以下に、図面を参照して、本発明に係る測定システムの実施の形態について説明する。
図1は、測定システムのシステム構成の一例を示す図である。測定システム1は、検査対象の端末であるMFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)2の無線通信の電波を送信する動作を検査するためのシステムである。
MFP2は、国設定ごとにアクティブスキャンに使用するチャンネルが割り当てられている。このチャンネルの割り当ては、各国の電波法に基づいて設定され、随時更新される。仮に、ある国において、その国を示す国設定で割り当てられていないチャンネルの電波を、MFP2が発信すると、各国の電波法に抵触する可能性がある。そこで、測定システム1は、MFP2からアクティブスキャンとして発信される無線通信の電波に含まれる通信フレームが、国設定ごとに割り当てられているチャンネルを使用しているかを検査するために使用される。
なお、チャンネルは、分割された無線通信の電波の周波数帯域を示す番号である。また、アクティブスキャンとは、端末がスキャンフレーム(Probe Request)を送信して、無線アクセスポイントから応答フレーム(Probe Response)を受信することで、無線アクセスポイントとの接続を行うためのスキャン方式である。通信フレームは、コンピュータネットワークや電気通信におけるデジタルデータ転送の構成単位である。
具体的には、MFP2は、図1に示すように、MFP2-1、MFP2-2、・・・、MFP2-Mから構成されるM台のMFPである。ここで、Mは1でも良いし、2以上でも良い。
Mが2以上の場合、複数のMFP2を並行して検査することによって、検査の効率を上げることができる。また、MFP2は同じ機種でも異なる機種でも良い。例えば、同じ機種の複数のMFP2を検査すれば、当該機種のMFP2について、設定を変えた場合の無線通信の電波を送信する動作を並行して検査することができる。
検査内容の一例として、本実施形態では、MFP2を製造または出荷する際に、国設定ごとの無線通信の電波を送信する動作を検査する例を示す。国設定とは、MFP2を国外に輸出する場合に、輸出先の国に合わせた動作をするための設定である。例えば、日本国内で使用する場合は、国設定は日本となっている。なお、国設定の対象は、国だけではなく、地域等を含んでも良い。
具体的には、測定システム1は、制御装置10と、無線受信装置20と、を備える。
制御装置10は、ネットワーク30を介して、無線受信装置20と通信可能に接続されている。制御装置10は、無線受信装置20に無線の受信の開始および終了、通信フレームの抽出等を指示する。
無線受信装置20は、無線受信装置20-1、無線受信装置20-2、・・・、無線受信装置20-Nから構成されるN台の装置である。ここで、Nは1でも良いし、2以上でも良い。Nが2以上の場合、複数の無線受信装置20を並行して使用することによって、検査の効率を上げることができる。
無線受信装置20は、MFP2から発信される無線通信の電波を受信する。そして、無線受信装置20は、無線通信の電波に含まれる通信フレームを抽出して、アクティブスキャンに使用されたているチャンネルが、割り当てられているチャンネルであるか否かを判定する。
なお、無線通信の電波に含まれる通信フレームの抽出は、いわゆるパケットキャプチャまたはスニファと呼ばれる技術によって実行される。無線受信装置20は、専用のアプリケーションプログラムを読み込むことによってこれらの技術を適用して、通信フレームの抽出を実行しても良い。
次に、本実施形態に係る測定システム1が備える各装置のハードウェア構成について説明する。
図2は、制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
制御装置10は、図2に示すように、コンピュータによって構築されており、CPU101、ROM102、RAM103、HD104、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ105、ディスプレイ106、外部機器接続I/F(Interface)108、ネットワークI/F109、データバス110、キーボード111、ポインティングデバイス112、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ114、メディアI/F116を備えている。
これらのうち、CPU101は、制御装置10全体の動作を制御する。ROM102は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HD104は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ105は、CPU101の制御にしたがってHD104に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ106は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
