JP7296937B2 - 細胞外小胞の集団の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞外小胞の集団、及びその製造方法に関する。さらに、細胞外小胞の集団の品質を評価する方法、並びに細胞外小胞を含む組成物等に関する。
本願は、2018年3月2日に、米国に出願された62/637,397号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
エクソソームは、細胞が分泌する細胞外小胞の一種である。エクソソームは、がんをはじめとする難治疾患の早期検出や治療効果判定に利用できる疾病マーカー候補として注目されている。エクソソームは、さらに、薬物送達システム(DDS)のキャリアとしての利用、及び間葉系幹細胞由来エクソソームによる再生医療等の治療応用への期待も高まりつつある。しかしながら、エクソソームのように、直径が数10~100nmであって、かつ、不均質な粒子集団を分析・同定することは難しい。
エクソソーム等の細胞外小胞を医薬品等として利用するためには、品質の均一性が問題となる。すなわち、医薬品等として製造・販売するためには、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」(Good Manufacturing Practice;GMP)に準じて製造する必要がある。
しかしながら、細胞の培養上清から得られる細胞外小胞は、その性質が不均一な集団であり、品質の揃った細胞外小胞を得ることは難しい。またそれを評価する方法すら確立されていないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、品質の揃った細胞外小胞の集団、及び当該細胞外小胞を含む組成物等、当該細胞外小胞を製造する方法、並びに細胞外小胞の品質を評価する方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である、細胞外小胞の集団。
[2]前記ゼータ電位の標準偏差が4.5mV以下である、[1]に記載の細胞外小胞の集団。
[3]前記ゼータ電位の標準偏差が4mV以下である、[2]に記載の細胞外小胞の集団。
[4]前記ゼータ電位の標準偏差が3.5mV以下である、[3]に記載の細胞外小胞の集団。
[5]前記ゼータ電位の標準偏差が3mV以下である、[4]に記載の細胞外小胞の集団。
[6]前記細胞外小胞がエクソソームである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団。
[7](a)複数の細胞の細胞周期を同調させる工程と、(b)前記工程(a)後、前記複数の細胞の培地を、細胞外小胞を実質的に含まない培地に交換する工程と、
(c)前記培地交換した培地で、前記複数の細胞を培養する工程と、(d)前記工程(c)後の培地から、細胞外小胞の集団を回収する工程と、
を含む、細胞外小胞の集団の製造方法。
[8]前記工程(d)後に得られる細胞外小胞の集団が、[1]~[6]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団である、[7]に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
[9]前記工程(a)を、細胞周期同調剤を含む培地で、前記複数の細胞を培養することにより行う、[7]又は[8]に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
[10]前記工程(a)を、コンフルエントな状態で、前記複数の細胞を培養することにより行う、[7]又は[8]に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
[11]前記工程(a)において、前記複数の細胞をG1期に同調させる、[7]~[10]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
[12]前記工程(d)の後、さらに、(e)前記の回収した細胞外小胞の集団に含まれる細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程を含む、[7]~[11]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
[13][7]~[12]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団の製造方法により製造された、細胞外小胞の集団。
[14]細胞外小胞の集団の品質を評価する方法であって、(a)細胞外小胞の集団に含まれる複数の細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程と、(b)前記工程(a)で測定されたゼータ電位の標準偏差を算出する工程と、(c)前記工程(b)で算出された標準偏差に基づいて、前記細胞外小胞の集団の品質を評価する工程と、を含む、方法。
[15]前記工程(c)において、前記標準偏差が5mV以下である場合に、前記細胞外小胞の集団の均一性が高いと判定する、[14]に記載の細胞外小胞の集団の品質を評価する方法。
[16]前記工程(c)において、前記標準偏差が4.5mV以下である場合に、前記細胞外小胞の集団の均一性が高いと判定する、[15]に記載の細胞外小胞の集団の品質を評価する方法。
[17]前記工程(c)において、前記標準偏差が4mV以下である場合に、前記細胞外小胞の集団の均一性が高いと判定する、[16]に記載の細胞外小胞の集団の品質を評価する方法。
[18]前記工程(c)において、前記標準偏差が3.5mV以下である場合に、前記細胞外小胞の集団の均一性が高いと判定する、[17]に記載の細胞外小胞の集団の品質を評価する方法。
[19]前記工程(c)において、前記標準偏差が3mV以下である場合に、前記細胞外小胞の集団の均一性が高いと判定する、[18]に記載の細胞外小胞の集団の品質を評価する方法。
[20]複数の細胞外小胞を含む組成物であって、前記組成物に含まれる細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である、組成物。
[21]前記ゼータ電位の標準偏差が4.5mV以下である、[20]に記載の組成物。
[22]前記ゼータ電位の標準偏差が4mV以下である、[21]に記載の組成物。
[23]前記ゼータ電位の標準偏差が3.5mV以下である、[22]に記載の組成物。
[24]前記ゼータ電位の標準偏差が3mV以下である、[23]に記載の組成物。
[25]前記細胞外小胞がエクソソームである、[20]~[24]のいずれか一つに記載の組成物。
[26]前記組成物が医薬組成物、化粧品、又は食品である、[20]~[25]のいずれか一つに記載の組成物。
[27]前記食品が、健康食品又は機能性食品である、[26]に記載の組成物。
[28][1]~[6]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団を含む、医薬組成物。
[29][1]~[6]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団を含む、化粧品。
[30][1]~[6]のいずれか一つに記載の細胞外小胞の集団を含む、食品。
[31]健康食品又は機能性食品である、[30]に記載の食品
本発明によれば、品質の揃った細胞外小胞の集団及び当該細胞外小胞を含む組成物等、当該細胞外小胞を製造する方法、並びに細胞外小胞の品質を評価する方法が提供される。
細胞外小胞のゼータ電位の測定に使用可能な粒子検出装置の概略的な平面図である。 細胞外小胞のゼータ電位の測定に使用可能な粒子検出装置の概略的な正面図である。 細胞外小胞のゼータ電位の測定に使用可能な細胞外小胞分析チップの基本構造を示す斜視図である。 図3におけるII-II線断面図である。 ステージ部の設置面に流体デバイスが設置された平面図である。 流体デバイスをyz平面で部分的に断面した部分断面図である。 図6におけるA-A線断面図である。 流体デバイスの照射部及び調整部の概略構成を示す図である。 流体デバイスの調整部および流体デバイスの部分詳細図である。 照明光がリザーバ部材の端面および流路の側面を通過する光路を模式的に示す図である。 流体デバイスの制御装置の概略構成を示す図である。 記憶部が記憶する粒子リストの一例を示す図である。 記憶部が記憶する粒子相関リストの一例を示す図である。 記憶部が記憶するしきい値の一例を示す図である。 流体デバイスの制御装置の動作の一例を示す図である。 細胞周期を説明する図である。 参考例1において、細胞外小胞のゼータ電位の多点計測を行った結果を示す図である。 参考例1において、細胞外小胞の粒径及びゼータ電位を測定した結果を示す図である。 実施例1で細胞外小胞の粒径を及びゼータ電位の計測に用いた、高精度単一ナノ粒子測定システムの構成の概略を示す図である。 粒径とゼータ電位の測定原理を説明する図である。 実施例1における、細胞培養から細胞外小胞(EV)を回収するまでの手順の概略を示す図である。 実施例1における、細胞から細胞外小胞(EV)を精製する手順の概略を示す図である。 実施例1で回収した細胞の細胞内DNA量の分析結果を示す図である。 実施例1で回収した細胞外小胞の粒径及びゼータ電位の測定結果を示す図である。
<細胞外小胞の集団>
1実施形態において、本発明は、細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である、細胞外小胞の集団を提供する。
細胞外小胞は、細胞が放出する小胞である。細胞外小胞の大きさは直径30nmから1μm程度である。細胞外小胞は、細胞の分泌物であり、その表面に分泌源の細胞由来のタンパク質を発現している。細胞外小胞の例としては、エクソソーム、アポトーシス小体、マイクロベシクル等が挙げられる。細胞外小胞の代表的なものとしては、エクソソームが挙げられる。エクソソームは、直径30~200nm程度の脂質小胞であり、エンドソームと細胞膜との融合体として、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞等、種々の細胞から、血液、尿、唾液等の体液中に分泌される。
生体内に存在する癌細胞等の異常細胞は、その細胞膜に特有のタンパク質を発現している。エクソソームは細胞の分泌物であり、その表面に分泌源の細胞由来のタンパク質を発現している。エクソソームの表面とは、細胞から分泌される脂質小胞の膜表面であって、分泌されたエクソソームが生体内の環境と接する部分をいう。
細胞外小胞は、細胞が放出した細胞外小胞を加工したものであってもよい。細胞外小胞の加工方法は、加工後の細胞外小胞が、小胞構造を維持する限り、特に限定されない。細胞外小胞の加工方法としては、例えば、細胞外小胞の膜表面の修飾(例えば、ペプチドや糖鎖等による修飾)、細胞外小胞への薬剤の封入等が挙げられる。
「細胞外小胞の集団」とは、2個以上の細胞外小胞をいい、例えば、10個以上、10個以上、10個以上、10個以上の細胞外小胞が例示される。細胞外小胞の集団に含まれる細胞外小胞の個数の上限は特に限定されないが、例えば、1015個以下、1014個以下、1013個以下、1012個以下、1011個以下、又は1010個以下が例示される。細胞外小胞の集団は、例えば、10~1015個、10~1012以上、又は10~1010個の細胞外小胞であってもよい。
本実施形態の細胞外小胞の集団は、同一種類の細胞を培養して得られた細胞外小胞の集団であることが好ましい。すなわち、本実施形態の細胞外小胞の集団を構成する細胞外小胞は、全て、同一種類の細胞が放出した細胞外小胞であることが好ましい。前記細胞は、細胞外小胞を放出する能力を有する限り、特に限定されない。そのような細胞としては、例えば、腫瘍細胞などの各種疾患細胞;樹状細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞;神経細胞などの各種組織細胞;脂肪細胞;間葉系幹細胞、造血幹細胞などの体性幹細胞;ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞;生殖細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。前記細胞が由来する生物種は、特に限定されない。例えば、前記細胞は、ヒトの細胞であってもよい。また、ヒト以外の哺乳類、例えば、マウス、モルモット、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等の細胞であってもよい。細胞外小胞の集団は、例えば、腫瘍細胞などの各種疾患細胞;樹状細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞;神経細胞などの各種組織細胞;脂肪細胞;間葉系幹細胞、造血幹細胞などの体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞;生殖細胞等、種々の細胞から放出された細胞外小胞の集団であり得る。
