JP7288666B2 - 共振器長調整装置 - Google Patents

共振器長調整装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7288666B2
JP7288666B2 JP2019147825A JP2019147825A JP7288666B2 JP 7288666 B2 JP7288666 B2 JP 7288666B2 JP 2019147825 A JP2019147825 A JP 2019147825A JP 2019147825 A JP2019147825 A JP 2019147825A JP 7288666 B2 JP7288666 B2 JP 7288666B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mirror
optical
mount
resonator
comb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019147825A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021028686A (ja
Inventor
肇 稲場
章 大久保
純 石川
謙 柏木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2019147825A priority Critical patent/JP7288666B2/ja
Publication of JP2021028686A publication Critical patent/JP2021028686A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7288666B2 publication Critical patent/JP7288666B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)
  • Lasers (AREA)

Description

本発明は、共振器長調整装置に関し、特に光コム切り出しに適した光共振器長調整装置に関するものである。
現在の長さの定義は、第17回国際度量衡総会(1983年開催)で決定された「299,792,458分の1秒間に光が真空中を伝わる距離」とされている。当初、この定義に忠実な波長の直接測定は困難であったため、「よう素安定化ヘリウムネオンレーザ」の国際機関による勧告値を採用し、国際比較によりその正確性を確保していた。
その後、これまで困難であった定義に忠実な波長測定に対し、超短光パルスレーザーによる光周波数コムを用いた光周波数の絶対計測(真空波長の計測と等価)が実証された。これにより、定義に忠実な波長計測を定常的に行えるようになり、例えば日本においては、長さの国家標準は「光周波数コム装置」となり、従来のよう素安定化ヘリウムネオンレーザに比べ300倍も高精度化された。
当初光周波数コム発生に用いられていたモード同期チタンサファイアレーザの代わりに、堅牢性に優れるモード同期ファイバレーザを用いると、従来の波長(633nm)に加えて、チタンサファイアレーザでは難しかった光通信帯の波長(1550nm)などにおいても波長測定が可能となり、大容量光通信など産業界へも貢献しているところである。
このように、光周波数コム装置を用いると、広い範囲の波長において、波長標準を設定できるとともに、波長の不確かさを大幅に低減することが可能となる。
モード同期ファイバレーザが発生する超短光パルス列が持つ広帯域かつ櫛状のスペクトルは、図1に示すように間隔周波数(超短光パルスの繰り返し周波数)が高々数百MHzと狭い。上述したようなレーザの絶対周波数計測ではこの間隔周波数で十分であるが、近年、分光器の波長校正、デュアルコム分光の高速化、及び光周波数コムのモードを一本だけ切り出して連続発振レーザとして用いる応用が注目されるようになってきており、それらの応用では間隔周波数が10GHzを超えるような光周波数コムが求められている。
間隔周波数はレーザ共振器の長さによって決まり、ファイバレーザの場合、短尺化だけでは間隔周波数が10GHzを超えるような光コムを実現することはできない。
そこで、モード同期ファイバレーザから発生した光周波数コムに対し、2つのミラーが対向したファブリペロ型光共振器を用いて光周波数コムを何本かおきに切り出すことが行われている。切り出すためには、光周波数コムのコム・モード群の周波数群と、ファブリペロ光共振器の共鳴周波数群とを一致させる必要がある。
光周波数コムのコム・モード群の周波数群νcomb(N)は、
νcomb(N) = N・frep + fCEO・・・・・(1)
と表すことができる。
ここでNは自然数、frepは光周波数コムの繰り返し周波数、そして fCEOは光周波数コムのキャリア・エンベロープ・オフセット周波数である。frep及びfCEOは独立に変えることができ、自由かつ正確な周波数制御が可能である。
