いて特徴付け、元素分析を、ICPを用いて行った。触媒成分は、以下の重量パーセント:Ti3.02%;Al1.12%;Mg17.83%を含んでいた。
1H CP-MAS NMR (400 MHz, 298 K): δ = 3.88 (幅広, s, CH2), 0.77 (幅広, s, CH3);13C CP-MAS NMR (100 MHz, 298 K): δ = 76.1-71.1 (m, OCH2, Ti(OEt)4), 32.3 (m, CH2, n-ヘキサン), 25.7 (m, CH2, n-ヘキサン), 17.8 (m, CH3, Ti(OEt)4), 8.2 (m, CH2, DEAC), 1.6 (s, CH3, DEAC)。
実施例2:エチレン重合
マグネチック撹拌子、温度計プローブを備えた乾燥Buchi反応器を、80℃の温度で真空下にて1時間加熱した。この温度下で、反応器をアルゴンガスで40分間加圧した。乾燥トルエンを反応器に導入し、次いで、必要量の範囲外の10%MAOを加え、撹拌下でアルゴンを40分間溶媒に通気する。次に、アルゴンをエチレンガスと置換し、これを溶媒に通気させる。30分後、70%量のMAOを導入し、次に、反応フラスコを所望の温度に置く。必要な温度に達したら、先に乾燥トルエンに懸濁させ、残りの10%のMAO溶液により活性化した実施例1の触媒(所望の量のTiまたはZr触媒)を加えることにより、重合を開始する。重合は、反応物を緩やかに撹拌することにより、40℃で1時間行った。重合は、酸性メタノールを加えることにより、急冷する。得られたポリエチレンを濾過し、メタノール/アセトンで洗浄し、40℃にて真空下で一晩乾燥させた。
Figure 0007313344000002
実施例3:触媒および新生ポリエチレン(非絡み合いUHMWPE)のキャラクタリゼーション
a)XPS分析
Thermo Scientific K-alpha+ X線光電子分光分析装置(XPS)を用いて、XPS測定を行った。触媒は空気/水分感受性であるため、特別に設計された真空搬送モジュールを用いて、サンプルを、空気に曝露させることなく、グローブボックス環境からK-Alphaシステムへと移した。
b)NMR測定
4mm二重共鳴MASプローブを用いた、13Cは100MHzで、Hは400MHzで共鳴するJoel400分光計で、総ての固体NMRスペクトルを記録した。UHMWPEサンプルの高温NMRを、500MHz機器(Bruker Avance)でC+TCB(10:90)において130℃にて記録した。
c)モル質量(M)およびモル質量分布(PDI)の決定
合成した非絡み合いUHMWPEの重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)および多分散指数(polydispersityindex)(PDI)を、トリプル検出器システムを備えたViscotek GPC(HT-GPCモジュール350A)機器により、160℃の1,2,4-トリクロロベンゼンにおいて記録した。検出器は直鎖状のポリスチレン標準で較正し、報告された分子量は絶対分子量である。
d)走査型電子顕微鏡写真
触媒1の形態を、高分解能FEI QUANTA 200 3D Environmental SEMを用いて検討した。サンプルをヘキサンに懸濁させ、シリコンウエハーに置いた。サンプルを、スパッタリング法により金で被覆した。
e)熱分析
TA機器Q-10またはQ-100示差走査熱量計(DSC)を用いて、融解温度(T)およびその後の融解エンタルピーを得た。サンプルにより生じる加熱遅れを最小限にするため、重量を各サンプルに対して6mg±0.1mg以内に維持した。測定中、窒素を50mL/minで連続してパージした。図8に示される文献報告の方法に従うことにより、異なる絡み合い密度を有するサンプルを得るために、熱プロトコールを考案している。エラー!ブックマークが定義されていません。サンプルを、50℃から、160℃までの10℃/minでPEの平衡温度(145℃)より高いアニーリング温度まで加熱した。この温度で、サンプルを一定時間(5、15、30および60分間)アニールした。融解における絡み合い密度を変えるために、4つの異なるアニーリング時間を選択した。次に、10℃/minの速度で、サンプルを128℃の等温結晶化温度まで冷却した。サンプルを、180分の一定時間、等温結晶化温度に維持し続けた。次に、サンプルを50℃に冷却し、第2の加熱を10℃/minで50~160℃まで行った。図15に示すDSCプロットを、この第2の加熱ランプ(heating ramp)中に得た。
f)レオロジー測定
ポリエチレンの融解特性を、歪み制御レオメーター(ARES G2)で、8mmアルミニウム平行板形状を用いて測定した。PEサンプル(0.7重量%抗酸化剤Irganox1010とともに)、手持ち式の鋳型を用いて、室温で1mm厚の8mm径円板に圧縮した。円板を、110℃でレオメーターにロードした。1Nの一定軸力をサンプルにかけながら、温度を加熱速度30℃/minで130℃に上げた。次に、軸力を4Nに上げながら、温度を10℃/minの速度で190℃に上げた。この加熱および軸方向荷重の適用の方法は、文献から改変したものであり、滑りを避け、サンプルとレオメータープレートとの間の十分な接触を確実にするために行う。サンプルの温度が190℃に達したら、歪み0.5%の周波数10rad/sで時間掃引を約48時間行い、その後、動的周波数掃引をサンプルに対して190℃で行った。試験した周波数は、歪み0.5%で400rad/s~6×10-4rad/sであった。
発明の利点
1.非絡み合い超高分子量ポリエチレンの調製に、金属アルコキシド系触媒を初めて使用している。
2.本発明の触媒を用いて調製された非絡み合い超高分子量ポリエチレン(非UHMWPE)は、化学的不活性、潤滑性、耐衝撃性、および耐摩耗性などの改善された物理的および機械的特性を吸収することで知られている。
3.調製された(非)UHMWPEは、防弾チョッキ、ヘルメット、医療用補装具および高強度軽量強力繊維およびテープなど、様々な適用を見出し得る。

