以下に、本発明の実施の形態にかかる列車運行管理装置および列車運行管理方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる列車制御システムの構成を示す図である。図1に示す列車制御システム1は、複数の無線装置2と、地上制御装置3と、列車運行管理装置5と、複数の現場装置7と、踏切制御装置8と、複数の車上装置10とを備える。かかる列車制御システム1は、CBTC(Communications Based Train Control)とも呼ばれる無線列車制御システムを含み、列車と地上設備の間での通信を使って列車の運行と制御を行う信号保安技術を含む。
複数の無線装置2と地上制御装置3は、ネットワーク4を介して互いに通信可能に接続される。地上制御装置3と列車運行管理装置5は、ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク4,6はイントラネットであるが、インターネット、またはイントラネットおよびインターネット以外のネットワークであってもよい。
各列車20には、車上装置10が搭載されており、車上装置10によって列車20の走行などが制御される。車上装置10は、無線装置2と無線通信を行う無線通信部11と、列車20を制御する列車制御部12とを備える。
列車制御部12は、列車状態情報を無線通信部11へ出力する。列車状態情報は、列車ID(Identifier)と、列車20の現在位置を示す位置情報と、列車20の速度を示す速度情報とを含む。なお、列車制御部12は、列車20に設けられた不図示の回転検出器で検出された車輪回転数に基づき、列車20の現在位置を検出するが、列車20に設けられた不図示のGPS(Global Positioning System)受信機から出力される位置情報に基づき、列車20の現在位置を検出することもできる。
無線通信部11は、無線装置2から送信される無線信号を受信し、無線信号に含まれる列車制御情報を列車制御部12へ出力する。列車制御部12は、無線通信部11から列車制御情報を取得し、取得した列車制御情報に基づき、列車20を制御する。
列車制御情報は、保安用途の情報であり、例えば、列車20の経路情報および停止位置情報を含む。経路情報は、列車20が進行する経路を判定する情報を含む。停止位置情報は、列車20が停止すべき停止限界位置を示す情報を含み、列車20は経路内を停止限界位置まで進行することができる。
無線装置2から送信される無線信号には、防護区間情報が含まれる場合がある。この場合、列車制御部12は、無線通信部11から防護区間情報を取得する。防護区間情報は、防護区間が設定された列車20の列車IDと、防護区間が設定された列車20以外の他の列車20の進入が禁止される区間である防護区間を示す情報とを含む。列車制御部12は、取得した防護区間情報に基づいて列車20を制御したり、防護区間情報を表示したりすることができる。例えば、列車制御部12は、防護区間内の移動を可能にすることができる。また、列車20の運転士は、列車制御部12によって表示された防護区間情報を確認しながら、防護区間内で列車20を移動させることができる。
列車制御部12には、不図示の列車防護無線装置が設けられており、かかる列車防護無線装置に設けられたボタンを操作することで、列車防護無線装置は、近隣を走行する他の列車20に設けられた列車防護無線装置へ電波を発する。また、列車防護無線装置は、他の列車20に設けられた列車防護無線装置から電波を受信すると、警報音を発する。列車防護無線装置から警報音が発せられた場合、列車20の運転士は、列車20が走行中であれば、列車20を急停車させる。
なお、列車制御部12は、列車防護無線装置が他の列車20に設けられた列車防護無線装置から電波を受信した場合、自動的に列車20の走行を停止させる構成であってもよい。また、車上装置10は、無線装置2を介して列車防護無線装置からの情報を無線通信部11によって取得し、列車防護無線装置からの情報を無線通信部11から列車制御部12へ通知する構成であってもよい。
現場装置7は、ネットワーク9を介して接続された踏切制御装置8からの制御指令に基づいて、踏切を制御する。踏切制御装置8は、例えば、列車20が踏切制御区間に進入した場合に、踏切からの警報音を出力させ、且つ踏切の遮断機を開状態から閉状態にする制御を現場装置7に実行させる。また、踏切制御装置8は、例えば、列車20が踏切制御区間から退出した場合に、踏切からの警報音を停止させ、踏切の遮断機を閉状態から開状態にする制御を現場装置7に実行させる。
地上制御装置3は、各列車20から無線装置2を介して取得される列車情報を列車運行管理装置5に通知する。列車情報は、上述したように列車20の位置および速度の情報を含む。また、地上制御装置3は、踏切制御装置8から踏切情報を取得し、取得した踏切情報を列車運行管理装置5にネットワーク6を介して通知する。
踏切情報は、例えば、踏切制御区間の情報、および踏切の状態を示す情報などを含む。踏切制御区間の情報は、踏切制御区間の区間ID、および踏切制御区間の位置を示す情報を含む。また、踏切の状態を示す情報には、踏切から警報が出力されているか否かを示す情報、踏切の遮断機が開状態であるか閉状態であるかの情報、および踏切の警報出力継続時間の情報などが含まれる。警報出力継続時間は、警報が出力されている状態において、警報の出力が開始してからの経過時間を示す。
