JP7282322B1 - トイレ付き水陸両用の電気自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】水害時の移動手段として活用できる水陸両用の電気自動車を提供する。【解決手段】車両に装備した蓄電池又は燃料電池の電力により走行する電気自動車であって、上では三輪又は四輪のタイヤで走行し、車両が水に漬かった場合は車両外周の全周に渡って取り付けられた帯状の空気ダンパーの浮力により水上に浮上して、タイヤのホイール部に取り付けたスクリューにより走行可能な車両であって水密性を有するフロアにより車両を上部と下部に区分し、フロア上部には、車両操作部、電源部、空気圧縮機を設置し、フロア下部にはタイヤ及びタイヤ駆動部に加えて上水を溜める上水タンクと車内で発生した汚水を溜める汚水タンクを設置して、該タンクを前記の空気圧縮機と導管で繋いで、圧縮機からの圧縮空気によりタンク内の液体の保有量を増減させることにより車両の浮力を調整する【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
20世紀初頭、フォード社によるT型エンジン車の実用化以来、車は陸上を走る必須の用具として大きな発展を遂げ、現在も陸上交通の主役としてその地位は変わっていない。一方でその燃料となるガソリン等の化石燃料の大量消費は副産物として多量の炭酸ガスを排出し、如いては地球温暖化という異常現象を引き起こす一因となっている。本発明はこのような地球温暖化に伴う異常現象の中で近年我が国において多発している大雨による水害から人々の命を守るための防護対策を確立することを目的とする。
近年発生した大雨による災害事例としては、九州北部豪雨(2017)死者44人、西日本豪雨(2018)死者271人、鹿児島県大雨(2019)死者88人等が挙げられる。これ等の水害はかっては「百年に一度あるか」と言わたクラスの豪雨が、近年は日本各地で多発していることを示す。更にこの種の災害は地球温暖化の進行と共に今後益々、増加する傾向にあると報道されている。
これに関連して令和4年7月に公表された河川を管理する国や都道府県による「浸水想定区域図」の見直しでは、現在、全国で約4,700万人がこの危険区域に住んでいると報告されている。これは全人口の約4割に該当するという驚くべき数値である。このうち27.5%に当たる1,300万人が住宅の1階が水没する浸水リスクのある場所に住んでおり、もし家屋が平屋の場合、人が家に留まっていれば助からないとも報告されている。
これ等の災害からの防衛策として現在、国が推奨している対策は洪水が発生する前に指定された避難所への早めの退避勧告である。同じ自然災害の中で、水害は近年は天気予報の精度の向上により、事前予知が可能となった。しかしこの予報が発信される環境下では現地では既に雨が降り始めており、更に時間帯が夜間の場合は退避したくても避難所まで徒歩で行く以外に移動手段がなく、結果として自宅に留まざるを得ないケースが散見される。
本発明ではこの避難所までの移送手段として、各家庭にある乗用車を水陸両用車に改造することにより、例え、夜間に浸水の危険性が迫ったとしても家族全員がこの車両を使って安心して自宅から避難所まで避難できる手段を提供する。
次に上記の地球温暖化に対する自動車産業の最近の動向について記す。現在、この温暖化現象の進行を抑える対策として自動車産業で進められている対策は車の動力源をガソリンを始めとする化石燃料を使うエンジンから電気を使う電気自動車に転換し、温暖化の主因とされる炭酸ガスの」排出量を削減することである。
現在、国内で排出される炭酸ガスの総量は国内全体で年間に約12億トン弱、このうち運輸部門からは約2億トン、更に旅客乗用車からはその約半分の1億トンが排出されている。この削減に向けて世界の殆どの自動車メーカーは遅くとも2030年までに全ての乗用車をガソリン車から電気自動車へ変換する方針を打ち出している。ここでいう電気自動車とは蓄電池による電動車(EV車)と水素を使用する燃料電池車(FCV車)である。
