JP7296425B2 - コンクリート圧送用の先送り材 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリートポンプ車などからコンクリートを圧送する際に、コンクリートの閉塞を生じさせず、かつ、フレッシュ性状や力学性状などを低下させることがないように、ポンプ工法における圧送初期に使用されるコンクリート圧送用の先送り材に関するものである。
レディーミクストコンクリート工場で製造されて建設現場まで搬送されてきたコンクリートは、ポンプ車(コンクリートポンプ車)によって躯体などを構築する箇所に打ち込まれることになるが、ポンプ車から打ち込み箇所までは、配管を通す圧送によって搬送される。
このポンプ工法における圧送初期には、特許文献1-3に開示されているように、配管の途中でコンクリートの閉塞が起きたりフレッシュ性状などの低下が生じたりしないように、潤滑作用を有する先送り材をコンクリートを送る前の配管に通す。
例えば特許文献1には、炭酸カルシウムを主成分とし、セルロースナノファイバーを添加してなることを特徴とする圧送用先行材が開示されている。また、特許文献2にも、炭酸ナトリウムを主成分とするコンクリートポンプ誘導剤が開示されている。
一般的な先送り材としては、モルタルやセメントペーストが使用される。特許文献3には、細骨材の粒径を2.5mm以下とすることで、細骨材とセメントペーストとの均一性(材料分離抵抗性)を向上させことができる先送りモルタル用調合物が開示されている。
これらの先送り材は、通常は、打ち込み箇所で排出された後に廃棄されるものなので、可能な限り使用量を少なくすることが求められる。また、先送り材に続いて連続してコンクリートが圧送されるので、先送り材の材質によっては、コンクリートに混入した場合に品質を低下させる不純物となることがある。
特開2019-123793号公報 特開2008-74086号公報 特開平7-291697号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示された先送り材は、廃棄量の低減を可能としているが、セメント系結合材を主成分としておらず、強度発現が期待できない。このため、先送り材がコンクリート構造物等に打込まれた場合、不純物(未硬化物)となるおそれがある。
また、特許文献3の先送りモルタル用調合物は、先送り材がレディーミクストコンクリート工場で製造されて廃棄量が増加してしまうことがないように、建設現場で必要量だけ製造するようにしているが、細骨材とセメントペーストの均一性を確保するために細骨材の粒径を2.5mm以下としているので、2.5mmを超える細骨材は除去して廃棄されることになる。
また、モルタルなどのセメント系の先送り材は、コンクリートと同系色なため、先送り材を廃棄しようとした場合、先送り材とコンクリートとの切り替わりが分かりにくい。さらに、特許文献1では、コンクリートと区別しやすいように顔料を添加しているが、コンクリートに混合されると、コンクリートにも着色して美観を損ねるおそれがある。
そこで本発明は、少量でも製造できてコンクリートとの区別がしやすいうえに、コンクリートと混合されても不純物にならない性状を有するコンクリート圧送用の先送り材を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のコンクリート圧送用の先送り材は、セメントと、高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材とを含有することを特徴とする。ここで、前記スラグ骨材は、球形のスラグ細骨材であることが好ましい。例えば、前記球形のスラグ細骨材には、風砕製法によって製造された電気炉酸化スラグ細骨材を使用することができる。
また、前記セメントは1重量%以上10重量%以下、前記高炉スラグ微粉末は10重量%以上80重量%以下、前記スラグ骨材は10重量%以上80重量%以下の構成とすることができる。さらに、混和材を含有する構成であってもよい。
このように構成された本発明のコンクリート圧送用の先送り材は、セメントと、高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材とを含有している。このような先送り材は、建設現場で水と混合して、必要な量だけ製造できる。
また、高炉スラグ微粉末が混合されることで、コンクリートよりも白色系になって、コンクリートと容易に区別することができるようになる。さらに、高炉スラグ微粉末やスラグ骨材は、他産業から排出されて廃棄物として処理されるものなので、資源の有効利用となり、環境配慮性に優れている。
また、セメント及び高炉スラグ微粉末とスラグ骨材とを含有させることで、フレッシュ性状や力学性状を確保することができ、コンクリートと混合されても不純物にならず、強度低下など品質の低下を防ぐことができる。
