JP7313133B2 - 脳卒中のための神経幹細胞治療 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 1.集会名、開催日 国際脳卒中会議、2018年1月25日
本発明は、神経幹細胞を用いる脳卒中(stroke)の治療に関する。特に、本発明は、CTX0E03細胞株に由来する神経幹細胞を用いた治療後の脳卒中患者における機能改善に関する。
世界では6人に1人がその一生で脳卒中を発症する。世界では毎年1500万人が脳卒中で苦しみ、580万人が死亡している。英国だけでも、毎年およそ15万人が脳卒中で苦しみ、25万人の成人が脳卒中による長期の障害を抱えて生活している。米国脳卒中協会によると、脳卒中生存者の約40%が中等度から重度の障害を残しており、患者の最大75%が日常活動の支援を必要としている。
脳卒中の大部分(80%)は「虚血性」と言われる。虚血性脳卒中は、脳への血流が遮断されて細胞が死亡および損傷することによって起こる。脳卒中の後、ほとんどの人は最初の6ヶ月間に少なくともある程度の回復を経験し、最も早期かつ大部分では最初の数週間である程度回復する。しかしながら、患者の最大30%はある程度の永続的な能力障害を抱える。脳卒中後の回復には、理学療法などのリハビリテーション戦略が必要である。現在のところ、脳卒中による脳の損傷を修復できる治療法はない。
幹細胞は、自己再生し、かつ機能的に異なる細胞型へ分化する能力を有する。それらは、例えば再生医療、特に組織置換、再生、または修復を必要とする再生治療の成長分野において、強力な治療ツールとなる可能性を有する(Banerjee et al. 2011)。
神経幹細胞(NSC)は、ニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイトを生成する、自己再生組織幹細胞である(Kornblum, 2007)。神経幹細胞の医学的可能性は充分に実証されている。損傷した中枢神経系(CNS)組織は非常に限られた再生能力しか持たないため、神経機能の損失はしばしば慢性的かつ進行性である。神経幹細胞(NSC)は、神経損傷または神経疾患の幹細胞に基づく治療において有望な結果を示している(Einstein et al. 2008)。脳卒中後の動物の脳への神経幹細胞(NSC)の移植は、運動および認知試験において有意な回復をもたらすことが示されている(Stroemer et al. 2009)。NSCが損傷組織でどのように機能を回復することができるかは完全には理解されていないが、NSCが部位特異的細胞分化、血管新生促進、および神経栄養活性、ならびに天然免疫系および他の宿主細胞による組織修復を促進する免疫調節を含む、多様な修復特性を有することが次第に認識されつつある(Miljan & Sinden, 2009, Horie et al., 2011)。これらの効果の多くは、移植された神経幹細胞から宿主環境への一過性のシグナル伝達に依存している可能性があり、例えば、NSCは、虚血性筋組織損傷に移植された場合、一過性に炎症誘発性マーカーを発現し、治癒および修復を促進するために自然の血管新生促進性および調節性免疫応答を指示および増幅する(Katare et al., Clinical-grade human neural stem cells promote reparative neovascularization in mouse models of hindlimb ischemia. Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology, vol 34, no. 2, pp. 408-418)。慢性脳卒中の脳において、NSCはまた、実質的な神経栄養効果を有する。例えば、これらは宿主脳由来のダブルコルチン陽性神経芽細胞を有する脳卒中損傷線条体脳組織の再増殖を促進する(Hassani, O’Reilly, Pearse, Stroemer et al., PLoS One. 2012;7(11))。
さらに、慢性脳卒中である動物モデルにおける大規模なNSC修復効果に基づいて、神経幹細胞を用いた第1相臨床試験をReNeuron Limited(英国サリー州)により実施し、そのCTX0E03条件的不死化皮質由来神経幹細胞((CTX0E03 DP, Clinicaltrials.gov識別子: NCT01151124; “PISCES”)を用いて安定性障害脳卒中患者の治療の安全性を試験した。この研究はKalladka et al., Lancet. 2016 Aug 20;388(10046):787-96によって議論されており、細胞最大2000万個までのCTX製剤での単回脳内投与は有害事象を誘導せず、治療を受けた患者の大多数において神経機能の改善と関連していた。
CTX0E03神経幹細胞の第2相臨床試験が最近完了した。本研究の目的は、虚血性脳卒中後に腕の安定性不全麻痺患者を抱える患者における、これらの細胞の有効性を試験することであった(NCT02117635;「PISCES II」)。本研究は、ヒト神経幹細胞(CTX0E03 DP)の脳への注射を含んだ。本研究は、虚血性脳卒中患者における、異なる用量(200万個、500万個、1000万個、および2000万個の細胞)のCTX0E03 DPの安全性を評価するためにデザインされた、以前の研究から続く。PISCES II試験では引き続き安全性を評価した。しかしながら、CTX0E03 DPの有効性、すなわち細胞が能力障害に影響を及ぼすかどうかもまた評価した。試験の全参加者は、CTX0E03 DPの2000万細胞用量を受けて、この用量を脳卒中能力障害の潜在的治療としてさらに開発すべきかどうかを判断した。本研究では、CTX0E03 DP治療の2~10ヶ月前に脳卒中を発症した患者23人を登録した。
参加者は、能力障害の修正ランキンスケール(modified Rankin Scale)、日常生活動作のバーテル指数、感覚運動機能の検査、すなわち上肢機能評価(Action Research Arm Test)、および運動能力のフーゲルマイヤー試験といった、標準的な脳卒中評価アンケートおよびスケールを用いて1年間にわたり評価された、その後、NHS中央記録(NHS central register)を用いて生活を監視する。
CTX0E03細胞株およびその作用機序の背景にある、15年近くに及ぶ研究のレビューが、脳卒中による能力障害の治療可能性に対する意味合いとともに、Sinden et al. Stem Cells Dev. 2017 Jul 1; 26(13): 933-947に提供されている。
脳卒中の効果的な治療の必要性が依然として存在する。
本発明は、「PISCES II」臨床試験で観察された驚くべき結果に基づく。特に、麻痺腕に若干の残存運動を伴う脳卒中患者へ神経幹細胞を投与したところ、麻痺腕および患者の全身能力障害の両方に改善が認められたことが、予想外に観察されている。この改善が単に腕機能に限定されたものではなく、試験の一次エンドポイントをはるかに超えている。全身能力障害におけるこの予想外の改善は、麻痺腕における重力に対して限られた努力で試験を開始した患者のさらなるサブセットでは、特に驚くべきことである。
本発明の第1の態様によれば、虚血性脳卒中を治療する方法において使用するための神経幹細胞を提供する。細胞の単一用量は2または3のNIHSS運動上肢スコアである脳卒中患者の脳へ投与され、治療は、ARAT総スコアの増加および/または少なくとも1つのカテゴリーにおける修正ランキンスケールの減少によって特定される6ヶ月以内に、運動機能を改善しかつ能力障害を軽減する。いくつかの実施形態において、機能改善は、3ヵ月以内、またはそれ以下で観察される。
典型的な神経幹細胞は、英国ポートンダウンのEuropean Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC)においてReNeuron Limitedによって寄託され、ECACC登録番号第04091601番を有する、CTX0E03細胞である。
その他の実施形態において、神経幹細胞株は、「STR0C05」細胞株、「HPC0A07」細胞株、またはMiljan et al Stem Cells Dev. 2009に開示されている神経幹細胞株であってもよい。
神経幹細胞は、典型的には単離または精製される。
細胞は、典型的には、細胞16×10~28×10個、典型的には2000万細胞の単一用量で、脳内に投与される。運動機能の改善および能力障害の軽減は、典型的には12ヶ月後も持続する。いくつかの実施形態において、治療は、少なくとも1つのカテゴリーのmRSの減少によって特定される1ヵ月以内に機能を改善する。
細胞は、典型的には、脳卒中発生から12ヶ月以内に投与される。いくつかの態様において、細胞は、脳卒中後3~6ヵ月の間、または脳卒中後6~12ヵ月の間に投与される。脳卒中と投与との間の他の期間は、脳卒中から4週間以内、脳卒中から2ヶ月以内、または脳卒中後2~12ヶ月の間であってもよい。
さらなる態様において、本発明は、第1の態様による使用のための、神経幹細胞および薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含んでなる組成物を提供する。組成物は、一実施形態において、脳内投与に好適な賦形剤と共に処方することができる。
マスターセルバンク由来の幹細胞製剤の製造を示す。 PISCES II試験スケジュール(検診による)を示し、治療は来診4回目(0日目=注射日)に示さる。 PISCES II試験のための募集および患者フローを示す。 PISCES II試験の人口統計を示す。 ベースラインにおけるPISCES II脳卒中特性を示す。 PISCES II応答分析(Responder Analysis):一次および二次測定を示す。 ARATの有効性の結果を示す。ARAT第2試験(つかみ)では、3、6、および12ヵ月後に反応が2ポイント異常の改善が3つの応答で見られ、かつより低いスコアへの再燃は見られなかった。総ARATでは、1、1、3、6、および12ヵ月後に反応する、6ポイント以上の改善が5つ応答で見られている。 ベースラインNIHSSによる総ARAT応答中央値を示している。これらの総ARAT患肢の結果は、患側上肢の残存運動を伴う患者で観察されたARATの改善を示す(ベースラインにおいてNIHSS2または3)。 修正ランキンスケール(mRS)分布を示す:7例(6×1カテゴリー、1×2カテゴリー)におけるベースラインと比較したmRS改善(12mまたは最終測定値);14例において変化なし、2例において最悪(1カテゴリー)のmRS。注:12ヶ月の転帰は1対象において自殺前1週間に判定したため、12ヶ月目での死亡は一例のみであった。 ベースラインNIHSSによるmRSを示す。mRSの改善は、患側上肢に動きの残る患者において、最大である(ベースラインにおいてNIHSS2または3)。 追跡期間中の重篤な有害事象(SAE)を示す。
本発明者らは、驚くべきことに、腕の不全麻痺を有し、かつ麻痺した腕の動作は最小限であるが何ら有用な機能を有しない、脳卒中患者の神経幹細胞治療が、患者の全体的な運動機能の改善をもたらすことを見出した。これらの改善は期待されず、麻痺側上肢の改善に関しては、試験で設定された一次エンドポイントを上回るものであった。
