図1(a)の状態で外部装置6Bの映像入力が切断された。映像入力が切断されると、表示装置2は自動的に画面を再構成する。図1では外部装置6A,6Bからの2つであった映像入力が1つになったので、表示装置2は画面の分割を解除して、全画面に外部装置6Aの映像を表示する。
図1(b)は外部装置6Bの映像入力が切断された場合に表示装置2が表示する画面例を示す。全画面に外部装置6の映像が表示されると共に、映像入力が切断される前に手書きされていた手書きデータ9が画面の右上に配置されている。こうすることで、映像入力が切断され画面が再構成された後も手書きデータ9の全体を表示できる。
しかし、図1(a)の手書きデータ9は外部装置6Bの映像をも指し示しており、単に外部装置6Aの映像と共に手書きデータ9の全体が表示されても、手書きデータ9の意味がわからなくなってしまう。
<本実施形態の表示装置の表示方法>
そこで、本実施形態の表示装置2は、外部装置6A又は6Bの映像入力が切断された場合、映像入力が切断された領域に対する手書きデータの有無の判断結果に応じて、少なくとも映像入力が切断されていない外部装置6の映像に対する手書きデータ9との相対位置と相対サイズが保たれるように、少なくとも映像入力が切断されていない外部装置6の映像と手書きデータ9を表示する。
図2は、本実施形態の表示装置2が映像の切断時に映像と手書きデータを表示する方法を説明する図である。図2(a)では、外部装置6Aの映像が表示される第1領域101と外部装置6Bの映像が表示される第2領域102の両方に手書きデータ9が存在する。この場合、表示装置2は、映像入力が切断された外部装置6Bの映像を残して、画面を分割したまま表示する。外部装置6Aと6Bの両方の映像と手書きデータ9が継続して表示されるので、映像入力が切断されてもユーザーとしては手書きデータ9の意味がわかる。
図2(b)では、外部装置6Aの映像が表示されている第1領域101にのみ手書きデータ9が存在する。この場合、表示装置2は、外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、画面の全体に外部装置6Aの映像と手書きデータ9を表示する。外部装置6Aの映像と手書きデータ9を拡大して表示することができ、外部装置6Bの映像入力が切断されてもユーザーとしては手書きデータ9の意味がわかる。
なお、外部装置6Bの映像が表示されている第2領域102にのみ、手書きデータ9がある場合は、外部装置6Bの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、手書きデータ9が保存される。
図2(c)では、外部装置6Bの映像が表示されている第2領域102には手書きデータ9がないが、外部装置6Aの映像が表示されている第1領域101と領域外に手書きデータ9がある。この場合、表示装置2は、第1領域101と手書きデータ9を含む外接矩形を最大化して、画面の全体に外部装置6Aの映像と手書きデータ9を表示する。このように、第2領域102の範囲外に手書きデータ9が手書きされている場合は、外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、外部装置6Aの映像と手書きデータ9を最大化して表示することができ、外部装置6Bの映像入力が切断されても手書きデータ9の意味がわかる。図2(c)では手書きデータ9が第1領域101に重なっているが、第1領域101に重なっていない場合も同様になる。
このように、本実施形態の表示装置2は、
(i) 映像入力が切断された外部装置6Bの映像内にも手書きデータ9が存在する場合には、この外部装置6Bが出力していた映像(例えば最後の画像)を残す。
(ii) 手書きデータ9が映像入力中の領域の映像内のみに存在する場合は、映像入力を継続している外部装置6Aの映像と手書きデータを全画面表示にする。
(iii) 映像入力が切断された外部装置6Bが映像を表示していた領域には手書きデータ9が存在しないが、いずれかの領域外に手書きデータが存在する場合は、映像入力を継続している外部装置6の映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、最大化して面表示にすることにより、映像入力が切断されても意味が分かるように手書きデータ9を表示できる。
<用語について>
映像入力が切断されるとは、それまで入力されていた映像が入力されなくなることをいう。入力されなくなることの要因は制限されない。例えば、通信障害でもよいし、ユーザーが表示装置2から映像のケーブルを抜いた場合でもよい。
手書きデータとは、ディスプレイ上でユーザーが入力手段を連続的に移動させた座標点列を軌跡として表示したデータである。また、ユーザーがディスプレイに入力手段を押しつけてから連続的に移動させた後、ディスプレイから離すという一連の操作をストロークといい、ストロークにより手書きされたデータをストロークデータという。手書きデータは1つ以上のストロークデータを有する。
手書きデータには、手書きデータそのものだけでなく、手書きデータが文字認識して変換されたテキストデータ、「済」などの決まった文字やマークとして表示されるスタンプ、円や星などの図形、直線等、ユーザーの操作に基づいて表示されたデータも含まれてよい。
<システムの概要>
図3は、本実施形態の画像処理システム1の全体構成図である。なお、図3では、説明を簡略化するために、2台の表示装置2a,2b及びこれに付随する電子ペン4a,4b等を示しているだけであって、3台以上の表示装置2や電子ペン等を利用してもよい。
図3に示されているように、画像処理システム1は、複数の表示装置2a,2b、複数の電子ペン4a,4b、USBメモリ5a,5b、外部装置6a,6b、テレビ(ビデオ)会議端末7a,7b、及びPC(Personal Computer)8を有する。また、表示装置2a,2b、及びPC8は、通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。更に、複数の表示装置2a,2bには、それぞれディスプレイ3a,3bが設けられている。
また、表示装置2aには、電子ペン4aによって生じたイベント(ディスプレイ3aに電子ペン4aのペン先、又は、電子ペン4aのペン尻のタッチ)による描画された画像を、ディスプレイ3aに表示させることができる。なお、電子ペン4aだけでなく、ユーザーの手Ha等によって生じたイベント(拡大、縮小、ページめくり等のジェスチャ)に基づいて、ディスプレイ3a上に表示されている画像を変更させることもできる。
また、表示装置2aには、USBメモリ5aが接続可能であり、表示装置2aはUSBメモリ5aからPDF等の電子ファイルを読み出したり、表示装置2aはUSBメモリ5aに電子ファイルを記録したりすることができる。また、表示装置2aには、DisplayPort(登録商標)、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標。High-Definition Multimedia Interface)及びVGA(Video Graphics Array)等の規格による通信が可能なケーブル10a1を介して、外部装置6aが接続されている。ケーブル10a1はネットワークでもよい。
そして、表示装置2aは、ディスプレイ3aに対する接触によってイベントを発生させ、このイベントを示すイベント情報を、マウスやキーボード等の入力装置からのイベントと同様に、外部装置6aに送信する。同じく、表示装置2aには、上記規格による通信が可能なケーブル10a2を介して、テレビ(ビデオ)会議端末7aが接続されている。なお、外部装置6a、及びテレビ会議端末7aは、Bluetooth(登録商標)等の各種無線通信プロトコルに準拠した無線通信により、表示装置2aと通信してもよい。
一方、表示装置2bが設置されている他の拠点では、上記と同様に、ディスプレイ3bを備えた表示装置2b、電子ペン4b、USBメモリ5b、外部装置6b、テレビ会議端末7b、ケーブル10b1、ケーブル10b2が利用される。更に、ユーザーの手Hb等によって生じたイベントに基づいて、ディスプレイ3b上に表示されている画像を変更させることもできる。
これにより、一の拠点で表示装置2aのディスプレイ3a上に描画された画像は、他の拠点で表示装置2bのディスプレイ3b上にも表示され、逆に他の拠点で表示装置2bのディスプレイ3b上に描画された画像は、一の拠点で表示装置2aのディスプレイ3a上に表示される。このように、画像処理システム1では、遠隔地において同じ画像を共有する遠隔共有処理を行うことができるため、遠隔地での会議等に用いると、非常に便利である。
なお、以下では、複数の表示装置2のうち任意の表示装置2を示す場合には「表示装置2」と示す。複数のディスプレイのうち任意のディスプレイを示す場合には「ディスプレイ3」と示す。複数の電子ペンのうち任意の電子ペンを示す場合には「電子ペン4」と示す。複数のUSBメモリのうち任意のUSBメモリを示す場合には「USBメモリ5」と示す。複数の外部装置のうち任意の外部装置を示す場合には「外部装置6」と示す。複数のテレビ会議端末のうち任意のテレビ会議端末を示す場合には「テレビ会議端末7」と示す。また、複数のユーザーの手のうち任意の手を示す場合には「手H」と示す。複数のケーブルのうち任意のケーブルを示す場合には「ケーブル10」と示す。
また、本実施形態では、情報処理装置の一例として、表示装置2を説明するが、これに限るものではなく、情報処理装置の他の例として、電子看板(デジタルサイネージ)、スポーツや天気予報等で利用されるテレストレータ、又は、遠隔画像(映像)診断装置等であってもよい。また、外部装置6の一例としてノートPCが挙げられるが、外部装置6としては、デスクトップ型PCやタブレット型PC、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、ゲーム機等の画像フレームを供給可能な端末であってもよい。なお、これら情報処理装置では表示装置用の所定のアプリケーション(プログラム)が動作しており、アプリケーションがタッチパネルに対する接触位置に基づいて手書きデータを表示する。
