以下、添付図面を参照して、本願に係る超音波自動スキャンシステム、超音波診断装置、超音波スキャン支援装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る超音波自動スキャンシステム、超音波診断装置、超音波スキャン支援装置は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ2と、ディスプレイ3と、入力インターフェース4と、装置本体とを有し、超音波プローブ2と、ディスプレイ3と、入力インターフェース4とが装置本体5と通信可能に接続される。ここで、本実施形態に係る超音波診断装置1は、さらに、位置センサ61と、トランスミッタ62と、メカ機構7とが装置本体5と通信可能に接続される。なお、超音波診断装置1とメカ機構7とを含む構成が、本願に係る超音波自動スキャンシステムの一例である。
超音波プローブ2は、装置本体5に含まれる送受信回路51に接続される。超音波プローブ2は、例えば、プローブ本体に複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、送受信回路51から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ2は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ2は、プローブ本体において、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ2は、装置本体5と着脱自在に接続される。例えば、超音波プローブ2は、セクタ型、リニア型又はコンベックス型などの超音波プローブである。
超音波プローブ2から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ2が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ2により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ2や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ2により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
ここで、超音波プローブ2は、プローブ本体に位置センサ61が装着され、位置情報が取得される。また、超音波プローブ2は、プローブ本体がメカ機構7によって保持され、超音波の送受信面が被検体に向けた状態で移動される。なお、これらの詳細については、後述する。
ディスプレイ3は、超音波診断装置1の操作者が入力インターフェース4を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体5において生成された超音波画像等を表示したりする。また、ディスプレイ3は、装置本体5の処理状況や処理結果を操作者に通知するために、各種のメッセージや表示情報を表示する。また、ディスプレイ3は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
入力インターフェース4は、所定の位置(例えば、関心領域等)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース4は、後述する処理回路55に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路55へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース4は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路55へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
位置センサ61及びトランスミッタ62は、超音波プローブ2の位置情報を取得するための装置である。例えば、位置センサ61は、超音波プローブ2に取り付けられる磁気センサである。また、例えば、トランスミッタ62は、任意の位置に配置され、自装置を中心として外側に向かって磁場を形成する装置である。
位置センサ61は、トランスミッタ62によって形成された3次元の磁場を検出する。そして、位置センサ61は、検出した磁場の情報に基づいて、トランスミッタ62を原点とする空間における自装置の位置(座標)及び方向(角度)を算出し、算出した位置及び方向を後述する処理回路55に送信する。処理回路55に送信された位置センサ61の3次元的な位置情報(位置及び方向)は、超音波プローブ2の位置情報(例えば、超音波プローブ2における超音波の送受信面の中心の位置の情報)、或いは超音波プローブ2により走査される走査範囲の位置情報に適宜変換されて利用される。
なお、本実施形態は、上記の位置検出システム以外のシステムにより、超音波プローブ2の位置情報を取得する場合であっても適用可能である。例えば、本実施形態は、ジャイロセンサや加速度センサ等を用いて、超音波プローブ2の位置情報を取得する場合であっても良い。
メカ機構7は、超音波プローブ2のプローブ本体を保持する保持部71と、超音波プローブ2を被検体の体表上の所望の位置に移動させるための機構部72とを有する。すなわち、メカ機構7は、保持部71によって保持した超音波プローブ2を、機構部72の動きによって所望の位置に移動させる。例えば、メカ機構7は、装置本体5の制御に応じて、超音波プローブ2を移動させる。以下、メカ機構7の一例について、図2を用いて説明する。なお、図2に示すメカ機構7は、あくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。
図2は、第1の実施形態に係るメカ機構7の一例を示す外観図である。図2に示すように、メカ機構7は、第1の保持部711、第2の保持部712、第3の保持部713、及び、第4の保持部714を有する保持部71と、第1の機構部721、第2の機構部722、及び、第3の機構部723を有する機構部72とを有する。保持部71は、アルミニウムなどを材料とした鋳物であり、保持部間を接合するための接合部や、機構部72との間で係合する係合部、超音波プローブ2を保持するプローブホルダーを有する。また、機構部72は、モータやアクチュエータなどの駆動部と、保持部との間を係合するための係合部とを有する。
例えば、第1の保持部711は、メカ機構7全体を支持する基部(不図示)に対して長手方向の一端が接合され、他端に第2の保持部712が接合されている。これにより、第1の保持部711は、第2の保持部712に直接的或いは間接的に保持される全ての部材を支持する。第2の保持部712は、長手方向の一端が第1の保持部711に接合され、長手方向に沿って第1の機構部721がスライド移動可能となるように、第1の機構部721が係合されている。例えば、第2の保持部712は、第1の機構部721と係合するレールを長手方向に沿って有し、レール上に第1の機構部721をスライド移動可能に保持している。
ここで、図2に示すように、第2の保持部712の長手方向が水平方向となるように、第1の保持部711に対して第2の保持部712が接合されることで、第1の機構部721が、矢印a1で示す水平方向にスライド移動する。第1の機構部721は、第2の保持部712に係合して保持され、モータやアクチュエータなどの駆動部による駆動力により第2の保持部712の長手方向に沿って移動する。例えば、第1の機構部721は、第2の保持部712のレールと係合して、装置本体5の制御に基づく駆動部による駆動力によってレール上をスライド移動する。また、第1の機構部721は、第2の機構部722が接合されている。
第2の機構部722は、第1の機構部721と接合されることで第2の保持部712に保持されている。また、第2の機構部722は、第3の保持部713がスライド移動可能となるように第3の保持部713と係合して、第3の保持部713を保持している。すなわち、第2の機構部722は、第1の機構部721のスライド移動とともに第2の保持部712の長手方向に沿って移動するとともに、第3の保持部713をスライド移動させる。ここで、第2の機構部722は、第1の機構部721の移動方向と直交する方向に第3の保持部713をスライド移動させる。例えば、第2の機構部722は、装置本体5の制御に基づく駆動部による駆動力によって、矢印a2で示す鉛直方向に第3の保持部713をスライド移動させる。
第3の保持部713は、長手方向の一端が第2の機構部722と係合され、第2の機構部722上をスライド移動する。例えば、第3の保持部713は、第2の機構部722と係合するレールを長手方向に沿って有し、矢印a2で示す鉛直方向に第2の機構部722上をスライド移動する。また、第3の保持部713は、他端が第3の機構部723と係合される。ここで、第3の保持部713では、第3の機構部723が第2の保持部712の長手方向を軸として回転移動するように、第3の機構部723を保持している。例えば、第3の保持部713は、矢印a3で示す方向に回転移動可能となるように、第3の機構部723を保持する。
第3の機構部723は、第3の保持部713と係合されることで第3の保持部713に保持されている。また、第3の機構部723は、第4の保持部714が接合されている。例えば、第3の機構部723は、装置本体5の制御に基づく駆動部による駆動力によって、第4の保持部714を保持した状態(第4の保持部714の向きが変わらない状態)で、矢印a3で示す方向に回転移動する。これにより、第3の機構部723は、第4の保持部714によって保持された超音波プローブ2の角度を変化させることができる。
第4の保持部714は、第3の機構部723に接合され、超音波プローブ2を保持する。例えば、第4の保持部714は、図2に示すように、超音波プローブ2の超音波の送受信面の面方向が第3の保持部713の長手方向と直交するように、超音波プローブ2を保持する。
上述したように、メカ機構7は、第1の機構部721による移動と、第2の機構部722による移動と、第3の機構部723による移動とによって、第4の保持部714に保持された超音波プローブ2を、矢印a1、矢印a2、矢印a3によって示す方向にそれぞれ移動させることができる。すなわち、メカ機構7は、水平方向及び鉛直方向に超音波プローブ2を移動させるとともに、超音波プローブ2の角度を変えることができる。なお、図2に示すメカ機構7は、メカ機構の一例であり、メカ機構は、図示のものに限られない。例えば、メカ機構7は、矢印a1に直交し、かつ、矢印a2に直交する方向に、超音波プローブ2を移動させる機構部を備える場合でもよい。
図1に戻って、装置本体5は、送受信回路51と、Bモード処理回路52と、ドプラ処理回路53と、メモリ54と、処理回路55とを有する。図1に示す超音波診断装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ54へ記憶されている。送受信回路51、Bモード処理回路52、ドプラ処理回路53、及び、処理回路55は、メモリ54からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
