JP7284723B2 - 水中騒音の抑制構造および抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、杭打設等の工事により発生する水中騒音の抑制構造および抑制方法に関する。
杭打設等の工事により発生する水中騒音は、周辺に伝播し拡散し、水中生物等に対して影響を与えることが懸念されている。図8のように、水中騒音について、イルカやクジラ、魚類等に対して影響のある周波数等が報告されている(非特許文献1)。また、魚類については損傷を受けるレベル(220dB以上)、忌避(回避)行動を示す威嚇レベル(140~160dB)、魚類にとって快適な強さである誘致レベル(110~130dB)、魚類が聞こえる最小知覚レベル(90~110dB)が明らかとなっている(非特許文献2)。
水中騒音の影響を緩和する方法として、水中ノイズ低減装置および展開システム(特許文献1)、エアバブルカーテン(特許文献2)、パイルスリーブ(非特許文献3)等が提案されている。
一方で、風力発電施設を海上に設置する洋上風力発電では、漁業協調・地域振興や新規漁場創出が提案されている(非特許文献4,5)。
特表2017-504844号公報 実開平01-119431号公報
赤松友成・木村里子・市川光太郎「水中生物音響学―声で探る行動と生態-」コロナ社(2019年1月) 日本埋立浚渫協会「港湾工事環境保全技術マニュアル Doctor of the Sea(改訂第3版)」(2015年) 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「着床式洋上風力発電導入ガイドブック(最終版)」(2018年3月)https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101085.html 漁港漁場漁村技術研究所:消波堤を活用した増養殖場などの操業協調型施設の提案 (一社)マリノフォーラム21:漁業と協調する洋上風力発電施設の事例提案https://www.jfa.maff.go.jp/test/kikaku/other/pdf/mf21.pdf 塩苅恵・今里元信・石田茂資・井上俊司「洋上風力発電施設からの水中放射音に関する研究」海上技術安全研究報告 第15巻 第1号(平成27年度)総合報告https://www.nmri.go.jp/en/_src/26722/PNM21150104-00.pdf
特許文献2のエアバブルカーテンは、杭打設時等の水中騒音の緩和手法として有効であるが、エア供給管の敷設や供気のための専用の船舶が必要である。エアバブルカーテンは、イルカクジラ等の海生哺乳類への影響緩和のために欧州等で広く使用されているが、日本で主対象となる魚類一般への効果は必ずしも十分ではない。
また、日本の洋上風力発電では水深20~30mに設置することが想定されるが(欧州では水深10m程度が多い)、水深が大きくなると、エアバブルカーテンの効率は低下すると考えられる。ボイルの法則 pV=一定 (一定の温度下では体積Vと圧力pの積が一定となる)から水深10mで2気圧、20mで3気圧、30mで4気圧と圧力が増加すると、体積は1/2、1/3、1/4に減少し、水深が大きくなると、吸音に効果がある気体の体積が減少するためである。
また、本発明者等は、先に特願2019-162595において水中騒音による水中生物影響の緩和方法を提案したが、かかる緩和方法は、杭等の打設時による水中騒音による水中生物影響の予測や確認、対策によって影響を緩和するもので、水中騒音の吸収や反射により影響を抑制するものではない。
なお、漁場創出のために海中に投入された人工魚礁等は、設置後に海藻の繁茂とその後の餌料となるプランクトンや小型底棲動物の増加により、蝟集する魚貝類が増加するが、海藻の着生・生育を含めて、効果を発揮するまでに一定の時間が必要となる。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、杭打設等の工事により発生する水中騒音の拡散を抑制可能である水中騒音の抑制構造および抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための水中騒音の抑制構造は、水中騒音の発生地点周辺において前記水中騒音の拡散を抑制する方向に設置された前記水中騒音の抑制に効果がある構造体を備え、前記構造体は、石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、土砂、改質処理土もしくは固化処理土から形成したもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成され、前記構造体は、前記構造体の設置位置において少なくとも水深の1/4の天端高さを有する