更に、通信ネットワークNには、インターネット、LAN(Local Area Network)、携帯電話通信網等が含まれる。また、本実施形態では、記録媒体の一例として、USBメモリを説明するが、これに限るものではなく、記録媒体の他の例として、SDカード(登録商標)等の各種記録メディアであってもよい。
<表示装置のハードウェア構成>
図4は、表示装置2のハードウェア構成図である。図4に示されているように、表示装置2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークI/F205、及び、外部機器接続I/F(Interface)206を備えている。
これらのうち、CPU201は、表示装置2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。SSD204は、表示装置2用のプログラム等の各種データを記憶する。ネットワークI/F205は、通信ネットワークNとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ5、外付け機器(マイク240、スピーカ250、カメラ260)である。
また、表示装置2は、キャプチャデバイス211、GPU212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信回路219、及び近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222及び選択スイッチ類223を備えている。
これらのうち、キャプチャデバイス211は、外付けの外部装置6がディスプレイ3に表示する映像情報を静止画又は動画としてディスプレイ3に表示させる。
GPU(Graphics Processing Unit)212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ3等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。接触センサ214は、ディスプレイ3上に電子ペン4やユーザーの手H等が接触したことを検知する。
センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ3の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ3に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ3の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。
接触センサ214は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のIDをセンサコントローラ215に出力し、センサコントローラ215が、物体の接触位置である座標位置を特定する。電子ペンコントローラ216は、電子ペン4と通信することで、ディスプレイ3へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。
電源スイッチ222は、表示装置2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。選択スイッチ類223は、例えば、ディスプレイ3の表示の明暗や色合い等を調整するためのスイッチ群である。
更に、表示装置2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図4に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
なお、接触センサ214は、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部29に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。また、電子ペンコントローラ216が、電子ペン4のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン4のユーザーが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
カメラ260はテレビ会議の際に参加者を撮像するために使用されるが、参加者に限らず表示装置2の周囲の人を撮像するために使用される。カメラ260は撮像装置でなくてもよく、赤外線センサなど人検知できるセンサでもよい。また、カメラ260は周囲360度を撮像できる全天球カメラでもよい。通常の画角のカメラは比較的狭いので人の検知が困難になるおそれがあるが、全天球カメラでは広範囲の人を撮像できるので周囲の人を検知しやすい。カメラ260は人感検知センサとして使用される。
<表示装置の機能構成>
続いて、図5、図6を用いて、表示装置2の機能構成について説明する。なお、先ずは、図5を用いて、表示装置2の全体的な機能構成について説明する。図5は、表示装置2の機能ブロック図である。
表示装置2は、図5に示されているハードウェア構成及びプログラムによって、図5に示されている各機能構成を有する。表示装置2は、最初に遠隔共有処理を開始する「主催装置」となり得ると共に、既に開始されている遠隔共有処理に後から参加する「参加装置」にもなり得る。また、表示装置2は、大きく分けて、クライアント部20及びサーバ部90の両方によって構成されている。
クライアント部20及びサーバ部90は、表示装置2の1台の筐体内で実現される機能である。そして、表示装置2が主催装置となる場合には、この表示装置2では、クライアント部20とサーバ部90が実現される。また、表示装置2が参加装置となる場合には、この表示装置2では、クライアント部20は実現されるが、サーバ部90は実現されない。即ち、図3において、表示装置2aが主催装置で、表示装置2bが参加装置となる場合、表示装置2aのクライアント部20は、同じ表示装置2a内に実現されたサーバ部90を介して、他の表示装置2bのクライアント部20と通信を行う。一方、表示装置2bのクライアント部20は、他の表示装置2a内に実現されたサーバ部90を介して、他の表示装置2aのクライアント部と通信を行う。
〔クライアント部の機能構成〕
続いて、主に図5、図6を用いて、クライアント部20の機能構成について説明する。クライアント部20は、映像取得部21、座標検知部22、自動調整部23、接触検知部24、イベント振分部25、操作処理部26、ジェスチャ処理部27、映像重畳部28、画像処理部30、及び通信制御部60を有する。
このうち、映像取得部21は、ケーブル10に接続された外部装置6の出力画像(図2の映像に相当する)を取得する。映像取得部21は、外部装置6から映像を受信すると、この映像を解析して、この映像によって形成される外部装置6の表示画像である画像フレームの解像度や、この画像フレームの更新頻度などの画像情報を導出し、画像取得部31に出力する。
座標検知部22は、ディスプレイ3上でユーザーが入力手段を接触させた座標位置を検出する。ユーザーがディスプレイ3上で入力手段を連続的に移動させた軌跡が手書きデータである。また、この手書きデータをストロークという場合がある。なお、入力手段は電子ペン4又はユーザーの手Hのどちらでもよい。また、座標検知部22は、タッチされた面積も検出する。
自動調整部23は、表示装置2の起動時(再起動時と表現してもよい)に起動され、座標検知部22が適切な値を出力できるように、光センサ方式により座標を検知する座標検知部22がセンサーカメラの画像を処理する際のパラメータを調整する。
接触検知部24は、ユーザーによって生じたイベント(ディスプレイ3上に電子ペン4のペン先又は電子ペン4のペン尻が押下(タッチ)された動作等)を検出する。
イベント振分部25は、座標検知部22によって検知されたイベントの座標位置と接触検知部24によって検出された検出結果を、ストローク描画、UI操作、及びジェスチャ操作の各イベントに振り分ける。ここで、「ストローク描画」は、ディスプレイ3上に図6に示されている後述のストローク画像(B)が表示されている場合に、ユーザーがディスプレイ3上で電子ペン4を押下し、この押下した状態で電子ペン4を移動させ、最終的にディスプレイ3上から電子ペン4を離すまでのイベントである。このストローク描画により、例えば、アルファベット「S」や「T」等がディスプレイ3上に描画される。なお、この「ストローク描画」には、画像を描画するだけでなく、既に描画された画像を削除したり、描画された画像を編集したりするイベントも含まれる。
「UI操作」は、ディスプレイ3上に図6に示されている後述のUI画像(A)が表示されている場合に、ユーザーが電子ペン4又は手Hによって所定の位置を押下したイベントである。このUI操作により、例えば、電子ペン4により描画される線の色や幅等が設定される。
「ジェスチャ操作」は、ディスプレイ3上に図6に示されている後述のストローク画像(B)が表示されている場合に、ユーザーが手Hでディスプレイ3上をタッチしたり移動させたりするイベントである。このジェスチャ操作により、例えば、ユーザーがディスプレイ3に手Hをタッチさせた状態で手Hを移動させることで、画像の拡大(若しくは縮小)、表示領域の変更、又は、ページ切り換え等を行うことができる。
操作処理部26は、イベント振分部25によってUI操作と判断されたものから、イベントが発生されたUIの要素にしたがって、各種操作を実行する。このUIの要素としては、例えば、ボタン、リスト、チェックボックス、テキストボックスが挙げられる。ジェスチャ処理部27は、イベント振分部25によってジェスチャ操作と判断されたものに対応した操作を実行する。