外部機器接続I/F108は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、プリンタ等の機器である。ネットワークI/F109は、ネットワークを利用して無線受信装置20等との間でデータ通信をするためのインターフェースである。データバス110は、図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス等である。
また、キーボード111は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス112は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ114は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW113に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。尚、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F116は、フラッシュメモリ等のメディア115に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
図3は、無線受信装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
無線受信装置20は、図3に示すように、コンピュータによって構築されており、CPU201、ROM202、RAM203、HD204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)208、ネットワークI/F209、データバス210、キーボード211、ポインティングデバイス212、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ214、メディアI/F216、受信器217-1および受信器217-2を備えている。
これらのうち、CPU201は、無線受信装置20全体の動作を制御する。ROM202は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。HD204は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ206は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
外部機器接続I/F208は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、プリンタ等の機器である。ネットワークI/F209は、ネットワークを利用して制御装置10等との間でデータ通信をするためのインターフェースである。データバス210は、図3に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス等である。
また、キーボード211は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス212は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ214は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW213に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。尚、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F216は、フラッシュメモリ等のメディア215に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
受信器217-1は、内臓型の無線通信の電波の受信器である。また、受信器217-2は、USBドングルタイプ、カードタイプ等の外付型の無線通信の電波の受信器である。無線通信の電波の受信器とは、無線通信の電波を受信する機器である。受信器217-1および受信器217-2は、それぞれ指定されたチャンネルの無線通信の電波を受信する。
なお、無線受信装置20が2つの受信器を備える例を示したが、受信器の数は2以外でも良く、例えば1または3以上でも良い。以下では、受信器217-1および受信器217-2を総称して、受信器217と呼ぶ。
次に、本実施形態に係る測定システム1が備える各装置の機能について説明する。
図4は、制御装置10の機能の一例を示す図である。
制御装置10は、記憶部11と、性能情報取得部12と、受信制御部13と、異常判定部14と、を備える。