この水中騒音の抑制構造によれば、水中騒音の発生地点から水中に設置した構造体に到達するまでの距離減衰、および、構造体における水中音の反射・吸収・透過等により、魚類等の可聴域(おおよそ2000Hz 以下)を含む広い周波数範囲において周辺水域への拡散を抑制し、周辺に生息する魚類等への影響を抑制することができる。
上記水中騒音の抑制構造において、前記構造体を、前記発生地点を包囲するように設置するか、または、前記拡散を抑制する方向に部分的に設置することが好ましい。
また、前記構造体は、石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、土砂、改質処理土もしくは固化処理土から形成したもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成される。
また、前記構造体が石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成される場合、前記積み重ねの空隙率が前記水中騒音の抑制に効果があるように調整されることが好ましい。石やブロック状体を積み重ねた構造物の場合、石同士・ブロック状体同士の隙間での反射や水とブロック状体との密度差による吸収効果を発揮させるため、石・ブロック状体の積み重ねの空隙率を調整し水中騒音の抑制効果を得る。
また、前記構造体は、前記発生地点に対向する傾斜面を有し、前記傾斜面の勾配(y:x)が1:0.3~1:3の範囲内であることが好ましい。構造体の傾斜面の勾配が1:3を超えて緩勾配の場合、発生地点からの水中騒音が傾斜面で反射し広域に伝搬し広がってしまうとともに使用材料が増加して建設費が増大する。
また、前記構造体は、前記発生地点に対向する面が上方から見て凹凸状に形成されることが好ましい。発生地点に対向する面が凹凸状であることで水中騒音の反射・吸収・減衰効果を得ることができる。
また、前記構造体は、前記発生地点に対向する傾斜面を有し、前記傾斜面に前記発生地点から水中騒音が入射し、前記水中騒音のうち前記傾斜面での反射音が前記構造体と前記発生地点との間に進んで減衰し、前記水中騒音のうち前記傾斜面への入射音が前記構造体内で減衰するようにすることが好ましい。
また、前記構造体は、水中騒音が発生する作業の終了後に魚礁や藻礁として機能させることができる。
上記目的を達成するための水中騒音の抑制方法は、水中騒音の発生地点周辺において前記水中騒音の拡散を抑制する方向に、前記水中騒音が発生する作業の実施前に、前記水中騒音の抑制に効果がある構造体を設置し、前記構造体は、石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、土砂、改質処理土もしくは固化処理土から形成したもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成され、前記構造体は、前記構造体の設置位置において少なくとも水深の1/4の天端高さを有する
この水中騒音の抑制方法によれば、水中騒音の発生地点から水中に設置した構造体に到達するまでの距離減衰、および、構造体における水中音の吸収・反射・透過等により、魚類等の可聴域(おおよそ2000Hz 以下)を含む広い周波数範囲において周辺水域への拡散を抑制し、周辺に生息する魚類等への影響を抑制することができる。水中騒音が発生する作業の実施前に構造体を設置し、作業実施の水中騒音の拡散を確実に抑制できる。
上記水中騒音の抑制方法において前記構造体の上部においてエアバブルカーテンを形成すること、または、前記水中騒音の発生が杭打設による場合、前記杭の上側にパイルスリーブを被せることにより、水底面に設置した構造体による水中騒音の拡散抑制の効果が十分でない場合等には、エアバブルカーテンやパイルスリーブと組合せて表層の水中騒音を抑制し、効果の増進を図ることができる。
また、上記水中騒音の抑制方法における構造体として上述の水中騒音の抑制構造における構造体を使用することができる。
本発明の水中騒音の抑制構造および抑制方法によれば、杭打設等の工事により発生する水中騒音の周辺水域への拡散を抑制することができる。
