JP7299779B2 - 植物栽培装置、及び栽培工場での植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培装置、及び栽培工場での植物栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物栽培装置に係り、特に植物の栽培工場で用いられる植物栽培装置に関する。また、本発明は、植物栽培装置を用いた栽培工場での植物栽培方法にも関する。
栽培工場の内部にある閉鎖空間又は半閉鎖空間において農作物等の植物を栽培することは、既に知られている。栽培工場では、人工光を使用して植物に適度の日照を与えるとともに、栽培工場内の環境(例えば、温度及び湿度)を植物の生育に適した状態に保って植物を栽培する。ここで用いられる人工光には、従来の放電管及び蛍光灯等に代わり、最近では発光効率が向上したLED(Light Emitting Diode)が主流となっている。このような人工光型の栽培工場は、都市近郊に建設することができるうえ、農薬も殆ど使用せずに年中安定生産が可能であるため、近年益々増加する傾向にある。
栽培工場内において、栽培環境の調整は非常に重要であり、例えば、レタス等の葉物野菜の場合、栽培効率を高めるために、温度は15~25℃程度、湿度は40~80%RH程度に保たれることが求められている。しかし、栽培工場内の温度及び湿度は、蒸発又は蒸散由来の水蒸気及び照明からの熱等のためにそれぞれ高くなり過ぎる傾向がある。具体的には、液肥を循環させている水路或いはプールの表面からは蒸発が起きており、また、植物からはその生長量に応じた量の蒸散が起きているため、蒸発又は蒸散由来の水蒸気が栽培工場内の湿度を高めている。一方、照明からの熱に関しては、最近では、放電管及び蛍光灯等よりも発光効率の良いLEDを用いているとはいえ、電気から光への変換効率は3~4割程度であり、残りの電力は全て熱に変換されて栽培工場内に放出されている。
このように、栽培工場内においては、通常、温度及び湿度は上昇してしまうことが多い。そのため、栽培工場内の温度及び湿度の上昇を抑制し、最適な栽培環境を維持する方法として、従来から、大規模な空調設備によって栽培工場内全体の空気を循環させる方法、若しくは、栽培工場内に配置された栽培装置ごとに栽培環境を調整する方法等が種々開発されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
特許文献1では、栽培装置の上部に排気ファンを設置して排気口からの排気によって栽培空間内に空気の流れを生じさせるようにし、栽培空間内で発生した熱及び湿気を含む空気を上方へ排出している。
また、特許文献2では、栽培棚の側面に向けて冷気を送り込む冷風機と、その冷風機の冷気に対して気流を供給する誘引ファンとを備えることにより、冷気の向きを栽培棚の側面から上方に向けて流れるような気流を冷風機から送り込み、栽培空間を冷却している。
また、特許文献3では、吸気口を介して植物の周囲の気体を吸気管の中に取り込み、その湿気を含む気体を栽培棚の外部又は除湿装置に移動させることにより、栽培空間内の空気を除湿している。
特開2016-178884号公報 特開2015-173615号公報 特開2013-255439号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のように、照明によって暖められた空気を排気ファンなどで栽培空間の上方に排気したり、外部に設けられた空調設備によって冷やされた空気を植物に当てたりする等して、栽培空間の温度を一定以下にする方法の場合、照明から生じた熱によって暖められた空気により、植物周囲の温度が上がっているため、それを冷気によって冷やすためには多大な冷熱量が必要となる。しかも、熱源で温めた空気をさらに冷気で冷やしているため、無駄にエネルギを消費していることになり、エネルギ効率が著しく低下する。また、排気又は吸気の際における気流の経路(流路)以外では熱気が溜まり易く、それが熱源となって、そこに近い部分では温度が上がってしまい、栽培空間内において温度分布が発生する。
また、特許文献3のように、植物周辺の空気を吸引して除湿装置にて除湿する場合、植物からの蒸散又は液肥からの蒸発によって湿度が高くなっている栽培空間内の空気は、照明からの熱によって温度も高くなっているため、絶対湿度が高くなる傾向にある。このように、絶対湿度が高いと除湿に要するエネルギがさらに大きくなってしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、エネルギ効率の向上を図りつつ、栽培工場内の栽培環境を適正な状態に調整することが可能な植物栽培装置及び植物栽培方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の植物栽培装置は、植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、単位空間の上部に配置され、単位空間内の植物に人工光を照射するための照明部材と、照明部材の周辺に配置された冷却部材と、吸湿穴を有し、吸湿穴から単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を単位空間ごとに備えたことを特徴とする。