本実施形態の細胞外小胞の集団は、細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である。ゼータ電位の標準偏差は、4.5mV以下であることが好ましく、4mV以下であることがより好ましく、3.5mV以下であることがさらに好ましく、3mV以下であることが特に好ましい。
前記ゼータ電位の標準偏差は、細胞外小胞の集団を構成する個々の細胞外小胞のゼータ電位を測定し、前記測定値から標準偏差を算出することにより求めることができる。ゼータ電位を測定する細胞外小胞の個数は、標準偏差の算出に十分な個数であればよく、細胞外小胞の集団の大きさ(細胞外小胞の個数)に応じて、適宜選択すればよい。例えば、ゼータ電位を測定する細胞外小胞の個数は、100個以上、300個以上、500個以上、600個以上、700個以上、又は800個以上等とすることができる。
細胞外小胞の集団のゼータ電位の標準偏差は、下記式(s)により算出することができる。
Figure 0007296937000001
本実施形態の細胞外小胞の集団は、後述する細胞外小胞の集団の製造方法により、製造することができる。
本実施形態の細胞外小胞の集団は、ゼータ電位の標準偏差が5mV以下であり、品質が揃った細胞外小胞の集団である。そのため、例えば、医薬品、化粧品、食品等の各種用途に利用可能である。本実施形態の細胞外小胞の集団は、品質が揃っているため、ドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアや再生医療等の医薬品としても好適に利用可能である。
≪ゼータ電位の測定方法≫
細胞外小胞の集団を構成する個々の細胞外小胞のゼータ電位の測定は、公知の方法、装置、又はシステムにより行うことができる。そのような方法、装置、又はシステムとしては、例えば、国際公開第2016/171198号、国際公開第2016/063912号、国際公開第2014/030590号等に記載の方法、装置、又はシステム等が例示される。以下に、細胞外小胞のゼータ電位測定装置の一例を記載する。
以下に記載する例では、細胞外小胞に特異的結合物質を結合させてゼータ電位の測定を行っているが、特異的結合物質を結合させることなく細胞外小胞のゼータ電位を測定することも可能である。本実施形態の細胞外小胞の集団のゼータ電位は、細胞外小胞に特異的結合物質を結合させないで測定を行なうことが好ましい。すなわち、以下に例示する説明において、特異的結合物質と細胞外小胞との結合反応は行わないことが好ましい。
あるいは、特定の膜タンパク質を発現する細胞から放出された細胞外小胞である場合、当該タンパク質に対する特異的結合物質を用いて細胞外小胞のゼータ電位を測定してもよい。この場合、前記特異的結合物質と細胞外小胞との結合反応を行った後、細胞外小胞のゼータ電位を測定する。この方法により測定されたゼータ電位の標準偏差が5mV以下である細胞外小胞の集団は、特定の膜タンパク質の発現量について均一性の高い細胞外小胞の集団である。
また、複数種類の膜タンパク質に対して、それぞれの膜タンパク質に特異的な特異的結合物質を結合させて、細胞外小胞のゼータ電位を測定してもよい。この方法により測定されたゼータ電位の標準偏差が5mV以下である細胞外小胞の集団は、前記複数種類の膜タンパク質の発現量について均一性の高い細胞外小胞の集団である。
したがって、本明細書において、「細胞外小胞のゼータ電位」という用語は、細胞外小胞に特異的結合物質を結合させないで測定したゼータ電位、細胞外小胞に特定の膜タンパク質に対する特異的結合物質を結合させて測定したゼータ電位(特異的結合物質-細胞外小胞複合体のデータ電位)、及び細胞外小胞に複数種類の膜タンパク質に対する各特異的結結合物質を結合させて測定したゼータ電位(複数の特異的結合物質-細胞外小胞複合体のデータ電位)、を包含する。なお、前記複数種類の膜タンパク質は、2種類以上であれば、特に限定されず、例えば、2~50種類、2~30種類、2~20種類、2~10種類等が例示される。
本明細書において、「特異的結合物質」とは、特定の分子(例えば、タンパク質)と特異的に結合する能力を有する物質を意味する。「特定の分子と特異的に結合する」とは、当該特定分子に対して高い結合親和性を有し、他の分子に対しては結合親和性が低いことを意味する。特異的結合物質は、結合対象の特定分子により異なっており、当該特定分子の種類に応じて種々選択可能である。特異的結合物質が結合対象とする特定分子としては、細胞外小胞の表面に存在する分子が挙げられ、例えば、抗原、膜タンパク質、核酸、糖鎖、糖脂質等が例示される。タンパク質に対する特異的結合物質としては、例えば、抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、修飾抗体、多価抗体、多重特異抗体、抗体断片などの改変抗体を含む)、アプタマー(核酸アプタマー、ペプチドアプタマーなど)、リガンド分子等が挙げられる。特異的結合物質としての抗体のクラスは特に限定されず、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM等のいずれの抗体クラスであってもよい。IgGとしては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等が挙げられる。IgAとしては、IgA1、IgA2等が挙げられる。IgMとしては、IgM1、IgM2等が挙げられる。抗体断片としては、scFv、Fab、F(ab’)2、Fv等が挙げられる。リガンド分子としては、結合対象の特定分子がレセプタータンパク質である場合の、当該レセプタータンパク質のリガンド等が挙げられる。例えば、結合対象の特定分子がインターロイキンである場合、リガンド分子としてはGタンパク質等が挙げられる。
特異的結合物質は、標識物質で標識されていてもよい。標識物質としては、例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、グルタチオン、蛍光色素、ポリエチレングリコール、メリト酸等の電荷分子等が挙げられる。
[ゼータ電位の測定に用いる粒子検出装置の構成例]
図1は、ゼータ電位の測定に使用可能な粒子検出装置100の概略的な平面図である。図2は、粒子検出装置100の概略的な正面図である。
粒子検出装置100は、流体デバイスCを検出対象として流体デバイスCに照明光L1を照射し、流体デバイスCからの散乱光L2を観察することにより、流体デバイスC内の粒子に関する情報を検出する。粒子検出装置100は、光源部LS、照射部20、調整部CL、ステージ部ST、検出部30、送信部40、および制御装置5を備えている。粒子検出装置100および流体デバイスCによって粒子検出システム1が構成される。
以下の説明においては、ステージ部STの設置面STaと直交する直交面(不図示)と直交する方向をx方向(x軸;第3方向)、設置面STaと平行でx方向と直交する方向をy方向(y軸)、x方向およびy方向と直交する鉛直方向をz方向(z軸;第2方向)として適宜説明する。
まず、検出対象である流体デバイスCについて説明する。
本実施形態における流体デバイスCは、一例として、細胞外小胞を分析する際に用いられる電気泳動分析チップである。以下に、細胞外小胞としてエクソソームを分析する場合を例として、細胞外小胞分析チップ(電気泳動分析チップ)について説明する。
[エクソソームの分析]
細胞外小胞分析チップを用いたエクソソームの分析は、一例として次のようにして行うことができる。まず、検出対象のエクソソームを精製する。次に、エクソソームと特異的結合物質とを接触させる。特異的結合物質としては、エクソソームの表面に存在する分子に特異的に結合することができる物質を選択する。次に、細胞外小胞分析チップを用いて、エクソソームのゼータ電位を計測し、分析を行う。本分析は、エクソソームに限らず、広く細胞外小胞一般の分析にも適用できる。また、エクソソームは、特異的結合物質との接触を行うことなく、分析に供してもよい。
(エクソソームの精製)
まず、エクソソームを含有する試料からエクソソームを精製する。試料としては、細胞培養液等が挙げられる。
エクソソームを精製する方法としては、超遠心分離、限外ろ過、連続フロー電気泳動、クロマトグラフィー、μ-TAS(Micro-Total Analysis Systems)デバイスを使用する方法等が挙げられる。
(エクソソームと特異的結合物質との反応)
次に、エクソソームと特異的結合物質とを接触させる。エクソソームの表面に検出対象の分子が存在した場合、特異的結合物質-エクソソーム複合体が形成される。特異的結合物質を適切に選択することにより、例えば、癌、肥満、糖尿病、神経変性疾患等の疾患に関連する異常を検出することができる。また、エクソソーム表面での検出対象の分子の発現量を分析することができる。例えば、膜表面にあるペプチドやタンパク質を人工的に発現させたエクソソームに対し、そのペプチドやタンパク質に対して特異的に結合する特異的結合物質を用いるなど、機能を改変したエクソソームを評価することもできる。
(ゼータ電位の計測)
一例として、特異的結合物質として抗体を使用した場合について説明する。エクソソームと抗体とを反応させた後、抗体と反応させたエクソソームのゼータ電位を計測する。ゼータ電位とは、溶液中の微粒子の表面電荷である。例えば、エクソソームが負に帯電しているのに対し、抗体は正に帯電している。このため、抗体-エクソソーム複合体のゼータ電位は、エクソソーム単独のゼータ電位と比較して正にシフトしている。したがって、抗体と反応させたエクソソームのゼータ電位を測定することによって、エクソソームの膜表面における抗原の発現を検出することができる。これは、抗体に限らず、正に帯電した他の特異的結合物質でも同様である。
エクソソームのゼータ電位ζは、一例として、細胞外小胞分析チップのマイクロ流路内で、エクソソームの電気泳動を行い、エクソソームの電気泳動速度Sを光学的に測定し、測定されたエクソソームの電気泳動速度Sに基づいて、以下の式(1)に示すスモルコフスキー(Smoluchowski)の式を用いて算出することができる。
Figure 0007296937000002
式(1)中、Uは測定対象のエクソソームの電気泳動移動度、ε及びηは、それぞれ、サンプル溶液の誘電率及び粘性係数である。また、電気泳動移動度Uは、電気泳動速度Sをマイクロ流路内の電界強度で除して算出することができる。
エクソソームの電気泳動速度Sは、一例として、エクソソームを、細胞外小胞分析チップのマイクロ流路内で電気泳動し、一例として、レーザー光を、マイクロ流路内を流れるエクソソームに照射して、レイリー散乱光による粒子画像を取得することにより、測定することができる。レーザー光としては、一例として、波長405nm、強度150mWのものが挙げられる。
(粒子径の計測)
エクソソームの粒子径dは、一例として、細胞外小胞分析チップのマイクロ流路内で、エクソソームの電気泳動を行い、エクソソームの電気泳動速度Sを光学的に測定し、測定されたエクソソームの電気泳動速度Sに基づいて、以下の式(2)に示すアインシュタイン・ストークスの式を用いて算出することができる。
Figure 0007296937000003
式(2)中、dはエクソソームの粒子径、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、ηはサンプル溶液の粘性係数、Dは微粒子の拡散係数である。すなわち、エクソソームの粒子径dは、測定対象のエクソソームのブラウン運動の状態に基づいて、算出することができる。
[細胞外小胞分析チップの基本構造]
図3は、細胞外小胞分析チップの基本構造を示す斜視図である。図4は、図3におけるII-II線断面図である。細胞外小胞分析チップCHは、第1リザーバ110と、第2リザーバ120と、第1リザーバ110と第2リザーバ120とを接続する泳動流路150と、基材160とを備えている。泳動流路150は、例えば、ミリ流路やマイクロ流路である。泳動流路150は、一例として、幅200μm、高さ400μm、長さ10mm程度の大きさである。泳動流路150は、細胞外小胞、あるいは、細胞外小胞の表面に存在する生体分子に特異的に結合する特異的結合物質と細胞外小胞とが相互作用してなる、特異的結合物質-細胞外小胞複合体(一例として、抗体-エクソソーム複合体)を電気泳動するものである。
泳動流路150は、その一方の端部が第1リザーバ110と接続され、その他方の端部が第2リザーバ120と接続されている。また、第1リザーバ110及び第2リザーバ120は、基材160に設けられ、それぞれ電極130及び電極140を有している。例えば、電極130は第1リザーバ110の底部に設けられ、電極140は第2リザーバ120の底部に設けられている。図4に示すように、電極130及び電極140は、それぞれ泳動流路150の端部の近傍に設けられている。また、例えば、第1リザーバ110は検体(例、分析対象のエクソソーム)が導入され、第2リザーバ120は緩衝液が導入される。なお、その緩衝液は第1リザーバ110に導入されてもよい。
細胞外小胞分析チップCHは、細胞外小胞のゼータ電位を計測するのに好適である。以下に、細胞外小胞としてエクソソームを分析する場合を例として、細胞外小胞分析チップCHを用いた、エクソソームのゼータ電位の測定方法について説明する。