一方、ファブリペロ型光共振器の共鳴周波数群νFP(M)は、空気屈折率、ミラーの波長分散及び曲率の影響を無視すれば、
νFP(M) = M・c/2L・・・・・(2)
と表すことができる。
なお、Mは自然数、cは光速、Lは光共振器の共振器長である。
この式の帰結として、光共振器の共鳴周波数群νFP(M)はLのみによってしか制御できず、ある共鳴モードの周波数(νFP(M) = M・c/2L)と、共鳴周波数の間隔(fFSR = c/2L)とを独立に変えることができないことがわかる。
ここで、光周波数コムのコム・モード群の周波数群νcomb(N)及びファブリペロ型光共振器の共鳴周波数群νFP(M)を、切り出したい周波数群において一致させるためには、光周波数コムのνcomb(N)を光共振器のνFP(M)に合わせ込む方法と、その逆とがある。
しかしながら、νcomb(N)を変えたくない場合は多く、特に、不要モード抑圧比(切り出す光コム・モードと切り出さず抑圧したい不要なコム・モードのパワー比)を高くするために、切り出し用光共振器を複数用いるような場合には、光共振器のνFP(M)を光周波数コムのνcomb(N)に合わせ込む必要がある。
光共振器のνFP(M)を光コムのνcomb(N)に「合わせ込む」とは、光共振器の共鳴周波数群の周波数間隔c/2Lを、光周波数コムの繰り返し周波数(frep)の有理数倍(例えばa/b倍、a及びbは自然数)にした上で、特定の光共振器の共鳴周波数νFP(M) = M・c/2Lを、切り出したい光周波数コムのモードのひとつνcomb(N) = N・frep + fCEOに一致させ、コム・モードについてa本おきに(1)、(2)両式を同時に満たすよう光共振器の共振器長Lを変えることである。
共振器長Lを変えて、ある有理数比での光周波数コムの切り出しを行おうとするとき、上述した式(1)、(2)によれば、fCEOがゼロでない場合、これらを完全に一致させる共振器長Lは存在しないことがわかる。
実際には光共振器側にもミラーの分散や曲率によりオフセット周波数が存在するが、一般的にはLを変えただけでは複数のνFP(M)をνcomb(N)に完全一致させることはできない。
しかしながら、完全一致に最も近い条件となるLが一つの光共振器につき一つ存在し、多くの場合、共振器長を完全一致に最も近くなるLとすることで、波長帯域及び抑圧比などの点で完全一致に近い切り出し効果を得ることができる。
これにより、図2(a)に示すように、モード同期ファイバレーザなどの光コム光源に対し、光共振器を介在させることで、図2(b)、(c)に示すように、例えばモードの間隔周波数が100MHzの光コムを切り出し、モードの間隔周波数が10GHzの光コムを生成することが可能となる。
共振器長Lを変えて、光共振器のνFP(M)を光コムのνcomb(N)に合わせ込む際、共振器長Lを変えても、光共振器の透過(横)モードが(実際に使用される際に利用される)基本ガウシアンモード(TEM00)を保ったままであることが、実用上重要である。
すなわち、Lを変えたときに二つのミラーの平行度が変わり、共振器の透過モードが変わってしまうと、Lを変えた時にTEM00に回復させるためのミラーのあおり角調整(共振器アライメント)を実行する必要があり、Lを大きく変えるためには、Lの調整と共振器アライメントとを交互に行わなければならず、目標とする共振器長Lを得るのに手間と時間がかかるだけでなく、熟練度も要求されていた。
非特許文献1には、光共振器の共振器長を、透過(横)モードがTEM00を保ったままに変える手段として、クロスローラガイドに代表される直動機構により両ミラーの軸方向に対する角度を維持し、ミラー間の距離をリニアピエゾアクチュエータにより調整する方法が提案されている。
「誰でも作れて携行できる長さの国家標準器」シンセシオロジー 研究論文 VOL.2 NO.4 276-287頁、2009年11月発行
光共振器の透過(横)モードが基本ガウシアンモード(TEM00)を保ったまま共振器長を連続的に大きく可変可能という条件を満たす共振器長に調整しようとする場合、ものさしなどの測長器による設定では精密さが足りないため、共鳴させる光コムを光共振器に入射し、共振器長を連続的に変えながら共鳴信号を見つける必要がある。
しかし、共振器長を大きく変えると共振器の透過モードが変わってしまうため、共振器長をわずかに変えただけで再度共振器アライメントする必要があり、共振器をある程度以上大きく変えるためには、長さの調整とミラーのあおりなどの調整とを並行して行わなければならず、正しい光共振器長の設定には手間と時間がかかるだけでなく、熟練度も要求されていた。
非特許文献1で提案された制御機構によれば、ミラー間の角度変化を効果的に低減できるものの、所望の共振器長近傍に初期調整を行うことができず、光共振器長のみを連続的に大きく変えつつ、その共鳴周波数群と光コムの周波数群の関係を計測することができない。
そこで、本発明の目的は、光共振器長を変えてfFSRを調整できるようにするとともに、光共振器長のみを連続的に大きく変えつつ、その共鳴周波数群と光コムの周波数群が一致した時には共鳴信号を観察できるようにすることにより、共振器長調整に要する時間が大幅に短縮することにある。
