JP7309199B2 - 補助具、およびこれを用いたマウス用気管内チューブの挿管方法 - Google Patents

補助具、およびこれを用いたマウス用気管内チューブの挿管方法 Download PDF

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Description

本発明は、補助具、およびこれを用いたマウス用気管内チューブの挿管方法に関する。
将来的なヒトへの適用と同じような条件下にてマウスに対して各種の試験を行う際、気管内チューブを用いて麻酔用のガスなどをマウスに導入する手法がある。このような手法としては、例えば、内視鏡をマウスの咽頭に挿入しながら気管内チューブを気管内に挿管し、この気管内チューブを介して上記ガスを送気する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
このような内視鏡を用いた技術によれば、内視鏡に取り付けられたカメラによる撮影画像を用いて喉頭の位置を正確に把握することができ、上記画像を視ながら気管内チューブを気管内に挿管することができる点で優れている。
Kenjiro KONNO,et al、「New Visible Endotracheal Intubation Method Using the Endoscope System for Mice Inhalational Anesthesia」、J.Vet.Med.Sci、2014年、76(6)、p.863-868 Crotaz IR、「Initial feasibility Investigation of the v-gel airway:an anatomically designed supraglottic airway device for use in companion animal veterinary anaesthesia」、veterinary Anaesthesia and Analgesia、2010年、37、p.579-580
しかしながら、上述したような従来の内視鏡を用いる技術では、内視鏡装置にかかる費用が高く、しかも内視鏡の操作や気管内チューブの気管内への挿管に熟練を要する。
ここで、高価な器具を用いない手法として、例えば、ウサギなどの動物に適用可能な喉頭マスク用の声門上気道確保装置(v-gel)(例えば、非特許文献2参照)を改造したものを用いてマウスの気道内に気管内チューブを挿管することも考えられる。
しかしながら、上記装置は本来喉頭を単に覆うものであって気管内チューブを挿管するものではなく、加えてマウスの咽頭形状はウサギなどに比べて非常に小さくかつその形状は単なる相似形ではないため、上記装置の単なる改造ではマウスへの気管内チューブの挿管に適用することができない。
また、誤操作等によりマウスに過大なストレスを与えることもあり、無理に押し込むことでマウスを死に至らせる虞もある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、高価な器具を用いることなく、気管内チューブを確実、迅速かつ容易にマウスの気管内に挿管することが可能な補助具、およびこれを用いたマウス用気管内チューブの挿管方法を提供することにある。
本開示のいくつかの態様は、
(1)気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内する補助具であって、
内部に前記気管内チューブを挿通する通孔を有するシャフト本体、を具備したシャフト部材と、
このシャフト部材の一端に接続され、咽頭内における喉頭開口周囲の少なくとも一部に当接するマスク部材とを備え、
前記マスク部材は、前記シャフト部材の通孔に連通する開口部を有し、
前記開口部を介する前記気管内チューブの送出方向が、前記シャフト部材の先端方向に対して鋭角となるように形成されていることを特徴とする補助具、
(2)マスク部材が、気管内チューブの進行方向を偏向する偏向部を有している前記(1)に記載の補助具、
(3)内部に気管内チューブを挿通可能に形成されかつシャフト部材の通孔に連通すると共に、前記気管内チューブの進行方向を偏向する湾曲形状のパイプ部材を備えている前記(1)に記載の補助具、
(4)先端がシャフト部材の軸方向におけるシャフト本体の中途に位置し、前記シャフト本体の外周面から突設した突出部材を備えている前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の補助具、
(5)突出部材が、シャフト部材の軸と開口部の中心とを通る仮想平面に対して対称となるように配置されている前記(4)に記載の補助具、
(6)シャフト部材は、開口部の基端方向の端部から前記シャフト部材の基端方向に沿った所定距離の外周部に、マーカを有している前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の補助具、
