JP7291350B2 - 内部凝縮型反応器 - Google Patents

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Description

本発明は、メタノール合成のための内部凝縮型反応器に関する。
メタノール(CHOH)は、合成繊維及び合成樹脂などの原料、あるいはアルコール燃料として使用される基礎化学品であり、現在の世界生産量は年間約6000万トンである。また、現行の利用法に加え、メタノールを水蒸気改質して水素を取り出し、燃料電池に用いることで、電気エネルギーとして利用するなどの未来のクリーンエネルギーとしても注目を浴びており、今後も需要の伸びが見込まれている。
メタノールは、現在ではほとんど全てが天然ガスを水蒸気改質して得られる合成ガス(水素(H)と一酸化炭素(CO)との混合ガス)を原料とし、銅-亜鉛系の固体触媒を用いて加圧下で合成されている。すなわち、原料は化石燃料資源に由来しており、最終的に製品や燃料が焼却されれば炭酸ガス(CO)の増加を招く。しかし、再生可能エネルギーを用いてCOをメタノールに転化することができれば、化石資源を使用しない低環境負荷のエネルギー媒体になり得る。
炭酸ガスからメタノールを合成するには、現行法のCOの場合と同様にHが不可欠である。COからのメタノール合成反応は、熱力学上の性質から原料の単流転化率が高くならない、いわゆる平衡制約を受ける反応であるため、50~100気圧のもとで大量の未反応ガスを数回リサイクルさせて、高転化率を得ている。COを原料とする場合には、平衡制約はさらに厳しくなる。さらに、メタノールと等モルの水が副生するため、工業化が困難である。量論比(H/CO=3/1)の原料を用いた場合でも、260℃でのCO転化率は10%に過ぎない。このため、原料を有効利用するために、大量の未反応ガスをリサイクルするなどの対策が必要である。
メタノール合成の平衡を克服して転化率を向上させるには、さまざまな反応システムが報告されており、例えば溶媒プロセス反応器(Krishnan C. et al., Ind. Eng. Chem. Res. 30, 1413 (1991))、メンブレン内臓反応器(Struis, R. P. W. J. et al., J. Membrane Sci. 113, 93 (1996))、コンデンサー内臓型反応器(Amor, H. B. et al., Chem. Eng. Sci. 54, 1419 (1999))などが知られている。
しかし、これらの反応システムにおいても、触媒の生産性は高くなく、高い収率を得るためには多量の未反応ガスをリサイクルする必要がある。また温度勾配を維持するための広い空間が高圧反応器の内部に必要とされるなど、各種課題が残されていた。
Krishnan C. et al., Ind. Eng. Chem. Res. 30, 1413 (1991) Struis, R. P. W. J. et al., J. Membrane Sci. 113, 93 (1996) Amor, H. B. et al., Chem. Eng. Sci. 54, 1419 (1999)
COを主体とする原料を用いて水素化(メタノールを製造)する場合は、反応熱が大きい発熱反応が起こるため(ΔH=-91.0kJ)、冷却面の大きな外部冷却型反応器を用いるか、あるいは触媒床の内部に凝縮熱が約30KJ/molのメタノールを凝縮させるための冷却コンデンサーを設置することで目的を達成し得る(特許第4487103号)。これに対し、COを用いて水素化する場合は、水とメタノールの両者を凝集させると、その反応熱があまり大きくないため(ΔH=-49.8kJ)、原料ガスの冷却が進みすぎて触媒床の温度が低下し原料の転化率が減少する。このため、伝熱のレベルを抑制する必要がある。
上記背景技術のもと、平衡転化率を大幅に超える転化率によるメタノール生成技術の開発が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、コンデンサーとメンブレンを内蔵する内部凝縮型反応器を新たにデザインし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)断熱性の多孔性膜を側壁として有し触媒が充填されたガス反応部と、生成物液化部と、冷却部とを備えたメタノール合成用反応器であって、