送受信回路51は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ2に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ2から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ2に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路51は、後述する処理回路55の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路51は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ2が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
Bモード処理回路52は、送受信回路51から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理回路53は、送受信回路51から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。本実施形態の移動体は、血管内を流動する血液や、リンパ管内を流動するリンパ液等の流体である。
なお、Bモード処理回路52及びドプラ処理回路53は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路52は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路53は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
メモリ54は、処理回路55が生成した表示用の画像データを記憶する。また、メモリ54は、Bモード処理回路52やドプラ処理回路53が生成したデータを記憶することも可能である。また、メモリ54は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、メモリ54は、処理回路55によって生成されたスキャンパスを記憶する。なお、スキャンパスの詳細については、後述する。
処理回路55は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路55は、図1に示す制御機能551、画像生成機能552、取得機能553、メカ制御機能554、位置合わせ機能555及び生成機能556に対応するプログラムをメモリ54から読み出して実行することで、種々の処理を行う。ここで、生成機能556は、生成部の一例である。
例えば、処理回路55は、入力インターフェース4を介して操作者から入力された各種設定要求や、メモリ54から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路51、Bモード処理回路52、ドプラ処理回路53の処理を制御する。また、処理回路55は、メモリ54が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ3にて表示するように制御する。また、処理回路55は、処理結果をディスプレイ3にて表示するように制御する。例えば、処理回路55が制御機能551に対応するプログラムを読み出して実行することで、装置全体の制御を行い、上述したような処置を制御する。
画像生成機能552は、Bモード処理回路52及びドプラ処理回路53が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成機能552は、Bモード処理回路52が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、画像生成機能552は、ドプラ処理回路53が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
ここで、画像生成機能552は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成機能552は、超音波プローブ2による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成機能552は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成機能552は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成機能552が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
更に、画像生成機能552は、Bモード処理回路52が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成機能552は、ドプラ処理回路53が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。3次元のBモードデータ及び3次元のドプラデータは、スキャンコンバート処理前のボリュームデータとなる。すなわち、画像生成機能552は、「3次元のBモード画像データや3次元のドプラ画像データ」を「3次元の超音波画像データであるボリュームデータ」として生成する。
更に、画像生成機能552は、ボリュームデータをディスプレイ3にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なうことができる。取得機能553は、超音波プローブ2の位置及び方向を表すプローブ位置情報を取得する。メカ制御機能554は、メカ機構7を制御する。位置合わせ機能555は、プローブ位置情報の座標系とメカ機構7における座標系とを位置合わせする。生成機能556は、スキャンパスを生成する。なお、取得機能553、メカ制御機能554、位置合わせ機能555、及び、生成機能556により処理の詳細については、後述する。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブの移動軌跡を示すスキャンパスを容易に生成することを可能にする。具体的には、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体に対して仮スキャンを実施して、仮スキャンの結果から被検体の体表と超音波プローブ2との距離を取得することで、メカ機構7によって被検体を走査する際のスキャンパスを容易に生成することを可能にする。
上述したように、超音波診断においては、近年、ロボットによって超音波プローブを移動させて走査する技術が提案されてきている。例えば、カメラで被検体を撮影した写真から被検体の体表面の位置情報を取得し、取得した位置情報を用いて、ロボットによって超音波プローブを移動させる際のスキャンパスを生成する技術が知られている。しかしながら、この技術の場合、写真が2次元の情報であるため、3次元的なスキャンパスを生成する場合には、種々の方向から撮影した膨大な枚数の写真を要するとともに、写真から位置情報を取得するための複雑なアルゴリズムを用いることとなる。そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、メカ機構7が超音波プローブを保持し、当該超音波プローブにおける超音波の送受信面を被検体に向けた状態で移動させる。そして、生成機能556がメカ機構7によって移動される超音波プローブと被検体との位置関係の情報に基づいて、被検体に対して超音波走査を実行する際の超音波プローブ2のスキャンパスを生成することで、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
以下、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の詳細について説明する。取得機能553は、超音波プローブ2に装着された位置センサ61からの信号に基づいて、超音波プローブ2のプローブ位置情報を経時的に取得する。すなわち、取得機能553は、位置センサ61の位置情報(座標情報)を経時的に取得する。ここで、取得機能553は、超音波プローブ2に対する位置センサ61の装着位置の情報(超音波プローブ2と位置センサ61との位置関係の情報)に基づいて、位置センサ61から受信した信号を、超音波プローブ2における任意の位置の座標に変換することができる。例えば、取得機能553は、超音波プローブ2と位置センサ61との位置関係の情報に基づいて、位置センサ61の位置情報(座標情報)を、超音波プローブ2の超音波の送受信面の中心の位置情報(座標情報)に変換することもできる。
一例を挙げると、位置センサ61として磁気センサが用いられる場合、取得機能553は、トランスミッタ62によって形成された3次元の磁場(プローブ位置情報の座標系)において位置センサ61によって経時的に取得された位置情報(位置及び向き)を取得する。そして、取得機能553は、取得した時間ごとの位置情報を位置合わせ機能555に送信する。また、取得機能553は、取得した時間ごとの位置情報を生成機能556に送信する。例えば、取得機能553は、第4の保持部714に保持された超音波プローブ2に装着された位置センサ61によって取得された時間ごとの位置情報を取得して、位置合わせ機能555及び生成機能556に送信する。
メカ制御機能554は、メカ機構7における機構部72に含まれる駆動部に対して制御信号を送信することで、機構部72の移動を制御する。例えば、メカ制御機能554は、第1の機構部721に対して制御信号を送信することで、第1の機構部721の駆動部を制御して、矢印a1に示す方向への第1の機構部721のスライド移動を制御する。また、例えば、メカ制御機能554は、第2の機構部722に対して制御信号を送信することで、第2の機構部722の駆動部を制御して、矢印a2に示す方向への第3の保持部713のスライド移動を制御する。また、例えば、メカ制御機能554は、第3の機構部723に対して制御信号を送信することで、第3の機構部723の駆動部を制御して、矢印a3に示す方向への第3の機構部723の回転移動を制御する。
そして、メカ制御機能554は、時間ごとの制御情報を位置合わせ機能555に送信する。すなわち、メカ制御機能554は、メカ機構7の座標系における時間ごとの各機構部の位置の情報を位置合わせ機能555に送信する。また、メカ制御機能554は、時間ごとの制御情報を生成機能556に対しても送信する。さらに、メカ制御機能554は、生成機能556によって生成されたスキャンパスに基づいて、メカ機構7を制御するが、この点については後述する。
位置合わせ機能555は、プローブ位置情報の座標系とメカ機構7の座標系とを位置合わせする。具体的には、位置合わせ機能555は、時刻情報に基づいて、取得機能553から受信した時間ごとの位置情報とメカ制御機能554から受信した時間ごとの制御情報とを同調させる。例えば、位置合わせ機能555は、第4の保持部714に保持された超音波プローブ2に装着された位置センサ61の「時刻t1」における位置情報(3次元の座標情報)と、「時刻t1」におけるメカ機構7の制御情報(メカ機構7における任意の部分の3次元の座標情報)とを対応付ける。ここで、メカ機構7における任意の部分の3次元の座標情報とは、例えば、超音波プローブ2を保持する第4の保持部714の位置であり、第1の機構部721、第2の機構部722、及び、第3の機構部723の駆動量によって表される。
