JP7288867B2 - 出力指令装置及び出力指令方法 - Google Patents
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Description
図1は本発明の一実施形態に係る出力指令装置が発電量を指令する電力系統の模式的なシステム系統図である。電力系統とは、発電プラント、変電所、開閉所及び需要家等、並びにこれらを結ぶ電線路からなる電力設備網をいい、典型的には商用電力系統が例示できる。同図に示した電力系統には、複数の蒸気タービン発電プラント(火力発電プラント)A,B,Cと出力指令装置100とが含まれている。これ以降、蒸気タービン発電プラントを「プラント」と適宜略称し、単にプラントと記載した場合には、火力発電プラントとしての蒸気タービン発電プラントを意味するものとする。
図1を用いてプラントAについて説明する。プラントB,CはプラントAと同様の構成であるため説明を省略する。プラントAは、蒸気発生源であるボイラ1と、ボイラ1で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン2と、蒸気タービン2で駆動される発電機3と、これらを制御するコントローラ4とを含んで構成されている。蒸気タービン2は、高圧タービン2a、中圧タービン2b及び低圧タービン2cを含んで構成されている。高圧タービン2a、中圧タービン2b及び低圧タービン2cのロータは、発電機3のロータに同軸に連結されている。
図2は図1に示したプラントでコントローラ4により実施される定常出力指令のフローチャートである。ここではプラントAにおける制御を説明するが、プラントB,Cでも同様の制御が実行される。
出力指令装置100が管轄する電力系統において、例えば再生可能エネルギーを利用した発電プラントの発電量の減少に伴って総電力需要に対して総発電量に不足量ΔXが発生したとする。この場合、出力指令装置100により不足量ΔXの大きさに基づいて急速に増加させるべき発電量(増出力量)が各プラントA-Cについて演算される。ここではΔXa’の増出力を指令する非定常出力指令が出力指令装置100からプラントAのコントローラ4に入力されたとする。この非定常出力指令の入力をトリガとして、コントローラ4は図2の手順を開始し(ステップS1)、ステップS2,S3を並行して実施する。
ステップS2の復水絞り運転の手順を開始すると、コントローラ4はまず、抽気弁10a-10d,12のうちの少なくとも1つと脱気器水位調節弁8を設定開度まで絞り込む(開度を小さくする)。本実施形態では、抽気弁10a-10d,12の各々の抽気位置で比較して、抽気位置が隣接する抽気系統同士が同時に絞り込まれないようにする観点で、絞り込み制御の対象とする弁を選択している。具体的には、抽気弁10c,12が絞り込み制御の対象に設定してある。
コントローラ4は、ステップS2と並行してステップS3のボイラ制御の手順も実施する。ステップS3の手順を開始すると、コントローラ4は非定常出力指令で指令されたΔXa’の増出力量に応じてボイラ1への時間当たりの燃料投入量を増加させる。また、ボイラ制御による蒸気発生量の増加に伴い、コントローラ4は給水ポンプ13に吐出流量の増加を指令してボイラ1への給水流量を増加させる。
ステップS2,S3の手順を開始すると、復水絞り運転に伴って抽気弁10c,12と脱気器水位調節弁8とを絞った結果、蒸気タービン2からの抽気流量と凝縮水流量が減少する。抽気流量が減少した分だけ蒸気タービン2を駆動する蒸気流量が速やかに増加し、プラントAの発電量は非定常出力指令で指令された値まで短時間で増加する。また、脱気器水位調節弁8が絞られて脱気器11への凝縮水の流入量が減少する一方で、上記の通り給水ポンプ13の吐出流量が増加して脱気器11から排出される凝縮水流量は増加するので、凝縮水の吸排バランスが崩れて脱気器11の水位が低下する。
その後、復水絞り運転による発電量の増加に遅れて、ボイラ制御によりボイラ1における蒸気発生量が増加し、その蒸気発生量はΔXa’の増出力が可能となる値に到達する。
ボイラ制御によりΔXa’の増出力が可能な蒸気発生量に到達したことがセンサ(例えば主蒸気配管1aに設けた流量計)の測定値から認識されたら、コントローラ4は復水絞り運転を終了させる。復水絞り運転は、ステップS21で絞り込んだ抽気弁10c,12及び脱気器水位調節弁8を元の基準開度に復帰させることで終了する。
ステップS23の結果、脱気器11に対する凝縮水の吸排バランスが変わって脱気器11の水位が復帰する。その際、例えば一定時間だけ脱気器水位調節弁8の開度を全開又はそれに近い値まで上げることで、脱気器11の水位の回復を早めることができる。
以上のように復水絞り運転により暫時的に増出力している間にボイラ1による蒸気発生量を増加させ、コントローラ4はΔXa’の急速増出力要求に対処して図2の手順を終了する。
図3は本発明の一実施形態に係る出力指令装置の模式的なシステム図である。既出図面で説明済みの要素については、既出図面と同一符号を付して説明を適宜省略する。
非定常出力分配部104は、プラントA-Cのそれぞれの最大定格出力及びプラントA-Cのそれぞれのタービン余寿命を基に、電力系統における電力の不足量を補うためにプラントA-Cがそれぞれ分担する増出力量を演算する。これら増出力量は増出力可能量演算部103で演算された増出力可能量で制限される(増出力量≦増出力可能量)。
ここでは、電力系統の総電力需要が総発電量Pの103%であり、電力の不足量ΔX(=0.03×P)を3基のプラントA-Cの復水絞り運転で補う例を説明する。プラントA-Cのタービン余寿命、最大定格出力のデータは次の通りとする。
・プラントA:タービン余寿命80%、最大定格出力Xa
・プラントB:タービン余寿命30%、最大定格出力Xb
・プラントC:タービン余寿命100%、最大定格出力Xc
ΔXa’=0.03×0.8×Xa