この課題を解決するため、本発明の共振器長調整装置、第1ミラーを搭載する第1ミラーマウントと、第1ミラーに対向する第2ミラーを搭載する第2ミラーマウントとを有し、両ミラーの間隔を変更することにより共鳴周波数を調整できる共振器長調整装置であって、基板と、基板に一体形成あるいは固定されている支持材と、送りねじ機構と、当該送りねじ機構の端部と自端部とが当接するよう支持材に固定された第1電歪素子を有し、第1ミラーマウントは、少なくとも、基板及び支持材のいずれか一方に固定され、第2ミラーマウントは、直進ガイド機構を介して基板に取り付けられ、送りねじ機構の支持部は、第2ミラーマウント、直進ガイド機構及び支持材のいずれか固定され、第1電歪素子と送りねじ機構の作動に伴い、支持材と直線ガイド機構が共働して、第1ミラーと第2ミラーの間隔を、両者間で角度変動を生じさせることなく変更できるようにしたものである
また、好適には、上記共振器長調整装置は、前記第1ミラーマウント及び前記第2ミラーマウントの固定位置を基板上で変更することで光共振器長を変更できるようにしたものである。
さらに、好適には、上記共振器長調整装置は、前記支持材として低熱膨張率を有する柱状のロッドを用いたものである。
また、好適には、上記共振器長調整装置は、前記第1ミラーマウントと前記第1ミラーの間、または前記第2ミラーマウントと前記第2ミラーの間に、共振器長を高速に変更する第2電歪素子が挟持されているものである。
さらに、好適には、上記共振器長調整装置は、第1ファイバコリメータを搭載する第1ファイバコリメータ用マウントと、前記第1ファイバコリメータに対向する第2ファイバコリメータを搭載する第2ファイバコリメータ用マウントが、前記第1ミラー及び第2ミラーとで構成される光共振器の外側に配置され、光共振器への入射光及び出射光が両ファイバコリメータに結合されているものである。
なお、第1電歪素子と送りねじ機構との配置を逆にすることもあり得る。すなわち、ロッドに支持部が固定された送りねじ機構と、送りねじ機構に対し端部同士で当接する第1電歪素子を有し、第1ミラーマウントは、少なくとも基板及びロッドの一方に固定され、第2ミラーマウントは、直進ガイド機構を介して基板に取り付けられるとともに、第1電歪素子に固定され、第1電歪素子と送りねじ機構の作動に伴い、ロッドと直線ガイド機構が共働して、第1ミラーと第2ミラー間の間隔を、両者間で角度変動を生じさせることなく変更できるようにすることも可能である。
光軸と精密に平行にミラーを移動するための直進ガイド機構として、クロスローラガイドに代表される転がり機構を用いるとともに、固定部を基板に固定された駆動装置であるマイクロメータ及び電歪素子が、クロスローラのステージ上に設置されたミラーを保持する装置を押し出す機構とすることで、共振器長を変えても、共振器のアライメントの狂いを最小限に抑制することができる。
これにより、短時間での正確な共振器アライメントが可能となり、複数共振器を用いたり、光コムの切り出し次数を変更したりするための時間を大幅に短縮することができる。
図1は、モード同期ファイバレーザが発生する超短光パルス列のスペクトルを示す図である。 図2は、光共振器による光コムの切り出しを示す図である。 図3は、実施例の上面図である。 図4は、実施例の側面図である。 図5は、光共振器長Lに変調を加えながら光コムが光共振器を透過する光強度を観察し、光共振器長Lが式(1)を満たす光共振器長L付近となったときのオシロスコープ表示を写真撮影したものである。
図3、図4は、実施例の上面図、側面図をそれぞれ示している。
光共振器を構成する第1ミラー7と第2ミラー8は、それぞれ、基板1上に搭載された第1ミラーマウント2と第2ミラーマウント3を介して互いに対向するよう配置されている。
基板1には、第1ロッドホルダ5、第2ロッドホルダ6及びこれらの間に配置された第3ロッドホルダ17を介して、支持材として、状のロッド4が取り付けられている。
また、第2ロッドホルダ6を貫通して、ねじなどで固定されたロッド4の左端面には、第1電歪素子11がねじ止め構造などにより一体的に連結されている。
一方、保持部12a、端部12bが一体となって構成されている送りねじ機構12は、保持部12aが第2ミラーマウント3に固定された治具18(図4参照)の開口に挿入された状態で、ねじなどで固定されている。第1電歪素子11の先端部11aは、送りねじ機構12の右側端部12bに当接するよう配置されており、両者の当接部分は、第1電歪素子11と治具18との間を、図示しない、伸張した状態のバネで連結することにより、第1電歪素子11を治具18側に引き寄せて、送りねじ機構12の端部12bとの当接面に押し付けられるよう弾圧されている。
第1ミラーマウント2は、基板1あるいはロッド4のいずれかに固定されており、第2ミラーマウント3は、図4に示すように、直進ガイド機構10を介して基板1に搭載されている。これにより第2ミラーマウント3は、送りねじ機構12による端部12bの長さ変化、及び第1電歪素子11の長さ変化により、直進ガイド機構10に案内されながら直進することができる。