すなわち、位置合わせ機能555は、「時刻t1」において、第1の機構部721、第2の機構部722、及び、第3の機構部723の駆動量の情報に対して、位置センサ61の位置情報を対応付ける。これにより、位置合わせ機能555は、各機構部の駆動状態と、位置センサ61の位置情報とを関連付けることができる。そして、位置合わせ機能555は、対応付けた情報を生成機能556に送信する。
生成機能556は、メカ機構7によって移動される超音波プローブ2と被検体との位置関係の情報に基づいて、被検体に対して超音波走査を実行する際の超音波プローブ2の移動の軌跡を示すスキャンパスを生成する。具体的には、生成機能556は、被検体のスキャン対象部位を所定の位置に載置し、載置したスキャン対象部位に対してメカ機構7を1度動作させることで取得されるスキャン対象部位の体表面と超音波プローブ2との位置関係に基づいて、スキャンパスを生成する。例えば、生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブ2が移動されて収集された反射波データに基づいて、被検体の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1においては、メカ機構7が被検体に対して非接触で超音波プローブを移動させながら、スキャン対象部位の反射波データを収集する。そこで、第1の実施形態では、超音波プローブ2が被検体の体表面に非接触な状態でも超音波の送受信が行えるように、音響媒体として水を用いる。図3は、第1の実施形態に係るスキャン対象部位の載置台8の一例を説明するための図である。なお、図3においては、スキャン対象部位が前腕部から手までである場合の載置台の一例を示す。
例えば、載置台8は、図3に示すように、水槽81と、腕置き82とを有し、水槽81内に水が入れられる。腕置き82は、肘置き部分と、肘置き部分から緩やかに下り傾斜がついたスロープ部分とを有する。ここで、載置台8は、図3に示すように、腕置き82に腕を載置した際に、前腕部から手までが水に浸るように、水槽81内に水が入れられる。そして、載置台8に載置された腕に対して、超音波プローブ2が図3の矢印で示す方向に移動可能となるようにメカ機構7が配置される。例えば、図2に示す第2の保持部712の長手方向が、載置台8に載置された前腕の長手方向と平行となるように、かつ、第4の保持部714に保持された超音波プローブ2から送信された超音波によってスキャン対象部位が走査されるように、メカ機構7が配置される。
そして、スキャン対象部位をスキャンする場合に、超音波プローブ2が水槽81内の水の中に入れられ、スキャン対象部位の体表面とは非接触な状態で超音波が送受信される。例えば、超音波プローブ2が水槽81内の水の中に入り、かつ、超音波プローブ2が体表面に接触しないように、第2の機構部722の駆動によって第3の保持部713が鉛直方向にスライド移動される。
ここで、載置台8は、スキャン対象部位の載置状態を安定させるために、腕置き82に凹部や凸部を設けることができる。すなわち、被検体がスキャン対象部位を載置台8に載置したときに、載置台8に対してスキャン対象部位を常に略同一位置に載置できるように、腕置き82はスキャン対象部位を固定するための凹部や凸部を設けることができる。
図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る腕置き82の一例を示す図である。例えば、図4Aに示すように、腕置き82は、肘置き部分からスロープ部分にかけて、肘から前腕が載置される凹部821と、手を支持する凸部822とを有する。この腕置き82を用いることで、例えば、被検体は、肘から前腕を凹部821に載置して、凸部822を軽く把持することで、腕を常に略同一位置に載置することができる。
また、例えば、図4Bに示すように、腕置き82は、肘置き部分からスロープ部分にかけて、肘から手までが載置される凹部823を有する場合でもよい。ここで、凹部823は、手形で凹みができており、例えば、被検体は、肘から手を凹部823に載置することで、腕を常に略同一位置に載置することができる。
第1の実施形態では、このような載置台8に腕を載置して、メカ機構7によって非接触でスキャンが実行される。ここで、第1の実施形態では、まず、載置台8に載置されたスキャン対象部位と超音波プローブとの位置関係を取得するための仮スキャンが実行される。例えば、載置台8にスキャン対象部位(前腕部から手)が載置されて、超音波プローブ2が保持されたメカ機構7が配置されると、取得機能553が配置後の位置センサ61の位置情報を取得して、位置合わせ機能555に送信する。また、メカ制御機能554が、メカ機構7における各機構部の現在の駆動量を位置合わせ機能555に送信する。位置合わせ機能555は、駆動量の情報に対して、位置センサ61の位置情報を対応付けることで、プローブ位置情報の座標系とメカ機構7の座標系とを位置合わせする。そして、位置合わせ機能555は、位置合わせの情報を生成機能556に送信する。
上述した位置合わせを終わると、メカ制御機能554は、超音波プローブ2が載置台8の水槽81内に配置されるように(仮スキャンを開始する位置に超音波プローブ2が配置されるように)、メカ機構7における機構部72を制御する。ここで、取得機能553は、メカ機構7が駆動されている間に位置センサ61によって経時的に取得されている位置情報を取得して、生成機能556に送信する。これにより、生成機能556は、位置センサ61の現時点の位置情報を常に取得することができる。また、メカ制御機能554は、メカ機構7を駆動させるごとに各機構部の駆動量を生成機能556に送信する。これにより、生成機能556は、メカ機構7の駆動状態を常に取得することができる。
ここで、仮スキャンを開始する位置は、超音波プローブ2が水槽81内の水中にあり、かつ、超音波プローブ2が体表面に接触しない位置である。例えば、仮スキャンを開始する位置は、腕置き82の肘置き側で超音波プローブ2が水中に入り、かつ、超音波プローブ2が体表面に接触しない位置である。なお、この位置への超音波プローブ2の配置は、例えば、入力インターフェース4を介した操作者の操作によってメカ制御機能554が制御されて実行されてもよく、或いは、載置台8のサイズなどを考慮して事前に設定された位置に配置するように、メカ制御機能554によって実行されてもよい。
そして、仮スキャンを開始する位置に超音波プローブ2が配置されると、制御機能551及びメカ制御機能554が仮スキャンを実行するように制御する。例えば、メカ制御機能554が、第1の機構部721における駆動部のみを駆動させるように制御することで、鉛直方向における超音波プローブ2の位置を変化させずに、水平方向へ超音波プローブ2をスライド移動させるように制御する。すなわち、メカ制御機能554は、前腕部から手までの方向に沿って超音波プローブ2をスライド移動させる。メカ制御機能554は、第1の機構部721における駆動部の駆動中の時刻ごとの駆動量を生成機能556に送信する。
制御機能551は、メカ機構7による超音波プローブ2のスライド移動中に超音波プローブ2から超音波を繰り返し送信して、反射波を繰り返し受信するように、送受信回路51を制御する。そして、画像生成機能552は、送受信回路51によって経時的に生成された反射波データに基づいて、時刻ごとの超音波画像データを生成する。さらに、画像生成機能552は、生成した時刻ごとの超音波画像データを生成機能556に送信する。なお、取得機能553は、仮スキャン中の時刻ごとの位置センサ61の位置情報を取得して生成機能556に送信することもできる。
生成機能556は、位置合わせ機能555から受信した位置合わせの情報(プローブ位置情報と駆動量の情報とを対応付けた情報)と、メカ制御機能554から受信した時刻ごとの駆動量の情報(或いは、取得機能553から取得した時刻ごとの位置情報)と、画像生成機能552から受信した時刻ごとの超音波画像データとを用いて、スキャン対象部位の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を算出する。そして、生成機能556は、算出した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。
例えば、生成機能556は、メカ制御機能554から受信した時刻ごとの駆動量の情報と位置合わせの情報とから、メカ機構7の座標系における超音波プローブ2の超音波の送受信面の中心の位置を算出する。一例を挙げると、生成機能556は、メカ機構7の駆動量の情報と位置合わせの情報から、メカ機構7の座標系における位置センサ61の座標を算出する。そして、生成機能556は、超音波プローブ2に対する位置センサ61の取り付け位置の情報に基づいて、算出した位置センサ61の座標を超音波の送受信面の中心の座標に変換する。生成機能556は、時刻ごとの駆動量の情報に対して上記処理を行うことにより、メカ機構7の座標系における時刻ごとの超音波の送受信面の中心の座標を算出する。
なお、取得機能553によって位置センサ61の位置情報が超音波プローブ2の超音波の送受信面の中心の位置情報に変換され、位置合わせ機能555によってメカ機構7の駆動量の情報と超音波プローブ2の超音波の送受信面の中心の位置情報とが対応付けられていた場合、上記した座標の変換処理は省略される。また、上述した例では、位置合わせの情報を用いて、メカ機構7の時刻ごとの駆動量の情報からメカ機構7の座標系における時刻ごとの超音波の送受信面の中心の座標を算出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、位置合わせの情報を用いて、位置センサ61の座標情報(或いは、変換後の超音波の送受信面の中心の座標情報)から時刻ごとメカ機構7の駆動量の情報を算出する場合でもよい。
上述したように、メカ機構7の座標系における時刻ごとの超音波の送受信面の中心の座標を算出すると、生成機能556は、時刻ごとの超音波画像データを用いて、仮スキャン中のメカ機構7の座標系における時刻ごとの送受信面から体表面までの距離をそれぞれ算出する。図5は、第1の実施形態に係る生成機能556による処理の一例を説明するための図である。ここで、図5においては、第1の機構部721の駆動によって超音波プローブ2を前腕部から手までの方向に沿ってスライド移動させながら実施された仮スキャンで収集された超音波画像データの断面図を示す。すなわち、図5に示す画像は、超音波プローブ2がスライド移動されながら収集した複数の超音波画像データを結合した画像を示す。
例えば、生成機能556は、時刻ごとの超音波の送受信面の中心の座標と各時刻において収集した超音波画像データにおける体表面の位置から、送受信面から体表面までの距離をそれぞれ算出する。一例を挙げると、生成機能556は、時刻に基づいて、図5の位置P1における超音波の送受信面の中心の座標に対応する超音波画像データを抽出し、抽出した超音波画像データから体表面を検出する。なお、超音波画像データにおける体表面の検出は、既存の任意の方法によって実行される。