また、スラグ骨材が球形のスラグ細骨材であれば、ボールベアリング効果が発揮されて、圧送負荷が低減し、配管の閉塞をより効果的に抑えることができる。このような粒形のスラグ骨材としては、通常であれば廃棄物となってしまう電気炉酸化スラグ細骨材を有効に活用することができる。
本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材の圧送状態を概念的に示した説明図である。 コンクリートに先送り材が混入した状態を説明する模式図である。 本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材とコンクリートとモルタルとの色の違いを例示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1と、それに続いて圧送されるコンクリート4の状態を概念的に示した説明図である。
レディーミクストコンクリート工場で製造されてアジテータ車(ミキサー車)で建設現場まで搬送されてきたフレッシュな状態のコンクリート(生コンクリート)は、ポンプ車によって躯体などを構築する箇所まで圧送されて、打ち込まれる。
すなわち、ポンプ車から打ち込み箇所までは、配管Pが敷設され、その配管Pの中を通ってコンクリート4が圧送される。配管Pの圧送距離は、長いものになると100mから150mに及ぶ場合もある。
コンクリート4を配管Pで圧送する際に、いきなり生コンクリートを通してしまうと、生コンクリート中の水分が配管Pに奪われて、モルタル分が配管Pの内面に付着しやすくなる。また、こうした水分の減少によりフレッシュ性状が低下すると、コンクリート4中の粗骨材41が先行しがちになり、粗骨材41同士の噛み合わせや摩擦抵抗の増加により、配管Pに閉塞が生じることもある。
このような圧送されるコンクリート4による配管Pの閉塞や、圧送によるコンクリート4のフレッシュ性状や力学性状の低下が起きないように、潤滑作用のある先送り材を先行して配管Pに通すことが行われている。
本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1は、上述した従来の先送り材と同様に、先行して配管Pに投入され、それに続いてコンクリート4が配管Pに投入され、図1に示すような状態で圧送される。
配管P内で先行して圧送される本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1は、セメントと、高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材とを含有している。言い換えると、セメントと、高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材と、水と、必要に応じて添加される混和材とを混合することで、先送り材1が製造される。
ここで、模式的に示した図1では、セメントと高炉スラグ微粉末と水とを混合した状態のものをセメントペースト2として図示している。セメントとしては、例えば普通ポルトランドセメントが使用できる。
高炉スラグ微粉末は、製鉄所の高炉より副生される高炉水砕スラグを微粉砕して製造される。すなわち高炉スラグ微粉末は、利用されなければ廃棄物として処理されてしまうものなので、先送り材1に混合させて有効活用することは、環境配慮性に優れていると言える。
さらに、高炉スラグ微粉末は、セメントと混合使用することで、先送り材1の流動性、及び長期強度を増進させることができる。また、先送り材1の化学抵抗性、水密性、発熱抑制、アルカリ骨材反応抑制にも、効果を発揮する。
高炉スラグ微粉末の種類としては、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」に記載されたものが使用できる。高炉スラグ微粉末は、粒径によって、高炉スラグ微粉末3000、高炉スラグ微粉末4000、高炉スラグ微粉末6000、高炉スラグ微粉末8000の4種類が規定されており、いずれの粒径のものでも使用できる。なお、後述する実験では、高炉スラグ微粉末4000を使用した。
一方、スラグ骨材としては、例えば、JIS A 5011-1「コンクリート用スラグ骨材-第1部:高炉スラグ骨材」、JIS A 5011-2「コンクリート用スラグ骨材-第2部:フェロニッケルスラグ骨材」、JIS A 5011-3「コンクリート用スラグ骨材-第3部:銅スラグ骨材」、JIS A 5011-4「コンクリート用スラグ骨材-第4部:電気炉酸化スラグ骨材」、JIS A 5011-5「コンクリート用スラグ骨材-第5部:石炭ガス化スラグ骨材」などが使用できる。各スラグ骨材のうち、5mm以下の範囲となる細骨材を使用する。