直進ガイド機構10としては、がたつきなどを発生することなく、第2ミラーマウント3を光軸方向に円滑かつ高精度に直進させる必要がある。ここでは、光軸方向のガイド両端に転がり機構の出入りのためのスペースが必要なく、あおりに対して高い剛性が期待できる有限移動距離転がり機構の一つであるクロスローラガイドを採用する。なお、第2ミラーマウント3は、直進ガイド機構10としてのクロスローラガイドにねじ止めなどにより固定されている。
ここで、第1ミラー7と第2ミラー8の光軸方向に対する角度位置は、基本的に基板1により維持されるので、基板1には高い剛性及び温度変化に対し変形しない程度の低熱膨張性が求められ、例えば、加工性がよく、安価なアルミニウム製の厚板が好適である。
また、第2ミラー8の直進は、治具18の開口に挿入される送りねじ機構12の端部12bと第1電歪素子11の先端部11aとの押圧力により行われる。
したがって、共振器長Lをレーザが共鳴する長さに精密に合わせる観点から、第1ミラーマウント2と第2ミラーマウント3を可能な限り高精度で安定した状態に維持することが必要である。そのため、支持材(ここではロッド4)には単に第1電歪素子及び送りねじ機構の支点としての役割だけでなく、高い軸剛性と低熱膨張性を有し共振器長を安定に保持する機能も持たせることが望ましい。例えば、スーパーインバー(鉄、ニッケル、及びコバルトの合金で、公的名称:FN-315)で形成された高剛性・低熱膨張の円柱(ロッド)が好適である。
なお、上記の実施例では、ロッド4の左端面に第1電歪素子11をねじ止め固定し、第1電歪素子11の先端部11aを送りねじ機構12の右側端部12bに当接するよう配置したが、ロッド4の左端面に送りねじ機構12の保持部12aをねじ止め固定し、送りねじ機構12の右側端部12bを第1電歪素子11の先端部11aを当接するよう配置してもよい。
さらに、支持材として、第1ロッドホルダ5、第2ロッドホルダ6、第3ロッドホルダ17により基板1に固定されるロッド4を用いたが、第1電歪素子11と送りねじ機構12により共振器長Lを調整する際、第1ミラーマウント2と第2ミラーマウント3の間に角度変更を発生させない程度の軸剛性を発揮するものであれば、ロッドの形態に限られるものではない。もちろん、基板1に一体的に形成されたものでもよい。
以上の構成により、第1電歪素子11及び送りねじ機構12により、第1ミラー7と第2ミラー8の光軸方向に対する角度位置を高精度に維持しながら、第2ミラーマウント3を精密にスライドさせることができ、第1ミラー7と第2ミラー8の間隔を共振器長Lの変化に反映させることができる。また、送りねじ機構12によるミラーマウント3の軸方向位置調整に関しては、送りねじ機構12の送りねじ部に設けられた目盛りで共振器長Lの変化量を確認することが可能である。
図3において第1ミラーマウント2は、ロッド4が貫通する第3ロッドホルダ17に固定され、これにより、共振器長Lがインバーロッド4に依存するように支持されている。なお、第1ミラーマウント2の底面には、基板1に形成された「あり溝」に嵌合するウエッジ部が形成されており、上部からねじ止めしてウエッジ部を引き上げることで、ウエッジ部があり溝に当接して固定される。これにより、基板1と第1ミラーマウント2とを、ぐらつきによる角度変動を発生することなく固定できるようになっている。
また、あり溝上で第1ミラーマウント2をスライドさせて固定位置を変えることにより、第1電歪素子11及び送りねじ機構12による共振器長Lの調整を行う前に、両者による調整で目標とする共振器長Lに到達できるようなミラー間隔に収まるよう粗調を行うことが可能である。
なお、この実施例では、光共振器長Lの制御応答速度をさらに高めるため、第1ミラー7は、高速電歪素子である第2電歪素子9を介して第1ミラーマウント2に固定されている。
上述のように、本実施例によれば、第1ミラー7と第2ミラー8の角度変動を実用上問題のないレベルまで抑制することが可能であるが、加工精度の限界などさまざまな要因により、光軸と直動ガイド機構10による移動方向にわずかな角度が生じるおそれがある。
このような軸ずれが問題となる場合には、第2ミラーマウント3に取り付ける第2ミラー8を平面ミラーとすることで、光軸と第1ミラーマウント3の直進方向とのずれによる共振器アライメントの狂いをさらに抑制することができる。
図4において、第1ミラーマウント2の右方及び第2ミラーマウント3の左方には、それぞれファイバコリメータホルダ用マウント19、20が設置されており、それぞれに取り付けられているファイバコリメータホルダ13、14を介して、ファイバコリメータ15、16が取り付けられている。ファイバコリメータホルダ用マウント20は、第1ミラーマウント2と同様、基板1に形成された「あり溝」に取り付けられている。これにより、ファイバコリメータ15、16に用いられているレンズの焦点距離及び第1ミラー7、第2ミラー8の曲率半径により決まる、第1ミラー7、第2ミラー8及びファイバコリメータ15、16のそれぞれが、最適の間隔で固定できるようになっている。
