[第1の実施形態]
以下、この発明による移動体の第1の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する移動体の第1の実施形態は、空中を飛行することができると共に、空中で停止するホバリングが可能な飛行体の構成とされた場合である。
図1は、この発明による移動体の第1の実施形態としての飛行体1の構成例を示す図である。この第1の実施形態の飛行体1は、自律して空中を飛行して移動可能なように構成されている。図1(A)は、この実施形態の飛行体1を、その上方から見た図であり、また、図1(B)は、この実施形態の飛行体1を、正面から見た図である。
この実施形態の飛行体1は、いわゆるクワッドコプターの構造の空中飛行機構部2と、駆動制御ユニット3とを備える。空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3と結合されており、駆動制御ユニット3により駆動制御される。図1に示すように、空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3から延びる4本のアーム4A,4B,4C,4Dの先端に、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dが取り付けられて構成されている。
回転翼機構5A,5B,5C,5Dは、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれにより回転翼シャフト(図示は省略)を回転駆動することにより、回転翼52A,52B,52C,52Dを回転駆動するように構成されている。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dは、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号により回転速度及び回転方向が制御される。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dや駆動制御ユニット3は、バッテリー(図示は省略)を回転駆動用の電源や駆動制御用の電源として用いている。後述する発光部、カメラ、マイクロフォン、各種センサ、ディスプレイ、制御部などもバッテリーから電源を供給される。バッテリーは、例えば、充電可能な二次電池が用いられる。
この例においては、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号によって、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれが独立に制御されることにより、飛行体1は、離陸、着陸、上昇(真上、斜め上)、下降(真下、斜め下)、右旋回、左旋回、前進、後進、右シフト、左シフトなどの各種移動動作をすることができるようにされていると共に、鉛直方向に対する傾き角などの姿勢制御及びホバリング位置の位置制御ができるようにされている。
そして、この実施形態の飛行体1においては、駆動制御ユニット3と一体的に、筐体6が形成されている。駆動制御ユニット3と筐体6とは一体的ではなく、筐体6に駆動制御ユニット3が取り付けられる構造であっても勿論よい。この実施形態では、空中飛行機構部2及び駆動制御ユニット3は筐体移動手段を構成する。
筐体6には、後述する発光部、カメラ、マイクロフォンや各種センサなどが取り付けられると共に、制御部を含む駆動制御装置部10が内蔵されている。筐体6は、この例では、全体として箱型の形状に構成されている。
この筐体6は、少なくとも、その外表面側が光触媒機能を奏する材料により構成されている。この実施形態では、筐体6は、板状の例えば樹脂を基材として、その基材の上に、特許文献1で説明した金属修飾アパタイトを薄膜で形成した高機能複合材料で構成されている。筐体6は、この実施形態では、直方体形状を有する。そして、この実施形態では、筐体6においては、その全面、すなわち、金属修飾アパタイトの薄膜は、駆動制御ユニット3が設けられている上面、当該上面に対向する底面、及び、上面と底面との間の4面の側面のそれぞれの表面に露出する状態で形成されている。なお、金属修飾アパタイトの薄膜は、筐体6の全面に設けることは必須ではなく、例えば、上面や底面を除く4側面にのみ形成するようにしてもよい。また、筐体6は直方体形状に限られるものではなく、球状や円柱状であってもよい。その場合、金属修飾アパタイトの薄膜は、球面や円柱表面の全面に設けてもよいし、その一部の面に設けてもよい。
したがって、筐体6の周囲の大気中の細菌等を含む有機物質は、筐体6の表面に露出している金属修飾アパタイトの薄膜に吸着されて光触媒機能により、水分と二酸化炭素に分解されて大気が浄化される。そして、飛行体1が飛行移動すれば、筐体6の金属修飾アパタイトの薄膜により大気浄化される領域も移動して、より広い領域の大気の浄化を行うことができる。
なお、筐体6を構成する基材としては、樹脂に限られる訳ではなく、例えば木材、ガラス、金属、セラミックスなどの板状体であってもよい。また、筐体6の材料は、この例のように、基材の上に金属修飾アパタイトを薄膜で形成した高機能複合材料で構成したものに限られる訳ではなく、上述した基材を構成する板状体の表面に、金属修飾アパタイトのシートやフィルムを、被着するようにしたものであってもよい。また、光触媒アパタイトは、特許文献1に開示された金属修飾アパタイトに限られるものではなく、光触媒機能を奏するものであればよい。
筐体6には、2個の脚部7A,7Bが互いに対向するように取り付けられている。この例では、脚部7A,7Bは、台形形状に成形されたパイプ部材からなり、図1(B)に示すように、着地面8において、安定して飛行体1を保持するように形成されている。脚部の形状や部材はこれに限らず、種々考えられる。例えば、筐体6の四隅に4本の脚部が円柱形上に成形された木材や金属材料であってもよい。また、着地面8での移動を容易にするため、脚部7A,7Bに可動輪を装着してもよい。
そして、この実施形態では、筐体6の外表面に光を照射するようにする発光部が取り付けられる。図1の例では、直方体形状の箱型の形状である筐体6の4側面と、底面とには、発光部9A,9B,9C,9D,9Eの取付アーム91A,91B,91C,91D,91Eが取り付けられている。この場合に、取付アーム91A,91B,91C,91D,91Eは、発光部9A,9B,9C,9D,9Eが、筐体6の4側面と底面のそれぞれの全面を、図1において点線で示すように照射することができるように、筐体6に対して取り付けられている。
また、筐体6の上面に光を照射するようにするために、この実施形態では、駆動制御ユニット3の4側面に、発光部9F,9G,9H,9Iが設けられている。このように4個の発光部9F,9G,9H,9Iを設けるのは、駆動制御ユニット3の存在に関わらず、筐体6の上面の外部に露出している領域に光を照射することができるようにするためである。
発光部9A~9Iとしては、白熱電球、蛍光灯、紫外線LED(Light Emitting Diode)など、紫外線を発するものであれば、どのようなものでもよい。
そして、この例においては、図1(A),(B)に示すように、駆動制御ユニット3の4側面と、筐体6の底面のそれぞれには、カメラCM1~CM5のそれぞれが設けられている。これらカメラCM1~CM5の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM1~CM5のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
さらに、筐体6内には、電源としてのバッテリーを含む駆動制御装置部10が設けられている。図2は、この実施形態の飛行体1における駆動制御装置部10の構成例を示すブロック図である。なお、図2ではバッテリーを省略した。
図2に示すように、この実施形態における駆動制御装置部10は、マイクロコンピュータ(図2ではマイコンと省略)からなる制御部101に対して、システムバス100を通じて、空中飛行駆動部102、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、障害物センサ106、移動空間情報メモリ107、現在位置検出部108、照度センサ109、飛行プラン生成部110、飛行駆動信号生成部111、位置姿勢制御信号生成部112、カメラ群113、画像認識部114、点灯制御回路115、操作部116、のそれぞれが接続されて構成されている。
空中飛行駆動部102は、制御部101の制御に従って、空中飛行機構部2の回転翼機構5A,5B,5C,5Dのモータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれに、駆動制御信号を供給する。
ジャイロセンサ103は、飛行体1の飛行中における加速度変化を検出するもので、飛行体1の飛行進行方向やその速度、また、姿勢を検出するために用いられる。地磁気センサ104は、飛行体1が、どの方位に飛行移動しているかを検出するために用いられる。高度センサ105は、飛行体1が当該時点で位置している高度を検出するためのもので、例えば気圧センサからなる。
障害物センサ106は、光や赤外線、あるいは超音波などを発して、障害物からの反射波を検出することで、障害物の存在を検出すると共に、光や赤外線、あるいは超音波などを発してから、反射波を受信するまでの時間や減衰量を検出して、その時間や減衰量から、検出した障害物までの距離を算出することができるものとされている。この実施形態では、障害物センサ106は、飛行体1が使用される空間(以下、移動空間という)における障害物、例えば室内の壁やタンス、ベッド、机、あるいは、人やペットなどの障害物や、戸外の移動空間における電柱、建物、樹木、あるいは、人や動物、自動車や自転車などの障害物を検知して、それらに対する衝突を回避して飛行するために用いられる。