以上のように構成された本発明の植物栽培装置によれば、上下に並んだ複数の単位空間のそれぞれで植物を栽培し、冷却部材と吸湿部材とを単位空間ごとに備える。これにより、それぞれの単位空間において、照明部材から発生する熱を冷却部材によって抑制することができ、且つ、蒸発又は蒸散等に由来する水蒸気を含んだ湿度の高い空気を吸湿部材によって除去することができる。そのため、植物を栽培している単位空間内の温度及び湿度の上昇を抑えることができ、エネルギ効率を向上させつつ、植物の栽培環境を適正な状態に調整することができる。また、上記の構成であれば、単位空間内のどの領域であっても温度及び湿度が均一となるように、それぞれの単位空間内の温度及び湿度を適切に調整することが可能である。
また、本発明の植物栽培装置において、冷却部材は、冷却媒体が移動可能な内部空間を有する両端が開口した管状部材であり、吸湿部材は、吸湿穴から吸引した空気が移動可能な内部空間を有し、上流側の端部が閉口し下流側の端部が開口した管状部材であり、冷却部材及び吸湿部材は同一方向に延在しているとよい。
上記の構成であれば、冷却部材の内部空間を移動する冷却媒体により、照明部材から発生する熱を好適に抑制することができる。また、単位空間内にあって比較的湿度が高い空気を吸湿穴から吸引し、吸湿部材の内部空間を通じて単位空間外に排出することができ、単位空間内を好適に除湿することができる。特に、吸湿部材の上流側の端部を閉口することにより、内部空間内にあって水蒸気(湿気)を含む空気を吸湿穴からより効率的に吸引することができる。
また、本発明の植物栽培装置において、冷却媒体は冷却された空気であるとよい。
上記の構成であれば、冷却媒体を容易に取り扱うことができる。
また、本発明の植物栽培装置において、冷却部材と吸湿部材とが互いに熱交換可能な位置に配置されているとよい。
上記の構成であれば、冷却部材と吸湿部材との間で熱交換が生じるため、冷却部材が単位空間内を冷却したときに吸収した熱(例えば、空気等の冷却媒体が保持した熱)を吸湿部材へ移動させることができ、冷却部材(具体的には、空気等の冷却媒体)を再冷却する際の冷却負荷を小さくすることができる。一方、吸湿部材においては、冷却部材から移動した熱により吸湿部材内の空気の温度が上昇するために飽和水蒸気量が増えるので、吸湿部材による除湿効果が高まる。この結果、植物の栽培環境を調整する際のエネルギ効率をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明の植物栽培装置において、冷却部材と吸湿部材とが互いに接触しているとよい。
上記構成であれば、冷却部材と吸湿部材とが互いに接触することによって、両部材との間で熱の移動が生じやすくなるため、植物の栽培環境を調整する際のエネルギ効率を尚一層向上させることが可能となる。
また、本発明の植物栽培装置において、照明部材は、長く延出しており、冷却部材は照明部材に沿って配置されているとよい。
上記の構成であれば、単位空間内の温度を上昇させる熱源である照明部材を、より効率的に冷却することができる。
また、本発明の植物栽培装置において、複数の単位空間のうち、一つの単位空間に対して設けられた吸湿部材は、一つの単位空間の下方から一つの単位空間内の空気を吸引するとよい。
それぞれの単位空間の下方には、植物が浮かべられる液肥の水面が存在したり、及び、植物において気孔からの蒸散が集中的に発生する葉の裏面が向いていたりする。上記の構成であれば、このような状況にある単位空間の近くから空気を吸引することにより、比較的湿度の高い空気を効率的に吸引することができる。
また、本発明の植物栽培装置において、吸湿穴は、吸湿部材の外周部分に複数形成されており、吸湿穴の大きさ、単位面積あたりの個数及び深さのうち少なくとも一つが、吸湿部材における吸湿穴の形成場所によって異なるとよい。
上記の構成であれば、吸湿穴の形成場所における吸引抵抗の違いを考慮し、それぞれの吸湿穴から良好に単位空間の空気を吸引することができ、吸湿部材の除湿効果を向上させることができる。
また、本発明の植物栽培装置において、複数の単位空間において上下に連続する2つの単位空間のうち、下側の単位空間用に配置された冷却部材と、上側の単位空間用に配置された吸湿部材と、が熱交換可能な位置に配置されているとよい。
上記の構成であれば、多段式の植物栽培装置において、それぞれの単位空間において冷却部材及び吸湿部材を各部材に適した位置に配置しつつ、植物の栽培環境を調整する際のエネルギ効率をさらに向上させることが可能となる。つまり、上下に連続する2つの単位空間のうち、下側の単位空間用に配置された冷却部材が下側の単位空間内を冷却した時に吸収した熱を、上側の単位空間用に配置された吸湿部材へ移動させることができるので、冷却部材を再冷却する際の冷却負荷を小さくすることができる。一方、吸湿部材では、冷却部材から移動した熱により吸湿部材内の空気の温度が上昇するために飽和水蒸気量が増えるので、吸湿部材による除湿効果が高まる。
また、本発明の植物栽培装置において、複数の単位空間において上下に連続する2つの単位空間のうち、下側の単位空間用に配置された冷却部材と、上側の単位空間用に配置された吸湿部材と、が互いに接触しているとよい。