実施例2に示した、神経幹細胞製剤による治療後の脳卒中患者における例示的な予想外の効果のいくつかは、以下の通りである:
・ARAT第2の掴み、ARAT全て、mRS、およびBIの改善が、3~12ヵ月後まで持続(図6)
・mRSに対する改善は1ヶ月で完了
・12ヵ月後に低スコアへの再燃は認められなかった(図7)
・2例のうち初回のNIHSS運動上肢スコアは、ARATにおいて最も有意な改善を示す(図8)
・注目すべき利点はまた、3例のうち初回のNIHSS運動上肢スコアを有する患者においても見られた(図8)
・7人の患者が、修正ランキンスケールにおいて改善を示した、うち1人の患者は2カテゴリーの改善が見られた(図9)
・mRSにおける改善は、2または3の初回NIHSS運動上肢スコアを有する患者において最も大きい(図10)。
これら観察の各々は、本発明の実施形態を表す。これらの観察結果の組み合わせもまた、本発明の実施形態を表す。
実施例に示されるように、典型的な実施形態は、2000万個のCTX0E03細胞の単一用量を、麻痺腕において2または3の修正NIHSS運動上肢スコアを有する患者へ投与することを含んでなる。典型的には、治療反応は、少なくとも6ポイントのARAT総スコアの増加、および/または少なくとも1つのカテゴリー、随意に2つのカテゴリーのmRSにおける改善を含んでなる。
総ARATの改善は、いくつかの実施形態において、少なくとも6ポイントであり得る。この改善は、1ヶ月以内、3ヶ月以内、6ヶ月以内、または12ヶ月以内に見られ得る。他の実施形態において、総ARAT改善は、少なくとも10ポイント、例えば、90日後、少なくとも15ポイント(例えば、180日後)、または少なくとも30ポイント(例えば、12ヶ月後)であってもよい。典型的には、これらの改善は、治療前NIHSS運動上肢スコアが2である患者において得られる。
神経幹細胞
神経幹細胞は当該技術分野において公知である。神経幹細胞は、生物の生涯にわたって増殖し、自己維持または再生を示し、クローン関連神経子孫を生成する能力を有する細胞である。神経幹細胞は発生の過程でニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイトを形成し、成体脳における数多くの神経細胞に取って代わることができる。とりわけ、神経表現型マーカーMusashi-1、ネスチン、NeuN、クラスIIIβ-チューブリン、GFAP、NF-L、NF-M、微小管関連たんぱく質(MAP2)、S100、CNPase、グリピカン、(特に、グリピカン4)、神経細胞ペントラキシンII、神経細胞PAS 1、神経細胞成長関連たんぱく質43、神経突起伸長たんぱく質、ビメンチン、Hu、インターネキシン、04、ミエリン塩基性たんぱく質、およびプレイオトロフィンの1つ以上を示す、本発明の細胞による特定の態様における使用のための、典型的な神経幹細胞。
神経幹細胞は、典型的には同種異系である。
神経幹細胞は、幹細胞株、すなわち、安定に分裂する幹細胞の培養物に由来してもよい。幹細胞株は、単一の明確な供給源を用いて大量に増殖させることができる。不死化は、自然発生事象から生じ得るか、または不死化因子をコード化する幹細胞へ外因性遺伝情報を導入することによって達成されてもよく、結果として好適な培養条件下における幹細胞の無制限な細胞増殖をもたらす。このような外因性遺伝因子としては、転写因子Mycをコード化する遺伝子「myc」を挙げることができる。外因性遺伝情報は、形質移入または形質導入のような種々の好適な手段を介して幹細胞へ導入することができる。形質導入については、レトロウイルス、例えばレンチウイルスに由来する媒体のような、遺伝子操作されたウイルス媒体を使用することができる。
さらなる利点は、条件的に不死化された幹細胞株を使用することによって得ることができ、不死化因子の発現は、治療上有効な幹細胞の産生に悪影響を及ぼすことなく調節することができる。これは、細胞に活性化剤が供給されない限り不活性である、不死化因子を導入することによって達成され得る。このような不死化因子は、c-mycERのような遺伝子であり得る。c-MycER遺伝子産物は、変異エストロゲン受容体のリガンド結合ドメインに融合した、c-Myc変異体を含む融合たんぱく質である。C-MycERは、合成ステロイドである4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)の存在下においてのみ細胞増殖を促進する(Littlewood et al.1995)。このアプローチは、インビトロでの神経幹細胞の制御された増殖を可能にする一方で、神経幹細胞株におけるc-Mycまたはc-Mycをコード化する遺伝子の存在による、宿主細胞増殖(例えば、腫瘍形成)に対する望ましくないインビボの影響を回避する。
好ましい条件的不死化細胞株として、CTX0E03、STR0C05、およびHPC0A07神経幹細胞株が挙げられる。これらは、本特許出願の出願人である、ReNeuron Limitedによって、European Collection of Animal Cultures (ECACC)、Vaccine Research and Production laboratories、Public Health Laboratory Services、Porton Down、Salisbury、Wiltshire、SP4 0JGにおいて、登録番号第04091601号(CTX0E03);登録番号第04110301号(STR0C05);および、登録番号第04092302号(HPC0A07)として寄託されている。これらの細胞の由来および起源は、欧州特許第1645626B1号および米国特許第7416888号に記載されている。
CTX0E03細胞株の細胞は、以下の培養条件で培養することができる:
・ヒト血清アルブミン0.03%
・ヒトトランスフェリン5μg/ml
・プトレシン塩酸塩16.2μg/ml
・インスリンヒト組換え体5μ/ml
・プロゲステロン60ng/ml
・L-グルタミン2mM
・セレン酸ナトリウム(セレニウム)40ng/ml
細胞増殖に対して、塩基性線維芽細胞増殖因子(10ng/ml)、上皮増殖因子(20ng/ml)、および4-ヒドロキシタモキシフェン100nM。4-ヒドロキシタモキシフェンを除去することによって、細胞を分化させることができる。典型的には、細胞は、5%のCO/37℃、または低酸素条件下における、5%、4%、3%、2%、1%のOのいずれかで培養することができる。これらの細胞株は正常に培養するために血清を必要としない。血清は多くの細胞株の良好な培養に必要であるが、多くの汚染物質を含有している。CTX0E03、STR0C05、またはHPC0A07神経幹細胞株、または血清を必要としないあらゆる他の細胞株のさらなる利点は、血清による汚染が回避されることである。
CTX0E03細胞株の細胞は、元来12週のヒト胎児皮質に由来する多能性細胞である。CTX0E03細胞株の単離、製造、およびプロトコルは、Sinden, et alにより詳細に記述されている(米国特許第7,416,888号および欧州特許第1645626B1号)。CTX0E03細胞は「胚性幹細胞」ではない。すなわち、CTX0E03細胞は胚盤胞の内部細胞塊に由来する多能性細胞ではなく、元の細胞を単離しても胚は破壊されなかった。増殖培地中において、CTX0E03細胞はネスチン陽性であり、GFAP陽性細胞の割合は低い(すなわち、集団はGFAP陰性である)。
CTX0E03は、レトロウイルス感染により送達され、4-OHT(4-ヒドロキシタモキシフェン)により条件的に調節されるc-mycER導入遺伝子の単一コピーを含有する、クローン細胞株である。C-mycER導入遺伝子は、4-OHTの存在下において細胞増殖を刺激する融合たんぱく質を発現する。したがって、4-OHTの存在下において培養した場合、制御された増殖を可能にする。この細胞株はクローン性であり、培養中に急速に増殖し(倍加時間50~60時間)、正常なヒト核型(46XY)を有する。細胞株は遺伝的に安定しており、大量に増殖することができる。細胞は、安全かつ非腫瘍形成性である。増殖因子および4-OHTが存在しない場合、細胞は増殖停止を起こし、ニューロンおよびアストロサイトに分化する。脳の虚血障害部位に移植されると、これらの細胞は組織障害部位にのみ移動する。
CTX0E03細胞株の開発は、臨床使用のための一貫した製品のスケールアップを可能にした。バンク化された材料からの細胞の生産は、商業的用途のための大量の細胞の生成を可能にする(Hodges et al, 2007)。
CTX0E03製剤は、米国特許第9265795号に記載され、PISCES II試験で使用されるように、生細胞の新鮮な懸濁液(PISCES試験の場合と同様)、または凍結懸濁液として提供することができる。製剤は、典型的には37以下の継代でCTX0E03細胞を含む。
一実施形態において、CTX0E03製剤は、賦形剤としてヒポサーモゾルFRS(Biolife Solutions、ワシントン州ボセル)を用いて製剤化される。これは定位脳手術技術を用いることで、頭蓋内投与に好適である。製剤は4~25℃で長期間(数時間から数日)保存することができる。
CTX臨床製剤は、典型的には、数ヶ月の有効期間を有する無溶媒賦形剤(例えば、米国特許第9265795号に記載されているような賦形剤)中において、「既製の」凍結保存製剤として処方される。この製剤は、典型的には、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、HPO 、HEPES、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、デキストラン-40、アデノシン、およびグルタチオンを含んでなる。これらの賦形剤のうち1種以上、例えば、2種、3種、または4種を、随意に除去または置換することができる。典型的には、この製剤は双極性非プロトン性溶媒、特にDMSOを含まない。
神経幹細胞に対する臨床放出基準は、典型的に、無菌性、純度(細胞数、細胞生存率)の測定、ならびに規制当局から求められるような、臨床産物放出または情報に必要である、同一性、安定性、および作用強度のいくつかの他の試験を含む。CTX0E03に採用した試験の概要を、以下の表1に示す。
神経幹細胞は、典型的には、未分化状態で投与される。
CTX0E03細胞株は、免疫原性ではないことが、ヒトPBMCアッセイを用いて以前に示されている。免疫原性の欠如は、細胞が、宿主/患者免疫系によるクリアランスを回避することを可能にし、それにより、有害な免疫および炎症反応を伴わずにそれらの治療効果を発揮する。
Pollock et al 2006は、脳卒中ラットモデル(MCAo)にCTX0E03を移植したところ、移植後6~12週で、感覚運動機能および全身運動非対称性の両方が統計的に有意に改善したことを報告している。これらのデータは、CTX0E03が、治療細胞株としての開発に必要な好適な生物学的および製造特性を有することを示す。
Stevanato et al 2009は、CTX0E03細胞が、EGF、bFGF、および4-OHTの除去後のインビトロ、ならびにMCAoラット脳への移植後のインビボの両方で、c-mycERTAM導入遺伝子発現を下方制御したことを確かにしている。インビボでのc-mycERTAM導入遺伝子のサイレンシングは、潜在的臨床応用のためのCTX0E03細胞の付加的安全性特徴を提供する。