移動空間情報メモリ107には、飛行体1が使用される室内や戸外の大気浄化を行う対象となる移動空間に関する情報が記憶される。この移動空間に関する情報(以下、移動空間情報という)には、移動空間を特定するための位置情報(緯度、経度、高さ)と、移動空間に存在する障害物の情報も含まれる。
移動空間を特定するための位置情報は、移動空間の形状を特定する複数の頂点の位置座標とされる。例えば、移動空間が直方体形状であれば、上面の4個の頂点のそれぞれの位置情報(緯度、経度、高さ)と、底面の4個の頂点のそれぞれの位置情報(緯度、経度、高さ)とすることができる。あるいは、上面及び底面の対角位置の2個の頂点のそれぞれの位置情報(緯度、経度、高さ)、または、互いに対向する2個の側面の対角位置の2個の頂点のそれぞれの位置情報(緯度、経度、高さ)としてもよい。
移動空間内の障害物の情報としては、移動空間内における当該障害物の存在位置とその高さの情報とすることができる。
また、大気浄化を行う室内の移動空間としては、室内の密閉されていない一般家庭の部屋空間であってもよいし、デパートやショッピングセンター等の商業施設やオフィスビルの部屋空間であってもよいし、工場のクリーンルームのような密閉した部屋空間であってもよい。また、戸外の移動空間としては、例えばテーマパークや、アミューズメントパーク、動物園、コンサート会場、サッカースタジアム、野球場、博物館、美術館等の限られた範囲の空間を対象とする。もちろん、特定場所の空間に限定することなく、自宅周辺、会社周辺、駅周辺、空港周辺など、飛行体1の飛行範囲内であれば、移動空間として移動空間情報メモリ107に空間情報が記憶される。
この実施形態の飛行体1の制御部101のメモリには、パノラマ写真用のアプリケーションプログラム(例えばPhotosynth)が格納されており、事前に、飛行体1が、移動空間内を飛行して、カメラCM1~CM5の全てあるいは一部を用いて、当該移動空間内のそれぞれの場所において360度の範囲で撮影する。そして、制御部101は、パノラマ写真用のアプリケーションプログラムを用いて、その撮影した撮影画像情報から移動空間内のそれぞれの地点での3D画像情報を生成し、当該生成した3D画像情報を移動空間情報メモリ107に記憶する。
この場合に、この例では、飛行体1は、それが使用される移動空間の特定の場所をホームポジションとして定め、その位置を基地として離着陸するようにする。特定の場所は、通常の待機場所である充電ステーションに定めてもよい。
移動空間情報メモリ107に記憶されている情報には、前記定められたホームポジションの位置情報も記憶される。また、移動空間情報メモリ107には、移動空間が室内である場合には、使用される室の縦、横、高さの情報も予め記憶される。さらに、移動空間が室内である場合には、梁やパイプスペース、柱など、使用される室の構造情報も予め記憶してもよいし、移動空間が戸外である場合には、電柱や建物、樹木の位置も予め記憶してもよい。
なお、移動空間情報は、上述のようにして、飛行体1が飛行することにより生成して、移動空間情報メモリ107に記憶するだけでなく、対象となる移動空間の移動空間情報を、ユーザが移動空間情報メモリ107に記憶するようにしても勿論よい。その場合に、大気浄化が予定されている移動空間の移動空間情報が、予め生成されて、飛行体1は別体の記憶装置に記憶されていたり、クラウドに保存されている場合には、その記憶装置やクラウドから必要な移動空間の移動空間情報を取得して、移動空間情報メモリ107に記憶させるようにする。
なお、移動空間情報メモリ107には、予め、複数の対象となる移動空間の移動空間情報を、識別可能に記憶しておき、大気浄化を実行しようとする際に、ユーザが、大気浄化の対象となる移動空間の移動空間情報を選択指定することで、移動空間情報メモリ107から、当該対象の移動空間情報が読み出されるようにしてもよい。
現在位置検出部108は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を備え、飛行体1の現在位置の緯度、経度、高度を検出する。より正確な位置情報を得るために、携帯電話基地局からの電波や、Wi-Fi(Wireless Fidelity(登録商標))通信のアクセスポイントからの電波を用いて現在位置を検出するようにしてもよい。
また、現在位置検出部108は、カメラCM1~CM5の全てあるいは一部を用いて、飛行体1の周囲を撮影した撮影画像情報と移動空間情報メモリ107に記憶された3D画像情報を比較して画像認識することで、3D画像空間における相対位置を把握し、現在位置を検出するようにしてもよい。移動後の現在位置を検出するためには、現在位置検出部108は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105をも使用する。
現在位置検出部108で検出された飛行体1の現在位置の情報は、飛行体1が事前に移動空間内を飛行して、移動空間情報メモリ107に記憶する移動空間の情報を生成する際に、当該移動空間の位置を特定するための情報として用いられる。
照度センサ109は、図1では、図示を省略したが、筐体6あるいは駆動制御ユニット3に取り付けられて配設されている。この照度センサ109は、飛行体1の外光の照度を検出する。制御部101は、この照度センサ109で検出された照度に応じて、発光部9A~9Iを用いるか否かを判断するようにする。この実施形態では、制御部101は、照度センサ109で検出された照度が、筐体6に形成されている光触媒アパタイトの薄膜において、光触媒機能を充分に発揮することができる閾値照度よりも高いときには、発光部9A~9Iは消灯したままとし、閾値照度以下のときには、発光部9A~9Iを点灯するように制御する。
なお、制御部101は、照度センサ109で検出された照度が、飛行体1の筐体6による光触媒機能を充分に発揮する閾値照度以下であるが、光触媒機能を発揮することが可能である照度以上のときであって、バッテリーの残量が少なく、所定量以下のときには、発光部9A~9Iは消灯したままとするようにしてもよい。
また、制御部101は、照度センサ109で検出された照度が、光触媒機能を充分に発揮する閾値照度以下であるが、光触媒機能を発揮することが可能である照度以上のときであって、バッテリーの残量が充分にあるときには、発光部9A~9Iを点灯するようにしてもよい。
また、筐体6の4側面、上面及び下面のそれぞれの照度を検出する照度センサを設け、制御部101は、検出されたそれぞれの面における照度に応じて、それぞれの面に光を照射する発光部のそれぞれの点灯、消灯の制御を行うようにしてもよい。
飛行プラン生成部110は、操作部116を通じて起動情報に基づく制御部101からの制御指示を受けて、移動空間情報メモリ107に記憶されている移動空間情報を読み出して、大気浄化の対象となる移動空間の位置、大きさ、形状、障害物の位置等を検出する。そして、飛行プラン生成部110は、当該大気浄化を行う対象の移動空間において光触媒機能を用いた大気浄化を効率的に実行するための飛行体1の飛行プランを生成する。
この場合に、この実施形態では、飛行体1が移動空間内をできるだけ均一に飛行移動することで、飛行移動が行われなかった、あるいは大気浄化のための時間が他よりも少なかったとされるような領域が生じないようにして、移動空間内の各部において、大気浄化の程度に差が生じないように飛行プランを作成するようにする。そのために、この実施形態では、飛行プラン生成部110では、飛行体1のバッテリーの残量と、対象となる移動空間の大きさ(移動空間が占める地上平面あるいは床平面の形状及び大きさと、高さ)とを考慮して、飛行体1の移動パターン及び移動速度を定めるようにする。
そして、飛行プラン生成部110では、制御部101から、照度センサ109で検出された外光の照度に基づいて決定された発光部9A~9Iを点灯するか否かの情報を受け、発光部9A~9Iを点灯したときと、消灯のままのときでのバッテリーの消耗の違いも考慮した飛行プランを生成するようにする。
飛行体1の移動空間における大気浄化のための移動パターンの例を図3~図5に示す。この図3~図5の例は、説明が簡単であるので、移動空間が直方体形状の部屋の場合としている。図3~図5の例は、飛行体1が、移動空間の部屋の床面FLに沿って、床面FLに平行に所定の移動パターンで飛行移動すると共に、その床面FLに平行な所定の移動パターンを実行する高度(高さ位置)を、順次に変えて、直方体の移動空間の高さ方向も含めた全ての領域を隈なく移動するようにした移動パターンの例である。
図3(A),(B)の例は、床面FLに平行な所定の移動パターンが、鉤型である場合である。また、図4(A),(B)の例は、床面FLに平行な所定の移動パターンが、ジグザグ型である場合である。また、図5(A),(B)の例は、床面FLに平行な所定の移動パターンが、渦巻型である場合である。
なお、図3~図5では図示を省略したが、この実施形態では、飛行体1は、常に一定速度で移動するのではなく、所定の距離を移動したら、所定時間の間、その位置でホバリングをし、所定時間経過したら、再度、所定の速度で、所定の距離を移動し、その移動後の位置でホバリングを行う、という動作を繰り返すようにする。飛行プラン生成部110は、このホバリングを行う所定時間と、ホバリングをする位置から次のホバリングをする位置までの所定の距離と、その間の移動速度とを、対象移動空間の大きさや、バッテリーの残量に応じて変更して、対象移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御し、適切な飛行プランを生成するようにする。