上記構成であれば、下側の単位空間用に配置された冷却部材と、上側の単位空間用に配置された吸湿部材と、が互いに接触することによって、両部材間で熱の移動が生じやすくなるため、植物の栽培環境を調整する際のエネルギ効率を益々向上させることが可能となる。
また、本発明の植物栽培装置において、冷却部材の内部空間を移動する冷却媒体の量を調整する冷却媒体量調整部と、吸湿部材による吸引量を調整する吸引量調整部と、を単位空間ごとにそれぞれ備えているとよい。
上記の構成であれば、多段式の植物栽培装置において、バルブ等から成る冷却媒体量調整部及び吸引量調整部を単位空間ごとに設置することにより、それぞれの単位空間内の温度及び湿度を個別に調整することができる。
また、前述した課題を解決するため、本発明の他の植物栽培装置は、植物を栽培可能な単位空間の上部に配置され、単位空間内の植物に人工光を照射するための照明部材と、照明部材の周辺に配置された冷却部材と、吸湿穴を有し、吸湿穴から単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を備えたことを特徴とする。
上記構成であれば、単段式の植物栽培装置においても、照明部材から発生する熱によって単位空間内の温度が上昇するのを冷却部材によって抑制することができ、且つ、蒸発又は蒸散等に由来する水蒸気を含む高湿な空気を吸湿部材によって排気することができる。これにより、植物を栽培している単位空間内の温度及び湿度の上昇を抑えることができ、エネルギ効率を向上させつつ、植物の栽培環境を適正な状態に調整することができる。
また、前述した課題を解決するため、本発明の栽培工場での植物栽培方法は、上述した植物栽培装置のいずれか一つを用い、照明部材により単位空間内の植物に人工光を照射し、冷却部材により照明部材を冷却し、吸湿部材により単位空間内の空気を吸湿するものである。
上記の方法によれば、エネルギ効率を向上させつつ、植物の栽培環境を適正な状態に調整することができる。
本発明によれば、エネルギ効率の向上を図りつつ、栽培工場内の栽培環境を適正な状態に調整することが可能である。
植物栽培装置の概略構造を示す側方図である。 植物栽培装置の要部概略構造を示す斜視図である。 冷却管の概略構造を示す側方断面図である。 吸湿管の概略構造を示す側方断面図である。 吸湿穴のバリエーションを示す図であり、(a)は、第1例に係る吸湿管の底面図、(b)は、第2例に係る吸湿管の底面図、(c)は、第3例に係る吸湿管の側方断面図、(d)は、第4例に係る吸湿管の側方断面図である。 冷却管と吸湿管とが隣接した状態の概略構造を示す拡大斜視図である。 図6のA-A線断面図である。 他の実施形態における植物栽培装置の要部概略構造を示す斜視図である。 他の実施形態における冷却管と吸湿管とが隣接した状態の概略構造を示す側方断面図である。
以下では、本発明の一実施形態(本実施形態)について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明について分かり易く説明するために挙げた具体的な一つの実施形態ではあるが、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
<<本実施形態に係る植物栽培装置について>>
先ず、本実施形態に係る植物栽培装置1が設置される栽培工場について説明する。本実施形態の栽培工場は、内部が閉鎖空間又は半閉鎖空間である建物又はコンテナのような構造物であり、その栽培工場内に一又は複数の植物栽培装置1が設置され、植物、例えば葉物野菜Jが水耕栽培方式によって栽培される。ただし、栽培工場内での植物栽培方式は、水耕栽培方式に限定されず、他の方式(例えば、土耕栽培方式若しくは養液土耕栽培方式等)であってもよい。
図1は、植物栽培装置1の概略構造を示す側方図である。図2は、植物栽培装置1の要部の概略構造を示す斜視図である。なお、同図では、図示の都合上、植物栽培装置1の要部を模式的に図示している。
以下の説明では、植物栽培装置1内における栽培空間が平面視で矩形状の空間であり、互いに直交する3つの軸(XYZ軸)によって規定される空間であることとする。ここで、Y方向は、鉛直方向に相当し、X方向及びZ方向は、鉛直方向と交差する方向(具体的には水平方向)に相当する。
本実施形態において、植物栽培装置1は、栽培工場内の部屋2の中に設置されており、フレーム4及び棚段5から成る栽培棚3と、光照射装置6と、冷却管7と、吸湿管8と、バルブ9と、から主に構成される。また、冷却管7及び吸湿管8は、部屋2の外側に設置された冷却装置10及び吸引装置11と連結されている。なお、本実施形態では、光照射装置6が照明部材に相当し、冷却管7が冷却部材に相当し、吸湿管8が吸湿部材に相当する。
図1に示すように、栽培棚3は、Y方向に立設された複数のフレーム4と、フレーム4間にわたってX方向に架設された棚段5とを複数備える多段式の構造物である。X方向に架設された棚段5は、Y方向に複数並んでおり、それぞれの棚段5は、その上に植物等の物を載置できるものであればよく、好適には板体若しくは格子枠等であるのが望ましい。なお、本実施形態では、棚段5はY方向に三段設置されているが、三段超でもよく、若しくは三段未満でもよい。また、栽培棚3は、本実施形態のような多段式のものに限定されず、棚段5の数(段数)が単段式であってもよい。