そして、生成機能556は、検出した体表面から超音波の送受信面までの距離を算出する。すなわち、生成機能556は、位置P1における体表面から超音波の送受信面までの距離を算出する。同様に、生成機能556は、位置P2などにおける体表面から超音波の送受信面までの距離をそれぞれ算出する。このように、生成機能556は、メカ機構7の座標系における超音波プローブ2の位置ごとに、仮スキャンにおける体表面から超音波の送受信面までの距離をそれぞれ算出する。
さらに、生成機能556は、算出した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。例えば、生成機能556は、体表面からの距離が所定の距離となるスキャンパスを生成する。図6は、第1の実施形態に係る生成機能556によるスキャンパスの生成の一例を示す図である。例えば、生成機能556は、図6に示すように、体表面から「距離a4」離れた位置を超音波プローブ2の送受信面がスライド移動するスキャンパスa5を生成する。
かかる場合には、生成機能556は、メカ機構7の座標系における超音波プローブ2の位置ごとの体表面から超音波の送受信面までの距離に基づいて、超音波プローブ2の位置ごとに、体表面から「距離a4」離れた位置の座標をそれぞれ算出する。そして、生成機能556は、算出した座標を繋げることで、スキャンパスa5を生成する。さらに、生成機能556は、生成したスキャンパスa5をメモリ54に格納する。
ここで、上記したスキャンパスは、2次元で収集された超音波画像データに基づいて生成される場合でもよく、3次元で収集された超音波画像データに基づいて生成される場合でもよい。すなわち、生成機能566は、上述したように、図5に示すような2次元の超音波画像データを用いて、メカ機構7の座標系における超音波プローブ2の位置ごとの体表面から超音波の送受信面までの距離を算出することができるが、仮スキャンにおいて3次元で収集された超音波画像データを用いて体表面を3次元で抽出して、体表面の各位置から送受信面までの距離を算出することもできる。
かかる場合には、例えば、生成機能556は、仮スキャンにおける超音波プローブ2の位置ごとに、体表面における各位置から送受信面までの距離をそれぞれ算出する。これにより、生成機能556は、体表面の凹凸や傾きなどの情報を取得することできる。すなわち、生成機能556は、体表面の立体情報(体表面の面情報)を取得することができ、この立体情報を用いてスキャンパスを生成することができる。
ここで、体表面の立体情報を取得した場合、生成機能556は、体表面からの距離に加えて、超音波プローブ2の角度を考慮したスキャンパスを生成することができる。図7A~図7Cは、第1の実施形態に係るスキャンパスの角度を説明するための図である。ここで、図7A~図7Cは、スキャン対象部位(前腕部)の長手方向に直交する断面を示す。
超音波画像データが3次元で収集された場合、生成機能556は、例えば、図7Aに示す断面の上側の曲線で示す体表面を検出することができる。なお、図7Aでは、断面のみを示しているが、前腕部の長手方向に沿って超音波プローブ2がスライド移動されながら超音波画像データが3次元で収集された場合、実際には、図面内の奥行き方向の体表面の情報も検出されることとなる。すなわち、生成機能556は、超音波プローブ2側の体表面の曲面を検出することができる。
このように体表面の曲面を検出すると、生成機能556は、体表面における各位置から超音波プローブ2の送受信面までの距離をそれぞれ算出する。ここで、超音波プローブ2の角度を考慮したスキャンパスを生成する場合、生成機能556は、例えば、図7Aに示すように、体表面における所定の断面ごとに、超音波プローブ2までの距離が最も短い位置を検出し、検出した位置までの距離が「距離a4」となるように、スキャンパスを設定する。そして、生成機能556は、体表面において超音波プローブ2までの距離が最も短い位置の接線L1に直交するように、超音波プローブ2の角度を設定する。
生成機能556は、スキャン対象部位(前腕部~手)の長手方向に沿った所定の断面ごとに上記した処理をそれぞれ実行することで、超音波プローブ2の角度を考慮した前腕部から手までの長手方向に沿ったスキャンパスを生成することができる。すなわち、生成機能556は、前腕部から手までの長手方向に沿って超音波プローブ2がスライド移動する間に、超音波プローブ2が上下に移動するとともに、角度が変化するスキャンパスを生成する。
また、生成機能556は、スキャン対象部位に対して所定の角度から超音波を送受信するスキャンパスを生成することもできる。かかる場合には、例えば、生成機能556は、スキャン対象部位において超音波プローブ2までの距離が最も短い位置を検出し、検出した位置に対して所定の角度をつけた方向からスキャンを実行するスキャンパスを生成する。一例を挙げると、生成機能556は、図7Bに示すように、前腕部に対して所定の角度をつけた接線L2に対して直交する方向から超音波を送受信するように、超音波プローブ2の角度を決定する。そして、生成機能556は、決定した角度で、体表面までの距離が「距離a4」となる座標を長手方向に沿ってそれぞれ算出する。そして、生成機能556は、算出した座標を繋げることで、スキャンパスを生成する。
なお、超音波プローブ2の角度は、スキャン対象部位ごとや、検査内容ごとに予め設定されてメモリ54に格納されており、生成機能556が、メモリ54からこの情報を読み出して、超音波プローブ2の角度を設定する。
また、生成機能556は、スキャン対象部位の曲面に沿って超音波プローブ2の角度を変化させながら超音波を送受信するスキャンパスを生成することもできる。かかる場合には、例えば、生成機能556は、スキャン対象部位の所定の断面において体表面を示す曲線上の接線に対して垂直となる角度をそれぞれ算出し、算出した角度の方向から超音波を送受信するスキャンパスを生成する。一例を挙げると、生成機能556は、図7Cに示すように、前腕部を示す曲線上の接線L2から接線L3まで、体表面に接線を設定し、設定した接線ごとに超音波プローブ2の送受信面までの距離が「距離a4」となる座標を曲線に沿ってそれぞれ算出する。そして、生成機能556は、算出した座標を繋げることで、スキャンパスを生成する。
なお、上述した実施形態では、1度の仮スキャンによってスキャンパスを生成する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、複数の仮スキャンを行い、複数の仮スキャンに基づいて複数のスキャンパスを生成する場合でもよい。例えば、指のリウマチ診断において各指に対するスキャンパスを生成する際に、振動子幅が「15cm」程度の超音波プローブ2では、仮スキャンを複数回行う場合がある。
かかる場合には、まず、メカ機構7が、図2に示す矢印a1に直交し、かつ、矢印a2に直交する方向に、超音波プローブ2を移動させる機構部を備える。そして、制御機能551及びメカ制御機能554が、スキャン対象部位の手に対して複数の仮スキャンを実行する。例えば、制御機能551及びメカ制御機能554は、仮スキャンの開始位置から手の親指側の領域を仮スキャンするようにメカ機構7を制御する。そして、指の先端まで仮スキャンが実行されると、制御機能551及びメカ制御機能554は、超音波プローブ2を仮スキャンの開始位置まで戻し、矢印a1に直交し、かつ、矢印a2に直交する方向に、超音波プローブ2を移動させる機構部を駆動させることで、超音波プローブ2を小指側に移動させ、再度仮スキャンを実行する。
これにより、超音波診断装置1は、指5本分の仮スキャンを実行する。なお、指の先端までスキャンが実行されたか否かは、例えば、超音波画像データに基づいて判定される。例えば、メカ制御機能554は、画像生成機能552によって生成される超音波画像データにおいて、体表面を示す情報が消失した際に指の先端までスキャンが実行されたと判定する。
上述したように、5本の指の仮スキャンが実行されると、生成機能556は、各指に対するスキャンパスをそれぞれ生成する。すなわち、生成機能556は、仮スキャンで収集された時刻ごとの超音波画像データと、時刻ごとのメカ機構7の駆動量の情報に基づいて、超音波画像データに含まれる各指を識別し、識別した指ごとにスキャンパスを生成する。ここで、生成機能556は、全ての指に対して同じタイプのスキャンパスを生成してもよく、或いは、指ごとにタイプを選択してスキャンパスを生成してもよい。例えば、生成機能556は、すべての指に対して図7Bに示すタイプのスキャンパスを生成する。或いは、生成機能556は、指ごとに図7A~図7Cのいずれかのタイプを選択し、選択したタイプのスキャンパスを生成する。
上述したように、生成機能556は、仮スキャンに基づいて、種々のタイプのスキャンパスを生成することができる。生成機能556は、このように生成したスキャンパスをメモリ54に格納する。ここで、生成機能556は、スキャンパスに沿って超音波プローブ2を移動させる際の移動速度を設定し、設置した移動速度を対応付けたメカ機構制御情報を生成してメモリ54に格納する。なお、移動速度は、任意に設定することができ、予め設定されているものを用いる場合でもよく、或いは、操作者によって指定されたものを用いる場合でもよい。
制御機能551及びメカ制御機能554は、メモリ54に格納されたスキャンパスを読み出して、読み出したスキャンパスに基づくスキャンを実行する。具体的には、制御機能551及びメカ制御機能554は、メカ機構制御情報を読み出して、メカ機構制御情報に設定された移動速度でスキャンパス上を超音波プローブ2が移動しながらスキャンするように制御する。
例えば、図6に示すスキャンパスa5の場合、メカ制御機能554は、超音波プローブ2の送受信面がスキャンパスa5における座標上を通過するように、第1の機構部721の駆動と第2の機構部722の駆動とを制御する。すなわち、メカ制御機能554は、第1の機構部721の駆動を制御して、矢印a1の方向へのスライド移動を制御するとともに、第2の機構部722の駆動を制御して、矢印a2の方向への第3の保持部713のスライド移動を制御する。
また、例えば、図7A~図7Cに示すタイプのスキャンパスの場合、メカ制御機能554は、第1の機構部721及び第2の機構部722の駆動を制御して、矢印a1の方向へのスライド移動と矢印a2の方向へのスライド移動とを制御するとともに、第3の機構部723の駆動を制御して、第4の保持部714を回転移動を制御する。なお、指のリウマチのように、複数のスキャンパスが格納されている場合には、メカ制御機能554は、矢印a1に直交し、かつ、矢印a2に直交する方向に、超音波プローブ2を移動させる機構部をさらに制御する。
制御機能551は、メカ制御機能554によって機構部72が制御されている間、超音波の送受信を制御して、スキャンパスに対応する超音波画像データを収集する。
なお、上述した実施形態では、体表面からの距離が所定の距離となるスキャンパスを生成する場合について説明した。ここで、体表面からの距離は、超音波プローブ2の焦点にもとづいて決められてもよい。すなわち、生成機能556は、超音波プローブ2の焦点に基づいて被検体の体表面から超音波プローブ2を離す距離を算出し、算出した距離離れた状態で超音波プローブ2を移動させるスキャンパスを生成する。