また、図3の例の場合には、鉤型の移動パターンの鉤型に折り返す回数を変えることと、その移動パターンを行う高さ位置の数を変えることで、対象となる移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御することができる。また、図4の例の場合には、ジグザグの移動パターンのジグザグの折り返し回数を変えることと、その移動パターンを行う高さ位置の数を変えることで、対象となる移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御することができる。また、図5の例の場合には、渦巻型の移動パターンの渦巻回数を変えることと、その移動パターンを行う高さ位置の数を変えることで、対象となる移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御することができる。飛行プラン生成部110では、この丁寧さの度合を、バッテリーの残量に応じて変更する。なお、渦巻型の移動パターンの場合、円状や楕円状に移動する場合に限らず、四角形状や六角形状等矩形状に移動してもよい。もちろん、回転方向も右回転でも左回転でも可能である。
飛行体1の移動空間における移動パターンの例は、図3~図5の例に限られるものではないのは、勿論である。例えば、図6~図8に示すように、飛行体1が、直方体形状の部屋の一つの側壁に平行に、移動空間の部屋の床面FLに直交する高さ方向に沿って、所定の移動パターンで飛行移動すると共に、その高さ方向の所定の移動パターンの飛行移動の床面FL上の位置を、順次に変えて、直方体の移動空間の全ての領域を隈なく移動するようにしてもよい。
図6(A),(B)の例は、所定の移動パターンが、鉤型である場合、図7(A),(B)の例は、所定の移動パターンが、ジグザグ型である場合、図8(A),(B)の例は、所定の移動パターンが、渦巻型である場合である。
この図6~図8の例の場合にも、飛行体1は、所定の距離を移動したら、所定時間の間、その位置でホバリングをし、所定時間経過したら、再度、所定の速度で、所定の距離を移動し、その移動後の位置でホバリングをする、という動作を繰り返すようにする。飛行プラン生成部110は、このホバリングを行う所定時間と、ホバリングをする位置から次のホバリングをする位置までの所定の距離と、その間の移動速度とを、対象移動空間の大きさや、バッテリーの残量に応じて変更して、対象移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御し、適切な飛行プランを生成するようにする。
また、この図6~図8の例においても、移動パターンの折り返し回数や渦巻回数、移動パターンを実行する床面FL上の位置の数を変えることで、対象移動空間における大気浄化の実行の丁寧さの度合を制御することができるので、飛行プラン生成部110では、この丁寧さの度合を、バッテリーの残量に応じて変更することができる。
なお、飛行プラン生成部110は、上述のようなホバリングをすることなく、所定の速度で移動する移動パターンの飛行プランを生成するようにしても勿論よい。
また、移動空間に人がいるか否かを判別し、その判別結果に応じて、飛行プランを生成するようにすることもできる。例えば、人がいると判別した場合は、飛行体1がぶつかることがないよう、高さ2m以上を飛行するようにしてもよい。もちろん、人に限らず、ペットなどの動物がいるか否かを判別して、飛行プランを生成するようにしてもよい。
人や動物がいるか否かの判別手段としては、例えば筐体1に、赤外線センサなどの人感センサ(動物センサ)を設けて事前に移動空間を飛行することで、判別してもよいし、赤外線センサなどの人感センサ(動物センサ)を移動空間に設置しておいてもよい。移動空間に、赤外線センサなどの人感センサ(動物センサ)を設置しておく場合には、移動空間の各所に設置されている人感センサ(動物センサ)の検出出力がクラウドにアップロードされ、飛行体1はクラウドにアクセスして、移動空間の各所における人や動物の存否を判別するようにする。
飛行駆動信号生成部111は、制御部101による起動指示に基づいて飛行を開始し空中移動するときには、移動空間情報メモリ107に記憶されている移動空間の情報と、飛行プラン生成部110で生成された飛行プランによる移動パターンの情報と、現在位置検出部108で検出された現在位置の位置情報とから、移動するための飛行駆動信号を生成するために、移動方向及び移動距離を計算する。
そして、飛行駆動信号生成部111は、計算した方向及び距離に基づくと共に、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105などの情報を用い、さらに、カメラ群113のカメラCM1~CM5からの撮影画像を参照しながら、飛行プラン生成部110で生成された移動パターンに従って移動するための飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給する。この場合、飛行駆動信号は、4個の回転翼機構5A~5Dのモータ駆動部51A~51Dのそれぞれを駆動する信号からなる。生成された飛行駆動信号は、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2のモータ駆動部51A~51Dのそれぞれに供給される。
空中飛行機構部2は、この飛行駆動信号を受けて、回転翼52A~52Dのそれぞれを回転駆動して、飛行プラン生成部110で生成された移動パターンに従った空中飛行による移動を行う。
位置姿勢制御信号生成部112は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ105、並びにカメラCM1~CM5の撮影画像に基づいて、筐体6の向きや位置を、適切な向き及び位置(高さ位置を含む)となるように位置及び姿勢を制御する位置姿勢制御信号を生成する。
カメラ群113は、前述したカメラCM1~CM5からなるものである。カメラCM1~CM5のそれぞれは、動画の撮影画像情報をシステムバス100に出力する。カメラCM1~CM5のそれぞれからシステムバス100に送出される撮影画像情報には、いずれのカメラからの撮影画像情報であるかを識別するための識別情報が付加されている。なお、カメラCM1~CM5のそれぞれからの撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
画像認識部114は、カメラCM1~CM5で撮影された画像情報と、図示は省略する画像メモリに記憶している障害物等の画像とを比較することで、前述した飛行中の回避する障害物を認識する機能を有する。飛行駆動信号生成部111は、認識された当該障害物を回避して空中移動するようにする飛行駆動信号を生成する。
点灯制御回路115は、発光部9A~9Iの点灯、消灯(非点灯)を、制御部101に制御指示に基づき、制御する。この例の場合、点灯制御回路115は、照度センサ109の周囲の照度の検出出力に基づく制御部101の制御を受けて、発光部9A~9Iの全てを同時に点灯、消灯の制御をするようにしている。
しかし、この例に限らず、点灯制御回路115を、発光部9A~9Iのそれぞれを別々に、点灯、消灯の制御をすることができるように構成すると共に、筐体6の6面のそれぞれに、それぞれの照度を検出する照度センサを設け、制御部101が、それぞれの照度センサの検出出力に基づいて、発光部9A~9Iのそれぞれを発光させるか、消灯のままとするかを、個別に制御するように構成してもよい。
操作部116は、飛行体1の飛行開始起動や、移動空間情報の作成及び移動空間情報メモリ107への記憶指示、その他の操作指示を使用者が入力するためのものとしても用いられる。この例においては、飛行体1の飛行開始起動としては、スタート指示による即座の起動の他、タイマー機能(制御部101が有する)により使用者により操作部116を通じて設定された時間(所定の時刻あるいは現時刻から所定時間後など)におけるタイマー起動ができるように構成されている。
なお、図2において、飛行プラン生成部110、飛行駆動信号生成部111、位置姿勢制御信号生成部112、画像認識部114、の処理機能を、制御部101がソフトウエア処理機能として実現することもできる。
[飛行体1の駆動制御装置部10の動作の流れ]
以上のように構成された第1の実施形態の飛行体1は、光触媒機能を備える金属修飾アパタイトの薄膜が、筐体6の表面の全面に露出する状態とされている。したがって、筐体6の周囲の大気中の細菌等の有機物質が、筐体6の表面に露出している金属修飾アパタイトの薄膜に吸着され、その光触媒機能により、水分と二酸化炭素に分解されて、大気浄化が実現される。そして、飛行体1が空間移動することで、その空間移動した空間の大気の浄化を図ることが可能となる。
この実施形態では、飛行体1は、対象となる移動空間に応じた飛行プランを生成して、その生成した飛行プランに従って移動することで、より効率的な大気浄化の効果を果たすようにしている。
図9及び図10は、この第1の実施形態の飛行体1の駆動制御装置部10の動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。この図9及び図10に示したフローチャートの各ステップは、制御部101が、飛行プラン生成部110、飛行駆動信号生成部111、位置姿勢制御信号生成部112、画像認識部114の機能を、ソフトウエア処理機能として実現した場合として説明する。
制御部101は、操作部116を通じた起動指示を検知すると、図9のフローチャートをスタートさせる。そして、制御部101は、先ず、移動空間情報メモリ107に記憶されている移動空間の情報を読み出し、対象となる移動空間の位置、大きさ、形状、当該移動空間内の障害物の位置、大きさ、形状、などを認識する(ステップS101)。次に、制御部101は、バッテリーの残量を検出する(ステップS102)。
