JP7300902B2 - 含窒素有機物の処理装置及び処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、含窒素有機物の処理装置及び処理方法に関する。
下水汚泥や畜産汚泥等の含窒素有機物を処理する方法としては、汚泥を直接脱水処理した後に焼却処理する方法や、微生物を用いた生物的処理により減容した汚泥を脱水処理し、その後焼却処理する方法等が知られている。
近年では、水の臨界点(374℃、22MPa)以上の高温高圧の条件(超臨界条件)下で含窒素有機物を処理する技術が検討されている。超臨界条件下で含窒素有機物を処理すると、含窒素有機物を完全に分解し、無害化することが可能となる。
しかし、超臨界条件下での処理は、腐食の激しい高温高圧条件下で行われるため、装置の耐久性が問題となる。そこで、超臨界条件よりも低温又は低圧である亜臨界条件下で含窒素有機物を処理する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、まず、最初の工程で含窒素有機物中の比較的酸化されやすい炭素成分及び水素成分等を二酸化炭素と水に酸化し、窒素成分をアンモニアや低分子量の含窒素有機物に変換する。その後、第二の工程でアンモニアと残存窒素有機物を無害な窒素、二酸化炭素、水に分解している。
特許第4838013号公報
ところで、近年、アンモニアが、水素エネルギーの貯蔵、輸送媒体(エネルギーキャリア)、また、アンモニアを直接燃焼させる燃料(エネルギー源)として注目されている。
特許文献1の発明では、含窒素有機物中の窒素の有効利用について考慮されていない。
加えて、特許文献1の発明では、酸素、空気等の酸化剤の供給を必須としており、酸化分解する処理装置が大型化するといった問題がある。
そこで、本発明は、含窒素有機物からアンモニアを分離でき、かつ、装置の小型化が図れる含窒素有機物の処理装置及び処理方法を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1] 含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、前記含窒素有機物を酸化処理するための酸素量を1とした場合、酸素比が0.1以下である嫌気条件とし、アンモニアを含む第一の流体を生成する熱分解部と、吸着剤としてプルシアンブルー及びプルシアンブルー類似体から選ばれる1種以上の化合物を有する、前記第一の流体からアンモニアを分離するアンモニア分離部と、を備える、含窒素有機物の処理装置。
[2]含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、前記含窒素有機物を酸化処理するための酸素量を1とした場合、酸素比が0.1以下である嫌気条件とし、アンモニアを含む第一の流体を生成する熱分解工程と、吸着剤としてプルシアンブルー及びプルシアンブルー類似体から選ばれる1種以上の化合物を使用する、前記第一の流体からアンモニアを分離するアンモニア分離工程と、を備える、含窒素有機物の処理方法。
[3]前記アンモニア分離部が吸着塔であり、前記熱分解部で発生した反応熱を前記吸着塔の加熱源として使用する[1]記載の含窒素有機物の処理装置。
[4]前記アンモニア分離工程は吸着塔で行われ、前記熱分解工程で発生した反応熱を前記吸着塔の加熱源として使用する[2]記載の含窒素有機物の処理方法。
本発明の含窒素有機物の処理装置及び処理方法によれば、含窒素有機物からアンモニアを分離でき、かつ、装置の小型化が図れる。
本発明の第一実施形態に係る含窒素有機物の処理装置の模式図である。 本発明の第二実施形態に係る含窒素有機物の処理装置の模式図である。 含窒素有機物の組成の一例を示す表である。 含窒素有機物を亜臨界熱分解処理した場合のアンモニア性窒素としての発生率の一例を示すグラフである。 含窒素有機物を亜臨界熱分解処理した場合のアンモニア性窒素としての発生率の一例を示すグラフである。 含窒素有機物を亜臨界熱分解処理した場合のアンモニア性窒素としての発生率の一例を示すグラフである。 含窒素有機物を嫌気条件で熱分解した場合と酸化条件で燃焼した場合との亜酸化窒素の発生量の一例を示すグラフである。
本明細書において、水の亜臨界条件は、水の臨界温度(374℃)未満かつ水の臨界圧力(22MPa)未満、水の臨界温度以上かつ水の臨界圧力未満、又は水の臨界温度未満かつ水の臨界圧力以上のいずれをも含む。
本明細書では、上記の水の亜臨界条件での含窒素有機物の熱分解を亜臨界熱分解処理という。
[第一実施形態]
<含窒素有機物の処理装置>
本発明の含窒素有機物の処理装置は、熱分解部と、アンモニア分離部とを備える。
以下に、本発明の含窒素有機物の処理装置の第一実施形態について、図1に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の含窒素有機物の処理装置1(以下、単に処理装置1ともいう。)は、供給部10と、熱分解部20と、アンモニア分離部30とを備える。