記憶部11は、各種のデータ、プログラム等を記憶する。具体的には、記憶部11は、端末情報1101と、国設定情報1102と、を記憶する。
端末情報1101は、検査対象の端末であるMFP2に関する情報である。また、国設定情報1102は、MFP2の国設定に関する情報である。端末情報1101および国設定情報1102についての具体例については後述する。
なお、測定システム1は、MFP2が国設定情報1102に規定されたチャンネルのアクティブスキャンフレームを実際に送信しているかを検査する。すなわち、国設定情報1102は、MFP2の動作が正常か異常かを判定するための基準となる情報である。
性能情報取得部12は、無線受信装置20が備えるそれぞれの受信器217の性能情報を取得する。性能情報は、具体的には、それぞれの受信器217が電波を受信できるチャンネルを示す情報である。
受信制御部13は、性能情報に基づいて、無線受信装置20に対して、受信器217ごとに受信の開始と終了および受信するチャンネルを指示する。
異常判定部14は、それぞれのMFP2の動作が正常か異常かを判定する。具体的には、異常判定部14は、無線受信装置20に対して、受信したチャンネルの電波から判定に必要な通信フレームの抽出を指示する。そして、異常判定部14は、抽出された通信フレームに基づいて、それぞれのMFP2が国設定情報1102に規定されたチャンネルのアクティブスキャンフレームを実際に送信しているかを判定することによって、それぞれのMFP2の動作が正常か異常かを判定する。
図5は、無線受信装置20の機能の一例を示す図である。
無線受信装置20は、記憶部21と、性能情報送信部22と、無線受信部23と、通信フレーム抽出部24と、を備える。
記憶部21は、各種のデータ、プログラム等を記憶する。具体的には、記憶部21は、性能情報2101を記憶する。
性能情報2101は、無線受信装置20が備えるそれぞれの受信器217ごとに、電波を受信できるチャンネルを示す情報である。性能情報2101は、例えば、無線受信装置20にインストールされた受信器217のデバイスドライバに含まれる特定のコマンドを、無線受信装置20が実行することによって生成される。
性能情報送信部22は、制御装置10に性能情報2101を送信する。
無線受信部23は、制御装置10から受けた指示に基づいて、受信器217ごとに、無線通信の電波を受信する。
通信フレーム抽出部24は、無線受信部23が受信した電波から、制御装置10によって指定された抽出条件を満たす通信フレームを抽出し、制御装置10に送信する。
次に、本実施形態に係る測定システム1が扱う各種の情報について説明する。
図6は、端末情報1101の一例を示す図である。
端末情報1101は、項目として、「端末名」、「MAC(Media Access Control)アドレス」および「国設定」を含む。
項目「端末名」の値は、検査対象の端末であるMFP2の名称である。
項目「MACアドレス」の値は、各端末から送信される通信フレームの送信元を識別するためのMACアドレスを示す文字列である。具体的には、MACアドレスは、MFP2が備える無線通信の電波の送信器を一意に識別するための識別子である。無線通信の電波に含まれる通信フレームには、送信元を示すMACアドレスが含まれているため、MACアドレスを抽出条件にすれば、特定の送信元から送信された通信フレームを抽出することができる。
項目「国設定」の値は、MFP2に設定された国設定を示す情報である。検査対象のMFP2の国設定ごとの動作が正常か異常かを検査するため、項目「国設定」は、検査対象の項目として機能する。
図7は、国設定情報1102の一例を示す図である。
国設定情報1102は、MFP2の国設定に関する情報である。具体的には、国設定情報1102は、項目として、「国設定」と「チャンネル」とを含む。
項目「国設定」の値は、MFP2に設定される国設定を示す情報である。
項目「チャンネル」の値は、MFP2が無線通信のアクティブスキャンで使用するチャンネルを示す情報である。
なお、国設定情報1102に設定される項目「チャンネル」の値は、各国電波法に基づいて生成されていても良いが、必ずしも電波法で許容されているチャンネルと同一でなくても良い。例えば、DFS(Dynamic Frequency Selection)規定のあるチャンネルは、電波法上は必ずしも使用できないチャンネルではないが、現実的に衛星の電波を検知して電波の送信を停止することは難しいため、アクティブスキャンで使用するチャンネルから除外することが望ましい。
また、各国の電波法は頻繁に更新される可能性があるため、国設定情報1102は、設計者によって随時更新されることが望ましい。したがって、検査の頻度も高く、効率化したいという要請が強いと言える。
図8は、性能情報2101の一例を示す図である。
性能情報2101は、項目として、「受信器名」、「チャンネル」および「帯域幅」を含む。