まず、分析対象のエクソソームを含む試料液が、第1リザーバ110に導入される。分析対象のエクソソームは、特異的結合物質と反応させたものであってもよい。エクソソームは例えば培養上清から取得したものであり、試料液は、例えば、リン酸緩衝液(Phosphate Buffered Saline、PBS)等の緩衝液にエクソソームが懸濁されたエクソソーム懸濁液である。次に、エクソソームを含む試料液が泳動流路150に導入される。一例として、シリンジを第2リザーバ120に接続して試料液を吸引することにより、エクソソームを泳動流路150に導入することができる。次に、緩衝液を、第1リザーバ110及び第2リザーバ120に入れる。後述する液位調整手段により、第1リザーバ110と第2リザーバ120との液位(液面高)を調整して揃え、泳動流路150に生じる静水圧流の発生を防ぎ、ゼータ電位測定の精度を向上させることが可能となる。続いて、制御部(例、後述の制御装置5、又はコンピュータなど)によって電極130及び140の間に電圧を印加し、エクソソームを電気泳動する。一例として、制御部は約50V/cmの電界強度の電圧を約10秒間印加する。
電気泳動中に、泳動流路150にレーザー光を照射し、泳動流路150からの出射光であるエクソソームを介した散乱光を、対物レンズ等を用いて集光し、受光センサ(例、高感度カメラ)を用いて、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体を撮影する。対物レンズの倍率は、一例として60倍程度である。レーザーの波長及び強度は、一例として、波長405nm、強度150mWである。
細胞外小胞分析チップCHを用いることにより、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位の平均値だけでなく、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位を1粒子レベルで計測することができる。そのため、個々のエクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体のゼータ電位から、エクソソームの集団におけるゼータ電位の標準偏差を求めることができる。以下、エクソソーム又は特異的結合物質-エクソソーム複合体を、単に「エクソソーム」と記載する場合がある。
[流体デバイスCの構造]
図5は、ステージ部STの設置面STaに流体デバイスCが設置された平面図である。図6は、流体デバイスCをyz平面で部分的に断面した部分断面図である。図7は、図6におけるA-A線断面図である。
図5に示すように、流体デバイスCは、平面視矩形状に形成されている。図6に示すように、流体デバイスCは、z方向に順次積み重ねられたリザーバ部材(第1基材)10および底板(第2基材)11を備えている。例えば、流体デバイスCは、少なくともリザーバ部材10、底板11で構成された、積層構造(積層体)である。
この場合、流体デバイスCの積層構造は二層構造となっている。例えば、このような流体デバイスCの積層構造は、リザーバ部材10と、底板11とを互いに貼りあわせて形成される。
リザーバ部材10は、外力などによって少なくとも一方向に弾性変形可能な材料で形成される。リザーバ部材10の材料には、一例として、エラストマーであり、シリコーンゴム、PDMS(ポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。底板12は、照明光L1の照射によって発生した散乱光L2が透過する材料で形成されている。底板12は、一例として、ガラス材で形成されている。
流体デバイスCは、長さ方向(y方向)に配列された複数(図5では3つ)のレーン2を備えている。各レーン2は、第1リザーバ12A、第2リザーバ12B、流路13および電極18A、18Bを備えている。第1リザーバ12A及び第2リザーバ12Bは、y方向に間隔をあけて配置されている。例えば、第1リザーバ12A及び第2リザーバ12Bは、流路13の流路方向に間隔をあけて配置されている。このように、複数のレーンが流路方向に(直列に)配列されていることによって、側方からの光の照射が容易となる。
複数のレーンをレーンごとに順番に分析してもよく、また、複数の検出系によって同時に分析してもよい。なお、複数のレーン2は高さ方向(z方向)に配列されていてもよい。
この場合、溶液は長さ方向(x方向)から注入されてもよく、y方向から注入されてもよい。照射光源は例えば複数あって、それぞれの光源が対応する高さのレーン2を流れる微粒子を照射する。また、少なくとも一つの照射光源から照射方向を変えることでレーン2を流れる微粒子を照射してもよい。
ここで、レーン2が複数ある場合には、対物レンズの移動により照明光の形状を調整することにより、各レーン2に照射される照明光を調整してもよい。また、レーン2が複数ある場合には、流体デバイスCが載置されるステージの移動によって、複数レーン2のうち測定対象のレーン2を選択(切換え)する構成であってもよい。
第1リザーバ12Aは、xy平面と平行な面での断面が円形状でz方向に延在する保持空間14Aと、保持空間14Aの+z側端部から+z方向に向かうに従って漸次拡径する漏斗状の導入部15Aとを備えている。保持空間14Aは、-z側の端部が底板11と対向して開口する。保持空間14Aは、流路13と接続される。
第2リザーバ12Bは、xy平面と平行な面での断面が円形状でz方向に延在する保持空間14Bと、保持空間14Bの+z側端部から+z方向に向かうに従って漸次拡径する漏斗状の導入部15Bとを備えている。保持空間14Bは、-z側の端部が底板11と対向して開口する。保持空間14Bは、流路13と接続される。
流路13は、電気泳動用流路(電気泳動のための流路)である。流路13は、流体デバイスCの長さ方向であるy方向に延在する。流路13は、底板11と対向する側の面に保持空間14Aと保持空間14Bとを接続するように設けられている。流路13は、図7に示すように、リザーバ部材10に形成された溝部10Aと、底板11の表面(第2面)11aとで囲まれた断面矩形に形成されている。溝部10Aは、x方向に対向する側面(第1面)16a、16bと、底板11の表面11aとz方向で対向する底面(第2面)16cに囲まれて形成される。側面16a、16b、底面16cおよび溝部10Aを構成する表面11aは鏡面加工されている。第1面は、第1側面である側面16aと第2側面である側面16bとを含む。側面16aと側面16bとは、互いに向かい合っており、第1方向であるx方向に互いに離間している。
レーン2は、流体デバイスCの幅方向である照明光L1の光軸方向(入射方向)について、中心よりも+x側の端面17に近い側に偏って配置されている。レーン2は、入射する照明光L1の光軸方向である流体デバイスCの幅方向(図5におけるx方向)について、中心よりも照明光L1の入射側の端面17に近い側に偏って配置されている。端面17は、y方向に関して少なくともレーン2が設けられる範囲が鏡面加工されている。流路13は、一例として、幅200μm、高さ(溝部10Aの深さ)400μm、長さ10mm程度の大きさに形成されている。
底板11の表面11aには、保持空間14Aに臨んで電極18Aが設けられている。底板11の表面11aには、保持空間14Bに臨んで電極18Bが設けられている。電極18A及び電極18Bの素材としては、金、白金、カーボン等が挙げられる。図7に示すように、底板11における照明光L1の入射側に位置する端面(第2端面)19は、x方向について、リザーバ部材10の端面17の位置よりも、照明光L1の入射側とは逆側である-x側に離間している。
図1に戻り、光源部LSは、粒子に対して悪影響を及ぼさない波長として、上述したように、一例として、波長405nm、強度150mWでビーム径(ピーク値に対して1/e2となる径)0.8mmでz方向を偏向方位とするレーザー光を照明光L1として発光する。なお、照明光L1は、偏光(例えば、直線偏光など)であっても、無偏光であってもよいが、本実施形態では、垂直偏光を用い、レイリー散乱の指向性が無い構成を採る。
照明光L1は、上述した直交面と交差する方向に延びる光軸に沿って流体デバイスCに照射される。本実施形態では、照明光L1の光軸は、x方向と平行である。本実施形態の照明光L1は、x方向に延びる光軸に沿って流体デバイスCに照射される。
図8は、照射部20及び調整部CLの概略構成を示す図である。照射部20は、照明光L1の光軸に沿って順次配置されたλ/2板21およびエキスパンダレンズ22を備えている。なお、図1に示される光源部LSおよび照射部20は、照明光L1の光軸がy方向に延びているが、最終的に流体デバイスC(流路13)を照射する照明光L1はx方向に沿った光軸であるため、図8に示す照明光L1は、光軸がx方向に沿うものとして図示している。
光源部LSが発光した照明光L1は、λ/2板21を透過することで偏光方位がy方向に回転する。なお、光源部LSがy方向を偏向方位とする照明光L1を発光する場合にはλ/2板21は不要である。エキスパンダレンズ22は、対向するシリンドリカルレンズ22A、22Bを備える。シリンドリカルレンズ22A、22Bは、y方向についてはパワーを有していないため、照明光L1はy方向の幅が一定である。照明光L1のz方向の幅は、シリンドリカルレンズ22A、22Bの光軸方向の距離に応じて拡大または縮小する。エキスパンダレンズ22は、照明光L1のz方向の幅を、一例として、2倍に拡大する。
調整部CLは、エキスパンダレンズ22でz方向の幅が拡大されて入射した照明光L1を調整する。調整部CLは、光源部LSと対物レンズ31との間の光路に配置されている。また、調整部CLは、λ/2板21又はエキスパンダレンズ22と対物レンズ31との間の光路に配置されている。調整部CLは駆動機構を備えていてもよく、調整部CLが移動することで収光点を調整できてもよい。調整部CLは例えばx方向に駆動可能である。
この場合、流路13の位置が異なるチップを用いた場合であっても、流路13内に収光点が位置するように調整することが可能である。また、収光点と流路13の中心とがほぼ一致するように調整してもよく、検出部の中心部と収光点とがほぼ一致するように調整してもよい。
図9は、実施形態に係る調整部CLおよび流体デバイスCの部分詳細図である。調整部CLは、一例として、シリンドリカルレンズで構成される。調整部CLは、照明光L1のz方向の幅が流路13の内部において最小となり、且つ、流路13の照射光入射側の側面16aの位置における照明光L1の通過領域が側面16a内に限定されるように収束する収束角度に調整している。調整部CLは、照明光L1のz方向の幅が流路13の内部において最小となり、且つ、流路13の照射光入射側の側面16aの位置における照明光L1の照射領域が側面16a内に集光するような収束角度に照明光L1を調整している。また、調整部CLは、流路13の照射光射出側の側面16bの位置における照明光L1(照射光束)の通過領域が側面16b内に限定されるように収束する収束角度に調整している。
調整部CLは、流路13の照射光射出側の側面16bの位置における照明光L1(照射光束)の照射領域が側面16b内に集光するような収束角度に照明光L1を調整している。
また、調整部CLは、リザーバ部材10の端面17の位置における照明光L1の照射領域が端面17内に収束する収束角度に調整している。さらに、調整部CLは、照明光L1が流路13内の検出領域において収束点が存在するような収束角に調整している。
例えば、流路13の検出領域において検出部30の焦点深度外の照明光L1の照明光束は焦点深度内の照明光束よりも少なくなるような収束角を有する。なお、例えば、上述の直交面は、リザーバ部材10の端面17、流路13の照射光入射側の側面16a、又は流路13の照射光射出側の側面16bを含む。
ここで、照明光L1が光軸方向(x方向)について、流路13の中央(x=0とする)でz方向の幅が最小幅ω0となる場合、照明光L1の流路13内の媒質での収束角をθ、照明光L1の波長をλ、位置xおよび収束角θでのz方向のビーム幅をω(x、θ)、照明光L1のビームプロファイルファクタをM2、最小幅ω0となるx方向の位置から側面16aまでの距離をxLとすると、下記の式(3)、式(4)において、式(5)を満足する必要がある。
Figure 0007296937000004
Figure 0007296937000005
Figure 0007296937000006
従って、調整部CLは、少なくとも式(3)~(5)を満足し、且つx=xLのときのビーム幅ω(xL、θ)が側面16aのz方向の長さよりも小さく、側面16a内に収束する収束角θで照明光L1を収束させるように調整された光学特性を有するものが設置される。
照明光L1がガウシアン光である場合には、上記の式(3)~(5)に含まれるビーム幅ω(x、θ)は、照明光L1の強度がピーク値に対して1/e2となる幅で規定される。収束角θが式(1)~(3)を満足する場合でも、ピーク値に対して1/e2以下となる強度の照明光L1がビーム幅ω(xL、θ)の外側で側面16aの位置に入射するため、収束角θを設定する際はピーク値に対して1/e2以下となる強度の照明光L1のビーム幅も考慮する。
