JP7285561B2 - 発電デバイスおよび発電方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水流によって発電する発電デバイスおよび発電方法に関する。
Frank H. J. van der Heyden, Douwe Jan Bonthuis, Derek Stein, Christine Meyer, and Cees Dekker, 「Power Generation by Pressure-Driven Transport of Ions in Nanofluidic Cannels」, NANO LETTERS, 2007, vol.7, No.4, p1022-p1025(非特許文献1)は、細い流路に圧力をかけて水中で電離しているイオンの一方をより多く流すことにより発電させる技術を開示している。
Frank H. J. van der Heyden, Douwe Jan Bonthuis, Derek Stein, Christine Meyer, and Cees Dekker, 「Power Generation by Pressure-Driven Transport of Ions in Nanofluidic Cannels」, NANO LETTERS, 2007, vol.7, No.4, p1022-p1025
しかしながら、上記の非特許文献1に開示されている技術によれば、発電量が微弱である。実用化するためには、発電量を向上させることが望まれる。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、細い流路への水流を利用しながら発電量を向上させることができる発電デバイスおよび発電方法を提供することである。
本開示のある局面に係る発電デバイスは、水で充填された容器と、容器内の第1空間と第2空間との間に配置された、板状の多孔質ガラスであるフィルタ部材とを備える。水流の方向は、フィルタ部材の厚み方向に沿っている。フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。フィルタ部材に第1空間から第2空間に向いた水流が発生したときに、第1空間と第2空間との間の電位差に基づく電力を生成する。
好ましくは、発電デバイスは、フィルタ部材よりも第1空間側の流路に配置され、水の中の不純物を取り除くための別のフィルタ部材をさらに備える。
本開示の別の局面に係る発電デバイスは、水で充填された容器と、容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、外部からの押圧力を受けて移動することにより、第1空間に圧力を印加して、フィルタ部材に第1空間から第2空間に向いた第1水流を発生させる移動部材と、移動部材が押圧力から解放されたときに、フィルタ部材に第2空間から第1空間に向いた第2水流を発生させる付勢部材とを備える。フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。フィルタ部材に水流が発生したときに、第1空間と第2空間との間の電位差に基づく電力を生成する。
好ましくは、発電デバイスは、第1空間および第2空間の各々に設けられた、水素分子および酸素分子からの水の生成反応を促進する触媒をさらに備える。
好ましくは、発電デバイスは、フィルタ部材に第1水流が発生したときに第1空間と第2空間との間の電位差に応じた電力を蓄電するための第1蓄電部と、フィルタ部材に第2水流が発生したときに第1空間と第2空間との間の電位差に応じた電力を蓄電するための第2蓄電部とをさらに備える。
フィルタ部材は多孔質ガラスであってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上500μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上200μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上100μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上50μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上40μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上30μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上20μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上10μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上5μm以下であってよい。多孔質ガラスの孔径は、100nm以上1μm以下であってよい。
好ましくは、発電デバイスは、フィルタ部材における第1空間側に配置された第1支持体と、フィルタ部材における第2空間側に配置された第2支持体とをさらに備える。フィルタ部材は、第1支持体と第2支持体とで挟持される。
本開示の別の局面に係る発電方法は、水で充填された容器と、容器内の第1空間と第2空間との間に配置された、板状の多孔質ガラスであるフィルタ部材とを用いた発電方法である。フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。発電方法は、第1空間に圧力を印加して、フィルタ部材に、第1空間から第2空間に向き、フィルタ部材の厚み方向に沿った水流を発生させるステップと、水流によって、第1空間と第2空間との間の電位差に基づく電力を生成するステップとを備える。
本開示の別の局面に係る発電方法は、水で充填された容器と、容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、移動部材とを用いた発電方法である。フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。発電方法は、外部からの押圧力を受けて移動部材を移動させることにより、第1空間に圧力を印加して、フィルタ部材に第1空間から第2空間に向いた第1水流を発生させるステップと、移動部材を押圧力から解放させて、フィルタ部材に第2空間から第1空間に向いた第2水流を発生させるステップと、フィルタ部材に第1水流または第2水流が発生したときに、第1空間と第2空間との間の電位差に基づく電力を生成するステップとを備える。