また、地上制御装置3は、不図示の連動制御装置から送信される信号情報に基づいて、上述した列車制御情報を列車20毎に生成する。地上制御装置3は、列車20の列車状態情報と信号情報とに基づいて、列車20が走行可能な経路を示す経路情報を生成する。また、地上制御装置3は、経路内に存在する先行列車および他の支障物に基づいて停止位置情報を生成し、生成した停止位置情報を経路情報および信号情報に加えることで、列車制御情報を生成することができる。
列車運行管理装置5は、地上制御装置3から取得した各列車20の位置情報および踏切制御装置8から取得した踏切情報に基づいて、列車20が踏切制御区間で停止していると判定した場合、踏切制御区間で停止している列車20を踏切制御区間から移動させるための防護区間を設定することができる。例えば、列車運行管理装置5は、踏切制御区間で停止している列車20が踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定し、踏切制御区間外に退避可能と判定した場合、列車20の停止位置から踏切制御区間外の退避可能領域までの範囲を含む区間を防護区間に設定する。これにより、踏切制御区間で停止している列車20は、踏切制御区間外に移動が可能になり、踏切の閉状態を適切に解除することができる。
図2は、実施の形態1にかかる防護区間設定処理を説明するための図である。図2に示す例では、進行方向が同じ3つの列車20を便宜的に対象列車20A、先行列車20B、および後続列車20Cと表している。対象列車20Aは、防護区間の設定対象候補となる列車20であり、先行列車20Bは、対象列車20Aの先行列車であり、後続列車20Cは、対象列車20Aの後続列車である。また、図2において、始動点は、踏切制御区間の始端位置であり、終止点は、踏切制御区間の終端位置である。
列車運行管理装置5は、対象列車20A、先行列車20B、および後続列車20Cの車上装置10から各々列車情報を取得し、踏切制御装置8から踏切情報を取得する。列車運行管理装置5は、取得した列車情報および踏切情報に基づいて、対象列車20Aが踏切制御区間で停止しているか否かを判定する。列車運行管理装置5は、対象列車20Aが踏切制御区間内で緊急停止している場合、かかる対象列車20Aが踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定する。
例えば、列車運行管理装置5は、対象列車20Aの進行方向である前方において踏切制御区間の終端位置から先行列車20Bの後部位置までの距離が対象列車20Aの列車長よりも長い閾値距離以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。この場合、列車運行管理装置5は、対象列車20Aの前方において踏切制御区間の終端位置から閾値距離までの範囲を退避可能領域に含む区間を防護区間に設定することができる。これにより、対象列車20Aは、踏切制御区間から踏切制御区間の終端位置と先行列車20Bの後部位置との間に移動することができる。
例えば、列車運行管理装置5は、対象列車20Aの進行方向と逆方向において踏切制御区間の始端位置から後続列車20Cの前部位置までの距離が対象列車20Aの列車長よりも長い閾値距離以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。この場合、列車運行管理装置5は、対象列車20Aの進行方向と逆方向において踏切制御区間の始端位置から閾値の距離までの範囲を退避可能領域として含む区間を防護区間に設定することができる。これにより、対象列車20Aは、踏切制御区間外のから退避可能領域に移動することができる。
このように、列車運行管理装置5は、対象列車20Aが踏切制御区間内に停止した場合において、踏切制御区間外に対象列車20Aを退避できる場合には、対象列車20Aの退避可能領域を含む区間を防護区間に設定し、対象列車20Aを踏切制御区間外の退避可能領域に退避させることができる。したがって、踏切の閉状態を適切に解除することができる。以下、列車運行管理装置5の構成および処理についてさらに詳細に説明する。
図3は、実施の形態1にかかる列車運行管理装置の構成例を示す図である。図3に示すように、実施の形態1にかかる列車運行管理装置5は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。通信部31は、ネットワーク6に接続され、ネットワーク6を介して地上制御装置3との間で情報の送受信を行う。
記憶部32は、制御部33における制御処理に必要な各種の情報を記憶する。記憶部32は、各列車20の列車情報を記憶する列車情報記憶部41を備える。なお、記憶部32は、列車情報以外に、例えば経路情報およびダイヤ情報などの各種情報が記憶される。経路情報には、例えば、経路ID毎に、進行方向、ブロックID、および進路IDなどの情報が含まれる。ダイヤ情報には、例えば、列車20毎の列車運行情報が含まれ、列車運行情報には、列車20の列車ID毎に走行経路情報および停車駅時間情報などが含まれる。なお、記憶部32には、踏切制御区間の情報を記憶することもできる。
列車情報記憶部41は、各列車20の列車情報を記憶する。列車情報は、上述したように地上制御装置3から通知される情報であり、列車状態情報を含む。また、列車情報には、各列車20の列車長の情報なども含まれる。