次に、制御部101は、照度センサ109の検出出力を検査して、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である否か判別する(ステップS103)。このステップS103で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分であると判別したときには、制御部101は、発光部9A~9Iは点灯しない照明無し状態での飛行プランを作成する(ステップS104)。
この場合に、制御部101で作成される飛行プランには、移動空間の位置、大きさ、形状及びバッテリーの残量を考慮して選択された移動パターン(図3~図8参照)と、飛行移動の速度と、選択された移動パターンによる当該移動空間内の全体をカバーする飛行の繰り返し回数、などが含まれる。このステップS104では、飛行体1は、発光部9A~9Iは点灯せずに飛行プランを実行することになるので、制御部101は、バッテリーの消費は比較的少ないことを考慮して飛行プランを作成することができる。
なお、この第1の実施形態では、大気浄化の対象となる移動空間エリア内を、できるだけ均等に大気浄化することができるように、バッテリーの残量を考慮して、少なくとも1回は移動空間エリアの全域をカバーするように、飛行体1を飛行移動させるように移動パターン、飛行移動の速度などを決定するようにする。
ステップS104で飛行プランを作成したら、制御部101は、飛行プランに従った飛行体1の飛行移動を開始して、移動空間を飛行移動する飛行体1の筐体6の外表面による光触媒機能による大気浄化の実行を開始する(ステップS105)。なお、この例では、大気浄化の対象となる移動空間内あるいは移動空間の近傍には、充電ステーションからなる基地が設置されており、飛行体1は、この基地から飛行移動を開始する。
次に、制御部101は、バッテリーの残量が少なくなって、充電をすべき状態になったか否か判別する(ステップS106)。このステップS106で、充電をすべき状態になったと判別したときには、制御部101は、飛行プランに従った飛行移動は中止し、充電ステーションに戻って、充電を開始する(ステップS107)。
そして、制御部101は、バッテリーが満充電の状態になるのを待ち(ステップS108)、満充電の状態になったと判別したときには、大気浄化の実行を終了してもよいか否か判別する(ステップS109)。この実施形態では、ステップS109では、ステップS104で作成された飛行プランに含まれる、選択された移動パターンによる当該移動空間内の全体をカバーする飛行の繰り返し回数の実行を終了したか否かを判別する。
このステップS109で、大気浄化の実行を終了してもよいと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。また、このステップS109で、大気浄化の実行は、未だ、終了しないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS105に戻し、飛行プランに従った飛行移動を継続して、ステップS105以降の処理を繰り返す。
また、ステップS106で、充電をすべき状態になってはいないと判別したときには、制御部101は、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態に変化したか否か判別する(ステップS110)。このステップS110で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態にはなっていないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS109に移行させて、このステップS109以降の処理を繰り返す。
また、ステップS110で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態になったと判別したときには、制御部101は、バッテリーの残量を検出する(ステップS111)。
ステップS103で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分ではないと判別したとき、また、ステップS111の次には、制御部101は、点灯制御回路115を制御して、発光部9A~9Iを点灯させた状態での飛行プランを作成する(図10のステップS121)。このステップS121では、飛行体1は、発光部9A~9Iを点灯した状態で飛行プランを実行することになるので、制御部101は、バッテリーの消費を考慮して飛行プランを作成する必要がある。
ステップS121で飛行プランを作成したら、制御部101は、点灯制御回路115を制御して、発光部9A~9Iを点灯すると共に、飛行プランに従った飛行体1の飛行移動を開始して、移動空間を飛行移動する飛行体1の筐体6の外表面による光触媒機能による大気浄化の実行を開始する(ステップS122)。
次に、制御部101は、バッテリーの残量が少なくなって、充電をすべき状態になったか否か判別する(ステップS123)。このステップS123で、充電をすべき状態になったと判別したときには、制御部101は、飛行プランに従った飛行移動は中止し、充電ステーションに戻って、充電を開始する(ステップS124)。
そして、制御部101は、バッテリーが満充電の状態になるのを待ち(ステップS125)、満充電の状態になったと判別したときには、大気浄化の実行を終了してもよいか否か判別する(ステップS126)。このステップS126では、ステップS104で作成された飛行プランに含まれる、選択された移動パターンによる当該移動空間内の全体をカバーする飛行の繰り返し回数の実行を終了したか否か判別する。
このステップS126で、大気浄化の実行を終了してもよいと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。また、このステップS126で、大気浄化の実行は、未だ、終了しないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS122に戻し、飛行プランに従った飛行移動を継続して、ステップS122以降の処理を繰り返す。
また、ステップS123で、充電をすべき状態になってはいないと判別したときには、制御部101は、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態に変化したか否か判別する(ステップS127)。このステップS127で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態にはなっていないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS126に移行させて、このステップS126以降の処理を繰り返す。
また、ステップS127で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分の状態になったと判別したときには、制御部101は、バッテリーの残量を検出する(ステップS128)。制御部101は、このステップS128の次には、図9のステップS104に移行させて、このステップS104以降の処理を繰り返す。
[第1の実施形態の効果]
以上のようにして、上述の第1の実施形態の移動体としての飛行体1は、光触媒機能を備える光触媒アパタイトの例としての金属修飾アパタイトの薄膜が、筐体6の表面の全面に露出する状態とされている。したがって、筐体6の周囲の大気中の細菌等の有機物質が、筐体6の表面に露出している金属修飾アパタイトの薄膜に吸着され、その光触媒機能により、水分と二酸化炭素に分解されて、大気浄化が実現される。
そして、この実施形態では、飛行体1が飛行移動することで、筐体6の外表面の金属修飾アパタイトの薄膜により大気浄化される空間位置が変更されるので、特許文献2の広告・告知メディアのような固定位置に設置される場合に比べて、広範囲の大気浄化を実現できる。特に、飛行体1の移動空間が密閉空間であれば、飛行体1がその密閉空間内を隈なく飛行移動することで、当該密閉空間の大気の全てを浄化することが可能になる。
そして、上述の実施形態の飛行体1は、発光部9A~9Iを備えているので、外光が不充分であっても、それらの発光部9A~9Iを点灯することで、筐体6の外表面による光触媒アパタイトの薄膜の光触媒機能による大気浄化作用を充分に実行することができる。
そして、上述の実施形態の飛行体1は、予め、大気浄化の対象となる移動空間の位置、大きさ、形状などを特定することができる移動空間情報を記憶しており、この記憶している移動空間情報に基づいて、対象となる移動空間に応じた的確な飛行プランを作成するので、当該移動空間における効率的な大気浄化を行うことができる。
また、この実施形態の飛行体1は、バッテリーの残量を考慮しながら飛行プランを作成すると共に、バッテリーの残量が不足状態になる前に、適宜充電を行って、対象となる移動空間における大気浄化を行うようにするので、確実、かつ充分に大気浄化を行うことができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の移動体も、上述と同様の飛行体の例であるが、この例では、より広範囲の移動空間を、効率的に大気浄化することができるようにすることを企図している。
図11は、この発明による移動体の第2の実施形態としての飛行体1Sの構成例を示す図である。図11(A)は、この第2の実施形態の飛行体1Sを、その上方から見た図であり、また、図11(B)は、この第2の実施形態の飛行体1を、正面から見た図である。この図11において、この例の飛行体1Sと、前述した第1の実施形態の飛行体1とで同一の部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この第2の実施形態における飛行体1Sにおいては、筐体6Sの、駆動制御ユニット3Sが設けられている上面には、ソーラーパネル21が設置されている。そのため、この第2の実施形態の飛行体1Sの筐体6Sの上面には、金属修飾アパタイトの薄膜は形成されていない。そのため、この実施形態の飛行体1Sの駆動制御ユニット3Sには、第1の実施形態の飛行体1で設けられていた発光部9F~9Iは設けられていない。