本開示によれば、細い流路への水流を利用しながら発電量を向上させることができる。
本実施の形態に係る発電デバイスの構成を示す模式図である。 本実施の形態に係る発電デバイスの構成の一適用例を示す図である。 水流によって発電する原理を説明する図である。 流路の入口と出口とを導電回路によって接続したときの電子の流れを説明する図である。 移動部材が押圧力を受けたときに生じる水流および電流を示す図である。 移動部材が押圧力から解放されたときに生じる水流および電流を示す図である。 フィルタ部材を示す拡大平面図である。 フィルタ部材を示す拡大断面図である。 試料No.1~4のガラスフィルタ板を用いたときの電圧値および電流値の測定結果を示すグラフである。 足の押圧力を図1に示すフィルタホルダー内の水に加えるための治具の断面を示す模式図である。 50mLの純水が試料No.4のガラスフィルタ板を通過している間に発生した電圧の測定結果を示すグラフである。 50mLの純水が試料No.4のガラスフィルタ板を通過している間に流れた電流の測定結果を示すグラフである。 試料No.5のガラスフィルタ板の破断面のSEM(Scanning Electron Microscope)画像を示す図である。 試料No.6のガラスフィルタ板の破断面のSEM画像を示す図である。 試料No.7のガラスフィルタ板の破断面のSEM画像を示す図である。 50mLの純水が試料No.6のガラスフィルタ板を通過している間に発生した電圧の測定結果を示すグラフである。 50mLの純水が試料No.6のガラスフィルタ板を通過している間に流れた電流の測定結果を示すグラフである。 変形例に係る発電デバイスの一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。また、以下で説明する実施の形態または変形例は、適宜組み合わされてもよい。
(発電デバイスの構成)
図1は、本実施の形態に係る発電デバイスの構成を示す図である。図1に示す発電デバイス1Aは、水で充填された容器であるフィルタホルダー81と、フィルタ部材50aとを備える。フィルタ部材50aは、フィルタホルダー81内のフィルタ部材50aより上流側の第1空間81aとフィルタ部材50aより下流側の第2空間81bとの間に配置された、板状の多孔質ガラスである。フィルタ部材50aは、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。発電デバイス1Aは、フィルタ部材50に第1空間81aから第2空間(81b)に向かう水流が発生したときに、第1空間81aと第2空間81bとの間の電位差に基づく電力を生成する。水流の方向は、フィルタ部材50aの厚み方向に沿っている。図1に示す発電デバイス1Aにより、細い流路への水流を利用しながら発電量を向上させることができる。以下に、本実施の形態に係る発電デバイスの一適用例について説明する。
図2は、本実施の形態に係る発電デバイスの一適用例を示す図である。図2に示される発電デバイス1は、人体の歩行動作における足の運動エネルギーを電力に変換する。なお、発電デバイスは、歩行動作に限らず、人体の他の動作(たとえば着座動作など)による運動エネルギーを電力に変換してもよい。さらに、発電デバイスは、人以外の動物の運動エネルギーおよび機械の運動エネルギーを電力に変換してもよい。
発電デバイス1は、容器10と、フィルタ部材50と、支持体61,62と、移動部材20と、第1回路30と、第2回路40とを備える。
容器10は、上側容器11と下側容器12と可動板13,14とシール部材15とを含む。下側容器12は有底円筒状の部材である。上側容器11は、平座金状の中空空間16aが形成されたリング部16と、リング部16の外周端から下方に延びた垂下部17とから構成される。リング部16の下面には、中空空間16aに繋がる環状のスリット16bが形成されている。
下側容器12の外周面には雄ねじ12aが形成されている。垂下部17の内周面には、雄ねじ12aを螺合可能な雌ねじ17aが形成されている。上側容器11と下側容器12との間にシール部材15を配置させた状態で、下側容器12の雄ねじ12aと上側容器の雌ねじ17aとを螺合することにより、上側容器11と下側容器12とが一体化される。上側容器11と下側容器12とが一体化されたとき、リング部16に形成された中空空間16aは、スリット16bを介して下側容器12の内部空間と連通する。さらに、リング部16の内周壁16cで囲まれた空間も下側容器12の内部空間と連通する。
可動板13は、円板状であり、リング部16の内周壁16cで囲まれた空間を閉じる。可動板13は、リング部16の内周壁16c上を上下方向に摺動可能である。
可動板14は、平座金状であり、リング部16の中空空間16a内に配置される。可動板14は、中空空間16aの側壁面上を上下方向に摺動可能である。
上側容器11と下側容器12と可動板13,14とシール部材15とにより密閉空間18が形成され、密閉空間18内に水が充填される。
フィルタ部材50は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい板状の部材である。フィルタ部材50は、たとえば板状の多孔質ガラス、ガラスで形成された毛細管を二次元状に配列したガラスプレート、複数の細孔が形成されたガラスプレートによって構成される。
支持体61,62は、板状のフィルタ部材50を挟み込むことにより、フィルタ部材50を支持する。これにより、フィルタ部材50の破損を抑制することができる。支持体61,62は、フィルタ部材50よりも水を通過させやすい部材であればよく、たとえばフィルタ部材50よりも孔径の大きい多孔質ガラスなどによって構成される。