前記ガス反応部は、断熱性の多孔性膜を隔てて生成物液化部に隣接し、生成物液化部は冷却部により冷却されている前記反応器。
(2)ガス反応部の周囲が断熱性の多孔性膜に取り囲まれ、当該断熱性の多孔性膜の周囲が生成物液化部に取り囲まれ、当該生成物液化部の周囲が冷却部により取り囲まれた、(1)に記載の反応器。
(3)冷却部の周囲が生成物液化部により取り囲まれ、当該生成物液化部の周囲が断熱性の多孔性膜により取り囲まれ、当該断熱性の多孔性膜の周囲がガス反応部により取り囲まれた、(1)に記載の反応器。
(4)生成物液化部に冷却部が配置されるとともにその周囲が断熱性の多孔性膜により取り囲まれ、当該断熱性の多孔性膜の周囲がガス反応部により取り囲まれた、(1)に記載の反応器。ここで断熱性の多孔性膜(断熱性透過膜)は、触媒床の熱が過度に冷却面に流れることを抑制するため、熱伝導率が0.13W/mK未満であり、また、生成物がそこを容易に透過し、冷却面に到達することが必要であるため、その拡散係数が2.08x10-5/sec以上である。
(5)ガス反応部内にヒーターが配置された、(1)~(4)のいずれか1項に記載の反応器。
(6)断熱性の多孔性膜が、通気可能な支持体により支持された、(1)~(5)のいずれか1項に記載の反応器。
(7)ガスが、一酸化炭素又は二酸化炭素を含有するガスである(1)~(6)のいずれか1項に記載の反応器。
(8)生成物液化部が内部充填物を有する(1)~(7)のいずれか1項に記載の反応器。
(9)反応器の縦方向側面にガス供給口及び未反応ガス排出口を設けた、(1)~(8)のいずれか1項に記載の反応器。
(10)(1)~(9)のいずれか1項に記載の反応器、ガス供給部及びメタノール回収部を備えたメタノール製造装置。
(11)(1)~(9)のいずれか1項に記載の反応器又は(10)に記載の装置を用いてメタノールを製造する方法であって、以下の工程:
(a)ガス反応部にガスを供給して当該ガス反応部内でメタノール生成反応を行う工程、
(b)メタノール及び水の蒸気を、断熱性の多孔性膜を介してガス反応部から生成物液化部に拡散させる工程、
(c)生成物液化部に拡散されたメタノール蒸気及び水蒸気を冷却して液化メタノール及び水を含む液体を生成させ、当該液体からメタノールを回収する工程
を含む、前記方法。
本発明により、内部凝縮型反応器が提供される。本発明の反応器の内部に凝縮器を設置することで、生成物(水とメタノール)の一部を凝縮及び液化して気相から除去し、原料の転化率を越えて向上させることが可能となった。同時に水による触媒の酸化劣化が抑制されて触媒の活性を高いレベルに維持するとともに、酸化した活性種の結晶成長による不可逆劣化の抑制が期待し得る。
本発明の内部凝縮型反応器の構造を示す図である。(ICR-1) 本発明の内部凝縮型反応器における反応機構を示す図である。(メンブレン) 本発明の内部凝縮型反応器の構造の例を示す図である。(ICR-2) 図1に示した反応管を複数本包含する反応装置を示す図である。 反応ガスの流れが水平方向で、生成液が垂直方向に流下する構造を有する反応器の構造を示す図である。 図1に示した反応管の生成物液化部のガスの拡散は維持しつつその流れを抑制する反応器の構造を示す図である。 図3に示した反応管の生成物液化部のガスの拡散は維持しつつその流れを抑制する反応器の構造を示す図である。 本発明の内部凝縮型反応器を用いるメタノール製造装置を示す図である。 反応部(触媒床)における生成物濃度と温度との関係を示す図である。 反応圧力と、メタノール生成量及びCO2転化率との関係を示す図である。
本発明は、メタノールを製造するための内部凝縮型反応器、及び当該反応器を含むメタノール製造装置に関する。
本発明の内部凝縮型反応器の構造を図1(ICR反応器と称する。)に示す。
図1(A)に示すように、本発明の内部凝縮型反応器1a(図1(A))は、ガス反応部10と、生成物液化部20と、断熱性の多孔性膜30と、冷却部40とを備える。
ガス反応部10は、断熱性の多孔性膜(単に「多孔性膜」又は「膜」ともいう)30を隔ててその周囲が生成物液化部20(多孔性膜30と冷却部40との間の空間)に取り囲まれ、生成物液化部20の周囲は冷却部40により取り囲まれている。言い換えると、生成物液化部20内に、ガス反応部10が配置される。また、ガス反応部10には、触媒70が充填されている。触媒としては、銅亜鉛系触媒など、炭酸ガスあるいは合成ガスからメタノールを合成する際に用いられる触媒が挙げられ、粒状、ペレット状、リング状、筒状等の形態で充填される。