両タイプは一長一短があり、現状では並行して開発が進められている。中でもEV車は構造が簡単で、車両の部品数も少なく将来の電気自動車の主流として期待されている。しかし現状ではEV車は蓄電池本体の性能に問題があり、各社は蓄電池の開発に膨大な資金を投入している。EV車の具体的な欠点としては電力の供給能力が小さいこと、充電に長時間要すること、電池の性能が時間と共に劣化すること等が挙げられる。もし電池の改良により この課題が解決できれば、自動車業界の歴史に大変革が起きることは間違いない。正に電池を制する者が次世代の自動車を制すると言われている。
電気自動車のもう一つの特徴は車のデザインが自由でかつ部品数が少ないので車内の居住空間をガソリン車に比べて広く確保できることである。更にガソリンエンジンのような重量物がないので本発明のように水上での安定走行を求める水陸両用車をデザインを決める上で車両の重量バランスに優れている。見方を変えれば、本発明は電気自動車のこのような利点を生かした発明であり、もしガソリン車であれば実現が不可能であったと言っても過言ではない。
本発明は、上記問題点に鑑みて為なされたものである。目標は水害時に安心して避難所まで走行できる車両の開発である。近年は「洪水津波」と称される急流を伴う洪水の発生が懸念されている。新しい車はこのような危険な環境下であっても耐えられる車体でなければならない。更に本発明では言及していないが、車は近い将来運転操作の自動化が進行中である。この技術が完成すれば、搭乗者は車内の操作パネルで行き先をボタンで指示すれば車が自動で走行し目的地まで自動で走行する。本発明を将来の自動運転技術に繋げること、これが本発明の最終課題である。
初めに本発明で新たに車に装備する上水タンクの設置目的と設置場所について記す。このタンクは上水を蓄えるタンクである。[図1]は本発明の構成を示す概略図である。上水タンクは車両のフロアの床下に設置される。現状の車両のフロアは車両の側面から見るとほぼ車輪の中心点を結ぶレベルに設置されている。その高さは概ね地上から約0.3mである。水陸両用車が水中に漬かった場合、その駆動部となるスクリューが十分な推進力を得るため、車輪のホイール部に付けたスクリューが完全に水中に漬かっていることが重要である。[図2]は車輪のスクリュー部が水中に正しく漬かっている状態を示す図である。
車輪のホイール部を上記のレベルに保つには車体が水中に浮かんだ際に水中における車体のレベルを正確に上記のレベルに保持しなければならない。このレベルは車両の構造や積み荷の重量によってまちまちであり、何らかのレベル調整機構が必要となる。本発明ではこの水平レベルの調整を行う目的で上水タンクを設置する。従って上水タンクを設置する場所は、タンクの下面では車両の底部から、上面では車両のフロア面までの限られた高さの範囲に限定される。この結果、本発明の電気自動車の床面は従来の車と比べ、高くせざるをを得ない。更に上水タンクの形状は寝具のマットレスに似た扁平で、不定形の形状となる。
次に汚水タンクの設置目的と設置場所について記す。汚水タンクは車内で発生する各種の汚水を一時的に溜めるタンクである。汚水の発生源としてはトイレ、洗面化粧台、キッチンシンクが挙げられる。これ等の設備は車両フロアの床上に設置され、汚水は重力により汚水タンクに流れ込む。従って汚水タンクの設置場所は前記の上水タンクと同様にフロアの床下となり、その形状も上水タンクと同様に扁平な形状となる。限られた狭い床下に2基のタンクを設置することは容易ではない。[図3]に両タンクを床下に配する概略図を示す。[図3]では車の外観の形状は最も設置面積の確保が難しい円形とした。その理由は円形車両で設置が可能ならば、他の矩形や楕円形の車両では円形のようなスペース上での問題は発生しないからである。