本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1に混合されるスラグ骨材としては、球形のスラグ細骨材が好ましい。すなわち、風砕製法などによって、球形の粒形に形成されたものが好ましい。破砕製造したものを使用することは、環境配慮性は有しているが、撹拌性能や圧送性は、一般的な骨材と同等かそれ以下の可能性がある。
本実施の形態では、先送り材1のスラグ骨材として、電気炉酸化スラグ細骨材3を使用する。後述する実験においても、電気炉酸化スラグ細骨材3を使用した。電気炉酸化スラグ細骨材3は、溶解状態のスラグを高圧ブロアで吹き飛ばして散水ミストにより急冷し、分級するという風砕製法によって製造される。
電気炉酸化スラグ細骨材3の骨材粒子は、球形に近い形状であるため、例えばコンクリート4の砕砂などの細骨材42の代わりに混合すると、スランプが増加し、コンクリート4の流動性を大幅に改善させることができる。すなわち、先送り材1に電気炉酸化スラグ細骨材3を混合することで、流動性と材料分離抵抗性を高めることができる。このため、2.5m以上の粒形の細骨材が含まれていても、電気炉酸化スラグ細骨材3とセメントペースト2との均一性は確保できる。
混和材を混合する場合は、JIS A 5308で示される混和材料を使用する。ここで言う混和材は、フライアッシュ、膨張材及び高炉スラグ微粉末を除いたものであり、主として結合材の分散性を向上させるもの(分散剤や減水剤などと称されるもの)と、材料分離を低減するもの(増粘剤や分離低減剤などと称されるもの)とで構成されたものを使用する。
本実施の形態の先送り材1は、すべての構成材料が、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」で使用が認められている材料であり、配管P内でコンクリート4と混合されたとしても、コンクリート4のフレッシュ性状や構造性能(圧縮強度)を低下させることがない。
図1は、圧送初期の状態を示しており、先送り材1によって配管Pの内周面が覆われ、その内側をコンクリート4が通過することになる。ここで、コンクリート4を固体層とみなした場合、コンクリート4に対して電気炉酸化スラグ細骨材3を含む先送り材1がボールベアリング効果を発揮し、圧送負荷の低減及び閉塞の抑制に寄与することができるようになる。
また、先送り材1とコンクリート4との境目では、両材料が混合されることが想定されるが、混合された場合、図2に示すように、コンクリート4の粗骨材41に対して電気炉酸化スラグ細骨材3がボールベアリング効果を発揮することになる。この図2には、コンクリート4の細骨材42も、模式的に図示している。
こうした結果、最も閉塞のおそれがある圧送初期に、圧送先端のコンクリート4内での粗骨材41同士の噛み合わせを抑制することができ、配管Pにおけるコンクリート4による閉塞を防ぐことができる。
また、高炉スラグ微粉末を混合させた先送り材1は、色が白色系になる。例えば、高炉スラグ微粉末の混合割合を10重量%以上とすることで、色が白色系となり、先送り材1からコンクリート4に切り替わったことを、目視により容易に確認できるようになる。
図3は、本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1と、一般的なコンクリート及びモルタルとの色の違いを例示した説明図である。図の下半分が先送り材1を写した写真であり、上左半分のコンクリート4や上右半分のモルタルの色とは、明確に区別することができることがわかる。このため、先送り材1とコンクリート4との切り替わりが分かりやすく、先送り材1だけ廃棄することも容易にできるようになる。
さらに、顔料などを使用して白色系にしているわけではないため、コンクリート4に着色されるおそれはない。また、高炉スラグ微粉末の混合割合が10重量%以上80重量%以下であれば、硬化後はコンクリート4と同系色になるため、美観上も問題になることがない。
次に、本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1の性能を確認した配合試験について説明する。
配合試験では、先送り材1の色、圧縮強度、圧送距離などの確認を行った。また、環境配慮性についても検討した。
実験で使用する先送り材1の高炉スラグ微粉末の種類は、高炉スラグ微粉末4000である。また、先送り材1のスラグ骨材には、電気炉酸化スラグ細骨材3を使用した。さらに、混和材を添加する場合は、分散剤及び増粘剤で構成されたものを使用した。