フィルタ部材50と支持体61,62とは、下側容器12内に収容され、密閉空間18を第1空間18aと第2空間18bとに区分けする。第1空間18aは、上側容器11と可動板13とシール部材15と支持体61とに囲まれた空間である。第2空間18bは、上側容器11と可動板14とシール部材15と下側容器12と支持体62とに囲まれた空間である。第2空間18bは、中空空間16aの一部を含む。言い換えると、フィルタ部材50は、第1空間18aと第2空間18bとの間に配置される。支持体61は、フィルタ部材50の第1空間18a側に配置され、支持体62は、フィルタ部材50の第2空間18b側に配置される。
移動部材20は、人体の足の押圧力(つまり、人体の重力)を受けて下方に移動する。移動部材20は、可動板13に接続されている。そのため、移動部材20が下方に移動することにより、可動板13も下方に移動する。可動板13が下方に移動すると、第1空間18aの水の一部が支持体61、フィルタ部材50および支持体62を通過して第2空間18bに流れ込む。これにより、可動板14は上方へ移動する。このように、移動部材20は、第1空間18aから第2空間18bに向いた水流を発生させる水流発生部材である。
なお、移動部材20と可動板13とは一体に形成されていてもよい。また、移動部材20は、リング部16の内周壁16cで囲まれた空間を閉じるとともに、内周壁16c上を上下方向に摺動するように構成されてもよい。この場合には、可動板13を省略することができる。
複数のコイルばね23は、中空空間16aの天井と可動板14との間に配置される。移動部材20が足の押圧力を受けることにより可動板14が上方へ移動すると、コイルばね23が縮み、コイルばね23に弾性エネルギーが蓄えられる。移動部材20が押圧力から解放されると、コイルばね23は、蓄積された弾性エネルギーにより、可動板14に対して下方への付勢力を加える。これにより、第2空間18bの水の一部が支持体62、フィルタ部材50および支持体61を通過して第1空間18aに流れ込む。
第1回路30は、正極端子31と、ダイオード32と、コンデンサ33と、負極端子34とを含む。正極端子31は、容器10内の第2空間18b内に配置される。ダイオード32は、正極端子31に接続されたアノードと、コンデンサ33の一方端に接続されたカソードとを有する。コンデンサ33の他方端は負極端子34に接続される。負極端子34は、容器10内の第1空間18a内に配置される。正極端子31および負極端子34の表面にはPt触媒が付着されている。
(発電デバイスによる発電原理)
図3は、水流によって発電する原理を説明する図である。図3には、ガラス製のフィルタ部材50内の細い流路51に純水が流れる様子が示される。水の一部は、熱的バランスによって、水素イオン(H)と水酸化物イオン(OH)に電離している。水に圧力が加えられ、水が細い流路51に導かれると、水素イオンは流路51を通りやすいものの、水酸化物イオンは流路51内に入りにくい。これは、流路51の壁面がシラノール基の存在により負に帯電されているためである。つまり、フィルタ部材50は、その表面電荷により水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。その結果、流路51の出口では水素イオン濃度が増大し、流路51の入口では水酸化物イオン濃度が増大する。つまり、ガラス製のフィルタ部材50内の細い流路51は、イオンフィルタとして機能する。
図4は、流路51の入口と出口とを導電回路80によって接続したときの電子の流れを説明する図である。上記のように、流路51の入口では水酸化物イオン濃度が増大し、流路51の出口では水素イオン濃度が増大するため、流路51の入口と出口との間に電位差が生じる。そのため、導電回路80に電子の流れが発生する。流路51の入口では、水酸化物イオンが以下の化学反応式(1)に従って反応し、酸素分子(O)と水(HO)と電子(e)とが生成される。
OH→1/4O+1/2HO+e (1)
生成された電子は、導電回路80に流れる。
流路51の出口では、導電回路80から電子を受け取った水素イオンが以下の化学反応式(2)に従って反応し、水素分子(H)が生成される。
+e→1/2H (2)
このようにして、導電回路80に電流が流れ、水素イオンおよび水酸化物イオンは、上記化学反応式(1)および(2)に従って、それぞれ水素分子および酸素分子へと変化する。しかしながら、新たな水素イオンおよび水酸化物イオンが残存している水から熱的バランスによって生成される。さらに、生成された水素分子および酸素分子は、Pt触媒によって水に戻される。そのため、流路51に水流が生じている限り、導電回路80には永久的に電流が流れ続ける。
図5は、移動部材20が押圧力Aを受けたときに生じる水流および電流を示す図である。移動部材20が人体の足から押圧力Aを受けて下方に移動すると、可動板13も下方に移動する。これにより、第1空間18aに圧力が印加される。第1空間18aに印加された圧力が、コイルばね23によって第2空間18bに印加される圧力よりも大きくなると、第1空間18a内の水は、支持体61、フィルタ部材50および支持体62を通って第2空間18bに流れる。すなわち、フィルタ部材50に第1空間18aから第2空間18bに向いた第1水流F1が発生する。図5に示されるように、第1水流F1は、板状のフィルタ部材50の厚み方向に沿っている。このとき第2空間18bに水が流れ込むため、可動板14は、コイルばね23の付勢力に抗って上方に移動する。
第1水流F1により、第1空間18aにおいて水酸化物イオン濃度が増大し、第2空間18bにおいて水素イオン濃度が増大する。これにより、第2空間18bの電位が第1空間18aの電位よりも高くなり、第1回路30において、第2空間18bに設置された正極端子31から第1空間18aに設置された負極端子34へ向いた電流I1が生じる。その結果、コンデンサ33に電力が蓄電される。一方、第2回路40では、第1空間18aに設置された正極端子41にアノードが接続され、第2空間18bに設置された負極端子44にコンデンサ43を介してカソードが接続されたダイオード42のために電流が流れない。
第1回路30に電流I1が流れることにより、第1空間18aでは水酸化物イオンが酸素分子および水に変化し、第2空間18bでは水素イオンが水素分子に変化する。