ここで実際の両タンクの大きさを仮定して前記の円形車両が床下に収納できるかを試算してみる。[図3]は円形車両における上水タンクと汚水タンクの設置場所を示している。車両の床面は直径1.7mの円で示され、その面積は2.3m2である。車輪は直径0.60mの円で示され、1車輪当たりの面積は0.28m2、車輪の数を3輪としたので、車輪の占める総面積は0.28*3=0.84m2となる。従って両タンクを設置できる面積は全面積から3車輪の占める面積を差し引いた1.50m2となる。この面積に両タンクを設置しなければならない。[図3]ではこの面積は斜線で示されている。
前項で両タンクの形状は横に広がった扁平状になると記載したが、この高さを0.20mと仮定すると空間部は1.50*0.20=0.30m3(=300L)となる。この空間であれば、上水タンク(180Litter)と汚水タンク(120Liter)の設置が可能である。本試算では車体の形状を円型、3輪としたが、構造が矩形、4輪の場合も同じように試算すれば、設置がより容易であることが理解できる。
前項の高さ0,20mという数値は重要である。この高さを高くすれば、床下の体積は大きくなりタンクを設置するスペースに余裕が生じるが、反面フロアが高くなり、車への乗り降りに支障が生じる。しかし0,20m程度であれば、外周ダンパーのカバーを工夫して、簡単な昇降用ステップを取り付ければこの問題は解決できる。
次に空気圧縮機を使って上水タンクを車両の浮力を調節する方法に付いて説明する。[図4]は車両の浮力を調整に関連する機器の構成を示す図である。浮力の調整にはフロア上に設置された空気圧縮機を活用する。圧縮機の動力源は車内の蓄電池又は燃料電池である。その吐出圧力は1MPa以下、風量は0.3m3/min.程度の小型機で良い。通常、上水タンクには上水が平常時には通常レベル=50%前後で保管されている。この車で水上に浮上した際、もし車両の水位が目標値より低ければ、圧縮機からの空気を使ってタンク内の上水を車外に排出する。この時の操作は大気へ通じるベント弁は閉、ドレイン弁は開、圧縮機からの送気弁は開である。この状態で上水タンクへ空気を送り込み、タンク尚の水を系外に排出する。逆に車両の水位が高過ぎればベント弁は開、ドレイン弁は開、送気弁は閉として、外部から雨水をタンク内に導入する。雨水によりタンク内は汚染されるが、後刻上水を使って洗浄すればよい。搭乗者はこのような汚染事態を極力避けるように通常時のタンク内の保有量を順次、学習する。
上水タンクは前項のような緊急事態を除いて常に清潔に保たなければならない。上水の補給は専用の受け入れ弁を経由して、任意にタンクへ補給する。タンクから車内の諸設備へ上水を送るには空気圧縮機を使って上水タンクを加圧して、各々の設備へ個別に圧送する。
次に汚水タンク内の汚水を車外の排出する方法について記す。[図5]は汚水の排出に関連する機器の構成を示す図である。汚水タンクは通常はU字の水封装置を経由して各種の汚水発生源と繋がっている。水封装置の下流にはゲート式の仕切弁を設ける。この弁は常時は開放されているが、汚水を排出する際には閉とする。更に排出時には汚水タンクは加圧に備え密閉型としなければならないので、大気に通じるベント弁も閉とする。この状態で圧縮機から空気を送り込み、汚水タンク内を加圧する。加圧後タンク下部に設置した排出弁(=ドレイン弁)を開とし、車内に備え付けたフレキシブルホースを経由して、既存の下水処理設備に繋がる下水枡に排出する。排出後は上水タンクから上水を汚水タンクへ送り込み、同様な手順で汚水タンク内を洗浄する。上水による洗浄が終了したら、前記の仕切弁は開に、ベント弁は開に、排出弁は閉とする。
本発明は水陸両用の電気自動車を非常時の輸送手段以外の目的にも活用できることを想定している。このために電気自動車をより快適に使えるよう工夫する。最初に車内の居住空間を一時的に拡張する手段について記す。[図6]は居住面積の拡張に関連する機器の構成を示す。