Smith et al 2012は、脳卒中ラットモデル(一過性中大脳動脈閉塞)における、CTX0E03の前臨床有効性試験について記載している。結果は、CTX0E03移植が、3ヶ月の時間枠で行動障害を確実に回復し、この効果が移植部位に特異的であることを示している。病変のトポロジーは、回復における重要な因子である可能性があり、損傷領域が広い場合と比較して転帰が良好であることを示す線条体に限局している脳卒中を伴う。
神経網膜幹細胞株(例えば、米国特許第7514259号に記載されているように)もまた、本発明に従って使用することができる。
本発明による方法において使用するための神経幹細胞はまた、米国特許第5851832号、米国特許第6777233号、米国特許第6468794号、米国特許第5753506号、および国際公開第A-2005121318号に記載されているような、胎児、胚または、成体神経幹細胞であってもよい。胎児組織はヒト胎生皮質組織であってもよい。細胞は、Yuan et al. (2011)によって記載されているように、誘導多能性幹(iPS)細胞の分化から神経幹細胞として、または線維芽細胞のような体細胞から産生される直接誘導神経幹細胞として選択することができる(例えば、Their et al, 2012が近年行ったように、Oct4活性を再プログラミングの初期段階へと厳密に制限しながら、Sox2、Klf4、およびc-Mycを構成的に誘導することによって)。ヒト胚性幹細胞は、当該技術分野において公知であるように、ドナー胚の生存能力を保存する方法によって得ることができる(例えばChung et al. 2008)。ヒト胚性幹細胞を得るこのような非破壊的方法を用いて、神経幹細胞を得ることができる胚性幹細胞を提供することができる。あるいは、本発明の幹細胞は、成体幹細胞、iPS細胞、または直接誘導神経幹細胞から得ることができる。したがって、本発明の幹細胞は、ヒト胚の破壊またはヒト胚の基材としての使用を必要としない複数の方法によって、作製することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の方法において使用するための神経幹細胞は、神経幹細胞として認識できるように修飾された異なるタイプの細胞であり得る。いくつかの実施形態において、他の幹細胞型は、幹細胞の1つ以上のマーカーを発現するように修飾され得る。特定の実施形態において、神経幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)に由来する。例えば、国際公開第A2005/100552号には、骨髄接着性幹細胞(MASC)を含んでなる材料から、神経前駆細胞(基部)の細胞特性を示す細胞を作製する方法が記載されている。国際公開第A2005/100552号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。Dezawa et al. (2004) J Clin. Invest. 113: 1701-1710もまた参照されたく、これもまた参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、別の細胞型(例えば、骨髄接着性幹細胞のようなMSC)に由来する神経幹細胞は、有糸分裂性であり、ネスチンを発現し、随意に神経前駆体/神経前駆細胞に特異的な他の細胞マーカーを発現する。このようなMSC由来神経細胞は、典型的には、ニューロン、グリア、およびオリゴデンドロサイト、ならびに前述のいずれかの前駆体に分化することができる。NSCは、国際公開第A2005/100552号に開示されている方法にしたがって、MASCから得ることができる。骨髄接着性幹細胞(MASC)は、典型的には、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、および筋細胞を含むがこれらに限定されない、主として結合組織に見出されるいくつかのタイプの細胞に分化するものとして、通常認識される幹細胞として定義される。一実施形態において、ヒトMASCは、CD29およびCD90を発現するが、CD15、CD34、CD11b/c、CD31、CD45、およびフォンウィルブランド因子については陰性である。
MSCなどの他の細胞からNSCを産生する方法は、典型的には、グリア分化転換に関連する幹細胞中の細胞経路を調節することを含む。細胞経路は、幹細胞の少なくとも一部が神経前駆細胞特性を示す細胞に分化転換するのを誘導するのに充分であるように調節される。また、随意に、調節はノッチ細胞内ドメインを有する幹細胞の形質移入を含んでならないという条件を付してもよい。
MSC等の他の細胞からNSCを産生するための別の方法は、幹細胞(例えば、骨髄接着性幹細胞)をグリア調節剤と共に、幹細胞の少なくとも一部を、神経前駆細胞特性を示す細胞に分化転換させるのに充分な量でインキュベートすることを含むことができる。随意に、相互作用がノッチ細胞内ドメインを有する骨髄接着性幹細胞の形質移入を含んでならないという条件を付してもよい。
MASCは、グリア調節剤の存在下で培養することができ、その目的は、グリア調節剤がMASC細胞表面受容体と相互作用するか、またはMASCの内部に輸送されて内部細胞経路と相互作用することのいずれかである。このような輸送は、拡散輸送のような受動的な輸送であってもよいし、または能動輸送体もしくは両者の混合物を介するような能動的な輸送であってもよい。インビトロ培養は、従来の方法、例えば、α-MEM中、またはグリア調節剤が添加された同様の培地中のMASCの培養物で行うことができる。
グリア調節因子は、MASCのグリア細胞への分化転換を阻害し、神経幹細胞への分化転換を促進する特性を有する物質である。グリア調節因子は、様々な異なる機構を介してMASCをグリアの運命から遠ざけるように作用し得る。例えば、Mash1、Math1、およびニューロゲニン1のような前神経塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス転写因子は、神経遺伝子発現の活性化因子であると考えられている。前神経遺伝子は,グリアの分化転換を阻害しながら、MASCの神経分化転換を駆動すると考えられている。グリア細胞の分化転換が阻害され得る機序の1つは、STAT媒介シグナル伝達の調節を介する機序である。STATによるシグナル伝達は、チロシンキナーゼ(JAK)のJanusファミリーが触媒すると考えられている、リン酸化によって引き起こされると考えられている。したがって、JAK-STATシグナル伝達の阻害は、グリア細胞の分化転換経路を調節し、MASCのニューロンの運命を促進する可能性がある。JAK/STAT阻害剤は、STAT1およびSTAT3の阻害剤を含み得る。特定の実施形態において、そのようなJAK/STAT阻害剤は、JAK/STAT経路の遺伝子サイレンシングのためのRNAi、JAK/STAT経路を下方制御するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、または小分子JAK阻害剤4-(4’-ヒドロキシフェニル)アミノ-6,7-ジメトキシキナゾリンを含んでなり得る。他の実施形態において、グリア調節剤は、BMP2またはBMP7のアンタゴニスト(骨形態形成たんぱく質)を含み得る。そのようなアンタゴニストは、ノギン、コーディン、フォリスタチン、ソニックヘッジホッグ(SHH)、またはこれらの遺伝子のアゴニストを発現する遺伝子由来の遺伝子産物の全体または一部を含み得る。グリア調節剤は、これらに限定されるものではないが、Hes1および/またはHes5阻害剤を含むHes阻害剤を含むが、これに限定されない。特定の実施形態において、そのようなHes阻害剤は、Hesの遺伝子サイレンシングのためのRNAi、またはHesを下方制御するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなり得る。グリア調節剤は、いくつかの態様において、これらに限定されるものではないが、ld-1の阻害剤を含み得る(S. Tzeng et al., Id1 , Id2, and Id3 gene expression in neural cells during development. Glia. 1998 Dec;24(4):372-81を参照されたい)。特定の実施形態において、そのようなld-1阻害剤は、ld-1の遺伝子サイレンシングのためのRNAi、またはld-1を下方制御するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなり得る。
グリア調節剤はまた、これらに限定されるものではないが、Gcm1(ネズミ)またはGCMB(ヒト)を含む、ショウジョウバエglide/gem(グリア細胞欠損)の哺乳動物相同体の阻害剤も含み得る。グリア調節剤はまた、これらに限定されるものではないが、オリゴデンドロサイト系列の転写因子であり得るSox9の阻害剤も含み得る。特定の実施形態において、そのようなSox9阻害剤は、Sox9の遺伝子サイレンシングのためのRNAi、またはSox9を下方制御するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなり得る。
他の実施形態において、グリア調節剤は、ニューロゲニン3の阻害剤、毛様体神経栄養因子(CNTF)の阻害剤、Wnt1を発現する遺伝子由来の遺伝子産物の全部もしくは一部(神経膠形成を強力に抑制する)、または神経発生中もしくはCPCの増殖に発現する、指示的な役割を果たす神経塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)因子のサブセットを発現する遺伝子に由来する、遺伝子産物の全部もしくは一部を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、ヒトMSC由来NSCは、EfnB2、CD90、およびPDGF受容体βである。これらのマーカーの1つ以上は、例えば、国際公開第A2005/100552号に記載されているように、MASCのグリア分化転換後にFACSを使用して、NSCをMASCから分離するために使用され得る。
外因性Notch細胞内ドメイン(NICD)を発現するように操作されている骨髄接着性幹細胞(MASC)に由来する細胞は、当技術分野において公知である。例えば、国際公開第A-206/058464号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、「SB623細胞」として知られている細胞が一例として挙げられる。このような細胞の生産は、MASCの培養物を、NICDをコード化する(例えば、形質移入による)配列を含んでなるポリヌクレオチドと接触させ、次いで、薬物選択およびさらなる培養による形質移入された細胞を濃縮させることを含み得る。例えば、米国特許第7,682,825号(2010年3月23日発行);米国特許出願公開第2010/0266554号(2010年10月21日);および国際公開第2009/023251号(2009年2月19日)を参照されたい。これらの全ての開示は、間葉系幹細胞の単離、および間葉系幹細胞のSB623細胞への変換(本明細書では「神経前駆細胞」および「神経再生細胞」と記載)を説明する目的で、その全体が参照により組み込まれる。