(7)開口部を介する気管内チューブの送出方向が、シャフト部材の先端方向に対して4°以上30°以下となるように形成されている前記(1)から(6)のいずれか1項に記載の補助具、および
(8)気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内するマウス用気管内チューブの挿管方法であって、
前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の補助具を、当該補助具の先端方向から前記マウスの咽頭内に挿入する第1ステップと、
前記第1ステップの後、マスク部材を前記咽頭内における喉頭開口周囲に当接させる第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記補助具を介して前記気管内チューブを前記マウスの気管内に挿管する第3ステップとを備えていることを特徴とする挿管方法
である。
なお、本明細書において、「先端方向」とは、シャフト部材の軸方向に沿う方向であって、シャフト部材のマスク部材が設けられていない端部に対するマスク部材が設けられている端部の方向を意味する。また、「基端方向」とは、シャフト部材の軸方向に沿う方向であって、先端方向と反対側の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端方向の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端方向の端部をそれぞれ示す。「所定距離」とは、マウスの口腔および咽頭に沿った長さであってマウスの身体の特定部位(例えば門歯など)と喉頭開口との間の標準的な長さ、に対応するように定められた距離を意味する。
本発明は、高価な器具を用いることなく、気管内チューブを確実、迅速かつ容易にマウスの気管内に挿管することが可能な補助具、およびこれを用いたマウス用気管内チューブの挿管方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態を示す概略断面図である。 図1の概略平面図である。 本発明の補助具における各部の寸法を説明するための概略図であって、(a)は断面図を、(b)は平面図をそれぞれ示している。 本発明の第2の実施形態を示す概略断面図である。 図4の概略平面図である。 本発明の第3の実施形態を示す概略平面図であって、(a)~(d)はそれぞれ各種形状の突出部材を備えている補助具を示している。 本発明の第3の実施形態を示す概略側面図であって、(a)~(f)はそれぞれ各種形状の突出部材を備えている補助具を示している。 図1の使用状態を示す概略図であって、(a)は補助具を口腔内に挿入した状態、(b)は補助具のマスク部材を喉頭に押し当てた状態、(c)は気管内チューブを挿入する過程の状態、(d)は気管内チューブを気管内に挿入した状態をそれぞれ示している。
<補助具>
本発明の一実施形態の補助具は、気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内する補助具であって、内部に上記気管内チューブを挿通する通孔を有するシャフト本体、を具備したシャフト部材と、このシャフト部材の一端に接続され、咽頭内における喉頭開口周囲の少なくとも一部に当接するマスク部材とを備え、上記マスク部材は、上記シャフト部材の通孔に連通する開口部を有し、上記開口部を介する上記気管内チューブの送出方向が、上記シャフト部材の先端方向に対して鋭角となるように形成されていることを特徴とする。
なお、当該補助具に適用される気管内チューブは、補助具の通孔に沿って湾曲可能な柔軟性を有するチューブであり、例えば、この気管内チューブを介して麻酔ガスや酸素などの気体を気管に送気したり、気管からの呼気を外部に排気する。この気管内チューブの外径は、0.8mm~1.2mm程度である。
以下、本発明の第1~第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示す概略断面図である。当該補助具1は、図1に示すように、概略的に、シャフト部材11と、マスク部材21とにより構成されている。
シャフト部材11は、シャフト本体110を具備する。また、シャフト部材11は、マーカ120を有していてもよい。
シャフト本体110は、内部に気管内チューブtを挿通する通孔111を有する部材である。このシャフト本体110は、具体的には、例えば、内部がシャフト部材11の軸(シャフト本体110の軸)方向に沿って貫通する通孔111を有するように略円筒形状に形成されている。
シャフト本体110の各部の寸法は、マウスの口腔を通して当該補助具1を挿入する際、後述するマスク部材21の開口部211が喉頭開口まで確実に届くように、全長が通常15mm~20mmであり、マウスの咽頭内に容易に挿入できるように、外径が通常3mm~5mmである。内径は、気管内チューブtの外径にもよるが、通常1mm~2mmである。