そして、この第2の実施形態の飛行体1Sにおいては、大気浄化による大気の清浄度を検出するための清浄度センサ22が、図11(B)に示すように、この例では、筐体6Sの側面の正面に設けられる。この清浄度センサ22は、大気中に浮遊する細菌、カビ菌などを検出することが可能である微生物センサや、大気中の浮遊菌を検出することが可能な浮遊菌センサや、大気中の花粉を検出することが可能な花粉センサや、大気中のPM2.5やPM10等のパーティクルを検出することが可能なパーティクルセンサ等の1つまたは複数のセンサで構成され、それらのセンサで検出された浮遊菌やパーティクル等の数を係数するカウンタの機能をも備える。この第2の実施形態の飛行体1Sの制御部101Sは、清浄度センサ22の検出出力から、光触媒機能により大気浄化されたときの清浄度を判別することが可能となる。なお、センサで検出された浮遊菌やパーティクル等の数を係数するカウンタの機能は、制御部101Sが実行するようにしてもよい。
この第2の実施形態の飛行体1Sのその他の構成部分は、前述した第1の実施形態の飛行体1の構成部分と同様とされる。
図12は、この第2の実施形態の飛行体1Sにおける駆動制御装置部10Sの構成例を示すブロック図である。この図12においても、図2に示した第1の実施形態の飛行体1の駆動制御装置部10と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図12に示すように、この第2の実施形態の飛行体1Sにおいては、第1の実施形態の飛行体1と同様の充電式バッテリー23を備えると共に、上述したように、ソーラーパネル21が設けられている。そして、ソーラーパネル21で発電された電圧が、電源回路24に供給されると共に、充電式のバッテリー23からの電圧も、電源回路24に供給されている。
そして、この例では、電源回路24は、例えば電気二重層コンデンサなどの蓄電素子を備えると共に、ソーラーパネル21で発電された電圧が充分であるときには、当該ソーラーパネル21で発電された電圧を電源電圧Vccとして出力しながら、蓄電素子に電圧を蓄電する。また、ソーラーパネル21では充分な電圧が発電できない状況であるときには、充電式のバッテリー23からの電圧により、充電式のバッテリー23からの電圧を電源電圧Vccとして出力しながら、蓄電素子に電圧を蓄電する。
この例の電源回路24では、ソーラーパネル21で発電できない環境になっても、また、充電式のバッテリー23のバッテリー残量が少なくなっても、即座に、飛行体1Sが移行移動動作不能の状態となるのではなく、蓄電素子に蓄えられた電圧により、しばらくの間は飛行体1Sが飛行移動を継続することができる。
なお、制御部101Sでのソーラーパネル21で発電できる環境であるか否かの判別は、ソーラーパネル21の出力電圧のみを監視することに基づいて行ってもよいし、照度センサ109で検出される外光の照度レベルを用いるようにしてもよい。また、制御部101Sは、ソーラーパネル21の出力電圧と、照度センサ109の検出出力との両方を用いて、ソーラーパネル21で発電できる環境であるか否かの判別を行うようにしてもよい。
そして、図12の例の駆動制御装置部10Sにおいては清浄度センサ22の検出出力がシステムバス100を通じて制御部101Sに伝達される。また、この例の場合には、点灯制御回路115Sには、5個の発光部9A~9Eが接続されている。
さらに、この第2の実施形態の駆動制御装置部10Sの飛行プラン生成部110Sは、飛行体1Sの電源が強化されて、対象とする移動空間を、より広範囲のものとすることができることを考慮した飛行プランを生成することができるようにしている。すなわち、飛行プラン生成部110Sは、対象とする移動空間が、予め定めた広さの閾値よりも大きい空間であるときには、その対象となる移動空間を複数個の空間に分割して、各分割の空間毎に図3~図8に例示した移動パターンを実行するように、飛行プランを生成する機能を備える。この場合に、飛行プラン生成部110Sは、電源回路24の蓄電素子からの出力電圧を監視して、上述した第1の実施形態の飛行プラン生成部110でバッテリーの残量を考慮したのと同様に、ソーラーパネル21からの電圧供給や充電式バッテリー23からの電圧供給が充分であるか、あるいは不足することが予測されるかなどを考慮する。
例えば図13に示すように、対象とする移動空間が直方体形状の移動空間ARであって、予め定めた広さの閾値よりも大きい空間であるときには、この例の飛行プラン生成部110Sでは、対象とする移動空間ARを、複数個の分割空間DVに分割する。このときの複数個の分割空間DVは、できるだけ均等の大きさに分割するのが良いが、均等の大きさに分割しなくてもよい。
そして、飛行プラン生成部110Sでは、対象の移動空間を複数個に分割したときには、各分割空間DVにおいて実行する移動パターン(図3~図8参照)を選定する。この場合に、各分割空間DVにおける移動パターンは、全て同じ移動パターンとするようにしてもよいが、各分割空間DVにおける大気中の浮遊菌やパーティクル等の濃度が異なる場合があることを考慮して、この実施形態では、その大気中の浮遊菌やパーティクル等の濃度(清浄度)に応じて、各分割空間DVにおける移動パターンを変更するように、飛行プランを生成する。
例えば、飛行プラン生成部110Sは、各分割空間DVにおける清浄度センサ22の検出出力に基づいて検出された大気の清浄度の値が、所定閾値よりも小さいときには、所定の移動パターンA(移動速度の情報を含む)を行うように飛行プランを生成し、所定閾値以上であるときには、所定の移動パターンAよりも、より効果的に大気中の浮遊菌やパーティクル等を分解することができるような移動パターンB(移動速度の違いを含む)を行うように飛行プランを生成する。なお、清浄度センサ22の検出出力値に対する所定閾値を、2個以上設けて、清浄度センサ22の検出出力に応じて設定する移動パターンを3個以上とするように飛行プランを生成してもよい。
また、分割された移動空間ARについて分割空間DV毎に、予め、清浄度をチェックし、そのチェック結果として清浄度が低い分割空間(汚れがひどいところ)を、率先して清浄化するようにする飛行ブランを生成してもよい。
そして、この第2の実施形態の制御部101Sは、飛行プラン生成部110Sで生成された飛行プランに従って飛行移動すると共に、移動空間ARを複数個の分割空間DVに分割した場合には、清浄度センサ22からの清浄度の検出出力に応じて、飛行体1Sの飛行移動(移動速度やホバリングの頻度などを含む)を制御する。また、この第2の実施形態では、制御部101Sは、清浄度センサ22の検出出力から、大気の清浄度が、大気浄化の程度が充分な状態になったとみなされる値以下となったと判別したときには、飛行体1Sによる飛行移動による大気浄化を終了するように制御する。
図12における、第2の実施形態の飛行体1Sの駆動制御装置部10Sのその他の構成は、図2に示した駆動制御装置部10と同様の構成とされる。
なお、図12において、飛行プラン生成部110S、飛行駆動信号生成部111、位置姿勢制御信号生成部112、画像認識部114、の処理機能を、制御部101Sがソフトウエア処理機能として実現することもできる。
[飛行体1Sの駆動制御装置部10Sの動作の流れ]
以上のように構成された第2の実施形態の飛行体1Sにおいては、対象となる移動空間に応じた飛行プランを生成し、清浄度センサの検出出力を監視しながら、生成した飛行プランに従って対象となる移動空間を移動することで、より効率的な大気浄化の効果を果たすことができるようにしている。また、対象となる移動空間が比較的広いときには、当該移動空間を分割して、各分割空間毎に、所定の移動パターンを実行することで、より効率的な大気浄化を行うようにしている。
図14~図17は、この第2の実施形態の飛行体1Sの駆動制御装置部10Sの動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。この図14~図17に示したフローチャートの各ステップは、制御部101Sが、飛行プラン生成部110S、飛行駆動信号生成部111、位置姿勢制御信号生成部112、画像認識部114の機能を、ソフトウエア処理機能として実現した場合として説明する。
制御部101Sは、操作部116を通じた起動指示を検知すると、図14のフローチャートをスタートさせる。そして、制御部101Sは、先ず、移動空間情報メモリ107に記憶されている移動空間の情報を読み出し、対象となる移動空間の位置、大きさ、形状、移動空間内の障害物の位置、大きさ、形状、などを認識する(ステップS201)。次に、制御部101Sは、認識した対象の移動空間の大きさが所定の大きさよりも大きい場合には、移動空間を分割して、複数個の分割空間を生成しておくようにする(ステップS203)。
次に、制御部101Sは、飛行プランを生成する際の情報として利用するために、電源回路24に接続されているバッテリー23の残量や、ソーラーパネル21からの電圧等の電源の状況をチェックしておく(ステップS203)。
次に、制御部101Sは、照度センサ109の検出出力を検査して、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である否か判別する(ステップS204)。このステップS204で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分であると判別したときには、制御部101Sは、発光部9A~9Eは消灯したままの状態での飛行プランを作成する(ステップS205)。
