JP7313098B2 - 成長因子混合物を調整する方法 - Google Patents
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Description
(項目1) 血液から成長因子混合物を調製する方法であって、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿から成長因子混合物を得る工程と、
を含む、方法。
(項目1a)前記上清が白血球を含む、上記項目に記載の方法。
(項目1b)前記多血小板血漿が白血球含有多血小板血漿である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目2) 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが同じ条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目3) 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが、約100G~約3000Gで約2~約30分、室温の条件で行われる、請求項1または2に記載の方法。
(項目4) 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが、約940Gで約15分、約24℃の条件で行われる、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5) 前記活性化させる処理が、前記多血小板血漿に、血小板を活性化させる薬剤を添加することを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6) 前記血小板を活性化させる薬剤が塩化カルシウムを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7) 前記成長因子混合物が凍結乾燥されない、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8) 前記成長因子混合物を得る工程が、血小板を活性化させた前記多血小板血漿から細胞を除去する処理を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9) 前記多血小板血漿からの細胞の除去が、フィルタリング処理を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10) さらに、前記多血小板血漿に対して、フィブリノーゲンを除去する工程を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11) さらに、前記多血小板血漿に対して、アルブミンを除去する工程を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12) 前記フィブリノーゲンは約5mg/mL未満となるように除去され、及び/または前記アルブミンは約37mg/mL未満となるように除去される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12a) 前記フィブリノーゲンは約5mg/mL未満となるように除去され、及び/または前記アルブミンは約10mg/mL未満となるように除去される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目A1)
対象の疾患、障害または状態を治療するための方法であって、該対象に上記項目のいずれか一項に記載の方法によって調製された成長因子混合物、または該成長因子混合物を含む組成物の治療有効量を投与する工程を含む、方法。
(項目A2)
対象の疾患、障害または状態を治療するための方法であって、該方法は、
該対象から血液を得る工程と、
該血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿から成長因子混合物を得る工程と、
該対象に該成長因子混合物の治療有効量を投与する工程と
を含む、方法。
(項目A3)
対象の疾患、障害または状態を治療するための方法であって、該対象に成長因子混合物の治療有効量を投与する工程を含み、該成長因子混合物は、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿から成長因子混合物を得る工程と、
を含む、方法によって調製される、方法。
(項目A4)
対象の疾患、障害または状態を治療するための方法であって、該方法は、
該対象から血液を得る工程と、
該血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
該対象に該多血小板血漿の治療有効量を投与する工程と
を含む、方法。
(項目A5)
対象の疾患、障害または状態を治療するための方法であって、該対象に多血小板血漿の治療有効量を投与する工程を含み、該多血小板血漿は、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
を含む、方法によって調製される、方法。
(項目A6)
項目1~12aのいずれか一項に記載の方法の特徴を含む、項目A1~A5のいずれか一項に記載の方法。
(項目B1)
上記項目のいずれか一項に記載の方法によって調製された成長因子混合物。
(項目B2)
血液由来の成長因子混合物であって、該成長因子混合物は、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿から成長因子混合物を得る工程と、
を含む、方法によって調製される、成長因子混合物。
(項目B3)
対象の疾患、障害または状態を治療するための、上記項目のいずれか一項に記載の方法によって調製された成長因子混合物。
(項目B4)
対象の疾患、障害または状態を治療するための血液由来の成長因子混合物であって、該成長因子混合物は、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿から成長因子混合物を得る工程と、
を含む、方法によって調製される、成長因子混合物。
(項目B5)
血液由来の多血小板血漿であって、該多血小板血漿は、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
を含む、方法によって調製される、多血小板血漿。
(項目B6)
項目1~12aのいずれか一項に記載の方法の特徴を含む、項目B1~B5のいずれか一項に記載の成長因子混合物または多血小板血漿。
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
PDGF:約1~約400ng/mL(PDGF-BB)
TGF-β:約2000~約12000pg/mL
EGF:約5~約60pg/mL
FGF:約500~約3200pg/mL(FGF-4)
VEGF:約10~約2000pg/mL
IGF:約250~約6000pg/mL
PDGF:約50~約400ng/mL(PDGF-BB)
TGF-β:約2000~約12000pg/mL
EGF:約5~約60pg/mL
FGF:約500~約3200pg/mL(FGF-4)
VEGF:約10~約800pg/mL
IGF:約250~約6000pg/mL
フィブリノーゲン:約0~約10mg/mL、約0~約7mg/mL、または約0~約5mg/mL
アルブミン:約0~約50mg/mL、約0~約40mg/mL、約0~約30mg/mL、約0~約20mg/mL、または約0~約10mg/mL
上記約0は、検出限界で検出し得る最低限の値であり得、例えば、約0.0001mg/mL等であり得る。したがって、フィブリノーゲン及び/またはアルブミンを含む場合には、以下の濃度を許容することができる。
フィブリノーゲン:約0.0001mg/mL~約10mg/mL、約0.0001mg/mL~約7mg/mL、または約0.0001mg/mL~約5mg/mL
アルブミン:約0.0001mg/mL~約50mg/mL、約0.0001mg/mL~約40mg/mL、約0.0001mg/mL~約30mg/mL、約0.0001mg/mL~約20mg/mL、または約0.0001mg/mL~約10mg/mL
-80℃で、30分以上の凍結を行う。融解後、14000rpm、5分、20~25℃で遠心することができる。
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel, F.M.(1989). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods
from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F.M. (1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M.A. et al.(1995).PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J.J. et al.(1999).
PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れを図1に示した。まず診療所にて採血(採血管4本分/約40mL)した。この際、ヘパリン採血管4本(ベノジェクトII真空採血管(滅菌品)、ヘパリンナトリウム入)を用いた。またヘパリン採血管に代えて、BDバキュテイナ CPTを使用することもできる。採血後、静かに約10回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~10℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れを図2に示した。まず診療所にて採血(採血管3本分/約30mL)した。この際、ヘパリン採血管3本(BDバキュテイナ採血管、ヘパリンナトリウム入)を用いた。またヘパリン採血管に代えて、BDバキュテイナ CPTを使用することもできる。採血後、静かに約20回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~15℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
ー精工社製)を用いてリンパ球分離チューブ1本を遠心した(第1遠心:1200G,15min,15~25℃)。BDバキュテイナ CPTを使用した場合、リンパ球分離チューブに移さず、遠心(第1遠心:1500G,15分)を行ってよい。
実施例1または2のようにして作成した成長因子混合物における成長因子の量や濃度を解析する。主要な成長因子について酵素免疫測定法(ELISA法)を用いて解析すると、PDGF、TGF-β、VEGF、EGF、FGFなどの血小板由来成長因子の量や濃度が高くなることが分かる。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れ図1と同様である。まず診療所にて採血(採血管4本分/約40mL)した。この際、ヘパリン採血管4本(ベノジェクトII真空採血管(滅菌品)、ヘパリンナトリウム入)を用いた。またヘパリン採血管に代えて、BDバキュテイナ CPTを使用することもできる。採血後、静かに約10回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~10℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れは図2と同様である。まず診療所にて採血(採血管3本分/約30mL)した。この際、ヘパリン採血管3本(BDバキュテイナ採血管、ヘパリンナトリウム入)を用いた。またヘパリン採血管に代えて、BDバキュテイナ CPTを使用することもできる。採血後、静かに約20回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~15℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
ー精工社製)を用いてリンパ球分離チューブ1本を遠心した(第1遠心:1200G,15min,15~25℃)。BDバキュテイナ CPTを使用した場合、リンパ球分離チューブに移さず、遠心(第1遠心:1500G,15分)を行ってよい。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れは図1と同様である。まず診療所にて採血(採血管4本分/約40mL)した。この際、ヘパリン採血管4本(ベノジェクトII真空採血管(滅菌品)、ヘパリンナトリウム入)を用いた。またヘパリン採血管に代えて、BDバキュテイナ CPTを使用することもできる。採血後、静かに約10回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~10℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
採血から成長因子混合物の生成までの一連の流れは図1と同様である。まず診療所にて採血(採血管4本分/約40mL)した。この際、ヘパリン採血管4本(ベノジェクトII真空採血管(滅菌品)、ヘパリンナトリウム入)を用いた。採血後、静かに約10回転倒混和し、冷蔵で輸送した。この際、0~10℃で0~72時間に亘って血液を予冷蔵しておくこともできる。
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本願は、日本国特許庁に2021年2月26日に出願された特願2021-30807に対して優先権主張をするものであり、その内容はその全体があたかも本願の内容を構成するのと同様に参考として援用される。
Claims (9)
- 血液から成長因子混合物を調製する方法であって、
血液に対して第一の遠心分離処理を行い、上清を回収する工程と、
該上清に対して第二の遠心分離処理を行い、多血小板血漿を得る工程と、
該多血小板血漿に含まれるフィブリノーゲンを除去する工程と、
フィブリノーゲンが除去された該多血小板血漿に対して、血小板を活性化させる処理を行う工程と、
血小板を活性化させた該多血小板血漿を凍結融解する工程と、
凍結融解した該多血小板血漿に対して第三の遠心分離処理を行い、上清を回収し、該上清から成長因子混合物を得る工程と、
を含み、該活性化させる処理が、前記多血小板血漿に、血小板を活性化させる薬剤を添加することを含み、該血小板を活性化させる薬剤が塩化カルシウムを含む、方法。 - 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが同じ条件で行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが、約100G~約3000Gで約2~約30分、室温の条件で行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記第一の遠心分離処理と前記第二の遠心分離処理とが、約940Gで約15分、約24℃の条件で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記成長因子混合物が凍結乾燥されない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記成長因子混合物を得る工程が、血小板を活性化させた前記多血小板血漿から細胞を除去する処理を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記多血小板血漿からの細胞の除去が、フィルタリング処理を含む、請求項6に記載の方法。
- 前記フィブリノーゲンは約5mg/mL未満となるように除去される、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の遠心分離処理後、リン酸緩衝化生理食塩水を加える工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
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