シャフト本体110を構成する材料としては、特に限定されないが、咽頭に沿って当該補助具1を円滑に挿入できる観点から、可撓性を有する材料で形成されていることが好ましく、ポリエステル樹脂、塩ポリ化ビニル樹脂がより好ましく、ポリエステル樹脂がさらに好ましい。また、シャフト本体110は、上記材料を用いて形成した部材の外周上にシリコーン樹脂などの層が積層されたものであってもよい。
マーカ120は、マウスの咽頭内におけるマスク部材21の開口部211の位置を把握するための目印である。このマーカ120は、シャフト本体110の表面上であって、開口部211の基端方向の端部pからシャフト部材11の基端方向に沿った所定距離L4(図3参照)の外周部に設けられている。マーカ120としては、例えば、上記外周部における円周方向の一部または全周が顔料等で着色されたもの、上記外周部における円周方向の一部または全周に凸部や凹部などの形状的な特徴部位が形成されたもの等を採用することができる。本実施形態では、外周部の全周に顔料を用いて着色したマーカ120(図1、図2参照)が例示されている。
ここで、所定距離L4としては、例えば、標準的なマウスの門歯と喉頭開口との間の平均的な長さと同一の値を採用することができる。この場合、マーカ120とマスク部21の端部pとの距離が11mm以上12mm以下であることが好ましく、11.6mmであることがより好ましい。これにより、マーカ120を門歯に合わせることで、咽頭内を視ることなく、開口部211を喉頭開口により正確に合わせることができる。
マスク部材21は、シャフト部材11の一端に接続され、咽頭内における喉頭開口周囲の少なくとも一部に当接する。このマスク部材21は、図2に示すように、シャフト部材11の通孔111に連通する開口部211を有している。具体的には、マスク部材21は、例えば、基端がシャフト本体110先端の開口周囲を取り囲むように固定され、上記開口周囲から先端方向に向かって延設されていると共に、内部にシャフト部材11の通孔111と連通する気管内チューブt挿通用の通孔212を有している。なお、この通孔212と上述した通孔111とにより気管内チューブtを挿通可能なルーメン301が形成される。
マスク部材21の開口部211周囲の表面形状は、マウスの咽頭内における喉頭開口周囲の形状に見合うように形成することが好ましく、これによりマスク部材21が喉頭開口に安定して着座し、気管と補助具1のルーメン301とを確実に導通することができる。
マスク部材21の各部の寸法(図3参照)は、咽頭および喉頭開口の形状を考慮し、通常、全長L1が2mm~11mm、最大幅L2が2mm~5mm、最大高さL3が2mm~6mmである。マスク部材21の開口部211は、喉頭開口の形状を考慮し、通常、全長L5が4mm~6mm、最大幅L6が1mm~2mmである。
マスク部材21の先端部の形状は、湾曲形状(いずれの方向から見てもマスク部材21の先端部が尖っていない形状、図1、図2参照)であることが好ましい。このように、マスク部材21の先端部の形状が湾曲形状であることで、マスク部材21(マスク部材21の先端部)の接触に伴うマウスの感覚受容器への刺激を低減することができ、例えば、反射による呼吸障害などが発生するのを抑制することができる。
マスク部材21を構成する材料としては、例えば、樹脂材料等が挙げられる。これらの中で、上記材料としては、咽頭内壁の粘膜への接触による刺激を軽減する観点から、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、シリコーン樹脂がより好ましい。
このマスク部材21の形成方法としては、例えば、硬化前の樹脂材料が装填された吐出装置(不図示)を用い、この吐出装置により吐出した樹脂材料をシャフト本体110先端に塗布して常温または熱硬化させることで形成する方法、シャフト本体110先端を型(不図示)に装着し、シャフト本体110の開口周囲に硬化前の樹脂材料を充填してこれを熱硬化させることで形成する方法等を採用することができる。
ここで、当該補助具1は、開口部211を介する気管内チューブtの送出方向a2が、シャフト部材11の先端方向a1に対して鋭角(送出角度θ<90°、図3参照)となるように形成されている。これにより、当該補助具1をマウスの口腔内に挿通する際、開口部211から送出する気管内チューブtを喉頭の方向に向けることができる。
なお、開口部211を介する気管内チューブtの送出方向a2は、シャフト部材11の先端方向a1に対して4°以上30°以下であることが好ましく、5°以上25°以下であることがより好ましく、6°以上22°以下であることが更に好ましい。これにより、気管内チューブtの送出方向a2を気管の方向により正確に向けることができ、気管内チューブtをより確実にマウスの気管内に挿管することができる。