映像重畳部28は、後述の表示重畳部36で重畳された画像を映像として表示部29に対して表示する。表示部29はディスプレイ3により実現される表示機能を示す。また、映像重畳部28は、外部装置6等からの映像に対して、テレビ会議端末7等から送られて来た映像をピクチャーインピクチャーする。更に、映像重畳部28は、ピクチャーインピクチャーされて表示部29の一部に表示された映像を、表示部29の全体に表示させるための切り替えを行う。
画像処理部30は、図6に示されているような各画像レイヤの重畳処理等を行う。この画像処理部30は、画像取得部31、ストローク処理部32、UI画像生成部33、背景生成部34、レイアウト管理部35、表示重畳部36、ページ処理部37、ファイル処理部40、ページデータ記憶部300、及び遠隔ライセンス管理テーブル310を有している。
このうち、画像取得部31は、映像取得部21で取得された映像から、各フレームを画像として取得する。画像取得部31は、この画像のデータを、ページ処理部37に出力する。この画像は、図6に示されている外部装置6等からの出力画像(C)に相当する。本実施形態では出力画像(C)を映像と称している。
ストローク処理部32は、イベント振分部25によって割り振られたストローク描画に係るイベントに基づいて、画像(手書きデータ)を描画したり、描画された画像を削除したり、描画された画像を編集する。このストローク描画による画像は、図6に示されているストローク画像(B)に相当する。また、このストローク描画に基づいた画像の描画、削除、編集の各結果は、後述の操作データとして、データ管理部80に記憶される。
UI画像生成部33は、表示装置2に予め設定されているUI(ユーザーインターフェース)画像を生成する。このUI画像は、図6に示されているUI画像(A)に相当する。
背景生成部34は、ページ処理部37がページデータ記憶部300から読み出したページデータのうちのメディアデータを、ページ処理部37から受信する。背景生成部34は、この受信したメディアデータを表示重畳部36に出力する。また、このメディアデータによる画像は、図6に示されている背景画像(D)に相当する。背景画像(D)のパターンは、無地、グリッド表示等である。
レイアウト管理部35は、表示重畳部36に対して、画像取得部31、ストローク処理部32、及びUI画像生成部33(又は背景生成部34)から出力された各画像のレイアウトを示すレイアウト情報を管理している。これにより、レイアウト管理部35は、表示重畳部36に対して、出力画像(C)及びストローク画像(B)を、UI画像(A)及び背景画像(D)中のどの位置に表示させるか又は非表示にさせるかを指示することができる。
表示重畳部36は、レイアウト管理部35から出力されたレイアウト情報に基づき、画像取得部31、ストローク処理部32、及びUI画像生成部33(背景生成部34)から出力された各画像のレイアウトを行う。また、表示重畳部36は、外部装置6A又は6Bの映像入力が切断された場合、少なくとも映像入力が切断されていない外部装置6の映像に対する手書きデータ9との相対位置が保たれるように、少なくとも映像入力が切断されていない外部装置6の映像と手書きデータ9を再構成する。
ページ処理部37は、ストローク画像(B)のデータと出力画像(C)のデータを、1つのページデータにまとめてページデータ記憶部300に記憶する。ストローク画像(B)のデータは、ストローク配列データ(各ストロークデータ)としてページデータの一部を成す。出力画像(C)のデータは、メディアデータとしてページデータの一部を成す。そして、このメディアデータは、ページデータ記憶部300から読み出されると、背景画像(D)のデータとして取り扱われる。
また、ページ処理部37は、一旦記憶されたページデータのうちのメディアデータを、背景生成部34を介して表示重畳部36に送信することで、映像重畳部28が背景画像(D)をディスプレイ3に再表示させることができる。また、ページ処理部37は、ページデータのうちのストローク配列データ(各ストロークデータ)を、ストローク処理部32に戻すことで、ストロークの再編集ができる状態にすることができる。更に、ページ処理部37は、ページデータを削除したり複製したりすることもできる。
即ち、ページ処理部37がページデータ記憶部300にページデータを記憶する時点でディスプレイ3上に表示されている出力画像(C)のデータは、一旦、ページデータ記憶部300に記憶され、その後にページデータ記憶部300から読み出される際には、背景画像(D)を示すメディアデータとして読みされる。そして、ページ処理部37は、ページデータ記憶部300から読み出したページデータのうち、ストローク画像(B)を示すストローク配列データを、ストローク処理部32に出力する。また、ページ処理部37は、ページデータ記憶部300から読み出したページデータのうち、背景画像(D)を示すメディアデータを、背景生成部34に出力する。
表示重畳部36は、画像取得部31からの出力画像(C)、ストローク処理部32からのストローク画像(B)、UI画像生成部33からのUI画像(A)、及び、背景生成部34からの背景画像(D)を、レイアウト管理部35によって指定されたレイアウトにしたがって重畳する。これにより、図6に示されているように、各画像が重なってもユーザーが見える順に、UI画像(A)、ストローク画像(B)、出力画像(C)、及び背景画像(D)の各レイアの構成となっている。
また、表示重畳部36は、図6に示されている画像(C)と画像(D)を切り替えて、画像(A)及び画像(B)に対して排他的に重畳することも可能である。例えば、当初、画像(A)、画像(B)及び画像(C)が表示されている状態で、表示装置2と外部装置6等との間のケーブル10が抜かれた場合には、レイアウト管理部35の指定によって、画像(C)を重畳対象から外し、画像(D)を表示させることができる。この場合に、また、表示重畳部36は、表示の拡大、表示の縮小、表示領域の移動処理も行う。
〔サーバ部の機能構成〕
サーバ部90は、各表示装置2に設けられており、いずれの表示装置2であっても、サーバ部としての役割を果たすことができる。そのため、サーバ部90は、通信制御部70、及びデータ管理部80を有している。
通信制御部70は、同じ表示装置2内のクライアント部20における通信制御部70、及び通信ネットワークNを介して他の表示装置2内のクライアント部20における通信制御部70との通信を制御する。データ管理部80は、操作データや画像データ等を管理する。
<映像の入力に応じた画面の再構成に関する表示装置の機能>
図7は、映像の入力に応じた画面の再構成に関する表示装置2の機能を示す機能ブロック図の一例である。図7は、図5に示した画像取得部31、ストローク処理部32、及び、表示重畳部36を取り出して示している。
画像取得部31は、映像取得部21が取得した映像を入力端子1,2ごとに受け付ける。図7では入力端子の数は2つである。入力端子とは上記のHDMI(登録商標)などのケーブル10a1が接続される端子である。この入力端子に映像を出力する外部装置6がそれぞれ接続されている。したがって、画像取得部31は外部装置6の数だけ映像の入力をリアルタイムに受け付け、入力端子ごとの映像を表示重畳部36にリアルタイムに送信する。
表示重畳部36は映像保存部11、映像受信部12、ストローク受信部13、映像入力検知部14、画面構成決定部15、手書きデータ位置判断部16、及び、表示制御部17を有している。映像受信部12は画像取得部31から、外部装置6の数分の映像を入力端子ごとにリアルタイムに受信する。ストローク受信部13はストローク処理部32から手書きデータ9を取得し、ページ(ディスプレイの全画面分)単位に保持する。
映像受信部12は各映像を映像保存部11に送信すると共に、映像入力検知部14に送信する。また、ストローク受信部13は手書きデータ9を手書きデータ位置判断部16と表示制御部17に送信する。
映像保存部11は、それぞれの外部装置6の映像の最後の画像を入力端子に対応付けて保存しておく。必ずしも最後の画像である必要はなく、定期的に保存しておいてもよい。なお、映像が動画の場合は映像を構成する1画像データをフレームといい、映像保存部11にはフレームが保存される。ただし、動画と静止画を厳密に区別する必要はなく、本実施形態では画像が保存されるとして説明する。
映像入力検知部14は、入力される映像を監視して、入力端子ごとに映像の入力の有無を判断する。したがって、映像入力検知部14は外部装置6の映像入力の切断を検出する。また、現在、入力されている映像の数を特定できる。映像入力検知部14は、入力端子ごとに映像の有無を画面構成決定部15に送信する。また、映像入力検知部14は入力端子ごとの映像を表示制御部17に送信する。
画面構成決定部15は、原則的に、映像数(分割数)に応じて画面構成を決定する。映像数と各領域の座標の対応は予め決まっているものとする。固定でないとしても画面合成部にとって両者の対応は既知である。
映像数1→全画面(分割なし)
映像数2→2分割
映像数3→3分割
:
映像数N→N分割
表示装置2に入力される映像が増えた場合にはこの原則に例外がない。
表示装置2に入力される映像が減った場合、すなわち、映像入力が切断された場合、本実施形態の画面構成決定部15は、例外的に、映像数だけでなく手書きデータ9が領域に存在するかどうかの判断結果に応じて画面構成を決定する。映像入力が切断された場合、映像入力が切断された映像が表示されていた領域に手書きデータ9が存在する場合、分割を解除しないと決定する。この場合、画面の分割数は映像入力が切断される前と同じままである。画面構成決定部15はこのようにして決定した画面構成を表示制御部17に送信する。
また、画面構成決定部15は、映像入力が切断された映像が表示されていない領域に手書きデータ9が存在しないが、いずれかの領域外に手書きデータ9が存在する場合、映像入力が切断されていない映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、画面の全体に映像と手書きデータ9を表示するように表示制御部17に要求する。