なお、ファイバコリメータ15及びファイバコリメータ16は、どちらを入射側としてもよい。例えば14を入射側とした場合、入射レーザ光は第1ミラー7及び第2ミラー8により構成される光共振器に入射し、反射光はファイバコリメータホルダ14へ、透過光はファイバコリメータ15へと向かい、それぞれのレーザ光はファイバに結合される。
以下、本発明による共振器長調整の手順を説明する。
まず、計算により、目標共振器長を決定し、第1ミラーマウント2をロッド4に固定する。
共振器調整は、前述のように、光共振器の共鳴周波数νFP(M)=M・c/2Lと光コムのコム・モード群の周波数群νcomb(N) = N・frep + fCEOとを一致させるために行う。ここで、「一致」とは図2に示すようにすべてのモードが完全に一致している状態ではなく、νFP(M)についてαモードおきに、νcomb(N)についてβモードおきに一致する状態のことである。
ここでα及びβは互いに素な整数であり、βは「切り出し次数」と呼ばれる。この状態は、光共振器の共鳴周波数νFP(M)の間隔周波数のα倍α・c/2Lと、光コムのコム・モード周波数νcomb(N)の間隔周波数のβ倍β・frepとが一致することを意味し、
α・c/2L = β・frep・・・・・(3)
の関係が成り立つ。この式(3)が成り立つように共振器長Lを調整するというのが基本的な考え方である。
例えば、光コムの繰り返し周波数frep = 230,870,000Hz、(α,β) = (3, 26)とすると、Lは74.92mm(FSR約2.00GHz)となる。したがって、第1ミラー7と第2ミラー8の間隔がこれに近くなるよう、物差しなどで第1ミラーマウント2の位置を決め、第1ミラーマウント2に固定されている第3ロッドホルダ17をロッド4に固定する。この初期調整により、第1ミラー7と第2ミラー8の間隔(光共振器長L)は、送りねじ機構12により、74.92mmちょうどに設定できる状態になる。
次に、ファイバコリメータのワーキングディスタンス及びミラーの曲率半径を決定する。
ファイバコリメータ15、16のワークディスタンス及びそれらの間の距離、ならびに二つのミラーの曲率半径や各コリメータとの距離については、ガウシアンビームのTEM00モードがとる伝播距離と波面の曲率半径から計算する方法がよく知られており、それに基づいて適切な距離を決める。計算の詳細はここでは省略するが、本実施例では、ファイバコリメータ15、16はワーキングディスタンスとして250mm、第1ミラー7には平面ミラー、そして第2ミラー8の曲率半径として500mmのものを用いた。
次に、ファイバコリメータのアライメントを行う。光コムと、光コムのコム・モードの一つに周波数を一致させた連続発振レーザ光(以下CW光)を光共振器に入射する(一例として、光コムは第1ミラー7側から、CW光は第2ミラー8側から入射する)。第1ミラー7、第2ミラー8を外した状態で、ファイバコリメータホルダ用マウントX、Yを使ってファイバコリメータ15、16のあおりを変え、出射光が最大となるように調整する。
ミラーマウント2、3により、光共振器について横モードのアライメントを行う。
第1ミラー7、第2ミラー8をそれぞれ第1ミラーマウント2、第2ミラーマウント3に取り付け、第1の電歪素子11で10Hz程度の変調周波数及び波長の5~10倍程度のストローク(例として波長1540nmの光コムと連続発振レーザ)を入射した場合、ストロークは7~15μm)で第2ミラー8を動かす。
この状態で入射したミラーと逆のミラー(例えば、入射したミラーが第1ミラー7であれば、第2ミラー8)からの透過光をオシロスコープで変調周波数に同期して観察すれば、Scanning Fabry-Perotスペクトルアナライザとなり、入射光の光スペクトルが高分解能(=FSR/フィネス、ここでは2.00GHz/100~20.0MHz)で観察できる。この状態をSFPモードと呼ぶことにする。
そして、光共振器をSFPモードにして、CW光の透過光を観察し、透過光スペクトルが単一になる(すなわちTEM00のみが透過する)ように第1ミラーマウント2、第2ミラーマウント3を使って第1ミラー7、第2ミラー8のあおりを調整する。
あおり調整終了後、送りねじ機構12により光共振器長の調整を行う。
光共振器はSFPモードのまま、光コムの透過信号を観察する。この状態で、送りねじ機構12の送りねじ部を使って光共振器長Lを変えることにより、前述のように、第2ミラー8のミラーのあおりを変えずに直進させることができる。
したがって、送りねじ部12を使って共振器長Lを変えていくと、式(1)を満たす光共振器長Lに近づいたときに、図5に示すように、オシロスコープでコム様の透過信号を観察することができる。