各棚段5上には、フレーム4と棚段5とによって区画された複数の単位空間12がY方向に積層されている。本実施形態では、上段から単位空間12a、12b、12cがこの順に並んでおり、それぞれの単位空間12a~12c内では、植物(葉物野菜J等)が栽培される。つまり、栽培棚3では、植物の栽培空間である複数の単位空間12(具体的には、三つの単位空間12a~12c)が複数の棚段5によって仕切られてY方向に複数並んでいる。なお、以下において、概念としての単位空間又は単位空間全体を指す場合は単位空間12と示し、具体的にそれぞれの単位空間を指す場合は単位空間12a~12cと示す。
なお、Y方向に並ぶ複数の単位空間12a~12cでは、植物の生長状況が単位空間12a~12cごとに異なっている場合があり、例えば、ある棚段5上では、栽培開始から数日が経過した植物が栽培され、別の棚段5上では、栽培開始から数十日が経過して収穫前の段階にある植物が栽培される場合もあり得る。
栽培棚3の棚段5上には、葉物野菜Jを保持したボトル13が複数載置されている。ボトル13は、光照射装置6の照射方向及び吸湿管8の配置等を考慮して適宜載置される。各ボトル13は、葉物野菜Jの栽培容器であり、ボトル13内には液肥が充填されている。なお、本実施形態においては、ボトル13が一つの棚段5上に9個(X方向に3個、Z方向に3個)載置されていることとしたが、各棚段5に載置されるボトル13の数については、特に限定されるものではない。また、棚段5上において、ボトル13は静置していてもよく、或いは、不図示の搬送機構(例えば、駆動ローラ等)によってX方向又はY方向に移動可能としてもよい。
光照射装置6は、単位空間12内で栽培中の葉物野菜Jに向けて光合成に必要な人工光を照射する部材であって、図1及び図2に示すように、単位空間12a~12cごとにそれぞれの単位空間12a~12cの上方位置(詳しくは、各単位空間12a~12cで栽培される葉物野菜Jの上方位置)に配置されている。
光照射装置6は、後述する冷却管7の下面の面積よりも小さい矩形状の基板と、その基板に実装した所定の波長の光を発光する複数のLED光源等を備える。光照射装置6は、通常、LED光源が実装された複数枚の基板を単位空間12a~12cごとにX方向に沿って長尺状に並べることにより構成されている。ちなみに、本実施形態では、単位空間12a~12cごとに、Z方向に間隔を空けて3列の基板列が互いに平行となるように並べられており、それぞれの基板列が光照射装置6を構成している。ここで、光照射装置6を構成する基板列は、図2に示すように、冷却管7の下面に密着した状態で取り付けられており、光照射装置6から発生した熱は、その基板を通じて冷却管7に伝わる構成となっている。
なお、本実施形態では、光照射装置6としてLEDを用いたが、無機又は有機のLED以外にも、例えば、レーザー等の半導体発光素子、蛍光灯、水銀灯、希ガスランプ、無電極ランプ等の放電管、白熱灯等のフィラメント発光機、放射光又は蛍光等のエネルギ遷移によるもの等、光を発する装置であれば広く使用可能である。
冷却管7は、光照射装置6から発生する熱を除去して光照射装置6及び光照射装置6周辺の空気を冷却するための部材であって、単位空間12a~12cごとにそれぞれの単位空間12a~12cの上方位置(詳しくは、各単位空間12a~12cで栽培される葉物野菜Jの上方位置)に、光照射装置6に沿ってX方向に延びるように配置されている。なお、本実施形態では、冷却管7は後述する吸湿管8とは別体で設置されている。
図3は、単位空間12における冷却管7の概略構造を示す側方断面図である。
図2及び図3に示すように、冷却管7は、断面矩形状であって、冷却された空気等の冷却媒体が移動可能な内部空間14を有する両端開口の管状部材で構成されている。また、冷却管7は、熱伝導率が比較的高い材料、例えば、アルミニウム、銅若しくは鉄等の金属等により形成されている。これにより、光照射装置6から発生する熱は、上記材質から成る熱伝導率が高い冷却管7に伝導される。
図1に示すように、冷却管7の両端は部屋2の外側にまで延在しており、冷却管7の上流側(入口開口部)は、部屋2の外部に設置された冷却装置10の送風口に連結され、下流側(出口開口部)は、部屋2の外部に設置された吸気ファン等の吸引装置11に連結されている。なお、冷却管7の出口開口部は、吸引装置11と連結せずに部屋2の外に配置させて大気に開放し、内部空間14を移動してきた冷却媒体を大気に放出させてもよい。
なお、本実施形態では、図1に示すように、冷却装置10及び吸引装置11を部屋2の外に設置する構成とした。しかし、部屋2の外から部屋2の中(単位空間12内)に空気を取り入れることができ、且つ、単位空間12内の空気を部屋2の外に排出できる構成であれば、冷却装置10及び吸引装置11自体は、部屋2の中に設置される構成であってもよい。
外部から部屋2内に導入された冷却管7は、途中で単位空間12a~12cごとにY方向に三本に分岐し、分岐した三本の冷却管7のそれぞれは、さらに、Z方向に三本に分岐している。分岐後の冷却管7(すなわち、九本の冷却管7)は、単位空間12a~12cごとに配置された光照射装置6に沿って、単位空間12a~12c内の上方部分をX方向に横断するように配置されている。一方、九本の冷却管7は、その下流側で合流し、具体的には、先ず、同じ単位空間12a~12cを横断した三本の冷却管7が合流し、その合流地点よりも下流側で、それぞれの単位空間12a~12cを通過した三本の冷却管7が合流し、最終的に一本の冷却管7として部屋2の外部に導かれている。