ガス反応部10の上部には、ガス供給口50が設けられ、ガス供給装置(図示せず)からの反応ガスが、ガス供給口50を通して供給される。本発明において使用されるガスは、一酸化炭素(CO)又は二酸化炭素(CO)を含むガスであり、水素(H)との混合ガスである。CO又はCOとHとの混合比(CO又はCO:H)は、1:1から1:4、望ましくは1:2~1:3である。例えば、COの場合はモル比でCO/H=1/2、COの場合はモル比でCO/H=1/3である。
ガス反応部10には、未反応ガスを排出するための排出口51が設けられる。なお、図1では排出口51はガス反応部10の底面に示されているが、底面に限定されるものではない。
膜30は、反応条件下で安定であり、原料及び生成物が容易に拡散透過し得る断熱性かつ通気性を有する多孔性の材料、例えば耐熱性プラスチックス、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、セラミックファイバー、炭素繊維等で作製され、例えば不織布、多孔質固体、ブランケット、チューブ、プレート、ブロック等の形態をとっている。そして、多孔性膜30はガス反応部10の側壁部を構成し、ガス反応部10で生成されたメタノールを生成物液化部20に拡散させる。
ここで、膜30は、その強度を高めるために支持体に支持されていてもよい。例えば図1(B)は、多孔性膜30の外側(生成物液化部20側)に設けた支持体35により支持されている形態を示す。支持体35は、通気性を有しガス反応部の温度及び圧力並びにガスの化学反応に耐えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、多数の孔を設けた金属製のシリンダであってもよく、線状の金属又は炭素繊維を織ってネット状にしたものでもよい。また、支持体35は、多孔性膜30の内側(ガス反応部側)に配置させてもよい。
図1(C)は、実施例で使用した反応器の平面断面図及び正面断面図である。
次に、図2を用いて原料ガスからメタノール生成までの工程を説明する。
図2において、原料ガス(C)は、ガス反応部10(触媒層)の上部のガス供給口50より供給され、触媒層内で反応して生成物のメタノール(M)と水(W)が生じ、この温度圧力条件下、触媒層内でのメタノールおよび水蒸気の濃度が上昇する。同時に反応熱のため触媒床の温度も上昇する。ここで、ガス反応部10内での反応温度は220℃~280℃であり、圧力は1.0MPa~5.0MPaである。本発明の一態様において、反応温度は200℃~300℃であり、圧力は1.0MPa~4.0MPaである。なお、液体の出口はガスの流通はない構造となっている。
ところで、一般に冷却部および断熱性拡散膜のない通常の反応器(ここではNCR反応器と称する)では、反応は平衡に達した時点で停止し、平衡組成未満の混合ガスが得られる。
これに対し、本発明の反応器は冷却部40を設けているので、その冷却面は10℃~80℃に保持され、低温に冷却されたメタノールと水の蒸気は液化して凝縮された液化メタノール及び水となり、重力により生成物液化部20の下部へ移動し、回収口60a、60bから排出される。そして、液体80は、所定の回収容器(図示せず)に回収される。回収された液体はメタノールと水との混合物であるが、蒸留等によって両者を分離することにより、メタノールを得ることができる。
これにより、生成物液化部20の空間内のメタノール(M)と水(W)の蒸気濃度は常にガス反応部10よりも低い状態に保つことができるので、濃度差により、膜30(断熱性の透過膜)を通してガス反応部10からの流出が促進され、反応をさらに進めても平衡転化率を超えることが可能となる。
なお、ガス反応部10において反応しなかった未反応のガス(C)は、ガス反応部10の排出口51から排出され、その量が多い場合には再利用される。
ここで、本発明においては、ガス反応部10内の温度を高温(220~280℃)に保つために、断熱拡散膜30の内側に電熱線などのヒーター130(図8)を設けることもできる。電熱線をヒーターとして用いる場合は、例えば、ガス反応部をらせん状に取り囲むように配置させることができる。また、図1では冷却部40は、反応器1の最も外側に配置した態様となっているので、冷却部40の外側は反応器外となる。従って、冷却部40は設けずに反応器1の全体を10℃~70℃に保持した冷媒に浸漬する態様としてもよい。