なお、下側の波形信号が光コムの透過信号であり、上側の信号は、CW光の反射光によるPound-Drever安定化法のための復調信号であり、CW光の透過と同じ位置に出る信号である。光コムの透過信号において、高さの違う複数の信号が見えるのは、最適なLからわずかにずれても、ある程度の波長範囲にある光コムは光共振器を透過できるからである。しかし、この中で中心部付近にある最も高い強度を示す信号に相当する光共振器長Lが、最も広い波長範囲でコムを切り出すことのできる最適な光共振器長Lである。
次に、第1電歪素子11により、光共振器長Lの安定化制御を行う。
光コムの透過が最も高くなる信号を見つけたら、CW光の透過信号と合わせて観察し、CW光の透過信号の間隔(光共振器のFSRに相当)中に光コムの透過信号がβ個(切り出し次数分)あることを確認する。そして、光コムの透過が最も高くなるよう、第1電歪素子11を使って、光共振器長Lを安定化制御する。安定化制御の方法は色々あるが、ここではCW光の反射によるPound-Drever法(R. W. P. Drever, J. L. Hall, F. V. Kowalski, J. Hough, G. M. Ford, A. J. Munley, and H. Ward, "Laser phase and frequency stabilization using an optical-resonator," Applied Physics B-Photophysics and Laser Chemistry 31, 97-105 (1983)参照。)を用いた。
光共振器により光コムを切り出す際、切り出し次数βが大きくなると、切り出されるコム・モードの本数が減り、透過信号が小さくなる。また、共振器フィネスを超えるようなβの場合、透過信号が重なり合って観察しにくくなり、βの値を信号から確認することはできなくなる。例えば、光共振器に入射する光コムがモード同期ファイバレーザの出力そのまま(数mW程度)であり、光共振器のフィネスが100程度であった場合、100を超えるβを満たす共振器長L(光コムの透過信号)を見つけ、かつβの値を信号から確認することは、その信号の小ささ、不明瞭さから難しい。
そのような時でも、本実施例によれば、次のように、高い切り出し次数に調整することができる。
すなわち、100を超えるβの値で式(1)を満たす共振器長Lの近くに存在する、比較的小さなβの値で式(1)を満たす共振器長Lを見つける。例えば、(α,β) = (17, 154)を満たすLは(1)式から71.67mmである。切り出し次数は154と高く、これを直接見つけ、かつβの値を透過信号から確認することは極めて困難である。
しかし、まず先に説明した、(α,β) = (3, 26)を満たすLに共振器長を合わせ、透過信号を確認すれば、このときのLを基準とし、すなわち74.92mmであるとして、送りねじ機構の送りねじ部12の値を読みながらLを71.67mmに合わせる。
送りねじ機構12としてマイクロメータを用いれば、L決定に関して0.01mm程度の精度は得られ、かつ3.25mm移動してもミラーの角度は保たれあおりに関する際アライメントは不要なので、L = 71.67mmの近傍に(α,β) = (17, 154)に相当する透過信号を見つけることができる。
βの値を透過信号から直接確認することはできないが、このような狭い範囲に他の(α,β)の組み合わせがあることは少なく、有無についても計算で予想できるので、(α,β) = (17, 154)に相当する透過信号であると決定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、短時間での正確な共振器アライメントが可能となるので、光コム切り出し用の共振器長調整装置などとして広く採用されることが期待できる。
1:基板
2:第1ミラーマウント
3:第2ミラーマウント
4:ロッド
5:第1ロッドホルダ
6:第2ロッドホルダ
7:第1ミラー
8:第2ミラー
9:第2電歪素子
10:直進ガイド機構
11:第1電歪素子
12 送りねじ機構
13、14:ファイバコリメータホルダ
15、16:ファイバコリメータ
17:第3ロッドホルダ
18:治具
19、20:ファイバコリメータホルダ用マウント

Claims (5)

  1. 第1ミラーを搭載する第1ミラーマウントと、
    前記第1ミラーに対向する第2ミラーを搭載する第2ミラーマウントと
    基板と、
    前記基板に一体形成あるいは固定されている支持材と、
    送りねじ機構と、
    前記送りねじ機構の端部と自端部が当接するよう前記支持材に固定された第1電歪素子と、
    直進ガイド機構と
    を有し、
    前記第1ミラーマウントは前記基板及び前記支持材のいずれか一方に固定され、
    前記第2ミラーマウントは、前記直進ガイド機構を介して前記基板に取り付けられ、
    前記送りねじ機構の支持部は、前記第2ミラーマウント又は前記直進ガイド機構に固定され、
    前記第1電歪素子と前記送りねじ機構の作動に伴い、前記支持材と前記直線ガイド機構が共働して、前記第1ミラーと前記第2ミラーの間隔を、前記第1ミラーと前記第2ミラー間で角度変動を生じさせることなく変更できるようにし、共鳴周波数を調整するための共振器長調整装置。