また、画面構成決定部15は、映像入力が切断された映像が表示されていない領域にのみ手書きデータ9が存在する場合、映像入力が切断されていない映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、画面の全体に映像と手書きデータ9を表示するように表示制御部17に要求する。
表示制御部17は、1つのディスプレイ3の全画面(表示領域ともいう)を、画面構成決定部15が決定した画面構成で画面を分割したり(映像入力が増えた場合)、分割を解除したりする(映像入力が減った場合)。表示制御部17は分割した各領域に、入力端子別に映像を配置する。入力端子1の映像は右側、入力端子2の映像は左側などのように、領域ごとに配置される映像は固定されている。
表示制御部17は、映像入力検知部14から入力される映像の数に対し、画面構成決定部15から通知された領域数の方が多い場合、映像保存部11に保存されている画像を、映像入力が切断された領域に表示する。映像入力検知部14から通知された映像が入力されていない入力端子又は映像入力が切断された領域の入力端子を指定して映像保存部11から映像を取得する。
なお、表示制御部17は、現在の画面構成における領域と入力端子の対応、及び、各領域の座標を手書きデータ位置判断部16に通知する。これにより、手書きデータ位置判断部16は領域と入力端子の対応を取得し、映像入力が切断された領域又は映像入力が切断されていない領域に手書きデータ9が存在するかどうかを判断できる。
また、表示制御部17は、映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、映像と手書きデータを全画面に表示するという要求に対し、映像と手書きデータ9を適切に拡大して表示する。
<動作手順>
次に、図8を参照して、映像入力が切断された場合の表示装置2の動作について説明する。図8は、映像入力が切断された場合に表示装置2が映像を表示する方法を説明するフローチャート図の一例である。図8の説明では、表示装置2の画面が2つの領域に分割されている状態から説明する。映像Aを入力する外部装置6を外部装置6A、映像Bを入力する外部装置6を外部装置6B、映像Aが表示される領域を第1領域101、映像Bが表示される領域を第2領域102とする。
画面が2つの領域に分割され各領域に外部装置6の映像が表示されている状態で、映像入力検知部14が外部装置6Bからの映像入力の切断を検出した。映像入力検知部14は映像が途切れた入力端子に基づいて外部装置6Bの映像が切断されたと判断する(S1)。
外部装置6Bの映像入力の切断が検出されると、手書きデータ位置判断部16は領域に関係なく画面内に手書きデータ9が存在するか否かを判断する(S2)。手書きデータ位置判断部16は手書きデータの座標や領域の座標に関係なく手書きデータがあるか否かを判断する。
ステップS2の判断がNoの場合、手書きデータがなければ画面構成決定部15は映像数に基づいて画面構成を決定するので、分割を解除し全画面に映像を表示すると判断する(S3)。ステップS3における画面の表示例を図9に示す。
ステップS2の判断がYesの場合、手書きデータがあるが、外部装置6Aの映像が表示されている領域にのみ手書きデータ9が存在するか否かを手書きデータ位置判断部16が判断する(S4)。手書きデータ位置判断部16には、入力端子ごとの領域の座標が表示制御部17から入力され、映像が入力されている入力端子が映像入力検知部14から通知されるので、この入力端子に対応付けられている領域について手書きデータ9の有無を判断する。
手書きデータ9が外部装置6Aの映像が表示されていた第1領域101にすべて収まっている場合(S4のYes)、処理はステップS3に進み、画面構成決定部15は分割を解除し全画面に映像を表示するよう表示制御部17に要求する(S3)。このステップS3では手書きデータ9が外部装置6Aの映像が表示されていた領域にのみ存在するので、この領域と分割を解除した画面(全画面表示)のサイズの比率に応じて(映像の拡大率に応じて)、表示制御部17は手書きデータ9を拡大する。このステップS3における画面の表示例を図10に示す。また、拡大の詳細を図10で説明する。これにより、分割が解除される前と後で、映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保つことができる。
手書きデータ9が外部装置6Aの映像が表示されていた第1領域101にすべて収まっていない場合(S4のNo)、外部装置6Bの映像が表示されていた第2領域102にも手書きデータ9が存在するか否かを手書きデータ位置判断部16が判断する(S5)。手書きデータ位置判断部16には、入力端子ごとの領域の座標が表示制御部17から入力され、映像入力が切断された入力端子が映像入力検知部14から通知されるので、この入力端子に対応付けられている領域について手書きデータ9の有無を判断する。
外部装置6Bの映像が表示されていた領域に手書きデータ9が存在する場合(S5のYes)、画面構成決定部15は、画面を2つの領域に分割したままと判断し、映像入力が切断される前と同じ領域数(2つ)を表示制御部17に通知する。表示制御部17は、領域数>入力される映像数なので、外部装置6Bの映像が表示されていた第2領域102に画像を表示するため、映像保存部11から外部装置6Bの入力端子に対応付けられている画像を取得して、外部装置6Bの映像が表示されていた第2領域102に表示する(S6)。このステップS6における画面の表示例を図11に示す。このように外部装置6Bの映像を表示し続けることにより、外部装置6Bの映像入力が切断された後も、手書きデータ9の意味がわかる状態が維持される。
外部装置6Bの映像が表示されていた領域に手書きデータ9が存在しない場合(S5のNo)、この場合、外部装置6Bの映像が表示されていた第2領域102には手書きデータ9は存在せず、外部装置6Aの映像が表示されていた第1領域101の外側に手書きデータ9が存在する。このため、外部装置6Aの映像が表示されていた第1領域101の映像を全画面表示してしまうと、手書きデータ9が表示装置2の全画面に収まらなくなってしまう。そこで、画面構成決定部15は、映像入力が切断されていない映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、画面の全体に映像と手書きデータ9を表示するように表示制御部17に要求する(S7)。表示制御部17は、すべての手書きデータ9と外部装置6Aの映像を囲む矩形領域が、表示装置2の画面内で最大化されるように表示する。このステップS7における画面の表示例を図12に示す。また、処理の詳細を図13で説明する。
以上のステップS1からS7により、2台の外部装置6の映像を同時に表示していて、かつ、画面に手書きされている状態から、1台の外部装置6の映像入力を切断した場合でも、手書きデータ9と映像の相対位置を保つことができ、手書きデータ9の意味がわかる状態を維持できる。
<画面の遷移例>
以下では、図8のフローチャート図で説明したいくつかの画面の遷移例を説明する。
<<画面に手書きデータが一切ない場合 S2→S3>>
図9は、映像入力の切断時に、画面に手書きデータ9が一切ない場合の画面の遷移例を示す図である。図9(a)に示すように、表示装置2には2台の外部装置6A,Bが接続され、表示装置2の画面が分割されている。分割後の第1領域101には外部装置6Aの映像が表示されており、第2領域102には外部装置6Bの映像が表示されている。このように手書きデータ9は一切ない。
図9(a)の状態で外部装置6Bの映像入力が切断された。映像入力が切断されると、入力される映像数が1になるので、画面構成決定部15は分割を解除して全画面表示すると決定する。
図9では外部装置6Bの映像入力が切断されたので、表示制御部17は画面の分割を解除して、全画面に外部装置6Aの映像を表示する。すなわち、外部装置6Aの映像の左上コーナーを全画面の左上コーナー(原点)に一致させ、所定の拡大率で映像を拡大して表示する。
図9(b)は外部装置6Bの映像入力が切断された場合に表示装置2が表示する画面を示す。全画面に外部装置6Aの映像が表示されている。
<<映像入力が切断されない領域にのみ手書きデータ9がある場合 S4→S3>>
図10は、映像入力の切断時に、映像入力が切断されない領域にのみ手書きデータ9がある場合の画面の遷移例を示す図である。図10(a)では、外部装置6Aの映像が表示されている第1領域101にのみ手書きデータ9がある。
この場合、画面構成決定部15は入力される映像数が1になるが手書きデータ9が存在するので、外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま分割を解除して全画面表示すると決定する。図10(b)に示すように、表示制御部17は外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、画面の全体に外部装置6Aの映像と手書きデータ9を表示する。外部装置6Aの映像と手書きデータ9を拡大して表示することができ、映像入力が切断されても手書きデータ9の意味がわかる。
拡大表示の方法について補足する。まず、映像に関しては図9と同様に、外部装置6Aの映像の左上コーナーを全画面の左上コーナー(原点)に一致させ、所定の拡大率(2分割から全画面表示の拡大率)で映像を拡大して表示する。表示制御部17はこの拡大率と同じ拡大率で手書きデータ9を拡大する。
全画面の左上コーナーを原点(0,0)として、分割状態の手書きデータ9の座標を(x、y)、第1領域101の原点の座標を(A,B)、分割の解除後の手書きデータ9の座標を(X,Y)とする。また、映像の拡大率をR1とする。分割状態と分割解除後でアスペクト比が維持される。したがって、手書きデータ9を構成する座標は、
X=R1(x-A)、Y=R1(y-B)
により変換できる。
なお、仮に第2領域102に手書きデータ9がある場合は、第2領域102の原点の座標を(C,D)として同様に計算できる。
<<映像入力が切断される領域に手書きデータがある場合 S6>>