また、検出部30によって照明光L1の光軸方向(x方向)について、流路13の全域を検出領域とするには、流路13の全体に亘って照明光L1の光束内に検出部30の焦点深度DOFが入る必要がある。照明光L1の光束内に検出部30の焦点深度DOFが入る照明光L1の光束内に検出部30の焦点深度DOFが入るためには、リザーバ部材10の端面17および流路13の側面16aの光軸に対する傾きも考慮する必要がある。図10は、照明光L1がリザーバ部材10の端面17および流路13の側面16aを通過する光路を模式的に示す図である。流路13の幅全体に亘って照明光L1の光束内に検出部30の焦点深度DOF(図9参照)が入るためには、下記の式(6)を満足する必要がある。
Figure 0007296937000007
ここで、角度δ3は、焦点面Fから見た照明光軸の仰角であり、焦点面Fから反時計回り方向を正方向とする。一方で、界面での入射角・出射角、リザーバ部材10の端面17及び流路13の側面16aのyz平面に対する傾斜角、空気中・流路デバイスCの材質中・流路中の照明光束の焦点面Fに対する仰角、および流路デバイスCの外側の媒質・流路デバイスCの材質・流路13内の媒質の屈折率には以下の関係が成立している。
n1sinα1=n2sinα2
n2sinα3=n3sinα4
α1+β1=δ1
α2+β1=δ2
α3+β2=δ2
α4+β2=δ3
ここで、
α1:自由空間からリザーバ部材10の端面17への照明光L1の入射角
α2:端面17からリザーバ部材10内の照明光L1の出射角
α3:リザーバ部材10内から流路13の壁面16aへの照明光L1の入射角
α4:壁面16aから流路13内部への照明光L1の出射角
β1:端面17の傾斜角
β2:壁面16aの傾斜角
δ1:自由空間においての照明光L1の焦点面Fからの仰角
δ2:リザーバ部材10内においての照明光L1の焦点面Fからの仰角
δ3:流路13内においての照明光L1の焦点面Fからの仰角
n1:自由空間媒質の屈折率
n2:リザーバ部材10材質の屈折率
n3:流路13内の媒質の屈折率
であり、
入射角・出射角:端面17および壁面16aへの垂線からの角度
傾斜角:焦点面Fの垂線からの角度
仰角:焦点面Fからの角度
としている。また、符号は全て反時計回り方向を正とする。
上記の式から流路13における照明光L1の仰角δ3は、以下の式(7)で表される。
Figure 0007296937000008
従って、流路13のx方向の幅全体に亘って、照明光L1の光束内に検出部30の焦点深度DOFが入るためには、以下の式(8)を満足する必要がある。
Figure 0007296937000009
従って、リザーバ部材10の端面17および流路13の壁面16aの傾斜角、照明光L1の仰角δ3は、自由空間媒質の屈折率n1、リザーバ部材10の材質の屈折率n2および流路13内の媒質の屈折率n3に応じて、式(8)を満足するように、選択・製造・調整されている必要がある。
ステージ部STは、図2に示すステージ駆動部60の駆動によって、x方向、y方向およびz方向に移動する。ステージ駆動部60の駆動は、制御装置5によって制御される。
図5に示すように、ステージ部STは、流体デバイスCが設置される設置面STaを備える。設置面STaは、xy平面と平行の面である。設置面STaは、y方向に間隔をあけて配置されている。設置面STaは、流路デバイスCのレーン2が設けられていないy方向の両端部を-Z側から支持する。流体デバイスCは、レーン2が配される領域が検出部30による-Z側からの観察に支障を来すことなく設置面STaに支持される。また、流体デバイスCにおけるレーン2に照射されるまでの照明光L1の光路にステージ部STが存在しないため、流体デバイスCに入射する照明光L1の一部がステージ部STに入射して、後述する粒子検出に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
設置面STaには、固定ピン51が突出して設けられている。固定ピン51は、流体デバイスCの長辺に当接する二つの固定ピン51aと、流体デバイスCの短辺に当接する一つの固定ピン51bとから構成される。固定ピン51aは流体デバイスCのy方向の両側の近傍にそれぞれ配置される。固定ピン51bは、+y側に位置する短辺に当接する。当該+y側に位置する固定ピン51aと固定ピン51bとが配置された角部と対角に位置する角部には、押し付けコマ52が設けられている。押し付けコマ52は、ステージ部STに対して流体デバイスCを対角方向に押し付ける。押し付けられた流体デバイスCは、固定ピン51a、51bに当接することで、流路13(レーン2)がy方向と平行になるように、xy方向に関してステージ部STに位置決めされた状態で固定される。
検出部30は、対物レンズ31、撮像部32を備えている。対物レンズ31は、ステージ部STおよび流体デバイスCの-Z側に配置されている。図9に示すように、対物レンズ31は、検出軸31aがx方向について流路13の中心を通る位置に配置される。検出軸31aは、照明光L1の光軸と直交する。撮像部32は、一例として、EMCCD(Electron Multiplying Charge Coupled Device)カメラを備えており、入射する光の画像を撮像する。撮像部32は、対物レンズ31を介して入射する側方散乱光の画像情報を取得する。
送信部40は、撮像部32で撮像された画像情報を制御装置5へ送信する。
[粒子検出装置の動作]
粒子検出装置100の動作は、設置工程、導入工程、照射工程、検出工程を含む。
設置工程は、流体デバイスCをステージ部STの設置面STaに設置する工程である。
具体的には、図5に示したように、押し付けコマ52により流体デバイスCを対角方向に押し付けることにより、流体デバイスCは、固定ピン51a、51bに押し付けられ、流路13(レーン2)がy方向と平行になるように、ステージ部STに位置決めされた状態で設置面STaに設置される。
導入工程は、粒子を含む試料を流体デバイスCの保持空間14A、14Bおよび流路13に導入する工程である。試料としては、一例として、リン酸緩衝液等の緩衝液(媒質)にエクソソームが懸濁されたエクソソーム懸濁液を用いることができる。
試料が流路13に導入されたら、制御装置5はステージ駆動部60を駆動して、検出対象となるレーン2が照明光L1の光路および検出部30の検出軸31a上に位置させる。
検出対象となるレーン2が検出位置に移動すると、制御装置5は、電源部BTを制御して電極18A及び電極18Bに電界を印加させ、エクソソームを流路13に沿って電気泳動させる力を付与する。一例として、制御装置5は、約50V/cmの電界強度の電圧を約10秒間印加する。エクソソームの移動方向は、y方向と平行である。
照射工程は、照明光L1をx方向と平行に流路デバイスCの流路13に照射する工程である。
照明光L1を照射する照射部20および調整部CLは、y方向の幅が一定で、上述した式(3)~式(8)を満足する収束角θでz方向に収束するシートビーム状の照明光L1を照射する。照明光L1の最小ビーム厚(z方向のビーム幅)は、一例として、10μmである。照明光L1の最小ビーム厚(z方向のビーム幅)方向は、図7および図9のz方向またはz方向と平行な方向である。照明光L1の最小ビーム厚(z方向のビーム幅)方向は、入射面(端面17および側面16a)における照明光L1の光軸方向及び流路方向とは異なる方向であり、該光軸方向及び流路方向と直交する方向である。流路方向は、流路13が延在する方向である。流路方向は、流路13を流体が流れる方向である。
照射された照明光L1は、流体デバイスCの一方の端面(照明光入射側端面)17、流路13の側面(照明光入射側側面)16a、流路13の内部、流路13の側面(照明光射出側側面)16b、流体デバイスCの他方の端面(照明光射出側端面)27(図5参照)を順次通過する。照明光L1は、エクソソームの移動方向と直交する方向に照射される。
照射された照明光L1は、図9に示すように、流路13の内部においてz方向の幅が最小となるように収束し、且つ、流路13の側面16aの位置における照射光束の通過領域が側面16a内に限定されるように収束する。さらに、照射された照明光L1は、流路13の照明光射出側の側面16bの位置における照射光束の通過領域が側面16a内に限定されるように収束する。照明光L1は、側面16aの位置における照射領域が側面16a内に集光し、側面16bの位置における照射領域が側面16b内に集光するような収束角に調整されている。また、照射された照明光L1は、流路13における検出部30の検出領域において収束点が存在する。
検出工程は、照明光L1のx方向と平行な照射によって流路13内部の粒子から生じる散乱光を検出部30によって観察(イメージング)し検出する。検出部30における対物レンズ31の検出軸31aが照明光L1の光軸と直交しているため、検出部30は粒子から生じる側方散乱光を検出する。検出部30は、x方向と平行に照射された照明光L1の照射によって、x方向と垂直なz方向に向かって散乱した光を検出する。散乱光が観察された粒子の像は撮像部32で撮像される。送信部40は、撮像部32で撮像された画像情報を制御装置5へ送信する。
[制御装置の構成]
制御装置5は、粒子検出システム1を統括的に制御する。制御装置5は、ステージ駆動部60を介してステージ部STおよび流体デバイスCの移動を制御する。制御装置5は、電源部(印加部)BTを制御して、電極18A、18Bに流路13に沿った方向の電界を印加させる。また、制御装置5は、粒子検出装置100が撮像した画像を処理することにより、種々の判定を行う。この制御装置5の構成の詳細について、図11から図16を参照して説明する。
図11は、本実施形態の制御装置5の概略構成を示す図である。制御装置5は、演算部500と、記憶部520とを備えている。この記憶部520は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、レジスタなどの記憶装置を備えている。記憶部520には、演算部500が実行するプログラム(ファームウェア)が予め格納される。また、記憶部520には、演算部500が演算処理を行った演算結果が格納される。
演算部500は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、各種の演算を行う。この演算部500は、その機能部として、取得部501と、識別部502と、ゼータ電位判定部503と、粒子径判定部504と、相関部505と、状態判定部506と、評価部507とを備えている。
取得部501は、粒子検出装置100が撮像した画像を取得する。具体的には、上述したように、粒子検出装置100の撮像部32は、対物レンズ31を介して入射する側方散乱光の画像を撮像して、撮像した画像の画像情報を、送信部40に出力する。取得部501は、撮像部32が撮像した側方散乱光の画像の画像情報を、送信部40を介して取得する。取得部501は、取得した画像を識別部502に出力する。
識別部502は、粒子検出装置100が撮像した画像のなかから、微粒子の画像を抽出する。例えば、識別部502は、取得部501から供給される画像に対して既知のフィルター処理やパターンマッチング処理を施すことにより、微粒子の画像を抽出する。このとき、識別部502は、抽出した微粒子の画像に対して、微粒子ごとに粒子番号を付与してもよい。なお、識別対象の微粒子が細胞外小胞である場合には、この粒子番号とは、細胞外小胞識別子であってもよい。つまり、識別部502は、微粒子の粒子に対してラベリングを行ってもよい。このことによって後述する相関部において、微粒子のゼータ電位ζと微粒子の粒子径dとの関連付けが容易となる。このラベリングの際には、取得部が取得した複数の画像のうち、第1の時刻において撮像された画像に含まれる第1の微粒子の画像と、第1の時刻とは異なる第2の時刻において撮像された画像に含まれる第2の微粒子の画像とが、同一の微粒子を示す画像であるか否かを、媒質中のブラウン運動による微粒子の移動量に基づいて判定してもよい。また、識別部502は、ラベリングした微粒子の粒子について、粒子検出装置100が撮像した画像のフレーム間の差分に基づいて、トラッキングを行う。ここで、トラッキングとは、画像内の粒子の座標の経時的変化を追跡することをいう。識別部502が、微粒子のトラッキングを行った結果の一例を図12に示す。
図12は、記憶部520が記憶する粒子リストLS1の一例を示す図である。この粒子リストLS1には、行方向をラベリングされた粒子番号とし、列方向を撮像時刻として、各時刻における各微粒子の画像の座標(X、Y)が記憶される。この一例においては、時刻t0から、時刻t50までの各時刻における、微粒子P1から微粒子Pnまでの、各微粒子の座標が粒子リストLS1に記憶される。
図11に戻り、ゼータ電位判定部503は、識別部502がトラッキングした結果に基づいて、微粒子毎のゼータ電位ζを判定する。例えば、ゼータ電位判定部503は、識別部502が行った微粒子P1についてのトラッキング結果のうち、時刻t0から、時刻t1までの微粒子P1の移動速度v1に基づいて、微粒子P1のゼータ電位ζ1を判定する。