本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1の特徴としては、高炉スラグ微粉末及びスラグ骨材が含有されていることであり、比較例として、高炉スラグ微粉末及びスラグ骨材を含まないモルタル(1:2モルタル)の実験も行った。なお、モルタルの細骨材は、砕砂である。表1及び表2に、配合試験を行った各ケースの材料構成を示す。
Figure 0007296425000001
Figure 0007296425000002
ここで、材料構成については、上段に重量(kg/m3)を示すとともに、下段には全体に占める割合(重量%:wt%)を示した。また、S/BのBは、セメントと高炉スラグ微粉末から構成される結合材を示し、コンクリートのセメント(C)に対する骨材(S)の質量比(S/C)と同義の指標である。
そして、表3及び表4に圧縮強度の実験結果や二酸化炭素排出量などを示す。ここで、圧縮強度は、材齢28日の標準水中養生後に行った実験結果を示した。また、CO2排出量の原単位を、セメントは772kg-CO2/t、高炉スラグ微粉末は35.6kg-CO2/t、スラグ骨材は3.90kg-CO2/t、混和材は150kg-CO2/tとして算出を行い、モルタルと比較した。
Figure 0007296425000003
Figure 0007296425000004
まず、色について目視で確認したところ、配合例1-配合例18のすべての配合において、比較例であるとモルタルと比べて白色系をしていることが確認できた。すなわち、高炉スラグ微粉末を10重量%以上80重量%以下の範囲で混合することで、目視でコンクリート4と区別することが可能になると言える。
圧縮強度の実験は、先送り材1がコンクリート4に混じったときに、コンクリート4の強度を低下させる要因にならないかを確認するために行う。ここで、性能低下を招かない範囲で先送り材1を適用できるコンクリート4は、コンクリートの呼び強度45以下であるものとする。
圧縮強度の実験は、配合例1-配合例9について行った。これらの実験結果をみると、いずれも比較例であるモルタルと同程の強度を発現している。モルタルは、コンクリート4の性能低下を招かない先送り材として従来から使用されているので、それと同程度の強度が確保できていれば、混合しても不純物とはならないと言える。
これらに対して配合例18は、圧縮強度が15.1(N/mm2)しか確認できなかった。配合例18は、セメントの含有量が1重量%よりも少なく、W/B(水/(セメント+高炉スラグ微粉末):水結合材比)を調整しても、圧縮強度は著しく小さい値にしかならなかった。
本実施の形態の先送り材1の圧縮強度は、W/B(水結合材比)によって調整が可能ではあるが、配合例18の結果から総合的に判断すると、コンクリート4に混入しても性能低下を招かない範囲の先送り材1にするには、セメントを1重量%以上10重量%以下で含有させる必要があると言える。
続いて、圧送試験について説明する。
通常、100mの圧送距離に対して、比較例のモルタルを先送り材として使用してコンクリート4を圧送するときに必要なモルタル量は、100L-120L程度である。
また、セメントと高炉スラグ微粉末とを合わせた単位結合材量によって、圧送性は影響を受けるため、配合例1-配合例17の中で、単位結合材量の下限よりの配合例3と、単位結合材量の上限よりの配合例5について、圧送性の評価を行った。
まず、配合例3の先送り材1を20L(水を含む)使用してコンクリート4を圧送した場合、圧送距離は約30mであった。ここで、圧送前のコンクリート4のスランプは20.5cm、圧送後のコンクリート4のスランプは19.5cmであった。なお、圧送後のスランプは、圧送先端部のコンクリート4を約20L除去した後方部のコンクリート4で、測定を実施した。
また、配合例3の先送り材1を50L(水を含む)使用してコンクリート4を圧送した場合では、圧送距離は約100mとなった。この圧送試験の圧送前のコンクリート4のスランプは19.5cm、圧送後のコンクリート4のスランプ19.0cmであった。
配合例5を使った圧送試験では、使用量45L(水を含む)の場合、コンクリート4の圧送距離は約45mであった。この圧送試験の圧送前のコンクリート4のスランプは19.0cm、圧送後のコンクリート4のスランプは18.5cmであった。
さらに、配合例5の先送り材1を75L(水を含む)使用してコンクリート4を圧送した場合では、圧送距離が約60mとなった。なお、この圧送試験の圧送前のコンクリート4のスランプは16.0cm、圧送後のコンクリート4のスランプは17.0cmとなった。
これらの結果をみると、圧送の前後でコンクリート4のスランプはほとんど変化しておらず、配合例3や配合例5の先送り材1を使用することで、コンクリート4のフレッシュ性状は維持できていると言える。