項目「受信器名」の値は、受信器217を識別する名称である。なお、無線受信装置20をまたがって同一の名称となる可能性がある場合は、制御装置10は、性能情報2101を受信した後に、無線受信装置20を識別する名称を示す項目を追加して記憶部11に格納しても良い。
項目「チャンネル」の値は、受信器ごとに受信可能なチャンネルを示す情報である。例えば、図8に示す例では、受信器「wlan0」は14chの無線通信の電波を受信できないのに対して、受信器「wls1」は14chの無線通信の電波を受信できる。
なお、14chは、日本では、現状の電波法において許可されているチャンネルであるが、海外の多くの国では許可されていないチャンネルである。したがって、海外の製品の中には、14chの無線通信の電波を受信できない受信器が実在する。したがって、14chの無線通信の電波を受信できない受信器と、14chの無線通信の電波を受信できる受信器とを、並行して使用できれば、受信器の選択の幅が広がり、利便性が高くなる。
項目「帯域幅」の値は、受信可能な帯域幅をMHz単位で示す数値である。なお、40MHzの帯域幅は、チャンネルボンディング機能を前提としている。チャンネルボンディング機能は、IEEE802.11nに規定され、複数のチャンネルを結合して40MHzの帯域幅を使用する技術である。
以下では、チャンネルボンディング機能を使用しない端末、すなわち20MHzの帯域幅を使用する端末を検査する例を示すが、チャンネルボンディング機能を使用する端末を検査しても良い。その場合、結合されたチャンネルを示す情報として、例えば結合された周波数帯域の範囲を国設定情報1102に設定すれば良い。
次に、本実施形態に係る測定システム1の動作について説明する。
図9は、無線通信検査処理のフローチャートの一例を示す図である。
前提として、検査対象のK個のチャンネルC1からCKまでが、ユーザの操作によって設定されている。例えば、C1=1ch、C2=2ch、・・・、CK=165chのように設定される。
なお、以下の処理において、アクティブスキャンとして使用されるべきチャンネルが実際に使用されていない場合と、アクティブスキャンとして使用されるべきでないチャンネルが実際に使用されている場合との両方の場合に、測定システム1は異常と判定する。したがって、アクティブスキャンとして使用されるべきチャンネルと、アクティブスキャンとして使用されるべきでないチャンネルとの両方が、検査対象として設定されることが望ましい。
また、以下の説明において、無線受信装置20の数をN、検査対象の端末であるMFP2の数をMとする。N個の無線受信装置20が備える受信器217の数は、合計してLとする。それぞれの受信器217を、以下ではY1、Y2、・・・、YLと表す。また、それぞれのMFP2を、以下ではZ1、Z2、・・・、ZMと表す。
制御装置10は、ユーザの操作等によって、無線通信検査処理を開始する。
次に、制御装置10は、変数chをC1とする。変数chは、以降の処理で処理中のチャンネルを示す変数として使用される(ステップS101)。
制御装置10の性能情報取得部12は、性能情報2101を取得する。具体的には、それぞれの無線受信装置20の性能情報送信部22が性能情報2101を制御装置10に送信し、制御装置10が性能情報2101を受信する。
そして、性能情報取得部12は、それぞれの無線受信装置20から受信することによって、性能情報2101を取得する。前述のように、項目「受信器名」の値が重複する可能性がある場合は、性能情報取得部12は、送信元の無線受信装置20を識別する情報を付加しても良い(ステップS102)。
次に、制御装置10は、接続ポートを指定する。具体的には、制御装置10は、それぞれの無線受信装置20に、待受ポート番号と通信ポート番号とを示す情報を送信する。待受ポート番号は、制御装置10からの指示信号を受けるためのポート番号である。通信ポート番号は、制御装置10にデータを送信するためのポート番号である。
制御装置10は、待受ポート番号および通信ポート番号の数値範囲がそれぞれあらかじめ設定されていて、設定された数値範囲の中から、番号の小さい順に、またはランダムに、それぞれの無線受信装置20に使用する待受ポート番号および通信ポート番号の数値を決定する(ステップS103)。
次に、受信制御部13は、受信開始処理を実行する。具体的には、受信制御部13は、それぞれの受信器217に受信するチャンネルを指定して、無線通信の電波の受信の開始を指示する。受信開始処理の詳細は後述する(ステップS104)。
次に、受信制御部13は、受信時間が経過するまで待機する。受信時間は、アクティブスキャンを受信するために十分な時間として、例えば90秒のように、あらかじめ規定されている(ステップS105)。