SB623細胞の調製、および本明細書に記載の方法において使用することができるSB623細胞の特性と同様の特性を有する細胞の作成方法についてのさらなる詳細が、米国特許第7,682,825号;ならびに米国特許出願公開第2010/0266554号および同第2011/0229442号において見出される。これらの開示は、SB623細胞の調製におけるさらなる詳細を提供する目的、およびSB623細胞の特性と同様の特性を有する細胞を作成する方法を提供する目的のために、本明細書へ参照によって組み込まれる。Dezawa et al. (2004) J Clin. Invest. 113: 1701-1710もまた参照されたい。
MSC由来NSCは、虚血性脳卒中による慢性運動障害である患者を対象とした臨床試験(NCT02448641)で使用されている。NCT02448641試験では、上記のSB623細胞を使用している。Steinberg et al.(Stroke. 2016 Jul;47(7):1817-24)もまた、これらの細胞について記載している。
MSC由来NSCを処理する好適な方法は、例えば、Goldman et al.らによって公開された米国特許出願第20020012903号に開示された方法を含め、公知である。
本発明の幹細胞を単離する。用語「単離した(isolated)」は、用語が言及する細胞または細胞集団がその自然環境内にないことを示す。細胞または細胞集団は、周囲の組織から実質的に分離されている。いくつかの実施形態において、細胞または細胞集団は、試料が、少なくとも約75%、いくつかの実施形態においては少なくとも約85%、いくつかの実施形態においては少なくとも約90%、およびいくつかの実施形態においては少なくとも約95%の幹細胞を含有する場合、周囲の組織から実質的に分離される。換言すれば、試料が、幹細胞以外の材料の約25%未満、いくつかの実施形態においては約15%未満、およびいくつかの実施形態においては約5%未満を含有する場合、試料は、周囲の組織から実質的に分離される。このようなパーセント値とは、重量パーセントを指す。この用語は、起源となる生物から除去され、培養中に存在する細胞を、包含する。この用語はまた、起源となった生物から除去され、その後、生物に再挿入された細胞を包含する。再挿入された細胞を含有する生物は、細胞が除去された生物と同一の生物であってもよいか、または異なる生物であってもよい。
細胞集団
本発明は、単離された神経幹細胞の集団を提供する。集団は、本発明の幹細胞のみを本質的に含む、すなわち幹細胞集団は実質的に純粋である。多くの態様において、幹細胞集団は、全細胞集団を構成する他の細胞に関して、本発明の幹細胞の、少なくとも約75%、または少なくとも80%(他の態様において、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、もしくは100%)を含んでなる。例えば、神経幹細胞集団に関して、この用語は、全細胞集団を構成する他の細胞と比較して、少なくとも約75%、いくつかの実施形態においては少なくとも約85%、いくつかの実施形態においては少なくとも約90%、およびいくつかの実施形態においては少なくとも約95%純粋な、神経幹細胞が存在することを意味する。したがって、用語「実質的に純粋」とは、神経幹細胞でない細胞の、約25%未満、いくつかの実施態様では約15%未満、いくつかの実施態様では約5%未満を含有する、本発明の幹細胞の集団を指す。
本発明の単離された神経幹細胞は、特定のマーカーに対して特有の発現プロファイルによって特徴づけることができ、他の細胞型の幹細胞とは区別される。マーカーが本明細書に記載される場合、その存在または非存在は、神経幹細胞を区別するために使用され得る。
一実施形態において、本発明は、集団の細胞が、マーカーであるネスチン、Sox2、GFAP、βIIIチューブリン、DCX、GALC、TUBB3、GDNF、およびIDOのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上、例えば全てを発現することを特徴とする、神経幹細胞集団に関する。
典型的には、神経幹細胞はネスチン陽性である。
「マーカー」とは、その存在、濃度、活性、またはリン酸化状態を検出することができ、細胞の表現型を同定するために使用され得る、生物学的分子を指す。
本発明の神経幹細胞は、典型的には、集団の細胞の少なくとも約70%がマーカーの検出可能なレベルを示す場合に、マーカーを保有すると考えられる。他の態様において、集団の少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%、またはそれ以上が、マーカーの検出可能なレベルを示す。特定の態様において、集団の少なくとも約99%または100%は、マーカーの検出可能なレベルを示す。マーカーの定量は、定量的RT-PCR(qRT-PCR)の使用を通して、または蛍光活性化細胞選別(FACS)を通して検出され得る。このリストは、例としてのみ提供され、限定することを意図しないことを理解されたい。典型的には、本発明の神経幹細胞は、集団の細胞の少なくとも約90%が、FACSによって検出されるマーカーの検出可能なレベルを示す場合に、マーカーを保有すると考えられる。
用語「発現した(expressed)」は、細胞内のマーカーの存在を記述するために使用される。発現しているとみなされるためには、マーカーが検出可能なレベルで存在しなければならない。「検出可能レベル」とは、qRT-PCRもしくはqPCR、ブロッティング、質量分析、またはFACS分析などの標準的な実験室方法論の1つを用いて、マーカーを検出することができることを意味する。遺伝子は、発現が35以下(qRT-PCRアレイの標準カットオフ)の交差ポイント(cp)値で合理的に検出され得る場合、本発明の集団の細胞によって発現されると考えられる。Cpは、増幅曲線が検出閾値を横切る点を表し、交差閾値(ct)として報告することもできる。
用語「発現する(express)」および「発現(expression)」は、対応する意味を有する。このcp値より低い発現レベルでは、マーカーは発現していないと考えられる。本発明の幹細胞におけるマーカーの発現レベルと、例えば間葉系幹細胞のような別の細胞における同一マーカーの発現レベルとの比較は、好ましくは、同じ種から単離されている2つの細胞型を比較することによって行うことができる。好ましくは、この種は哺乳動物であり、より好ましくは、この種はヒトである。このような比較は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)実験を用いて簡便に行うことができる。
本明細書中で使用される場合、マーカーに関して使用される場合の用語「有意な発現」またはその等価な用語「陽性」および「+」は、20%以上の細胞集団において、好ましくは、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または全ての細胞が、該マーカーを発現することを意味すると解釈されなければならない。
本明細書中で使用される場合、マーカーに関して使用する「陰性」または「-」は、細胞集団において、20%未満、10%、好ましくは9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%未満、またはいずれの細胞も該マーカーを発現しないことを意味するものとする。
細胞表面マーカーの発現は、例えば、特定の細胞表面マーカーについてのシグナルがバックグラウンドシグナルより大きいかどうかを決定するために、従来の方法および装置(例えば、市販の抗体および当該分野で公知の標準プロトコルと共に使用される、Beckman Coulter Epics XL FACSシステム)を用いて、特定の細胞表面マーカーについてのフローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化細胞選別(FACS)によって決定することができる。バックグラウンドシグナルは、各表面マーカーを検出するために使用される特異的抗体と同じアイソタイプの非特異的抗体によって生成される、シグナル強度として定義される。陽性であると考えられるマーカーについて、観察される特異的シグナルは、バックグラウンドシグナル強度に対して、典型的には20%以上、好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、500%、1000%、5000%、または10000%以上強力である。目的の細胞表面マーカーの発現を分析するための別の方法には、目的の細胞表面マーカーに対する抗体を用いた、電子顕微鏡による視覚分析が含まれる。
幹細胞培養および産生
典型的には、治療に使用することを意図した幹細胞はバンクされ、製剤は適正製造プロセス(GMP;Good Manufacturing Processes)に従って、バンクされた細胞から製造される。マスターセルバンクは、典型的には、数百本のバイアルを備え、その各々は、数百本のバイアルを備えるワーキング・セル・バンクを作製するために複数回継代することができ、その各々は、数百本の製剤バイアルを作製するために複数回継代され得る。このようにして、製剤(DP)を、必要な用量で患者毎に調製することができる。例示的な製造スキームを図1に示す。
幹細胞培養のための単純なバイオリアクターは、一般的に使用されるT-175フラスコ(例えば、BD Falcon(商標)175cm細胞培養フラスコ、750ml、組織培養処理ポリスチレン、ストレートネック、ブループラグシールスクリューキャップ、BD製品コード353028)のような単一区画フラスコである。
治療のための細胞は、典型的には、T-175またはT-500フラスコ中で培養された増殖性神経幹細胞から採取され得る。
CTX0E03製剤は、典型的には、37以の継代でCTX0E03細胞を含んでなる。
バイオリアクターはまた、当該技術分野で知られているように、複数の区画を有することもできる。これらの多区画バイオリアクターは、典型的には、ガスおよび/または培地を含有する1つ以上の区画から細胞を含有する区画を分離する、1つ以上の膜または障壁によって分離された少なくとも2つの区画を含有する。多区画バイオリアクターは、当技術分野で公知である。多区画バイオリアクターの例として、10kDa半透過性膜によって分離された培地区画および細胞区画を含有する、Integra CeLLineバイオリアクターが挙げられる。この膜は細胞区画内への栄養の連続的な拡散を可能にし、同時にあらゆる抑制性老廃物を除去する。区画の個々の接近性は、培養を機械的に妨害することなく、新鮮な培地を細胞に供給することを可能にする。シリコン膜は、細胞区画の基部を形成し、細胞区画への短い拡散経路を提供することによって、二酸化炭素レベルの最適な酸素供給および制御を提供する。あらゆる多区画バイオリアクターを本発明に従って使用することができる。