制御部33は、情報取得部51と、停止判定部52と、退避可否判定部53と、防護区間設定部54とを備える。情報取得部51は、地上制御装置3から列車情報を取得し、取得した列車情報を列車情報記憶部41に記憶する。また、情報取得部51は、記憶部32に記憶された列車情報、経路情報、およびダイヤ情報などを取得する。また、情報取得部51は、踏切制御装置8から踏切情報を取得する。なお、情報取得部51は、記憶部32から踏切制御区間の情報を取得することもできる。
停止判定部52は、情報取得部51によって取得された列車情報と踏切情報と基づいて、判定対象の列車20である対象列車が踏切制御区間で停止しているか否かを判定する。列車情報には、列車20の位置および速度の情報が含まれており、踏切情報には、上述したように踏切制御区間の位置の情報が含まれている。停止判定部52は、対象列車の位置が踏切制御区間内であり、対象列車が停止している場合に、対象列車が踏切制御区間で停止していると判定する。
退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、対象列車を踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定する。例えば、退避可否判定部53は、対象列車の前方において踏切制御区間の終端位置から対象列車に先行する先行列車の後部位置までの距離D1が、対象列車の列車長Lよりも長い第1閾値距離Dth1以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定することができる。なお、対象列車の列車長Lの情報は、情報取得部51から退避可否判定部53へ通知される。
また、退避可否判定部53は、対象列車の進行方向とは逆方向である後方において踏切制御区間の始端位置から対象列車の後続列車の前部位置までの距離D2が第2閾値距離Dth2以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定することができる。なお、退避可否判定部53は、距離D1が第1閾値距離Dth1未満である場合に、距離D2が第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定することができる。すなわち、退避可否判定部53は、先行列車の前方を優先して対象列車が退避可能であるか否かを判定することができる。なお、第1閾値距離Dth1と第2閾値距離Dth2とは、互いに同一であるが、互いに異なっていてもよい。
また、退避可否判定部53は、対象列車の後続列車がない場合には、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から連動駅の境界位置までの距離D3が対象列車の列車長Lよりも長い第3閾値距離Dth3以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定することができる。なお、第3閾値距離Dth3は、第1閾値距離Dth1と第2閾値距離Dth2と同一であるが、異なっていてもよい。
また、退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、踏切制御区間の踏切が予め設定された閾値時間Tth以上継続して警報を出力していることまたは対象列車が踏切制御区間に予め設定された閾値時間Tth以上継続して停止している条件として、踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定することができる。これにより、踏切における警報出力および遮断機の閉状態が比較的長い時間継続している場合に、対象列車の退避可否判定処理を行うことができる。
また、退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、連動駅に対象列車が在線していないことを条件として、踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定することができる。
防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって対象列車を踏切制御区間外に退避可能と判定された場合、対象列車の停止位置から踏切制御区間外の退避可能領域までの範囲を含む区間を対象列車以外の列車の進入が禁止される防護区間に設定する。防護区間設定部54は、防護区間を設定した場合、防護区間の退避可能領域への対象列車の移動を許可する。なお、防護区間設定部54は、対象列車が停止している踏切制御区間以外の踏切制御区間が含まれないように、防護区間を設定する。
例えば、防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって距離D1が第1閾値距離Dth1以上であると判定された場合に、対象列車の前方において踏切制御区間の終端位置から第1閾値距離Dth1までの範囲を退避可能領域として含む区間を防護区間に設定することができる。また、防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって距離D2が第2閾値距離Dth2以上であると判定された場合に、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から第2閾値距離Dth2までの範囲を退避可能領域として含む区間を防護区間に設定することができる。また、防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって距離D3が第3閾値距離Dth3以上であると判定された場合に、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から第3閾値距離Dth3までの範囲を退避可能領域として含む区間を防護区間に設定することができる。