本実施形態による水中騒音の抑制構造を概略的に示す上面図(a)および縦断面図(b)である。 本実施形態による水中騒音の抑制構造の別の構成例二例を概略的に示す上面図(a)(b)である。 図1,図2の水中騒音の抑制構造による水中騒音の抑制機能を概略的に示す縦断面図である。 図1,図2の構造体をコンクリートブロックで構成した場合の側面図(a)、固化処理土等で構成した場合の側面図(b)および固化処理土等とブロックとで構成した場合の側面図(c)である。 図1,図2の構造体の水中騒音の発生地点に対向した傾斜面の勾配を概略的に示す縦断面図(a)(b)である。 本実施形態による水中騒音の抑制構造の構造体の発生地点に対向する面を上部から見た要部上面図である。 図1,図2の構造体の上部にエアバブルカーテンを形成するようにした例を概略的に示す縦断面図(a)、図1,図2の抑制構造の水中騒音の発生地点の鋼管杭にパイルスリーブを装着した例を概略的に示す縦断面図(b)である。 各種の水中騒音源の周波数および水中生物の可聴域を示すグラフである(非特許文献1の図6.1参照)。 本実験例で使用した実験装置を概略的に示す側面図である。 本実験例における水中騒音低減効果確認結果を示すグラフである。 本実験例における傾斜面勾配の違いによる効果確認結果を示すグラフ(a)~(c)である。 風車回転中および停止中の水中音の解析結果を示す図である(非特許文献6の図2.4参照)。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による水中騒音の抑制構造を概略的に示す上面図(a)および縦断面図(b)である。図2は本実施形態による水中騒音の抑制構造の別の構成例二例を概略的に示す上面図(a)(b)である。図3は図1,図2の水中騒音の抑制構造による水中騒音の抑制機能を概略的に示す縦断面図である。図4は、図1,図2の構造体をコンクリートブロックで構成した場合の側面図(a)、固化処理土で構成した場合の側面図(b)および固化処理とブロックとで構成した場合の側面図(c)である。
図1(a)(b)の水中騒音の抑制構造1は、鋼管杭9を水底に打設することによる水中騒音の発生地点10の周辺に発生地点10を包囲して図1(a)のように円状に構成された構造体11を水底上に備える。構造体11は、図1(b)のように平坦な上面12と発生地点10を向いた内側の傾斜面13と周辺水域側を向いた外側の傾斜面14とを有し、縦断面が台形状に構成され、傾斜面13が水中騒音の発生地点10に対向している。なお、傾斜面13が発生地点10に対向していればよく、傾斜面14は傾斜せず直立していてもよい。また、上面12は、平坦でなくともよく、たとえば山形状や円弧状でもよい。
図2(a)の水中騒音の抑制構造2は、図1(a)の全周の構造体11の一部(全周の約1/4)からなる上面から見て円弧状の構造体15を備える。構造体15は、同じく円弧状の平坦な上面16と発生地点10を向いた内側の傾斜面17と周辺水域側を向いた外側の傾斜面18とを有し、縦断面が台形状に構成され、傾斜面17が水中騒音の発生地点10に対向している。
図2(b)の水中騒音の抑制構造3は、上面から見て図面横方向に細長い長方形状の構造体19,23を備える。構造体19は、平坦な上面20と発生地点10を向いた傾斜面21と周辺水域側を向いた傾斜面22とを有し、縦断面が台形状に構成され、傾斜面21が水中騒音の発生地点10に対向している。構造体23は、構造体19とほぼ同一の構成であり、平坦な上面24と発生地点10Aを向いた傾斜面25と周辺水域側を向いた傾斜面26とを有し、縦断面が台形状に構成され、傾斜面25が水中騒音の発生地点10Aに対向している。水中騒音の発生地点10と発生地点10Aとは、図の横方向に離れており、構造体19,23は、発生地点10,10Aに対応して離れて配置されている。なお、水中騒音の発生地点10と発生地点10Aとの間の距離によっては、構造体19、23は一体の構造体として配置されてもよい。
図1,図2の構造体11,15,19,23は、水と密度差があり吸音効果の高い材料から構成することが好ましく、水中騒音の抑制に効果がある構造体を実現できる。かかる材料としては、石、コンクリート、土砂、製鋼スラグ、製鋼スラグと粘性土との改質処理土、セメントと粘性土とのセメント固化処理土、製鋼スラグ・浚渫土・セメント・気泡等の混合物等がある。石は、人工石であってもよい。