ゼータ電位判定部503は、上述の式(1)に基づいてゼータ電位ζを判定する。なお、この一例では、サンプル溶液の誘電率ε及びサンプル溶液の粘性係数ηは、予め記憶部520に記憶されている。ゼータ電位判定部503は、記憶部520に記憶されているサンプル溶液の誘電率ε及びサンプル溶液の粘性係数ηと、識別部502によるトラッキング結果から求めた微粒子の移動速度とに基づいて、微粒子のゼータ電位ζを判定する。
粒子径判定部504は、サンプル溶液中のブラウン運動による微粒子の移動量と、上述の式(2)とに基づいて、微粒子の径を判定する。ここでは、粒子径判定部504が、微粒子P1の粒子径を判定する場合の具体例について説明する。なお、この一例においては、ボルツマン定数k及びサンプル溶液の絶対温度Tは、予め記憶部520に記憶されている。粒子径判定部504は、識別部502がトラッキングした結果に基づいて、微粒子P1の移動量を算出する。また、粒子径判定部504は、算出した微粒子P1の移動量と、記憶部520に記憶されているボルツマン定数k及び絶対温度Tと、上述の式(2)とに基づいて、微粒子P1の粒子径d1を判定する。
相関部505は、ゼータ電位判定部503が判定した微粒子のゼータ電位ζと、粒子径判定部504が判定した微粒子の粒子径dとを関連付ける。具体的には、ゼータ電位判定部503において第1の微粒子に対して判定した第1のゼータ電位ζ1と、粒子径判定部504において第1の微粒子に対して判定した第1の粒子径d1とを、相関部505において第1の微粒子に関するデータとして相互に結び付ける。この相関部505が関連付けした結果である粒子相関リストLS2の一例を、図13に示す。
図13は、記憶部520が記憶する粒子相関リストLS2の一例を示す図である。この粒子相関リストLS2において、識別部502によって付与された粒子番号毎に、粒子径dと、ゼータ電位ζとが関連付けられている。相関部505は、微粒子P1について、微粒子P1の粒子径d1と、微粒子P1のゼータ電位ζ1とを関連付けて、粒子相関情報PC1(d1、ζ1)として、粒子相関リストLS2に記憶させる。また、相関部505は、微粒子P2について、微粒子P2の粒子径d2と、微粒子P2のゼータ電位ζ2とを関連付けて、粒子相関情報PC2(d2、ζ2)として、粒子相関リストLS2に記憶させる。
このように、媒質中に存在する微粒子の状態の相関を判定することができる。
状態判定部506は、相関部505が生成した粒子相関リストLS2に基づいて、微粒子の状態を判定する。記憶部520には、粒子径dの基準範囲と、ゼータ電位ζの基準範囲とをそれぞれ示す基準範囲情報が記憶されている。ここでは、状態判定部506による状態判定の一例として、エクソソーム以外の粒子が含まれる試料において、識別部502が識別した微粒子を、エクソソームであるか否かを判定する場合について説明する。
エクソソームの特徴として、粒径が直径30~200nm程度の微粒子であること、そしてまた、構成因子としてシャペロン分子であるHsc70、Hsc90やテトラスパニン(CD9, CD63, CD81)が特異的に存在していることが挙げられる。
この場合、記憶部520には、粒子径のしきい値Thdが、基準範囲情報として記憶されている。また、記憶部520には、ゼータ電位のしきい値Thζが、基準範囲情報として記憶されている。これらの場合、記憶部520を基準記憶部と言い換えてもよい。このしきい値Thd、及びしきい値Thζの一例を図14に示す。
図14は、本実施形態の記憶部520が記憶するしきい値の一例を示す図である。ここで、一例として、エクソソームの粒子径が、直径30~100nm程度であり、判定対象の微粒子のうち、エクソソーム以外の微粒子の粒子径が、直径100nmを超える場合について説明する。また、ここでは、一例として、エクソソームのゼータ電位ζが、しきい値Thζ以下であり、エクソソーム以外の微粒子のゼータ電位ζが、しきい値Thζを超える場合について説明する。この一例の場合には、状態判定部506は、微粒子の粒子径、及び微粒子のゼータ電位ζに基づいて、微粒子の判定を行うことができる。なお、状態判定部506が行う微粒子の判定を、微粒子の特定と言い換えてもよい。
具体的には、この一例の場合、記憶部520には、粒子径のしきい値Thdとして、100nmが記憶されている。また、記憶部520には、ゼータ電位のしきい値Thζとして、-6mVが記憶されている。状態判定部506は、粒子相関リストLS2に記憶されている粒子相関情報PCのうち、粒子径dが、しきい値Thd以下である微粒子であり、かつ、ゼータ電位ζがしきい値Thζ以下である微粒子を、エクソソームであると判定する。一方、状態判定部506は、粒子相関リストLS2に記憶されている粒子相関情報PCのうち、粒子径dが、しきい値Thdを超える微粒子や、ゼータ電位ζが、しきい値Thζを超える微粒子を、エクソソームでないと判定する。
また、一例として、エクソソームの粒子径が、直径30~100nm程度であり、判定対象の微粒子のうち、エクソソーム以外の微粒子の粒子径が、直径200nmを超える場合がある。この場合には、一例として、粒子径dのしきい値Thdを150nmにすることにより、状態判定部506は、粒子径のみに基づいて微粒子の状態を判定することができる。
また、直径100~200nmの範囲には、エクソソーム以外の微粒子が含まれる場合がある。この場合には、粒子径のしきい値Thd(200nm)は、微粒子がエクソソームであるか否かを判定するための一要素として、利用することができる。
また、直径が200nmよりも大きい範囲には、単一のエクソソームが含まれていない場合がある。この場合には、粒子径のしきい値Thd(200nm)は、微粒子が単一のエクソソームであるか否かを判定するための一要素として、利用することができる。
また、直径が200nmよりも大きい範囲には、単一のエクソソームが複数個凝集した微粒子が含まれている場合がある。この場合には、粒子径のしきい値Thd(200nm)は、微粒子が単一のエクソソームであるか、凝集したエクソソームであるかを判定するための一要素として、利用することができる。
このように、基準記憶部において記憶される基準値となるしきい値を、微粒子の状態の判定のための要因として用いることができる。
また、状態判定部506は、識別部502が識別した微粒子がエクソソームである場合に、このエクソソームが、抗体と反応しているか否かを判定する。この一例の場合、記憶部520には、ゼータ電位のしきい値Thζが、基準範囲情報として記憶されている。上述したように、抗体-エクソソーム複合体のゼータ電位は、エクソソーム単独のゼータ電位と比較して正にシフトしている。この場合、記憶部520には、エクソソーム単独のゼータ電位と、抗体-エクソソーム複合体のゼータ電位との間のゼータ電位(例えば、-6mv)が、ゼータ電位のしきい値Thζとして記憶されている。状態判定部506は、粒子相関リストLS2に記憶されている粒子相関情報PCのうち、微粒子のゼータ電位が、しきい値Thζ未満である微粒子を、抗体と反応していない単独のエクソソームであると判定する。一方、状態判定部506は、粒子相関リストLS2に記憶されている粒子相関情報PCのうち、微粒子のゼータ電位が、しきい値Thζ以上である微粒子を、抗体-エクソソーム複合体であると判定する。
また、ゼータ電位のしきい値Thζ(例えば-6mV)の付近には、単体のエクソソーム及び、抗体-エクソソーム複合体以外の微粒子が存在している場合がある。この場合には、ゼータ電位のしきい値Thζ(-6mV)は、微粒子が単体のエクソソームであるか否かを判定するための一要素として、利用することができる。
また、状態判定部506は、粒子径dのしきい値とゼータ電位ζのしきい値とを組み合わせて、微粒子の状態を判定することもできる。具体的には、抗体-エクソソーム複合体は、単独のエクソソームと比較して、ゼータ電位が低い。このため、微粒子間に働くクーロン力は、抗体-エクソソーム複合体の方が、単独のエクソソームと比較して、弱い。この微粒子間に働くクーロン力は、微粒子間の間隔を遠ざける斥力として作用する。つまり、抗体-エクソソーム複合体の方が、単独のエクソソームと比較して、微粒子間に働く斥力が弱い。このため、抗体-エクソソーム複合体の方が、単独のエクソソームと比較して、凝集しやすい傾向がある。ここで、微粒子どうしが凝集すると、凝集した複数の微粒子が1つの微粒子として振る舞うため、ブラウン運動の運動量に変化が生じる。したがって、粒子径判定部504は、凝集した複数の微粒子を1つの微粒子として判定することにより、凝集していない場合に比べて、粒子径dが大きくなる方向にシフトする。
ここで、粒子径dが200nm以下の微粒子をエクソソームであると判定する場合を一例にして説明する。粒子径判定部504は、抗体-エクソソーム複合体を直径が200nmを超える微粒子であると判定することがある。このため、状態判定部506が粒子径dのみによって判定した場合には、抗体-エクソソーム複合体の粒子径dが、エクソソームであるか否かの粒子径dのしきい値Thdを超えるため、抗体-エクソソーム複合体がエクソソームではないと判定される場合がある。そこで、状態判定部506は、粒子径dが200nm以下の微粒子をエクソソームであると判定するとともに、粒子径dが200nmを超える微粒子であっても、ゼータ電位ζがしきい値Thζ以下である場合には、その微粒子をエクソソームであると判定する。つまり、状態判定部506は、粒子径dのしきい値Thdとゼータ電位ζのしきい値Thζとを組み合わせて、微粒子がエクソソームであるか否かを判定する。
また、微粒子がエクソソームであるか否かの判定には、テトラスパニン(CD9,CD81など)のように、エクソソームに特異的に結合される抗体を利用することができる。
つまり、エクソソームに対して抗体を作用させることによるゼータ電位ζ及び粒子径dの、それぞれの変化に基づいて、微粒子がエクソソームであるか否かを判定することができる。
粒子検出システム1は、ゼータ電位ζ及び粒子径dに基づく、上述のような評価条件を様々に組み合わせて、微粒子の評価を行うことができる利点を有する。
状態判定部506は、粒子径dのしきい値Thdとゼータ電位ζのしきい値Thζとを組み合わせた上で、識別部502によるトラッキングの結果に基づいて、微粒子の状態を判定することもできる。具体的には、状態判定部506は、単独のエクソソームに抗体を反応させ、さらに抗体-エクソソーム複合体どうしが凝集するまでの経過を、識別部502によるトラッキングの結果に基づいて追跡する。具体的には、状態判定部506は、各微粒子の粒子径dとゼータ電位ζとが、時間の経過により、図14に示す領域DM1~領域DM4のうち、いずれの領域からいずれの領域に移動するかによって、微粒子の状態を判定する。一例として、状態判定部506は、領域DM3に存在する微粒子(例えば、単独のエクソソーム)が、領域DM2に移動した場合には、エクソソームが抗体と反応して、抗体-エクソソーム複合体に変化したと判定する。また、状態判定部506は、このエクソソームが、領域DM2から領域DM1に移動した場合には、抗体-エクソソーム複合体どうしが凝集したと判定する。
評価部507は、微粒子の状態の良否を評価する。一例として、評価部507は、状態判定部506が判定した微粒子の状態に基づいて、微粒子の状態をAランク、Bランク、Cランクにランク付けする。ここで、Aランクとは、微粒子の粒子径d及びゼータ電位ζのいずれもが、基準範囲内に含まれる場合である。また、Bランクとは、微粒子の粒子径d及びゼータ電位ζのいずれか一方が基準範囲内に含まれない場合である。また、Cランクとは、微粒子の粒子径d及びゼータ電位ζのいずれもが基準範囲内に含まれない場合である。
一例として、評価部507が、微粒子が単独のエクソソームであるか否かを評価する場合について説明する。この場合、評価部507は、微粒子が領域DM3に存在する場合には、この微粒子のランクを、ランクAであると判定する。また、評価部507は、微粒子が領域DM2又は領域DM4に存在する場合には、この微粒子のランクを、ランクBであると判定する。また、評価部507は、微粒子が領域DM1に存在する場合には、この微粒子のランクを、ランクCであると判定する。
[制御装置の動作]
次に、図15を参照して、制御装置5の動作について説明する。
図15は、制御装置5の動作の一例を示す図である。ここでは、粒子検出装置100が、所定の時間間隔によって側方散乱光の画像を撮像する場合について説明する。
取得部501は、粒子検出装置100の撮像部32が撮像した画像を、粒子検出装置100から1枚ずつ取得する(ステップS10)。この画像には、泳動流路150を電気泳動する微粒子の画像が含まれている。また、この微粒子の画像には、エクソソームの画像が含まれている。
次に、識別部502は、ステップS10において取得された画像の中から、微粒子の画像を抽出し、微粒子毎に固有の粒子番号を付与する。つまり、識別部502は、微粒子をラベリングする(ステップS20)。識別部502は、すべての撮像済み画像について、ラベリングが終了したか否かを判定する(ステップS30)。識別部502は、すべての撮像済み画像について、ラベリングが終了していないと判定した場合(ステップS30;NO)には、処理をステップS10に戻し、次の画像についてラベリングを行う。識別部502は、すべての撮像済み画像について、ラベリングが終了したと判定した場合(ステップS30;YES)には、処理をステップS40に進め、識別した微粒子についてトラッキングを行う。