以下、制御部33による列車の退避設定処理について、図4~図7を参照して具体的に説明する。なお、図4~図7においては、進行方向が同じ3つの列車20を便宜的に、退避対象候補の列車20を対象列車20Aとしている。また、図5においては、対象列車20Aの先行列車を先行列車20Bとし、図6においては、対象列車20Aの後続列車を後続列車20Cと表している。
図4は、実施の形態1にかかる退避対象の判定処理を説明するための図である。図4に示すように、退避可否判定部53は、対象列車20Aが踏切制御区間外を走行している場合または対象列車20Aが踏切制御区間外で停車している場合、対象列車20Aは退避対象外と判定する。また、退避可否判定部53は、対象列車である対象列車20Aが踏切制御区間内を走行している場合も対象列車20Aは退避対象外と判定する。
退避可否判定部53は、対象列車20Aが踏切制御区間内で停車している場合、対象列車20Aは退避対象であると判定する。なお、退避可否判定部53は、対象列車20Aが踏切制御区間内で停車しており、且つ対象列車20Aが停止している踏切制御区間の踏切が予め設定された閾値時間Tth以上継続して警報を出力している場合に、対象列車20Aは退避対象であると判定することもできる。また、退避可否判定部53は、対象列車20Aが踏切制御区間内で閾値時間Tth以上停止している場合に、対象列車20Aは退避対象であると判定することもできる。
次に、対象列車20Aの前方において踏切制御区間外の退避可能領域を含む防護区間である前方退避用防護区間を設定する場合について説明する。図5は、実施の形態1にかかる前方退避用防護区間の設定処理の一例を説明するための図である。
図5に示すように、退避可否判定部53は、対象列車20Aの前方において踏切制御区間の終端位置から先行列車20Bの後部位置までの距離D1が対象列車20Aの列車長Lよりも長い予め設定された第1閾値距離Dth1以上であるか否かを判定する。退避可否判定部53は、距離D1が第1閾値距離Dth1以上である場合に、対象列車20Aを踏切制御区間外に退避可能であると判定する。第1閾値距離Dth1は、対象列車20Aの列車長Lにマージンα1を加えた値である。
この場合、防護区間設定部54は、対象列車20Aの前方において対象列車20Aの停止位置から踏切制御区間の終端位置よりも第1閾値距離Dth1だけ前方の位置までの間の範囲を含む区間を前方退避用防護区間として設定する。これにより、対象列車20Aは、踏切制御区間外であって踏切制御区間の前方の退避可能領域に移動することが可能になる。なお、防護区間設定部54は、対象列車20Aの前方において対象列車20Aの停止位置から先行列車20Bの後部位置の直前までの間の範囲を前方退避用防護区間として設定することもできる。
次に、対象列車20Aの後方において踏切制御区間外の退避可能領域を含む防護区間である後方退避用防護区間を設定する場合について説明する。図6は、実施の形態1にかかる後方退避用防護区間の設定処理の一例を説明するための図である。
図6に示すように、退避可否判定部53は、対象列車20Aの後方において踏切制御区間の始端位置から後続列車20Cの前部位置までの距離D2が対象列車20Aの列車長Lよりも長い予め設定された第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定する。退避可否判定部53は、距離D2が第2閾値距離Dth2以上である場合に、対象列車20Aを踏切制御区間外に退避可能であると判定する。第2閾値距離Dth2は、対象列車20Aの列車長Lにマージンα2を加えた値である。
この場合、防護区間設定部54は、対象列車20Aの後方において対象列車20Aの停止位置から踏切制御区間の始端位置よりも第2閾値距離Dth2だけ後方の位置までの間の範囲を含む区間を後方退避用防護区間として設定する。これにより、対象列車20Aは、踏切制御区間外であって踏切制御区間の後方の退避可能領域に移動することが可能になる。なお、防護区間設定部54は、対象列車20Aの後方において対象列車20Aの停止位置から後続列車20Cの前部位置の直前までの間の範囲を後方退避用防護区間として設定することもできる。
退避可否判定部53は、後続列車20Cが停止していることを条件として、距離D2が第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定することができる。後続列車20Cが停止していない場合、距離D2が変化することから、退避可否判定部53は、距離D2が変化しない状況で距離D2が第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定することで、踏切制御区間外に退避可能であるか否かを精度よく判定することができる。
次に、後続列車20Cがない場合における後方退避用防護区間の設定処理について説明する。図7は、実施の形態1にかかる後続列車20Cがない場合における後方退避用防護区間の設定処理の他の例を説明するための図である。
図7に示すように、退避可否判定部53は、後続列車20Cがない場合、対象列車20Aの後方において踏切制御区間の始端位置から連動駅の境界位置までの距離D3が対象列車の列車長Lよりも長い第3閾値距離Dth3以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定することができる。第3閾値距離Dth3は、対象列車20Aの列車長Lにマージンα3を加えた値である。