用語「培地」または「媒体」は、当技術分野で認識されており、一般に、生細胞の培養に使用されるあらゆる物質または調製物を指す。細胞培養物に関して参照において使用されるように、用語「媒体」は、細胞を取り囲む環境の成分を含む。媒体は、固体、液体、気体、または相および材料の混合物であり得る。培地は、細胞増殖を維持しない液体培地と同様に、液体増殖培地を含む。培地はまた、寒天、アガロース、ゼラチン、およびコラーゲンマトリックスのようなゼラチン状培地も含む。例示的なガス状媒体は、ペトリ皿、または他の固体もしくは半固体支持体上で増殖する細胞が曝露される、ガス相を含む。用語「媒体」はまた、まだ細胞と接触されていない場合であっても、細胞培養物中での使用を意図した物質も指す。換言すれば、培養用に調製された栄養豊富な液体が、培地である。同様に、水または他の液体と混合した場合に細胞培養として好適となる粉末混合物は、「粉末培地」と称され得る。「特定培地」とは、化学的に定義された(通常精製される)成分からなる媒体を指す。「特定培地」には、酵母エキスおよび肉汁といった、特性があまり明らかにされていない生物学的エキスは含有されていない。「富栄養培地」には、特定の種のほとんどまたは全ての生存可能な形態の増殖を支持するように設計された培地が含まれる。富栄養培地はしばしば、複雑な生物学的エキスを含む。「高密度培養の増殖に好適な培地」は、他の条件(温度および酸素移動速度など)がそのような増殖を可能にする場合、細胞培養物が3以上のOD600に到達することを可能にする、あらゆる培地である。用語「基礎培地」とは、いかなる特別な栄養補助食品も必要としない、多くの種類の微生物の増殖を促進する培地を指す。ほとんどの基礎培地は一般に、アミノ酸、炭水化物、無機塩、およびビタミンの4つの塩基性化学基を含んでなる。基礎培地は、一般に、血清、緩衝液、成長因子、脂質などのような補助剤が添加される、より複雑な培地の基礎として役立つ。一態様において、増殖培地は、本発明の細胞の増殖および増殖を支持するのに必要な増殖因子を有する複合培地であってもよく、その一方で細胞の自己再生能力を維持してもよい。基礎培地の例として、これらに限定されるものではないが、イーグル基礎培地、最小必須培地、ダルベッコ変法イーグル培地、培地199、栄養混合ハムF-10およびハムF-12、マッコイ5A、ダルベッコMEM/F-I2、RPMI1640、およびイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が挙げられる。
医薬組成物
本発明の神経幹細胞は治療に有用であり、したがって医薬組成物として処方することができる。薬学的に許容される組成物は、典型的には、本発明の神経幹細胞に加えて、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、媒体、および/または賦形剤を含む。好適な担体の例は、乳酸リンゲル液である。このような構成要素の詳細については、Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, ISBN: 0683306472を参照されたい。
語句「薬学的に許容される」とは、本明細書で使用される場合、好適な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わず、合理的な利益/リスク比に相応して、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
組成物は、所望であれば、少量のpH緩衝液を含有することもできる。組成物は、米国のBioLife Solutions Inc.から市販されているHypothermosol(登録商標)のような貯蔵媒体を含んでなることができる。好適な医薬担体の例は、E W Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。このような組成物は、予防的または治療的に有効な量の、好ましくは精製された形態である予防的または治療的に有効な量の幹細胞を、好適な量の担体と共に含有することで、対象への適切な投与のための形態を提供するであろう。処方は投与方法に適しているべきである。好ましい実施形態において、医薬組成物は無菌であり、対象、好ましくは動物対象、より好ましくは哺乳動物対象、そして最も好ましくはヒト対象への投与に好適な形態である。
本発明の医薬組成物は、種々の形態であり得る。これらには、例えば、凍結乾燥製剤、凍結製剤、液状溶液、または懸濁液、注射用および注入用溶液などの、半固体および液状の剤形が含まれる。医薬組成物は、好ましくは注射可能である。
医薬組成物は、一般に、水性形態である。組成物は、保存剤および/または酸化防止剤を含み得る。
張性を制御するために、医薬組成物は、ナトリウム塩などの生理的塩を含んでなることができる。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、1~20mg/mlで存在し得る。存在し得る他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム二水和物、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムが挙げられる。
組成物は、1つ以上の緩衝液を含んでもよい。典型的な緩衝液として、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはクエン酸緩衝液が挙げられる。緩衝液は、典型的には、5~20mM範囲の濃度で含まれる。組成物のpHは、一般的には5~8であり、より典型的には6~8、例えば6.5~7.5、または7.0~7.8である。
組成物は、好ましくは無菌である。組成物は、好ましくは非発熱性である。
典型的な実施形態において、細胞は、6-ヒドロキシ-2、5、7、8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(登録商標))、Na、K、Ca2+、Mg2+、CI、H2P0 、HEPES、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、デキストロン-40、アデノシン、およびグルタチオンから選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の賦形剤を含む組成物中に懸濁される。一実施形態において、組成物は、これらの賦形剤の全てを含んでなる。典型的には、組成物は双極性非プロトン性溶媒、例えば、DMSOを含まない。好適な組成物、例えばHypoThermasol(登録商標)-FRSが市販されている。このような組成物は、細胞を4~25℃で長期間(数時間から数日)保存すること、または低温、すなわち-20℃未満の温度で保存することを可能にするため、有利である。その後、幹細胞は、解凍後にこの組成物中で投与することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、4×10~7×10生細胞/μL、例えば、5×10生細胞/μLを含んでなる。
脳卒中患者の治療
本発明の神経幹細胞は、脳卒中、典型的には虚血性脳卒中の治療に有用である。したがって、本発明は、神経幹細胞を用いて患者の虚血性脳卒中を治療する方法を含む。虚血性脳卒中は、典型的にはテント上虚血性脳卒中である。
用語「患者」は、本明細書に記載する治療的処置のいずれかを受ける、ヒトおよび他の哺乳動物対象を含む。通常、患者は人間である。
CTX0E03細胞株は、脳卒中、末梢動脈疾患、運動、感覚および/または認知障害などの脳損傷、ならびに精神疾患の治療に有効であることが、以前に示されている。この細胞は現在、障害のある脳卒中患者の治療を目的とした臨床試験で検証されている(Clinicaltrials.gov識別子:NCT01151124)。国際公開第A-2012/00461号は、単極性および双極性うつ病、統合失調症、強迫性障害、自閉症、ならびに自閉症症候群障害を含む精神疾患の治療における、CTX0E03細胞の使用を説明している。
本明細書中で使用される場合、用語「治療する」、「治療」、「治療すること」、および「療法」とは、患者または対象に直接関連して使用される場合、障害に関連する1つ以上の症状の寛解、または障害もしくは障害に関連する1つ以上の症状の防止もしくは予防を意味すると解釈されなければならない。治療すべき障害は、典型的には虚血性脳卒中である。症状の寛解または防止は、本発明の神経幹細胞、またはこれらの細胞を含んでなる医薬組成物を、該治療を必要とする対象に投与することによって生じる。
実施例に示したPISCES II試験は、虚血性脳卒中後のリハビリテーション段階における患者の転帰の改善に対するCTX0E03細胞の効果を実証し、より多くの患者群におけるさらなる安全性データを提供することを目的とした。試験の選択基準は次のように概説できる:
・男女患者
・0または1例のARAT第2試験
・4、3、または2のNIHSS上肢運動スコア。
患側上肢の安定した不全麻痺を伴うそのような患者(重力に反して机から腕を上げることができない)は、5%未満の腕の自然回復(腕を食事に充分使用できる)の可能性を有する。
試験手順は次のように概説できる:
・患側の脳(被殻)にCTX2000万細胞を注入
・12ヵ月間の追跡
・6週間にわたる最低1.5時間/週の理学療法
・一次測定:ARAT第2試験、2ポイント改善
・二次測定:ARAT、フーゲルマイヤー評価、NIHSS、mRS、バーテル指数。
PISCES II試験は、180日目に一次エンドポイントを用いた最初のSimon二段階デザインから、90日目に一次エンドポイントを用いた単一コホートデザインに変更され、標的集団は、ベースラインNIHSS上肢スコアが2または3である患者からスコア4の患者まで拡大された。
NIHSS上肢運動スコア
国立保健研究所脳卒中スケール、またはNIH脳卒中スケール(NIHSS)は、脳卒中に起因する障害を客観的に定量化するために、医療提供者によって使用されるツールである。NIHSSは11の項目から構成され、各項目は0~4までの特定の能力を評価する。各項目について、スコア0は、典型的には、その特定の能力が正常に機能していることを示し、高いスコアは障害の程度を示す。各項目からの個々のスコアは、患者の合計NIHSSスコアを計算するために合計される。可能な最大スコアは42で、最小スコアは0である。
修正NIHSSは、NIHSSから四つの質問を削除した、Meyer et al., Stroke. 2002;33:1261-1266によって説明されている。元のスケールである42と比較して、この単純化されたスケールを用いて可能な最大スコアは31である。
NIHSSおよび修正NIHSSの両方の項目のうち1つは、「運動上肢」試験である。手のひらを下に向けた状態で、患者が座っている場合、患者は片方の腕を前方に90度伸ばし、患者が横になっている場合は前方に45度伸ばす。必要であれば、患者は正しい姿勢になるように介助される。患者の腕が所定の位置についたらすぐに、研究者は10から口頭でカウントダウンを開始し、同時に患者の全景を見ながら指でカウントダウンを開始すべきである。10秒が経過する前に、あらゆる下向きの上肢移動がないかどうかを観察する。研究者が患者の腕を所定の位置に置いた直後に起こる下方への移動は、下方移動とみなすべきではない。反対側の腕についても検査を繰り返す。この項目は、右腕と左腕とで個別に採点しなければならない。スコアは次の通りである:
0-腕移動なし;腕は10秒間初期位置に留まる
1-移動;腕は10秒が終わる前に中間位置まで移動するが、いかなる点でも支持に依存せず
2-重力に反する限定された力;腕は開始位置に行くことができるが、10秒が経過する前に、初期位置から物理的な支持まで下降する