そして、受信制御部13は、受信の終了を指示する。具体的には、受信制御部13は、受信器217ごとに、無線通信の電波の受信の終了を指示する信号(以下、受信終了指示信号と呼ぶ)を送信する。以下では、この処理を受信終了処理と呼ぶ(ステップS106)。
次に、異常判定部14は、異常判定処理を実行する。具体的には、異常判定部14は、それぞれの無線受信装置20に、判定に必要な通信フレームを抽出するように指示する。そして、異常判定部14は、抽出した通信フレームに基づいて、それぞれのMFP2が正常か異常かを判定する。異常判定処理の詳細は後述する(ステップS107)。
次に、制御装置10は、変数chが(なし)であるか否かを判定する(ステップS108)。ステップS104の受信開始処理において、変数chが(なし)にセットされている場合には、制御装置10は、変数chが(なし)であると判定し(ステップS108:Yes)、各無線受信装置20との間の接続を切断する。以下、この処理を接続切断処理と呼ぶ(ステップS109)。その後、制御装置10は、無線通信検査処理を終了する。
ステップS104の受信開始処理において、変数chが(なし)にセットされていない場合には、制御装置10は、変数chが(なし)でないと判定し(ステップS108:No)、ステップS104の処理に戻る。
図10は、受信開始処理のフローチャートの一例を示す図である。
受信制御部13は、受信開始処理を開始すると、変数ch2にchをセットする。変数ch2は、受信開始処理において処理中のチャンネルを示す変数である。以下では、変数ch2が示すチャンネルを、チャンネルch2と呼ぶ(ステップS201)。
次に、受信制御部13は、受信器存在フラグを「false」にセットする。受信器存在フラグは、受信できる受信器が存在することを示すフラグである。受信器存在フラグは、後述するステップS215の判定処理で使用する(ステップS202)。
次に、受信制御部13は、受信中フラグを「false」にセットする。受信中フラグは、後述するステップS218の判定処理で使用するフラグである(ステップS203)。
そして、受信制御部13は、変数yにY1をセットする。変数yは、以下の処理で処理対象となる受信器217を示す変数である。以下では、変数yが示す受信器217を、受信器yと呼ぶ(ステップS204)。
次に、受信制御部13は、受信器yがチャンネルch2を受信できるか否かを判定する。具体的には、受信制御部13は、性能情報2101を参照して、受信器yの項目「チャンネル」の値に、チャンネルch2が含まれていれば受信できると判定し、チャンネルch2が含まれていなければ受信できないと判定する(ステップS205)。
受信制御部13は、受信器yがチャンネルch2を受信できると判定すると(ステップS205:Yes)、受信器yがチャンネルch2以外のチャンネルを受信中であるか否かをさらに判定する。
具体的には、当該受信開始処理のステップS210の処理で、すでに受信器yに受信開始を指示した場合には、受信制御部13は、受信器yが受信中であると判定する。それ以外の場合には、受信制御部13は、受信器yが受信中でないと判定する(ステップS206)。
受信制御部13は、受信器yが受信中であると判定すると(ステップS206:Yes)、受信中フラグを「true」にセットする(ステップS207)。
受信制御部13は、受信器yがチャンネルch2を受信できないと判定すると(ステップS205:No)、ステップS208の処理に進む。
次に、受信制御部13は、受信器yがYLであるか否かを判定する(ステップS208)。受信制御部13は、受信器yがYLでないと判定すると(ステップS208:No)、受信器yの次の受信器を変数yにセットする。例えば、yがY1であった場合には、変数yにY2をセットする(ステップS209)。そして、受信制御部13は、ステップS205の処理に戻る。
また、ステップS206の処理において、受信制御部13は、受信器yが受信中でないと判定すると(ステップS206:No)、受信器yにチャンネルch2の受信開始を指示する。具体的には、受信制御部13は、受信器yを備える無線受信装置20に、受信器yとチャンネルch2の指定を含む、受信開始を指示する信号(以下、受信開始指示信号と呼ぶ)を送信する(ステップS210)。
次に、受信制御部13は、受信器存在フラグに「true」をセットする(ステップS211)。
続いて、受信制御部13は、変数ch2がCKであるか否かを判定する(ステップS212)。受信制御部13は、変数ch2がCKであると判定すると(ステップS212:Yes)、変数chに(なし)をセットする。これは、すべてのチャンネルの受信開始の指示が完了したことを意味する(ステップS213)。
受信制御部13は、変数ch2がCKでないと判定すると(ステップS212:No)、変数chにチャンネルch2の次のチャンネルをセットする(ステップS214)。例えば、ch=C1、ch2=C3であるとすると、ch=C4となる。