この場合、防護区間設定部54は、対象列車20Aの後方において対象列車20Aの停止位置から踏切制御区間の始端位置よりも第3閾値距離Dth3だけ後方の位置までの間の範囲を後方退避用防護区間として設定する。これにより、対象列車20Aは、踏切制御区間外であって踏切制御区間の後方の退避可能領域に移動することが可能になる。なお、防護区間設定部54は、対象列車20Aの後方において対象列車20Aの停止位置から連動駅の境界位置の直前までの範囲を後方退避用防護区間として設定することもできる。
なお、上述した例では、防護区間設定部54は、前方の退避可能領域および後方の退避可能領域のいずれか一つを含む防護区間を設定したが、前方の退避可能領域および後方の退避可能領域のいずれも含む防護区間を設定することもできる。また、マージンα1,α2,α3は互いに同じ値であるが、互いに異なる値であってもよい。また、制御部33は、踏切制御区間の終端位置と先行列車20Bの後部位置との間の距離によってマージンα1を変更することができる。例えば、踏切制御区間の終端位置と先行列車20Bの後部位置との間の距離が長いほどマージンα1を大きくすることができる。同様に、制御部33は、踏切制御区間の始端位置と後続列車20Cの前部位置との間の距離によってマージンα2を変更したり、踏切制御区間の始端位置と連動駅の境界位置との間の距離によってマージンα3を変更したりすることができる。
以下、列車運行管理装置5による防護区間設定処理の一例を、フローチャートを用いて説明する。図8は、実施の形態1にかかる列車運行管理装置の制御部による防護区間設定処理の一例を示すフローチャートであり、かかる防護区間設定処理は制御部33によって繰り返し実行される。
図8に示すように、制御部33の情報取得部51は、記憶部32から複数の列車20の列車情報を取得する(ステップS10)。そして、制御部33の退避可否判定部53は、複数の列車20の中から未だ選択していない一つの列車20を対象列車として選択する(ステップS11)。退避可否判定部53は、対象列車について退避対象判定処理を行う(ステップS12)。かかる退避対象判定処理は、図9に示すステップS20~S25の処理であり後で詳述する。
退避可否判定部53は、ステップS12における退避対象判定処理の結果に基づいて、対象列車が退避対象であるか否かを判定する(ステップS13)。退避可否判定部53は、対象列車が退避対象であると判定した場合(ステップS13:Yes)、防護区間決定処理を行う(ステップS14)。かかる防護区間設定処理は、図10に示すステップS30~S35の処理であり後で詳述する。
退避可否判定部53は、ステップS14における防護区間決定処理の結果に基づいて、対象列車について防護区間を決定したか否かを判定する(ステップS15)。退避可否判定部53は、対象列車について防護区間が決定したと判定した場合(ステップS15:Yes)、決定された防護区間と対象列車との紐付けを行う(ステップS16)。
退避可否判定部53は、ステップS16の処理が終了した場合、対象列車が退避対象ではないと判定した場合(ステップS13:No)、または対象列車について防護区間を決定していないと判定した場合(ステップS15:No)、ステップS11で全ての列車20を選択したか否かを判定する(ステップS17)。退避可否判定部53は、全ての列車20を選択していないと判定した場合(ステップS17:No)、処理をステップS11へ戻す。
制御部33の防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって全ての列車20を選択したと判定された場合(ステップS17:Yes)、防護区間の設定が必要な列車20があるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18の処理において、防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって防護区間との紐付けが行われた対象列車がある場合、防護区間の設定が必要な列車20があると判定する。防護区間設定部54は、防護区間の設定が必要な列車20があると判定した場合(ステップS18:Yes)、地上制御装置3に防護区間設定要求を送信する(ステップS19)。制御部33は、防護区間の設定が必要な列車20がないと判定した場合(ステップS18:No)、またはステップS19の処理が終了した場合、図8に示す処理を終了する。
次に、図8に示すステップS12の退避対象判定処理について具体的に説明する。図9は、実施の形態1にかかる退避対象判定処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、制御部33の情報取得部51は、列車情報および踏切情報を取得する(ステップS20)。次に、制御部33の退避可否判定部53は、対象列車が連動駅構内に在線しているか否かを判定する(ステップS21)。
退避可否判定部53は、対象列車が連動駅構内に在線していないと判定した場合(ステップS21:No)、対象列車が踏切制御区間内で停車中であるかを判定する(ステップS22)。ステップS22の処理において、退避可否判定部53は、停止判定部52によって対象列車が踏切制御区間内で停止していると判定された場合に、対象列車が踏切制御区間内で停車中であると判定する。
