JP7281708B2 - 不良品の発生に寄与する装置特定のための製造条件計算装置、製造条件計算方法及び製造条件計算プログラム - Google Patents
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Description
しかしながら、装置内におけるプロセスの進行と共に、プロセスの特性が変化することがある。また、複数の装置を並列で運転している場合に、それぞれの装置のカタログスペックが同一でも、実際には個体差があることもある。このような変化や装置個体差の結果として、良品基準の範囲外となるような製品を生産する装置を精度よく特定したり、各装置の適切な稼働条件を精度よく予測したりすることは難しい。
より具体的には、特許文献1には、プラント制御情報生成装置及び方法、並びにそのためのコンピュータプログラムが開示されている。
図12に、統計的モデル構築プログラムのフローチャートを示し、図13に、最終的な製品分子量を推定するプログラムのフローチャートを示す。
次いで、ステップS184で、プラントの稼動条件と実測値とからなる複数個の実測サンプルをクラスタリングする。なお、ステップS184は、行列算出部と、クラスタリング部とによって行われる。行列算出部は、複数個の実測サンプルの任意の2個の間の相関の程度を成分とする行列を、データベースに記憶された実測サンプルから算出する。クラスタリング部は、算出された行列を類似度行列としてスペクトル・クラスタリングを行なう。次に、ステップS186で、上記ステップS184においてクラスタリングされた各クラスに対して統計的モデルを構築する。その後、ステップS188で、各クラスの統計的モデルをHDDに保存して処理を終了する。
そして、サンプル間の相関関係を用いて、スペクトラル・クラスタリング手法によりクラスタリングすることで、プラントを精度よく制御することを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態1に係る製造条件計算装置1のブロック図である。図2は、製造条件計算装置1の処理部166のブロック図である。実施の形態1に係る製造条件計算装置1は、コンピュータシステムハードウェア及びコンピュータシステム上で実行されるプログラムによって実現され得る。なお、ここで示す製造条件計算装置1は単なる例であって、他の構成も利用可能である。
図1に示すように、製造条件計算装置1は、コンピュータ120と、全てコンピュータ120に接続された、モニタ122と、プリンタ124と、キーボード126と、マウス128と、を含む。
コンピュータ120の一般的動作は周知であるので、詳細な説明は省略する。
また、ソフトウェアの流通形態はオブジェクトコードには限らない。前述したようにスクリプト形式でもよいし、ソースプログラムの形で供給され、コンピュータ120にインストールされた適切なコンパイラでオブジェクトコードに変換されるという流通形態もあり得る。
次に、製造条件計算装置1におけるデータ解析処理のフローチャートについて、図3に基づいて説明する。
まず、ステップS1において、処理部166の実測データ記録部168は、実測データをコンピュータ120内に構築されたデータベース(以下単に「DB」と呼ぶ。)に追加する。被製造個体単位で登録する場合の実測データは、被製造個体の品種やシリアル番号及び各製造工程における製造時間・製造装置・製造ヘッド・製造結果を含む。
なお、製造結果とは、各製造工程において良品もしくは不良品のどちらであったか、不良品だった場合はどの検査項目として不良だったかを示すものである。
なお、ロットで登録する場合の製造結果は、対象ロットにおける良品数・各不良項目における不良数・各不良項目数をロットに含まれる被製造個体数で割った不良率、を含む。以下の説明においては、ロットで登録されたデータを想定して説明する。
次いで、ステップS2において、解析期間設定部170は、解析の対象・データ・評価候補をもとに、単位解析期間を例えば3日間に設定する。
次いで、ステップS3において、統計モデル解析部172は、単位解析期間毎に実測データを分割し、データ毎に統計モデルを解析して要素統計モデルを構築する。実測データが単位解析期間に入るか否かは、製造開始時間や製造終了時間あるいは実測データがDBい追加された時間等に基づき判断することができる。