  2. 前記第1ミラーマウント及び前記第2ミラーマウントの固定位置を基板上で変更することで光共振器長を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載された共振器長調整装置。
  3. 前記支持材柱状のロッドを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された共振器長調整装置。
  4. 前記第1ミラーマウントと前記第1ミラーの間、または前記第2ミラーマウントと前記第2ミラーの間に、共振器長を更する第2電歪素子が挟持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された共振器長調整装置。
  5. 第1ファイバコリメータを搭載する第1ファイバコリメータ用マウントと、前記第1ファイバコリメータに対向する第2ファイバコリメータを搭載する第2ファイバコリメータ用マウントが、前記第1ミラー及び前記第2ミラーで構成される光共振器の外側に配置され、当該光共振器への入射光及び出射光が前記第1ファイバコリメータ及び前記第2ファイバコリメータに結合されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された共振器長調整装置。
JP2019147825A 2019-08-09 2019-08-09 共振器長調整装置 Active JP7288666B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019147825A JP7288666B2 (ja) 2019-08-09 2019-08-09 共振器長調整装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019147825A JP7288666B2 (ja) 2019-08-09 2019-08-09 共振器長調整装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021028686A JP2021028686A (ja) 2021-02-25
JP7288666B2 true JP7288666B2 (ja) 2023-06-08

Family

ID=74667041

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019147825A Active JP7288666B2 (ja) 2019-08-09 2019-08-09 共振器長調整装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7288666B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000284192A (ja) 1999-03-31 2000-10-13 Anritsu Corp 光周波数グリッド発生装置
JP2001251246A (ja) 2000-03-06 2001-09-14 Oyokoden Lab Co Ltd 光分散補償素子
WO2011102193A1 (ja) 2010-02-17 2011-08-25 石川県 圧電アクチュエータ機構
JP2013505480A (ja) 2009-09-23 2013-02-14 ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー(パリ シズエム) 光キャビティの長さを安定化する方法
US20190113814A1 (en) 2017-10-12 2019-04-18 Boe Technology Group Co., Ltd. Light Shielding Structure and Laser Device

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1058267A (ja) * 1996-08-23 1998-03-03 Sigma Tec Kk 位置決め装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000284192A (ja) 1999-03-31 2000-10-13 Anritsu Corp 光周波数グリッド発生装置
JP2001251246A (ja) 2000-03-06 2001-09-14 Oyokoden Lab Co Ltd 光分散補償素子
JP2013505480A (ja) 2009-09-23 2013-02-14 ユニベルシテ ピエール エ マリー キュリー(パリ シズエム) 光キャビティの長さを安定化する方法
WO2011102193A1 (ja) 2010-02-17 2011-08-25 石川県 圧電アクチュエータ機構