退避可否判定部53は、対象列車が踏切制御区間内で停車中であると判定した場合(ステップS22:Yes)、踏切情報に基づいて、踏切の遮断状態が設定時間以上継続しているか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の処理において、退避可否判定部53は、例えば、踏切が予め設定された時間以上継続して警報を出力している場合、または、踏切の遮断機が予め設定された時間以上継続して閉状態である場合に、踏切の遮断状態が設定時間以上継続していると判定する。
退避可否判定部53は、踏切の遮断状態が設定時間以上継続していると判定した場合(ステップS23:Yes)、対象列車を退避対象にする(ステップS24)。また、退避可否判定部53は、対象列車が連動駅構内に在線していると判定した場合(ステップS21:Yes)、対象列車が踏切制御区間内で停車中ではないと判定した場合(ステップS22:No)、または踏切の遮断状態が設定時間以上継続していないと判定した場合(ステップS23:No)、対象列車を退避対象にしない(ステップS25)。制御部33は、ステップS24の処理が終了した場合、またはステップS25の処理が終了した場合、図9に示す処理を終了する。
次に、図8に示すステップS14の防護区間決定処理について具体的に説明する。図10は、実施の形態1にかかる防護区間決定処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、制御部33の退避可否判定部53は、前方退避用防護区間判定処理を行う(ステップS30)。かかる前方退避用防護区間判定処理は、図11に示すステップS40~S44の処理であり後で詳述する。退避可否判定部53は、ステップS30における前方退避用防護区間判定処理の結果に基づいて、前方退避用防護区間が設定可能であるか否かを判定する(ステップS31)。
退避可否判定部53は、前方退避用防護区間が設定可能ではないと判定した場合(ステップS31:No)、後方退避用防護区間判定処理を行う(ステップS32)。かかる後方退避用防護区間判定処理は、図12に示すステップS50~S57の処理であり後で詳述する。
退避可否判定部53は、ステップS32における後方退避用防護区間判定処理の結果に基づいて、後方退避用防護区間が設定可能であるか否かを判定する(ステップS33)。退避可否判定部53は、前方退避用防護区間が設定可能であると判定した場合(ステップS31:Yes)、または後方退避用防護区間が設定可能であると判定した場合(ステップS33:Yes)、設定可能であると判定した防護区間を対象列車の防護区間に決定する(ステップS34)。
また、退避可否判定部53は、後方退避用防護区間が設定可能ではないと判定した場合(ステップS33:No)、対象列車の防護区間はないと判定する(ステップS35)。制御部33は、ステップS34の処理が終了した場合、またはステップS35の処理が終了した場合、図10に示す処理を終了する。
次に、図10に示すステップS30の前方退避用防護区間判定処理について具体的に説明する。図11は、実施の形態1にかかる前方退避用防護区間判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、制御部33の情報取得部51は、対象列車以外の他の列車20の列車情報を取得する(ステップS40)。次に、制御部33の退避可否判定部53は、ステップS40で取得された列車情報に基づいて、対象列車の先行列車があるか否かを判定する(ステップS41)。退避可否判定部53は、先行列車があると判定した場合(ステップS41:Yes)、対象列車の前方であって踏切制御区間の終端位置から先行列車の後部位置までの距離D1が第1閾値距離Dth1以上であるか否かを判定する(ステップS42)。なお、退避可否判定部53は、踏切制御区間内に先行列車が在線している場合、距離D1が第1閾値距離Dth1以上ではないと判定する。
退避可否判定部53は、距離D1が第1閾値距離Dth1以上であると判定した場合(ステップS42:Yes)、踏切制御区間の終端位置から先行列車の後部位置までの範囲を退避可能領域とする防護区間を設定可能であると判定する(ステップS43)。退避可否判定部53は、先行列車がないと判定した場合(ステップS41:No)、距離D1が第1閾値距離Dth1以上ではないと判定した場合(ステップS42:No)、防護区間を設定不可であると判定する(ステップS44)。
制御部33は、ステップS43の処理が終了した場合、またはステップS44の処理が終了した場合、図11に示す処理を終了する。なお、退避可否判定部53は、先行列車がないと判定した場合に、防護区間を設定可能であると判定することもできる。
次に、図10に示すステップS32の後方退避用防護区間判定処理について具体的に説明する。図12は、実施の形態1にかかる後方退避用防護区間判定処理の一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、制御部33の情報取得部51は、対象列車以外の他の列車20の列車情報を取得する(ステップS50)。次に、制御部33の退避可否判定部53は、ステップS50で取得された列車情報に基づいて、対象列車の後続列車があるか否かを判定する(ステップS51)。退避可否判定部53は、後続列車があると判定した場合(ステップS51:Yes)、後続列車が停車中であるか否かを判定する(ステップS52)。
