以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
本実施の形態において、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行う無線装置などについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る無線装置の配置の例を示す説明図である。
図1に示されるエリア5は、本実施の形態に係る無線装置10、20A、20B、20Cおよび20Dによって電波の状況の調査(単に調査ともいう)がなされる領域である。エリア5は、1台の無線装置が調査できる範囲を超える広さを有する領域である。エリア5は、例えば、工場またはオフィスの1つのフロアまたは区画等に相当する。エリア5は、例えば、幅が数10m~数100mの空間であるがこれに限定されない。なお、エリア5の形状は、矩形に限られない。
図1に示されるように、エリア5には、5つの無線装置10および20A~20Dが配置されている。
5つの無線装置10および20A~20Dのうちの1つの無線装置(ここでは無線装置10)は、電波の状況の調査を行う機能(調査機能)と、当該1つの無線装置を除く4つの無線装置に電波の状況の調査を行わせる指示をする機能(指示機能)とを有する。
また、5つの無線装置のうち、上記1つの無線装置を除く4つの無線装置(ここでは無線装置20A~20D)は、それぞれ、調査機能を有し、上記1つの無線装置から受ける指示に基づいて電波の状況の調査を行う。
5つの無線装置10および20A~20Dのそれぞれは、有線ネットワークまたは無線ネットワーク(不図示)で通信可能に接続されている。
図2は、本実施の形態に係る無線システム1の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、無線システム1は、無線装置10および20A~20Dと、操作装置30と、収集装置31とを備える。ただし図2には、無線装置20B~20Dの図示を省略している。無線システム1が備える各機器は、ネットワークNに接続されており、互いに通信可能である。
無線装置10は、無線インタフェース11と、取得制御部12と、送信制御部13と、通信インタフェース14とを備える。無線装置10は、第一装置に相当する。
無線インタフェース11は、電波の状況の取得を行う無線インタフェースであり、RF(Radio Frequency)回路、およびアンテナを含む。無線インタフェース11は、第一無線インタフェースに相当する。なお、無線装置10は、複数の無線インタフェース11を備えていてもよい。この場合、複数の無線インタフェース11のそれぞれが、互いに異なる電波の状況(例えば、無線フレーム、スペクトラムデータなど)を並行して取得することができ得る。なお、インタフェースを「IF」とも表記する。以降でも同様とする。
取得制御部12は、第一装置つまり無線装置10による電波の状況の取得と、第二装置つまり無線装置20A~20Dによる電波の状況の取得とを制御する機能部である。
具体的には、取得制御部12は、無線インタフェース11により一のタイミングにおける電波の状況を取得し、取得した電波の状況を示す状況データ(第一状況データに相当)を生成する。電波の状況の取得は、例えば、電波のRSSI(Received Signal Strength Indicator)(受信信号強度)、電波によって送受信される通信フレームの数またはフレーム長などを通信帯域または通信チャネルごとに測定することで行われる。第一状況データは、上記測定の結果と、第一状況データに示される状況が取得されたタイミングを示す第一タイミング情報とを含んでいる。
第一タイミング情報は、一例として、第一状況データに示される状況を取得したタイミングにおける、無線装置10が管理している時分秒形式のタイムスタンプを含んでいる。タイムスタンプは、例えば、ミリ秒を最小単位とするタイムスタンプであるがこれに限定されない。第一タイミング情報がタイムスタンプを含む場合を例として説明するが、これに限られない。第一タイミング情報は、第一状況データに示される状況を取得したタイミングにおける、無線装置10が備えるカウンタ(不図示)のカウンタ値を含んでいてもよい。ここで、カウンタは、一定の周期で周期的にカウンタ値を加算する機能部であり、例えば、100マイクロ秒ごとにカウンタ値を加算する。
また、取得制御部12は、第二装置つまり無線装置20A~20Dに対して、無線装置20A~20Dが備える無線インタフェース21に電波の状況の取得の開始をさせる信号(第一信号ともいう)を送信する。取得制御部12は、第一信号を送信することで、無線装置20A~20Dが備える無線インタフェース(第二無線インタフェースに相当)により上記一のタイミングにおける電波の状況を取得させ、取得させた電波の状況を示す状況データ(第二状況データに相当)を無線装置20A~20Dに生成させる。