一般に音は、反射・透過・吸収等の過程で減衰するが、周辺に遮蔽物が無い水中では、水中音は広域に拡散しやすく、また、水中音は距離とともに減衰する。図3のように、鋼管杭9の水底への打設により水中騒音の発生地点10で発生した水中騒音は、水中を伝搬し減衰するとともに、構造体11の傾斜面13に矢印aのように入射し反射することで減衰し、その反射音が矢印bのように構造体11と発生地点10との間に進み、また、傾斜面13への入射音が矢印cのように構造体11内を透過し吸収されて減衰する。このように、発生地点10からの水中騒音は、構造体11での反射・透過・吸収等により減衰し、反射音が生じても発生地点10側に反射し、その結果、図1(a)の構造体11の外側の周辺水域には拡散し難い。
また、水中騒音の抑制構造2,3において構造体15,19,23を水中騒音の拡散を抑制したい方向にだけ設置することで、発生地点10,10Aからの水中騒音が構造体15,9,23の外側の周辺水域に拡散し難く、構造体11と同様の効果を得ることができる。なお、構造体11,15,19,23は、潜堤または離岸堤として構築される。

構造体11,15,19,23は、図4(a)のように、テトラ状のコンクリートブロック、または、六脚ブロック・八脚ブロックのような消波ブロック等を積み重ねたもの、図4(b)のように、土砂、改質処理土またはセメント固化処理土で形成したもの、図4(c)のように土砂、改質処理土またはセメント固化処理土の上に複数のブロック28を配置したものから構成できる。なお、図4(c)に記載するブロック28の配置は、ブロックを傾斜面にそって積み上げる配置でもよい。
本実施形態の水中騒音の抑制構造1,2,3によれば、水中騒音の発生地点10,10Aから水中に設置した構造体11,15,19,23に到達するまでの距離減衰、および、構造体11,15,19,23における水中音の反射・吸収・透過等により、図8のような魚類等の可聴域(おおよそ2000Hz 以下)を含む広い周波数範囲において周辺水域への拡散を抑制し、周辺に生息する魚類等への影響を抑制することができる。水中騒音が発生する作業の実施前に構造体11,15,19,23を設置し、作業実施の水中騒音の拡散を確実に抑制できる。
次に、本実施形態の水中騒音の抑制構造における好ましい態様について図5~図7を参照して説明する。図5は、図1,図2の構造体の水中騒音の発生地点に対向した傾斜面の勾配を概略的に示す縦断面図(a)(b)である。図6は、本実施形態による水中騒音の抑制構造の構造体の発生地点に対向する面を上部から見た要部上面図である。図7は、図1,図2の構造体の上部にエアバブルカーテンを形成するようにした例を概略的に示す縦断面図(a)、図1,図2の抑制構造の水中騒音の発生地点の鋼管杭にパイルスリーブを装着した例を概略的に示す縦断面図(b)である。
図5(a)のように、構造体11の水中騒音の発生地点に対向した傾斜面13の勾配(y:x)は、1:0.3~1:3 とすることが好ましい。傾斜面13の勾配(y:x)が1:0.3~1:3であると、図3と同様に、水中騒音の発生地点10で発生した水中騒音は、水中を伝搬し、傾斜面13に矢印aの入射音が入射し、矢印bの反射音が構造体11の内側に進む結果、構造体11の反対側の周辺水域に拡散しない。構造体15,19,23においても同様である。また、構造体11,15,19,23の天端高さyは、図5(a)のように、水深Dの1/4 以上が望ましい。
図5(b)のように、構造体の傾斜面の勾配(y:x)が1:3 を超えて緩勾配の場合、発生地点からの水中騒音の入射音aが緩傾斜面30,31で反射し、その反射音dが構造体の外側の周辺水域へと伝搬し広がり拡散してしまうとともに使用材料が増加して建設費が増大する。また、傾斜面の勾配が1:1を超えて1:3以下の場合、傾斜面での反射音が構造体の外側の周辺水域へと伝搬する場合も考えられるが、この場合は、図5(b)の場合よりも反射角度が大きく、一定距離間において水面と構造体・水底との間の反射回数が増える結果、一定距離間での距離減衰や水底面等での吸収により、反射音が周辺水域へ拡散し難い。
また、石やブロックを積み重ねた構造体の場合、石同士やブロック同士の隙間での反射や水と石やブロックとの密度差による反射音の吸収効果を発揮させるため、積み重ねの空隙率が水中騒音の抑制に効果があるように調整されることが好ましく、たとえば、空隙率を50~65%とする。