3-重力に反する力なし;腕は、開始位置まで介助された直後に腕が下がるが、患者は何らかの形で腕を動かすことができる(例えば、肩すくめ)
4-移動なし;患者はこの腕に随意運動を起こす能力がない。
PISCES II試験では、NIHSS運動上肢スコアがベースライン時(すなわち、治療前)に、2、3、または4である患者を検査した。驚くべき結果は、NIHSS上肢スコアが2または3である患者において観察された。したがって、本発明は、治療前にNIHSS上肢スコアが2または3である患者のサブセットに関する。
ARAT試験およびARAT第2試験(つかみ
ARAT第2試験(ARATつかみ試験第2としても知られる)は、上肢機能評価(ARAT)の掴みサブスケール内の試験の2番目である。ARATは、理学療法士および他の医療専門家が、脳卒中回復、脳損傷、および多発性硬化症集団における上肢機能(同調、器用さ、および機能)を評価するために使用する、公知の19項目観察測定である。ARATは、1981年にLyleによって上肢機能試験の改良版として記述され、皮質損傷後の上肢機能回復の試験に用いられた(International Journal of Rehabilitation Research. (1981);4(4), 483-492)。ARATを構成する項目は、4つのサブスケール(つかむ、握る、つまむ、全身運動)に分類され、難易度の低い順に並べられ、最も難易度の高いタスクが最初に調べられ、次いで最も難易度の低いタスクが調べられる。
ARAT第2試験(つかむ)は、机の面から2.54cmのブロックを出発点の37cm上の棚に置く試験である。
ARATを構成する19項目の各々は、以下通りに、4ポイント順序スケールを用いてスコア化される:
0=移動なし
1=移動タスクは部分的に実行される
2=移動タスクは完了したが、異常に長い時間がかかる
3=動作は正常に行われる。
つかみ試験第2では、典型的には、次のように評価される。
0=完了したタスクなし
1=多少の力があるが、タスクを実行しない
2=5~60秒以内に実行
3=5秒以内に実行。
したがって、総ARAT(合計19点)のスコアの範囲は0~57ポイントで、最大スコアは57ポイントであり、パフォーマンスが高いことを示す。この評価は連続的で、対象の観察された可動性に基づいているので、カットオフ値はない。ARATは脳卒中リハビリテーションにおける上肢の機能回復を予測するために使用できる。10点未満のスコア、10~56点のスコア、および57点のスコアは、それぞれ、不良、中等度、および良好な回復と相関する。
典型的には、治療される患者は、ARATつかみ試験第2の第2試験に対して、スコア0または1を有する。
PISCES II試験における一次測定は、治療3ヶ月後のARATつかみ試験第2における2人の回答者である。回答者は、治療6ヶ月後に2ポイントの改善を示した患者である。
PISCES II試験における二次測定の1つは、12ヶ月の時間枠にわたり、総ARATを用いて虚血性脳卒中後の上肢機能回復における定位脳CTX DPの有効性を評価することである。
実施例2に示すように、この試験では、脳卒中患者の神経幹細胞治療により、ARATサブテスト第2(つかみ)において、3ヶ月後の患者1人、ならびに6ヶ月後および12ヶ月後の患者3人において、少なくとも2ポイントの改善が得られたことが明らかになった。さらに、総ARATでは、ちょうど1ヶ月後の患者2人、3ヶ月後の患者3人、6ヶ月後の患者4人、および12ヶ月後の患者5人において、少なくとも6ポイントの改善が観察された。
さらに、図7は、ARAT第2試験(つかみ)で少なくとも2ポイントの改善が観察された3人の反応者が、3、6、および12ヵ月時点で反応し、より低いスコアにまで再発しなかったことを示している。同様に、図7は、総ARATについて、1、1、3、6、および12ヵ月の時点で、5人の応答者において少なくとも6ポイントの改善が観察されたことを示している。
さらに驚くべき結果が、図8に示されている。これらのデータは、ベースライン時に患側上肢に動きの残る患者(NIHSS運動上肢スコア2または3)で、ARATの改善が観察されたことを示している。しかしながら、患側上肢を動かさない患者(NIHSS運動上肢スコア4)では改善がみられない。
治療前のNIHSSスコアが2であった患者で、最大かつ最も驚くべき有益性が認められ、総ARAT反応の有意な改善が観察される。
修正ランキンスケール
修正ランキンスケール(mRS)は、脳卒中または他の神経学的能力障害の原因に罹患している人々の、日常活動における能力障害または依存の程度を測定するために、一般的に使用されるスケールである。スケールは0から6までであり、症状のない完全な健康状態から死亡までである。
0-症状なし。
1-重大な能力障害なし。いくらかの症状はあるものの、通常の活動は全て行える。
2-軽度の能力障害。自分のことは介助なしに自力でできるが、今までの活動は全てできない。
3-中程度の能力障害。いくらかの介助は必要だが、介助なしで歩ける。
4-中程度の重度能力障害。介助なしでは自分の身体的欲求に対処できず、介助なしでは歩くことができない。
5-重度の能力障害。継続的な看護および注意が必要であり、寝たきり、失禁。
6-死亡。
修正ランキンスケール(RFA-mRS)のランキンフォーカスアセスメント版は、Saver et al., Stroke. 2010 May; 41(5): 992-995によって記載されている。これは、装着前から要素を選択および改良することによって、評価が策定されたことを説明している。RFAは適用に3~5分かかり、割り当て可能な7つの全身体障害レベルを区別するための、明確な運用上の基準を提供する。
実施例2は、脳卒中患者の神経幹細胞治療により、3人の患者では1ヶ月後に、7人の患者では3ヶ月後に、mRSが少なくとも1つのカテゴリーで改善したと報告している。
さらに、図9は、神経幹細胞治療後のmRS結果の分布を示す。これらの結果は、7人の患者において、ベースラインと比較して12ヶ月(または最終的な測定値)での改善を示す。6人の患者は、1つのカテゴリーで改善を示した。1人の患者は、2つのカテゴリーで顕著な改善を示した。
したがって、本発明の一実施形態において、脳卒中患者の脳への神経幹細胞の投与は、12ヶ月以内にmRSの少なくとも1つのカテゴリーの改善をもたらす。別の実施形態において、脳卒中患者の脳への神経幹細胞の投与は、mRSの2つのカテゴリーによる改善をもたらす。典型的に、これらの改善は、2000万細胞の単一用量後に達成される。例示的な細胞は、CTX0E03細胞である。
図10は、mRSの改善が、ベースライン時に患側上肢に動きの残る患者(NIHSS運動上肢スコア2または3)で最も大きいことを示している。最大の有益性を認めたこの患者サブグループは、ARATで観察された結果と一致している。
一実施形態において、患者は、3または4の治療前mRSを有する。
さらなる実施形態において、患者は、治療後6ヵ月でmRSについて評価される。
バーテル指数
バーテル指数(BI)は、個人の日常機能、特に日常生活動作(ADL)および移動性を測定する、10項目からなる。項目は、食事、ベッドから車椅子への移動、およびトイレからの移動、身だしなみ、平地歩行、階段の上り下り、着替え、排尿および排便の節制を含む。各実行項目は、このスケールで評価され、各レベルまたはランクに与えられたポイント数が割り当てられる。各項目の割り当て値の決定には、各項目の実行に必要な時間および物理的な支援が使用される。環境内の外的要因が各項目のスコアに影響する。BIを用いて機能のベースライン値を決定し、日常生活動作の改善を経時的にモニタリングすることができる。
バーテルスケールで扱われた10の変数は以下の通りである:(i)便失禁の有無;(ii)尿失禁の有無;(iii)身だしなみに必要な介助;(iv)トイレの使用に必要な介助;(v)摂食に必要な介助;(vi)移動に必要な介助(例えば、椅子からベッドへの移動);(vii)歩行に必要な介助;(viii)着替えに必要な介助;(ix)階段の昇り降りに必要な介助;(x)入浴に必要な介助。
BIは、1965年にMahoneyおよびBarthelにより開発され、現在リハビリテーションに広く用いられている。10の活動がスコア化され、値が加算されて、合計スコアが0(完全依存)~100(完全独立)となる。
BIの修正版が導入されている(Colin et al, 1988)。修正スケールでは、最大スコアは20である。スコアの範囲は、各活動に対して0~2、または3である。
BIは、UKROCソフトウェア内のコンピュータ化アルゴリズムによって、UK FIM+/-FAMおよびNPDS/NPDS-Hから得ることができる(例えば、Nyein et al.,Clinical Rehabilitation 1999; 13: 56-63を参照されたい)。
実施例2は、脳卒中患者の神経幹細胞治療により、1ヶ月以内に6人の患者、3ヶ月以内に8人の患者のBIが、少なくとも9ポイント改善したことを示している。
フーゲルマイヤー評価(FMA)
これはプロトコル改定(8番)でPISCES IIに導入されたため、一部の患者で利用可能である。上肢(33の試験)、下肢(17の試験)の運動評価、および官能評価(12の試験)に対する運動評価で構成され、総運動感覚スコアは0~124であり、数値が高いほど医療転帰が良好である。
FMA総運動感覚スコアは、90日目までに少なくとも5ポイントの改善、および改善の継続、365日目に8つの変化が観察された。
投薬
神経幹細胞は、治療効果をもたらすのに充分な用量およびスケジュールで投与することができる。これは、「有効量」と呼ばれることがある。典型的には、用量は単一用量である。用量または各用量は、典型的には、少なくとも100万個の細胞、少なくとも200万個の細胞、または少なくとも500万個の細胞、例えば、1000万個以上の細胞を含んでなる。実施例に示されるように、例示的な単一用量は、16×10~28×10細胞であり、例えば、単一用量は、約2000万細胞である。
医薬組成物は、あらゆる好適な経路によって投与することができ、治療される疾患または状態に依存することが、実施例に提供されるガイダンスに充分に留意することによって、当業者には明らかであろう。医薬品の典型的な投与経路には、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、頭蓋内、鼻腔内、または腹腔内が含まれる。脳卒中のような脳の障害の治療のための1つの選択肢は、幹細胞を脳内に、典型的には近くに(例えば、同一の場所ではない)、または損傷もしくは疾患の部位の、に投与することである。
神経幹細胞は、治療上または予防上有効な用量で投与されることが、当業者には明らかであろう。細胞の免疫原性が低いか、または存在しないため、有害な免疫応答を誘導することなく反復投与を行うことが可能である。
脳卒中を治療するために、神経幹細胞は、典型的には脳内に投与される。これは通常、定位脳手術を用いて達成される。
実施例において、患者は、MCA虚血性脳卒中の部位と、同側の線条体定位注入により、CTX DP(2000万細胞)を受け取る。