また、冷却管7の途中には、内部空間14を移動する冷却媒体の流量を調整する冷却媒体量調整部であるバルブ9が設置されている。具体的に説明すると、本実施形態では、例えば、冷却管7が九本に分岐した地点の直ぐ下流の位置(分岐近傍位置)、及び、九本の冷却管7が合流する地点の直ぐ上流の位置(合流近傍位置)において、バルブ9が単位空間12a~12cごとに設置されている。これにより、単位空間12a~12cごとに冷却媒体の流量を調整することができるので、栽培される葉物野菜Jの生長状況及び葉物野菜J周辺の温度等に応じて、それぞれの単位空間12a~12cの栽培環境(特に、温度条件)を適切に個別調整することが可能となる。
なお、本実施形態では、上述した分岐近傍位置及び合流近傍位置の双方にバルブ9が設置されているが、冷却媒体の流入量を調整するために分岐近傍位置にのみ設置される構成でもよいし、冷却媒体の流出量を調整するために合流近傍位置にのみ設置される構成であってもよい。また、バルブ9は、分岐後の冷却管7の一本ごとに設置される構成、すなわち、分岐後の九本又は三本の冷却管7のそれぞれに対して設置される構成であってもよい。
上述のように、冷却管7は、栽培棚3の段数及び光照射装置6の配置等に応じて、途中で複数に分岐している。分岐後の冷却管7は、光照射装置6に沿って並行に配置されており、冷却管7の一部は、光照射装置6と熱交換可能な状態で接触している。具体的には、冷却管7の底面部分が光照射装置6の上部(基板の裏側)に接触している。このように冷却管7が光照射装置6の基板の裏側に接触しているため、光照射装置6から葉物野菜Jに向けて発せられる人工光が冷却管7によって遮られる事態を回避することができる。
なお、本実施形態では、冷却管7が光照射装置6に接していることとしたが、これに限定されず、冷却管7と光照射装置6とが互いに熱交換可能な位置関係にあればよく、冷却管7が光照射装置6から若干離れていてもよく、光照射装置6よりも僅かに上方に位置してもよい。
冷却管7の内部空間14を移動する冷却媒体は、本実施形態では、部屋2の外から収集される周辺空気(外気)を利用する。その周辺空気は、冷却装置10により冷却された状態(例えば、20℃)で、冷却管7の上流側から内部空間14に導入される。冷却管7の上流側に連結される冷却装置10としては、冷却空気の温度、風速、風量等を調節でき、冷却管7に冷却空気を送り込むことができれば、特に種類に制限はない。また、冷却媒体は、光照射装置6から発生する熱を除去できるものであればよく、本実施形態のような空気等の気体に限定されず、水等の液体であってもよく、スラリー状の流体であってもよい。なお、外気の温度がそもそも低い時期や地域等では、外気をそのまま使用できるため、冷却装置10が不要な場合もある。
図3に示す矢印は、冷却管7において、冷却媒体である空気(冷却空気)の流れを示している。光照射装置6からの熱は、冷却管7の管壁を介して冷却管7の内部空間14を流れる冷却空気へ伝導する。光照射装置6から熱を吸収した冷却空気は、入口開口部から内部空間14に導入された段階よりも暖められ、その後に出口開口部から部屋2の外部に排出される。これにより、光照射装置6から発生する熱が除去される。
通常、光照射装置6による光の照射に伴ってLED等の光源及び基板が発熱し、その周辺温度が上昇することになるが、本実施形態では、冷却管7によって、光照射装置6から発生する熱を除去し、光照射装置6及びその周辺の空気を冷却している。このように本実施形態では、光照射装置6及びその周辺の空気を直接冷却することにより、単位空間12内において適切な温度環境が維持されるとともに、LEDの安定動作にも寄与し得る。
なお、本実施形態では、光照射装置6の基板の裏側に接触させた冷却管7により、光照射装置6から発生する熱を直接奪う構成としたが、光照射装置6を冷却する方法は、これに限定されるものではない。例えば、冷却管7の表面に内部空間14と貫通する開口部を設け、その開口部から光照射装置6に対して冷風を吐出させることとし、その冷風によって光照射装置6を冷却することとしてもよい。
また、冷却管7の構成も、上記に限定されるものではない。例えば、冷却管7の内部空間14内に、保冷効果を有する不凍液或いはゲル化剤等を密封してもよい。また、冷却管7自体を、金属等の保冷効果を有する素材により形成した棒状又は板状のものとしてもよい。
吸湿管8は、蒸発又は蒸散等由来の水蒸気を含む空気を除去して単位空間12内を除湿するための部材であって、単位空間12a~12cごとにそれぞれの単位空間12a~12cの上方位置(葉物野菜Jの上方位置)に、冷却管7と隣接した状態で並行してX方向に延びるように配置されている。
図4は、単位空間12における吸湿管8の概略構造を示す側方断面図である。