図11は、映像入力の切断時に、映像入力が切断される領域に手書きデータ9がある場合の画面の遷移例を示す図である。図11(a)に示すように、外部装置6Aの映像が表示されている第1領域101と外部装置6Bの映像が表示されている第2領域102に手書きデータ9がある。
この場合、画面構成決定部15は、入力される映像数が1でも分割を解除しないと判断するので、図11(b)に示すように、表示制御部17は第1領域101と第2領域102に分割したままである。表示制御部17は、映像入力が切断されていない外部装置6Aの映像を第1領域101に引き続き表示し、映像入力が切断された外部装置6Bの映像を映像保存部11から取得して、第2領域102に表示する。また、映像入力が切断される前と同じ位置に手書きデータ9を表示する。
映像入力が切断された領域の映像と手書きデータ9が継続して表示されるので、映像入力が切断されても手書きデータ9の意味がわかる。
<<映像入力が切断された第2領域には手書きデータがなく、領域外に手書きデータがある場合 S7>>
図12は、映像入力の切断時に、映像入力が切断された第2領域102には手書きデータ9がなく、第1領域101又は第2領域102の外に手書きデータ9がある場合の遷移例を示す図である。図12(a)に示すように、外部装置6Bの映像が表示されている第2領域102には手書きデータ9がないが、外部装置6Aの映像が表示されている第1領域101と領域外に手書きデータ9がある(第1領域101に手書きデータ9がかかっていなくてもよい)。
この場合、画面構成決定部15は、外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま分割を解除すると判断する。図12(b)に示すように、表示制御部17は第1領域101と手書きデータ9を含む外接矩形を最大化して、画面の全体に外部装置6Aの映像と手書きデータ9を表示する。第1領域101と領域外を跨ぐように手書きデータ9が手書きされていても、外部装置6Aの映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、外部装置6Aの映像と手書きデータ9を最大化して表示することができ、映像入力が切断されても手書きデータ9の意味がわかる。
図13を用いて、第1領域101と手書きデータ9を含む外接矩形の最大化について補足する。図13(a)は、第1領域101と手書きデータ9を含む外接矩形104の最大化を説明する図である。図13(b)は最大化された第1領域101と手書きデータ9を示す。
表示制御部17は、まず、手書きデータ9の外接矩形103を求める。そして、第1領域101と外接矩形103を含む外接矩形104を更に求める。
この外接矩形104のアスペクト比は全画面のそれと同じとは限らないので、表示制御部17は縦又は横方向に余白を設定するとよい。第2領域102に手書きデータ9がない状況を考慮すると、外接矩形104は全画面よりも縦長であるため、横方向に余白が設定される場合が多い。例えば、外接矩形104の高さをH1、幅をW1とすると、W1/H1が全画面のアスペクト比と同じになるように余白を追加してW1を大きくする。
図13では説明の便宜上、アスペクト比が一致した状態の外接矩形104の高さをH1、幅をW1とする。また、全画面の高さをH2、幅をW2とする。したがって、最大化のための拡大率はR2=H2/H1=W2/W1である。
次に、外接矩形104の座標変換を説明する。原点(0,0)を全画面の左上コーナーとし、外接矩形104の左上コーナーの座標を(E,F)とする。分割の解除後、外接矩形104の左上コーナーの座標が全画面の原点と一致するものとする。このため、外接矩形104内の任意の点の座標(x1,y1)を外接矩形104の左上コーナーの座標(E,F)を原点とした場合の座標に変換する。(x1,y1)の変換後の座標(X1,Y1)は以下になる。
X1=x1-E
Y1=y1-F
X1、Y1を最大化するための拡大率R2で拡大すると、分割の解除後の座標(X2,Y2)が得られる。
X2=R2・X1
Y2=R2・Y1
このように表示制御部17は、外接矩形104の任意の点(x1,y1)を(X2,Y2)に変換して画面に表示することで、映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、外部装置6Aの映像と手書きデータ9を最大化して表示することができる。
なお、座標の算出負荷を低減するため、映像に関しては映像の左上コーナーの座標(A,B)のみを求めればよい。(A,B)→(X2.Y2)も同様に求めることができる。分割の解除後の映像の左上コーナーの座標が決定されれば、表示制御部17は拡大率R2で映像を拡大して表示すればよい。
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の表示装置2は、
(i) 映像入力が切断された外部装置6Bの映像内にも手書きデータ9が存在する場合には、この外部装置6Bが出力していた映像(例えば最後の画像)を残す。
(ii) 手書きデータ9が映像入力中の領域の映像内のみに存在する場合は、映像入力を継続している外部装置6Aの映像と手書きデータを全画面表示にする。
(iii) 映像入力が切断された外部装置6Bが映像を表示していた領域には手書きデータ9が存在しないが、いずれかの領域外に手書きデータが存在する場合は、映像入力を継続している外部装置6の映像に対する手書きデータ9の相対位置と相対サイズを保ったまま、最大化して面表示にする。
ことにより、映像入力が切断されても意味が分かるように手書きデータ9を表示できる。
なお、本実施例は領域数が2つの状態で映像入力が切断された場合を説明したが、領域数が3つの状態で映像入力が切断された場合について説明する。(i)の場合、領域数が3つのまま、映像入力が切断された外部装置6の映像(例えば最後の画像)を残す。(ii)の場合、映像入力を継続している2つの外部装置6の映像と手書きデータを2つの領域にそれぞれ表示にする。(iii)の場合、映像入力が切断されていない2つの領域と手書きデータの外接矩形を最大化して表示する。したがって、領域数が3つ以上の状態でも同様に表示できる。
実施例1では、タッチパネル方式の表示装置2を説明したが、本実施例ではプロジェクター投影方式の表示装置2を説明する。なお、本実施例のようなプロジェクター投影方式の表示装置2については特許文献2に記載がある。
図14は、本実施例に係るプロジェクターを使用した表示装置2の構成例を示す図である。表示装置2は、スクリーンSCの上方に設置されたプロジェクター400に、外部装置6が接続されている。
プロジェクター400は、画像出力装置としての外部装置6から送信される画像データを受信して、この画像データに基づく画像を投射面としてのスクリーンSCに投射する。プロジェクター400は短焦点型であって、スクリーンSCの直上に設置され、斜め下方に向けて画像を投射する。
プロジェクター400は、外部装置6から送信された画像データに基づく画像を投射するだけでなく、プロジェクター400内部に記憶している画像データに基づく画像、及び、プロジェクター400の内部において後述するように生成した画像を、スクリーンSCに投射することができる。
プロジェクター400は、外部装置6から受信した画像データが静止画像データであっても動画像(映像)データであっても投射できる。また、スクリーンSCは壁面に固定された平板に限らず、壁面自体をスクリーンSCとして使用することも可能である。
表示装置2は、プロジェクター400が画像を投射するスクリーンSC上で、入力手段402を用いて操作を行うことが可能である。入力手段402は、例えばペン型のデバイスであり、ユーザーは入力手段402を手に持って、先端をスクリーンSCに押しつけるように使用する。入力手段402の先端には押圧操作を検出する操作スイッチ403が設けられており、ユーザーが入力手段402の先端をスクリーンSCに押し付けた場合に、操作スイッチ403がオンになる。ユーザーは、スクリーンSC上の任意の位置で入力手段402の尖端をスクリーンSCに押しつけることで、位置指示操作を行う。
プロジェクター400は、スクリーンSC上における入力手段402の位置を検出する機能を有する。ユーザーが位置指示操作を行った場合に、入力手段402の先端がスクリーンSCに接した位置を、指示位置として検出する。
表示装置2は、ユーザーが入力手段402により行った位置入力操作を受け付けて、この操作を投射画像に反映させる。具体的には、表示装置2は、ユーザーが行った位置指示操作を検出した場合に、指示位置にしたがって手書きデータ9等を描画し、描画した手書きデータ9をスクリーンSCに投射する。表示装置2は、何らかの画像をスクリーンSCに投射した状態で、この投射画像に重なるように手書きデータ9を描画することができ、何も画像を投射しない状態に移行してから画像の描画を開始することもできる。また、この機能により描画された手書きデータ9は、画像データとして保存することが可能であり、描画された画像のみを画像データとして保存することも、及び、描画時にスクリーンSCに投射されていた投射画像と共に一つの画像データとして保存することもできる。
ここで、表示装置2は、入力手段402の指示位置にしたがって画像を生成し、プロジェクター400により投射させる機能を、プロジェクター400が実行する「PJモード」、及び、外部装置6が実行する「PCモード」のいずれも実行可能である。「PJモード」では、プロジェクター400が入力手段402の指示位置を検出し、検出した指示位置にしたがって画像を生成し、スクリーンSCに投射する。
また、「PCモード」では、プロジェクター400は、外部装置6から入力される画像をスクリーンSCに投射する動作を実行し、プロジェクター400は描画を行わない。PCモードでは、プロジェクター400が入力手段402の指示位置を検出して、検出した指示位置を示す操作データを外部装置6に送信する。この操作データを受信した外部装置6は、指示位置の座標に基づいて手書きデータ9を生成する描画を実行し、描画した手書きデータ9の画像を、単独で又は他の画像に重畳して表示用の画像データを生成する。外部装置6は、生成した表示用の画像データをプロジェクター400に出力する。これにより、スクリーンSCには、入力手段402の操作にしたがって描画された画像が投射される。