本提案では車両の外観を円形にすることに、多くの頁数を割いた。この理由は種々あるが、最大の利点は円形の車両は同じ材料で、車両の強度を最強にできるからである。円は他の形状、例えば矩形に比べて外圧に対し、最強の強度を得ることができる。この利点は材料費の削減に繋がり、延いては走行時の燃費節減繋がる。 更に見た目にも美しく、外観を一目見れば、誰しもが「あ、水陸両用のEV車だ」と感じる車である。更にドアにガルウィング型を採用すれば、その美しさは格別である。
一方で円形の車は後述する多目的に活用することを想定した場合、大きな弱点を有す。それは車内にゆとりのある居住空間を得ることが難しいことである。無論、車の直径を大きくすればこの問題は解決できるが、一般の乗用車では車の径を大きくするには車の通行面で限界がある。このためこの車を避難所で一時的な住居として活用するには居住面積が狭く、何らかの改良が必要である。この解決策として車を停止させた状態で車内の居住スペースを一時的に拡張する手段を用いる。次に[図6]で円形車両を対象に車内の居住空間を拡張する方法について説明する。
[図6]は円形車両をサイドから見た図である。この車は中央で前部と後部に二分できる構造である。両者は分離部に内蔵された水密性と有する蛇腹によって繋がっている。この車の居住部を拡張するには車の中央部で車両を二分し、後部を後ろ側にスライドさせる。車両の外周に装備してある衝撃防止バンパーも同様な方式でスライドさせる。例えばスライド幅を0.4mとすれば、[図3]の直径1.7mの円形車体の場合は、車の長さは最長で2.1mに延び、面積で0.68m2増加する。この面積ならば、大人二人が手足を伸ばしゆっくり睡眠を取ることができる。
この拡張手段はあくまで車が停止している状態で行われる手段であり、走行の際には元の円形に復帰させる。車を個人で出張時に使う際はこの拡張は不要かも知れないが、例えば家族でキャンプに出かける際や避難所において一時的な仮住まいとして使用する場合は簡便で有効な手段となる。
本発明を実施するための最良の形態
本発明の当初の目的は大雨による洪水の発生が予想された時点において、いち早く指定された避難所まで避難する移動手段を提供することであった。しかし一般消費者の視点から見れば、そのような危険状態に遭遇する頻度は極めて小さく、敢えて水陸両用車を購入する動機には繋がり難い。しかしこの車が単に非常時の移動手段だけでなく、日常生活でも有効に活用できるならば、人々の購買意欲に大きな変化が期待できる。本発明の特色として、この車両には日常生活に必要な最低限の設備は殆ど全て搭載されている。いわば小さな「キャンピングカー」である。次にこの車を新たな用途に活用するケースを事例で説明する。
第一に考えられる用途はレジャー用としての活用である。例えば、家族4名でこの車で地方のキャンピング場に出かける場合を想定して見る。車内の居住スペースから見て4名の車内泊は困難でも。2名は車内泊、他の2名は持参したテント泊を楽しむことができる。車内には電子レンジがあり、家族全員で茶タイムを楽しむことができる。更に車内には専用トイレが設置されており、夜間遠く離れた公衆トイレに出向く必要はなく、女性や子供達には安全である。
第二の用途は急な出張時のホテル替りとしての活用である。例えば。この車で地方の役所へ打ち合わせのため出張するケースを想定する。この際は本発明の車両で出張先へ出向いて役所の駐車場に駐車すれば、宿泊はもとより、自分好みの朝食を車内で取った後、正規な服装に着替えて打ち合わせに参加できる。業務を終えた後は、再びラフな服装に着替えて帰宅すれば良い。