第一信号は、言い換えれば、開始を指示する信号(開始信号ともいう)を含む。第一信号が開始信号を含む場合、取得制御部12は、さらに、無線装置20A~20Dが備える無線インタフェース21に電波の状況の取得の終了をさせる信号、言い換えれば、終了を指示する信号(終了信号または第三信号ともいう)を送信してもよい。取得制御部12は、終了信号を送信することによって、無線装置20A~20Dが備える無線インタフェース21に電波の状況の取得の終了をさせ、電波の状況の取得の開始から終了までに取得された電波の状況を示す第二状況データを生成させることができる。
なお、取得制御部12は、第一信号に開始信号と電波の状況の取得期間を含むことによって、第二装置が備える無線インタフェースにより上記一のタイミングにおける電波の状況を特定の期間だけ取得させ、電波の状況を示す状況データ(第二状況データに相当)を無線装置20A~20Dに生成させてもよい。この場合、無線装置20A~20Dが備える無線インタフェース21に終了を指示する信号を送信する必要はない。
さらに、取得制御部12は、電波の状況を取得するときのパラメータを予め決定して、無線インタフェース11および無線インタフェース21に設定してもよい。すなわち、取得制御部12は、無線インタフェース11と無線インタフェース21とのそれぞれによる電波の状況の取得に関するパラメータを予め決定し、決定したパラメータを無線インタフェース11に設定するとともに、決定したパラメータを無線装置20A~20Dに送信することで、無線インタフェース21に設定させる。そして、無線インタフェース11により電波の状況を取得するときには、上記パラメータを無線インタフェース11に設定した状態で無線インタフェース11により電波の状況を取得する。また、無線インタフェース21により電波の状況を取得するときには、上記パラメータを無線インタフェース21に設定した状態で、無線インタフェース21により電波の状況を取得させる。パラメータは、例えば、電波の状況の取得をする対象である周波数帯域、チャネルまたはチャネル帯域幅を少なくとも含んでいてもよい。
ここで、取得制御部12は、無線装置のメモリー内に格納された(予め工場出荷時などに)情報を読み出すことによってパラメータを決定してもよいし、外部の装置(例えば操作装置30)などからの指示を基にパラメータを決定してもよい。
なお、取得制御部12は、上記の電波の状況の取得、および、第一信号の送信などの処理をどのタイミングで実行してもよいが、例えば、外部の装置から受信する指示情報(後述)を受信したことに応じて実行してもよい。外部の装置の一例は、操作装置30である。また、取得制御部12は、上記処理を電源投入後の一定時間経過後に実行してもよい。
送信制御部13は、状況データの送信を制御する機能部である。具体的には、送信制御部13は、取得制御部12が生成した第一状況データを収集装置31に向けて送信する。また、送信制御部13は、無線装置20A~20Dに収集信号(第二信号ともいう)を送信することで、無線装置20A~20Dが生成した第二状況データを収集装置31に向けて送信させる。
なお、送信制御部13は、第一状況データの送信および第二状況データの送信によって、第一状況データおよび第二状況データを統合する統合処理を収集装置31に実行させることで統合状況データを生成させる、ともいえる。
通信インタフェース14は、ネットワークNに接続される通信インタフェースである。通信インタフェース14は、ネットワークNを介して無線装置20A~20D、操作装置30、または、収集装置31と通信可能である。取得制御部12または送信制御部13が送信する信号またはパラメータ等は、通信インタフェース14を経由して、無線装置20A~20Dなどに送信される。通信インタフェース14の通信規格は、ネットワークNの通信規格に適合することを要する。
ネットワークNは、無線システム1を構成する各機器が接続されるネットワークである。ネットワークNの規格は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インタフェースであってもよいし、Wi-Fi(登録商標)などの無線の通信インタフェースであってもよい。ネットワークNのネットワークトポロジ(接続形態)の例は、あとで具体例を挙げて説明する。
無線装置20Aは、無線インタフェース21と、取得部22と、送信部23と、通信インタフェース24とを備える。無線装置20Aは、第二装置に相当する。
無線インタフェース21は、電波の状況の取得を行う通信インタフェースであり、RF回路、およびアンテナを含む。無線インタフェース21は、第二無線インタフェースに相当する。
取得部22は、電波の状況の取得をする機能部である。具体的には、取得部22は、無線装置10(取得制御部12)から第一信号を受信したことに応じて、無線インタフェース21により電波の状況を取得し、取得した電波の状況を示す状況データ(第二状況データに相当)を生成する。取得部22が電波の状況を取得するタイミングは、無線装置10(取得制御部12)が電波の状況を取得するタイミングと同じである。なお、本発明において、「取得部22が電波の状況を取得するタイミングが、無線装置10(取得制御部12)が電波の状況を取得するタイミングと同じである」とは、無線装置10(取得制御部12)から無線装置20Aまでの信号到達時間によって生じ得るタイミングの差異の程度の時間差があっても、同じタイミングであるとして扱う意図である。第二状況データは、当該第二状況データに示される状況が取得されたタイミングを示す第二タイミング情報を含んでいる。