供給部10と熱分解部20とは、配管L0によって接続されている。熱分解部20とアンモニア分離部30とは、配管L1によって接続されている。
熱分解部20は、熱分解槽21と、第一ヒーター22と、第一測定部23と、高圧ポンプP1と、圧力調整バルブB1とを備える。熱分解槽21には、第一測定部23が接続されている。熱分解槽21には、配管L0、配管L1、配管L2が接続されている。高圧ポンプP1は、配管L0に設けられている。圧力調整バルブB1は、配管L1に設けられている。排出ポンプP2は、配管L2に設けられている。
アンモニア分離部30は、吸着塔31と、吸着塔32と、気液分離器37と、第二ヒーター33と、第三ヒーター34と、第二測定部35と、第三測定部36と、開閉バルブB6、B7と、圧力調整バルブB8~B11と、配管L6~L11とを備える。アンモニア分離部30には、配管L3と、配管L4と、配管L5とが接続されている。
配管L1は、分岐50で配管L6と配管L7とに接続されている。配管L6は、吸着塔31に接続されている。配管L7は、吸着塔32に接続されている。吸着塔31には、第二測定部35が接続されている。吸着塔32には、第三測定部36が接続されている。吸着塔31と気液分離器37とは、配管L10によって接続されている。吸着塔31には、配管L8が接続されている。吸着塔32には、配管L9が接続されている。配管L8は、分岐51で配管L3と接続されている。配管L9は、分岐51で配管L3と接続されている。気液分離器37には、配管L4が接続されている。気液分離器37には、配管L5が接続されている。吸着塔32には、配管L11が接続されている。配管L11は、分岐52で配管L10と接続されている。
開閉バルブB6は、配管L6に設けられている。開閉バルブB7は、配管L7に設けられている。
圧力調整バルブB8は、配管L8に設けられている。圧力調整バルブB9は、配管L9に設けられている。圧力調整バルブB10は、配管L10に設けられている。圧力調整バルブB11は、配管L11に設けられている。
供給部10は、含窒素有機物を熱分解部20の熱分解槽21に供給する。供給部10としては、含窒素有機物を供給できればよく、下水処理施設の配水管の一部や有機汚泥を一時貯留することができるタンクや、有機汚泥を積載する車両等が挙げられる。
熱分解槽21としては、例えば、ステンレスやニッケル合金等の金属製の耐圧容器が挙げられる。
吸着塔31としては、例えば、第一の流体中のアンモニアを吸着する吸着剤が充填された耐圧容器が挙げられる。耐圧容器は、例えば、ステンレスやニッケル合金等の金属製の容器が挙げられる。
吸着塔32としては、吸着塔31と同様の耐圧容器が挙げられる。吸着塔32と吸着塔31とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
気液分離器37としては、熱交換器を備える凝縮器など従来公知の機器が挙げられる。
第一ヒーター22としては、熱分解槽21の内部を加熱可能なヒーターであればよく、高温の水蒸気を通流させるスチームヒーターや、ガスボイラー等が挙げられる。
第二ヒーター33としては、第一ヒーター22と同様のヒーターが挙げられる。第二ヒーター33と第一ヒーター22とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第三ヒーター34としては、第一ヒーター22と同様のヒーターが挙げられる。第三ヒーター34と第一ヒーター22とは、異なっていてもよく、同じでもよい。第三ヒーター34と第二ヒーター33とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第一測定部23としては、熱分解槽21の内部の温度、圧力、アンモニア濃度等を測定できればよく、公知の温度計、圧力計、濃度測定計等を例示できる。
第二測定部35としては、第一測定部23と同様の計器が挙げられる。第二測定部35と第一測定部23とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第三測定部36としては、第一測定部23と同様の計器が挙げられる。第三測定部36と第一測定部23とは、異なっていてもよく、同じでもよい。第三測定部36と第二測定部35とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
高圧ポンプP1としては、供給部10から含窒素有機物を熱分解部20の熱分解槽21へと圧送できればよく、高圧送液ポンプやコンプレッサー等が挙げられる。
排出ポンプP2としては、熱分解槽21から含窒素有機物の固形分を外部へと圧送できればよく、吸引ポンプや真空ポンプ等が挙げられる。
圧力調整バルブB1としては、公知のバルブや圧力調整弁等を例示できる。圧力調整バルブB1は、開閉バルブとしての機能を有していてもよい。
圧力調整バルブB8~B11としては、圧力調整バルブB1と同様のバルブが挙げられる。圧力調整バルブB8~B11と圧力調整バルブB1とは、異なっていてもよく、同じでもよい。また、圧力調整バルブB8~B11は、それぞれが異なっていてもよく、同じでもよい。
開閉バルブB6としては、公知のバルブや開閉弁等を例示できる。