図6は、移動部材20が押圧力Aから解放されたときに生じる水流および電流を示す図である。移動部材20が押圧力A(図5参照)から解放されると、可動板14は、コイルばね23の付勢力を受けて下方に移動する。これにより、第2空間18bに圧力が印加され、第2空間18b内の水は、支持体62、フィルタ部材50および支持体61を通って第1空間18aに流れる。すなわち、フィルタ部材50に第2空間18bから第1空間18aに向いた第2水流F2が発生する。このとき第1空間18aに水が流れ込むため、可動板13および移動部材20は上方に戻される。
第2水流F2により、第1空間18aにおいて水素イオン濃度が増大し、第2空間18bにおいて水酸化物イオン濃度が増大する。これにより、第1空間18aの電位が第2空間18bの電位よりも高くなり、第2回路40において、第1空間18aに設置された正極端子41から第2空間18bに設置された負極端子44へ向いた電流I2が生じる。その結果、コンデンサ43に電力が蓄電される。一方、第1回路30では、第2空間18bに設置された正極端子31にアノードが接続され、第1空間18aに設置された負極端子34にコンデンサ33を介してカソードが接続されたダイオード32のために電流が流れない。
第2回路40に電流I2が流れることにより、第1空間18aでは水素イオンが水素分子に変化し、第2空間18bでは水酸化物イオンが酸素分子および水に変化する。
人体の歩行動作に伴い、移動部材20が押圧力Aを受ける状態と移動部材20が押圧力Aから解放される状態とが繰り返される。これにより、コンデンサ33,43に交互に電力が蓄電され続ける。
第1空間18aでは、上述したように、第1回路30に電流I1が流れたときに酸素分子が生成され、第2回路40電流I2が流れたときに水素分子が生成される。生成された水素分子と酸素分子とは、以下の化学反応式(3)に従って互いに反応して水に戻る。
+1/2O→HO (3)
当該反応は、正極端子41および負極端子34に付着されたPt触媒によって促進される。
第2空間18bでは、第1回路30に電流I1が流れたときに水素分子が生成され、第2回路40電流I2が流れたときに酸素分子が生成される。生成された水素分子と酸素分子とは、化学反応式(3)に従って反応して水に戻る。当該反応は、正極端子31および負極端子44に付着されたPt触媒によって促進される。
なお、発電デバイス1は、フィルタ部材50のイオンフィルタ特性を適宜変更するなどして、フィルタ部材50に第1水流F1が発生したときのみ第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に基づく電力を生成するように構成されてもよい。もしくは、発電デバイス1は、フィルタ部材50に第2水流F2が発生したときのみ第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に基づく電力を生成するように構成されてもよい。
しかしながら、発電効率を考えれば、フィルタ部材50に第1水流F1が発生したとき、および第2水流F2が発生したときの各々において電力を生成するように構成することが最も好ましいのは言うまでもない。
また、容器10に充填される液体は、他の電解質の塩を含んでいる任意の電解質溶液でも良い。ただし、水以外の電解質溶液を用いた場合には、一般的には、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の電解質イオンがガラス表面に付着することにより、フィルタ部材50のデバイ長が短くなり、発電効率が低下する傾向がある。従って、水が最も好適である。
(発電性能)
図7は、フィルタ部材50を示す拡大平面図である。図8は、フィルタ部材50を示す拡大断面図である。図7および図8に示されるように、フィルタ部材50の流路51の直径を2a、長さをLとする。水が半径a、長さLの管に単位時間内に流れる量Qは、Hagen-Poiseuilleの法則に従って、以下の式(4)で示される。
Q=πaΔP/8μL (4)
式(4)において、ΔPは管の入口と出口との圧力差であり、μは水の粘度である。
そのため、フィルタ部材50の面積をS、フィルタ部材50中の単位面積当たりの流路数をpとするとき、体積ΔVの水がフィルタ部材50を通過するのに要する時間tは、以下の式(5)で示される。
t=8μLΔV/pSπaΔP (5)
図2に示す発電デバイス1において、移動部材20が足から押圧力を受ける時間は、人体の歩行動作における足の着地時間に相当する。当該着地時間から、容器10に収容する水の体積、流路51の直径、長さを適宜設計すればよい。
さらに、流路51の側壁と水との界面におけるゼータ電位をζ、水の誘電率をε、水の導電率をKとするとき、フィルタ部材50の入口と出口との間の電圧Uおよび電流Iは、以下の式(6)(7)で示される。
U=εζΔP/μK (6)
I=pSπaεζΔP/μL (7)
上記の式(6)(7)から発電デバイス1の発電量(=U・I)を見積もることができる。
(発電量の検証実験)
図2に示す発電デバイス1による発電量を検証するための実験を行なった。図1には、検証実験に用いた発電デバイス1Aが示される。図1に示す発電デバイス1Aでは、水で充填された容器であるフィルタホルダー81内に、フィルタ部材50aを配置し、水を加圧して、フィルタ部材50aに水を通過させた。言い換えると、フィルタ部材50aは、フィルタホルダー81内のフィルタ部材50aより上流側の第1空間81aとフィルタ部材50aより下流側の第2空間81bとの間に配置される。そして、フィルタ部材50aに、第1空間81aから第2空間81bに向いた水流を発生させる。水流の方向は、フィルタ部材50aの厚み方向に沿っている。そして、フィルタ部材50aの下流側に設けた正極端子91と、フィルタ部材50aの上流側に設けた負極端子92との間の電圧および電流を測定器93により測定した。フィルタホルダー81として、Swinnexフィルタホルダー25mm(日本ミリポア社製)を用いた。
(実験1)