第二タイミング情報は、一例として、第二状況データに示される状況を取得したタイミングにおける、無線装置20Aが管理している時分秒形式のタイムスタンプを含んでいる。タイムスタンプについては、無線装置10におけるタイムスタンプと同様である。第一タイミング情報がタイムスタンプを含む場合を例として説明するが、これに限られない。第二タイミング情報は、第二状況データに示される状況を取得したタイミングにおける、無線装置20Aが備えるカウンタ(不図示)のカウンタ値を含んでいてもよい。カウンタについては、無線装置10におけるカウンタと同様である。
送信部23は、状況データの送信をする機能部である。具体的には、送信部23は、無線装置10(送信制御部13)から収集信号を受信したことに応じて、取得部22が生成した第二状況データを収集装置31に向けて送信する。
通信インタフェース24は、ネットワークNに接続される通信インタフェースである。通信インタフェース24は、ネットワークNを介して無線装置10および20B~20D、操作装置30、または、収集装置31と通信可能である。取得部22または送信部23が送受信する信号またはパラメータ等は、通信インタフェース24を経由して送受信される。通信インタフェース14の通信規格は、ネットワークNの通信規格に適合することを要する。通信インタフェース24の通信規格については、通信インタフェース14と同様である。
無線装置20B~20Dは、それぞれ、無線装置20Aと同様の構成を有し、それぞれ独立に動作する。
操作装置30は、電波の状況の取得をすることを意図するユーザの操作を受け、上記操作に基づいて無線装置10および20A~20Dによる電波の状況の取得を制御する装置である。操作装置30は、押下または接触などのユーザの操作を受ける操作部(例えば、タッチパネル、キーボードまたはマウスなど)によって、電波の状況の取得の指示を受ける。そして、操作装置30は、上記操作を受けた場合、電波の状況を取得する指示を示す指示情報を無線装置10に送信する。これにより、操作装置30は、無線装置10および20A~20Dによる電波の状況の取得を実行させる。操作装置30は、スマートフォン、タブレットまたはパーソナルコンピュータにより実現され得る。また、操作装置30は、予めスケジューリングされたタイミングで、指示情報を無線装置10に送信してもよい。例えば、当該タイミングは、操作装置30が備える電波の状況を取得するために用いるツール(不図示)に設定された、指示情報を送信する時刻(送信開始時刻)に基づいて行われてもよい。
収集装置31は、状況データを収集する装置である。収集装置31は、第一状況データおよび第二状況データを受信し、受信した第一状況データおよび第二状況データを統合する統合処理を実行する。統合処理は、第一状況データおよび第二状況データそれぞれに含まれる同じタイミングの状況データを統合する処理を含む。収集装置31が収集して統合された状況データは、例えば、各無線装置における電波の状況を時系列で整理した表の形式で出力され得る。また、収集装置31に収集された状況データは、エリア5および各無線装置が示された図の形式で出力され得る。これらについては後で説明する。収集装置31は、スマートフォン、タブレットまたはパーソナルコンピュータにより実現され得る。
図3は、本実施の形態に係る無線装置が取得する状況データの例を示す説明図である。
図3の(a)に示される状況データは、例えば無線装置10の取得制御部12が無線インタフェース11により電波の状況を取得することで生成した状況データであり、パラメータとして、測定対象のチャネルがチャネル1であり、測定対象データがRSSIである場合を示している。
図3の(a)に示される状況データは、一以上の時刻におけるRSSIを含んでおり、一以上の時刻におけるRSSIのそれぞれにはタイムスタンプが対応付けられている。
RSSIは、無線装置10の無線インタフェース11が計測したチャネル1のRSSIの計測値を示している。
タイムスタンプは、当該RSSIを計測したときの、無線装置10が管理している時分秒形式のタイムスタンプである。タイムスタンプは、例えば、日付および時刻を含み、時刻について1ミリ秒を最小単位としたタイムスタンプであるが、これに限られない。
具体的には、図3の(a)に示される状況データは、「2020年1月1日 10時00分1秒1ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-60であったこと、および、「2020年1月1日 10時00分1秒2ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-61であったこと、などが示されている。
図3の(b)に示される状況データは、例えば無線装置20Aの取得部22が無線インタフェース21により電波の状況を取得することで生成した状況データであり、パラメータとして、測定対象のチャネルがチャネル1であり、測定対象データがRSSIである場合を示している。