かかる場合には、生成機能556は、現在使用されている超音波プローブ2の焦点の位置を取得する。そして、生成機能556は、取得した焦点の位置が体内の所望の位置となるように、体表面から送受信面までの距離を設定する。例えば、焦点が、超音波プローブの送受信面から「10cm」であり、焦点の位置を体表面から「2cm」内部とする場合、生成機能556は、体表面から送受信面までの距離を「8cm」と設定して、スキャンパスを生成する。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理について説明する。図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図8においては、複数の仮スキャンを実行する場合の処理の手順を示す。図8に示すステップS101は、処理回路55がメモリ54から位置合わせ機能555に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS102~ステップS105及びステップS109は、処理回路55がメモリ54から制御機能551及びメカ制御機能554に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS106は、処理回路55がメモリ54から取得機能553に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS107及びステップS108は、処理回路55がメモリ54から生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
第1の実施形態に係る超音波診断装置1では、処理回路55が、超音波プローブ2の位置情報とメカ機構7の位置情報(駆動量の情報)とを関連付ける(ステップS101)。そして、処理回路55は、超音波プローブ2が被検体に接触しないように、メカ機構7により超音波プローブ2を平行移動しながら仮スキャンを実行して(ステップS102)、画像情報が得られているか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、画像情報が得られている場合には(ステップS103肯定)、処理回路55は、ステップS102の処理を継続する。一方、画像情報が得られていない場合には(ステップS103否定)、処理回路55は、全ての仮スキャンが終了したか否かを判定する(ステップS104)。ここで、全ての仮スキャンが終了していない場合(ステップS104否定)、処理回路55は、超音波プローブ2をスタートポジションに移動させて(ステップS105)、ステップS102の処理を実行する。
一方、全ての仮スキャンが終了している場合(ステップS104肯定)、処理回路55は、仮スキャンによって収集した超音波画像に基づいて、被検体の体表面の位置情報を取得して(ステップS106)、体表面の位置情報とメカ機構7における位置情報に基づいて、体表面から所定の距離離れたスキャンパスを生成する(ステップS107)。
さらに、処理回路55は、超音波プローブ2の移動速度に基づいて、スキャンパスに移動情報を加味したメカ機構制御情報を生成する(ステップS108)。その後、処理回路55は、メカ機構制御情報に基づいて、メカ機構7を制御して、被検体をスキャンする(ステップS109)。
上述したように、第1の実施形態によれば、超音波プローブ2が、超音波を送受信する。メカ機構7が、超音波プローブ2を保持し、当該超音波プローブ2における超音波の送受信面を被検体に向けた状態で移動させる。生成機能556が、メカ機構7によって移動される超音波プローブ2と被検体との位置関係の情報に基づいて、被検体に対して超音波走査を実行する際の超音波プローブの移動のスキャンパスを生成する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体と超音波プローブとの位置関係を用いてスキャンパスを生成することができ、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブが移動されて収集された反射波データに基づいて、被検体の体表面と超音波プローブにおける超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、被検体と超音波プローブ2との位置関係を容易に取得することができ、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、生成機能556は、超音波プローブ2の焦点に基づいて被検体の体表面から超音波プローブ2を離す距離を算出し、算出した距離離れた状態で超音波プローブ2を移動させるスキャンパスを生成する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の位置に焦点を合わせた超音波画像データを自動で取得することができ、観察し易い画像を容易に生成することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、生成機能556は、メカ機構7によって移動される超音波プローブ2と被検体との3次元的な位置関係の情報に基づいて、被検体に対して超音波走査を実行する際の超音波プローブ2の角度情報をさらに生成する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、状況に応じて種々の角度からの超音波画像データを取得することができ、より安定した超音波診断を可能にする。
また、第1の実施形態によれば、メカ機構7は、生成機能556によって生成されたスキャンパスに基づいて超音波プローブ2を移動させることにより、被検体に対する超音波走査を実行する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、どのような操作者が操作した場合であっても、観察し易い超音波画像データを安定して提供することを可能にする。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、仮スキャンによって収集した超音波画像データから超音波プローブ2と体表面との距離を算出する場合について説明した。第2の実施形態では、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)の状態をカメラで撮影した映像を用いて、超音波プローブ2と体表面との距離を算出する場合について説明する。図9は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aの構成の一例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aは、第1の実施形態と比較して、カメラ9が接続される点と、生成機能556による処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1aにおいては、カメラ9が、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との位置関係を示す映像を収集し、収集した映像を生成機能556に送信する。例えば、カメラ9は、超音波診断が実施される部屋に配置され、超音波診断装置1aに接続される。そして、カメラ9は、生成機能556による制御のもと、メカ機構7による被検体の走査の映像を収集して、超音波診断装置1aに送信する。
ここで、カメラ9によって収集される映像は、超音波画像データの断面に直交する方向から収集される。例えば、カメラ9は、図3に示す方向から被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との位置関係を示す映像を収集する。また、カメラ9で映像を収集する際のメカ機構7における被検体の走査では、実際に超音波を送受信しなくてもよい。また、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との位置関係を3次元的に収集する場合には、複数の位置にカメラ9が設置され、複数の映像が収集される。
第2の実施形態に係る生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブ2が移動された状態を撮影された画像に基づいて、被検体の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。具体的には、生成機能556は、カメラ9から取得した映像からメカ機構7における位置ごとの超音波プローブ2と体表面との距離を算出して、算出した距離に基づいてスキャンパスを生成する。
例えば、生成機能556は、時刻ごとに映像から体表面と超音波プローブ2の送受信面との距離を算出する。そして、生成機能556は、算出した距離に基づいて、超音波プローブ2の位置ごとに、体表面から所定の距離離れた位置の座標をそれぞれ算出する。そして、生成機能556は、算出した座標を繋げることで、スキャンパスを生成する。
なお、生成機能556は、カメラ9から受信した映像に超音波プローブ2が含まれる場合、被検体と超音波プローブ2の送受信面との距離を映像から直接算出する。一方、映像に超音波プローブ2が含まれておらず、メカ機構7のみの場合、生成機能556は、メカ機構7に対する超音波プローブ2の位置関係に基づいて、映像から被検体と超音波プローブ2の送受信面との距離を算出する。すなわち、生成機能556は、メカ機構7によって保持される超音波プローブ2の送受信面の位置をメカ機構7の構造から算出する。
次に、図10を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aの処理について説明する。図10は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aの処理の手順を説明するためのフローチャートである。図10に示すステップS201は、処理回路55がメモリ54から位置合わせ機能555に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS202、ステップS203は、処理回路55がメモリ54からメカ制御機能554及び生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS204は、処理回路55がメモリ54から取得機能553に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS205及びステップS206は、処理回路55がメモリ54から生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS207は、処理回路55がメモリ54から制御機能551及びメカ制御機能554に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1aでは、処理回路55が、超音波プローブ2の位置情報とメカ機構7の位置情報(駆動量の情報)とを関連付ける(ステップS201)。そして、処理回路55は、超音波プローブ2が被検体に接触しないように、メカ機構7により超音波プローブ2を平行移動しながらカメラ9で撮影して(ステップS202)、平行移動が終了したか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、平行移動が終了していない場合には(ステップS203否定)、処理回路55は、ステップS202の処理を継続する。一方、平行移動が終了している場合には(ステップS203肯定)、処理回路55は、カメラの撮影によって収集したカメラ画像に基づいて、被検体の体表面の位置情報を取得して(ステップS204)、超音波プローブ2と体表面との距離を算出する。