また、ステップS208の処理で、受信制御部13は、受信器yがYLであると判定すると(ステップS208:Yes)、以下のステップS215の処理を実行する。また、ステップS213およびステップS214の処理の後にも、以下のステップS215の処理を実行する。
受信制御部13は、受信器存在フラグが「true」であるか否かを判定する。処理中のチャンネルch2について、受信可能な受信器yが存在した場合、すなわち、ステップS211の処理によって、受信器存在フラグに「true」がセットされている場合、受信制御部13は、受信器存在フラグが「true」であると判定する(ステップS215)。
受信制御部13は、受信器存在フラグが「true」であると判定すると(ステップS215:Yes)、変数ch2がCKであるか否かを判定する(ステップS216)。そして、受信制御部13は、変数ch2がCKでないと判定すると(ステップS216:No)、変数ch2にチャンネルch2の次のチャンネルをセットし(ステップS217)、ステップS202の処理に戻る。
また、受信制御部13は、変数ch2がCKであると判定すると(ステップS216:Yes)、受信開始処理を終了して無線通信検査処理に戻り、ステップS105の処理を実行する。
ステップS215の処理において、受信制御部13は、受信器存在フラグが「true」でないと判定すると(ステップS215:No)、受信中フラグが「true」であるか否かをさらに判定する。実際には、チャンネルch2を受信可能な受信器がY1からYLまでの中に少なくとも1つ以上存在し、かつ受信可能な受信器がすべて受信中である場合に、受信中フラグが「true」となっている(ステップS218)。
受信制御部13は、受信中フラグが「true」であると判定すると(ステップS218:Yes)、受信開始処理を終了して無線通信検査処理に戻り、ステップS105の処理を実行する。
また、受信制御部13は、受信中フラグが「true」でないと判定すると(ステップS218:No)、無線通信検査処理を異常終了する。これは、チャンネルch2を受信可能な受信器がY1からYLまでの中に存在しないため、チャンネルch2についての検査ができないことを意味する(ステップS219)。
受信制御部13は、この受信開始処理によって、チャンネルC1から順に、受信可能な受信器217に受信を開始させる。そして、受信を開始できる受信器217が存在しなくなると、受信開始処理を一旦終了し、無線通信検査処理のステップS105の処理を実行する。次に再度受信開始処理を実行する際は、受信したチャンネルの次のチャンネルからCNまでの中から順に受信可能な受信器217に受信の開始を指示する。
図11は、異常判定処理のフローチャートの一例を示す図である。
異常判定部14は、無線通信検査処理のステップS107の異常判定処理を開始すると、変数yにY1をセットする。変数y2は、異常判定処理において処理中の受信器217を示す変数である。以下では、変数y2が示す受信器217を受信器y2と呼ぶ(ステップS301)。
次に、異常判定部14は、変数zにZ1をセットする。変数zは、異常判定処理において判定対象の端末(MFP2)を示す変数である。以下では、変数zが示す端末を端末zと呼ぶ(ステップS302)。
続いて、異常判定部14は、端末zから送信された通信フレームの抽出条件を決定する。具体的には、異常判定部14は、端末情報1101を参照して、「送信元のMACアドレス=端末zのMACアドレス」かつ「フレームの種類=アクティブスキャン」という抽出条件に決定する(ステップS303)。
次に、異常判定部14は、受信器y2を備える無線受信装置20に、受信器y2が受信した通信フレームの抽出を指示する。具体的には、ステップS303で決定した抽出条件を示す信号(以下、抽出条件信号と呼ぶ)を、受信器y2を備える無線受信装置20に送信する(ステップS304)。
次に、異常判定部14は、抽出されたフレーム数を取得する。具体的には、無線受信装置20は、ステップS304で送信された抽出条件信号を受信して、受信した通信フレームから当該抽出条件を満たす通信フレームを抽出する。そして、抽出された通信フレームのフレーム数を集計して、集計されたフレーム数を示す抽出結果情報を制御装置10に送信する。
制御装置10の異常判定部14は、無線受信装置20から抽出結果情報を受信することによって、抽出された通信フレームのフレーム数を取得する(ステップS305)。
次に、異常判定部14は、受信器y2が受信したチャンネルが国設定のチャンネルに含まれるか否かを判定する。具体的には、異常判定部14は、端末情報1101を参照して、端末zの国設定を特定する。そして、異常判定部14は、国設定情報1102を参照して、特定した国設定のチャンネルのリストを取得する。続いて、異常判定部14は、受信器y2が受信したチャンネルが、取得したチャンネルのリストに含まれているか否かを判定する(ステップS306)。