フィルタ部材50aの流路径による発電量の変化について確認した。具体的には、フィルタ部材50aとして、粉々にしたガラスを焼結することによって作製した、細孔径が異なる4種類の多孔質ガラスであるガラスフィルタ板(富士理化工業株式会社製)を用いた。圧力コンプレッサによって生成された水圧0.1MPaをガラスフィルタ板にかけた。水は、メルクミリポア社製の超純製造装置によって製造された純水(ミリQ水)を用いた。4種類のガラスフィルタ板は、細孔径40~50μmの試料No.1のガラスフィルタ板と、細孔径20~30μmの試料No.2のガラスフィルタ板と、細孔径5~10μmの試料No.3のガラスフィルタ板と、細孔径1μm以下の試料No.4のガラスフィルタ板とである。試料No.1~4のガラスフィルタ板は、直径20mm、厚み3mmの円板状である。細孔径(孔径)は、水銀ポロシメータ(水銀圧入法)を用いて測定された平均孔径の値である。
図9は、試料No.1~4のガラスフィルタ板を用いたときの電圧値および電流値の測定結果を示すグラフである。図9に示されるように、水圧が一定であるにもかかわらず、細孔径が小さくなるにつれて電流値および電圧値が上昇することが確認された。
上記の式(6)に示されるように、電圧値は、理論的には細孔径に依存しない。しかしながら、細孔径の大きいガラスフィルタ板では、圧力コンプレッサによる水圧がガラスフィルタ板に集中せず、別の箇所(たとえば、配管など)において損失が生じたと推定される。その結果、ガラスフィルタ板にかかる実際の水圧が0.1MPaよりも低下し、細孔径が大きいガラスフィルタ板では電圧値が低下したものと考えられる。一方、流量当たりの電流値は、上記の式(4)および(7)から導かれるように、細孔の半径aの二乗に反比例するため、孔径が小さいほど流量当たりの発生電流が大きくなることがわかる。また、孔径が極端に大きくなると、シラノール基による壁面効果が低下し流路51のイオンフィルタとしての機能が低下するため、発電効率が下がると考えられる。
図9に示す結果から、細孔径50μm以下の試料No.1~4のガラスフィルタ板を用いることにより、ガラスフィルタ板に第1空間81a(図1参照)から第2空間81b(図1参照)に向かう水流が発生したときに、第1空間81aと第2空間81bとの間の電位差に基づく電力を発生させることができた。このことから、多孔質ガラスを用いる場合、一例として、本実験で発電効果が示された孔径50μm以下のものを用いることができる。なお、上記の式(4)および(7)から、理論的には、孔径が小さい程発生電流が大きくなるため、孔径の下限は特に限定されない。ただし、孔径が小さくなりすぎると、水圧に対して破損する可能性が高まるため、ガラスフィルタ板の水圧への耐性を考慮して孔径の下限(例えば100nm)が適宜定められる。
(実験2)
図10は、足の押圧力を図1に示すフィルタホルダー81内の水に加えるための治具の断面を示す模式図である。図10では測定器93の図示を省略している。フィルタホルダー81内のフィルタ部材50aとして、上記の試料No.4のガラスフィルタ板を用いた。図10に示されるように、治具100は、フィルタホルダー81を支持する土台部94と、土台部94の上に設けられたシリンジホルダー95と、シリンジホルダー95によって保持されたシリンジ96と、シリンジ96内を可動するピストン97と、ピストン97の上面に接する蓋部98とを備える。シリンジ96の出口は、フィルタホルダー81の入口に接続されている。蓋部98を足で踏み、体重(約60kg)をピストン97にかけることにより、シリンジ96内に充填された50mLの純水(ミリQ水)に圧力0.7MPaをかけ、試料No.4のガラスフィルタ板を通過させた。
図11は、50mLの純水が試料No.4のガラスフィルタ板を通過している間に発生した電圧の測定結果を示すグラフである。図12は、50mLの純水が試料No.4のガラスフィルタ板を通過している間に流れた電流の測定結果を示すグラフである。圧力0.7MPaによって50mLの純水がガラスフィルタ板を通過するのに要した時間は約1秒であった。そのため、図11および図12に示されるように、電圧5V、電流4μAの電力20μWを約1秒間発生させることができた。電力20μWは、非特許文献1に開示されている電力よりも格段に大きい。さらに、約1秒間発電し続けることができるため、振動周波数の小さい人体の運動にも十分に対応できる。
(実験3)
図10に示す治具100を用いて、測定器93(図1参照)の代わりに静電容量1μFのコンデンサを接続した。シリンジ96内に50mLの純水を供給して蓋部98を踏みつける動作によりコンデンサに電力を蓄電した。その後、当該コンデンサ蓄電された電力をLEDに供給したところ、LEDは、約0.1秒間明るく点灯した。
(実験4)
図10に示す治具100を用いて、測定器93(図1参照)の代わりにLEDを直接接続した。シリンジ96内に50mLの純水を供給して蓋部98を踏みつける動作を行なったところ、LEDは、弱い光ではあるが動作の間約1秒間点灯した。
(実験5)
実験1~4で用いた市販のガラスフィルタ板(富士理化工業株式会社製)の代わりに、ガラス粉末を焼結させたガラスフィルタ板(多孔質ガラス板)を用いて、実験2と同じ方法の測定を行なった。
ガラス粉末として、「IWAKI CTE33ガラス管」(AGCテクノグラス株式会社製)を粉砕することにより得られたホウケイ酸ガラス粉末(粒径16~40μm)を用いた。ホウケイ酸ガラス粉末をカーボン製治具で成型し、アルミナおもりを載せた状態で真空炉にて焼結温度800℃、保持時間0.5時間で焼結させることにより、直径20mm、厚み2~3mmの円板状の試料No.5のガラスフィルタ板を作製した。さらに、焼結時の保持時間を1.0時間とした点を除いて、試料No.5と同じ方法で、試料No.6のガラスフィルタ板を作製した。焼結時の保持時間を1.5時間とした点を除いて、試料No.5と同じ方法で、試料No.7のガラスフィルタ板を作製した。
図13Aは、試料No.5のガラスフィルタ板の破断面のSEM(Scanning Electron Microscope)画像を示す図である。図13Bは、試料No.6のガラスフィルタ板の破断面のSEM画像を示す図である。図13Cは、試料No.7のガラスフィルタ板の破断面のSEM画像を示す図である。図13A~図13Cに示されるように、試料No.5~7のガラスフィルタ板は、多孔質である。