開閉バルブB7としては、開閉バルブB6と同様のバルブが挙げられる。開閉バルブB7と開閉バルブB6とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第一ヒーター22、第二ヒーター33、第三ヒーター34、第一測定部23、第二測定部35、第三測定部36、高圧ポンプP1、排出ポンプP2、圧力調整バルブB1、B8~B11、開閉バルブB6、B7は、外部に設けられた制御部(不図示)によって、ON、OFF、開閉等を一括して制御することが好ましい。
配管L0としては、ステンレス等の金属製の配管等が挙げられる。
配管L1~L11としては、配管L0と同様の配管が挙げられる。
配管L1、L2、L6~L11は、耐圧性を有する配管であることが好ましい。
配管L1~L11と配管L0とは、異なっていてもよく、同じでもよい。また、配管L1~L11は、それぞれが異なっていてもよく、同じでもよい。
<含窒素有機物の処理方法>
本発明の含窒素有機物の処理方法は、含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、嫌気条件とし、アンモニアを含む第一の流体を生成する熱分解工程と、前記第一の流体からアンモニアを分離するアンモニア分離工程と、を備える。
処理装置1を用いた含窒素有機物の処理方法について、図1に基づいて説明する。
まず、開閉バルブB7及び圧力調整バルブB8、B9、B11を閉とする。
次に、含窒素有機物を含む混合物と水のスラリー混合物とを供給部10から高圧ポンプP1を介して、それぞれ熱分解部20に供給する。この際、酸素や空気等を熱分解部20に送り込まないことで、熱分解部20の熱分解槽21を嫌気条件としている。熱分解槽21を嫌気条件とする方法としては、この他、希ガス等の不活性ガスで熱分解槽21をパージする方法等が挙げられる。
含窒素有機物とは、窒素成分を含む有機物を指す。含窒素有機物としては、メタン発酵工程から排出されるアンモニア含有消化液、食品廃棄物、家畜排泄物、下水の濃縮汚泥や消化汚泥、有機汚泥等のバイオマス廃棄物等が挙げられる。
含窒素有機物は水分を含んでおり、通常、脱水してから焼却等が行われる。
本実施形態の処理装置1では、熱分解槽21を高温高圧にして含窒素有機物を熱分解し、水蒸気を含むガス成分と固形分とを分離するため、脱水工程及び焼却工程が不要である。
加えて、本実施形態の処理装置1では、熱分解槽21を嫌気条件にして含窒素有機物を熱分解するため、酸素や空気等の酸化剤を供給する工程が不要である。
なお、熱分解工程で生成する含窒素有機物の固形分は、排出ポンプP2を用いて、配管L2を介して熱分解槽21の外部へと排出できる。
含窒素有機物の含水率は、90質量%以上が好ましい。含窒素有機物の含水率が上記下限値以上であると、供給部10から熱分解部20への流動性に優れ、処理装置1を連続して運転できるため、処理装置1の処理効率を向上しやすい。
(熱分解工程)
含窒素有機物を含む混合物と水のスラリー混合物とを熱分解部20の熱分解槽21に供給した後、第一ヒーター22を加熱し、かつ、高圧ポンプP1を加圧し、含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、嫌気条件とする。
含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、嫌気条件とすることで、含窒素有機物は、二酸化炭素、水、アンモニア等に熱分解され、第一の流体が生成する。
熱分解工程における熱分解槽21の内部温度(以下、第一処理温度ともいう。)は、第一測定部23により測定できる。
第一処理温度は、水の臨界温度(374℃)以上であり、374℃以上500℃以下が好ましく、400℃以上450℃以下がより好ましい。第一処理温度が上記下限値以上であると、含窒素有機物を十分に熱分解することができる。第一処理温度が上記上限値以下であると、第一の流体に含まれるアンモニアへの転化率を向上しやすく、第一ヒーター22を加熱する際のエネルギーを節約しやすい。
熱分解工程における熱分解槽21の内部圧力(以下、第一処理圧力ともいう。)は、第一測定部23により測定できる。
第一処理圧力は、水の臨界圧力(22MPa)未満であり、5MPa以上20MPa以下が好ましく、10MPa以上20MPa以下がより好ましく、10MPa以上15MPa以下がさらに好ましい。第一処理圧力が上記下限値以上であると、含窒素有機物を十分に熱分解することができる。第一処理圧力が上記上限値以下であると、熱分解槽21にかかる負荷を低減しやすい。
熱分解工程における加熱加圧時間(以下、第一処理時間ともいう。)は、1分以上30分以下が好ましく、3分以上20分以下がより好ましく、5分以上15分以下がさらに好ましい。第一処理時間が上記下限値以上であると、含窒素有機物を十分に熱分解することができる。第一処理時間が上記上限値以下であると、第一の流体に含まれるアンモニアへの転化率を向上しやすく、第一ヒーター22を加熱する際のエネルギーを節約しやすい。