US20190113814A1 (en) 2017-10-12 2019-04-18 Boe Technology Group Co., Ltd. Light Shielding Structure and Laser Device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021028686A (ja) 2021-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9759983B2 (en) Frequency comb source with large comb spacing
US6785303B1 (en) Generation of stabilized, ultra-short light pulses and the use thereof for synthesizing optical frequencies
Osvay et al. Angular dispersion and temporal change of femtosecond pulses from misaligned pulse compressors
EP2008579B1 (en) Process and apparatus for a wavelength tuned light source
US8923349B2 (en) Fourier domain mode locking: method and apparatus for control and improved performance
JPH02262024A (ja) 同調可能なオプチカル・フイルタ
US11205883B2 (en) Dispersion adjustment units and methods of use
US20210006038A1 (en) Optical frequency comb setup and use of an external cavity for dispersion compensation and frequency tuning
US20090028205A1 (en) Dispersion compensator, solid-state laser apparatus using the same, and dispersion compensation method
CA2873535C (en) Method and apparatus for locking and scanning the output frequency from a laser cavity
JP7288666B2 (ja) 共振器長調整装置
WO2018152594A1 (en) An optical plural-comb generator, a method of generating an optical plural comb, and a plurality of mode locked lasers that are mechanically coupled and optically independent
EP3949038B1 (en) Apparatus and method for multiple frequency comb generation and applications thereof
EP0268411B1 (en) An optical resonant device
US9577402B2 (en) Variable-wavelength light source
US20140090425A1 (en) Laser Machining and Mechanical Control of Optical Microresonators
RU2244368C1 (ru) Перестраиваемый лазер
RU2279166C1 (ru) Перестраиваемый двухволновый co2 лазер
AU2013211513B2 (en) Fourier domain mode locking
Durst et al. Applied Optics; Appl. Opt.; Dispersion compensation by a liquid lens (DisCoBALL)
RU60795U1 (ru) Перестраиваемый лазер
EP4131674A1 (en) Radiation source
Kubista A New Fiber Mirror Production Setup
RU80073U1 (ru) Перестраиваемый двухволновый со складным резонатором co2-лазер
WO2002082593A2 (en) Laser apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230522

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7288666

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150