そして、処理回路55は、超音波プローブ2と体表面との距離と、メカ機構7における位置情報(駆動量の情報)に基づいて、体表面から所定の距離離れたスキャンパスを生成する(ステップS205)。
さらに、処理回路55は、超音波プローブ2の移動速度に基づいて、スキャンパスに移動情報を加味したメカ機構制御情報を生成する(ステップS206)。その後、処理回路55は、メカ機構制御情報に基づいて、メカ機構7を制御して、被検体をスキャンする(ステップS207)。
上述したように、第2の実施形態によれば、生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブ2が移動された状態を撮影された画像に基づいて、被検体の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置1aは、被検体と超音波プローブ2との位置関係を容易に取得することができ、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、仮スキャンによって収集した超音波画像データから超音波プローブ2と体表面との距離を算出する場合について説明した。第3の実施形態では、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との距離を距離センサで計測する場合について説明する。図11は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、第1の実施形態と比較して、距離センサ10が接続される点と、生成機能556による処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
第3の実施形態に係る超音波診断装置1bにおいては、距離センサ10が、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との距離を計測し、計測した距離を生成機能556に送信する。例えば、距離センサ10は、レーザー距離計測装置であり、超音波プローブ2の所定の位置、或いは、メカ機構7における所定の位置に装着され、超音波診断装置1bに接続される。そして、距離センサ10は、生成機能556による制御のもと、メカ機構7で被検体を走査している時刻ごとに、被検体の体表面までの距離を計測して、計測結果を超音波診断装置1bに送信する。なお、距離センサ10で距離を計測する際のメカ機構7における被検体の走査では、実際に超音波を送受信しなくてもよい。
第3の実施形態に係る生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブ2が移動される間に距離センサ10によって取得された距離情報に基づいて、被検体の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。
例えば、生成機能556は、時刻ごとの距離に基づいて、超音波プローブ2の位置ごとに、体表面から所定の距離離れた位置の座標をそれぞれ算出する。そして、生成機能556は、算出した座標を繋げることで、スキャンパスを生成する。
なお、生成機能556は、メカ機構7、或いは、超音波プローブ2に対する距離センサ10の位置関係(距離センサ10の取り付け位置の情報)に基づいて、距離センサ10が取得した距離情報から被検体と超音波プローブ2の送受信面との距離を算出する。また、被検体と超音波プローブ2(或いは、メカ機構7)との位置関係を3次元的に収集する場合には、複数の位置に距離センサ10が装着され、複数の距離情報が取得される。
次に、図12を用いて、第3の実施形態に係る超音波診断装置1bの処理について説明する。図12は、第3の実施形態に係る超音波診断装置1bの処理の手順を説明するためのフローチャートである。図12に示すステップS301は、処理回路55がメモリ54から位置合わせ機能555に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS302、ステップS303は、処理回路55がメモリ54からメカ制御機能554及び生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS304~ステップS306は、処理回路55がメモリ54から生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS307は、処理回路55がメモリ54から制御機能551及びメカ制御機能554に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
第3の実施形態に係る超音波診断装置1bでは、処理回路55が、超音波プローブ2の位置情報とメカ機構7の位置情報(駆動量の情報)とを関連付ける(ステップS301)。そして、処理回路55は、超音波プローブ2が被検体に接触しないように、メカ機構7により超音波プローブ2を平行移動しながら距離センサ10で被検体の体表面までの距離を計測して(ステップS302)、平行移動が終了したか否かを判定する(ステップS303)。
ここで、平行移動が終了していない場合には(ステップS303否定)、処理回路55は、ステップS302の処理を継続する。一方、平行移動が終了している場合には(ステップS303肯定)、処理回路55は、距離センサ10によって計測された距離情報に基づいて、被検体の体表面の位置情報を取得して(ステップS304)、超音波プローブ2と体表面との距離を算出する。
そして、処理回路55は、超音波プローブ2と体表面との距離と、メカ機構7における位置情報(駆動量の情報)に基づいて、体表面から所定の距離離れたスキャンパスを生成する(ステップS305)。
さらに、処理回路55は、超音波プローブ2の移動速度に基づいて、スキャンパスに移動情報を加味したメカ機構制御情報を生成する(ステップS306)。その後、処理回路55は、メカ機構制御情報に基づいて、メカ機構7を制御して、被検体をスキャンする(ステップS307)。
上述したように、第3の実施形態によれば、生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して非接触で超音波プローブ2が移動される間に距離センサ10によって取得された距離情報に基づいて、被検体の体表面と超音波プローブ2における超音波の送受信面との距離を取得し、取得した距離に基づいて、スキャンパスを生成する。従って、第3の実施形態に係る超音波診断装置1bは、被検体と超音波プローブ2との位置関係を容易に取得することができ、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
(第4の実施形態)
第1~第3の実施形態では、被検体に対して非接触の状態でスキャンを実行する場合について説明した。第4の実施形態では、被検体と接触した状態でスキャンを実行して、スキャンパスを生成する場合について説明する。図13は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1cの構成の一例を示すブロック図である。なお、第4の実施形態に係る超音波診断装置1cは、第1の実施形態と比較して、圧力センサ11が接続される点と、生成機能556による処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
第4の実施形態に係る超音波診断装置1cにおいては、圧力センサ11が、被検体と超音波プローブ2の送受信面との間にかかる圧力を計測し、計測した圧力を生成機能556に送信する。例えば、圧力センサ11は、超音波プローブ2の送受信面における所定の位置に配置され、超音波診断装置1cに接続される。そして、圧力センサ11は、生成機能556による制御のもと、メカ機構7で被検体を走査している間、継続して圧力を計測して、計測結果を生成機能556に送信する。なお、被検体に対して超音波プローブ2を接触させた状態でメカ機構7による移動を行う場合、音響媒体としては、例えば、厚めに塗布されたジェルや、低音響減衰特性を有する樹脂板が用いられる。
第4の実施形態に係る生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して接触した状態で超音波プローブ2が移動される間に被検体と超音波プローブとの間にかかる圧力に基づいて、スキャンパスを生成する。例えば、生成機能556は、圧力センサ11によって取得される圧力が所定の値となるように超音波プローブ2を移動させた場合の軌跡をスキャンパスとして生成する。
すなわち、生成機能556は、時刻ごとに取得される圧力の値を所定の値と比較して、比較結果に基づいて、各時刻における超音波プローブ2の送受信面の座標を変換した座標を算出し、算出した座標を繋げることでスキャンパスを生成する。例えば、生成機能556は、時刻t1における圧力の値が所定の値よりも高い場合、時刻t1における超音波プローブ2の送受信面の座標を体表面から離れる方向に移動させた座標を取得する。ここで、生成機能556は、予めメモリ54に格納された圧力の値と移動量とを対応付けた情報に基づいて、座標の移動量を決定する。なお、圧力センサ11によって計測された値が、所定の値である場合には、現時点の超音波プローブ2の送受信面の座標がスキャンパスを構成する座標となる。生成機能556は、圧力が計測される時刻ごとに、上述した処理を実行して、スキャンパスを生成し、生成したスキャンパスをメモリ54に格納する。ここで、メモリ54に格納されたスキャンパスは、例えば、被検体ごとに管理され、同一被検体が次に超音波走査される場合に読み出されて使用される。
なお、被検体と超音波プローブ2との位置関係を3次元的に収集する場合には、複数の位置に圧力センサ11が装着され、複数の圧力情報が取得される。例えば、角度情報を加味したスキャンパスを生成する場合、生成機能556は、複数の位置に配置された圧力センサ11に対して、超音波プローブ2が所望の角度となった場合の各圧力センサの値を所定の値として設定する。そして、生成機能556は、各位置の圧力センサ11と計測結果と、各圧力センサに設定された所定の値とを比較しながら、上記した処理を実行することで、角度情報を加味したスキャンパスを生成する。
なお、生成機能556によって算出された座標(圧力の値に基づいて変換された後の座標)をメカ制御機能554に送信することで、メカ機構7で超音波プローブ2を移動させながら、リアルタイムで位置を制御することができる。すなわち、メカ制御機能554が、生成機能556から受信した座標に超音波プローブ2の送受信面を移動させるように制御しながら、制御機能551が超音波走査を実行する。