図2及び図4に示すように、吸湿管8は、断面矩形状であって、水蒸気(湿気)を含む空気が移動可能な内部空間15を有する管状部材で構成されている。吸湿管8は、上流側の端部が閉口し、下流側の端部が開口しており、吸湿管8の外周部分のうち下側表面部分には単位空間12の空気を内部空間15内に取り込むための吸湿穴16が複数形成されている。また、吸湿管8は、十分な熱伝導特性を有する素材、例えば、アルミニウム、銅若しくは鉄等の金属等により形成されている。これにより、吸湿管8と冷却管7との間で熱交換が可能となるが、詳細については後述する。
吸湿管8は、単位空間12a~12cごとに、三本ずつZ方向に並べて設けられており、九本の冷却管7が、それぞれ単位空間12a~12c内に配置されている。また、図1に示すように、それぞれの吸湿管8の下流側の端部は、部屋2の外側にまで延在しており、下流側(出口開口部)は、部屋2の外部に設置された吸引ファン等の吸引装置11に連結され、さらにその下流側では、必要に応じて不図示の除湿装置に連結されている。なお、本実施形態では、吸引装置11は、冷却管7と共有している。
また、九本の吸湿管8は、その下流側で合流し、具体的には、まず同じ単位空間12a~12c内に配置された三本の吸湿管8が合流し、その合流地点よりも下流側で、単位空間12a~12cごとに合流した三本の吸湿管8がさらに合流し、最終的に一本の吸湿管8として部屋2の外部に導かれている。一方、九本の吸湿管8の各々の上流側端部は、単位空間12a~12c内に位置している。
また、吸湿管8の下流側の途中には、吸引量(内部空間15に取り込む空気の量)を調整する吸引量調整部であるバルブ9が設置されている。本実施形態では、単位空間12a~12cごとにバルブ9を設置している。これにより、単位空間12a~12cごとに吸引量を調整することができるので、栽培される葉物野菜Jの生長状況、並びに葉物野菜J周辺の温度及び湿度等に応じて、栽培環境(特に、湿度条件)を単位空間12a~12cごとに適切に個別調整することが可能となる。
なお、バルブ9は、合流前の九本の吸湿管8のそれぞれに対して設置される構成でもよいし、棚段5によって区切られた単位空間12a~12cごと、すなわち、単位空間12a~12cごとに合流した後の三本の吸湿管8に対してそれぞれ設置される構成であってもよい。
単位空間12内において、吸湿管8は、棚段5上に載置されるボトル13に沿って、単位空間12a~12c内の上方部分をX方向に横断するように配置されている。換言すると、葉物野菜Jの栽培時、ボトル13は、吸湿管8の配置に沿って、吸湿管8近辺の棚段5上に載置される。すなわち、吸湿管8は、ボトル13にて栽培される葉物野菜Jの近傍に位置することになる。
吸湿管8の単位空間12内に位置する領域の外周部分のうち下側表面(葉物野菜J側)には、単位空間12内の空気を内部空間15内に取り込むために、吸湿穴16が複数形成されている。この吸湿穴16は、単位空間12内の空気を吸引装置11により吸引する際の吸気口としての役割を担う。
図4に示す矢印は、吸湿管8において、空気の流れを示している。吸湿管8の各吸湿穴16から内部空間15内に取り込まれる空気は、単位空間12に存在する空気であって、葉物野菜J近傍に漂う蒸発又は蒸散由来の水蒸気(湿気)を含む空気である。図4の矢印に示すように、単位空間12の空気は、吸湿管8の下流側に連結された吸引装置11によって減圧された吸湿管8の内部空間15内に吸引される。内部空間15内に取り込まれた空気は、吸引装置11によりその流れを制御され、内部空間15内を移動して下流側の出口開口部から部屋2の外部に排出される。これにより、水蒸気を含む空気は、単位空間12から除去されることになる。
本実施形態では、円形の吸湿穴16がそれぞれの吸湿管8に複数個所(例えば九カ所)形成されているが、吸湿穴16は、吸湿管8の内部空間15と単位空間12とを連通する構成であれば、如何なる形状であってもよい。また、吸湿穴16の数も、任意に設定可能である。
なお、吸湿穴16の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能であり、例えば、図5の(a)~(d)に示す構成であってもよい。図5は、吸湿穴16のバリエーションを示す図であり、(a)及び(b)は吸湿管8の底面図であり、(c)及び(d)は吸湿管8の側方断面図である。
図5(a)に示すように、吸湿穴16の大きさ(穴径)をその形成位置に応じて変化させ、それぞれの吸湿穴16の開口面積を異なるようにしてもよい。具体的には、吸湿管8の上流側の吸湿穴16の大きさを大きくし、下流側の吸湿穴16の大きさを小さくする。また、図5(b)に示すように、吸湿穴16の単位面積あたりの個数(穴密度)をその形成位置によって変化させてもよい。具体的には、吸湿管8のうち、より上流側に位置する部分では吸湿穴16の数を増やし、より下流側に位置する部分では吸湿穴16の数を少なくする。また、図5(c)又は図5(d)に示すように、吸湿穴16の深さ(換言すると、吸湿穴16が形成されている吸湿管8の外周部分の厚み)をその形成位置によって変化させてもよい。具体的には、吸湿管8のうち、より上流側に位置する部分では吸湿穴16の深さを浅くし、より下流側に位置する部分では吸湿穴16の深さを深くする。このように、吸湿穴16の形成場所が吸引抵抗に及ぼす影響を考慮し、吸湿穴16の大きさ、単位あたりの個数、及び深さ等を形成場所に応じて変化させることにより、それぞれの吸湿穴16から単位空間12の空気を良好に吸引することができる。