理解を明確にするために本発明を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の範疇内で、特定の変更を実施することができる。本出願において引用される、全ての刊行物、登録番号、および特許文献は、それぞれがそのように個々に示されているかのように、全ての目的のために、同一の範囲に対して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2つ以上の配列が異なる時点である登録番号と関連している場合は、本出願の有効出願日における登録番号と関連している配列を意味する。有効出願日は、問題の登録番号を開示している最先の優先出願の日付である。文脈から他に明らかでない限り、本発明のあらゆる要素、実施形態、ステップ、特徴、または態様は、あらゆるその他のものと組み合わせて実施することができる。
本発明は、以下を非限定的に参照してさらに説明される。
例1:試験プロトコル-脳卒中第II相有効性における肝細胞の予備調査(PISCES-II;NCT02117635)
概要:
この第II相試験の主な目的は、2000万細胞の用量レベルでのCTX製剤による治療が、脳卒中急性期患者における麻痺上肢使用の回復を改善して、その後の大規模な将来を見越した対照試験を正当化するのに充分であるかどうかを判定することである。
本研究では、虚血性中大脳動脈(MCA)脳卒中後の腕の不全麻痺患者における、2000万細胞の用量レベルでの脳内CTX DPの安全性および有効性を評価する。適格な患者は、虚血性脳卒中から最低28日後には麻痺上肢の有用な機能をもたない(患側上肢に対する修正NIH脳卒中スケール(NIHSS)スコア2、3、または4)。
詳細な説明:
設計:この第II相有効性試験は、多施設共同、オープンラベル、単一群、非比較設計であり、虚血性脳卒中後2~3ヵ月にCTX細胞を単一用量投与し、12ヵ月以上追跡するものである。試験は独立したDSMBによって監督される。DSMBは、患者が一次応答基準を満たしているかどうか、および進行中の安全性プロファイルが試験の継続または変更を正当化するものかどうかを、所定の間隔で判断する。
MCA虚血性脳卒中の部位と同側の線条体定位注入によるCTX DP(2000万細胞)を受けるために、少なくとも21人の患者が登録される。
患者の治療前選択:40歳以上の男女、テント上虚血性脳卒中、またはMCAが灌流している領域に両方の要素を有する脳卒中(すなわち、大脳基底核、内包、もしくは放線冠に位置する、梗塞をもたらす虚血に起因する脳卒中、または虚血に起因する脳卒中で大脳皮質の一部の梗塞をもたらす虚血に起因する脳卒中)。
以下の基準を満たす、過去4週間(同意時)以内に最初の脳卒中を発症した患者:虚血性脳卒中後の麻痺側上肢に対する、修正NIHSS運動上肢スコアが、2(重力に反するいくらかの力)、3(重力に逆らった動きはない)、または4(動きなし);神経画像診断(コンピュータ断層撮影法または磁気共鳴画像法)を用いて医師により確認された脳卒中の臨床診断。患側上肢を用いて、来院時に1および2の、ARAT第2試験に対するスコア0または1。
治療:一度に1人の患者を治療する。CTX DP細胞の単一用量(2000万)は、定位脳手術を介して頭蓋内に投与される。
治療後追跡調査:移植後12ヶ月間、患者を追跡調査する。
エンドポイント:試験の一次エンドポイントはARATを用いた有効性である。二次エンドポイントは有効性と安全性である。有効性の結果尺度には、フーゲルマイヤー評価、NIHSS、BI、およびRFAがある。安全性は、治療後最初の年に来院した7回の追跡調査時に、患者の全身状態および臨床的測定値(体温、脈拍数およびリズム、ECG、血圧、全血球算定、肝機能検査、血清尿素、ならびに電解質)、免疫学的反応、ならびに併用薬をモニタリングし、関連する有害事象の発現率によって評価する。
治験後の追跡調査:家庭医との年1回の通信;米国国立がんセンターレジストリによる、新たながん診断、原発腫瘍部位、および生存に関する生涯にわたる追跡。
結果尺度:
一次結果尺度
1.上肢機能評価(ARAT)[時間枠:3ヶ月]
一次結果尺度とは、ARAT第2試験で最低2ポイントの改善(Yozbatiran et al., 2008)である。
反応は、CTX DP投与から6ヵ月後の患側上肢における、ARAT(2.5cmブロックを掴んで、開始位置から目標終了位置まで移動させる)の試験番号2における最低2ポイントの改善であると定義される。これは、患者が必要に応じてブロックを把握および再配置できなかった治療前状態から、患者が指定されたタスクを60秒以内に達成できる治療後状態への改善を表す。
二次結果尺度
1.ARATを用いた虚血性脳卒中後の上肢機能回復における、脳内CTX DPの有効性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
2.修正国立保健研究所脳卒中スケール(NIHSS)を用いた虚血性脳卒中後の機能回復における脳内CTX DPの有効性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
3.修正ランキンスケールのランキンフォーカスアセスメント(RFA)版を用いた虚血性脳卒中後の患者の機能的自立度の回復における、脳内CTX DPの有効性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
4.バーテル指数(BI)を用いた虚血性脳卒中後の患者の日常生活動の作能力改善における、CTX DPの有効性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
5.虚血性脳卒中後の患者における脳内CTX DPの安全性および忍容性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
有害事象の発現率:バイタルサイン、体温、脈拍数およびリズム、ECG、血圧、全血球算定、肝機能検査、血清尿素、ならびに電解質、CTX抗体スクリーニング
6.フーゲルマイヤー評価法を用いた虚血性脳卒中後の上肢機能回復における脳内CTX DPの有効性を評価すること[時間枠:12ヶ月]
選択基準:
・患側上肢の麻痺により患者がインフォームドコンセントに署名できない場合は、書面によるインフォームドコンセント、またはインフォームドコンセントの立会い
・テント上虚血性脳卒中
・40歳以上の男女
・同意時に以下の基準を満たす脳卒中であること
- 1回目検診時および2回目検診時、患側上肢に対して2、3、または4の修正NIHSS運動上肢スコア
- 医師が神経画像(CTまたはMRI)を用いて確認した脳卒中の臨床診断
- 脳卒中から28+7日目および56+7日目において患側上肢を用いる、ARATの第2試験に対し0または1のスコア
・言葉による指令を理解する能力
・細胞移植のための好適な解剖学的標的を含む脳神経外科に適している
除外基準
・永続的な中等度~重度の障害(すなわち、ランキンスケール2以上)に至る脳卒中の既往歴(現在の虚血性脳卒中以外)
・出血による脳卒中
・2.5cmブロックを持ち上げたり置いたりする能力を障害する、麻痺側上肢に重大な機能障害を来す神経学的疾患または他の疾患の病歴(例えば、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、関節炎、デュピュイトラン拘縮、または固定解剖学的異常)
・心臓ペースメーカー(MR条件付心臓ペースメーカーを除く)、眼内の金属片などの存在を含む、MRIに対するあらゆる禁忌
・収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上と定義される制御不能な血圧(これらの限界を超える初期値が数日間にわたる再試験の際に繰り返される場合のみ、患者は除外される)
・重度の併存疾患を有し、12ヵ月以上の生存は期待できない患者
・CTX0E03 DPの予定注射の3ヵ月前に、患者を高い麻酔リスクに置くため、患者に対して責任のある研究者または麻酔専門医によって考慮された、現在の虚血性脳卒中(例えば、心筋梗塞、症候性心疾患に対する最近の冠動脈インターベンション)以外の急性心血管事象
・過去5年以内の悪性疾患(非黒色腫皮膚がんを除く)の既往歴、または悪性脳腫瘍もしくは脳転移の既往歴
・タモキシフェンによる現在の治療
・神経手術から1週間~4週間後の期間にバルプロ酸を中断することが適切でないと考えられ、あらゆる徴候に対してバルプロ酸剤を使用している患者。この期間にパルプロ酸を代替薬へ切り替えた患者も含まれ得る。
・ヘパリン、ワルファリン、またはその他の抗凝固薬を含む、抗血小板薬および/または抗凝固薬の必要性/手術を可能にするために中断することのできない薬物療法
・経口抗痙攣薬(経口抗痙攣薬は、CTX0E03 DP投与の少なくとも1ヵ月前から定期的に服用している場合、許容される)の間欠的(CTX0E03 DP投与1ヶ月前~3ヶ月後の停止/開始)必要性
・コントロールされていない糖尿病の病歴、例えば過去6ヶ月以上の入院を必要とする低血糖事象または高血糖事象の病歴
・妊娠可能な女性(FOCBP)(または、最終月経周期から2年以内)は、治療時に妊娠検査が陰性であることが確認されなければならず、本試験期間中は、信頼できる2つの避妊法(例えば、経口避妊薬およびコンドーム、子宮内避妊具(IUD)およびコンドーム、殺精子剤およびコンドーム付きペッサリー)の使用に同意しなければならない。
・FOCBPのパートナーを持つ性的に活動的な男性は、本研究の期間中、信頼できる避妊法(例えば、バリアおよび殺精子剤、または上述方法)を進んで使用しなければならない。
・全ての追跡調査検診に参加できる可能性が低いと考えられる
・臓器移植レシピエント
・研究者の意見における、健康を害するおそれのあるレベルでのアルコールまたは薬物の継続的な摂取
多数の図がPISCES II試験を概説するのに役立つ。研究スケジュール(検診による)を、図2に示す。動員および患者フローを図3に示す。参加者の人口統計を図4に示す。
治療
投与処理した治療
適格基準を満たす患者は、無菌懸濁液中の20×10細胞の公称用量レベルで、400μLのCTX0E03 DPの脳内移植を一度に受けた。これは、製品規格に従った16~28×10細胞の実際の用量を表す。
CTX0E03 DPは、定位脳内移植を経験した神経外科医により、全身麻酔下において移植された。幹細胞の送達は、Kondziolkaによる幹細胞の脳内移植のための2つの以前の臨床試験(Kondziolka et al., Cell Transplant 2004;13(7-8):749-54.ら、細胞移植2004;13(7-8):749-54。)、およびReNeuronの第一相臨床試験で成功した技術を用いて行われた。
試験製品の同一性
CTX0E03 DPは、ReNeuron社が開発したヒト神経幹細胞株を含有する製剤である。CTX0E03 DPは、オフホワイトの不透明な滅菌懸濁液である。CTX0E03 DPは37以上の継代でCTX0E03細胞からなる。細胞を、5×10生存細胞/μL(4~7×10生細胞/μLの範囲)の濃度でHypoThermosol(HTS-FRS)中に製剤化する。HTS-FRSは、イオン、緩衝液、浸透剤、コロイド、代謝産物、および抗酸化剤から構成される。
CTX0E03 DPを供給し、輸送し、温度管理下において-135℃未満で低温保存し、そして監視したクライオシッパー中に貯蔵した。薬剤師は、CTX0E03 DPが検疫から解除され、患者が手術室でCTX0E03 DPの注射の準備ができたことを知らされると、解凍し、そして注射用のCTX0E03 DPを調剤した。この手順は、CTX0E03 DPが解凍時から3時間以内に使用されることを確認した。