図14は、50mLの純水が試料No.6のガラスフィルタ板を通過している間に発生した電圧の測定結果を示すグラフである。図15は、50mLの純水が試料No.6のガラスフィルタ板を通過している間に流れた電流の測定結果を示すグラフである。図14および図15に示されるように、試料No.6のガラスフィルタ板を用いることにより、最大電圧値2.5V、最大電流値2.8μの比較的大きい電力が発生することが確認された。試料No.5~7の最大電圧値および最大電流値の計測結果を表1に示す。
Figure 0007285561000001
(実験6)
純水(ミリQ水)の代わりに水道水を用いて、実験2と同じ方法の測定を行なったとこ、100~200mVの電圧が発生し、実用可能なレベルで発電することが確認された。
従来、流動電流による発電デバイスは、非特許文献1に記載されているような、細く長い1本の流路を設けたものであり、電気抵抗が高いため、電流量はごくわずかであった。
発電量を増やすには、細く長い流路を大量並列集積して電流値を稼げばよい。この目的で、例えば、キャピラリープレート基板のような、複数の流路が互いに非接触で整然と並列しているデバイス等をフィルタ部材として設け、短流路の並列集積回路を構成することが考えられる。
本実施の形態は、このような短流路の並列集積に板状の多孔質ガラスを用いてもよいことを特徴の1つとしている。多孔質ガラスをフィルタ部材とすると、キャピラリープレート基板のような複数の流路が互いに非接触で整然と並列している構造をフィルタ部材としたときと比較し、水流は複雑になる。ガラスポアの生成パターンはランダムであるため、水の流路もその形状にそって複雑にくねって進んだり、回り込んだり、複数の流路が互いに接触している箇所もあり、或いは途中で流路が行き止まりの箇所もある。
そうすると、多孔質ガラスをフィルタ部材の並列回路として用いると、並列による電流値(電力値)の逓倍効果が期待できないことも一見予想される。しかし、多孔質ガラスをフィルタ部材として用いた上記の実験1~6を行った所、上記に示されるように、比較的大きい電力を発生させることが確認された。このように、多孔質ガラスをフィルタ部材として用いて、短流路を大量集積した並列回路の発電デバイスを構成できることが確認され、多孔質ガラスをフィルタ部材として用いた発電デバイスの完成に至った。
(作用・効果)
以上のように、本実施の形態に係る発電デバイス1は、水で充填された容器10と、容器10内の第1空間18aと第2空間18bとの間に配置された、板状の多孔質ガラスであるフィルタ部材50と、第1空間18aに圧力を印加して、フィルタ部材50に第1空間18aから第2空間18bに向いた水流を発生させる水流発生部材である移動部材20とを備える。水流の方向は、フィルタ部材50の厚み方向に沿っている。フィルタ部材50は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。フィルタ部材50に水流が発生したときに、第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に基づく電力を生成する。
また、本実施の形態に係る発電デバイス1は、以下のようにも表現できる。水で充填された容器10と、容器10内の第1空間18aと第2空間18bとの間に配置されたフィルタ部材50と、移動部材20と、付勢部材であるコイルばね23とを備える。移動部材20は、外部からの押圧力を受けて移動することにより、第1空間18aに圧力を印加して、フィルタ部材50に第1空間18aから第2空間18bに向いた第1水流F1を発生させる。コイルばね23は、移動部材20が押圧力から解放されたときに、フィルタ部材50に第2空間18bから第1空間18aに向いた第2水流F2を発生させる。フィルタ部材50は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすい。フィルタ部材50に水流が発生したときに、第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に基づく電力を生成する。
上記の構成の発電デバイス1は、上記の実験1~5の結果から、細い流路への水流を利用しながら発電量を向上させることができる。
また、近年、人体の運動エネルギーを用いて発電するシステムが開発されている。このようなシステムとしては、電磁誘導、圧電効果、静電誘導のいずれかを用いた発電システムが知られている。しかしながら、電磁誘導、圧電効果、静電誘導のいずれかを用いた発電システムにおいて効率的に発電できる振動周波数は、人体の運動における一般的な振動周波数よりも高い。具体的には、電磁誘導、圧電効果、静電誘導のいずれかを用いた発電システムにおいて効率的に発電できる振動周波数は10Hz以上であるのに対し、人体の運動における一般的な振動周波数はおよそ1Hz以下である。そのため、電磁誘導、圧電効果、静電誘導のいずれかを用いた発電システムでは、人体の運動エネルギーを効率的に電力に変換することができない。
上記の非特許文献1に開示されている技術によれば、人体の運動における一般的な振動周波数であっても、流路に圧力をかけている時間だけ効率的に発電可能である。しかしながら、非特許文献1には、人体の運動によって流路にイオンを流し、効率的に発電させる手法について一切開示されていない。
本開示は、上記の課題をも解決するためになされたものであって、人体を含む物体の運動エネルギーを効率的に電力に変換することができる発電デバイスを提供することを別の目的とする。
本実施の形態に係る上記の構成により、たとえば人体の動作による押圧力を受けて移動部材20が移動することによりフィルタ部材50に第1水流F1が発生する。さらに、移動部材20が押圧力から解放されることによりフィルタ部材50に第2水流F2が発生する。フィルタ部材50が水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすいため、フィルタ部材50に第1水流F1が発生すると、第1空間18aにおいて水酸化物イオン濃度が高くなり、第2空間18bにおいて水素イオン濃度が高くなる。その結果、第1空間18aと第2空間18bとの間に電位差が生じ、当該電位差に基づく電力を生成することができる。同様に、フィルタ部材50に第2水流F2が発生すると、第1空間18aにおいて水素イオン濃度が高くなり、第2空間18bにおいて水酸化物イオン濃度が高くなる。その結果、第1空間18aと第2空間18bとの間に電位差が生じ、当該電位差に基づく電力を生成することができる。