この場合に、ステップS205で作成される飛行プランには、移動空間の位置、大きさ、形状及びバッテリーの残量を考慮して選択された移動パターンと、飛行移動の速度と、選択された移動パターンによる当該移動空間内の全体をカバーする飛行の繰り返し回数、などが含まれる。また、対象となる移動空間が分割されている場合には、制御部101Sは、上述したように、対象となる移動区間内における分割区間単位での移動の順番、移動速度、各分割区間での飛行プランを作成する。なお、このステップS205では、飛行体1Sは、発光部9A~9Eは点灯しない状態での飛行プランを実行することになるので、制御部101Sは、電源電力の消費は比較的少ないことを考慮して飛行プランを作成することができる。
なお、この第2の実施形態では、大気浄化の対象となる移動空間内を、できるだけ均等に大気浄化することができるように、少なくとも1回は、移動空間の全域(移動空間が分割される場合には、全ての分割区間)をカバーするように飛行体1Sを飛行移動させるように、飛行移動のパターン、飛行移動の速度などを決定するようにする。
ステップS205で飛行プランを作成したら、制御部101Sは、飛行プランに従った移動パターンによる飛行体1Sの飛行移動を開始して、移動空間を飛行移動する飛行体1Sの筐体6Sの外表面による光触媒機能による大気浄化を実行する(ステップS206)。なお、この例では、大気浄化の対象となる移動空間内、あるいは近傍には、充電ステーションからなる基地が設置されており、飛行体1Sは、この基地から飛行移動を開始する。
そして、制御部101Sは、清浄度センサ22の検出出力から、飛行体1Sの周囲の清浄度CLを検出して監視し(ステップS207)、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度となったか否か判別する(ステップS208)。このステップS208で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度とはなっていないと判別したときには、制御部101Sは、飛行プランに従った移動パターンが一通り終了するように飛行体1Sの飛行移動を継続すると共に、充電要否のサブルーチンを実行する(ステップS209)。
図15は、この充電要否のサブルーチンの例を示すフローチャートである。すなわち、制御部101Sは、電源回路24の出力電圧を監視すると共に、ソーラーパネル21からの発電電圧及び充電式のバッテリー23の出力電圧を監視して、充電を開始することが必要な状態になっているか否か判別する(ステップS221)。
このステップS221で、充電を開始することが必要な状態になっていると判別したときには、制御部101Sは、飛行体1Sの対象となる移動空間の飛行移動を中止して、充電ステーションに戻って、充電式バッテリー23の充電を開始する(ステップS222)。そして、制御部101Sは、充電式バッテリー23の充電が完了するのを待ち(ステップS223)、充電が完了したら、対象となる移動空間の飛行移動を再開し(ステップS224)、その後、処理をメインルーチンに戻す。この場合、ステップS209で図15のサブルーチンを行ったときには、ステップS207に戻す。
また、ステップS221で、充電を開始することが必要な状態にはなっていないと判別したときには、制御部101Sは、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのには不充分である状態に変化した否か判別する(ステップS225)。このステップS225で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのには不充分である状態に変化したと判別したときには、制御部101Sは、飛行プランを生成する際の情報として利用するために、電源回路24に接続されているバッテリー23の残量や、ソーラーパネル21からの電圧等の電源の状況をチェックする(ステップS226)。そして、このステップS226の次には、制御部101Sは、処理を、図17のステップS251に移行し、後述するこのステップS251以降の処理を行う。
また、ステップS225で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのに不充分である状態には変化してはいないと判別したときには、制御部101Sは、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である状態に変化したか否か判別する(ステップS227)。そして、ステップS227で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である状態に変化してはいないと判別したときには、制御部101Sは、処理をメインルーチンに戻す。この場合、ステップS209で図15のサブルーチンを行ったときには、ステップS207に戻す。
また、ステップS227で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である状態に変化したと判別したときには、制御部101Sは、飛行プランを生成する際の情報として利用するために、電源回路24に接続されているバッテリー23の残量や、ソーラーパネル21からの電圧等の電源の状況をチェックする(ステップS228)。そして、このステップS228の次には、制御部101Sは、処理を、図14のステップS205に移行し、このステップS205以降の処理を行う。
なお、ステップS209で、図15のサブルーチンを実行する場合には、外光が充分な状態であったので、ステップS227及びステップS228を経由して、ステップS205に戻ることはない。
次に、図14のフローチャートに戻って、ステップS208で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったと判別したときには、制御部101Sは、対象である移動空間は、飛行プランの生成の際に分割されたか否か判別する(ステップS210)。このステップS210で、移動空間は分割されてはいないと判別したときには、制御部101Sは、移動空間の清浄化が充分になされたとして、この処理を終了する。
また、ステップS210で、移動空間は分割されていると判別したときには、制御部101Sは、飛行プランに従って次の分割空間に、飛行体1Sを移動させる(ステップS211)。
次に、制御部101Sは、移動後の分割空間において大気の清浄度をチェックし(図16のステップS231)、制御部101Sは、移動前の分割空間の初期状態の大気の清浄度と同程度であるか否か判別する(ステップS232)。このステップS232で、移動前の分割空間の初期状態の大気の清浄度と同程度であると判別したときには、制御部101Sは、移動前の分割区間と同様の移動パターンを用いた大気清浄化を実行する(ステップS233)。
また、ステップS232で、移動前の分割空間の初期状態の大気の清浄度と同程度ではないと判別したときには、制御部101Sは、ステップS231で検出した清浄度に応じた、移動前の分割区間とは異なる移動パターンを用いて大気清浄化を実行する(ステップS234)。
ステップS233またはステップS234の次には、制御部101Sは、分割区間において、飛行プランに従った移動パターンによる飛行体1Sの飛行移動を開始して、移動空間を飛行移動する飛行体1Sの筐体6Sの外表面による光触媒機能による大気浄化を実行する(ステップS235)。
そして、制御部101Sは、清浄度センサ22の検出出力から、飛行体1Sの周囲の清浄度CLを検出して監視し(ステップS236)、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度となったか否か判別する(ステップS237)。このステップS237で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度とはなっていないと判別したときには、制御部101Sは、飛行プランに従った移動パターンが一通り終了するように飛行体1Sの飛行移動を継続すると共に、図15に示した充電要否のサブルーチンを実行する(ステップS238)。
このステップS238で図15のサブルーチンが実行される場合には、制御部101Sは、図15のステップS224の次には、処理を、図16のステップS236に戻す。また、図15のステップS225で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのには不充分である状態に変化したと判別したときには、制御部101Sは、ステップS226における電源回路24の状況をチェックした後、図17のステップS251に移行し、後述するこのステップS251以降の処理を行う。
次に、図16のフローチャートに戻って、ステップS237で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったと判別したときには、制御部101Sは、対象である移動空間の全ての分割空間について飛行移動を実行したか否か判別する(ステップS239)。このステップS239で、全ての分割空間は分割について飛行移動を実行したと判別したときには、制御部101Sは、この処理を終了する。
また、ステップS239で、全ての分割空間は分割について飛行移動の実行は、未だ終了してはいないと判別したときには、制御部101Sは、未了である次に分割空間に飛行体1Sを移動させる(ステップS240)。そして、制御部101Sは、処理をステップS231に戻し、このステップS231以降の処理を繰り返す。
次に、図14のステップS204で、移動空間における外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分ではないと判別したときには、制御部101Sは、点灯制御回路115Sを制御して、発光部9A~9Eを点灯させた状態での飛行プランを作成する(図17のステップS251)。