含窒素有機物として、図3に示す元素組成を有する下水汚泥(消化汚泥)を亜臨界水酸化処理する場合を考える。図3に示す元素組成は、乾燥固形物に対する元素組成であり、「Ash」は、灰分を表す。
図3の消化汚泥中の炭素、水素、窒素、酸素の割合から消化汚泥の模擬的な組成式を決定し、その消化汚泥を酸化処理するための酸素量を下記式(1)にて推算する。この際必要な酸素量を化学量論(酸素比=1)とする。
5.911.2NO3.3+6.3O → 5.9CO+4.1HO+NH・・・(1)
式(1)より、消化汚泥1kgを酸素比1で亜臨界水酸化処理をする場合、36.6gの酸素が必要となる。
亜臨界水酸化処理をする場合、酸化処理を確実にするため、通常は、酸素比を増やして反応させる。酸素比を1.2とした場合、36.6g×1.2=43.9gの酸素が必要となる。
例えば、400℃、10MPaの反応条件で亜臨界水酸化処理を行った場合、消化汚泥中の水分がガス化することにより、その体積は25.7Lとなる。43.9gの酸素は、0.8Lとなり、処理装置1の3.0%を占める。
亜臨界水酸化処理を行う場合、通常、空気(窒素80%、酸素20%)を利用する。43.9gの酸素を確保するためには、164.9Lの空気(20℃試算)が必要である。この空気の処理装置1内での容積は、4.0Lとなり、処理装置1の13.4%を空気が占めることとなる。
熱分解工程では、嫌気条件で熱分解を行うため、消化汚泥の水分のガス化のみの容積を考慮すればよく、処理装置1の13.4%の縮小化が可能となる。加えて、熱分解工程では、熱分解部20に外部から酸素や空気を供給する必要がなく、酸素や空気を供給するための設備を必要としない。このため、処理装置1の小型化を図れる。
さらに、本実施形態では、嫌気条件で熱分解を行うため、亜酸化窒素の発生量を著しく低減できる。この点については、後述する。
本明細書において、嫌気条件とは、外部から酸素や空気を供給しないことをいい、含窒素有機物を酸化するための酸素が実質的にない条件をいう。
ここで、「含窒素有機物を酸化するための酸素が実質的にない」とは、酸素比が0.1以下であることをいう。
なお、含窒素有機物に含まれている溶存酸素や、溶存している結合性の酸素は存在していてもよい。すなわち、本明細書における嫌気条件は、一般的な水処理における「嫌気条件」(溶存酸素や結合性の酸素が一切存在しない条件)とは異なる意味で定義される。
熱分解工程で生成された第一の流体は、配管L1を介してアンモニア分離部30へと流入する。
(アンモニア分離工程)
アンモニア分離工程は、第一の流体に含まれるアンモニアを分離する工程である。
アンモニア分離部30へと流入した第一の流体は、配管L6を介して吸着塔31へと流入する。
吸着塔31の内部には、アンモニアを選択的に吸着する吸着剤(不図示)が充填されている。
吸着剤としては、例えば、ゼオライト、リン酸マグネシウム等、公知の吸着剤が挙げられる。吸着剤としては、下記一般式(2)で表される化合物を適用してもよい。
M[M’(CN)・zHO ・・・(2)
式(2)中、xは0~3、yは0.1~1.5、zは0~6の数値を表し、Aは、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種の陽イオンを表し、M、M’は、それぞれ独立に原子番号3~83の原子からなる群より選択される少なくとも1種の陽イオン(ただし、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンを除く。)を表す。
式(2)で表される化合物は、いわゆるプルシアンブルー及びプルシアンブルー類似体から選ばれる1種以上の化合物である。プルシアンブルー(以下、「PB」ともいう。)は、式(2)におけるMが第一鉄イオン(Fe2+)又は第二鉄イオン(Fe3+)であり、式(2)におけるM’がFe2+又はFe3+である化合物である。PBは、いわゆる紺青と呼ばれる濃青色の錯体である。プルシアンブルー類似体(以下、「PB類似体」ともいう。)は、プルシアンブルーと同様の構造を有し、式(2)におけるM又はM’を鉄以外の遷移金属元素の陽イオンに置き換えた化合物である。PB類似体は、ヘキサシアノ金属イオンを有する金属シアノ錯体である。
式(2)において、xは0~3であり、0.1~2.5が好ましく、0.1~2.0がより好ましい。xが0の場合、PB又はPB類似体が、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンを含有しないことを意味する。
式(2)において、yは0.1~1.5であり、0.2~1.3が好ましく、0.3~1.0がより好ましい。
式(2)において、zは0~6であり、0~5が好ましく、0~4がより好ましい。
PB又はPB類似体は、特定の結晶構造を有し、その結晶構造の内部に、対象となる化学物質を取り込むことができるナノ空隙構造を有する。ナノ空隙構造、すなわち空孔サイズの大きさは、0.3~0.6nmの範囲にあり、これらのナノ空隙構造が規則的に繰り返されているため、PB又はPB類似体は、非常に大きな表面積を有する。このため、PB又はPB類似体は、対象となる化学物質を効率よく取り込むことができる。対象となる化学物質としては、アンモニア、アミン等の臭気ガスが挙げられ、PB又はPB類似体に取り込まれる効率が高いことから、アンモニアが好ましい。