退避可否判定部53は、後続列車が停車中であると判定した場合(ステップS52:Yes)、対象列車の後方であって踏切制御区間の始端位置から後続列車の前部位置までの距離D2が第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定する(ステップS53)。なお、退避可否判定部53は、踏切制御区間内に後続列車が在線している場合、距離D2が第2閾値距離Dth2以上ではないと判定する。
退避可否判定部53は、距離D2が第2閾値距離Dth2以上であると判定した場合(ステップS53:Yes)、踏切制御区間の始端位置から第2閾値距離Dth2までの範囲を退避可能領域とする防護区間を設定可能であると判定する(ステップS54)。退避可否判定部53は、後続列車がないと判定した場合(ステップS51:No)、対象列車の後方の連動駅の境界位置と踏切制御区間の始端位置との距離D3が第3閾値距離Dth3以上であるか否かを判定する(ステップS56)。
退避可否判定部53は、距離D3が第3閾値距離Dth3以上であると判定した場合(ステップS56:Yes)、踏切制御区間の始端位置から第3閾値距離Dth3までの範囲を退避可能領域とする防護区間を設定可能と判定する(ステップS57)。退避可否判定部53は、後続列車が停車中ではないと判定した場合(ステップS52:No)、距離D2が第2閾値距離Dth2以上ではないと判定した場合(ステップS53:No)、距離D3が第3閾値距離Dth3以上ではないと判定した場合(ステップS56:No)、防護区間を設定不可であると判定する(ステップS55)。制御部33は、ステップS54の処理が終了した場合、ステップS55の処理が終了した場合、またはステップS57の処理が終了した場合、図12に示す処理を終了する。
次に、制御部33による退避移動許可処理について説明する。図13は、実施の形態1にかかる退避移動許可処理の一例を示すフローチャートである。かかる退避移動許可処理は、制御部33によって繰り返し実行される。
図13に示すように、制御部33の情報取得部51は、地上制御装置3から防護区間設定情報を取得する(ステップS60)。防護区間設定情報は、列車制御システム1において設定されている防護区間の情報である。防護区間が設定されているとは、例えば、地上制御装置3から各列車20の車上装置10への防護区間の情報の送信が完了している状態である。また、制御部33の情報取得部51は、列車情報を取得する(ステップS61)。
制御部33の防護区間設定部54は、複数の列車20の中から未だ選択していない一つの列車20を対象列車として選択する(ステップS62)。防護区間設定部54は、情報取得部51によって取得された防護区間設定情報および列車情報に基づいて、対象列車の防護区間が設定済であるか否かを判定する(ステップS63)。
防護区間設定部54は、対象列車の防護区間が設定済であると判定した場合(ステップS63:Yes)、防護区間内の在線列車が対象列車のみであるか否かを判定する(ステップS64)。防護区間設定部54は、防護区間内の在線列車が対象列車のみであると判定した場合(ステップS64:Yes)、対象列車の退避を決定する(ステップS65)。
防護区間設定部54は、対象列車の防護区間が設定済でないと判定した場合(ステップS63:No)、防護区間内の在線列車が対象列車のみではないと判定した場合(ステップS64:No)、またはステップS65の処理が終了した場合、ステップS62で全ての列車20を選択したか否かを判定する(ステップS66)。防護区間設定部54は、全ての列車20を選択していないと判定した場合(ステップS66:No)、処理をステップS62へ戻す。
防護区間設定部54は、全ての列車20を選択したと判定された場合(ステップS66:Yes)、ステップS65で退避を決定した列車20があるか否かを判定する(ステップS67)。防護区間設定部54は、退避を決定した列車20があると判定した場合(ステップS67:Yes)、退避を決定した列車20に対して、退避移動許可指令を地上制御装置3および無線装置2を介して送信する(ステップS68)。
踏切制御区間に停止している列車20の列車制御部12は、退避移動許可指令を無線通信部11経由で取得すると、退避移動許可指令の情報を表示する。退避移動許可指令には、防護区間の情報および退避可能領域の情報が含まれており、踏切制御区間に停止している列車20の運転士は、退避移動許可指令の情報を確認して、列車20を退避可能領域に移動させることができる。なお、列車制御部12は、退避移動許可指令の情報に基づいて自動的に列車20を退避可能領域に移動させることもできる。
防護区間設定部54は、退避を決定した列車20がないと判定した場合(ステップS67:No)、またはステップS68の処理が終了した場合、図13に示す処理を終了する。
図14は、実施の形態1にかかる列車運行管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図14に示すように、列車運行管理装置5は、プロセッサ101と、メモリ102と、インタフェース回路103とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101、メモリ102およびインタフェース回路103は、バス104によって互いにデータの送受信が可能である。通信部31は、インタフェース回路103によって実現される。記憶部32は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、情報取得部51、停止判定部52、退避可否判定部53、および防護区間設定部54の機能を実行する。