異常判定部14は、受信器y2が受信したチャンネルが国設定のチャンネルに含まれると判定すると(ステップS306:Yes)、フレーム数が0より大きいか否かをさらに判定する(ステップS307)。
異常判定部14は、フレーム数が0より大きいと判定すると(ステップS307:Yes)、判定結果フラグを「OK」にセットする。判定結果フラグは、異常判定処理の結果を示すフラグ情報であって、端末ごと、かつチャンネルごとに決定される(ステップS308)。
また、異常判定部14は、フレーム数が0より大きくない、すなわち0であると判定すると(ステップS307:No)、判定結果フラグを「NG」にセットする。受信器y2が受信したチャンネルが国設定のチャンネルに含まれる場合には、端末zは、アクティブスキャンの通信フレームを発信するはずである。そのため、異常判定部14は、フレーム数が0であることを異常と判定する(ステップS309)。
ステップS306の処理において、異常判定部14は、受信器y2が受信したチャンネルが国設定のチャンネルに含まれないと判定すると(ステップS306:No)、フレーム数が0であるか否かをさらに判定する(ステップS310)。
異常判定部14は、フレーム数が0であると判定すると(ステップS310:Yes)、判定結果フラグを「OK」にセットする(ステップS311)。
また、異常判定部14は、フレーム数が0でないと判定すると(ステップS310:No)、判定結果フラグを「NG」にセットする。受信器y2が受信したチャンネルが国設定に含まれない場合には、端末zは、アクティブスキャンの通信フレームを発信しないはずである。そのため、異常判定部14は、フレーム数が0でないことを異常と判定する(ステップS312)。
次に、異常判定部14は、端末zがZMであるか否かを判定する(ステップS313)。異常判定部14は、端末zがZMでないと判定すると(ステップS313:No)、変数zにzの次の端末をセットして、ステップS303の処理に戻る(ステップS314)。
また、異常判定部14は、端末zがZMであると判定すると(ステップS313:Yes)、受信器y2がYLであるか否かをさらに判定する(ステップS315)。
異常判定部14は、受信器y2がYLでないと判定すると(ステップS315:No)、変数y2にy2の次の端末をセットして、ステップS302の処理に戻る(ステップS316)。
また、異常判定部14は、受信器y2がYLであると判定すると(ステップS315:Yes)、異常判定処理を終了して無線通信検査処理に戻り、ステップS108の処理を実行する。
異常判定部14は、この異常判定処理によって、アクティブスキャンとして使用されるべきチャンネルが実際に使用されていない場合と、アクティブスキャンとして使用されるべきでないチャンネルが実際に使用されている場合との両方の場合に、異常と判定する。
なお、法規制に抵触しないことだけを目的とすれば、アクティブスキャンとして使用されるべきでないチャンネルが実際に使用されている場合だけを異常と判定しても良い。その場合、異常判定部14は、ステップS309の処理で、判定結果フラグを「OK」にセットしても良い。
また、判定結果フラグは、端末ごと、かつチャンネルごとに決定される。これによって、どの端末がどのチャンネルの無線通信の電波を送信する動作において異常があるかが把握できる。それに対して、チャンネルを特定しない、端末ごとの判定結果フラグが決定されるようにしても良い。その場合、異常判定部14が、チャンネルごとの判定結果フラグがすべて「OK」の場合に、端末ごとの判定結果フラグを「OK」にセットし、チャンネルごとの判定結果フラグに「NG」が含まれる場合に、端末ごとの判定結果フラグを「OK」にセットすれば良い。
以下に、本発明に係る測定システム1のシーケンスの一例について説明する。
図12は、性能情報取得処理および接続ポート指定処理のシーケンスの一例を示す図である。
無線通信検査処理のステップS102の性能情報取得処理およびステップS103の接続ポート指定処理は、無線受信装置20が複数ある場合には、制御装置10とそれぞれの無線受信装置20との間で実行される。
例えば、Nが2である場合、すなわち無線受信装置20-1および無線受信装置20-2が存在する場合、図12に示すように、無線受信装置20-1または無線受信装置20-2が性能情報を生成して制御装置10に送信すると、制御装置10は、記憶部21に格納されている性能情報2101を更新する。
制御装置10は、無線受信装置20の数Nがあらかじめ設定されていて、N台の無線受信装置20との間でステップS102の性能情報取得処理およびステップS103の接続ポート指定処理を実行すると、次にステップS104の処理に進む。
あるいは、制御装置10は、無線受信装置20の数Nがあらかじめ設定されておらず、随時、無線受信装置20からの性能情報の送信を受け付けても良い。その場合、接続先の無線受信装置20についての情報を記憶部21に記憶しておき、随時更新するようにすれば良い。