式(2)において、Aは、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種の陽イオンである。Aとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオン等が挙げられる。Aとしては、製造コストの観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
式(2)において、Mは、原子番号3~83の原子からなる群より選択される少なくとも1種の陽イオン(ただし、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンを除く。)である。Mとしては、バナジウムイオン、クロム(III)イオン、マンガン(II)イオン、第一鉄イオン、第二鉄イオン、ルテニウムイオン、コバルト(II)イオン、コバルト(III)イオン、ロジウムイオン、ニッケルイオン、パラジウムイオン、白金イオン、銅(II)イオン、銀イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、インジウムイオン、ランタンイオン、ユーロピウム(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、ルテチウムイオン等が挙げられる。Mとしては、対象となる化学物質の吸着を制御しやすい観点から、マンガン(II)イオン、第一鉄イオン、第二鉄イオン、コバルト(II)イオン、コバルト(III)イオン、ニッケルイオン、銅(II)イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオンが好ましく、ニッケルイオン、亜鉛イオンがより好ましい。また、アンモニアを低濃度から高濃度まで定量的、安定的に吸着し、吸着と脱離のための吸着剤として好ましい観点から、Mとしては、インジウムイオンが好ましい。
式(2)において、M’は、原子番号3~83の原子からなる群より選択される少なくとも1種の陽イオン(ただし、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンを除く。)である。M’としては、バナジウムイオン、クロム(III)イオン、モリブデンイオン、タングステンイオン、マンガンイオン、第一鉄イオン、第二鉄イオン、ルテニウムイオン、コバルト(II)イオン、コバルト(III)イオン、ニッケルイオン、白金イオン、銅(II)イオン等が挙げられる。M’としては、シアン化合物の安定性の観点から、マンガンイオン、第一鉄イオン、第二鉄イオン、コバルト(II)イオン、コバルト(III)イオン、ニッケルイオン、銅イオンが好ましく、第二鉄イオン、コバルト(III)イオンがより好ましい。
式(2)におけるMとM’との組合せとしては、様々な組み合わせが可能である。MとM’との組合せとしては、例えば、MがFe3+、M’がFe2+の組合せ、Mが銅(II)イオン(Cu2+)、M’がFe2+の組合せ、Mが亜鉛イオン(Zn2+)、M’がコバルト(III)イオン(Co3+)の組合せ、Mがコバルト(II)イオン(Co2+)、M’がCo3+の組合せ等が挙げられる。
PB又はPB類似体は、式(2)で表される化合物を含有していればよく、例えば、高分子や樹脂との混合物、ガラスウール、ゼオライトやモレキュラーシーブ等の他の無機物との混合物であってもよい。また、有機物ポリマー又は金属や酸化物の無機物から成るフィルターや板材に固定した態様であってもよい。この他、多孔性容器又はガスを通すことができる二次元状のシートに詰めた態様、もしくは包んで容器とした態様、ジェル、インク、フィルム、プラスチック、樹脂、粉、砂、水やアルコールの液体に混ぜた態様であってもよい。
第一の流体に含まれるアンモニアは、吸着塔31の内部に充填された吸着剤によって選択的に吸着され、分離される。
アンモニアが吸着された後の第一の流体は、配管L10を介して気液分離器37へと流入する。
次に、開閉バルブB6及び圧力調整バルブB10を閉とし、開閉バルブB7及び圧力調整バルブB8、B11を開とする。
アンモニア分離部30へと流入した第一の流体は、配管L7を介して吸着塔32へと流入する。
吸着塔32の内部には、アンモニアを選択的に吸着する吸着剤(不図示)が充填されている。
吸着塔32の内部の吸着剤としては、吸着塔31の内部の吸着剤と同様の吸着剤が挙げられる。吸着塔302の内部の吸着剤と吸着塔31の内部の吸着剤とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第一の流体に含まれるアンモニアは、吸着塔32の内部に充填された吸着剤によって選択的に吸着され、分離される。
アンモニアが吸着された後の第一の流体は、配管L11、分岐52、配管L10を介して気液分離器37へと流入する。