次に、ゼータ電位判定部503は、識別部502がトラッキングした結果に基づいて、微粒子毎のゼータ電位ζを判定する(ステップS50)。また、粒子径判定部504は、識別部502がトラッキングした結果に基づいて、微粒子毎の粒子径を判定する(ステップS60)。なお、ステップS50と、ステップS60とは、順序が逆であってもよく、並列して実行されてもよい。
次に、相関部505は、ゼータ電位判定部503が判定した微粒子のゼータ電位ζと、粒子径判定部504が判定した微粒子の粒子径dとを関連付ける(ステップSS70)。
相関部505は、関連付けした結果を示す粒子相関リストLS2を生成し、生成した粒子相関リストLS2を記憶部520に記憶させる。相関部505は、すべての微粒子について関連付けが終了していないと判定した場合(ステップS80;NO)には、処理をステップS40に戻す。相関部505は、すべての微粒子について関連付けが終了したと判定した場合(ステップS80;YES)には、処理をステップS90に進める。
次に、状態判定部506及び評価部507は、ステップS70において生成された粒子相関リストLS2に基づいて、粒子の状態の判定及び評価を行う。
上記の粒子検出装置100は、細胞外小胞のゼータ電位を測定するための装置の一例であり、細胞外小胞の集団中の個々の細胞外小胞のゼータ電位を測定可能な装置であれば、特に制限なく利用することができる。上記のような構成の粒子検出装置、又は他のゼータ電位測定装置を用いて、細胞外小胞の集団中の個々の細胞外小胞のゼータ電位を測定し、それらのゼータ電位の標準偏差を算出して、細胞外小胞の集団のゼータ電位の標準偏差とすることができる。前記のように算出された細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である場合には、本実施形態の細胞外小胞の集団であると判定される。
本実施形態の細胞外小胞の集団は、ゼータ電位の標準偏差が5mV以下であり、細胞外小胞の状態、特に細胞外小胞の表面状態に関して均質性の高い細胞外小胞の集団である。そのため、医薬品、化粧品、食品等の様々な用途に利用することができる。本実施形態の細胞外小胞の集団は、当該集団を構成する細胞外小胞の品質が揃っているため、特に均質性の高さが求められる医薬品としても、好適に利用することができる。医薬品用途としては、例えば、薬物を内包するキャリアとしての利用や、間葉系幹細胞等の特定の細胞由来のエクソソームの薬物としての利用等が挙げられるが、これらに限定されない。
ゼータ電位の測定を、細胞外小胞に特異的結合物質を結合させた状態で行った場合には、特に当該特異的結合物質の結合対象である分子の発現状態に関して均質性の高い細胞外小胞の集団を得ることができる。例えば、細胞外小胞の膜表面を、疾患部位などを標的とする分子(例えば、がん細胞膜表面抗原に対する抗体)で修飾した場合には、当該分子に対する特異的結合物質を用いてゼータ電位の測定を行い、当該ゼータ電位の標準偏差が5mV以下である細胞外小胞の集団を得てもよい。そのような細胞外小胞の集団を構成する細胞外小胞は、当該分子による膜表面の修飾状態に関して特に均質性が高い。そのため、当該疾患部位へのDDSのキャリアとして好適に用いることができる。
<細胞外小胞の集団の製造方法>
1実施形態において、本発明は、細胞外小胞の集団の製造方法を提供する。本実施形態の方法は、(a)複数の細胞の細胞周期を同調させる工程と、(b)前記工程(a)後、前記複数の細胞の培地を、細胞外小胞を実質的に含まない培地に交換する工程と、(c)前記培地交換した培地で、前記複数の細胞を培養する工程と、(d)前記工程(c)後の培地から、細胞外小胞の集団を回収する工程と、を含む。
[工程(a)]
工程(a)は、複数の細胞の細胞周期を同調させる工程である。
前記複数の細胞は、全て同一種類の細胞であることが好ましい。同一種類の細胞を培養することにより、品質が揃った細胞外小胞を得ることができる。細胞の種類は、細胞外小胞を放出する限り、特に限定されない。細胞としては、例えば、腫瘍細胞などの各種疾患細胞;樹状細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞;神経細胞などの各種組織細胞;脂肪細胞;間葉系幹細胞、造血幹細胞などの体性幹細胞;ES細胞、iPS細胞などの多能性幹細胞;生殖細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。前記細胞が由来する生物種も、特に限定されない。細胞が由来する生物種も特に限定されず、ヒト、及びヒト以外の哺乳類(例えば、マウス、モルモット、サル、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等)の細胞等が挙げられる。細胞は、製造するエクソソームの用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、再生医療に利用する場合には、ヒトの間葉系幹細胞等を選択することができる。
「複数の細胞」は、2個以上の細胞であれば特に限定されず、例えば、10個以上、10個以上、10個以上等の細胞であってもよい。複数の細胞は、例えば、10~1015個、10~1012個、又は10~1010個等の細胞であってもよい。
細胞周期は、間期とM期とに分けられ、間期はさらにG1期、S期、G2期とに分けられる(図16参照)。本工程において、複数の細胞を同調させる細胞周期は、特に限定されず、G1期、S期、G2期、及びM期のいずれであってもよい。また、G1期/S期の境界等、2つの周期の境界に同調させてもよい。
前記複数の細胞の細胞周期を同調させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、例えば、細胞周期同調剤を含む培地で培養する方法、コンフルエントな状態で細胞を培養する方法、血清飢餓状態で細胞を培養する方法、チミジンブロック法等が挙げられる。
(細胞周期同調剤を用いる方法)
「細胞周期同調剤」とは、複数の細胞の細胞周期を同調させる作用を有する薬剤である。細胞周期同調剤としては、特定の細胞周期で細胞周期の進行を停止させる作用を有する薬剤等が挙げられる。細胞周期同調剤は、公知のものを特に制限なく用いることができる。一例として、細胞をG1期に同調させる細胞周期同調剤として、レプトマイシンA及びレプトマイシンB等が挙げられる。例えば、細胞周期同調剤を培地に添加し、複数の細胞を培養する。培養培地は、細胞の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、ヒトの細胞であれば、公知のヒト細胞培養用培地を特に制限なく用いることができる。ヒト細胞培養用培地としては、一例として、ウシ胎児血清(FBS)等を添加したRPMI培地等が挙げられる。
細胞周期同調剤を含む培地での培養時間は、細胞の種類に応じて適宜選択すればよい。好ましくは、細胞周期が1周期進行する時間以上、培養することが好ましい。培養時間としては、例えば、10時間以上、15時間以上、又は20時間以上等が例示される。培養時間の上限は、特に限定されないが、細胞周期が同調した後に長時間培養する必要はないため、例えば、細胞周期が5周期、4周期、3周期、又は2周期進行するよりも短い時間等が挙げられる。培養時間の上限の具体例としては、例えば、50時間以内、40時間以内、又は30時間以内等が例示される。一例として、培養時間は、24時間とすることができる。
培養開始時の細胞濃度は、特に限定されないが、例えば、例えば、10~1010個/mL、10~10個/mL、10~10個/mL等であってもよい。
細胞の培養条件は、特に限定されず、細胞の種類に応じて、当該細胞の培養に一般的に用いられる条件を用いればよい。例えば、温度条件としては、25~40℃、30~37℃等が例示される。
(コンフルエントな状態で細胞を培養する方法)
「コンフルエントな状態」とは、培養容器内で増殖可能な濃度に細胞が達し、細胞の増殖がほぼ停止しした状態をいう。コンフルエントな状態で細胞を培養することにより、細胞周期をG1期に同調させることができる。
例えば、シャーレ等の培養容器内で細胞を培養すると、細胞が増殖してコンフルエントな状態に達する。例えば、シャーレ等で培養する場合、シャーレ全体に細胞が広がった時点で、コンフルエントな状態に達したと判断することができる。その状態で、培養を継続することにより、細胞周期を同調させることができる。コンフルエントな状態に達してからの培養時間は、上記と同様に、細胞周期が1周期進行する時間以上、培養することが好ましい。培養時間としては、例えば、10時間以上、15時間以上、20時間以上等が例示される。培養時間の上限は、特に限定されないが、細胞周期が同調した後に長時間培養する必要はないため、例えば、細胞周期が4周期、3周期、又は2周期進行するよりも短い時間等が挙げられる。培養時間の上限の具体例としては、例えば、50時間以内、40時間以内、30時間以内とすることができる。一例として、培養時間は、24時間とすることができる。
培養の方法は、細胞周期同調剤を含まない培地を用いる以外は、上記(細胞周期同調剤を用いる方法)で記載した方法と同様に行えばよい。
(血清飢餓状態で培養する方法)
血清飢餓状態での培養は、血清を含まない培地で細胞を培養すればよく、公知の方法により行うことができる。血清を含まない培地は、例えば、細胞の種類に応じて適宜選択される培地の組成において、血清を無添加とすることにより調製することができる。血清飢餓状態で細胞を培養することにより、細胞周期をG1期に同調させることができる。
血清飢餓状態での培養時間は、上記と同様に、細胞周期が1周期進行する時間以上、培養することが好ましい。培養時間としては、例えば、10時間以上、15時間以上、20時間以上等が例示される。培養時間の上限は、特に限定されないが、細胞周期が同調した後に長時間培養する必要はないため、例えば、細胞周期が4周期、3周期、又は2周期進行するよりも短い時間等が挙げられる。培養時間の上限の具体例としては、例えば、50時間以内、40時間以内、30時間以内とすることができる。一例として、培養時間は、24時間とすることができる。
培養の方法は、血清を含まない培地を用いる以外は、上記(細胞周期同調剤を用いる方法)で記載した方法と同様に行えばよい。
(チミジンブロック法)
チミジンブロックは、チミジンを過剰量含む培地で、細胞を培養すればよく、公知の方法により行うことができる。チミジンブロックを行なうことにより、細胞周期をS期に同調させることができる。培地中のチミジンの濃度としては、例えば、1~5mM、1.5~4mM、2~3mM等が例示される。培地は、チミジンを過剰に添加する以外は、細胞の種類に応じて適宜選択される培地を用いればよい。
チミジンを過剰に含む培地での培養時間は、上記と同様に、細胞周期が1周期進行する時間以上、培養することが好ましい。培養時間としては、例えば、10時間以上、15時間以上、20時間以上等が例示される。培養時間の上限は、特に限定されないが、細胞周期が同調した後に長時間培養する必要はないため、例えば、細胞周期が4周期、3周期、又は2周期進行するよりも短い時間等が挙げられる。培養時間の上限の具体例としては、例えば、50時間以内、40時間以内、30時間以内とすることができる。一例として、培養時間は、24時間とすることができる。
また、ダブルチミジンブロック法を用いて、細胞周期を同調させてもよい。ダブルチミジンブロック法もまた、公知の方法で行うことができる。ダブルチミジンブロック法では、チミジンブロックを2回行う。例えば、チミジンを過剰に含む培地で一定期間(例えば、10~30時間程度)培養した後、培地を交換し、チミジンを含まない培地で一定期間(例えば、6~20時間程度)培養を行なう。その後、再度、チミジンを過剰に含む培地で培養することにより、細胞周期をG1期/S期の境界に同調させることができる。
培養の方法は、チミジンを過剰に含む培地を用いる以外は、上記(細胞周期同調剤を用いる方法)で記載した方法と同様に行えばよい。
[工程(b)]
工程(b)は、前記工程(a)後、前記複数の細胞の培地を、細胞外小胞を実質的に含まない培地に交換する工程である。
培地の交換は、例えば、工程(a)における培養容器から培養上清を除去し、細胞外小胞を実質的に含まない培地を添加することにより行うことができる。また、培地上清を除去後に、細胞外小胞を実質的に含まない培地で1~3回程度細胞の洗浄を行ってもよい。細胞が浮遊細胞等である場合には、遠心分離やフィルターろ過等によって細胞を回収し、適宜細胞の洗浄を行って、細胞外小胞を実質的に含まない培地に細胞を播種してもよい。
「細胞外小胞を実質的に含まない培地」とは、培地成分中に細胞外小胞を実質的に含まない培地である。「細胞外小胞を実質的に含まない」とは、細胞外小胞を全く含まないか、細胞外小胞を含んでいたとしても無視できる程度の含有量であることをいう。細胞外小胞を実質的に含まない培地としては、培地中に含まれる細胞外小胞の濃度が、例えば、0~10個/mL程度、好ましくは0~5個/mL程度、より好ましくは0~3個/mL程度、さらに好ましくは0~1個/mL程度、特に好ましくは0~0.5個/mL程度である培地が挙げられる。