RSSIは、無線装置20Aの無線インタフェース21が計測したチャネル1のRSSIの計測値を示している。
タイムスタンプは、当該RSSIを計測したときの、無線装置20Aが管理している時分秒形式のタイムスタンプである。タイムスタンプは、例えば、日付および時刻を含み、時刻について1ミリ秒を最小単位としたタイムスタンプであるが、これに限られない。
具体的には、図3の(b)に示される状況データには、「2020年1月1日 10時00分1秒1ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-71であったこと、および、「2020年1月1日 10時00分1秒2ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-71であったこと、などが示されている。
図3の(c)に示される状況データは、例えば無線装置20Bの取得部22が無線インタフェース21により電波の状況を取得することで生成した状況データであり、パラメータとして、測定対象のチャネルがチャネル1であり、測定対象データがRSSIである場合を示している。
RSSIは、無線装置20Bの無線インタフェース21が計測したチャネル1のRSSIの計測値を示している。
タイムスタンプは、当該RSSIを計測したときの、無線装置20Bが管理している時分秒形式のタイムスタンプである。タイムスタンプは、例えば、日付および時刻を含み、時刻について1ミリ秒を最小単位としたタイムスタンプであるが、これに限られない。
具体的には、図3の(c)に示される状況データには、「2020年1月1日 10時00分1秒1ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-91であったこと、および、「2020年1月1日 10時00分1秒2ミリ秒」のタイミングでのチャネル1のRSSIが-90であったこと、などが示されている。
図4は、本実施の形態に係る収集装置31が生成する統合状況データの第一例を示す説明図である。
図4に示される統合状況データは、図3の(a)、(b)および(c)の状況データが、収集装置31による統合処理によって統合されることで生成された統合状況データであり、RSSIを時系列で表現した表の形式の統合状況データである。
図4に示される統合状況データは、無線装置10、20Aおよび20Bが計測した一以上の時刻におけるRSSIを含んでおり、一以上の時刻におけるRSSIのそれぞれにはタイムスタンプが対応付けられている。統合状況データに含まれるRSSIは、それぞれ、図3の(a)、(b)および(c)の各タイミングにおけるRSSIと同じである。
統合状況データに含まれるRSSIは、それぞれ、図3の(a)、(b)および(c)の各タイミングにおけるRSSIを、同じタイミングのRSSIとして統合することで生成されたものである。より具体的には、統合状況データに含まれるRSSIは、図3の(a)、(b)および(c)の状況データに含まれる測定のタイミングのうち、上記状況データに共通に含まれるタイミングを抽出し、抽出されたタイミングにおいて各無線装置で計測されたRSSIを1つのデータとして統合したものである。
図5は、本実施の形態に係る収集装置31が生成する統合状況データの第二例を示す説明図である。
図5に示される統合状況データは、図3の(a)、(b)および(c)の状況データが、収集装置31による統合処理によって統合されることで生成された統合状況データであり、エリア5における各位置のRSSIを表現した画像の形式の統合状況データである。
図5に示される統合状況データは、無線装置10、20Aおよび20Bが計測した一の時刻におけるRSSIを表現した画像を含んでいる。より具体的には、図5に示される統合状況データは、エリア5における各位置のRSSIを図形の模様で表現した画像を含んでいる。なお、RSSIを図形の模様で表現する代わりに、図形の大きさ、模様、色、または、色の濃さなどで表現してもよい。
なお、エリア5のうち、無線装置10および20A~20Dが存在していない位置のRSSIは、無線装置10および20A~20Dが計測したRSSIを補間することで導出可能である。その際、エリア5の壁または天井などの造営材の形状または材質、エリア5内に配置されている什器などの形状または材質、エリア5内の空間の温度または湿度などを考慮した計算によって、無線装置10および20A~20Dが存在していない位置のRSSIが算出されてもよい。
図6は、本実施の形態に係る無線システム1の処理を示すシーケンス図である。図6に示されるシーケンス図は、無線システム1において、無線装置10、20Aおよび20B、ならびに、収集装置31が電波の状況を取得する処理を示している。なお、無線装置20Cおよび20Dの図示は省略しているが、無線装置20Aおよび20Bと同様に動作する。
図6に示されるように、ステップS101において、無線装置10の取得制御部12は、電波の状況の取得に関するパラメータを決定する。