気管内チューブtの送出方向a2を鋭角にするための構成としては特に限定されず、例えば、本実施形態のように、マスク部材21が気管内チューブtの進行方向を偏向する偏向部31を有していてもよい。具体的には、偏向部31としては、図1に示すように、例えば、マスク部材21の開口部211近傍の内周に形成された隆起状の部位311等を採用することができる。なお、偏向部31は、マスク部材21と一体であっても別体であってもよい。
このように、マスク部材21が偏向部31を有していることで、当該補助具1は、通孔111を通過した気管内チューブtの進行方向を、偏向部31との接触によりシャフト部材11の先端方向a1に対して鋭角に偏向することができ、簡易な構成で気管内チューブtをマウスの気管内に挿管することができる。
なお、当該補助具1の使用態様については、<マウス用気管内チューブの挿管方法>の項で後述する。
以上のように、当該補助具1は、上記構成であるので、当該補助具1を用いてマウス用の気管内チューブtを気管内に挿管する際、気管内チューブtの送出方向a2が先端方向a1に対して鋭角である分、この気管内チューブtが食道に入ることなく喉頭を介して気管に挿管することができ、内視鏡のような高価な器具を用いることなく、気管内チューブtを確実、迅速かつ容易にマウスの気管内に挿管することができる。また、本実施形態では、シャフト部材11がマーカ120を有しているので、マスク部材21の開口部211をマウスの喉頭開口により正確に合わせることができる。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態を示す概略断面図である。当該補助具2は、図4に示すように、概略的に、シャフト部材11と、マスク部材21と、パイプ部材52とにより構成されている。本実施形態は、パイプ部材52を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、シャフト部材11およびマスク部材21の構成は、第1の実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、当該補助具2の使用態様についても、後述する<マウス用気管内チューブの挿管方法>の項での説明を援用する。
パイプ部材52は、内部に気管内チューブtを挿通可能に形成されかつシャフト部材11の通孔111に連通すると共に、気管内チューブtの進行方向を偏向する湾曲形状の部材である。本実施形態では、パイプ部材52は、基端がシャフト本体110の通孔111に挿入され、この挿入されたパイプ部材52の外周とシャフト本体110の内周とが密着するように固定されている。また、パイプ部材52は、図5に示すように、先端の開口端面522がマスク部材21の開口部211に臨むように配置されている。また、パイプ部材52は、開口部211からの気管内チューブtの送出方向a2が先端方向a1に対して鋭角となるように、先端と基端との間の中途にて略円弧状の湾曲形状に形成されている。なお、パイプ部材52の通孔521と通孔111とにより気管内チューブtを挿通可能なルーメン302が形成される。
パイプ部材52と構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、コバルトクロム合金等が挙げられる。これらの中で、パイプ部材52と構成する材料としては、作製容易性の観点から、ステンレス鋼が好ましく、SUS304がより好ましい。
以上のように、当該補助具2は、上記構成であるので、通孔111内を通過した気管内チューブtの進行方向を、パイプ部材52の湾曲形状に沿うようにシャフト部材11の先端方向a1に対して鋭角に偏向(送出方向a2)することができ、簡易な構成で気管内チューブtをマウスの気管内に挿管することができる。
[第3の実施形態]
図6および図7は、それぞれ本発明の第3の実施形態を示す概略平面図および概略側面図である。当該補助具3(3m1~3m10)は、図6、図7に示すように、概略的に、シャフト部材11と、マスク部材21と、突出部材63とにより構成されている。本実施形態は、突出部材63を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、シャフト部材11およびマスク部材21の構成は、第1の実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、当該補助具3の使用態様についても、後述する<マウス用気管内チューブの挿管方法>の項での説明を援用する。
突出部材63は、先端がシャフト部材11の軸方向におけるシャフト本体110の中途に位置し、シャフト本体110の外周面から突設した部材である。この突出部材63は、例えば、その一部がシャフト本体110の外周に接着剤等を用いて固着され、シャフト本体110の外方に向かって延伸するように形成することができる。