図6のように、本実施形態による水中騒音の抑制構造の構造体の水中騒音の発生地点10に対向する面40を上部から見て凹凸状に形成することで、水中騒音の反射・吸収・減衰効果を効率的に得ることができる。たとえば、構造体を石やブロックを積み重ねて構築する場合、面40を凹凸状になるように構成する。図6のように、発生地点10からの水中騒音が凹凸状の面40において、矢印d,eのように反射して面40の反対側の周辺水域側に拡散せず、また、吸収されて減衰する。
図7(a)のように、図1,図2の構造体11,15,19,23の上部にエアバブルカーテン41を形成するようにしてもよい。エアバブルカーテン41の形成手段は、たとえば、特許文献2に開示されている。エアバブルカーテンは2000Hz以下の周波数に対する効果は構造体と比較して小さいが、水深が浅い(空気の体積の減少が小さい)条件の下で構造体の設置が困難な水面付近の補助手段・方法として用いることができる。
図7(b)のように、図1,図2の水中騒音の抑制構造1~3において水中騒音の発生地点10で水底に打設される鋼管杭9に、鋼管杭9の外径よりも内径の大きなパイルスリーブ42を被せるようにしてもよい。パイルスリーブ42は、鋼管杭9の水面下の上部に装着するようにしてよく、たとえば、パイルスリーブ42の水面下の長さy1は、その水域の水深をD,構造体11,15,19,23の天端高さをyとすると、D-yとしてよい。
図1,図2の水底面に設置した構造体11,15,19,23による効果が限定的な場合、図7(a)(b)のように、エアバブルカーテン41やパイルスリーブ42と組合せて表層の水中騒音を抑制し、水中騒音の拡散低減効果の増進を図ることができる。
なお、本実施形態においては、水中騒音の発生源の水中音圧、影響を緩和したい周辺水域において対象とする魚類等、現地の状況に応じて有効な条件(構造体の幅や高さ、水中騒音の発生地点からの距離、設置位置等)を決定することが好ましい。
本実施形態によれば、洋上風力発電施設等の構築のための杭打設前に水中騒音の抑制構造を設置することで、水中騒音の周辺水域への拡散を抑制することができる。水底に設置した構造体により魚類等の可聴域の2000Hz以下の帯域に対して低減効果が高い。
また、図1,図2の水底面に設置した構造体11,15,19,23は、鋼管杭9の水中打設工事が終了した後、そのまま存置し、一定時間経過後の海藻類の着生・生育等により恒久的な人工魚礁として機能でき、撤去が不要である。また、洋上風力発電施設の建設完了後に漁礁・藻礁等を設置した場合と比較して、より早期に海藻類の着生とこれに伴う蝟集効果を期待できる。
また、図12からわかるように、洋上風力発電施設の稼働時(風車回転時)に発生する、非稼働時(風車停止時)と比較して音圧レベルが高く広範囲の周波数の水中音に対しても周辺水域への拡散を抑制することができる。このように、洋上風力発電施設の建設完了後にも水中騒音対策が引き続いて必要とされる場合には、かかる水中騒音対策として本発明による水中騒音の抑制構造は有効に機能する。
(実験例)
図9のような小型のプラスチック水槽を使用し複数のブロックを積み重ねて設置し、鋼管を打撃した際の水中騒音を音圧計により測定した結果を図10 に示す。比較のために図10にはブロックの代わりにエアバブルを発生させてエアバブルカーテンを形成した場合の測定結果も併せて示す。図10から魚類の可聴域の2000Hz 以下の周波数においてブロックによる水中騒音抑制効果がエアバブルカーテンの場合よりも総じて高かった。また、水深の半分程度の高さ、空隙率50%程度の条件でブロックを設置したケースでは、魚類の可聴域の2000Hz 以下の周波数を含む広い周波数範囲において大きな水中騒音抑制効果が認められた。
また、ブロックの傾斜面の勾配を1:1、1:0.5、1:0.33の3段階に設定して抑制効果を確認した実験結果を図11(a)~(c) に示す。傾斜面が1:0.33、1:0.5、 1:1の全てのケースで、水中音の抑制効果はあるが、30Hz以上の周波数において、1:1の勾配が音圧レベルの低下効果が最も大きくなった。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本発明は、洋上風力発電施設の構築以外の杭打設工事や他の水中騒音発生工事に対しても適用できることはもちろんである。また、海域のみならず河川や湖沼における水域での水中騒音抑制に適用できる。
また、本実施形態における水中騒音の発生地点に対する構造体の形状、設置位置は、図1,図2に限定されず、たとえば、図1の構造体は、図1(a)の円状に限定されず、三角形状、矩形状、多角形状、長円状等であってもよく、また、図2(a)の構造体は、水中騒音の拡散を抑制したい方向に応じて円弧状とする範囲を変更でき、間隔や位置をずらして複数設置することも、現地の状況や水中騒音の抑制効果に応じて複数列設置することもできる。また、図2(b)の構造体は、水中騒音の拡散を抑制したい方向・範囲に応じて図の横方向の長さを変更でき、また、別の水中騒音の発生地点に対応して別の構造体を設けてもよい。