フィルタ部材50に第1水流F1または第2水流F2が発生している間中、発電デバイス1は発電することができる。そのため、人体の運動における一般的な振動周波数の押圧力が移動部材20に印加されたとしても、発電デバイス1は、効率的に発電できる。さらに、移動部材20が押圧力を受けたときにはフィルタ部材50に第1水流F1が発生し、移動部材20が押圧力から解放されたときにはフィルタ部材50に第2水流F2が発生するため、人体の繰り返される運動に追従して発電できる。このように、発電デバイス1は、人体を含む物体の運動エネルギーを効率的に電力に変換することができる。
なお、付勢部材として、コイルばね23ではなく、板ばね、ゴム等の弾性体、シーソー型の機構、部材同士を密閉するためのパッキング部材やシール部材などを用いてもよい。
発電デバイス1は、第1空間18aおよび第2空間18bの各々に設けられた、水素分子および酸素分子からの水の生成反応を促進するPt触媒をさらに備える。これにより、第1空間18aおよび第2空間18bにおいて、水素イオンが電子を受けることにより生成された水素分子(H)と、水酸化物イオンが電子を放出することにより生成された酸素分子(O)とを水(HO)に戻すことができる。その結果、発電デバイス1が長期間使用されたとしても水を容器10内に補充しなくてもよい。なお、水素分子および酸素分子の水への反応を促進する触媒として、Pt以外にも、銅その他の各種遷移元素が使用可能である。
発電デバイス1は、コンデンサ33,43をさらに備える。コンデンサ33は、フィルタ部材50に第1水流F1が発生したときに第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に応じた電力を蓄電するための第1蓄電部として働く。コンデンサ43は、フィルタ部材50に第2水流F2が発生したときに第1空間18aと第2空間18bとの間の電位差に応じた電力を蓄電するための第2蓄電部として働く。これにより、第1水流F1または第2水流F2が継続して発生する期間が短く、当該期間の発電力が小さくても、コンデンサ33,43から大きな電力を外部に供給することができる。なお、第1蓄電部および第2蓄電部として、コンデンサ33,43ではなく2次電池等を用いてもよい。
フィルタ部材50は多孔質ガラスである。フィルタ部材50は、直径50μm以下の複数の孔が形成されたガラスであってもよい。フィルタ部材50は、直径1μm以下の複数の孔が形成されたガラスであってもよい。
発電デバイス1は、フィルタ部材50における第1空間18a側に配置された支持体(第1支持体)61と、フィルタ部材50における第2空間18b側に配置された支持体(第2支持体)62とをさらに備える。フィルタ部材50は、支持体61と支持体62とで挟持される。これにより、フィルタ部材50の破損等を抑制することができる。
図1に示す発電デバイス1Aを用いて発電させてもよい。または、図10に示す治具100を発電デバイスとして用いてもよい。図1に示す発電デバイス1A、または図10に示す治具100からなる発電デバイスであっても、上記の実験1~6の結果から、細い流路への水流を利用しながら発電量を向上させることができる。
図10に示す治具100では、ピストン97が、フィルタ部材50aの上方の空間(第1空間)からフィルタ部材50aの下方の空間(第2空間)に向いた水流を発生させる水流発生部材として機能する。水流の方向は、板状のフィルタ部材50aの厚み方向である。なお、上記の図10に示す治具を発電デバイスとして用いる場合、水流発生部材として、ピストン97の代わりにポンプを用いてもよい。
上記の実験6の結果から、水として、水道水を用いてもよいし、純水(ミリQ水)を用いてもよい。なお、不純物の多い水を用いる場合には、フィルタ部材50,50aの上流側に、水中の不純物を取り除くための別のフィルタ部材を配置してもよい。
図16は、変形例に係る発電デバイスの一例を示す図である。図16に示す発電デバイス1Bは、図10に示す治具100と比較して、土台部94、シリンジホルダー95、シリンジ96、ピストン97及び蓋部98の代わりに水流発生部材70を備えるとともに、フィルタ部材71をさらに備える点で相違する。
水流発生部材70は、フィルタ部材50aに厚み方向の水流を発生させる部材であり、ポンプ等で構成される。例えば、水流発生部材70は、公共の水道管に設置されるポンプであってもよい。もしくは、水流発生部材70は、図10と同じように、土台部94、シリンジホルダー95、シリンジ96、ピストン97及び蓋部98で構成されてもよい。
フィルタ部材71は、フィルタ部材50aの上流側(上方の空間側)の流路に配置され、水の中の不純物を取り除く。フィルタ部材71は、例えば、メルクミリポア社製超純水製造装置等に装着可能なフィルタ(ミリQフィルタ)、活性炭フィルタ、イオン交換フィルタなどで構成される。
図16に示す例の発電デバイス1Bによれば、不純物の多い水であっても、フィルタ部材71によって不純物を取り除くことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の発電デバイスは、水流で駆動する環境発電デバイスである。水がある限り発電を持続でき、圧力に応じて狭い範囲でも電流が得られる。また、本発明の発電デバイスは、直流型の水力発電システムである。直流電力としてそのままコンデンサや蓄電池への蓄電が可能であり、携帯電話、健康管理デバイス、介護用ベッド、歩行センサ、ポータブルプレーヤー等の電子デバイスに広く一般に適用できる。