図13は、受信開始処理のシーケンスの一例を示す図である。
無線通信検査処理のステップS104の受信開始処理は、無線受信装置20が複数ある場合には、制御装置10とそれぞれの無線受信装置20との間で実行される。また、受信器が複数ある場合には、受信器ごとに制御装置10から受信開始指示信号が送信される。
例えば、無線受信装置20-1が受信器Y1と受信器Y2を備え、無線受信装置20-2が受信器Y3と受信器Y4を備える場合を例示する。
この場合、図13に示すように、制御装置10は、受信器Y1を受信可能な受信器として選択すると、受信器Y1に対する受信開始指示信号を、無線受信装置20-1に送信する。また、制御装置10は、受信器Y2を受信可能な受信器として選択すると、受信器Y2に対する受信開始指示信号を、無線受信装置20-1に送信する。
さらに、受信器Y3を受信可能な受信器として選択すると、受信器Y3に対する受信開始指示信号を、無線受信装置20-2に送信する。また、制御装置10は、受信器Y4を受信可能な受信器として選択すると、受信器Y4に対する受信開始指示信号を、無線受信装置20-2に送信する。
図14は、受信終了処理のシーケンスの一例を示す図である。
無線通信検査処理のステップS106の受信終了処理は、無線受信装置20が複数ある場合には、制御装置10とそれぞれの無線受信装置20との間で実行される。また、受信器が複数ある場合には、受信器ごとに制御装置10から受信終了指示信号が送信される。
図15は、異常判定処理のシーケンスの一例を示す図である。
無線通信検査処理のステップS107の異常判定処理における抽出条件信号の送信は、無線受信装置20が複数ある場合には、制御装置10とそれぞれの無線受信装置20との間で実行される。また、受信器が複数ある場合には、受信器ごとに制御装置10から抽出条件信号が送信される。
無線受信装置20は、各受信器の通信フレームの抽出および集計を実行してフレーム数を取得して、取得したフレーム数を示す抽出結果情報を制御装置10に送信する。
図16は、接続切断処理のシーケンスの一例を示す図である。
無線通信検査処理のステップS109の接続切断処理は、無線受信装置20が複数ある場合には、制御装置10とそれぞれの無線受信装置20との間で実行される。
例えば、Nが2である場合、すなわち無線受信装置20-1および無線受信装置20-2が存在する場合、図16に示すように、制御装置10は、無線受信装置20-1と無線受信装置20-2とに、それぞれ処理終了を指示する信号(処理終了指示信号)を送信する。無線受信装置20-1および無線受信装置20-2は、処理終了指示信号を受信すると、接続を切断するための切断信号を制御装置10に送信する。
本実施形態に係る測定システム1によれば、受信器の性能情報に基づいて受信する受信器を選択することによって、受信可能なチャンネルが異なる複数の受信器を並行して使用することができる。それによって、無線通信の電波を送信する端末の検査の効率を向上させることができる。
また、通信フレームの種類および送信元のMACアドレスによって通信フレームを抽出することによって、目的外の無線通信が行われている環境であっても、無線通信の電波を送信する端末の検査を実行することができる。それによって、例えば、電波暗室等のように、目的外の無線通信が無い特別な環境を用意する必要が無いため、検査の手間が軽減される。
本実施形態では、測定システム1が複数の無線受信装置20を備え、それぞれの無線受信装置20が複数の受信器217を備える例を示した。それぞれの無線受信装置20は、受信器217を1つ備えても良いし、複数備えても良い。
また、測定システム1が、全体として複数の受信器217を備えていれば、無線受信装置20は1つでも複数でも良い。
また、制御装置10が、上述した無線受信装置20の各機能を備え、受信器217を備えても良い。その場合、上述した測定システム1の各機能を制御装置10が備えていれば、無線受信装置20が無くても良い。
本実施形態に係る国設定情報1102は、検査対象の端末の動作が正常であるか否かを判定するための基準となる情報の一例である。無線通信の電波は、例えば2.4GHz帯の場合、日本では1-14ch、米国では1-11ch、欧州では1-13chのように、使用可能なチャンネルが国によって異なっているため、国設定の動作を検査する必要性が高い。
また、5GHz帯では使用可能なチャンネルが多く、チャンネルごとに検査を実行すると時間がかかる。したがって、検査を効率的に行いたいという要請が強くなっている。
ただし、端末の動作が正常であるか否かを判定するための基準となる情報は、国設定に限らず、端末の動作を検査するための基準となる情報であれば、他でも良い。
また、本実施形態に係る制御装置10または無線受信装置20は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。