また、本発明のブロック状体は、コンクリート製のブロックであってよいが、これに限定されず、コンクリートがらや他の材料からブロック状に構成したものであってもよく、他の材料として、たとえば、ゴム素材、木材、セメントと石炭灰の混合物、浚渫土と製鋼スラグ・高炉スラグ微粉末の混合物、浚渫土と製鋼スラグ・セメントの混合物等がある。
本発明によれば、杭打設等の工事により発生する水中騒音の周辺水域への拡散を抑制できるので、工事の周辺水域に生息する魚類等の水中生物に対する悪影響を未然に防止できる。また、水底に設置された構造体は、杭打設等の工事終了後、人工漁礁として恒久的に機能するので、新規漁場の創出に寄与することができる。
1,2,3 水中騒音の抑制構造
9 鋼管杭
10,10A 水中騒音の発生地点
11,15,19,23 構造体
13,17,21,25 発生地点に対向する傾斜面
40 凹凸状の面
41 エアバブルカーテン
42 パイルスリーブ

Claims (11)

  1. 水中騒音の発生地点周辺において前記水中騒音の拡散を抑制する方向に設置された前記水中騒音の抑制に効果がある構造体を備え
    前記構造体は、石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、土砂、改質処理土もしくは固化処理土から形成したもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成され、
    前記構造体は、前記構造体の設置位置において少なくとも水深の1/4の天端高さを有する水中騒音の抑制構造。
  2. 前記構造体を、前記発生地点を包囲するように設置するか、または、前記拡散を抑制する方向に、部分的に設置する請求項1に記載の水中騒音の抑制構造。
  3. 前記構造体が石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成される場合、前記積み重ねの空隙率が前記水中騒音の抑制に効果があるように調整されている請求項1または2に記載の水中騒音の抑制構造。
  4. 前記構造体は、前記発生地点に対向する傾斜面を有し、
    前記傾斜面の勾配(y:x)が1:0.3~1:3の範囲内である請求項1乃至3のいずれかに記載の水中騒音の抑制構造。
  5. 前記構造体は、前記発生地点に対向する傾斜面を有し、
    前記傾斜面に前記発生地点から水中騒音が入射し、前記水中騒音のうち前記傾斜面での反射音が前記構造体と前記発生地点との間に進んで減衰し、前記水中騒音のうち前記傾斜面への入射音が前記構造体内で減衰する請求項1乃至3のいずれかに記載の水中騒音の抑制構造
  6. 前記構造体は、前記発生地点に対向する面が上方から見て凹凸状に形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の水中騒音の抑制構造。
  7. 前記構造体は、水中騒音が発生する作業の終了後に魚礁や藻礁として機能する請求項1乃至のいずれか1項に記載の水中騒音の抑制構造。
  8. 水中騒音の発生地点周辺において前記水中騒音の拡散を抑制する方向に、前記水中騒音が発生する作業の実施前に、前記水中騒音の抑制に効果がある構造体を設置し、
    前記構造体は、石もしくはブロック状体を積み重ねたもの、土砂、改質処理土もしくは固化処理土から形成したもの、または、土砂、改質処理土もしくは固化処理土の上に石もしくはブロック状体を積み重ねたものから構成され、
    前記構造体は、前記構造体の設置位置において少なくとも水深の1/4の天端高さを有する水中騒音の抑制方法。
  9. 前記構造体の上部においてエアバブルカーテンを形成する請求項に記載の水中騒音の抑制方法。
  10. 前記水中騒音の発生が杭打設による場合、前記杭の上側にパイルスリーブを被せる請求項またはに記載の水中騒音の抑制方法。
  11. 前記構造体として請求項乃至のいずれかに記載の水中騒音の抑制構造における構造体を使用する請求項8、9または10に記載の水中騒音の抑制方法。
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