具体的には、複数の弱学習器を組み合わせるアンサンブル学習の一つであり、逐次的に弱学習器を構築していく手法として、勾配ブースティングという手法を用いることで、概ね良好な結果が得られることが多い。なお、勾配ブースティングの代わりに、決定木やランダムフォレストといった手法を用いてもよい。ここで学習器とは、考えられる分岐候補においてエントロピーを基準として当てはめを行うものである。
該当のパラメータによる尤度比カイ二乗(G2)を合計したものを、不良品に対する寄与度として算出できる。尤度比カイ二乗は、エントロピーに2を乗算することで求まる。
結果として算出される要素統計モデルは、単位解析期間毎に、製造装置における集計不良率を説明もしくは予測できるものであり、詳細には、製造装置によって分岐させた場合の不良数変化を樹木状に展開したものである。ただし、集計不良率とは、ある項目で層別した後、その項目に該当する製品の不良数を、その項目に該当する製品の投入数で割った不良率とする。
次いで、ステップS4において、寄与度算出部174は、要素統計モデルで算出された不良品の発生に対する各装置の寄与度を算出して、DBに登録する。図4Aに、工程10で検出される不良1001に対して製造期間毎に実測データを抽出し、ステップS3で示した要素統計モデルをもとに、製造装置毎の寄与度をDBに登録したデータの一例を示す。
図4Bは、前記解析対象で限定した対象工程・対象不良・期間に対して、要素統計モデルで算出された各装置に対する寄与度を棒グラフで表示した一例である。
次いで、ステップS5において、不良率集計部176は、単位解析期間毎及び装置毎の集計不良率を算出する。具体的には、不良品数を製品数で除した値を集計不良率として算出する。
図5Aに、工程10で検出される不良1001に対して、製造期間毎に実測データを抽出し、算出した集計不良率をDBに登録したデータの一例を示す。
図5Bは、限定した対象期間・不良項目に対する対象工程・装置ごとの集計不良率を棒グラフで表示した一例である。
次いで、ステップS6において、優先度付加部178は、ステップS5における集計不良率に応じてステップS4の寄与度にメンテナンスの優先度を付加する。具体的には、優先度付加部178は、寄与度に正負の符号を付加する。図6A及び図6Bに符号を付加したデータの一例を示す。
次いで、優先度付加部178は、各装置の集計不良率の平均値等の代表値を、代表不良率として算出する。そして、優先度付加部178は、図6Bのように、集計不良率が代表不良率より大きい装置の寄与度には、正の符号を付加する。同様に、集計不良率が代表不良率より小さい装置の寄与度には、負の符号を付加する。符号付きの寄与度は、その値が大きいほど、メンテナンスの優先度が高いことを表す。
次いで、ステップS7において、計算結果提示部180は、符号付き寄与度の値の大きいものから順に、つまり優先度が高い順に、製造現場のオペレータに提示する。図7は、ステップS6の結果をもとに、図4Aの寄与度に正負の符号を付加させたものである。
例えば対象工程10、対象不良1001、対象期間4月3日から5日においては、工程09装置0902(寄与度240,000)、工程10装置1004(寄与度200,000)、工程10装置0901(寄与度50,000)という情報が得られる。前記情報と過去経験を勘案し、装置0902内のローラーBを交換すべき、といった改善案を抽出する。
本発明の実施の形態2に関して説明する。図8は、製造条件計算装置1の処理部166Aのブロック図である。なお、説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
図8に示すように、製造条件計算装置1の処理部166Aは、実施の形態1の構成に加えて、有意差検証部182をさらに備えている。
次に、製造条件計算装置1におけるデータ解析処理のフローチャートについて、図9に基づいて説明する。なお、実施の形態2のフローは、ステップS6までは実施の形態1と同様である。
ステップS6の処理が行われた後、ステップS11において、有意差検証部182は、統計的仮説検定を行い、有意でないと判定された装置に対する寄与度を0にする。以下で詳細を説明する。