本発明の別の態様を図3に示す。図3は、最も外側は耐圧壁110で形成され、その内側をガス反応部10、その内側を断熱性の多孔性膜30、さらにその内側を生成物液化部20とすることができ、生成物液化部20の空間内に冷却部として機能する冷却部40を配置させることができる。言い換えると、生成物液化部20に冷却部40が配置されるとともに(同一空間内に生成物液化部と冷却部が存在する)、その周囲が膜30により取り囲まれ、その膜30の周囲がガス反応部10により取り囲まれた形態となっている。液化部20は適当な充填物(内部充填剤)を有しても良い。充填物を有することで、ガス反応部10に導入されたガスが、未反応のまま生成液化部20に流入して主として液化部を流れること(バイパス現象)を抑制し、結果としてガスの反応効率を高める効果がある。生成物液化部20の底部には、生成された液体(液化メタノールと水との混合物)を回収するための回収口60が設けられる。なお、回収口の個数は1個でも2個でもよく、個数に限定はない。
冷却部40内には水等の冷媒が通され、生成物液化部20を冷却する。反応ガスはガス供給口50から供給され、図2に示す反応原理と同様にしてメタノールと水が生成する。生成されたメタノールと水は、回収口60から回収される。
ガス反応部10において反応しなかった未反応のガスは、ガス反応部10の排出口51a、51bから排出され、再利用される。
図4は、ガス反応部70、断熱性多孔膜30、生成物液化部20、および耐圧壁110より成るユニットが、ガス冷却ダクト100内に複数ユニット配置された態様を示す。
すなわち、図4に示す反応器3は、図1(C)に示す反応器1cにおける、反応部10、膜30、生成物液化部20及び冷却部40から構成されるユニットを冷却ダクト100内に複数ユニット配置したものであり、当該ユニットの外側を、冷媒が流通する。
図5は、中心部から生成物液化部20および膜30が配置されたユニットが、冷却部内に複数ユニット配置された態様を示す。図5において、反応器2は、複数のユニットの周囲を触媒70が占めている態様を示す。すなわち、図5に示す反応器2は、図3に示す反応器2において、ガス反応部10、膜30及び生成物液化部20から構成されるユニットを複数ユニット配置したものである。図5では、2つのユニットを示しているが、個数に限定されるものではなく、任意の個数のユニットを配置することができる。
図5は、図3に示した反応器の内部構造体を触媒床中に埋め込み、触媒床に横方向に原料ガスを流通させ、冷却部で生成した液体を重力によって下方に流下させて反応器底部より抜き出し、反応せずに触媒床を通過した反応ガスを出口より流出させる態様である。図5は、ガス供給口50及び未反応ガスの排出口51を、反応器2の縦方向側面に設けている。これにより、本反応器において気体と液体の流れの方向が直交するために反応ガスが主として触媒床より冷却部の空間部分を通過するいわゆるバイパス現象の可能性がほとんどなく、ICR反応の効率がより高くなる。
図6は、図1(A)の生成物液化部20に、内部充填剤120、例えば比較的小径の疎水性中空ビーズを充填した態様を示す。ビーズは外径2~5mm、内径1~4mm、高さ4~5mmで、セラミックにかぎらず、分子間力が小さければ、テフロンやグラファイトであってもよい。これにより、その部分での下方へのガス流れが阻害され、ほとんど液のみが流れるため、原料ガスはほとんど触媒70のみを流れ、ガスと触媒の接触効率は通常の固定床とほとんど同じとなる。一方、メタノールと水の蒸気は横方向へ容易に拡散し、冷却面に到達する。冷却部40は冷媒の流通によって低温に保持されてメタノール81と水82が液化する。
図7は、図3の生成物液化部20に、内部充填剤20として、比較的小径の中空ビーズを充填した態様を示す。ビーズは外径4~5mm、内径3~4mm、高さ4~5mmで、セラミックにかぎらず、分子間力が小さければ、テフロンやグラファイトであってもよい。冷却部40は冷媒の流通によって低温に保持されてメタノール81と水82(図6参照)が液化する。生成物液化部20は、気体も通過し得るが、中空ビーズの充填によりガスの流通が阻害され、液のみ流下する。従って原料ガスはほとんど触媒70のみを流れ、気体-固体間の接触は一般的な固体触媒床とほぼ同一の高い効率を与える。一方、メタノールと水の蒸気は横方向へ容易に拡散する。