例2:臨床試験の結果-ヒト神経幹細胞(PISCES II)の脳内移植後12ヵ月の機能的転帰
ベースラインの人口統計学的特徴および疾患の特徴は、一般的に、試験対象集団を代表していた。全体として、患者の大部分は白人(95.65%)であり、男女の数は同程度であった(男13人:女10人)。平均(SD)年齢は62.39(10.77)歳であった。全ての患者は英国出身であった。左腕が最も多く罹患していた(60.87%)。
結果を図5~11に概説する。
ベースライン時の患者の脳卒中の特徴を、図5に示す。
図6は、PISCES II応答分析:一次および二次測定を示している。これらのデータは、脳卒中患者のCTX0E03l治療が、3ヶ月後の1人の患者、ならびに6ヶ月および12ヶ月後の3人の患者で、ARATサブテスト第2(つかみ)において少なくとも2ポイントの改善をもたらしたことを示す。さらに、総ARATでは、ちょうど1ヶ月後の患者2人、3ヶ月後の患者3人、6ヶ月後の患者4人、および12ヶ月後の患者5人において、少なくとも6ポイントの改善が観察された。
mRSについて、図6は、脳卒中患者のCTX0E03治療が、1ヵ月後の3人の患者および3ヵ月後の患者7人において、少なくとも1つのカテゴリーの改善をもたらしたことを示す。
バーテル指数に関して、結果は、脳卒中患者のCTX0E03治療が、1ヶ月以内に6人の患者で、3ヶ月以内に8人の患者で、BIの少なくとも9ポイントの改善をもたらしたことを示す。
ARATの有効性の結果は、図7に示す。ARAT第2試験(つかみ)では、3、6、および12ヵ月時点で反応がみられた3例においてポイント以上の改善がみられ、より低いスコアへの再燃はみられなかった。総ARAT6ポイント以上の改善が、1、1、3、6、および12ヵ月後に反応した5例にみられる。
ベースラインNIHSSによる総ARAT反応中央値を、図8に示す。これらの総ARAT患肢の結果は、患側上肢に動きの残る患者(ベースライン時、NIHSSは2または3)で観察されたARATの改善を示す。これらのデータは、ARATの改善が、ベースラインで患側上肢に動きの残る(NIHSS運動上肢スコア2または3)患者において観察されることを明らかにする。しかしながら、患側上肢を動かさない患者(NIHSS運動上肢スコア4)では改善がみられない。
図9は、修正ランキンスケール(mRS)分布を示す:7例において、ベースラインと比較しmRS改善(6例で1カテゴリー、1例で2カテゴリー)(12mまたは最終測定値);14例のmRSは変化せず、2においては悪化した(1カテゴリー)。注:12ヶ月のmRS転帰は1対象において自殺1週間前に判定したため、12ヶ月目での死亡は一例のみであった。
図10に、ベースライン時NIHSSによるmRSを示す:mRSの改善は、患側上肢に動きが残る患者において最大である(ベースライン時、NIHSSは2または3)。
図11に、追跡調査期間中の重篤有害事象(SAE)を示す。
結論
概要
結果は、NSC移植による亜急性治療の実現可能性を確認する。凍結細胞産物は多施設試験を促進した。細胞に関連した安全問題は確認されなかった。脳卒中後3~6ヶ月の治療は、患者に受け入れられる。
機能的な改善が、充分な数の患者で観察され、さらなる第2b相臨床試験の実施が正当化された。
有効性の結論
この試験は、後続のランダム化試験を正当化するために、CTX0E03 DPの移植3ヶ月後に、麻痺上肢(ARAT試験2において2ポイント以上の改善)の反応を経験した患者の充分な割合を判定するために設計された。目的は、3ヵ月時点において90%の信頼度で、20%未満の奏効率を除外することであった。3ヵ月後の評価では、ARAT第2試験の奏効例は1例のみであったため、一次有効性エンドポイントは満たされなかった。しかしながら、さらなる患者において6ヵ月後および12ヵ月後に反応が認められ、90日目以降も改善が持続することが示唆された。全体として、3/23の患者(13.64%)が最終観察時に少なくとも2ポイントの増加を達成し、別の患者は365日目に2.5cmブロックに反応したがつかめなかったが、5cmおよび7.5cmブロックのスコアが増加した。この奏効率は、麻痺側上肢の有用な機能回復を示すものと考えられる。サブグループ解析では、反応のあった4人の患者全員が、ベースライン時にNIHSS ULが4未満であった患者14人のうちであり、当初の計画集団における奏効率は28.6%であった。
ARAT総スコアは7/23の患者で最終観察時に改善し、個々の改善は1~54ポイントの範囲であった。5人(21.74%)の反応者(6点以上の改善):90日目に3人、180日目にもう1人、そして365日目にもう1人の反応者がいた。改善した患者の数および改善の程度はどちらも時間とともに増加し、ベースラインと比較して、ARAT総スコアの全てのサブスケールで改善が見られた。ARAT総スコアに反応した全患者は、ベースラインでNIHSS ULが4未満であった。したがって、当初計画した患者集団内の奏効率は、5/14または35.71%であった。
NIHSSスコアの平均値は、90日目分析において計画した患者で-1.43±1.40改善し、180日目および365日目にはさらに改善し、365日目には-2.05±1.47となった。多くの異なる機能領域で改善がみられた。NIHSSでの腕機能の回復に加えて、NIHSS脚機能スコアは、治療前に持続した障害を有する10/11の患者で、いかなる治療前の時点よりも良好な値に改善した。
mRSスコアは、90日分析において-0.33±0.48改善し、365日目まで改善が維持された。全体で9人の患者において、ベースラインより低いmRSへのシフトがあったが、2人の患者は最後の観察で再び悪化し、患者の最大7/23(35.0%)のあらゆる来院時に反応率(少なくともグレード1以上の改善)を示した。365日目の反応は、ベースラインNIHSS ULが4未満の患者(6/12、50.00%)で、ベースラインNIHSS=4の患者(1/8、12.50%)より一般的であった。サブグループのさらなる探索的検査は、ベースラインNIHSS ULスコアが4未満の患者における、このより高い反応率が、ベースラインで3~4のmRSを有する患者および有しない患者、ならびに現在の脳卒中後180日未満で治療された患者またはそれを超えて治療された患者で、広く一致することを示した。
バーテル指数スコアは、365日間改善を維持した21人の計画患者の90日分析において、7.38±11.79改善した。365日目の分析では、3/23の患者がベースライン時に最大スコア100であったため、改善の評価ができなかった。残りの患者では、治療後の来院時にベースラインと比較して、改善が17/20の患者でみられ、12人の患者では365日目も改善がみられ、ほとんどのサブスケールで改善がみられた。反応基準(9ポイント以上の改善)は、1回以上の来院で12/17の患者(70.59%):90日時点で8/17の患者、180日目に7人の反応者、365日目に8/17の反応者(47.06%)において満たされた。6人の患者では、ベースラインBIが90未満であり、反応を評価できなかった。サブグループ分析は、ベースラインNIHSS UL=4の患者でより高い割合の応答者を示唆したが、これは、主としてNIHSS ULが4未満のサブグループにおける上限効果により交絡された。
FMA総運動感覚スコアは、計画患者の90日目の分析で5.88±9.39改善し、365日目に8.0±13.89の変化に達して改善し続けた。90日分析では、FMA反応者は3/8、全体では4/10であった。この反応は2人の反応者で維持または改善され、人は反応基準以下に悪化し、90日目の反応者は180日目または365日目の検診に参加しなかった。サブグループ分析は、ベースラインNIHSS UL=4または<4である群間の応答者数の差を示さなかった。
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Claims (11)

  1. 虚血性脳卒中を治療する方法において使用するための神経幹細胞を含んでなる医薬組成物であって、
    前記神経幹細胞は、ECACC登録番号第04091601番である細胞株に由来するCTX0E03細胞であり、
    修正NIHSS運動上肢スコア2かつmRSカテゴリー3または4を有する脳卒中患者の脳単一用量の前記細胞投与され
    前記治療は、ARAT総スコアの増加およびmRSにおける少なくとも1カテゴリーの減、ならびにARAT第2試験(つかみ)の機能における少なくとも2ポイントの改善によって決定される運動機能改善および能力障害軽減を3ヶ月以内に行い
    前記改善された運動機能は、12ヶ月後に存続している、
    医薬組成物。
  2. 記治療が、mRSにおける少なくとも1カテゴリーの減少を1ヶ月以内に提供する、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 記患者が、治療の前にARAT第2試験(つかみ)スコア0または1を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. RAT総スコアの増加が、少なくとも6ポイントである、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物
  5. mRSにおける少なくとも2カテゴリーの減少が、12ヶ月以内に達成される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 前記細胞が、脳卒中から4週間以内、脳卒中から2ヶ月以内、脳卒中から2~12ヶ月間、脳卒中から3~6ヶ月間、または脳卒中から6~12ヶ月間に投与される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物
  7. 前記細胞が、脳卒中後3~6ヶ月の間投与される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物
  8. 前記細胞、定位脳移植(stereotaxic implantation)によって脳投与される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物
  9. 16×10~28×10個の細胞、単一用量で投与される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物
  10. 2000万個の細胞が、単一用量で投与される、請求項1~のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. -ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸[Trolox(登録商標)]、Na、K、Ca2+、Mg2+、CI、H 、HEPES、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、デキストロン-40、アデノシン、およびグルタチオンを含んでなる、請求項に記載の医薬組成物。
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