吸着塔32でアンモニアを吸着している間に吸着塔31が減圧されることで、吸着塔31の内部の吸着剤に吸着されたアンモニアの全部又は一部が吸着剤から脱離される。また、第二ヒーター33で吸着塔31を加熱することで、吸着塔31の内部の吸着剤に吸着されたアンモニアを脱離してもよい。
吸着剤から脱着されたアンモニアは、配管L8、分岐51、配管L3を介して処理装置1の外部へと回収される。
この際、アンモニアは、気体であってもよく、液体であってもよい。外部へと回収されるアンモニアは、エネルギー源としての利用において取り扱いが容易となる観点から、液体であることが好ましい。例えば、吸着塔31の内部の圧力を0.8MPa以上となるように圧力調整バルブB8を調整することにより、液体としてアンモニアを回収できる。
次に、開閉バルブB7及び圧力調整バルブB8、B11を閉とし、開閉バルブB6及び圧力調整バルブB9、B10を開とする。
吸着塔31でアンモニアを吸着している間に吸着塔32が減圧されることで、吸着塔32の内部の吸着剤に吸着されたアンモニアの全部又は一部が吸着剤から脱離される。また、第三ヒーター34で吸着塔32を加熱することで、吸着塔32の内部の吸着剤に吸着されたアンモニアを脱離してもよい。
吸着剤から脱着されたアンモニアは、配管L9、分岐51、配管L3を介して処理装置1の外部へと回収される。
例えば、吸着塔32の内部の圧力を0.8MPa以上となるように圧力調整バルブB9を調整することにより、液体としてアンモニアを回収できる。
アンモニア分離工程で、二つの吸着塔31と32とを交互に用いることで、一方の吸着塔でアンモニアを吸着している間に、他方の吸着塔を加熱し、アンモニアを吸着剤から脱着させることができる。
このように、二つの吸着塔31と32とを交互に用いることで、効率よくアンモニアを分離し、回収できる。
なお、本実施形態では、二つの吸着塔を用いているが、吸着塔の数は二つに限られず、三つ以上でもよい。
吸着塔31の内部の温度及び圧力は、第二測定部35によって測定できる。吸着塔32の内部の温度及び圧力は、第三測定部36によって測定できる。
アンモニアの状態は、吸着塔31又は32の内部の温度及び圧力によって制御できる。
吸着塔31の内部の温度は、第二ヒーター33によって制御できる。吸着塔32の内部の温度は、第三ヒーター34によって制御できる。吸着塔31の内部の圧力は、圧力調整バルブB8、B10によって制御できる。吸着塔32の内部の圧力は、圧力調整バルブB9、B11によって制御できる。
第二ヒーター33の熱源としては、熱分解工程における亜臨界熱分解処理による反応熱を利用できる。前記反応熱を利用することにより、第二ヒーター33の消費エネルギーを節約できる。
第三ヒーター34の熱源としては、熱分解工程における亜臨界熱分解処理による反応熱を利用できる。前記反応熱を利用することにより、第三ヒーター34の消費エネルギーを節約できる。
気液分離器37へと流入した第一の流体は、気体と液体とに分離される。
第一の流体から分離された気体は、配管L4を介して処理装置1の外部へと排出される。
第一の流体から分離された液体は、配管L5を介して処理装置1の外部へと排出される。
本実施形態の処理装置1によれば、亜臨界熱分解処理によって速やかに含窒素有機物を処理できる。
本実施形態では、酸素や空気を供給するための設備を必要としないため、処理装置1の小型化を図れる。
加えて、本実施形態では、嫌気条件で熱分解を行うため、亜酸化窒素の発生量を著しく低減できる。
さらに、本実施形態によれば、分離したアンモニアをエネルギー源として利用できる。
[第二実施形態]
<含窒素有機物の処理装置>
図2に、本発明の第二実施形態に係る含窒素有機物の処理装置の模式図を示す。第一実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態の含窒素有機物の処理装置2(以下、単に処理装置2ともいう。)は、アンモニア分離部30に代えて、アンモニア分離部30’を備える。
熱分解部20とアンモニア分離部30’とは、配管L1によって接続されている。アンモニア分離部30’には、配管L3と、配管L4と、配管L5とが接続されている。
アンモニア分離部30’は、気液分離器38と、蒸留塔39と、分縮器40と、第四測定部41と、配管L12、L13、L14とを備える。
気液分離器38と蒸留塔39とは、配管L12によって接続されている。蒸留塔39と分縮器40とは、配管L13によって接続されている。分縮器40と蒸留塔39とは、配管L14によって接続されている。気液分離器38には、配管L1が接続されている。気液分離器38には、配管L4が接続されている。蒸留塔39には、第四測定部41が接続されている。蒸留塔39には、配管L5が接続されている。分縮器40には、配管L3が接続されている。
気液分離器38としては、気液分離器37と同様の機器が挙げられる。気液分離器38と気液分離器37とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
蒸留塔39としては、アンモニアの製造に用いられる公知の蒸留塔が挙げられる。
分縮器40としては、従来公知の凝縮器が挙げられる。