また、上述した実施形態では、圧力センサ11を用いて被検体に対する超音波プローブ2の接触状態を検出する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、圧力センサ11の代わりに、エラストグラフィ(Elastography)によって取得される弾性値などを用いる場合でもよい。かかる場倍には、生成機能556は、エラストグラフィによって取得される弾性値が所定の値となるように超音波プローブ2を移動させた場合の軌跡をスキャンパスとして生成する。
また、上述した実施形態では、圧力、或いは、弾性値が所定の値になるように、制御する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、圧力、或いは、弾性値が所定の範囲内になるように、或いは、所定の閾値以下となるように、制御する場合でもよい。
次に、図14を用いて、第4の実施形態に係る超音波診断装置1cの処理について説明する。図14は、第4の実施形態に係る超音波診断装置1cの処理の手順を説明するためのフローチャートである。なお、図14においては、圧力が閾値を超えないように制御する場合について示す。図14に示すステップS401は、処理回路55がメモリ54から位置合わせ機能555に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS402~ステップS404は、処理回路55がメモリ54からメカ制御機能554及び生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS405は、処理回路55がメモリ54からメカ制御機能554に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS406は、処理回路55がメモリ54から生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
第4の実施形態に係る超音波診断装置1cでは、処理回路55が、超音波プローブ2の位置情報とメカ機構7の位置情報(駆動量の情報)とを関連付ける(ステップS401)。そして、処理回路55は、超音波プローブ2を被検体に接触させ、メカ機構7により超音波プローブ2を移動しながらスキャンを実行し、圧力センサ11で被検体の体表面と超音波プローブ2との間に係る圧力を各位置で計測して(ステップS402)、移動が終了したか否かを判定する(ステップS403)。
ここで、移動が終了していない場合には(ステップS403否定)、処理回路55は、圧力が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS404)。ここで、圧力が閾値を超えた場合(ステップS404肯定)、処理回路55は、圧力が閾値を下回るように、メカ機構7を制御する(ステップS405)。一方、圧力が閾値を超えていない場合(ステップS404否定)、処理回路55は、ステップS402の処理を継続する。
また、ステップS403において、移動が終了している場合には(ステップS403肯定)、処理回路55は、移動した軌跡をスキャンパスとして保存する(ステップS406)。
上述したように、第4の実施形態によれば、生成機能556は、メカ機構7によって被検体に対して接触した状態で超音波プローブ2が移動される間に被検体と超音波プローブ2との間にかかる圧力に基づいて、スキャンパスを生成する。従って、第4の実施形態に係る超音波診断装置1cは、メカ機構7により自動でスキャンを実行すると同時にスキャンパスを生成することができ、超音波診断を迅速に行うとともに、以後のスキャンに用いるスキャンパスを容易に生成することを可能にする。
(第5の実施形態)
第1~第4の実施形態では、単一の手段(例えば、仮スキャンによって取得した反射波データや、カメラで撮影した画像など)を用いて被検体の体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得し、取得した位置関係に基づいて、スキャンパスを生成する場合について説明した。第5の実施形態では、複数の手段を用いて被検体の体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を複数取得し、取得した複数の位置関係の情報に基づいてスキャンパスを生成する場合について説明する。
ここで、第5の実施形態に係る超音波診断装置は、被検体の体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得する手段に応じた構成となる。例えば、仮スキャンによって取得した反射波データ、及び、カメラで撮影した画像を用いて、体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係をそれぞれ取得する場合、超音波診断装置は、図9で示した構成を有し、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明した各処理を実行する。すなわち、第5の実施形態に係る超音波診断装置は、第1~第4の実施形態において説明した超音波診断装置のうち、被検体の体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得するために必要な構成を有し、対応する処理をそれぞれ実行する。
以下、仮スキャンによって取得した反射波データ、及び、カメラで撮影した画像を用いて、体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係(距離情報)をそれぞれ取得する場合の超音波診断装置の処理を一例に挙げて説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得する手段の組み合わせは任意である。また、以下では、体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得する手段として2種類の手段を用いる場合を例に挙げて説明するが、3種類以上の手段を用いることも可能である。
例えば、仮スキャンによって取得した反射波データ、及び、カメラで撮影した画像を用いて、体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係を取得する場合、超音波診断装置は、第1の実施形態にて説明した各処理を実行することで、仮スキャンを実行して反射波データを取得し、取得した反射波データに基づいて、体表面と超音波プローブ2の送受信面との距離を取得する。また、超音波診断装置は、第2の実施形態にて説明した各処理を実行することで、カメラで画像を撮影し、撮影した画像に基づいて、体表面と超音波プローブ2の送受信面との距離を取得する。なお、反射波データの取得及びカメラによる画像の撮影は、同時に実施される場合でもよく、或いは、別々に実施される場合でもよい。
上述したように、各手段によって体表面と超音波プローブ2の送受信面との位置関係(距離)の情報を取得すると、第5の実施形態に係る生成機能556は、各手段によって取得された距離に基づいて、スキャンパスを生成する。ここで、生成機能556は、操作者による操作に応じたスキャンパスの生成と、各手段によって取得された距離と閾値との比較に基づくスキャンパスの生成を実行する。以下、操作者による操作に応じたスキャンパスの生成と、各手段によって取得された距離と閾値との比較に基づくスキャンパスの生成とについて順に説明する。
例えば、操作者による操作に応じてスキャンパスを生成する場合、まず、制御機能551が、処理結果をディスプレイ3にて表示するように制御する。すなわち、制御機能551は、各手段によって取得された距離に関する情報をディスプレイ3にて表示させる。一例を挙げると、生成機能556が、反射波データに基づく距離に応じたスキャンパスと、画像に基づく距離に応じたスキャンパスとを生成する。制御機能551は、生成機能556によって生成されたスキャンパスをディスプレイ3にて表示させる。
図15は、第5の実施形態に係るスキャンパスの表示の一例を示す図である。例えば、制御機能551は、図15に示すように、反射波データに基づく距離に応じたスキャンパスa5と、画像に基づく距離に応じたスキャンパスa6とをディスプレイ3にて表示させる。
操作者は、ディスプレイ3に表示された各スキャンパスを参照して、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスを決定する。例えば、操作者は、入力インターフェース4を操作して、スキャンパスa5又はスキャンパスa6を選択することで、どちら一方のスキャンパスを実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして決定する。
ここで、制御機能551は、各スキャンパスについて、位置ごとの距離を閾値と比較し、比較結果に基づいて、スキャンパスの表示形態を変化させることができる。例えば、制御機能551は、図15に示すスキャンパスa5及びスキャンパスa6において、体表面と超音波プローブ2の送受信面との距離が閾値を超えた位置を強調して表示させる。なお、閾値は、各手段によって取得された距離が、体表面と超音波プローブ2の送受信面との距離として妥当なものであるか否かを判定するためのものであり、予め設定される。これにより、操作者は、ディスプレイ3にて表示されたスキャンパスが妥当なものであるか否かを一目で判断することができる。
例えば、操作者は、ディスプレイ3にて表示されたスキャンパスにおいて強調表示された位置がない場合、当該スキャンパスが全域にわたって妥当なものであると判断することができ、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして決定することができる。一例を挙げると、図15に示すスキャンパスa5又はスキャンパスa6のどちらにも強調表示がない場合には、操作者は、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして、いずれかのスキャンパスを選択することができる。
一方、ディスプレイ3にて表示されたスキャンパスにおいて強調表示された位置がある場合、操作者は、当該スキャンパスにおいて強調表示された位置が妥当なものでないと判断することができ、それに基づいてスキャンパスを決定することができる。例えば、スキャンパスa5に強調表示された位置がなく、スキャンパスa6に強調表示された位置がある場合には、操作者は、スキャンパスa5を、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして選択することができる。
また、例えば、スキャンパスa5に強調表示された位置がなく、スキャンパスa6に強調表示された位置がある場合には、操作者は、スキャンパスa6において強調表示された位置の距離を、スキャンパスa5の同一位置の距離の値で置換することで、スキャンパスa6を部分的に修正し、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして選択することができる。