なお、本実施形態では、単位空間12の空気を吸湿穴16から内部空間15内に取り込み、出口開口部から排出する構成としたが、吸湿管8の構成は、これに限定されるものではない。例えば、吸湿管8の内部空間15内に、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、塩化カルシウム、デシクレイ、合成ゼオライト等の吸湿性を有する素材を入れておいてもよい。また、吸湿管8自体を、上記のような吸湿性を有する素材により形成してもよい。
本実施形態では、冷却管7と吸湿管8とは、単位空間12a~12c内でZ方向に隣接した状態で設置されている。
図6は、冷却管7と吸湿管8とが隣接した状態の概略構造を示す拡大斜視図である。図7は、図6のA-A線断面図である。なお、図中の矢印は、空気の流れを示すものである。
図6及び図7に示すように、冷却管7の側面と吸湿管8の側面とは熱交換可能な状態で接触している。冷却管7と吸湿管8との接触箇所は互いの側面の一部分でもよいし、側面全体であってもよい。なお、本実施形態では、冷却管7と吸湿管8とが互いに接していることとしたが、これに限定されず、冷却管7と吸湿管8とが互いに熱交換可能な位置関係にあればよく、冷却管7が吸湿管8から若干離れていてもよい。
図6の矢印に示すように、冷却管7では、冷却装置10から入口開口部を介して内部空間14内に導入された冷却媒体である冷却された空気は、光照射装置6から生じる熱により温度が上昇した状態で出口開口部から排出される。一方、吸湿管8では、単位空間12の葉物野菜J近傍から吸湿穴16を介して内部空間15内に吸引された高湿な空気は、下流側の出口開口部から排出される。このとき、冷却管7と吸湿管8とが互いに接触しているため、冷却管7の内部空間14を移動する空気から、吸湿管8の内部空間15を移動する空気へ熱が移動する。これにより、冷却管7の内部空間14を移動する空気の温度が低下するため、光照射装置6に対する冷却効率が向上すると共に、冷却管7内の空気を循環させて利用する場合には、その空気を再冷却するエネルギ負荷(冷却負荷)を軽減することが可能となる。また、吸湿管8においても、冷却管7より移動してきた熱により吸湿管8内の空気の温度が上昇するため飽和水蒸気量が増え、吸湿管8による除湿効果を高めることが可能となる。
ここで、上記の効果について検証するために行った実験内容とその結果について説明する。
本実験では、冷却装置10により、外気を温度20℃、湿度70%RHに調整して冷却空気Aを生成し、部屋2内と冷却管7の内部空間14に供給した。一方、実験では、冷却管7と吸湿管8との間で熱交換を生じさせない場合(参考例)と、本実施形態のように冷却管7と吸湿管8とを互いに接触させた場合(実施例)とを想定し、それぞれの場合で検証を行った。以下に、それぞれの場合における検証結果を説明する。
[参考例の検証結果]
冷却管7の出口開口部から排出される空気Aは、温度30℃、湿度40%RHとなり、つまり、温度は10℃上昇し、湿度は30%RH減少した。また、吸湿管8の出口開口部から排出される空気Aは、温度20℃、湿度90%RHとなり、つまり、温度は変化なく、湿度は20%RH上昇した。このとき、冷却管7から排出された温度30℃、湿度40%RHの空気Aを温度20℃、湿度70%RHの冷却空気Aへと調整するのに要するエネルギEと、吸湿管8から排出された温度20℃、湿度90%RHの空気Aを温度20℃、湿度70%RHの冷却空気Aへと調整するのに要するエネルギEとは、同程度となる(E≒E)。
[実施例の検証結果]
冷却管7の出口開口部から排出される空気Aは、温度25℃、湿度55%RH程度となる。すなわち、上記参考例の条件では、冷却管7から排出される空気Aが温度30℃、湿度40%RHであったのに対し、実施例の条件では、温度が約5℃低下した。この空気Aを再冷却して温度20℃、湿度70%RHの冷却空気Aへと調整するのに要するエネルギEは、温度30℃、湿度40%RHの空気Aを温度20℃、湿度70%RHの冷却空気Aへと調整するのに要するエネルギEの約半分となる(E≒1/2E)。そして、夏場の気温が高い時期等、外気から温度20℃、湿度70%RHの冷却空気Aを作り出すのに必要なエネルギEよりもエネルギEが小さくなる場合には、外気の代わりに、この空気Aを循環させて冷却装置10によって冷却し、冷却空気Aとして部屋2内及び冷却管7の内部空間14への給気に利用することができる。これにより、エネルギ負荷の軽減、すなわち省エネルギ化を図ることができる。
<<他の実施形態について>>
上記の第一実施形態では、冷却管7と吸湿管8とは、単位空間12a~12c内でZ方向に隣接した状態で設置されていたが、冷却管7と吸湿管8との配置は、図8及び図9に示すように、Y方向、すなわち、上下に並べて配置することとしてもよい。
図8は、他の実施形態における植物栽培装置1の要部概略構造を示す斜視図である。図9は、他の実施形態における冷却管7と吸湿管8とが隣接した状態の概略構造を示す側方断面図である。なお、図中の矢印は、空気の流れを示すものである。
この第二実施形態では、冷却管7と吸湿管8の位置関係が上述した第一実施形態と異なる。具体的には、図8及び図9に示すように、植物栽培装置1では複数の単位空間12a~12cが形成されているが、この単位空間12a~12cの中で、上下に連続する2つの単位空間(例えば、単位空間12bと単位空間12c)のうち、下側の単位空間12c用に配置された冷却管7の上面と、上側の単位空間12b用に配置された吸湿管8の底面とが、熱交換可能な状態で接触している。