図8は、本発明の反応器、ガス供給部及びメタノール回収部を備えたメタノール製造装置を示す。図8において、反応器は図1(A)に示す態様のものであり、反応器の上部から反応ガスが供給され、反応器の底部から、反応生成物が回収されるとともに、未反応のガスも回収される。なお、図8は膜の内側(ガス反応部側)にヒーター130を設置した態様を示す。
本発明は、上記反応器又は装置を用いてメタノールを製造する方法を提供する。
本発明の方法は、以下の工程を含む。
(a)ガス反応部にガスを供給して当該ガス反応部内でメタノール生成反応を行う工程、
(b)メタノール及び水の蒸気を、断熱性の多孔性膜を介してガス反応部から生成物液化部に拡散させる工程、並びに
(c)生成物液化部に拡散されたメタノール蒸気及び水蒸気を冷却して液化メタノール及び水を含む液体を生成させ、当該液体からメタノールを回収する工程。
ここで、上記工程(b)の反応部(触媒床)における生成物濃度は、図9に見られるように反応温度220~260℃、圧力3MPa、H2/CO2モル比3/1の原料に於いて平衡圧0.3~0.5MPa程度である。一方、冷却面(40℃)でのメタノールの蒸気圧はほぼ0.02MPaであるから、反応運転中は、0.3~0.5MPaのメタノール及び水の蒸気の濃度差が5~10mmの空間内で生成する。このため、著しく高い濃度勾配が生成し、その拡散は多孔質メンブレンで遮られても速やかに進行する。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
図1(C)においてガス反応部10に銅亜鉛アルミナ触媒を4g充填した。反応に先立ち、ガス供給口50よりN2/H2=1のガスを200ml/minで供給し、温度220°C、常圧にて1時間還元を行うことで、触媒を活性化した。その後、ガスをH2/CO2=3のガスに切り替え、240°C、2MPaまで昇温昇圧することで、反応を開始した。排出口51から排出するガスは、GC-TCDにて定量を行った。
CO2転化率は、入口流量と出口CO2流量との差(「入口流量-出口CO2流量」:下記式(1)により計算した。
Figure 0007291350000001
またCO収率は以下の式(2)により計算した。
Figure 0007291350000002
またメタノール収率はCO以外の副生物が生成していない(GCによる検出限界以下)ことを前提に下式(3)で計算した。
Figure 0007291350000003
図1(C)に示した反応器(ICR反応器)を用い約100時間連続運転をしたところ最初の数時間は反応結果は不安定(CO2転化率の上昇)であったが約10時間後に安定し、以後90時間安定した結果(CO2転化率約50%、メタノール収率約38%)を与えた。その後反応条件を変更し、3MPa、240℃、W/F 20(g・h/mol)の条件でCO2転化率約99%、メタノール収率約97%であった。
さらに、条件を元の値(温度240℃、2MPa、W/F 10~30(g・h/mol))に戻すと、反応結果は、最初の100時間の時点のデータと一致する値を得た。
このことは、本発明の反応器が触媒の安定性をもたらすことを示す。
図1(C)に示した反応器を通常の加圧流通式反応システムに接続し、また液出口は独立した液タンクに接続した。
反応器は、温度約45℃に保持したウォーターバス中に保持した。反応システムは、内部ヒーター(図示しない)により温度240~250℃に保持し、圧力は保圧弁(図示しない)により2.0又は3.0MPaに保った。原料ガスの流量はW/Fを2.5~30(g・h/mol)に制御した。
結果を表1および表2に示す。表中”平衡値”は市販の平衡計算ソフトで得た概略値である。
ICRデータ
Figure 0007291350000004
Figure 0007291350000005
運転操作を開始して数時間後に反応結果は定常状態に達した。生成物はメタノール、
CO2及びCOであり、メタノールは液体タンクに貯留し、CO2及びCOは出口ガス中に存在した。