操作者は、入力インターフェースを操作することで上記したスキャンパスの選択を行う。生成機能556は、操作者による操作に応じて、複数の手段によって取得された距離の情報から、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスを生成する。
次に、各手段によって取得された距離と閾値との比較に基づいてスキャンパスを生成する場合、生成機能556は、各手段で取得された各位置の距離を閾値と比較して、比較結果に応じてスキャンパスを決定する。例えば、生成機能556は、反射波データに基づく位置ごとの距離を閾値とそれぞれ比較して、閾値を超えた位置を抽出する。同様に、生成機能556は、画像に基づく位置ごとの距離を閾値とそれぞれ比較して、閾値を超えた位置を抽出する。
ここで、どちらの抽出結果においても閾値を超えた位置が抽出されなかった場合、生成機能556は、いずれか一方の距離に基づくスキャンパスを、実際に超音波プローブ2を移動させるために用いるスキャンパスとして生成する。ここで、生成機能556は、予め設定された優先度に基づいて、スキャンパスの生成に用いる距離の情報を選択する場合でもよい。
また、例えば、生成機能556は、どちら抽出結果においても閾値を超えた位置が抽出されなかった場合に、各手段によって取得された距離の平均値を位置ごとに算出し、算出した位置ごとの平均値を用いてスキャンパスを生成することもできる。
一方、閾値を超えた位置が抽出された場合、生成機能556は、スキャンパスの生成に閾値を超えた距離の値を用いないように制御する。例えば、一方の抽出結果においてのみ閾値を超えた位置が抽出された場合、生成機能556は、閾値を超えた位置が抽出されなかった方の距離情報を用いてスキャンパスを生成することができる。一例を挙げると、反射波データに基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出され、画像に基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出されなかった場合、生成機能556は、画像に基づく位置ごとの距離を用いてスキャンパスを生成する。
また、閾値を超えた位置が抽出された場合に、生成機能556は、一方の抽出結果で閾値を超えた位置の距離の値を、他方の抽出結果で閾値を超えなかった同一位置の距離の値で置換することで、部分的に修正し、修正した距離に基づいてスキャンパス生成することもできる。例えば、反射波データに基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出され、画像に基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出されなかった場合、生成機能556は、反射波データに基づく距離において閾値を超えた位置の値を、画像に基づく距離における同一位置の値に置換する。そして、生成機能556は、部分的に画像に基づく距離に置換された、反射波データに基づく距離に基づいて、スキャンパスを生成する。
また、閾値を超えた位置が抽出された場合に、生成機能556は、閾値を超えた位置に隣接する位置の値を用いて線形補間を実行することで、距離の情報を補正し、補正した距離を用いて、スキャンパスを生成することもできる。例えば、反射波データに基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出され、画像に基づく位置ごとの距離と閾値との比較結果において閾値を超えた位置が抽出された場合に、生成機能556は、まず、反射波データに基づく距離をスキャンパスの生成に用いることを決定する。そして、生成機能556は、反射波データに基づく距離において、閾値を超えた位置の値を、閾値を超えていない隣接する位置の値を用いた線形補間によって補正し、補正後の距離を用いてスキャンパスを生成する。
なお、上述した例はあくまでも一例である。すなわち、生成機能556は、上述した処理を適宜組み合わせてスキャンパスを生成することができる。
次に、図16を用いて、第5の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。図16は、第5の実施形態に係る超音波診断装置の処理の手順を説明するためのフローチャートである。図16に示すステップS501は、処理回路55がメモリ54から位置合わせ機能555に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS502~ステップS505及びステップS509は、処理回路55がメモリ54から制御機能551及びメカ制御機能554に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS506、ステップS507、ステップS509~ステップS511は、処理回路55がメモリ54から生成機能556に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
第5の実施形態に係る超音波診断装置では、処理回路55が、超音波プローブ2の位置情報とメカ機構7の位置情報(駆動量の情報)とを関連付ける(ステップS501)。そして、処理回路55は、メカ機構7により超音波プローブ2を移動しながら複数の手段により被検体の体表面の位置情報を取得して(ステップS502)自動生成モードか否かを判定する(ステップS503)。
ここで、自動生成モードではない場合(操作者による操作を受け付ける場合)には(ステップS503否定)、処理回路55は、複数の手段で取得した位置情報に基づくスキャンパスをそれぞれ生成して表示させる(ステップS504)。そして、処理回路55は、操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS505)。ここで、操作を受け付けた場合には(ステップS505肯定)、処理回路55は、操作に応じて各位置について、体表面から所定の距離離れたスキャンパスを生成する(ステップS506)。なお、操作を受け付けるまで、処理回路55は待機状態である(ステップS505否定)。
続いて、処理回路55は、超音波プローブ2の移動速度に基づいて、スキャンパスに移動情報を加味したメカ機構制御情報を生成する(ステップS507)。その後、処理回路55は、メカ機構制御情報に基づいて、メカ機構7を制御して、被検体をスキャンする(ステップS508)。
一方、ステップS503の判定において、自動生成モードである場合には(ステップS503肯定)、処理回路55は、複数の手段によって取得した位置情報の値が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS509)。ここで、値が閾値を超えた場合には(ステップS509肯定)、処理回路55は、閾値を超えた位置について、線形補間によって取得した位置情報、又は、閾値を超えなかった手段で取得した位置情報に基づいてスキャンパスを生成する(ステップS510)。
一方、値が閾値を超えていない場合には(ステップS509否定)、処理回路55は、予め決められた優先度の高い手段によって取得された位置情報に基づいて、スキャンパスを生成する(ステップS511)。なお、ステップS510及びステップS511の後、処理回路55は、ステップS507の処理に進み、処理を実行する。
上述したように、第5の実施形態によれば、処理回路55は、スキャンパスをディスプレイ3にて表示させるように制御する。従って、第5の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者によるスキャンパスの選択を可能にする。
また、第5の実施形態によれば、入力インターフェース4は、ディスプレイ3にて表示されたスキャンパスに対する操作を受け付ける。処理回路55は、入力インターフェース4によって受け付けられた操作に応じて、超音波プローブ2を移動させるスキャンパスを決定する。従って、第5の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者によるスキャンパスの編集を可能にする。
また、第5の実施形態によれば、処理回路55は、被検体に対して超音波プローブ2が移動された位置ごとに、画像に基づく距離および反射波データに基づく距離のいずれか一方を選択することで、スキャンパスを生成する。また、第5の実施形態によれば、被検体に対して超音波プローブが移動された位置ごとに、距離センサによって計測された距離および反射波データに基づく距離のいずれか一方を選択することで、スキャンパスを生成する。従って、第5の実施形態に係る超音波診断装置は、より精度の高いスキャンパスの生成を可能にする。
(第6の実施形態)
さて、これまで第1~第5の実施形態について説明したが、上述した第1~第5の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1~第3の実施形態では、被検体の体表面から所定の距離離れたスキャンパスを生成する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定するものではなく、例えば、体表面からの距離が所定の範囲内となるスキャンパスを生成する場合でもよい。例えば、体表面からの距離が、「6cm~8cm」となるスキャンパスを生成する場合でもよい。
また、上述した実施形態では、超音波プローブ2が装置本体5にケーブルを介して接続される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波プローブによる超音波の送受信が無線で制御される場合であってもよい。かかる場合には、例えば、超音波プローブのプローブ本体に送受信回路が内蔵され、超音波プローブによる超音波の送受信は、無線によって他の装置から制御される。本実施形態に係る超音波診断装置は、このような無線式の超音波プローブのみを含む形態のものであってもよい。
また、上述した実施形態では、超音波診断装置1が各種処理を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、スキャンパスの生成に関して、超音波診断装置1が実行するものとして説明した処理の一部または全部を超音波スキャン支援装置が実行する場合でもよい。ここで、本願に係る超音波スキャン支援装置は、コンピュータ等で実現される場合でもよく、或いは、メカ機構7で実現される場合でもよい。例えば、メカ機構7にて実現する場合、スキャンパスの生成に関して超音波診断装置1が実行するものとして説明した処理の一部または全部を、超音波スキャン支援装置としてのメカ機構7が実行する。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
なお、上記の実施形態の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態で説明した処理方法は、あらかじめ用意された処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、実施形態によれば、スキャンパスを容易に生成することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。