ΔXb’=0.03×0.3×Xb
ΔXc’=ΔX-{ΔXa’+ΔXb’}
これによりタービン余寿命が長いプラントに多くの増出力量を分担させることができる。
ΔXa’=ΔX×0.8/2.1
ΔXb’=ΔX×0.3/2.1
ΔXc’=ΔX×1.0/2.1
図4は本実施形態におけるプラントA-Cに対する急速増出力時の出力指令の推移を表すグラフ、図5は図4の出力指令に応答して変化するプラントA-Cの出力を表すグラフである。図4及び図5のプラントA-Cの個別のグラフにおいて、破線は図2におけるステップS2の復水絞り運転についての増出力指令(図4)及び出力変化(図5)を表している。図4及び図5のプラントA-Cの個別のグラフにおいて、一点鎖線は図2におけるステップS3のボイラ制御についての増出力指令(図4)及び出力変化(図5)を表している。実線は、これら復水絞り運転及びボイラ制御に係る値の合計を表す。
本実施形態によれば、複数のプラントが接続する電力系統において、電力の不足量が生じた際には各プラントに非定常運転による増出力を指令することで、各プラントで復水絞り運転が実施されて速やかに電力の不足を補うことができる。その際、各プラントに割り振る増出力量を各プラントのタービン余寿命を基に演算することで、例えば古い蒸気タービンの寿命消費を抑える等、各プラントに増出力量を適正に分配することができる。古い蒸気タービンの寿命を積極的に消費する観点で増出力量を割り振る設定とすることもでき、増出力量の割り振りを柔軟に実施することができる。
なお、出力指令装置100が増出力量を分配するプラントはプラントA-Cのような個々のプラント(発電機単位)に限らず、例えば複数のプラントを持つ発電所(事業所単位)とすることもできる。例えば図1に示したプラントAの他に、同図に二点鎖線で示したプラントA’,A”を備えた発電所Gのような例である。プラントA,A’,A”は各々コントローラ4を備えており、発電所Gに設置された上位コントローラ200により発電量が指令されているものとする。この場合、発電所GのプラントA’,A”のタービン余寿命や主蒸気圧力等のデータがプラントAのデータと共に上位コントローラ200を介して出力指令装置100に入力されるようにする。出力指令装置100ではプラントA,A’,A”,B,Cに対する増出力量が演算され、発電所Gの上位コントローラ200にはプラントA,A’,A”の増出力量が入力されるようにする。これによりプラントA,A’,A”の各コントローラ4には上位コントローラ200を介して各々の増出力量が入力され、それに基づいてプラントA,A’,A”の運転が制御されるようにすることができる。
Claims (4)
- 管轄する電力系統に接続した複数の蒸気タービン発電プラントに対して発電量を指令する出力指令装置において、
前記電力系統の総発電量、前記電力系統の総電力需要、前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれのタービン余寿命のデータを受信し、
前記総電力需要が前記総発電量を超える場合、前記総電力需要から前記総発電量を減算して電力の不足量を演算し、
前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれの最大定格出力及びタービン余寿命に基づいて前記不足量を補うために前記複数の蒸気タービン発電プラントがそれぞれ前記最大定格出力を超えて分担する増出力量を演算し、
前記増出力量を前記複数の蒸気タービン発電プラントに指令し、前記複数の蒸気タービン発電プラントを復水絞り運転により増出力させ、前記複数の蒸気タービン発電プラントの出力をそれぞれ前記最大定格出力を超える非定常出力に増加させる出力指令装置。 - 請求項1の出力指令装置において、前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれの最大定格出力の割合とタービン余寿命の割合とを乗算して前記増出力量を演算する出力指令装置。
- 請求項1の出力指令装置において、
前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれの主蒸気圧力を受信し、
前記主蒸気圧力及び前記最大定格出力を基に前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれの増出力可能量を演算し、
前記複数の蒸気タービン発電プラントの各増出力量をそれぞれ前記増出力可能量で制限する出力指令装置。 - 管轄する電力系統に接続した複数の蒸気タービン発電プラントに対して発電量を指令する出力指令方法において、
前記電力系統の総発電量、前記電力系統の総電力需要、前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれのタービン余寿命のデータを受信し、
前記総電力需要が前記総発電量を超える場合、前記総電力需要から前記総発電量を減算して電力の不足量を演算し、
前記複数の蒸気タービン発電プラントのそれぞれの最大定格出力及びタービン余寿命に基づいて前記不足量を補うために前記複数の蒸気タービン発電プラントがそれぞれ前記最大定格出力を超えて分担する増出力量を演算し、
前記増出力量を前記複数の蒸気タービン発電プラントに指令し、前記複数の蒸気タービン発電プラントを復水絞り運転により増出力させ、前記複数の蒸気タービン発電プラントの出力をそれぞれ前記最大定格出力を超える非定常出力に増加させる出力指令方法。
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JP2017082681A (ja) | 2015-10-28 | 2017-05-18 | 三菱日立パワーシステムズ株式会社 | タービン分析装置、タービン分析方法およびプログラム |
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