プロセッサ101は、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、列車運行管理装置5は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる列車運行管理装置5は、情報取得部51と、停止判定部52と、退避可否判定部53と、防護区間設定部54とを備える。情報取得部51は、対象列車の位置および速度を示す列車情報と、踏切が制御される区間である踏切制御区間の情報を含む踏切情報とを取得する。停止判定部52は、情報取得部51によって取得された列車情報と踏切情報とに基づいて、対象列車が踏切制御区間で停止しているか否かを判定する。退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、対象列車を踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定する。防護区間設定部54は、退避可否判定部53によって対象列車を踏切制御区間外に退避可能と判定された場合、対象列車の停止位置から踏切制御区間外の退避可能領域までの範囲を含む区間を対象列車以外の列車の進入が禁止される防護区間に設定し、退避可能領域への対象列車の移動を許可する。これにより、踏切制御区間内に列車が停止した場合に踏切の閉状態を適切に解除することができる。
また、退避可否判定部53は、対象列車の前方において踏切制御区間の終端位置から対象列車に先行する先行列車の後部位置までの距離D1が、対象列車の列車長よりも長い予め設定された第1閾値距離Dth1以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。防護区間設定部54は、対象列車の前方において踏切制御区間の終端位置から第1閾値距離Dth1までの範囲を含む領域を退避可能領域として防護区間を設定する。これにより、対象列車の進行方向と同じ方向に対象列車を退避させることができるため、対象列車の退避が容易になる。また、対象列車の進行方向と同じ方向に対象列車を退避させることができるため、対象列車の運行が可能になった場合に、対象列車の遅延時間を短くすることができる。
また、退避可否判定部53は、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から対象列車の後続列車の前部位置までの距離D2が、対象列車の列車長よりも長い予め設定された第2閾値距離Dth2以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。防護区間設定部54は、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から第2閾値距離Dth2までの範囲を含む領域を退避可能領域として防護区間を設定する。これにより、例えば、対象列車を後方に退避させることができる。
また、退避可否判定部53は、対象列車の前方において踏切制御区間の終端位置から対象列車の先行列車の後部位置までの距離D1が第1閾値距離Dth1未満であり、且つ対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から対象列車の後続列車の前部位置までの距離D2が予め設定された第2閾値距離Dth2以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。防護区間設定部54は、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から第2閾値距離Dth2までの範囲を含む領域を退避可能領域として防護区間に設定する。これにより、対象列車の進行方向と同じ方向に退避できない場合であっても、対象列車の退避を行うことができる。
また、退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、後続列車が停止していることを条件として、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から対象列車の後続列車までの距離D2が第2閾値距離Dth2以上であるか否かを判定する。これにより、踏切制御区間外に退避可能であるか否かを精度よく判定することができる。
また、退避可否判定部53は、対象列車の後続列車がない場合、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から連動駅の境界位置までの距離D3が対象列車の列車長よりも長い第3閾値距離Dth3以上である場合に、踏切制御区間外に退避可能であると判定する。防護区間設定部54は、対象列車の後方において踏切制御区間の始端位置から第3閾値距離Dth3までの範囲を含む領域を退避可能領域として防護区間に設定する。これにより、対象列車が連動駅に進入することを防止することができ、対象列車の退避によって連動駅構内に設定された踏切制御区間に対象列車が進入することを防止することができる。
また、退避可否判定部53は、停止判定部52によって踏切制御区間で対象列車が停止していると判定された場合、踏切制御区間の踏切が予め設定された時間以上継続して警報を出力していることを条件として、踏切制御区間外に退避可能であるか否かを判定する。これにより、例えば、踏切が長期間遮断状態になることを回避することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。