また、モルタルを使用した場合(圧送距離100mでモルタル量が100L-120L)と比較して、配合例3では使用量50Lで圧送距離が約100mと、少ない先送り材1の使用量で済むことが確認できた。一方、配合例5では、使用量75Lで圧送距離が約60mと、モルタルと同程度の使用量で済むことも確認できた。
以上の結果を総合的に判断すると、セメントは1重量%以上10重量%以下、高炉スラグ微粉末は10重量%以上80重量%以下、スラグ骨材(電気炉酸化スラグ細骨材3)は10重量%以上80重量%以下となる先送り材1の配合が、好ましいと言える。
また、配合例1-配合例18の配合であれば、比較例のモルタルを先送り材として使用する場合と比べて、CO2削減率が70%以上、副産物の使用割合が90%以上となるので、環境配慮性に優れていると言える。
次に、本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のコンクリート圧送用の先送り材1は、セメントと、高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材(電気炉酸化スラグ細骨材3)とを含有している。
このような先送り材1は、建設現場で水と混合して、必要な量だけ製造することができる。従来から先送り材として使用されているモルタルは、レディーミクストコンクリート工場で製造する場合、最低でも0.5m3から1.0m3程度は製造することになるので、使用量が0.1m3程度だと、大半を廃棄することになる。
これに対して、0.05m3から0.2m3程度でも、必要量だけ製造できる先送り材1であれば、廃棄物をゼロにすることも可能で、環境配慮の観点から好ましい。さらに、高炉スラグ微粉末及びスラグ骨材は、他産業から排出される副産物で、利用されなければ廃棄物として処理されるものなので、それらを資源としてセメントや天然骨材の代替に有効利用できれば、廃棄物低減に加えて低炭素(カーボンゼロ)な事業活動となり、さらに環境配慮性に優れている。
例えば、高炉スラグ微粉末と電気炉酸化スラグ細骨材3の合計重量を90重量%以上として、二酸化炭素の排出量を、モルタルを先送り材として使用する場合と比べて70%以上、削減することもできるようになる。
また、高炉スラグ微粉末が混合されることで、コンクリート4よりも白色系になるので、コンクリート4の打ち込み箇所で、配管Pから排出された先送り材1だけを廃棄しようとする場合でも、コンクリート4との切り替わりを目視で容易に判断することができる。
さらに、セメント及び高炉スラグ微粉末とスラグ骨材とを含有させることで、フレッシュ性状及び力学性状を確保することができるようになり、コンクリート4と混合されても不純物にならず、強度低下など品質の低下を防ぐことができる。
また、スラグ骨材が球形のスラグ細骨材であれば、ボールベアリング効果が発揮されて、圧送負荷が低減し、配管Pの閉塞をより効果的に抑えることができる。このような粒形のスラグ骨材としては、通常であれば廃棄物となってしまう電気炉酸化スラグ細骨材3を有効に活用することができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、スラグ骨材として球形の電気炉酸化スラグ細骨材3を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、石炭ガス化スラグなどもスラグ骨材として使用することができる。また、破砕製法による電気炉酸化スラグであっても、スラグ骨材として使用することができる。
1 :先送り材
2 :セメントペースト(セメント、高炉スラグ微粉末)
3 :電気炉酸化スラグ細骨材(スラグ骨材)
4 :コンクリート

Claims (3)

  1. セメントと、高炉水砕スラグの微粉末である高炉スラグ微粉末と、スラグ骨材とを含有するとともに、
    前記スラグ骨材は、風砕製法によって製造された電気炉酸化スラグ、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、石炭ガス化スラグのいずれかの5mm以下の範囲となるスラグ細骨材であって、
    前記セメントは1重量%以上10重量%以下、前記高炉スラグ微粉末は10重量%以上80重量%以下、前記スラグ細骨材は10重量%以上80重量%以下であることを特徴とするコンクリート圧送用の先送り材。
  2. 前記スラグ細骨材は、電気炉酸化スラグ細骨材であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送用の先送り材。
  3. 混和材を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート圧送用の先送り材。
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