ステップS102において、無線装置10の取得制御部12は、ステップS101で決定したパラメータを無線装置20Aおよび20Bに送信する。無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、送信されたパラメータを受信する。
ステップS103において、無線装置10の取得制御部12は、ステップS101で決定したパラメータを無線インタフェース11に設定する。
ステップS103Aにおいて、無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、それぞれ、ステップS102で受信したパラメータを無線インタフェース21に設定する。
ステップS104において、無線装置10の取得制御部12は、開始信号を無線装置20Aおよび20Bに送信する。無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、送信された開始信号を受信する。なお、取得制御部12による開始信号の送信は、操作装置30から指示情報を取得したことに応じてなされてもよい。
ステップS105において、無線装置10の取得制御部12は、無線インタフェース11によって電波の状況の取得を開始する。
ステップS105Aにおいて、無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、ステップS104で開始信号を受信したことに応じて、無線インタフェース21によって電波の状況の取得を開始する。
ステップS106において、無線装置10の取得制御部12は、終了信号を無線装置20Aおよび20Bに送信する。無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、送信された終了信号を受信する。
ステップS107において、無線装置10の取得制御部12は、電波の状況の取得を終了する。
ステップS107Aにおいて、無線装置20Aおよび20Bの取得部22は、ステップS106で終了信号を受信したことに応じて、電波の状況の取得を終了する。
ステップS108において、無線装置10の送信制御部13は、無線装置20Aおよび20Bに収集信号を送信する。無線装置20Aおよび20Bの送信部23は、送信された収集信号を受信する。
ステップS109において、無線装置10の送信制御部13は、電波の状況の取得の開始(ステップS105)から終了(ステップS107)までの間に取得した電波の状況を示す状況データであって、取得制御部12が生成した状況データを収集装置31に向けて送信する。収集装置31は、送信された状況データを受信する。
ステップS109Aにおいて、無線装置20Aおよび20Bの送信部23は、電波の状況の取得の開始(ステップS105A)から終了(ステップS107A)までの間に取得した電波の状況を示す状況データであって、取得部22が生成した状況データを収集装置31に向けて送信する。収集装置31は、送信された状況データを受信する。なお、収集装置31に向けて送信する状況データの経路は、図9では、無線装置20Aおよび20Bがそれぞれ収集装置31に向けて送信するとしているが、これは、直接送信に限らず、収集信号を送信してきた無線装置10に一旦状況データを送信し、無線装置10が状況データをまとめて収集装置31に向けて送信することも含む意味である。
ステップS110において、収集装置31は、ステップS109およびS109Aで受信した状況データを統合することで統合状況データを生成する。
以上の一連の処理によって、無線システム1は、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
以降において、無線システム1のネットワークトポロジ、つまりネットワークNのネットワークトポロジの例を4つ紹介する。なお、どのネットワークトポロジにおいても、無線装置10および20A~20Dの通信が可能であり、上記で説明した電波の状況の取得が可能である。また、無線装置10および20A~20Dの物理的な配置は、ネットワークトポロジとは独立であり、例えば、図1に示される配置であってよい。
(1)有線スター型
無線システム1のネットワークトポロジの第一例は、有線スター型である。
図7は、本実施の形態に係る無線システム1のネットワークトポロジの第一例である、有線スター型のネットワークトポロジを示す説明図である。
図7に示されるネットワークトポロジでは、無線装置10および20A~20Dのそれぞれと、操作装置30と、収集装置31とは、スイッチングハブ40に接続され、互いに通信可能である。このように構成されるためには、無線装置10の通信インタフェース14と、無線装置20A~20Dの通信インタフェース24とが、それぞれ、1つの有線の物理ポートを備えていることを要する。
なお、1台のスイッチングハブ40の代わりに、複数台のスイッチングハブが用いられてもよく、また、リピータまたはルータなどのネットワーク機器が併用されてもよい。また、一部の接続に無線リンクが用いられてもよい。
(2)有線カスケード型
無線システム1のネットワークトポロジの第二例は、有線カスケード型である。
図8は、本実施の形態に係る無線システム1のネットワークトポロジの第二例である、有線カスケード型のネットワークトポロジを示す説明図である。