例えば、血清等の生物由来成分を含む培地では、培地中に、生物の細胞由来の細胞外小胞が存在する。そのため、そのような培地で細胞の培養を行なうと、培地中には、当該細胞から放出された細胞外小胞と、元々培地中に含まれる細胞外小胞とが混在することになり、品質の揃った細胞外小胞を得られない。そのため、本工程では、細胞培養培地を、細胞外小胞を実質的に含まない培地に交換する。
本工程により、細胞周期が同調する前に放出された細胞外小胞を除去できると共に、培地からの細胞外小胞の持ち込みを排除することができる。
細胞外小胞を実質的に含まない培地の作製方法は、特に限定されず、公知の細胞外小胞の回収方法を適用することができる。例えば、培地を調製後、超遠心分離、限外ろ過等を行なうことにより、培地中の細胞外小胞を除去することができる。したがって、細胞外小胞を実質的に含まない培地は、培地の調整後、培地中の細胞外小胞を除去する処理を行った培地であるということもできる。
[工程(c)]
工程(c)は、前記培地交換した培地で、前記複数の細胞を培養する工程である。
細胞の培養は、細胞外小胞を含まない培地で培養すること以外は、上記工程(a)で記載した方法と同様に行うことができる。本工程での培養時間は、細胞が細胞外小胞を放出するのに十分な時間であればよい。例えば、30分以上、1時間以上、1.5時間以上とすることができる。また、例えば、30分~5時間、1~4時間、1.5~3時間等であってもよい。例えば、培養時間は、2時間とすることができる。
[工程(d)]
工程(d)は、前記工程(c)後の培地から、細胞外小胞の集団を回収する工程である。
細胞外小胞は、例えば、工程(c)の後の培養上清から回収することができる。例えば、工程(c)の後、培養液の遠心分離やフィルターろ過等により、細胞と培養上清とを分離することができる。培養上清から細胞外小胞を回収する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、細胞外小胞の回収方法としては、超遠心分離、限外ろ過、連続フロー電気泳動、クロマトグラフィー等、の方法が挙げられる。
このようにして、細胞外小胞の集団を得ることができる。
本実施形態の製造方法により得られる細胞外小胞の集団は、細胞周期を同調させた細胞から放出されたものであり、品質の揃った細胞外小胞の集団である。品質が揃った細胞外小胞の集団とは、例えば、細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が任意の閾値以下である細胞外小胞の集団である。例えば、細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が、5mV以下、好ましくは4.5mV以下、より好ましくは4mV以下、さらに好ましくは3.5mV以下、特に好ましくは3mV以下である、細胞外小胞の集団である。
本実施形態の製造方法により得られる細胞外小胞の集団は、上記のように品質が揃ったものであるため、DDSのキャリアや再生医療等の医薬品としての利用に適している。
[任意工程]
本実施形態の製造方法は、上記工程(a)~(d)に加えて、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程は、特に限定されないが、例えば、工程(d)の後、(e)回収した細胞外小胞の集団に含まれる細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程等が挙げられる。
(工程(e))
本実施形態の製造方法は、工程(d)により回収した細胞外小胞の集団に含まれる細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程を含んでいてもよい。前記細胞外小胞のゼータ電位の測定は、公知の方法で行うことができる。細胞外小胞のゼータ電位の測定方法としては、例えば、上記「<細胞外小胞の集団>」で記載した方法等が挙げられる。
本実施形態の製造方法は、さらに、(f)工程(e)により得られたゼータ電位の標準偏差を算出する工程を含んでいてもよい。そして、さらに、(g)前記標準偏差が、所定の閾値以下である細胞外小胞の集団を選択する工程を含んでいてもよい。前記標準偏差の閾値としては、例えば5mV以下、好ましくは4.5mV以下、より好ましくは4mV以下、さらに好ましくは3.5mV以下、特に好ましくは3mV以下が挙げられる。
本実施形態の製造方法は、工程(a)~(d)により品質の揃った細胞外小胞の集団を得ることができるが、上記工程(e)~(g)を行なうことにより、さらに品質の揃った細胞外小胞の集団を得ることができる。
<細胞外小胞の集団の品質を評価する方法>
1実施形態において、本発明は、細胞外小胞の集団の品質を評価する方法を提供する。本実施形態の方法は、(a)細胞外小胞の集団に含まれる複数の細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程と、(b)前記工程(a)で測定されたゼータ電位の標準偏差を算出する工程と、(c)前記工程(b)で算出された標準偏差に基づいて、前記細胞外小胞の集団の品質を評価する工程、を含む。
[工程(a)]
工程(a)は、細胞外小胞の集団に含まれる複数の細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程である。細胞外小胞の集団中の個々の細胞外小胞のゼータ電位の測定は、公知の方法で行うことができる。細胞外小胞のゼータ電位の測定方法としては、例えば、上記「<細胞外小胞の集団>」で記載した方法が挙げられる。
[工程(b)]
工程(b)は、前記工程(a)で測定されたゼータ電位の標準偏差を算出する工程である。ゼータ電位の標準偏差の算出は、上記「<細胞外小胞の集団>」で記載した方法により行うことができる。
[工程(c)]
工程(c)は、前記工程(b)で算出された標準偏差に基づいて、前記細胞外小胞の集団の品質を評価する工程である。例えば、細胞外小胞が由来する細胞の種類、細胞外小胞の用途等に基づいて、標準偏差の閾値を設定し、工程(b)で算出された標準偏差が前記閾値以下である場合に、細胞外小胞の集団の均一性が高いと評価することができる。すなわち、細胞外小胞の集団の品質が高い(品質が揃っている)と判断することができる。
標準偏差の閾値としては、例えば、5mV以下、好ましくは4.5mV以下、より好ましくは4mV以下、さらに好ましくは3.5mV以下、特に好ましくは3mV以下等が例示される。
[任意工程]
本実施形態の方法は、さらに、上記工程(c)により、均一性が高いと評価された細胞外小胞の集団を選択する工程、を含んでいてもよい。あるいは、上記工程(c)により、均一性が低いと評価された細胞外小胞の集団を廃棄する工程、を含んでいてもよい。
本実施形態の方法によれば、細胞外小胞の集団の品質を管理することができ、品質の揃った細胞外小胞の集団を維持することができる。
<組成物>
1実施形態において、本発明は、複数の細胞外小胞を含む組成物であって、前記組成物に含まれる細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である、組成物、を提供する。
本実施形態の組成物に含まれる細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差は、5mV以下である。前記ゼータ電位の標準偏差は、4.5mV以下であることが好ましく、4mV以下であることがより好ましく、3.5mV以下であることが好ましく、3mV以下であることがより好ましい。
複数の細胞外小胞は、2個以上であればよく、特に限定されないが、例えば、10~1015個、10~1012以上、10~1010個の細胞外小胞であってもよい。
本実施形態の組成物が含む複数の細胞外小胞は、上記「<細胞外小胞の集団>」で説明した上記実施形態の細胞外小胞の集団である。
本実施形態の組成物は、複数の細胞外小胞に加えて、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、特に限定されないが、例えば、各種緩衝液(生理食塩水、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等)、細胞培養液等が挙げられる。
本実施形態の組成物は、医薬組成物、化粧品、又は食品(機能性食品、健康食品等を含む)等であってもよい。本実施形態の組成物が、医薬組成物、化粧品、又は食品等である場合、その用途に応じて後述の各種成分を含んでいてもよい。
<医薬組成物>
1実施形態において、本発明は、上記実施形態の細胞外小胞の集団を含む、医薬組成物を提供する。
上記実施形態の細胞外小胞の集団、又は上記実施形態の製造方法で製造された細胞外小胞の集団(以下、まとめて「本細胞外小胞の集団」という場合がある。)は、均一性が高いため、医薬組成物に含有させることができる。上記実施形態の細胞外小胞の集団は、例えば、薬物を内包するキャリア(例えば、DDSのキャリア)や再生医療等に利用することができる。
本実施形態の医薬組成物は、本細胞外小胞の集団に加えて、他の成分を含んでいてもよい。例えば、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含み得る。「薬学的に許容される担体」とは、有効成分の生理活性を阻害せず、且つ、その投与対象に対して実質的な毒性を示さない担体を意味する。「実質的な毒性を示さない」とは、その成分が通常使用される投与量において、投与対象に対して毒性を示さないことを意味する。薬学的に許容される担体は、典型的には非活性成分とみなされる、公知のあらゆる薬学的に許容され得る成分を包含する。薬学的に許容される担体は、特に限定されないが、例えば、溶媒、希釈剤、ビヒクル、賦形剤、流動促進剤、結合剤、造粒剤、分散化剤、懸濁化剤、湿潤剤、滑沢剤、崩壊剤、可溶化剤、安定剤、乳化剤、充填剤、保存剤(例えば、酸化防止剤)、キレート剤、矯味矯臭剤、甘味剤、増粘剤、緩衝剤、着色剤等が挙げられる。溶媒としては、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、細胞培養培地、DMSO、ジメチルアセトアミド、エタノール、グリセロール、ミネラルオイル等が挙げられる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この他、医薬分野において常用される成分を特に制限なく使用することができる。本実施形態の医薬組成物は、例えば、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、pH調整剤、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤、防腐剤、着色剤、香料等を含んでいてもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態の医薬組成物は、有効成分として、薬理作用を有する薬剤(活性成分)を含んでいてもよい。前記薬剤は、特に限定されず、本実施形態の医薬組成物の用途に応じて適宜選択すればよい。前記薬剤としては、例えば、抗がん剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、止痒剤、角質軟化剥離剤等が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
薬剤は、例えば、本細胞外小胞の集団を構成する細胞外小胞に封入されていてもよい。
本実施形態の医薬組成物の剤型は、特に限定されず、医薬品製剤として一般的に用いられる剤型とすることができる。本実施形態の医薬組成物の剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口的に投与する剤型、あるいは、注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の非経口的に投与する剤型等が挙げられる。これらの剤型の医薬組成物は、定法(例えば、日本薬局方記載の方法)に従って、製剤化することができる。
本実施形態の医薬組成物の投与経路は、特に限定されず、経口又は非経口経路で投与することができる。なお、非経口経路は、経口以外の全ての投与経路、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、腟内及び腹腔内等への投与を包含する。投与は、局所投与であっても全身投与であってもよい。
本実施形態の医薬組成物は、単回投与又は複数回投与を行うことが可能であり、その投与期間及び間隔は、薬物の種類、疾患の種類及び状態等、投与経路、投与対象の年齢、体重及び性別等によって、適宜選択することができる。本実施形態の医薬組成物を複数回投与する場合、投与間隔は、例えば、1日1~3回、3日毎、1週間毎等とすることができる。