第三の用途は自宅において個室としての活用である。この車両は照明、換気設備は勿論のこと外部との通信設備を付加することができる。この機能を活用すれば、在宅勤務における個室としての活用が可能である。専用のパソコンを持ち込み、自宅にいながら会社との連絡や会議に参加できる。無論、子供たちの学習室としても利用も可能である。この電気自動車の購入は自宅に新たな個室を一室増築できたと考えれば、家族全員で活用できる。
上記の三例で言えることは従来単に陸上での移動手段として位置づけられた車を今後は移動のための道具という単独の目的ではなく「自由に移動できる個室」としての新たな用途に活用する。更に本来の用途である非常時の緊急対応として各種の設備を一層、充実させることも大切である。具体的には洪水に直面した際の救命ボートであり、土砂崩れの危険を回避する防護室であり、更には避難生活をより自由に楽しむための独立した家屋の確保である。本発明をこのような多目的に活用できれば、現在進行中のガソリン車から電動車への転換は長年替わることがなかった自家用自動車の歴史を180度転換させる、またとない好機に見える。
発明の効果
本発明の個別の効果については前節で詳述した。特に近年我が国で多発する洪水から人々の命を守るために、一刻も早い水陸両用の電気自動車の実現を期待する。本発明の原理は極めて単純明快で、実施に際して設備上の大幅な変更はない。車に丈夫な二基のタンクと小型の空気圧縮機を増設するだけである。車体は外圧に強い円形で、しかも外周には弾力性を有するバンパーで守られている。しかも車の外側に重量の軽い空気ダンパーを、車の中心部は重量の重い水タンクを配備することは水中においてバランスが良く、簡単に転覆したり、沈没する危険性は少ない。
21世紀、人々が次世代の電気自動車に期待するものは何か。それは一回の充電当たり走行距離が伸びる車ではない。災害時にも安心して走行できる車でなかろうか。更には従来の移動としての道具に加え、多目的の活用でできれば、その用途は急速に拡大する。この結果、将来新たな車を選択する際のキイワードは経済性や環境性に加えて、安全性、利便性、多様性が重要視されると予想される。
以上、本発明を水害時の移動手段の車両として活用することについて説明した。しかし本発明の対象は車両だけに限定されない。最後にその応用例として本発明の原理を観光遊覧船に活用する事例について解説する。
令和4年3春、北海道知床沖で観光遊覧船が沈没するという痛ましい事故が発生した。この事故の原因と再発防止策は現在、調査中であるが、もしあの時に遊覧船が沈没を免れて浮上したまま漂流していたならば、あれ程多数の命を失うことはなかったのではないか。最後に本発明の原理を観光遊覧船に適用する事例を記す。
遊覧船に限らず、一般の船の浮力は船本体の船底に囲まれた空間部が受ける浮力によって水上に浮上する。万一、船体の船底が破損した場合でも船底を幾つかの小部屋に区切って浸水が船底の全体に及ばないように設計されている。しかし何らかの要因で各部屋の仕切りが開放されたり、船上へのハッチが開放された状態で浸水が起きると船は浮力を失い船本体が沈没する危険が生じる。
現在、沈没事故の防止策として遊覧船に救命ボートを搭載する案が検討されている。その代案として本発明を推奨する。即ち、遊覧船の船底に上水タンクを設置しこのタンクの浮力を活用する。船の沈没要因をフォールトツリーで解析すれば「船底の破損」と「上水ンクの破損」の要因は「AND回路」で結ばれており、二つの要因が同時に起こる確率は極めて小さい。この対策ならば、救命ボートを置くスペースも不要であり、更に汚水タンクを付加すれば、船上で遠慮なく コーヒーやビールを楽しむことができる。
20世紀の初頭、T型フォードの実用化により長く自動車業界に君臨し続けてきたガソリン車は排ガス中の炭酸ガスの増大により、地球温暖化という予想だにしなかった難題に直面している。 この環境変化によりガソリン車はかっての宿敵であったエジソンが推奨した電気自動車にその王座を奪われようとしている。実に皮肉な巡り合せである。現状では世論は地球の温暖化防止に傾注している。しかし将来、各種の対策により炭酸ガスの排出量がゼロとなれば、地球は再び寒冷化に向かうとも伝えられている。本発明はこの長い人類の歴史から見れば、ほんの束の間のエポックでの提言かも知れない。本発明が今後どのような評価を受けるか、静かに見守りたい。