図8に示されるネットワークトポロジでは、無線装置10および20A~20Dのそれぞれが、直接にネットワークケーブルで接続されている。このように構成されるためには、無線装置10の通信インタフェース14と、無線装置20A~20Dの無線インタフェースとが、それぞれ、2つの有線の物理ポートを備えていることを要する。ただし、接続する相手が1つだけである無線装置(図8における無線装置20Dに相当)については、1つの有線の物理ポートを備えるだけで十分であることもある。
操作装置30および収集装置31は、無線装置10および20A~20Dのいずれかに接続されている。図8では、無線装置10の通信インタフェース14に接続されている状態が示されているが、これに限られない。また、アクセスポイント41と操作装置30との間、または、アクセスポイント41と収集装置31との間にスイッチングハブなどのネットワーク機器が存在していてもよい。なお、一部の接続に無線リンクが用いられてもよい。
(3)無線-外部AP(アクセスポイント)使用型
無線システム1のネットワークトポロジの第三例は、無線-外部AP使用型である。
図9は、本実施の形態に係る無線システム1のネットワークトポロジの第三例である、無線-外部AP使用型のネットワークトポロジを示す説明図である。
図9に示されるネットワークトポロジでは、無線装置10および20A~20Dのそれぞれが、アクセスポイント41との間で無線リンクを確立し、アクセスポイント41を介して無線で通信可能である。また、操作装置30と、収集装置31とは、有線または無線でアクセスポイント41に接続されている。このように構成されるためには、無線装置10の通信インタフェース14と、無線装置20A~20Dそれぞれの通信インタフェース24とが、それぞれ、1つの無線の通信インタフェースを備えていることを要する。
なお、アクセスポイント41と操作装置30との間、または、アクセスポイント41と収集装置31との間にスイッチングハブなどのネットワーク機器が存在していてもよい。なお、一部の接続に有線リンクが用いられてもよい。
(4)無線-AP内蔵型
無線システム1のネットワークトポロジの第四例は、無線-AP内蔵型である。
図10は、本実施の形態に係る無線システム1のネットワークトポロジの第四例である、無線-AP内蔵型のネットワークトポロジを示す説明図である。
図10に示されるネットワークトポロジでは、無線装置10がアクセスポイントの機能を有する。無線装置20A~20Dのそれぞれは、アクセスポイントである無線装置10との間で無線リンクを確立し、無線装置10と無線で通信可能である。また、操作装置30と、収集装置31とは、有線または無線で無線装置10に接続されている。このように構成されるためには、無線装置10の通信インタフェース14が1つの無線の通信インタフェースを備えており、インフラストラクチャモードにおけるAPとして動作することを要する。また、無線装置20A~20Dそれぞれの通信インタフェース24が、それぞれ、1つの無線の通信インタフェースを備えていることを要する。
なお、無線装置10と操作装置30との間、または、無線装置10と収集装置31との間にスイッチングハブなどのネットワーク機器が存在していてもよい。なお、一部の接続に有線リンクが用いられてもよい。
なお、アクセスポイントである無線装置10が送信する電波が届かない場所での電波の状況の取得のために、そのような場所に無線装置を配置したい場合には、無線装置20A~20Dによるマルチホップ転送を利用することもできる。
図10における無線装置20Eおよび20Fは、無線装置10が送信する電波が届かない場所に配置される無線装置の例である。無線装置10から無線装置20Eに送信すべき信号(具体的には、開始信号、終了信号、送信信号、またはパラメータ)は、無線装置20Dがいったん受信して再び送信する(つまりマルチホップ転送する)ことで無線装置20Eに到達する。
同様に、無線装置10から無線装置20Fに送信すべき信号は、無線装置20Dおよび20Eがマルチホップ転送することで無線装置20Fに到達する。マルチホップ転送のためには、例えばメッシュネットワーク通信などの既存のマルチホップ転送技術が用いられ得る。
なお、このようにマルチホップ転送を用いて、無線装置10から無線装置20Eおよび20Fに送信すべき信号を到達させる場合には、無線装置20Eおよび20Fから無線装置10に送信すべき信号も同様に、つまりマルチホップ転送を用いて、無線装置10に到達されることは言うまでもない。
以上のように、本実施の形態に係る無線装置は、自装置による電波の状況の取得を行うとともに、第二装置である無線装置による電波の状況の取得を行わせる。さらに、第一装置である無線装置が、自装置が生成した状況データを収集装置に向けて送信するとともに、第二装置である無線装置が生成した状況データを収集装置に向けて送信させる。このようにすることで、第一装置および第二装置は、同じタイミングに無線状況の取得をし、そのように取得した無線状況を収集装置に集めることができ、収集装置による状況データの扱いをより容易にすることができる。このように、無線装置は、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、送信制御部が、状況データの送信し、また、第二装置に状況データを送信させることによって、収集装置に統合状況データを生成させることができる。生成される統合状況データでは、収集装置が受信した複数の状況データに含まれる、同じタイミングの状況データが統合されるので、状況データがより扱いやすいものとなる。よって、無線装置は、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行い、より扱いやすいデータを生成することができる。