ステップS251で飛行プランを作成したら、制御部101Sは、飛行プランに従った移動パターンによる飛行体1Sの飛行移動を開始して、移動空間を飛行移動する飛行体1Sの筐体6Sの外表面による光触媒機能による大気浄化を実行する(ステップS252)。
そして、制御部101Sは、清浄度センサ22の検出出力から、飛行体1Sの周囲の清浄度CLを検出して監視し(ステップS253)、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度となったか否か判別する(ステップS254)。このステップS254で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度とはなっていないと判別したときには、制御部101Sは、飛行プランに従った移動パターンが一通り終了するように飛行体1Sの飛行移動を継続すると共に、図15に示した充電要否のサブルーチンを実行する(ステップS255)。
このステップS255で図15のサブルーチンが実行される場合には、制御部101Sは、図15のステップS224の次には、処理を、図17のステップS253に戻す。また、図15のステップS227で、飛行体1Sの周囲の外光による照度が光触媒機能を発揮するのに充分である状態に変化したと判別したときには、制御部101Sは、ステップS228における電源回路24の状況をチェックした後、図14のステップS205に移行し、このステップS205以降の処理を行う。
次に、図17のフローチャートに戻って、ステップS254で、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったと判別したときには、制御部101Sは、対象である移動空間は、飛行プランの生成の際に分割されたか否か判別する(ステップS256)。このステップS256で、移動空間は分割されてはいないと判別したときには、制御部101Sは、移動空間の清浄化が充分になされたとして、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS256で、移動空間は分割されていると判別したときには、制御部101Sは、飛行プランに従って次の分割空間に、飛行体1Sを移動させる(ステップS257)。そして、このステップS257の次には、制御部101Sは、処理を図16のステップS231に移行させて、このステップS231以降の処理を行う。
なお、上述の例では、図14のステップS210または図17のステップS256において、移動空間は分割されていないと判別したときには、ステップS254で清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったと判別していることから、移動空間の清浄化が充分になされたとして、この処理ルーチンを終了するようにした。しかし、飛行プランとして、予め所定回数の繰り返しが設定されているときには、その所定回数の繰り返し数だけ、移動空間における飛行移動を行って、更なる大気浄化を実行するようにしてもよい。
また、移動空間を複数個の分割空間に分割した場合の処理の例である図16においては、ステップS237で、それぞれの分割空間における清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったと判別したときに、分割空間を移動するようにした。しかし、移動空間の全体について、複数回の繰り返し数が飛行プランとして生成されている場合には、繰り返しの最後の回でのみ、それぞれの分割空間において、清浄度CLが予め定めた閾値CLth以上の高い清浄度になったか否か判別して、閾値CLth以上の高い清浄度になったら、次の分割空間に飛行体1Sを移動させるようにしてもよい。その場合には、繰り返しの最後の回以外では、制御部101Sは、設定された移動パターンを各分割空間において、設定された回数(1回以上)行ったら、次の分割空間に移動するように、飛行体1Sを制御する。
[第2の実施形態の効果]
上述した第2の実施形態の飛行体1Sによれば、対象となる移動空間の大気の清浄度を確認しながら、大気浄化の飛行移動させることができるので、効果的に大気浄化を実行することができる。
また、上述した第2の実施形態の飛行体1Sによれば、移動空間が広い場合には、当該移動空間を分割して、各分割空間毎に、所定の移動パターンで飛行移動することで、大気浄化を行うようにしたので、広い移動空間であっても、効果的に大気浄化を実行することができる。
また、上述した第2の実施形態の飛行体1Sは、ソーラーパネル21を搭載しているので、大気浄化の対象とする移動空間が屋外であって、昼間に飛行体1Sが飛行する場合には、飛行時間を長時間とすることができるという効果がある。さらに、上述した第2の実施形態の飛行体1Sは、充電式バッテリー23も搭載しており、電源回路24は、ソーラーパネル21によって発電した電圧と、充電式バッテリー23の電圧とを有効に用いる構成であるので、長時間の飛行に耐える電源の確保ができるという効果を奏する。このため、大気浄化の対象とする移動空間は、広いエリアとすることが可能である。
なお、第2の実施形態では、飛行体1Sは、清浄度センサ22を備えるので、表示部を設けて、対象となる移動空間において、あるいは各分割空間DVにおいて、清浄度センサ22で検出した清浄度を、表示部を通じて報知するようにしてもよい。
その場合に、表示部は、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)や有機EL(Electroluminescence)パネルなどの表示画面を備えるものを用いて、その表示画面に清浄度を表示するものであってもよいし、複数個のLEDなどの発光素子を一列に並べて、清浄度に応じて点灯させるLEDなどの発光素子の個数を制御するようにするものであってもよい。
この場合に、表示部は、筐体6や駆動制御ユニット3に設けてもよいし、脚部7A,7Bや、発光部9A~9Eのアーム部91A~91Eに設けてもよい。
第2の実施形態では、飛行体1Sが清浄度センサを備えていたが、清浄度センサは移動空間に設置されていてもよい。その場合には、移動空間の各所に設置されている清浄度センサから検出された清浄度はクラウドにアップロードされる。一方、飛行体1Sには、飛行体1Sはクラウドにアクセスして、移動空間の各所における清浄度を入手するようにするため、通信手段及び清浄度取得手段を設ける。そして、制御部101Sは、清浄度取得手段で取得した清浄度に応じて、飛行体1Sによる空間移動を制御する。
[第3の実施形態]
なお、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態では、移動体は、飛行移動可能な飛行体としたが、移動空間の高さが低い場合には、飛行することなく、移動空間の底面上を自律走行して移動する走行移動体であってもよい。第3の実施形態は、移動体が走行移動体である場合である。
図18は、第3の実施形態の走行移動体200の構成例を示す図であり、図18(A)は、この第3の実施形態の走行移動体200を、その上方から見た図であり、また、図18(B)は、この第3の実施形態の走行移動体200を、走行移動方向に対して直交する方向から見た図である。
この例の走行移動体200は、直方体形状の筐体201を備える。この筐体201は、その外表面側が光触媒機能を奏する材料により構成されている。この第3の実施形態では、筐体201は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態の筐体6及び6Sと同様に、板状の例えば樹脂を基材として、その基材の上に、特許文献1で説明した金属修飾アパタイトを薄膜で形成した高機能複合材料により構成されている。
この筐体201は、走行移動機構により、所定の方向に走行移動可能に構成されている。走行移動機構は、車軸204の両端に設けられている駆動輪202及び203と、車軸207の両端に設けられている駆動輪205及び206とを含む。そして、詳細な図示は省略するが、この例の走行移動機構は、方向操縦機能を備えており、右折、左折、右回転、左回転が可能とされている。さらに、走行移動機構は、前方移動だけでなく、後方移動も可能に構成されている。
そして、この第3の実施形態の走行移動体200の筐体201に対しては、当該筐体200の上面から上部に突出すると共に、筐体201に対して上下動する支柱207が取り付けられている。図18では、図示を省略するが、筐体201内には、支柱207を上下動させるための上下動機構部が設けられている。
上下動する支柱207の上端部には、移動盤部208が取り付けられている。この例では、移動盤部208は、筐体201と横断面が同形状の直方体形状とされている。そして、この移動盤部208は、筐体201と同様に、その外表面側が光触媒機能を奏する材料、例えば金属修飾アパタイトを薄膜で形成した高機能複合材料により構成されている。
したがって、筐体201及び移動盤部208の周囲の大気中の細菌等を含む有機物質は、筐体201及び移動盤部208の表面に露出している金属修飾アパタイトの薄膜に吸着されて光触媒機能により、水分と二酸化炭素に分解されて大気が浄化される。そして、移動盤部208が上下動すれば、金属修飾アパタイトの薄膜により大気浄化される領域も移動して、より広い領域の大気の浄化を行うことができる。
なお、筐体201及び移動盤部208を構成する基材としては、樹脂に限られる訳ではなく、例えば木材、ガラス、金属、セラミックスなどの板状体であってもよい。また、筐体201及び移動盤部208の材料は、この例のように、基材の上に金属修飾アパタイトを薄膜で形成した高機能複合材料で構成したものに限られる訳ではなく、上述した基材を構成する板状体の表面に、金属修飾アパタイトのシートやフィルムを、被着するようにしたものであってもよい。また、光触媒アパタイトは、特許文献1に開示された金属修飾アパタイトに限られるものではなく、光触媒機能を奏するものであればよい。