第四測定部41としては、第一測定部23と同様の計器が挙げられる。第四測定部41と第一測定部23とは、異なっていてもよく、同じでもよい。
第四測定部41は、外部に設けられた制御部(不図示)によって、制御することが好ましい。
配管L12~L14としては、配管L0と同様の配管が挙げられる。配管L12~L14と配管L0とは、異なっていてもよく、同じでもよい。また、配管L12~L14は、それぞれが異なっていてもよく、同じでもよい。
<含窒素有機物の処理方法>
処理装置2を用いた含窒素有機物の処理方法について、図2に基づいて説明する。
(熱分解工程)
熱分解工程で生成された第一の流体は、配管L1を介して気液分離器38へと流入する。
(アンモニア分離工程)
気液分離器38へと流入した第一の流体は、気体とアンモニアを含む液体とに分離される。アンモニアを含む液体としては、液体アンモニア、アンモニア水が挙げられる。
第一の流体から分離された気体は、配管L4を介して処理装置2の外部へと排出される。
第一の流体から分離された液体は、配管L12を介して蒸留塔39へと流入する。
蒸留塔39へと流入した液体は、蒸留塔39の内部でアンモニア濃度が高い気相と、アンモニア濃度が低い液相とに分離される。気相は、配管L13を介して分縮器40へと流入する。分縮器40へと流入した気相中のアンモニアは、濃縮され、液体又は気体の状態で配管L3を介して処理装置2の外部へと回収される。
例えば、分縮器40の内部の圧力を0.8MPa以上とすることにより、液体としてアンモニアを回収できる。
分縮器40で冷却された留出液は、配管L14を介して蒸留塔39へと還流する。
蒸留塔39の内部で分離された液相は、配管L5を介して処理装置2の外部へと排出される。
蒸留塔39の内部の温度及び圧力は、第四測定部41によって測定できる。
アンモニアの状態は、分縮器40の内部の温度及び圧力によって制御できる。
分縮器40の内部の温度は、分縮器40の外部の冷却水の温度や流量によって制御できる。分縮器40の内部の圧力は、配管中の任意の箇所に設けられた高圧ポンプ等(不図示)によって制御できる。
蒸留塔39は、再沸器等(不図示)により加熱できる。再沸器等の熱源としては、熱分解工程における亜臨界熱分解処理による反応熱を利用できる。前記反応熱を利用することにより、蒸留塔39を加熱する際の消費エネルギーを節約できる。
本実施形態の処理装置2によれば、吸着剤を用いることなく第一の流体からアンモニアを分離できる。そのため、吸着剤を再生する工程を省略できる。
以上、本発明の含窒素有機物の処理装置及び処理方法について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
アンモニア分離部は、上述したアンモニア分離部30や30’以外の態様であってもよい。
例えば、熱分解部とアンモニア分離部とは、同一の容器が兼ねる態様であってもよい。
上述の実施形態では、高圧ポンプP1は配管L0に設けられているが、他の配管中の任意の箇所に設けられてもよい。
高圧ポンプは、一つに限られず、二つ以上設けられてもよい。
装置間の流体の移動には、高圧ポンプの代わりに真空ポンプを用いてもよい。
開閉バルブは、他の配管中の任意の箇所に設けられてもよい。
圧力調整バルブは、他の配管中の任意の箇所に設けられてもよい。
本実施形態の熱分解工程では、第一処理温度は水の臨界温度以上で、かつ、第一処理圧力は水の臨界圧力未満であるが、水の亜臨界条件を満たす第一処理温度、かつ、第一処理圧力であってもよい。水の亜臨界条件を満たす温度と圧力の組合せとしては、第一処理温度が水の臨界温度未満で、かつ、第一処理圧力が水の臨界圧力以上、第一処理温度が水の臨界温度未満で、かつ、第一処理圧力が水の臨界圧力未満の組合せが挙げられる。
本発明の含窒素有機物の処理装置によれば、熱分解部で高い転化率でアンモニアを生成できる。
本発明の含窒素有機物の処理装置によれば、アンモニア分離部でアンモニアを分離できる。アンモニアを分離することで、高い効率でアンモニアを回収することができ、含窒素有機物中の窒素を有効利用できる。
本発明の含窒素有機物の処理装置によれば、有機汚泥を確実に処理することができる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
図3に示す含水率、元素組成、溶存窒素を有する下水の消化汚泥(有機汚泥)を温度400℃、圧力10MPa(水の亜臨界条件)で亜臨界熱分解処理した場合のアンモニア性窒素としての発生率を測定した。アンモニア性窒素としての発生率は、亜臨界熱分解処理を行った後のアンモニア性窒素の質量を、亜臨界水酸化処理を行う前の有機汚泥に含まれる窒素成分の総質量(液分の有機態窒素と無機態窒素、固形分の窒素成分の合計)で除することにより求めた。
液分の全窒素は、全有機炭素計(TOC-V/TN、(株)島津製作所製)で、質量を測定することにより求めた。
液分の無機態窒素は、イオンクロマトグラフィー(Dionex ICS-1600、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で、質量を測定することにより求めた。液分の有機態窒素の質量は、全窒素の質量から無機態窒素の質量を差し引くことで求めた。