表1および表2に示した結果より明らかなように、温度および圧力が一定の場合、W/Fを大きくする、すなわち触媒量を一定でガス流量を低下させるとCO2転化およびメタノール収率は単調に増大し、メタノール収率は230℃、3MPaの条件において約39%(平衡値は14%)、また250℃、2MPaの条件では34%(平衡値は5.6%)と平衡値を大幅に越えて、メタノールが生成することが明らかである。
反応温度24℃、反応原料ガス組成H2/CO2=3(モル比)、W/F 10(g・/mol)に固定し、反応圧力、反応原料ガス圧力を1.0, 2.0, 3.0 MPaと変化させて合成実験を行なった結果を表3に示す。
メタノール収率はいずれの条件においても平衡値を大幅に越え、反応圧力3.0 MPaの場合、平衡値が12.0%であるのに対し、実験値50.8%と著しく高い値となった。この高い値は生成したメタノールおよび水が反応系から除去されると共に、原料ガス体積が減少し、実質のW/Fが入り口基準のW/F値より大きくなるためである。
ICRデータ
Figure 0007291350000006
比較例
断熱拡散膜、冷却面を有しない以外同一の条件で、図1に示したものと同一の反応器(NCR)に4.0gの触媒を充填して、炭酸ガス/水素の混合ガスを反応させた結果を表4および表5に市販ソフトで計算した平衡値と共に示した。結果より明らかなように、メタノール収率は明らかに平衡値と同一かあるいはより低い値を示した。
NCRデータ
Figure 0007291350000007
Figure 0007291350000008
さらにW/Fを一定とし、圧力を変化させて得た反応結果をICR、NCRおよび平衡値と合わせ図10に示した。図10に示した結果より明らかなようにICRを使用した場合のみ平衡値をはるかに越えた高いCO2転化率およびメタノール収率が得られた。それに対してNCR反応器の場合はいずれの値もほぼ平衡値にとどまっている。
1a~1c、2、3:内部凝縮型反応器、10:ガス反応部、20:生成物液化部、30:断熱性多孔膜、35:支持体、40:冷却部、50:ガス供給口、51:ガス排出口、60:液取り出し口、70:触媒、80:液体、81:液化メタノール、82:水、90:冷媒供給口、91:冷媒排出口、100:冷却ダクト、110:耐圧壁、120:内部充填材、130:ヒーター

Claims (8)

  1. 触媒が充填されたガス反応部と、断熱性かつ通気性の多孔性膜を側壁として有し内部充填物を有する生成物液化部と、冷却部とを備えたメタノール合成用反応器であって、
    ガス反応部は、前記多孔性膜を隔てて生成物液化部に隣接し、当該生成物液化部は冷却部により冷却されており、
    冷却部の周囲が生成物液化部により取り囲まれ、当該生成物液化部の周囲が前記多孔性膜により取り囲まれ、当該多孔性膜の周囲がガス反応部により取り囲まれた、前記反応器。
  2. 生成物液化部に冷却部が配置されるとともにその周囲が断熱性かつ通気性の多孔性膜により取り囲まれ、当該多孔性膜の周囲がガス反応部により取り囲まれた、請求項1に記載の反応器。
  3. ガス反応部内にヒーターが配置された、請求項1又は2に記載の反応器。
  4. 断熱性かつ通気性の多孔性膜が、通気可能な支持体により支持された、請求項1~のいずれか1項に記載の反応器。
  5. ガスが、一酸化炭素又は二酸化炭素を含有するガスである請求項1~のいずれか1項に記載の反応器。
  6. 反応器の縦方向側面にガス供給口及び未反応ガス排出口を設けた、請求項1~のいずれか1項に記載の反応器。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の反応器、ガス供給部及びメタノール回収部を備えたメタノール製造装置。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の反応器又は請求項に記載の装置を用いてメタノールを製造する方法であって、以下の工程:
    (a)ガス反応部にガスを供給して当該ガス反応部内でメタノール生成反応を行う工程、
    (b)メタノール及び水の蒸気を、断熱性かつ通気性の多孔性膜を介してガス反応部から生成物液化部に拡散させる工程、並びに
    (c)生成物液化部に拡散されたメタノール蒸気及び水蒸気を冷却して液化メタノール及び水を含む液体を生成させ、当該液体からメタノールを回収する工程
    を含む、前記方法。
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