第二実施形態において、吸湿管8が、格子枠等のフレームから成る棚段5上に載置されるボトル13に沿って単位空間12a~12c内をX方向に横断するように配置されている点は、上述した第一実施形態と同様である。しかし、この第二実施形態では、第一実施形態とは異なり、吸湿管8が、単位空間12a~12c内の下方部分に配置されている。また、単位空間12の空気を内部空間15内に取り込むための吸湿穴16は、外周部分のうち上側表面部分に複数形成されている。
図8及び図9の矢印に示すように、吸湿管8の各吸湿穴16から内部空間15内に取り込まれる空気は、主として、その吸湿管8よりも上方位置にある単位空間12に存在する空気であって、葉物野菜Jの下部付近に漂う蒸発又は蒸散由来の水蒸気(湿気)を含む空気である。このように、吸湿管8を単位空間12の下方に配置し、高湿となりやすい葉物野菜Jの下部付近の空気を吸引することにより、単位空間12の空気を効率良く除湿することができる。
第二実施形態のように、単位空間12の下方に吸湿管8を配置する場合は、葉物野菜Jの破片、ゴミ及びチリ等が吸湿穴16を通じて吸湿管8の内部空間15内に入り易くなる。このようなゴミ等の不純物の吸湿管8内への進入を防止するため、吸湿穴16にフィルター等を設置してもよい。
その他、冷却管7により光照射装置6を冷却する方法、冷却管7と吸湿管8との間での熱交換によって省エネルギ化が実現することは、この第二実施形態においても、上述の第一実施形態の場合と同様である。
なお、上記の第一実施形態及び第二実施形態においては、冷却管7と吸湿管8とをZ方向又はY方向に接触させる構成とした。しかし、冷却管7と吸湿管8とは離れていてもよい。ただし、冷却管7及び吸湿管8が離れている場合であっても、熱交換できない程度に離れていても構わないが、エネルギ効率の観点からは、互いに熱交換可能な位置関係にあることが好ましい。
1 植物栽培装置
2 部屋
3 栽培棚
4 フレーム
5 棚段
6 光照射装置
7 冷却管
8 吸湿管
9 バルブ
10 冷却装置
11 吸引装置
12 単位空間
12a 単位空間
12b 単位空間
12c 単位空間
13 ボトル
14 内部空間
15 内部空間
16 吸湿穴
J 葉物野菜

Claims (7)

  1. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を前記単位空間ごとに備え、
    前記冷却部材と前記吸湿部材とが互いに熱交換可能な位置に配置された、植物栽培装置。
  2. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を前記単位空間ごとに備え、
    前記冷却部材と前記吸湿部材とが互いに接触した、植物栽培装置。
  3. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を前記単位空間ごとに備え、
    前記吸湿穴は、前記吸湿部材の外周部分に複数形成されており、
    前記吸湿穴の大きさ、単位面積あたりの個数及び深さのうち少なくとも一つが、前記吸湿部材における前記吸湿穴の形成場所によって異なる、植物栽培装置。
  4. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を前記単位空間ごとに備え、
    前記複数の単位空間において上下に連続する2つの単位空間のうち、下側の単位空間用に配置された冷却部材と、上側の単位空間用に配置された吸湿部材と、が熱交換可能な位置に配置された、植物栽培装置。
  5. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、を前記単位空間ごとに備え、
    前記複数の単位空間において上下に連続する2つの単位空間のうち、下側の単位空間用に配置された冷却部材と、上側の単位空間用に配置された吸湿部材と、が互いに接触した、植物栽培装置。
  6. 植物を栽培可能な複数の単位空間が積層された植物栽培装置であって、
    前記単位空間の上部に配置され、該単位空間内の前記植物に人工光を照射するための照明部材と、
    冷却媒体が移動可能な内部空間を有する両端が開口した管状部材であって、前記照明部材の周辺に配置された冷却部材と、
    吸湿穴を有し、該吸湿穴から前記単位空間内の空気を吸引して吸湿する吸湿部材と、
    前記冷却部材の内部空間を移動する前記冷却媒体の量を調整する冷却媒体量調整部と、
    前記吸湿部材による吸引量を調整する吸引量調整部と、を前記単位空間ごとにそれぞれ備えた、植物栽培装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の植物栽培装置を用い、前記照明部材により前記単位空間内の植物に人工光を照射し、前記冷却部材により前記照明部材を冷却し、前記吸湿部材により前記単位空間内の空気を吸湿する、栽培工場での植物栽培方法。
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