本実施形態の医薬組成物の投与量は、薬物の種類、疾患の種類及び状態等、投与経路、投与対象の年齢、体重及び性別等によって、適宜選択することができる。本実施形態の医薬組成物の投与量は、医薬組成物に含まれる薬物の治療的有効量とすることができ、例えば、1回につき体重1kgあたり0.01~1000mg程度、0.1~500mg程度、0.1~100mg程度等とすることができる。
<化粧品>
1実施形態において、本発明は、上記実施形態の細胞外小胞の集団を含む、化粧品を提供する。
本実施形態の化粧品は、本細胞外小胞の集団に加えて、適宜他の成分を含んでいてもよい。本実施形態の化粧品は、化粧品の種類に応じた既知の方法に従って、製造することができる。他の成分としては、特に限定されず、例えば、薬学的に許容される担体等が例示される。薬学的に許容される担体としては、上記「<医薬組成物>」で例示したものと同様のものが例示される。本実施形態の化粧品は、化粧品添加物として公知の材料を他の成分として用いてもよい。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の化粧品は、美容効果等を有する薬剤(活性成分)を含んでいてもよい。前記薬剤は、特に限定されず、本実施形態の化粧品の用途に応じて適宜選択すればよい。前記薬剤としては、例えば、美白材、紫外線吸収剤、育毛用薬剤、収れん剤、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、制汗剤、保湿剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、刺激緩和剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、生薬、止痒剤、角質軟化剥離剤等が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
薬剤は、例えば、本細胞外小胞の集団を構成する細胞外小胞に封入されていてもよい。
本実施形態の化粧品において、化粧品の種類は特に限定されない。化粧品としては、例えば、化粧水、乳液、ローション、クリーム、ジェル、サンスクリーン剤、パック、マスク、美容液などの基礎化粧品;ファンデーション類、化粧下地、口紅類、リップグロス、頬紅類などのメーキャップ化粧品;洗顔剤、ボディーシャンプー、クレンジング剤などの洗浄料;シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、トリートメント、整髪剤などの毛髪用化粧品;ボディーパウダー、ボディーローションなどのボディ用化粧品等が挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態の化粧品は、化粧品の用途に応じて、通常の化粧品と同様の使用方法で使用することができる。
<食品>
1実施形態において、本発明は、上記実施形態の細胞外小胞の集団を含む、食品を提供する。
本実施形態の食品は、本細胞外小胞の集団に加えて、適宜他の成分を含んでいてもよい。本実施形態の食品は、食品の種類に応じた既知の方法に従って、製造することができる。他の成分としては、特に限定されず、例えば、食品添加物として公知の材料を他の成分として用いてもよい。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の食品において、食品の種類は特に限定されない。食品としては、例えば、そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺、カップ麺などの各種の麺類;パン、小麦粉、米粉、ホットケーキ、マッシュポテトなどの炭水化物類;青汁、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、野菜飲料、乳酸飲料、乳飲料、スポーツ飲料、茶、コーヒーなどの飲料;豆腐、おから、納豆などの豆製品;カレールー、シチュールー、インスタントスープなどの各種スープ類;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷などの冷菓類;飴、クッキー、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、その他の焼き菓子などの菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージなどの水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなどの油脂及び油脂加工食品;ソース、ドレッシング、味噌、醤油、たれなどの調味料;各種レトルト食品、ふりかけ、漬物などのその他加工食品、等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本実施形態の食品は、健康食品、機能性食品等であってもよい。この場合、公知の製剤化方法により、乾燥粉末、顆粒剤、錠剤、ゼリー剤、ドリンク剤等に製剤化したものであってもよい。
本実施形態の食品は、通常の食品と同様に摂取すればよい。
本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明の実施態様は、これら実施例の記載に限定されるものではない。
[参考1]
(方法)
ヒト急性骨髄性白血病細胞であるHL60細胞を、ウシ胎児血清(FBS)を10%添加したロズウェルパーク記念研究所(RPMI)培地(Thermo Fisher Scientific)で培養した。細胞外小胞(EV)回収時には、FBS中のEVを超遠心法で除去したEV除去培地を用いた。回収した培養上清からのEV精製は以下の手順で行った。まず、細胞片やマイクロベシクル等の大きな粒子を取り除くため、300×gで10分、2,000×gで20分、及び10,000×gで100分でそれぞれ遠心した。次に、その上清を100,000×gで200分遠心し、沈殿物を10mMのHEPES緩衝液で懸濁し、EV試料を得た。EV試料を液面調節用の流路を並行させた分析チップのマイクロ流路に導入し、散乱光イメージングで個々の粒子の重心位置を可視化し追跡した。それぞれのEVに対して、ブラウン運動解析により粒子径を、電気泳動解析によりゼータ電位を見積もった。
(結果)
測定結果の正確性を上げるため、HL60細胞の培養上清から精製したEVの多点計測を行った(図17、18)。EVの粒径とゼータ電位の平均値と標準偏差は、それぞれ127±77nm、-12.5±5.4mVであった。EVの粒径は30nm付近の粒子まで測定可能であること、ゼータ電位は測定回ごとのバラツキが少なく、信頼性の高い測定が可能であることが示された。
[実施例1]
(方法)
ヒト急性骨髄性白血病であるHL60細胞の細胞数を血算板を用いて計数し、初期細胞数を1×10個に調整した。細胞培養用の培地として、ウシ胎児血清(FBS)を10%添加したPRMI培地(通常培地)を用いた。また、通常培地に、細胞をG1期に同調させる薬剤であるLeptomycinB(LMB)を100nM添加した培地(LMB添加培地)を、細胞周期同調用の培地として用いた。また、超遠心法でEVを除去したFBSを10%添加したPRMI培地を、EVを実施的に含まない培地(EV除去培地)として用いた。
HL60細胞を、通常培地又はLMB添加培地で24時間培養後、EV除去培地に交換し、2時間培養した。その後、細胞及び細胞上清を回収した。
回収した細胞について、細胞内DNA量により細胞周期を調べた。具体的には、細胞をエタノール固定し、24時間以上4℃で保存した後に、PBSを用いて洗浄した。その後、RNAを分解するためにRNaseAを加えて37℃で1時間インキュベートした後、プロピジウムイオダイド(PI)を2時間以上反応させてDNAを染色し、フローサイトメトリー(BD FACSAria(登録商標)IIIu、BD Biosciences)で蛍光強度を測定した。
また、回収した培養上清から以下の手順でEVを精製した。細胞片やマイクロベシクル等の大きな粒子を取り除くため、300×gで10分、2,000×gで20分、及び10,000×gで100分で、それぞれ遠心した。次に、その上清を100,000×gで200分遠心し、沈殿物を10mM HEPES緩衝液に懸濁した。調製したEV試料を、液面差補償型分析チップの流路に導入し、高精度単一ナノ粒子測定システム(図19参照)にセットして粒径、ゼータ電位を計測した(図20参照)。
細胞培養からEV回収までの手順の概略を図21に示す。細胞からのEV精製方法の手順の概略を図22に示す。
(結果)
PIで染色したDNAの蛍光強度をFACSで測定した結果を図23に示す。LMB添加培地で培養した細胞は、通常培地(LMB無添加培地)で培養した細胞に比べ、S期の細胞が36.4%から14.5%に、G2/M期の細胞が22.2%から14.5%に減少した。一方、G1期の細胞が41.4%から69.7%に増加した。LMBにより、G1期からS期への移行が阻害され、細胞周期がG1期に同調していることが確認された(図23)。
EVの粒径とゼータ電位の測定結果を図24に示す。通常培地で培養した細胞由来のEVの粒径並びにゼータ電位の平均値及び標準偏差は、それぞれ、129±80.3nm、及び-12.2±5.73mVであった。一方、LMB添加培地で培養した細胞由来のEVの粒径並びにゼータ電位の平均値及び標準偏差は、それぞれ、193±115nm、及び-13.4±2.93mVであった。通常培地で培養した細胞由来のEVに比べ、LMB添加培地で培養した細胞由来のEVでは、ゼータ電位の分布範囲が小さくなった。G1期に細胞周期を同調させたことで、細胞から分泌されるEVのゼータ電位の分布範囲(標準偏差)が小さくなったことから、細胞周期ごとに分泌されるEVが異なるということが分かった。
G1期に細胞周期を同調させた細胞から分泌されたEVでは、ゼータ電位の標準偏差が2.93mVであり、細胞周期を同調させなかった細胞から分泌されたEVの標準偏差(5.73mV)よりも、標準偏差の値が小さかった。この結果から、細胞周期を同調させることで、EVのゼータ電位の標準偏差を小さくできることが確認された。
本発明によれば、品質の揃った細胞外小胞の集団及び当該細胞外小胞を含む組成物等、当該細胞外小胞を製造する方法、並びに細胞外小胞の品質を評価する方法が提供される。本発明の細胞外小胞は、品質が揃っているため、医薬品、化粧品、食品等の様々な用途に利用できる。
1 粒子検出システム
5 制御装置
100 粒子検出装置

Claims (9)

  1. (a)複数の細胞の細胞周期を同調させる工程と、
    (b)前記工程(a)後、前記複数の細胞の培地を、細胞外小胞の濃度が0~10個/mlである培地に交換する工程と、
    (c)前記培地交換した培地で、前記複数の細胞を培養する工程と、
    (d)前記工程(c)後の培地から、細胞外小胞の集団を回収する工程と、
    を含
    前記工程(a)を、
    細胞周期同調剤を含む培地で、前記複数の細胞を培養することにより行うか、
    コンフルエントな状態で、前期複数の細胞の培養を、細胞周期が1周期進行する時間以上継続することにより行うか、
    血清飢餓状態で、前記複数の細胞を培養することにより行うか、又は
    チミジンブロック法により、前記複数の細胞を培養することにより行う、
    細胞外小胞の集団の製造方法。
  2. 前記工程(d)後に得られる細胞外小胞の集団が、前記細胞外小胞のゼータ電位の標準偏差が5mV以下である細胞外小胞の集団である、請求項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
  3. 前記工程(a)において、前記複数の細胞をG1期に同調させる、請求項1又は2に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
  4. 前記工程(d)の後、さらに、(e)前記の回収した細胞外小胞の集団に含まれる細胞外小胞のゼータ電位を測定する工程を含む、請求項のいずれか一項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法により細胞外小胞の集団を製造する工程と、前記細胞外小胞の集団を含む組成物を製造する工程と、を含む、組成物の製造方法
  6. 請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法により細胞外小胞の集団を製造する工程と、前記細胞外小胞の集団を含む医薬組成物を製造する工程と、を含む医薬組成物の製造方法
  7. 請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法により細胞外小胞の集団を製造する工程と、前記細胞外小胞の集団を含む化粧品を製造する工程と、を含む化粧品の製造方法
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞外小胞の集団の製造方法により細胞外小胞の集団を製造する工程と、前記細胞外小胞の集団を含む食を製造する工程と、を含む食品の製造方法
  9. 健康食品又は機能性食品である、請求項に記載の食品の製造方法
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