1,1A,1B 発電デバイス、10 容器、11 上側容器、12 下側容器、12a 雄ねじ、13,14 可動板、15 シール部材、16 リング部、16a 中空空間、16b スリット、16c 内周壁、17 垂下部、17a 雌ねじ、18 密閉空間、18a 第1空間、18b 第2空間、20 移動部材、23 コイルばね、30 第1回路、31,41,91 正極端子、32,42 ダイオード、33,43 コンデンサ、34,44,92 負極端子、40 第2回路、50,50a,71 フィルタ部材、51 流路、61,62 支持体、70 水流発生部材、80 導電回路、81 フィルタホルダー、93 測定器、94 土台部、95 シリンジホルダー、96 シリンジ、97 ピストン、98 蓋部、100 治具、A 押圧力、F1 第1水流、F2 第2水流、I1,I2 電流。

Claims (6)

  1. 水で充填された容器と、
    前記容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、
    外部からの押圧力を受けて移動することにより、前記第1空間に圧力を印加して、前記フィルタ部材に前記第1空間から前記第2空間に向いた第1水流を発生させる移動部材と、
    前記第2空間に配置される可動部材と、
    前記移動部材が前記押圧力から解放されたときに、弾性エネルギーにより前記可動部材に付勢力を加えて、前記フィルタ部材に前記第2空間から前記第1空間に向いた第2水流を発生させる付勢部材とを備え、
    前記フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすく、
    前記フィルタ部材に前記第1水流または前記第2水流が発生したときに、前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に基づく電力を生成する、発電デバイス。
  2. 発電デバイスであって、
    水で充填された容器と、
    前記容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、
    外部からの押圧力を受けて移動することにより、前記第1空間に圧力を印加して、前記フィルタ部材に前記第1空間から前記第2空間に向いた第1水流を発生させる移動部材と、
    前記移動部材が前記押圧力から解放されたときに、前記フィルタ部材に前記第2空間から前記第1空間に向いた第2水流を発生させる付勢部材とを備え、
    前記フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすく、
    前記フィルタ部材に前記第1水流または前記第2水流が発生したときに、前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に基づく電力を生成し、
    前記発電デバイスは、
    前記フィルタ部材に前記第1水流が発生したときに前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に応じた電力を蓄電するための第1蓄電部と、
    前記フィルタ部材に前記第2水流が発生したときに前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に応じた電力を蓄電するための第2蓄電部とをさらに備える、発電デバイス。
  3. 前記第1空間および前記第2空間の各々に設けられた、水素分子および酸素分子からの水の生成反応を促進する触媒をさらに備える、請求項1または2に記載の発電デバイス。
  4. 前記フィルタ部材における前記第1空間側に配置された第1支持体と、
    前記フィルタ部材における前記第2空間側に配置された第2支持体とをさらに備え、
    前記フィルタ部材は、前記第1支持体と前記第2支持体とで挟持される、請求項1から3のいずれか1項に記載の発電デバイス。
  5. 水で充填された容器と、
    前記容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、
    移動部材と
    前記第2空間に配置される可動部材と、
    付勢部材とを用いた発電方法であって、
    前記フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすく、
    外部からの押圧力を受けて前記移動部材を移動させることにより、前記第1空間に圧力を印加して、前記フィルタ部材に前記第1空間から前記第2空間に向いた第1水流を発生させるステップと、
    前記移動部材を前記押圧力から解放させ、前記付勢部材の弾性エネルギーにより前記可動部材に付勢力を加えて、前記フィルタ部材に前記第2空間から前記第1空間に向いた第2水流を発生させるステップと、
    前記フィルタ部材に前記第1水流または前記第2水流が発生したときに、前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に基づく電力を生成するステップとを備える、発電方法。
  6. 水で充填された容器と、
    前記容器内の第1空間と第2空間との間に配置されたフィルタ部材と、
    移動部材と、
    第1蓄電部と、
    第2蓄電部とを用いた発電方法であって、
    前記フィルタ部材は、水酸化物イオンよりも水素イオンを通過させやすく、
    外部からの押圧力を受けて前記移動部材を移動させることにより、前記第1空間に圧力を印加して、前記フィルタ部材に前記第1空間から前記第2空間に向いた第1水流を発生させるステップと、
    前記移動部材を前記押圧力から解放させて、前記フィルタ部材に前記第2空間から前記第1空間に向いた第2水流を発生させるステップと、
    前記フィルタ部材に前記第1水流または前記第2水流が発生したときに、前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に基づく電力を生成するステップと、
    前記フィルタ部材に前記第1水流が発生したときに前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に応じた電力を前記第1蓄電部に蓄電するステップと、
    前記フィルタ部材に前記第2水流が発生したときに前記第1空間と前記第2空間との間の電位差に応じた電力を前記第2蓄電部に蓄電するステップとを備える、発電方法。
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