Claims (18)

  1. (a)式:M(OR)の化合物;
    (b)式:AlR’Cl3-nの化合物;および
    (c)担体(M’-X)
    を含んでなる不均一系プレ触媒および共触媒であって、
    遷移金属(M)は、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選択され;
    Alは、アルミニウムであり;
    Rは、メチル、エチル、イソプロピルおよびtertブチルからなる群から選択され;
    R’は、メチル、エチル、イソプロピルおよびtertブチルからなる群から選択され;
    nは、1~3であり;
    担体(M’-X)は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化バリウムからなる群から選択され;
    前記共触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)またはエチルアルミノキサンからなる群から選択される、不均一系プレ触媒および共触媒。
  2. M’/Mのモル比が、10~20の範囲内である、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒。
  3. M’/Mのモル比が、15~16の範囲内である、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒。
  4. Al/Mのモル比が、8~16の範囲内である、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒。
  5. Al/Mのモル比が、12~13の範囲内である、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒。
  6. Mが2.5~6重量%の範囲内であり、M’が10~17重量%の範囲内であり、Alが0.8~1.1重量%の範囲内である、請求項1に記載の不均一系プレ触媒および共触媒。
  7. 不均一系プレ触媒を調製する方法であって、以下の工程:
    a)一般式:M(OR)の化合物を、60℃~100℃の範囲内の温度で、1~4時間の範囲内の期間、溶媒中で金属ハロゲン化物である担体(M’-X)と反応させて、スラリーを形成する工程;
    b)一定の撹拌下で、40~50℃の範囲内の温度で、溶媒中で式:AlR’Cl3-nの化合物で処理し、次いで、60~100℃の範囲内の温度で、2~8時間の範囲内の期間、反応混合物をさらに撹拌することにより、工程(a)で得られたスラリーを活性化して、不均一系プレ触媒を得る工程
    を含んでなる、方法。
  8. 前記担体(M’-X)が、塩化マグネシウム、塩化カルシウムまたは塩化バリウムからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  9. 式:AlR’Cl3-nの化合物が、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化エチルアルミニウム、塩化アルミニウム、トリ-イソプロピルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム、トリ-tertブチルアルミニウムまたは塩化ジ-tertブチルアルミニウムからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  10. 使用される溶媒が、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエンまたはキシレンからなる群から選択される炭化水素である、請求項に記載の方法。
  11. 不均一系プレ触媒を用いて非絡み合い超高分子量ポリエチレンを合成する方法であって、
    前記方法は、0~60℃の範囲内の温度で、10分~10時間の範囲内の期間、溶媒中で、不均一系プレ触媒および共触媒の存在下でエチレンモノマーを重合して、非絡み合い超高分子量ポリエチレンを得る工程を含んでなり、
    前記不均一系プレ触媒は、
    (a)式:M(OR)の化合物;
    (b)式:AlR’Cl3-nの化合物;および
    (c)担体(M’-X)
    を含んでなり、
    遷移金属(M)は、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)からなる群から選択され;
    Alは、アルミニウムであり;
    Rは、メチル、エチル、イソプロピルおよびtertブチルからなる群から選択され;
    R’は、メチル、エチル、イソプロピルおよびtertブチルからなる群から選択され;
    nは、1~3であり;
    担体(M’-X)は、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化バリウムからなる群から選択され;
    前記共触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO12)またはエチルアルミノキサンからなる群から選択される、方法。
  12. 前記溶媒が、飽和または不飽和炭化水素である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記溶媒が、トルエンである、請求項11に記載の方法。
  14. ルゴン雰囲気下で行われる、請求項11に記載の方法。
  15. プレ触媒におけるMに対する共触媒のモル比が、100~1000である、請求項11に記載の方法。
  16. プレ触媒におけるMに対する共触媒のモル比が、600である、請求項11に記載の方法。
  17. UHMWPEの分子量が、1×10~4×10グラム/モルの範囲内である、請求項11に記載の方法。
  18. 続またはバッチモードで行われる、請求項11に記載の方法。
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