次いで、ステップS12において、計算結果提示部180は、図11の寄与度の正側の絶対値の大きいものから順に、つまり優先度が高い順に、製造現場のオペレータに提示する。例えば対象工程10、対象不良1001、対象期間4月3日から5日においては、工程09の装置0902(寄与度240,000)、工程10の装置1004(寄与度200,000)という情報が得られる。計算結果提示部180は、前記情報と過去経験を勘案し、装置0902内のローラーBを交換すべき、といった改善案を抽出する。
120 コンピュータ
122 モニタ
124 プリンタ
126 キーボード
128 マウス
140 CPU
142 バス
144 ROM
146 RAM
148 ハードディスクドライブ
150 DVD-ROMドライブ
152 半導体メモリポート
154 ネットワークインターフェイス
160 半導体メモリ
162 DVD-ROM
164 ネットワーク
166,166A 処理部
168 実測データ記録部
170 解析期間設定部
172 統計モデル解析部
174 寄与度算出部
176 不良率集計部
178 優先度付加部
180 計算結果提示部
182 有意差検証部
Claims (8)
- 製品の製造に用いる装置及び単位解析期間の製造結果を含む実測データに基づいて、各装置の不良品の発生に対する寄与度を算出する寄与度算出部と、
前記単位解析期間毎の各装置の集計不良率を算出する不良率集計部と、
前記各装置の前記集計不良率と前記集計不良率の代表不良率との大小関係に基づいて、前記集計不良率に対応する前記寄与度にメンテナンスの優先度を付加する優先度付加部と、を有し、
前記単位解析期間で分割した前記実測データ毎に、勾配ブースティングを用いて要素統計モデルを構築する統計モデル解析部をさらに有し、
前記寄与度算出部は、前記要素統計モデルに基づいて、寄与度を算出する、製造条件計算装置。 - 前記代表不良率は、前記各装置の集計不良率の平均値である、請求項1に記載の製造条件計算装置。
- 統計的仮説検定を行うことで、所定の装置における不良品の出やすさが他の装置と比べて有意か否かを判定し、有意であると判定された装置の前記寄与度を維持し、有意でないと判定された装置の前記寄与度を小さくする有意差検証部をさらに有する、請求項1または2に記載の製造条件計算装置。
- 前記有意差検証部は、分割表を用いたカイ二乗検定を用いて、前記不良品の出やすさを判定する、請求項3に記載の製造条件計算装置。
- 製品の製造に用いる装置及び単位解析期間の製造結果を含む実測データに基づいて、各装置の不良品の発生に対する寄与度を算出する寄与度算出工程と、
前記単位解析期間毎の各装置の集計不良率を算出する不良率集計工程と、
前記各装置の前記集計不良率と前記集計不良率の代表不良率との大小関係に基づいて、前記集計不良率に対応する前記寄与度にメンテナンスの優先度を付加する優先度付加工程と、を有し、
前記単位解析期間で分割した前記実測データ毎に、勾配ブースティングを用いて要素統計モデルを構築する統計モデル解析行程をさらに有し、
前記寄与度算出工程は、前記要素統計モデルに基づいて、寄与度を算出する、製造条件計算方法。 - 統計的仮説検定を行うことで、所定の装置における不良品の出やすさが他の装置と比べて有意か否かを判定し、有意であると判定された装置の前記寄与度を維持し、有意でないと判定された装置の前記寄与度を小さくする有意差検証工程を有する、請求項5に記載の製造条件計算方法。
- コンピュータに、
製品の製造に用いる装置及び単位解析期間の製造結果を含む実測データに基づいて、各装置の不良品の発生に対する寄与度を算出する寄与度算出工程と、
前記単位解析期間毎の各装置の集計不良率を算出する不良率集計工程と、
前記各装置の前記集計不良率と前記集計不良率の代表不良率との大小関係に基づいて、前記集計不良率に対応する前記寄与度にメンテナンスの優先度を付加する優先度付加工程と、
前記単位解析期間で分割した前記実測データ毎に、勾配ブースティングを用いて要素統計モデルを構築する統計モデル解析行程と、を実行させ、
前記寄与度算出工程は、前記要素統計モデルに基づいて、寄与度を算出する、製造条件計算プログラム。 - 前記コンピュータに、
統計的仮説検定を行うことで、所定の装置における不良品の出やすさが他の装置と比べて有意か否かを判定し、有意であると判定された装置の前記寄与度を維持し、有意でないと判定された装置の前記寄与度を小さくする有意差検証工程を実行させる、請求項7に記載の製造条件計算プログラム。
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