突出部材63の具体的な形状としては、平面視の形状として、例えば、三角形状のもの(図6(a)の突出部材63m1参照)、矩形状のもの(図6(b)の突出部材63m2参照)、段階的に幅が変化する形状のもの(図6(c)の突出部材63m3参照)、シャフト本体110の片側にのみ突設したもの(図6(d)の突出部材63m4参照)等、側面視の形状として、例えば、シャフト本体110から放射状に延びる形状のもの(図7(a)~図7(d)の突出部材63m5~63m8参照)、シャフト本体110に外接する形状のもの(図7(e)、図7(f)の突出部材63m9、63m10参照)等を採用することができる。ここで、上述にて例示した平面視の形状と側面視の形状とは、可能な範囲で任意に組み合わせることができる。
なお、突出部材63は、シャフト部材11の軸と開口部211の中心とを通る仮想平面bに対して対称となるように配置されていることが好ましい(図6(a)~図6(c)、図7(a)、図7(b)、図7(d)~図7(f)参照)。これにより、当該補助具3をマウスの口腔内に挿入する際、シャフト部材11の軸を咽頭の軸中心に可及的に近づけることができ、マスク部材21を咽頭開口により安定して着座させることができる。
また、平面視において、シャフト部材11の軸に直交する方向における突出部材63の最大幅は、突出部材63先端の幅よりも大きいことが好ましい(図6(a)、図6(c)参照)。これにより、当該補助具3をマウスの口腔内に円滑に挿入することができる。
また、突出部材63は、全体として扁平形状(略扁平形状)に形成されていることが好ましい(図7(a)~図7(c)、図7(e)、図7(f)参照)。これにより、突出部材63をマウスの特徴である横断面の内周が扁平な口腔形状に対応させる(沿わせる)ことができ、マスク部材21を咽頭開口にさらに安定して着座させることができる。
以上のように、当該補助具3は、上記構成であるので、マウスの口腔内に安定して着座させることができる。
<マウス用気管内チューブの挿管方法>
本発明の一実施形態のマウス用気管内チューブの挿管方法は、気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内するマウス用気管内チューブの挿管方法であって、当該補助具を、当該補助具の先端方向から上記マウスの咽頭内に挿入する第1ステップと、上記第1ステップの後、マスク部材を上記咽頭内における喉頭開口周囲に当接させる第2ステップと、上記第2ステップの後、上記補助具を介して上記気管内チューブを上記マウスの気管内に挿管する第3ステップとを備えていることを特徴とする。
以下、当該挿管方法について詳述する。ここでは、補助具として、<補助具>の項の第1の実施形態にて上述したものを例に取り、図8を参照して説明する。
[第1ステップ]
第1ステップでは、当該補助具1を、当該補助具1の先端方向からマウスmの咽頭m3内に挿入する。具体的には、図8(a)に示すように、マウスmの口腔m2に補助具1を挿入した後、この補助具1を、例えば、マーカ120を有する場合は、マーカ120がマウスmの門歯m1の位置に達するまで咽頭m3に押し入れたり、マーカ120を有しない場合は、補助具1の押し込み抵抗が変化(増加)するまで咽頭m3に押し入れることで、補助具1を適正な位置に挿入する。
[第2ステップ]
第2ステップでは、上述した第1ステップを実行した後、図8(b)に示すように、マスク部材21を喉頭m3方向に移動させ、このマスク部材21表面を咽頭m3内における喉頭開口m5周囲に当接させる。この際、マスク部材21は、少なくともその一部が単に喉頭開口m5周囲に接触していればよく、喉頭開口m5周囲を完全に覆う必要はない。
ここで、マスク部材21表面の一部を喉頭蓋m6に接触させることで、喉頭蓋m6が喉頭開口m5を閉じないように、喉頭蓋m6の表面を支承することが好ましい。これにより、後述する気管内チューブtの気管m7内への挿入をより円滑に行うことができる。
[第3ステップ]
第3ステップでは、上述した第2ステップを実行した後、補助具1を介して気管内チューブtをマウスmの気管m7内に挿管する。具体的には、シャフト部材11の基端開口112から気管内チューブtを挿入し、この気管内チューブtを通孔111、通孔212の順で押し進め(図8(c)参照)、気管内チューブtの先端を喉頭m4を介して気管m7内に挿管する(図8(d)参照)。
なお、気管内チューブtを気管m7内に挿管した後は、例えば、この気管内チューブtに接続されたレスピレータ等を用いて麻酔ガスの送気や呼吸の促進などのような所望の処置を行うことができ、上記処置を実行した後、例えば、気管内チューブt、補助具1の順でこれらをマウスmの喉頭m4、咽頭m3および口腔m2から引き抜く。