固形分中の窒素成分は、全自動元素分析装置(2400II、パーキンエルマー社製)で、質量を測定することにより求めた。
処理時間0分~15分までの亜臨界熱分解処理を行い、アンモニア性窒素の発生率を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように、処理時間5分までは、アンモニア性窒素の発生率は増加していた。アンモニア性窒素の発生率は、処理時間5~15分では大きく変わらなかった。
[実験例2]
実験例1と同じ試料について、圧力条件を変更して亜臨界熱分解処理(温度400℃、処理時間5分)を行った。有機汚泥中の窒素成分のアンモニア性窒素としての発生率を図5に示す。
図5に示すように、処理圧力5~25MPaでアンモニア性窒素としての発生率が60%以上であった。処理圧力が5~25MPaでアンモニア性窒素としての発生率に大きな変化はなかった。
[実験例3]
実験例1と同じ試料について、温度条件を変更して亜臨界熱分解処理(圧力10MPa、処理時間5分)を行った。有機汚泥中の窒素成分のアンモニア性窒素としての発生率を図6に示す。
図6に示すように、処理温度が350~450℃でアンモニア性窒素としての発生率に大きな変化はなかった。
以上の実験例1~3の結果より、含窒素有機物として下水の有機汚泥の場合、アンモニア性窒素としての発生率を高めるための好適な条件としては、処理温度350~450℃、処理圧力5~25MPa、処理時間5~15分が挙げられる。アンモニア性窒素としての発生率を高めるためのより好適な条件としては、処理温度380~420℃、処理圧力7~14MPa、処理時間10~15分が挙げられる。
[実験例4]
実験例1と同じ有機汚泥を嫌気条件(Heが100%のキャリアガス)と、酸化条件(Heが80%、酸素が20%のキャリアガス)とで室温から1000℃まで加熱したときの亜酸化窒素の発生量(mg/kg-wet)を測定した。亜酸化窒素の発生量は、フーリエ変換赤外分光法(IFS 125HR、ブルカー社製)により測定した。結果を図7に示す。
図7に示すように、嫌気条件では、亜酸化窒素の発生量は、検出限界(3mg/kg-dry)以下であったため、検出限界値が発生したと仮定したときの0.081mg/kg-wetであった。
一方、酸化条件では、亜酸化窒素の発生量は、8.37mg/kg-wetだった。
このことから、嫌気条件で熱分解処理をすることで、亜酸化窒素の発生量を100倍以上低減できることが分かった。
なお、亜酸化窒素は、アンモニア以上に安定な物質であり、超臨界水酸化技術を用いても650℃以上の反応温度でなければ完全に分解することができない。このため、亜酸化窒素はできるだけ生成しない方が好ましい。亜酸化窒素は、含窒素有機物と酸素とが酸化反応することにより発生し、亜臨界条件においても、窒素成分の一部が亜酸化窒素として排出される可能性がある。亜酸化窒素は、温暖化ガス排出抑制の観点から、排出しないことが好ましい。
1,2…含窒素有機物の処理装置、10…供給部、20…熱分解部、21…熱分解槽、22…第一ヒーター、23…第一測定部、30,30’…アンモニア分離部、31,32…吸着塔、33…第二ヒーター、34…第三ヒーター、35…第二測定部、36…第三測定部、37,38…気液分離器、39…蒸留塔、40…分縮器、41…第四測定部、P1…高圧ポンプ、P2…排出ポンプ、B1,B8~B11…圧力調整バルブ、B6,B7…開閉バルブ、L0,L1~L14…配管

Claims (4)

  1. 含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、前記含窒素有機物を酸化処理するための酸素量を1とした場合、酸素比が0.1以下である嫌気条件とし、アンモニアを含む第一の流体を生成する熱分解部と、
    吸着剤としてプルシアンブルー及びプルシアンブルー類似体から選ばれる1種以上の化合物を有する、前記第一の流体からアンモニアを分離するアンモニア分離部と、
    を備える、含窒素有機物の処理装置。
  2. 含窒素有機物を水の亜臨界条件、かつ、前記含窒素有機物を酸化処理するための酸素量を1とした場合、酸素比が0.1以下である嫌気条件とし、アンモニアを含む第一の流体を生成する熱分解工程と、
    吸着剤としてプルシアンブルー及びプルシアンブルー類似体から選ばれる1種以上の化合物を使用する、前記第一の流体からアンモニアを分離するアンモニア分離工程と、
    を備える、含窒素有機物の処理方法。
  3. 前記アンモニア分離部が吸着塔であり、前記熱分解部で発生した反応熱を前記吸着塔の加熱源として使用する請求項1記載の含窒素有機物の処理装置。
  4. 前記アンモニア分離工程は吸着塔で行われ、前記熱分解工程で発生した反応熱を前記吸着塔の加熱源として使用する請求項2記載の含窒素有機物の処理方法。
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