PJモードは、プロジェクター400を操作することにより実行可能となる。また、PCモードは、プロジェクター400をPCモードに切り換えると共に、外部装置6においてプロジェクター400を制御する機能と描画を行う機能とを実行させることで、実行可能となる。したがって、PCモードからPJモードへの切り換えはプロジェクター400の操作により行うことができ、PJモードからPCモードへの切り換えは、プロジェクター400と外部装置6の両方を操作することで行われる。
また、スクリーンSCには、投射画像と共にツールバー411が投射される。ツールバー411には、プロジェクター400に各種の機能を実行させるための複数の機能ボタン412等が配置されている。入力手段402の操作により、いずれかの機能ボタン412に重なる位置が指示されると、プロジェクター400は、該当する機能ボタン412に割り当てられた機能を実行する。
<ハードウェア構成例>
図15は、プロジェクター400のハードウェア構成図である。図15に示すように、プロジェクター400は、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803、メディアI/F(Interface)807、操作部808、電源スイッチ809、バスライン810、ネットワークI/F811、LED(Light Emitting Diode)駆動回路814、LED光源815、投射デバイス816、投射レンズ817、外部機器接続I/F(Interface)818、ファン駆動回路819、冷却ファン820を備えている。
これらのうち、CPU801は、プロジェクター400全体の動作を制御する。ROM802は、CPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される。
メディアI/F807は、フラッシュメモリ等の記録メディア806に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
操作部808は、種々のキー、ボタン及びLED等が配設されており、ユーザーによるプロジェクター400の電源のON/OFF以外の各種操作を行うのに使用される。例えば、操作部808は、投射画像の大きさの調整操作、色調の調整操作、ピント調整操作、キーストン調整操作等の指示操作を受け付けて、受け付けた操作内容をCPU801に出力する。
電源スイッチ809は、プロジェクター400の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。
バスライン810は、図15に示されているCPU801等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
ネットワークI/F811は、インターネット等の通信ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。
LED駆動回路814は、CPU801の制御下で、LED光源815の点灯及び消灯を制御する。
LED光源815は、LED駆動回路814の制御によって点灯されると、投射光を投射デバイス816に照射する。
投射デバイス816は、外部機器接続I/F818等を介して与えられた画像データに基づいて、空間光変調方式によりLED光源815からの投射光を変調して得た変調光を、投射レンズ817を通して、スクリーンの投射面へ画像として投射する。投射デバイス816としては、例えば、液晶パネル又はDMD(Digital Micromirror Device)等が用いられている。上記LED駆動回路814、LED光源815、投射デバイス816及び投射レンズ817は、全体として、画像データに基づいて投射面に投射画像を投射する投射部として機能している。
外部機器接続I/F818は、直接、PC(Personal Computer)が接続され、PCとの間で、制御信号や画像データを取得する。
ファン駆動回路819は、CPU801及び冷却ファン820に接続されており、CPU801からの制御信号に基づいて、冷却ファン820の駆動/駆動停止を行う。
冷却ファン820は、回転することで、プロジェクター400内部の空気を排気して、プロジェクター400内部を冷却する。
また、CPU801は、電源電力が供給されると、ROM802に予め記憶されている制御プログラムにしたがって起動し、LED駆動回路814に制御信号を与えてLED光源815を点灯させると共に、ファン駆動回路819に制御信号を与えて冷却ファン820を所定の定格回転数で回転させる。また、プロジェクター400は、電源回路からの電源電力の供給が開始されると、投射デバイス816が画像表示可能状態になり、更に、他の種々の構成要素へ電源回路から電力が供給される。
また、プロジェクター400は、電源スイッチ809がOFF操作されると、電源スイッチ809から電源OFF信号がCPU801に送られ、CPU801は、電源OFF信号を検知すると、LED駆動回路814へ制御信号を与えてLED光源815を消灯させる。CPU801は、その後、所定時間が経過すると、ファン駆動回路819へ制御信号を与えて冷却ファン820を停止させると共に、自身で自身の制御処理を終了させ、最後に電源回路へ指示を与えて電源電力の供給を停止させる。
<機能について>
図16は、プロジェクター型の表示装置2が有する各部の機能ブロック図である。プロジェクター400は、外部装置6やビデオ再生装置、DVD再生装置等の外部の装置に接続されるI/F(インターフェース)部405を備えている。I/F部405は、例えば、USBインターフェース、有線又は無線LANインターフェース、アナログ映像信号が入力されるVGA端子、デジタル画像データが入力されるDVI(Digital Visual Interface)、NTSC、PAL、SECAM等のコンポジット映像信号が入力されるS映像端子、コンポジット映像信号が入力されるRCA端子、コンポーネント映像信号が入力されるD端子、HDMI(登録商標)規格に準拠したHDMIコネクター等を備えている。プロジェクター400は、I/F部405が備えるLANインターフェース又はUSBインターフェースを介して外部装置6に接続される。
プロジェクター400は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部420と、画像データを処理する画像処理系とからなる。投射部420は、照明部421、光変調部422、及び投射部423から構成されている。照明部421は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)、レーザー光源等からなる光源を備えている。また、照明部421は、光源が発した光を光変調部422に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えていてもよく、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(図示略)、偏光板、或いは光源が発した光の光量を光変調部422に至る経路上で低減させる調光素子等を備えたものであってもよい。
光変調部422は、例えばRGBの三原色に対応した3枚の透過型液晶パネルを備え、この液晶パネルを透過する光を変調して画像光を生成する。照明部421からの光はRGBの3色の色光に分離され、各色光は対応する各液晶パネルに入射する。各液晶パネルを通過して変調された色光はクロスダイクロックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射部423に射出される。
投射部423は、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズ、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター、投射光をスクリーンSCに向けて反射する凹面鏡等を備えている。投射部423は、光変調部422で変調された画像光のズーム調整及びフォーカス調整を行って、レンズ群を通った光を凹面鏡によりスクリーンSC方向へ導き、スクリーンSC上に結像させる。投射部420には、制御部430の制御に従って投射部423が備える各モーターを駆動する投射光学系駆動部416、及び、制御部430の制御に従って照明部421が備える光源を駆動する光源駆動部414が接続されている。なお、投射部423の具体的構成は上記の例に限定されず、例えば凹面鏡を含むミラーを用いない構成により、光変調部422で変調された光をレンズによってスクリーンSCに投射し、結像させることも可能である。
一方、画像処理系は、プロジェクター400全体を統合的に制御する制御部430を中心に構成され、制御部430が実行する制御プログラム436、及び、制御部430が処理するデータを記憶する記憶部435、操作パネル419及びリモコン受光部418を介した操作を検出する操作検出部417、I/F部405を介して入力された入力画像を処理する画像処理部440、画像処理部440が処理した画像信号に基づいて光変調部422を駆動して描画を行う光変調装置駆動部415を備えている。
操作検出部417は、リモコン受光部418及び操作パネル419に接続されている。リモコン受光部418は、プロジェクター400のユーザーが使用するリモコンがボタン操作に対応して送信した赤外線信号を、リモコン受光部418によって受光する。リモコン受光部418は、上記リモコンから受光した赤外線信号をデコードして、上記リモコンにおける操作内容を示す操作データを生成し、制御部430に出力する。
操作パネル419は、プロジェクター400の外装筐体に設けられ、各種スイッチ及びインジケーターランプを有する。操作検出部417は、制御部430の制御に従い、プロジェクター400の動作状態や設定状態に応じて操作パネル419のインジケーターランプを適宜点灯或いは点滅させる。この操作パネル419のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに対応する操作データが操作検出部417から制御部430に出力される。