以上のように、当該挿管方法は、上記構成であるので、補助具1を用いてマウス用の気管内チューブtを気管m7内に挿管する際、気管内チューブtの送出方向a2が先端方向a1に対して鋭角である分、この気管内チューブtを食道m8に入ることなく喉頭m4を介して気管m7に挿管することができ、内視鏡のような高価な器具を用いることなく、気管内チューブtを確実、迅速かつ容易にマウスmの気管m7内に挿管することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、第1の実施形態ではマスク部材21が偏向部31を有する補助具1、第2の実施形態ではパイプ部材52を備えている補助具2について説明したが、開口部211を介する気管内チューブtの送出方向a2が、シャフト部材11の先端方向a1に対して鋭角となるように形成されていれば、上記補助具1、2以外の補助具であってもよい。
また、上述した実施形態では、マーカ120を有するシャフト部材11を備えている補助具1~3について説明したが、当該補助具は、マーカを有していないものであってもよい。
また、<マウス用気管内チューブの挿管方法>の項では、補助具1を用いた挿管方法について説明したが、本発明の挿管方法に用いる補助具は、本発明に係るいずれの態様の補助具であってもよく、例えば、補助具3を用いることもできる。この場合、上述した挿管方法の第1ステップにおいて、突出部材63を口腔m2内壁に沿わせるようにマウスmの咽頭m3内に挿入することが好ましい。
1、2、3、3m1~3m10 補助具
11 シャフト部材
110 シャフト本体
120 マーカ
21 マスク部材
211 開口部
31 偏向部
52 パイプ部材
63、63m1~6m10 突出部材
111、212、521 通孔
b 仮想平面
t 気管内チューブ
m マウス
m3 咽頭
m4 喉頭
m5 喉頭開口

Claims (7)

  1. 気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内する補助具であって、
    内部に前記気管内チューブを挿通する通孔を有するシャフト本体、を具備したシャフト部材と、
    このシャフト部材の一端に接続され、咽頭内における喉頭開口周囲の少なくとも一部に当接するマスク部材とを備え、
    前記マスク部材は、前記シャフト部材の通孔に連通する開口部を有し、
    前記開口部を介する前記気管内チューブの送出方向が、前記シャフト部材の先端方向に対して鋭角となるように、前記マスク部材は前記気管内チューブの進行方向を偏向する偏向部を有し、
    前記偏向部は、前記マスク部材の内周に形成され、前記マスク部材の一部を隆起させた隆起状の部位で構成されていることを特徴とする補助具。
  2. 気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内する補助具であって、
    内部に前記気管内チューブを挿通する通孔を有するシャフト本体、を具備したシャフト部材と、
    このシャフト部材の一端に接続され、咽頭内における喉頭開口周囲の少なくとも一部に当接するマスク部材とを備え、
    前記マスク部材は、前記シャフト部材の通孔に連通する開口部を有し、
    前記開口部を介する前記気管内チューブの送出方向が、前記シャフト部材の先端方向に対して鋭角となるように、内部に前記気管内チューブを挿通可能に形成されかつ前記シャフト部材の通孔に連通すると共に、前記気管内チューブの進行方向を偏向する湾曲形状のパイプ部材を有し、
    前記パイプ部材の先端部は、前記開口部から突出していないことを特徴とする補助具。
  3. 先端がシャフト部材の軸方向におけるシャフト本体の中途に位置し、前記シャフト本体の外周面から突設した突出部材を備えている請求項1または請求項に記載の補助具。
  4. 突出部材、シャフト部材の軸と開口部の中心とを通る仮想平面に対して対称となるように配置され、かつ前記仮想平面に直交する方向に沿う略扁平形状であり、
    前記突出部材の扁平方向における外縁部が、前記シャフト部材の軸に平行な部位を有している請求項に記載の補助具。
  5. シャフト部材は、開口部の基端方向の端部から前記シャフト部材の基端方向に沿った所定距離の外周部に、マーカを有している請求項1から請求項のいずれか1項に記載の補助具。
  6. 開口部を介する気管内チューブの送出方向が、シャフト部材の先端方向に対して4°以上30°以下となるように形成されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の補助具。
  7. 気管内チューブを喉頭を介してマウスの気管内へ案内するマウス用気管内チューブの挿管方法であって、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の補助具を、当該補助具の先端方向から前記マウスの咽頭内に挿入する第1ステップと、
    前記第1ステップの後、マスク部材を前記咽頭内における喉頭開口周囲に当接させる第2ステップと、
    前記第2ステップの後、前記補助具を介して前記気管内チューブを前記マウスの気管内に挿管する第3ステップとを備えていることを特徴とする挿管方法。
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