水陸両用の電気自動車全体の構成を示す概略図である。 車輪のスクリュー部が水中に漬かっている状態を示す図である。 円形の車体でタンクの配置を示す平面と側面の概略図である。 上水タンク内の気体と液体の比率を変える概略図である 下水タンク内の汚水を車外に排出する概略図である。 円形車体の居住部を拡張する概略図である。
1 電気自動車
2 同フロア
3 上水タンク
4 汚水タンク
5 空気圧縮機
6 車輪タイヤ
7 車輪ホイール
8 車輪スクリュー部
9 地表面
10 汚水排出ホース
11 下水枡
12 蛇腹
13 水面
14 衝撃緩衝用バンパー
15 ベント弁
16 ドレイン弁
17 上水受け入れ弁
18 排出弁
19 トイレ
20 フレキシブルホース

Claims (4)

  1. 車両に装備した蓄電池又は燃料電池の電力により走行する電気自動車であって、陸上では三輪又は四輪のタイヤで走行し、車両が水に漬かった場合は車両外周の全周に渡って取り付けられた帯状の空気ダンパーの浮力により水上に浮上して、タイヤのホイール部に取り付けたスクリューにより走行可能な車両であって水密性を有するフロアにより車両を上部と下部に区分し、フロア上部には車両操作部、電源部、空気圧縮機を設置し、フロア下部にはタイヤ及びタイヤ駆動部に加えて上水を溜める上水タンクと車内で発生した汚水を溜める汚水タンクを設置し、さらに上水タンクには大気に通じるベント弁と水中に通じるドレイン弁を、汚水タンクには大気に通じるベント弁と車外に通じる排出弁を取り付け、両タンクを前記の空気圧縮機と導管で繋いでタンク内に空気を送り込み、前記弁類を開閉してタンク内の液体の保有量を減量又は増量することにより車両の浮力を増加又は低減させて、水上で安定して浮上することが可能な水陸両用の電気自動車。
  2. 前記上水タンクについては車内に設置したトイレ、洗面化粧台、キッチンへ上水を供給するための密閉型の容器であって、外部からの上水の受け入れ口、上水供給のための導管、大気に通じるベント弁及び水中に通じるドレイン弁を取り付け、これ等の弁類と空気圧縮機を使用して、空気圧縮機からの空気量を増加又は減少させて、
    車体が水中で浮かんだ際に車輪のホイール部の上面が水中に全部漬かるようタンク内の気体と液体の比率を増減して上水タンクの浮力を増減し、水中における車体の水位を調整できる、請求項1に記載の水陸両用の電気自動車。
  3. 前記汚水タンクについては車内で発生するトイレからのトイレ汚水、洗面化粧台からの洗面汚水、キッチンシンクからの洗浄汚水を一時的に貯蔵する密閉型の容器であって、汚水タンクに前記トイレ、洗面化粧台、キッチンシンクと汚水タンクを繋ぐ配管の流路を開放又は閉止する仕切弁を取り付けて、一時的に汚水を溜め、汚水タンク内に溜まった汚水は地上において、前記仕切弁を閉止し、車外に通じる排出弁と車内に保有するフレキシブルホースを経由して、空気圧縮機からの空気により既存の汚水処理設備に繋がる下水口に圧送することができる、請求項1に記載の水陸両用の電気自動車。
  4. 前記電気自動車の外観については車体を上部から見ると円形、矩形又は楕円形の電気自動車であって、このうち円形の車両については地上において車体の中央部で、車体のフロアの上部を前部と後部の二つの部分に切り離せる構造とし、切り離された後部をさらに後側にスライドさせて、車体の切り離し部に内蔵された蛇腹により車内の気密を保ちながら、車体を後方に延長して車内の居住面積を拡大することが可能である、請求項1に記載の水陸両用の電気自動車。
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