また、取得制御部が、電波の状況の取得の開始タイミングと終了タイミングとをより正確に制御することができる。そして、そのように制御された開始タイミングおよび終了タイミングを用いて、複数の無線装置によって取得された電波の状況を得ることができる。よって、無線装置は、複数の無線装置による電波の状況の調査を、より正確に設定されたタイミングに基づいて、より容易に行うことができる。
また、取得制御部が、第一装置および第二装置が電波の状況を取得するときのパラメータを決定し、その決定したパラメータを複数の無線装置が用いて電波の状況の取得を行うことができる。よって、無線装置は、決定したパラメータを用いた、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、取得制御部が、外部の装置から指示情報を受信したこと、つまり、外部の装置からの指示を契機として、複数の無線装置による電波の状況の取得を行わせることができる。よって、無線装置は、外部の装置から指示を受けたことに応じて、適切なタイミングで、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、状況データにおいて、時分秒形式のタイムスタンプによって、電波の状況が取得されたタイミングが表現される。そして、収集装置は、時分秒形式のタイムスタンプによって表現されている同じタイミングの状況データを統合することで、統合状況データを生成する。このとき、複数の無線装置は、それぞれ、時分秒形式の時刻情報を管理していれば十分であり、言い換えれば、独自の共通の時刻情報をもつ必要がない利点がある。このように、無線装置は、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、状況データにおいて、カウンタ値によって、電波の状況が取得されたタイミングが表現される。そして、収集装置は、カウンタ値によって表現されている同じタイミングの状況データを統合することで、統合状況データを生成する。このとき、複数の無線装置は、共通の周期でカウンタ値をカウントアップするカウンタを備えていることを前提としており、この場合、時分秒形式の時刻情報を管理する必要がない利点がある。このように、無線装置は、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、取得制御部が電波の状況の取得をする対象である、無線通信の種類(例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)など)、周波数帯域、チャネルまたはチャネル帯域幅をパラメータとして用いることで、無線装置は、より容易に、複数の無線装置による電波の状況の調査を行うことができる。
また、本実施の形態に係る無線システムは、複数の無線装置による電波の状況の取得を行い、取得した電波の状況を収集装置に集めることができ、収集装置による状況データの扱いをより容易にすることができる。よって、無線システムは、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
また、収集装置は、複数の無線装置から受信した状況データを用いて統合状況データを生成することができる。生成される統合状況データでは、収集装置が受信した複数の状況データに含まれる、同じタイミングの状況データが統合されるので、状況データがより扱いやすいものとなる。よって、無線システムは、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行い、より扱いやすいデータを生成することができる。
また、無線システムは、制御装置として動作する1台の無線装置と、上記制御装置を除く他の1台以上の無線装置とで構成される。そして、制御装置として動作する1台の無線装置による制御のもとで、すべての無線装置による電波の状況の取得を行い、その結果である状況データを収集装置に集めることができる。よって、無線システムは、複数の無線装置による電波の状況の調査をより容易に行うことができる。
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
以上、本発明の無線装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、収集装置31は無線装置10と一体化され、無線装置10が自ら周囲の状況を取得すると共に他の無線装置に状況を取得させ、その結果である状況データを収集し統合状況データを生成してもよい。