そして、この第3の実施形態では、筐体201及び移動盤部208の外表面に光を照射するようにする発光部が取り付けられる。図18の例では、直方体形状の箱型の形状である筐体201の4側面と、底面とには、発光部210A,210B,210C,210D,210Eの取付アーム211A,211B,211C,211D,211Eが取り付けられている。この場合に、取付アーム211A,211B,211C,211D,211Eは、発光部210A,210B,210C,210D,210Eが、筐体201の4側面と底面のそれぞれの全面を、図18において点線で示すように照射することができるように、筐体201に対して取り付けられている。
また、筐体201の上面と、移動盤部208の下面とに光を照射するようにするために、この実施形態では、筐体201の互いに対向する2側面から、上方に取付アーム213L及び213Rが設けられ、これらの取付アーム213L及び213Rに、発光部212L及び212Rが取り付けられている。このように2個の発光部212L及び212Rを設けるのは、筐体201の上面と、移動盤部208の下面とに露出している領域に光を十分に照射することができるようにするためである。
さらに、この第3の実施形態においては、移動盤部208の上面には、取付アーム215に取り付けられており、この取付アーム215に対して発光部214が取り付けられている。発光部214は、移動盤部208の上面のほぼ全領域に光を照射することができるように取り付けられている。
発光部210A~210E、212L,212R及び214としては、白熱電球、蛍光灯、紫外線LED(Light Emitting Diode)など、紫外線を発するものであれば、どのようなものでもよい。
そして、この例においては、図18(A),(B)に示すように、移動盤部208の4側面のそれぞれには、カメラCM11~CM14のそれぞれが設けられている。これらカメラCM11~CM14の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM11~CM14のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
さらに、筐体201内には、電源としてのバッテリーを含む駆動制御装置部220が設けられている。図19は、この実施形態の走行移動体200における駆動制御装置部220の構成例を示すブロック図であり、図19ではバッテリーを省略した。なお、この図19の例は、第1の実施形態の飛行体1を、走行移動体200に変更した場合に想定するものであり、同様の構成部分には、同一のブロック名称を用いた。そして、以下の説明では、主として、図2の構成と、図19の構成との違いを中心に説明することとする。
図19に示すように、この実施形態における駆動制御装置部220は、マイクロコンピュータ(図2ではマイコンと省略)からなる制御部221に対して、システムバス240を通じて、走行移動駆動部222、ジャイロセンサ223、地磁気センサ224、障害物センサ226、移動空間情報メモリ227、現在位置検出部228、照度センサ229、走行移動プラン生成部230、上下動駆動信号生成部231、カメラ群233、画像認識部234、点灯制御回路235、操作部236、のそれぞれが接続されて構成されている。
すなわち、図2の空中飛行駆動部102に代えて走行移動駆動部222が設けられる。そして、この走行移動駆動部222に対して、駆動輪202,203,205及び206の回転駆動を制御すると共に、方向操縦機構(図示は省略)を制御する走行移動機構部241が接続される。走行移動機構部241により、走行移動体200は、所定の速度で、所定の方向に移動することが可能とされる。
そして、図2の飛行プラン生成部110に代えて、走行移動プラン生成部230が設けられる。この走行移動プラン生成部230では、移動空間メモリ227に記憶されている対象となる移動空間の高さを認識して、移動盤部208を上下動させる際の上限の高さが、設定される。
また、図2の飛行駆動信号生成部111に代えて、上下動駆動信号生成部231が設けられる。この上下動駆動信号生成部231は、走行移動プラン生成部230で生成された走行移動プランに含まれる移動盤部208に対する上下動指示に応じた、上下動の高さ範囲及び上下動の移動速度で、移動盤部208を上下動させる駆動信号を生成する。上下動駆動信号生成部231で生成された上下動駆動信号は、筐体201内に設けられている上下動機構部242に供給される。支柱207は、この上下動駆動信号により駆動されて、上下動駆動信号に応じた上下動の高さ範囲及び上下動の移動速度で、移動盤部208を上下動させる。
さらに、位置姿勢制御信号生成部112に代えて、移動制御信号生成部232が設けられる。この移動制御信号生成部232は、ジャイロセンサ223、地磁気センサ224、並びにカメラCM11~CM14の撮影画像に基づいて、筐体201の移動位置や移動方向を、走行移動プランに応じたものとするように制御する移動制御信号を生成する。
なお、図19の例では、図2における高さセンサ105は設けられない。そして、図19におけるその他の同一名称の各部は、図2の例の各部と同様の構成及び動作を行う。
この第3の実施形態の走行移動体200の走行移動プラン生成部230は、第1の実施形態の飛行体1が空間を飛行移動するのに対して、床面上や地面上を走行移動する点が異なるのみで、同様の送移行移プランを生成する。例えば、図3(A)、図4(A)、図5(A)に示した移動パターンのいずれで走行を行うかを、設定する。ただし、この第3の実施形態の走行移動プランには、設定された移動パターンに伴って、移動盤部208を、どのよう移動速度で、また、どのような移動態様で、上下動させるかを設定するようにすることが含まれる。ここで、移動速度は、上下動の平均の速度であり、移動態様としては、常に等速での上下動、上方への移動に従って徐々に早くする、上方への移動に従って徐々に遅くする、中間は遅く、その他は早く移動する、などの態様が可能である。
なお、図18において、走行移動プラン生成部230、上下動駆動信号生成部231、画像認識部224、の処理機能を、制御部221がソフトウエア処理機能として実現することもできる。
この第3の実施形態の走行移動体200の駆動制御装置部220では、移動の仕方が、飛行と走行移動とで違いはあるが、第1の実施形態の飛行体1の駆動制御装置部10の、図9及び図10に示した動作の流れと同様の動作の流れを行うことができる。
したがって、この第3の実施形態の走行移動体200によれば、対象となる移動空間の高さが、走行移動体200の移動盤部208の最大高さ位置に応じた高さ以下であれば、走行移動するだけで、筐体201と移動盤部208の外表面の金属修飾アパタイトの薄膜により大気浄化が実行される。
そして、第3の実施形態の走行移動体200は、発光部210A~210E、212L、212R、214を備えているので、外光が不充分であっても、それらの発光部210A~210E、212L、212R、214を点灯することで、筐体201や移動盤部208の外表面による光触媒アパタイトの薄膜の光触媒機能による大気浄化作用を充分に実行することができる。このため、建物の床下等の大気浄化などに好適である。
なお、図18の走行移動体200を、上述した第1の実施形態と同様の場合に適用した例であるが、上述の第2の実施形態の場合にも適用できる。すなわち、走行移動体の筐体201あるいは移動盤部208に、清浄度センサを設けると共に、ソーラーパネルを備えるようにした場合にも、同様に適用でき、移動状態が、飛行移動に代えて走行移動になるだけで、上述の第2の実施形態と同様の処理動作を行うことができる。
[他の実施形態又は変形例]
なお、上述の第1及び第2の実施形態では、筐体6,6Sの外表面のみに、光触媒機能を発揮する薄膜を形成あるいは被着するようにしたが、駆動制御ユニット3の外表面や、空中飛行機構部2を構成する4本のアーム4A,4B,4C,4Dや、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dの表面にも、光触媒機能を発揮する層を形成あるいは被着するようにしてもよい。さらには、脚部7A,7Bや、発光部9A~9E及び取付アーム91A~9Eの表面にも、光触媒機能を発揮する層を形成あるいは被着するようにしてもよい。
同様に、第2の実施形態においても、駆動輪202,203.205,206や支柱207の表面にも、光触媒機能を発揮する層を形成あるいは被着するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、筐体6,6S,201、移動盤部208を構成する光触媒機能を有する材料としては、筐体6,6S,201、移動盤部208の表面に金属修飾アパタイトの薄膜が形成された高機能複合材料としたが、これに限られるものではないことは言うまでもなく、光触媒機能により、大気中の有機物質を分解することができるものであれば、どのようなものであってもよい。
さらに、上述の実施形態では、光触媒機能を起こさせるために発光部として紫外線を発するものを使用したが、光触媒機能を起こさせるものであれば、赤外線LED(Light Emitting Diode)や赤外線レーザー等の赤外線を発するものや、可視光LED(Light Emitting Diode)や可視光レーザー等の可視光を発するものであってもよい。
また、第3の実施形態では、移動体は、飛行することなく、移動空間の底面上を自律移動する走行移動体としたが、この発明による移動体は、飛行移動することができると共に、移動空間の底面上を自律移動する移動体であってもよい。さらには、水上を移動できる移動体であってもよい。