制御部430は、I/F部405から入力された映像を画像処理部440に出力する。画像処理部440は、入力された画像データをバッファリングする画像入力部441と、この画像データに対し、インターレース/プログレッシブ変換、解像度変換、色変換等の各種変換処理を適宜実行し、予め設定されたフォーマットの画像データを生成する表示制御部442と、表示制御部442により処理された画像データに基づいてフレームメモリー444にフレーム毎の画像を展開する描画処理部443と、を備えている。画像処理部440は、フレームメモリー444に展開された画像データを光変調装置駆動部415に出力する。
描画処理部443は、上記のPJモードにおいて、入力手段402の指示位置の座標に従ってフレームメモリー444に展開された画像に図形の画像を加え、或いは消去する編集を行い、画像の生成又は更新を行う。これにより、入力手段402の操作に応じた図形が描画されてスクリーンSCに投射される。
一方、入力手段402は、上述した操作スイッチ403に加え、入力手段402の姿勢により出力が切り替わる姿勢スイッチ404を備えている。姿勢スイッチ404は、例えば入力手段402を水平にした状態でオフになり、入力手段402が傾いた状態でオンになるスイッチである。また、姿勢スイッチ404は、例えば、入力手段402の傾きの大きさによって抵抗値が変化するようなスイッチであってもよい。
入力手段402は、赤外線信号を出力する送信部474を備えている。送信部474は、例えば赤外LED等の発光部、発光制御回路、及び電源を備えて構成される。送信部474は、入力手段402の電源がオンになっている状態で、周期的に赤外線信号を送信する。送信部474は、操作スイッチ403の操作状態(オン/オフ)、及び、姿勢スイッチ404の出力状態によって、赤外線信号を変調して送信する。送信部474は、例えば、IrDA規格に準拠した方式により操作スイッチ403のオン/オフ、及び、姿勢スイッチ404のオン/オフを示すデータを送信する。
プロジェクター400は、入力手段402による操作を検出する位置指示操作検出部450を備えている。位置指示操作検出部450は、撮像部451、受信部452、撮像制御部453、指示体検出部454、及び座標算出部455の各部を備えて構成される。位置指示操作検出部450は、操作検出手段、及び、姿勢検出手段として機能する。
撮像部451は、投射部423と同じ方向を向いて配置され、投射部423がスクリーンSC上に画像を投射する範囲をカバーする画角を有する撮像光学系、CCDやCMOSからなる撮像素子、及び、撮像素子の検出値を読み出して出力するインターフェース回路等を有する。また、撮像制御部453は、撮像部451により撮像を実行させて撮像画像データを生成する。撮像制御部453の制御により撮像部451が撮像を実行すると、スクリーンSC上に投射された画像とともに、スクリーンSC上又はその近傍で操作されている入力手段402が撮像される。
また、受信部452は、送信部474が送信した赤外線信号を受信してデコードし、受信データを出力する。受信部452が出力する受信データは、操作スイッチ403及び姿勢スイッチ404の操作状態を示すデータを含んでいる。
指示体検出部454は、撮像制御部453が生成する撮像画像データに基づいて、入力手段402の位置を検出する。指示体検出部454は、撮像画像データから入力手段402に似た形状を検出して入力手段402の画像を切り出す処理を実行し、入力手段402の先端が向いている方向を特定する。また、指示体検出部454は、受信部452が出力する受信データに基づいて操作スイッチ403の操作状態と入力手段402の姿勢とを検出する。これにより、指示体検出部454は、撮像画像データにおける入力手段402の位置と、入力手段402の姿勢とを特定する。
座標算出部455は、指示体検出部454が特定した撮像画像データにおける入力手段402の位置と入力手段402の姿勢とに基づき、入力手段402の先端がスクリーンSC上で指し示している位置の座標、すなわち指示位置の座標を算出する。ここで座標算出部455が算出する座標は、例えば、スクリーンSC上に投射部420が投射画像を投射する領域(投射領域)を基準とする座標である。座標算出部455は、算出した指示位置の座標、指示体検出部454が特定した入力手段402の姿勢、操作スイッチ403の操作状態等を示すデータを、制御部430に出力する。また、座標算出部455は、撮像部451により撮像された撮像画像データを制御部430に出力してもよい。
制御部430は、記憶部435に記憶された制御プログラム436を読み出して実行することにより、投射制御部431、検出制御部432、機能制御部433及び出力制御部434の各部の機能を実現し、プロジェクター400の各部を制御する。
投射制御部431は、操作検出部417から入力される操作データに基づいて、操作者が行った操作の内容を検出し、この操作に応じて画像処理部440、光変調装置駆動部415、投射光学系駆動部416及び光源駆動部414を制御して、スクリーンSCに画像を投射させる。また、投射制御部431は、投射光学系駆動部416を制御して、投射部423によるフォーカス調整、ズーム調整、絞り調整等を実行させる。
検出制御部432は、位置指示操作検出部450を制御して、入力手段402の指示位置の検出と入力手段402の姿勢の検出とを実行させ、検出された指示位置及び入力手段402の姿勢を取得する。また、検出制御部432は、位置指示操作検出部450を制御して、入力手段402が備える操作スイッチ403の操作状態を検出する。これにより、検出制御部432は、ユーザーが入力手段402を用いて操作を行ったこと、及び、操作時の入力手段402の状態を検出する。
検出制御部432は、入力手段402の姿勢に基づき、入力手段402の操作を通常操作と特殊操作とに区別する。通常操作は、入力手段402の先端をスクリーンSCに押し当てる操作である。通常操作が行われると、指示体検出部454が撮像画像データから抽出した入力手段402の画像はスクリーンSCを向いており、かつ、操作スイッチ403がオンになる。ユーザーが描画や、ツールバー411(図14)に対する指示等を行う場合は、入力手段402による通常操作が行われる。
特殊操作は、入力手段402を特定の姿勢にする操作である。この特定の姿勢とは、例えば、描画を行えない姿勢にする操作であり、具体的には、入力手段402の入力手段402をスクリーンSCに対して平行にする操作、入力手段402をスクリーンSCに対して平行に、かつ水平にする操作、或いは、これらの操作を行いながら入力手段402を上下あるいは左右に移動させる操作が挙げられる。他の具体的な例としては、入力手段402の末端部すなわち操作スイッチ403とは反対側の端を、スクリーンSCに向ける操作が挙げられる。これらの操作を行っている間は操作スイッチ403をスクリーンSCに押し当てることはできないので、「描画を行えない操作」に該当する。特殊操作として検出すべき入力手段402の状態と、その検出の条件は、予め設定されて記憶部435に記憶されている。
これらの操作のうち、例えば、入力手段402をスクリーンSCに対して平行にする操作、入力手段402をスクリーンSCに対して平行かつ水平にする操作は、姿勢スイッチ404の状態をもとに、通常操作と区別して検出できる。また、入力手段402の末端部をスクリーンSCに向ける操作は、撮像部451の撮像画像データから抽出した入力手段402の画像の向きに基づき、通常操作と区別して検出できる。更に、入力手段402をスクリーンSCに平行にし、或いは入力手段402をスクリーンSCに平行にして水平にした状態で、入力手段402を上下あるいは左右に移動させる操作は、姿勢スイッチ404の検出状態と、撮像部451の撮像画像データにおける入力手段402の画像とを、経時的に比較することで、通常操作とは区別して検出できる。また、特殊操作は描画ができない操作であるから、操作スイッチ403がオンになっていないことを特殊操作の検出条件に含めてもよい。このように特殊操作を検出するための具体的な条件が記憶部435に記憶されている。
検出制御部432は、撮像部451の撮像画像データから指示体検出部454が検出した入力手段402の画像、操作スイッチ403や姿勢スイッチ404の検出状態等が、記憶部435に記憶された条件を満たす場合に、特殊操作を検出する。
機能制御部433は、検出制御部432が検出した入力手段402による操作と、その操作時におけるプロジェクター400の動作モードに対応して、プロジェクター400の機能の実行を制御する。
表示装置2は、上述のように、入力手段402の操作に基づいてプロジェクター400が描画を行って画像を生成するPJモードと、外部装置6が描画を行って画像を生成するPCモードとを切り換えて実行する。また、PJモードにおいて、プロジェクター400は、描画を行う描画モードと、描画モードの動作に関する各種設定を行う描画設定モードとを切り換えて実行する。一方、PCモードにおいて、外部装置6は、描画を行う描画モードと、描画モードの動作に関する各種設定を行う描画設定モードと、上記のPC操作モードとを切り換えて実行する。
機能制御部433は、例えば、表示装置2がPJモードで動作していて、プロジェクター400が描画モードを実行中である場合に、検出制御部432が通常操作を検出すると、入力手段402の指示位置の座標を画像入力部441に出力し、描画処理部443に
よって描画を実行させる。また、プロジェクター400が描画設定モードを実行中である場合に、検出制御部432が通常操作を検出すると、機能制御部433は、入力手段402の指示位置の座標と、スクリーンSCに投射される設定用画面(図示略)上のアイコン等の位置とに基づいて、この操作で指示された内容を特定して、設定等を行う。
機能制御部433は、表示装置2がPJモードで動作している場合に検出制御部432が特殊操作を検出すると、通常操作とは異なる機能を実行する。描画モード、及び、描画モード以外の各動作モードにそれぞれ対応づけて、特殊操作に応じて実行すべき機能が割り当てられている。これらの機能は、描画以外の機能である。機能制御部433は、特殊操作が検出されると、実行中の動作モードに対応して割り当てられた機能を実行する。
また、表示装置2がPCモードで動作している場合は、機能制御部433は、検出制御部432が通常操作及び特殊操作を検出すると、位置指示操作検出部450が検出した入力手段402の指示位置を示すデータ、及び、検出された操作が特殊操作であるか通常操作であるかを示すデータを、出力制御部434により外部装置6に出力させる。
外部装置6は、外部装置6の各部を中枢的に制御する制御部501を備えている。制御部501は、CPU、CPUが実行する基本制御プログラム等を記憶したROM、及び、CPUが実行するプログラムやCPUが処理するデータ等を一時的に格納するRAM等により実現される。また、外部装置6は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む入力デバイスによる入力操作を検出する入力部506と、入力部506が検出した入力操作の内容や制御部501による処理結果等をモニター508に表示する表示部507と、プロジェクター400が備えるI/F部405に対しケーブル401aを介して接続される外部インターフェース509と、制御部501が実行する制御プログラム111を含む各種のプログラム、これらのプログラムにより処理されるデータ等を記憶する記憶部510とを備えている。
制御部501は、制御プログラム511を実行することにより、機器制御部502、画像選択部503、画像出力部504、及び描画処理部505の機能を実現する。
機器制御部502は、PCモードにおいてプロジェクター400を制御する処理、及び、プロジェクター400から送信されるデータを受信する処理等を実行する。
画像選択部503は、プロジェクター400に対して画像データを出力する場合に、入力部506が検出した操作に従って、出力する画像データを選択する。例えば、画像選択部503は、記憶部510に記憶している画像データ(図示略)の中からユーザーの操作により直接指定された画像データを選択することも、予め設定された順序で記憶部510内の画像データを選択することも可能である。
画像出力部504は、画像選択部503により選択された画像データをプロジェクター400に出力する。また、画像出力部504は、選択された画像データの解像度やフレームレートをプロジェクター400の仕様に合わせて変換する処理を行うものであってもよい。
また、機器制御部502は、PCモードにおいて、プロジェクター400の位置指示操作検出部450が検出した入力手段402の指示位置を示すデータ、入力手段402の姿勢に関するデータ、及び、検出された操作が特殊操作であるか通常操作であるかを示すデータを、プロジェクター400から受信する。機器制御部502は、外部装置6の動作モード及び通常操作と特殊操作の各々に予め割り当てられた機能を実行する。例えば、機器制御部502は、外部装置6が描画を行う描画モードでは、通常操作に対しては、描画処理部505に指示位置の座標データを出力して、描画を実行させる。また、描画モードにおいてプロジェクター400が特殊操作を検出した場合、描画モード以外の動作モードへの切り換えを実行する。
描画処理部505は、PCモードにおいて、機器制御部502から入力手段402の指示位置の座標が入力された場合に、この座標に従って画像を生成又は更新する描画処理を実行し、画像データを出力する。描画処理部505が出力した画像データは、画像出力部504によってプロジェクター400に出力される。
図17は、本実施例において、映像の入力に応じた画面の再構成に関する表示装置2の機能を示す機能ブロック図の一例である。図7で説明した、画面の再構成に関する表示装置2の機能は、図17に示すように本実施例でも援用できる。
すなわち、I/F部405は画像取得部31に対応する。制御部430は図7に示した映像保存部11、映像受信部12、映像入力検知部14、画面構成決定部15、及び、手書きデータ位置判断部16を有している。また、画像処理部440は表示制御部17(表示制御部442と同じでよい)を有している。また、座標算出部455はストローク受信部13とストローク処理部32に相当する。
<位置検出>
本実施例の表示装置2が入力手段402の指示位置を決定する方法について説明する。
(i) 入力手段の姿勢から決定する方法
入力手段402は、ユーザーが入力手段402の先端をスクリーンSCに押し付けた場合に、オンになる操作スイッチ403に加え、入力手段402の姿勢により出力が切り替わる姿勢スイッチ404を備えている。姿勢スイッチ404は、例えば入力手段402を水平にした状態でオフになり、入力手段402が傾いた状態でオンになるスイッチである。また、姿勢スイッチ404は、例えば、入力手段402の傾きの大きさによって抵抗値が変化するようなスイッチであってもよい。
入力手段402は、赤外線信号を出力する送信部474を備えている。送信部474は、例えば赤外LED等の発光部、発光制御回路、及び電源を備えて構成される。送信部474は、入力手段402の電源がオンになっている状態で、周期的に赤外線信号を送信する。送信部は、操作スイッチ403の操作状態(オン/オフ)、及び、姿勢スイッチ404の出力状態によって、赤外線信号を変調して送信する。送信部474は、例えば、IrDA規格に準拠した方式により操作スイッチ403のオン/オフ、及び、姿勢スイッチ404のオン/オフを示すデータを送信する。
プロジェクター400は、カメラにより、スクリーンSC上に画像を投射する範囲をカバーする画角でスクリーンSCを撮像する。プロジェクター400はカメラが撮像して生成する撮像画像データに基づいて、入力手段402の位置を検出する。プロジェクター400は撮像画像データから入力手段402に似た形状を検出して入力手段402の画像を切り出す処理を実行し、入力手段402の先端が向いている方向を特定する。また、プロジェクター400は、入力手段402から送信された受信データに基づいて操作スイッチ403の操作状態と入力手段402の姿勢とを検出する。これにより、プロジェクター400は、撮像画像データにおける入力手段402の位置と、入力手段402の姿勢とを特定する。
また、プロジェクター400は、撮像画像データにおける入力手段402の位置と入力手段402の姿勢とに基づき、入力手段402の先端がスクリーンSC上で指し示している位置の座標、すなわち指示位置の座標を算出する。ここでプロジェクター400が算出する座標は、例えば、スクリーンSC上に投射画像を投射する領域(投射領域)を基準とする座標である。
(ii) 音波又は電波による距離の検出とカメラによる水平位置の検出
入力手段402は、ユーザーが手書きのためにスクリーンSCに先端を押しつけると操作スイッチ403がONになり発光する発光部を例えば先端部に有している。光の波長は近赤外や赤外なのでユーザーの目には見えない。プロジェクター400はカメラを有しており、発光部を撮像して画像を解析し入力手段402のスクリーンSCに平行な方向の位置を特定する。また、入力手段402は発光と共に音波を発信しており、プロジェクター400は音波の到達時間により距離を算出する。方向と距離により入力手段402の位置を特定できる。音波の代わりに電波を使用してもよい。
(iii) 赤外線のカーテンを使用した入力手段の位置の検出
この場合、入力手段402は発光部や送信部を有している必要がない。例えば、ユーザーの指で手書きすることができる。プロジェクター400はスクリーンSCを覆うように赤外線を照射する。スクリーンSCには不可視の赤外線のカーテンが掛けられた状態になる。入力手段402がカーテンに触れると入力手段402が赤外線を反射するので、カメラで反射光を撮像する。これにより、入力手段402のスクリーンSCに平行な方向の位置を特定する。また、赤外線を照射してから反射するまでの時間により距離を算出する。方向と距離により入力手段402の位置を特定できる。
<映像入力が切断された場合>
図18は、本実施例において複数の外部装置6の映像入力が切断された場合の画面の遷移例を示す。図18(a)では、外部装置6Aの映像が表示される第1領域101と外部装置6Bの映像が表示される第2領域102の両方に手書きデータ9がある。外部装置6Bの映像が切断されると、図18(b)に示すように、表示装置2は、映像入力が切断された外部装置6Bの映像を残して、画面を分割したまま表示する。両方の映像と手書きデータ9が継続して表示されるので、映像入力が切断されても手書きデータ9の意味がわかる。この他の画面遷移についても実施例1と同様でよい。
<まとめ>
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、プロジェクター型の表示装置2において映像入力が切断されても意味が分かるように手書きデータ9を表示できる。
なお、本実施例で説明したプロジェクター投影方式の表示装置2は一例であり、実施例1にて説明した映像入力の切断時の表示方法は、プロジェクターを使用した表示装置2に広く適用できる。
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
また、図5、図7などの構成例は、表示装置2の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。また、表示装置2の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
なお、表示装置2は、上記には限られない。表示装置2は、例えば、PJ(Projector:プロジェクター)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、カーナビ、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。